あなたの心がなごむとき〜第57章

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676なごみ
八月の書き込み一番乗り!

うちの兄貴は大層な動物好きで、特に猫への愛情は常軌を逸したものがある。

そんな兄貴に厨房時代、どちらが長く猫を触らずにいられるかという下らない遊びを提案したことがあった。

兄貴も乗り気で了承し、部屋にいた愛猫を前にいざスタート。

直前まで触っていたとはいえ、禁を課せられると途端に破りたくなるのが人間の性である。

そこで俺はトイレへ行くふりをして部屋を出て、兄貴が我慢できずに触るのを待つ作戦に出た

数秒、部屋の外で待ち、突然ドアを開けるとそこには……

猫に触れるか触れないかの位置で顔を止め、くんかくんかする兄の姿が。

触りたい、でも触れないというジレンマが、兄貴にその姿勢を取らせたらしい

「罠だったのか…」と呟く兄の顔は今でも忘れられない