ああそうか
セレッソがあまりにもダメポだからか
オフ報告のつづきまだー?
そ。
ん。
ざ。
い。
スパスパスパークスプラッシュスター! ふたりはふたりはそ・ん・ざい♪
クルクルミラクルスプラッシュスター! ハッチャケブッチャケノーノープロレーム♪
ふたりはぞんざい スプラッシュスター☆
ロップ読みたいなぁ
その前にオフ会の続きを
戦国史日記も読みたい
911 :
名無しちゃん…電波届いた?:2006/08/27(日) 07:10:26
ほす
戦国放浪6日目。えら〜紀伊にのがれる。
このころ列島の勢力図は大きく書き換えられていた。
何と言っても北九州の後毒帝国の躍進、
それにともなうナルニア国の縮小である。
当事者でもない私に何が語れるわけでもない。
しかし天下の三分の一(九州南半分、四国中国と近畿の一部)を
治めていた国の滅亡までの時間の短さに驚かずにはいられなかった。
さて濤国も戦乙女国に対し防戦一方で
逆転の糸口は見いだせないようだった。
ナルニア国がついに越前・山城の二か領になり、我が国は
紀伊・尾張・和泉の三か領になってしまっていた・・・
1577年私が所属していた後方守備を主としてやってる部隊は
紀伊への移動をはじめた。要するにもう尾張・和泉は守りきれないという
判断であろう。じっさい尾張はすぐに占領され、和泉は多少時間を稼いだものの、
六月には戦乙女国のらすてぃねいる率いる一軍の進入を許すことになった。
翌月七月、紀伊城炎上。
濤国は滅亡した。
落城時に私は山に逃げ、そのまま隠れ家生活をはじめる。
八月にナルニア国が滅びた由、耳にする。西日本は後毒帝国
(と、行動をともにして地味に勢力を伸ばしてきた都路里国)の
ものとなったようだ。東は言うまでもなく戦乙女国である。さて。
身の振り方が決められず、まる二年が経過した。
(ノД`)シクシク
これで終わりはヤメテー
つか蟹さんがw
戦国放浪01
正午の太陽が初秋の村を照らしていた。
山あいの集落では蝉の声が何重にも響きあって異様に大きい音になる。
山から人が下りてくる。馬の蹄の音はふた色ほどしかないが、
十人以上の男たちの荒々しい声が武器のふれあう鉄音のあい間に聞こえる。
それらは人の気配のしない村に、まさに上がり込むように割り込んできた。
馬に乗ったその集団のリーダーとおぼしき男は肩に立て札を負っていた。
集団が村の中央の小さな広場になっているあたりで停止し、大声で呼びかけた。
「よく聞け!」村が無人のはずはないのだ。刈り入れ前の田を捨てる百姓はいない。
「昨年来よりこの土地に入府された細川様の制札じゃ。もはや一色様には何もできぬ。
村の平和のためにもこれを」立て札の木杭の部分を持ってかかげて
話を締めた「ここに立てることをすすめるぞ」
しかし彼の声に答えたのは山々に響きあう蝉の声だけだった。
あまりの人の声のなさにさすがに不安になる。おい、と近くの者に言うと、
男たちは心得たように四方に散った。
しばらく数軒の家の戸を破ったり、物置・家畜小屋などのぞいていたものの、
誰もいない、ということしかわからない。どういうことだ・・・馬上の男は
明らかに不快な顔つきになっている。
天正六年。前年の明智光秀による丹波平定に続いて、ここ丹後には
細川藤孝の軍が侵攻していた。建部山城にたてこもる一色義道は三ヶ月の籠城の後
東の中村城(現・東舞鶴)に落ちのびる。
しかしすでに城主沼田勘解由は細川方への投降を考えており、主君に自刃を迫った。
追撃してきた藤孝の息子忠興は一色義道の首を受け取る。
義道には義俊という子供がいた。彼は父にならわず、その場を脱出。
北の宮津に向かった。そこには一色氏に臣従を約する人々がまだ多くいたからである。
そのうちのひとつ弓木城に入って、細川氏への抗戦を表明した。
細川軍もこれを追って宮津に入り、そこから幾度か攻撃をこころみるが全て失敗する。
翌年明智光秀の仲介により、細川家の長女菊が一色義俊に嫁し、和睦となった。
丹後の北を一色、南を細川というのがタテマエ上の条件であった。
細川軍は建部山城に引き上げた。しかしその本陣のあったところ(現・宮津市辻町あたり)
には宮津館の建設をはじめており、決して丹後一国まるごと支配を
あきらめたわけでないことは誰の目にも明らかであった。
とはいえしばらくは戦争はなくなったのだ。
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日本人やねんからおこめが好きで何が悪いねん!
(蟹氏の人気に嫉妬・・・)
戦国放浪02
「お頭!」村の一方から声が上がる。部下の一人が男女一名ずつを引っ張ってきた。
男女、といったがどちらもおそらく十代か、幼い顔をした少年少女だった。
少年は線の細いタイプ。ずっと目をつぶり、手探りで前に進み、
少女に手をとられてようやく歩けるといったふう。目が不自由なようだ。
質素だが仕立てのいい水干、袴を身につけており、この村の人間でないことは明らかだ。
「お前たちは何だ。ここの連中はどこに行った。」
「私たちはただの旅人で・・・」少女のほうが答える。打掛をはしょった
壺装束で束髪にした髪を衣装のうちに収める。当時の典型的な旅装だ。
「誰もいないみたいだったから少し食べ物を貰おうと思って・・・」
女は武器を持った男たちにおびえつつも、しっかり返事した。
しかし「お頭」にとっては不満なセリフであった。もはや交渉相手を探すことは
あきらめたらしい。「適当にそのへんから、食い物と牛馬を集めろ。ひきあげるぞ」
部下たちは締まらない笑顔をさげて四方に散った。
「そこのボーズ、お前、目が見えないのか」
男の声が少年には聞こえているのかどうか、表情に変化がない。無表情の
やや笑顔より、といったふうで決して嫌みはないのだが男の言葉は聞き流しである。
かわりに女が答える。「はい、弟は生まれつきこれで、私が旅の付き添いを」
「では持って帰っても使えんな」馬の口をとる部下に目で合図する。殺せ。
部下は手の長柄を握りなおし、一歩前に出る。
ぱあん
かわいた破裂音が響く。山にこだまして何度も小さく聞こえる。
馬上の男は額から血を吹いて後ろに倒れ込んだ。馬は音に驚き、かつ
手綱の持ち手がいなくなったことから、いななきひとつ、山に向かって走り出した。
姉弟の前にどさりと死体が落ちる。
「ひっ」部下の男が声を上げる。頭を低くして小走りに駆け去る。
各家を物色していた男たちも、音に気付いて表に出てくる。が、道の真ん中に
仰向けに死んでいるお頭を見て一様に言葉を失っていた。誰がやった、どうする、などの
小さい声でのやりとりがあったものの、二回目の「ぱあん」という大音に、
道ばたに逃げた部下が吹き飛んだのを合図に一せいに逃げ出した。
文字通りの「四散」であり、あとには散らばった食料や家財、・・・
そして盲目の弟とその手を握る姉の姿だけがあった。
「や、お見事でしたな」気がつくと男たちが去った山とは反対側の山から逆の方向の山から
人々がぞろぞろと下りてきていた。老若男女、おそらくこの村の住人たちであろう。
その先頭には老人と鉄炮を肩にした青年とがつれだっている。
さっきの音は青年の撃った弾丸だったのだろう。
道にへたり込んでいる姉弟に気付かないふうに、ずかずかと銃を持つ男はかたわらを
大股に歩いていく。そしてさっきの山賊まがいの武士たちが置いていった物の一つ
立て札を拾い上げ、文字にさっと目を通すや「へっ」と軽く笑うと脚で棒をへし折り、
さらに拾い上げては板をふたつに割って捨てた。
そしてようやく姉弟の方を向く。
「お前たちはここの村の縁者か?」
制札というのは乱妨(略奪)禁止を呼びかけた告知である。
軍が侵攻する際、特に圧倒的な戦力差で勝負がつくと予想されるときなど、
進攻先の地域では自分たちの村が荒らされないようあらかじめ軍にこの制札を求めた。
この村の者は味方であるから自軍は略奪をしないように、という内容の立て札である。
当時の軍事行動の主目的は占領地での収奪であったから、自分の領主のものとはいえ兵士たちが
立て札一枚で完全に抑えられたとも思えないが・・・侵攻側としては高額でこの制札を売ることが目的で
効果のほどなどは問題にならなかっただろう。
そんなアテにならない物でも紛争地に近い村々では買わざるをえなかったのである。
ちなみに秀吉が関東侵攻の際、販売した制札の値段は一枚につき3200文であった。
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オフの続き漫画激しくきぼーんです!
締めを大切にしない奴なんて大嫌いだ!
また♪オフやりたいねぇ♪
実はメイドが本物のバニラだったんだろ?
「いいえ私たちは大阪の高槻というところから来ました旅の者です。こっちは弟で・・・」
小さな神社の神主なのだという。戦火に焼け出されて親類を頼って田辺(現在の舞鶴)を
目指しているらしい。ふーん、と男は大して興味もなさそうに聞いている。
「村長、コレは連れて行っていいか」村長と呼ばれたかたわらの老人は
はあ、とどうともつかない返事をする。「あと、腹が減っているようだ。
こいつらにもメシを食わせてやってくれないか。」
村は片付けに大わらわだったが、それを尻目に村長宅の炊屋に上がり込み、
青年は我が家のようにふるまった。彼と彼の持つ銃の前にまったく誰も
文句は言えないようだった。雑穀を炊いたものと香の物がついている食膳が運ばれてきた。
おそるおそる食事を始める少女。弟は手探りで膳を確認している。
「俺の名はスケナオ。お前らは?」
「私は志保。弟はのりとといいます」
「塩と海苔か・・・村の東の道を下っていくと由良川という川に出る。その川に沿って
上っていけば福知山、下っていけば建部山(田辺)だ。そこまで一緒に行く」
「あ、ありがとうございます」
言葉や態度とは裏腹にやたらと親切な青年にとまどいつつ礼を言った。
「何、ついでだ。」椀をとるとがつがつとかっこんだ。
「村長」今度は老人の方を向く「ここも細川方のうるさいことになってきたな。
我々としてはこちらを見捨てることは絶対にないが、そろそろ城に上がることを考え
なければなるまいな」老人はうんうんと頷いている
「何にせよ、刈り入れの後の話だ」青年は締めくくった。
道はしばらく下ると道とは名ばかりの荒れた小道になった。
姉はともかく目の見えぬ弟にはやや難しい道である。たちまち先を歩く男と
姉弟とのあいだに差ができた。足元の砂利に気を遣いつつ、ゆっくり下りてくると、
あからさまに気分を害した顔で男は待っていた。二人の姿を見ると、また
さっさと坂を下っていく。それを何度か繰り返した。
「山の中で一夜を明かすつもりはないぞ」
「・・・どうぞお先に行ってください」志保にはこのスケナオという人物のヒステリックな
しゃべり方がどうにも好きになれない。
「黙れ。これを持て」
男は今まで自分の肩にしょっていた銃を女にどんと渡した。ずしりと重い。
志保も何度か銃は見たことがあるが、この銃は他のものより幾分長さがある。
火縄もワラを編んだものではない。綿の紐のようだ。スケナオ氏の工夫だろうか。
「火縄は点いてないが、火薬と弾丸は詰めてある。筒は絶対下向きにするな」
そう言いながら、弟の手をとると、自分の背中にあてさせた。
腰を落としてひょいと器用に少年を背に乗せてしまった。「行くぞ」
三人は悪路の坂を下り始めた。
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明智光秀が丹波の波多野氏を滅ぼしてから、この地は京と「地続き」になった。
とはいえ由良川のほとり、丹後との国境のこの町はまだまだ小さかった。
将来の発展を予想してぼつぼつ商家が集まり始めてはいたが・・・
漣屋
(さざなみや・・・?)割りと立派な構えの家の前でスケナオは背の少年を降ろした。
女は入り口に掛かる看板をすばやく読む。が、何の店かはわからない。
店の奥の暗がりから主人とおぼしき年配の男の声がした。
「いらっしゃいませ。まだまだ暑うございますな」
陽はそろそろ傾き始めていた。
西日のなか、小柄な老人と鴨居に頭をぶつけんばかりの大男がぬっとあらわれた。
老人はてこてこと志保に近づくと、いきなり着物の上から彼女の胸をわしづかんだ。
女は反射的に身体を反らし、老人のカオに平手を入れる。小気味よい音が響いた。
「何をする!」
彼女の声を老人はまるで聞こえぬふうに、うんうんとうなづきつつ今度は弟の顔をなでる。
「こっちは目が見えないのかい。しかしキレイな肌だし、育ちが良さそうだ。」
志保は老人の独り言をイライラしながら聞いている。
「スケナオさん!何なんですかこれは」
スケナオは何も答えない。火縄銃を彼女の手から取ると、店に入っていった。
老人は大男に「おい」とだけ言って、やはり青年のあとを追うように店に入っていく。
「ああいうのを好む旦那さんもおられます。ふたりあわせて800文でいかがでしょう」
「現金は200文でいい。のこりは硝石と硫黄でくれ」
いつの間にか大男は大きな板状の物を抱えて女のそばに立っていた。
「・・・!」
がしゃん、と二枚の板が金具で留められ、女の二本の腕は前で固定されてしまった。
手錠であった。
「まだ家出中でしたとは・・・。いいかげん弓木にお帰りになっては?
もうまる一年でございましょう?稲富様もご心配になっておられますよ」
青年は老人の言葉を聞き流し、へっという吐き捨てるような笑いを浮かべる。
(イナトミ・・・?)
大男に引きずられ、屋敷裏に引っ張って行かれそうになっていた志保は
店の中の男二人のやりとりを聞き逃さなかった。この機会を逃したら、
売られてこの身をどこにやられるかわかったものではない。
「稲富様、とは弓木城主稲富直秀さまのことですかっ!
それならば申し上げたいことが!」必死の叫びであった。
ようやくスケナオの顔が女の方に向いた。
「俺はその直秀殿の息子だ。稲富伊賀守祐直」
「お前」女は手錠の鎖を持つ大男に呼びかけた。「私の襟元の縫い目をほどけ」
大男は少々判断に迷う。祐直がうなずいて「やれ」と合図する。
襟元には色違いの糸による縫い目が一条通っていた。
それを抜き取ると、内より小さく折られた紙が一枚出てきた。
大男はそれを広げつつ、祐直のもとに駆け寄ってくる。青年はそれを当然のように
受け取り、目を通す。主人もそばで好奇心からのぞきこんでいる。「ほほう・・・これは」
のりと殿のお力を借りたし、田辺城(一色氏の建部山城に替わって建てられた
細川氏の城。のちに「舞鶴城」と呼ばれる)まで来ていただきたい。
しごく丁寧な内容の文であった。
「・・・。」
「勝竜寺(細川)様の花押入りですか。これは本物かもしれませんな。」
店外より志保の悲痛な声が聞こえる。
「私を助けろ!田辺城まで私たちを連れて行けば、細川親子に会えるぞ!
一色の御家中にはいい話だと思うが!」
何、嘘だったら撃ち殺すまで・・・鉛玉二個損ずるだけの話だと
祐直は誰に言うともなくつぶやいた。
一呼吸おいて「800文は返す。漣屋、この娘と小僧は連れて行くぞ」
「ご冗談でしょう」「?」「それは買値でございます」
この姉弟を都でいくらで売るつもりだったのだ?と、祐直はややあきれて問うてみる。
「二貫(2000文)」老人は青年と視線を合わせず答えた。
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ロップもいいけど、オフ会もね^^
ロップキター!! (゜∀゜)ノシ
戦国放浪05
結局山で夜明かしになった。
街で宿を探すという選択肢もあったのだろうが
「余計な出費」のために祐直が文無しになってしまったことと、一刻も早く
田辺城に行きたいという意思によるものだった。
由良川のほとりを歩きながら、祐直と志保はひと言も口をきかなかった。
目の見えぬ者を連れての道行きであり、そう進めるものではない。不機嫌な一行は
ほどなく陽が落ちたのを潮に少し山に入ったところにあった洞窟・・・というか
崖にできたくぼみにもぐり込んだのであった。
志保は手際よく火をおこすと、腰の包みから干飯を取り出しのりとに食べさせている。
毛布のような厚手の布を引っ張り出すと、さっさと横になってしまった。
考えてみれば彼らは大阪よりはるばる来ているのだ。手慣れているのは当然と言えた。
「・・・では、火の番をお願いします。」
結局、街を出てから、女が祐直にかけた言葉はこれきりであった。
祐直も特に答えず揺れる火をぼんやり見ていた。
昼の暑さが嘘のようにあたりは冷え込み始める。
目を覚ますと姉弟はいなかった。
荷物ごとなくなっているから、逃げたのであろう。祐直はひとつ大きな伸びをすると
洞を出た。由良川の水音が聞こえるあたりまで下ると、
河原をよたよたと歩いているふたりを発見した。女も祐直の姿を認めたようだが
交わすべき言葉はないようだった。別に一緒に行動しなければならない理由もない。
祐直は距離をあけたままついていく。歩くのは河原ではなく山側の茂みである。
周りから「まる見え」の状態で歩くことが不安なのである。
本能的なものであったろうが、また、多少歩きにくい方が姉弟とペースをあわせられて
好都合でもあった。
弟の足が止まった。と、同時にその足元にひゅっと矢が飛んできた。
わらわらと三人の男が川を渡ってくる。案の定である。
祐直は茂みからゆっくり狙いを定めた。
へらへらと笑いながら女の肩に手をかけた男がまず頭を打ち抜かれた。
大音とともに空気を裂く音がし、次の瞬間くしゃっと野菜をつぶすような音がして
男は志保の足元に崩れ落ちた。いきなりの音と仲間の死により、残りの二人は混乱している。
頭を抱えてその場にしゃがみ込み、まわりをうかがいだした。
姉弟はタネを知っているものの強みで、彼らのとまどいをよそに
動揺なく逃げることができた。
「おいこら、待て」片方の男は弓に矢をつがえて構えた。
祐直はまずいと思った。弾丸を込めているうちに向こうの手に渡ってしまっては元も子もない。
やむをえない。がさがさっと茂みを飛び出し、銃を女に渡した。
無言で弟の手をとり背中にのせる。そして山の中に走って引き返した。
二人組の男はあっけにとられていた。
いきなり飛び出してきた長銃を持った男に驚きつつ、しかし女・子供と
高価く売れる商品に加えて鉄炮ときては、追いかけるしかないではないか。
足元の仲間の死体もそのままに、一呼吸のあと、男たちは駆けだした。
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ワフワフ
戦国放浪 06
鉄砲の価格はなかなかはっきりしない。当時のハイテク武器なので
高価であったことは確かだが、武器そのものよりもランニングコストが
はるかにかかったし(特に黒色火薬に必要な硝石は日本では産出しないため
まずは手に入れる困難があった)管理にも苦労したはずだ。
種子島時尭はポルトガル人から一挺金千両で買ったと言うが、
現在の一億円(二挺で二億円)支払えたとはとても思えない。
信長が長篠合戦まえに買い占めていた頃一挺五両前後、17世紀に入って
シャムとの交易船に積まれた火縄銃は一挺二両半から三両が相場だった。
現在の感覚で言うと五十万円くらいをピークに、戦乱がやんで半額になった感じか。
なお、現在では古美術の一ジャンルとして火縄銃は扱われるが、特殊な美品でない限り
一挺二十万円前後で手に入れることができる。
茂みに隠れてしまいさえすれば矢には当たるまい。そんな計算もむなしく、
祐直の背後から飛んできた矢は彼の左腕、ひじに突き刺さった。
ぐっ・・・
と短いうめき声を漏らして足が止まるが、二の矢三の矢がが付近の木々に刺さるのを
見て、あわてて傾斜を駆け上がる。
志保が不安そうにこちらを見ているのが、木陰でよく表情が見えないながらも判った。
「鉄炮をよこせ」祐直は弟を降ろすと右手で刺さった矢を抜いて捨てた。
山裾より声が聞こえる。止血したいがその間もない。
「志保、そこにしゃがめ。肩をかせ」
女は一瞬意味がわからない。おそるおそるその場にひざをつく。
「耳をふさいでろ」祐直は女の肩に銃身を置いた。
火縄銃は原始的な銃だが利点もあった。
火薬が弱い黒色火薬(音は大きく煙もひどいが)で、しかもたたくのではなく、
直接火を挿す方式であるため、手元にほとんど振動がなかった。
防柵や城壁の銃眼に筒を据えた場合、たいした訓練なしに
100メートル程度の射程を得ることができたようだ。後年、祐直が著わす
「稲富流砲術伝授書」では左腕を左足ひざで支えて台座とし撃つ「立て膝打ち放し」を
もっともスタンダードな射撃スタイルとしているのはまことに理にかなっている。
志保は両手を耳に当て、目をきつくつぶっている。
祐直の左腕からは血がどくどくと流れ出ている。目当て(照準)を男たちにあわせる。
逆光になっているのだろう。向こうはこちらの姿を見失っているかわりに
ターゲットは実にクリアにとらえられた。左腕の痛みは無理にでも忘れる。
指を引き金にあてる。その瞬間、弾道がどう伸びていくかたちまち予想できた。
もし当たらなければそれは自分が悪いのだ。祐直は絶対に嘘をつかない器械を愛した。
留め金が引っ込んで火ばさみが下りる。火縄は火皿にたたき込まれた。
ばぁんっ
軽く大きな音がして弓手はひたいを打ち抜かれて倒れた。
祐直はすかさず次の発射準備をする。火縄を上げて新たに口薬を挿し、火蓋を閉じる。
早合を筒口に当て弾丸と火薬を流し込む。手早くカルカでそれを押し込み、
ふたたび女の肩に銃をのせる。
しかし最後の一人はひゃあああという正体不明の叫び声を上げて逃げているところであった。
その後ろ姿を確認してから、祐直は意識を失った。
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祐直は空腹で目が覚めた。
左腕にもう痛みはなかった。
「動かないで。もうすこし・・・」あたりが暗くてよくわからなかった。
左腕を何者かが握っている。激痛と失血で意識を失った。そこまでは覚えている。
しかし今何者かに握られている左腕に痛みはない。
何より腹が減っているという時点で身体が正常にはたらきだしている。
(それにしても・・・)祐直はけげんに思う(一体今俺に声をかけたのは誰だ)
暗くてよくわからないがこの場所自体は、倒れたところと違っていない。
どこかに運ばれたのではない。木々の位置や地面の傾斜から言って間違いないだろう。
左腕を握っている者に対してお前は誰だと言おうとしたその時、
頭上の少し離れたところに人の歩いてくる気配がした。
明かりを持って近づいてくる。
祐直の顔を照らし
「あーあ、やっぱり助けてしまったのね」志保の声だ
「食べられる?干し飯をお湯で戻しただけのものだけど」
祐直の上半身がすごい力でぐいと引き起こされる。
明かりが近づいて初めて左腕を握っていたのがのりとだとわかった。
「置いていこうと私は言ったんだけど、弟がどうしても貴方を助けたいと」
「・・・」
祐直はまじまじと左腕を見る。何の障害も痛みもない。
そしてようやく理解した。
「そうか・・・それで細川はこいつを呼んだのか」
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オフの続きを密かに期待
翌朝三人は再び歩き出した。
だが、田辺城とは方向がやや違った。歩き出して半刻もたつと、まず
志保がそのことに気付いた。由良川に沿って歩いていたのにまた山の中に
入っていくではないか。「ちょっと・・・」どこかに売られるのではないかという
おそれが彼女にはあった。
「少し寄り道をする」祐直はぼそっとつぶやいた「治してほしい人がいるのだ」
「・・・」
志保は意外な言葉を聞いて黙り込んでしまう。これだけざくざく
人を殺しまくっている男が治したい人がいるとはどういうことだろう。
「姉さん、この人の言うとおりにしてください」
握っている弟の手から声が伝わってくる。
山を登り谷を下り・・・丹後はもとより山が多く歩きにくい土地だ。
たいした距離ではなかったかもしれない。岩がちで歩きにくい道では祐直はのりとを
背負うこともあったが、基本的にはケガを治してもらったからといって
二人に対する態度に変わりはなかった。
いくつかの村を抜けて、またなんの変哲もない寒村にたどり着いた。
人影はない。よそ者が通過するときはまず隠れて様子をうかがうのが「作法」だし
特に気にするようなことでもない。だが、祐直は少々それが気になるようだ。
なぜ誰も出てこない。独り言をもらす。そして村の中のひとつの家の前で足を止めた。
志保は祐直の背中越しにその家屋を見る。それは完全な廃屋であった。
住んでいるけれど隠れている、というのではない。木戸も壁も水で腐り、
屋根が落ちている廃屋だった。
祐直の背中に「怒りの」表情が見えた。いきなり足早になると、
村の奥のひときわ大きな屋敷に向かう。鶏が放し飼いになっている大きな庭を
大股で力強い歩調で横切る。と、屋根の下から一人の人物が駆け寄ってきた。
「ようこそ」
息を切らしてあとを追う姉弟の耳に祐直の怒声が飛び込んでくる。
「どこへやった。細川に売ったのか。庄屋どの」
対照的に富農の男は静かに、こちらへ来てくださいと促す。門の入り口に立ち、
どうしていいのかわからない志保とのりとは、後ろを振り向きもしない祐直に
とりあえずついていくしかない。広い農家の敷地を三人は案内されて歩く。
先頭を歩くのがこの屋敷の主ということはなんとなく察せられた。
五十がらみの恰幅のいい男だ。イライラしている祐直に対して
できるだけ冷静に対処しようとしている。
「細川様の軍隊がやってきて、貢納をせまるのですよ。・・・で、念のために隠しました。」
小さな家、というか物置のような小屋に連れてこられた。
祐直は男にあそこです、と指されるやいなや走り出した。
「母上!私です」
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日記とロップ どっちもwktk
「母上、医者を連れてきました。いかなる病も治す名医です」
昼間でも暗い小屋に女が寝ていた。顔立ちがこの屋敷の敷地を案内してくれた
男に似ていた。兄妹であろうか。本来ならそこそこ美しい顔も
衰弱しきっており、かろうじて祐直の言うことにうんうんうなずくだけである。
「のりと、頼む」祐直がふり向いて盲目の少年に声をかける。
志保が、失礼します、と病床のそばに寄り、布団に手を入れ病人の手を引き出す。
のりとの手を持ち、女の手に重ね合わせた。
「・・・!」手から流れ込んでくる少年からのメッセージにぎょっとしたのだろう、
視線を横に動かしのりとを見つめる。やがて「・・・はい」と言って目をとじた。
のりんとの手がなでるようにもみしだくように、祐直の母の腕をつけ根に向かって
移動していく。祐直は何となく見ていられなくなって、小屋の外に出た。
のりとはその柔和な笑顔を絶やすことなく、ゆっくり掛け布団をはがす。
目が見えない人物とわかっていても、女の顔には羞恥の表情が浮かぶ。
「はぁ・・・」うわずった声とともに少し大きい吐息が漏れる。
のりとの両手が、着物の前をはだけて胸元に差し込まれる。
しわの多い首筋がひくひくとふるえている。あおむけになっているため、
申し訳程度盛り上がっているにすぎない乳房に両手のひらが優しくあてられる。
「あ・・・あ・・・」
女の額にうっすら汗がにじむ。やがて声は苦痛ではないあえぎ声に変わっていった。
「スケナオ殿・・・」農家の主は鉄砲をかついで不機嫌そうに軒下から
明後日の方向をにらむ青年に声をかけた。「申し上げにくいが、
この村は細川様に合力することにいたした。妹を・・・貴方の母上を隠したのも
ここが『一色方の村』と思われないようにするためです。」
「・・・」祐直は顔をそちらに向けるのも面倒、とばかりに身じろぎもしない。
「しかしまあ」庄屋はつとめて明るく言う「妹はもうあれはどうにもなりません。
直秀様のご恩は忘れませぬが、これからのことを考えたら、
今は静かに死を迎えるのが一番・・・」
小屋から志保が出てきて男二人に声をかけた。
「完治しました。お入りください。」
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>>950 G・・・J・・・!!! い〜な〜鯉したいな〜
キャラ的に絶対言わない台詞じゃね?