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本職:
あのね。
今回の一連の時効起算点判決の中に、最判平成21年3月3日(平成20(受)543)っていうのがあってね、
その事件の主文は、
1 原判決を次を次のとおり変更する。
(1)第1審判決を取り消す。
(2)被上告人は,上告人に対し,635万8798円及びうち633万2772円に対する平成18
年10月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟の総費用は被上告人の負担とする。
となってるわけですよ。
この事件は、一審、二審とも借主が負けて、最高裁でやっと勝った事件なんですね。
で、何が言いたいかというと、この事件は破棄自判といって、最高裁は、最終的な解決のため、事件を
高裁に差し戻すのではなく、高裁で認定された事実を基に、自分で法律を適用して判決を言い渡した。
繰り返しますが、この事件は、一審、二審とも借主が負けてるから、最高裁以外に、「プロミスは,借主に
対し,635万8798円及びうち633万2772円に対する平成18 年10月4日から支払済みまで年5分
の割合による金員を支払え。」という判断をした裁判所はない。最高裁は、高裁判決で認定された取引
履歴と、貸金業者は悪意の利得者であるという事実に対して、自分で計算して判決を言い渡したと言える
わけです(充当計算は事実認定の問題でなく、法の適用の問題なんでしょうね)。
それで、この事件で、借主の過払金が最高裁の主文どおりになる計算は、取引の終了時から利息が発生
するという計算じゃなくて、過払金の発生時から利息が発生するという計算なわけです。で、なんども繰り返し
ますが、この計算は、地裁や高裁が計算したのを承認したものではなくて、最高裁が自分で計算したもの
なんです。最高裁は、過払金発生時から利息が発生すると解しているわけです。
この事件の原審である名古屋高判平成19年12月27日(平成19(ネ)630)は、金融商事判例が、最高裁判決に
ついてはその一審から判決を掲載する方針なので、それに載るのを期待するか、あとは兵庫県弁護士会HPに
載るのを待つしかないでしょうね。