東京都が来春開校を目指す都立新大学の教員を公募したところ、競争率は6倍にとどまったことが6日、
分かった。専門分野によっては応募者がわずか1人のポストもあり、研究者の就職難が続く中、
首都圏の大学では異例の低倍率となった。新大学で導入される任期制など、石原慎太郎知事による改革の混乱が、
思わぬ不人気を招いたとみられる。
都は昨年12月、新大学の都市教養学部とシステムデザイン学部の教授、准教授(助教授)の計9ポストを公募し、
先月末に締め切った。この結果、応募者は計54人で、平均倍率は6倍。最も人気を集めた
経営学(ベンチャービジネス)でも応募者は9人で、「ヒューマンメカトロニクスシステムコース」の
ロボット専攻は1人だった。
新大学の教員人事では、廃止される現在の都立大など4大学の教員が移籍するが、新設分野の不足分を都が公募した。
教授、准教授とも任期5年で、准教授は1回しか再任しないため、研究者の間には
「短期の任期付き採用では、落ち着いて研究できない」と懸念する声が広がっていた。
都立大の理系助教授の一人は「研究者の職は買い手市場。都内の大学で公募があると、
競争率が100倍を超えるのも珍しくない。石原知事のトップダウンの改革によるゴタゴタでそっぽを向かれた」と指摘。
都立大の教職員組合も「都の任期制・年俸制案が、いかに外部から人気のないものかを表した。
優秀な教員確保という点でも、極めて深刻な事態になる」と警告する。
都は新大学設立に向けた教学準備委員会の下で、応募者の書類審査と論文選考を進めており、
2月中には採用候補者を決定する予定。都の大学管理本部は新人事制度を
「准教授は業績さえあげていれば教授職への昇格が可能。若い活動力のある研究者・教育者が就任することで、
大学に活力が生まれる」と説明。
教員の採用についても「都が独断で進めているわけではなく、現在の大学の先生も入った
教員選考委員会が選考にあたっている。手続きに問題はない」と話している。【奥村隆】
[毎日新聞2月6日] ( 2004-02-06-15:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20040206k0000e040071000c.html