機械が坂を登ったら法律ができて女っぽくなった

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563真琴:02/11/22 13:21
NOVA族は、通常時空における直接的な重力制御は実現していない。
遠心力による擬似重力を発生している衛星都市で、静止した地球を窓の外にじかに見ることは不可能だ。
無意識の底ではわたしも、窓の外の惑星が虚像であることを知っていたはずだが、
穴をくぐる旅の異常さのせいで、意識的な理解はしていなかった。樹海から階段を降りて溶岩洞窟をくぐり、
白い部屋に出ると青い惑星が出迎える…  それは衛星都市フダラクの最初の罠だった。
564真琴:02/11/23 13:22
(嘘を嘘と見抜けるようでないと、衛星都市フダラクでの生活は難しい…)
壁の下部に開口した溶岩洞窟のにじり口が消え、窓の向こうに展開する青い地球の眺望も死に、殺風景な白い部屋だけが残った。
エアロックに向かって歩く矢場徹吾と首猛夫の後ろ姿を見ながら、このふたりも消えるのかな…?  とか思っていたら、
ほんとうにそうなったので、笑ってしまった。――エアロックの前で矢場氏が首氏に携帯ID機器を向ける。ボタンを押すと、
首氏は足元からゆっくりゆっくりと消えてゆき、ニヤニヤ笑う首だけが残る。最後に首が消えた後も、ニヤニヤ笑いだけは空中に残っている。
565真琴:02/11/23 13:23
――では、市長執務室でお待ちしております。フダラク市のユーモアをご理解いただき、幸いです。
そう言うと矢場徹吾は一礼し、携帯ID機器を自分に向けてボタンを押す。         
あとには白い部屋だけが残ると同時に、わたしは今度こそ現在位置の感覚を喪失する。
ここは宇宙空間に浮かぶ衛星都市フダラクの門なのか、それとも富士山の樹海の地下に作られたパノラマなのか、
あるいはわたしひとりが暮らす精神病院の個室なのだろうか…?  ――わたしはエアロックを抜けて、フダラク市に入国する。
566真琴:02/11/29 01:37
 
567真琴:02/11/30 05:49
            §    §

石段を一歩一歩登っている。住宅街のなかの小高い丘は樹々に覆われていて、石段を登ると丘のうえには寺がある。
江戸時代、工期の遅れの責任をとって役人が切腹したという涙石を越え、半分くらい登った所で街を振り返って見下ろすと、
石段のふもとから真っ直ぐに伸びた参道が住宅街のなかを彼方へと去ってゆく。
これを「大門通り」という。――地図上で見る大門通りは、厳密に南北を結ぶ直線である。
大門通りは国道に開口しており、国道から石段までを真っ直ぐに結んでいる。
568真琴:02/11/30 05:50
市長執務室の窓から見下ろす風景のなかで、
様々な建造物からなる街をつらぬいて一本の道が真っ直ぐに彼方へと走っている。
――あれはダイモン通りというのですよ。フダラクのメインストリートです。
だが、円筒状の衛星都市フダラクは、硬い皮にこそ「実(み)」がある果物だ。
厚く硬い皮は7層に渡って細胞のような小部屋たちを並べ、市長執務室は皮の内側表面の「大地」を見下ろしている。
569真琴:02/12/01 20:27
 
570真琴:02/12/05 02:47
 
571真琴:02/12/06 12:37
駅の、幅が広い階段のうえに立ったわたしは、バスが群れる駅前のロータリーを見渡す。
壺のなかで薬をこねるように絶えず右巻きに旋回する、バスやタクシーやその他の車たちの群れ。
わたしは一瞬なにかを思い出しそうになるが、水槽の映像は一瞬で掻き消え、わたしは階段を降り始める。
階段を降りると、小学校の門の前の路上にいる。門は改修工事をされていて、
「みんなの花だん」のすぐ脇にブルドーザーが斜めに傾いてとまっている。擬態する昆蟲のよう。
572真琴:02/12/06 12:52
ロータリーのまわりを左巻きに歩く。大きな直方体の建築物が立っていて、これは大規模小売店である。
大規模小売店に入らず、右に曲がり、ロータリーから離れる方角に歩く。
道の両側のビルの、上のほうの階には、歯科医とか、ステーキ屋とか、その他さまざまなオフィスや店舗が入っているが、
地上に口を開いた部分は、ミスドだったり、スターバックスだったりする。
5階建てのビルの2階までを占める書店がある。書店に入る。
573真琴:02/12/06 13:12
書店の5階には、航宙ギルドの「水槽の間」へのチャートが開口している。
旅行ガイドを立ち読みしてるうちに、温泉旅館に跳びそうになる。
温泉旅館の建築は、建て増しに建て増しを重ねた複雑な迷路になっていて、
本館の入り口から新館の5階まで行くには、ロビーのエレヴェータで2階まで上がって、
連絡通路を渡らなければならない。連絡通路のこちら側は新館の3階に接続している。
574真琴:02/12/06 13:39
黒い森を散歩する。遊歩道を抜けて崖の縁まで歩く。
崖は壺のような地形を取り囲んでいて、見下ろすと遥か崖下の遠くの方に白い道が走っている。
白い道はあきらかにアスファルトで舗装されており、猫車が一台、それが放置されたその場所に首をかしげて佇んでいる。
樹々に隠され、道の始まりも終わりも見えない。
崖下まで降りる方法もわからない。
575真琴:02/12/06 13:58
書店を出ると、道を進み、左に曲がって小さな坂を登る。
左右に大きな直方体が一個づつ置いてあるのは、大規模小売店とシティホテルである。
そのあいだの洒落たタイルの路を登り、国道に出る。
この国道に沿って左に3cmくらい移動した場所に大門通りが開口している。
定規のように細かい刻み目が入った尺取蟲が、樹の枝のうえを物凄い速度で移動している。
576真琴:02/12/07 04:39
 
577真琴:02/12/08 00:18
  
578真琴:02/12/12 11:57
579真琴:02/12/13 14:59
 
アイムボブサップ!!
581真琴:02/12/17 08:06
 
582花子 ◆8H4p1inpoA :02/12/17 13:36
はい、お疲れさまでしたー
583真琴:02/12/20 22:32
 
584 :02/12/21 01:14
真琴
585 :02/12/21 01:15

真琴
586真琴:02/12/23 03:38
 
587真琴:02/12/23 09:38
 
588真琴:02/12/26 01:42
 
589真琴:02/12/27 23:41
            §    §

蛇行する河を眺めながら堤のうえを上流に向かって歩いている。
遠く前方では、丘が指を下ろしたみたいに河に突き出していて、その蔭から浄水場の取水塔が顔を出している。
ふと浄水場の濾過機をイメージすると、大量の植物性プランクトンが、つまりは微細な藻が、
ねっとりとこびりついて網の目をつぶしているのが見える。
血のように紅い藻が、緑色の藻に混ざって蜘蛛の巣のような模様を描いている。
590真琴:02/12/27 23:49
取水塔が河の水を飲む口に、ちいさな直方体の箱がひとつ引っ掛かって、いつまでも黒い波に揺動している。
ちいさな箱はフダラク渡海の舟であり、時空を跳ぶうちにこの形態へと変貌したのだと分かる。
箱を拾いにあの水面まで降りる階段を降りると、コンクリートのわずかな浜の際まで、
黒い波が絶えず寄せては返し、返しては寄せている。
取水塔の口までの2mの距離は、見ることはできるけど手の届かない距離。断絶した時空。
591真琴:02/12/28 00:11
踏み切りが甲高い声で鳴いている。竹の棒で遮断された線路の時空にあと1m踏み込めば、
轟音とともに突進してくる快速に突き飛ばされ、わたしの躰はバラバラに壊される。
1mを歩くことはいつでも可能なのに、この1mを歩くことができないのはなぜか…?
――そして瞬間が通り過ぎ、わたしの躰からわずか1m前方の時空を物凄い音とともにもののけのような獣が駆け抜けてゆく。
獣は赤と緑に塗り分けられたカナブンのような車体をしている。
592真琴:02/12/28 00:24
切断された腕は眼の前にあるのに神経が繋がっていないだけのことで<わたし>の意思で動かすことができない。
腕を動かそうとする意思は腕のない躰のなかでもがき、いくらもがいても眼の前の腕は動かない。
いくらもがいても腕が動かないので、それなら窓の向こうの樹を揺らしてみようと思った。
一心に樹を揺すぶる。動け、動け。
すると樹が風に大きく揺れて、鳥が羽ばたいて空に飛び去っていった。
593真琴:02/12/28 00:41
気がつくと西の空に富士山が歩いてきていた。
黴のように広がる平たい街の彼方に富士山が静かに立っている。
夜が来るとサンシャインが歩き始める。
サンシャインは直方体の箱であり、そのなかには無数の細胞が扉を開けていて、どの扉も墓のようであり、
しかも埋葬された骨壷のなかには一つづつ惑星が封じられている。
594真琴:02/12/28 00:55
コンクリートの浜の際から河の水のうえに一歩踏み出す。たぶん、歩ける気がする。
いきなり重力に足を引かれ、わたしは黒い波のなかに落ちる。
河には底がなく、わたしは黒い波に抱きすくめられ、呼吸するたびに水が喉をふさぐ。
気がつくとわたしは河のうえを歩いている。
向こう岸にたどり着いて、振り返って残してきた岸辺の取水塔を見ると、口元で直方体の箱がまだ揺動している。
595真琴:02/12/28 01:13
珈琲屋さんとコンビニエンスストアを結ぶいつもの道を、コンビニエンスストアに向かって歩くわたしの前方から半月が見てる。
丘のうえ、片目を開けて。――しばらくしたある日、コンビニエンスストアと珈琲屋さんを結ぶいつもの道を、
珈琲屋さんに向かって歩くわたしの前方から半月が覗いているので驚く。
上弦の月と下弦の月が交替したのだ。
宇宙空間が街角でわたしを不意打ちにする。
596真琴:02/12/30 21:56
            §    §

蛇行する河の腹は地面をこすりながらえぐってゆく。
水の躰が地面に吸い込まれもせず、むしろ地面をえぐりながら、蛇行し、海を目差す。
蛇の背中のうえを歩きながら平均台みたいによろめいてると、躰のどっかでざわめいてる未来をそっと感じる。
岸辺は遠く、大気は明るいのにいまは深夜だ。
昇り始めた下弦の月が丘のうえから皮肉なウインクをおくってくる。
597真琴:02/12/30 22:05
気がつくとわたしは取水塔の口が水を呑むのをコンクリートの狭い浜に立っていつまでも眺めている。
口は飽きもせず黒い水を呑み続け、鉄の柵に引っ掛かったちいさな直方体の箱もいつまでも波に揺れている。
よく見るとでこぼこな魚たちが箱のまわりに群れ、宇宙船の接続チューブみたいな口で箱をつついている。
河を泳ぐこの魚たちはまるで深海魚のように見える。
深海魚は大きな眼を持っているか、または眼をまったく持っていない。
598真琴:02/12/30 22:24
わたしは波立つ黒い水を隔てて2m前方にあるあの箱を手にとりたい。――そうだ、蟲網だ。
わたしは夜の空に舞い上がり、寝静まった街の夜景を上空から眺める。
街路灯がビーズ飾りのように夜の街のドレスをいろどっている。
夏休みに買った蟲網をドアの外に立て掛けているこどものいる家は…
わたしは街の視覚像をスキャンし、ひとつのアパートを見つけた。古ぼけたアパートは住宅街の奥に年老いた猫のようにうずくまっていた。
599真琴:02/12/30 23:02
アスファルトで舗装された路地の真ん中に大きな樹が居座っている。
細い路地は樹を囲んで不意に正方形の広場になっていて、そのさまは動脈瘤のようだ。
歪んだ正方形の辺を成す家々はみな古く、ヒトが棲んでいる気配がしない。
正方形の一辺は古ぼけたアパートのブロック塀であり、2階建てのアパートには汚れたドアが並んでいる。
2階の3番目のドアの横に蟲網が立て掛けてある。
600真琴:02/12/30 23:16
わたしはこのアパートが恐い。ここは何かとても恐ろしい場所だと感じる。
――気がつくとわたしはアパートのブロック塀の内側に入っている。
ドアの数と同じ数だけ長方形に並んだ郵便受けの赤いペンキは剥がれかかっている。
いくつかの郵便受けには名前があり、いくつかの郵便受けには名前がない。
どの郵便受けにもダイレクトメールとか、あるいは本物の手紙が刺さっていて、でもどの紙も腐り、しなびている。
601真琴:02/12/30 23:51
恐くてたまらないのにわたしは鉄の階段を登っている。一歩登るごとに不用意な靴音がコツーンと夜の闇に響く。
2階から鍵をあけドアをひらく音が聴こえてくる。
わたしは震え上がって階段のうえの闇を見つめる。アパートの側面を登る階段と2階の廊下は直角なので、もちろん何も見えない。
聴こえる。確かに2階のどこかの部屋のドアがひらき、誰かが何かをしている。
こわい。階段の途中でわたしは身動きができない。
602真琴:02/12/31 00:04
アパートの側面を登る階段の途中で左を見ると歪んだ正方形の動脈瘤の中央に大きな樹が居座ってるのが見えるはず。
そして、樹の傍らからアパートを見れば階段の途中で凍りついているわたしと2階の様子が同時に見えるはずでしょ。
仮にそんな観察者がいたとしたら、考えて御覧、階段の途中で凍りついているわたしのほうがよっぽど気味悪いよ…?
あるいは滑稽。
――そんな考えを掻き立てて、何とか事態をありふれた次元で納得しようとする。
603真琴:02/12/31 00:37
2階の廊下からは何か重たい機械を部屋から引きずり出すような音が聴こえてきた。
床を引きずる音。機械の部品たちが絶えずカチャカチャなる音。引きずっているヒトの靴音。
恐怖に凍りついたわたしは身動きができず、視界が熱い。呼吸の音や心臓の鼓動さえ2階まで響く気がする。
――そして眼の縁でわたしは見た、歪んだ正方形の動脈瘤の中央で、樹の傍らにも誰かが立っている!
でもわたしは眼を左に向けることができない。首を動かす音はたぶん確実に2階まで響くから。
ほんとうにそんなことでいいのか?お前は?
605真琴:03/01/03 07:48
 
606josh:03/01/03 20:41
http://6327.teacup.com/josh3jpn/bbs

此方は聖書でデートするコーナー。心と霊なら恋人付き合いOKですよ。そしてこのデートは天国への巡礼のフルコースです。しかも、これは結婚している人でも可能です。みなさん、よろしければ参加してください。
私と一緒でしたら天使のところまで行きつけるんです。「御使いたちに携えられてアブラハムの懐に入れり」と書いてあります。
ですから私は本当はメールの中だけではなく霊の中で一人でも多くの方とファミリーになりたいです。これが私の願いです。私のは望みが大きいのです。永遠の自由を望んでいるためです。
607山崎渉:03/01/05 04:06
(^^)
608 :03/01/05 06:18
 
609真琴:03/01/07 22:50
 
610真琴:03/01/11 00:05
  
611真琴:03/01/14 17:16
 
612山崎渉
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        (  ^^ ) / < 名前欄に「山崎渉」、メール欄に「(^^)」って書けば
        (つ  つ    | キミも今日から山崎渉です(^^)
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