イラク邦人人質事件で、解放された人質三人のうち一人が解放直後に移送された
在バグダッド日本大使館内で、今回の事件の責任はイラク人にあるのではなく、
イラクに自衛隊が派遣されていることにあると批判し、自衛隊のイラクからの撤
退を求めていたことがわかった。政府関係者が十六日明らかにした。
人質三人はバグダッド市内で解放された後、身柄を引き取りに来た上村司駐イ
ラク臨時代理大使とともにいったんバグダッド市内にある日本大使館に入った。
大使館内では、日本政府の担当者により、拘束されていたときの状況など簡単な
事情聴取が行われたもようだ。
このなかで人質の一人は「イラク人は悪くない。悪いのは自衛隊だ」などと述
べたという。さらに、人質事件解決のためバグダッド入りしていた警察庁の「国
際テロ緊急展開チーム」のメンバーに対し、「どうして警察の人がいるのか」と
不快感を示していたという。
政府の担当者は事件の解決に向けて、日本政府が全力を尽くしていたことや、
世界から大きな関心を持たれていたことを、事件を報道した新聞などを見せなが
ら説明。「こんなに世の中は心配していた」と理解を求めると、三人は事件の反
響の大きさに驚いた様子だったという。
三人のうち郡山さん、高遠さんの二人はイラクでの活動の続行を希望し、これ
に対して日本国内では批判が強まっている。これと併せ、三人のうちの一人の自
衛隊批判発言はさらに波紋を広げそうだ。これに関し、政府関係者は「解放され
た直後ということもあり、気分が高揚していたのかもしれない。三人の解放に向
けて、政府をはじめいろいろな人が努力していたことを理解してもらうしかない」
としている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/17iti002.htm