数年前、押しかけをしでかした馬鹿者です。恥を偲んで元押し掛けの人間の話を告白します。
なるべく厨房の内面を書けたらという思いが先立ち、自分語りがうざくなりました。
でもどうか私のお話が少しでもなにか…撃退とか、その役に立てたらと思います。
私は当時リア工、数年前ですが、私が押しかけ襲撃をしたのは大好きな作家さんです。
裕福ではありませんでしたが当時親に溺愛され、なんでも思い通りにしていた私は
ほかの人との関係を上手く築けず、思い通りにならなかったら怒り、そんなだから当然友達も
できなくて、半ば引きこもり状態でした。
でも高校入学と同時に知り合った友人、Lが同人好きで、私もすっかりハマってしまい、
そうこうする内に一人の作家さんの大ファンになったんです。
その友達と話すのは萌え話ばかり。楽しいので学校にもちゃんと通いました。
そうしてその作家さんの本を何回も読んで、自分もまんがを書きたい!本を出したい!
と思い、Lと熱く語り合いました。
で、その話し合いの中、Lの言った一言が私に押しかけを決意させました。(イタタ
「この熱意を分かってもらうためには、この遠い距離を直接訪ねて行って弟子とか
アシスタントするしかない!」
…………思い切り納得してしまいました。(すいません。すいません!)
そのLは情熱を示すためなら親の財布を持ち出すのだって当たり前とか怖いことを
言っていましたが、幸い泥棒だけはできなかったため、正月過ぎにお年玉を軍資金として
襲撃をかけました。(すいません!!以後最後にします…謝ることばっかりしましたので)
書置きには「○×さんのアシスタントになって漫画家になります」ようなことを書き、
電車に乗って二人で押しかけの旅へ出ました。
今考えるとそのときになぜLまでいたのか疑問に思えってなものですが、LはLで私に
気を遣ってくれてたんだろうな程度に考えてました。
その旅の中の押しかけ厨房の心理としては、極度の興奮と希望と期待でいっぱいって感じです。
なぜか脳内で作家さんが驚くだろうけど最後はわかってくれるって思い込んでました。
まんがで押しかけの女の子が住み着くケースとかありますが、あれが現実感覚なんです。
イベントでお話して、優しい人だったし、それが読者という万人向けのものだなんて、
考えもしませんでした。常連だから顔を覚えていただいてたし、それも大きかったです。
作家さんはまずどんなことを教えてくれるだろうかとか、アシスタント代金は私が使えるように
なったらもらえるだろうとか、そんな甘いことばかり考えていました。
トークにも猫の手も借りたいほど忙しいよーと書いていたし、猫よりは役に立つよね!とも。
住所は奥付で分かっていたので、駅員や交番でその奥付を見せて最寄り駅を知り、道を知り、
暗くなってから辿り着きました。
頭の中は興奮と期待でいっぱい。最初になんて挨拶しようとか考えてました。
どっちがドアを叩くか少し話し合った後、私に決まり、ノックしました。
当時はまだこんな押しかけ情報は余りなかったんだと思います。
どちらさんですか?の問いかけに緊張いっぱいで、あなたの大ファンで、某県(辿り着くのに
海を越えてます…)から来たんですけどと言うと、「ええ?!」と驚いた声の後、ドアが開きました。
「親戚かなんかがいてとかですよね?」と目を白黒させる作家さんを前に、興奮状態の私は固まり、
後ろの友人は大騒ぎです。大好きな作家さんを前に嬉しかったのは本当です。
それであなたの弟子とか、アシスタントさんになりたいと言われて、当然作家さんは困りました。
玄関で押し問答になり、私の心はもう灰色というか真っ黒というか、恥ずかしい話ですが、
押しかけられた作家さんの気持ちを思い遣るなんて全然できなくて、なんで自分の思い通りに
ならないのか、気持ちが通じないのか、それでいっぱいでした。
分かってくれない作家さんに怒りみたいなものも感じていたと思います。
電話番号を言いなさいと言われて困り、Lは作家さんに向かってこんな人だったなんてがっかり
と言い出し、もう逃げたくなったところで、言わないなら警察を呼ぶと言われました。
そこで恥ずかしながらとうとう泣き出したんですけど、それで同情してくれたのか、
作家さんは部屋に上げてくれて、落ち着いて話しましょうとまで言ってくれました。
押しかけが怖いと知られた今だったら、絶対こんなことはないと思います。
それで思いの丈を話し、作家さんは丁寧に諭してくれました。
その後で結局諦めて帰ろうと思ったんですが、でもまだこの時は作家さんの優しい気持ちはわからず、
ただ言い訳されているだけのようにも感じていた…と思います。
その後でした。作家さんが手洗いに立った隙にLが作家さんの部屋を物色し始めて、びっくりしました。。
慌てて止めると、「せっかくここまで来たファンにあの態度はない。でも記念になるものぐらいは
もらってもいいはず」と言われ、困りました。
私にとってはLが初めての友達なのでこんな時どうすればいいか分からなかったのもあります。
結局手洗いから出てきた瞬間に見咎められ、Lは作家さんともみあって逃げました。
私は呆然と見ているだけで、怒った作家さんにK札に連絡をされ、補導されました。
結局両親も呼び出され、洗いざらいの事情を話した後、両親には怒られませんでした。
私の両親も厨だってことは、今はよく分かります。作家さんに謝った後、示談のような形で、
反省してるからとのことで、私にあったのは注意だけで事実上無罪放免になりました。
その後私が話したから自分は親に怒られたとLに怒られ、また一人ぼっちになり、
鬱々と作家さんはLが泥棒なんてしなかったらきっと大丈夫だったのになんて考えて、
手紙も書いて出しました。当時はLのことさえなんとかすればと思ったんですよ。
両親は「Lちゃんとはもう付き合わなくていい。お前は悪くない」こんな調子でした。
それでも私にきっかけをくれたのは、作家さんのくれた返事でした。
「Lさんのことどうこうではありません。あなたの行為、その感覚自体が非常識です」
こんなことをずばりと、簡潔に書いてきてくれたんです。
自分のなにが非常識なんだろう?初めて疑問を持ちました。両親に心療内科へ連れて行かれたのは
この後です。カウンセラーと話す内に少しづつ自分の疑問が見えました。
誰がどう見ても悪かった私を庇う両親の気持ちは確かに愛情だったけど、叱るべきときに叱られなかった
ことは、間違っていますよね。
一つに気づけばあっと言う間で、今は作家さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです。
両親にもカウンセリングを勧めたのですが、自分たちがなぜそんなものが必要なのかなんて考えもしないし、
急に私がおかしくなったと言われてしまう状態でした。
今は両親とは少し距離を置いて付き合いつつ一人暮らしをしています。ただ相手のことを考えて付き合う
という当たり前のことに余りにも遅く気づいたので友達は少ないですが、これからは気をつけようと思いますし、
今当時の私やLのような状態の子がいるなら叱りたいし、教えたいです。
厨房時代のなにが悪いか分かるようになってくれればいいのですが…。
正直あの作家さんに謝りたいですが、自己満足に浸るためだけでしかないような気もしますし、
このことは生涯自分の過ちとして記憶に残しておきます。
思い返すと本当に恥ずかしいです。こんな人間で本当に申し訳ありませんでした。
今の自分が当時と比べて少しでもましな人間になっていればと、もうそれだけです。
それと誤って4/5が5/5になりました。重ね重ね申し訳ありませんでした。