警視庁は、警察官が不在となる「空き交番」解消策の一環として、東京都内の空き交番の一部を、
地域住民の防犯活動の拠点として、民間の防犯団体などに無償貸与する方針を固めた。
申し出があれば、順次受け付けを始める。警察官の大幅増員が望めず、交番すべてに警察官を
配置するのは難しいという現状の中で考え出された“苦肉の策”。
警視庁では「空き交番が、『住民自身による治安』のシンボル的存在になってくれれば」と期待して
いる。
都内には現在、939か所の交番がある。このうち、警察官が一日中不在だったり、夜間だけ不在
となる空き交番は87か所で、警視庁は、この一部を「地区安全センター」(仮称)として、防犯活動
に実績のある団体に貸し出し、有効活用することにした。
ボランティアが常駐して道案内するなど「民間交番」としての活用のほか、パトロールの際の集合
場所や待機場所といった一時的な拠点としての利用も可能にする。提供期間や利用できる時間、
電話、電気、水道代などの維持費をだれが負担するかなどについては、団体の活動実態に応じて、
そのつど検討するという。
警視庁では、住民からの「交番に飛び込んでもお巡りさんがいないのは不安」などの声を受け、
昨年秋から、空き交番解消策について検討。警察官の定員200人増などで、今年3月末時点で
204か所あった空き交番を87か所にまで削減した。
しかし、空き交番すべてに警察官を24時間配置するには、さらに1000人近くの増員が必要となる
ため、施設の活用方法について検討していた。
治安の悪化が言われ続けたここ数年、都内を始め全国各地で住民独自による防犯パトロール隊
などの防犯団体が相次いで発足しているが、多くのボランティアの防犯団体にとって、活動拠点が
ないのが悩みの種とされていた。
今回の方針について、警視庁内部からは「交番の看板をはずして、住民から理解が得られるか」
「警察官の増員を求めている中、相反する方針ではないか」などといった声もあがったが、当面、
すべての空き交番を解消するメドがたたないとして、民間への貸与に踏み切ることにした。
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20040511i107.htm