234 :
千野:
僕のように逃げてばかりの人間でも
ほんの一瞬輝くこともあるようで
その瞬間だけは人々は僕に価値があるかのように錯覚し
でも贋物は光を放つことはできないのだから
やがて皆僕に失望する。
目が覚めた人々は優しい人々は幻滅を隠して僕に接する。
でも僕は透けて見てしまう。
突然期待のはしごをはずされた僕は安堵するけれど
彼らの本音を透けて見てしまう。
こういうとき僕は、自分を何も感じない人間になりたいと思う。
そして後には冷めた人間関係だけが残る。
僕はそこで何をすればいいのか本当にわからない。
235 :
千野:2010/02/18(木) 11:55:38
「皆さんすみませんでした。僕は皆さんを騙していたんです。
僕には皆さんが思っているような優れた部分はないんです。
それらは全て借り物の贋物で、本当は存在していないものなんです。
僕はそれがわかっていたのに、黙っていました。
皆さんの勘違いが加速していくなかで、僕は沈黙していました。
全て僕が悪いのです。どうとでも罵倒してください。
何の罪でも受け入れます」
「誰も君を責めていないよ」
遠くを見るように微笑んだその顔で、誰かが言った。
「僕が全て悪いのです。僕を許さないでください。
僕を責めてください。僕に悪意を向けてください。
だからどうか皆さん僕から遠くに行かないでください……。
僕を置いていかないでください……。
僕を、僕を過去にしないでください、ここにいます、
僕はここにいます、まだ僕はここにいるんです」