1 :
どーしても読みたい:
真っ白に染め上げられた有明・東京ビッグサイト。
その中で繰り広げられた40万人の物語。
「終わるコミケット」は、1、読者、ライターの手によって大きく膨ら
んだ、2ちゃんねる同人・コミケ掲示板でも有数の名スレッドとして知
られてきましたが、残念ながら執筆事故の頻発により、本当に終わる姿
は描かれませんでした。
しかし、2ちゃんねるで始まったことは2ちゃんねるで終わるべきと私
は信じます。ていうか、終わらせて、続きを読ませて。
ライターの皆さんへ
色々な思いがあろうと思いますが、冬コミも終わったことですし、そろ
そろ再始動する時期かと思い、勝手ながらこのスレを立ち上げます。思
う存分、その筆を振るってください。
2 :
あるスタッフに捧げる詩:2001/01/17(水) 00:12
――――――Captain Ariake / Captain Ariake
行け...
左、いややっぱ右
「バカ!もっとつめろ」
左、いややっぱ右、あれ、先頭はどこだ?
整列、開始!
すげえぜ Captain Ariake
(ホントにすげえ!)
東のことなら任せとけ
(英語もチリバツ!)
「サークルチケット、まわしてくれないか?」
(できれば二枚ほど!)
「お前みたいな奴は死ねばいいと思ってる」
(ワアオ!)
1・2・3
(4・5・6)
西は管轄外
(コスプレ嫌い!)
西は管轄外
(企業も嫌い!)
「取り置き頼んでイイですか?」
(ダメー!)
行け...
左、いややっぱ右
「バカ!押すんじゃネエ!」
左、いややっぱ右、あれ、最後尾はどこだ?
行け...
「喫煙スペースはこっち、トイレはそこ
何?323?」
「アラララララララ」
落ち着けよ Captain Ariake
本部へ走るぜ Captain Ariake
血相変えて走るぜ Captain Ariake
「ありゃりゃりゃりゃん?」
その口癖はどうかと思う
「ほいほいほいほいほい?」
その口癖もどうかと思う
「ありゃ?まずかったですか?」
確かにまずいぜ Captain Ariake
行け...
左、いややっぱ右
「ハイハイハイ、もっと厳密にすべきだと思いマース」
左、いややっぱ右、あれ、これは何の列だ?
英訳よろしく(笑)
あら、なんかいつのまにか新しいスレッド立ってるし。
ま、今まで書いていたライターも、実は書きたかったんだという人も、
どんどん書いていきましょう。
今度はどこまで続くかね。
5 :
中華娘。:2001/01/18(木) 23:15
>>4 あやや、退院おめでとうございます。
ここですべての終わりを見届ける事が出来るといいですね。
2001.01.19
やがて訪れる、ほんとうのコミケの終わりと、
僕らはどんな顔をして向かい合うことになるんだろう。
コミケの終わりがフィクションたりえた時は、
もう過ぎ去ってしまったのに。
それでも、終わりを望む者として、僕らはまだ、ここにいる。
7 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/01/20(土) 02:31
age
8 :
名無しさんパクリでも:2001/01/20(土) 02:36
>>6 やべー6見て涙出てきたよ
続けろよ現役達。紳士であれよ。
9 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/01/20(土) 02:40
>>8 俺も涙出た。なぜかわからないけど涙が出た。
いまこのスレッドにネタを書くことは、正直言って書き手にとって
幸せなことなんでしょうか。現役スタッフや関係者も多そうでしたし、
続ければ続けるほど荒むんじゃないかと、私はそれが心配です。
それを乗り越えられる人だけ続ければいいんじゃないかと、
今は思っています。
11 :
どーしても読みたい:2001/01/23(火) 10:28
もう、駄目なのかな。コミケって。
そんなに危機に瀕しているのかな。そこまでの実感は正直ないんよ。
12 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/01/23(火) 10:34
まだ続いてるイベントがカタストロフで終わる様をあの手この手で見せられるのは、
イベントを維持しようとしている人間にとっては気分のいいもんじゃないってこと。
フィクションだと気持ちよく割り切れる人間ばかりじゃないってことは覚えておいてね。
13 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/01/23(火) 10:46
>>11 今の自民党政治と同じであちこち腐って、壊れているが
その巨体故に変革をしようとしてもできないジレンマを
抱えているでしょ。
>>12 あんたみたいな人間に維持されるぐらいなら、マジ華々しく
終わって欲しいよ。
なら来るな。
申し訳ありませんが、荒らしに対しては『完全無視』ということでお願いいたします。
気に入らない事が書かれてあったら、反論したい気持ちも分かるのですけど、そうすることによって荒らしをする人の思うツボになってしまいます。
そのようなことが書かれていた場合、少しの間だけ我慢して
風化するのを待ちましょう。
お願いいたします。
17 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/01/23(火) 17:49
作家陣は書く気あるのかな?
私も続きを読みたい1人なんで、テンションが下がってないことを祈る。
自分の納得のいく文を書くのは大変手間がかかるもんなんですよ。
まあ気長に待ちましょう。
2000/11/18 22:08 下北沢某所
「……水曜会……。一体、あの水曜会って、なんなんですか……」
唸るような長谷川宗佑の呟きが漏れる。
「……最初はサークル・一般・スタッフを問わない、単なるコミケットを中心
とする関東圏の同人誌展示即売会参加者の懇親会・情報交換会的な集団だった。
その起源は80年代後半にまで遡るとされている……」
長谷川の唸りを気だるげの受け流しながら、心持ちやつれたようにも見える
穂波英彦が淡々と語りはじめた。
「……だが、巨大化、いや、肥大していくコミケットの構造の中、水曜会はあ
る種の方向性を内部に堆積させるようになっていった」
「……堆積?」
「そうだ。最初は単なる参加者同士のかわいい愚痴の零し合いだった。しかし、
それは徐々にコミケットのあり方、ひいては準備会の体制批判へと発展してい
った。そう、彼らの中に堆積していったのは、自らの思い通りにならなかった
場に対する不満。それ以外の何物でもなかったんだ」
穂波はデスクの上に投げ出してあった煙草を取り、それに火を点す。
「……やがてその不満は、歪な方向へと導かれていった。自らが不満を改善す
るために何をするかではなく、不満を改善してくれなかった、不満を改善して
くれると思っていた、そして、不満を改善することが当たり前であると思いこ
んでいた対象への不満へと。それはやがて、その対象への憎悪へとすりかわっ
ていった。。それ以来続いていた緊張状態は、今回のコミケットの中断宣言を
受けて、最高潮に達していた。そして……その緊張状況を更に加圧し、限界に
達しかけていた所を爪弾いた奴がいた」
一呼吸。そして、煙草を口へと運ぶ穂波。
「それが水曜会の会長とか言う奴だったんですか……?」
長谷川の目に、ささくれだった険しさが宿る。
「いや。会長……真田毅は、爪弾かれた……いや、利用されただけだ」
まだ長い煙草を口から離し、穂波はゆっくりと灰皿に押し付けた。
「……コミケットの有明への移転。そして、ブロック担当と混雑対応担当の合
併。その潮流の中で、意思統一の手段として、身近な所に『共通の敵』と言う
結束のための偶像を生み出すために生贄にされた男がいた。……新堂智明。あ
の一般開場直後の晴海A館前を支えつづけた男の1人だ」
「スタッフだって言うんですか?!」
吐き捨てるような叫びをあげる長谷川。
「……スタッフ……だった。敵を『外部』に求めてはいけない。『外部に敵が
いる』と言う声を、その『外部』に聞かれてはいけないと言う至上命令の元、
両部署併合の人柱となるべく、仲間の前で高らかに吊るされた男。……そして、
その後、米沢代表に『公共安全担当構想』を耳打ちし、周辺から『体制・統制
論者』として叩かれ、準備会からも放逐された『開戦前に到着してしまった前
線指揮官』……。そして、笹倉さんの同期にして、俺の師とも言える人だよ」
穂波は、口元に嘲りの笑みを浮かべ長谷川を見やった。
長谷川は、その嘲りめいた笑みが、誰に向けられたものなのかをはかりきれ
なかった。そして、胸の奥に明らかにこみ上がってくる憎悪と憤怒の思いに翻
弄されながら、ただただ、俯き加減になりながら黙っていることしかできなか
った。
待ってました。
書き手さん達、がんばってください。
22 :
三文文士@素晴らしく目覚めの悪い日曜日:2001/01/24(水) 21:48
真っ暗な部屋の中、目覚ましのベル、苛立ち気味の声。
「みゅ?」
「音美さん、いいから音美さん、起きて」
「うう、まだ眠い」
「駄目だって、一度池袋もやってみたいって、あちこち頼み込んで、調整集会さぼ
ってまで、スタッフ登録したんでしょ。赤羽まで行って」
「確かにそういった。だが、状況が変わったのだ。私の睡眠は、あと2時間は延長
される…」
「納得のいく説明をお願いします。ただでさえ、むちゃなお願いをしたところに、
遅刻なんていうオーバーワークを強いたら、どんな大失態とされるか! ついでに
いうなら、それに無理やり付き合わせたあんたが、なぜにそんな巨大な態度を取れ
るのよ! いい加減起きなさい!!」
「ごめん、尚子さん、付き合ってくれて。無視されたら、どうしようかなぁと思っ
てた」
「いいわよ、私が南雲さんだというんだから。むしろ光栄だわ」
あるホテルの一室。今目を覚ました一人は、洗面台を占領し、なんかやっている。
男性からしたら、魔術か、外科手術の術式かというほど複雑怪奇な工程を、寝ぼけ
ながらも、壮絶な勢いでこなしている。
もう一方は、もっと前から目を覚ましており、身支度も済ませている。
今は、カタログに目を通しつつ、電話をしていた。
「あ、おはようございます。はい、ちゃんと起きました。ていうか、起こしました。
もっと正確な表現を心がけるなら、たたき起こしました。はい、では、集合は予定
どうりということで。はい、はい、では下でお待ちします」
「うう、やっぱしノリ悪いなぁ。寝てないからなぁ」
「さ、もう時間がない。とっとと着替えて頂戴。あたしの忍耐力にはもちろん限界
があるわよ。〆切5分前!」
「ああ、そういう邪悪な単語は聞かせないでちょうだい」
なんだかんだ言いつつ、スタッフ達の身支度は早い。あっという間に終わった。
「じゃ、行こうか。音美さん」
「そうね、尚子さん」
ドアが開き、そして閉じて、部屋には静寂が戻った。
2000/12/30 12:25 某局AMラジオ放送
「時刻は12時25分になりました。ここで交通情報と大雪に関する情報をお伝えします。
ますは交通情報。警視庁交通管制センターの上田さん、お願いします。」
「はい。まずは首都高速からお伝えします。
通行止めは昨日の事故の影響で、湾岸線辰巳ジャンクションと有明ジャンクションの間が両方向。
それと、4号代々木附近で大型トラック2台の事故のため、上りの新宿と外苑の間上下線が通行止めです。
この影響で代々木は閉鎖されています。
神奈川3号狩場線上りの永田附近、故障車が停まっています。
渋滞はありませんが気をつけてご通行ください。
首都高速は大雪の影響で全線チェーンが必要、最高速度は50キロに制限されています。
また、ほとんどの入り口は閉鎖されています。
高速道、東名は秦野中井と沼津の間で上下線が雪のため通行止め。
東京インターと秦野中井の間、その先沼津、磐田間にチェーン着装規制が出ています。
中央道は八王子から先、山梨県の勝沼まで通行止め。
高井戸と八王子の間がチェーン着装規制になっています。
関越道、練馬と渋川伊香保の間がチェーン着装規制、その先は小千谷まで通行止めです。
圏央道は全線通行止め。
上信越道も藤岡ジャンクションから松井田妙義までは通れますがチェーンが必要。
その先、碓氷峠から長野県内にかけては通行止めです。
東北道は上りの川口ジャンクションで乗用車3台の事故処理中。流れが悪くなっています。
川口から西那須野塩原までチェーン着装規制、その先宮城県内の村田ジャンクションまで通行止めです。
常磐道は三郷から美野里パーキングまでと、中郷パーキングから先がチェーン着装規制。
美野里パーキングと中郷パーキングの間は50キロ規制です。
京葉道、東関道、新空港道、館山道は全線で50キロ規制。
東京湾アクアラインは、橋梁部が路面凍結のため通行止めです。
都内の一般道は交通量はそれ程多くありませんが、雪で滑りやすくなっています。
また積雪により、峠など山間部では通行止めになっているところがあります。
気をつけてご通行ください。以上です」
「ありがとうございます。続いて気象情報。気象協会の根岸さん」
「はい。現在関東地方に大雪を降らせている低気圧は、関東の南岸をゆっくりと東へ進んでいます。
それと北海道沖の日本海にも低気圧があって、北日本も大雪となっています。
また北からの寒気は大きく八丈島附近まで張り出し、今日は東日本を中心に非常に寒くなっています。
雪なんですが、現在関東と東北のほぼ全域に大雪警報が出ています。
関東では今後も山間部の多いところで1時間に30センチ、平野部でも10センチ以上の大雪になる所があるでしょう。
慣れない雪道で転んで怪我をしないよう、十分にご注意ください」
「えー、各地で雪による規制が出ていますね。
では電車の情報です。まずはJR。
東海道新幹線は東京と米原の間で徐行運転をしています。
遅れは最大で2時間程度ですが、今後の状況によっては運休もありえるとの事です。
東北・上越・長野新幹線は秋田、山形新幹線が雪のため遅れている影響で、30分程度の遅れが出ています。
在来線ですが、京葉線は新浦安駅構内でポイント故障のため、全線で運転を見合わせています。
高崎線は新町駅附近で線路脇の樹木が倒れて架線を切断したため、上野と篭原の間で折返し運転をしています。
私鉄ですが、西武鉄道の山口線と池袋線の飯能・西武秩父間が終日運休。
荻島駅附近の踏切で軽トラックが立ち往生しているため、拝島線の小平・拝島間と西武多摩湖線の全線が運転見合わせ。
地下鉄では、有楽町線が直通運転をしている東武東上線と西武池袋線が遅れている影響で、15分程度送れています。
その他首都圏の各線は通常よりも間隔を開けて、本数も減らして運転しています。
また、各地で徐行運転や間引き運転をしている区間が有りますので、通常よりも時間がかかっています。
道路も雪や氷で滑りやすくなっています。お出かけの際は時間に余裕を持って、十分にご注意ください」
毎度、サンデーライターです。
今回はリハビリと状況確認ということで、偽ラジオ放送をやってみました。
当然ながら、朝のものより状況は悪くなっています。
次はどうしようかねぇ。
本日、東京は大雪です。信越・東北などの雪に比べればヌルいのでしょうが、
それでも「大雪」といっていいと思います。
ラジオでも各交通機関の麻痺が報じられていました。
「2日目」に降る雪は、まさにこのような感じになるのでしょうか・・・。
そう考えると、ちょっと感傷的な気分になってしまいました。
27 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/02/01(木) 19:18
今のうちにage
おお友よ、そんな物語ではダメなのだ!
知恵を合わせてもっと楽しい本を作ろうではないか、もっと喜びにあふれる物語で!
喜び、それは創作活動から発する美しい火花、創造力の遣わす美しい娘、
私たちは熱い感動の思いに突き動かされて、気高い喜びよ、創作活動に歩み入る!
創作活動は世のしきたりが冷たく見下すものを、不思議な力で再び結びつける。
創造力の優しい翼に抱かれて、すべての人々は兄弟となる。
心の通じ合える親友を得るという、難しい望みがかなった者も、
己の捜し求める本を得ることが出来た者も、喜びの気持ちを声に出して合わせよ!
そうだ、この広い世の中でたった一人でも、心を分かち合える人がいると言える者も和すのだ!
だがそれさえ出来ぬ者は、喜びの仲間から泣きながら去って行くがよい。
すべてのものは表現の自由に抱かれ、その身体から喜びをいっぱいに表している。
善なる人も、悪人も、みなすべて薔薇の香りに誘われて、表現の懐へ入っていく。
自由な表現は私たちに、口づけと葡萄と死の試練をくぐり抜けた友を与えてくれた。
つまらぬ規制などはウジ虫に投げ与えてしまえば、知と正を司る天使が神の前に姿を現す!
喜びにあふれて、ちょうど満天の星々が壮大な夜空に饒舌に物語を語るように、
兄弟よ、お前達も自らの物語を紡ぐのだ、喜びに勇み、勝利の大道を往く英雄の物語を。
互いに抱き合うのだ、諸人よ。全世界の人々と口づけを交わし合うのだ!
兄弟よ! 満天の星々の彼方には、真に求める表現が必ずそこにあるのだ。
諸人よ、お前達は前に進むか? この世の者達よ、お前が創造した表現がわかるか?
満天の星々の彼方に真の表現を求めよ! 星々の彼方に、真の表現は必ずあるのだ。
元ネタは「第9交響曲」の合唱の歌詞です。
ネットで拾ってきた訳詩を元にしているので、
ちょっとおかしいかもしれませんが勘弁。
サンデーライターさんの28が好き。
雲の切れ間から暖かい光りが差し込んでるようだー。
31 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/02/06(火) 05:53
そろそろage
2000/11/23 09:22 環状7号線上
1台のセダンが火花を散らしながら、首都圏の動脈の中を転げ回った。
横を走っていた2tトラックが接触した弾みで路側帯に乗り上げ、そのまま
宙を舞う。
死者1名。重傷3名。軽傷1名。
交通事情の悪化著しい東京都下においては、あってはならないはずだが、そ
れでもよくある交通死亡事故。
しかし、この事故は2000名弱の構成員を持つ大組織の命運を左右する、大事
件となってしまった。
2000/11/23 10:08 下北沢 コミケット準備会事務所
「……なんだって? 交通事故だぁ?!」
電話を手にしていたスタッフが、周りをはばからぬ大声で叫びを上げた。
周辺で事務作業をしていたスタッフたちの手が止まる。
「で、状況は?」
すかさずメモ帳とボールペンを手に取る者。近場の電話の受話器を上げ、電
話の向こうの声を取ろうとする者。携帯電話を手に、次の一手に備える者。彼
らの目は一点。受話器を取ったスタッフへと注がれていた。
『……いま、沖川さんの携帯に電話したら、搬送にあたられていた救急の方が
出られまして……一応、搬送先の病院を伺えたんで、確認のために何人か走ら
せたんですが、今のところ、詳しい状況は……』
「わかった。とりあえず、沖川は誰の車に乗っていたんだ? で、誰がその車
に?」
左手で受話器を握り締め、手元のメモに走り書きしながら、状況を確認して
いくスタッフ。
『車は西2ホール長の小村さんので、昨日の晩、小村さんに電話した西2の若
い奴によると、小村さん、石川さんと宮永さん、それに沖川さんと打ち合わせ
してから、こっちにくると言っていましたから……おそらく……』
メモを取っていたスタッフが手にしていたボールペンが、その用いられるに
充分な力を超えた圧力に翻弄されてメモ用紙の上を乱れ走り、鈍い音を立てて
折れる。
「いっさんに、宮永さん、それに沖川さんと小村だって……?」
電話を受けていたスタッフが漏らした言葉に凍りつく室内。
「……ちょっとまて……」
「確認っ! 確認を急がせろっ! どんな些細なことでも構わないからっ!」
一拍おいて悲鳴、そして怒声に似た声が室内を支配した。
「……わかった。そっちは金井さんや郷木さんなんかと繰り合わせて、対応し
てください。あ」
応対していたスタッフが手にしていた受話器が、横から伸びてきた手にひっ
たくられる。
「場合によっては部署集会自体の延期でも構いません。ただし、状況は詳細が
判明するまで伏せられるだけ伏せておいてください。米沢代表にはこちらから
第一報を入れておきます。状況の推移に関しては、部屋宛で逐次報告を。それ
では」
ひったくられた受話器が、ひったくった手によって電話機へと戻される。
「……鍋島さんっ!」
受話器をひったくられたスタッフは、受話器をひったくったスタッフ……総
本部別室室長・鍋島芳美へとあからさまな非難の視線を注いだ。
「ただでさえ緊張状態が続いている現状では、いかなる不安定化要素も漏出す
る訳には行かないだろう……?」
そう言い放つ鍋島の表情は、幾人かのスタッフと変わらぬ、悲痛こらえてい
るそれだった。
2000/11/23 11:52 下北沢 コミケット準備会事務所
「……小村さんが死んだって……?」
受話器を握るスタッフの口から、こらえきれなかったように言葉が漏れ出た。
落胆の息と嗚咽。漏れ出る声が部屋の中に満ち溢れた。
『……話によると、救急がきた時には、すでに……』
電話の向こうの声は、涙に震えていた。
「……同乗者の容態は?」
『石川さんが頭蓋骨陥没。宮永さんは折れた肋骨が肺に。沖川さんは頚椎骨折
で意識が戻らないそうです。あと、小村さんについてきていた矢野さんは腕に
ヒビが入った程度で済んだそうです。いま、ご家族の方から……』
「……わかりました。2人残して後は帰してください。おって、こちらから交
代を送ります……」
そっと置かれる受話器。
「……なんてこった……」
「館内担当総統括、人事・補給担当、西地区長、西2ホール長……。こんな差
し迫った時に……」
絶望と言う重圧に押しつぶされたように重い空気。
「どうなる? いや、どうするよ? これから体制を立て直すって言うのか?」
「……やらなければならないだろう。……畜生っ!」
ガンッ!
後輩を亡くし、友が生死の淵をさまよっている時に、為す術がないことに苛
まれている男性スタッフが、その拳をデスクに叩きつけた。
「とりあえず、まだ館内の上の連中は固まっているんだろう? 次の手を考え
させなければそれこそ手遅れになる……」
旧ブロック担当閥出身の総本部事務スタッフは、その言葉と、その場に不釣
合いな禍々しい笑みを背中越しに残すとその場を後にした。
37 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/02/13(火) 06:10
またまたage
38 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/02/15(木) 11:16
「このイベントなんですけど…」
そういって手渡されたチラシには聞いた事のない名前の即売会だった
「で、調べてみたら外資系の企業なんですけど…どう思います?」
2024年
完全に廃れきった日本の同人会にアメリカの魔の手が忍び寄る。
その前に日本が廃れてなきゃいいけど。
40 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/02/15(木) 14:49
>>38 「終わるコミケット2012」がその前にあるんじゃなかったっけ?
さらに続編で「終わるコミケット2024」か?
そろそろage
おそらく、誰も核心に触れなかったのが敗因なんだろうな。
周りをいくら固めても事件の直接的な描写がいつまで
経っても出てこないから物語として成り立たない。
核心に触れられなかったのか、それとも触れたがらなかったのか……。
冬コミ前までは非常に期待して見ていただけに、残念でしょうがないよ。
かってに改蔵の「何でも、予告編にすると面白い」という
ネタを思いだしちまった。
43 :
この状況だと:2001/02/24(土) 05:03
確かにそうなりそうだね。
でも、俺、執筆者たちの気持ちがわかるような気がするよ。
みんな、内容を見ていると準備会スタッフ永くやっていた人たちか、少なくとも
コミケ参加暦はかなり長そう。
自分達の青春だったイベントの終わりは予感していて、書き出したんだけど、結局
最期を物語るのがあまりに辛すぎて、書けない。
そんなところじゃないかなぁ。ぶっちゃけた話終わらせる方法はいくらでもあるん
じゃないの?この人たちの頭の中には。でも、それは出せない。
昔、内周辺境伯(おお懐かしいこと!)さんがそんなこと言ってたよね。
終わらせたいと思ってる側の心理を描いたものが少なかったしな。
終わらせ方はいろいろあるけど、
本音としては終わって欲しくないからねぇ。
確かに現実のコミケットを終わらせたくはありませんよ。
しかし、これはちゃんと(?)終わらせたいと考えていますし。
ただ、「ここでの終わり」に至るまでの道が、当初、思っていたより
遠かったと言ったところでしょうか?
「それ」が起きるまでに何があったか?
そして、何故、「それ」がおきてしまったか。
さらに、「それ」の周辺はどうだったのか?
背景は?
考え出すと停まりませんし、非道い話、楽しかったりもします。
あ、重ね重ね言いますが、私も「現実のコミケット」には、
決しておわって欲しくない1人ですんで(苦笑)。
今、必死に書いています。いろいろと制約あって大変なんですけど。
これはきちんと「終焉」を迎えさせたいんです。
コミケの終わる世界を考えることで、コミケとの付き合い方をもう少し違った角度
から考えることもできるでしょうから。
いや、これはこれで、楽しいんです。ただ、なんと脆い存在なのかなと思うことも
しばしばですけれども。
コミケが終わったんでイヌも逝っちゃったよ……
dat逝き断固阻止!
とりあえず、ぽちっとな。
51 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/03/20(火) 04:18
age
期待しつつ。
……年度末(自分の場合は来年度の準備期間)だってぇのに、風邪引いて倒れちまってます(苦笑)。
あげく、前まで使っていたメールサービスが管理会社のトラブルでこけてるし(涙)。
つーわけで、生存証明&新メアド告知がてら
……途中で書き込んじまっただよ……。
鬱だ、薬飲んで寝よう。
55 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/03/28(水) 19:11
すまん、話が見えないんだが、コミケ無くなるのか?
57 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/03/28(水) 21:32
58 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/04/08(日) 19:27
age
気長に皆様の続き待ってますー
2000/12/28 14:48 東京都江東区豊洲 食堂「潮風」
歳の瀬も押し迫った日の午後。
店にいるのは、饂飩を食べている15歳ぐらいの少年1人だけだ。
昼飯時を過ぎてしまえば、いつもこんなものだ。
その時、表に大型のトラックとマイクロバスが止まり、乗っていた連中がどやどやと店の中に入ってきた。
「コミケ前の食事だ。何を食ってもいいぞ」
髭を生やしがっしりした男がそう言った。彼がリーダーらしい。
一緒にいた女性がメニューを見て「何にも無いのね」と呟くのが聞こえた。
女性は野卑な男たちの中で、妙なくらい気品があるように思えた。
彼女は「何でもいいわ、できるものを14人分」と注文を出した。
「おい、積荷を調べてる2人を入れても1人多いぞ」
髭の男が言うと女性は、「あの少年にも」とカウンターの少年を指した。
男は少年を見ると「あんな子がいいのか?」と笑った。
「まさか」と女性も微笑んだ。
カウンターにいた少年は戸惑いながらも言った。
「あなたに奢ってもらう理由がありません……」
男はこれを聞いて高笑いをした。
「羽門、一本やられたな、この小僧に!」
羽門と呼ばれた女性は微笑んで答える。
「あなたを私が気に入ったからなんだけど、理由にならないかしら?」
しかし少年は頑なに拒んでいる。
「気に入ったぞ、小僧。それだけはっきりものを言うとはな」
男はいたく感服した様子で、
「俺からも奢らせてもらおう。それならいいだろう?」
と少年の肩をたたくと、顔を覗き込んだ。
「いい目をしているな」とコートをめくると、少年は外周にびっしりとチェックの入った配置図を握り締めていた。
「それと度胸もいい。ますます気に入ったよ」
少年は何も言い返すことができなかった。
髭の男は何事も無かったかのようにコートを閉じ、
「だがな、会場であったらこうはいかんぞ。がんばれよ」
と言って少年を店の外に送り出した。
チョト ナガカッターネ
>>61 サンデーライター氏
おお、新機軸ですな、笑わせていただきました。
修正前のセリフの方が良かったかな。
「僕は乞食じゃありません」
沈みすぎage
65 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/04/27(金) 00:26
dat逝き帽子age
永遠に終わりそうにねぇな。
67 :
名無しさん@どーでもいいことだが。:2001/04/29(日) 19:33
とりあえずage