貿易センタービルが大変  2

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71名無し組
>43
その通りです。
ニューヨークに地震が少ないことはこの高さの建物には関係ない。

建築関係ではない人もたくさん来てるみたいなので一応説明しますが、
1.建物はまず重力に耐えて床を支える必要がある。
こうした荷重(重さ)を垂直荷重または軸力という。
基本的には建物自身の重さと建物内部の人間や備品の重さ。
2.次に、建物には横方向の力が加わる。地震と風だ。
地震の多い地域では高さ200メートル程度までは地震による水平力が強い。
そのあたりから上では徐々に風による水平力が地震によるものを上回る。
その場合、風による水平力に対抗するように設計する。
地上400メートルのこの建物はこうした風荷重に抵抗できる設計で、
日本の耐震設計より頑強といってもいい。
なお、日本最高高さの横浜ランドマークは日本ではじめて風荷重>地震力という計算結果になった。

WTCのような超高層ビルは構造的にも日本にある超高層ビルと同じではない。
普通日本では「ラーメン構造」という構造が一般的で、これは縦横にジャングルジムのように
柱と梁をがっちりと接合して作るもの。これで400mの建物を作ると柱も梁も太くなり、実用にならない。

そこで200mを超える超高層では一般にチューブ構造やアウトリガー構造という
構造を採用する。

で、このビルはチューブ構造。これは外側の窓と窓の間の細い柱が細かな網目のように
なって「鳥かご」を構成し、これが垂直荷重と共に風にも抵抗するわけ。

今回の事故では、外殻の柱の約半分が航空機の突入で切断。それでも残った柱は
上部を支持していたが、大量の航空燃料(ケロシン)による火災のため残りの柱も
徐々に強度を失い、やがて上層部の重みに耐えられなくなった。
上層部がどすんと落下した衝撃が下層階を次々に押しつぶしたわけ。

この構造はロバートソンという天才的構造設計者によるもので、
この建物が航空機突入後1時間も崩壊を免れ、また崩壊も垂直になり
周囲への被害を最小にするなど、彼の構造設計の巧みさが良くわかる。
つーか、ほんとすごい設計だよ、これ。つくづく思うね。
日本の大手が設計していたらこうはならない。瞬時に真っ二つになって上部が近隣のビルに
落下していたかも。

というわけで、日本の建物はこんなに脆くない、というのは間違っています。
そもそも日本にこんなに高い建物は無いしね。