エレヴェータ・エスカレータ

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215なぜ自主退職なのか?

先日、****代表の@@@@氏にこんな質問をした。「会社は辞めさせたい社員を解雇するのか、それとも辞表を書かせるのか」――。

25年以上も人事関連の仕事に携わってきた@@@@氏は、即座にこう答えた。

「約8〜9割の会社が、解雇通知を出すことを避けたいと思うはず。
その代わりに、その社員には辞表を出してもらいたいと願うだろう。
それが、後々のトラブルを防ぐと考えるからだ。
経営者や役員は、会社員が想像する以上に労務トラブルになることを避けようとする」

会社は解雇したことにより、社員から解雇無効などで訴えられることを警戒しているのだ。
言い方を変えると、狙った社員には執拗(しつよう)に辞表を書かせるように仕向けてくるとも言える。

会社の「解雇ではなく、辞表を取りに来る」というアプローチを裏付ける調査結果がある。
若い労働者を支援する\\\法人の「&&&」は、若い失業者を対象にアンケート調査を行った。
調査は、30代までの若者qqq人を対象に実施。
そのうちppp人が、「自己都合で退職した」と答えた。
しかし、その4割近くは上司から厳しく叱責(しっせき)されたりするパワーハラスメントや賃金不払いなどを理由に退職していた。

会社としては、このようなきわどいことをしてまで社員が自らの意思で「辞めた」という事実を作りたいのである。

216なぜ自主退職なのか?:2009/12/13(日) 15:10:34 ID:ry9SGWJl

会社が辞表にこだわる理由を「助成金」や「退職金」の観点からとらえると、より実態が見えてくる。
助成金とは、企業などが一定の条件をクリアすれば、国からもらえるお金のこと。
返済不要であり、利子もかからない。その意味で、銀行のような金融機関から受ける融資とは大きく異なる。
このお金は、事業主(会社などの経営者)が支払っている雇用保険料からまかなわれている。

@@氏は、トライアル雇用助成金(労働者の仕事を適正に判断してから正式に雇用する制度。
この制度を利用した会社に対し、助成金が支払われる)を例にこう説明する。

「この助成金の受給要件の1つに、特定の労働者(++歳未満の人や母子家庭の母など)のトライアル雇用終了までの間に解雇がないことが挙げられている。
つまり安易に解雇すると、この助成金をもらうことができなくなるかもしれないのだ」

217会社が行う精神的虐待:2009/12/13(日) 15:14:42 ID:ry9SGWJl

会社が辞表にこだわる理由として、労務トラブルを避けたいことが挙げられる。
これは、解雇を受けた社員が労政事務所やユニオンのような労働組合、さらには労働局雇用均等室や労働基準監督署などに訴えることを意味する。
これらを総称して「第三者機関」と言う。

会社というのはたたけばホコリが出るので、経営陣は第三者機関を警戒する。
社内の問題は社内で解決したいのである。そうすれば、ナアナアにできる。
第三者機関が入ると、それができない。
だから、会社は解雇ではなく、辞表にこだわるともいえる。
辞表であれば、本人の意思で辞めることを意味するのだから、第三者機関は会社に入りにくくなるのだ。

218会社が行う精神的虐待:2009/12/13(日) 15:17:47 ID:ry9SGWJl

数カ月前、労働基準監督署の監督官や労政事務所の相談員を取材した。
経営陣は、相談員や「解雇は不当」などと告発した社員に対し、次のようにののしることがあるという。

「飼い犬(告発した社員)に手をかまれた。あなた、責任をとれよ!」

「会社のことをぺらぺら話して、(告発した社員が)ひとりでいい子ちゃんぶっている」

「こういうところ(監督署など)では自分の非を伝えることなく、会社のことをなじっている」 

「君自身がすべての問題の元凶。早く、責任をとれよ!」

「君の話は、 まるでト書きの小説みたい。みんな、嘘だ!君は、ここまでして自分を正当化しようとしている」

いずれも、直接、本人に言うのである。
監督官や相談員の前で言うのだ。
信じられないだろうが、事実である。

なぜ、このような言葉を浴びせるのか。
社内の問題を外に持ち出した社員を“危険分子”として扱うことで、精神的になえさせることにある。
そして他の社員への見せしめである。

219会社が行う精神的虐待:2009/12/13(日) 15:21:20 ID:ry9SGWJl

日本労働弁護団に籍をおく弁護士は「第2、第3の危険分子(第三者機関に訴えた社員)を生まないために、その社員を徹底的になじる」のだという。

前述の@@氏は、読者にこんなアドバイスをしてくれた。

「ハローワークに提出する離職票の離職理由は、確認したほうがいい。
そこを会社都合であるにも関わらず、“自己都合”と記入している会社も一部にある。
会社員がはまりやすい罠でいちばん多いのは、“あなたは会社にこんな損害を与えた。
だから、辞めてもらう”と懲戒解雇をちらつかせるパターン」

かつて私が取材した会社のケースでいえば、懲戒解雇をするかのように社員を脅していた。
そして「辞表を書けば、解雇は避けることができる」となだめて辞表を書かせようとする。
執拗に、辞表にこだわり抜くのだ。

ここまでくると、ペテンと言えなくもない。
あなたの会社は、まともだろうか。