[ピョン] シスタープリンセスは電波8 [ポーン]

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可憐の乗ったバスがバス停を出発します。
可憐はこれから、街に出かけた、大好きなお兄ちゃんの元に向かいます
可憐の誕生日に、大好きなお兄ちゃんに貰ったバッグに大事なものを入れて、
可憐は、大好きなお兄ちゃんの元に向かいます。

バスに揺られながら、大好きなお兄ちゃんに会いたいと、気持ちが逸ります。
気持ちを落ち着けるために、おばあちゃんに貰ったロケットに入っている、
大好きなお兄ちゃんの写真を見ます。

「お兄ちゃん・・・・」

お兄ちゃん、きっと驚くだろうな。だってお兄ちゃんは、今日、
出かけることを誰にも話してないし、お兄ちゃんが出かける場所は、
本来なら、妹の誰も知らない場所なんです
そんな場所を、どうして可憐が知ってるのかって言うとね、
・・・・ウフフ、愛の力は、不可能を可能にする力があるんですv

あの千影ちゃんですら知らない場所を、可憐が、可憐だけが知ってる。
なんて優越感なのかしら。可憐、ちょっぴり悪い子さん。

「お兄ちゃん・・・・」

可憐・・・お兄ちゃんに会いたい。
可憐・・・早くお兄ちゃんに会いたい。
誰も・・・バス停にいなければいいな。
誰も・・・バスを降りなければいいな・・・・。
可憐が・・・バスを降りるまででいいから。


バスが二つ目のバス停に近づきました。


バスを降りる人はいるのかな?
誰もバスボタンは押してません。
バスに乗る人はいないのかな?
バス停を覗き込むように、窓に顔を寄せます。


バス停に・・・・誰もいません。


バスは少しだけスピードを落として二つ目のバス停を通過しました。


「お兄ちゃん・・・・お兄ちゃん・・・・」


ウフフ・・・・良かった。
可憐のお願いが通じたのかな。
可憐のお兄ちゃんへの溢れんばかりの愛。
神様は、可憐のお兄ちゃんへの愛を分かってくれたんですね。

バスが交差点に差し掛かりました。
あっ、残念です。バスが赤信号で止まりました。
信号を渡って少し行ったところに三つ目のバス停があります。

お兄ちゃんに会いたいって焦ってるせいかな。
可憐、ちょっと体が火照ってきました。
(風に当たりたいな・・・・)
可憐は、窓を小さく開けました。



バスが三つ目のバス停に近づきました。


バスを降りる人はいるのかな?
誰もバスのボタンは押してません。
バスに乗る人はいないのかな?
バス停を覗き込むように、窓に顔を寄せます。



バス停に・・・・誰かいます。



バスがスピードを落として三つ目のバス停に泊まりました。



バスに人が乗ります。
バスを降りた人0人。
バスに乗った人1人。
運転手さんが、お客さんが席に座ったのを確認して、バスが出発します。

バスが出発するまで一分足らず。
だけど、十分以上も待たされたような気がしました。
三つ目のバス停をゆっくり離れて、次のバス停に向かいます。



「お兄ちゃん・・・・お兄ちゃん・・・・おにいちゃん・・・・」



可憐・・・お兄ちゃんに会いたいのに
可憐・・・早く大好きなお兄ちゃんに会いたいのに・・・・。
誰も・・・バス停にいなかったように、
誰も・・・バスを降りなければいいのに・・・。
可憐が・・・バスを降りるまででいいの。




バスが四つ目のバス停に近づきました。



バスを降りる人はいるのかな?
誰もバスボタンは押してません。
バスに乗る人はいないのかな?
バス停を覗き込むように、窓に顔を寄せます。




バス停に・・・・誰もいません。




バスは少しだけスピードを落として四つ目のバス停を通過しました。
あともう少し走ったところで、バスは、可憐が降りるバス停に着きます。
可憐が家を出て、バス停まで歩いて、バスを待って、バスに乗って出発して、
ここに来るまでに一時間近くになろうとしています。
バスを待った時間と、バスがバス停に泊まった時間に、大分時間をとられました。
お兄ちゃんに会いたいと逸る気持ちを抑えるのが大変でした。

だけど、会えるんです。
もうすぐで会えるんです。
お兄ちゃんに会えるんです。
大好きなお兄ちゃんに会えるんです。





「お兄ちゃん・・・・お兄ちゃん・・・・おにいちゃん・・・・おにいちゃん・・・・オニイチャン・・・・」





バスが五つ目のバス停に、可憐が降りるバス停に着きました。




バス停で降りたのは可憐だけでした。
可憐が降りたのを確認して、バスが出発しました。
これから、可憐はお兄ちゃんがいる街の広場に向かいます。
ここから場所は離れていません。それでも、歩いて十分の距離。
可憐、本当は走ってお兄ちゃんのいるところに向かいたいけど、
汗に濡れた体でお兄ちゃんに会うは嫌だから、歩いて向かいます。

歩いて、
歩いて、歩いて、
歩いて、歩いて、歩いて─────
歩いて、お兄ちゃんの元に向かいます。

お兄ちゃん、どんな顔して驚くかな。
皆に内緒にしてる場所に、可憐が現れたら。
お兄ちゃん、きっとお口をあんぐりさせて言葉を失くしちゃうかも。
皆に内緒にしてる場所に、お兄ちゃんは・・・・。
お兄ちゃんに会うために歩いて、きっかり二十分。
お兄ちゃんを見つけました。可憐とお兄ちゃんの
距離は五十メートルくらいかな?
バッグの中にある大事なものを確認して、ちょっと駆け足して、
お兄ちゃんの元に向かいます。


三十・・・・


二十・・・・



五メートル・・・・


お兄ちゃんに追いつきました!






「お兄ちゃん」





「えっ?か、可憐・・・・?」

お兄ちゃん、やっぱり驚いてる。
予想が当たって、可憐、嬉しい。

「可憐、お兄ちゃんに会いたかったんです・・・・オニイチャン・・・・」
「ど、どうして分かったの?僕がここにいること?」
「可憐、お兄ちゃんのことは何でもも分かるの。お兄ちゃん・・・・」
「可憐・・・・?」
「お兄ちゃん、可憐との約束を覚えていますか?」
「約束?」
「お兄ちゃんが、可憐の傍にいてくれるって、言ったこと」
「うん、言った」
「お兄ちゃんが、可憐のことを離さないよって、言ったこと」
「それも言った」
「お兄ちゃんが、可憐とお兄ちゃんは一緒だよって、言ったこと」
「言ったけど・・・・可憐、人の多いところで何で・・・・」
「お兄ちゃんが、可憐と将来結婚してくれるって、言ったこと」
「おい、可憐!」
「お兄ちゃんが、可憐と一つになってくれるって言ったこと」
「!!」
「可憐、全部覚えてるよ。それなのに・・・・」

道行く人の何人かが足を止めて可憐たちを見てる。
危ない兄妹だと思われてるのかな?
構わない。だって、お兄ちゃんと可憐は・・・・

「ねぇ、お兄ちゃん。どうして破ったの?」
「あ、あれは小さい頃の約束だし、それに」

お兄ちゃんに一歩踏み出す。

「そんなことは関係ないの。ねぇ、お兄ちゃん。
可憐これからお兄ちゃんと一つになりたいの」
「可憐、何言ってるんだよ!!」
「お兄ちゃん、大好き・・・・」
「!!」

バッグにしまっていた大事なもの。
大きなサバイバルナイフを、大好きなお兄ちゃんのお腹に突き刺しました。
大きなサバイバルナイフを、大好きなお兄ちゃんのお腹に深く深く突き刺しました。


「お兄ちゃん、大好き・・・・」

大好きなお兄ちゃんのお腹に刺したサバイバルナイフを引き抜きます。
穴が開いたお腹から、たくさんの血が溢れてきました。
大好きなお兄ちゃんの赤い血が。赤い、赤い血が、たくさん流れてきました。

大好きなお兄ちゃんが悲鳴を上げました。
周りで可憐たちを見てた人も悲鳴を上げました。
可憐はくすっと笑いました。

大好きな兄ちゃんの喉を一閃しました。
穴が開いた喉からも、たくさんの血が溢れてきました。
大好きなお兄ちゃんの足元がもつれて、後ろに倒れました。

可憐も自分の喉を一閃しました。
穴が開いた喉から、たくさんの血が溢れてきました。
大好きなお兄ちゃんの上に倒れこみます。
お兄ちゃんと待ち合わせをしていた女の悲鳴が聞こえてきました。
お兄ちゃんは可憐との約束を果たしてくれました。

交じり合う、お兄ちゃんと・・・・可憐の赤い血。

他の・・・・三つは守れなかった・・・・けど、ウフフ・・・・一番叶えたかったことを
叶えて・・・・・・くれたから、特別に許し・・・・・・・ちゃう。

だっ・・・・・・・・て・・・これから、ずっと・・・・お兄ちゃんと可憐は・・・・・・・・・一緒なん・・・だ・・・から。
・・・・段々・・・・・視界・・・・・が・・・・暗くなって・・・・・・






・・・・・・・・・・・・お・・・兄ちゃ・・・・ん、・・・・・・・・・・・・大・・・・・・・・・・・・好き・・・・・・・・・・・・






END