さいこうっす
飛び抜けている。 2012/4/4
ジャンプ黄金期に地位を確立した戦闘・対戦が絡むマンガは、
「戦力のインフレ(単純な物量勝負)」「ストーリーのワンパターン化(単純?キレたら何故か勝つ?)」
「敵の意図が意味不明(単純な悪?敵の人格が実質存在しない?)」等、ストーリーが続かない様々な要因を抱えていました。
そして最初は面白かったけれど、段々新鮮さが続かなくなり、ジリ貧になって終わっていくマンガを数多く見て来ました。
しかしこの作品は、前述した戦闘モノが抱えてきた問題をハイレベルに解決しているだけでなく、その先を行っています。
ストーリーや伏線回収の多くは読者の予想の斜め上を常に行っていて、かつ徹底して合理的です。
敵を含む各キャラクターの個性、知性、狡猾さも群を抜いています。
戦闘モノにありがちなパワー勝負は、パワーや能力を使う登場人物への一体感というよりは、
読者を観客の目線で楽しむ第三者にさせますが、この作品では各々のキャラクターは明確な目的を持ち、
限られた能力と情報と時間の中で必死に策を立て、覚悟を持って行動します。
その過程がきちんとした文章で描写されていて、それでいて思い通りの結果にならないから、
キャラクターを応援する立場ではなく、その状況で何をすべきかを考える一個人として感情移入をすることができるのです。
一つの価値観やパワーを妄信し、訓練や感情的な爆発のみで何かを解決するのではなく、
何をなすべきかを考え続けて最適な判断と行動が出来た者が目的を達成できるというのは、
何が正しいかが変わり続ける今の時代背景にも則した作品なのではないでしょうか。
推理小説のように予想を裏切っていて合理的ですが、推理小説と違うところは、
ストーリーの中で自分が感情移入をし続けたキャラクターの死や喪失が含まれることです。
普通少年マンガの読者は気に入ったキャラクターの死を恐れていて、死んでも生き返る設定にしたり、
多くの敵を仲間に引き入れてストーリー終結したりといった形で作者もそれに応えてきましたが、
それは読者を安心させ、傍観者にさせると共に、作品全体を甘ったるく緩やかな死に向かわせます。
この作品の喪失の表現には、涙が出ました。
そして、絵が素晴らしい。
今のマンガはCGを使ったりして全体的な絵の緻密度やリアルさを向上させてきましたが、
それはあくまで均質な画質の底上げであり、また表現の自由度を狭める要因でもありました。
この作品は、全体的な絵の緻密さという意味ではそういったものに一歩及びませんが、
ストーリーの肝心要の部分の表現は、各々のキャラクターが能力の限界を持って目的達成を試みた結果としての、
覚悟・恐怖・怒り・悪意・失意・愛情といった様々な感情が、背筋の凍る様な線画によって表現されています。
飛び抜けています。 そして、巻を追うごとに面白くなっています。
多少大袈裟に聞こえるかも知れませんが、もしもこの巻を読み終えたファンの感情を直接読み取れたなら、
「これほどとは・・・」と納得して頂けるのではないかと思います。
>>2 賞賛文というより、むしろ中期以降のDBの批判文にしか見えない
5 :
マロン名無しさん:2012/08/15(水) 23:34:17.42 ID:wV1MyfkG
DB(意味深)
6 :
誘導: