機械が坂を登ったら法律ができて女っぽくなった

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1名無しさん@お腹いっぱい。
警察に「もうお前は2chに行くな」と言われました。
こんな私でも受け入れてくれますか?
2Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/23 21:33
もうおまえはパソコンするな。
3Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/23 21:33
もうおまえは人に疑問文で話すな。
4指し門度:02/04/23 21:33
1000げと
5Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/23 21:34
もうおまえはぺってぃんぐするな。 
6Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/23 21:37
もうおまえは死ね。
7名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/23 21:38
登りたい
8いしかわ ◆YjtUz8MU :02/04/23 21:38
(^▽^)グウ♪
9名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/23 21:38
のぼりまくりたいね
10名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/23 21:39
まぁ、いいからおちけつ
11ゆき:02/04/23 21:41
警察に見られているぞ!
そのテレビの裏側の隙間から……ひぃぃぃぃぃ
12名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/23 21:48
けいさつがくる
けいさつが、、、くるるkるkるくるよ
13Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/23 21:50
(´¬`)フワッ


14名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/23 21:51
ワラっていいかな?
15Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/23 21:51
(´¬`)フワッ


16名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/23 21:54
笑っていいとも
17名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/23 21:55
スレタイトルの意味がわからん
18ゆき:02/04/23 21:55
警察がびっしりとカーペットの下にうごめいているぞ!
そう――そこだ!
19名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/23 21:56
警察!? 
ほんとですか?
20名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/23 22:00
警察はおじさんだらけだ
こわい
21ゆき:02/04/23 22:00
本棚と壁の間にも警察は潜んでいます……
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
>>1
警察の話をすると警察が寄って来るぞ!
23名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/23 22:02
警察にころころころされた
24真琴:02/04/24 02:01
このスレなんか気になる。
とても気になる。
あるひとが自己分析をするために立てたスレだと思う。
でもそのひとは、一方で、自己分析などしたくないのだ。
謎がある。
25名無しさん◎お腹いっぱい。:02/04/24 02:08
もきゅっきゅ
26名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/24 02:15
優しい家族が欲しいです。
27真琴:02/04/24 22:52
どうレスつけたらいいのか分からないけど、気になるage
28:02/04/26 00:33
元気ならそれでいい。
遊びながらでいい。遊びながら学べばいいさ。
刑法とかね。
ところで警察を目指している方いらっしゃいますか?
いらっしゃったら交信おながいします。どうぞ
29飲ラ猫:02/04/26 00:48
警察におかねをもらった
30名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/26 00:49
警察は目指してないけどクリーニング屋さんになりたいです。
そして人を殺しまくってやるんだ。
やったぜ!どうぞ
31名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/26 01:04
参議院さえ通らない
32名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/26 01:11
じゃぷんげっこだむふふせーいせーいがががどっぷ?hぇん?hぇんきいしきふえりたすげだんかぽるぽうるうぇづづしあいこいぢぼききぼき
33真琴:02/04/27 00:05
どうしてもこのスレが気になる。
真琴の直感では、1=「Xi電波 ◆rH3V61uE」氏なのだ。
わたしの中では、もうすっかりそういうことになってしまっている。
だから、>>1-6 は、4レスを除いてすべて、Xi電波氏の魂の叫びということになる。

  1 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/04/23 21:33
  警察に「もうお前は2chに行くな」と言われました。
  こんな私でも受け入れてくれますか?

  2 :Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/23 21:33    もうおまえはパソコンするな。
  3 :Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/23 21:33    もうおまえは人に疑問文で話すな。
  4 :指し門度 :02/04/23 21:33         1000げと
  5 :Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/23 21:34    もうおまえはぺってぃんぐするな。 
  6 :Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/23 21:37    もうおまえは死ね。

Xi電波氏にいったい何があったのだろう。
何かを体験し、それがトラウマになって残らないように必死で振り払っているように見えるのだが・・
34際電波 ◆rH3V61uE :02/04/27 00:08
,-‐,,ii||||||||||||ii、-、
 `゛!!!iiiiiiiiiiiiiii;;;;;;;;;;,,,,,-‐/ i||||||||||||||||||||||||i ヽ‐-、,,,,,;;;;;;;;;;iiiiiiiiiiiiiii!!!"´
    '''''!!!!!|||||||||||||/   i|||||  |||||||||||||||||i   ヘ|||||||||||||!!!!!'''''
       ''''''''!!!!!I/   ||||||  ||||||||||||||||||   `iI!!!!!''''''''    /Vー-へノ\ノ\ノ\ノ\
           ヽ,   !|||||||||||||||||||||||||!"   〈      ノV               \
─────----了     ゛!!||||||||||||||!!"     `ヽ---─く
 |    |    | `ゝ.__       ̄Y ̄     ___ノ   ノ
 |    |    |  ,| ]下ミ ̄`。、_|_;'。´ ̄7エ"┬| |  ノ
 |    |    |  |└、 トミミi─'´<_,l、三´,E=|#ナノ |  )  死を差し上げましょう!!!!!!!!!!!!!
 |    |    |  | | `ヽトミ||^=====^|E彡/  ' | | |<
、 |    |    |  | | ーヾミ||]⌒i⌒「|ソ‐'-─/ / |  )
  ヽ、  |   /^‐━, \_ `、`===='',/  _/ /\ |  └、
    ヽ、 | /ノ―、='、 \_二二`─´二二_/    \   Vヽ
      ヽ/´ /  / ̄`i、    ̄|| ̄        / \    ヽ/ ̄ ̄ヽノ⌒Vー-、/⌒V
      ノ  丿   l   | `i---┼-----------'´
      |   〈 l   〈 〉  |
      ゝ         ,/
あ、反応がありました!
これは・・・ツベルクリン反応!!
どうやら◆rH3V61uE のほどよいココロのにょりにょりした部分に触れたのかも!?
36月に疲れたピエロ:02/04/27 00:17
かんぜんにネタだと思っていたおれは単純・・・
Xiのネタといふことか。

だから真琴さんは収集スレでああいう電波な反応をしていたのか・・・
37際電波 ◆rH3V61uE :02/04/27 00:18
,-‐,,ii||||||||||||ii、-、
 `゛!!!iiiiiiiiiiiiiii;;;;;;;;;;,,,,,-‐/ i||||||||||||||||||||||||i ヽ‐-、,,,,,;;;;;;;;;;iiiiiiiiiiiiiii!!!"´
    '''''!!!!!|||||||||||||/   i|||||  |||||||||||||||||i   ヘ|||||||||||||!!!!!'''''
       ''''''''!!!!!I/   ||||||  ||||||||||||||||||   `iI!!!!!''''''''    /Vー-へノ\ノ\ノ\ノ\
           ヽ,   !|||||||||||||||||||||||||!"   〈      ノV               \
─────----了     ゛!!||||||||||||||!!"     `ヽ---─く
 |    |    | `ゝ.__       ̄Y ̄     ___ノ   ノ
 |    |    |  ,| ]下ミ ̄`。、_|_;'。´ ̄7エ"┬| |  ノ
 |    |    |  |└、 トミミi─'´<_,l、三´,E=|#ナノ |  )  ウマラペスマイライフォミー!!
 |    |    |  | | `ヽトミ||^=====^|E彡/  ' | | |<
、 |    |    |  | | ーヾミ||]⌒i⌒「|ソ‐'-─/ / |  )
  ヽ、  |   /^‐━, \_ `、`===='',/  _/ /\ |  └、
    ヽ、 | /ノ―、='、 \_二二`─´二二_/    \   Vヽ
      ヽ/´ /  / ̄`i、    ̄|| ̄        / \    ヽ/ ̄ ̄ヽノ⌒Vー-、/⌒V
      ノ  丿   l   | `i---┼-----------'´
      |   〈 l   〈 〉  |
      ゝ         ,/
38真琴:02/04/27 00:21
>>36
このスレをみたときの直観(デムパともいう)と、
月に疲れたピエロさんが妙に心配してるのとで、
妙に気になって気になって。

しかもこのスレ、まだ全然発展以前なのに誰かが蒐集スレにURL貼ってたし・・
月さんの心配具合が割りと度を越えてたよーに思った。
リアルで知り合いなのかな?最と。
40真琴:02/04/27 01:00
際電波氏には、ディスコミュニケーションを一生懸命維持しようとするモードの時がある。
41際電波 ◆rH3V61uE :02/04/27 01:04
    / ̄ ̄ ̄ ̄\
    /      ::  ヽ
  /     \   / |
(∂|      | ・  ・丿 |
 ヽ|     ""   "" |
   |      ___   |   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   \    /__/ /  < ディスコミュニケーション!♪.......???
   /ヽ       /\   \_________________
このスレを建てたのは村上龍ですか?
43( *・x・):02/04/27 01:06
  ☆。:.+:  
   .. :.   ( ・∀・)  
     / ̄ヽ/,― 、\ o。。。  >>1は〜(・∀・)がキライ!!
.:☆   | ||三∪●)三mΕ∃.     
.:*    \_.へ--イ\  ゚ ゚ ゚  
+:..♪.:。゚*.:..  (_)(_)     ☆。:.+:
 ☆。:.+::..   ☆:.°+     .. :
   。*.:☆゚x*+゚。::.☆ο::.+。 *ρ

「なんでだろ〜♪」
   
  ( ・∀・)  ( ・∀・)  ( ・∀・)
 ⊂    つ⊂    つ⊂    つ
  .人  Y   人  Y   人  Y
  し'(_)   し'(_)   し'(_)

      「なんでだろ〜 ♪」
  
  (・∀・ ) (・∀・ ) (・∀・ )
 ⊂、   つ⊂、   つ⊂、   つ
    Y 人    Y 人    Y 人
   (_)'J   (_)'J   (_)'J
44電波姫 ◆b2rVr8CI :02/04/27 01:06
          _         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      ,. ‐'"´~   ~`ヽ,       .|
.    ,.'´     ,人.   ヽ     |
   (   ∠lノ,ノ‐-、ヽ   i.     |
   i' イ、, -、  、, -、 ゝ、 i.   | マジ 寝ます!!
    {   | i  0   i^  i │ │  <  電波板&ヒキ板のミナサマ オヤスミ! 
   |  l ` i~  `ー ,, |   }    \____________
.   !  {   i⌒、   /   !
.    !  ヽ  ヽワ  /   ノ
    ヽ、  ` t-‐i'"ノ / ./
     、ゝ/| / しiノヽ、し      ∠   羽
       ,Tヽ|/へ、|  {  i´     |=|  白
     /〈        l  i        ̄
     / .ヽ.  、.__,.  l  i
   / ./  )       !  i     。
  _ゝ、ノ  / ゙゙  "  L__」_ _□||□___
 |\  ̄ヽ⌒`⌒\ ̄ イ ヽ_. \──────
 |  \   ` ⌒ ⌒   ⌒~   .\
 |   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
      |  | ̄| ̄| ̄| ̄| ̄| ̄| ̄|  |
 ____∧_________________







45際電波 ◆rH3V61uE :02/04/27 01:07
  ☆。:.+:  
   .. :.   (・∀・)  
     / ̄ヽ/,― 、\ o。。。  ボーンボーン戦死ボーン♪
.:☆   | ||三∪●)三mΕ∃.     
.:*    \_.へ--イ\  ゚ ゚ ゚  
+:..♪.:。゚*.:..  (_)(_)     ☆。:.+:
 ☆。:.+::..   ☆:.°+     .. :
   。*.:☆゚x*+゚。::.☆ο::.+。 *ρ
46際電波 ◆rH3V61uE :02/04/27 01:08
帽子がぁあああ(・∀T)え〜ん♪
47真琴:02/04/27 01:12
>>41
一休さん、かわいいっ♥

>>42
え? 村上龍のなにかの作品のパロディになってるの?
気付かなかったけど・・

なんてこと書いてるうちにレス付いて、書き込むのやめようかと思ったけど、
書き込んどくよ。
特に「村上龍」、気になるし。
48名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/27 12:10
    / ̄ ̄ ̄ ̄\
    /      ::  ヽ
  /     \   / |
(∂|      | ・  ・丿 |
 ヽ|     ""   "" |
   |      ___   |   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   \    /__/ /  < じゃぱにーずみゅーじっくてくのろじー!♪.......???
   /ヽ       /\   \_________________
49名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/27 13:41
ナメック キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
50真琴:02/04/27 13:50
そして、なんとなく誰もいなくなった・・
51真琴:02/04/27 13:55
いや、いた。
でもリロードしてagaって来るのは1スレのみ。
日本のデムパの総量ってこんなものなのか・・?
(もちろん、2ch率係数を掛けて割り引いたとしても・・)
52名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/27 21:41
このスレの1は自分だと思いますか?
>Xi
53真琴:02/04/28 00:44
まぁ、酔っていますし。
とりあえずage
最ちゃん、なんかレス付けてー
(ゴルァ〜でも可)
54月に疲れたピエロ:02/04/28 00:45
   ∂∂
 \(^▽^)/<酔っぱらいおめでとうございまーす♪
    (ω)
     (ω)
    (ω)
   (ω)
    (ω)
   (ω)
    (ω)
     (ω)
     (ω)
      (ω)
       (ω)
      (ω)
     (ω)
     (ω)
     (ω)
      (ω)
       (ω)
        (ω)
       (ω)
        (ω)
         (ω)
          (ω)
          (ω)
          (ω)
          / \ ノ
           \
( ゚Д゚) <ごらあ〜
僕さ、今やっと分かってきたんだけどさ、
つまりどういう事なんだろうと思うんだね。
それでやっと昨日、昨日って何だよ、
昨日と今日の境目がよく分からん。
ずっと2chロムってたし、その前はずっといじめられてたし、
その前はずっと「はい」って答えてたんだよ
やる事がないから時間の浪費するんだけどさ、
時間の浪費してる時は何かを待っている気分なんだよ。
57真琴:02/04/28 00:51
いま、時は来たぞ!
それで何を待っているのかと一念発起し、
ちょうど金曜ロードショーでスタンドバイミー見てさ、もろ影響受けて、
そのまんま線路の上一人で歩いてたのよ、友達いないから。
すると電車が来たから怖いから避けてお前等何セクハラしてんだよと、
その頃はわりと女子高生とか好きだったら、
何か見てると懐かしかったしね。死ね。しねえええええ。
それでそのおやじに妙な正義感で喧嘩売って、カウンターでまさかのロケットパンチ。
腕から先がもげるあの感覚。
君の瞳。
夏の思い出。
59真琴:02/04/28 01:06
もっと語れ。もっと騙れ。
俺ほんと一人だからさあ、情報とか全然ないわけよ。
ここが田舎だとも知らなかったわけ、
サティーとか人が多いとこ行くとビビルわけよ。
その堕落した文化に。
だからほげえ、ビール不味い。
血吐く、バカめただ血を吐いたわけじゃない。
これを呪札に塗りたぐるのだ。いわば俺が法律だと。
でも何をすればいいだと、せっかく権力手に入れても
やりたい事がなきゃ意味がないと、
それでやりたい事を探しに、学校を休学する事にしたんだ。
でも入学しなかったら休学を認められず、
自分を認めない社会にぶちきれていつか復習してやろうと
僕は怒ったよ。温和な僕が。
自分にたいするどうしようもない怒りをぶつけるところがないんだよ。
それで貴様そこどけやと植物にしかもどちらかという背高泡立ち草にあたったんだけど、
やつら初夏に一度草刈されたくせして、秋にはあのざまでしょ?
それで僕なんかよりぐんぐん伸びて、10月には敬語使ってね。
でも冬が始まる前に枯れてしまったんだ。
この寒い冬を親分なしで過ごすのかと思うと心細くて、
でもきっと僕は凄い野望があるから努力しようかと思ったんだよ3日ね。
しかし、もう手遅れだった。
62名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/28 01:19
ごれぁ
63真琴:02/04/28 01:19
走れっ!
ここの名無しって偽みーめ?
65名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/28 01:21
E
~T^
」 ^

即席AA「走ってる人」
66自演:02/04/28 01:24
>>65
腸ウマイ
17歳、嫌な歳だったね。
17なんて聞くだけでぞっとするよ。
僕は当時凄い勘違いしてて、
学生服に7:3わけという姿で学校にいってたの。
今から考えるととんでもない勘違いだね、
学生服着てる奴なんていなかったもん。
それに俺に本当は入学なんてしてなかったからさー、
クラスの誰にも相手にされず、
っていうか最後まで誰がどのクラスかなんて分からなかったしね。
僕は先生に見つからないように授業を受けてたよ。
女子更衣室のローカーの中に潜んだり、
黒板の後ろに隠れたり、
でさー、なんとか3年間通いつづけたんだけど、
大検通ってないから大学受験できないだよ。
たこ焼きとか結構好きだから、たこ焼き屋さんなんていいかなって思ってたんだけど、
俺協調性無いから客と上手く打ち解けられなくてさー
すぐ止めちゃったの。
テレビはCMばっかり見てたね。
番組って面白くないから。
CMばっかりだったらいいと思うよ。
でも視聴率稼ぐためには番組を作らなきゃならないんだって。
テレビを見出してかなり経って、
目とかすごい近眼になって、
それで頭にモヤがかかったみたいで何も考えられないからテレビ見るの止めたんだよ。
ずっとテレビっ子だった僕が、テレビを止めたんだよ。
でも外に出たってヤル事ないから、公園の中をぐるぐる永遠に回ってて、
朝になって夜になって、
同じ事ばっかやってるから頭にモヤがかかったみたいで、
しょうがないから本でも読もうと思ったんだよ、
それで自分に戸籍がある事を利用して、図書館で本を借りたんだ。
69真琴:02/04/28 01:36
この人生騙ってる「名無しさん」が
ちゃっかり Xi電波氏本人ダターリしたら 凄い面白いね。
70名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/28 01:39
>>69
しかも全部実話とかだったら
もう寝るね。俺は
71名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/28 01:40
72名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/28 01:40
でも似てる xi電波と0age
73Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/28 01:45
最近忙しくてごめんなさい更新できませんでした屑ども( ゚∀゚ )
74真琴:02/04/28 01:45
ごめんよー
変な事書いたら、レス止まっちゃったよー
今宵こそ、人生を語るべしっ
75月に疲れたピエロ:02/04/28 01:47
Xi、あおりみーめの要素が乗り移ってる<藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁藁
76月に疲れたピエロ:02/04/28 01:57
ごめんよー
変な事書いたら、レス止まっちゃったよー
今宵こそ、人生を語るべしっ
77真琴:02/04/28 01:57
最っ べしっ
78Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/28 02:00
ビールで逝かれ気味( ゚∀゚ )がんばるけどおまえらはしねよ。
79月に疲れたピエロ:02/04/28 02:02
さいはなんでも吸収するねー。
千と千尋に出てくる かおなし みたいでかわいい。
80真琴:02/04/28 02:02
わたしらはもう死んでる。
君もはよ来い。
涅槃で待つ。
81Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/28 02:05
目の中に浮かぶ塵がぐにゃぐにゃ泳いでいるよ( ゚∀゚ )まるで君たちのように♪
82真琴:02/04/28 02:09
てゆか、人生書いてた君、
君自身を語れ。
最電波ペルソナがどうとかいうのはジョークだからさぁ〜

てゆか、自分を語っていたのにそれを他者に蹂躙されたとか思ってトラウマするなよ〜
帰ってこーい
83Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/28 02:10
どいつもこいつも来てくれてありがとう( ゚∀゚ )
そういうの大好き♪( ゚∀゚ )
84真琴:02/04/28 02:12
36 :名無しさん@お腹いっぱい。 :02/04/28 01:43
僕とXi電波は同一人物らしいから、全部で15人だよ。
http://natto.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1019921419/36

これか?
これが君か?
そう短気に怒るな〜!
85おどぅ ◆2WsjboxE :02/04/28 02:24
あーあ,やっちゃった。漏れ。
http://natto.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1019921419/l50
86真琴:02/04/28 02:26
>>85
部落らー
カミュの異邦人は、
心あるものなら誰も読む本らしく、いつも品切れ。
彼等は皆共感したようなそぶりをしているが、
「その内容を論理的に説明してみろよ。」と問うと、
見下したり慌てたりするばかりで、答えになっとらん。
僕は比較的無職なので、誰もいない日の誰もいない時間に図書館にいき、
カミュを借りた。
「カミュは感じるものだ。」と答えた。
しかし彼等はすでにそんなもんには興味なかった。
彼等は僕が一冊の本を読み終える間に、4年間も大学に通い、
そして就職していった。
僕は流行とかそういうものにわりと弱いので、
就職などを行おうと履歴書を奮発した。
88真琴:02/04/28 02:38
お帰りー
履歴書の欄は僕にとって不必要なものばかりだった。
相変わらず無駄が多い
インドでは交通事故で足を一本失った教師が、
最愛の妻とともにビルの屋上で幸せに暮らしているという。
彼等には息子がいて老後の世話をしてくれるそうだ。
ビルの屋上からは、ヒンズー教徒とイスラム教徒の殺し合いが見れるそうだ。
僕の部屋から見えるものといえば、僕の目が世の中のせいで近眼である為に、
ぼやけた広告塔しか見えない。
100円で譲ってもらった眼鏡でそれを見ようとしたらそんなものはなかった。
数年前の台風で根こそぎ吹き飛んだらしい、
そこは今駐車場になってて、カローラが数台とホンダの車が2台止まっている。
ホンダの車はわりと好きだ。
僕が公園でうろうろしてる時、同年代の奴が意味分からん格好でたむろってた。
僕は急いで近くに隠れ、
彼等の話を盗み聞きした。
そのときの彼等の話を掻い摘んで言うとホンダの車はいいらしい、
それでホンダが好きだ。
ホンダが生まれた時から好きだった僕はホンダの事ならなんでも知っていると豪語し、彼等の仲間入りを果たそうとした。
僕は一生懸命ホンダを辞書で調べ、その意味を理解していたので当然仲間になれると信じてた。
向かい風だった。
それが敗因だ。
川を泳ぐ事は結構あった。
石を投げられて、頭に傷を負いながら向こう岸に辿り付いた事もあった。
僕は必死に泳いだのに、彼等は既に向こう岸にいた。
彼等は橋を使ったんだ。
僕は不器用だからそういう事はできない。
頭が割れそうに痛いので、僕は医者にいった。
その頃にはもうかなり医者が嫌いだったが。
薬を飲めといわれたが高いので逃げ出した。
帰りにビールを買った。
ビールは割と好きだ。
不味い、飲んでて腹が立つ。
ある日電車でどこまで行けるか試したんだが、
それほど遠くまでいけなかった。
だから歩いて帰る事にした。
2日かかった。
あれだけがんばったのに得るものは何も無かった。
気が付いたら4時ごろで、ミーンミーンってせみが鳴いてた。
また夏だ。
92電波姫 ◆b2rVr8CI :02/04/28 03:00
ギャン ギャン
93月に疲れたピエロ:02/04/28 03:56
電波姫、あらしじゃないよ。よしよし。これおたべ (ω)
94真琴:02/04/28 04:05
別スレで3ゲットした0age君は、この0age君ですか?
つづき書いてね〜
ちゃんと読んでるよ。
95竜 ◆3o.JJaWE :02/04/28 07:52
あー女になりたい。
96Xi電波 ◆rH3V61uE :02/04/28 08:17
相変わらずわけのわからない。スレッドですか。
97名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/28 17:59
いい話ですね
98真琴:02/04/29 00:12
0ageさんは、某スレでの「〜女の子が許せない」ひとですか?
そして、このスレの1と同一人物なのでしょうか?
それは「竜」を名乗っているひと?
>>42 で「このスレを建てたのは村上龍」と言っている・・)
99月に疲れたピエロ:02/04/29 01:18
ちがうんでないかい?
村上龍っぽい言語だからそう言っただけじゃん?


って思ったけど、あの人も自称村上龍っていうことが言いたいのかもしれない、
うーん、真琴さんの洞察は人を狂わせるね。
100名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/29 01:49
100げっとー!!
とか寒いことやります。

そして、泣く。
まるで、処女のように。
101真琴:02/04/29 02:32
>>100
x00系の錐番もいいけど、いまお洒落なのはxxx系の錐番だよ?
いくつとっても飽きないけど、でもたぶんそのうち飽きるんだけどね。
ビールの缶が2本並んでるんだけど、ちょっと距離があって。
一番近いところにあるのはもちろんキーボード
その奥に牛乳に溶け残ったインスタントコーヒーがまばらについたマグカップが一つ、
辞書、またマグカップ、手帳が斜め、辞書、小説、辞書
辞書が多いな。
部屋が暗いから何の辞書なのかは分からない。
僕は部屋を明るくしたいからパソコンを購入した。
テレビでもよかったんだけど、
中学生の時にラジオを買ってもらった。
それを夜中にいつも聞いてた。
夜中になるのが楽しみだった。
昼は馬鹿にしてる。
くそが、
初めてビールを飲んだのは昼だ。
帰りにクラスメートが僕の悪口を言っているのを聞いた。
辞書が沢山あるが、
何も知らない。

いつも何か調べようとして
追い立てられるような気持ちになって
他の辞書を見る。
焦ってるから落ち着け、落ち着け
骸骨が割れて人が死んだ。
ビールくれ。不貞寝。
104月に疲れたピエロ:02/04/29 03:11
(´-`).。oO(がんばってねーロムってるから。)
初夏がまた来やがったので、しょうがなくまた出かけた。
流しそーめん食いに行った。
その時はまだ6月だったので、1ヶ月以上かかるところで素麺食べなきゃならん。
かなりゆっくりいかねば。
いつもの公園をスタート地点にし、
ナメクジとかゲジゲジとか、ヤスデとか、
夏と関係の無いものは極力避けた。
南は暖かそうした。漠然と南に進む事にしました、
南向いてりゃ何か自分が途方も無い計画を実行している気になるっしょ。
村上春樹じゃ駄目だね、
もっとメリハリのある奴、俺は夏だーっていうのが読みたかった。
でも僕は小説とかあまり知らないから、
綺麗な女の人見つけては、妄想に浸ってたんだよ。
住宅街から街を何個か転々とし、
都会に出た頃が、折り返し地点だったんだよ。
昼は人が沢山歩いてるから忙しい気でいたが、
夜中は吉野家か公園で寝てた。
ビリヤードでBをパクッテきて、
3はうそっぽいからドブ川に捨てた。
特にイベントも無いまま時間だけが過ぎていった。
7月、僕は一度実家に戻って工場でアルバイトをしていた。
皆働いていたが、何をやってんのか相変わらず分からなかった。
俺は自分しか眺めていないので、他の事には興味ないんだろう。
サラリーマン時代もそんな感じだった。
仕事ができないからそのうち毎日殴られるようになった。
毎日怒鳴られた。
気が遠くへ行く。現実実の薄いところだ。
同じラインの人と仲良くなった。
毎日彼と食事をした。
彼はギターリストなのに、ギターが下手で。車を買ったから後はバンドだけが俺の人生だと言ってた。
性格の悪い人で、すぐ金を要求した。
それと遅刻が多くて、ある日クビになった。彼とはそれっきりだ。
空が異常に綺麗な工場だった。
僕は綺麗な空をマヨネズ色と呼んでいる。
人と滅多に話をしないので、心の中で呼んでいる。それと独り言。
工場のベンチが二つ置いていて、空を見ながら一人でコーラを飲んでた。
そのうち課長に呼び出され、お前はいらねーって言われた。
田舎の癖して川が濁ってた。
ただ線路が凄く綺麗で、
用水路にアメリカザリガニが死んでた。
駅前のコンビにでよくカロリーメートを買った。
107最電波 ◆rH3V61uE :02/04/30 02:35
( ゚∀゚ )きこえねーぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーおおお!!!!!!!!
近所にCD+本屋ってのがあって、
僕は本を眺めるのが好きだから、
よく本を読みにいった。
そして帰り際にCDを見て回って、
あー、そこのレジの子が女の子なんだけど、
愛想のいい子だった。
愛想のいい人は不自然に笑ったりしない。
必要な事だけ話して、その場所を引き立たせる。
いつも通りラブサイケデリコの前で立ち止まって。
それで部屋に帰った。
その本屋から僕の部屋まで4キロ程あるが、
何やらぼーっとしてる間に着くから苦痛じゃない。

8月、まず僕は電車に乗った。
都会に出た。
工場であったギターリストが何よりも憧れる土地だ。
彼は生涯この人ごみを経験する事はないのかもしれない。
僕はなるべく人と同じように歩き、時々自分を映すものがあると自分をチェックした。
コンプレックスの塊のような僕は、とりあえず髪型を2,3回撫で、
何も得ぬまま人ごみに戻った。

購入したいものは得になかった。
第一金が無い。
紀伊国屋で立ち読みした後、
吉野家で夜を待ち、
公園で夜を明かした。

8月。
僕の人生は或いはこの季節の為にあるのかもしれない。
時々思い出すのは、
珊瑚礁と太陽の下でシャワーを浴びる
あの季節は本当に実在したのか。
僕はこれが一生忘れられないものになると実感した。
珊瑚よりもシャワーを浴びる。
それと犬が泳いでたな。
星も綺麗な夜だった。
目が悪いはずなのに、どうして星が見えたのだろう。
コンタクトは高いからあまりつけない。
何も無いのに、何かあるような。この距離を埋めるものが夏なのか。
セミが鳴いている。
ワンピースとマニキュアと、カミュといえば夏だよね。
もの足りなさを感じながらくだらん雑誌を読んでいた。
流し素麺というのは、
綺麗な水がある場所でなくてはいけない。
名水100選のうちの一つに観音水というのがあるが、
その麓で流し素麺をやっている。

距離にしてどれくらいなのか、
電車で都会に出てから、1週間でついた。
もうもうとした日が続く。
僕は懐かしいと思うとした。
懐かしさとは何かを乗り越えた人間に与えられたもので、
僕は懐かしもうと必死で努力しても、
それに現実味も無く。
僕が幾分か若い時、
親戚とススキの生える野道を歩いた。
ずいぶんと後で知った事だが、彼女も田舎を訪れるのは数年に一度で、
しかし僕にとって、それが田舎の風景だった。
問題は、何故夏にススキが生えていたかなんだが。
狭い世間でオドオド生きて来た僕にとって、
それらが田舎の風景で、
例えば田舎で田舎らしからぬ出来事があろうと、
僕はそれを認めないと思う。
例えばそれは、出張でこの地を訪れた時、
殴られ痛めつけられながら見たこの地を、
レンゲ祭りのあった土地だとは思えなかった。
111真琴:02/04/30 03:23
抜け目なく 111ゲット!
田舎に来て何日目か
僕は何人かで流し素麺を食べに行った。
本当は独りで行きたかったけど。

一杯500円、
柚子とカボスの香りが美味しくて
でもすぐに飽きて、
「行こうか。」と親戚が行った。
何も思わなかった。
帰りに岩魚の塩焼きを食べた。
あ。食べてない。
去年の話だ。
去年と今年は同じようで全く違う。
去年見た珊瑚礁は大気圏に穴が開いて消滅してしまった。
あのぼろいシャワーも、海の中に沈んでしまった。
来年アワビと磯ギンチャクが乾いた土を懐かしんでいるのだろうか。

部屋に戻った。
あっという間だった。
セミが死んだ。
113名無しさん@お腹いっぱい。:02/04/30 11:40
マイナス電波じゃ何も進まない
壊れたオモチャを直して遊ぼう

まだ17aしか伸びてないし
星はいつでも傍に在る



ここで鍵を見つけるかもしれないが

開けるのは君だ
114真琴:02/04/30 15:32
このスレ・・

このスレ自身が、いま、不思議な機械のように進化しながら坂を登っている感じがする。
節足動物のようで少女のような機械。
大原まり子さんが描くみたいな機械。

「法律ができて」という預言が気になる・・
115月に疲れたピエロ:02/05/01 01:02
みーめスレ、爆笑させていただいてるよ毎回毎回(゜ё゜ |||
あっちのほうが骨折れるだろうけど同時進行って美しいよ わけわからない( ・∀・)
116真琴:02/05/02 02:10
>>114 は、
「ピーポくんがうしろからついてきます」ってことかも知れない。
117真琴:02/05/04 00:44
とりあえず、揚げてみよう。油がはねるかどうか。
118名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/04 00:53
お調子者めが
二人で
 二人で
二人で暮らしたい
119真琴:02/05/04 00:56
>>118
お銚子とかいうからお酒が飲みたくなってきたよ。
冷蔵機で冷やしてる純米酒、出して来ようかな。
頭にモヤがかかったようで、
何も考えられない
幼い頃からの注意力の無さが、これほど根の深いものであったのは知る由も無かった。
作文に忍者になりたいと書いた。
今日知ったんだが、どうやら僕がなりたかった存在は、
どちらかというと伊賀の下忍らしい。
きっとおそろしく頭が悪いに違いない。
だから僕は意外とまだ生きてる事に感謝すべきなんだ。
馬鹿にしてくださってありがとう。

11歳から髪が抜け始め、
それでよく頭皮を揉むくせがあったのだが、
どれだけ揉んでも頭皮はかちかちで、
体中から自分を強烈に掻き毟りたい衝動に陥った。
その度にまた抜け毛が落ちる。
鼠は猫に睨まれた時、
神経が痺れて動けなくなるらしいが生物というのは、
合体して巨大な一つになろうという命令と
細分化された自分自身でありたいという命令の
矛盾と叩きあいで繰り返されているのではと。
公園に
121真琴:02/05/04 01:13
うわぁ〜い。0ageさんだぁ♥
ageてみるもんだなぁ・・

幼い頃、漠然と蟻を朝から晩まで眺めていた記憶があるが、
冬とか僕は何をしてたんだろう。
異常に春が待ちどうしかったのは、
蟻の巣を眺めたかったからなのか?
春になると朝から晩まで蟻を踏んだ。
毎日怪我をしていた。
怪我をするのが日課だった。
いつもは誰もいない公園も、
春の休日は人が多くて、
ギターを弾いたり、集団で弁当食ってたり。
それで僕はやる事が無いので
朝からずっとぐるぐる歩き回り
小説読んで、文章書いて
風が吹いたから振り返れば
夕方になってて蟻はいなかった。
123月に疲れたピエロ:02/05/04 01:38
あんまり小説なんて読まないほうがいいや。
あほで腐りきった現実が現実以上にリアルに描かれてるし。
僕は自分に対していろいろな事を考えているふりをしてきたが、
実際何も考えていないんだろう。
配線が切れて壊れた脳回路は記憶と学習ができない。
無駄だし目標がない
前半だけ残ったプログラムが実行と強制終了を繰り返している。
何度も繰り返し
じょじょに消耗し、
やがてあちこち痛んで
無くなってしまう。
他の人間は僕が屑だと早々に気付いていた。
でも僕はまだ気付いていないのかも。
いつまで登りつづけるのか。
頭が悪いのが幸いし、僕は数十年と生き残っている。
この目に映っている光景がなくなるぞと脅しつづけ、
ビールを飲んで麻痺させた。
お腹が空いたから何か探しに出かけたら、
酔って体がふわふわとしてて
道端にげほげほ吐いて
それを人に見せ付けながら
俺をこんなのにしたのは誰だと笑い転げる。
125真琴:02/05/04 01:40
>>「いつまで登りつづけるのか。」
0age氏こそが「機械」だったのか・・
126名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/04 01:41
>>0age氏
何気に女っぽくなってきたようにも感じられるしな。
127名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/04 01:42
>>126
うんうん。
最近ちょっとかわいいよね。
128真琴:02/05/05 22:14
奇跡は 誰にでも      
一度おきる  
だが
おきたことには               
誰も気がつかない
129真琴:02/05/06 00:02
わたしは真琴
130戦士:02/05/06 00:07
そしてわたしは戦士
131名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/06 00:09
そしてわたしは名無し様
132真琴:02/05/06 01:04
もう一度、●になるのだ!
133名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/06 01:16
●ですが何か? 
134真琴:02/05/06 01:18
>>133
●の前は▲でしたか?
135:02/05/06 01:18
果たして人間に神が殺せるものか?
見ものだな
136:02/05/06 01:20
嬲誤爆
137おどぅ ◆2WsjboxE :02/05/06 01:21
良スレだな。うん。

ほれ,みかん食え。うまいぞ?冷凍庫で見つけた。
138真琴:02/05/06 01:21
嬲(´,_ゝ`)プッ
139名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/06 01:25
>>137
マズー
140おどぅ ◆2WsjboxE :02/05/06 02:28
ええゑ!?(゚д゚)ウマー いのに・・・。
ニョクマムつけて喰うと,犬の耳の中の臭いがして笑えるぞ。
141名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/06 04:17
( ゚∀゚)アヒャレタアヒャレタ ( ゚∀゚)( ゚∀゚)アヒャアヒャヒャ
142 :02/05/06 06:37
このスレいいね
名無しさんの文章がいい
真琴はいらない
143真琴:02/05/07 01:00
>>142 激しく同意。
0ageさんの文章、いいよね。
真琴はいらない。
144真琴:02/05/11 00:52
でも、0ageさんのご降臨を待つために、ageさせていただく。
耳垢を取ろうとしたが取れないので、
頭を傾けてぽんぽん跳ねていた。
耳垢が溜まっているとしか思えない。
頭が悪いので発作的に金をくれと話した。
金持ちになったらお金なんてくだらないよと言って、
富よりももっと大切なものがあるはずなのにとか思えるのに。

つい最近、緑が綺麗で電信柱に雀がいました。
僕はパソコン以外に見るものがないので
真っ赤に充血して、ほとんど前が見えない状態で
キーボードを打ちつづけなくてはならない。
朝が来るたびに胸糞悪い罪悪感を感じ、
自分が何かを感じてるのが笑えて、
それを肴にビールを飲む。これ最高。

だというのにビールを買う金がほとんど無い。
もしビールを買う金があれば好みの服でも買って、
一日中道端で人間観察ができるのに。
146真琴:02/05/11 01:40
キタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!!!
初めて服を買ったのは台風の日だった。
その日は台風で、
酷い風の中ずぶぬれになって出てきた甲斐があって、
店は全部閉まってたが満足だった。
小学校の時、
大雨で川が氾濫してるので遊んでたら、
傘の骨がぼきぼきに折れて、
僕は折れた骨を元に戻そうとしたが、
10年経った頃には僕は直らないという事が分かっていた。

そして一日中道に座って人間観察をした。
好きな服をきて、
皆と時間を共有し、
皆楽しそうに笑っているので
僕はなんて幸せなんだろうと話した。

また雨が降って雨が止んだ。
暑くなったので白いTシャツを人々が着てた。
僕もたまたま白いTシャツを着てたので、
他の人と同じような気がして、得意になって歩いた。
148真琴:02/05/11 02:06
いま、執筆中なのかな・・
夏というのは、だいぶん前にはじまっているものだ。
去年は6月に気づいたが、それでは遅すぎる。
僕の経験では、夏というのは本当に夏が来た頃には終わってる。
むしろそんな季節はさっさと終われば良い、
義務感と失望感で死んでしまう。
ひまわり畑を見たことがあるが
あれは悲惨な光景だった。

まずは速読だと思う。
字を早く読めなければ意味が無い。
だから僕はまた小説を借りて、
読んでえらくなった気分で
公園で散歩をした。
雄蟻の群れが至る所を埋め尽くしてる。

雄蟻はでかくて羽が生えている
働き蟻は小さくて働く
平等などは必要なくて
やりたいようにやればいい

ぐるぐる回ってるうちに夕方になって
夕方になったから僕は帰った
僕は何か重要な事を忘れてる気がする
でも頭が悪くて思い出せない。
帰るのではなくて
150名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/11 02:27
    10: 際電波だけど何か質問ある?( ゚∀゚ )2つ目 (551) 
    11: 機械が坂を登ったら法律ができて女っぽくなった (149) 
    12: ハナコ (´・ω・`) ノ (839) 
ハナコさんのためなら、えんやこーら、age
151真琴:02/05/11 02:28
>>150 署名し忘れた・・
152真琴:02/05/12 01:57
よし。そろそろ、気球をageてみよう!!
153ロシア:02/05/12 02:00
ロシア           
154真琴:02/05/12 02:03
それにしてもこのスレ、最初は最電波氏の分裂者分析をするスレだったはずなのに、
いつしか0ageさんを待ちわびるスレになっている。(真琴的には、ってことだけど)

実は色々気を使っている。
昨日の0ageさんの作風は、以前と微妙に変化してきている気がする。
0age署名で投稿してくれたひとが、以前のひとと同じ躰を共有している場合、してない場合について、
作風の変化を指摘した方が良いのか、否か、微妙だ。
155真琴:02/05/12 02:07
同じひとだったとして、指摘した場合、「疑うのかよ?」と腹を立てるかも知れないし、
違うひとの場合、指摘しないと、前の0ageさんが「ちゃんと読んでないんだな・・」と怒るかもしれない。

ちゃんと読んでますよー
真琴が感想を書くと、読み方を規定してしまうかも知れないので、感想は何も書かないだけですよー
156真琴:02/05/12 02:09
真琴
157真琴:02/05/12 02:11
腋臭
158即死:02/05/12 02:11
真琴
159即死:02/05/12 02:12
即死        
160腋臭:02/05/12 02:12
腋臭           
161真琴:02/05/12 02:14
謎の人物が、謎の順列組み合わせを演じるスレに化けたっ!
162名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/12 05:44
海溝付近の自動車は安達由実の親指爆発。
頭がくらくらしながら、坂道を登っていると、
ビルの屋上から、手をつないで、飛び降りる男女のカップルが見えた。
新たに世界を構築しているのだろう。その証拠に、医療データに、
偽善が組み込まれ、行動力を失った鼠の牙が、突然、腕に生えてきた。
新緑の夕焼けに、闇夜に蠢く怪物たちと、ダンスをしながら、少女の
指先から、輝きの瞬間が、私たちを包み込んだ。
164真琴:02/05/15 00:50
誰か作家さん来るかなage
化石の宝石を、指にはめた女性の目つきが
いやらしく、大衆社会に腕を折られた豚が舌なめずりをした。
電子回路で結ばれた男女こそが、新世紀の理想だと
発言した独裁者は、光の中で内臓破裂したと、輝きは伝えた。
景色がくっきり見えるようなり、怪物たちの醜態も、
人肉を骨までむしゃぶる美女たちも、次は知識を食われていた。
枝危機気負い
167名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/16 00:50
狂牛病って名前がKSDになってから、ムネオハウスの偽装事件で
西宮競輪が廃止されて、代わりにオリックスのイチローが小泉の
支持率を下げているらしい。
168月に疲れたピエロ:02/05/16 00:51
勉強になるなー。
169真琴:02/05/17 14:42
勘違いの気球。
天井に止まったまま。
でも、私には手が届かない。
そして床が抜ける・・
170bsd:02/05/18 01:36
この世界ではジョニーしかプログラムに参加してないんだ
だから僕は霊だ
星を読むんだ!
宇宙へ!宇宙へ旅立つんだ僕は。
正直な話もう
六回も
柱が
もうさ。空を目指してた時代は終わったんだ。
これからは宇宙だ。スープの中に浮かぶ宇宙。
宇宙という名のスープの中に浮かぶ地球と地球。
地球という名の宇宙の中に浮かぶスープこそが"機械"だと悟った。
僕らは遠くへ行きたいんだ。
いつの時代もさ。
それが"機械"(=文明)という事なんじゃないかな。
と、思ったらローマ。
171名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/18 01:38
産業革命の幕開けだ
172bsd:02/05/18 01:39
>>171
今。この瞬間こそがだ
173真琴:02/05/18 01:39
うわぁああああ
174名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/18 01:40
おい、あくびをしてる場合じゃねぇよ。
175名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/18 01:41
ウインドウの支配下だ。
その瞬間に宇宙を見る。
176bsd:02/05/18 01:43
>>175
君には見えたのか
みえたよ
せな毛
かがみでみたんだ。
178bsd:02/05/18 01:47
>>177
僕には見えなかった。
結局僕の存在自体が邪魔だったんだ
やっぱり消すしかないんですかね?
知ることは容易い
知らずにいるのはむずかしい。
知ればいい
知らなければいい。
180名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/18 01:59
厨どもが!
181うねら〜 ◆9BD/c7TU :02/05/18 02:01
ああああ!!!!だんだん可憐になっていく・・・・
なすマニア物語
183真琴:02/05/19 00:30
酔っ払い揚げ。骨は拾ってくらさい。
184真琴:02/05/19 00:34
>>182-183 時刻がなぜ同じ?
真琴にはこういう偶然が多すぎて、最近恐くて恐くて!
雲が走ったら切り抜けそうな感じだったので
風の方向を確かめて駆けたのに
ずぶ濡れじゃないか

でも時間が解決するようなもので
蟻がまた出てきて
桜の葉っぱで毛虫を落としたら
沢山群がって
部屋に帰った

ただいま
おかえり わーい
PCの電源入れたら
何かに似てる
187怒級の1 ◆miaDMY0. :02/05/19 22:43
本当に長い一本道だなぁ。
やっぱり、さっきのスレで行き着く結末を見とけばよかったなぁ。

あーあ。失敗したなぁ。
188スペツナズ:02/05/22 02:14
咽喉から血が出た
(o+o)
189真琴 ◆6EJyowrQ :02/05/24 00:44
上層に打ちageてみます。実験です。
190スペツナズ:02/05/24 00:47
機械の時代はもう終わったんだ。。。>>189
191真琴 ◆6EJyowrQ :02/05/24 00:48
次は法律の時代でしょうか・・?
何となく、鬱。
192スペツナズ:02/05/24 02:50
今はテクノの時代。
だが根幹では機械が動いている。
193真琴 ◆6EJyowrQ :02/05/24 03:34
機械が坂を登ったら、
法律が出来てファッショ化し・ファッション化して、
女っぽくなってサイボーグフェミニズムということでしょうか・・
194スペツナズ:02/05/24 03:37
>>193
そんなことより貴様は寝ないのかという問いかけ。


に、対して天帝様はこう答えるだろう、
「機械とはMod(モード)である」
195真琴 ◆6EJyowrQ :02/05/24 03:39
( ̄ー+ ̄)
7≡4 (mod3)
つまり、それが法かっ!
196真琴 ◆6EJyowrQ :02/05/24 03:40
道は開けたっ!
197名無しさん@お腹いっぱい。:02/05/24 03:40
まだまだよ
198真琴 ◆6EJyowrQ :02/05/24 03:42
剰余類こそ、譲与分であり、不労所得である。
だから、法が・・
つまり、機械が坂を・・

ワカタ━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━!!!!!!
199真琴 ◆6EJyowrQ :02/05/24 03:43
モードがドーモで、三菱DOCOMO
基地情事・・
三角地帯では・・
200真琴 ◆6EJyowrQ :02/05/24 03:45
天軸を不確定に取って、エントロピーの指標をあわせる。
印度、妖度に加えて、粘度が大切だ。
チャネルの切り替えは衛星で行う。
201真琴 ◆6EJyowrQ :02/05/24 03:47
サイボーグ化・・
単語とはある種のナノマシンである・・
みーめのミームを保存するために最電波は・・
そうか、だからか・・
202真琴 ◆r8yJOVzA :02/05/24 03:49
みーめのミーム(模倣子)は物理身体のDNAを越えて・・
だから、右に膨れる・・
アンテナ状神経網の完備・・
NETの広大さ・・
203真琴 ◆6EJyowrQ :02/05/24 03:50




                               一足お先に、消えます♪
                               おやすみなさい・・
204真琴 ◆6EJyowrQ :02/05/28 00:21
法を見出して進化して以来、このスレをageていない。
たまにはageて、様子を見よう・・
205魚っ皿 ◆TeNnEndQ :02/06/01 17:31
人生語れるほど生きてねぇ
206スペツナズ:02/06/03 11:34
最新のModはここにはローマ!
ともかくも、機械に法を語れるはずもなく。
テクノならば如何かという程度の。
207スペツナズ:02/06/03 11:44
MIMEが世界を満たしていた時代は幸福だった。
つまり、予言されていたから。
機械が坂を登ったうんぬんというのは予言に過ぎない。
予言、託言の類は民衆を支配して、拘束するという考え方もあるがな。
だが、暴走しやすい民衆を制御するにはちょうどいいのではないかな?
208:02/06/03 11:45
ぽぽー
209uhf:02/06/03 13:30
(´≧`)ζ    フニフニホーホー
    つ日

    ・
210後藤田 ∬*・∀・)y-~~ ◆JFUclAgI :02/06/03 13:46
おやすみなさーい
もうねます。
211真琴:02/06/09 01:52



その後、あるひとが法律を作り始め、
それと同時に女っぽくなった。
なぜだろう? 
預言の成就のためか?
212スペツナズ:02/06/09 11:20

違う。
ほんとは坂なんか登りたくなかったってこと
213真琴:02/06/09 13:54
坂を登ることは成長のメタファーではなく、進化=退化を預言している。
それはつまり、いまある自分の死だ。

機械は奇怪な坂をさかのぼり、法律ができて、女っぽくなった!
214月に疲れたピエロ:02/06/09 19:57
deniamn, I can't forget your death in my dream.
215真琴:02/06/10 01:05
>>214
誤爆なのか、何らかの釣り餌なのか…
216魚っ皿 ◆TeNnEndQ :02/06/10 21:42
交差点を赤信号で突っ切っちゃって事故った。車でね。
救急車とかで運ばれて大変だったんだ。
自分が全面的に悪いから、保険も使えない。
警察に呼ばれて、事情聴取した。
打ち所が悪かったら、死んでたか、ホルモンバランス狂って女っぽい身体になってたかもね。
217真琴:02/06/11 01:43
月さんの腹蔵が読めない…
218真琴:02/06/14 12:55
河原で催しがあると聞いた。確かに聞いたので、蟹の噂ではないと思う。だから蟹座の惑星から
そろそろ死者が着てもよさそうなものだが、試着するには棘があるのか。
やっぱり互換性の問題ですかねー  蟹の甲羅では起動時にジャムるおそれがあるので、
階段を登るときには警戒モードで逝く。それにしても河原の催しは腑分けだとかなんだとか。
流れた血を河が洗い流していくのだろう…
219真琴:02/06/14 13:02
田舎に帰ると蛙が鳴いている沼で、それはそれはどんよりとした樹々の下にまるで墓所のように
たたずむ村なのだが、スピリットをお猪口で呑ませる店があって、ご主人は元東大教授、
いまは森の奥で怪しげなコードを書いては樹々に貼り付け、烏賊や蟹を掴まえては放し、
その合間に図書館で楽隠居のご主人で、気が付くとトンネルの前まで来ている、
そこから店のストールまではあと一歩である。缶詰。
220真琴:02/06/14 13:09
切れ切れに歌う盆踊り、村の夏は死者とともに暮れ逝く。田舎の部屋には床の間があって、
床の間には橙色の縞模様の壺が7個並んでいる。どの壺にも霊がたくさん棲み付いていて、
一日中カタコト動いている。だから沼まで散歩に逝くと、空が広いのに、森に入ったあたりから
急に空が消え、樹々、そして樹が、樹が、そして繰り返し繰り返し、フラクタルな蔭を描き、物陰にふと歩みいると、
気が付くと東京の裏路地に出ていたりする。そうするともう沼にはたどり着けない…
221真琴:02/06/14 13:24
猫道を歩くと、クラゲが漂う野原に出た。こんなメルヘンな光景なんて見たくないと思って
目をぎゅ っとつぶると、潰れてしまった!  ぷしゅ っとはじけ飛ぶ目玉。
わたしはすっかり慌ててオロオロと目玉を探し回る。気が付くとちゃんと眼窩のなかに入っていた。
あれ? はじけ飛んだ気がしたのは何でだったのだろう…? ――すべてはクラゲの見せる幻覚だった。
つま先立ちしてクラゲを掴まえようとするけど、あとちょっと、届かない。
222真琴:02/06/14 13:37
路が走る街を空から顕微鏡で見ると無数の黴、黴、そして黴。――飴色の胞子に揺れる透明な躰。
瓦屋根の上を猫と一緒に、胞子を噴き散らかし噴き散らかして走る。そうだ、河原で腑分けがあるのだった…
どうしても特急の乗り継ぎが間に合わないから村に帰るのは無理だが、蛙の鳴く沼に気が付くとたたずんでいる。
蒸気機関のような駅前商店街の階段を登ると、おやまあ、スターバックスがある。ほんとかな?
ねえ、ほんとかな? 顕微鏡写真のシャッターを切る。

223真琴:02/06/14 14:03
「さあ、腑分けが始まります。」 河原の医師は白衣に手ぬぐいでそう言った。
河の水がざあざあと心地好いノイズを立てる夕暮れ、ざあざあと心地好いノイズを立てる夕暮れ、ざあざあ…
河原に置かれた真っ白な解剖台のうえには…
う〜ん、良く見えない、あれは一体なんだろう。ミシンと蝙蝠傘だったりするとあまりにもコン鯖ティヴだから、
解剖台の上に載っているのはきっと、あれは一体、なにかそのような

224真琴:02/06/14 14:37
ミジンコの顕微鏡写真を撮ったら霊が映りこんでいた。ミジンコの肩のあたりに
どう見てもこれは顔です。ヤヴァイ。顔だ、これ顔だ、顔だよ、顔、顔。
顔はミジンコに祟っているのだろうか。なんだか恐いので商店街を登った辻にある珈琲屋で作戦を練ることにした。
しかし雨だなあ。雨が降る外の景色もそれなりに良いなあ。――窓硝子を覗くと、そこに顔があった。
顔は大きな目玉でスライドガラスの上のわたしを見ていた。
225真琴:02/06/14 23:46
            §    §

蒸気機関のような駅前商店街、この地点から再び歩き始めよう。狭い路地、路地というよりも、
建物と建物の間に偶然残された透き間のような路地を猫と一緒に駆け抜ける。
幽霊のような人影の群れ。いつまで歩き続ければ沼にたどり着くのか分からない。
電波状態も悪い。――さあ、この階段だ。昼間、この階段を登ると、スターバックスがあった。
その地図は夜になっても通用するのだろうか…
226真琴:02/06/14 23:53
階段を登ると、いきなり商店街が切れ、高速道路のコンクリートの高架の下に出た。白いコンクリート、埃っぽい空気。
高架の下に小さな児童公園があり、ブランコがある。風に揺れるブランコがなぜかわたしには恐ろしい。
ここはとても恐い場所だ。ここはとても恐い場所だ。
高速道路の下に児童公園があって、そこではブランコが風に揺れている。風に揺れているのです。
とても恐くなったわたしは、でもなぜかブランコに近づいていった。
227真琴:02/06/15 00:12
ブランコは風に揺れていたのではなかった…  わたしは走って逃げた。高速道路の非常用階段を登ると
タイミングよく現われたモノレールに乗った。モノレールは街の上空をふらふらと揺動しながら
開け放したドアからぱらりぱらりと乗客たちを振り落として逝く。わたしも落とされないように
必死で椅子の肩の取っ手に掴まっている。――ついにモノレールは宙返りをはじめた…  
ぐるんぐるんと回転するモノレールから四方八方に飛び散って逝く乗客たち!
228真琴:02/06/15 00:20
大きな蛇が沼の横をぐるんぐるんととぐろを巻きながら這っている。蛙が鳴く沼の傍らでは
ご主人が客たちにスピリットをお猪口で呑ませていた。ここは随分静かだ。客たちといっても
幽霊たちなのかもしれない。そうは言っても、雛人形が待っている階段を校舎の上まで登ると
必ず屋上の幽霊に出会うのだから、合掌造りとはいえなかなか莫迦には出来ない。
草の香り、樹々、樹、樹、そして樹、月の明かり、そして缶詰。
229:02/06/15 00:21
             光があまりにもまぶしい
230真琴:02/06/15 00:35
「さあ、腑分けが始まります。」 河原の医師は白衣に手ぬぐいでそう言った。
月明かりの下、河の水がざあざあと心地好いノイズを立てている。月明かりの下、ざあざあとノイズを立てている。ざあざあ…
河原に置かれた真っ白な解剖台のうえには…
あれはいったい何? 恐竜のような異様な動物の膨れ上がった臓器ではなく、集積した粘菌の移動体でもない、
解剖台の上に載っているのは、あれはきっと、なにかそのような

231真琴:02/06/15 01:13
浜辺に沢山の缶詰が打ち上げられたので、舟が沈んだのだと分かった。
沖を睨むと、街の明かりが海の闇に掻き消えていくおぼろげな境界面がある。
缶詰は月明かりの缶詰だった。缶切りで開けると青い光が冷たくあたりを照らすのだ。
――海か…  沼と河からあっという間に海まで飛ばされてしまった…
わたしは読むことの出来ない地図を握り締めながら堤防を歩いた。
232真琴:02/06/15 01:21
センター街の街灯の足元に出されたゴミとゴミの間に、雑居ビルの地下1階に下りる階段が
こっそりと口を開いていた。この街では終電が逝った後でも、ウロウロしている人間や幽霊に事欠かない。
地下1階に下りる階段の下のほうは真っ暗な闇の中に消えている…
リュックの中から月明かりの缶詰を取り出してどうしようか思案する。生ゴミの臭いが鼻を突く。
猫が歩いていく…
233真琴:02/06/15 01:29
珈琲屋さんのガラスの中に日本人形が拘束されている。高速道路の高架下には踏み切りがあって、
ここで海岸の電車が高速道路の下をくぐるのだが、踏み切りをまもるひとは誰もいないし、
大体、踏み切りはあっても遮断機がないので、カンカンカンカンと耳をつく音に悩まされながら、
みんな平気で渡っていく、というか、渡ろうとして電車にひき潰されるのだ。
だから、この蛙が棲息する範囲は国道の東側の村に限られる事が分かったのです。
234真琴:02/06/15 01:37
夏休みの研究は蛙の棲息範囲だったが、意外にもこれは、幽霊の棲息範囲とも重なっていた。
つまり、村々のお地蔵様を調べてみたところ、国道が境を成している事が分かったのである。
だがこれは因果関係が逆だという仮説もあり、境だからこそ国道を通したというのだ。
地球からわずか41光年の距離にある蟹座「55キャンクリ」には太陽系ととても良く似た惑星系があり、
結局は互換性の問題なのかもしれない。神経網を広げていくと…
235真琴:02/06/15 03:58
            §    §

チャートを拡げ過ぎると曲率による歪みが激しくなり地図が地形を正しく反映しなくなるようだ。
地図の別な地点に飛ばされる確率も高くなるらしい。無限に小さな場所が無限に大きな曲率を持っているので
<場所>をひとつの地点として維持する事さえ困難だ。電波の送受信がうまく逝かないと、
ちょっと気を抜いた隙に別な時空に飛ばされている。
いくつかの<場所>は確定されつつあるみたいだが、写真さえ刻一刻と変貌していく…
236真琴:02/06/15 12:46
            §    §

スターバックスでコーヒーを飲もうと思って蒸気機関のような駅前商店街を出鱈目に歩くうち
高速道路の下の児童公園に出てはいけないから、映画館の横から猫路に入り、駅からr方向の移動をする事にした。
θ方向の移動は慣性でまかなえるがr方向の移動は重力に逆らう事になる。
住宅街の真ん中には樹々に覆われた丘があり丘の上には神社があった。この丘はもちろん陵であり、
つまりは墓である。古代の怪物が封印されている事が多い。
237真琴:02/06/15 12:52
神社の石段を登る。恐ろしい事にこの石段は一歩登るごとに重力が増えてゆく。
どうもこの陵にはマシンが設備されているらしい。だとすれば、こここそが爆心地なのかも知れない。
石段を登ると気が付くとアスファルトで覆われた空き地、空き地の向こうのビルの1階には
スターバックスが店を出していて、道路にも席を展開している。客がみんな、わたしのことを見ている…
いや、違う。わたしの背後を見ているのだ!  わたしもゆっくりと後ろを振り返る…
238真琴:02/06/15 13:06
やったぁ♪  ソファー席が空いている。本日のコーヒーはハウスブレンド。
ソファーに深々と腰掛けてミジンコの顕微鏡写真を検討する。なぜここに顔が写ったのか。
気が付くと店内の客がみんなしてわたしのことを見ている…  ――いや、違う!
わたしの背後を見ているのだ!  わたしもゆっくりと後ろを振り返る…
大きな顔が、とても大きな顔が、大きな顔が、のっぺりと宙に、大きな顔が、
239真琴:02/06/15 13:14
猫が床を歩いていく。わたしはリュックから月明かりの缶詰を取り出すと、もたもたと缶切りで缶を開ける。
大きな顔はわたしが何をしているのかソファの肩に覆い被さって覗き込んでいる。
缶が開いて、青い月明かりが周囲を満たす…  ――堤防を歩くうちにこのようなザッピングをいつまでも
続けるわけにはいかないなと感じる。それは物語=世界内部の存在としてのわたしの述懐であるのと同時に
それを書いている存在としてのわたしの述懐でもある。おや?  ついにメタフィクション化したのか?
240真琴:02/06/15 13:25
物凄いスピードで宙を飛ぶ。周囲の世界が素粒子=画素にまで分解され、再構成されていくが、
クロックが遅すぎて処理し切れてないのだ。陵の<ぬし>の仕業だろうか?
虚空のどこかから顔が覗き込んでいるのを感じる…  ――さて、どうしようかな…
試しに右に旋回してみると、ぱたりとお花畑に着地した。お花畑に蝶が舞い飛んでいる。
舞え舞えかたつぶり。数頭の蝸牛がお花畑でのんびりと草を食んでいた…
241真琴:02/06/15 13:44
この状態で、「リアル」のわたしはまだ、スターバックスのソファに腰を埋めたまま、ゴーストハックされているという可能性は
あるのだろうか…  だが、無制限の偏在からは物語が生まれず、ほら、現に小理屈が多くなってきている。
お花畑でのんびりと草を食む蝸牛たちを眺めながら、蒸気機関のような駅前商店街を歩くと、
アーケイドの宙を4匹のカナブンが飛び回っていた。アーケイドの天窓からは、もちろん、顔が覗いている。
中華料理屋の店先から美味しそうなにおいが漂ってくる。
242 ◆X68K11M. :02/06/15 14:20
真琴さんて凄い・・・。
読んでたらあちらの世界にプチトリップしちゃったよ。
243真琴:02/06/16 00:40
            §    §

猫に誘導されて中華料理屋と眼鏡屋の間の路地に侵入する…  壁と壁の間に薄膜コンデンサーのような透き間があり、
アーケイドに並行する一本向こうの通りまでつながっているらしい。中華料理屋の厨房のダクトが
もわぁ〜 っとした温気を吐き出している。いや?  ここは工場だった。缶詰工場だろうか。
裏口を開けて工場に侵入する。工場には大勢のひとが列を作って機械の前に並んでいた。
自分の番が来ると機械の下に両手を差し込む。ザンッ
244真琴:02/06/16 00:55
列に並んでいて番が来たおじさんが両手を機械の下に差し込むと係りの若い男がスイッチを押す。
ザンッ  機械が刃を振り下ろしおじさんの両手の指がバラバラバラバラとこぼれるように落ちた。
指は作業台の前に置いてあるバケツの中に落ちていく。――ここはおにぎり工場だったのだ。
おじさんの十本の指は切り株のようになり血がぱぁーっと噴き出ている。係りの若い男が
すかさず包帯と止血薬を手渡す。もわぁ〜 っとした温気が空間に充満している…
245真琴:02/06/16 01:04
早くこの工場から逃げ出したいのだけど、逃げ出したいと思えば思うほど、地図はリアルに固体化し、
いらない時にはあれほど自由だったザッピングが、起こって欲しい時には起こらない。
列に並ぶ人間たちは自由意思で並んでいるのか、それとも騙されているのか。
なぜ誰も逃げようとしないのだろう…  気が付くとわたしも列に並んでしまっている。
わたしの前に14人ほど、そしてわたしの後ろにも24人ほどの列が出来てしまっている。
246真琴:02/06/16 01:13
夢のご都合主義を信じようと思うけど、ここがほんとに「夢」としてくくれる時空なのか、
ある種の「リアル」なのかがよく分からない。いやな事に関しては恐るべきリアリティが貫かれるという可能性もあり、
その場合はわたしの指も機械に切断されて終わるのだろう。大きな顔とか、
そういった非現実的な要素がさっきから登場していない。地図が加速度的に固体化している。
既に8人の羊たちが柔順に機械に指を差し出していた。
247真琴:02/06/16 01:23
わたしの前に、あとふたりだ。――そもそもなぜ逃げてはいけないのだろう?
そうだ、逃げよう。わたしは列をはずれ入ってきた裏口まで走る自分の姿を想像するが、
でもなぜだ?  躰が動かない。躰が動かない。動かない。躰が動かない。
ザンッ  フリーター風の女の子の指が落とされて、わたしの前には残りひとりになった。
工場の空間には温気がどんどん立ちこめて視界の見通しも悪くなってきている。入ってきた裏口が見えない。
248月に疲れたピエロ:02/06/16 01:23
真琴!!!!!
249真琴:02/06/16 01:31


「さあ、腑分けが始まります。」 河原の医師は白衣に手ぬぐいでそう言った。
河は月明かりの下、ざあざあと心地好いノイズを立てている。月明かりの下、ざあざあとノイズを立てている。ざあざあ…
河原に置かれた真っ白な解剖台のうえには…
あれは、何? いったい何? 大きく膨れ上がった形が定まらない物体が、蠢いているような、ふざけているような。
解剖台の上に載っているのは、あれはきっと、なにかそのような

250真琴:02/06/16 01:36
お花畑で蝸牛たちが草を食むのを一日中眺めている、そんな生活も楽しいな…
蝶たちは舞い飛び、舞い飛び、舞い飛びながら空間を占有し、鱗粉をまき散らし、
その粉に触れた者たちはみな気が触れてしまった、というのは大槻ケンヂさんからの盗作だが、
「盗作」という言葉が意味を持つのはメタフィクショナルな次元でのことなので、
スターバックスでこうしてこの文章を打ち込みながら、わたしは背後の顔のことを想像し、冷や汗を流す。
251真琴:02/06/16 01:49
アーケイドの天窓から覗いている大きな顔はこうしてみると天使なのだと思えない事もないが、
それにしては無表情でのっぺりしている。アーケイドの宙を4匹のカナブンが飛び回っている。
蒸気機関のような商店街は機械のように動いている。こどもがふたり、兄と妹なんだと思う、
走って猫を追いかけていく…  ――駄目だ。商店街には大きな垂直移動が出来る階段がない。
わたしはz軸方向の移動をこそしなければならないはずで、xy方向にいくらブラウン運動をしても駄目なのだ。
252真琴:02/06/16 02:16
駅のホームはお祭りのような混雑でオシクラ饅頭の敗者は線路に突き落とされるのだった。
これは中央線の現実なので、こうして描写していてもちっとも非現実感がない。
おっとっとっと。バーコードのサラリマンがひとり、線路に突き落とされるのと、橙色の電車が
ホームに入ってくるのとが同時だった。サラリマンは「あがぁ」と叫びながらひき潰されたが、
高性能の電車はそれくらいではへこたれない。何事もなく停車し、ドアを開け、閉めて、発車する。
253真琴:02/06/16 02:22
切符を買った記憶がないが、多分買ったのだと思う。車窓の外を世界が動く。
一瞬通り過ぎるマンションのベランダの植木鉢、路、路地、猫路、路、そして路、建物や
建物と建物の間の空白や、空、空、そして空や空白、空一面を覆う大きな顔、
目玉がぎろぎろとわたしを見ている…  それにしても地図が急速に固体化し始めている。
指数関数的だ。新宿までの移動に中央線に乗っている。恐るべき固体化。
254真琴:02/06/16 03:07
ベランダで洗濯物を干しているとちょうど高架線を橙色の電車が走っていく。
ドアの窓に顔を押し付けて外を見ている子と一瞬、目があってしまった。
5階建てのマンションの4階の部屋。振り返ると六畳間の真ん中に大きな顔が浮かんでいる。
――世界はほとんど固まってしまった…  新宿の高層ビル街を目差すつもりだったのに
移動手段が中央線である上、こんな住宅街のトラップに掛かってしまった…
255真琴:02/06/16 03:14
4階のベランダの外の空間を蝶が舞っている…  アオスジアゲハだ。
ここには確かに4階分の高さのポテンシャルエネルギーがある。z軸だ。しかし、飛び降りてみるという選択が
果たして「夢」として回収されるのか、「リアル」として死乃至大怪我を産むのかが計りかねる…
重力に束縛される躰が重い。躰が重い。重い。ベランダから首を突き出して真下を覗く。
対物レンズをすらんと入れ替えると地面がいきなりクローズアップされた。石ころが落ちている。
256真琴:02/06/16 03:30
どんよりとした樹々の下の沼の傍らに石ころが落ちている様子を想像するうちに
あの田舎の村に飛べるかと思ったけど、4階は4階なりの位置を維持したまま凍りついたように
身動きもしない。気がつくと夜で、中天の月が遠く、高い。月を見ていると
夜はまるで丸い筒のようで、丸い月は筒の彼方から差す光に見える。スライドガラスの上、
接眼レンズの向こうから覗く大きな目玉が夜の住宅街を覗く…
257真琴:02/06/16 03:50
写真機のシャッターが切られた!  夜の住宅街は無限に細かい画素の集積として情報化され、記録された。
月の向こうに顕微鏡を覗いている存在がいる。わたしは昼間洗濯物を干してた時からずっと、
ベランダで空を見ていたのだろうか…  時間の経過が分からない。堤防を果てまで歩くと、
外海からの波がしぶきを上げる突堤に出、そこから先は舟である。顔のない船頭が舟で待ち構えている。
舟は果敢なげなボートのような気もするし、意外と豪華客船なのかもしれない。
258真琴:02/06/16 03:59
舟は沢山の缶詰を詰め込んだ密輸船だった。缶詰の中味がなんなのか訊いても船頭は
教えてくれなかったからわたしには分からないが、でもわたしはそれが月明かりの缶詰である事を知っている。
ということは、この舟、多分沈むんだ…  舟はフダラクを目差して渡海しているのだという。
南洋の不老長寿の島、フダラク。でも、この舟は多分、沈むのである。月明かりの下、
揺れ動く真っ黒な海面の上を舟は滑って逝く…
259真琴:02/06/16 08:16
            §    §

チャートをこの方角に解析接続していくとどうしても特異点が出て、それ以上先には進めなくなる。それは
舟がフダラク渡海を目差しているからで、そもそもフダラク渡海とは消失点に向かう旅の事だからだ。
舟が沈む瞬間がまさに消失点なのだが、共同体から離脱した集団が誰ひとり帰還しないからこそ、
共同体の側では「彼らはフダラクに逝ったのだ」という幻想が維持されるのだ。
フダラク渡海の定義とは「ディスコミュニケーションに向かう旅」なのである。
260真琴:02/06/16 08:33
樹々に覆われた丘が住宅街の真ん中にあり、住宅街のアスファルト道路から斜面を石段が登っている。
この地点から歩き始めようと思ったのに、地図で見つからない。――やはりこの陵が爆心地なのかもしれない。
偽装がほどこされているので、この地点に直接アクセスする事は出来ず、別の地点から偶然の接続を
重ねる事によってしか陵に逝く手段はないのだと思う。前回は映画館の横から猫路に入り、
駅からr方向の移動をする事でたどり着いたのだけど、その径路は地図上では消されてしまっている。
261真琴:02/06/16 09:13
中学校のグラウンドを取り囲む路を歩き、坂を登ると、住宅街に田んぼや畑が混ざるあたりまで来る。
路はどれもアスファルト舗装されているが、空気には土の匂いが潜む。わたしが歩いてる路と並行する
向こうの方の路が、樹々に覆われた丘を足元で取り巻いているのが見える。(見えてきた…)
――でも、わざと気づかない振りをする。いま近づいても多分、たどり着けないからだ。
丘が目に入らない振りをして真っ直ぐ歩いて逝くと、道端に祠があった。
262真琴:02/06/16 09:23
いきなり視界が開けて、大きな池に出た。池といっても、中学校のグラウンドくらいの広さがある
大きな池だ。湖と呼ぶには小さいし、沼と呼ぶには明るすぎる。公園になっていて、
池を見晴らす位置に東屋が立てられている。一向にz軸が現れてこない事に少しイライラするが、
この池の景色はとてもなごむ。ほとりに立ち、池の境界線を保護している丸太の杭に沿って
真下を見下ろすと、小さな魚たちがバラバラに蠢いている。対物レンズを切り替える。
263真琴:02/06/16 10:01
数珠藻がひねくれて漂う水の中を、ミジンコたちがスキップしている。気が付くと雨がポツリポツリ
降り出していて、珈琲屋の窓硝子にしずくが走る。――ソファにくたーっとなると、
卓の上にミジンコの顕微鏡写真を放り出した。見上げるとうっそりとした樹々がベンチの上を覆っている。
ご主人の出すスピリットは焼けるように熱い酒度で、森を漂う霊を蒸留したのだともいう。
森の店から本家の屋形に帰る時、森の入り口にたたずむ祠から微かな声が呼んでいた。
264真琴:02/06/18 02:38
            §    §

水の上に油絵の具を撒いて微かに手を引き大理石のようなあるいは脳髄の断面のような縞模様を創る。
縁側に洗面器を置いて遊んでいると庭の樹の陰がゆっくりと動いてきていつしかわたしの右手に届く。
右手の向こうでは猫がいつものように眠っている。水面の模様に、占いに見入る巫女のように魅入られていると
沖を行く船が儀礼的な警笛を鳴らす。東京湾の水は化学実験室の廃液のようで、
大理石のようなあるいは脳髄の断面のような縞模様を創ってはコンクリートの岩壁に打ち寄せ、寄せては返し、返しては寄せる。
265真琴:02/06/18 02:48
ザッピングの果てに時空は歪みに歪み、ドロドロの廃液のような掻き混ぜられた灰色が残った。
最早地図のどの地点にポイントするべきなのかが思い浮かばない。――珈琲屋では弦楽四重奏の「冬の旅」が掛かっている。
「冬の旅」を聴くと、「千と千尋の神隠し」で千が電車に乗って移動する大好きな場面が思い浮かぶ。
――いま映画のパンフレットを出してこようとしたら、「千と千尋の神隠し」のは出てこなくて、
寄りによって黒沢清監督の「回路」が出てきた。幽霊が見たいですか?  見たいなら…
266真琴:02/06/18 02:58
風が猫をくすぐり、猫はわぁー っとあくびをして躰を伸ばした。洗面器の縞模様も風に揺れる。
じっと見つめるうち縞模様が何かの形をとるのかと思ったが特にそういうことはなく
寄せては返し返しては寄せる波に揺られ、打ち寄せられたゴミが上下に振動している。
あ!  その水が急に湧き立ったかと思うと波がぱっくりと口を開け、大きな魚が飛び出してきた。
魚は呼吸に苦しむように水面でパクパクと口を開閉すると再び沈み、やがて水の透視限界を越えた。
267真琴:02/06/18 03:10
何でも蓄えておく祖母が箪笥に蓄えている和紙を取りに壺のある和室に入ると
床の間の七つの壺が相変わらず絶えずカタコト鳴いている…  
祖父は壺のなかには霊が棲みついているのだという。一瞬、壺を開けてみる誘惑に駆られたが
父の弟にあたる叔父が高校生で死んだのはそれで命を落としたのだという話を聞いたことがある。
だが、誰に聞いたのか忘れてしまった。縁側に戻ると庭に大きな顔が浮かんでいた。
268真琴:02/06/21 01:28

    
  
                         
     
269真琴:02/06/21 01:28
            §    §

音が聴こえてくる夕暮れ、坂を下ると川に橋が掛かっていて、橋の向こうは工場の原っぱだった。
桜並木を歩くと車道の脇に自動車に轢かれた猫の死体が転がっていた。可哀想なので植え込みに隠す。
名曲喫茶で本を読んでいる。店は複雑な立体構造で中庭を抜けると海岸だった。
路面電車が夢のように這う国道を蟲の視線でさ迷うと、これでよかったんだとなごむ。
図書館には自転車で通った。
270真琴:02/06/21 02:11
滑らかな表面の上で碁石たちが踊り、綿菓子の機械で箸をグルグルグルグルと回すと繭が形成されて逝く。
繭のなかには無気味な目が隠されていて、どうしようもなければ埋めてしまうしかない。
アメーバには水仙の花を生けた。プロペラで動くタイプなので多層揺動の場合、微妙に軋る。
ちなみにそういう機械は必ず蒸気機関を備えている。
だから池の景色に伊勢海老がゆったり歩いている画像を重ねるとどうだろう…
271真琴:02/06/21 02:18
図書館のプレハブじみた開架式書架室は4階建てで、増設に増設を繰り返した温泉旅館のような不自然な構造をしている。
本館の受付は2階にあり、書架室の1階に逝くには必ずこの2階受付から
階段を下りていかなければならないのだ。だから、1階である癖に気分的には地下1階なのだが、
古ぼけた階段を一段一段、踏みしめ下りるうちもうすっかり地下1階の気分でいると、窓の外は地上の風景だったりするのだ。
真四角の窓の外では、太陽の日差しのもと、砂場がある公園で子供たちが遊んでいる。
272真琴:02/06/22 04:09
            §    §

濡らしたガーゼで金魚を包み、スライドガラスの上に載せて尾ヒレを顕微鏡で見ると、
毛細血管の中を微小な顆粒が流れて逝くのが見える。
いま書き込む文章を考えているわたしの脳の中でも、無数の細胞たちがてんでに踊っているのだろう。
全身の血流が脈打つに連れて躰がじんわりとする。
微小なもの、微小なもの、微小なもの。
273真琴:02/06/22 04:18
蓄積して大きな構造が出来てくると、構造を維持する脳が生じて、身動きが鈍くなる。
仕方がないから構造についてのレスを始めるのだろうか。だが、自己引用の繰り返しなんて
まるでオーケンではないか。この場合、オーケンとは大槻ケンヂ君ではなく、大江健三郎を差す。
ああ、だめだ。
つまらない、つまらない、つまらない。繰り返すという形式を繰り返すのでしょうか?
274真琴:02/06/22 04:23
幻視の街に没入して歩くのはわたし自身にとっても、とっても面白かったのだ。
蓄積した構造は街の地図を固体化させ、厳密な引用が始まるに連れて幻視は埋め立てられてゆく。
歩みを先に進めるにはここで一度、思うがままにメタなコメントを付けてしまうと良いのかも知れない。
「書くこと」について書くこと。
くだらない、くだらない、くだらない。繰り返しを繰り返すことを繰り返す。
275真琴:02/06/22 04:29
おのれの足を食う蛸のような批評を書き込むにつれ、あの丘が見えてきたのには驚いた。
住宅街に隣接して樹々に覆われた丘があった。おそらくは古墳なのだ。かつてこの場所を訪れた時の表現を読み返すことなく、
いま目に見えているものをぎゅ っと見よう。
住宅街を囲むようなアスファルト舗装の路があり路は丘をふもとで取り巻いているようでもある。
この路に直角を成して丘を登る石の階段がある。
276真琴:02/06/22 04:37
丘の近くには池があり、池に向かう路の傍らに祠がある。この祠は池に身を投げた古代の姫の宮である。
千年以上の時を経て自殺した少女の霊にいまもお供えが捧げられている…
池を見晴らす東屋に腰掛けようとするが、うまく腰掛けられない。地図が不安定なのだ。
チラチラとかすれる状景。空は曇っている。いや、陽が射してきた。
池に定位することを地図が許さない。いまこそ丘の石段を登るときなのだろうか…
277真琴:02/06/22 04:47
石段の前に立ち、傍らに生えた雑草の緑色を観察する。蟻が歩いている。
微小な蟻たちが機械めいた自動制御で右往左往するのを眺めているうちゆっくりと一段目に脚が登る。
すると本通りのアスファルトを引き剥がして地下鉄の工事が始まった。4車線の道路を2車線に狭めて、
道路の中央に工事現場が発生している。白っぽいテント地の汚い布。錆びた鉄。
バスが大きな躰で器用に交差点を曲がっていった。窓からおばあさんが道を見ていた。
278真琴:02/06/23 02:02
            §    §

桜並木を歩きながらふと、この間の猫の死体のことを思い出した。車に轢き殺されてお腹から腸がはみ出ていた
猫の躰を、車道と遊歩道の間の植え込みの下に移したのだった。あの死体はどうなったのだろう?
背の低い刈り込まれた樹の足元を覗き込む…
わ!  猫の腹がうごめいた。――良く見るとそれは無数の蛆がさかんに身悶えし、猫の躰をむさぼっているのだった。
猫の躰が、躰をひとつに結びつけるひもを失って、無数の蛆にバラけたかのようだった。
279真琴:02/06/23 02:22
池のきわにかがんで水を見下ろす。杭から緑の藻が生えて水にユラユラと揺れている。おそらくは、アオミドロ。
微小な生き物たちが水を満たす仕方は、毛細血管の中を細かい顆粒たちが転がっていくのと同じだ。
――脳手術で、脳のなかに5mm×5mm の、小さなガーゼの破片が置き忘れられたのだった。
17年が経ち、ガーゼのまわりには特異な神経線維がまつわりついて生えていった。
脳は血の池に浮かぶ細胞と繊維の柔らかなかたまりであり、生き物に満たされた緑色の水のようなものだ。
280真琴:02/06/23 03:05
飛ぼう! そう思うとわたしの躰は宙に飛んだ。
池がみるみる小さくなってゆく。丘や、丘の上の神社が一瞬見え、やがて関東平野の景色のなかに消えていった…
眼下に丸い地球が転がっている。
マントルの表面がほんの薄皮ばかり冷え固まった地殻は、千年を一秒とする映画では風船のように脈打っていた。
この柔らかく薄い地殻に、沢山の積み木を差し込み、おそろしく微小な管や神経を張り巡らしている。
281真琴:02/06/23 03:20
見ているうちに、おや?  プレートがわずかに軋み、捩れた。――これが第2次関東大震災であった。
薄皮に差し込まれていた積み木がいっせいにずれ、あるいは倒れ、
棲息地を壊された生き物たちがワラワラと巣から飛び出してきた。
管や神経が至る所で千切れ、情報の流れが傷口からあふれ出る血のように被災地から噴き出した。――そして、わたしは見た。
地球を覆うWEBが一体となってきゅい っと縮むのを!  まるで腔腸動物の神経系のよう…
282真琴:02/06/23 03:33
歩きすぎて脚のふくらはぎが痛む。
肉と肉の間を神経が通り、中枢まで有線で情報を運んでいるのだ。
わたしは立ち上がると池を後にし、再び丘の石段を目差してみることにした。
空が青かった。――ふと、青なんてわりと工業的な色のような気がしていた自分に気づく。
景色の上のほうを占める空は、異常なくらい青く、青く、プラスチックのバケツのような色をしていた。
283真琴:02/06/23 04:36
サンシャインの展望台に登った時、嫌な予感がした。風が強かった。
見晴るかす大地のひろがり。――地殻の表面はくまなく登記され、色々な形や大きさのビルがみっしりと育ったコロニーを成していた。
その合い間を河が流れ、河が蛇行するのにも似て、高速道路や鉄道の高架がうねくりながら彼方へと続いている。
都市に覆われた地表面は所々に緑の島が浮かび、北のはるか彼方には山脈を望む。南は横浜のランドマークタワーが見える。
微小なもの、微小なもの、微小なもの。管と神経が張り巡らされた都市の躰。
284:02/06/24 11:17
(゚Д_ゝ∀゚)
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______/

(↑真実の蝶)
げざげざげざげざげざげざ
285真琴:02/06/25 12:40


ザ.........................
一瞬のザッピングとともに蘇る河原の光景。「さあ、腑分けが始まります。」 わたしの目を覗き込む医師の顔。
ざあざあと耳に心地好いノイズ、河の水が耳にざあざあと心地好いノイズを立てる、ざあざあ…
――岸辺の樹々の闇は此の世の光景とも思えない。蔭と蔭の間、玉砂利の上に真っ白い解剖台が設置されている…
医師が手振りで解剖台の上を差す。良く見えない。解剖台に載っているのは、あれは、

286真琴:02/06/25 13:00
地下鉄をモグラが這う光景を器用に幻視したわたしはコンサートホールに巣食う魔人からマントを借りた。
坂を下ると川があり、橋が掛かっている。川といってもコンクリートで固められた一種のどぶで、
浅い水の流れが砂を溜め、中州のようなものが出来たところに気が付くとお地蔵さんが立っていた。
地平線にゴヤの怪物が立ちはだかっている。怪物は、千年の時を経た屋久杉のように三人の男女が捩れあわさり
ひとつに融合したのだ。男と女と男。嬲りあう三人が天高くとぐろを巻いている…
287真琴:02/06/25 13:13
橋を渡ると路は郊外に向かう。そのまま歩くと住宅街に田んぼや畑が混ざるようになり、やがて
姫宮の祠と池、そして古墳の石段がある方角に向かうのだが、このように単語が記号化されていくに連れて
地図が固体化し、規則と化して逝くのも、これもまたそれ自身がいつもの流れ。
ただ、ある流れが繰り返し繰り返し流れることにも意味がないわけではないだろうし、
三日月湖が出来るかも知れない。――でも、今日は橋を渡るのは止めよう。
288真琴:02/06/25 13:29
三日月を齧りながら夕暮れの路を歩く――と書きながら、この状景は「正しい」のだろうかと
つい気になる自分が鬱だ――と言いながら、実は、そういう自分がわりと好きなのかも知れない。
スターバックス、今日は図書館席で本を読んでいる――と書きながら、実はもちろん本など読んでいるわけがなく、
こうしてこの文章を打っている。
蒸気機関のような商店街を少し外れたビルの一階のスターバックスカフェ。
289真琴:02/06/25 13:48
坂を下る時、ふと前方を見上げるとサンシャインが立っていた。住宅街の屋根と屋根、マンションやビルの間に、
気紛れにたたずむようにサンシャインが立っておられる。一度気が付いてしまうとそれからは、
見るたびいつでも当然のようにそこに立っておられるのだが、初めて気づいた時は不意を突かれてビビった。
サンシャインは不思議な霊を身にまとって立っていて、転生を経るうち脳に微細な損傷をきたしたらしく、
喋る言葉が少し口の中でもたつくのだが、一度語り始めると深い声が四方を威圧する。
290真琴:02/06/25 14:09
手のひらの上で携帯を転がしながら、こんなちっぽけな携帯電話が備えている恐るべき高機能を考えると、
こんなちっぽけな人間の躰が一生の間に蓄えることの出来る智慧の総量が納得できた。
携帯電話やPCは人間がつくった機械の傑作、人間は神様が作った機械の傑作。
わたしたちは地球上に分散して動き回り、たまに気まぐれな神様がログインして遊ぶ。
夕暮れの街を歩きながらふと神様の気配を感じる時、忘れていたことすら忘れてしまっていた記憶が蘇りそうになる。
291真琴:02/06/25 14:29
だが、実体的な組織としての「神様」が、仮に存在したとするならそれはエイリアンであろう。
エイリアンが軌道上に棲んでいて、気まぐれに人間にジャックしていると考えると、事はそれほど穏やかではない。
アメリカ、ヨーロッパ、ロシア、中国、印度…などの、高度に集積した構造体の上のほうには、このことを
うすうす知っているひとが多いのだが、大統領や上司も頻繁にジャックされるし、エイリアンにジャックされた上司でも
人間扱いして対応しなければならないから、人類はなかなか抜け出せないでいる。
292真琴:02/06/25 14:52
「闘えないのはなぜかって…? 上司でも大統領でもぶっ殺せばいいじゃないか、だと?」
――は、は、は、と大使館員のデュカスは乾いた笑いを笑った。限界まで膨れ上がった緊張の内圧で目が血走っている。
「マリオネットを壊しても軌道上の傀儡使い(クグツツカイ)は傷ひとつ負わねぇ… 無意味だ。」
――それに何よりも、闘えない理由は、何よりも、…と言い掛けてデュカスは「ぐはぁ…」と息を吐いた。
「何よりも、俺自身が頻繁にジャックされるからさ! アヒャ!! アヒャ!! ケケケ!」
293真琴:02/06/25 15:06
日仏会館から走って逃げ出しながらスターバックスの図書館席でPCにこうしてこの文章を打ち込みながら、
つい、にまにまと笑ってしまう。莫迦げてる。莫迦だ、莫迦だ。にまにま。
――と書きながら、良く考えるとこれだと一種の夢オチということになるな、と反省する。
「夢オチ」という単語から「夢ヲチ」と連想が逝き、ハウスブレンドをすすりながら他人の夢をヲチする
幻想を抱く。外科的に露出された脳髄。黄色いドロップ飴のような電極を沢山貼り付けられている…
294スペツナズ:02/06/26 23:35
機械が登坂しその先に光を目指す物語。
何人かの作者が、その同一の物語に各々の視点から光を当て、
独自の物語を紡ぎ続ける、そんなスレはここですか?


…うるせぇ死ね
295真琴:02/06/27 01:25
            §    §

部屋の真ん中に渦を巻いた銀河が一個、横にして置いてあった。蝸牛のようでもあり、オウムガイのようでもある。
キャンディのようでもあり、そう見ると、なかなかに美味しそうな銀河だ。
――螺旋や渦巻きへの偏愛は夢枕獏さんや伊藤潤二さんの物真似みたいだが、いずれにせよ、
その白と黒を基調としたシックな部屋の真ん中に銀河が置いてあったことは事実なので、仕方がない。
眺めているうちのそりと首が生えて、少しづつ動き出した。
296真琴:02/06/27 01:31
ある部屋では壁一面から肢が生えていた。バッタのような蟲の肢が壁から無数に生え、
カシカシカシカシと無意味に宙をたぐっている。壁に近づきすぎると危険だ。
別の部屋では壁一面が複眼になっていて、無数の眼がわたしを見る。
でも、昆虫の眼には「視線」というものが感じられないので、特に緊張しない。
ラウンジの自動販売機でコーヒーを買って飲んだ。
297真琴:02/06/28 01:20
            §    §

蛙の鳴く森を裏山の方に抜けると黒い場所があり、路はいきなり崖に出る。
垂直に切り立った崖の縁から前方に見晴るかす渓谷の展望はまるで壺のようで、
その壺の底から不思議な獣の声が時折り響いてくる。
底に降りる路は見当たらないが、ほら、あそこ、壺の底に確かに白い路が見えるということは、
あそこまで降りる方法が何かあるに違いない。――でも、どうしてあんな場所に舗装された路があるのだろうか…?
298真琴:02/06/28 01:37
昼間閉じ込められたままサンシャインから出られなくて、不思議な部屋から部屋へさ迷っている。
ある部屋では銀河が横倒しに安置されていたし、別の部屋では壁一面が蟲の肢だったり、複眼だったりした。
薄暗い廊下はリノリウム張り、あるいは大理石だったり、気がつくと泥と土の路のこともある。
ある部屋では部屋の中央に掘り炬燵のように掘られた長方形のプールがあって、満ちている茶色の汚水、
汚水の中では猿の手とか赤ん坊の舌とかゴヤが描きそうな怪物の脛(スネ)とかがグルグルグルと渦を巻いていた。
299真琴:02/06/28 02:45
(これは東大の解剖学教室に昔あったという死体プールの映像だね。へえ、君もあの本読んだんだ…)
(友だちから電話掛かってきてたの)
(ネグスアルパはヒューリスティックには抗精神性というよりも物理脳髄においてマーヴィン回路の遮断を行うといえる)
(赤くあまりにも赤いので最早黒いといえるほど蒼褪めた真っ赤な緑の色が空一面を焚き火のように覆っていた…)
(生ゴミのようなマヨネーズ臭がしたと思ったら黄色いカゴいっぱいに美味しそうな黴が生えてたよ)
300真琴:02/06/28 02:57
ある扉を開けるとサンシャインの1階から60階までを貫く吹き抜きの螺旋階段だった。
見下ろせば真っ黒な闇、見上げれば嘘つきな月の光。――吹き抜ける風が冷たい。
もう猫はいない。自動車に轢かれて死んでしまってその躰は無数の蛆の集積体と置換されてしまった。
でも呼べば無数の蛆が蝿となり夜の風に乗って助けに来てくれるのかも知れない。
天と地を結ぶ螺旋階段を一歩一歩踏みしめ登る。
301真琴:02/06/28 03:18
サンシャインは夜歩くらしい。――昨晩からこのイメージがつきまとって離れない…
眉と眉の間、第三の眼が皮膚に隠れているあたりに、絶えず耳鳴りのようにぶら下がっている。
――昼間見ると不思議な霊を身にまとって立っておられるサンシャインは、夜歩くらしい。
これは『もののけ姫』のディダラボッチのイメージなのだろうか…
わたしは、60階の展望台に出て、夜歩くサンシャインが目にするものを、展望台から肩越しに見てみたいのだ。
302真琴:02/06/28 13:37
            §    §

いま、わたしの目の前に鉄の扉がある。扉の向こうは60階の展望台だと思う。
螺旋が1回転するごとにz座標が1階分増え、その度に扉があったが、扉には黄色い数字が書いてあって、
いま、わたしの前にある扉には「60」と書いてあるから。
でもこの扉は開けることが出来るのだろうか…?
「ディダラボッチの肩の上に乗る」というのは極めて激しいsingularityに違いない。チャートを接続できるのだろうか…
303真琴:02/06/28 13:55
雑居ビルの地下1階、無表情な廊下、30cm×30cm くらいの板を敷き詰めている、こういう床を
正しい言葉では何というのか、わたしは知らない。建築屋さんのページまで飛んで正確な用語を調べることは可能だが、
「可能だが、別にそうしなかった」ことを書き込むことにして、その廊下を歩く。
壁にいきなり存在する鉄の扉には黄色いペンキで「60」と書いてある。
刻々と更新されるチャートは異常な曲率の歪みを受けて、魚眼レンズで見た光景のように美しく躍る。
304真琴:02/06/28 14:26
峨峨たる渓谷の真ん中、壺の中央に、月の光で虚像が姿を結び、そのまわりを蝶々が無数に翔んでいる。
虚像はアメーバのようでもあり、ディダラボッチのようでもある。
思わず走りよろうとするけど、崖の縁で踏みとどまる。崖はほぼ垂直に切り立っていて、黒い樹々がフラクタルな傾斜面を描いている。
見下ろすと、樹々に見え隠れしながら遠く谷底にひと筋の白い路が走っている。でも、彼方の路に通じる入り口は分からない。
再び前方の虚空を見る。壺の幾何学的中心にディダラボッチが虚像を結び、蠢いている…
305真琴:02/06/28 14:48
映画館の廊下は汚れたリノリウム張りで、傍らに大きな暗室を抱える以上、微小なものたちの侵蝕を免れることは出来ない。
光景を映す暗室は開かずの間なのだから、小奇麗にすればするほど局所での歪みは激しくなる。
実際、下手に明る過ぎる映画館では人間が不意に消失する事件が頻繁に発生している。
ラウンジの自動販売機でコーヒーを買って飲みながら、廊下の隅を這うワ蟲をぼんやり見てると、
スローモーションでこぼれ落ちる誰も見ない涙が出てくる…
306真琴:02/06/30 13:06
            §    §

映画館を出ると外はカラフルな現実。果てしなく広がる青い空、無数の建築物たちが成す街の構造、張りめぐらされる管や神経。
――空が、実は今日は曇りで、本当は絵に描いたような「青い空」などではなく、
よどんだ雲に蓋をされ腰を低くかがみ、空気に雨の湿り気が混ざっていたとしても、大気の広がりは遠く成層圏を抜けて
何もない宇宙まで接続している。世界の息づかい。世界は信じられないほど大きく、しかも細かい。図太くて、繊細。
蒸気機関のような商店街の猫路をくぐり抜けて駅から南に走るアーケイドを目差す。
307真琴:02/07/02 15:08
            §    §

アーケイドの宙を無数の蝿が渦を巻いて飛んでいる。見上げると、アーケイドの天窓はみっしりと張り付いた蝿で黒く蠢いている。
悪魔の顔を描いた白と黒のステンドグラスのよう。――硝子を掴み損ねた蝿が時折り剥がれて、重力に従い真っ直ぐ落ちる。
1〜2mほど落ちると、蝿の躰の自動制御が働き、羽が震え、宙を飛び始める。
――でも、躰のエナジーが尽きたのか、飛べないで落ちてくる蝿もいて、アーケイドの床の可愛いモザイクタイルに転がって痙攣している。
だから、歩いてるみんなは傘を差している。わたしも傘を差し、床の蝿を踏み潰さないよう注意深く歩く。
308真琴:02/07/02 15:42
文房具屋さん、パチンコ屋さん、お布団屋さん、蕎麦屋さん、洋食屋さん、携帯電話屋さん…  ――反対側の通りは、
ケーキ屋さん+喫茶店、ゲームセンター、100円ショップ、中華料理屋さん、酒屋さん、古本屋さん…
アーケイドの両側には、小腸の内壁を柔突起が覆うように色々な店が生え、緩やかな下り坂を成して、南に向かっている。
――突然、宙を渦巻いて飛ぶ蝿の羽音が限界を超えた轟音に変わると、ジェット機が飛び立つような音がして、
蝿たちが螺旋の竜巻になって、アーケイドの床のある地点に集結し始めた。それは古本屋さんの前あたりだった。
309真琴:02/07/03 00:07
            §    §

心臓の鼓動が耳元で囁くように、原始的な太鼓のリズムがアーケイドの時空を揺らす。ダムダムダム、ダムダムダム、――太鼓に合わせて
蝿の竜巻が左に右に踊り、渦の中から時折り叫び声が響いてくる…
と、5歳くらいの男の子が深い考えもなく竜巻に近寄っていく。あ! ――誰もがそう思った次の瞬間、
竜巻に触れた男の子の躰は無数の米粒の塊りにバラけてしまった。バラけるとともに四方八方にはじけ飛ぶ米粒!
とっさに伏せたわたしも、バラバラバラ っと米粒を浴びる。浴びてみてよく見ると、米粒と見えたのはもちろん、眠たげな蛆だった。
310真琴:02/07/03 01:54
白い米粒のような眠たげな蛆が身をくねらせ、モザイクタイルの上、ここではないどこかに向かって意味もなく這う。
わたしは頭からかぶった蛆たちを、潰さぬようにトントンと払うと、古本屋の中に逃げ込む。
――そのあいだも蝿の竜巻は奇声を発しながらグルグルグルグルと渦巻いている。この蝿の竜巻はあの猫の復活ではないのか?
本当を言うと、無数の蛆に置換された猫の躰が、蝿の竜巻の中から再生するのかと思っていた。
でも、男の子の躰を無数の蛆の塊りに置換してしまった蝿の竜巻は、xy座標で縦横を仕切れるような存在ではないらしい。
311真琴:02/07/03 02:13
文庫本やコミックスを並べた本棚と本棚のあいだに隠れて、それでも蝿の竜巻を観察している。
――ふと、神様の視線を右肩に感じる。振り向くと古本屋のおじさんがジャックされているのが分かった。
いま、彼の脳髄には軌道上の神様が舞い降りてきているのだ。(しまった… 罠か?)
このあいだもアーケイドには罠が仕掛けられていた。中華料理屋の厨房だと思ったら指を切断するおにぎり工場だったのだ。
古本屋を出るべきか。――しかし、蝿の竜巻はいまや半径を増していて、うっかり歩くと触れてしまいそう…
312真琴:02/07/04 02:16
            §    §

わたしは不安そうな顔をしておじさんに近づくと、いきなり彼のうなじに右手を伸ばし、最高電流でスタンガンをONにした。
おじさんの動きが止まる。――レジ台の内側に回り込み、丸い回転椅子に腰掛けている彼の躰をクルっと回すと、
自分は奥の壁を背に店の入り口が見える位置で、おじさんの躰と向かい合う。(えっと… 何かないかな…)
レジ台の下におじさんの飲みかけのコーヒーがあり、スプーンがあった。(あった!)
わたしはスプーンを掴むと、「ごめんね」と言いながらおじさんの左眼をクルンとくり出した。
313真琴:02/07/04 02:17
人間の躰は神様の携帯電話みたいなものである。ただし、神様は誰かと会話するためにこの電話機を使うわけではなく、
この比喩は、「2地点間でのヴァーチャルなpresence(現存、出席、面前)のための道具」を表すものだ。
携帯電話を使うと、例えば大阪道頓堀にいながらにして新宿アルタ前にいるひとの声を聴くことが出来、話すことが出来る。
つまり、ある意味で、大阪道頓堀にいながら新宿アルタ前にpresent出来るのだといって良い。
同じように軌道上の神様も、降臨し、人間の躰を通して地上にpresentするのだ。
314真琴:02/07/04 02:18
あんまり引っ張り出すと視神経が千切れてしまう。ほどほどに引き出した眼球を手のひらに載せ、
ゼリー状の水晶体をズブズブと潰し、掻き出す。網膜を、傷つけないように注意しながら剥き出しにする。
(これくらいで良いかな…) わたしはべろを突き出すと、網膜の網を舌のまわりにキャップのようにかぶせる。
文字通りネットを成しているおじさんの視神経と、わたしの舌の味覚神経とが接続し、情報が流れ始める。
――衛星軌道上からジャックしていた神様はもちろん既に通信を切っている。でも、何かしらログが残っているはず…
315真琴:02/07/04 02:20
脊椎は高性能なアンテナである。脊椎に沿って7つのチャクラがあり、チャクラとはチャネルという意味に他ならず、
つまり、神様の送受信回路は7次元の仮想空間を成しているということだ。
――わたしはおじさんと抱き合うようにして彼の背中に右手をまわし、脊椎のチャクラに順にフォークを突き刺してゆく。
おじさんの背中を血まみれにしながら、脊椎の壺をフォークでグリグリ掻き混ぜ、
同時に舌先では7次元の電波空間のなかで変調してゆく波形を追っている。神様の波形。
316真琴:02/07/04 02:21
舌先から入出力する電波空間の情報は、わたしの脳の側では、視覚処理系統を流用して「見て」いる。額のいわゆる第3の眼。
だから、電波空間を見ているあいだ、わたしの2個の通常眼球は、ぐるんぐるんと物凄いスピードで回転している。
わたしは、しばしば、神経質にスイッチを切り替えては、視覚処理を肉眼からの入力に戻し、
古本屋の細長い店舗を通して四角く切り取られたアーケイドの光景もチェックする。――蝿の竜巻は依然猛威をふるっている。
蝿の王… ということはこれは悪魔ベールゼブブの仕業なのだろうか…
317真琴:02/07/04 02:22
「見つけた!」――わたしは7次元の仮想電波空間の中で、ついに神様の波形を見つけた。(飛ぶ…)
おじさんの背骨に沿って一連の流れる動作でフォークを突き刺し、電波空間の中で衛星軌道まで飛んだ。
(やだ、右手が血でヌルヌルする…) 神様の侵入対抗兵器がおじさんの脊椎を通してアクセスしてくる。
おじさんの脳は、いまや通信の処理に全力を尽くしている。わたしたちのPCと同じ。
でも、自律神経系のポートは閉じるわけにはいかない。おじさんの躰の活性が落ちるからだ。それが弱点。
318真琴:02/07/04 02:24
突然おじさんの腸が痙攣し始めた。(神様の侵入だ…) ――わたしは舌先からコマンドを送り、自律神経系を閉じる。
ホルモン径路を使い、神経伝達物質をショートさせて、化学的に断線させたのだ。(行けるか…?) 駄目だ。
おじさんの躰が負荷の限界を越え、心臓が停止する。(もうちょっとなのに! もうちょっとなのに!)
わたしは果物ナイフでおじさんの胸を切開すると心臓を露出させた。スタンガンを当て、電気ショック! 火花が散る。
「動け!」 ――駄目だ。失敗した。べろからの入出力が完全に死んだ。7次元空間が見えなくなってしまった…
319真琴:02/07/07 22:21
 
 
 
              
           
320真琴:02/07/07 22:21
            §    §

そして、50億年の時が経った…
冷たい宇宙空間に浮かぶ、ちっぽけなマグマの塵、その表面がほんの薄皮ばかり冷え固まった、言ってみれば
ホットミルクの表面にできた薄い膜みたいな大地。――その上に繁茂した多種多様な生き物たち。
そのなかで、都市を築いた人類という種の寿命は、ことのほか短命だった。人類の現代文明とは、
石油のなかに封印された古代植物の念が宇宙空間に解脱するための径路に過ぎなかったからである…
321真琴:02/07/07 22:44
壊れてしまった携帯電話を堤防のコンクリに投げつけると蓋が外れて電池パックが飛び出した。海の風が髪を撫でる。
水平線に目をやると、フダラク渡海を目差す舟が遠く背中を見せて外洋に去っていく姿が、音のない絵を描いている。
出港はつい一刻前だった。わたしは舟に乗り損ねたのだ。
八つ当たりした携帯電話を拾おうと腰をかがむ。すると携帯は消えて、キレイな骨貝が落ちていた。
ホネガイとはまた可愛らしい名前だ。この巻貝の形から魚の骨を連想するのは随分クールな視線だと思う。
322真琴:02/07/07 23:03
わたしは自分の口に指を突っ込んで、自分のべろからおじさんの網膜を外す。
接続コードが外れたので、距離をおいておじさんの顔を見ることが出来る。
左眼が、不条理なリアルを見つめて「かっ」と見開かれている。
右眼は存在せず、目蓋の下から視神経が飛び出している。
クシャクシャに潰れた網膜が、萎れた花のように視神経から垂れ下がっている。
323真琴:02/07/07 23:28
祠の傍らの池の水を自転車で採集してきたわたしは顕微鏡を覗き、ツノモの優美な姿に見とれる。
ツノモは渦=鞭毛=蟲の一種で、そう、何となくホネガイと似た姿をした微生物である。
あまり美しいので、わたしは、自分の脳髄のなかでもツノモが泳いでいて欲しいな、と思った。
直径1mmのカテーテルを鼻腔からゆっくり挿入して、傷つけないよう注意しながら、脳髄に刺し込む。
刺し込めたら、左手でカテーテルを押さえながら、右手で歯車をゆっくりと巻き、ツノモの水を脳髄に注入してゆく。
324真琴:02/07/07 23:56
砂浜を歩くうち、ふと、ここはまだサンシャインの体内なのだという気分がして、そう思って宙を見ると空は嘘のように青く、
どう考えても天井にペンキで描かれたもののように見え、わたしは、ここが巨大なドーム型パノラマ館だということを確信するに至った。
打ち寄せる波は力強いが、どうも人工的に感じる。わたしは腰くらいの深さの海にズブズブと足を踏み入れ、
波に脚を取られふらつきながら歩き、歩いたのちやがて海の真ん中で「ここに壁がある」と確信した。
前方の見えない壁に見えない扉がある。わたしは見えないノブを掴んで回す。――すると扉が開いた。
  
ょぅι゙ょりょぅι゙ょ<板作ってください   
http://kaba.2ch.net/test/read.cgi/accuse/1014028938/
326真琴:02/07/10 22:25

 
ざぁああああ… 
水かさを増した河は、物凄い速度で山を駆け降りてゆく。耳を圧する轟音。狂ったように髪をふる樹々。
解剖台の四本の脚は既に膝くらいまで水に浸されていて、グラグラと揺れ、このままだといつか流れに奪われてしまいそう。
「それでは、腑分けを始めます。」 わたしの目を覗き込んで、医師が言う。医師の瞳にわたしが映っている。
解剖台の上は良く見えない。樹々の闇がうずくまっているようにも感じられる。

327真琴:02/07/10 22:48
砂浜に打ち上げられた無数の巻貝。
入水自殺でもするかのように海の真ん中を目差して泥の底を踏みながら歩いてゆくわたしの影を
もうひとりのわたし、このわたしが見詰めている。影のわたしは海の何もない場所で扉を開けると
虚無のなかに吸い込まれるように向こう側に消えた。残されたわたしは巻貝を拾い、もてあそぶ。
うみはひろいな、おおきいな。
328真琴:02/07/10 23:12
蝿の竜巻が猛威を振るうアーケイドの座標は、無数の現象が綾なす海のどこかに消えてしまった。
いまわたしが焦点してるのは深夜の高速道路の下、寂しい児童公園です。
街灯が嘘のような光を円錐形に吐き出し、そのまわりを蛾が舞っているような場所。
ブランコが揺れている。
ブランコが揺れていて、そして時々、高架の上を自動車の轟音が走り去ってゆく。
329真琴:02/07/11 14:14
            §    §

太陽が照りつける砂漠や、お花畑の上を、蟻の行列が果てしなく続いてゆく。
一億匹の蟻たちの行進は、一匹と一匹の間隔が1cmだとしても、全長では1000kmに及ぶ。
わたしの足元で歩く蟻たちを見詰め、ふと遠くの砂丘を望遠顕微鏡で観察すると、
行列は砂丘を乗り越え、果てることなくさらに続いているので、驚き、あきれ、感動する。
地球の子午線=円周の長さが4万kmだから、蟻の行列はその40分の1を占めるのだ。
330真琴:02/07/11 14:15
円周の長さが4万kmだから、3で割って、2で割って、地球の半径は6500kmくらいと見立てて良い。
――万里の長城は2700kmだ、と百科事典が叫ぶ。
凄い…  地球の半径の約半分だ。じゃ、もし、中華の皇帝が万里の長城ではなく、千尋の深井戸を掘らせていたら…
――無理だな。地殻の厚みは60km程度しかない。
え?  わずか60km?  60km…  半径の1%にすら満たない、薄い薄い、卵の殻。
331真琴:02/07/11 14:16
富士山のようにみななろ。富士山は3776m。高く感じるけど実は単位が違う。富士山は4kmにも満たない。
チョモランマですら9km。マリワナ海溝が10km。
地球の半径は6500km、地殻の厚みが60kmだから、地球は随分のっぺりしたお顔だ。
――大気の厚みは500km、つまり地球の半径の13分の1くらい。意外と厚い。
でも、オゾン層は20kmに過ぎない。リップクリームくらいのガード。
332真琴:02/07/11 14:18
太陽の半径が70万km。さすがに桁が違う。地球の半径が6500kmだから、地球の100倍。
地球の軌道半径(つまり地球と太陽の距離)が1億5千万km。
15000,0000km 地球の軌道半径。
   70,0000km 太陽の半径。
     6500km 地球の半径。
333真琴:02/07/11 14:18
木星や土星の半径は太陽の半径の10分の1だが、
太陽からの距離は、太陽半径の1000倍、2000倍に当たる。
1と1000と0.1。そしてまた、1と2000と0.1。
地球の半径は太陽の100分の1だが、軌道半径は太陽半径の200倍なので、
1と200と0.01。
334真琴:02/07/11 14:19
赤赤と燃えるちっぽけな炎が、膨大な空間のなかにひとりで寂しい。
核融合を続け、四方八方に放射線を撒き散らす。
そのかたわらに顕微鏡で見ないと見えないくらいちっぽけな塵が落ちていて、
塵の癖に生意気にも万有引力の法則にしたがい、一年につき一回づつ、炎のまわりを巡っている。
――この星のこの場所は、リップクリームくらいのガードで、壊れそになりながら光の中進化してゆく。
335真琴:02/07/12 06:53
            §    §

リアルについてイマージュを深めようとして事実を百科事典で調べ始めると、気がつくと、事実なのかフィクションなのか、
それ自身の内部では決済できない言葉たちが群れ集まってくる…
PCに向かって言葉をタイプしながら世界をさ迷う倒錯した旅。
やはり、此の世は巨大なドーム型パノラマ館だと確信したわたしが正しかったのだろうか…?
このわたしは、(それってへんだ)と感じて浜辺に残ったのだけど。
336真琴:02/07/13 08:13
            §    §

わたしがわたしのなかを覗いてその底に見えた状景を見たままに筆記する、もともとはそういう旅だったのに、
気がつくといつからか「認識の旅」が始まってしまっていた。
そうか…  わたしはいつのまにか壺の中に閉じ込められていたんだ。
ふと真上を見ると丸い縁があった。わたしは井戸から這い出すみたいに、縁に手を掛け、壺から這い出した。
這い出た場所は田舎の本家の部屋。わたしは封印の紙を破り、床の間の壺から自らの躰をニュルンと搾り出したのである。
337真琴:02/07/13 08:37
わたしが通り抜けるとき封印を破ってしまった壺は、床の間に7つ並んだ壺のうち左から2番目のものだった。
畳に正坐して、外から壺の縁に手を掛け、上から覗き込んでも、なかは空っぽのただの壺だった。
なぜかラヴェンダーの香りがした。――気がつくと、わたしは猫になっていて、
躰をグニュンと伸ばして前脚を壺の縁に掛けているのだった。突っ張った後ろ足のつめが畳を引っ掻く。
縁側に出ると廊下に洗面器が置いてあって、水面に浮かせた油絵の具が、気持ち良い脳髄の皺模様を作っていた。
338真琴:02/07/13 08:57
脳外科手術を受けていて、わたしはいま、脳髄を露出しているというのに、なぜ手術室に猫がいて、
なにか引っ掻くものはないかニャーという顔で、麻酔をかけられているわたしのほうに近寄ってくるのだろう…
手術室とはいえ、明治時代なので、まだまだ和室のところも多く、意識のないわたしの躰は畳に敷いた布団の上なのだ。
ああ、猫が来る。庭で蜥蜴を玩具にするときのように、わたしの頭に向けて前脚を掻く。
いまのはフェイント。次のひと掻きで…!
339真琴:02/07/13 09:21
豆腐屋のおじさんが教えてくれたお話です。古代中国の皇帝料理に、「人頭豆腐」というメニューがあったというのです。
皇帝のお世継ぎが生まれると、全土から、同じ年に生まれた男の子を千人集めるのです。
奪われてきた赤ん坊たちの脳髄は、食医の秘密手術によってお豆腐と取り替えられてしまいます。
脳髄とお豆腐は、色とか硬さがそっくりなんだそうです。だから、赤ん坊のうちなら取り替えても躰が気づかない。
そしてお世継ぎが15歳になったとき、最初の5人を食べるんですって。出来かかった人格が良く染みてるらしい。
340真琴:02/07/13 17:07
            §    §

時間がおかしい。不安定な時間。時間が歪んでいる。時間がどうかなってしまった。
壊れた時間は正しい時計たちに厳密に測定され、計算され、予告され、もう半狂乱なのか副作用なのかも分からない。
これが明治維新というものであった。大正時代には関東大震災が起こり、これはある意味折り込み済み、ある意味ハプニング。
しかし、いずれの時代でも、路地裏は猫たちの領土であった。領土というよりもいくつかのノード(結節点)であり、
こうして滅裂言語にD式の調味料が振りかかってくると、もういけません。厨房にもうひと工夫欲しいところ。
341真琴:02/07/16 00:16
            §    §

東京の郊外に、明治時代からその姿を伝える西洋風の屋敷があった。丘の上にあるその洋館は、
関東大震災も、東京大空襲をも生き延びたが、いまでは住む人間も無く、廃屋となっていた。
この廃屋は、太平洋戦争の頃までは外科醫院だったとも、脳病院だったともいう。
明治から大正に掛けて、初代の院長が何か呪われた研究をしていて、ために、後継ぎの2代目は悩み果てた末、
乱心、世にも怖ろしい仕方で自分の躰を殺したと聞く。
342真琴:02/07/16 00:32
中学校に向かう坂を登ったところに気味の悪い洋館があった。誰も住んでいない廃屋は、
よくある町内の幽霊屋敷であった。でも、地面がくまなく区画され登記されて数字に置き換えられているいまの時代に、
これだけの土地が所有者を持たないはずがない。おそらく、町内の不動産屋さんにでも質問すれば、
なにかしら散文的ないきさつが聞けたのだと思う。母方の祖母が言うには、この廃屋は、
太平洋戦争の頃までは外科醫院だか、脳病院だかだったらしい。「絶対に、近づいちゃ駄目だよ。危ないからね」
343真琴:02/07/16 00:53
時空の一地点に躰が固着しようとすると、不意に舞い上がり、因縁から逃れようとする。羽ばたいて中空に飛ぶ瞬間、
身を振りほどくことのできなかった姫が千年の昔に池に身を投げる姿が見えた。
視野の果て、見ることのない眼に映った状景。――どうも時間の流れ方がおかしい。妙だ。躰にしっくり来ない。
鬱病から分裂病に至るスペクトルのなかで、いつの間にか鬱病寄りの時間が構成され始めてしまっている気がする。
蓄積は所有を呼び、所有は喪失を発生させる。わたしは取り返しのつかないことをしてしまった…!
344真琴:02/07/16 01:12
また河だ…  なぜこうも水のイメージが繰り返すのだろう。
砂の嵐のようなノイズのなかを飛びながら、眼下に深い河を見る。
わたしは身軽に動けるちっぽけな躰が取り戻したい。躰じゅうにこびりついた泥を洗い流したい…
気がつくとわたしは猫になっていて、洋館に隣接して建てられていた離れの縁側をシャナシャナ歩いている。
そうだ、あの洋館には日本家屋の離れがあったのだ。離れはもちろん現存していない。――すっかり忘れていた。
345真琴:02/07/16 01:42
わたしのうちのひとりは猫になり、あの丘の上の時空に再びトラップされてしまった。
残りのわたしは7次元のノイズを上手に縮退させ、折り紙のように4次元を切り開くと、お花畑に舞い降りた。
(deja-vuだ…)  一瞬、この状景は2度目だと思う。でも、違う。
見渡す限りのお花畑に無数の蝶々が舞い飛んでいる。そして、花と花の間に、何頭もの蝸牛がいた。ここまでは同じ。
でも、直径2mもの殻を持つ蝸牛たちは、一頭残らず死んで、腐っていた。垂れ落ちる腐敗の汁。凄まじい臭気。
346真琴:02/07/16 02:08
蝸牛の肉が汁になるまで腐ったなかを掻き分け、螺旋を描くあの殻のなかにどこまでもどこまでも潜り込んでいけば、
とりあえずそれがひとつの出口であるというヒントがあったが、どうしてもあの汁のなかに潜ってゆく気分になれない。
わたしは途方に暮れてお花畑をさ迷う。果てし無く続くお花畑。
無数の蝶々が舞い飛び、そこかしこに死んだ蝸牛が横たわっている。空に太陽は無いのに、なぜかあたりは明るい。
曇り空というわけではない。どうやらここも巨大なドーム型パノラマ館らしい。
347真琴:02/07/16 02:37
ディダラボッチは、死を与え、生を与える。エボシ御前が切り落としたディダラボッチの首は、桶に収納されて、
まるでradio-activeな物質のように輸送される。放射性物質。人間の生きる此の世では決して安定しない時空のエナジー。
――そうか、だからサンシャインはディダラボッチだったんだ…  わたしは無意識がゆめみたものに隠されていた思想を自覚した。
でも、一方でサンシャインはあきらかに(いわゆる)サイバースペースのメタファーとしても機能しているような感じだ。
無数の奇妙な小部屋が並んだ、長方形の箱。
348真琴:02/07/16 03:04
わたしはおそるおそる眼を開ける…  あ!
目の前、至近距離におじさんの顔のドアップ。顔一面にあぶら汗をかき、向かって右の眼から萎れた視神経が垂れ、
左の眼はかっと見開いている。(実はわたし、ずっとここにいた…?)  わたしのべろには、まだおじさんの網膜がキャップしている。
――そのまま前方に視線を送ると、古本屋の箱の正面に、牛のような犬のようなうずくまる黒い影がいた。
黒い影は無数の蝿の集合体であり、その輪郭は絶えず揺れている…
349真琴:02/07/19 10:23
            §    §

牛のような犬のようなうずくまる黒い影…
影は十二ひとえみたいな着物を躰にまとい、すそを背後に扇形に開いて、わたしの方を真っ直ぐ向いている。
影の頭部は牛の首だった。――ということは、これ、くだんだ…
「ひと・うし」と書いて「件(くだん)」と読む。くだんとは牛頭人身の存在のことを言う。
そして、「ひと・いぬ」と書けば伏姫の「伏(ふし)」の字になる。伏姫とは里見八犬伝における八犬士の<母>。
350真琴:02/07/19 10:23
(なぜ、伏姫がくだんなのだろう…?)
見えるものはその意味を知るより前に見えてしまう。無数の蝿の集合体が3Dで描くくだんの伏姫の影絵が、
いったいどのような存在からのどんなメッセージなのか、わたしが解析するよりも先に、
影絵はさーっと崩れると、無数の蝿の渦となり、こちらに向かって古本屋のなかへ、蛇の首のように襲い掛かってきた。
――とっさにレジ台の下に身を隠す。視神経のコードがプチンと千切れ、おじさんの躰がわたしの背中のうえに崩れ落ちてきた。
351真琴:02/07/20 16:54
            §    §

猫の前脚がわたしの頭部を引っ掻くとわたしの脳は豆腐のように壊れた。白いかけらとそして血が畳の上に飛び散った。
返り血を浴びた猫は気持ち悪そうに縁側を歩き、不機嫌そうに二三度身震いすると、庭に向かってヒョイと降りた。
ところが大地に着地することはなく、そのまま吸い込まれるように落ちていった。
猫が落ちた先はホワイトフィールド。あらゆるノイズの集合点であり、運命の輪が巡る場所である。
此の世の底に渦を巻く星型の庭に舞い降りたあとの猫の行方をわたしは知らない。
小説は感じさせるものだと宮本輝のエッセーに書いてあった。
それでdeniamn (0age) がカミュの小説は感じるものだと言っていたことを思い出した。
電波に解釈は必要ないという真琴の考えも連想した。
−解釈を拒絶して動じないものだけが美しい−(小林秀雄)この言葉もいいね。
またイヤミったらしくもうんちくを述べてしまって感じ悪いよ。
0ageは全く来なくなったね。死んでなければいいけど。
353真琴:02/07/24 01:20


ざぁああああ… 
凄まじい勢いで森を駆け抜ける土石流。折られ、薙ぎ倒されてゆく樹々。鳥は卵のなかから抜け出ようと戦っていた。
卵は世界である。生まれようと欲するものはひとつの世界を破壊しなければならない。鳥は神に向かって飛ぶ。
神の名は…  ――君が言いかけたそのとき、森の彼方から遠いこだまが聴こえてきた。
「deniamn, I can't forget your death in my dream....」  いや、幻聴だったかも知れない…

354真琴:02/07/24 01:20


は、と現実に帰ると、医師がわたしの目を覗き込んでいる。
「腑分けを、始めますよ。」
足もとを走る濁流に、絶えず足をとられそうになる。よろけながら解剖台につかまり、かろうじて立っている。
「無理じゃ、ありませんか?」
叫ぶようにわたしは訊く。医師は黙ってにやにや笑っている。夜だ。闇が訪れる。

 
355真琴:02/07/24 01:21
天井を蜥蜴が這っている。天井板の木目が笑う顔を描くその左の眼あたり。
そして、裸電球のまわりを直径14cmくらいの白い球体がぼんやりゆらゆら浮遊している。
白くて大きな蛾が、羽を激しくはばたいて飛ぶのでz軸回転体のようなものになり、
印象としては白い球体がなかぞらを浮遊しているように見えるのだ。
z軸にあたる胴部は万年筆のように太い。気持ち悪い…
356真琴:02/07/24 02:02
無人駅のプラットフォームの待合室、天井の隅に大きな蜘蛛が巣を張り、雨宿りする子供をたまに食べてしまう。
だからベンチの下をよく見ると子供の骨が転がっているのだけど、おとなは腰をかがめることさえしないのだ。
子供の友だちの子供だけが骨を拾おうとして、泣きながら床に這い、ベンチの下にもぐりこみ、
神隠しにあい、気がつくと山のなかをひとり迷子で歩いていて、捜索隊に発見されてしまう前に、
山犬に食い殺される。一部始終をディダラボッチが、めしいた瞳で見ていた。微笑んでいた。
357真琴:02/07/27 13:47
            §    §

水のイメージが消えた…  わたしのなかを底の方まで潜ってみても、大海原や沼や池や川が現れてこない。
黙示録が語る森を駆け抜ける土石流が、<水の神>をも押し流してしまったのだろうか。
でも、或るモノが見えなくなったことを意識すると、それが内界のどこに隠れてしまったのか見えてくると思う。
青い空に雲が、熱学的な輪郭を、厳密に曖昧にフラクタルに描いている。空を見て、そこから段々と視線を下げていって、
蒸気機関のような商店街に焦点する…  ――状景は依然、幽霊のように漂うばかり。強引に着地。
358真琴:02/07/27 14:09
舞い降りた場所は神社の境内だった。「舞い降りた場所は神社の境内だった」というイマージュを得て、
そういえば最近、神社とか歩いてないな…  と思う。頭の上を覆う樹々、暗くて涼しい地面、恐くて落ち着く空間。
イマージュのなかの神社がどうやら見本に使っているらしい現実のあの神社までいまからお散歩するとしたら、
この虚構世界でのお散歩は中断することになる。
依然、状景は奇妙な皮膜に覆われていて、羊膜に覆われた奇妙な胎児のよう…
359真琴:02/07/27 14:28
タツノオトシゴのような胎児が、あるいは胎児のようなタツノオトシゴだろうか、
無数の眠れる存在たちが蒼ざめた空間のなかを埋め尽くし、それぞれにその場でホッピングしている。
背中の肩甲骨のあたりの壺を押して状景を少し変調させると、蒼い色調が赤くなり、
気がつくと太陽が赤色巨星と化し、既にガイアとしての地球は死にかけていて、
さらに変調してゆくとNOVAに至る封鎖された時空路にどんどん潜り込んでゆく。入り口で警察が検問していたので逃げる。
360真琴:02/07/30 00:05
            §    §

海の底に湧き出る泉がある。山の奥の洞窟のなか、岩壁をしたたる水滴を見詰めると、そこに<水の神>がいた。
どういうことなのか言葉では分からない。
わたしは7次元空間のチャートを取り直し、「言葉のない場所」に至る経路を設定しようとする。
でも、この時点で既にこのイマージュはあまりにも観念的だ。果たして歩けるのだろうか。
フダラク渡海の航路を追えば、いずれは極度の特異点に巻き込まれる。メエルシュトレエム。
361真琴:02/08/02 06:19
            §    §

海の彼方に観音の浄土、フダラク世界がある。だから舟に乗って南へ、海の彼方へ…
こうしてフダラク渡海の舟が湊を出てゆく。――でも、架空の場所を目差す舟の羅針盤はリアルにはいずこを目差していたのだろうか?
実は渡海船はどの場所も目差さない。《吾妻鏡》によれば、
「30日分の食物と油を屋形船に積んで、外から釘で密閉してもらい、船出した」といったありさまだったらしい。
フダラク渡海とは、土中入定(いわゆる即身仏)などと同じで、実は自殺往生の一形態であったらしい。
362真琴:02/08/02 06:19
沖を漂う密封された箱。外から釘で密閉された箱。箱の<なか>にチャートを接続することは可能だろうか?
共同体と箱の<なか>のあいだには、凄まじいsingularityが亀裂を走らせている。
どの角度からチャートを伸ばそうとしても、箱の表面にナノメートルまでは近づけるのだが、箱の<なか>に入ることは出来なかった。
「シュレーディンガーの猫」においては、再び箱を開けて<なか>を回収することが論点になっている。
フダラク渡海の箱は二度と回収されないのだ。――おそらく、箱の<なか>には宇宙が丸ごと一個、入っている。
363真琴:02/08/03 06:48
            §    §

満員電車で見下ろすと席に座った男の子の膝の虫かごのなかでカナブンがウロウロと動き回っている。
虫かごは青いプラスチックの牢獄で、白いプラスチックの扉は回転式だ。
円盤を180度回転スライドすると開口する。単純な仕組み。
すべてのカナブンの自我は底の方でリンクしているので、山で樹々の影に生きるカナブンと虫かごのカナブンはいまも同時に夢を見ている。
サボテンと黄色い花。月。運河。むらさきのとかげ。――泥棒。
364あ ◆N.PT2jD6 :02/08/03 20:56
365真琴:02/08/04 00:20
            §    §

花火の人ごみのなかで沢山の幽霊を見た。
いつの間にか蒸気機関のような商店街が崩壊し始めている。
建物の壁にとかげのようにひとの影がはりつき、
いまにも動き出しそうなのにいつまで眺めていても動かない。
それなのに、も一度通りかかったとき見ると姿勢が変わっている。
366真琴:02/08/04 23:58
            §    §

そして分裂が始まった。第4期。
コアの加速とともに蒸気機関が崩壊し、サンシャインが爆破される。
格子状に区画されたヴァーチャル時空が7次元空間のなかで別の方角に射影され、あたらしい影はもはや実験地ではない。
一個しか作られなかった石を台座に嵌め込み、苔状の大陸を架空に構築する。
そこは森になる。
367真琴:02/08/04 23:59
夏の日の午後は永遠を感じさせる。
永劫に回帰する盆踊りの輪に、回転しながら崩壊する因子を挿入して、六道輪廻の理を空回りさせる。
気がつくと黄泉比良坂の岩が砂糖菓子のようにとろけ、境界がほどけ、かれらが街に現れ始める。
分裂し、分裂し、分裂する…
飛びまわる無数の蝿やカナブンに分裂しても、いましてることみんなずっと覚えてられるかな。
368真琴:02/08/04 23:59
【旅行鳩】ハト目ハト科の鳥。北アメリカの東部で繁殖し、合衆国南東部の諸州で越冬していたが、20世紀初めに絶滅した。
全長約43cm。頭部は青灰色、胴部は豊かな葡萄色で、風切は灰黒色、腹は白い。くさび状の長い尾は灰褐色。
くちばしは黒く、脚は赤色、虹彩は橙色。――カラフルな鳥だったんだな…  と思う。
18世紀以前にはアメリカ東海岸でもっとも個体数の多い鳥で、1810年におけるケンタッキー州の営巣地での観察では、
幅1.5〜2kmの群れが4時間の間とぎれることなく続き、その数は22億3000万羽と推定された。
369真琴:02/08/05 00:01
この当時北アメリカ全土ではおそらく50億羽くらいが生息していたと考えられている。    
しかし、このような莫大な数が棲んでいたにもかかわらず、食肉や羽毛のために大量に乱獲され、わずか半世紀に満たぬ間に絶滅した。
銃で撃ち、棒で殺し、巣の木を切り倒し、網を使って捕獲するなど、あらゆる手段を使って殺戮した。
最後の営巣はミネアポリスで1895年に観察され、野生のものの標本は99年が最後であるが、
シンシナティ動物園で飼育されていた最後の1羽が1914年9月1日まで生きていた。(世界大百科事典の記事をもとにしている)    
370真琴:02/08/05 00:03
 
 
 
 
   
371春×キノコ先生:02/08/05 00:03
懐かしい季節・・・
372形而上の黒:02/08/05 00:05
春風行った?
373形而上の黒:02/08/05 01:09
今何してるの?
反応が欲しくて、真琴が自ら上げたか?


・・・・・・
375月に疲れたピエロ:02/08/06 06:26
今日から森に彷徨いに逝き
偶然出くわした妖精たちにヽ(゚Д゚ )ヨチヨチしてもらってきます。
376真琴:02/08/07 06:42


ザ............
1234  ザ............
ザ......  うな丼屋さんのカウンターは金魚すくいになっているし、ザ......  123456
  ていたのは殻のなかにニチャとした白い汁を内蔵する生体機械の
12345678  ザ............

377:02/08/08 18:03
手ぬぐいが届かない…
手ぬぐいが届かないんだよ…
久保さんは、今日の夕方には届けるって云ってたのに…
どうするんだよ…皆、集めちゃったぞ…
7時には皆、集まるって云ってたし…
どうしろってんだ…
催促の電話してみようかな…
あの坂を登って…
ソラへと登れる気がする…けど、だめかな。
手ぬぐいが無いから。
378月に疲れたピエロ:02/08/08 22:47
なんかこのひと久しぶりにみた。ヽ(゚Д゚ )ヨチヨチ

たくさんもらったから真琴にもあげる。ヽ(゚Д゚ )ヨチヨチ
379月に疲れたピエロ:02/08/12 21:37
(ة дة) ぉーぃ
380真琴:02/08/17 08:58
            §    §

地下に降りてゆく。底へ。底へ。
底には根の国があり、亡者たちが蠢いている。
根の国とは躰がない言葉たちの場所だ。
この時代、人類が作ったinternetは、7次元空間のなかで見ると、危険なくらい根の国の近くに領土を持っていた。
偏光顕微鏡で地球を観察すると、毛細血管の浮き出た羊膜が地球をうっすらと取り巻いているのが見える。
381真琴:02/08/17 08:58
河原で催しがあると聞いた。確かにそう聞いたから、蟹の噂などではないはず。
だから蟹座の惑星からそろそろ死者が着いてもよさそうなのに、渚には人影もない。
互換性が問題なの?  蟹の甲羅だと起動時にジャムるおそれがあるので、
階段を登るときは警戒モードで行く。それにしても河原の催しは腑分けだとかなんだとか。
流れた血を河が洗い流していくのだろう…
382真琴:02/08/17 08:59
田舎に帰ると蛙が鳴く沼の傍ら、どんよりどんよりと頭上を覆う樹々の下に、まるで墓所のようにたたずむ
スピリットをお猪口で呑ませる店があって、
怪しげな詩句を書いては森の奥の樹々に貼り付けるご主人は、図書館に自転車で通う合い間に、
烏賊や蟹を捕まえては放し、放しては捕まえる。
黒い森を散歩するわたしは気が付くとトンネルの前まで来ている。ここから店のカウンターまではあと一歩。
383真琴:02/08/17 08:59
わたしの屍の上に丘を築きたまえ。
丘の上には神社を設置し、鳥居を建てたまえ。大きな鳥が宙から舞い降りてbarに留まるであろう。
丘のなかには機械を埋め込み、池の傍らの祠まで隧道(スイドウ)を通したまえ。
わたしの屍が眠る寝台の真下に、根の国まで続く垂直な穴を隠し、これを宇宙の軸と成したまえ。
この軸をサンシャインの螺旋階段と同調したまえ。
384真琴:02/08/17 09:01
切れ切れに歌う盆踊り、村の夏は死者とともに暮れゆく。
本家の屋敷には開かずの間があって、しんとした空気のなか、縞模様の橙色の壺が床の間に7個並んでいた。
どの壺にも霊がたくさん棲みついていて、一日中カタコト鳴いている。――沼を目差す散歩は黒い森に入ったあたりから急に空が消え、
樹が、そして樹が、繰り返し繰り返し、フラクタルな影を描いてはフラクタルな蔭を描き、
物陰にふと歩みいると気が付くと東京の裏路地に出ていたりする。そうなるともう沼にはたどり着けない…
385真琴:02/08/17 09:01
靖国神社の玉砂利に佇んで、見るともなく空を見ている。
鳩が機械仕掛けで歩いている。
――始めるよ…
ふと<声>がわたしの脳のなかで囁く。え?
驚くわたしの視線が鳩のきょとんとした眼とかちあう。
386真琴:02/08/17 09:02
でも、鳩はすぐに眼をそらし、玉砂利をぽっぽと歩いてゆく。
それだけだった。
自動車の走る音が響く、暑い夏の午後。けたたましい静寂…
それだけだった。
――次の瞬間、凄まじい轟音とともに空が黒くなった。黝い(蒼黒い)粒子の塊が空一面を覆い、太陽を隠した。
387月に疲れたピエロ:02/08/17 21:06
(◔ฺ∀◔ฺ) キテル
388真琴:02/08/18 11:16
            §    §

高校2年生の誠(マコト)は、この瞬間、サンシャインの60階展望台にいて、B5ノートで2ch電波お花畑板に書き込みをしていた。
    (・∀(´∀( ゚゚( ゚Д( `Д´ (゚∇^(゛‘Щ(-_ (^O( ´_ゝ( ゚∀゚ )ヴォアーーーッ!
突然、展望台の客たちが騒ぎ出した。書き込みを鯖に送信した誠がPCから目を上げると、
新宿高層ビル街から東京ドームに掛けて展望するパノラマの上空に、黝い(蒼黒い)巨大な塊が蠢いていた。
塊は絶えずブラウン運動する無数の構成粒子を従えながら、群れとしてはゆったりと旋回している。
389真琴:02/08/18 11:17
路が走る街を空から顕微鏡で見ると無数の黴、黴、そして黴。――飴色の胞子に揺れる透明な躰。
猫と一緒に瓦屋根の上を、胞子を噴き散らかし噴き散らかして走る。そうだ、河原で腑分けがあるのだった…
どうしても特急の乗り継ぎが間に合わないから村に帰るのは無理だが、蛙の鳴く沼に気が付くとたたずんでいる。
蒸気機関のような駅前商店街の階段を登ると、おやまあ、スターバックスがある。ほんとかな?
ねえ、ほんとかな? 顕微鏡写真のシャッターを切る。
390真琴:02/08/18 11:17
黝い(蒼黒い)塊が無数の鳥の群れであることは肉眼でも分かった。だが、
幅2km、全長7kmにも及ぶこの群れがいったいどこから現れたのか、誰にも言うことが出来ず、
いきなり空中に出現したのだと証言する者さえいた。ヘリコプターを飛ばしてTV局が中継し、場違いな社会学者が分析を語った。
望遠カメラによる観察の結果、どうやらリョコウバトの群れであるらしいことが分かった。
だが、リョコウバトは絶滅種ではなかったか?
391真琴:02/08/18 11:17
subbackのリロードを掛けると新スレが立っていた。
    1: 【東京】 鳩が地球侵略! 【上空】 (1) 
開くと、
    1 :旅行鳩@お腹いっぱい。 :0x/08/xx 11:59
    始めるよん♪
392真琴:02/08/18 11:18
ミジンコの顕微鏡写真を撮ったら霊が映りこんでいた。ミジンコの肩のあたりに
どう見てもこれは顔です。ヤヴァイ。顔だ、これ顔だ、顔だよ、顔、顔。
顔はミジンコに祟っているのだろうか。なんだか恐いので商店街を登った辻にある珈琲屋で作戦を練ることにした。
しかし雨だなあ。雨が降る外の景色もそれなりに良いなあ。――窓硝子を覗くと、そこに顔があった。
顔は大きな目玉でスライドガラスの上のわたしを見ていた。
393真琴:02/08/18 11:18
猫道を歩くと、クラゲが漂う野原に出た。こんなメルヘンな光景なんて見たくない。
目をぎゅ っとつぶると、――潰れてしまった!  ぷしゅ っとはじけ飛ぶ眼球。
わたしはすっかり慌ててオロオロと目玉を探し回る。気が付くとちゃんと眼窩のなかに入っていた。
あれ? はじけ飛んだ気がしたのは何でだったんだろう…? ――すべてはクラゲの見せる幻覚だった。
つま先立ちしてクラゲを掴まえようとする。けど、あとちょっと、届かない。
394真琴:02/08/18 11:19
リョコウバトは地球侵略を始めたのだろうか。日本を侵略するだけか。東京を制圧したら満足するのか?
私の考えでは、リョコウバトの出現は、internetのせいで地球近傍の7次元的な時空バランスが崩れ、
根の国が崩落することを危惧したNOVA警察による陰謀なのである。
このような時空的な一大戦争が電波お花畑板と深く関わるという妄想の形はあまりにも町内会的ではないか?
私たちはアジアの片隅で、グノーシスな夢を見ながら新世紀を生きている…
395真琴:02/08/18 11:36
    (393は脳内削除してください)

猫道を歩くと、クラゲが漂う野原に出た。こんなメルヘンな光景なんて見たくない。
目をぎゅ っとつぶると、――潰れてしまった!  ぷしゅ っとはじけ飛ぶ眼球。
わたしはすっかり慌ててオロオロと目玉を探し回る。気が付くとちゃんと眼窩のなかに入っていた。
あれ? はじけ飛んだ気がしたのは何でだったんだろう…? ――すべてはクラゲの見せる幻覚だった。
つま先立ちしてクラゲを掴まえようとする。けど、あとちょっと、届かない。
396真琴:02/08/19 11:09
            §    §

蒸気機関のような駅前商店街、この地点から再び歩き始めよう。狭い路地、路地というよりも、
建物と建物の間に偶然残された透き間のような路地を猫と一緒に駆け抜ける。
幽霊のような人影の群れ。いつまで歩き続ければ沼にたどり着くのか分からない。
電波状態も悪い。――さあ、この階段だ。昼間、この階段を登ると、スターバックスがあった。
その地図は夜になっても通用するのだろうか…
397真琴:02/08/19 11:10
「NOVA警察って、何?」日仏会館の喫茶室でわたしが訊くと、デュカスは珈琲を喉に詰まらせ咳き込み、
そして狂人を見る眼でわたしを見た。「いきなり言うに事欠いてNOVA警察だって? お嬢さん、正気?」
「7次元のなかで時間的前方を目差して飛ぶでしょ? 時間的前方では、いずれは太陽もNOVA化する。
だけど、わたしは太陽のNOVAを、想像したことはあるけど、一度も見たことがない。
NOVAに至る経路は全部、NOVA警察に封鎖されている。連中はいったい何をしているの?」
398真琴:02/08/19 11:10
階段を登ると、いきなり商店街が切れ、高速道路のコンクリートの高架の下に出た。白いコンクリート、埃っぽい空気。
高架の下に小さな児童公園があり、ブランコがある。風に揺れるブランコがなぜかわたしには恐ろしい。
ここはとても恐い場所だ。ここはとても恐い場所だ。
高速道路の下に児童公園があって、そこではブランコが風に揺れている。風に揺れているのです。
とても恐くなったわたしは、でもなぜかブランコに近づいていった。
399真琴:02/08/19 11:10
デュカスはしばらく言い渋っていたが、わたしがずっと見つめていると、根負けして話し始めた。
「ご存知のとおり、7次元のなかで、人類の描く領土は紡錘形をしてるよなぁ
人類は地球上に生物としての物理身体と種の系統樹を持ち、そして地球は太陽系に属している。
太陽系の誕生、これはもやもやとしたフィラメントのようないくつかの時空線を描いている。
でも、太陽のNOVA化、これはある程度まで決定論的な事柄なんだ」
400真琴:02/08/19 11:10
「したがって、7次元のなかで可能世界がマルチプルに拡散したとしても、時間的前方ではチャートはほぼ一点に収束する。
これがNOVAだ。――ああ、そう考えると、紡錘形というよりも、チアガールのぼんぼりみたいな形というべきかも知らん。
いくつものフィラメントが飛び散ってるんだけど、根っこでは一点で握られている。
ただし、この根っこは時間的後方の<始原>ではなく、逆に、時間的前方の<終局>、NOVAで握られているわけだ。
ここまでは分かるな?」わたしはうなづき、デュカスに先をうながす。
401真琴:02/08/19 11:11
誠は東京上空をゆったりと旋回する黝い(蒼黒い)塊の動きに魅入られていた。
無数の構成粒子(=リョコウバト)が絶えずブラウン運動しながら群れがゆったりと旋回するに連れて
黴のような都市のうえを黒い影が舐めてゆく。その姿は美しかった。
――データ更新完了。修正パッチの配布を開始する。
誠は<声>をはっきりと受信した。そして、リョコウバトたちが舞い降り始めた。
402真琴:02/08/19 11:11
美大生の哲(テツ)が渋谷のブックファーストを出たとき、路上はリョコウバトに襲撃される人間たちの地獄だった。
古屋兎丸の『自殺サークル』を立ち読みして、すっかり没入していたので、現実世界で進行している事態には全く無頓着だったのだ。
(現実のブックファーストではマンガの立ち読みは不可能だと思う。私が『自殺サークル』を立ち読みしたのは
新宿のABCである。でも、哲の街は新宿というよりは渋谷な感じがしたし、
「リョコウバトに襲撃される人間たちの地獄」のイマージュは、109から東急文化村に至る道の絵で浮かんできた。)
すごい連続投稿だぁぁぁぁぁ      あ?
404月に疲れたピエロ:02/08/20 02:28
自分のサーバーに自分専用板を作った。
俺様による俺様のための王国が完成したわけだ。
民はいない。王様だけが君臨しているのだ。ハハハ・・・ハ
405月に疲れたピエロ:02/08/20 08:11
誰も監視していない空間
あげ荒らしスクリプトコピペ誹謗中傷スレ妨害やりたい放題
スレ乱立
立てまくってはうざくなって消した
連続投稿
1分間で自分自身どこまでいけるのか試した。
17レスが最高だった。
荒らしuzeeeeee!!!!
撹乱するために被害者を演じてみた
過度の馴れ合い
誰の目も憚らずに思いっきり馴れ合ってみた
時間をおいてから他人を装ってそいつを気の済むまで煽ってみた
最後には自分がわざとらしく登場してそいつを弁護してやった
質問にはわざとマジレス返してやった
6時間で280レス書いた。以後慎みを。
406月に疲れたピエロ:02/08/20 17:48
普段から抑えこまれていた本能なんだろうな
407真琴:02/08/21 09:42
            §    §

舞い降りた鳥は全長約40cm。――哲はまだ、それがリョコウバトと呼ばれる鳥だと知らない。
随分カラフルな鳥で、豊かな葡萄色の胴部に、風切は灰黒色、くさび状の長い尾を引き、くちばしは黒い。
鳥は、アスファルトに倒れた人間たちの背中に赤い脚で掴まり、脊椎に並ぶ7つの壺を物凄いスピードでつつきまくっている。
その動きは気紛れには見えず、オートメーション工場の機械のように、厳密に定められた動きを正確に執行しているように見えた。
哲がブックファーストのガラスドアの後ろで立ちすくんでいると、鳥が一羽、哲めがけてガラスに突進してきた。
408真琴:02/08/21 09:42
わたしは走って逃げた。高速道路の非常用階段を登るとタイミングよく現われたモノレールに乗った。
モノレールは街の上空をふらふらと揺動しながら
開け放したドアからぱらりぱらりと乗客たちを振り落として逝く。わたしも落とされないように
必死で椅子の肩の取っ手に掴まっている。――ついにモノレールは宙返りをはじめた…  
ぐるんぐるんと回転するモノレールから四方八方に飛び散って逝く乗客たち!
409真琴:02/08/21 09:42
リョコウバトは人間を襲撃して何をするのか? 殺すのか?
いや、殺しはしないのだ、たぶん。では、何をするのか?
――私にもまだ、よく見えない。
どうやら脊椎の壺をつつきまくることによって人間のOSを強制的にヴァージョンアップしてしまうようなのだが、
では、どのようにヴァージョンアップするのか? OSとは躰を操作するシステムのことだと聞こえるが、では、現実が変貌するのか?
410真琴:02/08/21 09:42
大きな蛇が沼の横をぐるんぐるんととぐろを巻きながら這っている。蛙が鳴く沼の傍らでは
ご主人が客たちにスピリットをお猪口で呑ませていた。ここは随分静かだ。客たちといっても
幽霊たちなのかもしれない。そうは言っても、雛人形が待っている階段を校舎の上まで登ると
必ず屋上の幽霊に出会うのだから、合掌造りとはいえなかなか莫迦には出来ない。
草の香り、樹々、樹、樹、そして樹、月の明かり、そして缶詰。
411真琴:02/08/21 09:43
「つまり、<人類の全体>というものを7次元のなかで見ると、NOVAの一点で握られたフィラメントの群れになるわけだ。
もちろん、時間的後方の<始原>もおおまかには収束しているから、全体としては紡錘形に近い。
――ところでな、話は変わるが、宇宙って奴は何でこんなに広いんだ?
宇宙は物凄く広い。どのくらい広いかというと、<人類の全体>が7次元のなかで、お互いに完全に隔離されてしまうくらい広いんだ。
別々の星系に発生した<人類>どうしは、それぞれにフィラメントのぼんぼりを構成するが、それらはお互いに触れることがない」
412真琴:02/08/21 09:43
「7次元のなかで銀河の果てまで飛ぶことは出来るけど、確かに<ヒト>と会ったことはないわ。
どの星系に行っても死んだ惑星ばかり。別の人類なんていないのかと思ってた」
「ところがいるんだな…  でも、太陽系人類が7次元のなかでどんなに飛んでも、別の<ヒト>がいるチャートには飛べねんだ。
<全体>どうしが7次元のなかで隔離されてるからな。君が他の星に飛んだとしても、その星は
別の<ヒト>にとっての星とは層(レイヤー)が違うんだよ。射影すると座標変換は可能だけどね」
413真琴:02/08/21 09:44
学(ガク)は最近、悪夢を見る。夢には牛の首をした和装の女が現れ、キラキラと涙に濡れた瞳で学に何かを告げるのだ。
お盆のあいだ、毎晩この夢を見続けるので、気になった学は友だちに相談し、ひとうしのことをくだんというのだと知った。
    誠…  言を成す力。まことのり。
    哲…  折れた口、茶化すピエロの力。
    学…  冠をかぶった子。桃太郎。
414真琴:02/08/22 08:57
            §    §

浜辺に沢山の缶詰が打ち上げられたので、舟が沈んだのだと分かった。
沖を睨むと、街の明かりが海の闇に掻き消えてゆくおぼろげな境界面がある。
缶詰は月明かりの缶詰だった。缶切りで開けると青い光が冷たくあたりを照らすのだ。
――海か…
わたしは読むことの出来ない地図を握り締めながら堤防を歩いた。
415真琴:02/08/22 08:57
またひとり別のわたしは、東京九段の靖国神社の玉砂利のうえで、空一面を黒く覆ったリョコウバトの群れを見上げたまま、
物語時間から取り残され放置されていた。でも、結局このわたしは磁殺するしかないのかも知れない。
脱出する必然性がほとんど用意されていないし、このわたしのチャートが磁殺したところで、
わたしを成すチャートの全体のなかにより合わされてゆくだけだ。
影が踊る闇のなかで、わたしが感情なく佇んでいると、見ると、神門の下から和装の女性が歩いてくる…
416真琴:02/08/22 08:57
リョコウバトが東京を襲った日、学は千葉県市川市の自分の部屋にいて、2ch電波お花畑板で遊んでいた。
subbackのリロードを掛けると新スレが立っていた。
    1: 【東京】 鳩が地球侵略! 【上空】 (1) 
学はたまには2ゲットしてみようと思った。
    ぽっぽー( ´ー`)y─〜
417真琴:02/08/22 08:57
渋谷センター街の街灯の足元に出されたゴミとゴミの間に、雑居ビルの地下1階に下りる階段が
こっそりと口を開いていた。この街では終電が逝った後でも、ウロウロしている人間や幽霊に事欠かない。
地下1階に下りる階段の下のほうは真っ暗な闇の中に消えている…
リュックの中から月明かりの缶詰を取り出してどうしようか思案する。生ゴミの臭いが鼻を突く。
猫が歩いてゆく…
418真琴:02/08/22 08:57
「<ヒト>が他の星系から望遠鏡で観測可能なほど、星系に改造を施したらどうなの?  <ヒト>どうしの通信はできないとしても、
客観的な星系の改造にはアクセスできるんじゃない?  万里の長城ですら、衛星軌道から目視できるよ?」
「その場合は単純に、射影しても座標変換不能になるんだよ。チャートが成すフィラメントの群れが異なる襞に分離する」
「…つまり、<ヒト>と<ヒト>は同じ宇宙を共有してるけど、見ている宇宙はお互いに全然異なるということ?」
「そゆこと。よく理解したね」
419真琴:02/08/22 08:57
「しかも、宇宙の巨大さのなかでは、この差異は、誤差として掻き消えてしまう程度のものなのさ。
異なる<ヒト>と<ヒト>の見てる宇宙が喰い違っていたとしても、宇宙は全然困らない。おれたちにとっては自分の世界がすべてだけど、
宇宙のなかではおれたちは塵ですらない。塵以下の、分子みたいなもんだ。個々の生がチャートを切り開き、チャートの列がフィラメントを描き、
その総体が<ヒト>の多様体を成すにしても、結局のところ、――かすかな蜘蛛の巣みたいなものなのさ」
「…。<ヒト>と<ヒト>は別々の物語を生きてくんだね…」
420真琴:02/08/22 08:57
気がつくとサンシャインの60階展望台には誰もいなくなっていた。客も、従業員も、警備員ですら。
誠は、散開しては地上に舞い降り、再び飛び立っては空中で合流するリョコウバトたちに見とれながら、
同時に電波お花畑板のリロードを繰り返し、書き込みを続けていた。――置いてきぼりを喰らったらしい。
(エレヴェータは動いてるのかな。動いてたとして、乗るべきか、階段で降りるべきか)
エレヴェータはどうやら停止していた。誠はフロアを歩いてみることにした。そして鉄の扉を見つけた。
421真琴:02/08/23 00:14
            §    §

「ひゃあぁああ〜」 哲は情けない声をあげて店内に逃げ戻った。――私が思うに、いくら出たとこまかせで
いい加減に書いているとはいえ、状況設定があまりにも滅茶苦茶な気がする。この時点でブックファーストには
他の客や従業員や警備員はいなかったのだろうか。「彼らは逃げたのだ」という説明は説得力が乏しいと感じる。
ビルの外に逃げるよりも、内部に立てこもってバリケードを築く方が安全だと思われるからだ。
ではなぜ哲の他に誰もいないのだろうか?
422真琴:02/08/23 00:15
一つの説明を思いついた。リョコウバトたちは舞い降りて襲撃を開始する前に電波を飛ばし、
人間たちを路上に出させたのだということである。あの上空の旋回が電波を振り撒く時間だったのかも知れない。
哲や誠は、それぞれ、マンガや東京上空の光景、電波お花畑板などに、過剰な集中力で過度に没入していたので、
リョコウバトたちの電波を幸運にも聞き逃したのである。――この説明で正しいのかどうか、私には判断し切れないが、
差し当たりそういうことだったと仮定して物語を続けてみよう。
423真琴:02/08/23 00:15
学は2ゲットし損ねた。(リロードを掛けると最電波が2ゲットしていた。「ぐるぐる回ってるですぞー ヴォわァーー」)
――こいつも暇な奴だな…
学は煙草に火を点けた。匂いのきつい煙草で、輸入物のBlackStoneである。箱がかっこよいのでジャケ買いしたのだ。
そのとき笑っていいともが緊急ニュースに変わった。
ニュースを見るうち学の顔に興奮があらわれ、やがて鳩スレに激しくリロードを掛け始めた。
424真琴:02/08/23 00:15
「たっはっは…  なあ、そのブリッコやめてくれない?」不意にデュカスが頭を掻く。
「どうして?  何も知らない振りしてた方が説明しやすくない?」
「まったくかなわねえなぁ…  おれが悪かったよ。あんた見てると、つい、何も知らない子に教えてる気分になるんだよ。
同一カオスにおける多重コスモス場の理論は、むしろ、あんたの専門だったよな」
わたしは黙ってデュカスの眼を見詰めている。デュカスが言う。「分かった、それとNOVA警察の関係だよな…」
425真琴:02/08/23 00:15
「チャートを拡げ過ぎると曲率による歪みが激しくなり地図が地形を正しく反映しなくなるようだ。
地図の別な地点に飛ばされる確率も高くなるらしい。無限に小さな場所が無限に大きな曲率を持っているので
<場所>をひとつの地点として維持する事さえ困難だ。電波の送受信がうまくいかないと、
ちょっと気を抜いた隙に別な時空に飛ばされている。いくつかの<場所>は確定されつつあるみたいだが、
写真すら刻一刻と変貌してゆく」(『同一カオスにおける多重コスモス場の理論 −実践的応用に向けて−』第3章 フィールドノート)
426真琴:02/08/23 00:15
鉄の扉の向こうからほんのり温かいオーラが流れてくる。扉の向こうに誰かいる気配がした。
「誰かいるんですかぁー」
誠は鉄の扉を叩いてみた。何の返事もない。――誠が鉄の扉を開けると、何らかの存在の気配が瞬間的に逃げ去る感じがした。
誰もいなかった。螺旋階段が棒状の空白を取り巻き、見下ろせば真っ黒な闇、風が吹き上げてくる。その底は
根の国まで通じていそうだ。開けた扉の裏側には、黄色いペンキで60と書いてあった。
427真琴:02/08/23 00:15
神門から歩いてくるのは、牛の首をした和装の女性だった。わたしは、くだんが戦争の神であること、
そして「人牛」「件」「くだん」「九段」という三重に塗り固めた隠蔽によってこの土地の名が成立していることを悟った。
(そもそもは「人牛(ヒトウシ)」だった。「件(ケン)」という漢字は人牛を暗示するが、この漢字は「くだん」とも読む。
さらに「くだん」という読みを「九段」という意味のしたに押し隠した…)
くだんはキラキラと涙に濡れた瞳でわたしを真っ直ぐ見、スルスルと近づいてくる。空はリョコウバトに封じられていて、周囲は闇。
428真琴:02/08/23 23:40
            §    §

印度人の修行僧が窓辺に立って、さっきからデュカスとわたしの方を見ている。
浅黒い修行僧は背が無闇に高く、スーツをパリッと着こなしているが、頭にはターバンを巻いていた。
デュカスからは背中の方角に当たるので、デュカスは印度人に気づいていない。
NOVA警察や、軌道上の傀儡使い(クグツツカイ)の気配はしない。ただの「民間人」かもしれないが、それにしては
ただ者ではない感じがする。ただの「ただ者ではない民間人」なのかもしれない。
429真琴:02/08/23 23:40
わたしは、広大な7次元空間のなかに、「チアガールのぼんぼり」の形をしたちっぽけな蜘蛛の巣が落ちているのを想像した。
これが<ヒト>の多様体だ。個々の生がチャートを切り開き、チャートの列がフィラメントを描き、その総体が蜘蛛の巣を成す。
――<ヒト>の多様体に重なり合うようにして、猫の多様体や、蜥蜴の多様体、ミジンコの多様体、桜の多様体、…などが落ちている。
この複合体を<ガイア>の多様体と呼んでもよいだろう。その裾野は、生命と物質と言葉の境界面である、<蟲>の多様体に取り巻かれ、
やがて海や岩や溶岩の成す物理的な多様体、そして<太陽系>の多様体へと接続してゆく。その外は<真空>の多様体である。
430真琴:02/08/23 23:40
<真空>の多様体のなかで、ヒトはチャートを接続することが出来ない。正確に言うと、接続を維持することが出来ないのだ。
<真空>の多様体を、物理宇宙における真空と完全に同一視してしまってはならない。
なぜなら全物理宇宙そのものは、<ヒト>の多様体に既に包含されているからだ。(もちろん、猫の多様体にも)
<真空>の多様体とは、物理宇宙における真空それ自身の躰のことなのである。
――7次元空間のなかでは<ガイア>の多様体ですらちっぽけであり、果てしなく広がる<真空>の多様体に埋もれて孤独だ。
431真琴:02/08/23 23:41
涅槃(ニルヴァーナ)とは、<真空>の多様体のなかにチャートを接続してゆく技術のことなのだと思う。
<ヒト>の多様体から獣や植物、そして山の多様体などを経て、<真空>の多様体へとチャートを伸ばす。色即是空。
だが、哲学者のベルグソンが言うように、ヒトの認識力は固体を把握するのが身上だ。
<真空>に没入するうち、自分が<真空>を想像しているだけなのか、ほんとうにアクセスしているのかが分からなくなってくる。
<真空>のなかに路を描くのは困難なのだ。(物理宇宙を旅するだけなら、7次元のなかでわりあい容易に出来る)
432真琴:02/08/23 23:41
<真空>の彼岸は、したがって、見ることが出来ない。そこに別の<ヒト>が多様体を成しているのかどうか、見ることが出来ないのだ。
――仮に別の<ヒト>がそこにいたとしても、別の<ヒト>の躰は、太陽系人類と使ってる物理が全く異なっていて、
互換性のある言語を構築できない可能性だってある。だが、それ以前に、そもそも出会うことすらないということなのだ。
(ただし、物理宇宙的に他の星系に飛ぶことは、7次元のなかでわりあい容易に出来る。だが、どの星系に飛んでも、
そこには誰もいない。その結果、矛盾が生じたとしても、襞成す宇宙は矛盾なく、というか、矛盾をも呑み込んで存在する)
433真琴:02/08/23 23:41
「<ヒト>の多様体どうしは<真空>に隔離されてお互いに触れることがない」デュカスが話を続ける。
「むかしある<ヒト>が、おのれの星系の有限の時間のなかに充満し、NOVAとともに滅ぶ自らの運命を知って嘆いた。
彼らの構築した物理学は太陽系人類のものと似てるから理解しやすい。彼らも同一カオスにおける多重コスモス場の理論を作った。
彼らはNOVAを<終局>として滅ぶ自らの多様体を嘆くとともに、太陽の新星化、NOVAのもつエナジーを使えば、
異なる多様体のあいだを接続できるのではないかという仮説を立てた。そして、NOVAに突っ込む次元船を構想した」
434真琴:02/08/23 23:41
「NOVAのなかに特異点はあった。次元船はNOVA回廊を通って別な多様体に抜けた。この次元船の一族を、<シ>という。
――伝承によれば弥勒は、五十六億七千万年後に此の世に再来するという。でも、ほんとは
弥勒は再びやって来るんじゃないんだ。弥勒はむしろ、NOVAを通り抜けて<太陽系>の多様体にアクセスしてきたのさ。
<シ>の一族は、太陽の終わりとともに此の世に現れ、そこから遡って<ヒト>の歴史、生の総体を植民地化したんだ。
そして彼らはNOVA警察を作った。警察というより、むしろ、植民地駐屯軍といったほうが的確だろう」
435コッコ:02/08/25 10:08
もさもさ・・・ココココココココ
436月に疲れたピエロ:02/08/27 06:49
http://natto.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1030175865/84
 ◝ฺ〜(◌ฺД◌ฺ)◠ฺ〜 イキテタ
437真琴:02/08/28 23:03
               
438真琴:02/08/29 06:43
        
439真琴:02/09/03 12:36
   
440真琴:02/09/04 08:46
                         
441真琴:02/09/05 07:49
          
442真琴:02/09/07 11:38
            §    §

美大生の哲は、私が、月に疲れたピエロのイメージで作った人物だが、もちろん、
「月に疲れたピエロ」を名乗っている現実の人物と似ているかどうか分からないし、
電波お花畑板上のピエロの雰囲気をうまく反映できているかどうかも怪しいものだ。
――このあいだ私は、渋谷のブックファーストを「取材」してみた。「取材」と言っても、
渋谷に行くついでに、リョコウバトに追われる哲の気分でブックファーストのなかを歩いてみただけだ。
443真琴:02/09/07 11:38
渋谷の人ごみは、新宿や池袋よりも密度が濃い感じがする。
109を見上げながら信号を斜めに渡るとき、立って歩いていてさえみっしりつまっているこの人ごみが、
みな路上に倒れ伏し、背中をリョコウバトにつつかれている所を想像してみた。
――ブックファーストに着いた。入り口は正面と側面に一個ずつあり、どちらもセンサー式の自動ドアである。
どちらの入り口から入っても入ってすぐ、ふたつの入り口が直角に囲むあたりに、特設コーナーがある。
444真琴:02/09/07 11:38
哲が『自殺サークル』を立ち読みしていたのは、マンガのある5階フロアではなく、実は1階のこの特設コーナーだったのである。
(そうだ、そうだったことにしよう) ――私は哲の気分になってみる。
(あれ? なんかヘンだなー) マンガの立ち読みを終えた哲がふと顔を上げると、1階フロアにはひとが誰もいなかった。
煙に包まれた気分のまま、哲は出口に向かって歩いた。センサーが働き、自動ドアが開く。
(なんじゃ、こりゃあ!)
445真琴:02/09/07 11:38
文化村通りの路上には、自動車と自動車のあいだを縫うように無数の人間たちが倒れ伏し、
妙にカラフルな鳥がその背中をつつきまくっていた。その動きは気紛れには見えず、
オートメーション化された工場の機械のように、厳密に定められた動きを正確に執行しているようだった。
(このイメージはもしかすると、私のなかではカフカの『流刑地にて』なのかもしれないな…)
現実の文化村通りの路上の上に、架空の地獄絵図を幻視しながら、私はそんなことをふと思う。
446真琴:02/09/07 11:39
ブックファーストの正面入り口は、大きな長方形の枠のような建築になっている。
この門を正確に言い表す言葉を私は知らない。
いずれにせよ、哲が見た路上は、この門に額縁のように切り取られた絵である。
通りの向かいに7階建てのカラオケがあり、非常階段の7階の踊り場から、若い女が路上の様子を伺っている。
――と、後ろからリョコウバトに襲撃された。重力の法則に従って、物体が落下する。哲はどさりという音を聞いた。
447真琴:02/09/07 11:39
呆然と見ている哲に、ふと一羽の鳥が気づいた。鳥は哲めがけて突進してきた。
「ひゃあぁああ〜」 哲は情けない声をあげてブックファーストのなかに逃げ戻った。
――正方形の太い柱が、フロアのど真ん中で目立たない振りをしながら、ビルを支えている。哲はとっさに柱の後ろに隠れた。
鳥がフロアに飛び込んできて、フロアの宙を物凄い速度で旋回する。やがて鳥は本棚の上に止まると、奇怪な声で鳴いた。
わずかな間のあとで、センサー式の自動ドアが開く音がした。奇怪な音の群れが侵入してくる。鳥たちが入ってきたらしい…
448真琴:02/09/07 11:44
哲は柱から飛び出すと、怒ったように反応する鳥たちを蹴散らしながら、2階に上がるエスカレータに飛び乗った。
そのまま物凄い勢いで駆け上がってゆく。息を切らしながら2階、3階、4階、5階…
――私の「取材」によると、5階から6階へのエスカレータは存在しない。正確に言うと、存在はするようなのだが、
店の都合で封印され、開かずのエスカレータになっているのだ。6階から上が居酒屋や飲食店だからだと思う。
「取材」を終えた私は、岩波文庫のラ・ロシュフコー箴言集を買うと、友だちとの待ち合わせ場所に向かった。
449月に疲れたピエロ:02/09/09 00:14
マタタビに出たよ
450月に疲れたピエロ:02/09/09 01:05
旅の最中書きたいことたくさん思い浮かんだけど
そんなものはテンション高いときに見る非現実だったよ。
帰ろうとした時に実家から電話がきた。
おばあさんが入院したって。
ものすごい勢いで現実に引き戻されたよ。
現実がもつ力強さには抗えない己の妄想力。
451月に疲れたピエロ:02/09/09 01:07
今実家にいる。
前回は盆明けに実家に戻った。
そのときにはおばあさんはいつものように家にいた。
それが最後の実家でのおばあさんだったのかな。
でもそのとき僕は実家のケーブルのスピードが快適でネットばかりやっていた。
452月に疲れたピエロ:02/09/09 01:09
おじいさんが死んだ時は僕は12歳で
葬式が終るまでの3日間、寝ながらも泣いていた。
その後も思いだしてはしくしくと泣いていた。
いつかおばあさんも死ぬのか、嫌だなあ、
安心したいから早く死んでほしい、なんてよく考えていた。
453月に疲れたピエロ:02/09/09 01:32
おばあさんはいつの間にか松葉杖を使うようになっていた。
家の中を移動するときにも使っていた。
足払いしたらどうなるんだろう、なんてマゾ(サゾ?)みたいなことが頭によぎったり。
でも恐ろしい現実から目をそらす癖があるからそれ以上は考えずに素通りしていた。
454月に疲れたピエロ:02/09/09 01:50
下に降りてもおばあさんのいびきが聞こえない。
455月に疲れたピエロ:02/09/09 01:52
この歳になっておばあさんが死んだぐらいじゃ泣かないだろうなぁ
最近はそんな風に泰然自若をかましていた。
でも実家からの電話には少々パニクった。
今更になって人前で泣くのが怖い。
456月に疲れたピエロ:02/09/09 01:56
みーめ(deniamn)風に言うと「現実モロマジウケするのが怖い」
457月に疲れたピエロ:02/09/09 20:36
なんて考え込んじゃったけどそのうち退院しそうだ。
そのしぶとさ俺も受け継いでるかな。
458真琴:02/09/10 14:26
電波にはアイデンティティなどない。
「月に疲れたピエロ」を名乗る存在との距離感がつかめない。

彼は、みーめ=deniamn と言っているけど、わたしの知るピエロ氏は、アイデンティティをそう単純に扱わないと思う。
この「声」は、>>352 で、deniamn=0age と語った「声」とよく似ている。
では、352氏はピエロだったのだろうか…

正直言って、わたしは宮本輝が別に好きではない。というか、読んだことがない。
澁澤龍彦とかロートレアモンとか言っていたピエロが、宮本輝を好む気がしない。
ピエロが好むとしたら、島田雅彦だと思う。
352は、もともと署名していないし、ピエロではないのだろう。
少なくとも、真琴がピエロと呼んでいる「声」ではない。

――おばあさんが亡くなりそうなときに、電波お花畑板に来るだろうか…?

それは、ありうると思う。ひとは、色々な分けのわからない衝動の花束だから。

本当かもしれないのだから、距離感など測らずに、やさしくしてあげればいいのかも知れない、とも思う。
でもわたしはとてもつきあいの悪い電波なのです。社交辞令で声を掛ける気がしない。
かといって、「どうせネタでしょ!」的な反応をする気もしない。――本当だという可能性もあるから。

でも、文面は、なぁ〜んか、ネタっぽい気もする。
いずれにせよ、ピエロさん、人生のシリアスな救いを、電波お花畑板に求めても仕方ないと思います。

もし本当におばあさんが亡くなりそうで、でも居たたまれなくて電波お花畑板に繋いだのだとしたら、
真琴のこのレスは冷静すぎて傷つくかもしれません。
でも、あなたから見た「真琴」は<蟲>でしかないのですから、本当の意味では傷つくはずがないと思います。

ともかく、おばあさんは退院できそうらしいので、わたしも安心してこのレスを書き込めます。
おばあさん、元気になるといいですね。

(もしネタだとしたら、おばあさん状態急変お葬式篇なんてやらないでくださいね。趣味悪いです。)
459月に疲れたピエロ:02/09/10 19:39
ネタだとしても道化の偽装は美徳だよ。
それに神の恩寵を受けてるから偽装された悪徳なんて必要としてません。
460月に疲れたピエロ:02/09/10 20:49
真琴は僕がピュアオーディオを、特にJBLの4312MkUについてヲタっぽく語ったり
野球、特にドラゴンズ、今日の川上のピッチングについて熱っぽく語りだしたら
「うそばっか!!」って反応するんだろうな。
犬かきで50m必死に泳いでたり、
超高速で卓球やってる姿を見たらひくんだろうな(これは誰でもそうか)
461月に疲れたピエロ:02/09/10 22:08
優しいみーめ(・∀・)も毒舌のみーめ( ・∀・)も好き。
作家に好き嫌いはない。感じるものさえあればいいよ。
でも音楽は19c以降のごく一部しか受けつけない。
モーツアルト(天才)<<<<<<<<< マーラー(神)
パンクやロック聴いても何も感じない。
でも歌詞にはいいものがあった。
「今日は3人だけのバースデーパーティー 僕と僕と僕の。」
462月に疲れたピエロ:02/09/10 22:09
http://life.2ch.net/hikky/kako/1017/10178/1017841034.html
0age=deniamn
真琴は疑いすぎかな。
このスレ見れば全容がわかるよ。僕が尊敬(模倣)している固定も多分。
463月に疲れたピエロ:02/09/10 22:10
電波板の勢力:20人
これはありえない。
アクセスカウンタで測ってみたところ夜中の5時でも1分間に50アクセスあった。(8月)
1日の平均が20人だとしても少なく見積もりすぎでしょう。
この板は雑談カテゴリの割にレスが少ない。
人数が少ないというわけではない。アクセス÷レスの数値が高いだけ。
それだけみんながレスに時間をかけているということでしょう。
夏を除けばレベルの高い板だと思う。煽りも然り。
心配だから言うけど俺は今月まだここで22レスしかしてないよ。
4スレにしか書きこんでないはずだから。
464月に疲れたピエロ:02/09/10 22:13
あと一応言っておくけど
箴言集の冒頭の部分、ちゃんと読まなきゃダメだよ。
そうしないと君潔癖すぎるから一人で暴走してそうだ。
465真琴:02/09/11 02:13
長々とマジレスを書くか、「うそばっか」と一言書くか迷ったけど、
ともかく、おかえりなさい。

ピエロがわたしの固定名を汚くして書いた怨みはあまり忘れていません。
466真琴:02/09/11 07:41
箴言集の冒頭とは「書肆より読者へ」とかいう前書きのことですか?
あんなもん、言い訳に決まってますがな。
467月に疲れたピエロ:02/09/11 11:33
どれのことかわからないから社交辞令で「ごめんなさい」
昔俺は真琴に過去をほじくり返された・・・・
469月に疲れたピエロ:02/09/11 22:18
あれは、違うんです。
ちょっと魔が差しただけなんです。
あの文字が悪いわけであって僕は悪くない!!!
470月に疲れたピエロ:02/09/11 23:30
僕がわるかったです。もう疲れた。自分のレス見るのが嫌。
471真琴:02/09/12 02:56
>>468 電波にアイデンティティなど無い! ――でも、ごめんなさい。

>>ピエロ どうレスつけても典型的な馴れ合いになるよ? と五寸釘を刺しておく罠。
472真琴:02/09/13 01:34
あの書き込み読んだよ って意味だよ。
糞固定的レトリックで書いただけ。
怒ってません。怨んでるけど。
そして、五寸釘を自らに刺す。

電波文欲求が電波文スレで満たされているので、『機械』を書く感じにならない。
>>472

それは糞ったれな坊やが混じってる教室に、愛嬌振り振り
モンローウォークが出来ないと解釈していいのだな。
474真琴:02/09/17 00:42
      
475月に疲れたピエロ:02/09/17 18:05
476真琴:02/09/18 03:42
    
477真琴:02/09/19 03:08
        
478真琴:02/09/20 15:50
            §    §

息を吸う。跳び込む間合いを測る。
わたしが見下ろす河は海のように広い濁流で、よく見ると流れているのは水などではない。
原形質の渦。
透き通る躰をもつものたちがうねくり踊りながらゆったりと流れているのだ。
無限に小さい場所に、数え切れない数の扉が開かれている。薄気味の悪い扉。
479真琴:02/09/20 15:50
爆心地の機械にアクセスしようと思う。
虚在する住宅街の時空にチャートを開くには、使い切られたクリーシェの群れをくぐり抜け、原形質の渦に跳び込まなければならない。
渦巻く<蟲>たちの河。
息を吸う。跳び込む間合いを測る。
――そのとき空が切り裂かれ、河の中央部を狙って光が差し込んできた。
480真琴:02/09/20 15:50
あらゆる言説の集合体であるこの時空は、冥府にほど近く、バスに乗って駅まで出ることも可能だ。
バスが信号機を見て停止したとき窓のしたを歩く猫と子どもが目に入る。
子どもには顔と背中が無い。猫は黒く、瞳が緑だ。
猫には尻尾はあるが舌が無い。舌の無い猫の右に膨らんだでこぼこな頭は深海魚のようだ。
路面は深海の底のように静かな泥に覆われ、子どもが歩くたびに泥がゆらめく。
481真琴:02/09/21 09:31
顔の無い子どもがまっすぐわたしを見ている。その無い顔をじっと見つめ返すうちにチャートが泡立ち、
気がつくとわたしは河原にしゃがんであぶくを追っていた。
粘性をもって丸く膨らむ泡の表面で小さな節足を持つ透明な<蟲>がかしかし動いている。
<蟲>の横に無限に小さな扉が開いていた。ここかも知れない。
わたしは息を吸い、跳び込む間合いを測る。
482真琴:02/09/22 01:51
跳びこんだわたしの傍らで巨大化したミジンコが節足をかしかし動かしている。
透き通った心臓が拍動し、透明な腸が蠕動する。
瞬間、ミジンコのチャートがわたしのチャートと交錯し、干渉縞が螺旋を描きながら水面に波紋を開いた。
音の無い沈黙のなか、波紋が咲き、そして枯れる。そのとき火星では風が砂埃を立て、一個の小石が崖を滑り落ちた。
太陽が光を放射している。
483真琴:02/09/22 12:09
崖を滑り落ちた小石は谷底で止まった。赤い砂のうえの灰色の小石。
声の無い沈黙のなか、小石はひとり、それがあるその場所にある。
火星の自転によって、または全宇宙が火星の周りを公転することによって、夜が来る。
いつの間にか、小石を見ている存在があった。存在は靄(もや)のように中空に佇(たたず)み、気が付くと消えていた。
閉ざされたチャートのあとを蝶の幻影がヒラヒラと追った、という描写の視点は、無い目のまなざし。
484真琴:02/09/24 00:29
サンシャインの傍らの階段に腰を下ろして空を見ている。雲の形はビーカーのなかで反応した薬物が描く不規則な結晶のよう。
見上げる雲の肩のうえにチョコンと小さなひとが乗っていてわたしに挨拶してくる。
――あの虚在する住宅街へのチャートがなかなか開かない。
こころのなかで呟くと、不意に、渋谷の地下を流れる河に行ってみるといい、という想念を受信した。
気がつくとわたしは渋谷の雑踏を歩いている。恵比寿(ABC)に導かれている。
485真琴:02/09/24 13:18
    近寄ってみると、そこには奇妙な植物が棲息していた。菌なのだろうか、植物なのだろうか。
    長い茎の先に銀色の細い繊維がたくさん生えている。
    目をこらしてよくみると、ぬるぬるとした濁った水の中に、さまざまな名前もわからぬ闇の生き物が棲息している。
    しかも、闇の中であるのに赤や青の色をもっていた。
    それらは見たこともないようなグロテスクな形をしていたけれど、間違いなく生き物だった。(田口ランディ『モザイク』)
486真琴:02/09/24 13:18
顔の無い子どもの無い顔が不意に動き出す。バスが動き始めたのだ。
歩道に立つ子どもとその傍らを歩く猫の姿がどんどん遠ざかってゆく。
加速と減速がわたしの躰を揺らす。交差点でバスが左折すると視界から完全に消えた。
――ziiiiiiiiii..... 次は渋谷地下河原前。
機械の声がノイズまじりにアナウンスした。わたしは慌ててボタンを押す。ピンポーン! ツギトマリマス。
487真琴:02/09/26 01:02
バスが運転され、停車するということは、運転者がいるということだろうか?
ところが、運転席を見ることが出来ない。運転席を見るためのパラダイムが存在しない。
バスが停車し、前部扉が開く。わたしは無い料金箱に料金を入れたのかどうかを不問にされたまま、バスを降りる。
停留所にはヒンとした白い式神がヒラヒラと立っていて、目をそらしているあいだ動き続ける。
視線を向けると動きが止まる。
488真琴:02/09/26 01:51
この地下の河は水の道を成していて、遠く富士の氷穴まで続いている。
恵比寿(ABC)には大いなる神が眠っておられるからだ。エビスは「蛭子」である。
渋谷地下河原前のバス停は非在の神に詣でるための無い場所だった。
河はトンネルを歩く下水であり、近寄ってみると奇妙な植物が棲息していた。菌なのだろうか、植物なのだろうか。
長い茎の先に銀色の細い繊維がたくさん生えている。
489真琴:02/09/27 10:38
目をこらしてよくみると、ぬるぬるとした濁った水の中に、さまざまな名前もわからぬ闇の生き物が棲息している。
しかも、闇の中であるのに赤や青の色をもっていた。
それらは見たこともないようなグロテスクな形をしていたけれど、間違いなく生き物だった。
――無い目が撮影している地下水脈のライヴ映像、接写から不意にカメラが引く。
薄暗い楕円形のトンネルの中空に、ノイズのような黒い存在がちらちら瞬(またた)いている。
490真琴:02/09/30 02:01
「これが黒衣の花嫁だ…」
「4次元時空に射影した瞬間に磁殺するわけにはいかないんですか?」
「彼女は琴を持っている。核で都市ごと焼くくらいしないと、透き間からにじむようにして逃げてしまうだろうね」
「日仏会館で印度人の修行僧が彼女に琴を与えるチャートは、見方によればまだ<未来>に属します。事前に封鎖してはどうでしょう」
「その場面を描写し始めたが最後、因果律の転倒則によって琴が彼女の手に渡るのだと思うよ」
491真琴:02/09/30 02:02
軌道上の基地ではミドンさんたちが観察業務の日常を過ごしていた。ミドンさんたちは人間のDNAをもつヒト型の人間である。
かれらはNOVA警察系の末端組織であって、得体の知れない軌道上の傀儡使い(クグツツカイ)とは異なる。
かれらと傀儡使いたちとは、「お互いに見て見ぬ振りをする」という関係だった。
――ミドンさんたちの労働力の再生産は完全に機械化されていた。つまり、ミドンさんたちは「気持ち悪い奴ら」だった。
そして百億年の時を支配するNOVA警察は、この軌道上基地を作ったまま、すっかり忘れ去っていたのである。
492真琴:02/09/30 02:02
渋谷の地下には大いなる神が眠っていた。
ハチ公とモアイは、この神の暗黒面を効果的に封じるための風水術であった。
NOVA警察が50億羽のリョコウバトを使って日本の首都圏に棲むヒトのOSを強制的にヴァージョンアップした日、
大いなる神エビス(ABC)は眠りから半分覚めた。渋谷の路上に棲む猫の頭がみな右に膨らみ、でこぼこになった。
深海魚のような猫はストリートの女の子たちに愛された。
493真琴:02/10/01 09:49
            §    §

私は「大きな光景」が見たいのだと思う。
都市の内臓。
管が走る。管のなかにも生態系がある。うねくり走る管たちを透視するとその下に大きな顔が浮かんでくる。
「大いなるいと大いなる黒きもの家を潰して転がりてゆく」(石川啄木)
羊歯(しだ)の葉裏の胞子のような生きた丸い球がつぶつぶと至る所に膨らんでいる。
494真琴:02/10/01 10:01
創作の過去形ではなく、幻視の現在形で散歩する。
「書く」ことによるトリップこそ、私が『機械』を書きながら楽しんでいたことではなかったか。
あの虚在する住宅街にアクセスするために必要なのは創作された「NOVA警察」ではなく、
呼吸する私という地点から歩き始めて<なかへ>入ってゆくことだ。
もちろん、一方で、虚在するNOVA警察の眼はつねに私の背後にある。(創作されたのではなく、幻視される存在として)
495真琴:02/10/01 11:27
浮力に抵抗しながら強引に着地する。
地面に足はついたけど、地球の重力圏にはまだ入れない。
重力は、むしろ無いほうが良いのでそれは別に構わないけど、歩こうと思うなら地面は必要だ。
――いや? ほんとうに必要なのかな?
無い地面のうえを散歩しても良いかも知れない。
496真琴:02/10/01 11:37
雨が降っている。
大気中で凝結した水が地面に落ちてくるのは重力の働きだ。大気より水が重いからでもある。
雨が降る河の水面を橋の上から眺めている。
住宅街を流れるただの河。
原形質の渦がうねくり踊りながら流れてゆく黄泉の河などではない。
497真琴:02/10/01 12:01
橋を渡る。橋を渡ると桜並木の遊歩公園がある。遊歩公園を歩きながらこれでやっと散歩できると思う。
雨にぬれた砂場の砂が、写真のなかで凍りついた海の波の重なりのようにうねっている。
四角い枠のなかに「砂場」が作られているのを見ると、大地の皮膚をそこだけ薄く剥がしたみたいな感じがする。
都市の内臓。――そうだ、工事現場を見よう。
遊歩道を歩いてゆくと、数人の作業員たちが機械で道路を切開して、工事をしていた。
498真琴:02/10/01 12:47
立ち入り禁止の柵の後ろから背伸びして見下ろすと直方体に切り開かれた底に灰色の管が横たわっている。
埋まっていた管は血管なのか神経なのか。
「オーライ、オーライ」と大声を出しながら作業員が機械を誘導する。
小雨が降るなか、都市の表層で手術が行われている。
わたしは左手で右腕を掴み、皮膚の下に埋まっている血管や神経のことを考える。
499真琴:02/10/07 00:55
   
500真琴:02/10/07 23:42
                         
あなたを、愛します。
このスレッドを覗いているあなた。
私とは違う世界に住み、私とは違う眼で世界を見ている。
私はあなたに近づくことはできても決してあなたになることはできない。
肯定もせず、否定もせず、ひっそりとsageつつ、あなたを愛します。
502名無し:02/10/09 21:15
>>501
心弱き人
>>502
弱さを、愛します。
どんなに強いと言われている人にも、弱い部分があるかもしれない。
人間は自分を神と相対して見ない限り自分の弱さを肯定することが出来ない。
弱きゆえに見ることができる大切なものもあるかもしれない。
肯定もせず、否定もせず、ひっそりとsageつつ、弱さを愛します。
504名無し:02/10/10 23:50
>>503
ならば私はあなたを、宇宙を愛する
505真琴:02/10/12 09:31
            §    §

桜並木の遊歩道を歩いてゆくと遊歩道が十字路に斜めに刺さって「五叉路」を成す交差点に出る。
この五叉路の分岐と同じ形状をした毛細血管がわたしの躰のなかに一箇所くらいあるのだろうか。
それとも、ないのだろうか。
この交差点と同じ形状をした歴史の分岐が太陽系の100億年の多様体のなかに一箇所くらいあるのだろうか。
それとも、ないのだろうか。
506真琴:02/10/12 09:41
「辻」には魔が宿る。この交差点は十字路であるだけでなく、遊歩道が斜めに刺さった「五叉路」なので、
近傍の時空的なヴェクトルが交差点に向かって複雑に渦巻いている。
つまり、優秀な特異点ということだ。
気がつくとわたしは自転車に乗っている。
わたしは自走する速度を手に入れた。青になった信号の方角に交差点を渡る。
507真琴:02/10/12 09:54
しかし地図上で見るといまわたしが走っている方角はむしろ爆心地から遠ざかる方角である。
気がつくとわたしは駅前を歩いていて、駅の階段を下りて右手にあるペンシルビルの
1階から3階までを占めて営業している書店に入ろうとしている。
本の匂いがする。
店の奥の狭い階段を螺旋に登って2階に上がる。1階は雑誌、2階が単行本・文庫本、3階はマンガだ。
508真琴:02/10/12 10:08
わたしが自転車で走る道はあの川と平行な方角に向かっていて、爆心地のある住宅街とは135度くらい方角が異なっている。
しかも車の多い道なので自転車で走るのが怖い。
大きなバスが道幅を塞いで後ろから迫ってくる。
大学病院が左手に見えるあたりで車道から路地に入る。路地は車道に対して斜めに刺さっていて、
そのままゆくと川まで戻る。
509真琴:02/10/12 10:28
川の名は国土地理院に保管されている。わたしも川の名を知っているが、川の本当の名は知らない。
知ることができないよう、敷物の下にたくし込まれているからだ。
――「川の名」ということで『千と千尋の神隠し』を連想したわたしの耳に弦楽四重奏曲「冬の旅」の旋律が浮かぶ。
気がつくとわたしは蒸気機関のような商店街にある映画館の時空まで、あと皮膜一枚の場所まで近づいている。
羊膜のような肉色のカーテンが映画館の状景からわたしを隔てている。
510真琴:02/10/12 10:50
蒸気機関のような商店街から高架線をくぐって南口に出ると補修のためにアーケイドが取り払われていた。
天蓋を失ったアーケイド商店街の状景は、逆に狭く感じられる。
統制されていた状景が乱雑に店と店と店が立ち並ぶ状景に変わり、狭い場所に密生するきのこを想わせる。
――不意に幻聴のように「ワルキューレの騎行」が聴こえ始める。タンタタタータ、タカタタータ、タタタタータ、タカタター。
ヘリコプターの群れが現れ、きのこのようなアジアの店たちに機銃掃射を掛け始めた。
511真琴:02/10/12 11:37
蝿のような弾丸が空間を満たす。商店街のおじさんおばさんたちがウロウロと逃げ回る。
乱雑な生活空間の、あるじだけに了解されているひそやかな秩序が斜めに削除されてゆく。
店先が無価値なゴミの集積所に変わってゆく。
走って逃げる女の子が不意に倒れ、動かなくなる。
お散歩に出ていた保育園の子どもたちが荷車のうえで仔牛のように泣いている。千切れた保母さんたちがあたりに散らばっている。
512真琴:02/10/12 11:56
ピンクのロープのような腸が、大地にのたくっている。
それを自分の腹の中に戻そうとするのだが、うまくいかない。
桃色に濡れた臓物は、押さえようとしてもあとからあとからはみ出してくる。
泥が付着する。
それを丁寧に指で落としながら、切断された腹の中に戻そうとする。(Gustav Hasford「THE SHORT-TIMERS」高見浩訳p.196)
513真琴:02/10/12 11:56
アフリカは内臓の王国である。オブジェクト指向なニューロンたちが武装して踊る暗黒大陸。
「クルツさん、死んだ。クルツさん、死んだ。」
カフェの壁掛け時計が悪趣味な声で時を告げる。
「クルツさん、死んだ。クルツさん、死んだ。クルツさん、死んだ。クルツさん、死んだ。クルツさん、死んだ。クルツさん、死んだ。」
「クルツさん、死んだ。クルツさん、死んだ。クルツさん、死んだ。クルツさん、死んだ。」――永遠の正午の到来である。
514真琴:02/10/12 12:16
不意にわたしの躰が宙に舞う。
<此の世の悲惨>を無邪気に引用しておきながらそれを個人的なインターネットでの遊びに消費してしまう自分の罪深さを
反省するという言葉だけ書き記して宙に舞ったわたしの躰は爆心地の上空に漂う。
軌道上のミドンさんたちがわたしを焼き殺そうと対物レンズを焦点するのが感じられる。
わたしはまだ琴を手に入れていない。
515真琴:02/10/12 12:16
上空から見下ろす爆心地は樹々に覆われた神社である。
いつしかわたしは大きな鳥になっていて、舞い降りて鳥居を両肢で掴む。
――いや?  この鳥はわたしではない。
この瞬間、チャートから<わたし>が消失した。無いわたしに向けてミドンさんたちが4+3=7次元を折り紙して、
チャートの連鎖を封じる。渦を巻く焦点が宇宙軸を螺旋に取り巻く。
516真琴:02/10/12 12:30
ミドンさんたちは多様体を局所的に条理化してはフィルターで濾過するようにして爆心地の近傍を焼き払っていった。
無いわたしは樹々にまぎれ、ミジンコになり、風に乗り、水に溶けてにじんでいった。
水は押さえ込もうとすればするほど染み出してゆく。
「桃色に濡れた臓物が、押さえようとしてもあとからあとからはみ出してくる」ようなものだ。
わたしのチャートの連鎖はピンクのロープのように宇宙軸を取り巻いて拡散し、真に性悪な蛇になった。
517真琴:02/10/13 23:31
            §    §

「因果律の転倒則だ。<爆心地>に射影した黒衣の花嫁を磁殺したつもりが…」
「逆に、<爆心地>を発生させてしまった…」
「あそこには<根の国>まで真っ直ぐ降りる垂直な穴があります」
「その<宇宙軸>をいまや蛇が取り巻いているぞ?」
「あの一瞬現れた<鳥>はなんだったのでしょうか…」
518真琴:02/10/13 23:31
私は「大きな光景」が見たい。そして、「大きな光景」は個人の視界の限界を超える。
100億年の太陽系の多様体をその全域に渡って「支配する」とはどういうことだろう。
「NOVA警察の意思」を代表する機関なり司令官なりが、時空のどこかに存在しているのだろうか?
実は、NOVA警察自体、黒衣の花嫁がNOVAに向けて跳んだとき不期遭遇した末端の下部組織に過ぎないのではないか?
「支配する」「所有する」という言葉はどのように使用されるのか?
519真琴:02/10/13 23:31
NOVA警察を構成する「宇宙人」の形態はヒト型なのだろうか。
恐ろしく異質な存在である「宇宙人」は、地球人類に直接アクセスできないか、または、したくないのだと思う。
「宇宙人」が20〜21世紀の地球人類を「支配する」ために設置した集団がミドンさんたちであり、
ミドンさんたち自身は人間のDNAをもつヒト型の人間である。
NOVA警察は、軌道上基地にミドンさんたちを作ったまま、すっかり忘れ去ってしまった。
520真琴:02/10/13 23:31
地球人類が家畜たちをどのように扱っているかを考えれば、
「宇宙人」がミドンさんたちをどのように扱っているのかが推測できる。
たとえば、ミドンさんたちの「reproduction(=再生産、生殖)」はどのように仕組まれているのか?
――私にはいくつかの推測があるが、あまりにもおぞましいので想像したくない。
「宇宙人」はおそらくもっとも「合理的」な解決法を選んだのだ。
521真琴:02/10/13 23:31
だが、この思考は果たして妥当だろうか。
「地球人類 : 家畜たち」=「宇宙人 : ミドンさんたち」という相似関係を想定することは、
「宇宙人」の異質性を弱く見積もり過ぎているのではないか?
《「宇宙人」の考えるもっとも「合理的」な解決法》として、どのような解決法を思いつくかということにこそ、
《なにを「合理的」と考えるか》に関する私自身の思考の束縛が露呈するのではないだろうか。
522真琴:02/10/15 13:28
    
523真琴:02/10/19 00:51
            §    §

<根の国>まで真っ直ぐ降りる垂直な穴を見下ろしている。
螺旋階段がぐるぐるぐるぐると渦を巻いて降りてゆく。
――あの頃の私が反復していたいくつかの細部は、いまの私には不思議な蟲の音だ。
「昼間見ると不思議な霊を身にまとって立っておられるサンシャインは、夜歩くらしい。」
読み返して驚く極彩色の概念。こんなこと書いてたんだ、私。
524真琴:02/10/19 00:52
「サンシャインは夜歩くらしい。――昨晩からこのイメージがつきまとって離れない…」
「眉と眉の間、第三の眼が皮膚に隠れているあたりに、絶えず耳鳴りのようにぶら下がっている。」
――あの頃の私に絶えずつきまとい、いまの私が忘れ果ててさえいた観念は、
だからこそ、真の意味で<外部>から来ていた電波だったといえるのではないだろうか。
夏、サンシャイン=ディダラボッチは確かに夜歩いていたのに違いない。では、なんの為に?
525真琴:02/10/19 00:52
夜歩くサンシャインに目的があったと想定すること自体、人間の考えそうなことでしか無い。
「花はなぜ無しに咲く」という言葉を分裂病論のなかで読んだことがある。
「読み返す」ことは「黄泉カエス」ことであり、読み換えされた意味は忌むべき土地の名を召喚する。
これはフダラク渡海の一形態なのかもしれない。
そういえば「フダラク渡海」こそ、このところまったく忘れ果てていた概念だ。
526真琴:02/10/19 00:52
沖を漂う密封された箱。外から釘で密閉された箱。箱の<なか>にチャートを接続することは可能だろうか?
共同体と箱の<なか>のあいだには、凄まじいsingularityが亀裂を走らせている。
どの角度からチャートを伸ばそうとしても、箱の表面にナノメートルまでは近づけるのだが、箱の<なか>に入ることは出来なかった。
「シュレーディンガーの猫」においては、再び箱を開けて<なか>を回収することが論点になっている。
フダラク渡海の箱は二度と回収されないのだ。――おそらく、箱の<なか>には宇宙が丸ごと一個、入っている。
527月に疲れたピエロ:02/10/19 02:11
ルーマニアの音楽家ジョルジュ・エネスコ(1881-1955)
彼は「伝説に満ちた国」に生まれたことを誇りにしていた。
自分は不思議な贈り物を手にしているのだと信じていた。
それを他の人々に伝える唯一の手段が音楽であり
それが彼の人生の使命となった。
「何かが私の心で震えている、絶え間なく、昼も夜も」
楽器の震える技法は作品の随所に見られることができる。
http://www.hmv.co.jp/Product/wmaplay.asp?tn=us%2Fuswm2%2F433%2F452433%5F1%5F04%2Easx%3Fobj%3Dv20628
http://www.hmv.co.jp/Product/wmaplay.asp?tn=us%2Fuswm2%2F433%2F452433%5F1%5F06%2Easx%3Fobj%3Dv20628
528月に疲れたピエロ:02/10/21 05:50
シカトしてない?
529真琴:02/10/22 15:18
    
530真琴:02/10/23 03:05
  
531真琴:02/10/24 01:42
            §    §

富士の樹海にも<いま>は有る。いまわたしがあの樹海の散歩道にいるとしたら周囲は明かりひとつ無い真の闇で、
樹々の匂いがし、そして寒い。不思議な蟲たちが這い寄ってくる。蟲たちは闇の手探りのように、
近づいては去り、まるで渋谷の地下の河でみた奇妙な生き物たちのよう。事実、渋谷の地下の河と富士の氷穴は
地の底で通じあっているのであった。いま、富士の樹海にも<いま>が有り、行こうと思えば車なら、
あるいは理論的には歩いてでも、あの氷穴の入り口の建物まで行くことができる。車の窓の外に建物。
532真琴:02/10/27 00:54
    
533真琴:02/10/30 00:55
  
534真琴:02/10/31 01:58
  
535真琴:02/11/01 11:14
                           
536真琴:02/11/02 13:06
  
537真琴:02/11/06 06:43
  
538真琴:02/11/08 08:30
            §    §

<根の国>まで真っ直ぐ降りる垂直な穴を見下ろしている。
螺旋階段がぐるぐるぐるぐると渦を巻いて降りてゆく。
――あの頃の私が反復していたいくつかの細部は、いまの私には不思議な蟲の音だ。
「昼間見ると不思議な霊を身にまとって立っておられるサンシャインは、夜歩くらしい。」
読み返して驚く極彩色の概念。こんなこと書いてたんだ、私。
539真琴:02/11/08 08:30
「サンシャインは夜歩くらしい。――昨晩からこのイメージがつきまとって離れない…」
「眉と眉の間、第三の眼が皮膚に隠れているあたりに、絶えず耳鳴りのようにぶら下がっている。」
――あの頃の私に絶えずつきまとい、いまの私が忘れ果ててさえいた観念は、
だからこそ、真の意味で<外部>から来ていた電波だったといえるのではないだろうか。
夏、サンシャイン=ディダラボッチは確かに夜歩いていたのに違いない。では、なんの為に?
540真琴:02/11/08 08:30
夜歩くサンシャインに目的があったと想定すること自体、人間の考えそうなことでしか無い。
「花はなぜ無しに咲く」という言葉を分裂病論のなかで読んだことがある。
「読み返す」ことは「黄泉カエス」ことであり、読み換えされた意味は忌むべき土地の名を召喚する。
これはフダラク渡海の一形態なのかもしれない。
そういえば「フダラク渡海」こそ、このところまったく忘れ果てていた概念だ。
541真琴:02/11/08 08:31
沖を漂う密封された箱。外から釘で密閉された箱。箱の<なか>にチャートを接続することは可能だろうか?
共同体と箱の<なか>のあいだには、凄まじいsingularityが亀裂を走らせている。
どの角度からチャートを伸ばそうとしても、箱の表面にナノメートルまでは近づけるのだが、箱の<なか>に入ることは出来なかった。
「シュレーディンガーの猫」においては、再び箱を開けて<なか>を回収することが論点になっている。
フダラク渡海の箱は二度と回収されないのだ。――おそらく、箱の<なか>には宇宙が丸ごと一個、入っている。
542真琴:02/11/08 08:31
湾に面した駅。高架線のプラットホームが見下ろす駅前ロータリーの彼方に海を展望している。
でも、ついさっき陽が沈んだので、濃い紫の海は黒い空に溶け込んでいて境界が見えない。
黄色い街灯に背後から照らされた松の影絵だけがくっきりしている。
電車はなかなか来ない。プラットホームは風が吹き抜けて寒く、海と反対側は真っ黒い樹々で覆われた丘に塞がれている。
見えない裏側で丘にトンネルが通っていて、位置の特定できない遠くから、駆け抜けてゆく新幹線の声が聴こえてくる。
543真琴:02/11/08 09:01
斜めの道を、青いベランダにプランターが繁茂している家の前まで歩き、右折すると、
家と家の隙間でしかないような不定形の猫道に入る。
色々な料理のにおいを嗅ぎながら猫道をしばらく歩くと、やがて唐突に公園に出る。
公園の真ん中には大きな樹がひとり、坐っている。樹の傍らにブランコや滑り台があり、ベンチがある。
公園の輪郭を成すのは、アパートとか民家の裏窓である。住宅街のなかの気泡のような空間。
544真琴:02/11/08 09:15
幹線道路から左折すると幅の広い砂利道がゆるやかに坂を登り、
行き止まりまで登ると、観光バスも停車できる駐車スペースが胃袋のように広がる。
スペースの傍らに二軒の茶屋があり、氷穴の入り口事務所がある。
スペースの輪郭を成すのは金網で覆われた「林」である。金網に一箇所、遊歩道への入り口が開いている。
歩行者以外の移動機械(自動車、オートバイ、自転車…)が侵入できないよう、金属の柵が互い違いになって濾過膜を作っている。
545真琴:02/11/13 02:08
樹海のなかを行く遊歩道の傍らにぽっかりひとひとり丸くなって眠れるくらいのくぼみがくぼんでいたりする。
いまわたしがあのくぼみに横たわって冷えてゆく体温を感じながら蟲の声を聴いていることはありうることなのに、
現実のわたしはそうでなく、部屋のなかにいてこうしてこの文章を書いている。
だが、書くわたしと書かれているわたしをこのように同一化してしまうと、書いているときわたしは必ず書いているのだから、
書いているわたしのこと以外、書けなくなってしまう。――いまわたしは、あのくぼみで丸くなって凍えているのではないのか?
546真琴:02/11/13 03:00
樹海の層をなす植物たちのくぼみに丸くなって眠るわたしが夢みる夢は部屋のなかでこうしてこの文章を書いているわたしの夢、
というのではあまりにもありきたりの幻想である。凍えながら体温を失いつつあるわたしのみる夢は、
「樹海のふところで眠るわたしが部屋のなかでこの文章を書いている夢をみている」という夢だろう。
その夢からわたしが目覚めるときがあったとして、目覚めたわたしの目の前に展開する状景はどんな状景なのだろう…?
――そういうことを考えながら眠るわたしの耳に蟲の声が囁く。もう、起きなさい、と。
547真琴:02/11/13 03:33
夜、太陽のあかりがなくなると空間は闇で満たされ、富士山もその姿を消す。
すると宙に見知らぬ星座が道を作る。それは登山道に沿って山小屋の灯が描く道なのだ。
みっつ、並んで星が瞬くのは、窓がみっつある山小屋なのだろう。
もし、いまわたしがあの山小屋にいれば、下界に点々とともる淋しい街の灯を見下ろしながら、
暗く寒い山の大気のなかに貧相な小屋のみっつの窓を頼もしく振り返るのだろうか…?
548:02/11/14 13:02
549真琴:02/11/16 13:01
     
55035:02/11/18 17:18
零、ここだよここ
ここがウワサの凄い場所だ           
551真琴:02/11/19 00:10
            §    §

池袋駅の丸い柱には水槽が埋め込まれていて、そのなかに魚が飼われている。
柱と柱は空間を隔てており、こちらの柱の魚と、あちらの柱の魚は、眼を見交わすことが出来たとしても、
同じ水のなかを泳ぐことは出来ない。――有限の水の時空に生きる魚(うを)、わたしが軌道上の衛星都市を訪れたとき、
ふと思い浮かべたのはこの状景だった。望遠鏡の視野のなか、彼方に窓が見える。
宇宙空間を隔てた向こうに窓が見え、窓のなかでは家族が団欒を楽しんでいる。窓の背後は星を撒き散らした無。
552真琴:02/11/19 00:30
NOVA族たちが放棄した機械は軌道上で「雑草」として繁茂し、増殖を続けている。
<外部>に向けてつねに「フロンティア」を開拓する資本制は、
遺棄されそしていまも成長し続けている衛星都市を、科学的な解明を待たずに商品化した。
富士の樹海の地下に開かれた穴が衛星都市に通じているのだった。
新宿から高速バスに乗り、河口湖からマイクロバスに乗って樹海駅に着くと、あとは歩いて軌道上まで飛べる。
553真琴:02/11/19 00:45
樹海のなかに風穴や氷穴のような溶岩洞窟があり、それが衛星都市への回廊になっている。
衛星都市までは歩いて飛べるが、この場合、位置エネルギーをまかなうのは運動エネルギーではなく、貨幣なのだ。
歩いて行ける軌道上までの距離は貨幣によって井戸型のポテンシャルを作っている。
わたしが、NOVA族たちの時空理論を解明する研究者として国連の費用で軌道上まで歩くときにも、
衛星都市開発事業団は、さいたま市の一年間の予算に匹敵するほどの貨幣を要求した。
554真琴:02/11/19 01:19
階段を降りてゆく途中で空気の層が変わり、冷たくなる。溶岩洞窟のなかは氷でおおわれ、つららが垂れ下がっている。
風穴の奥は旧時代に利用された天然冷蔵庫であり、行き止まりの先にはさらに小さな穴が続いていて、看板が掲示されていた。
――これより先の岩壁に青白くついた光るモノは珪酸華と言われ、洞窟に棲む眼の無い微生物の餌になるものです。
このような一面に銀色の反射を見せるところは珍しいといわれています。
この奥は人間の侵入が許されておりませんので、柵を回りお進み下さい。
555真琴:02/11/19 01:19
四つんばいに近い格好で洞窟を進むと、いきなり病院の待合室のような無機質な白い部屋に出る。
現代の病院にはむしろそのような無神経な待合室は少ないと思うが、「病院」という言葉のもつ連想域のなかには、
そのような待合室がいくらでもある。――そこはもう、衛星都市だった。
壁一面の窓が、白い渦が巻く、青く丸い球を見下ろしている。
大洋のかたわらに小さな列島が見え、さっきまでわたしが洞窟を這っていた大地が遥か下に遠かった。
556真琴:02/11/19 12:44
衛星都市の名はフダラクといった。
到達不能点を表す名を、軌道上にあるとはいえ、容易にたどり着ける場所につけるのはどうなのだろう。
補陀落山(ふだらくせん)とは観音菩薩の浄土のことで、サンスクリットのポータラカPotalakaの音訳である。
陀羅尼集経の注では、「海島という」とされ、海中の島のように印象づけられている。
チベットでは観音の化身とされるダライ・ラマの宮殿がポタラ宮と名づけられた。
557真琴:02/11/19 12:44
――やあやあ、東京からよくお越しになった。
東京大学大学院新領域創生科学研究科衛星都市研究分室分室長の首猛夫(くびたけお)がニヤニヤ笑いながら出迎えに来る。
かたわらに控える葬儀屋のような雰囲気の男が黙ってお辞儀をする。
――こちらは、衛星都市開発事業団の矢場徹吾(やばてつご)さん、フダラクの市長さんです。
衛星都市開発事業団の登記は脱領土化している。ここは私企業であると同時に国連下部組織でもあり、かつ、国家なのだ。
558真琴:02/11/19 12:44
(つまりは、無法地帯ということ…)
わたしはニコニコ微笑みながらどうかよろしくとお辞儀した。首猛夫氏とじかに会うのは初めてである。
――「東京からよくお越しになった」もなにも、新宿からバスを乗り継いで、樹海の溶岩洞窟を100mほど這っただけだ。
富士急ハイランドでFUJIYAMAに乗るほどのG(=重力)も体験していない。
一瞬、衛星都市フダラクとは、樹海の地下に作られたパノラマなのではないかという疑いがきざす。新横浜のラーメン博物館みたいな。
559真琴:02/11/19 12:44
わたしの専門は形而上物理学であり、英語で言えば、metaphysical physicsという、とんでもなく矛盾した名をもつ学問である。
「同一カオスに対する多重コスモス場の理論」とは、一言で言えば「モナド論的な統一理論」だといえる。
相対論と量子論の矛盾を解決するために、20世紀後半の理論物理学者たちは、いくつもの「統一理論」を製作してきた。
だが、そういった理論たちは、いずれも「客観宇宙」の記述を目差したものである。
アルジャーノン博士が新聞広告の裏に走り書きした47行のメモから始まる「多重コスモス場の理論」は、「主観性」の物理学といえる。
560真琴:02/11/22 13:21
茶室のにじり口のように、白い部屋の床近く開いている溶岩洞窟の穴。そして、窓にひろがる青い惑星…
あの惑星の樹海の地下に、いま目の前にあるこの穴が通じているのだ。専門家とはいえ、実体験するのは初めてだった。
矢場徹吾氏が癖らしい素早い足取りでにじり口に歩み寄り、壁に携帯ID機器を向けてボタンを押すと、
音も無くシャッターが下りてきて、穴を塞ぐ。シャッターの見掛けは壁と同じなので、もはやただの壁と全く区別がつかない。
――衛星都市フダラクへようこそ。葬儀屋のような市長が口を開く。
561真琴:02/11/22 13:21
言うまでもなく、衛星都市フダラクは、いわゆる宇宙空間に浮いています。最外周の壁の外は、いわゆる真空です。
もちろん、あなたの場合、物理世界の「冷たい方程式」はよくご存知でしょう。
太陽系に対するフダラクの運動は、「魔法」ではなく、厳密にニュートン力学にしたがっており、しかも、
溶岩洞窟をくぐることのあまりの簡単さにもかかわらず、フダラクのエコロジーは、基本的には閉鎖系を目差しているのです。
洞窟を通して大量の物資を運ぶことが形而上物理学的に危険視されているからです。――失礼、釈迦に説法でしたね。
562真琴:02/11/22 13:21
彼の「失言」は、わたしを軽視してうっかり口をついたものではなく、
職務として言うべきことを言っておく必要上、折込済みのもののようだった。
――ともあれ、というわけで、まずは入国検疫を受けていただきます。
そう言いながら市長が携帯ID機器を窓に向けてボタンを押すと、窓の映像が死んだ。首猛夫がニヤニヤ笑っている。
窓から見える地球は、リアルタイム映像だったのかも知れないが、いわゆる実像ではなく、デジタル映像だったのである。
563真琴:02/11/22 13:21
NOVA族は、通常時空における直接的な重力制御は実現していない。
遠心力による擬似重力を発生している衛星都市で、静止した地球を窓の外にじかに見ることは不可能だ。
無意識の底ではわたしも、窓の外の惑星が虚像であることを知っていたはずだが、
穴をくぐる旅の異常さのせいで、意識的な理解はしていなかった。樹海から階段を降りて溶岩洞窟をくぐり、
白い部屋に出ると青い惑星が出迎える…  それは衛星都市フダラクの最初の罠だった。
564真琴:02/11/23 13:22
(嘘を嘘と見抜けるようでないと、衛星都市フダラクでの生活は難しい…)
壁の下部に開口した溶岩洞窟のにじり口が消え、窓の向こうに展開する青い地球の眺望も死に、殺風景な白い部屋だけが残った。
エアロックに向かって歩く矢場徹吾と首猛夫の後ろ姿を見ながら、このふたりも消えるのかな…?  とか思っていたら、
ほんとうにそうなったので、笑ってしまった。――エアロックの前で矢場氏が首氏に携帯ID機器を向ける。ボタンを押すと、
首氏は足元からゆっくりゆっくりと消えてゆき、ニヤニヤ笑う首だけが残る。最後に首が消えた後も、ニヤニヤ笑いだけは空中に残っている。
565真琴:02/11/23 13:23
――では、市長執務室でお待ちしております。フダラク市のユーモアをご理解いただき、幸いです。
そう言うと矢場徹吾は一礼し、携帯ID機器を自分に向けてボタンを押す。         
あとには白い部屋だけが残ると同時に、わたしは今度こそ現在位置の感覚を喪失する。
ここは宇宙空間に浮かぶ衛星都市フダラクの門なのか、それとも富士山の樹海の地下に作られたパノラマなのか、
あるいはわたしひとりが暮らす精神病院の個室なのだろうか…?  ――わたしはエアロックを抜けて、フダラク市に入国する。
566真琴:02/11/29 01:37
 
567真琴:02/11/30 05:49
            §    §

石段を一歩一歩登っている。住宅街のなかの小高い丘は樹々に覆われていて、石段を登ると丘のうえには寺がある。
江戸時代、工期の遅れの責任をとって役人が切腹したという涙石を越え、半分くらい登った所で街を振り返って見下ろすと、
石段のふもとから真っ直ぐに伸びた参道が住宅街のなかを彼方へと去ってゆく。
これを「大門通り」という。――地図上で見る大門通りは、厳密に南北を結ぶ直線である。
大門通りは国道に開口しており、国道から石段までを真っ直ぐに結んでいる。
568真琴:02/11/30 05:50
市長執務室の窓から見下ろす風景のなかで、
様々な建造物からなる街をつらぬいて一本の道が真っ直ぐに彼方へと走っている。
――あれはダイモン通りというのですよ。フダラクのメインストリートです。
だが、円筒状の衛星都市フダラクは、硬い皮にこそ「実(み)」がある果物だ。
厚く硬い皮は7層に渡って細胞のような小部屋たちを並べ、市長執務室は皮の内側表面の「大地」を見下ろしている。
569真琴:02/12/01 20:27
 
570真琴:02/12/05 02:47
 
571真琴:02/12/06 12:37
駅の、幅が広い階段のうえに立ったわたしは、バスが群れる駅前のロータリーを見渡す。
壺のなかで薬をこねるように絶えず右巻きに旋回する、バスやタクシーやその他の車たちの群れ。
わたしは一瞬なにかを思い出しそうになるが、水槽の映像は一瞬で掻き消え、わたしは階段を降り始める。
階段を降りると、小学校の門の前の路上にいる。門は改修工事をされていて、
「みんなの花だん」のすぐ脇にブルドーザーが斜めに傾いてとまっている。擬態する昆蟲のよう。
572真琴:02/12/06 12:52
ロータリーのまわりを左巻きに歩く。大きな直方体の建築物が立っていて、これは大規模小売店である。
大規模小売店に入らず、右に曲がり、ロータリーから離れる方角に歩く。
道の両側のビルの、上のほうの階には、歯科医とか、ステーキ屋とか、その他さまざまなオフィスや店舗が入っているが、
地上に口を開いた部分は、ミスドだったり、スターバックスだったりする。
5階建てのビルの2階までを占める書店がある。書店に入る。
573真琴:02/12/06 13:12
書店の5階には、航宙ギルドの「水槽の間」へのチャートが開口している。
旅行ガイドを立ち読みしてるうちに、温泉旅館に跳びそうになる。
温泉旅館の建築は、建て増しに建て増しを重ねた複雑な迷路になっていて、
本館の入り口から新館の5階まで行くには、ロビーのエレヴェータで2階まで上がって、
連絡通路を渡らなければならない。連絡通路のこちら側は新館の3階に接続している。
574真琴:02/12/06 13:39
黒い森を散歩する。遊歩道を抜けて崖の縁まで歩く。
崖は壺のような地形を取り囲んでいて、見下ろすと遥か崖下の遠くの方に白い道が走っている。
白い道はあきらかにアスファルトで舗装されており、猫車が一台、それが放置されたその場所に首をかしげて佇んでいる。
樹々に隠され、道の始まりも終わりも見えない。
崖下まで降りる方法もわからない。
575真琴:02/12/06 13:58
書店を出ると、道を進み、左に曲がって小さな坂を登る。
左右に大きな直方体が一個づつ置いてあるのは、大規模小売店とシティホテルである。
そのあいだの洒落たタイルの路を登り、国道に出る。
この国道に沿って左に3cmくらい移動した場所に大門通りが開口している。
定規のように細かい刻み目が入った尺取蟲が、樹の枝のうえを物凄い速度で移動している。
576真琴:02/12/07 04:39
 
577真琴:02/12/08 00:18
  
578真琴:02/12/12 11:57
579真琴:02/12/13 14:59
 
アイムボブサップ!!
581真琴:02/12/17 08:06
 
582花子 ◆8H4p1inpoA :02/12/17 13:36
はい、お疲れさまでしたー
583真琴:02/12/20 22:32
 
584 :02/12/21 01:14
真琴
585 :02/12/21 01:15

真琴
586真琴:02/12/23 03:38
 
587真琴:02/12/23 09:38
 
588真琴:02/12/26 01:42
 
589真琴:02/12/27 23:41
            §    §

蛇行する河を眺めながら堤のうえを上流に向かって歩いている。
遠く前方では、丘が指を下ろしたみたいに河に突き出していて、その蔭から浄水場の取水塔が顔を出している。
ふと浄水場の濾過機をイメージすると、大量の植物性プランクトンが、つまりは微細な藻が、
ねっとりとこびりついて網の目をつぶしているのが見える。
血のように紅い藻が、緑色の藻に混ざって蜘蛛の巣のような模様を描いている。
590真琴:02/12/27 23:49
取水塔が河の水を飲む口に、ちいさな直方体の箱がひとつ引っ掛かって、いつまでも黒い波に揺動している。
ちいさな箱はフダラク渡海の舟であり、時空を跳ぶうちにこの形態へと変貌したのだと分かる。
箱を拾いにあの水面まで降りる階段を降りると、コンクリートのわずかな浜の際まで、
黒い波が絶えず寄せては返し、返しては寄せている。
取水塔の口までの2mの距離は、見ることはできるけど手の届かない距離。断絶した時空。
591真琴:02/12/28 00:11
踏み切りが甲高い声で鳴いている。竹の棒で遮断された線路の時空にあと1m踏み込めば、
轟音とともに突進してくる快速に突き飛ばされ、わたしの躰はバラバラに壊される。
1mを歩くことはいつでも可能なのに、この1mを歩くことができないのはなぜか…?
――そして瞬間が通り過ぎ、わたしの躰からわずか1m前方の時空を物凄い音とともにもののけのような獣が駆け抜けてゆく。
獣は赤と緑に塗り分けられたカナブンのような車体をしている。
592真琴:02/12/28 00:24
切断された腕は眼の前にあるのに神経が繋がっていないだけのことで<わたし>の意思で動かすことができない。
腕を動かそうとする意思は腕のない躰のなかでもがき、いくらもがいても眼の前の腕は動かない。
いくらもがいても腕が動かないので、それなら窓の向こうの樹を揺らしてみようと思った。
一心に樹を揺すぶる。動け、動け。
すると樹が風に大きく揺れて、鳥が羽ばたいて空に飛び去っていった。
593真琴:02/12/28 00:41
気がつくと西の空に富士山が歩いてきていた。
黴のように広がる平たい街の彼方に富士山が静かに立っている。
夜が来るとサンシャインが歩き始める。
サンシャインは直方体の箱であり、そのなかには無数の細胞が扉を開けていて、どの扉も墓のようであり、
しかも埋葬された骨壷のなかには一つづつ惑星が封じられている。
594真琴:02/12/28 00:55
コンクリートの浜の際から河の水のうえに一歩踏み出す。たぶん、歩ける気がする。
いきなり重力に足を引かれ、わたしは黒い波のなかに落ちる。
河には底がなく、わたしは黒い波に抱きすくめられ、呼吸するたびに水が喉をふさぐ。
気がつくとわたしは河のうえを歩いている。
向こう岸にたどり着いて、振り返って残してきた岸辺の取水塔を見ると、口元で直方体の箱がまだ揺動している。
595真琴:02/12/28 01:13
珈琲屋さんとコンビニエンスストアを結ぶいつもの道を、コンビニエンスストアに向かって歩くわたしの前方から半月が見てる。
丘のうえ、片目を開けて。――しばらくしたある日、コンビニエンスストアと珈琲屋さんを結ぶいつもの道を、
珈琲屋さんに向かって歩くわたしの前方から半月が覗いているので驚く。
上弦の月と下弦の月が交替したのだ。
宇宙空間が街角でわたしを不意打ちにする。
596真琴:02/12/30 21:56
            §    §

蛇行する河の腹は地面をこすりながらえぐってゆく。
水の躰が地面に吸い込まれもせず、むしろ地面をえぐりながら、蛇行し、海を目差す。
蛇の背中のうえを歩きながら平均台みたいによろめいてると、躰のどっかでざわめいてる未来をそっと感じる。
岸辺は遠く、大気は明るいのにいまは深夜だ。
昇り始めた下弦の月が丘のうえから皮肉なウインクをおくってくる。
597真琴:02/12/30 22:05
気がつくとわたしは取水塔の口が水を呑むのをコンクリートの狭い浜に立っていつまでも眺めている。
口は飽きもせず黒い水を呑み続け、鉄の柵に引っ掛かったちいさな直方体の箱もいつまでも波に揺れている。
よく見るとでこぼこな魚たちが箱のまわりに群れ、宇宙船の接続チューブみたいな口で箱をつついている。
河を泳ぐこの魚たちはまるで深海魚のように見える。
深海魚は大きな眼を持っているか、または眼をまったく持っていない。
598真琴:02/12/30 22:24
わたしは波立つ黒い水を隔てて2m前方にあるあの箱を手にとりたい。――そうだ、蟲網だ。
わたしは夜の空に舞い上がり、寝静まった街の夜景を上空から眺める。
街路灯がビーズ飾りのように夜の街のドレスをいろどっている。
夏休みに買った蟲網をドアの外に立て掛けているこどものいる家は…
わたしは街の視覚像をスキャンし、ひとつのアパートを見つけた。古ぼけたアパートは住宅街の奥に年老いた猫のようにうずくまっていた。
599真琴:02/12/30 23:02
アスファルトで舗装された路地の真ん中に大きな樹が居座っている。
細い路地は樹を囲んで不意に正方形の広場になっていて、そのさまは動脈瘤のようだ。
歪んだ正方形の辺を成す家々はみな古く、ヒトが棲んでいる気配がしない。
正方形の一辺は古ぼけたアパートのブロック塀であり、2階建てのアパートには汚れたドアが並んでいる。
2階の3番目のドアの横に蟲網が立て掛けてある。
600真琴:02/12/30 23:16
わたしはこのアパートが恐い。ここは何かとても恐ろしい場所だと感じる。
――気がつくとわたしはアパートのブロック塀の内側に入っている。
ドアの数と同じ数だけ長方形に並んだ郵便受けの赤いペンキは剥がれかかっている。
いくつかの郵便受けには名前があり、いくつかの郵便受けには名前がない。
どの郵便受けにもダイレクトメールとか、あるいは本物の手紙が刺さっていて、でもどの紙も腐り、しなびている。
601真琴:02/12/30 23:51
恐くてたまらないのにわたしは鉄の階段を登っている。一歩登るごとに不用意な靴音がコツーンと夜の闇に響く。
2階から鍵をあけドアをひらく音が聴こえてくる。
わたしは震え上がって階段のうえの闇を見つめる。アパートの側面を登る階段と2階の廊下は直角なので、もちろん何も見えない。
聴こえる。確かに2階のどこかの部屋のドアがひらき、誰かが何かをしている。
こわい。階段の途中でわたしは身動きができない。
602真琴:02/12/31 00:04
アパートの側面を登る階段の途中で左を見ると歪んだ正方形の動脈瘤の中央に大きな樹が居座ってるのが見えるはず。
そして、樹の傍らからアパートを見れば階段の途中で凍りついているわたしと2階の様子が同時に見えるはずでしょ。
仮にそんな観察者がいたとしたら、考えて御覧、階段の途中で凍りついているわたしのほうがよっぽど気味悪いよ…?
あるいは滑稽。
――そんな考えを掻き立てて、何とか事態をありふれた次元で納得しようとする。
603真琴:02/12/31 00:37
2階の廊下からは何か重たい機械を部屋から引きずり出すような音が聴こえてきた。
床を引きずる音。機械の部品たちが絶えずカチャカチャなる音。引きずっているヒトの靴音。
恐怖に凍りついたわたしは身動きができず、視界が熱い。呼吸の音や心臓の鼓動さえ2階まで響く気がする。
――そして眼の縁でわたしは見た、歪んだ正方形の動脈瘤の中央で、樹の傍らにも誰かが立っている!
でもわたしは眼を左に向けることができない。首を動かす音はたぶん確実に2階まで響くから。
ほんとうにそんなことでいいのか?お前は?
605真琴:03/01/03 07:48
 
606josh:03/01/03 20:41
http://6327.teacup.com/josh3jpn/bbs

此方は聖書でデートするコーナー。心と霊なら恋人付き合いOKですよ。そしてこのデートは天国への巡礼のフルコースです。しかも、これは結婚している人でも可能です。みなさん、よろしければ参加してください。
私と一緒でしたら天使のところまで行きつけるんです。「御使いたちに携えられてアブラハムの懐に入れり」と書いてあります。
ですから私は本当はメールの中だけではなく霊の中で一人でも多くの方とファミリーになりたいです。これが私の願いです。私のは望みが大きいのです。永遠の自由を望んでいるためです。
607山崎渉:03/01/05 04:06
(^^)
608 :03/01/05 06:18
 
609真琴:03/01/07 22:50
 
610真琴:03/01/11 00:05
  
611真琴:03/01/14 17:16
 
612山崎渉
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|書き込む| 名前: | 山崎渉         .| E-mail(省略可): .|(^^)         |
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        (  ^^ ) / < 名前欄に「山崎渉」、メール欄に「(^^)」って書けば
        (つ  つ    | キミも今日から山崎渉です(^^)
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|   \_____________________
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