■東京からの機能分散の動きは第二段階へ移行 【りそな総合研究所】 2012年4月11日
(関西に本格的な拠点の新設を含む動きが出てくる可能性)
東日本大震災をきっかけに、東京への集中が進んでいた本社機能の分散化が進んでいる。
主に東京から西日本への分散が進むなか、電力不足を抱えながらも、関西は第二の経済園としての存在感を発揮している。
具体的な動きとしては、銀行や生命保険、損害保険会社を中心に、既存の大阪拠点を拡充、
非常時には東京本社に代わって業務を継続する体制が進んでいる。
また、製造業でも東洋ゴムが東京本社の拠点機能を大阪本社に統合する計画を発表した。
これらの東京から関西への機能分散は、既存拠点の人員拡充が中心となっているが、拠点の新設は時間がかかるため当然である。
今後は震災時に拠点の新設を検討し始めた企業が、立地や入居ビルの選定、条件交渉を終え、動き出すと見られる。
その例として、去年12月に新生銀行が大阪支店を移転するとともに拡充、本社代替機能拠点とした他、
貴金属製品の製造・販売を手がけるTANAKAホールディングスも、この4月から大阪本社を稼動させ、
東京/大阪どちらが本社機能を失っても機能継続できる体制を整えた。
これらを裏付けるように、足元のオフィス空室率低下が進んでいる。
図表2は東京の千代田区、港区エリア、大阪の梅田、淀屋橋・本町エリアであるが、
大阪の梅田、淀屋橋・本町エリアに急速なオフィス空室率低下が見られる。
https://www2.rri.co.jp/chiiki/pdf/office1204.pdf 稼動床面積の推移も去年10月に一度減少した後、再び増加が強まっている。
推測であるが、去年10月の現象は震災後の一時避難を含めた仮需要の剥落によるもので、
その後の増加は本格的な拠点配置の動きと見られる。
東京から関西への機能分散は第二段階に入った可能性がある。