ドリルで穴をコリラックマの部屋へ開け終わると、
今度はもうひとつの道具を手に取りました。ワイヤースコープです。
開いた穴に、少しずつ太い針金のようなものを差し込んでいきます。
「これで準備完了ですね。」
スコープに繋がったパソコンのモニターには、すやすや眠るコリラックマがバッチリと映っています。
そう、リラックマがやろうとしている事は、
これからコリラックマの部屋で始まるであろう、トリさんとコリラの乱痴気騒ぎを出歯亀することだったのです。
この小部屋とコリラックマの部屋が隣り合わせであることを、リラックマは前もって把握していました。
リラックマは親父臭いため息をついて、ようやく一仕事終えたといった感じで床に腰を下ろしました。
「やれやれ、とんでもなく手間がかかりましたが、これでようやくお楽しみを始められますね。」
リラックマはひとりごとを続けます。
「しかし思えば、さっきは危ないところでした。下手をすれば、
シロクマちゃんを守るという口実の元に、トリさんに殺されてもおかしくなかった。」
「自分の欲望を満たすには、私が邪魔だったわけですからね。
あそこで咄嗟に、逃げる事が最善の策だと気が付けるわたしは、ほんとうに機転がまわるクマですね。」
ひとりごとで自画自賛をしながら、リラックマはニヤニヤと笑います。
本当に気持ちの悪いクマですね。