【RIGHT】蒼穹のファ腐ナー project02【LEFT】

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569名無しさん@どーでもいいことだが。
↑比較用に小説版ファフナーの酷似文も載せとく(P35一行目から)

夢を、見ていた。
かざした自分の手さえ見えない、漆黒の闇に、ざぁん、ざぁんと波の音だけが響く。
暗い夜の海で――一騎は一人、泳いでいた。
必死に泳いでいるのに、どんどん手足が痺れてくるような、冷たい海だ。
このまま体に力が入らなくなって、真っ黒い海の底へ呑み込まれるのではないかと思うと、
恐怖でどうにかなってしまいそうになる。
その恐怖から救ってくれるように、やがてかすかな灯りが、遠くに現れる。
そして一騎は知る。自分はこれまで、その灯りに向かって泳いできたのだということを。
冷たさで感覚の薄れた手足に力を込め、波に頬を打たれながら、泳ぐ。
闇の中、溺れてしまいそうな自分を救ってくれる灯りが、少しずつ近づいてくる。
灯りがそこにあることへの感謝と、闇から逃れたいという思いで胸がいっぱいになる。
そうして、一騎は海岸に辿り着く。
尖った岩にしがみつき、這い上がろうとすると――そこへ温かな笑い声が響いてくる。
顔を上げると、灯りは大きな館で、全ての窓の向こうに賑わいが見える。
友人同士で笑い合う者達がいた。家族で団らんする者達がいた。恋人らしい者達がいた。
どの姿も、朧として影絵のようにつかみどころがない。
一騎はその窓のどれかに、求めた灯りがあるのではと思って見渡すが、
(自分には無理だ――)
どの窓に対しても、そう感じてしまう。
入って行けない――あの窓の、どこにも、居場所がない。
一騎はなおも灯りに目を向けていたが、やがて、そっと岩にしがみついていた手を離した。
波に引き寄せられるようにして、気づけば自分から、灯りに背を向け、泳いでいる。
灯りは遠ざかり、再び、真っ暗な海へと、痺れる手足に力を込め――