メモ帳を三次元的に使っていると話したら「お前それ使いにくくねぇか」と言われたのでやめた。
街中でナオンとすれ違うたびに一文字ずつ言葉を囁かれることがある。
繋げると「モノリスの不協和音」とか「好きにしていいのよ」だとかそういう類の音になる。
浸透性中耳炎そんな名称だったと思うが喧騒が耳を劈くとドロリと滲み出す。
子供のころ、脳みそが漏れ出しているという妄想に取りつかれ足しげく病院に通っていた。
足しげくというのは心持ちの話でさらに言えば通っていたのは耳鼻科だが。
診察室に貼ってあるポスターの色調が青みを増して、鼻の奥…目じりの辺りに苦味を感じる。
そして海に溶けていく太陽のような体の重さがつま先から身体の中心に向かって押し寄せる。
話は変わるが、歯医者で歯科助手に口の中に指突っ込まれるとだんだん興奮してくるのが不思議でしょうがない。
振り返るな、屍は光を食い物にする、そうしてゆっくりとお前を蝕み、大好きな絵の中に、とじこめられた。