「そう考えて、思い当たったんだよね。コミケットと僕たちのあり方を、もう一度
見つめ直すのも悪くないとね」
「今までと同じ、ただ維持するだけの営みを、これからも続けて行かねばなら
ないとは思えないのです。うまく言葉に出来ませんが、もっと違ったやり方も
あるのではないかとね」
「……お前達は、自分の言っていることを理解しているのか? それは我々
準備会……いや、即売会、そして同人全体の有りように問いかけを発しようと
しているんだぞ?」
「閉じた円環は、停滞するだけなんだよね。……僕たちは長い時間、近代同人を守ろう
とし続けてきた。今までの四半世紀は、其れで良かったのかも知れない。だけど、次の
四半世紀も同じようにするのが最良ではないかも知れない。コミケットを、同人の変化に合わせて、大きく変えていく可能性を探すのは、悪い事じゃないよ」
「俺達は二十五年の間、円環を保ち続けてきた。そのあり方をもう一度考えるに、
十分な時間が流れたのは確かだ。新たな可能性を探ることも……必要なのかも知れ
ない」
「……二十五年の時が巡り、読み手やサークルの壁を越えて、多くの者が同人の
在り方を思索しようとしている。……だが、まだ誰も、確たる答えを得ては
いない。どれほど思索を巡らせばいいのかも解らない。今と違った同人の在り方を
見つけられるかどうかも解らない。それでも、お前達は考えたいというのか?」
「僕たちには、時間が必要なんだ。同人の在り方に思いを巡らせる、ね。あらゆる
参加者達の言葉を聞いて、今までのコミケットの姿を見極める。それでなお、新たな
同人の姿に可能性を見出すなら……」
「……」
「その時こそ、新たなコミケットを始めよう」