終わるコミケット#3 おもいでコミケット

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117流れ書き
 その馬鹿たちが、夏コミで放火をし、Cレヴォで大暴走した。
 今日は2日目――その馬鹿が来ている可能性は大きい。
 何が起きるか、わかったもんじゃない。
「あ、動いた」
 列が動き出し、佳織と雅人は15分ぶりに駅の構内に入ることができた。
 外の冷たさとは対照的に、中は暖房と人のぬくもりのおかげか、幾分暖かかった。
「ただいま入場制限を行っています! 乗車券をお買いの方は、改札列の後ろにお並びく
ださい!」
 駅員が、どんどん増殖する乗客に向かってメガホンで呼びかけた。
 有明初期とは違い、頼もしい駅員たち。
 だが、今回で彼らの世話になるのも最後。そう思うと、雅人は駅員たちに感謝せずにい
られなかった。
 だんだん、自動改札機に近づいていく。
 JTBで購入したチケットを財布から取り出し、雅人と佳織は一番端の改札列に並び替
えた。
 ちょうど目の前で、列が止まる。
 ロープを張っている駅員を見ると、その表情は疲弊しきっていた。
 朝からずっとコミケ参加者の世話をしているのだから、無理もない。
「おはようございます」
「お疲れさまです!」
 二人は、笑顔で駅員にそう挨拶した。
「おはようございます。がんばってくださいね」
 駅員も、笑顔でそう返す。
 この挨拶が、今二人ができる最大限の礼だった。