1 :
D:
とりあえず登場人物紹介
【拓也】
某私立大学2年生。理系で機械工学を専攻。西船橋の実家から
通学している。
最近になって淳二の影響でデジカメに興味が出てきた。
【涼子】
某私立短大1年生。文系。ライター希望で最近はPC系雑誌に
アルバイトでエッセイを書いてちょっとした人気になっている。
ただし写真の知識はあまりなし。
秋田から上京してきてまだ日が浅く、明るく活発な性格ながら
まだ友達は同級生の響子と他数人だけ。
【淳二】
拓也の幼なじみで同じ大学。
PCは自作機数台所有のパワーユーザー。
新しいもの好きで、当然デジカメにもハマっている。
アルバイト仲間の淳子に少し惹かれている。
【響子】
成城に住むお嬢様。家は金持ちだがもっと自由に生活がした
いと親の反対を押し切って短大に進学。現在一人暮らし。
大人しい性格だが、涼子と一緒にいると積極的になれるので
よく一緒に行動をする。
1の姿を想像しつつ2get!
3 :
D:03/04/19 03:57 ID:Jh9HXdCM
拓也は少し早足で涼子のアパートに向かっていた。
もう4月なので夕方6時過ぎでもまだ薄暗い程度で、1日が延びた実
感がある。
涼子はGWにどこか旅行に行くのだろうか?もう遅いかもしれないが、
一緒に遊ぶ約束をしようかな。拓也は心の中でつぶやいた。
そうこうしている内に涼子のアパートの前までついた。
人がいる気配がなく、涼子を呼んでも返事がない。
どうしたのだろう、と思って玄関のドアに手をかけると鍵はかか
っていないようだ。ドアを開けて中に入ると部屋は薄暗く、奥の方
で何かが光っている。
IXY Digitalが机の上に置いてあった。光っていたのはこのIXYの
の液晶のバックライトだった。
淳二がもっていた物を涼子に貸し出している物らしい。
涼子のエッセイはPC系HPでちょっとした人気になっている。
そこにアップされている写真はこのカメラで撮影されている。
淳二は飽きっぽいので新しいデジカメを買うとすぐ人に貸し出す
癖がある。貸し出すと言っても淳二は二度と使う事はないので実際
は譲っているのと同じ事だが・・・
そんな事もあって淳二にはデジカメやPC関係の友達が多い。
淳二も友達から譲り受ける事もあるので、持ちつ持たれつである。
【拓也】も【涼子】も【淳二】も【響子】も、全て
西船橋在住の
>>1の妄想でした。
おしまい
5 :
D:03/04/19 03:57 ID:Jh9HXdCM
机にはIXYに照らされて涼子が腕を枕にしてうつぶせている。
原稿を書いている途中で寝てしまったのかな、と思い拓也は涼子
を起こそうとした。
「おい、涼子。起きろよ。」
涼子の肩を軽く叩き体を揺すると、涼子の体はドサリと床に崩れ
落ちた。
「おいおい、まったく・・・」
涼子の体を起こそうと涼子の手を引き上げようとしたとき、拓也
はギョッとした。
涼子の手は氷の様に冷たくなっていた。不気味な冷たさである。
「おい!おい!涼子!!」
拓也は涼子の両肩を抱きかかえ、激しく揺すった。
まるで力の抜けた涼子の体はズシリと重い。拓也は涼子の口元に
自分の頬を近づけた。何も感じない。涼子は息をしていない・・・
「まさか・・・」
拓也は涼子の冷たくなった腕をとり袖をまくり、脈を調べた。
そして今、目の前で何が起きているのかを悟った。
「涼子は死んでいる・・・」
つづく
スレタイを見て「オッ!」っと思ったが、なんかめんどくさそうだな
春は
>>1みたいな基地が必死で糞スレたてるな。
拓也と涼子だってよ。プププ馬鹿杉
10 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/20 01:27 ID:RhCWZpHj
拓也は涼子のIXYを手に取り、画像を再生してみた。
電池残量が切れかかっている警告が出ている。
浜辺の写真、近所の喫茶店の写真、きっとエッセイで使うために
撮っておいたものだろう。
画像を一コマずつ再生していく拓也。
十数枚再生したところで拓也は驚愕した。
そこに写っていたものとは・・・・?
つづく
何やねんこのスレ
12 :
山崎渉:03/04/20 04:43 ID:Bwvrjs0S
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
13 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/22 01:08 ID:Pr6V22eL
age
14 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 02:27 ID:GX8avuvH
拓也は最近だらけた生活を送っていた性か二十歳の誕生日を
待たずして少々腹が出てきた。
ちょっと玄関で靴を履くときに息苦しくなった。
…困ったな…
その日拓也は風呂場で垢すりで泡立てたボディーシャンプーに
まみれた自分の腹を見て長嘆息した。
ボリュームが増しているだけでなく、心なしか体毛も濃くなった
ようだ。脛や腿だけでは無い、腹に細かな黒い体毛が一面に
生えている。
良く観てみるとその「毛」はヘソの穴を頂点として上下左右に
毛先が向いている。
…タヌキの腹だな…
そう拓也はひとりごちた。
…いや、言いたか無いが、これは豚の腹だ…
拓也の体を洗う動作は気分と共に自然重く、のったりとしたペー
スになって来る。
…剃るか…
拓也はゆっくりと、いやのったりと風呂場のタイルの壁に片方の
吸着盤が馬鹿になった水が下に抜けるような構造のプラスチック
製の風呂場用の小物ラックから自分の髭剃りを取り上げた。
それは、格闘技のスキンヘッドの頭の男がTVで宣伝している
有名な髭剃りで、拓也の買ったものは持ち手が赤い色で成型
されていた。
15 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 03:07 ID:GX8avuvH
拓也がその髭剃りを気に入ったのは、TVの影響と言うよりも、
キャンペーンパック商品としてコンビニで売っていたその髭剃り
を、旅先で買ったとき、刃先にはめ込むことが出来る脱着式の
カバーが付いていたからだ。
拓也は高校時代から旅行好きで、良く信州や東北に夏休みには
輪行に行った。高校三年の受験の天王山である夏休みも、一週
間だけ「気分転換」と称して日光に行って来た。
その旅先で旅費に余裕が出来た終盤、たまには畳の上で寛ぎ
たいと思ったので廉価そうな民宿を何件か訪ねたが、どういう
わけか皆断られた。
よくよく理由を考えてみると、少年である自分が無精髭を伸ばし
ているのは傍目には少々剣呑である。
で、仕方がないから髭剃りを買った。
その髭剃りは気に入ったので旅行用と自宅用に同じ銘柄を買
った。色も同じ赤である。
16 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 03:07 ID:GX8avuvH
…変な夢を観たな…
拓也は昨日の夜観た夢を思い出した。
涼子が死んだ。
変な夢である。
涼子とは拓也と淳二、他のいつもの大学の友人連中で冬休み
に八方尾根にボードをやりにいった時に遇った。
拓也たちは新宿発のスキーバスで信じがたい位格安のパック
旅行で出掛けていたが、涼子とその友人の響子という女の子
は有名なホテルに泊まっていた。
拓也たちは民宿で、よりによってスキー競技大会のコース設営
に駆り出された自衛官達が同宿だった。
自衛官に付いては特段の偏見は無いが、風呂で一緒になった
時、その背中のでかさに肝を潰した。考えてみれば連中は年柄
年中体を鍛えておくのも重要な職業の一端なので、その隆々た
る筋肉は驚くには値しないのかもしれないが、その国家公務員
達が押しなべて無口で、食事の時も談笑するわけでも無く、何か
押し黙ったその精神の底になんだかある種の不気味さを勝手に
想像させるものが有った事は否定しない。
17 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 03:20 ID:m4Us7XKF
( ゚Д゚)
18 :
bloom:03/04/23 03:21 ID:S04MoPHc
19 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 03:36 ID:GX8avuvH
…そうだ
拓也は少し考えると、髭剃りをラックに戻し体の泡をシャワーで流した。
春まだ浅い。脱衣所で手早くバスタオルで体を拭くと、まだ水気の残る
裸足のまま、廊下をぺたぺたと歩き階段を昇ると自分の部屋の横の
物置部屋の電気を点けた。和室である。
本来は来客用の寝室を兼ねた空き部屋であったが、大学に入り、
趣味の道具や衣服も増えてきた。母親はいい顔をしないが結果
そこは拓也の物置になった。6畳間である。
部屋の壁を差し渡した物干し竿の伸縮式のポールに、冬物の
ダウンパーカーや厳冬期用のアウトドアジャケットや自転車旅行
に使うノースフェイスの雨合羽が掛けて有る。季節はお構いなしで、
主に比較的重い冬物が多く掛けられているそのポールは見事に
たわんでいる。下手に体の一部を衣類に引っ掛けたりすると、
それは張力の限界を越え、一斉に衣類がどさどさとプラスティック
製のゴザで保護された畳の上に落ちてくる。
…そろそろクリーニングださんとな…
淡いミルク色の表地のダウン・パーカーは袖口やポケット周りが
うす黒く汚れている。これはアウトドア用でなく街着なので気に
なる。
拓也は衣類を掛けたポールの奥の、衣装ダンスの前にだらしなく
放り出してあるミレーのザックから、赤いGV-10を取り出した。
髭剃りと言いカメラと言い、拓也はすこし、赤が好きなのかもし
れない。
20 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 04:03 ID:GX8avuvH
「ニッスイ?」
淳二からそのカメラを渡された時、思わず拓也はそう聞き返して
しまった。てっきりそういう形状の特殊な電池が在り、それは
多分、ソーセージのような形をしているのかと思ったからだ。
「電池…ニッ水じゃないと、もたないよ。そいつ四本も入ってるの
に結構電池食うんだ…レンズ駆動部も無いのになあ」
拓也の旅行好きは淳二も高校時代から知っていたが、旅行の
写真は使い捨てのフィルムカメラが殆どで、理系志望でパソコン
も待っている癖に旧型の中古スキャナーしか持っていない拓也
に、「入学記念」と言ってその防水デジタル・カメラを渡してくれた
ときの注意事項である。
新し物好きの淳二が早速発売当初に手に入れていじっていた
お古である。安い入学記念だがデジカメを持っていなかった拓也
は有り難く受け取っておいた。
21 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 04:03 ID:GX8avuvH
淳二がそのカメラをくれたのには訳が有る。描写に癖があって
ニュートラルな絵を撮るのがいまいち難しいのだ。
ただ、空を、特に雲の有る夕景の空を撮るとそれは絶品で、そ
の独特のレンコンの輪切りのようなレンズ・フレアの写り込みと
共に、立体的な雲とコバルトブルーに演出された湾曲した空が
撮れる。
…電池まだ有るかな…
スイッチを入れた。比較的暗い液晶画面が立ち上がる。
…せっかく毛を剃るんだから記録に取っておくのもいいかも。
馬鹿だなあ、と拓也は自分でも思う。
22 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 19:08 ID:GX8avuvH
風呂場に戻るとすっかり体が冷えてしまっていた。
拓也はお湯のシャワーを首をくぐらせるように上半身に掛けた。
風呂用の椅子に座り、正面の大鏡に向かって自分の腹を観察
した。
…どうやって撮影すればいいものか…
考えていても仕方無いので、拓也はカメラを左手に持つと、
レリーズボタンに指を掛けて自分の腹に向けた。
縦位置の方がいいのかな…
カメラを右90度に傾けた。
2枚撮ってから気付いた。この距離ではマクロモードでなくては
ピントが合わないかもしれない。
再生モードにスイッチを切り替えて見てみる。拡大して観てみるが
問題は無い。不思議に思ってマクロモードに切り替えて撮ってみた。
今度はボケている。手ブレでは無い。内蔵ストロボを焚いていた。
考えてみたら海に行ったとき浜辺で拾った巻貝の写真を大学のサ
ーバーを借りて細々と公開している自分のホームページの素材に
使った時と、スノボに行ったときに針葉樹に付いた樹氷を接写した
ときくらいしかマクロモードは使っていない。
どうも自分の腹や顔を撮影するときは通常の撮影モードでいいら
しい。
23 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 19:09 ID:GX8avuvH
淳二は彼には珍しくGV-10は箱と保証書、一切合財のキットごと
くれたが、拓也はざっと取扱説明書をななめに読んだだけで、
パソコン接続用のソフト・ウェアをマシンにインストールすると箱ごと
押し入れに仕舞ってしまった。だから細かい仕様は頭に入っていない。
いまはもっぱら旅行の時のスチル写真の為の道具として使って居た。
シーンモードとかいう撮影補助の機構はスノボのとき、友達の妙技
を撮影するときに使った。
高速シャッターになるらしいモードがあるからだが、天候が悪いと
上手く撮れない場合も有る。
他は友達の(特に)女の子を撮るときにポートレートモードを使ったが、
普段は普通の撮影モードで使っている。小汚い男のニキビ面を
わざわざモードを変えて撮影するマメさは拓也には無い。
動画もスノボの友達や自分のトリックの時に使ったが、余程いい
決定的画像が撮れない限りは、友達に廻し観せて大抵その場で
消した。メモリを食うからである。でも、その失敗動画や失敗トリック
を廻し観するのは結構楽しい。
24 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 20:01 ID:GX8avuvH
涼子と出会ったのは、そのスノボ用のパイプの順番待ちをして
いるときで、なにかやたら元気がいいが、言葉のイントネーション
に独特なくぐもったような響きを持った嬌声を発している女の子が
パイプの手前のスタートラインの雪で盛り上げられた角に立って
居た。
…トーホクかよ…
涼子の東北弁はいやなものでは無かったが、その場では目を
惹いた。純朴そうと言えば純朴そうだが、なにかやたら元気がいい。
観てみると小柄な女の子がもこもこと淡いピンクのボードウエア
を着込んでパイプの中を疾走するボーダーに対して手を叩いたり、
写真を撮っていた。
元気のいい娘だなあ…
正直な感想である。
良く観察してみると、その小柄な女の子の後ろにひっそりと隠れる
ようにして、サングラスと外国の特殊空挺部隊の制服のようなベレ
ー帽を被ったもうひとりの女の子が居た。
友人(らしい)小柄な女の子の元気の良い声援には関心が無さそうに、
傍らに脱いだボードを雪面に立て刺して、立っていた。
25 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 20:01 ID:GX8avuvH
こちらはなかなかウェアを着込んだ外観から想像しても、なかなか
のナイス・バディらしい。もうひとりの東北弁とは好対照である。
身に付いたものなのか意識的なものなのか知らないが、軽く片方の
膝を持たせかけたパニオン立ち気味のポーズで時折思い出したよう
にブーツに付いた雪を爪先を雪面に軽く蹴りたてて落とすような仕草
をしていた。彼女の濃色の日光を反射するサングラスの奥の瞳は、
何を観ているのか解らない。
ただ、頤(おとがい)を上げ、遠くの山脈を観たり、スキー場の周辺を
ゆったりと眺め回している感じである。それは、身を持て余している
風情にも、(すこし)寂しげにも観えなくはなかったが、間違いなく
優雅、とでもいうちょっと悪くない雰囲気を拓也はその彼女に感じた。
それが、出会いだった。
26 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 20:24 ID:JOvvUFvY
デジカメ物語って、
写真が一枚も出と覧。
連続ドラマ小説「ニコンちゃん」 1クール目
主な登場人物
ニコンちゃん‥‥‥‥本編の主人公。良家の令嬢でお高くとまってるふうだが、その実けっこうマヌケなところもある。ガンコで依怙地でややボケてきたお爺さんと住んでる。
とかかと思ったのに....
好きにさせといてやろうよ。
29 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 23:17 ID:GX8avuvH
毛を剃る前の腹がとりあえず撮れた事を確認すると、拓也は
見栄えがいいように髭剃り用のフォームのボトルを取り上げた。
普段、顔を身体と一緒に垢すりで泡立てたボディ・シャンプーか
石鹸で洗った際に、顔の産毛を含めて髭と余分なもみ上げの
ぽよぽよとはみ出た部分を髭剃りで剃ってしまうので、フォーム
は使うことは滅多に無い。拓也の父親も使わないと思う。
これは友達がバイト先のコンビニで貰ってきたもので、「いらない
よ」とバイト帰りに拓也の部屋に遊びにきたとき置いていった物
だ。新製品の試供品とか言っていた。
用途としては、朝、時間が無くて前夜風呂に入れなかったときに
とりあえず髭を剃る為に何回か使った。
結局はトイレの前の洗面所でそこに通常は置いてあるキャンプ
用の今手にしている物と同じ製品の髭剃りで洗顔フォームを使
って顔を洗うついでに剃ることが多くなった。
30 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/23 23:17 ID:GX8avuvH
最近使っていない、前回使った記憶は曖昧で、その髭剃りフォ
ームのアルミ缶に付いているプラスティック製の口は、乾いて
がりがりになったフォームの成分がこびりついていた。
…から、からからから。
振ってみると始めは鈍い金属球の音がした。中身が変質した
のか粘性が高くなっているようである。しばらくボトルを上下に
振っていると段々景気のいい音響になってきた。
ボトルからフォームを手に取ろうとして、プラスティックのトリガ
ーを押したが出てこない。ぷしゅー…という気体の漏れる音が
するだけである。
気が付いた拓也は、缶を逆さにして口に詰まった固化した成分
を吹き抜かせた。
随分下手糞だな。
面白くもなんとも無い。中学生の作文ですか?
32 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/24 21:24 ID:r70FLVgX
清涼感を増す為なのか、その髭剃りフォームの泡の触感は冷たい。
腹に塗りつけた時のひやりとする感覚が塗る前から想像された。
拓也は、響子と出会った時の事を思い出しながら、片手に溢れた
フォームを両掌に取ると、裸の腹に塗り始めた。塗り始めたと言う
よりも、ケーキのデコレーションの生クリームのように腹に上の方
から盛り付け始めた。
腹の、鳩尾(みぞおち)に近い肋骨の胸部の接合部の下に、フォ
ームの果物のような、ミント・ガムのような匂いの塊を塗りつけた
とき、拓也はすこし心臓の辺りにひや、とした感触を感じた。
思わず穴の空いた風呂用のプラスティック製の小さな椅子座った
椅子の貫通した穴の奥に露出しているだろう肛門が、「きゅっ」と
締まった。年寄りには危険な行為だと思った。
そもそものきっかけは、その頃涼子は雑誌社でデジタル系のアル
バイトのライターとして活躍し始めていたのだが、そのスキー場で
の取材もそのアルバイトの一環であった。
そのとき、彼女は小型モデルのデジタル・カメラの防水パックや、
アクアパック、水中ハウジングを装着した使用記を書く予定で
スノボの少年や青年達を撮っていた。無論彼女は好意的無償行
為として彼らに登場(するかしないかは雑誌になってみないと判ら
ない)を頼み込んでいた。
涼子はとっかえひっかえカメラを交換しては、「全国書店に並ぶ
メジャー雑誌の取材」という触れ込みを吹き込まれ、パイプで張
り切ってでんぐりがえったりひっくり返ったりしている少年達を撮影
していた。
始めに声を掛けたのは淳二だった。その涼子が足元に置いた衝撃
吸収用のインナーの入ったちょっと女の子が腰に下げるにはごつい
造りのウェスト・バックのカメラ用に内部気室がコンパートメントされた
内容の、ただならぬ数のデジ・カメに興味を惹かれたようだ。
素人の、それも女の子が持ち込む数では無い。それらは個別に予備
バッテリーとプロが使うような分厚いメディア・ケースが付属していた。
予備バッテリーは梱包用の「ぷちぷち」エアー・マットに包まれ、寒気
の中での使用にも抜かりは無い様だった。
「…すごいっすね…」
淳二もそう切り出すのがやっとだったが、顔を上げて涼子を観た時、
その腕に巻いたプレス章に気付いた。
それから淳二は雑誌の事をおずおずと聞き出した。マシンのことや
セミ・プロ級までのデジカメの事に付いては一家言(いっかげん)も
そこそこの一見識も有る淳二だったが、相手がプロとなると少々腰が
引けるようであった。
が、話していて涼子が企画ページのアルバイト・ライターであることを
知ると、途端に図々しく機材に付いて質問を始めた。
淳二の興味は、先ずFX77に向けられた。「これ…」
広角コンバーション・レンズを付けたまま、スポーツジャケットが装着
可能かどうかどうか確認しているようだが、どうやらそれは無理らしい。
FX77自体には興味は前から持っているらしい。
ただ淳二のマシンは自製のもので、FX77が持っている通信機能
Bluetoothには非対応である。
その代わり古いタイプの「クリエ」を使っていたので、それの代替え
の次期購入機種のBluetooth対応品との絡みがあるらしい。
34 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/24 23:50 ID:r70FLVgX
拓也も淳二同様理工科の学生で(そのときはまだ一般教育課程で
都内のキャンパスに通っていた)機械や、無論コンピューターやデ
ジカメには無論そこそこ興味は有る。
が、淳二と拓也の違いは、淳二が根っからのマシンに耽溺するタイ
プのマニアであるのに反して(そのかわり淳二は意外に利に敏い部
分があって、それが彼が「オタク」になってしまうことを防いでいた)
淳二は勉強や将来の職業はさて措いて、趣味の傾向がナチュラリス
トと言えば言える方向に有ったことだ。
だから、自分で買うものには拘り、というか未練というか、そうそう
新型の機材が登場してもすぐに飛びつくほうでは無い。
35 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/24 23:51 ID:r70FLVgX
だからデジカメには興味は有っても、いつ自腹を切って購入すべきか、
その機種や発展過程を含めて正直まだ迷っている。
淳二のように簡単に買い換えたり、ひとにほいほい貸し出す神経が
解らなかった。
偉いな、と思うのは淳二がそういう消費生活の裏側で、短期派遣の
SEのバイトをこなしたりしている部分である。学歴と年齢は詐称して
居たが。
とにかく淳二は生活力も興味も旺盛で、そういう面は自分には無い
部分だったので、余り当人には言いたくは無いが、拓也はそういった
淳二の適応性に憧れていた事は認めざるを得ない。
そうしたどちらかというと(淳二と涼子の)にぎやかな二人のやりとり
を聞くとも無く聞きながら、拓也は涼子の連れらしい女の子の方が
気になって仕方が無かった。
話をしたいようなしたくないような…ちょっと市井の一般人の子弟
には観えない。
どうしようか、と思っていたところ、響子は自分から拓也に声を掛け
て来た。
36 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/25 00:07 ID:6yII7Xn0
四人の乗った車中の七輪に淳二が練炭を入れ、涼子が火をつけると、
そこにデジカメを投げ込んだ。
さようならみんな。
37 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/25 00:22 ID:BgfCvksY
オレンジ色の光が眼に飛び込んできた。
と思ったが、気のせいだったので安心した淳二は小腹が空いてきた
「いにゃっしゃいなせ」
「アタマのとくにょりとミソシニュ」
淳二(包茎)は少しだけ歪んできた世界に戸惑いにゃがら胸ポケットから
my先割れスプーンを取り出したのだが
39 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/25 02:51 ID:6u8GNqEO
「お友達…お詳しそうですね」
始め、拓也は彼女が自分に話し掛けて来たとは思わなかった。
ビンデング(閉め具)をチェックする振りをしてブーツにプロテクター
付きのボードハンドリンググラブを回して立て膝に座り込んでいた時
だ。
目の前に人が歩いてきて立ち塞がる気配に拓也が目を上げるのと
響子がそう切り出したのは同時だった。
サングラスの奥の目は窺い知れず、ただ若い女性特有のちょっと
いい感じのするフローラルな香りが、彼女が歩み出た数歩の距離
の空間から押し出されて一瞬拓也の顔面を真正面から包み込み、
余韻を拓也の鼻腔に残して流れ去った。
彼女が自分に話しかけてきた、と思わなかったのは、響子の風情が
いかにも乙に澄まして、大人の女性のような自信に満ちていたからだ。
貧乏、というほど自分や家族の社会的なランクは追い詰められては
いないとは思うが、拓也の家には余裕は無い。自然、出会う人間の
頃合も限られていて、稀にお嬢様学校系との合コンに参加する幸運
が有っても、自分からは言葉があまり出ない。
そういう窮屈な合コンで、偶に場違いな美人に出会うことが有る。
お嬢様系と言ってもいわゆる都会の中産階級以上の「良家の子女」
ばかりが通っている訳では無い。むしろ地方出身者の勉強もそこそこ
出来るが都会での(変な意味でない)「遊び」に飢えた女の子達が
多いように思う。おとなしい子は無論居るのだろうが、そういう子は
趣味性が高くない他大学との合コンには余りやってこない。
40 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/25 02:51 ID:6u8GNqEO
そういった席で、「すいません、用事が有るものですから…」
と、22時前の佳境あたりで帰ってしまう女性が居る。大抵は美人
である。
「…彼氏との約束でもあるのかな…」馬鹿にされるのを覚悟で
とある合コンでそういう場面に遭遇した折に、トイレでたまたま一緒
になった淳二に聞いてみた。
「…かもしれんが…『お嬢様のお忍び』って奴じゃないの?」
淳二は事も無げに言ってのけた。その意味を理解するのに拓也
は数分を要した。
そういう、「なんか『よさげ』だが帰っちゃうお金持ち風」
の住む世界の違う女性の印象と同じものを、拓也は響子から真っ先に
感じた。
レイープはまだあ?前段が長すぎ、早くレイープ!?
そういう前振りなんだよね??(w
そして、このだれも読まない塵糞以下の駄文を必死で書いてるヒキコモリの
>>1もいよいよ精神病院からのお迎えがやって来た。さようなら、基地外
>>1の脳内住民の拓也、涼子、響子、淳二・・
劇終
43 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/25 13:57 ID:6u8GNqEO
その女性(女の子というには抵抗が有った)にそう訊かれた時、
拓也は正直言って少々たじろいだ。
その、多分自分と同年代の「女性」
は、決して派手なブランド品など身にはまとっていない。少なくとも
拓也はそれくらいは見て取った。
が、そのトータルな佇まいから滲み出るゴージャスさというか、身に
付いた余裕と言うか、なにか普段の拓也の視点からは随分遠く高く
離れた存在の様に感じた。
話し出したいのはやまやまだったが、上手く言葉が出てこない。
「え…あ、う…」
しどもどしている拓也を観て、その女性は僅かに微笑んでいた
表情を曇らせた。ほんの僅かな表情の変化だったが、それは
彼女が少し怖じ付いたように見えた。
うっすら額にそれはそれで魅惑的ではあったが薄い眉根の皺、
というか表情筋のうっすらとした可愛らしい瘤が浮かんでいた。
44 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/25 13:57 ID:6u8GNqEO
女性も二の句を切り出すのに戸惑ったようだ。
今思うと、そういうアプローチを響子が示したのは、拓也の連れ
である淳二の傍目には少々軽薄さも伴った軽妙さに、思わず
拓也も淳二と同種の人間だと思ったらしい。気安く言葉が返って
来ると踏んでいたようである。
困った…と思いながら拓也はおずおずと立ち上がった。
「…お、お友達、き、記者さん、なん…」
拓也はスノボは中の下の腕前である。が、そのときエッジを押さ
えた足が緩み、響子の目の前でもんどりうって尻から転倒した。
しかし、拓也と淳二はホモ関係だったのである。
響子は遊ばれている事も知らず、、 自意識過剰の響子、ショックで立ち直れなくなることが、遠くない時期にくることは誰も知らなかった・・・
続く
46 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/26 02:32 ID:Mx0kVDyr
勿論、気の効かない拓也の事であるからこれは計算に織り込んだ
ハプニングでは無かった。
「あっ、あ、…大丈夫ですか?」
派手な転び方をした拓也は傍に居た順番待ちの一群の注目を
ちらっ、と浴びたが、それはそれほど拓也の意識を刺激しなかった。
むしろ拓也が驚いたのは、それまでちょっと高貴な風情に構えてい
た響子が思わず発した叫ぶような言葉の様子と、その表情の今まで
冷淡にも観えた儀礼的なとりすました笑顔が消え、替わりに年齢相
応と言うか、むしろ清楚で素朴な少女の顔を響子が見せた事だ。
拓也はパイプの角の日に融けては夜間の零下の寒風で固くなった
積み上げられた雪の堆積の斜面に後頭部をぶつけ、結構な痛みと
共に他の人間達に対しては感じなかった羞恥を、響子に対しては
全開で感じていた。
痛みはともかく、強烈な発汗が背筋を見舞い、首筋が火照った。
その感覚は強烈で、思わず背中を掻きむしりたくなるような交感神経
の過剰な反応だ。
47 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/26 02:32 ID:Mx0kVDyr
だけど、同時に拓也はなにか少し嬉しいような変な気持ちになった。
理由は…
あわてて起き上がりこぼしのように急いで立ち上がろうともがいたが
なかなかスマートには立ち上がれない。
その間、恥ずかしさに俯き加減に視線を逸らそうとしている自分の
意識の向こうで、少女の様に、例えば拓也に手を差し伸べようとか
どうしようとかすればいいのか判らない響子が居た。さっきまでの
お高く留まった良家の子女風という威圧感はもう感じなかった。
そのくらい響子は拓也の派手な転倒の有様を真剣に心配している
ようであり、
ちら、ちら、と拓也の視線を逸らした視界の中にもその「悪くは無い」
響子の軽い可愛らしい、しかし真剣な叫喚の様子が垣間見えた。
ビクッ. ∧ ∧ ∧ ∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) < うお!なんかすごいところに迷い込んじまったぞゴルァ!
./ つ つ \______________________
〜(_⌒ヽ ドキドキ
)ノ `Jззз
全然デジカメと関係ねーのなw
>1
みんなでデジカメ物語をつくろう。 なのに
ひとりで進めているのは何故?
>>50 誰にも相手にされて無いからw
拓也に涼子に響子、淳二っとどこかで聞いた名前ばっかりだな。読んで無いが。後で削除依頼だな。
52 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/26 19:53 ID:Mx0kVDyr
昼食は、響子達が泊まっている高級リゾートホテルのブーツで出入り
可能なカジュアル・ラウンジで食事をすることになった。
そこは正面玄関に並んで開かれたオープン・カフェ風の白いテーブル
や椅子がよく晴れた日光を反射して並んでいる、山小屋のベランダ風
の構造からホテルの中に出入りするようになっている。
外のテーブルで飲食するカップルや、家族連れや、グループ客も多か
ったが、拓也たちはホテルの建屋の中のホテルのロビーのフロアを
四角くくり抜いたような、すこし床面にもぐりこんだような格好のボック
ス席の4人用のガラスの衝立が立てられている場所に座った。
正直、給仕がメニューを持ってきたとき拓也はちょっと緊張した。
高級ホテルには余り入った経験が無い。淳二と同級だった高校の
卒業謝恩会も船橋の地元の商工会館を借りて近所の料理屋から
仕出しを取って開催した。
せいぜい思い出せるのは総合大学である今通っている学校の入
学式が飯田橋に有るホテルのシアタースタイルのホールを借りて挙
行されたとき、初めて正面玄関から入った事が有る位で、他には
そうそう記憶に無い。
53 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/26 19:53 ID:Mx0kVDyr
驚いたのは入学式の開始時間待ちでホテルの喫茶部に高校時代
の同窓生で同じ大学に入った仲間や、進学塾の顔見知り連中と茶
を飲みに行った時だ。
そのとき、なぜか淳二は「あ、俺いい。喉渇いてないから」
とひとり玄関ロビーに残った。
そのアイス・コーヒーは旨かった。が勘定の段でみんなびっくりした。
ただのちょっとばっかり高級なアイス・コーヒーが税込み2千円近く
した。
高級ホテルは怖い。拓也がそう思い知らされてロビーまで戻って
くると、「や」と飲み掛けの缶コーヒーのショート缶の縁を白い歯で
齧って咥え下げて居る淳二がロビーの円柱にもたれ掛かって手を
挙げてた。淳二はかなりわざとらしいくりくりとした丸い目をきょとき
ょとさせた表情を造って上目遣いに皆を挑発した。
『…さあ、どうぞ、ご感想を…』
淳二の家は比較的裕福だった。
『…さあ、どうぞ、ご感想を…』
拓也は答えた
『ちんぴょろすぽ〜ん』
と、おちゃらけて見せながら拓也は思っていた
『状況説明の段取りが稚拙すぎだなこいつ、並列が多すぎんだよヘタクソ』
ニコンちゃんなかなか登場しないなあ
57 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/27 00:28 ID:uSwHpGz/
琥珀の濃淡をイメージさせるような、茶けた擦りガラスがボックス毎を
隔てていた。照明も擦りガラスやテーブルの茶色に障らない黄味掛か
ったオレンジ色の透過照明や間接照明で構成されており、拓也の感覚
ではやっぱりそれも高級な感じがした。
横のボックスで家族連れらしい一団が談笑していた。その様子は開け
っぴろげというか、無防備というか、なにかこういう場所で気張らず、
気取らず振舞える人種というのも居るのだな。と拓也は思った。
貧乏というほど貧乏では無いが、貧乏は嫌だ、と思った。
拓也の横に座っている淳二は到って無頓着の様子である。
席に着くなり縦襟の純白のシャツに黒い蝶ネクタイを締めた若いボー
イがメニューを運んで来た。
淳二はぞんざいにそれを受け取ると、軽く手を振ってボーイを追っ払っ
た。2部有る内の1部を涼子側に渡すと、すぐさまメニューを開き碌に
吟味もせず、
「あ、おれカレー、あ、大ね」
と言うとメニューを両手でぱたりと閉じて、拓也の方に押し付けるように
渡した。
拓也が懐具合と「女性」と食事を共にするのに頃合の良さそうなメニュ
ーの選択に四苦八苦している間に、淳二は涼子に持っているカメラを
見せてくれるように頼んだ。
58 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/27 00:29 ID:uSwHpGz/
涼子が持ってきたのは各メーカーの売れ筋所の商品で、発売開始か
ら結構間が有る物と、比較的最近の物も有った。
価格帯は実売2万円台から6万円前半の、どちらかと言うと女性や
使い勝手のいいコンパクト機を要求する男性向け商品だった。
「ふ〜ん…」
淳二としては、当てが外れたのは一般発売日前の新製品がその中
には無かった事だ。
理由はいろいろ考えられるが、最新機種紹介といった構成のページは
涼子は任せられていないようで、考えてみればバイトの涼子の個人的
な旅行も兼ねたような記事であれば、予定もそれ程タイトでも、機能的
に精密な分析も要求されない現用機種中心になるのは当然かもしれ
なかった。
59 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/27 00:29 ID:uSwHpGz/
「あれ…まだS45?」かなり嵩の有るウォーター・プルーフ・ケースに
入れられた金属色のカメラを取り上げると、淳二は意外そうな声を
挙げた。
「50は新製品詳細ページのほうに出るみたい。S45だって現行品よ」
「…逆光耐性は?」
「S50?…向上してるみたい」
「ふーん、G3とS45の泣き所は高輝度被写体を画角内に捉えたときの
ノイズだからな…他は400万画素としてはいまんとこ究極の画質なんだ
けど…多分」
「初期のDIGICの描写とのトレード・オフってことは?」涼子が意見を
言う。
「これだけあからさまな問題点なんだから、そういう可能性も無い事
も無いかもね」
どうやら拓也もオーダーが決まったようだ
「大盛りネギだけ・ギョク」
「『だけ』かよ!」
淳二の喉元まで出かかったツッコミを引き取るように涼子は艶然と微笑みながら
「わたしココ壱のアダ辛くて油くさい辛味汁かけメシをときどき無性に食べたく
なるのよね。いつも食べた後、ううん、オーダーした後ですごく後悔するんだけど」
涼子は続けて
「こういう場所の描写させると育ちが悪くて経験値の低いガキって
すぐに馬脚を現すからお笑いよね。」
すると淳二もあたりを憚るような小声で
「だよな。とりあえずこのホテルで玄関ロビーなんて言い草は如何なものかと」
パッケージ使い方が解からずドレッシングを顔射して大騒ぎしている拓也を
横目に見ながら、二人は心地よい絶望感に満たされていた。
「ここらでわたし脱いだほうがいい?シャワー浴びとくわ、部屋あるんでしょ」
焦点の定まらない目で響子が言う
「今から脱いだら下着の圧迫痕が消えちゃうじゃないか。
キレイキレイな裸なんかじゃ俺のはピクリともしねぇんだよ」
言い放って七味唐辛子を使う拓也だったが、運悪くバイト初日の店員が
セットしていたものだったために、中身が全てフタごと丼の中にブチまけ
られてしまった。
赤・黄・緑、RGBの画像を無理無理CMYKに変換してしまったような妙な色彩を
戴いた丼を見ながら拓也と淳二は期せずして声を揃えてしまった
「こ、これは..」
64 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/27 02:02 ID:uSwHpGz/
>>62 ※注 「玄関ロビー」という呼称は現実に比較的格式の高いホテルでも
使用されて居る。一例を挙げれば帝国ホテル。「玄関」、「ロビー」と
明確に個別に分けて呼ぶ場合も有る。
一方「エントランス」という呼称は比較的日本では新しい呼び方で、
プリンスホテル系列等の、収容容量のおおきいホールを複数持つホテル
で個別のホールへの「一時溜まり」の意味として使われることが
場合が多い。ほぼ昭和40年代から(国内客向けとしては)の呼び方で
むしろ格式的には後発のホテルが多い。
65 :
1(本物):03/04/27 08:40 ID:nQQcCCfR
もう放っといてくれよ
気持ちよくオナニーしたいだけなんだから
「こ、これはうまそうニダ」
拓也は丼の中身をグチャグチャかき混ぜ始めた
67 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/27 13:27 ID:uSwHpGz/
1(本物さん)の書き方が余りに短兵急であった(小説でなく昨今流行のライト・
ノベルならこういう方法も有るかも知れない)ように感じたので、
茶々を入れる積もりで書き出した。
ストーリー・テリングには頭の回転の速さや鮮烈で印象的な描写、意外性
も重要だが、物語として成立させていく為には少々の根気は必要かと思う。
「ああ、こいつの書いていく部分がコア(核心)なのだな」
と読者に認識(錯覚)させるのがリレー小説の(少々気色ばんだ)楽しみで、
その導入には力技とキャラクターを育てていく継続性のようなものが必要
かと存じる。
これを崩していく方法は幾つか有るが、やはり物語の有る段階から並行して
派生したストーリーを構築し、自分の書いていく方向に読者を導入していく
ことが出来るかで、初期については短期集中的な物量の投下(めんどくさい)
も必要となる。
笑いを基点として物語を転換していくのは比較的簡単だが、笑いは、破綻、
それまで進んできたストーリーを逆手に取る意外性の導入共に結構難しい
事を留意すべきで、なぜかというとそれらは「コア」が他に有る信頼感の
保障の上に成り立つ破壊的作業であるからだ。これは結果として破棄される
べきの(旧)コア・ストーリーを温存する事になる。
自分は、2ちゃんにはそこそこ文章力が有ると(多分)自認している向きも
多そうな感じもするので、センテンス(2〜3書き込み分)のお尻に転換点
の誘い水になるかも知れないように余韻を(どうとでも先に加工出来そう
な)を書き置いてきたつもりである。
1の書いた物を否定したのは自分の好みもあるが、このままでは単なる
アイディアの出しっこで終始し、スレ立て初期のテンションが下がれば
そのまま無名スレとして比較的短期間に成仏する運命かと思い、ちと惜しく
なったからだ。
だが、なかなかガチンコで向かってくる猛者(女猛者)はおらんようだ。
68 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/04/27 13:50 ID:WFu5DiwO
なんかなぁ。
もっとみんなで短文書いて楽しめるスレかと思ったのに、
>>1のオナニー見てるみたいで・・・。
糞スレ決定!
>なかなかガチンコで向かってくる猛者(女猛者)はおらんようだ。
それがお前のレベルなんだよ。こんな駄文スレに向かって行く価値があるとでも?
煽ってるつもりなら度し難いアフォウだ。
まあこういうのが好きなんだったら一人で1000まで頑張れ
とエールを送っておく。
71 :
山崎渉:03/05/22 00:41 ID:Nism+YZK
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
タダの物語じゃなく、様々な表現の全てをデジカメに関係のある表現に
置換えたり、まるで製品紹介の様なナレーションとかがあると良いかも。
七味のRGB表現は少しワラエタよ。
あぼーん
74 :
山崎 渉:03/07/15 12:49 ID:qXbNrMId
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
75 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/07/17 00:30 ID:IwpIyWcx
ワロタ
くだらなさすぎ
ABN?
あぼーん
78 :
名無CCDさん@画素いっぱい:03/11/09 10:29 ID:pSnDe333
仕方ないので緊急浮上。
何が?
80 :
名無CCDさん@画素いっぱい:
はやくつづきかけよ