家は宿でも合宿所でもねぇぞ!!!　その５４

土曜日になり、私は駅までYとHを車で向かいに行きました。駅からは
そんなに遠くないのですが、一日分とはいえお泊まりの道具を持ってきたり
しているはずだから、荷物が多いと思ったからです。

　家に着いてからは三人で話をしたりしました。犬はちょっと臆病なところ
があり、はじめてきたHに少し怖がっているようでしたが、徐々に慣れてきた
ようでした。
　明日は早いので、今日はもう寝ようという話になったのが、11時頃だったと
思います。
　私は大変寝付きが悪く、ここ一年ほど睡眠薬を服用しています。なので、
朝にならないと目覚めないこともHに告げ、HとYで一部屋に寝てもらうこと
にしました。私の部屋だと、ベッドがあるため、布団を二つも敷けないの
です。彼女たちが眠る部屋には犬用のゲージがあり、ミニチュアダックス
フンドの愛犬はいつもそこで眠っていました。

　そして翌日、私が起きたらYが涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、犬が
動かない、と言います。
　昨日まではとても元気だったし、ちゃんと予防接種もしている犬が、
なぜ？　寝ているだけじゃないのか、と私は彼女に聞きましたが、彼女は
お腹が動いていないと言います。

パジャマのまま慌てて見に行くと、ゲージの中でぐったりと横たわる
犬の姿が目に入りました。ゲージの扉を開けて犬に触れると、既に冷たく
硬くなっており、生きていないことは看護婦でもなんでもない私にも明白
でした。
　私が何か重大な病気に気が付かなかったんだろうか、それとも、夕飯に
何か害のあるものをあげてしまったんだろうか、と考えたのですが、
病気はともかく、害のあるものなんて絶対にあげていないと思いました。
　私はそこでようやく、Hの姿が見えないことに気が付きました。Yに聞くと、
朝風呂に入ったとのこと。Yは家主の私の許可を取ってから、と言ってくれた
そうですが、Hは大丈夫だから・責任は私が取るからなどと言って入って
しまったそうです。

　Yも一度眠ってしまったら朝までぐっすり眠ってしまうタイプの子なので、
Hに夜中犬が苦しんでいなかったかなどを聞こうと、私は彼女が風呂から
出るのも待てずに、風呂場に行ってドアを叩き、彼女に聞きたいことがある
と呼びかけました。すると、信じられないような答えが返ってきたのです。
「犬のくさい臭いを取ってるところなんだから邪魔するな」というような
ことを言われました。確かに、どんなに気を付けていても獣のにおいとい
うのは独特で、嫌な顔をする人もいるでしょうが、彼女はうちに犬がいると
知って泊まりに来たはずです。それなのに、犬が死んでしまっているのに、
なんて酷いことを言う人だろうとカッとなってしまいました。この時点では
彼女が殺したなんて判らないのですから、カッとなった私も充分最低だと
思います。

私が風呂場のドアを開けると、Hは「勝手に開けるな」「犬も犬だけど
飼い主も最低だ」みたいなことを叫び出しました。昨日の夜までの人とは
別人なんじゃないだろうかと思うくらい、表情も変わっていました。
「私は被害者だ。あんなくさい犬の近くで眠らされて、全然眠れなかった」
というようなことをHは言い、さらに「だからゲージから引きずり出して、
近くにあった袋に顔を突っ込んで腹を蹴ってやった」と真っ赤な顔で怒鳴り、
それを聞いた私が呆然としている中で着替えて「こんな家もう来ない。
本当に最低だ」と吐き捨ててさっさと出ていってしまいました。

　私はイベントに行く予定でしたが、愛犬の葬儀の手続きをしたりするため、
イベントなんかどうでも良くなりました。Yはずっと泣き続けて、私に土下座
して「自分があんな人を連れてこなければ」と言っていました。

　今日、会社を休んで愛犬をペットのお墓に入れてきました。Yも会社を
休んで、泣きながら葬儀に来てくれました。

　これで私の話は終わりです。長い上に、文章が下手なので上手くまとめ
られなくてすみません。スレ違いではないと思うのですが、もしスレ違い
でしたら見なかったことにしてやってください。