【北九州】非常識猫飼いが隣人に逆切れ2【メンヘラ】
歴史のなかのネコ
ネコには上述・後述のように、さまざまな俗信がある。しかし正の面とともに
負の面も強く持っていたことが興味深い。また、これほど人間との関係が密接ながら、
西洋では星座、東洋では十二支の動物になり損ねた動物のひとつでもある。
18世紀に天文学者によって「ネコ座」が作られたが、古代ギリシャ時代には
ネコ座はなかった。また東南アジアの一部の国でネコを十二支のひとつとする
国もある(主にウサギに代えて「卯」に当てる)が、日本・中国などではなかった。
農家にとって、ネコは豊穰と富を意味する生き物であったらしいが、豊穰という
ものは連続する再生(生産)であり、その為の死(消費)をも意味する。
ネコの特徴として、光の量によって大きさの変化する瞳が挙げられるが、
これはよく月の満ち欠けになぞらえられた。
月もやはり死と再生を繰り返すと考えられていた存在である。
後世では、むしろこの死を司るという特質が強調されるようになり、
ヨーロッパでは、ネコは魔女の使い魔と見做されるようになった。
日本でも、ネコに道を横切られると縁起が悪いと言われるほか
(ちなみに、“黒ネコに”前を横切られることを不吉として忌むのは、
おそらくアメリカから伝わった迷信であり、英国では逆にこれを幸運の
しるしとすることが多い)、岐阜県大野郡丹生川村(現在の高山市丹生川町)
では、ネコが死者をまたぐと「ムネンコ」が乗り移り、死人が踊り出すと
いって、ネコを避けるために死者の枕元に刃物を置く、葬式のときはネコを
人に預ける、蔵に閉じ込める、という習慣がある。また、愛知県知多郡日間賀島の
「マドウクシャ」と呼ばれる百年以上も歳経たネコは、死人を取りにくるので、
死人の上に目の多い筬(おさ)をあげてこの怪を防ぐという話が認められる。
貧乏な寺に飼われていたネコが、世話になった恩返しのため、野辺送りの棺を
空に上げて、飼い主の和尚に手柄を立てさせる『猫檀家』という説話もあり、
これらの話は、ネコが死と再生のシンボルでもあったことの名残りであろう。
猫又などに代表されるように、3年、または13年飼った古猫は化ける、あるいは1貫
、または2貫を超すと化けるなどといわれるのは、単なる付喪神(つくもがみ)
の一種である。『鍋島の猫騒動』(佐賀化け猫騒動)をはじめ、講談で語られる
『有馬の猫騒動』などに見られる化け猫、山中で狩人の飼いネコが主人の命を狙う
『猫と茶釜のふた』や、鍛治屋の飼いネコが老婆になりすまし、夜になると山中で
旅人を喰い殺す『鍛治屋の婆』、歌い踊る姿を飼い主に目撃されてしまう
『猫のおどり』、盗みを見つけられて殺されたネコが、自分の死骸から毒カボチャを
生じて怨みを果たそうとする『猫と南瓜』などは、こういった付喪神的なネコの話である。
また、招き猫のように、猫には特別な力があると考え人間の側からお願いをするというもの
もあるが、これらも根は同一あるいは類似したものと考えられる。