[ 森・田辺 ]
森精華は、不器用で失敗ばかりする田辺真紀が嫌いだった。
だから、一緒に整備作業するときもとても寡黙で、最低限の
ことしか言わなかった。
「余計なことはしないで下さい。私がやれと言ったことだけやって下さい」
「は、はい!」
健気な田辺は、ひたすら森の言うことに忠実に従った。
ある日、森精華は、腕部装甲板の留め金を取り外すためにハンマーを田辺に渡した。
「私が頭を下げてうなずいたら、そこのハンマーで思いっきりたたいて下さい」
「は、はい!」
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翌日、森精華の葬儀がしめやかに執り行われた