朱鷺メッセ    ワロタよ

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939NHK新潟
〈ナレーション 声:内田明香〉
……乗せていた支えをゆっくりと下げていきます。
これに合わせて床板もたわみますが一定の位置まで下げればたわみは止まり、支えが外れる筈でした。 しかし決められた位置まで支えを下げたあともたわみは止まりませんでした。
委員会ではこの時に想定を越える大きな力が掛かり、その後の落下に繋がったのではないかと見ています。
なぜこうしたたわみが出来たのか。 委員会が次に注目したのは床板と屋根の間に斜めに取り付けられた斜材ロッドという鉄の棒でした。
連絡通路の強度を確保するためには欠かせない物です。 委員会はこの斜材ロッドを取り付ける際の手順が違っていたため支えを下げた際に通路が大きくたわんだ可能性が高いとの見解を示しました。
〈丸山久一 事故調査委員会長〉
施工の手順を、あの、かなり、その、綿密に立てててやらないと、あの、どっちかとどっちか、あの、前後するだけでも、あの、あた、あの、影響が違ってると、あの、引っ張る、順番を、ちゃんと、うまくやらないとですねその影響が結構大きいとかですね。
〈ナレーション〉
手順が違った理由について委員会は工事関係者の間で意思の疎通が不十分だったのではないかと指摘しています。
〈丸山久一 事故調査委員会長〉
施工の方は一応設計で言われた通りにやってると、えー、いうふうに言っています。
で、えー、設計もある程度まあ、あのー、こういうふうにやれば大体出来るだろうというふうな事でやってるんですが、あのー、ま、必ずし、私の印象では必ずしもですね相互の、意思の疎通が、えー、もうちょっと充分にあった方がいいかな…(切)
940NHK新潟:03/10/04 20:03 ID:???
〈スタジオ〉
高瀬アナ:はい、ここからは取材に当たっている内田記者と共にお伝えします。
内田さん今のVTRで調査委員会の丸山委員長が、その、工事関係者の間で意志疎通が不十分だったというふうに指摘していましたが、非常に気になる言葉なんですけれども、これは何を指しているんでしょうか?
内田記者:はい、落下した連絡通路の建設工事にはですね。 いくつかの業者が関わっているんですけれども、その業者同士の意思の疎通が不十分だったという事なんです。 えー、図で関係を説明したいと思います。
―― 以下 工事関係者の関係を説明 ――
発注:県
監理:新潟県建設設計協同組合,福地建設設計事務所
設計:SDG
施工:第一建設工業
――――
高瀬アナ:あの、こー具体的な部分ではどういったところが意志疎通が不十分だったんでしょう?
内田記者:はい、その点についてではですね。 調査委員会では言及していません。 しかし、関係者の取材を進める中で、どのようなやり取りがあったのか、どういう点で意志疎通が不十分だったのか、当時の状況が明らかになってきました。
床板が大きくたわむことになった、支えを外す、仮の支えを外す作業についてはたわみを抑えるために別の手順が検討されたにも関わらず、その手順が採用されることは有りませんでした。
〈テロップ:平成13年2月28日 黒字に白〉
〈ナレーション〉
床板に大きなたわみが出来る5日前のこの日、工事の関係者が打ち合わせを行いました。
設計担当の業者と工事を監理する業者、それに施工業者が床板を載せていた仮の支えを外す作業について相談したのです。
この席で設計担当の業者からひとつの提案が出されました。
床板の下に新たに仮の支柱を付け加えるというものでした。
941NHK新潟:03/10/04 20:04 ID:???
―― CG画像 ――
0(A1)1(A1)2(A2)3(B2)4(B1)5(B1)6(B1)7(B1)8
スパンA:左斜めの斜材ロッド区間、A2は片側のみ
スパンB:右斜めの斜材ロッド区間、B2は片側のみ
0部と 8部に恒久的本設のV字型支柱がある
連結部 7に全体の仮設支柱撤去後も残る新たな仮設支柱、1基を設置する
――――
〈ナレーション〉
詳細な計算の結果、追加の支柱が無い場合、最大で 120mmに達する床板のたわみが支柱を付け加えることで 50mmから 70mm程度に抑えられると分かったためでした。
設計を担当した東京の会社です。
―― 設計担当会社(SDG)社屋映像挿入 ――
担当者はたわみの幅を抑えた方が良いと考え、この提案をしました。
〈中田琢史 構造設計集団 SDG(当時)〉
私の認識ではその、会議ではその方向で行きましょうと、いうふうに施工者と監理者、が、まあ、認めたと。
〈ナレーション〉
施工業者が残していた打ち合わせの記録です。
出席者は支柱を追加することを確認し、見積りを依頼したことが記されていました。
打ち合わせから2日後の 3月2日、工事を監理する業者と施工業者が県庁を訪ねました。
支柱を追加すること、そのために、およそ 800万円の経費が必要になることを相談するためでした。
これに対し新潟県は年度末であることなどを挙げ 「コストは負担しない。 設計事務所と施工業者で協議すべき」 と答えたといいます。
翌 3月3日、工事を監理する業者は東京の設計担当者に電話を掛け、支柱を追加せずに支えを外すことが出来ないか尋ねました。
〈中田琢史 構造設計集団 SDG(当時)〉
県の方ではそういう対応は出来ないと、お金の問題、発注の問題いろんな事があって、それは出来ないんだから、えー、それが無くて本当にこの構造は、出来ないのかと、無い、無くて持たないのかという事を再三言われました。
それでーそのときに、えー、私の方では、えー、無い方向でも、検討をもう1回してみますと、いうお答えをしたと思っています。
942NHK新潟:03/10/04 20:07 ID:???
〈ナレーション〉
これと前後して工事を監理する業者は施工業者とも協議をしました。 そのとき施工業者が受けとったという書類です。 支えを外すジャッキダウンに取り掛かるようにと記されていました。 支柱の追加の指示は有りませんでした。
〈若月正明 第一建設工業総務部長〉
そのやり方でいいよと、いう返事を貰っています。 それを最終的に、えー、3月の 3日にですねふk(言葉を濁す)事務所の方が、これでやって宜しいと、いういう許可をくれております。
〈ナレーション〉
施工業者はその翌日から仮の支えを取り外す作業に取り掛かりました。
ところが、想定していた高さまでジャッキを下げてもたわみは止まりませんでした。 しかもこのたわみで鉄骨が歪み、床板にひびが入りました。
〈若月正明 第一建設工業総務部長〉
私どもとしては、うーんぅ、ほんと驚いているわけですね。 あのー、当初、あのー、このやり方で、えー、ね。 48mのスパンのですねジャッキダウンをやった場合は 120mmと、いうたわみがですね、出ることが想定をされておりました。
ただ 120mm下ろしたときにですね、まだジャッキが効いておったと、ジャッキに過重が掛かっておったと、これはもうひとつ想定しないことだったんですが、ひび割れが出たと、いうようなことで、ジャッキダウンを止めてですね、
設計事務所の方に、えー、指示を仰いだと、いう事です。
〈ナレーション〉
支柱の追加を提案していた東京の設計担当者は支えを外す作業が始まっていたことを知りませんでした。
〈中田琢史 構造設計集団 SDG(当時)〉
ジャッキダウンをやる前に、そのジャッキダウンのための計画書、どのような手順で誰がどのようなことをやるという事をちゃんと明文化した物を監理者、設計者、それから発注者がそれぞれ承認して、ま、承認を得た上で、
そのー、実際の工事が行われるべきであって、そういう物が無いままに、えー、工事が、こう、バタバタと、行われたという事が、あのー、それ自体ちょっと信じられない事だと思っています。
943NHK新潟:03/10/04 20:07 ID:???
〈ナレーション〉
工事を監理する業者は NHKの取材に 「詳しい事について覚えていない」 と答えています。
―― 福地建築設計事務所 社屋映像挿入 ――
工事を発注した新潟県はこうした状況を把握していませんでした。
〈武藤克己 新潟県港湾空港局長〉
基本的には、そのー、仕組みとしては、あー、まあ、あー、その、施工監理については協同組合の方にお任せして、そちらの方で対応していただくというのを基本にしているものですから…(切)
工事関係についてはですね、あのー、県の方で、えー、立ち会うとかですね、あのー、いっしょに、えー、協議するとかいう立場には無いですね。 (うんうん、自分でうなずく)
〈スタジオ〉
高瀬アナ:はい、支えを外す作業でたわみが起きるまでの5日間のやり取りが明らかになったわけですが、えー、意思の疎通は確かに充分ではなかったようです。
えー、内田さん、しかしそのー、なぜ支柱の追加ですけれども、作業の直前にしか提案されなかったんでしょうか?
内田記者:はい、それにも意志疎通の問題が関係しているのではないかと考えられています。 そもそも連絡通路の建設計画全体についてですね、実際の設計担当者には着工前の早い段階には伝わっていなかったという事です。
このため着工後になって、3回の設計変更が行われています。 支柱の追加も複雑な役割分担の中で、責任の所在があいまいになっていたと言えます。
高瀬アナ:今日はスタジオにゲストをお迎えしています。 東京大学、大学院で建築構造学を研究していらっしゃいます神田順教授です。 神田さんよろしくお願いします。 ここまでご覧になっていかがですか?
神田教授:よろしくお願いします。 私も初めて、ビデオ、拝見しまして、やはりそのコミュニケーションと言いますか、そのー、設計した人が考えていることが、その、工事担当者とか工事監理者にやはりちゃんと伝わっていなかったという印象が非常に強く思われます。
944NHK新潟:03/10/04 20:10 ID:???
高瀬アナ:あのー、私達からするとですね、支柱を追加していれば今回の事故は起きなかったんじゃないかという気もするんですが、これについてはいかがですか?
神田教授:まあ支柱を追加することはまあお金も掛かるわけですが、まあ県が発注者ということですから、お金の問題ですとか時間の問題に対しては、まあ、県として判断をするという事になると思うんですが、そのときにやはりその安全という事になりますと、
実際にそれを設計した人が一番良く知っているわけですから、やっぱりその間のコミュニケーションっていうのは非常に大切、で、そういったものが充分行われないままに、あのー、判断が先に進んでしまったという、そういう印象ですが。
高瀬アナ:あの、その、複数の業者がですね今回のように役割を細分化して分担するというこういったケースというのはよく有るものなんですか?
神田教授:そうですね、まあ、あの設計と施工は、あのー公共工事の場合は分離してやるというのが、あー、日本でも一般になっておりますが、もちろん設計施工一体でやる場合もございます。
えー、ただ今回の場合はまあ設計の下にまた別の会社がえ、設計に入っていたり、えー、構造が別になったりという非常に多くの、業者が、関係をしているということから、まあ、一番大切なのは、まあ、数が多いかどうか、
ではなくて実際に設計だったら設計をするのは誰がその責任を持ってやるのか、えーそれぞれの、部署に関して責任を持ってやる人が誰かという事がですね内からも外からも見えるようになっていなければ、
県の側からは、その、構造の設計が誰かという事がほとんど見えない状況の中で、あの、工事が進んでいたという所が問題なんだと思いますけれども。
高瀬アナ: まあ単にその今回この事故の原因をはっきりさせればいいというのではなくて様々な視点から見ていかなければならないという事が言えそうです。
945NHK新潟:03/10/04 20:10 ID:???
―― 以下 原因究明の体制について 要点のみ抜き書き ――
独自に事故の原因を究明していこうという団体、日本建築構造技術者協会。
設計士や建築に関わる研究者など 3,500人の会員。
独自に調査委員会を立ち上げ。 建築士と大学教授メンバー7人。 青木繁 日本建築構造技術者協会 調査委員会長。
協会、新潟県に第三者として調査参加要望、資料提供要望。 工事を発注した新潟県が調査するだけでは不十分。
新潟県、県が責任を持って調査する。 結果は一般公開する。 要望は断る。 設計士の団体は当事者に当たるため公正を期すため任せられない。
協会、県も発注者という立場で見れば当事者ではないか。
神田教授、日本では事故調査での第三者性を求めるという意識が弱い。 今、動いている調査委員会はいろいろな情報を開示して進めてもらいたい。 構造技術者協会という職能団体が自らを律しようとするならば県はそれに協力すべき。
神田教授、技術的な問題だけではなく、ただ法律や規則を守っていればよいという問題でもない。 それぞれの立場の責任をクリアにし、外から見ても分かるように。 法的な整備も必要ならすべき。
県調査委員会、今後1か月を目処に落下の技術的な原因を特定したいとしている。