1 :
クマ髭雄汁団子:
そのうち描こうと思ってる、アクション大作があります。
すげー美画面と濃い内容を目指してるんで、じっくり熟成させていこうと思ってます。
タイトルも仮だし(笑)
では、予告編をライトノベル風にどうぞ!(なんという押し付け)
◎Blue Heaven‐予告編‐◎
「クソッ、まさかこうなるとはな…」
右腕は痛みを通り越し、感覚が全くない。身体は高熱を帯び、呼吸すらまともにできなくなっていた。
彼の名はブレイズ。殺し屋。
この辺りで、彼の名を知らぬ者はいない。
そんな彼が、なぜ重傷を負っているのか?
答えは“裏切り”だ。
この世界じゃ裏切りなんて、日常茶飯事。
しかし、まさかアイツに裏切られるとは―
なにが
「オレも安泰したいんだよ」
だ、ふざけんなよゴミヤロー!
叫ぶ気力なんかなかったが、心の中で、ブレイズは叫んだ
。この日は“元”仲間のシリカ・ストラムと共に、政府の要人デッドヘッドを暗殺するはずだった。
2 :
クマ髭雄汁団子:2009/11/25(水) 18:24:48 ID:9HjaQ6uT0
しかし、向かった先で待っていたのは、シリカの武器“サンドラ”だった。
サンドラとは、銃弾の形をした生物兵器。
銃弾に特殊なクラゲが入っており、これを拳銃で撃つ。
このクラゲは血を媒介して増殖し、神経を中心に身体を蝕んでいく。
しかも特効薬がまだ開発されていないため、撃たれた人間は100%死んでしまう。
徐々に徐々に、地獄の苦しみを味わいながら―
ドサッ…
路地裏の壁に、倒れるように座り込んだブレイズ。
いつ、奴等が追い付くかはわからない。
しかし、彼にはもう、歩く力すら残っていなかった―
「ハハハ…こりゃ死ぬな」
人間、本当にダメだなと思った時は、笑ってしまうものなのかもしれない。
希望も救いもないのに、悲しんでいたんじゃ、浮かばれないからだろうか。
何度も修羅場を潜り抜けてきたブレイズだったが、ここまでの境地はなかった。
自分の死期を悟ってしまうと、もはやそれを受け入れる他ない。
抗う術すら、残されていないのだから。
「まぁ、こんな商売じゃ、ロクな死に方しねーやな…」
ブレイズが呟いたその時
「大丈夫〜?」
目の前に、見知らぬ女の子が立っていた。
「じゃないみたいですねぇ〜」
…見りゃわかるだろ。
それにしても危機感のない声だ。
青みのかかった、艶めかしい黒髪に、深海に光が差しているような、透明感のある群青の瞳。
“海を越えてくる者(ウルトラマリン)”という人種だ。
3 :
クマ髭雄汁団子:2009/11/25(水) 18:25:48 ID:9HjaQ6uT0
年は…18歳ぐらいか。
ショートカットに、触角のような細長いモミアゲが2本。
そして…胸がデカい
なぜだろう、死ぬ間際だというのに、どーでもいいことを考えてしまう。
「麻緒が治そっかぁ?」
麻緒と名乗る女の子が聞いてきた。
「…ンなことできんのかよ」
治せるモンなら、治してみやがれ…
意識が朦朧とするブレイズは、もはやヤケクソになっていた。
「じゃあ、傷口が見えるように腕を出して」
ブレイズは言われるままに、もう片方の腕を使い、傷口を見せた。
「じゃ、ちょっとそのままにしてて…」
そう言ってかざした麻緒の両手に、水色の光ができた。
それが腕に触れると―
「なっ…!」
やわらかいまるで温かい海に入った時のような、水のやわらかさがあった。
なんて気持ちがいいんだろう…ブレイズは思った。
そしてその光に触れていると、さっきまでの苦しみがどんどん抜けていくのがわかった。
みるみるうちに、痛みはすっかり消え去った。
右腕も…動く!
…信じられないッッ!!!!
「これは… 夢…なのか?」
「夢じゃないよぉ」
麻緒が答える。
4 :
クマ髭雄汁団子:2009/11/25(水) 18:26:37 ID:9HjaQ6uT0
Blue Heaven(ブルー・ヘヴン)といえば、天空にあるという、水の都。
そこは差別も貧富もなく、誰もが平等に暮らせる天国だというが…
しっかし、そんなものは単なる都市伝説だと言われていた。
「…なんでそんな所に行きたいんだ?」
意外なお願いに、ブレイズはちょっとたじろいだ。
「麻緒ね、“マスターピース”の1人なんだ」
沈む麻緒の表情。
マスターピース。
12人の、人柱のことだ。
政府は環境破壊が進んだ地球を治癒させるため、人体に宿る生命エネルギーを動力源とした、“revi(リヴィ)”という装置を発表した。
表向きは人権などの問題から、使用禁止となった。
しかし実際には、犯罪者や政府にとって都合の悪い人間などを、秘密裏で動力源としていた。
そしてマスターピースとは、それとは別の…
いわゆる
【選ばれし人間】
である。
いや、
【選ばれし人柱】
…か。
さっきの麻緒の力を見れば、それもうなずける。
あぁいう超能力を持った人間は、常人とは比べ物にならない程のエネルギーを持っている・ってのが、科学者達の見解だからだ。
「実はね、マスターピースは、ただの人柱じゃないんだ…」
それだけでも充分凄い話だが。
とりあえずブレイズは、黙って聞いていた。
「政府は、戦争兵器を作りたいみたいなの」
あーなるほど。そういうことか。
5 :
田口:2009/11/25(水) 18:35:54 ID:MzwTxIhZO
んはあ
6 :
クマ髭雄汁団子:2009/11/25(水) 18:36:36 ID:9HjaQ6uT0
「じゃ、アレか。お前は天使か? …オレ死ぬから、お迎えに来ました…みたいな」
「それも違うって〜」
未だに非現実的な出来事を信じられない彼に、麻緒はのんびりとした微笑みで答えた。
「ねぇ…お願いがあるんだけど…」
ブレイズをじっと見つめながら、麻緒が言った。
「麻緒を、ブルー・へヴンに連れてって」
「はぁ?」
ブレイズは驚いた。
マスターピースを動力源とした、戦争兵器。
それは想像もつかないような代物なんだろう。
それを使わせないために、この子は国から逃げ出したいわけか…
んで、守ってくれる人が欲しい・ってか。
マンガみてーな話だな…
「そんで、ブルー・ヘヴンってのは、ホントにあんのかよ?」
ブレイズが訪ねた。
「うん、あるよっ。絶対あるもんっ」
なんだかこの子が言うと、ホントにあるような気がしてきたな…ブレイズは思った。
失うはずだったこの命。
命の恩人の頼みなら、断るわけにはいかない。
それにブレイズ自身も、ここから逃げ出さなければいけない。
何より、この子、メチャクチャ可愛いッッ!!!!
「行くか!ブルー・ヘヴンに!!」
「うんっ!」
麻緒の表情が、パッと明るくなった。
‐予告編、終わり‐
7 :
池田:2009/11/25(水) 18:36:49 ID:tS+OUxVD0
AHO
9 :
大作:2009/11/25(水) 18:53:11 ID:jOGFCzns0
そうかそうか
10 :
た:2009/11/25(水) 20:25:01 ID:a7rGVmMQO
池田?
11 :
池田:2009/11/25(水) 20:48:57 ID:cpcTyMPL0
犬作先生によるアタシ彼女が始まるのかとwktkして開いたらこれかよ
銀鈴がょぅι"ょになってフカーツするSSとかplz!!
13 :
花びら:2009/11/26(木) 12:24:14 ID:ksYDTy++O
感想が欲しいのだな
14 :
池田:2009/11/26(木) 13:21:52 ID:n3d7h54k0
池田先生、何やってんすかwww
そうかそうか
15 :
池田:2009/11/26(木) 19:41:03 ID:nwCLoUUrO
なんだよ
大作先生総受けとかの同人スレか勇気あるな
とwktkしてひらいたのに
16 :
犬作:2009/11/26(木) 22:25:02 ID:6ewBPmvaO
あれ?
犬作じゃなかったw
犬作は池田
大作は草間
18 :
ワクワク:2009/11/27(金) 03:45:56 ID:Loff4QHhO
素晴らしい作品だ。続き読みたいです。
19 :
ん?:2009/11/27(金) 05:01:57 ID:EH53Vdq4O
マオたんがお願いする所とか変に前後してて読み辛いお
(´・ω・)
設定説明したいからってカタカナの名称ばっか一気に出て来るのもなぁ…
30点
20 :
池田:2009/11/27(金) 09:59:55 ID:dgHzU63EO
犬作先生だと思ったこのwktkをどうしてくれる
それはともかく、かなりの邪気眼使いのようだな…あらすじ冒頭の「クソッ」だけで
痛いくらい伝わってくるぜ…
まだ影羅たちには遠く及ばないようだが…フッ、まあお互い頑張ろうぜ…
この魑魅魍魎うずまく同人ーアキハバラノ堕天使ー板で…
こうですか?わ(ry
21 :
サンドラ:2009/11/28(土) 17:52:11 ID:1N+Fji6OO
誰かマオのAA作って
22 :
ランデルマ:2009/11/29(日) 01:59:25 ID:zZ08LtT9O
マオはかわいい?
23 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/01(火) 02:37:27 ID:wiBNrZLy0
短編小説を書いてみたいと思います。麻緒とブレイズが出会う前の話。
つたない文章ですが、みなさんよろしくお願いします(笑)では、「真空水」どうぞ!
降り注ぐ黒い雨。
地球はすっかり疲れ切った
「ハァ…なんかヤな予感がしたんだよな…」
外は突然の雨。まだ小降りだが、確実に大きくなりそうだ。
ピオは自分の不用意さを少し後悔した。
朝、雲の様子を見れば、その日の天気は大体わかる。今日だって、予測は当たっていた。
にもかかわらず、「ま、メンドいからいーや」と傘を持たなかった。
これでは予測が外れたのと同じようなものだ
24 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/01(火) 02:38:41 ID:wiBNrZLy0
ピオー・アルラーティ。学生。
みんなからは“ピオ”と呼ばれる。
絵画と自然科学が好きな少年。
クリッとした目に、少しクセッ毛の茶髪。
身長も165cmと小柄で、男らしさよりも、可愛らしさが目立つ。
この日も大好きなクリムトの画集を見ようと、図書館に来たところであった。
まさかそれが、あんな出来事へのプロローグになるなんて―
25 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/01(火) 02:39:29 ID:wiBNrZLy0
「あっ…ごめんなさい」 女の子の声。
「あぁいえ…こちらこそすみません…」
咄嗟にピオはそう答えると、伸ばした手を引っ込めた。いつものようにクリムトを見ようとしたら、2つの手が重なった。
どうやら、向こうもこの画集を見ようとしたらしい。手が触れ合ってから気付くなんて…
お互い、目的の物しか目に入っていなかったというわけだ。人のことは言えないが、相手もなかなか不注意だな…
ピオがそう思いながら、相手に目をやると…
彼の全身を、電撃が駆け抜けた。
26 :
アリスタ:2009/12/01(火) 02:40:52 ID:pI2bMFZAO
破格
27 :
破格:2009/12/01(火) 02:42:36 ID:pI2bMFZAO
アリスタ
28 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/01(火) 11:16:49 ID:wiBNrZLy0
その少女は、自分と同じくらいの年齢に見えた。
青みのかかった艶めかしい黒髪。
そして、海の深さを感じさせる群青の瞳…
初めて見た。これが噂に聞く
“海を越えて来た者(ウルトラマリン)”
という人種なのか… しかも物凄く可愛い。ショートカットに、優しげな顔立ち。きっと、この子を見て気持ちが穏やかにならない人間なんていないだろう。
(…いたとしたら、よっぽど荒んでる証拠だ)少しずり落ちたメガネも、嫌味なく可愛さを演出している。
ピオは、さしもの“図書館の天使”に会ってしまったような気持ちになった。
29 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/01(火) 11:17:40 ID:wiBNrZLy0
「ビビっとくる」って、きっとこういう感覚なんだな…
ついついその子に見惚れていると、「あなたもクリムト好きなの?」
図書館の天使が喋り出した。
…見た目にピッタリの、可愛らしくのんびりした声だ。その子についつい気を取られてしまっていたため、ピオの第一声は、なんとも恥ずかしいものになってしまった。
「へぁ!? …ハイっ! 凄く好きですス…!!」
我ながら、なんつー返事だ。
裏返ったな声、しかも噛んだ…
30 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/01(火) 11:18:27 ID:wiBNrZLy0
しかし相手は気にする様子もなく(さすが天使!)、
「あー、おんなじだね。
麻緒も好きなのぉ…
次、いいかなぁ?」
と聞いて来た。名前はマオというのか。
次どころか、こっちが先を譲ったって構わない。
いやいやむしろ…
「あぁア、あのー…
それもいいんですけど…
よ、よかったら…
一緒に見ませんか!?」
31 :
犬作:2009/12/01(火) 14:23:06 ID:UVRWdNCHO
なんでこのスレ、スレストかからないんだろう
32 :
犬作:2009/12/01(火) 17:05:53 ID:vFU1kQn5O
削除人仕事しろ
ジャイアントロボはいつになったら出てくるのだろうか?
34 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/02(水) 00:11:49 ID:FmUmn+p10
【一緒に見ませんか】
…何言ってんだオレーーーーーーーー!!!!!!!
ピオは自分で自分にビックリした。オレって、こんなに積極的だったっけ…?
しかも、「うん、いいよぉー」天使は僕に微笑んだのだ。
‐真空水Aに続く
35 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/02(水) 00:12:38 ID:FmUmn+p10
真空水Aも近いうち書き込むぜ!みんな期待しといてやあ
36 :
駄作:2009/12/02(水) 02:32:50 ID:AlEQxs3/O
削除人仕事しろよ…
スレストか創発に移動したらいいのに
37 :
怠惰:2009/12/02(水) 04:17:07 ID:DwDpONS6O
同人版友やめスレとかは悪い意味ですぐ対応してるくせに
なんでこのスレ削除しないの?見てないの?アホなの?
自分もまさかの池田?かと思って開いたらこれだよ
38 :
いぬ:2009/12/02(水) 14:46:50 ID:3Ik1cUZhO
池田先生受けを期待したのに敗北
39 :
>>1:2009/12/03(木) 09:49:13 ID:qC6njpLY0
VIPでやれ
40 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/04(金) 00:11:59 ID:tAWwmIlf0
お待たせしやした!
真空水A
時間はあっという間に過ぎていった。
麻緒さんとはクリムトのことや、その弟子のエゴン・シーレのこと、その他お互いの好きな美術について話してたと思う…
けど、どうも気持ちがフワフワしていたので、記憶が曖昧だ。
しばらく2人で見ていると、
「あ、麻緒…そろそろ行かなくちゃ…」
彼女はそう言うと、おもむろにメガネを外した。
(かけるのは本を読む時だけなのか…?)
41 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/04(金) 00:13:00 ID:tAWwmIlf0
気が付くと、もう夕方だった。
なんて時間が経つのが早いのだろう。
「あ、オレもバイトあるんだ…
しかし雨が止まないなぁ」
雨脚はさらに強くなっている。
傘はまぁ…誰かが図書館に置き去りにしたヤツを頂戴するか…
「麻緒さん、ここから家、近いの?」
「ん〜と、確かペッシェ通りっていう所だよぉ」
「あぁ、それなら通り道だよ。
よかったら一緒に行かない?」
…ふぅ、今度はどもらず言えた。
「うん、いいよぉ」
うほっ、なんとOK!
42 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/04(金) 00:14:07 ID:tAWwmIlf0
…どうも、今日は調子が良いらしい。
大体、ワラクシが女の子を誘うのも…悲しいかな、小学校以来だ。
さて…それでは、さも【自分の物であるかのような】素振りで、いつも隅っこで淋しそうにしてる傘君を…
・・・
なんで今日に限って無いんだよ。 こんなに雨が強いからか?…ツイてない。
「傘、無いのぉ?」
麻緒さんが聞いてきた。
「う゛…
うん、今日はいいやとか思っちゃって…」
バツが悪かったが、正直に答えるしかなかった。
「じゃ、麻緒の傘で一緒に帰ろっ」
…これが【怪我の功名】ってヤツなのか?もちろん傘はオレが持ちましたよ。
えぇ。
麻緒さんの傘とはいえ、こーいう時は男が持たないとね。
帰り道、麻緒さんがポツリと言った。「ここの雨って、何だか黒いよねぇ…」
「うん…昔はこうじゃなかったんだけどね」1年ほど前から、ここサルデ市だけ、泥のような黒い雨が降るようになった。
原因は市営工場の排ガスだ。
創作発表板でスレ立てて、そっちに投下してこい
このスレには削除要望出しとけよ
44 :
中尾芳広:2009/12/04(金) 12:05:47 ID:TeZXq85IO
え!?続きが普通に気になるんだが…俺だけか?
46 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/06(日) 01:10:12 ID:6Ro1K6K30
サルデ市。
取り立てて大きな産業もなく、みんなが慎ましい生活を送っていた。
しかし、ある鉱石の発見とともに、状況はすっかり変わり果ててしまう。
それは、石油や電気に次ぐ、新たなエネルギー源となり得る物資。
加工次第では、魅惑の輝きを秘めた宝石にもできる。
この鉱石の凄い所は…
燃料にすると異常なほどに燃費が良く、また加工も安易にできる点。
問題は、加工の際の廃棄物である。
これが工場の排気ガスの元であり、黒い雨の原因なのだ。
水質汚染、呼吸器系の病気、泥塗れの街…
農業関係も絶望的だった。
植物が育たなくなってしまったからだ。
唯一巨大な古い木々は、なんとか形を残しているが、これらが枯れるのも時間の問題だろう。
市は、鉱物の発見によって莫大な資金を得ると共に、住民も土地も犠牲にしてしまったのだ。
47 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/06(日) 01:10:53 ID:6Ro1K6K30
今日も
「工場を止めろ!!」
「Return The Clear Sky!!」
などといったプラカードの集団が、工場の門前に詰め寄っていた。
誰がどう見たって、原因はこの工場だった。
しかし、工場は閉鎖しない。
それどころか、市は政府と結託した。
政府は息のかかったの調査員を派遣し、
「黒い雨と排ガスとの、直接的関係は認められない」
…などと嘘っぱちな見解を出させたのだ。
目先の利益だけに目が眩んだ、政府と市。
現状を打破するには…
歩いたのは、20分ほどだろうか。
「あ、麻緒ん家、ここなんだぁ」
見ると、小ざっぱりとしているが、新しそうなアパートだった。
48 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/06(日) 01:11:40 ID:6Ro1K6K30
「1人暮らしなの?」
「うん、そうだよぉ。
あ…傘、貸してあげるよ」
え、それは…
「いや、なんか悪いよ」
「大丈夫だよ。その変わり、明日、必ず学校に持ってきてね」
「ん?
わかった。
でもなんで学校なの?」
「んふふー、明日になったらわかるよぉ」
ニコニコと答える麻緒。
「そっ、そっかぁ…
わかった!
ありがとう!
今日は楽しかったよ!」
「麻緒も楽しかったよ。
じゃあねぇ〜」
49 :
犬:2009/12/06(日) 12:16:30 ID:uwAG4rLVO
いちいち糞スレあげんなボケ
>>1 もらったレスがよめない?
削除依頼出して二度と糞スレ立てんな
レスもらえるのがうれしいタイプみたいだから、
スルーするのが一番のような気がしてきた
52 :
U^ェ^U:2009/12/06(日) 18:41:26 ID:uwAG4rLVO
スルーしてスレの進行が止まるならいいけど、頻繁にageて投下してるみたいだからなぁ…
何も書き込まずに落とせるなら、それが一番いいとは思うけど
53 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/07(月) 00:26:04 ID:R1FH6A1b0
‐翌日、ピオの通う学校にて。
教室では朝のホームルームの時間。
担任の先生が、連絡事項を話している。
「…えー、最後に。
今日からこのクラスに、留学生の子が来てくれることになった。
来たばかりでわからないことも多いだろうから、みんな仲良くしてやってくれ。
…じゃ、いいよ、入って」
ふーん留学生か。
どんな子なのかな…
…って、アレ!?
アレ!?!?
「はじめまして…春日麻緒です。こっちにはまだ友達があまりいないので、みなさん、気軽に声をかけてください。
よろしくお願いします」
…麻緒さんッッ!!!
昨日言われた意味が、やっとわかった。
‐真空水Bへ続く‐
54 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/07(月) 00:29:08 ID:R1FH6A1b0
続きです。真空水B
「んふふー、ビックリしたぁー?」 休憩時間に、さっそく麻緒さんがやって来た。
「うん…まさか留学生だったなんて」 …思ってもいなかった。
「おいおいピオ! こんな可愛い子と、いつの間に仲良くなってんだよ!?
“嫁”が見たら怒るぜー!!!」
ギャハハハハ!!!!教室中に響き渡る笑い声。 まったく、いいメーワクである。
このうるさいアホは、デガーロ・ワテツ。
「ちょ…待っ、嫁じゃねーっつってんだろ!? うるせーな…」
その、嫁というのは…
「ちょっと、ピオ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!
アンタ、今日ノート貸して欲しいって言ってたじゃない! どこで油売ってんのよ!?!?!? まったく…っ!」
おいでなすった。 コイツである。
教室5つぐらいなら、余裕で響き渡るような大声。
まさしく公害レベルといえる、この声の主は…
ルーシー・ゲアプット。
オレの幼馴染み。…もとい、腐れ縁。
しっかし、このカミナリみたいな怒鳴り声、どうにかならないのかね…?
周りも、
「来た来た…(笑)」
って感じの反応するから、ホント恥ずかしいんだよな…
「まったく、アンタっていっつもいー加減なんだから!!!貸したモノはなかなか返さない!ノートはラクガキばっかりッッ!!!!…毎回必ず忘れ物するし!!もうちょっと…
‥
…ってアレ?
初めて見るけど、もしかして留学生の子?」
気付くの遅せーよ、しゃべくりマシンガン…
55 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/07(月) 00:30:44 ID:R1FH6A1b0
「あっ…初めまして… 春日麻緒です。…んーとぉ、ピオ君のお友達?」
「麻緒ちゃんっていうんだ。可愛い名前ね! …アタシはルーシーよ。
ルーシー・ゲアプット。よろしくね! ピオとは幼馴染み…ってトコかしら。
‥っていうか麻緒ちゃん、可愛いから気をつけなよ。
ここの男子は不潔なのばっかりだから、何かあったらアタシに言ってねー」
苦笑いする男子達。
口ごたえしようものなら、教科書が飛んで来る。
ヒドい時は机だ。
ルーシーは、女子のリーダー的存在。
強引で口調もキツいが、仲間意識が強く、女の子には凄く優しい。
…が、その分、男子には厳しい。
そのため女子の信頼は厚いが、彼女を苦手に思う男子が多いのも事実。
よーするに、
【ステレオタイプな気の強い学級委員長】
それが、ルーシーである。
「ところで、ピオの近くに女の子がいるなんて珍しいわね…
いつの間に知り合ったの?」
「うん、昨日、図書館で会ったんだよぉ」
「ふーん…昨日、ね…」
ヤ バ い
ピオは思った。
なぜなら…実は昨日、バイトに行く前にルーシーと勉強する予定だったのだ。
しかし麻緒との話に浮かれていたため、ルーシーに会う時間はなくなってしまった。
いつもなら何とかごまかせたピオだが、今日はそうはいかない。
こういう時、ルーシーはいつも以上にうるさくなるのは目に見えている。
56 :
”削除”依頼:2009/12/07(月) 12:59:25 ID:tFUVlV2uO
だれか削除依頼だしてきた?
出してないなら仕事終わってから出してこようて思うんだけど
出してもスルーされてる状態?
57 :
”削除”依頼:2009/12/07(月) 14:12:56 ID:kXvecEROO
今見てきたけど、まだ出されてないっぽい。
>>56頼みます
58 :
”削除”依頼:2009/12/07(月) 14:33:16 ID:tFUVlV2uO
>>57多分夜になると思います…
もし私よりはやく削除依頼出せる方いたらお願いしたい
59 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/08(火) 00:31:46 ID:TrXwEjJL0
…そう、ピオに女っ気がないのは、ルーシーのせいもあるのだ。
ルーシーがピオに対して、幼馴染みとして以上の感情を持っているのは、誰の目にも明らか。
しかし見ての通り、なかなか素直になれないでいた(…ある意味素直なのかもしれないが)
ピオはピオで、いつものらりくらり。
その真意は、イマイチ誰もわからなかった。
仲が悪いわけではないが、どうも進展しない2人。
そこへ登場したのが、“春日麻緒”という存在である。
「ほほーぅ、こいつぁ修羅場・ってヤツですかな!?」
ピオが言い訳を考えていたその時、デガーロが割って入ってきた。
空気を読めていないようで、実は彼なりに気を使っている。
気まずい空気を壊せるのは、デガーロくらいしかいないのだから…
続けてデガーロは、
「衝撃!
愛憎の三角関係・優柔不断な夫に怒り心頭の若妻!!
…昼ドラ並のドロドロですな〜〜!!!!」
とはやし立てた。
このデガーロという少年、根はいいヤツなのだが、すぐ調子に乗るのが悪い癖である…
「違うって!!!」
綺麗にハモる、ピオとルーシー。
《こーいう時は、やたらと息が合うんだよな…》
ピオは少々うんざりした。
そして同時に、ルーシーは得意の教科書ブーメラン!
デガーロの顔面にクリーンヒット!!
…あーあ、鼻血出ちゃってるよオイ…
キーンコーンカーンコーン…
チャイムと同時に、ドタバタ喜劇(茶番)は一旦の幕引となった。
‐真空水Cに続く‐
60 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/08(火) 00:33:16 ID:TrXwEjJL0
真空水C
麻緒さんがクラスのみんなと馴染むのに、そんなに時間はかからなかった。
特に…男子人気がハンパない。
みんな、大っぴらには口にしないけどね。
麻緒さんがサルデ市に来てから、変わったことが2つ。
1つは、あの黒い雨が止まなくなってしまった。
いい加減ヤバいと思ったのか…
永らく何もしてこなかったサルデ市が、やっと重い腰を上げるらし。
オレは遅過ぎるぐらいだと思うけどね…
しかし、具体的な案が出たわけでもなく、排気ガスを少し減らしたに過ぎなかった。
これでは、市民の怒りは増すばかり。
デモ隊も報道番組も、すっかりヒートアップしてる。
変わったことのもう1つは…
ルーシーだ。
以前よりオレに対する態度が、明らかにキツくなった。
しかし、麻緒さんがいると、また違う。
最近、オレと麻緒さん、2人でいることも多くなったんだけど…。
そんな時、ルーシーはよく絡んでくる。
この前だって、図書室で麻緒さんにパソコンを教えていたら、なぜかルーシーがやって来た。
それから昨日、美術室で作品を見ている時もだ。
普段なら図書室も美術室も、わざわざ自分からは行かないのに…
どちらも大して用がない割に、妙に話を続けたがってた。
61 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/08(火) 00:34:43 ID:TrXwEjJL0
…まぁ、別に3人でいたってよかったんだ。
でも…なんかつい、ルーシーには素っ気無い態度を取ってしまった。
そうするとルーシーは、少し寂しそうな顔で去って行く。
いつもなら【何よその態度は!!!】とか言いそうなモンなんだけどなぁ。
こんな時、オレはどうにも釈然としない気持ちになるんだよね。
とはいえ、ルーシーと麻緒さんの間に何か問題が起きたわけではないし、学校単位で見れば、大して変わらぬ毎日だった。
黒い雨関連とは打って変わって、こちらは“冷戦状態”みたいなものだったんだ。
しかし、その冷戦状態も、長くは続かなかった‐
ある日の昼休み。
麻緒は、女友達と次の授業に向かっていた。
すると、遠くの方から、ピアノの音が聞こえてくる。
なんだか生真面目な演奏。
しかし、練習の積み重ねがよくわかる。
「あれ…誰か弾いてるのかなぁ?」
「あぁ、ルーシーちゃんだよ多分。
第3音楽室は誰も使わないから、時々ルーシーちゃんが弾いてるんだよ」
友人が答える。
「ふぅん…凄い綺麗だねぇー!
…えっと、第3音楽室って、あそこを右に曲がってずっと奥だっけ?」
麻緒は、「いい」と思えば素直にいいと言う性格だ。
そこが彼女の、魅力の1つでもある。
「うん、そうだけど」
答えた友人も、麻緒の意見には同意していた。
62 :
”削除”依頼:2009/12/08(火) 07:50:16 ID:kgekQFigO
こんなどこにでもあるような話、サイト作ってやりな。ここでは誰も評価しないよ
63 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/09(水) 03:48:24 ID:eSS06erK0
「麻緒、ちょっと行ってくるね」
「え、ルーシーちゃんに会うの!?
…気まずくない?」
心配する友人。
冷戦状態ではありつつも、麻緒・ピオ・ルーシーの三角関係?は、色々と噂が飛び交っていた。
「大丈夫だよぉー」
言うや否や、麻緒は音楽室へと向かって行く。
「麻緒ちゃん、授業はー?」
後ろから追いかける、友人の声。
「間に合わないかもー」
チラッと振り返り、麻緒は答えた。
麻緒はかなりのマイペースである。
そして、1度言い出したら聞かなくなるのを、仲の良い友人達は知っていた。
大人しそうに見えて、けっこう頑固な所があるのだ。
廊下から聴こえたのは、
【Es Durのピアノ線】
繊細な指使いから一変、ラストは崩壊を表すかのような表現に変わる。
美しさと狂気の共存が際立つ楽曲だ。
そして、
【Silent Jealousy】
の前奏へと繋がっていった。
音楽室に入っても、ルーシーは気付かず演奏を続けた。
麻緒も声をかけず、演奏に聴き入る。
「ピアノ、上手いんだねぇー」
演奏が終わると、麻緒は声を掛けた。
「!!麻緒ちゃん…?」
ルーシーは驚いた。
ここに人が来るなんて、滅多になかったからだ。
まぁ…聴かれていようが、気にする性格でもないのだが・・・
64 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/09(水) 03:49:07 ID:eSS06erK0
「今の曲、Xの曲でしょ?」
「知ってるの…?」
この曲を知っている人間は、周りにはいなかった。自然と、嬉しさが込み上げる。
「うん…“Jealousy”だっけ?それ入ってるアルバム、持ってるんだぁ」
「へぇ、ここらじゃ珍しいよ。X聴く人。麻緒ちゃんは、楽器弾いたりするの?」
「うん…ベースなら弾くよぉ。でも、あんまり上手くないんだけどねぇー」
「へぇ〜、なんか意外。Xで弾けるのある?ベースとピアノのパートがあるヤツ」
「んーと…、【Endless Rain】なら弾けるかなぁ」
「うん、いいね。じゃ、あそこにベースあるから…」
「合わせてみようよ」
ひょんなことから、セッションすることになった、麻緒とルーシー。
ちなみに麻緒のベースは、メチャクチャ上手い…といった類のものではなかった。
しかし、しっかりサウンドの芯を支えようとする、心地よいベースだった。
正直ルーシーは、ピオのこともあって、麻緒に対しては複雑な気持ちを抱いていた。
だからといって、あからさまな無視や嫌がらせをするほど、彼女は陰湿な人間ではない。
だからこその、冷戦状態だったのだ。この日以来、ルーシーと麻緒の仲は近付いていった。
一緒にいると…
ルーシーは麻緒という人間の、“嫌味のない可愛さ”が、痛いほどわかった。
彼女ハ自分ニ無イモノヲタクサン持ッテイル
彼女の魅力を知れば知るほど、ルーシーの嫉妬と劣等感は増幅していったのである。
音楽室での一件により、冷戦は終結した。
一見穏やかなようでいて、内には複雑で激しい感情を交えながら。
そう…
それは新たな事件の始まりでしかなかったのだ。
‐真空水Dに続く‐
65 :
回数ノビネー:2009/12/11(金) 21:47:44 ID:KJJzpAwrO
エックスて
66 :
ランパンありがとぅんー:2009/12/16(水) 16:08:43 ID:fN5ceFG8O
期待
67 :
中尾芳広:2009/12/21(月) 00:47:35 ID:zobvUY8VO
なによりで大丈夫
68 :
太陽:2009/12/26(土) 20:17:48 ID:aeSa7lFSO
調べる
69 :
クマ髭雄汁団子:2009/12/29(火) 21:39:13 ID:AokNJRsx0
めりくり
70 :
大作:2009/12/30(水) 09:24:44 ID:38xrbQ3DO
池田大作スレかと思ったら違った
71 :
俺も:2010/01/03(日) 02:23:03 ID:nSpd82v90
72 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 02:57:08 ID:9ilNjgH50
お待たせしました!!!続きです。
真空水D
《ニュース速報》
‐本日、サルデ市は本国政府の援助を得、市を襲っている“黒い雨”の浄化に乗り出すことを発表しました。
計画の決行は明日です。
関係者の話によると‐
今日は、麻緒さんの留学期間が終わる日。
涙のフェアウェル・パーティー(お別れ会)
みんなが別れを惜しんだ。
ルーシーが1番寂しそうにしてたのは、なんか意外だったけど。
帰り道。
麻緒さんと一緒に帰るのも、これが最後…
せめて今日ぐらい、綺麗な空の下で一緒にいたかったのに。
「ねぇ、ピオ君」
いつもの別れる地点に差し掛かると、麻緒さんは立ち止まって話し出した。
「今まで…ありがとねぇ。
麻緒、ピオ君みたいなお友達…初めてだもんっ」
「え…あ…
オレこそ、ありがとう…
麻緒さんに会えてよかったよ」
【“お友達”か…】
友達以上になれたらいいのに。
ちょっと、オレは切ない気持ちになった。
「ピオ君…」
73 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 02:57:54 ID:9ilNjgH50
「麻緒ね、明日死ぬかもしれない」
「え…!?」
冗談…ではなさそうだった。
麻緒さんの、あんなに不幸を背負った表情…そして口調。
初めてだったもの。
「どういうこと?」
そう聞き返すのが精一杯だった。
「“黒い雨”の浄化計画、知ってるでしょー?
麻緒がサルデ市に来たのはね、そのためなんだぁ…」
口調はいつもの感じに戻っていた。
だけど無理しているのがわかって、逆にオレには痛かった。
「一体、どうやって…?」
見当がつかない。
「空に行くの」
「空??」
麻緒さんは、何ともなしに言う。
空とだけ言われても、オレには今いち想像ができない。
「…ピオ君、傘を外して」
ピオはためらった。
黒い雨を浴びると、ヘドロのようなものが身体に付着する。
そして肺を病み、人体を襲う息苦しさと脱力感。
当然、ほうっておけば死に至る。
日増しに増えている入院患者で、病院がパンク寸前になるほど、黒い雨の影響力は大きかったのだ。
まぁ…洗浄するのに大変な労力を要するが、一瞬で死ぬわけではない。
そう思ってピオは麻緒に従い、傘を外した。
ザァアアァ…
ボタ… ベチョッ…
74 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 02:59:15 ID:9ilNjgH50
だんだん息が苦しくなる…
呼吸音が変わっていく。
「ゴメンね…苦しいよね。
こうしないと、麻緒の力は見せられないの」
本当に申し訳なさそうに言う麻緒さん。
「ピオ君、傘持っててねぇ」
近付いてきた麻緒さんは、持っていた傘を渡し、オレに両手をかざした。
状態としては…
正面で向き合う、相合傘…と言ったら、わかるだろうか。
かざした両手からは水色の光が溢れだし、オレを包み込んだ。
まるで、水のような感触。
優しい水の感触。
どんどん苦しみが消えて行く…!
ヘドロまで無くなっていく…
一体、これは…?
75 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 21:09:41 ID:U40L7Tl80
「なぜか昔から、こういうことができるんだよねぇ」
再びそれぞれ傘を持つと、麻緒さんは話し出した。
「…その力を、まさかあの空に?」
「うん、そうだよぉ。“revi”って、聞いたことあるでしょぉ?」
《revi(リヴィ)》
人間の生命エネルギーを使い、地球環境を治癒する装置。
まさかそんなものが、本当にあったなんて…
「でも、麻緒さん1人で…?」
「うん、麻緒しかできないんだって…
それに、空に行けるタイプだと、あまり大きいのは持ってこれないみたいなのぉ」
だからって…
「麻緒さん、そのreviって、何人乗れるの?」
「えっ…
えっとぉ‥2、3人ぐらいなら乗れると思うよぉ」
「オレも行くよ」
「麻緒さんを1人で行かせるわけにはいかないからね。
それに、1人より2人なら、生き延びる確率は高まるだろ?」
「でも、ピオ君…」
麻緒さんは、少し困惑した様子だった。
前から思っていたが、この子は表情がよく変わる。
それがたまらなく愛しい。
76 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 21:11:45 ID:U40L7Tl80
「大丈夫だよ。
オレ、こう見えても、風邪引いたことないんだ。
生命エネルギーとかっていうのも、けっこーあるはずさ」
「アハッ、風邪引かないのって関係あるかなぁー?」
また変わる。今度は“ニパッ”という言葉が似合う表情。
「ハハハ…わかんね」
麻緒さんが笑ってくれたから、少し安心した。
集合時間と場所を決め、オレらは別れた。
決行は明日。
正直、混乱してる。
麻緒さんの不思議な力に、明日のこと。
そして、その子と共に、命を懸ける自分…
帰ってからしばらくすると、家にルーシーが来た。
なんだか心配そうな顔をしている。
「ピオ、明日…一緒に行くの?」
「何のことだよ」
「誤魔化さないでよ!
…アタシ、見ちゃったのよ!
ピオと麻緒ちゃんが話してるの…
何もピオまで命を懸けることないじゃない!!バカじゃないの!?」
なんで知ってるんだ?
まさか…
77 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/06(水) 21:12:52 ID:U40L7Tl80
「うるせーな…
もう決めたんだよっ!」
何を言われようと、決意を変えるつもりはなかった。
「お願い…行かないでよ!
あんたが行ったって役に立つわけないじゃん‥あたしより体力ないくせにさ!
…もう1人必要なら、私が行くよ!!!
それで大丈夫でしょ!?」
「うるせぇぇえええ!!!!!!!!!!!」
今までにない叫び声。
さすがにルーシーも怯んでた。
【お前を行かすわけにはいかねーだろーがよ…】
脳裏に浮かんだ感情。
でも、口から出たのは…
「そうやっていっつも、オレより優位に立ってるつもりなのかよ?
変に世話焼きやがって…
ハッキリ言ってうぜーんだよ!
なんでそんなに干渉する?
あーあ、麻緒さんなら、怒鳴り散らしたりしないのになぁ…」
「!」
泣いていた。ルーシーが泣いていたんだ。こんなつもりじゃなかったのに
翌日。ルーシーとはそれ以降顔を合わせていない。
最後に見たのは、泣きながら走り去る後ろ姿だ。ルーシーが泣くとこなんて、初めて見た。
幼馴染みだから何でも知ってるつもりだったけど…
結局オレは、ルーシーのことを何も知らないのかもしれない。
自分が惨めだった。
‐真空水E《完結》に続く
78 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/10(日) 21:41:52 ID:b05AxcFI0
真空水E《完結》
約束の場所。
麻緒さんは既にいた。
なるほど、飛行型reviは、あまり大きいものではなかった。
壺のような形に、3人ぐらい入れるスペース。
複雑な機械が搭載されていて、いかにも…な不気味なデザイン。
目標は、他の雲とは高度の違う、黒い雲。
工場の排気ガスが集まったせいでできた、黒い雨を降らす雲だ。
その付近で装置を発動させるらしい。
エンジンをかけると、reviはゆっくりと上昇した。
黒い雲に近付くほど、空の汚染が増していく気がした。
目標地点。
“作戦開始”のブザーが鳴る。
いよいよ、装置の発動か…
「麻緒さん…そろそろだって。
発動の準備をしよう」
覚悟を決めたつもりだったが、さすがに緊張する。
膝がおぼつかない。
「いらないよ」
「…え、何が?」
「ピオ君の命が削られるなんて…イヤ。
こんな機械なんか無くたって、大丈夫だよ。
でも、その代わり…」
「麻緒と一緒に、祈って」
そう言うと、麻緒さんは両手をいっぱいに広げた。
あの、水色の光が溢れ出す。
どんどん…どんどん大きくなる。
そして、両手をまっすぐに伸ばし、前に突き出した。
79 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/10(日) 21:43:03 ID:b05AxcFI0
「今だよ、ピオ君。
麻緒に、両手を重ねてっ…」
「そして…
願いを… 込めて!」
ホントに大丈夫なのか?…なんて、問いただす暇はなかった。
言われるがまま、オレは麻緒さんに両手を重ね、祈った。
あの黒い雲が消えるように。
空が元通りになるように。
願った。
光はさらに大きくなり、黒雲を包み込む水流へと変わる。
その光の水が流れるたび…黒い雲は浄化されていった。
80 :
クマ髭雄汁団子:2010/01/10(日) 21:43:52 ID:b05AxcFI0
少しずつ…
少しずつ。
なんて凄い…!
黒雲が全て消え去ると、白く巨大な何かが姿を現した。
首長竜に似た、壮大なその姿。
「麻緒。
そしてピオー。
あの雨から救ってくれて、ありがとう…
私は何千年も昔から、この地を守ってきた土地神だ」
まるで脳髄に響き渡るような、威厳のある…それでいて非常に穏やかな、不思議な声だった。
「どうして土地神様が、こんな所に?
黒い雨は…神の怒りなのですか?」
それは、前から思っていたこと。
黒い雨が人間への罰というなら、合点がいくからだ。
「いや…それは違う。
人類への罰というのなら、木々を枯れさせたりなんかしない。
…私は空の汚染を防ぐため、ここにいたのだ。
しかし…どうも私の力は、すっかり弱まってしまってな。
工場の煙を全て吸収することはできなかった。
その溢れた汚染物質が、黒い雨の正体なのだよ…」
81 :
あたし大作:2010/01/24(日) 01:43:00 ID:mWSTg0jD0
アタシ
大作
歳?
81
信者?
まぁ
当たり前に
いる
てか
いない訳ないじゃん
みたいな
経典は
法華経
てか
アタシが南妙法蓮華経
唱えてあげてる
みたいな
82 :
オク:2010/03/23(火) 19:25:14 ID:Sfuiiq390
面白かったから上げ
>>360 >>360 自ジャンルにもいるいる
話のキーを握ってたり重要人物だったり。
でもメアリ臭皆無。
オリキャラ特有のわざとらしさもない
あれどうしてなんだろ
吟 [sage] :2010/07/04(日) 09:27:38 ID:G7pxExjl0
今日の朝にお問い合わせの回答が新たに増えた
一部持ってきただけだがこいつやべえ…
Q:DLした素材ファイルをアップすればよいのでは?
下書きに利用した後、もうこの線画を利用することはないと思い
削除してしまいました。
Q:酷似しているという商業漫画家の方の絵を並べて置いてください。
今回の問題は、チラシ絵が別の著作者の方の絵に酷似していた事実であり、
どの絵にどれくらい似ていたかということは関係ないと思います。
また、この問題が発覚してからいただいたたくさんのメールの内容を鑑みますと、
不必要に画像を転載・リンクしたことによって、私の拙い説明文を誤解した方が
誤った情報を商業漫画家の方や出版社等に送付する可能性が危惧されました。
これ以上のご迷惑を今より多くの方におかけしたくありません。
85 :
犬:2011/04/08(金) 13:16:06.35 ID:iBMLhnrf0
このスレが未だに残ってるなんて
86 :
い:2011/06/03(金) 06:24:03.63 ID:DvmxGaN3O
あ
87 :
う:2011/06/03(金) 16:31:44.71 ID:GJDPNJ6L0
お、お〜〜。
88 :
え:2011/08/24(水) 11:10:45.20 ID:LlKI/W9v0
ええ。
89 :
捨 ◆qWhAHZTuJ2 :
恋した相手が幽霊でしたオチの作品
夏になると読みきり漫画とかパラレルネタで一次二次問わずに
やたら増えるけどすごいがっかりする