福岡の保険金殺人は、命を守るべき“白衣の天使”と呼ばれている看護師(「看護婦」「看護士」と性別で異なる医療従事者の名称を統一するため今年度より法律によって登場した呼称)
仲間4人が、冷酷な手口で自らの夫などを殺害した事件である。当初は病死を装っていたのだが、グループ内の軋轢(あつれき)から「完全犯罪」がほころび、ここにきてようやく
事件の概要が明らかになったものだ。
今回の事件は、医療従事者が関わっているだけに非常に発覚しにくい性質のものだ。このような犯罪を防ぐ方法はあるのだろうか?
ある大学病院の外科医は医療従事者による完全犯罪は他にも十分ありえるという。
「医師が急性アルコール中毒と判断してしまえば今回の完全犯罪は成立するわけです。今回は静脈に点滴をしています。
アルコールの濃度を下げるために点滴(普通の水ではなく生理食塩水など)を打つことはあります。大量の水が入った場合、
肺の内部に水がしみ出し肺水腫、いわゆる肺が水浸しになる場合があります。妻が看護婦で、あまりにも夫が酔っていたので
点滴を入れたということを主張された場合、医療行為を勝手にしたという違反はあるが、その医師が
看護婦の言を信じて診断書が書かれてしまう可能性は高い」
死体が運び込まれた病院では医者が死亡診断書を作成するわけだが、細かく診察することは少ないということも
看護師である容疑者らにはわかっていただろう。
「看護師の間ですいぶん保険金が入っていたようだとか、『あの死に方おかしいよね』という話題がでることはたぶん多いと思うんですよ。
検視が雑だということも現場にいるとわかるわけです。医療現場にいると急に死亡したことや、自殺したとか、急性アルコール中毒で担ぎこまれた人
とかを側で見ているわけです。彼女らは看護師であるため検視はしないが、側で見ていて検視というのがいかに雑にやられているかというのを知っていますよ」
(和田氏)