大好きな愛犬に捧ぐ独り言。

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582柊の国の鰍と柊准尉
図書室の鰍が例によって『獺祭』してるのを見て、 >>574
柊准尉は何だか嬉しくなった。自然と微笑んでいたらしく、鰍が気づいて
「なぁに? 准尉」と聞いてきた。

「鰍がやってるそういうのを『獺祭』というんだそうだ」
「――ダサイ・・?」鰍が小声で呟き、顔を赤くする。
「違うよ、莫迦だな。難しい字で書くんだけど――考えてみると俺には書けないや。
辞書で引いてみ? 鰍がやってるみたいに、
本をたくさん開いて考えごとをすることを『獺祭』って言うらしいよ」

鰍は ふぅん・・ と席を立つと辞書コーナーへ行き、
大きな辞書を重たそうに運んで机の上に置いて引いた。
柊准尉も寄ってゆく。

「ほんとだ。――獺祭魚・・ 「獺、魚を祭る」・・ もとは漢文なのね。
川獺(かわうそ)が岸辺に魚を並べてお祭りする様子から。ふぅ〜ん・・」
「おととい、実験のあと、アイさんと飲んだのが『獺祭』というお酒だった」
「ふ・ぅう〜ん? わたしが実験失敗した日に楽しく飲んでたんだ」
「変な言い方するなよ。「宇宙一素敵な女の子に乾杯」って言ってたぞ」

鰍が視線を宙にさ迷わせる。