米軍による「抑止力」は幻想
http://unkar.org/r/diplomacy/1183257300/604 <週刊ポスト20106・18/25記事>
http://unkar.org/r/diplomacy/1183257300/618 小沢氏をさらに激怒させる事件が起きた。5月4日に沖縄を訪問した鳩山氏が、「昨年の衆院選当時は、
海兵隊が抑止カとして沖縄に存在しなけれぱならないとは思っていなかった。学べば学ぶほど(海兵隊
の各部隊が)連携し抑止力を維持していることが分かった」と語ったことだった。
小沢氏は敏感に反応したという。「抑止力なんて言薬を使っちゃ駄目なんだ。そんなことは歴代政権が
絶対にいわなかったんだからな」自民党政権下でも、長く「米軍は抑止力」とはいってこなかった。
安保条約上、米軍が日本に駐留する理由は、「日本を外国の攻撃から守るため」とされていたからだ。
しかし、海兵隊はそもそも急襲部隊であり、極東有事の際に、他国の戦闘地域にいる米国人を救出する
ことを第一の任務にしている。米国議会でも、国防総省は海兵隊について「日本の国土防衛のために
いるわけではない」と認めている。
日米外交史の上で初めて「抑止カ」が語られたのは、小泉政権下で進められた普天間再編論議の中で、
「沖縄の負担軽減と米軍の抑止力を維持する」とその目的が説明されてからだ。日本防衛の役割を持たな
い海兵隊のために新たに巨大な基地を建設するという矛盾を国民に説明するための著しい言い訳であった。
「鳩山首相は、艮主党中心の『沖縄等米軍基地問題議員懇談会』の会長を務めていた。懇談会では
海兵隊の性格について何度も協議しており、抑止力ではないことを十分に理解している。だからこそ、
普天間の県外・国外移設は可能だと判断した(懇談会幹部)それを今になって、「学んだ」というのは、
現行案に戻すために、小泉政権と同じ誤魔化しの論法をいわざるを得なくなったからに他ならない。
「安全保障には人一倍の関心と知識を持つ小沢さんは、”小泉ポチ路線”を大転換しようと誓った鳩山首相
が、同じ言葉を使って対米従局路線に逃げたことが許せなかった」(前出の小沢側近)
そして閣議決定の前日、与党内で鳩山-小沢路線のまま「国外・県外」をめざすべきだという勢力が署名
集めを始めると、「辺野古現行案」を押し通そうとする官邸との間で壮絶な抗争が起きた。平野氏は
「倒閣運動だ」と署名つぶしに動き、官僚派の副大臣らが署名しないように党内に働きかけた。