とあるサイトより甜菜。
1匹のネコがいました。
ノラネコです。
何か病気にかかっているのか、身体はガリガリでした。
喉が潰れているのか、鳴くことができませんでした。
本来綺麗な真っ白な毛の色のはずなのに、泥でひどく汚れていました。
ある日、母がエサをあげました。
するとそのネコはすっかり懐き、ウチの庭に居座って、エサをもらうようになりました。
ノラのくせにとても人懐っこいので、母は「もしかしたらもともとは人に飼われてたのかもねえ…」と言っていました。
ネコは俺たち家族が玄関の扉を開けるたび、車で家に帰って来るたびに、擦り寄って甘えてきました。
母は「はいはい…」と相手にしていたのですが、俺は白い毛がズボンに付くので「やーめーてー」とネコがまとわり付くのをかわしていました。
時には隙をついて、家の中に何度か入ってきたこともありました。
ウチではすでに一匹ネコを飼っているので、病気が移ったら大変だとそのたび早々に家の外につまみ出しました。
それが大体1年前の出来事です。
俺は実家に帰省するたび「なんだコイツ…」と思ったものですが、じきにそのネコがいることが当たり前になっていました。
前回の帰省(3月上旬)実家から京都へ戻るときも、そのネコに「またな!元気でな!」と挨拶してやりました。
続き
そして昨日、母から電話がありました.。
その日の朝、そのネコが冷たくなっていたそうです・・・
そのネコは俺が京都に戻った後あたりから、どんどん体調が悪化し、食欲もなく、痩せ細っていったらしいのです。
確かにもともとガリガリで、病気っぽかったのですが、俺はそのネコが死んでしまったという現実をにわかには受け入れられませんでした。
そしてしばらく時間が経って、頭が事実を整理でき始めた頃、たくさんの後悔が俺の頭の中で決壊するダムの様に溢れ出してきました。
ああ、何故もっと優しくしてやれなかったのだろうか・・・
気まぐれで頭を撫でてやった時、ものすごく嬉しそうにしていたあのしぐさが忘れられない・・・
いつだってそのネコはエサよりも何よりも、温もりを求めていたと言うのに・・・
そのネコは一人病気に苦しみながらも、懸命に生き続けました。
逃れられない「死」という運命にあらがい続けました。
苦しかっただろうに、満足に鳴くこともできず、痛みを訴えることもできませんでした。
そんな一生を終えて、そのネコは幸せだったのでしょうか・・・
俺は願いました。
願いというよりも、祈りに近い途方もない願いでした。
もし生まれ変わっても、またウチに来いよ・・・
一匹のネコがいました。
最後まで生きることをあきらめないで、死に逝く運命と戦い続けたネコがいました。
そのネコの名はシロ。
この世で最も汚れなき色の名を持つ、泥だらけの美しいネコがいました。
・゚・(つД`)・゚・ 泣いてもうた。