40 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/04(金) 00:11:59 ID:tAWwmIlf0
お待たせしやした!
真空水A
時間はあっという間に過ぎていった。
麻緒さんとはクリムトのことや、その弟子のエゴン・シーレのこと、その他お互いの好きな美術について話してたと思う…
けど、どうも気持ちがフワフワしていたので、記憶が曖昧だ。
しばらく2人で見ていると、
「あ、麻緒…そろそろ行かなくちゃ…」
彼女はそう言うと、おもむろにメガネを外した。
(かけるのは本を読む時だけなのか…?)
41 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/04(金) 00:13:00 ID:tAWwmIlf0
気が付くと、もう夕方だった。
なんて時間が経つのが早いのだろう。
「あ、オレもバイトあるんだ…
しかし雨が止まないなぁ」
雨脚はさらに強くなっている。
傘はまぁ…誰かが図書館に置き去りにしたヤツを頂戴するか…
「麻緒さん、ここから家、近いの?」
「ん〜と、確かペッシェ通りっていう所だよぉ」
「あぁ、それなら通り道だよ。
よかったら一緒に行かない?」
…ふぅ、今度はどもらず言えた。
「うん、いいよぉ」
うほっ、なんとOK!
42 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/04(金) 00:14:07 ID:tAWwmIlf0
…どうも、今日は調子が良いらしい。
大体、ワラクシが女の子を誘うのも…悲しいかな、小学校以来だ。
さて…それでは、さも【自分の物であるかのような】素振りで、いつも隅っこで淋しそうにしてる傘君を…
・・・
なんで今日に限って無いんだよ。 こんなに雨が強いからか?…ツイてない。
「傘、無いのぉ?」
麻緒さんが聞いてきた。
「う゛…
うん、今日はいいやとか思っちゃって…」
バツが悪かったが、正直に答えるしかなかった。
「じゃ、麻緒の傘で一緒に帰ろっ」
…これが【怪我の功名】ってヤツなのか?もちろん傘はオレが持ちましたよ。
えぇ。
麻緒さんの傘とはいえ、こーいう時は男が持たないとね。
帰り道、麻緒さんがポツリと言った。「ここの雨って、何だか黒いよねぇ…」
「うん…昔はこうじゃなかったんだけどね」1年ほど前から、ここサルデ市だけ、泥のような黒い雨が降るようになった。
原因は市営工場の排ガスだ。
創作発表板でスレ立てて、そっちに投下してこい
このスレには削除要望出しとけよ
44 :
中尾芳広:2009/12/04(金) 12:05:47 ID:TeZXq85IO
え!?続きが普通に気になるんだが…俺だけか?
46 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/06(日) 01:10:12 ID:6Ro1K6K30
サルデ市。
取り立てて大きな産業もなく、みんなが慎ましい生活を送っていた。
しかし、ある鉱石の発見とともに、状況はすっかり変わり果ててしまう。
それは、石油や電気に次ぐ、新たなエネルギー源となり得る物資。
加工次第では、魅惑の輝きを秘めた宝石にもできる。
この鉱石の凄い所は…
燃料にすると異常なほどに燃費が良く、また加工も安易にできる点。
問題は、加工の際の廃棄物である。
これが工場の排気ガスの元であり、黒い雨の原因なのだ。
水質汚染、呼吸器系の病気、泥塗れの街…
農業関係も絶望的だった。
植物が育たなくなってしまったからだ。
唯一巨大な古い木々は、なんとか形を残しているが、これらが枯れるのも時間の問題だろう。
市は、鉱物の発見によって莫大な資金を得ると共に、住民も土地も犠牲にしてしまったのだ。
47 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/06(日) 01:10:53 ID:6Ro1K6K30
今日も
「工場を止めろ!!」
「Return The Clear Sky!!」
などといったプラカードの集団が、工場の門前に詰め寄っていた。
誰がどう見たって、原因はこの工場だった。
しかし、工場は閉鎖しない。
それどころか、市は政府と結託した。
政府は息のかかったの調査員を派遣し、
「黒い雨と排ガスとの、直接的関係は認められない」
…などと嘘っぱちな見解を出させたのだ。
目先の利益だけに目が眩んだ、政府と市。
現状を打破するには…
歩いたのは、20分ほどだろうか。
「あ、麻緒ん家、ここなんだぁ」
見ると、小ざっぱりとしているが、新しそうなアパートだった。
48 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/06(日) 01:11:40 ID:6Ro1K6K30
「1人暮らしなの?」
「うん、そうだよぉ。
あ…傘、貸してあげるよ」
え、それは…
「いや、なんか悪いよ」
「大丈夫だよ。その変わり、明日、必ず学校に持ってきてね」
「ん?
わかった。
でもなんで学校なの?」
「んふふー、明日になったらわかるよぉ」
ニコニコと答える麻緒。
「そっ、そっかぁ…
わかった!
ありがとう!
今日は楽しかったよ!」
「麻緒も楽しかったよ。
じゃあねぇ〜」
49 :
犬:2009/12/06(日) 12:16:30 ID:uwAG4rLVO
いちいち糞スレあげんなボケ
>>1 もらったレスがよめない?
削除依頼出して二度と糞スレ立てんな
レスもらえるのがうれしいタイプみたいだから、
スルーするのが一番のような気がしてきた
52 :
U^ェ^U:2009/12/06(日) 18:41:26 ID:uwAG4rLVO
スルーしてスレの進行が止まるならいいけど、頻繁にageて投下してるみたいだからなぁ…
何も書き込まずに落とせるなら、それが一番いいとは思うけど
53 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/07(月) 00:26:04 ID:R1FH6A1b0
‐翌日、ピオの通う学校にて。
教室では朝のホームルームの時間。
担任の先生が、連絡事項を話している。
「…えー、最後に。
今日からこのクラスに、留学生の子が来てくれることになった。
来たばかりでわからないことも多いだろうから、みんな仲良くしてやってくれ。
…じゃ、いいよ、入って」
ふーん留学生か。
どんな子なのかな…
…って、アレ!?
アレ!?!?
「はじめまして…春日麻緒です。こっちにはまだ友達があまりいないので、みなさん、気軽に声をかけてください。
よろしくお願いします」
…麻緒さんッッ!!!
昨日言われた意味が、やっとわかった。
‐真空水Bへ続く‐
54 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/07(月) 00:29:08 ID:R1FH6A1b0
続きです。真空水B
「んふふー、ビックリしたぁー?」 休憩時間に、さっそく麻緒さんがやって来た。
「うん…まさか留学生だったなんて」 …思ってもいなかった。
「おいおいピオ! こんな可愛い子と、いつの間に仲良くなってんだよ!?
“嫁”が見たら怒るぜー!!!」
ギャハハハハ!!!!教室中に響き渡る笑い声。 まったく、いいメーワクである。
このうるさいアホは、デガーロ・ワテツ。
「ちょ…待っ、嫁じゃねーっつってんだろ!? うるせーな…」
その、嫁というのは…
「ちょっと、ピオ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
アンタ、今日ノート貸して欲しいって言ってたじゃない! どこで油売ってんのよ!?!?!? まったく…っ!」
おいでなすった。 コイツである。
教室5つぐらいなら、余裕で響き渡るような大声。
まさしく公害レベルといえる、この声の主は…
ルーシー・ゲアプット。
オレの幼馴染み。…もとい、腐れ縁。
しっかし、このカミナリみたいな怒鳴り声、どうにかならないのかね…?
周りも、
「来た来た…(笑)」
って感じの反応するから、ホント恥ずかしいんだよな…
「まったく、アンタっていっつもいー加減なんだから!!!貸したモノはなかなか返さない!ノートはラクガキばっかりッッ!!!!…毎回必ず忘れ物するし!!もうちょっと…
‥
…ってアレ?
初めて見るけど、もしかして留学生の子?」
気付くの遅せーよ、しゃべくりマシンガン…
55 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/07(月) 00:30:44 ID:R1FH6A1b0
「あっ…初めまして… 春日麻緒です。…んーとぉ、ピオ君のお友達?」
「麻緒ちゃんっていうんだ。可愛い名前ね! …アタシはルーシーよ。
ルーシー・ゲアプット。よろしくね! ピオとは幼馴染み…ってトコかしら。
‥っていうか麻緒ちゃん、可愛いから気をつけなよ。
ここの男子は不潔なのばっかりだから、何かあったらアタシに言ってねー」
苦笑いする男子達。
口ごたえしようものなら、教科書が飛んで来る。
ヒドい時は机だ。
ルーシーは、女子のリーダー的存在。
強引で口調もキツいが、仲間意識が強く、女の子には凄く優しい。
…が、その分、男子には厳しい。
そのため女子の信頼は厚いが、彼女を苦手に思う男子が多いのも事実。
よーするに、
【ステレオタイプな気の強い学級委員長】
それが、ルーシーである。
「ところで、ピオの近くに女の子がいるなんて珍しいわね…
いつの間に知り合ったの?」
「うん、昨日、図書館で会ったんだよぉ」
「ふーん…昨日、ね…」
ヤ バ い
ピオは思った。
なぜなら…実は昨日、バイトに行く前にルーシーと勉強する予定だったのだ。
しかし麻緒との話に浮かれていたため、ルーシーに会う時間はなくなってしまった。
いつもなら何とかごまかせたピオだが、今日はそうはいかない。
こういう時、ルーシーはいつも以上にうるさくなるのは目に見えている。
56 :
”削除”依頼:2009/12/07(月) 12:59:25 ID:tFUVlV2uO
だれか削除依頼だしてきた?
出してないなら仕事終わってから出してこようて思うんだけど
出してもスルーされてる状態?
57 :
”削除”依頼:2009/12/07(月) 14:12:56 ID:kXvecEROO
今見てきたけど、まだ出されてないっぽい。
>>56頼みます
58 :
”削除”依頼:2009/12/07(月) 14:33:16 ID:tFUVlV2uO
>>57多分夜になると思います…
もし私よりはやく削除依頼出せる方いたらお願いしたい
59 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/08(火) 00:31:46 ID:TrXwEjJL0
…そう、ピオに女っ気がないのは、ルーシーのせいもあるのだ。
ルーシーがピオに対して、幼馴染みとして以上の感情を持っているのは、誰の目にも明らか。
しかし見ての通り、なかなか素直になれないでいた(…ある意味素直なのかもしれないが)
ピオはピオで、いつものらりくらり。
その真意は、イマイチ誰もわからなかった。
仲が悪いわけではないが、どうも進展しない2人。
そこへ登場したのが、“春日麻緒”という存在である。
「ほほーぅ、こいつぁ修羅場・ってヤツですかな!?」
ピオが言い訳を考えていたその時、デガーロが割って入ってきた。
空気を読めていないようで、実は彼なりに気を使っている。
気まずい空気を壊せるのは、デガーロくらいしかいないのだから…
続けてデガーロは、
「衝撃!
愛憎の三角関係・優柔不断な夫に怒り心頭の若妻!!
…昼ドラ並のドロドロですな〜〜!!!!」
とはやし立てた。
このデガーロという少年、根はいいヤツなのだが、すぐ調子に乗るのが悪い癖である…
「違うって!!!」
綺麗にハモる、ピオとルーシー。
《こーいう時は、やたらと息が合うんだよな…》
ピオは少々うんざりした。
そして同時に、ルーシーは得意の教科書ブーメラン!
デガーロの顔面にクリーンヒット!!
…あーあ、鼻血出ちゃってるよオイ…
キーンコーンカーンコーン…
チャイムと同時に、ドタバタ喜劇(茶番)は一旦の幕引となった。
‐真空水Cに続く‐
60 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/08(火) 00:33:16 ID:TrXwEjJL0
真空水C
麻緒さんがクラスのみんなと馴染むのに、そんなに時間はかからなかった。
特に…男子人気がハンパない。
みんな、大っぴらには口にしないけどね。
麻緒さんがサルデ市に来てから、変わったことが2つ。
1つは、あの黒い雨が止まなくなってしまった。
いい加減ヤバいと思ったのか…
永らく何もしてこなかったサルデ市が、やっと重い腰を上げるらし。
オレは遅過ぎるぐらいだと思うけどね…
しかし、具体的な案が出たわけでもなく、排気ガスを少し減らしたに過ぎなかった。
これでは、市民の怒りは増すばかり。
デモ隊も報道番組も、すっかりヒートアップしてる。
変わったことのもう1つは…
ルーシーだ。
以前よりオレに対する態度が、明らかにキツくなった。
しかし、麻緒さんがいると、また違う。
最近、オレと麻緒さん、2人でいることも多くなったんだけど…。
そんな時、ルーシーはよく絡んでくる。
この前だって、図書室で麻緒さんにパソコンを教えていたら、なぜかルーシーがやって来た。
それから昨日、美術室で作品を見ている時もだ。
普段なら図書室も美術室も、わざわざ自分からは行かないのに…
どちらも大して用がない割に、妙に話を続けたがってた。
61 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/08(火) 00:34:43 ID:TrXwEjJL0
…まぁ、別に3人でいたってよかったんだ。
でも…なんかつい、ルーシーには素っ気無い態度を取ってしまった。
そうするとルーシーは、少し寂しそうな顔で去って行く。
いつもなら【何よその態度は!!!】とか言いそうなモンなんだけどなぁ。
こんな時、オレはどうにも釈然としない気持ちになるんだよね。
とはいえ、ルーシーと麻緒さんの間に何か問題が起きたわけではないし、学校単位で見れば、大して変わらぬ毎日だった。
黒い雨関連とは打って変わって、こちらは“冷戦状態”みたいなものだったんだ。
しかし、その冷戦状態も、長くは続かなかった‐
ある日の昼休み。
麻緒は、女友達と次の授業に向かっていた。
すると、遠くの方から、ピアノの音が聞こえてくる。
なんだか生真面目な演奏。
しかし、練習の積み重ねがよくわかる。
「あれ…誰か弾いてるのかなぁ?」
「あぁ、ルーシーちゃんだよ多分。
第3音楽室は誰も使わないから、時々ルーシーちゃんが弾いてるんだよ」
友人が答える。
「ふぅん…凄い綺麗だねぇー!
…えっと、第3音楽室って、あそこを右に曲がってずっと奥だっけ?」
麻緒は、「いい」と思えば素直にいいと言う性格だ。
そこが彼女の、魅力の1つでもある。
「うん、そうだけど」
答えた友人も、麻緒の意見には同意していた。
62 :
”削除”依頼:2009/12/08(火) 07:50:16 ID:kgekQFigO
こんなどこにでもあるような話、サイト作ってやりな。ここでは誰も評価しないよ
63 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/09(水) 03:48:24 ID:eSS06erK0
「麻緒、ちょっと行ってくるね」
「え、ルーシーちゃんに会うの!?
…気まずくない?」
心配する友人。
冷戦状態ではありつつも、麻緒・ピオ・ルーシーの三角関係?は、色々と噂が飛び交っていた。
「大丈夫だよぉー」
言うや否や、麻緒は音楽室へと向かって行く。
「麻緒ちゃん、授業はー?」
後ろから追いかける、友人の声。
「間に合わないかもー」
チラッと振り返り、麻緒は答えた。
麻緒はかなりのマイペースである。
そして、1度言い出したら聞かなくなるのを、仲の良い友人達は知っていた。
大人しそうに見えて、けっこう頑固な所があるのだ。
廊下から聴こえたのは、
【Es Durのピアノ線】
繊細な指使いから一変、ラストは崩壊を表すかのような表現に変わる。
美しさと狂気の共存が際立つ楽曲だ。
そして、
【Silent Jealousy】
の前奏へと繋がっていった。
音楽室に入っても、ルーシーは気付かず演奏を続けた。
麻緒も声をかけず、演奏に聴き入る。
「ピアノ、上手いんだねぇー」
演奏が終わると、麻緒は声を掛けた。
「!!麻緒ちゃん…?」
ルーシーは驚いた。
ここに人が来るなんて、滅多になかったからだ。
まぁ…聴かれていようが、気にする性格でもないのだが・・・
64 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/09(水) 03:49:07 ID:eSS06erK0
「今の曲、Xの曲でしょ?」
「知ってるの…?」
この曲を知っている人間は、周りにはいなかった。自然と、嬉しさが込み上げる。
「うん…“Jealousy”だっけ?それ入ってるアルバム、持ってるんだぁ」
「へぇ、ここらじゃ珍しいよ。X聴く人。麻緒ちゃんは、楽器弾いたりするの?」
「うん…ベースなら弾くよぉ。でも、あんまり上手くないんだけどねぇー」
「へぇ〜、なんか意外。Xで弾けるのある?ベースとピアノのパートがあるヤツ」
「んーと…、【Endless Rain】なら弾けるかなぁ」
「うん、いいね。じゃ、あそこにベースあるから…」
「合わせてみようよ」
ひょんなことから、セッションすることになった、麻緒とルーシー。
ちなみに麻緒のベースは、メチャクチャ上手い…といった類のものではなかった。
しかし、しっかりサウンドの芯を支えようとする、心地よいベースだった。
正直ルーシーは、ピオのこともあって、麻緒に対しては複雑な気持ちを抱いていた。
だからといって、あからさまな無視や嫌がらせをするほど、彼女は陰湿な人間ではない。
だからこその、冷戦状態だったのだ。この日以来、ルーシーと麻緒の仲は近付いていった。
一緒にいると…
ルーシーは麻緒という人間の、“嫌味のない可愛さ”が、痛いほどわかった。
彼女ハ自分ニ無イモノヲタクサン持ッテイル
彼女の魅力を知れば知るほど、ルーシーの嫉妬と劣等感は増幅していったのである。
音楽室での一件により、冷戦は終結した。
一見穏やかなようでいて、内には複雑で激しい感情を交えながら。
そう…
それは新たな事件の始まりでしかなかったのだ。
‐真空水Dに続く‐
65 :
回数ノビネー:2009/12/11(金) 21:47:44 ID:KJJzpAwrO
エックスて
66 :
ランパンありがとぅんー:2009/12/16(水) 16:08:43 ID:fN5ceFG8O
期待
67 :
中尾芳広:2009/12/21(月) 00:47:35 ID:zobvUY8VO
なによりで大丈夫
68 :
太陽:2009/12/26(土) 20:17:48 ID:aeSa7lFSO
調べる
69 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/29(火) 21:39:13 ID:AokNJRsx0
めりくり
70 :
大作:2009/12/30(水) 09:24:44 ID:38xrbQ3DO
池田大作スレかと思ったら違った
71 :
俺も:2010/01/03(日) 02:23:03 ID:nSpd82v90
72 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 02:57:08 ID:9ilNjgH50
お待たせしました!!!続きです。
真空水D
《ニュース速報》
‐本日、サルデ市は本国政府の援助を得、市を襲っている“黒い雨”の浄化に乗り出すことを発表しました。
計画の決行は明日です。
関係者の話によると‐
今日は、麻緒さんの留学期間が終わる日。
涙のフェアウェル・パーティー(お別れ会)
みんなが別れを惜しんだ。
ルーシーが1番寂しそうにしてたのは、なんか意外だったけど。
帰り道。
麻緒さんと一緒に帰るのも、これが最後…
せめて今日ぐらい、綺麗な空の下で一緒にいたかったのに。
「ねぇ、ピオ君」
いつもの別れる地点に差し掛かると、麻緒さんは立ち止まって話し出した。
「今まで…ありがとねぇ。
麻緒、ピオ君みたいなお友達…初めてだもんっ」
「え…あ…
オレこそ、ありがとう…
麻緒さんに会えてよかったよ」
【“お友達”か…】
友達以上になれたらいいのに。
ちょっと、オレは切ない気持ちになった。
「ピオ君…」
73 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 02:57:54 ID:9ilNjgH50
「麻緒ね、明日死ぬかもしれない」
「え…!?」
冗談…ではなさそうだった。
麻緒さんの、あんなに不幸を背負った表情…そして口調。
初めてだったもの。
「どういうこと?」
そう聞き返すのが精一杯だった。
「“黒い雨”の浄化計画、知ってるでしょー?
麻緒がサルデ市に来たのはね、そのためなんだぁ…」
口調はいつもの感じに戻っていた。
だけど無理しているのがわかって、逆にオレには痛かった。
「一体、どうやって…?」
見当がつかない。
「空に行くの」
「空??」
麻緒さんは、何ともなしに言う。
空とだけ言われても、オレには今いち想像ができない。
「…ピオ君、傘を外して」
ピオはためらった。
黒い雨を浴びると、ヘドロのようなものが身体に付着する。
そして肺を病み、人体を襲う息苦しさと脱力感。
当然、ほうっておけば死に至る。
日増しに増えている入院患者で、病院がパンク寸前になるほど、黒い雨の影響力は大きかったのだ。
まぁ…洗浄するのに大変な労力を要するが、一瞬で死ぬわけではない。
そう思ってピオは麻緒に従い、傘を外した。
ザァアアァ…
ボタ… ベチョッ…
74 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 02:59:15 ID:9ilNjgH50
だんだん息が苦しくなる…
呼吸音が変わっていく。
「ゴメンね…苦しいよね。
こうしないと、麻緒の力は見せられないの」
本当に申し訳なさそうに言う麻緒さん。
「ピオ君、傘持っててねぇ」
近付いてきた麻緒さんは、持っていた傘を渡し、オレに両手をかざした。
状態としては…
正面で向き合う、相合傘…と言ったら、わかるだろうか。
かざした両手からは水色の光が溢れだし、オレを包み込んだ。
まるで、水のような感触。
優しい水の感触。
どんどん苦しみが消えて行く…!
ヘドロまで無くなっていく…
一体、これは…?
75 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 21:09:41 ID:U40L7Tl80
「なぜか昔から、こういうことができるんだよねぇ」
再びそれぞれ傘を持つと、麻緒さんは話し出した。
「…その力を、まさかあの空に?」
「うん、そうだよぉ。“revi”って、聞いたことあるでしょぉ?」
《revi(リヴィ)》
人間の生命エネルギーを使い、地球環境を治癒する装置。
まさかそんなものが、本当にあったなんて…
「でも、麻緒さん1人で…?」
「うん、麻緒しかできないんだって…
それに、空に行けるタイプだと、あまり大きいのは持ってこれないみたいなのぉ」
だからって…
「麻緒さん、そのreviって、何人乗れるの?」
「えっ…
えっとぉ‥2、3人ぐらいなら乗れると思うよぉ」
「オレも行くよ」
「麻緒さんを1人で行かせるわけにはいかないからね。
それに、1人より2人なら、生き延びる確率は高まるだろ?」
「でも、ピオ君…」
麻緒さんは、少し困惑した様子だった。
前から思っていたが、この子は表情がよく変わる。
それがたまらなく愛しい。
76 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 21:11:45 ID:U40L7Tl80
「大丈夫だよ。
オレ、こう見えても、風邪引いたことないんだ。
生命エネルギーとかっていうのも、けっこーあるはずさ」
「アハッ、風邪引かないのって関係あるかなぁー?」
また変わる。今度は“ニパッ”という言葉が似合う表情。
「ハハハ…わかんね」
麻緒さんが笑ってくれたから、少し安心した。
集合時間と場所を決め、オレらは別れた。
決行は明日。
正直、混乱してる。
麻緒さんの不思議な力に、明日のこと。
そして、その子と共に、命を懸ける自分…
帰ってからしばらくすると、家にルーシーが来た。
なんだか心配そうな顔をしている。
「ピオ、明日…一緒に行くの?」
「何のことだよ」
「誤魔化さないでよ!
…アタシ、見ちゃったのよ!
ピオと麻緒ちゃんが話してるの…
何もピオまで命を懸けることないじゃない!!バカじゃないの!?」
なんで知ってるんだ?
まさか…
77 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 21:12:52 ID:U40L7Tl80
「うるせーな…
もう決めたんだよっ!」
何を言われようと、決意を変えるつもりはなかった。
「お願い…行かないでよ!
あんたが行ったって役に立つわけないじゃん‥あたしより体力ないくせにさ!
…もう1人必要なら、私が行くよ!!!
それで大丈夫でしょ!?」
「うるせぇぇえええ!!!!!!!!!!!」
今までにない叫び声。
さすがにルーシーも怯んでた。
【お前を行かすわけにはいかねーだろーがよ…】
脳裏に浮かんだ感情。
でも、口から出たのは…
「そうやっていっつも、オレより優位に立ってるつもりなのかよ?
変に世話焼きやがって…
ハッキリ言ってうぜーんだよ!
なんでそんなに干渉する?
あーあ、麻緒さんなら、怒鳴り散らしたりしないのになぁ…」
「!」
泣いていた。ルーシーが泣いていたんだ。こんなつもりじゃなかったのに
翌日。ルーシーとはそれ以降顔を合わせていない。
最後に見たのは、泣きながら走り去る後ろ姿だ。ルーシーが泣くとこなんて、初めて見た。
幼馴染みだから何でも知ってるつもりだったけど…
結局オレは、ルーシーのことを何も知らないのかもしれない。
自分が惨めだった。
‐真空水E《完結》に続く
78 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/10(日) 21:41:52 ID:b05AxcFI0
真空水E《完結》
約束の場所。
麻緒さんは既にいた。
なるほど、飛行型reviは、あまり大きいものではなかった。
壺のような形に、3人ぐらい入れるスペース。
複雑な機械が搭載されていて、いかにも…な不気味なデザイン。
目標は、他の雲とは高度の違う、黒い雲。
工場の排気ガスが集まったせいでできた、黒い雨を降らす雲だ。
その付近で装置を発動させるらしい。
エンジンをかけると、reviはゆっくりと上昇した。
黒い雲に近付くほど、空の汚染が増していく気がした。
目標地点。
“作戦開始”のブザーが鳴る。
いよいよ、装置の発動か…
「麻緒さん…そろそろだって。
発動の準備をしよう」
覚悟を決めたつもりだったが、さすがに緊張する。
膝がおぼつかない。
「いらないよ」
「…え、何が?」
「ピオ君の命が削られるなんて…イヤ。
こんな機械なんか無くたって、大丈夫だよ。
でも、その代わり…」
「麻緒と一緒に、祈って」
そう言うと、麻緒さんは両手をいっぱいに広げた。
あの、水色の光が溢れ出す。
どんどん…どんどん大きくなる。
そして、両手をまっすぐに伸ばし、前に突き出した。
79 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/10(日) 21:43:03 ID:b05AxcFI0
「今だよ、ピオ君。
麻緒に、両手を重ねてっ…」
「そして…
願いを… 込めて!」
ホントに大丈夫なのか?…なんて、問いただす暇はなかった。
言われるがまま、オレは麻緒さんに両手を重ね、祈った。
あの黒い雲が消えるように。
空が元通りになるように。
願った。
光はさらに大きくなり、黒雲を包み込む水流へと変わる。
その光の水が流れるたび…黒い雲は浄化されていった。
80 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/10(日) 21:43:52 ID:b05AxcFI0
少しずつ…
少しずつ。
なんて凄い…!
黒雲が全て消え去ると、白く巨大な何かが姿を現した。
首長竜に似た、壮大なその姿。
「麻緒。
そしてピオー。
あの雨から救ってくれて、ありがとう…
私は何千年も昔から、この地を守ってきた土地神だ」
まるで脳髄に響き渡るような、威厳のある…それでいて非常に穏やかな、不思議な声だった。
「どうして土地神様が、こんな所に?
黒い雨は…神の怒りなのですか?」
それは、前から思っていたこと。
黒い雨が人間への罰というなら、合点がいくからだ。
「いや…それは違う。
人類への罰というのなら、木々を枯れさせたりなんかしない。
…私は空の汚染を防ぐため、ここにいたのだ。
しかし…どうも私の力は、すっかり弱まってしまってな。
工場の煙を全て吸収することはできなかった。
その溢れた汚染物質が、黒い雨の正体なのだよ…」
81 :
あたし大作:2010/01/24(日) 01:43:00 ID:mWSTg0jD0
アタシ
大作
歳?
81
信者?
まぁ
当たり前に
いる
てか
いない訳ないじゃん
みたいな
経典は
法華経
てか
アタシが南妙法蓮華経
唱えてあげてる
みたいな
82 :
オク:2010/03/23(火) 19:25:14 ID:Sfuiiq390
面白かったから上げ
>>360 >>360 自ジャンルにもいるいる
話のキーを握ってたり重要人物だったり。
でもメアリ臭皆無。
オリキャラ特有のわざとらしさもない
あれどうしてなんだろ
吟 [sage] :2010/07/04(日) 09:27:38 ID:G7pxExjl0
今日の朝にお問い合わせの回答が新たに増えた
一部持ってきただけだがこいつやべえ…
Q:DLした素材ファイルをアップすればよいのでは?
下書きに利用した後、もうこの線画を利用することはないと思い
削除してしまいました。
Q:酷似しているという商業漫画家の方の絵を並べて置いてください。
今回の問題は、チラシ絵が別の著作者の方の絵に酷似していた事実であり、
どの絵にどれくらい似ていたかということは関係ないと思います。
また、この問題が発覚してからいただいたたくさんのメールの内容を鑑みますと、
不必要に画像を転載・リンクしたことによって、私の拙い説明文を誤解した方が
誤った情報を商業漫画家の方や出版社等に送付する可能性が危惧されました。
これ以上のご迷惑を今より多くの方におかけしたくありません。
85 :
犬:2011/04/08(金) 13:16:06.35 ID:iBMLhnrf0
このスレが未だに残ってるなんて
86 :
い:2011/06/03(金) 06:24:03.63 ID:DvmxGaN3O
あ
87 :
う:2011/06/03(金) 16:31:44.71 ID:GJDPNJ6L0
お、お〜〜。
88 :
え:2011/08/24(水) 11:10:45.20 ID:LlKI/W9v0
ええ。
89 :
捨 ◆qWhAHZTuJ2 :
恋した相手が幽霊でしたオチの作品
夏になると読みきり漫画とかパラレルネタで一次二次問わずに
やたら増えるけどすごいがっかりする