>>225 俺の夢は脱走
3月◎日
ここ数ヶ月で、近所に犬が随分増えた。
2年ぐらい前は、近所の犬といえば、梅バァとデブと俺とベスト野郎ぐらいだったのに
最近では、ちょっとお散歩の時間をずらすと、知らない顔に沢山会う。
ここ一年で俺の家の周りに沢山住宅が出来て、引越してきた人が多いからだけど。
犬が増えれば、変わり者も中には居る訳で・・・・
ちょっと困ったおじさんが居るんだ。
先日の朝、いつものコースをケツふりふりで歩いてたら、遠くに黒くて
顔の四角い犬が居た。一本道を向こうから歩いて来る。
俺は、売られたケンカは絶対買ってしまうので、やや緊張しながら進んだ。
出来れば、今日はケンカになりたくない。今朝はチーズちゃんを貰う約束だったから
ねーたんの機嫌を損ねたくない。裏腹に耳がピンピンしてくる。
相手の姿を確認できる程の距離になって、俺はホッとした。
そのおじさんはテリア系の犬で、俺より一回り大きい。
手足が長くて、俺の姿を見ても、別段興奮することも無く、ゆったりと歩いて来る。
カッコいいな、紳士的な人だ。口元だけ白い毛が混じっていて、それが口髭みたいで
「人格者」って感じ。大人だねぇ〜
ねーたんと、おじさんの飼い主が軽く会釈している。
俺も「ちわっす」みたいな気持ちで、おじさんを見ていた。おじさんも軽く微笑んでいる