便利屋のサムは、少し忘れっぽいところがあるが誠実な男だった。
サムがある金持ちの屋敷に仕事で呼ばれて行くと、
初老の主人が出迎え、サムを居間に通してソファに座らせ、仕事の説明をした。
「今日、君には二つの仕事を頼みたい」
そういうと主人は右のポケットから小さな薬瓶を取り出した。
「二階の廊下をまっすぐ行って右に曲がってから三番目の部屋には、
愛犬のセントバーナードがいる。この子は最近ひどい虫歯なんだが、
どうしても獣医にもらった薬を塗らせてくれないんだよ。
だから君には、この薬を塗ってやってもらいたい」
次に主人は、左のポケットからコンドームを取り出した。
「二階の廊下をまっすぐ行って、左に曲がってから四番目の部屋には、
私の若い妻がベッドで待っている。彼女は最近ひどい欲求不満なんだが、
どうしても私のあそこが言うことを聞かないんだよ。
だから君には、久しぶりに妻に女の悦びを存分に感じさせてもらいたい」
サムはいささか臆したが、意を決した表情で申し出を引き受け、
謝礼の500ドルを前金で受け取った。
サムは薬瓶とコンドームをポケットに入れて、二階へ昇っていった。
しばらくすると、セントバーナードの激しい吠え声が二階から屋敷中に響いた。
セントバーナードはしばらく吠え続けたが、やがて大人しくなった。
少し間をおいて、サムが二階から居間に降りてきて、屋敷の主人に尋ねた。
「すみません、虫歯の奥さんの部屋はどこでしたっけ?」