日米同盟総合スレッド

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582名無しさん@お腹いっぱい。
「 ならず者国家が横行する世界 」
『週刊新潮』’07年12月13日号
日本ルネッサンス 第292回

 今年出版された『対北朝鮮・中国機密ファイル』(欧陽善著・富坂聰編、文藝春秋)は、北朝鮮、
中朝関係、韓国、さらにはアジアのなかの日本への、彼らの見方を理解するうえで極めて役に立った。
『機密ファイル』は文字どおり、中国政府中枢部の握る機密情報を書いたものだ。中国共産党の
現役官僚を中心とする複数の官僚が「欧陽善」というペンネームで書いたのが同書である。

 では、中国嫌いを鮮明にする南北朝鮮に、中国はどう対処してきたか。触らぬ神に祟りなしとばかり
に、終始及び腰だったと、「欧陽善」は強調する。とりわけ北朝鮮との関係は、中国の一方的譲歩に
よって成り立ってきたとまで、分析する。
 そのことは、歴史問題にも思わぬ影を落としている。抗日戦争のとき、日本軍に編入された
朝鮮人兵士は日本人兵士より凶暴≠セったが、戦後の愛国教育のなかで、中国は朝鮮の罪を
不問にし、日本だけを責めたというのだ。それだけ朝鮮半島に対しては遠慮≠オているというわけだ。

 中国の朝鮮民族に対する思いは、北に対するそれと南に対するそれとでは本質的に異なる。
「なぜか韓国に対しては嫌悪感と軽蔑の感情」が先立つというのだ。92年に中韓国交が樹立され、
両国関係は改善されたにもかかわらず、中国人の心は韓国から離れていくと、次のように書かれている。
「韓国人に対しては、最初こそ強い親しみを抱くが、その国を知れば知るほど嫌悪感に変わっていく」と。
 同書で分析される日本及び、日本人像も興味深い。たとえば、韓国人に対するのとは対照的に、
中国人は当初は日本人に「非常に悪い印象を持つ」が、日本に少し滞在すると、印象は「だんだん
良いイメージに変わり、ついには感服へと変化する」というのだ。
 しかし日本は、「アメリカに追随し過ぎ」で、「独自の判断も行動もできない」と決めつける。日米同盟の
限界をも冷静に分析して同書はこう書いている。
 同盟国であっても、所詮は国家戦略という基盤の上の一コマにすぎない。「日本人拉致事件」が米国
で起これば、米国は軍事行動を起こし、第二次朝鮮戦争になっていた。だが日本には「その力はない」
「そうした発想をする政治家もいない」「日本の政治システムもそれを許さない」と、半ば以上、冷笑する。
http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/archives/649