【バオー】荒木飛呂彦初期作品連載中【ビーティー】

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1荒すじ呂彦
週刊少年ジャンプ昭和56(1981)年1号にて「武装ポーカー」という作品でデビューした。
ジョジョ連載開始までの初期荒木作品(ビーティー、アイリン、バオー)について語ろうじゃないか。
尚、この漫画は超人的な力を発揮する事により2日に1話ずつの速度で連載されるようだ。
時々化粧に失敗して変な時期に合併号になる事もあるが気にしないでくれ。

なお、あらすじ書き込み中に割り込んだ奴、及び 未来からの預言者は
然るべき報いを受けさせられるので要注意だ!


※注意※
連載中スレとは連載終了した漫画作品を第1話〜最終話まで順々に、
『現在連載されているもの』つまり現在進行形で語り合うスレです。

●ただし、当作品は単行本基準で進行していきますが、
●まれにページが多く、あらすじの容量等やむを得ず同シナリオでも複数に分ける場合があります。
●(第1話・A」とか「第1話・前」等)
●スレ住人から教えられた場合は別ですが、この場合、
●区切りのいい所や一定のページで一旦切り上げる場合があります。ご了承下さい。

ネタバレ発言はご法度。現在明かされてる情報のみで語り合いましょう。
連載中スレにそぐわない話は楽屋裏スレで行いましょう。
次スレが立ったら or 連載終了して合図があったら楽屋裏! 現代に戻って好き放題に語り合え!


連載中スレの楽屋裏 第32幕
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1293543652/

※規制の巻き添えで書き込めない人は代理スレを利用しよう!誰かがレスを貼ってくれるぞ!
【代理スレ】連載中スレの楽屋裏避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/comic/5124/1213249930/
2荒すじ呂彦:2011/08/15(月) 22:00:03.09 ID:MmOvvaN6
  週刊少年ジャンプ 81年読切作品<武装ポーカー>


冒頭、恰幅のいい老紳士が帽子を脱いで読者に会釈する。
「これから私が話す、2人のガンマンの話は… 私がこの目で実際に見た話です
 この話には誰でも知っている、“ポーカー”というトランプゲームが出てきます
 ポーカーの面白い所は、掛け金を自分の札と相手の顔色を見ながら、
 互いにどんどん釣り上げていく所にあります…
 それはハッタリをかまして相手をゲームから降ろさせたり…
 時には掛け金をとんでもない額まで釣り上げたりもします
 それではお話ししましょう、『武装ポーカー』です………」


――舞台はアメリカ、西部開拓時代……。
とある床屋から突如銃声が響く。店の中には、散髪客だった青年が襲撃者の死体を見下ろしていた。
青年はそりかけの髭剃りのクリームを拭うとシーツを脱ぎ捨てた。
「なかなか拳銃の素早い男だったな、それに頭もいい…
 眠ってる時襲ってくる奴はたくさんいるが、おれが散髪してる時とはね…
 後ろから撃ってきた点も褒めてやるべきだな
 ――だがね! おれはもっと素早いし、賢いんだ!」
青年は恐れおののき腰を抜かしている娘に散髪代として金を投げ渡し、店を後にした。

               人が一人死んだというのに誰もやってこない
             この町には保安官はいない、そして隣町までは馬で3日
                   この町は法の真空地帯なのである

                  この男の名は「ドン・ペキンパー」!
              生まれながらの悪人がいるとしたなら、この男がそれだ!
                 彼にかかっている賞金は生死を問わず1万$!
              悪い事ならなんでもやり… 殺した人間の数は今ので27人…
                     彼は負けるという事を知らない
3荒すじ呂彦 2/7:2011/08/15(月) 22:00:25.62 ID:MmOvvaN6
               それだけに敵も多く、彼を殺し有名になりたがったり
                  賞金をいただこうとする奴らはたくさんいた
           そういう連中は絶えず、彼の後をつけまわし スキをうかがっているのだ
           しかし、銃の腕前さえよければ この町はこの上もなく住みよい町なのだ

その後、ドンは酒場に入り怯えるマスターにいつもの奴(ミルクセーキ)を頼む。
ふと、ミルクセーキを持って店内をうろつくと、ポーカーをやっている連中を見かける。
ドンが参加しようとそのテーブルに近づくと、中年2人はまさかのドン参加に青ざめる。
「ゲームに入ってもいいかい?」
「ええ、どうぞ… 今やってるのは普通のポーカーです」
帽子をかぶった青年が答える。
「おたく… 見かけない顔だけど、この町は初めてかい?」
「ええ、そうですよ さっき駅馬車で来ました
 ところで掛け金は最低4$… ワイルドカードは入ってません」
ドンはそれを了承し、イカサマないかカードを見せてもらう。

カードを切り、束をテーブルに置くと巧みな技術で次々と各マークのAを束からはじき出す。
そして最後に… スペードのA!この技だけでAのフォアカードが揃った!
いかさまカードではない事を確認したドンは青年にトランプを返す。
青年はチラリと様子をうかがうと、トランプを奪い返しシャッフルする。
そして隣の男に1度だけ切ってもらい、その上の4枚を引いてもらう。
男は言われるまま上の4枚を取ると―――― これまたAのフォアカード!
中年2人は恐れをなし、ゲームから降りてしまった。

「一対一(サシ)でやりましょうか」
「おれはポーカーをやるために、このテーブルに座ったのさ」
「親(ディーラー)はぼくからですね…」
青年がトランプをとると、置いてあったボトルに入店客の姿が映る。
ドンは拳銃に手を伸ばすと同時に―――― 入店客が発砲した!
4荒すじ呂彦 3/7:2011/08/15(月) 22:00:54.80 ID:MmOvvaN6
――――いや、発砲したのはドンと青年だった! 2人の弾丸が襲撃者の胸を同時に貫いた!

まさかの同時攻撃に顔を見合わせる2人。
「あの男、どちらの命を狙ったんでしょうかね…? ぼくかな?それとも君でしょうかね?」
「さあね、案外二兎を追う猟師だったりしてね…」
他の客に引きずられる襲撃者の死体を横目に、ポーカー開始となった。

                     私はこの男を知っている、マイク・ハーバーだ
                  彼もまた賞金首で、賞金はドン・ペキンパーと同じ1万$だ
                   銃の腕前も今の撃ち合いから判断した限りでは互角だ!

                      …しかし、ギャンブルの勝負はどうなるだろう

「おたく、この町に着いたばかりと言ってたがどこから来たんだい?」
「忘れました」
「忘れたか… 忘れるという事はスバらしい事だ
 どこから来たか覚えてるって事は、昨晩何を食ったか覚えている事と同じ位、くだらない事だな…」
「昨晩はビーフシチューを食べました」
皮肉が通じずまともに返され、カチンと来るドン。
「へ へへ! ハハハ… おたく、結構ユーモアのセンスあるじゃないか」
ドンは参加料に100$賭け、いよいよカードの結果が明かされる。
ドンのカードはダイヤ10-9-8-7-6のフラッシュ。

「残念だけど、ぼくの勝ちですね」 対するマイクは…3-3-3-5-5のフルハウス!

まさかの敗北に冷や汗をかくドン。
「なに、ついてただけですよ 引き続きゲームを続けますか?」
「もちろんだ! 掛け金もミルクセーキもまだ残ってるんでね…」
5荒すじ呂彦 4/7:2011/08/15(月) 22:01:23.93 ID:MmOvvaN6
――そして2回戦が開始されたが、先程と違い殺伐としている。
ふと、そのテーブルに飲んだくれのみすぼらしい老人がからんできた。
「おや? こんにちは〜ペキンパーさん、今日も小銭を恵んで欲しいんですが… ヒック」
ドンは今忙しいとうざったそうに追い払う。
「ヒック 忙しいって、ただのトランプ遊びなのに… 今日はえらくご機嫌斜めですな… ヒック」
ふと2人の様子を見て、老人は気づく。
「ペキンパーさん、もしかして… ヒック 負けてるんですかい?あなたが? ポーカーに… おやまぁ」
『ゴミ溜めに帰れと言ったはずだぞ!』
逆鱗に触れられたドンは老人の顔を掴み、そのまま後頭部を棚へ何度も打ち付ける!

『二度とおれに話しかけたり金をせびったりしてみろ! 朝になっても目がさめないようにしてやる!!』

酒の瓶をうるさい老人の口に突っ込ませ、散々脅して追い払う。
泣きながら逃げ出す老人を見て、他の客も爆笑する。


邪魔者を追い払い、勝負を続ける2人。
やがてドンは3のフォアカードを揃え、200$レイズ(上乗せ)する。
しかしマイクもまた8のフォアカードを揃え、さらに200$レイズ。
「また勝たせてもらいますよ」
自信たっぷりのマイクの態度にまたしてもカチンと来たドンは、唐突に笑い出した?!
「フフフ… 自信満々に言うじゃあないか…」

                       ペキンパーの札は3のフォアカードだ
                        普通なら負けるはずのない札だ!
                      しかし、彼は自分の札をじっと見入った…

                       しばらくすると彼は微笑みを浮かべた
                      悪魔の微笑みだった!何かを考え付いたのだ!
                        微笑みを浮かべるだけの“何か”を!
6荒すじ呂彦 5/7:2011/08/15(月) 22:01:47.23 ID:MmOvvaN6
ドンはさらに100$上乗せし、いざ勝負!   ――――の、前に。
「ちょっと待て! 今、アイディアが浮かんだんだが これに面白い“賭け”を重ねないか?」
「おもしろい賭けを重ねる… ですって?」
「そう! お互い賭けたこの550$の上に、さらにワクワクする賭けを乗せようってのさ!
 と言っても金を賭けるんじゃあないんだ! そこがおもしろいんだがね! どうだい、やるかい?」
「一体何を賭けようと言うのですか?」
「なあに!ほんのつまらない物さ… お互いの持っている物だがね!」
「・・・・・・・・・?・・・・?  なんでしょう?」
「しかしおたくが賭ける気になるかどうかという事だけが問題なんだ!」
「ですから、何なのか言ってみて下さい」
「あ…そうそう 賭けがいやならいやと言ってくれ! おれは気にしないから…」
もったいぶってなかなか話を切り出さないドンにいらつき、ついにマイクは承諾してしまう。
で、一体何を賭けるのかというと――――

「お互いの  拳  銃  さ!」

――――その言葉にマイクだけでなく、他の客達も驚愕する!
「お互いの拳銃を賭けようと言ったんだ! 負けた奴が勝った奴に自分の拳銃をくれてやるのさ!」
『正気か!?』
「いたってね」 ニヤリ
「自分が何を言ってるかわかってるんだろうね!?」
『おれは正気だよ! おもしろいじゃないか、髪の毛一本で吊るされたダモクレスの剣って訳さ!!』

                      全く面白くなってきたと私は思った
              この酒場で、例え一時的にでも丸腰になった男を想像してみたまえ
                           どんな事になるか!

                      酒場にいる連中は二人を見てはいなかった
                …けれども、聞き耳だけはじっとうさぎのように立てていたのだ!
                    丸腰になった瞬間、平気で後ろから撃つような奴らが
                      二人の賞金を狙ってうようよしているのだ!
7荒すじ呂彦 6/7:2011/08/15(月) 22:03:25.88 ID:MmOvvaN6
ふざけた提案にマイクはテーブルを叩いて怒鳴り散らす!
『バカげてる! 金ならいくら賭けてもかまわないが!!』
「おれにはわからないねェ さっき、おたくは自信満々に勝てると言ったくせに…
 まあいい! これは無かった事にしようか?それでいいだろ?」

                   マイク・ハーバーもまた、じっと自分のカードを見た…
                   8のフォアカード! ペキンパーのカードよりは強い…
                    しかし、賭けに乗るか降りるかは彼の決断なのだ!

乗るか、降りるか?悩みに悩むマイクを挑発するドン。
「どうするね? さっき言った通りやめるならやめると言ってくれ! この550$だけで勝負しようぜ!」
そしてマイクの決断は―――― 勝負に 乗 っ た !!

『わかりました、拳銃を賭けましょう!!』

作戦成功!思わず拳を握りしめるドン!
「ただし条件があります!」
「条件?なんでもいいぜ! カードを見せろという以外はね」
「もし君がこの賭けに負けたとして、すみやかに銃をぼくに渡すという保証はどこにもない!
 レフェリーはいないのだからね!」
「いきなりおたくへ向かってブッぱなすと言う事かい? ありえないね!
 普通、勝負する時はレフェリーがいるものだが、プライドがレフェリーだ!
 賭けに負けて代償を払わなかった事はないし、払えないものを賭けたりはしない!」
「それを確認したかっただけです、プライドがレフェリー! ぼくも同じです!」

しばし2人は沈黙を保ったままにらみ合い―――― 沈黙を破ったのはドンだった。
『それじゃあ勝負といこうか! おれの札は……!』
カードをテーブルに叩きつけるドン。マイクは思わずのめりこみ、他の客にも緊張が走る。

『 Q の フ ォ ア カ ー ド !! 』
8荒すじ呂彦 7/7:2011/08/15(月) 22:03:46.69 ID:MmOvvaN6
               なんて汚い奴だ、ドン・ペキンパーという男は!
                    彼はイカサマをやったのだ!
       誰にもわからない方法で3のフォアカードをQのフォアカードにすり替えたのだ!
                   何が「プライドがレフェリー」だ!

まさかの札にマイクは大声を上げ青ざめ震えだす。
『さあ! 見せてもらおうか、おたくのカードを! さあ!』
嬉々として詰め寄るドンにマイクは持っていた札を見る。
『そ… そんな!』
マイクが青ざめるのも無理もない。  なぜならば―――― マイクもまたQのフォアカード!!
尋常ではない2人の様子に、先程の酔っ払い老人が再び現れマイクの後ろから札を覗き込む。
『ああっ!こいつもQのフォアカードだぞ! どっちかがイカサマやったんだ〜〜〜!!』

              とっさに二人は銃を抜いた、同時だった!
            銃口は互いに標的をさした! チャンスだった!!

『この時を待っていたっ! 喰らえ!  火 炎 ビ ン だァ〜〜〜〜!!』
――その一瞬の隙を突き、老人は隠し持っていた火炎ビンを2人に投げつけた!!



そして場面は冒頭へと戻り……… 美女のキス。
「さあ! あなたン、もうピクニックはおしまいよ! 新しいお洋服買いに連れてってくれる約束でしょ」
「ああ、覚えているとも」

「ところであなたのお手柄新聞に載ってたわよ 悪者を2人もやっつけたんですって?
 すごいわ! でも大変ね、 保 安 官 の仕事って…」

――こうして、老人… 保安官は美人の若々しい妻と大金を手に入れ、馬車へ向かったのでした。

                                             ―武装ポーカー・終わり―
9マロン名無しさん:2011/08/15(月) 22:18:07.99 ID:???
北京君がちょっと虚勢張りな感じがするが、なかなかいいやりとりを見せてくれるねェ
オチは星新一のショートショートなみにみごとだな。勝負に意識を集中させといて
結末はドンデン返し、でもちゃんと伏線ははってあるという

こいつの短編作品もっと読みたいわ
10マロン名無しさん:2011/08/15(月) 23:14:57.52 ID:???
うーん… おれ、この人の絵柄なんか好きくないな。
話としてはまあまあ楽しめた…かな?
11マロン名無しさん:2011/08/16(火) 00:34:13.48 ID:???
ガンマン2人が油断してたとはいえ、火炎ビン1発で2人もまとめて倒せるもんなんか?
1人は火炎ビンを、もう一人は老人を狙い撃つこともできただろうに
12マロン名無しさん:2011/08/16(火) 00:35:31.20 ID:???
セリフがしぶいね
散髪屋で襲われるのも変わってる
13マロン名無しさん:2011/08/16(火) 01:29:35.55 ID:???
散髪屋で無防備なところ襲われるってのは他でもちょくちょく見かけるけどなー
なんかマフィアものかヤクザもので有名な元ネタでもあるんじゃないかな
14マロン名無しさん:2011/08/16(火) 02:14:44.87 ID:???
冒頭の老人と作中の浮浪者が同一人物だというのはびっくりだ
15マロン名無しさん:2011/08/16(火) 16:01:39.18 ID:???
漫画ならではの伏線だな
16マロン名無しさん:2011/08/16(火) 16:53:33.31 ID:???
>>12
散髪中・睡眠中・排泄中は人間一番隙ができるもんですぜ。
次点は丸腰の入浴中かな。

>>15
最初に保安官が「私がこの目で実際に見た話です」と言ってるのに、
作中で保安官が登場した時はそんな事コロッと忘れてるんだもんな…
それだけ作中のドンとマイクのやりとりにのめりこんでしまった、って事かな
17荒すじ呂彦 1/2:2011/08/17(水) 22:00:27.24 ID:2KXcmPyE
  週刊少年ジャンプ 82年読切作品<アウトロー・マン>


荒野。蛇に襲われた鳥が、間一髪空へと飛び立つ。
その下で、一人の男が馬を駆っていた。
右腕にケガをしていて――まだ血が止まっていない。
彼は、追われている。

目前の木に、男が縛り首にされている。
「やあ!どんな気分だい?死にごこちは」と、銃を構えて話しかける。
地面に一人分の足跡しかない以上、これは待ち伏せだ!

吊るされたスキ間歯(マッパ)の男はいきなり銃を抜くが、それよりも早く男の45口径が火を吹く。
胸を狙ったはずだが、ケガのせいで縄に命中してしまった。
そして、スキ間歯が体勢を整えた時には……既に男は逃げ出している。

男は「逆尾行」されていた。
鏡や動物の鳴き真似で、後ろにいる尾行者とスキ間歯が連絡をとっていたのだろうが…
男の腕を狙撃したことといい、相当な腕の集団だ。

スキ間歯に合流した男たち3人は、相手を徒に警戒させたと殴りつけ、ツバを吐く。
激昂して銃を抜くスキ間歯だったが、投げナイフにやられてしまった。
これは「正当防衛」だ。

一方、男は足跡の残らない岩盤地帯へとたどり着いていた。
崩れやすい岩山だったが、なんとか切り抜ける。
さらに、においは川で消し、足跡は川原の石で蓋をする。

だが、尾行者たち―ピンカートン探偵社―は葉のホコリが落ちていること、枝が折れていること、
そして川底の水ゴケを手がかりに追跡する。
「足跡を完全に消すことはできない!消えるのはヤツが死んだときだけだ!」
18荒すじ呂彦 2/2:2011/08/17(水) 22:00:45.87 ID:2KXcmPyE
岩山で毛皮帽子の男が再びライフルを構える。
真上から弾薬を装てんするため、やや左斜めに傾いたスコープが付いている。
装弾数5発、射程距離約700メートル。

追われる男は違和感を覚えていた。
鳥が飛び立ち、それは確信に変わる。
しかも、スコープの反射が!?

銃弾は避けたものの、彼の馬「キャメロン」に命中!
うかつに出てはいけないと身を隠した男は、岩陰から苦しみながらキャメロンを打ち抜くのだった。

尾行者たちは男の足跡を見つける。
右足の内側に力が入っている――ヤツの右ワキ腹に命中した証拠だ!

(殺らなきゃ殺られる…おれはひとりだ。ひとりってのは楽じゃあないが、ひとり以外のなにものでもない)

ガサリと動く茂みに、尾行者たちの銃弾が命中する!
しかし、それは縛られたウサギ…ワナだ!!
慌てて隠れる尾行者だが、男は跳弾を利用してをかたずける。

男はアウトロー・マンだ。
その足跡は消せないし、それを知っている。
目的もなく、逃げるだけの人生。
彼は孤独なアウトロー・マンだ。

よろめきながら歩く男の上で、鷹が蛇を捕まえていた。
                                           ―アウトロー・マン 終わり―
19マロン名無しさん:2011/08/18(木) 01:51:24.04 ID:???
はい。

どうしようか
20マロン名無しさん:2011/08/18(木) 06:34:41.50 ID:???
んー……

この作者去年も見かけたけど、武装ポーカーの方が面白かったかな。
なんか今回は地味だ。
21マロン名無しさん:2011/08/20(土) 21:25:35.96 ID:???
逆尾行だけでなく、傾いているスコープとかまったく関係のない補足がいい味を出してると思った
22マロン名無しさん:2011/08/21(日) 02:36:28.21 ID:???
ナルホドなあ
言われてみれば

理屈や筋より
ディテールや状況・雰囲気をこそ楽しむマンガだったんだな
なんとなくこのマンガや作者の良さがわかってきた気がする
23マロン名無しさん:2011/08/23(火) 01:42:12.64 ID:Y8SBlV4g
―終わり―
24マロン名無しさん:2011/08/23(火) 09:31:16.39 ID:???
自分がヤバイ状況で、苦しんでる馬へ慈悲の一撃って優しさがいいな
25荒すじ呂彦 1/6:2011/08/25(木) 21:30:00.63 ID:DrfC2NWr
  週刊少年ジャンプ 82年増刊号読切作品<バージニアによろしく>


宇宙を航海中の宇宙船。その内部にコチコチと秒を刻む、不審な機械がセットされていた。
この宇宙船は乗員2名、ロボット1体から成る『運送船 デリンジャー号』。
金星と地球ステーション間を片道約158日で往復する船だ。

現在、船を自動航行中にし、調理室で料理する青年がいた。
「クライド… そこの塩取ってくれないか? 赤いフタだよ」
青年はロボットに命令すると、クライドは言われるままちゃんと塩を取ってきてくれた。
「ありがとう、きみは一流の料理長になれるぞ
 …これでできあがりだ、うまそうだろ? 静脈注射してもいいようなスープだ どれ…」
青年… ヒロシ・タケモト二級航海士(エンジン技師)は味見する。どうやらうまくいったようだ。
「ん――――…… クライド、君にこの味がわかってもらえたらなぁ」


場所は変わり、もう一人の乗組員である
マット・ジャクスン船長(コンピューター技師)は… 部屋で吹き矢遊びに興じていた。
吹き矢は的であるアイドルポスターの顔に当たるが、いまいち狙いが定まらないようだ。
『おい、ボニー! 何度言えばわかるんだ、蒸し暑いんだよっ!
 涼しくしろと言ってるんだ! それでもコンピューターか!!』
マットは船の管理コンピューターに文句を言うと、最新型のくせにと愚痴を垂れつつソファに座り込む。
アイスコーヒーを飲みながら航海日誌を読み直すが…… 内容は毎日「異常なし」。
地球まであと○日、という以外は毎日同じ内容。もううんざりだ。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110825212733.jpg

ふと、ヒロシから通信が入る。
《あのー マット船長、どこか近くを航行している船から通信が入ってますけど、話しますか?》
「通信…? どうせバカ話だろ! なあ、早く切ってくれ!
 おれがリンゴの皮剥くサクサクって音嫌いなの知ってるだろ?」
ヒロシは意味が分からず後ろを向くと、そこにはクライドが器用にリンゴの皮を剥いていた。
26荒すじ呂彦 2/6:2011/08/25(木) 21:30:14.27 ID:DrfC2NWr
とりあえずマットとの通信を切り、他船からの通信へ切り替え呼びかける。
…通信はつながったが、故障か電波障害か、映像が妙に乱れている…。
《ヤア! キミハヒロシダネ…?》
「…? そうですけど、どうしてぼくの名を…?」

《伝言ガアルンダ ヒロシ…  爆 弾 ニ ヨロシク  ――――死ンデモラウヨ!》

「な… なんだって? 今、何と言いました!?」
《ソウイウコトニナルンダヨ… キミタチノ宇宙船二爆弾ヲ2個仕掛ケタノサ》
『ちょ… ちょっと待って! 何の話をしているんだ!? 君は誰だ!?』
《2個ダヨ! …宇宙船ハ コッパミジンダ!
 ワタシハナニモ要求シナイ 金モイラナイ キミニ怨ミモナイ》
ヒロシは向こうも退屈しているからジョークだろうと笑い飛ばすが… これは 真 実 だった。

《信ジナイト思ッタノデ2個仕掛ケタノサッ 今カラタッタ30秒後二1個目ガ爆発スル
 小サイ爆発ダヨ…… デモ効果ハ抜群ナンダ! 爆発スル場所ハ 脱出用小型艇(シャトル)ノ中ダ
 ツマリ キミタチハドコニモ逃ゲラレナクナルワケダネッ
 ソシテ 次ハデカイ奴ダヨ コイツハ60分後ダ 場所ハエンジン部ノトナリ!
 ソウソウ! コノ爆弾ニハ名前ガアルンダッタ 『バージニア』!
 彼女ハナカナカ手ゴワイゼ セイゼイ汗ヲカイテクレタマエ! 『バージニア』二ヨロシク!》

――爆弾魔はそれだけ言うと一方的に通信を切ってしまった。
その直後、爆発音と共に船体が大きく揺れる!予告通り脱出艇が爆破されたのだ!
マットは何事かとヒロシに通信で呼びかけるが、ノイズだらけで連絡が取れない。
「ほ 本気だ… 本気で爆発させやがった!!』


ここでちょっとデリンジャー号の内部図解を爆弾の位置と共に公開しておく。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110825212745.jpg
コンピューターで爆弾の位置を確認すると、言った通りエンジン部近くの通路第1ブロックにあった。
『なぜだ! 目的はなんだ、どうやって仕掛けた!?』
27荒すじ呂彦 3/6:2011/08/25(木) 21:30:29.15 ID:DrfC2NWr
マットは叫ぶヒロシを落ちつけようとするが、この状況では落ち着くはずもない!
『落ち着いていられますか! なぜこんな冴えない運送船に爆弾が仕掛けられなきゃいけないんだ!
 『バージニアによろしく』だと! ふざけてるっ!! 爆弾に名前なんぞつけやがって!!』
マットは爆弾の構造を確認する。ガラスで覆われた内部が丸見えの爆弾だ。
「作った奴が自分の才能を自慢しているようだ くっそ〜… なんか無性に腹立ってきたぞ
 船長は以前軍隊にいたんでしょう? 早いとここいつを外へおっぽり出しましょう」
ヒロシは爆弾に触ろうとすると―――― マットが大声でそれを止めた。
「ちょっと見るだけですよ!」
「冗談じゃない! お前は何も知らないんだな、これを見てみろ!
 ボニーが分析した内部構造だ、驚くな! その特殊写真で撮った奴を見てみろ!」

渡された写真を見ると―――― 目に見えない、曲線状のバリアが爆弾を覆っていた!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110825212759.jpg

「底面はマグネットで固定され、このバリアがグルリ10cm四方に張り巡らされている
 触った途端ドカンだったぜ!」
あ、危なかった…。マットが止めてくれなければ即爆発、この作品はここで終わる所だった…。
「まだあるぞ! このガラスの内部は真空になっている 内部に少しでも空気が入ると爆発する!
 むやみとガラスのふたは開けられない… つまり、攻撃のための防御ってわけだ」
「な なんてぇ爆弾だ… 犯人は60分後に爆発すると予告しました!
 もう少ししか時間がありません! この忌々しい音を停止させる方法はあるのですか!?』
28荒すじ呂彦 4/6:2011/08/25(木) 21:30:42.76 ID:DrfC2NWr
――そして爆弾撤去作業が始まった。
2人はクライドを爆弾の側に残し、操舵室からモニターで監視&命令し始めた。手順はこうだ。

1:部屋全体を真空にし、爆弾内部と同じ状態にする
  →そうすればガラスのふたを開けても問題はなくなる

2:真空に耐えられるクライドを使って爆弾処理作業をする

3:バリアには隙間があり、細くて正確なクライドの手ならばバリアに触れずにくぐれるかもしれない

4:爆弾内部構造はコンピューター・ボニーが分析した

5:内部構造がわかったので、起爆スイッチに繋がる線を切断し信管を抜き取れば爆弾は停止する
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110825212812.jpg

「クライドの目はバリアを感応できるのですか?」
「できる クライド聞こえるか?ピースをやってみろ」
マットはモニター越しに命令すると、クラウドは言われるままピースする。よし、OKだ!
神頼みとしてヒロシは母からもらったお守りを握りしめるが、マットは何も信じていないと言う。
「おれにまかしとけって!」

やがて室内は真空になり、準備は整った。
「よし、クライド まずガラス切りを取れ! バリアに触れないようにガラスを切り取れ、円状に!」
ロボットであるクライドは精密に、慎重にバリアの隙間を縫ってガラスを切り取ってゆく。
『早すぎる、ゆっくりだ! ――そう、ゆっくり… 優しくだ」

ガラスを切り終えたのを確認したマットは次の指示を出す。
「ガラス切りを置け! 次は切断したガラスを開けろ、吸盤でだ」
ガラスの隙間から吸盤を伸ばし、バリアに触らないようにそっと持ち上げる。
『そのまま固定してろ! バリアに触るんじゃないぞ!!』
29荒すじ呂彦 5/6:2011/08/25(木) 21:30:57.62 ID:DrfC2NWr
――と、その時立てて置いておいたガラス切りが倒れ、爆弾へ向かって転がっていく!
このままではバリアに触れてしまう!!
『止めろ――――っ クライド!!』

ガラス切りが爆弾に触れる直前―――― 突如クライドへ吸い寄せられた?!
「ふ〜… 磁力か…ずいぶん汗をかかせるぜ!」
だがまだ安心はできない。残り時間はいつの間にかもう 6 分 しかない!
『よしクライド! ガラスの隙間からニッパーでコードを切断しろ! 赤のコードだ!』
『赤は2本あります!』
『2本ともだ!!』
赤のコードを両方切ると、ようやくバリアが解除された!
次の指示を出そうとすると、ヒロシが血相を変えてマットを止める?!
『ボニー! カメラを部屋のすみへ向けてくれ! アップだ!』

ヒロシが注目したのは―――― パイプから水が漏れている!

『室内を真空にしたからだ!
 パイプのつなぎ目がさっきの爆発で弱くなり、減圧のせいで水が漏れ始めたんだ!!』
一難去ってまた一難!このままでは水が爆弾に触れたら一巻の終わりだ!
『すごい速さで蒸発してる!減圧のせいだ! 真空を解け!起爆スイッチが作動するぞ!!』
しかしもう遅い!ガラスを取り除かれたため、今空気に触れたらこれまた爆発する!
しかも最悪な事にもうパイプが破裂寸前、その上あの水はエンジン冷却水だから元栓が無い!!
水を凍らせようにも時間がかかる。八方ふさがりか!? ――ならば、急いで爆弾を処理するのみ!
『黒を2本、白を1本切断しろ!』
『もうだめだ、パイプが破裂するぞ!』
『緑だ!!』

マットが叫んだ直後―――― ついにパイプが破裂し大量の水があふれ出した!!
『――黄色だ!! 黄色を切れ!早く! 信管を抜き取れ――――――っ!!!!』
水はもうクライドの背後まで迫っていた!
30荒すじ呂彦 6/6:2011/08/25(木) 21:32:18.64 ID:DrfC2NWr
そして…… ついにクライドと爆弾は水没してしまう!    ……が、爆発しない…?
恐る恐るモニターを確認すると、クライドは誇らしげに信管を掲げていたのだ!間一髪、間に合った!!



……こうして危機は去り、リビングルームでマットにお茶を勧めるヒロシ。
だが、マットはひと眠りすると言ってリビングルームを後にした。

――その直後、勝手にモニターがつき爆弾魔のノイズだらけの映像が映る。
《ヤア ヒロシ! …オヤオヤ、ホッペニケガシタノカイ!
 スリルガアッテ ケッコウオモシロカッタダロ…?》
『き… 貴様!誰だ!? どうやって爆弾を仕掛けたっ!?』
《ソウ イキリタツナヨ、感謝シテホシイナ… 退屈デ退屈デショウガナイ旅ヲ楽シマセテヤッタノニ…》
『楽しませただと!? ふざけるな、お前何者だ!? どこから送信しているっ!変な声でしゃべりやがって!』
《傑作ナ爆弾ダッタロウ…? 私ガ自分デコサエタンダヨ パイプノ水ガ出ルヨウ 細工モシタンダヨ》
…なんてこった…。 全てはコイツの計画通りだったのか!
《ハハハーッ 今度ハ悲鳴ヲアゲテモラウゼ…ヒロシ 冷ヤ汗ノ次ハ悲鳴ダ!》
「な 何の事だ!」

《マダワカラナイノカ…? オレハ『デリンジャー号』ノ 中 ニイルンダゼ》

……その言葉に耳を疑うヒロシ。
《今カラキミノ所へ行クゼ …ヒロシ オレハネ、新シイ遊ビヲスル事ニ決メタンダ!
 今度ハ単純トイウカ、原始的トイウカ『狩リ』ナンダ! オレガ狩人デ キミハ小鹿ニナル
 ハハハーッ! 宇宙船ハ広イシオレトフタリダケダシ キット楽シイゾ!!》
新たな恐怖と危機に冷や汗だらけで震えだすヒロシ。
《話ノ筋ハワカッタカイ? 冷ヤ汗ノ次ハ悲鳴ダゼ! ヒロシ…》

その時、ヒロシの頭に最悪のシナリオが浮かんだ。もう一人の人物… まさか、 船 長 !?
――その頃、マットは楽しそうにナイフをポスターに向けて投げつけていた……。

                                        ―バージニアによろしく・終わり―
31マロン名無しさん:2011/08/25(木) 22:03:48.31 ID:???
ようやく助かったと思ったら・・・なんだこの後味悪いオチは…((((((((;゚Д゚)))))))
32マロン名無しさん:2011/08/26(金) 14:04:43.23 ID:???
長い宇宙航行では娯楽は重要だって事か。
確かにTVもラジオもないし、何かゲームでも持っていければなー
33マロン名無しさん:2011/08/27(土) 00:54:02.70 ID:???
>静脈注射してもいいようなスープだ
感覚的には理解できるんだけど、すごい表現しやがるな。

>おれがリンゴの皮剥くサクサクって音嫌いなの知ってるだろ?
こんなどうでもいい表現を入れるところが文学っぽい

>このガラスの内部は真空になっている 内部に少しでも空気が入ると爆発する!
良く考えるなあ

>「ふ〜… 磁力か…ずいぶん汗をかかせるぜ!」
シブいねぇ〜

>すごい速さで蒸発してる!減圧のせいだ!
上手いなあ。作者理系か?それとも元ネタあんのか?

>『黒を2本、白を1本切断しろ!』
思えば爆弾処理モノのこういう展開って、なんでどれ切るかわかるんだろうね…★

>ハハハーッ! 宇宙船ハ広イシオレトフタリダケダシ キット楽シイゾ!!》
ハラハラものとしてだけで十分おもしろかったのに最後にこういうオチか
さすが武装ポーカー描くだけのことはあるな

>まさか、 船 長 !?
★本人が仕込んだからなのねw つーか爆弾が本物である必要はないのか
34荒すじ呂彦 1/5:2011/08/27(土) 22:00:25.76 ID:RoACmAe0
フレッシュジャンプ 1982年3号読切作品<魔少年ビーティー>


冒頭、階段を昇る2人の中学生。
片方は傘を額に立てつつ、バランスを取りながら昇る少年。もう一人は――――

『待ていビーティー! 勝負だっ!!』
階段下に現れた番長の呼びかけに振り向いた、ビーティーと呼ばれた三白眼の少年。
「方法は…… コインだ」
ビーティーは100円玉を取り出すと、親指で弾き両手のどちらで捕ったか分からないようにする。
番長は親指の爪をかじりながら迷う。右か、左か…? ――よし、右だ!
…残念、正解は左だった! 番長はゴリラの様な顔つきになって悔しがり、もう1回だと再挑戦する。
しかしビーティーはその挑戦を断る。この勝負は1日に1回だけしかやらないそうだ。
覚えてろと月並みな捨て台詞を残し立ち去る番長。

…番長が立ち去ると、ビーティーはニヤリと不気味に微笑む。
『ビーティー! きみはまだイカサマ賭博をやめてないのかい!!』
「賭けに乗る奴が悪いんだ イカサマは技術だぜ、1日100円として年2〜3万になる」

友人に右手の裏側を見せてと言われ、右手を伸ばすと―――― そこには“タネ”があった。
『あ――――っ! やっぱり裏側にパーム(※)してた! 2枚のコインを使ってる!』
 (※パーム…手品用語で「隠し持つ」という意味)
万一この事がバレたらと震える友人だが、ビーティーは番長が捨てた100円玉を探していた。
……が、その100円玉は女生徒が拾っていた。
「お金落としたでしょう?」
――以外にもビーティーは真っ赤になり、100円玉を手渡され女生徒はお礼も言えずに立ち去ってしまった。

        この“中川冬子”さんは12歳のビーティーが密かに憧れている年上の少女です
                  いわゆる、夢の美少女でその魅力は完璧
              後ろからついていきたい… そんなふうに思う少女です
35荒すじ呂彦 2/5:2011/08/27(土) 22:00:48.77 ID:RoACmAe0
               しかしながら、独特の近づきがたい雰囲気がありミステリアス!
                 逆にビーティーはそんな所に惹かれているのかもしれない

友人はビーティーがあの女生徒が好きなんだと分かり、からかいの目で見る。
「…なんだよ、オレの顔に何かついてるかい?」
「別に ふーん、そうかそうか…」



――――ここまでが導入編で、以後本編開始。まずは一緒にいた友人からのご挨拶。

「初めまして
 これから… 友人のビーティーを紹介したいと思いますが、ぼくは非常に心配です
 なぜなら彼は12歳にして悪魔的頭脳を持ち、罪悪感ゼロの恐るべき 犯 罪 少 年 だからです!
 ビーティーとは『B.T』であり、彼のイニシャルです とても本名はお教えできません
 ビーティーの行動は常に反社会的なダイナマイトを秘めておりますが、
 ぼくは勇気を出して一編のエピソードを公表したいと思います
 しかし、なにぶんにも…… 関係者からの復讐が考えられますので、用心して……
 ビーティーの行動としては、比較的“静かな”……『有罪崩し事件』を公表します
 ――これはぼくとビーティーが殺人事件に巻き込まれたお話です」

ファーストフード店で新作の「500円玉を50円玉に変える手品」を披露するビーティー。
しかし、当の友人は外を見たまま、手品そっちのけ。
なぜか外にはパトカーがひっきりなしに何台も通っていくのだ。何か事件があったに違いない!

そのまま様子を見ていると、信号でパトカーが止まる。
その後部席には犯人らしき人影が見える。…どうやら女性の様だが…?
いや、よく見るとあの制服は…ビーティー達と同じ学校の制服!?
誰なのかと勘繰っていると、友人はあの後ろ姿に見覚えがあるという。
「…まさか! いや、そんなはずはない… 見間違いだ…!」
青信号に変わり、パトカーが発車間際、女性は一瞬こちらを見てその顔が露わになる。
36荒すじ呂彦 3/5:2011/08/27(土) 22:01:05.76 ID:RoACmAe0
それは…… ビーティーの憧れ、上級生の冬子さんだった!
パニクる友人を放置し、ビーティーは脱兎のごとく店を後にした。



何が起きたのかと事件現場に向かってみると、そこは普通の民家だった。
野次馬の老人に事情を聴いてみると、ここでルポライターが殺されたらしい……!殺人事件だ!

「にゃんでも、犯人は中学生の女の子らしいんじゃなぁ〜〜」

その言葉に衝撃を受けていると、太った刑事が情報を得ようとしつこい記者を連れてやってきた。
ふと、記者は友人に気づき声をかけてきた。
「おや?お前は… こんなとこで何してる?」
この記者は友人の叔父で、警察回りの新聞記者なのだそうだ。
友人は半信半疑で叔父に容疑者は中学生の少女なのかと聞くと、確かに15歳の少女だと返ってきた。
恐る恐る容疑者の名前を聞くが、叔父は未成年だから教えられないと言う。
「中川冬子?」
ビーティーはカマかけてみると、叔父は面白いほどのリアクションで驚く!
「お――――い! どうしてその名を知ってるんだい!?」
これは何かの間違いだ、そう冬子の無実を信じる2人。



 ―警察署・取調室―
先程の太った刑事は冬子とルポライターの関係を聞く。
刑事は出されたコーヒーにもっと砂糖を入れるようにと命令し、それをジュルペチャ飲みながら話を聞く。
「2日前、私 財布落としたんです、生徒証入りの… それを拾ったのがあのライターだったんです
 それでお財布を拾ったから、自分の家まで取りに来てくれって電話があったんです」
「このルポライターとは初対面だったのかい?」
「はい!」
「ルポライターを殺したのはあなたですか…?」
37荒すじ呂彦 4/5:2011/08/27(土) 22:01:20.35 ID:RoACmAe0
――当然、これには黙秘する冬子。刑事は相変わらず汚い飲み方をしながら尋問を続ける。
「その―――― 学校の成績が抜群だそうだね? 友達はたくさんいる?」
「……いいえ、あまり……」
「ご両親がフランスに行っておられ、おばさんの家にいるとか…
 君は実に冷静だ… この間の銀行強盗の男なんて、38にもなってワンワン泣き出して尋問にならなかったよ
 子供みたいにね、イヒヒヒ」

「……私です 私が殺しました…」
刑事が冬子の美人さに思わず鼻の下を伸ばした途端、まさかの自供!



「冬子さんが自供したって…!?」
後日、喫茶店で話をするビーティー達3人。
しかし、ビーティーは信用できないと言う。デマカセ新聞 …って、それを記者本人の前で言うか?
「お…おい! お前の友達はおっそろしく口が悪いなッ!」
半泣きになって起こる新聞記者の叔父。心中お察しします。しかし、問題は……
「殺人がどうだというんだ! 問題は“無罪になるかどうか”だ!」



――物語は事件が起こる直前へさかのぼる。
家で冬子を迎えるルポライター。その顔は下品な笑みがにじみ出ている。
「キミ、きれいだねぇ この生徒証の写真見て、いっぺんで好きになってしまったんだよ」
ライターはネクタイを取り、部屋のカギをかけ、カーテンを閉め、冬子に乱暴しようとにじり寄る。
危険を感じた冬子は後ずさり、机の上にあったハサミを構える。
襲い掛かるライターにハサミを振り上げ抵抗するが、15歳の少女が大の男の力にかなう筈がない。
ライターは冬子の胸倉をつかむが、冬子はそばにあった電話機で頭を殴りつける!
激痛に背を向けうずくまるライターの背に、冬子はハサミを思いきり突き立てた。
ライターは数歩よろよろと歩き、その場に倒れると同時に、冬子も気を失ってしまった。
38荒すじ呂彦 5/5:2011/08/27(土) 22:05:26.02 ID:RoACmAe0
そして偶然、近所の子供が犬の散歩中、ライターの家の庭に逃げ込んだのを追いかけていた。
その少女は窓の隙間から家の中を覗いて事件を発見し、通報した。



物語は現代へ戻り、叔父は話を続ける。
「刑事が部屋に入るまで、中川冬子は気を失って倒れていたんだよ
 そして被害者の背中には、彼女の指紋のついた15cmのハサミが…」
それを聞いた友人は明るい表情になる。これは“正当防衛”だ!なら大丈夫、冬子は無罪になる!
――――が、世の中そう甘くはなかった。
「いや!過剰防衛で有罪だ!」
「なんだって!?」
「まず、彼女は実際に暴行を受けていない…」
「受けてたまるか」

「 背 中 を 刺 し て 正当防衛は成立しないんだよ!」

…一旦、場面は再び取調室に戻る。
冬子は自分の罪がどれ位か聞くと、未成年だから罪は比較的軽いだろう、と刑事は答えた。


「ルポライターは死んで当然の男だ! オレは彼女を無罪にする事に決めたぞ!」

唐突に自信たっぷりにそんな事を言い放つビーティー。
友人はどうやってと驚くが、ビーティーは何も答えず、ただ耳をいじっていた。
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                                                        <続く>
39マロン名無しさん:2011/08/27(土) 22:29:54.29 ID:???
引きこむ力はなかなかのものがあるな、この漫画家

> ビーティーとは『B.T』であり、彼のイニシャルです とても本名はお教えできません
下の名前がBってかなり限られてるよな


つまり寺沢武一か。
40マロン名無しさん:2011/08/27(土) 22:33:53.34 ID:???
お、また読切来たか。今回は手品少年か。
前2作と比べると多少は絵は上達してるな。
正当防衛をひっくり返すって… できるのかそんなん?
てか、法律に詳しくないが「背中から刺したら正当防衛にならない」ってのは本当?

>寺沢武一
寺沢と荒木って親交あるの?
41マロン名無しさん:2011/08/27(土) 23:11:56.15 ID:???
手塚繋がり?
42マロン名無しさん:2011/08/28(日) 11:37:40.43 ID:???
なんか絵柄が白土三平っぽくない?w
43マロン名無しさん:2011/08/28(日) 15:44:38.49 ID:???
日本人だからBが苗字、Tが名前なんじゃないか?
Bなら馬場とかそれらしい苗字はあるだろうし
44マロン名無しさん:2011/08/28(日) 16:49:38.12 ID:???
イニシャルは普通海外表記をさらに短縮したものだぞ。
だから例えば作者の場合、HIROHIKO ARAKIなんでH.Aになる
なので、Bが名前だね。
…だけど寺沢武一がBTってことは、本当にBTと同じような性格なのか?
45マロン名無しさん:2011/08/28(日) 17:16:25.57 ID:???
日本表記通り、姓を先・名を後に書かせる動きもあるみたいだけど
まだ一般的じゃないよね

寺沢武一はたまたまジャンプにイニシャルが一致する漫画家がいることと
Bがレアなことから出てきた冗談だろうけど
本当は何だろうな
実際のところは実名など考えてなくて
「ビューティー」とかと似てるとかの語感で適当に決めたんだと思うな
どうせ実名出さないんだから数あるアルファベットの中でも好きな字を選ぶ自由があるわけだし
漫画のタイトルにまでしてるんだから響きのいい字を選ぶはず
かといってQPとかじゃ変過ぎてイニシャルに思えないし
KTとかだと当てはまる人が多すぎて特別感がない
絶妙な落とし所がBTなんだろう
46マロン名無しさん:2011/08/28(日) 18:52:56.57 ID:???
魔少年キューピー・・・・ワラタwww マヨネーズかよwwww
47マロン名無しさん:2011/08/29(月) 00:55:05.12 ID:???
ウォーレン・ビーティーとか?
48マロン名無しさん:2011/08/29(月) 01:00:53.81 ID:???
わかったッッ!

B 馬琴
T 滝沢

滝沢馬琴だよ!
49マロン名無しさん:2011/08/29(月) 01:07:37.51 ID:???
20年前当時、コミックスの最期のファンレターでは「武吉」という説が
50マロン名無しさん:2011/08/29(月) 01:16:03.99 ID:???
>20年前当時
こら!
そんな昔だと作者生まれてないかも知れんぞ
51マロン名無しさん:2011/08/29(月) 21:58:10.46 ID:???
フィリップス上議院議員の声を入れていた声優が亡くなったぞ
52荒すじ呂彦 1/5:2011/08/29(月) 21:59:04.09 ID:Mc5BA/0l
フレッシュジャンプ 1982年3号読切作品<魔少年ビーティー・後編>


 ―翌日、早朝4時過ぎ…―
眠そうな友人を急かし、ビーティーは犯行現場のるおいライターの家へ侵入する。
昼は警察がうるさいからと、早朝に侵入する事にしたのだ。
…とはいえ、ドアのカギはどうやって開けるのかというと…… クリップ付針金を郵便受けに差し込んだ。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110829214248.jpg

無事ドアは開き、堂々と土足で家宅不法侵入を図る2人。
手さぐりで明りのスイッチを入れると、そこは偶然にも殺人現場だった!
友人は気味悪がりながらも、ここで何をするつもりかと問う。
「冬子さんを無罪にする証拠を探すんだよ!」
『でも、無罪にするって… 冬子さんは自分でやったって認めたんだよ!?』
友人の叫びを無視し、ビーティーはふと、死体の手の部分にあった絨毯の傷を見つける。
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「いいかい…?
 1:背中を刺した事! 2:凶器の指紋! 3:部屋は全て中から鍵! 4:自供!
 刑事がこの部屋に入った時は、冬子さんは気を失って倒れていたんだ!
 どんな名弁護士だってどうする事もできないよ」
「つべこべうるさいんだよ!」
「無罪の証拠がなかったらどうするのさ!」

「でっちあげるさ…… どっかの誰かを無理矢理、身代りの犯人にしてやる…」

『そんな無茶苦茶な〜〜〜!!』
「その油絵に気をつけろよ、まだ絵の具が乾いてないみたいだぜ」
油絵の前の友人に警告する   …が、時すでに遅し。絵の具が服にくっついてしまった。
友人は油絵から離れると… 油絵の一部分に“何か”が顔を覗かせていた。
油絵からその何かを引っぺがすと、なんと油絵の中にビニール袋が埋まっていた!
袋の中にあったのは写真だった。 何の写真かと見てみると、友人は顔色を変える。
ビーティーもまた写真を見て、わずかながらに顔色を変えた。
53荒すじ呂彦 2/5:2011/08/29(月) 21:59:30.83 ID:Mc5BA/0l
そして―――― 夜が明け、ビーティーは刑事を殺人現場に招いた。
「何の用かね? 私をこんな所へ呼び出して… えーと、ビーティー君だったね」
「中川冬子さんは殺人犯ではないという事を証明しようと思いまして、刑事さん…
 彼女は 無 実 で す ! 」
「待ちたまえ!君は何を言い出すんだ!?」

「ルポライターを殺したのは―――――― 刑事さん、 あ  な  た  です!』

そんな事を言われては刑事も黙ってはいられない!
「この部屋に一番最初に入ったのは刑事さんだそうですね?」
「おいおい! 君は一体何をこじつけようとしてるんだ!?」


ビーティーの推理はこうだ。
事件当日、部屋に入った刑事は警官に医者を呼ばせ、一度この部屋から遠ざける。
「ぼくは15歳の少女の力で、15pものハサミを根元まで刺すなんて、とても考えられなかったのです」
「話につきあっておれんな… 少女は自分でやった、と犯行を自供したんだよ?」
やれやれと肩をすくめる刑事に、ビーティーはさらに証拠を突きつける。
『ここを見て! ここです、ここを見て下さい!」
ビーティーがさし示したのは、かきむしられたかのような絨毯の傷だった。これは一体何を意味するのか?

『ルポライターは死んではいなかったと言う事だ!
 冬子さんに刺されはしたが、“ ケ ガ を し て い た だ け ”だ!!』

ビーティーの推理、その2。刑事が部屋へ入ってきた時、ライターはまだ息があった。
刑事の姿を見たライターは助けと医者を求める――…。


「やれやれ、カスみたいな小僧のカスみたいな戯言は聞いておれんな! 疲れる…」
「それじゃあ、決定的な証拠を!」
ビーティーは自慢の手品で写真を一瞬で取り出すと、その写真を刑事に見せつける。
写真を見た刑事は―――― ゲッ!と青ざめる!
54荒すじ呂彦 3/5:2011/08/29(月) 21:59:43.85 ID:Mc5BA/0l
「その写真に写っているのは刑事さんですね! 隣にいるのはある暴力組織の男!
 それは 金 の 受 け 渡 し現 場 の 写 真 だ !!
 ルポライターがこれを嗅ぎ付け、あなたを強請ってたんでしょう!?』


ビーティーの推理、その3。
強請られていた刑事はルポライターがケガを追っているのを見て、ハサミを踏んづけ深く刺した!
「死ぬんだ!医者が来る前に… 君は私をゆすっていたからね!」
絨毯にあった傷は…… とどめを刺される瞬間、苦痛に絨毯をかきむしった跡だった。
                            ――これが今回の事件の真相だ!


『傷は一つだが、2度刺された事になるんだッ! そして冬子さんは自分がやったと思い込んだ!』
「坊や! 残りの写真も渡したまえ 写真とネガは全て回収したと思ったのに…!」
するとビーティーはおもむろにナイフを取り出した?!
「な… なんの真似だ? そのナイフは」
「なんとなく出してみただけです、すぐしまいますよ」
刑事は証拠写真を渡せと叫ぶが、ビーティーは新聞社に売ると言って拒否する。
――すると刑事はついに拳銃を向け、実力行使に出た!
「小僧!つけあがるんじゃねぇ! 大人をなめるな、よこすんだよ!」

『かかったなッ! 拳銃を出した事によって、自分で自分の罪を全て認めた事になったんだッ!!』

ビーティーは指を突きつけ―――― 輪ゴムを刑事の顔に向けて弾いた!
…刑事が一瞬ひるんだ隙に、ビーティーの姿は部屋の中から忽然と消えていた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110829214316.jpg

刑事が部屋を探していると、突如ガラスが割れ、友人とカメラを構えた叔父が現れた!
『今の話、全部聞いたぞ刑事さん! 拳銃を捨てるんだ!』
55荒すじ呂彦 4/5:2011/08/29(月) 22:00:33.45 ID:Mc5BA/0l
                           <エピローグ>
                   …こうして、中川冬子さんは無罪になりました
           そして刑事と暴力組織の繋がりは、一人の新聞記者によって紙上にスッパ抜かれ
              繋がりのあった警官は、他にも数人いた事が明らかになったのです……


――しかし、物語はこれだけでは終わらない。
 
                           …ところで…
                      ぼくが油絵の中から写真を見つけた時、
                ビーティーには見せないで隠した… 1枚の写真がありました


自室にてその写真を眺める友人。
その写真とは―――― 中川冬子が、時計を 万 引 き した瞬間の写真!


                       冬子さんも強請られていたのだ!
              ルポライターの家に行ったのは、この写真のためだったのだ!
             この写真が公になる事により、過剰防衛ながらも殺人犯になった方が
                 少女のプライドとしてカッコいいし、逆に同情も集まる!
                       ……冬子さんはそう考えた……!

                   …とすると、冬子さんは正当防衛ではなくて、
            殺意をもってルポライターにハサミを突き刺したのではないか……!!??
56荒すじ呂彦 5/5:2011/08/29(月) 22:00:57.90 ID:Mc5BA/0l
       事件の真の真相を知った友人は、この写真をビーティーに見せるべきか否か悩んだ。
                     だが、あのビーティーの事だ。
     きっとこの写真を見せても「お、スイス製の時計じゃないか」とクールに済ませるだろう。
       しかし、心の底は違うのだ。自分は魔少年のくせに、冬子さんが悪女と知ったら… きっと…

                   ビーティーとはそんな不可解な所のある少年なのだ
                       …そして、ぼくの親友なのです

事件の真の真相を隠すべく、友人はその写真を破り捨てたのだった。           <終わり>

おまけ・密室での消失のトリック:
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110829214328.jpg
57マロン名無しさん:2011/08/29(月) 23:39:53.93 ID:???
刑事が真犯人かよ!
まあ、誰かに罪をなすりつけるより真犯人を探した方がよっぽどいいけど…
58マロン名無しさん:2011/08/29(月) 23:42:13.45 ID:???
> しかし、心の底は違うのだ。自分は魔少年のくせに、冬子さんが悪女と知ったら… きっと…
一筋縄ではいかん後味の話だなー

>おまけ・密室での消失のトリック:
わざわざ現場にそのためだけに巨大鏡をもちこむとは
ちょっと真似できんすごさがあるのうこの子は
59マロン名無しさん:2011/08/30(火) 02:10:57.40 ID:???
鍵を開ける手口とか描いてもいいのか…?
60マロン名無しさん:2011/08/30(火) 19:38:46.93 ID:???
よっぽどしっかりした針金?じゃないと無理そうだが…
てか、集英社、これって犯罪だろ
61マロン名無しさん:2011/08/30(火) 21:20:37.33 ID:???
針金ってかフレキシブルチューブっぽいな。曲げた状態が保持できて捻じれが起こらないタイプの奴。
クリップを嵌める時点でかなりのテクがいるので、良い子にはそうそうマネできないから大丈夫だろう。
62マロン名無しさん:2011/08/30(火) 23:05:03.56 ID:???
だがこれがヒントにならないとも限らない
同じ手口で同じ犯罪がリアルに起きたら責任取れるのか、荒木と集英社
63マロン名無しさん:2011/08/30(火) 23:16:06.30 ID:???
漫画内では十分リアリティがありそうでいて
実際にやろうとすると現実味がない

犯罪(実演)系のサスペンス漫画としては最高の見せ方だな。
64マロン名無しさん:2011/08/30(火) 23:44:32.29 ID:???
ビーティーが大人になったらどんな人物になるのだろうか…
殺人も平気でやる凶悪犯になるのか、それともルパン3世みたいな大泥棒になるのか。
65マロン名無しさん:2011/08/30(火) 23:46:35.29 ID:???
これで連載はできないだろ
66マロン名無しさん:2011/08/30(火) 23:50:14.80 ID:???
よく刑事が逆上して撃って来なかったな
67マロン名無しさん:2011/08/31(水) 00:05:57.75 ID:???
漫画家になって
きみが今読んでいるような漫画を描いているかもしれない
68マロン名無しさん:2011/08/31(水) 00:32:00.30 ID:???
将来ビーティーと友人の子孫が一緒に星間運送船デリンジャー号に乗る事になるのかも知れない
69マロン名無しさん:2011/08/31(水) 00:40:27.92 ID:???
ヒロシ・ムギカリ二級航海士(エンジン技師)
70マロン名無しさん:2011/08/31(水) 20:30:05.76 ID:???
ムギカリじゃなくタケモトだろ、バージニアの主人公は
71荒すじ呂彦 1/6:2011/08/31(水) 22:00:56.55 ID:PE9wOww8
週刊少年ジャンプ 1983年42号『魔少年ビーティー』連載開始

  <第0話:ビーティー登場!!の巻>


冒頭、下校中の中学生の少年が物語る。

            できすぎだ…と言ってお笑いになられるかもしれないが…
         ぼくが初めてその少年に会ったのは、13日の金曜日、13時13分であった

「ちょっと、そこの君!」
唐突に呼ばれ振り向くと、そこには紳士の様な服装の三白眼の少年と、サングラスをかけた老婆がいた。
どうやら転校生と保護者らしく、老婆は校長室はどこかと聞いてきたので少年は場所を教える。
「ありがとう… 行くよビーティー、上着のボタンをちゃんとしなさい!」
ビーティーと呼ばれた少年は、しばし冒頭の少年の顔を見ていたが… 急に苦しみ始めた!?

「グムムム! う… 生まれる、卵が! 卵が生まれるッ!」
突如口から卵をポコポコといくつも吐き出すビーティー! 一体どうしたというのか!?

パニクる少年を見て、ビーティーはニヤリと微笑み種を明かす。
「手品だよ、ほんの手品! 口から出るのは1個だけで、あとは手の中に隠し持ってるんだ」
ケロリと説明するビーティー。あの苦しさも仮病だったのだ。
『何をしておるんじゃ、ビーティー!早く来なさい!』
「はい、おばあちゃん」
――――後には、口をあんぐりと開けあっけにとられる少年がいた。
72荒すじ呂彦 2/6:2011/08/31(水) 22:01:12.45 ID:PE9wOww8
  <第1話:サマーキャンプ事件の巻>


冒頭、読切版と同じように読者に挨拶し語り始める、冷や汗だらけの名もなき少年。

「なんと申しましょうか… ぼくは以前、親友のビーティー
 (B.Tはイニシャルであり本名は言えません)に関するエピソードを一編だけ公表しましたが
 ここに再び彼を紹介する事を決心しました
 そこで順序として、ぼくが初めてビーティーの恐ろしさを知った『サマーキャンプ事件』を…
 関係者からの怒りと復讐を覚悟してお話ししましょう
 社会的ダイナマイト 一触即発的 良心罪悪感ゼロ的 猛毒セリフ的 悪魔的計算頭脳的
 今世紀最大的犯罪少年の、身も心も凍り付くエピソードです!」



 ―キャンプ場―
生徒達が元気よく行動する中、ガラの悪そうなクソガキ2人組が気弱そうな少年の肩を掴む。
「先生の口止めされてんだけど… 昨晩、君の家が火事でご両親が焼け死んだそうだな、気の毒に…」
動転した気弱少年は荷物を落とし、あわててその場から駆け出した。
その様子を見て笑い転げるクソガキ共は、足元の虫に気づくと踏み殺してしまった。


湖でボート遊びするクソガキズは、一人でボートに乗るビーティーの姿を見かける。
「見ろよ、黒山… この間転校してきたビーティーとかいうチビだぜ」
「ちくしょう! あいついつも耳をなでているんだぜ! 生意気な奴なんだぜ!」
黒山達はビーティーに近づき、あの気弱少年と同じ嘘を吐こうと近寄る。
「君、C組のビーティーってんだろ?ちょっと来いよ、いい事オセーテやるよ!」

「ぼくの両親が火事で死んだって事なら知ってるよ」
あっさり返され、そのまま立ち去るビーティーを気に入らないと悔しがる黒山達。
…その後、女の子にモテるビーティーをことごとく気に入らないと吐き捨てる黒山達。
(↑ビーティーがマキを運んでくれた)
73荒すじ呂彦 3/6:2011/08/31(水) 22:01:28.40 ID:PE9wOww8
「生意気な奴だ! 気に入らねェ!」
トーテムポールの横で無意味に鉄アレイで筋トレに励む黒山。
「黒山〜〜 君も少しくらいマキを運んでくれよ」
「なんだと!? お前が全部運ぶんだよ!それとも何か? オレ様とやりあおうってのか!?」
メガネはしぶしぶ承諾するが、その後ろからビーティーがやってくるのを見る。
「いや待て! ちょうどいい所へお客が来たぜ!」

黒山は木の陰から足を引っ掛け、ビーティーを転ばせる。
マキが散らばったついでに自分達のマキも運んでくれないかと命令するが、ビーティーは自分のマキだけを拾う。
『何してるッ! オレ達のマキを運べと言ってるんだ! お前ンじゃあねえ!!』
黒山は叫びながらビーティーのマキを蹴飛ばし、その大声に周囲の生徒も気づく。
「痛い目にあいたくなかったら、オレ達のテントまで運ぶんだ」
――するとビーティーは無言で立ち上がる。

「……お前らに一つだけはっきり言っておく!
 いいか!お前らとぼくは精神的に身分が違うのだ! ぼくは精神的貴族に位置する!
 したがってぼくへの命令は許さんッ! お前らの様なブタに命令はされないし、関わりも持たないッ!!』

『何を言ってるか分からないが、この野郎!』
怒った黒山は殴りかかり、大きく吹き飛ばされるビーティー。
しかし、今だ睨み付けるビーティーの目が気に入らず、黒山とメガネはさらに暴行を加える!
冒頭の少年は黒山を止めようとするが、力バカの黒山にはかなわずあっさり殴られてしまう。


…その内、ビーティーはトーテムポールの前で立ち上がれなくなってしまった。
「起き上がれまい…フン! いいか、その痛さを忘れるなよビーティー!
 今度オレ達に逆らうと同じ目にあうぜ!」
黒山達が立ち去った後、少年は大丈夫かと問うとビーティーは起き上がり、耳を撫ではじめた。
「…この罪は大きいぞ! …ブタ共に“くらわして”やらねばならん!」
「…え? な なんだって…? 今、何か言ったかい?」

『くらわしてやらねばならん!  然 る べ き 報 い を ッ !! 』
74荒すじ呂彦 4/6:2011/08/31(水) 22:01:43.03 ID:PE9wOww8
その後、黒山達は湖のほとりにいた。
黒山はメガネの海パンをずりおろすと、尻に生きたトンボを入れメガネはしこたま驚く。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110831205810.jpg
そして泳いでいる生徒達にどけと叫び、傍若無人に飛び込む。
泳いでいた少年は鼻血を出してしまい、一旦シャワー室へと戻る。

するとそこには―――― 何やら虫を持って不気味に微笑むビーティーがいた!

「これかい? 日本最大かつ、凶暴な大スズメバチだ 今捕まえてきた」
「で… でかい! もちろん死んでるんだろうね?」
「いや、生きてるよ 麻酔で眠ってるだけさ」
『 生 き て い る !? 』
「この針を見ろよ… こいつはミツバチと違って何度でも刺せるんだ
 痛みは激しいぜ! ハチに刺されて死ぬって事件はこの種類なのさ!
 それにこいつは凶暴なんだ、普通のハチは巣を刺激しない限り襲ってこないけど、こいつは違う
 そばに近づいただけで攻撃してくるんだ!」
「そ… そのスズメバチをどうしようってんだい?」
「ここにあるウスバカのズボンのポケットに入れるだけさ、
 この怒りの友人が眠りから覚めた時が見ものだよ」
――そう言うと、おもむろに黒山のズボンのポケットにオオスズメバチを忍ばせた!
ビーティーはついでに黒山のポケットを探ると、なんと飛び出しナイフを見つける。

<オオスズメバチの捕獲方法:ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110831205822.jpg
(※万一失敗しても、作者も2ch運営もあらすじ書きも責任を負えません!)

「なぜ全てを君に話したか、わかるかい?
 ――あの時、君一人だけぼくを助けようとしてくれた…
 他の奴はただ黙って見ていただけだったが…
 君は信用できる人間だ!今の事は誰にも言わないでくれるだろう?」
ビーティーは着替え終わると、そのままシャワー室を後にする。
あとには、鼻血が出っ放しなのも忘れ呆然とたたずむ少年のみが残された…。
(な… なんて恐ろしい少年だ! ま… 魔少年……!)
75荒すじ呂彦 5/6:2011/08/31(水) 22:01:56.73 ID:PE9wOww8
その後、少年は黒山の様子が気になりしきりにチラチラ横目で見ていた。
メガネは黒山が夏場なのに冬服を来ている事が気になり、熱くないのかと聞く。
…が、聞いただけなのに黒山は激しく怒鳴り散らす!
黒山はチラ見していた少年の気づくとこれまた怒鳴り散らし、少年は思わずビーティーを見る。

――ふと、黒山を中心に何かブーンブーンと妙な音が鳴り始めた。ハチが目覚めたのだ!!

メガネは音源が黒山のポケットから聞こえる事に気づいた。
奇妙に思った黒山はポケットに手を伸ばす  ――――が、講義中だったらしく教師に注意される。
「関係ないだろう…! いいから話を続けろよ、先生!」
黒山は教師を一喝すると、再び恐る恐るポケットに手を伸ばし……… 入れた!!
「あれ? 音がやんだぞ、何も聞こえない… カラッポだ、何も入ってねぇや!」
なんとポケットはカラッポだったのだ! ビーティーと少年はその事に驚く!
「一体何の音だったんだろうな? 赤川、お前のポケットはどうだ?」
ここに来てようやくメガネの名前判明。

赤川もポケットを探ると―――― 中指にオオスズメバチが止まっていた!!

ハチはカチカチ威嚇音を出すと、赤川の手を刺し飛び上がる。
激痛に苦しみのたうつ赤川を見て指さしながらバカ笑いする黒山。
――ビーティーは入れるポケットを間違えたのだ! 魔少年ビーティーは単純なミスを犯した!



…その晩…… 花火の打ち上げ音と共に、女生徒の悲鳴が聞こえた。
何事かと向かってみると―――― そこにはナイフで腹を刺され、痙攣する黒山の姿があった!
それを見て少年は瞬時に理解した。きっとビーティーがやったのだ!
…気づくと、麦わら帽子をかぶったビーティーが少年の後ろにいた。
「君はこのぼくが黒山を刺したと思ってるんじゃないかい?
 予想以上の結果になってしまったようだが――――」
「そ… それは…」
76荒すじ呂彦 6/6:2011/08/31(水) 22:05:24.69 ID:PE9wOww8
「ぼくはあいつらとは違う、ナイフなどという暴力は使わないよ!
 犯人はあいつの友人――――――  赤 川 だよ」

その証拠に、今だ息のある黒山はうわ言のようにしきりに「赤川にやられた」と呟いていた。
「で… でもあの二人は仲良しだったんだよ…! な なぜ!?」
「仲良し? はたしてそうだったのかな? ブタどもに信頼とか友情は無いのさ!
 ぼくは赤川の耳元で“ある事”をささやいたのさ……
 ハチに刺された赤川はそれをモロに信じてしまったようだ!」
『な… 何を赤川君に言ったんだい!?』


         全て彼の計算だった! ビーティーはポケットを間違えてはいなかったのだ!
                  魔少年! や… やはりこの少年は魔少年だ!
               彼のささやいた言葉が赤川の傷害への引き金となったのだ!
                      ――――その言葉とは!

「“赤川君、ぼくは見たよ 黒山君が君の服に、何か虫みたいな物を入れるのを”
 ――――と、言っただけさ………」

ビーティーの言葉が少年の脳裏にこだまする。

        ビーティーの言葉はウソじゃない! 赤川を勘違いさせるようなトリックだったのだ!
              ビーティーは泳いでいる時の ト ン ボ の話をしているのに、
                  ハチに刺された赤川はハチの事だと誤解したのだ
                    これがビーティーのやり方なのだ……
                                                        <続く>
77マロン名無しさん:2011/08/31(水) 22:07:47.53 ID:???
……お前らに一つだけはっきり言っておく!
いいか!お前らとぼくは精神的に身分が違うのだ! ぼくは精神的貴族に位置する!
したがってぼくへの命令は許さんッ! お前らの様なブタに命令はされないし、関わりも持たないッ!!
78マロン名無しさん:2011/08/31(水) 22:53:49.03 ID:???
何様だBT… ンな事言ったら逆にいじめられるっつーの
79マロン名無しさん:2011/08/31(水) 22:58:13.09 ID:???
赤川君、ナイフで刺すってやりすぎだろ・・・
黒山君は助かったのか?
80マロン名無しさん:2011/08/31(水) 23:02:45.44 ID:???
ケンカ売ってるに等しいな。
その割にボコボコにされてるし、計算で言ったわけじゃなく単に自分の矜持を立てる為だけに宣言したらしい。
ちょっと価値観の変わった奴だ、外国育ちとか何かなのか。
81マロン名無しさん:2011/08/31(水) 23:39:31.49 ID:???
>>79
個人的にはあんなジャイアンレベルの奴助からないでほしいな

さて、この漫画余程人気があったのか?まさか連載化するとは…
なんか連載化してからますますビーティーの悪行がひどくなった気がする
82マロン名無しさん:2011/08/31(水) 23:48:45.05 ID:???
>予想以上の結果になってしまったようだが

ウソだ!ナイフを見つけた時点で、こうなる事はわかってたんだろw
83マロン名無しさん:2011/09/01(木) 00:05:33.01 ID:???
だがてっきり読者に「BTがナイフで刺した」とミスリードさせるのは素晴らしい。
確かにBTは嘘は言ってないよな…
84マロン名無しさん:2011/09/01(木) 00:07:37.53 ID:???
>>79
しかし黒山の普段からの自己中、ハチに刺されても気遣いもせず嘲笑。
これは殺意抱いてもそう不自然ではないよ。

BTもマブダチに見えて実質親分子分の彼らの関係を見抜いていたのなら、
赤川を自分の陣営に抱き込むとかしてほしかったな。
85マロン名無しさん:2011/09/01(木) 00:16:08.93 ID:???
>赤川を自分の陣営に抱き込む

そんなことすると足がつきやすくなる上に

>お前らとぼくは精神的に身分が違うのだ! 
>関わりも持たないッ!!

だから、直接抱きこむとか組むとかでなく
BTの指示と思わせず間接的にそそのかし動かすのが一番キャラに合ってるだろ
86マロン名無しさん:2011/09/01(木) 01:28:04.95 ID:???
でもこれBTもかなりマズくね?ハチの方もナイフの方も一応殺人未遂事件だし当然、警察が入るだろう。

このまま黒山君が何も言わず死んだなら話は違うが、作中の様子ではどうやらこの後に助かったっぽい。
『赤川は虫の事をBTから聞いた』 『黒山はハチを入れた憶えは無い』 『BTが先日2人から暴行を受けて
恨んでいたであろう事は多くの目撃がある』 このくらいは事情聴取で普通に割れるはず。

勘違いしたのは赤川だから直接の傷害の罪には問われないが、故意に悪質な誘導をした疑いは普通に
持たれるし、いくら友人の少年が黙っていて計画を立証できなくても相当な嫌疑が掛かるのは間違いない。
証拠不十分で逮捕は逃れても今後は間違いなくブラックリストの筆頭。
BTは普段から良くこんなことしてるらしいから、いつかは足が着いてしまう。

赤川にあんな正面から直接虫の事を示唆してはダメだ。第三者等からさりげなく耳に入る様にして赤川が
自身の推測だけで行動したつもりにさせないと、後で落ち着いて考えればBTにハメられたと気付かれる。
87マロン名無しさん:2011/09/01(木) 11:14:50.85 ID:???
一応、コイツら12歳らしいから多分警察は入らない。
おそらく大した捜査もされずエスカレートしたガキの喧嘩として本人達だけの問題で有耶無耶にされる。
現行の少年法というのはかなりいい加減でヌルい。
88マロン名無しさん:2011/09/01(木) 14:15:06.30 ID:???
べつに正しいとか正しくないとかいうことじゃあないけど、ビーティーの言う
「精神的貴族」というのはなんとなく共感できる部分はあるな。
こういう黒山みたいな大した理由もなく人に迷惑かけて面白がっている自己中心的な
ゲスとは自分は別の人種であり、関わり合いにもなりたくないという気持ちは。

「精神的貴族」とは逆にこういう精神的にゲスな奴をうまく言い表す言葉は無いものか。
89マロン名無しさん:2011/09/01(木) 14:24:30.83 ID:???

>『くらわしてやらねばならん!  然 る べ き 報 い を ッ !! 』
魔太郎の「コ・ノ・ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ・オ・ク・ベ・キ・カ」みたいな?w

>オオスズメバチの捕獲方法
読切の時の鍵の開け方と違って、読者が真似をしないように予防線を張ってきたなw
90マロン名無しさん:2011/09/01(木) 15:45:55.46 ID:???
大スズメバチなら見たことあるな。おびき出すまでは簡単に真似できるだろう。

でも、無理!あんなのとても近づけねえよ! 絶対ムリ、怖すぎる!
91マロン名無しさん:2011/09/01(木) 17:45:42.10 ID:???
>>89
ああ、いじめられっ子が自分だけの世界で強がってるあの感じに似てるんだなw
>いいか!お前らとぼくは精神的に身分が違うのだ! ぼくは精神的貴族に位置する!

BTは堂々と相手に向かって言い放った上に、実際精神的に上に立ってるからカコイイけど
92マロン名無しさん:2011/09/01(木) 17:51:25.86 ID:???
まあでもスズメバチに接することができる環境に居て
漫画見てマネしましたみたいなバカがいたとすれば
そいつは漫画のせいとかじゃなく、生きていく上での常識を学べてない奴の自業自得なんじゃないかな
それで死ぬことになるかも知れんが、そういう痛い目に会わなきゃわからんバカ者だろう

自然とかが周囲からなくなって、
友達と遊ばず家でゲームウォッチやファミコンみたいなのばっかやる子供たちばっかりの時代になれば
そんな非常識な奴が出てくるかも知れんが
93マロン名無しさん:2011/09/01(木) 19:36:00.27 ID:???
ダメージを与えるだけなら、オオスズメバチじゃなくカミキリムシとかクワガタという手も考えられるな。
精神的ダメージならばゴキとか
94マロン名無しさん:2011/09/01(木) 20:19:08.64 ID:???
>>89
懐かし漫画板では、当時の青少年ならカエルの皮を剥いて、スズメバチを捕まえる度胸とハンドスピードは
当然のスキルだったそうです。実際にそこまで手際よくやれるかどうかは別にして。

俺は室内に入ってくるショウジョウバエを手で捕まえるのが精一杯です。
95マロン名無しさん:2011/09/01(木) 23:49:11.86 ID:???
96マロン名無しさん:2011/09/02(金) 03:04:29.24 ID:???
ズボンはいたら中にゴキブリが数百匹とかだと発狂しそうになるだろうな
97マロン名無しさん:2011/09/02(金) 11:31:22.43 ID:???
数百匹は入らんだろうけど、下手すりゃショック死しかねんぞ、それ…
98荒すじ呂彦 1/7:2011/09/02(金) 22:03:03.17 ID:Ng1MO5P4
  <第2話:イタズラ死体事件の巻>


冒頭、いつものように読者に語りかける、ストーリーテラーの名無しの少年。

「時々考えるんですけど…… お金ありますね…
 大昔は貝殻とか石ころだったそうですが、あれ… 最初に考えたの誰なんでしょうか?
 ……ぼく思うんです…
 最初にペテン師がいて、『これ値打ちがあるんだぜ』…って…
 ペテン師が貝殻を使い始めた… ペテン師は決して絶滅しませんね
 では、『イタズラ死体事件』をどうぞ…」


校庭のベンチに座り、人形腹話術の練習をするビーティー。
ビーティーはその上級生を速やかに事件に巻き込んだ。
「何だと? あのクソッタレの伊達の奴に制裁を加えるアイデアがあるだと?」
《ソノトオリダヨ、先輩…》
読切冒頭の番長の様な上級生が問うと、人形が答えたので驚いてしまう。
「まあまあ、気にしないで 腹話術の練習でして…」
気を取り直して、その方法を問う上級生。
――あ――… 人形、カタカナ喋りで変換しづらいので平仮名&《》表記で表します。(Byあらすじ)
《ケケケ… 面白ぇアイデアがあるんだよ》
「まず、ぼくの脈を見て下さい」
脈が伊達とどういう関係があるのかわからないが、言われるまま脈を測る番長。
「ドクンドクンいってますね?」
「あったりめぇじゃねぇか、いわなきゃ死んどるってこったぜ!」
再度、もう一度脈を測ると―――― 脈が…止まった!!??
「みゃ… 脈が止まった… ど… どうやって???」

恐れおののく番長を横目に、ビーティーは服に手を伸ばし…… ポンポン玉を取り出した??
99荒すじ呂彦 2/7:2011/09/02(金) 22:03:19.82 ID:Ng1MO5P4
「弾みだと? おいこら、弾みってなんだい!?」
そして伊達がひそひそ話をするのを見て、これまたビーティーは嫉妬の(ry


ビーティーの話によれば、たった30秒遅刻しただけでビーティーの頭をしないで小突き、
挙句の果てにはわざとらしく校長室の前で説教した怨みがあるそうだ。
友人もビーティーの気持ちはわかるが、何しろ伊達は美男子、文武両道、音楽の才能もあり、
剣道部の主将で信頼もあり、ユーモアのセンスもあり、お寺の息子で金持ちとまさに完璧!
「伊達さんは何やってもスーパーマンなんだ」
伊達の剣道の練習試合を見て、そう言う友人。

相手は打ち負かされ激しく壁にぶつかると、面を外し番長は怒りに叫ぶ。
『伊達! 貴様、わざと耳に打ち込みやがったな!』
「わざとだなんて… そんな…」
怒り心頭の番長は聞く耳持たず、腕まくりし伊達に向かってゆく!
すわケンカ勃発か!?   ――――と思ったが、顧問の教師に止められた。
『やめい! 神聖なる道場でそんな言葉づかいは許さんぞ、二ノ森!』 やっと番長の名前判明。
「ムカドタマ――――… 覚えてろ、伊達め〜〜」
ビーティーは彼も自分と同じ、伊達を嫌う仲間だと感じ取るが、ふと伊達が天妃子と一緒にいるのに気づく。

「ウヌ… おのれ伊達め〜〜〜 天妃子さんに近づく事は許さんぞ…
 見ていろ、然るべき報いをくらわしてやる 」



――――そして現在に戻り、物陰で伊達を待つ3人。
《いいですか、さっき教えた脈止めのトリックを使うんですよ》
わかってる、と言った瞬間…… 突如二ノ森は立ちくらみを起こし、倒れそうになってしまう。
ニノ森がぶつかったせいでビーティーは人形を落とし、よろめいたニノ森は人形を踏んづけてしまう。
二の森は大丈夫だと言うが、ビーティーは二ノ森の体を気遣い、明日にしようかと提案する。
「大丈夫だったら! すぐ実行するぜ、ムカドタマ――――! 伊達をギャフンと言わせてやるんだ!」
100荒すじ呂彦 4/7:2011/09/02(金) 22:03:37.11 ID:Ng1MO5P4
やがて伊達が現れ、二ノ森は突如木刀を持って襲い掛かる!
…が、伊達は竹刀を持っていたため、二ノ森の不意打ちをかろうじて防ぐ。さすが主将!
《二の森… お前の“演技力”がものを言うんだぜ》

ケンカが続くうちに、二ノ森の木刀は伊達の首から下げたお守りを偶然奪い取ってしまう。
このお守り、伊達の祖父の形見らしく、お守りを取られた伊達は激しい燃える!
向かってくる伊達をよけようとした二ノ森は足を滑らせ転倒… 大きな石に後頭部をぶつけてしまった!
『やった!いい演技だ!』
《ビーティー! いよいよお前の出番だぜ!》


      ビーティーの脈止めトリックを応用した計画というものが何となく分かりかけてきた!
               しかし、ビーティーはこの恋敵をどうするつもりなのか!?
                …だが、この計画は意外な方向に進行していく……!


ピクリとも動かない二ノ森。ビーティーは倒れた彼に近寄り、後頭部に触れると血が出ていた。
「死んでいる… 石で頭を打ったんだ」
その言葉に伊達は激しく動揺し、二ノ森の脈を測るが、もちろん脈は無い。


                  伊達さんは完全にビーティーのペテンに落ちた!
                 もちろん血は赤インクで、脈止めのトリックを使い
                 心臓の所は厚紙を入れ、呼吸も少しの間止めている


腰を抜かし、恐怖と罪の意識に怯える伊達。
「こ… これは事故だ! 弾みの事故だ――――っ!!
 な… 何て事だ… ぼくは今まで何もかも、完璧にやってきたのに…
 来年は高校受験で、この事はぼくの人生に大きく関わってくる…
 なあ! 君達見てただろう!? これは事故だよな!? 事故と言ってくれ!!』
必死の形相でビーティーの腕を握りしめ、懇願する伊達。
101荒すじ呂彦 5/7:2011/09/02(金) 22:03:50.89 ID:Ng1MO5P4
「今… ちょいと思いついたんですが… 一つだけいい方法があります
 いいですか…? この事を知っているのは…ぼく達3人だけですね?
 ぼくらさえ誰にも話さなければ… 警察はただの事故と見るでしょうね」
「そ そ… そうしてくれるのかい?」
「ええ… いいですよ、会長さんですもんね ただし二つ条件がありますが…」
「条件? な…なんだ、条件とは?」
そこでビーティーは腹話術人形を操る。

《口止め料として…… 10 万 円 く れ !! 》

――ついに言ってしまったと嘆く友人、驚愕する伊達。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・わかった! 10万円払おう!」
しばし悩んだが、二つ返事で了承する伊達にニつ目の条件を言い渡す。
「二つ目の条件は…… 兵堂天妃子に二度と近づかない事だ!」
今回の件と天妃子にどういう関係があるのかと憤るが、結局あんな女どうでもいいと条件を呑んだ。
「“あんな女”だと!」
…まあいい。とりあえずこれで契約終了。あとは伊達が10万持って来ればこの事は秘密にする。
――ふと、友人は気づくとニノ森の白目にハエが止まっている事に気づく。
こんな状態でもじっと我慢して、よだれまで垂らすとはすごい演技力だと感心する。


伊達が走り去ったのを見てほくそ笑むビーティー。
「フフフ… ついにやったぞ! すぐに金を持ってくるとよ」
ビーティーはニノ森にお疲れさまと合図し、何やら人形をゴソゴソし始める。
すると中から取り出したのは―――― テープレコーダーとカメラ!
「伊達のしゃべった事、うまく録れてるかな…」
再生してみるが、予想外の事態発生!なんとどっちも壊れているではないか!
…そうか、あの時… ニノ森がよろめきぶつかり、人形を落とした時に踏んで壊してしまったのだ。
「くそ――――… 不安だが、まあいいか…」
102荒すじ呂彦 6/7:2011/09/02(金) 22:08:01.92 ID:Ng1MO5P4
ふとビーティーはニノ森に目をやるが、ニノ森はぐったりしまたままだ起きてこない。
「に… ニノ森さん、もう演技はおしまいですったら…」
最悪の事態を予想し、ビーティーも友人も声が上ずり青くなる。
念の為、頸動脈や瞳孔を確認するが、様子がおかしい!ついにビーティーは腰を抜かし……

「た… 大変だ、 本 当 に 死 ん で し ま っ て い る ……!!」

その言葉に友人は驚き大声を上げ、ニノ森の体をゆすって起こそうとする!
『よせ、死体に触るんじゃない! ――なんてこった!本当に石に頭をぶつけちまったらしい…」
これにはさしものビーティーも動揺してしまう。
すると数人の足音が聞こえ、振り向くと…… 伊達が教師や生徒を数人連れてやってきた?!

「先生! ぼくは目撃しました! この二人がニノ森君の足を引っ掛けて転ばしたのを!!
 そしてニノ森君は頭を打ったらしく、ぐったりしてしまいました!
 この二人がやったのです! この二人が犯人です!!』
――なんとここに来て、伊達は自分の信頼性を利用し罪をビーティー達になすりつけようとした!
《グググ… 伊達め… さすが成績優秀の事はある!
 悪知恵もなかなかのものだ… さーて、どう切り抜けようか…?》
ビーティー達と伊達では信頼性が全然違う! ビーティーが言い訳してもきっと信じてもらえない…。
しかも最悪な事に、反論する証拠は何もない… 一体どうするのか!?
すると左袖をまくったビーティーは、千切れ飛んだ伊達のお守りを拾い上げる。
『お守りの聖霊よ……  真 実 を 教 え た ま え !! 』
そう叫ぶと、おもむろに左手にお守りを何度もこすり始めた……。
伊達が止めるのも構わずビーティーはお守りで腕をこすり続ける。
すると―――― 腕に何やら血の様な文字が浮かんでくるではないか!

“ 殺 し た の は 伊 達   ゆ る さ な い ”

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腕に真犯人を指し示す呪いの文字が現れ、伊達は悲鳴を上げ腰を抜かす。
『こ… これは事故だったんですッ! ヒィッ!! ぼくじゃない… 事故だったんだ――――ッ!!』
救急車がやってくるが、教師達は一体何が起こったのかさっぱり事態が飲み込めないでいた。
103荒すじ呂彦 7/7:2011/09/02(金) 22:08:22.06 ID:Ng1MO5P4
すると―――― うめき声と共に、ニノ森がムクリと起き上がった!!!???

一同、呆然とする中、ニノ森は目をこすり…
「一体何の騒ぎだい? ビーティー、10万円は手に入ったか?」
――――まさかのオチに、友人はスッ転び一同はあっけに取られたのは言うまでもない。



                          <事件後記>
                       …全く人騒がせな事件でした
            ニノ森先輩を診た医者の話によると、伊達さんとの剣道の試合中に受けた
          右耳上の打撲が軽い脳震盪を起こしており、その為意識が消失したとの事である
          これは、打撲した3時間後(死んだふりをして脈を見た後)に意識不明になったのだが、
                    こういうケースはよくある事だそうである
               そして、ビーティーは瞳孔の散大を死んだと勘違いした訳である
                  ――この事件の後、ニノ森先輩は治療の為入院した


…その後、伊達はどうなったかと言うと…天妃子にフラれていた。
「伊達君、事件の話は全部聞いたわ! 責任を下級生になすりつけようとしたんですってね…
 ガッカリしたわ… さようなら!」
物陰で事の成り行きを見たビーティーは、自分の代わりに人形を笑わせていた。
                                                      <続く>

おまけ・皮膚文字トリックの種明かし
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104マロン名無しさん:2011/09/02(金) 22:13:11.77 ID:???
ムカドタマ
105マロン名無しさん:2011/09/02(金) 22:20:26.87 ID:???
ボタンからシャツが取れた
106マロン名無しさん:2011/09/02(金) 22:34:05.23 ID:???
伊達先輩、明確に悪ガキの黒川よりタチが悪いね。
107マロン名無しさん:2011/09/02(金) 22:42:45.62 ID:???
伊達ざまあwww
108マロン名無しさん:2011/09/03(土) 14:11:15.05 ID:???
ビーティーはクールなようでも、読切の時から女の子に関してはそうでもないなw
ムキになったり変に純情だったりw

伊達は性格がゲスでよかったw
これで出来杉みたいに性格まで良かったら完璧超人すぎてスッキリしないところだったw
109マロン名無しさん:2011/09/03(土) 16:57:44.79 ID:???
このムカドタマ先輩って前にビーティーとコインで勝負して100円取られた人?
こんなんでもビーティーにとって信頼のおける精神的貴族なんだろうか。
110マロン名無しさん:2011/09/03(土) 18:36:59.89 ID:???
つまりこういう事だろう

ムカドタマ=100円くれるカモ
赤黒コンビ=ただのいじめっ子

111マロン名無しさん:2011/09/03(土) 21:10:07.79 ID:???
100円番長さんは負けたらちゃんと金払うからな。黒山はたとえ100円でも払うまい。
払えないものを賭けたりはしないプライドがレフェリーだ。
112マロン名無しさん:2011/09/03(土) 21:51:34.39 ID:???
しかし、伊達の性格が下衆なおかげで事態が好転したとも言えるな。
本当にムカドタマが死んだとしても勝負を挑んできたのは向こう。
伊達が小細工なんかせず潔く自分の責任ですと認めれば彼の人望ますます沸騰のおそれもあった。

まあ、なんにせよクズ人格のくせして対外的には完璧な奴が墓穴ほるのは爽快だな。
113マロン名無しさん:2011/09/03(土) 22:44:39.24 ID:???
>「何がブライドがレフェリーだ!」
武装ポーカー懐かしいなw これ、ビーティーの友人も言いそうだなw
114マロン名無しさん:2011/09/03(土) 23:34:57.69 ID:???
武装ポーカーの「誰にもわからない方法でイカサマ」ってずるいよなw
これだけ面白いからこそ許せる技だ。
いま新人でこのくらい面白いのが載ったら話題なのにな。いねーよなー。
115マロン名無しさん:2011/09/04(日) 14:04:36.73 ID:???
>>112
>クズ人格のくせして対外的には完璧な奴が墓穴ほるのは爽快だな
腹の底から“ザマミロ&スカッとサワヤカ”って感じだなw
116マロン名無しさん:2011/09/04(日) 19:26:18.47 ID:???
>>105
そのユーモア面白くないし、ジェームス・ディーン似の美男子って、どこがやねんと言いたくなるな。
117荒すじ呂彦 1/8:2011/09/04(日) 21:59:53.60 ID:s3KphTSv
  <第3話:おじさんX(エックス)事件の巻>


冒頭、湖のほとりで例によって少年のご挨拶。お前はいい加減名を明かしてくれと。

「なんと申しましょうか…ひどいもんでした、問題は大人です
 この湖で何が起こったのか…? 『おじさんX事件』です
 そう… ぼく達は自転車で釣りに来たんです、この湖へ」


魚を釣り上げた少年は容器に魚を入れると、唐突にビーティーは蓋をして何やらおまじないをかける。
…微笑みながら蓋を開けると、魚は忽然と消えていた!
上手い手品を見た少年は喜ぶが… 魚はどこ行った?   ――少年の帽子のつばの上でした。


少年は驚いて魚を容器の中に入れると、突如しげみからちょび髭を生やしたおじさんが拍手しながら現れた。
「いやぁ〜〜… たいしたもんだねぇ〜、その手品… 君のオリジナルかい?
 ナハハハハハ、魚を二匹使っているというのは推理できるんだがね…」
「おじさん誰?」
「おっと、こりゃ失礼 すぐそこの別荘の者だがね… 君達があまりに楽しそうなものだから」
するとおじさんは突如笑顔から厳しい顔つきになり、辺りを見回し始めた。
「…君達、ふたりっきりかい…?」
「そうで――――す、サイクリングなんで――――す!」
「自転車で?こんな人里離れた山奥まで? さすが若さだねぇ」

――直後、突然動物か何かのすさまじいうなり声の様な音が響き、2人は驚いた!

「な… なんでしょう…? 今の叫び声は…」
「声? 私にはなぁ〜〜〜んにも聞こえなかったがねぇ」
「確かに聞こえましたよ」
「この辺はいいとこだよ… 会社や家族から離れて一人静かに過ごしたいという時ここに来るんだよ
 ……ん? 何かね、私の顔をじっと見つめているけど…」
118荒すじ呂彦 2/8:2011/09/04(日) 22:00:21.39 ID:s3KphTSv
ふと、ビーティーはおじさんの顔を見つめ、ひげが“付けヒゲ”である事を見抜く!
図星を突かれたおじさんは慌ててひげを隠し、少年は失礼な事を言うなと怒鳴る。
   コロコロコロ……  そんな2人の横を、見慣れた物(タイヤ)が転がっていく。
次にハンドルが落ち、サドル、ネジ……??

――振り向くと、軍服の様な服を着た男が2人の自転車を分解しているではないか!

2人は怒って男に近寄るが、こちらを見た男の顔は…… いかにもアブない目つきをしていた!


           いきなり起こった出来事に、ぼくには何がなんだかしばらくわからなかった!
            こいつは誰だ! 誰なんだ!? なんでぼくらの自転車を分解しているのだ!?
                ――ところが、それ以上に驚いた事が次の瞬間起こったのだ!


『貴様ら敵国のスパイだな――――ッ! 貴様らを捕虜にする!』
おじさんはコートを脱ぎ捨てると、彼もまた軍服を着ていた!
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そしてドイツ風の制帽をかぶり態度を豹変させ身分を明かす。

『私は強制捕虜収容所の所長なのだッ!!』

おじさん…改め所長は部下に命じ、2人をフン縛る。
「突然で驚いたが、この二人は知り合いか?」
「お… おじさん 冗談はよしてロープをほどいて下さい… おじさんってば」
『おじさんではないッ!! 強制捕虜収容所所長と……  言っとる…… だろうがッ!!』
怒り狂う所長は部下に命じ、少年の顔を湖の水面につけもがかせる!
『何しやがるんだ!』
怒鳴るビーティーをやかましいと鞭で叩き、不気味な笑みを浮かべる所長。
「フフフ… 今までは犬や猫を狩って遊んでいたが… 今日は君達相手に遊ぶとしよう!
 私と一緒に遊んでくれるね?」
…よく見ると、所長の足元には犬の白骨死体が転がっていた。
119荒すじ呂彦 3/8:2011/09/04(日) 22:00:37.01 ID:s3KphTSv
一方、男…改め兵士は少年のかわいさにキスしようと迫る      …が、所長にしばかれる。
『ばっかもーん! 命令以外の行動はするんじゃな――――いッ!!』
『わかった!おじさんは軍人のマネして自分に酔ってるんだ!!』
『閣下と呼べ! 二度とおじさんと言うんじゃない、このカスみたいなチビが!!』
「こりゃ救いようがないな… 骨の髄までサディストの独裁者になりきってる」
所長… もとい、閣下の態度に心底あきれるビーティー。
『しゃべるのをやめろ! 耳に穴を開けてやるぞ!』
しかしビーティーは動じず、堂々とおじ  閣下を睨み付け不敵に微笑む。

「さっさとぼくのロープをほどくんだ! さもないと犬や猫でやめときゃよかったと後悔しますよ」

ビーティーの好戦的な態度に、閣下はしばし黙り込み身震いする。
すると閣下はビーティーをいたく気に入り、ちょっとした“賭け”をしようと持ちかける。

「なぁ――――に、ほんのつまらん賭けでRよ
 見たまえ! あそこに民間人の自動車が駐車してるね?
 ドライバーは今、釣りをしている 知らん男だ… さて… 賭けと言うのはだね…
 これからあの自動車があのT字路を右へ行くか、左へ行くか…?
 坊や、君に賭けてもらおうという訳なんだよ… 簡単だろう?
 右か左か… どっちか言わんと、友人の鼻に切れ目を入れてやる事になるが…?」

友人を人質にとられては賭けるしかない。とりあえずビーティーは『左』を選んだ。
『曹長ッ! 左だァ――――ッ!!』
閣下は兵士に命じると、兵士は車へ向かって走り出す。
車を追い越し、近くの杭にナイフを突き立てると、ロープで車とビーティーの足をつなぐ。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110904214359.jpg
少年は口をガムテープでふさがれてしまうが、これが何かを理解した。 これは…『殺人ゲーム』だ!!

「フフフ これは公正な賭けだ、貴様が勝ったら逃がしてやろう
 車が左折すればロープも左に行くね…そしてあのナイフでロープは切断され、君は助かる…
 どうだ、公正な賭けだろう?
 …しかし右折すればそれは君の負けだ、私の知った事じゃない ヒャヒャヒャ」
120荒すじ呂彦 4/8:2011/09/04(日) 22:00:58.70 ID:s3KphTSv
…そうしているうちに釣り人が現れ、ロープに気づかず車に乗り込んだ。
閣下達が車に夢中になっている隙に、ビーティーは腕時計のガラスを割る。これでロープを切るつもりだ。
そして―――― ついに車は発進、たわんだロープが徐々に張り出していく!
ビーティーはロープを切るのに間に合わず、車に引っ張られ始めた!
『オレはこいつの叫び声が聞きたい! さあ、叫び声をあげろ! ハハハーッ!』

そして車は――――――『 左 』へ曲がり、ロープが切れビーティーは助かった!

『くそっ、生き残りやがったぞ! ハハハ――――ッ!!』


     …後でわかった事であるが、ビーティーは車が左に曲がる事はちゃんと知っていたのである
         車のナンバープレートはS市、左に行けばS市に着き、右へ行けばY市であった。
                       断然左に賭ける方が有利である!

      しかし! この二人、賭けに勝ったらぼく達を逃がしてくれると思っていたがとんでもない!
                  それどころか、もっと恐ろしい事が待っていたのだ…!
                           恐怖の限界だった!


「車の賭けに勝ったら逃がしてやるだと? さて……何の事だっけ」
予想通り約束をとぼける閣下。
「そう言うだろうと思ったよ、だがね… 車が左折する事は初めからわかっていたさ!
 ぼくには超能力があるからね、ざまぁみろだ!」


                ああっ! ビーティーはどうしてああいう態度を取るのだろう!
                   拷問が趣味の中年男と、腕が丸太みたいに太い男!
                こいつらがかんしゃくを起こしたら何をしでかすかわからない!
                    人殺しだってあっさりやってのけるに違いない!
121荒すじ呂彦 5/8:2011/09/04(日) 22:01:11.58 ID:s3KphTSv
『このハナタレ小僧が! よし、今度はガケから突き落として生き残るか確かめてやる!』
少年は逃げてどこかに隠れようとしたが、すぐに見つかり兵士に殴られる。
鼻血を出して気絶した少年を見て、ビーティーは怒りに震える…。
「許さん… よくもぼくの親友に不当な虐待を加えてくれたな!」
「くやしかったら何とかしてみろ、できまい?」
――直後、ビーティーはガラスで切ったロープをほどき、自由になる。
すると人差し指で銃の形を作り、狂った中年どもに指を突きつける!

『くらわしてやらねばならんッ!  然 る べ き 報 い を !! 』

ビーティーは小石を指に挟み、手を振ると小石が分裂する。
その小石を投げつけ、反撃ののろしに閣下のサングラスを割る。
激怒した閣下は兵士に処刑命令を出し、兵士は巨体を揺らしながら逃げるビーティーを追いかける!
森の中を逃げるビーティーだが、こういう時は小柄な方が有利!
逃げる途中で枝をつかみ、反動でかえってきた枝は兵士に目つぶしを食らわせる。
…が、いつの間にか回り込んだのか、ついに閣下に捕まってしまった!
少年は自分だけ逃げようとしたせいだと激しく後悔する。
もしビーティーが死んだら、自分も舌をかんで死んでやると心の中で誓う。

ビーティーを捕まえた閣下は、手始めに渾身のパンチをビーティーの顔にお見舞いする。
『やったぞッ! 次はブーツで気合を入れてやるッ!!』
閣下が蹴りを入れようとした瞬間―――― ロープの足輪に引っ掛け、閣下を転ばせる!

だが、一難去ってまた一難!今度は兵士に捕まってしまった!
「チョロチョロする小僧だぜ! 鼻をつぶしてやる…」
すんでの所で拳をよけ、空振りした拳はビーティーの後ろの木に当たり、兵士は激痛に悶える。
だがそれでもビーティーを掴んだ腕は放さない!
ビーティーは何とかこの腕から離れようともがき、ふと、車がやってくるが目に入った。

怒りの兵士は車にビーティーを投げつけようと、大きく持ち上げ―――― 投げた!
122荒すじ呂彦 6/8:2011/09/04(日) 22:04:23.11 ID:s3KphTSv
だが、ビーティーは投げられる途中、小石をフロントガラスに投げつけ一瞬早く運転手に注意を促した!
そのおかげでビーティーは轢かれずにすんだ。罵声は浴びせられたが。
「偶然だがおもしろいトリックのチャンスを見つけたぞ
 さあ! お前をいかれたように走らせてみよう!」
ビーティーはまたしても兵士に指を突きつけ、催眠術の様なまじないをかける。
「さあ、お前はダチョウになる… ダチョウになって走り回るのだ!」
兵士は一瞬苦しそうな声を出すと、突如車を追いかけ走り出した?!

『見たか! これであいつは死ぬまで走り続けるのだ!』

『あ… あいつに何をしたんだ――――ッ!!??』
「ちょっとした超能力だ!次はあなただ、念力で内臓をズタズタにしてやろう! 然るべき報いを!」
ビーティーは逃げながら枝を折り、指を突きつける。
…すると立てかけた枝を残し、閣下の前でビーティーの姿が消えていく??!!
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閣下は驚いて腰を抜かすが、ビーティーの声だけは聞こえてくる。

「ふふふ… さあ! ぼくの念力をくらうがいい!!』

恐ろしさに逃げ出す閣下       ――――の、後頭部に石が直撃! 気絶ッ!
…こうして軍人のマネゴトをした変態共はビーティーの手により退治された。
(ちなみにビーティーは、実は木の上にいた)


        ビーティーが使ったのはもちろん超能力ではありません、トリックなのです
     今のトリックのふたつのタネをみなさんにお教えして、このエピソードの幕としましょう

                 まず最初にダチョウのようになったトリックから…
      相手がビーティーを自動車に投げ込もうとした時、釣り糸を相手のどこかに縛り付けたのです
              ぼくの想像では、“ 歯 ”に結びつけたのではないかと思います
            そして釣り糸のもう一方の端を、自動車のバンパーかどこかに引っ掛けました
123荒すじ呂彦 7/8:2011/09/04(日) 22:04:38.29 ID:s3KphTSv
                車が走り出すと当然、走り出さずにはいられません
                  まるで正気を失ったようにみえたんですね
               だからビーティーは運転手に助けをこわなかったのです


                     続いて、ビーティーが消失したトリック
                  ビーティーの持っていた棒切れに意味がありまして…
                     まず相手はこの棒に注意と用心を向けます

                 続いて相手の目を一瞬だけ閉じさせる必要がありました
            それには輪ゴムを使いました、図のようにして相手の眉間にぶつけたのです
                         相手は一瞬目を閉じます

                     目を閉じた瞬間を狙って、棒の先に足をかけ、
                    踏み台として頭上の木の枝で逆上がりしたのです

                 相手は棒に注目していましたから、棒だけが残ったように見え、
                      最初に与えておいた“超能力”という単語と
                  仲間の異常な行動のトリックにひっかかった事が暗示となり…
                    まるで消えたようにみえたのです そして恐怖です、以上
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110904214426.jpg


ビーティーは気絶した変態のポケットを漁りだした。
「な… 何をしてるんだい?」
「いやね… ついでだからこのおじさんの持ってる金をいただいちまおうと思ってね…
 慰謝料 及び時計の修理代だな…   お、見ろよ!ガッポリ持ってるぜ!
 お前と二人で山分けだな、財布は親切で返しておいてやろう…」
――転んでもただでは起きないビーティーにあきれる少年。
124荒すじ呂彦 8/8:2011/09/04(日) 22:04:57.16 ID:s3KphTSv
(何てことだ… 今の今まで死にそうな目にあってたというのに…
 逆に相手のお金を盗っちまった… それも無邪気と言うか、楽しそうに…)

「何ぼけーっと突っ立ってんだ、自転車組み立てて帰ろうぜ!」


         これがビーティーと言う少年だ… そしてこともあろうか、ぼくの親友なのだ!
                                                      <続く>
125マロン名無しさん:2011/09/04(日) 22:28:58.84 ID:???
ビーティーかっこいい。
マジで惚れる。
126マロン名無しさん:2011/09/04(日) 22:50:49.71 ID:???
毒をもって毒を制すだな。
ビーティーは微妙な一般人を陥れてるより、前の悪徳刑事とかこういう真性の奴らにぶつけた方が光る。
127マロン名無しさん:2011/09/04(日) 23:01:36.46 ID:???
ボタンからシャツがとれた

すごくくだらないけど、とかユーモアセンスと言われるまでどこがおかしいのかわからんかった
ギャグといわれてもいまだにピンとこないが、高度なギャグとはこういうものなんだろうと思い
翌日学校で一発ウケを狙って言ってみたところ哀しいまでにすべったので
ここがこう面白いと説明してドツボにはまった
というところまでシミュレーションして学校で言うのはやめることにした
翌日学校で友人のB君が言ってたのでだったら俺も言っとけばよかったと思ったが
特に受けてなくて「ああ、俺も読んだ」くらいのリアクションだった
128マロン名無しさん:2011/09/04(日) 23:34:40.17 ID:???
何このミリタリーキチガイども… かわいいわんこを虐殺しやがって!
129マロン名無しさん:2011/09/04(日) 23:39:24.36 ID:???
>鼻血を出して気絶した少年を見て、ビーティーは怒りに震える…。
「>許さん… よくもぼくの親友に不当な虐待を加えてくれたな!」

魔少年でピカレスクな感じだけど
ここで自分のコトのように怒るところがイイんだよ・・・
130マロン名無しさん:2011/09/05(月) 00:33:51.89 ID:???
目的のために手段を選ばない非情さはあるけど、友人のことを我がことのように思える
熱い友情も持ち合わせてるんだな。これが精神的貴族ということか。
このビーティーの気高さに痺れるし憧れるな。
131マロン名無しさん:2011/09/05(月) 19:39:52.45 ID:???
ビーティーの身体能力高すぎるよな。
しかし消えたトリック、枝の上では明らかに丸見え。いくら閣下が棒に注目していたとしても。ちょっと無理がない?
132マロン名無しさん:2011/09/05(月) 20:35:05.02 ID:???
そこ俺も気になった。
いくら一瞬目をつぶったからって、その一瞬で木の上に登れるってどんな超人だよと思った

今回は読切・1話に比べるとトリックに無理があるな
133荒すじ呂彦 1/10:2011/09/06(火) 22:07:37.13 ID:x7opTQUZ
  <第4話:恐竜化石泥棒事件の巻>


    ぼくらはすでに閉店し、不気味に静まり返った… 巨大なあるデパートの中におりました
      これからお話しする、この事件を世間に公表する事は… 非常に恐ろしい事です
                       …なぜなら…
        この「恐竜化石泥棒事件」は“まだ時効になっていないから”であります


倉庫の中の箱がガサゴソ揺れ動くと、突如女性の足がにょっきり生える?!
…ではなく、マネキンの足を押しのけてビーティーの顔がひょっこり現れる。 
周囲の様子をうかがい、箱から出るとまずは扉のノブを回してみる。案の定、鍵がかかっている。
するとビーティーは薄い弾力のあるカードを取り出し、扉の隙間に差し込んで開錠してしまった。
部屋に入ると、そこには大きな恐竜の化石が展示されていた。

「おい! 今何時だい?」
ビーティーはそう聞くと、先程の中から友人がもぞもぞと顔を出し、箱から転がり落ちる。
「痛てて… 7時23分だよ」
その後、2人は誰もいない夜の恐竜展を見て回ったのだった。



翌朝、ビーティーの家を訪れる友人。ドアをノックしようとすると――――
「お入り… 開いてるよ、公一君じゃね」
…ついにあらすじ泣かせだった名無しの少年の名前が判明!
それはともかく、まだノックもしてないのにと軽く驚く公一だった。
中に入ると、おばあさんと母親にしてはえらく若い女性がそこにいた。 
「ご機嫌よろしゅう、ビーティーなら部屋にいますよ」
公一は部屋に向かおうとすると、女性は一礼し家を出ようとする   …が、呼び止められる。
「これ…帽子をお忘れですぞ、忘れっぽいという事は命取りですぞ、気を付けなされ」
「は…はい… 自戒いたします」
女性は何度も頭を下げ去って行った。それと同時にビーティーが笑顔で部屋から顔をのぞかせる。
134荒すじ呂彦 2/10:2011/09/06(火) 22:07:50.72 ID:x7opTQUZ
「やあ! 公一、入れよ!」
「君んちには色んなお客が来るんだね」
「うん… うちのおばあちゃんは顔が広いんだ、よく相談に乗ってやるんだよ」
ビーティーは現在、両親が外国へ行っている為おばあちゃんと二人暮らしなのだ。



 ―ビーティーの部屋―
ぐるりと見回す公一。あちこちに謎の仮面やらツボやら、奇妙な物がいっぱい飾ってある。
「また増えたみたいだね、君のコレクション」
「まぁね …右端のビンにはタバコ屋の、片目の犬から採ったダニが入ってるぜ
 それとノルウェーのリレハンメルで出た、オルドビス紀中期の三葉虫の化石だぜ」
自慢げに立派な化石を見せるビーティー。公一はどうしたのかと聞くと…“ 盗 ん だ ”んだそうだ!
公一は顔色を変えると、ビーティーは冗談だと笑いながら立ち去った。


1階の居間へ降りると、ビーティーはコーヒーを3人分煎れる。
「はい…おばあちゃん」
「ありがとう、ついでにこの新聞とチラシを片付けておくれ」
言われるままチラシを受け取ると、ふと“恐竜化石展”の見出しが目に留まった。
そのチラシを公一に見せ、公一に見に行こうと誘うビーティーだった。

      ……という訳で、ぼくとビーティーはデパートの恐竜展を見に来た訳であるが……
                まさかビーティーがスピノサウルスという、
         恐竜の化石の頭の部分を盗もうと計画(ケイパー※)しているとは
                     夢にも思わなかったのだ!

(※ケイパー(CAPER):ビーティーが好んで使う言葉で、犯罪行為を意味する)
ふと、ビーティーは公一に相談があると強引に会場から連れ出す。
「この中で話そう…」 向かった先は、冒頭の立ち入り禁止の倉庫だった。
ビーティーは木箱の中に入ると、この箱の中の事で相談があるとごまかす。
「箱? 一体何の事だい?」
135荒すじ呂彦 3/10:2011/09/06(火) 22:08:04.11 ID:x7opTQUZ
「この箱の中に隠れて閉店まで待つんだ …実はあの恐竜化石の頭の部分がどうしても欲しいんだよ
 コレクションに加えようと思ってな…… 化石を盗むの手伝ってくれよ」

――まさかの犯罪予告に公一は顔色を変え、断固拒否する!
「石ころを拾うみたいに、簡単な事だぜ?」
「いやだ! ぼく帰る!!」
公一の腕を掴んで引き留めようとするビーティーだが、何かに気づき慌てて蓋を閉めてしまった。

「ここで何をしている?」
公一は振り向くと、がっしりした体つきの警備員・西戸(さいこ)がガムを噛みながら現れた。
平謝りし、すぐ出ていきますと西戸の脇を通ると、突如じっとしてろと叫ばれ額に人差し指をつけられた!
一体何をされるのかと冷や汗たらたら流していると、西戸は舌にガムを乗せて指でつまむ。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110906220501.jpg

「熊はな… 土をガムみたいに噛んで丸めて、
 冬眠する時虫が入ってこないよう、その土ガムを尻の穴につめるんだぜ
 お前にもそれをやってやろうか? 小僧
 ――オレはこのデパートの影の支配者だ! 悪さをする奴は許さねぇ!!』

(…いきなり何を言い出すんだ!? しかもこのガードマンの話の内容には脈絡がまったく無い…!)
「お前は何かを盗もうと、ここに侵入した!」
力強く指を突きつけられ、違うと反論する公一。
『口答えするんじゃあない! バカヤロー!!』
すると西戸はものすごい力で公一の腕を握りしめた!
『ハハハー! どうした!?何を震えているんだい!?
 オレがお前の腕をひねくるとでも思っているのか――――? ハハハ――――ッ!!』
名前の通りサイコパスな西戸に恐怖を感じる公一!

その瞬間、どこからともなくマネキンの頭が飛び物音がし、西戸の注意をそらした。
他に誰かいるのかと探そうとする西戸だが、廊下を通りかかった支店長に呼び止められた。
「おや、西戸君 そんなトコで何してるのかね?」
西戸は怪しい奴を見かけたと言いかけるが、すでに公一の姿はこつぜんと消えていた…。
136荒すじ呂彦 4/10:2011/09/06(火) 22:08:17.18 ID:x7opTQUZ
           ぼくはあのガードマンのあまりの恐ろしさに一歩も動けなかった!
             そうして、ビーティーにしたがって箱の中に隠れたのだ…
           ぼくがこの事件に巻き込まれたのはこうした理由があったのであり…
           決して自由意思から泥棒になったのではない事をお断りしておきます


…一方、ビーティーの家ではおばあさんが電話をかけていた。
「コホン… 信じてもらわなくても結構ですけど…
 おたくのデパートの恐竜化石展に今… 泥棒が侵入しているはずですよ… さようなら」
現在時刻はすでに7時半。おばあさんは一方的に話すと電話を切り、再び編み物を始めた。


          ぼくが道徳的思慮の完全欠落の友人、ビーティーによって巻き込まれた
         あの恐怖の事件は……彼のつまらない気まぐれから起こったものだった……。
                  恐竜の頭部の化石が欲しいという気まぐれ!


ビーティーが楽しそうに物色する中、公一は歯をガチガチ鳴らし震えていた。
「おい、歯をガチガチ鳴らすのやめろよ」
「怖いんだよ――――!」
「怖いだって? どうかしているぞ、こんなに楽しいのに」
さっそく化石の頭と胴を離そうとするビーティー。
公一に頭を押さえてもらうが、さすがに実際に触れるのは少々気味が悪い。
「ニッパーで針金を切断するからそのままおさえてろよ」
…だが、ビーティーは夢中のあまり、自分の尻がガラスケースを落としそうになっている事に気づかなかった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110906220515.jpg

無事針金を切断すると、公一は予想以上の化石の重さによろめいてしまう。
そしてまたガラスケースにわずかに触れ、今にもグラグラと落ちそうになる……!
――――その時、突如内線の呼び出し音が鳴り響き、2人の心臓を止めそうになる!
ビーティーは面白そうに出てみようかと近寄るが、当然、公一はそれを止める。
…ふと、ビーティーは何かに気づき、視線を内線からドアへと移す。
137荒すじ呂彦 5/10:2011/09/06(火) 22:08:31.41 ID:x7opTQUZ
目を凝らしてよく見ると…… ドアノブがゆっくりと上がっていくではないか! 誰か来る!
2人は慌てて机の下に隠れると、不気味な表情の西戸が入ってきた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110906220527.jpg
西戸は内線へと近づいていくが、ビーティーはあるミスを犯してしまっていた。
「し… しまった!化石とニッパーを置いたままだ!!」

「はい…恐竜展ギャラリー内です…西戸です
 いえ…変わった事は何もありませんが… ここに泥棒がいると電話がかかったですって…?
 ハハハ… きっとイタズラ電話でしょう
 心配ありませんよ、支店長 ロッカーの鍵は私がちゃんと持っています、はい… すぐ行きます」
西戸は内線を切ると、化石の頭が外れている事に気づく。
「フン…まあいいか… 化石を下手にいじくると文句がくるからな… オレの仕事じゃねぇ」
ニッパーには気づかず、結局よく調べもしないでそのまま展示室を出て行ってしまった。

しばらくして、机から顔を出す2人。
「やりすごしたぞ、どうって事なかったな… ただのウスバカさ、フフフ…」
「ふう… まだ震えが止まらないよ」
「ニッパーを取ってくれないか?」

公一はしぶしぶ了承すると―――― 肘がガラスケースに触れ、ついに落としてしまった!

静かな展示室に予想以上に響く破壊音!
「聞こえたかな… いや、聞こえるはずはない… ガードマンは遠くに行ったはずだ」
だが、公一は目を見開き、青ざめた表情でドアを指さしていた。
「ビ…… ビーティー……」

そこには…… ガラスにへばりつく大柄な人影! 次の瞬間、西戸が笑いながら入ってきた!

西戸の嘲笑の恐怖に固まる公一、机の下で様子をうかがうビーティー!
『いい度胸だな! どうやってこの部屋に入ったんだ!? ハハハ――――ッ!!』
笑いながら突進してくる西戸。その手にはチェーンが握られていた!
西戸がチェーンをふるうと同時に、公一は恐怖で身をかがめた為、間一髪でチェーンをよけた!
138荒すじ呂彦 6/10:2011/09/06(火) 22:12:16.12 ID:x7opTQUZ
暴走した西戸はチェーンで机を吹き飛ばすと、そこにはいつの間にか消火器を持ったビーティーがいた。
そのまま消火剤を吹き付け、公一にズラかれと合図する。
西戸は目が痛いと叫びながら、消火剤で転倒してしまう。
ビーティーは西戸の鍵束を奪うと、展示室を後にし鍵をかけ、西戸を閉じ込めてしまった。


「さあ! 化石はいただいた、デパートから脱出だぜ!」
「だ…脱出って、デパートは閉店ですべて鍵がかかってるよ? どうするんだい?」
「まかせとけって…」
ビーティーが先導し、たどり着いたのは従業員以外立入禁止と書かれた扉。
「ここを通って荷物用のエレベーターに乗るんだ、行こう!」

扉を開けると同時に―――― なんと殴られ、反失神状態の警備員が倒れこんできた!

「これはいったいどういう事だ!?」
その時、ビーティーは見た!倒れたガードマンの後ろに人影が立っていたのを!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110906220540.jpg
……その頃、痛みが落ち着いてきた西戸はゆっくりと立ち上がっていたのだった。


「ウフフ… 驚かして悪かったわね、ビーティー君 その警備員を気絶させたのは私よ…」
もう一人の侵入者は女性だった。…だが、なぜ彼女はビーティーの名を知っている!?
しかし彼女の正体に公一はすぐ気が付いた。

「お 一昨日君んちに来てた、女の客だ…!」

「お前、夜のデパートで何をしている!?」
「面白い子ね… お互い様でしょう、ビーティー君? 私はこっち行くの、それじゃあね」
――そう言って彼女は笑いながら逃げてしまった。

一方、西戸はドアノブを握りしめるが、鍵をかけられている事に気づく。
だが―――― 恐るべき腕力でドアノブもろとも、鍵をねじり壊してしまった!
139荒すじ呂彦 7/10:2011/09/06(火) 22:12:29.85 ID:x7opTQUZ
同時刻、ビーティー達はエレベーターを待っていた。(今2人がいるのは8階)
「イライラ 早く早く、早く! イライライラ 遅いエレベーターだなぁ!」
「イライラって言葉にするのをやめろよ」
ようやくエレベーターが到着、扉が開くと―――― 警備員が3人待ち構えていた!!
すわ、2人とも現行犯逮捕か!?  …と思いきや、警備員は2人に目もくれず走り去っていく???
それもそのはず、2人の周りにはマネキンがあったので、警備員は2人をマネキンと誤認したのだ。

…ふと、違和感を覚えた警備員の一人が振り向くと… そこには走り去る2人の姿!
公一は何とかエレベーターに乗り込むが、ビーティーはあと少しの所で顔を掴まれてしまう!
――――が、公一はすかさず警備員の顔にニッパーをぶつけビーティーを助けてしまった!
こうしてエレベーターの扉は閉じ、2人は逃げおおせた。
「や…… やっちまった…」
「フ――――…… 助かった!やっぱり君は最高のパートナーだ…」
そう言うと、ビーティーはささやかなお礼としてガムを差し出した。
「チューインガム噛むかい?」



エレベーターは2階に到着した。
「さあ!エレベーターを降りよう!」
「お…降りるって、ここは2階だよ…?」
「ガードマンがやたら動き回ってると思わないかい…? 2階にはいい逃げ場があるんだよ」
するとビーティーは噛んでいたガムを吐き出し、開ボタンを固定しエレベーターを止めてしまう。


2階・化粧品売り場を走り抜ける2人。マネキンが不気味だ。
ふと2人は気配を感じ、振り向くと―――― 復活した西戸が不気味に立っていた!
西戸は逃げようとする公一の首にチェーンを巻きつけ、恐ろしい力で締め上げる!
ビーティーは止めようと飛び出すが、公一はあっという間に泡を吹いて失神してしまった。
これにはビーティーも激怒し、こっちを見ろと挑発する。
140荒すじ呂彦 8/10:2011/09/06(火) 22:12:44.13 ID:x7opTQUZ
「お前にさっき消火剤を浴びせてやったよな! ところでぼくは“ヘアスプレー”を持っている!
 消化液には四塩化硫酸ナトリウムが含まれている!
 このヘアスプレーをお前に吹きかけたらどうなるか、実験してやろうか!?」
「?」

「知らないのかい? ―――― 化 学 変 化 だよ!!
 硫酸をかけられたみたいに皮膚が焼け爛れるんだぜ! ケロイドだ!! 3つ数える内に彼を離すんだ!』

西戸はウソだと叫びながらもとまどっている。
ビーティーはカウントダウンしながら近寄っていく。然るべき報いをくらわしてやる!
…実を言うと化学変化なんて全くのデタラメ、ビーティーお得意のハッタリなのだ。
だが、そのことを知らない西戸は見事に罠に陥ってしまったのだ。
「や…やめろ、近寄るな〜〜〜!!』
「ぼくだってやりたかぁない… あんたさえ追ってこなきゃいいんだ」
「わわわわかった、寄るな!近寄るな!」
ビーティーは気が付いた公一に、ロープで西戸の手足を縛るように命じる。
…こうして暴走警備員・西戸はおとなしくなったのだった。


そしてビーティーが誘導した出口とは……“避難用ハシゴ”だった。
ここからなら外からは開かないが、中からは簡単に開く出口だ。これは盲点だった!
「さあ、このハシゴを降りよう ぼく達は勝ったんだ」



 ―翌朝―
起きてきたビーティーを呼び止めるおばあさん。
「ビーティーや… ちょいとここへ来なさい…話があるんじゃ」
「…なんでしょう」
さすがのビーティーも祖母には頭が上がらないのか、冷や汗たらたらで近くへ寄る。
「お前、昨晩デパートへ恐竜の化石を盗みに行ったじゃろう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・はい…… ご存知でしたか……」
141荒すじ呂彦 9/10:2011/09/06(火) 22:12:56.85 ID:x7opTQUZ
「で………  どうだったのかね…?」
――なんと怒るでもなく、結果を尋ねるおばあさん。
まさかの反応にビーティーの表情は明るくなり、成功した事を告げた。

「よくやった!さすが私の孫じゃ …しかし実を言うと、私はお前に捕まってほしいと思っておったのじゃ
 私はある組織の相談を受けて、あのデパートの支店長らが行っている……
  盗 品 宝 石 売 買 の 証 拠 を見つけようとしておったのじゃ
 支店長の金庫の中に秘密があるとの情報じゃった!
 しかし夜の支店長室には、いつも手下のガードマン達がおったのじゃ!
 …で、ガードマンを部屋から出す必要があった!
 お前を捕えようとしてガードマンがドタバタしてる隙に…彼女に金庫の中を調べさせようと計画したのじゃ!」

昨夜デパート内で遭遇したあの女性の目的、それは金庫破りだったのだ!
「それでわざと恐竜展のチラシをぼくに見せたのですね…?」
「うむ、必ず盗みに行くと思った… 恐竜の化石を欲しがっていたのはよく知っておった
 …それにお前ならまだ子供だから、もし捕まってもただのイタズラと思われるだけだしな
 盗品宝石の方は成功じゃった!
 金庫内の記録には… 宝石の取引を駅のコインロッカーを使っていると書いてあった!
 その番号のロッカーを開けてみると… 15億円相当の宝石が出てきたのじゃ!!
 私のかわいい孫よ… さあ、もっとそばまでおいで…』
――そしておばあさんはビーティーをいとおしそうに抱きしめたのだった。
142荒すじ呂彦 10/10:2011/09/06(火) 22:13:11.69 ID:x7opTQUZ
…その後、ビーティーは事件の全貌を公一に話していた。
「……と言う事があったんだ」
「き… 君のおばあちゃんってどういう人物なんだい?」
しかし、さすがのビーティーもよく知らないと言う。何かカラコロ音のする小箱をもてあそびながら。
ビーティーはその小箱を公一に放り投げ渡し、開けてみろと言う。
「ガードマンの西戸から取り上げた鍵束、覚えているかい?」
「うん、消火器の時かい?」
そう言いながら小箱を開けた公一は言葉を詰まらせ、驚愕する!

「鍵束の中に駅のロッカーの鍵が1本混じってたんだ!
 好奇心から昨夜のうちに駅へ行ってロッカーを開けてみた… つまりおばあちゃん達が見つける前だね」
 ちょっぴりくすねて帰ってきたんだ、半分は君のだ! 大人になってから現金に換えよう」

――小箱の中身は宝石が4つ入っていたのだった!                      <続く>
143マロン名無しさん:2011/09/06(火) 22:26:04.59 ID:???
恐竜の化石が欲しいとは、ビーティーも子供っぽいところもあるな。
しかし、西古はただのキチガイではなく、組織の一味で、だからデパートの影の支配者などと自称していたのか。
144マロン名無しさん:2011/09/06(火) 22:28:58.48 ID:???
さすがのビーティーもおばあちゃんの手のひらの上かと思ったら…w
しかし、やはりというか家庭環境も普通じゃないんだな。
145マロン名無しさん:2011/09/06(火) 22:29:36.69 ID:???
これは後味がいいな。爽快。
ビーティーおもれー。
時々読み切りで描いて欲しいわ。
146マロン名無しさん:2011/09/06(火) 22:47:28.10 ID:???
サイコのパロディか
147マロン名無しさん:2011/09/06(火) 23:09:14.38 ID:???
今回はBTが完全悪役じゃん。強盗だろこれ。
友人もようやく名前判明したが、BTに付き合わされてカワイソス

つーか西古ってよく見たら武装ポーカーのドンとそっくりだな
148マロン名無しさん:2011/09/06(火) 23:57:54.59 ID:???
>>147
ビーティーが悪くない話はもとからないぞ
149マロン名無しさん:2011/09/07(水) 02:37:40.77 ID:???
これって分かれてなかったか?
話数が分かれてるのは素直に途中で切った方が
感想が楽しめるんじゃないのか?
150マロン名無しさん:2011/09/07(水) 02:38:29.27 ID:???
麦刈
151マロン名無しさん:2011/09/07(水) 06:39:21.66 ID:???
152マロン名無しさん:2011/09/07(水) 06:41:03.78 ID:???
>>151
>>1で言ってることの逆をやったわけだな
153マロン名無しさん:2011/09/07(水) 19:19:38.44 ID:???
>>148
読切と1話はビーティーは何も悪くないじゃん。
金を奪おうとしたのは… どう考えても擁護できないが、
今回はデパートに侵入して貴重な化石奪ったんだぜ?
これまでの話と違って犯罪レベルが高いよ
154マロン名無しさん:2011/09/07(水) 20:04:16.31 ID:???
>>153
ダークヒーローって言葉知ってる?
ビーティーはどの話みても悪人だろ。
読み切りでは不法侵入やでっちあげて誰でもいいから犯人にしてしまえ、とか言うんだぞ。一話でも復讐のためにスズメバチ入れて、ナイフで刺すよう導いた。悪すぎるだろ。
だが、そこがいい。悪いからこそ面白い。
デスノートのライトと同じ。
155マロン名無しさん:2011/09/07(水) 20:11:34.29 ID:???
公一くんがなるべく穏便なエピソードから紹介してるらしいからねえ。
たまたま犯罪を犯す度合いが低かっただけで、どの話であってもビーティーはこういうヤツだ。
156マロン名無しさん:2011/09/07(水) 20:50:40.60 ID:???
>>154
デスノートとか言うのは知らんが、ダークヒーローねえ・・・
ちょっと調べてみるわ

>>155
そういえばこれでも比較的優しいレベルの犯罪なのか。
殺人まではしていなくてももっとすごい事やってそうだな・・・
157マロン名無しさん:2011/09/08(木) 04:20:30.03 ID:???
>>154
くらわしてやらねばならん!
然るべき注意>>1をッ!!
158荒すじ呂彦 1/4:2011/09/08(木) 22:01:11.37 ID:pp05A3Wu
  <第5話:そばかすの不気味少年事件の巻・前編>


冒頭、毎回恒例の公一君の紹介コーナー。
「とっても不気味な少年に出会いました、『そばかすの不気味少年事件』です」


自動車内から外を覗き見る2人。
「ぼくがやっても来るかな?」
「やってごらん、君ならきっと来るよ」
ビーティーは車のクラクションを鳴らし、『タロー!』と叫ぶ。
…するとその声に反応したかわいい犬が元気よく向こうから嬉しそうに走り寄って来たではないか!
タローはそのまま車に飛び乗ってしまう。
「利口な犬だ、もっと仕込めばいい犬になるぜ」
…ふと、車を運転していた公一の父親は久しぶりの運転で緊張していた。
「公一、もっと寄ってくれ… 後ろが見えない」
夫の運転に妻(公一の母)もぶつけないかとヒヤヒヤもの。
慎重に車庫入れする父だが…… バック中、何かにコツンと当たってしまった。
「あーあ、ぶつけた」
「この車庫が狭すぎるんだよ!」
様子を見るために父は一旦車を降り、車後方を覗き込んだとたん青ざめてしまう。

「ああ…… な… なんてことだ! 大変だ!」  ――そこには少年が倒れていたのだ!

少年は鼻血を出し、気絶している。早く救急車を呼ばなくては!
公一達が慌てていると、幸い軽くぶつかっただけだったからか、ムクリと起き上がる少年。
「ぼくなら大丈夫です、救急車だなんて大げさな…」
父は鼻血に動揺するが、少年は病院が嫌いだからと言う。
「でもちょっと休みたいな…」
それならばと母は家の中で休むように促し、家の中へ案内する。
159荒すじ呂彦 2/4:2011/09/08(木) 22:01:33.03 ID:pp05A3Wu
「おじさん、事故なんだから一応届けた方がいいのでは?」
ビーティーはそう言うが、父は警察が怖くなり、ちょっとさわっただけだからと笑ってごまかした。
――そうしているうちに、少年はいつの間にか寝てしまっていた。



時間はそろそろ12時半になろうとしていた。
「ピクニックに行く予定だったけど、そのお弁当でお昼にしましょう」
いざ食事をしようとした矢先、少年が大あくびをしながら起きてきた。
父が気分はどうかと尋ねるが、少年はそれに答える事もなくずうずうしく椅子に座る。
「あ… あの よ…よかったら一緒に食べない?」
母のその言葉と同時に少年はいただきますとガツガツムシャムシャ貪り食い始めた!
その食欲以上に食い意地がすごく、少年はおにぎりや大ハンバーグを丸ごとペロリと平らげる。
あろう事か、今度は煮つけがしょっぱいと文句まで言い、公一のおかずも横取りする始末!
…と、その時はずみで8000円のポットを落として壊してしまうが、謝るそぶりすら見せない。
ビーティーは家の人が心配しているから帰った方がいいと促した途端、電話が鳴り響いた。
「もしもし、麦刈でございます…… え?マナブ?」
それは少年の母親からだった。
「かあちゃんだ! かあちゃん! うん…大丈夫!
 とっても素敵なんだよ、この家!! それに食べ物もとってもおいしいんだ!!』
元気よく答える少年・マナブに、4人は唖然と見つめていた。



食後、公一とビーティーが皿洗いしていると、どこから出したのか服を着飾ったマナブが現れた。
「やあ!君達 食器洗いの手伝いかい? 感心感心」
マナブがずうずうしく着ているのは、公一のお気に入りの服だった!
「君とはサイズがぴったりだねぇ…」
するとマナブはおもむろに冷蔵庫を勝手に開け、中の物を勝手に食べ始めた!
『おいっ! お前相当ずうずうしいぞ!!』
公一の叫びもどこ吹く風、マナブはニタリと不気味に笑うのだった。
160荒すじ呂彦 3/4:2011/09/08(木) 22:01:48.85 ID:pp05A3Wu
その後、庭でタローに芸を仕込むビーティー。なぜか食べ物関係の合図で伏せたりするのはご愛嬌。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110908215658.jpg
「すごいな、食べ物のキーワードで動くのかい? その犬」
物珍しそうにまたしてもずうずうしく飴を食べながらマナブが現れる。
「何か用があるのか? ぼくらにはちっともないんだがね」
「まあまあ… ちょいと思いついたんだが、君達賭けは好きかい? ぼくとちょいとした賭けをしないかい?」
賭け事が大好きなビーティーはやや乗り気になり、どんな賭けなのかを聞く。
「ぼくが負けたら一生、君達の奴隷になるよ」
…が、ビーティーはくだらないとそっぽを向くがこれこそマナブの思うつぼ。
「ははーん、負けるのが怖いんだろ?」
その言葉に挑発されたビーティーはさっさと賭けの内容を言えと命じる。

「ま、飴玉を1個取りなよ  あそこに蟻の巣があるね…
 入口から30cmの所に自分の飴玉を置く… 君のは反対側だ
 どっちの飴に最初に蟻が寄ってくるのか!? それが勝負だ!!』

挑発に乗ってしまったビーティーはこの勝負に乗り出した。
『グッド! しかし君はまだ自分の賭ける物を言ってないねぇ!』
ビーティーもマナブ同様、奴隷になると言い出すがそれはダメだとマナブは首を振る。
『ダメダメ!そんなのはいらない! あの犬をもらう!』
その言葉に飼い主の公一は激しく拒否するが、ビーティーは公一をなだめる。
「心配するなって… 勝つに決まってるんだからな」
ビーティーは飴玉を他のに取り換え、指定の位置に置き―――― スタート!

なお、ビーティーは白い飴、マナブは黒い飴を選んだのだが…これには理由がある。
昆虫は黒より白を好む傾向があるのだ!
161荒すじ呂彦 4/4:2011/09/08(木) 22:02:05.70 ID:pp05A3Wu
           しかし―――― このゲームにはイカサマが仕組まれていたのだ!
   マナブはビーティーの飴玉の置く位置に、あらかじめ“ 殺 虫 剤 ”を撒いておいたのだ!
              これでは絶対蟻はビーティーの飴に近づくはずがない!


ビーティーはイカサマを見抜けず勝負に負け、マナブは憎たらしい顔で高らかに勝利宣言をする。
『犬はもらったぞッ!!』
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――――これを機に、マナブの図々しさはどんどんエスカレートしていくのであった……。
                                                       <続く>
162マロン名無しさん:2011/09/08(木) 22:23:50.37 ID:???
なんだこのクソガキ。ずうずうしいにも程がある!
おやじも車がちょっとぶつかった位なんだし、とっとと追い出せよ!

それ以前にマナブがいたのって、車庫内だろ?
車庫内って事は広一の家の敷地内みたいだし、家宅不法侵入が適用されるんじゃねえの?
163マロン名無しさん:2011/09/09(金) 14:12:11.46 ID:???
犬虐待やめれ!
犬飼ってるから見てて辛いよ…
164マロン名無しさん:2011/09/09(金) 22:29:11.75 ID:???
ビーティーがこんなガキに一杯くわされるとは…きっちり報いを受けさせてやってくれよ!
165マロン名無しさん:2011/09/09(金) 22:43:07.82 ID:???
銭ゲバやん
166マロン名無しさん:2011/09/10(土) 20:59:13.24 ID:???
ビーティーが奴隷になる条件のまま進めた方が面白かったような・・・
167荒すじ呂彦 1/4:2011/09/10(土) 21:59:11.29 ID:+c/KpcZ1
  <第5話:そばかすの不気味少年事件の巻・後編>



冒頭、相変わらず冷蔵庫を漁るマナブは1Lコーラを見つけると、そのまま一気飲みしてしまう。
『あなた、なんとかして! さっきなんかタンスの引き出しを開けていたのよ!』
「し… しかしぼくはあの子にケガをさせたんだぞ!」
『ケガなんかしてないわ!』
物陰から様子をうかがう母親&弱気な父親。
ビーティーはトランプを投げつけるが、気配を察したのか、マナブは肉でカードを防いだ!
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その時玄関のチャイムが鳴る。誰か来たようだ。

「ごめんなさいよ――――! 誰もおらんのかね、この家は!」

現れたのは、バラのスカーフ&シャツを着用した中年女だった。
「あの…何か?」
「うちのマナブが来ているでしょ?」
この女、マナブの母親だった。マナブは母親に向かってダッシュ、しがみつくと公一の両親は安堵する。
「ホッ! やっと迎えが来てくれたか…」
「やっと帰ってくれるわね、でもああやってるとかわいいわ!」


「あ…そうそう! 父ちゃんや姉ちゃん達も来てるんだよ」
マナブ母の後に現れたのは―――――― どう見てもろくでもなさそうな一家だった!
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…それからというもの、公一達は不運に見舞われた。
奇妙な一家は勝手に上がりこみ、酒は飲むわ、グラスを投げて割るわとやりたい放題!まさに疫病神!
我慢の限界に来た父親は帰れと怒鳴りつけ、警察を呼ぼうと受話器を取る。
「まあまあ、お父さん落ち着いて!」
168荒すじ呂彦 2/4:2011/09/10(土) 21:59:25.52 ID:+c/KpcZ1
マナブ父は父親の腕を取るが、父親は振りほどこうとするとマナブ父は足をもつらせ、壁に頭を打ってしまう。
倒れた夫を介抱するマナブ母。
『息子をはねたうえ、父ちゃんにまで暴行を!』
…一部始終見ていた公一は気づいた。マナブ父が倒れたのはわざとだ! 一体こいつらの目的はなんなのか!?



 ―翌朝―
ビーティーが公一を家まで迎えに行くと、元気のない顔の公一が出てくる。
…まさかと思ったビーティーが家に上がると、あの一家が図々しくもゴロ寝していたのだ!
『こいつら、昨晩帰らずに君の家に泊まったのか!?』
「朝食をとるとまた寝るんだよ…」
――と、その時庭からタローの悲鳴が聞こえてきた!

何事かと向かってみると、マナブが棒で虐待していたのだ!
『アップルジュース! アップルジュースはお座りだろう! 言う事聞け!!』
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見かねたビーティーは飛び出し、お前の言う事は聞かないと叫ぶ。
「ぼくに言ったのか? この犬はぼくのだぜ? 蟻の賭けに負けたのを忘れたのか!?ビーティー!
 ぼくの物をどうしようと、ぼくの勝手だぜ――――ッ!! ケケケッ!』
『ビーティー! 何とかして!!』
「なあ、また一つ賭けをしないか? この図で一筆書きができるか? できたら犬を返してやるぜ」
しかしビーティーは図を払い除け、ふざけるなと一喝する!

「フフフ… ところでもう一つ… この家な、ぼく達家族はもうこの家を出ていかないぜ!
 この家はすでにぼくの物だ! ぼくの家族はこのまま 住 み 着 く の だ !! 
 お前ら家族は奴隷として飼ってやるのだ!!
 警察に言う? もう遅いぜ!お前のパパはビビっちまってるからな!!
 一つ一つお前の過程をしばりあげていくのだ!!
 明日はここの住所で借金してくるというふうにな!破産するまでいるぜ!!
 今までもそうしてきたんだ! これからもそうする!!』
169荒すじ呂彦 3/4:2011/09/10(土) 21:59:37.86 ID:+c/KpcZ1
直後、ガラスが割れ家の中からウィスキーの瓶が飛び出してくる。
「こ… この回虫め! この罪は大きいぞ!然るべき報いを食らわしてやらねばならん!!』
極悪一家の非道さと弱ったタローを見て、ついにビーティーの怒りが頂点に達したのだった!



その夜、極悪一家は夕食の真っ最中、それを横から眺めるビーティー。
夕飯の刺身の美味さに舌鼓を打つ極悪夫妻。
「なんて魚だろう?」 「この刺身の名を知ってるのいないか?」

「それはうちのおばあちゃんの差し入れで……… “  フ  グ  ”  ……です
 うちのおばあちゃん、フグが大好物でねぇ… 特に毒の最も強い肝臓が一番美味なんだそうだよ
 通人は食べては吐き戻しながら味わうんだ」

『ビーティー! 殺人を犯す気か――――ッ!!??』(マ)
「別にぼくは食べろとすすめた訳じゃない もっとも一匹で30人は殺せるそうだが…」
そうこうしている内に、極悪一家の父が腹を押さえてうずくまり、一人、また一人と倒れてゆく。
『父ちゃん! 母ちゃん! ぼくはなんともないのに!!』


やがて救急車が到着し、マナブ以外の一家は搬送されてゆく。
『ビーティー! どこへ行った! 殺してやるッ!!』
外へ飛び出すマナブが最初に見たものは…… うなり声をあげ、怒りの目でマナブを睨むタロー。
ふと、口笛と共にビーティーがタローを呼ぶ声がした。
『ビーティー! そっちか!!』
『タロー! バナナパン!(飛び出せ)』
タローを追いかけながら、ビーティーの姿を見たマナブはナイフを振りかぶる。

――――が、そこは車道! マナブは救急車に跳ねられてしまった!
170荒すじ呂彦 4/4:2011/09/10(土) 21:59:57.14 ID:+c/KpcZ1
ようやく極悪一家を懲らしめたビーティーは微笑みながら種を明かす。
「本当にフグ毒を食わせてもよかったが…
 あれは食べ物の中に入れておいた抗酒剤※だ、じき苦しみはおさまる
 あ… そうそう、一筆書きの答えをやるのを忘れていた…」
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110910211658.jpg


 ―救急車の中―
一方、マナブはと言うと(残念ながら)一命を取り留めていた。
「してやられた! 救急車にぶつけられるよう誘導されようとは!
 しかしあいつなかなかすごい奴だった… いつかまた会おう!」



      <エピローグ>
    ――以上、ビーティーに関する事件の紹介の場をいただき、ありがとうございました
    関係者からの復讐が怖くありますが、より恐ろしい事件の公表は只今検討中です
                                    ―麦刈公一―

                                            <魔少年ビーティー・終わり>
171マロン名無しさん:2011/09/10(土) 22:16:54.76 ID:???
>>170
続き読みたいなー
十週打ち切り?て事は人気なかったのかな…異色だからかな…
172マロン名無しさん:2011/09/10(土) 22:26:12.65 ID:???
あれ、もう終わり?やっぱ人気取れなかったのかな…
犯罪ほのめかす内容ばかりだったからかな。

犬虐待マナブはそのまま死ねばよかったのに。
ホント、この一家最悪だな。作中で一番の最悪なキャラだ。
173マロン名無しさん:2011/09/10(土) 23:03:13.20 ID:???
これで最後なのは残念だが今回のビーティーは特に悪いこともしてないし、なかなかカッコ良かったな。
短編形式だからブッタ切りの終わりと言う感じでも無いし、この形式ならそのうちまた発表衣される事もありそう。
174マロン名無しさん:2011/09/10(土) 23:52:20.31 ID:???
真面目な話、こいつら通報しても何の罪でしょっぴかれるんだろうか?
家宅不法侵入・・・・じゃなさそうだし。
175マロン名無しさん:2011/09/11(日) 01:05:32.75 ID:???
>不運に見舞われた
きっかけが不運で、あとは不運に見舞われたというよりは厄介なのにつきまとわれてるってトコだろう
アベコーボーかなんかでこんなのあったなー

>『タロー! バナナパン!(飛び出せ)』
犬!カコイイ!
心やさしそうな犬だったのに

> しかしあいつなかなかすごい奴だった… いつかまた会おう!」
ヒールたるもの、去り際にも精一杯のプライドを保つための負け惜しみがサラリと言えなきゃやってられんのだろうな
大変だな

>>174
法より心理的弱みにつけ込むケースだろ
交通事故を示談にもっていって泥沼にはめるとかの。
176マロン名無しさん:2011/09/11(日) 01:59:05.84 ID:???
>>175
「闖入者」だな。ある日突然、一人暮らしの青年の家を見知らぬ家族が乗っ取ってしまう。
抗議すると「では民主主義で決めよう。我々がこの家に住む権利があると思うものは?」
と多数決をとるが、当然反対に回るのは青年一人のみ。
その後も多数決のもとに青年は謎の家族に利用されつづけ・・・という内容。
177マロン名無しさん:2011/09/11(日) 02:03:17.16 ID:???
>>174
家族は勝手に上がりこんだし、家のものを壊したり飲み食いしてるから
不法侵入、器物派損、窃盗には問えるんじゃないか?
タローも酷い目にあってるから動物虐待もあるかな。

>>172
こいつら元気になったらまた同じ事を繰り返すだろうし、
今までも多くの家を破産に追い込んだそうだから、全員死亡のラストでよかったようにすら思う。
コイツラのせいで首をくくった人もいるだろうな・・・
178マロン名無しさん:2011/09/11(日) 11:17:09.44 ID:???
>>175 >>177
d、そういえばそうだった。ちなみに犬虐待は器物破損になるらしい。

確かにこの極悪一家、過去を振り返ってみると一体何人が犠牲になったかわからないよな。
こいつらだけは全員死亡でよかったかもしれん。

・・・あ、ねーちゃんだけは置いときなさい。風俗に沈めるから。
179マロン名無しさん:2011/09/11(日) 13:37:30.65 ID:???
あれだけの強引さがあれば自分で稼いで生きていけそうだが。
気の弱そうな家族を見抜くのが上手いんだろうな。

フグ毒で痺れさせるだけで成敗というのがカタルシス不足。
180マロン名無しさん:2011/09/11(日) 14:31:07.30 ID:???
ドラえもんの剛田家・骨川家もそうなんだが、
なんでマナブ父とマナブ母の顔がそっくりなんだよ。
元はと言えば他人なんだから顔が違うはずだろ?
ねーちゃんにーちゃんも顔別人だし。
181マロン名無しさん:2011/09/11(日) 15:34:49.26 ID:???
父、母、マナブのスマイルで気持ち悪さ倍増
182マロン名無しさん:2011/09/11(日) 18:02:06.02 ID:???
さすがのマナブも酒は飲んでなかったか。まあガキが飲んでも美味くないからな。
183マロン名無しさん:2011/09/12(月) 21:24:45.98 ID:???
甘酒とか子供用シャンパン飲んでたら少しは違ったかもしれんな
184荒すじ呂彦 1/5:2011/09/12(月) 22:00:51.94 ID:XPpoVvdL
週刊少年ジャンプ 1984年45号『バオー来訪者』連載開始

  <第1話:最終兵器バオーの巻>


鋭い爪を持った手。並外れたジャンプ力。硬質化した皮膚…。

《そいつに触れる事は死を意味する! これが! バオーだッ!!》


                ある日…… 陸中の海岸に若い女の死体が浮かんだ……
             顔はグシャグシャに潰れ、身元が分かるような物は何もなかった……
           その女は数日前―――― 東北のローカル線を走る黒い列車に乗っていた…
                行先も、認識ナンバーもついていない、黒い列車に……


列車の中は兵士らしき姿の人物が見回りをしていた。
《6号貨車、異常なし!》 《7号貨車異常なし!》 《12号貨車異常なし》
その報告を聞いた老人は無線にこたえる。
「よし… 私は霞の目だ、今からこの列車の指揮を執る… そのまま武装体制を続けてくれ」

無線を切ると、霞の目は培養槽を見る。
「『バオー』の様子はどうだね…?」
「変わりありません、体温15.7度 心拍数68分に1回
 まったく素晴らしい!素晴らしい研究です! 霞の目博士」


場面は変わり、黒髪の若い美女が笑顔で部屋に入ってきた。
その部屋の中には肩にリスのような小動物を乗せた、ポニーテールの少女が一人いた。
「まあ! スミレちゃんたら、列車に乗ってまだ30分もたってないというのにもう散らかしちゃったのね
 いけない子ね… メッ!」
少女…スミレは美女の目の前でわざと持っていたビーカーを落とすが、美女は怒らなかった。
185荒すじ呂彦 2/5:2011/09/12(月) 22:01:16.26 ID:XPpoVvdL
「ほんのちょっとビタミン注射するわね… スミレちゃん、最近あまり食べないからよ」
持ってきた箱から注射器を取り出すが、スミレは明らかに警戒している。
「そ… その前に… ここ暑いわ… そうだわ、あの扇風機動かないのかしら?」
「これからね、ちょっと遠くにある研究所に行くのよ
 私達はね、スミレちゃんの『特殊な能力』を調べるだけなのよ
 嫌じゃないでしょ?そのペットみたいなかわいい動物達もいるのよ…
 孤児院にいた時より楽しいはずよ」
女性は微笑みながらそう言うと、扇風機のスイッチを入れる。
――――すると散らかっていて見えなかったコードが巻き付き、女性の片足を持ち上げる!
「な… 何よこれ… 何の遊び!?』
「かかったわね! 散らかってたからロープが見えなかったでしょ!」
女性は慌ててスイッチを切ろうとするが、スミレは足払いをかけそれを阻止する!
女性が思いきり転んだはずみでカードが宙に舞い、スミレはそれをキャッチした。

『この電子ロックのカードもらったわ!
 ――その注射、ビタミンなんかじゃないわ! いつも食事の中に入れてた薬よ!知ってるんだから!!
 あたし、この列車から脱走するわッ!!』

本性を現した女性は注射器を投げつけるが、注射器は扉に刺さっただけだった。
スミレは列車の部屋の外へ出るとドアをロックする。
『あんた達、あたしを洗脳するつもりだったんでしょう!?』
――直後、スミレの言葉を肯定するかのようにノブから銃弾が飛び出し、鍵を破壊してしまう!
女性が出てこないうちに、スミレはその場から逃げだした。

少し遅れて、ようやくコードトラップから逃れた女性が銃を持って部屋から出てきた。
「やはり薬で頭の働きを鈍らせてから列車に乗せるんだったわ… ただでさえカンの鋭い子なんだから…」
先程までの微笑みはすでになく、あるのはただ冷酷な眼差しのみだった。
186荒すじ呂彦 3/5:2011/09/12(月) 22:03:51.31 ID:XPpoVvdL
                   黒い列車はその組織の専用運搬列車だった!
           時刻表には乗っておらず、国鉄の線路を自由に走れる特権を持っていた!
          組織の起源は旧日本軍の化学細菌戦部隊に由来する!その研究は引き継がれた!
        そしてベトナム戦争の時、合衆国軍によって 特殊兵器開発の為の秘密研究機関が作られた
                          それがこの機関だ!
         運搬物は爆発物! 薬品類! 化学兵器類! 実験用動物! 食糧! 生活物資!
              極秘! その研究内容は軍事目的の為、絶対に外に漏れてはならない!!

スミレは列車を逃げながら周囲の様子をうかがう。線路のそばは岩だらけで逃げられない!
…だが、必ず川を渡るはず!その時が飛び降りるチャンス!
スミレは逃げる内、13号車の扉を開けようとするがロックされている事に気づく。
「ここに入るにはパスナンバーを入力しなくては…!」
――すると何を思ったのか、スミレはスケッチブックとクレヨンを取り出し、何かを描こうとしていた。

              少女はクレヨンを持ち「心をすべらせた」。いつもやってる奴だ!
                    スミレは孤児院にいた時、「心をすべらせ」、
               近所で起こったひき逃げの車のナンバーを知り警察に届けた
           この能力が組織に偶然知られ… 少女は超能力を訓練される事になったのだ!

                      そう! 少女の能力とは『予知』する事!
                     スミレはパスナンバーを『自動書記』したッ!

自動書記したパスナンバーを入力すると、ロックされた扉はあっさりと開いた。
後を追う女性は、スミレが行き止まりに入った事に気づく。
「その先のドアはカードだけでは開けられないのよ」
女性はその列車内へ入ると、獰猛そうなドーベルマンが女性を出迎える。
ここは実験用動物貨物車! スミレは逃げながらドーベルマンの檻を開けていたのだ!
ドーベルマン達は飛びかかるが、女性は格闘戦であっさりとドーベルマンを撃退してしまう。
187荒すじ呂彦 4/5:2011/09/12(月) 22:04:17.16 ID:XPpoVvdL
女性は車両を出ると、スミレはまだ扉の前にいた。もう手を伸ばせばすぐに捕まる距離だ。
「その貨車に入ってはいけないわ… “見てはいけない物”が積んであるのよ」
だが逃げるしスミレはそんな事かまっていられない!
ボタンを押して扉を開くが、女性の腕がスミレの腕を捕え、スミレは閉まった扉に体を挟まれ悲鳴を上げる!
スミレは苦し紛れか、手元にあったバルブを開き始めた……。

「一体何の騒ぎだ!? ここは目的地に着くまで決して開けられるはずのない貨車だぞ!」

騒ぎを聞きつけた霞の目と助手が13号車の奥から出てくる。
…が、スミレを一目見て大体の状況を知る。スミレならばパスナンバーがわかるはずだ。
「組織の軍事情報活動に役立つかもしれんな…」
「あれが最近見つけた超能力部門の新しい研究材料ですか…?」
霞の目はこの事は黙っておくから早く戻れと女性を急かす。
「後ろ3両の貨車には警備員はいないのかね?」
「積荷は実験動物だけですので… 彼女だけです」

――ふと、霞の目は床に水が漏れている事に気づく。まさかと思い視線をやると、培養層から水が漏れている!
「カ… カプセルから!カプセルから水が漏れている! そんなバカなッ!!』
水が漏れた原因は、先程スミレがバルブをひねったせいだった。
その時、女性はカプセルの小窓から“人間の手”が張り付いていたのが見えてしまった。
カプセルからゴボゴボと音が漏れ、ついにはパイプのボルトまではじけ飛ぶ!
そしてついにカプセルの蓋が開き――――…

「おお… 何という事だ… 水の中の少年が目覚めたッ!!』

緊急事態に霞の目はドアをロックし封鎖しようとするが、いつの間にか後ろの貨車が切り離されていた!
助手は少年を取り押さえ、早くドアを閉めろと叫ぶが… 少年はゆっくりした動きで助手の手首を握り潰す!
そして少年とは思えぬ怪力で助手を投げ飛ばし、放り出された助手は列車に轢かれてしまった。
カプセルから出た少年を見て焦る霞の目。
188荒すじ呂彦 5/5:2011/09/12(月) 22:04:41.19 ID:XPpoVvdL
(な… 何て事だ!『バオー』を目覚めさせてしまった!
 我が組織が作り出した恐るべき生物兵器『バオー』をッ!!)
『軍事的にも、医学的にも世界の優位に立つ事のできる…!
 『バオー』を目覚めさせる事は核爆発させる事と同じだッ!!』

少年はいつの間にか列車の上に昇っていた。
飛び降りるつもりかと判断した霞の目は警備員に射殺命令を出す!
少年が飛び降り、架線を掴むと同時に発砲  ――――するが、揺れたため弾丸が外れてしまう。
直後、高圧電流が少年の体を流れ少年は感電してしまった!!

…その後、スピードが落ちたスミレが乗っている車両が近づくと、少年は平気で架線から飛び降りた?!


     カプセルから出てきた少年の肉体は、高圧電流に耐えた…。 この少年は一体何者なのだ!?



――数日後…… 海岸に女の死体が浮かんだ……。彼女は二人を逃がした責任を取らされたのだ……。
これがこの組織―――― 『ドレス』のやり方なのだ……。
                                       <続く>
189マロン名無しさん:2011/09/12(月) 22:09:08.56 ID:???
おお、荒木の新連載か!以前と比べると確実に絵がうまくなってるな。
今度は仮面ライダーみたいな変身ものか。でも主人公(バオー?)がなんか不気味だな…
頬なんかヒビ割れてるし
190マロン名無しさん:2011/09/12(月) 22:20:01.04 ID:???
魔少年ビーティーの作者か、久しぶりだな。
ビーティーの続編を待っていたが、やはり打ち切り作品だからムリだったか。
191マロン名無しさん:2011/09/13(火) 00:40:43.88 ID:???
――数日後…… 海岸に女の死体が浮かんだ……。彼女は二人を逃がした責任を取らされたのだ……。
これがこの組織―――― 『ドレス』のやり方なのだ……。




やっぱこの独特の語り口がいいな、この作者。
192マロン名無しさん:2011/09/13(火) 00:42:01.05 ID:???
バオーってバイオから作った造語かな
生物兵器だし
193マロン名無しさん:2011/09/13(火) 01:05:48.88 ID:???
「ドレス」って名称、もうちょいなんとかならんかったのか。
どうしても洋服の方を連想してしまう。
194マロン名無しさん:2011/09/13(火) 01:35:23.73 ID:???
それを狙ったんじゃね?
一見ごくありふれた普通名詞が実は秘密結社名

「ワンピース」とか「サンダル」「フンドシ」なんかと比べれば
絶妙なラインを突いたというか、かなり洗練されたネーミングセンスだと思う
195マロン名無しさん:2011/09/13(火) 05:24:17.47 ID:???
>組織の起源は旧日本軍の化学細菌戦部隊に由来する
731部隊あたりがモデルか?

>>193-194
組織の正式名称を略して「D.R.E.S.S.」なんじゃあないか?
例えばR.がResearch(研究)の略とかS.S.がSecret Society(秘密結社)の略とか。
196マロン名無しさん:2011/09/13(火) 05:38:44.43 ID:???
まあそりゃどうとでも後付けできるだろうな

197マロン名無しさん:2011/09/13(火) 06:15:09.82 ID:???
あいうえお作文みたいなもんかw
198マロン名無しさん:2011/09/13(火) 08:45:54.24 ID:???
ウルトラマンシリーズの防衛隊の略称みたいなもんか。
MATがモンスターアタックチームと。
199マロン名無しさん:2011/09/13(火) 11:55:52.64 ID:???
ドレスはかなり良いと思うがね。現代社会が舞台ならいかにも怪しい名前で怪しい活動してるのもマズい。
200マロン名無しさん:2011/09/13(火) 14:37:37.92 ID:???
見違えるように絵が変わった
201マロン名無しさん:2011/09/13(火) 16:16:35.26 ID:???
ボタンからシャツがとれた
202マロン名無しさん:2011/09/13(火) 17:58:18.52 ID:???
スミレはヒロインなんだろうが初っ端から鼻血出す目に会うというのは容赦ないな。
そういえば公一くんも1話から鼻血出してたが・・・BTでは公一くんポジを女の子にしなかったのが敗因と見たのか。
203マロン名無しさん:2011/09/13(火) 22:19:01.47 ID:???
今更だけどビーティーのあの悪徳一家、病院搬送→逮捕されてこれまでの余罪で無期懲役受けてほしいな
204マロン名無しさん:2011/09/13(火) 22:35:26.88 ID:???
マンガの人物になにを言ってるんだ
205マロン名無しさん:2011/09/13(火) 23:42:58.17 ID:???
感想を書き込むスレなのに感想を書いちゃダメなのか?
頭おかしい人ですね
206マロン名無しさん:2011/09/14(水) 04:31:02.12 ID:???
名無しはスレに書き込み「口をすべらせた」。いつもやってるヤツだ!
207荒すじ呂彦 1/5:2011/09/14(水) 22:00:39.37 ID:R5mjTEHP
  <第2話:抹殺指令!の巻>


冒頭… 少年に抹殺命令を下す霞の目。
そんな事も知らず、少年はスミレと一緒にベンチに座っていた。
「…え? 今何か言ったかい?」
「あんた年齢(とし)はいくつかって聞いたのよ…」
――スミレのスケッチブックには「17」と書いてあり、少年は17だと答えた。
「ふーん 17歳…高校生? あたしは9さいよ
 もうすぐ10だから、たった7つしか離れてないわよね   ……たいして離れてないわ」

2人は公園前でバスを待っていたのだが… ふと、自動書記のクレヨンが暴走し、折れてしまう。
「う… “動き出した”わ!」
――どういう事か、スケッチブックからサングラスをかけた男の顔がせりあがる。
しかし、少年が見てもなんともない。これはスミレのみにしか見えない“映像”だったのだ。
やがて、バスが来た……。2人はこのバスに“乗るはずだった”……。
映像の男は不気味な言葉を口走る。

「指令は少年を24時間以内に抹殺する事! 死体は焼却する!“バオーの少年”!!」

スミレはこの男が近くにいる事を察知し、周りを見渡すと茂みから怪しい男が近づいてくる。
『そ… その男危険だわ!!』
スミレは警告を発するが、油断した少年は男に腹を刺されてしまった!
よろけた弾みに車道に出てしまい、危うくトラックに轢かれそうになるが事なきを得て逃げ出す2人。
「うう… 『ドレス』だ、『ドレス』がぼくを殺しに追ってきた!」
少年は通りすがりの男にバイクを貸してくれと頼むが、笑い飛ばされたのでやむを得ず殴り飛ばし強奪する。
「は… 早く乗るんだ! ノッツオ!」
バス停に乗って遊んでいたリスのような小動物に声をかけると、ノッツオは駆け寄って少年の肩に飛び乗った。
208荒すじ呂彦 2/5:2011/09/14(水) 22:00:58.22 ID:R5mjTEHP
 ―東北:雨の降りしきる北上山地―
お寺の廊下を歩く、僧侶姿の霞の目。
「私だ、霞の目だ…」
すると仏像の目から光線が放たれ、霞の目に当たる。
…その後霞の目は座禅を組むと、床板が物音ひとつ立てずに動き、科学的な入口が見えた。
その中は秘密裏に建てられた研究所だった。
研究所へ入ると、アナウンスが霞の目を部屋へと誘導する。


自室へ向かい、霞の目は連絡をくれた「第22の男(少年を刺した男)」と話し始める。
《霞の目博士! 少年と一緒のいるあの小娘は一体何者だ!?》
「! し… 失敗したのか!?」
《あの小娘、おれを見破ったぞ …ひょっとすると『予知能力者』か!?》
「うむむ… 少女と一緒に逃げているのか…
 いいか! 少女の予知能力は弱くあいまいだ、邪魔なら殺しても構わん!
 問題はあの『少年』なのだ! 少年を見つけたならそのまま尾行を続けろ!
 そして他の機関員達と協力して、あと3時間以内に抹殺しろ!!
 『バオー第一の攻撃化態』が出るまでに抹殺するのだ!!
 忘れるなッ! 間違いなく死体は焼却するのだッ! ガソリンで焼くのだ、灰になるまでッ!!
 抹殺(エリミネート)しろッ!!!』


その頃、2人は雨の中を着の身着のままの姿でバイクでひた走っていた。
なお、少年のナイフの傷はあれだけの深手だったにも関わらず、もうふさがっていた。
…ふと、少年は自分の腕にあるケロイドのような出来物に気づく。
少年は慌てて袖をおろし出来物を隠した。

                    それにこの皮膚の異常は一体なんなのだ!?
                秘密機関『ドレス』は橋沢育朗の体に一体何をしたのだ…!?
                 なぜあの列車にいたのか!? どうやって脱出したのか!?
                       彼にはさっぱり記憶が無かった
209荒すじ呂彦 3/5:2011/09/14(水) 22:01:12.11 ID:R5mjTEHP
「ねえ! まさか危険だからって、あたしと別行動しようって考えてないでしょうね?」
「その方がいい…」
「い… いやよ! あんたと別れたら、またドレスに連れ戻され洗脳されちまうわ!
 それに… 私あんたが好きよ……  だから一緒にいるわ」


      スミレにとってこの見知らぬ少年は謎だらけだったが、彼の性格は直感でわかっていた…
   もし、2人共空腹でチョコがひとかけらしかなかったとしたら、彼は全てそれをスミレにくれるだろう
    出会って一日しかたってないが、スミレは自分の「能力」を彼の為に役立たせたいと考えていた…

   列車から脱走する時、衣服と一緒に盗んだ金は残り少なかったが、ガソリンを入れる必要があった



 ―ガソリンスタンド―
スミレは中を見渡すが、店員が出てこないので売店のチョコを数枚失敬する。
育朗も周囲を調べると、窓ガラスが割れているのを見つけた。
…ふと、スミレは外を見ると何かおかしい事に気づく。
「あの車、おかしいわ… 屋根のある所に駐めてあるのに濡れているわ… 今ここに来たみたい…」
育朗は落ちていた人形に手を伸ばすと、背後から忍び寄ったあの男がナイフを振りかざす!
『あぶない! 後ろ!!』
不意を突かれた育朗は捕まってしまい、喉にナイフがあてがわれる。
「ガソリンが無いのはそのバイクの持ち主から聞いてわかっていた
 それに仲間が来るのを待つまでもない、俺一人で充分だ!
 娘から離れた今がチャンスだ、予知されてまた逃げられちゃかなわんからな
 まだ若いのにかわいそうだが、これが俺の仕事なんだ」

――そう言い終えるとナイフは水平に滑り、傷の深さは気管をバックリ切断した!

激しい血しぶきが飛び散る。男は念の為にと育朗の心臓にナイフを突き立てた!
惨劇を見ていたスミレは悲鳴を上げるが、男の裏拳で吹き飛ばされ気を失ってしまう。
210荒すじ呂彦 4/5:2011/09/14(水) 22:01:35.29 ID:R5mjTEHP
その後、男は育朗の死体にガソリンをかけ始めた。
「死体を焼却したら終わりだ… 意外とあっけない仕事だったぜ」
いざ死体を燃やそうとマッチを取り出すと――――……
   ウォォ〜〜〜〜ム…… バル……   ウォォ〜〜〜〜ム…… バル……
犬のうなり声のような不気味な声が耳に入る。
何の音かと男が周囲を見渡すと、音源はすぐそばにあった。―― 育 朗 の 死 体 か ら だ!!
顔色を変えていると、胸に刺さっていたナイフが筋肉により押し戻され抜けてしまった!
しかも喉の傷まで見る見るうちに回復していくではないか!
恐怖を感じた男は死体を早く燃やそうと、マッチを点火する

――――が、バルバルと奇妙な唸り声を発した育朗が起き上がり、その手首をつかんだ!!

育朗が復活した事に驚く男だが、それ以前に捕まれた男の手首が 溶 け て いるではないか!!
手首はあっという間に溶け落ち、その拍子にマッチが引火、大爆発を起こす!
男は逃げるが、育朗はバルバルとうなり声を上げながら男を追う。


                     すでに人格は少年の物ではなかった……
               そう、秘密機関ドレスの専用列車で目覚めたばかりの時のように…


男は車に乗り込むが、天井から育朗の両手が突き破り、男の頭をがっちり捕まえる!
――男の顔は徐々に溶けだし、ついに上半身ドロドロに溶け息絶えた――――……。


                バオー・メルデッティン・パルム・現象(フェノメノン)…。
          ――手のひらから出る特殊な液で物質を溶かす、バオーが持つ武装現象のひとつ。

                そして戦いを終えたバオーは変身から少年へ戻りつつあった
211荒すじ呂彦 5/5:2011/09/14(水) 22:01:53.67 ID:R5mjTEHP
育朗はスミレを抱え、安全地帯まで逃げ出した。
我に返ると、ガソリンスタンドが燃えている事に気づく。まさかあれは自分がやったのだろうか…?
                                                       <続く>

おまけ・ノッツオ紹介:ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110914214102.jpg
212マロン名無しさん:2011/09/14(水) 23:14:59.01 ID:???
ひいいいいいいいい!! 溶けた男がグロいったらありゃしねぇ!!
だが、ついに覚醒か! あの奇妙な唸り声、不気味ではあるがなんか心に来るものがあるな…
ところであのリスはいつ仲間になったんだ?
213マロン名無しさん:2011/09/15(木) 00:00:06.20 ID:???
殺し屋、しゃべりすぎだ
214マロン名無しさん:2011/09/15(木) 00:27:23.54 ID:???
「ふーん 17歳…高校生? あたしは9さいよ
 もうすぐ10だから、たった7つしか離れてないわよね   ……たいして離れてないわ」

なにげない会話がなんか印象に残るんだよなー
なんか映画かなんかを意識してんだろーか

>>210
メルト(溶かす)とパーム(てのひら)だから
「メルデッティン」じゃなくて「メルテッディン」じゃね?
215マロン名無しさん:2011/09/15(木) 01:06:35.97 ID:???
>>213
まさに「口は災いの元」だな
216マロン名無しさん:2011/09/15(木) 02:40:22.77 ID:???
育郎がバリ伝のグンに似てるな。
目が鋭くてカッコいい。
217マロン名無しさん:2011/09/15(木) 02:41:39.19 ID:???
スミレ9歳だったのか、超能力と関係ない方面でも逞しすぎるな。ビーティーとも張り合える。
218マロン名無しさん:2011/09/15(木) 02:47:53.56 ID:???
おとなのあそびもしってるのか?
219マロン名無しさん:2011/09/15(木) 15:38:35.35 ID:???
>>195
>組織の正式名称を略して「D.R.E.S.S.」なんじゃあないか?
>例えばR.がResearch(研究)の略とかS.S.がSecret Society(秘密結社)の略とか。

適当に作ってみたがこんな感じかな。
D Darkness(闇)
R Research(研究)
E Eternal(不滅の、永遠の)
S Secret(秘密)
S Society(結社)

…で、「(歴史の)闇の中で永遠に研究する秘密結社」とか。
うん、センスないのは分かってる。異論は認める。


220マロン名無しさん:2011/09/16(金) 02:30:44.68 ID:???
科学系だし、中二イメージの膨らみやすい秘密とか闇とかじゃなくて
もっと無機的で機能的で無味乾燥なんじゃないかな
DだとDepartment(部署)とか
221マロン名無しさん:2011/09/16(金) 04:01:51.47 ID:???
>「ふーん 17歳…高校生? あたしは9さいよ
>もうすぐ10だから、たった7つしか離れてないわよね   ……たいして離れてないわ」
能力のせいもあるのかもしれんが、スミレはマセガキっぽいなw

>抹殺(エリミネート)
>現象(フェノメノン)
あまり聞き慣れない英単語のルビを当てるセンスがカッコイイな。
222マロン名無しさん:2011/09/16(金) 04:03:08.01 ID:???
>>220
>>219の感じだと科学組織というよりオカルト組織っぽいなw
223マロン名無しさん:2011/09/16(金) 04:12:49.35 ID:???
フリーメーソンとかイルミナティみたいな
オカルト要素も包括してるイメージになるな
224荒すじ呂彦 1/9:2011/09/16(金) 21:54:20.86 ID:96mt9huy
  <第3話:無敵の肉体バオーの巻>


冒頭、スーツ姿の中年がタバコ屋に入っていった。
「失礼! おたずねするが… ここらでこの少年見かけませんでしたか?」
男は育朗の顔写真を取り出すと、タバコ屋の老婆に問うが老婆は編み物したまま知らないと返す。
――すると男は老婆の髪を掴み、テーブルに押し付ける!
「あのですねェ 写真もろくすっぽご覧にならないで知らないとはどういう事ですかねェ
 いいですか… ガラスに顔をくっつけてて醜いでしょうけど、もう一度よーく見て下さい」

…その後、男はライトバンへと乗り込む。
「少年を目撃した者がいたぞ…」
『急げッ! 橋沢育朗を追うのだッ!!』
――ライトバンの中には6人の武装した兵士が乗り込んでいた!



その頃、当の2人は競馬場にいた。
「質問に答えてくれる用意はいいですか?」
スミレはコックリさんのような、数字とYES/NOを書いたスケッチブックとにらめっこ中。
育朗はスミレの能力を初めて目の当たりにし、10円玉が勝手に動いている事に驚く。
予知能力でこれから生活していく為のお金がどうしても欲しく、この方法を取ったのだ。
スミレは今まで何度も当選番号を当てていたのだ。(お金は賭けていないが)
だが、10円玉が指し示したのは――――「5-7」!よりによってブタよりも遅い馬とは?!


――だが、いざレースが終わってみるとピタリの「5-7」!大穴だ!! 見事85000円ゲット!!
だが、世の中そうそううまくいかなかった。
「キミ… 年齢はいくつなんだい…?」
育朗は後ろにいた警官に手首を掴まれてしまった。
225荒すじ呂彦 2/9:2011/09/16(金) 21:54:36.19 ID:96mt9huy
 ―ドレスの隠れ蓑の寺―
その頃、霞の目は仮面を被った複数の男達と共に、バオーにやられた第22の男の死体映像を見ていた。
「『バオー』が逃げ出したのは君の責任だ、霞の目くん…
 しかし、今は君が生み出した『バオー』の弱点を知るのが先決だ 我々に詳しく報告するのだ!」
「わ… わかりました」
冷や汗まみれになりながらも高圧的な態度に内心腹を立てる霞の目。米政府と関係があるのだろうか…?


             霞の目にもこの男達は謎だった。顔を見せようともしなかった


霞の目の指示で隣の実験室が見える窓ガラスのシャッターが開く。
ライトが部屋を照らし出すと、そこには水をたたえたカプセルの中に犬が一匹いるだけだった。
「あの犬も『バオー』なのかね!? 生きているのか!?」
「生きています、犬の周りの液体は水です
 『バオー』は肺呼吸が止まると仮死状態になります 『仮死』です、老化もしません
 あの状態なら『バオー』は何百年も生き続けるでしょう
 あの犬は『今がもっとも安全な時』です」
「早く実験を始めたまえ!」
急かされ、部下に水を抜くように命じカプセルの中の水が抜かれてゆく。
「私がある条件のもとで進化を早める事によって創りあげた『バオー』は、まだ研究段階にあります
 わからない事が多く…… まだ『バオー』のパワーが手におえきれないのです
 しかしこの『生物』を自由に利用できれば、我々は医学的にも軍事的にも世界の優位に立つ事ができます」
「『ドレス』はその為に研究資金を出しておるのだ…」


そうしている内にカプセルの水は完全に抜かれ、犬が目覚め始める。
『レーザー砲と火炎放射器の用意はできているか!?』
霞の目の叫びと同時に、犬がけいれんを始め完全に目覚めた。
犬は大あくびをすると、きょとんと周りを見回す。一見普通の犬の様だが…??
「少年は『バオー』になってまだ2日目ですが、この犬は実験の為ひと月目の『バオー』です」
「で…… どう違うのだね?」
226荒すじ呂彦 3/9:2011/09/16(金) 21:54:49.69 ID:96mt9huy
「日数が経っている程パワーが強いのです
 体毛で見えませんが、皮膚に異常があります、少年も手足や顔がただれているでしょう
 バオーのパワーの秘密は体液にあり、その影響です」
「…しかし、この犬何事も無いかのように歩き回っているではないか…?」
「これからです!見てて下さい  ――――E-13のハッチを開けろ!!』

霞の目が命じると、実験室の壁のハッチが開き―――― 巨大な“ 虎 ”が現れた!!

『『バオー』は自分の身に攻撃を加えられた時! 最大の破壊力を発動させるのだッ!!』
――凶暴な虎は鋭い爪で、犬の顔半分を抉り取り壁に叩きつけてしまった!!
…しかし犬は立ち上がった!顔半分が吹き飛ぶ致命傷を負ったというのに!!
仮面の男達が信じられないと騒いでいると、犬はバルバルと唸り声を上げ始める…。
『信じられん…… これが『バオー』かッ!!』

犬は全身の体毛を逆立て攻撃態勢に入る!これこそ『バオー武装現象(アームド・フェノメノン)』!!

実験室に虎の咆哮と犬の唸り声が響く!
犬は軽く虎の背に飛び乗ったかと思うと…… 虎の背が溶け、背骨が飛び出し虎は絶命した!!
だが、事態はそれだけでは収まらなかった。ガラス越しに霞の目を認識した犬はガラスに体当たりを仕掛ける!
その威力はすさまじく、厚さ48mmの硬質ガラスにたちどころにヒビが入ってゆく!
さらにはBMPFでガラスを溶かし始める…!
危険を感じた霞の目はレーザーで射殺命令を出し、犬はレーザーで体中蜂の巣になってしまう。
――だがそれでも生きていて、ガラスへの攻撃をやめない!
『どこを狙っておるッ!頭を狙えッ!脳を破壊しろッ、脳以外は無駄だッ!!』
霞の目は仮面の男達に逃げるように指示するが、男達はバオーの素晴らしさに目を奪われ動けないでいた。

「これが『バオー』か…… フフフッ!我々ドレスが創りあげた『バオー』とはこいつかッ!
 こいつが外に逃げ出したのかッ! フフフハハハッ! ハァーッハッハッハッハッ!!』
227荒すじ呂彦 4/9:2011/09/16(金) 21:55:02.28 ID:96mt9huy
同時刻、ノッツオは小屋の壁に捕まり、獲物を狙っていた。その視線の先は… ゴキ○リ!
ノッツオは素早く襲い掛かり、太ももの毛を硬質化させGを串刺しにして食べ始めた!
「まあ… ノッツオったら、ゴキブリ食べてるわ…」
「きっと好物なんだろう」
「オエエエエ〜〜〜… あんたしばらくあたしに近づかないでよ〜〜…」
微笑む育朗と気持ち悪がるスミレ。彼らはこの取り壊し途中のマンションを今夜の宿にしていた。
育朗はベランダに出ると、避難用ハシゴを見つける。いざとなればここから脱出可能だ。
――そしてスミレはと言うと、トイレの水がまだ出る事に嬉しい悲鳴を上げていた。

…ふと、育朗は鏡を見る。そこには頬に腕と同じような、小さな出来物があった。
「うう… だんだんひどくなってる… お… 恐ろしい…」


             育朗は7歳の時、氷の張った沼でスケート中に溺れかけた…
           その時の不気味に澄んだ氷の割れる音が育朗の心の中に聞こえてきた…
         足には鉄製の重り(スケート靴)、氷が割れるのを恐れ助けに来れない友人達。
                    その時の恐怖が今蘇っていた…。

                自分の体内に起きている異常の不気味さが何か暗く、
              冷たい物に引きずり込まれるような感覚として彼を襲った!


その頃、スミレはどこからかペンキの空き缶と固形燃料を拾ってきて、お湯を沸かそうとしていた。


場面は再び霞の目に戻る。今度こそレーザーは犬の脳を貫通し、犬はついに息絶える。
安堵した霞の目は次に焼却命令を出し、その後ろでは男達がバオーの生命力に感心していた。
「よーく見てて下さい、 い よ い よ 出 て き ま す よ」
「!? な… 何が出ると言うのだ?」
…だが、霞の目は犬の死体から目を離さず何も答えない。
『霞の目! 一体何が出ると言うのだ!?』
――男の叫びと同時に犬の眼窩から何かが飛び出し、壁にピタリと張り付く。
228荒すじ呂彦 5/9:2011/09/16(金) 21:55:14.58 ID:96mt9huy
「よ――――く見ておいて下さいッ!
 あれこそ…… “あれこそ”『 寄 生 虫 バ オ ー』なのですッ!!
 あの恐るべき攻撃者は、この『寄生虫バオー』が変身させたものなのですッ!!』

壁に張り付いたのは、胴体が2つに分かれたヤツメウナギとミミズを合わせて2で割ったような虫だった!
このちっぽけな寄生虫がバオーの本体と知り、男達から興奮の声が漏れ始める。

『『寄生虫バオー』は犬の脳に寄生していたのですッ!
 少年・橋沢育朗はこの『バオー』を寄生させて我ら『ドレス』を脱走したッ!
 橋沢育朗の脳の中の『バオー』はまだ幼虫です …しかしあと百数十日で成虫となります…
 少年の『バオー』が成虫となったら……… もし成虫となったなら……
 『寄生虫バオー』は少年の体内に卵を生み、孵化した幼虫は少年の体を突き破り世界中に伝染します
 少年を焼き殺さない限り、『バオー』は駆虫できませんッ!!』

――そして壁に張り付いた寄生虫バオーは火炎放射で焼き払われた…。



『き… 来たわ!!』
三度場面はスミレに戻るが、スミレは自分の両掌が血で真っ赤になっている映像を見て悲鳴を上げる。
『どうした!?』
『血よッ! 今あたしの手が血みどろになった映像が見えたわ!!』
育朗はベランダからそっと下を見ると… 後部ドアが開いたままのライトバンが止まっていた。
『あの車! いつからあそこにいるんだッ!?』
数時間前、育朗達は競馬場でトラブルを起こし逃げてきた。
まさかあの時聞き込んで追って来たのか…!? それにしては早すぎる!
育朗はスミレを抱え、急いで避難用ハシゴへ向かうがハシゴの蓋が開かない?!

「そ… そんなまさかッ! いつの間にか下側から針金でしばられているッ!」

育朗はスミレに自分から離れるように言うと、その直後ドアを破壊して冒頭の兵士達がのり込んできた!
『一発で頭を吹っ飛ばせ! 変身させてはならんッ!』
229荒すじ呂彦 6/9:2011/09/16(金) 21:58:26.30 ID:96mt9huy
兵士達は拳銃を向けるが、育朗はすかさず沸かしていたペンキ缶を投げつけ兵士達を火傷で怯ませる!
スミレは悲鳴を上げ、恐怖のあまり育朗にしがみつく!
『バカっ! ぼくのそばに来るな!撃たれるぞッ!!』
やむなく育朗はスミレを抱えて逃げるが、追ってきた兵士の弾丸は育朗の体と額に命中してしまう。
よろめいた育朗はスミレごとガラスを突き破り、下へと落下してゆく…。
『しまった!』 「しかしこの高さ…」 「それに頭に一発当たった…!」
隊長らしき兵士は部下に命ずる。死体を「焼却」せよと。


兵士達は階下に降りてくるが、そこにいたのは倒れたスミレだけだった。
念の為顔を踏んづけてみると、まだ息があった。
「この小娘!6階から落ちたのにまだ息がある」
「邪魔だ! 頭に弾丸ブチ込んでやれ!」
――――直後、岩陰から人影が飛びかかってきた。 あれは…… 『バオー』だ!!
バオーは兵士の頭を掴むと、恐ろしい力で首から引きちぎり、同時にもう一人を岩壁に叩きつけた!


                 動物は危険が迫ったり、ケガなどすると
        副腎髄質という内臓からアドレナリンという物質を分泌し、身体を緊張させる!
              このアドレナリン量を脳に寄生する『バオー』が感知し……
            『寄生虫バオー』は宿主である橋沢育朗を生命の危機から守るべく、
                   無敵の肉体に変身させるのだッ!
        ――――これがッ!! 『バオー武装現象(アームド・フェノメノン)』だッ!!


…では、時間を少し遡りその変身プロセスを見てみよう!
落下中、寄生虫バオーの麻酔作用が開始される!
地面に叩きつけられる瞬間、体内の寄生虫バオーは育朗の精神を麻酔し、
彼の肉体を完全に支配した!
続いて瞳孔散大・平滑筋弛緩! さらに額の皮膚が縦に割れ、顔の皮膚にヒビが入ってゆく…。
さらに指に力が入り、爪が恐ろしい勢いで鋭く尖ってゆく。
育朗は空中で姿勢を整えると、スミレを地面に横たわらせ自分は物陰に大きく飛びのいて隠れた。
230荒すじ呂彦 7/9:2011/09/16(金) 21:58:42.67 ID:96mt9huy
顔の皮膚はどんどんヒビ割れ剥がれ落ち、髪の色は変わり、瞳孔が見えなくなり完全に白目となる…。
背中の銃創から弾丸が筋肉によって押し出され、たちどころに傷がふさがってゆく。


            『寄生虫バオー』の分泌液は血管を伝って細胞組織を変化させ……
              育朗の全身の皮膚を特殊なプロテクターへと変化させる!
                さらに筋肉・骨格・腱に強力なパワーを与えるッ!

               これがッ!  これがッ!  これが『バオー』だッ!!
              そいつに触れる事は“死”を意味するッ!! 武装現象ッ!! 


変身を終えた育朗… バオーにとってはもう兵士は敵ではなかった。
その恐るべき特殊能力や怪力で次々と兵士を倒してゆく!
「少年が『バオー』に変身したぞ!」
「慌てる事は無い!奴は火に弱い!」
「火炎放射器を構えろ! 円になれ、円を作るのだ!」


       視覚も、聴覚も、嗅覚も『バオー』には関係ない!感覚は全て頭部の触覚でまかなうのだ!


兵士達は隊長の指示で互いを背にし、死角のない円陣を組む。
『我々に向かってきた時が! 『バオー』が炭になる時だッ!!』
火炎が放射され、直撃は避けたがバオーの服に火がついてしまう!
バオーは大ジャンプし、一旦間合いを取ると動きを止めた。


     『バオー』は男達の発する殺意の“におい”を触覚で感じ… その“におい”が大嫌いだった
             『バオー』は思った! 《こいつらのにおいを消してやるッ!!》
231荒すじ呂彦 8/9:2011/09/16(金) 21:58:57.88 ID:96mt9huy
バオーは石を拾い、力の限りそれを握り砕くと兵士達へと向き直る!
…が、再び目の前には火炎放射!再び大ジャンプで回避するバオー!
だが、隊長はそれを狙っていた。無防備な着地の瞬間が攻撃のチャンス!

するとバオーは先程握り潰した石のかけらを指弾で弾くと、兵士の顔面に連続してめり込ませる!
バオーが『道具』を使った事に驚き戸惑う兵士達!そんな報告は聞いていない!


               『バオー』は男達の発する声にも嫌悪を感じた!
                  『こいつらの全てを止めてやるッ!』


バオーが腕を胸の前で交差すると、腕部の皮膚が剥がれ硬質化し、カマキリの鎌のような刃物を生み出した!
自暴自棄になった兵士は拳銃を撃つが、バオーは刃で弾丸を弾く。
――――そして兵士達に突撃、一瞬で2人を両断してしまっていた!!

 
           これが! バオー・リスキニハーデン・セイバー・フェノメノンだッ!!


続いてBMPPで兵士の顔を溶かすと、最後の一人はその恐怖に怯え始めた。
「ヒィッ!人間がこんなにもぐちゃぐちゃになるものなのか!」


…同時刻、スミレが目を覚ました。手を見ると、予知の通り血まみれでケガをしていた。
するとスミレの元に生き残りの兵士が駆け寄り、スミレを人質に取ってしまう!
『来るな! おれに近づくとこのクソガキをブチ殺すぞ!!』
――だが、バオーは躊躇せず刃を構え大きく跳んだ!


           『バオー』が驚くべき跳躍を見せた時、男は自分の愚かさに気が付いた
   『なぜおれは人質なんか取ったのだろう? こいつに人質なんてお笑いだ…『バオー』は人間ではないのだから……』
232荒すじ呂彦 9/9:2011/09/16(金) 21:59:18.06 ID:96mt9huy
(…こんな仕事、引き受けるんじゃなかった…)
後悔先に立たず。バオーは拳銃を掴むと、手を撃ち抜かれるにも関わらず兵士の拳銃と手を溶解接着してしまった!
兵士は悲鳴を上げがれきの裏へ逃げ込むが、バオーはがれきを貫き兵士の頭を掴むと溶かしてしまった。


                         これが『バオー』だッ!!


兵士を全員倒したバオーだったが、離れた場所に止まっていた車から監視している者がいた事に気が付かなかった。
「我がドレスの殺しのプロが7人もいて5分しかもたんとは、情けない奴らだ!
 やはり私が殺らねばならんようだ……」
――顔中包帯だらけの男はそう言って目を光らせた。                      <続く>
233マロン名無しさん:2011/09/16(金) 23:07:57.87 ID:???
ついに変身キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
バオーに変身できるのはあの寄生虫のせいなのか。

>…では、時間を少し遡りその変身プロセスを見てみよう!
宇宙刑事www
234マロン名無しさん:2011/09/17(土) 00:38:33.74 ID:???
週刊誌には勿体ないです、ハイ。

こんくれーの密度だと月刊でじっくり味わわせても十分人気とれるだろ
235マロン名無しさん:2011/09/17(土) 03:34:10.78 ID:???
「リスキニハーデン」って何語でどういう意味?
なんかドイツ語っぽい語感だけど。
236マロン名無しさん:2011/09/17(土) 03:48:16.59 ID:???
スキンは英語で「肌」の意
ハードは英語で「固い」の意、接尾語の-enは英語で「〜化する」の意 よってhardenは英語で「硬化する」の意

確かにenはドイツ語動詞の原型っぽいけどな

スキンがスキニになったり
メルトがメルテッディンになるのは作者の趣味だろう
237マロン名無しさん:2011/09/17(土) 03:57:14.41 ID:???
なるほど。「リ」が「〜し直す」の接頭辞re-だとしたら、
「肌を硬質化して作り直す」くらいの意味か。
238マロン名無しさん:2011/09/17(土) 04:09:16.26 ID:???
リスが木に(登り)歯が出んだよ

げっ歯類の歯に着想を得た能力
239マロン名無しさん:2011/09/17(土) 09:37:20.78 ID:???
これが『バオー』か!! 一話で見せた完全形態はこんな生々しい変身だったんだな。
犬にもメルテッディンパルムを使わせたのは気が利いてる。道具を使えるのは人間に寄生したがゆえの特性かな。
240マロン名無しさん:2011/09/17(土) 14:11:22.32 ID:???
さっきまで普通の少年だったのに、戦闘訓練を受けた男たちが歯が立たずか。
人間との圧倒的な能力差を見ても自信ありげな包帯の男に如何なる秘策ありや?

銃とくっついちゃった男の手が元に戻ってるコマがあるね。
241マロン名無しさん:2011/09/18(日) 00:25:09.49 ID:???
 >『寄生虫バオー』は少年の体内に卵を生み、孵化した幼虫は少年の体を突き破り世界中に伝染します
 >少年を焼き殺さない限り、『バオー』は駆虫できませんッ!!』

え?成虫になったら体を食い破って出て来て伝染するって事は、
宿主も死んじゃうじゃん。
バオーって犬にも寄生出来るんだから、このままだと全人類というか
寄生可能な全生物が全滅するってことか?

体のなかでバオーを育ててるから育郎・・・なんちて。
242マロン名無しさん:2011/09/18(日) 01:11:11.05 ID:???
この一言が、発言者の意図と違った意味で作品の核心をつくことになろうとは
>>241には知る由もなかった…
243マロン名無しさん:2011/09/18(日) 08:53:50.46 ID:???
>>241
その辺りが非実用的でまだ未完成だったってことじゃないの?
研究途中の段階で野に放たれたから問題視して抹殺しようとしてるんだろう。
244マロン名無しさん:2011/09/18(日) 13:40:05.03 ID:???
一匹しかいないのに卵を産めるということは単性なのかね。
245マロン名無しさん:2011/09/18(日) 13:41:10.68 ID:???
カタツムリと同じく雌雄同体という可能性もあるな
246荒すじ呂彦 1/3:2011/09/18(日) 21:58:30.52 ID:k9zr81Co
  <第4話:凶獣マーチンの巻・前編>


冒頭。前回の戦いの直後、ノッツオはまだ呑気に6階にいた。
スミレが心配になったのか、飛び降りると尻尾がタンポポの綿毛のように膨らみ、ゆっくりと落下してゆく。
そしてスミレの顔の上に乗ると、匂いをかいで唇をペロペロとなめまわす。
おかげでスミレは気が付いた    ――――が、ノッツオの頭を殴りつける!?
『オッオッ オエ〜〜〜〜ッ!! 何すんのよッ!口ん中なめんだものッ! ゴキブリ食べてるくせにィ!!』
…ふと、スミレは殴りつけた手を見て自分がケガしている事を思い出す。
辺りを見回すと、向こうに異形の怪物(バオー)が佇んでいるのが見えた。

                 『バオー』の武装解除はまだ解けないッ!
              殺気がまだ『バオー』の触覚に感じられていたのだッ!
         『バオー』は思った… 『いるッ! まだいるッ! 何かが潜んでいるッ!!』


「フフフ… 橋沢育朗―――― いや、『バオー』よ お前の戦いは見せてもらった…
 私が貴様を抹殺するッ!!』
そう叫ぶや否や、包帯の男は車ごとバオーに体当たりを仕掛けるが、バオーは難なく車を防御する。
それを見たスミレは顔色を変える。
「あ… あれは育朗なの? そ…そんなまさか! ド…ドレスは彼に一体何をしたの!?」

車から脱出した包帯の男は、まるで新体操の様に華麗に空中を舞い着地する。
「『バオー』よ… 貴様は確かに霞の目博士が創りだした、優れた生物だ
 独特の能力とパワーを持っている
 しかし、なんだな… 何故に霞の目博士がそんなにお前を恐れるのかわからん!」
包帯の男は花をいじりながらバオーの周りを回ると、バオーの左肩を指さす。
…バオーの左肩には、いつの間にか一輪の花が刺さっていた。
「その花… どこでついたかわかるか!? 車をぶつけた瞬間に私がつけたのだ!
 貴様を試してみたのだ! 隙だらけだ!お前の闘いは幼稚だ! パワーだけだッ!!
 『バオー』よ! お前はまだ生まれたばかりで学習が無い!訓練されていないッ!
 訓練がなくては生き延びる事はできんッ!!」
247荒すじ呂彦 2/3:2011/09/18(日) 21:58:49.93 ID:k9zr81Co
包帯の男は背中に隠し持った鞭をふるうと、近くの井戸の前まで移動する。
『マーチン!!』
        ――――ゴルルルル…   ゴルルル……
その不気味な唸り声は離れた場所にいたスミレにもはっきり聞こえた。あの中に何かがいる!!

『マーチンッ!! 出てこおおぉぉぉ〜〜〜〜〜〜いッ!!!』

男が叫ぶと、井戸の中から約3m程の巨大な猿型の怪物が姿を現した!!
『マーチン!
 アフリカに住む凶暴な猿マンドリルを霞の目博士が改良を行い、私が戦闘用に訓練したのだッ!
 強靭な四肢と高度な知能に加え!残忍な性格を身につけているッ!
 マーチンを訓練中、ちょいとこいつにじゃれつかれ 触られただけで顔面はご覧の通りメチャメチャさ!
 しかしカワイイ奴よ…」
――それを見たスミレは、思わず悪魔だわ、とつぶやいた。


          『バオー』の触覚に“におって”きた! 彼の嫌いな『におい』がッ!!

バオーは大きくジャンプするが――――……
『食え!マーチン!! 奴を食う事を許可するッ!!』
包帯の男の命令と共に、マーチンはあの巨体でバオーよりも高く跳躍した!!
バオーはRHSで応戦するが、マーチンは毛皮に隠し持った鉄の杭でRHSをヘシ折ってしまった!
「フフ… マーチンは体毛や胃の中に大量の殺戮道具を隠し持っているのだ!」
自分以上の怪力で殴られ、さしものバオーも血反吐を吐きがれきに叩きつけられる!
次にマーチンはロープを吐き出し、バオーに向かうと鉄柱をヘシ折りバオーに投げつけた!
身動きの取れないバオーは…… 鉄柱に胸を貫かれてしまった!!
「フン、ちょろいもんだ!よくやったマーチン!!」
248荒すじ呂彦 3/3:2011/09/18(日) 21:59:07.19 ID:k9zr81Co
――その時だった。
「ママ! 家からスーパーに買い物に行く時はここを通ると近いんだよ」
「猫みたいに近所の地理に詳しいのね」
買い物帰りの母と子が運悪く通りかかり、マーチンや包帯の男、兵士の死体を目撃してしまう。
母親は恐怖に震えだし、悲鳴を上げ子供を連れて逃げ出した!
「…見られたか… 消すしかないな   ――――マーチン!!』
同時にマーチンはすぐさま母子に飛びかかり、2人を両手の間で押しつぶすように殺してしまった!
その光景を見てしまったスミレの目に涙があふれる。
『ひどいッ! 何も関係のない人まで……!!』
続いて包帯の男はスミレも殺せと命じると、マーチンは鉄の杭をスミレ目がけて投げつける!
――――だが、杭は割って入ったバオーの腕に刺さって防がれた!


            『バオー』が泣けるとしたら、彼は今間違いなく泣いていた!
              彼の触覚は今、新たな『におい』を感じ取ったのだッ!
        防衛の為の闘いもできずに、生きる事を止められた生き物の『悲しみのにおい』を!!
           その“におい”が『バオー』の全身に新たなエネルギーを送り込んだ!
                                                        <続く>
249マロン名無しさん:2011/09/18(日) 22:43:51.25 ID:???
うお、ついに無関係な人が巻き添えに…!
250マロン名無しさん:2011/09/18(日) 22:50:46.05 ID:???
本来なら、バオーの方が一般人にとっては迷惑なんだが…
生物兵器の成長物語にするみたいだな

後、育郎自体は全く自体に関与していないのが少し不満
251マロン名無しさん:2011/09/18(日) 23:15:49.71 ID:???
ぬう、ついにバオーと拮抗する怪物を出してきたか。
252マロン名無しさん:2011/09/19(月) 00:09:01.80 ID:???
            『バオー』が泣けるとしたら、彼は今間違いなく泣いていた!
              彼の触覚は今、新たな『におい』を感じ取ったのだッ!
        防衛の為の闘いもできずに、生きる事を止められた生き物の『悲しみのにおい』を!!

悪の組織の手の者は別に悲しみのニオイなしなのな。
わりと分かりやすい勧善懲悪モノをベースに改造人間の悲哀でいくのか

>RHS
さすがに前置きなしで当然のようにここまで略して出されるとどうかと思うなー
253荒すじ呂彦:2011/09/19(月) 00:22:12.43 ID:???
すいません、RHS=リスキニハーデンセイバー です
254マロン名無しさん:2011/09/19(月) 01:25:18.18 ID:???
母子殺される場面はホントは悲惨な場面なんだが、
不三家nilkyチョコレートで笑っちまった。
荒木センセ、小ネタ仕込むのも時と場合によりますぜ・・
255マロン名無しさん:2011/09/19(月) 01:46:09.34 ID:???
最初に一回だけでもカッコつきで
>RHS(リスキニハーデン・セイバー・フェノメノン)だ
みたいな書き方してれば違和感もなかったと思うんだ
256マロン名無しさん:2011/09/19(月) 08:36:21.21 ID:???
>>244
性別があるとして、卵を孕んだ状態のメスでないと寄生行動をしないとか。
蚊のメスだけが産卵のために吸血行為をするように。

>>250
脳に寄生してるし、育郎の性格の影響も受けてるんじゃないか?
寄生虫と育郎の頭脳で「バオー」の人格が出来上がってるというか。
あんなミミズみたいな虫単体でそこまでの知能や感情があるとは考えにくいし。

>>252
>悪の組織の手の者は別に悲しみのニオイなしなのな
つ「防衛の為の闘いもできずに」
257マロン名無しさん:2011/09/19(月) 08:56:10.82 ID:???
マーチンに『バオー』を寄生させたらもっと強くなるかな。研究が進めばそういう実験もしたかも。
258荒すじ呂彦 1/3:2011/09/20(火) 21:59:21.68 ID:aKeP2Kv0
  <第5話:凶獣マーチンの巻・後編>

バオーの雄叫びと共に腕から杭が弾き飛ばされ、その生命力に戦慄する包帯の男!
バオーはマーチンに背を向けると、そばにあった身の丈ほどもあるがれきを持ち上げ投げつける!
だが、包帯の男が鞭をふるうと、マーチンは足で軽々とがれきを受け止めてしまう。
…その様子を見てスミレは悟る。
「あれはやっぱり育朗だわ! 『ドレス』に何かされて姿は変わっているけど、 あの優しい育朗だわ!
 だって今、あたしを助けてくれたもの…」


鞭をふるいながら包帯の男は物思う。
(『バオー』よ お前とマーチンは同じ原理によって生まれた
 霞の目博士は何百匹という多種類の動物に、彼の開発した細胞核内の遺伝情報を操作する薬を与え…
 過酷な環境を作り出す実験室で飼育した…
 極寒の部屋、酸素の少ない部屋、あるいは熱波の部屋などほとんどの物は死んでいった…
 ――しかし! その過酷な環境の中で生き延びた物がほんの少しだけいた!
 以上の実験を繰り返し、それらの子孫で環境に適応した体を持った動物が『人口進化』による『新生物』だッ!
 それが『寄生虫バオー』であり、マーチンなのだッ!!)
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110920213308.jpg
『しかし!マーチンとお前の違いは!
 マーチンは軍隊で殺人犬や殺人猿を訓練した私が戦闘用に仕込みあげた事だ!!』

…ふと、バオーの背後をネズミが横切ろうとしたが、突如足を止めると苦しみだし、血を吐いて死んでしまった!
直後、バオーの足も震えだし、がっくりと膝をついてしまう。
一体何が起こったのか!? その理由は、マーチンが胃の中に隠し持っていた無臭の毒ガスのせいだった!
『マーチン! 奴を風上にやるな!!』
マーチンは口から銛付ワイヤーを射出するが、弱ったバオーは避けられず直撃を受けてしまう!
『毒ガスが効いているぞ! 奴は動きが全然鈍いッ!!』
バオーは自分の体に巻き付いたワイヤーを溶かそうとするが、メルデッテインパルムが弱くワイヤーが切れない!
ついに倒れてしまうバオーだが、戦いを見ていたスミレは“ある事”に気づく。
259荒すじ呂彦 2/3:2011/09/20(火) 21:59:43.82 ID:aKeP2Kv0
「あの男… 鞭の風を切る音であの猿に命令しているんだわっ!」

勝利を確信した包帯の男は、マーチンに鉄板で首をはねろと命令する。
言われるままにマーチンはそばにあった鉄板(トタン板)を投げつける!

バオーは咄嗟にジャンプして避けるが―――― 左足を切断されてしまった!!

『チィッ!悪あがきしおって! マーチン、とどめを刺せ!!』
包帯の男は鞭をふるうが、突如鞭の動きが止まる。振り向くと、スミレが鞭を握っていた!
『あ… あんた達が育朗に何かしたんだわ! 大好きな優しい育朗にひどい事したの、許せないっ!
 あたし絶対許さないわ!』
包帯の男は邪魔をするなとしばき、半失神したスミレをからめ捕ると上空へと放り投げる。
『地面に叩きつけてやる、この小娘がァ――――ッ!!』


               『バオー』の触覚はスミレの『におい』を嗅いだッ!
                 スミレの生命危険信号の『におい』をッ!!

              育朗の潜在意識と『寄生虫バオー』の命令が一致したッ!
                “『こいつらの『におい』を止めてやるッ』”!!


バオーは体のワイヤーを全力で引きちぎると、声高らかに咆える!
『しまった! マーチンへの命令が一瞬遅れてしまった!』
直後、バオーの長い髪がザワザワとうごめき―――― 無数の針と化して男の顔面に刺さった!


           『バオー・シューティングビースス・スティンガー・フェノメノン』ッ!
260荒すじ呂彦 3/3:2011/09/20(火) 21:59:56.44 ID:aKeP2Kv0
激痛にうめく男の隙を突き、バオーはセイバーでマーチンを切り裂いた!!
マーチンは最後のあがきとしてバオーの両肩を弱弱しく掴むが、バオーはその腕さえも切り落とした。
マーチンがやられた事に激高した男は銃を抜きバオーを狙うが、直後、顔に刺さった毛針が発火した?!


     『バオー』の髪は硬質化し、抜けると物質の成分が変質して動物の体温で『自然発火』する!
        これが『バオー・シューティングビースス・スティンガー・フェノメノン(BSSP)』だッ!
   


男はそのまま燃え尽き、これでまたバオーは刺客から生き延びる事ができたのだった。
…だが、バオーは片足を切り落とされてしまった……。
するとバオーは切り落とされた足を拾い、切断面にくっつけると、ほどなく足首がピクリと動いた!
スミレは恐るべき再生力にあっけにとられていると、バオーの姿が徐々に育朗に戻る。
『 育 朗 ッ ! 』
完全に育朗の姿に戻ったのを見て、スミレは涙しながら育朗の胸に抱き着いた。   <続く>
261マロン名無しさん:2011/09/20(火) 22:43:55.07 ID:???
NGワード「鬼太郎」
262マロン名無しさん:2011/09/20(火) 23:44:16.02 ID:???
俺は横山光輝の「マーズ」を思い出した。
263マロン名無しさん:2011/09/21(水) 00:20:30.80 ID:???
足は生えてくるかと思ったがくっつけたか。律儀に足を拾うのはちょっと親しみを感じた。
ズボンの裾も一緒にくっついたみたいなのは気のせい。
264マロン名無しさん:2011/09/21(水) 00:54:30.21 ID:???
寄生虫バオー単体でも苛酷な環境に耐えられるのか。
生物に寄生して初めて力を発揮するのかと思ってたよ。
265マロン名無しさん:2011/09/21(水) 01:11:35.89 ID:???
過酷な環境の中で他の生物に取り付いて生き延びたんじゃね。
解説はあくまで人工進化の大雑把な原理であって、実際は色々な方向に適応進化した奴がいたのだろう。
266マロン名無しさん:2011/09/21(水) 01:24:49.27 ID:???
メルテッディンパルムやリスキニハーデンセイバーはかろうじて元の単語が想像できたが
シュー手ティングビースススティンガーのビーススは一体何なんだ

>メルデッテインパルムが弱くワイヤーが切れない!
万能じゃあないんだな、やっぱ弱ったりすると能力もそれ相応か
267マロン名無しさん:2011/09/21(水) 16:23:21.92 ID:???
マンドリルが身体能力や知能をいくらか向上させるのはまだわかるとして、
どうやったら何かの寄生虫が宿主を超戦闘モードに変身させるまで
持っていけるのだろうか。
268マロン名無しさん:2011/09/21(水) 16:52:04.60 ID:???
内分泌(ホルモン)
269マロン名無しさん:2011/09/21(水) 22:38:07.39 ID:???
マーチン、包帯マンの命令がないとデクノボウ過ぎるぞ。
270マロン名無しさん:2011/09/22(木) 13:13:05.27 ID:???
なんか1話から思ってたが、このスミレって子かっこいいな
頭がよくってちょっと小生意気ででも可愛くてたくましくて…
今までになかった気がする
271マロン名無しさん:2011/09/22(木) 13:39:06.57 ID:???
>>263
ズボンはメルテッディンで生地を溶かして溶接みたいにくっつけた、と脳内補完してる
272荒すじ呂彦 1/5:2011/09/22(木) 22:01:47.67 ID:3GWE3ktx
  <第6話:六助じいさんの巻>


冒頭、晴れ晴れとしたのどかな田舎…。ハイキング中の若い女が育朗達に気づく。
「今の男の子、すごよかったと思わない?ウットリものよ!」
「でも変よ、こんな山奥に何の荷物も持たないなんて…」
「それに見たァ? 一緒にいたしみったれてかわいくない女の子!」
…そんな事を口々に言いながら、キャーキャー騒ぎながら過ぎ去っていく。

「あと何キロか行くと山小屋がある、そこへ行こう」
「前にあんたの父さんと母さんと遊びに来た所なの?」
「うん… ところで疲れたかい?」
スミレは平気だと言うが、どう見ても足がふらついて疲れが出ているのは一目瞭然だった。
やむなく育朗はスミレをお姫様抱っこして、先を急ぐことにした。
先を急ぐ中、スミレはなぜ育朗がドレスと関わったのかと聞く。
――その問いに今まで笑顔だった育朗は突然表情を変え青ざめ始めた…。



 ―半年前―
親子3人でドライブ中の幸せそうな橋沢家。
「育朗! 母さんバンジョー聞きたくなったわ、弾いて!」
後部座席の育朗は喜んでバンジョーを弾きだすと、父も笑って妻に問いかける。
「母さん、私も運転しながら弾いてもいいかな?」
「人“轢く”からだめよ」

そんな幸せな一家に不運が襲ってきたのはその直後だった。
――前方のカーブから無謀な運転の車がスピードを競いながら迫ってきたのだ!
暴走車2台を避けられず、橋沢家の車は急ハンドルで岩壁に衝突してしまった!
(その後、暴走車は2台とも逃げてしまったのは言うまでもない…)
273荒すじ呂彦 2/5:2011/09/22(木) 22:02:02.94 ID:3GWE3ktx
 ―病院―
親子を寝かせたベッドのそばで、医師が冷や汗まみれで電話をかけていた。
「霞の目博士ですか? …お… お探しの患者が見つかりました…」

その報告を聞き、すぐさま霞の目が病室に現れた。
「患者の容体は?」
「一家3人とも重傷です… しかし声明は助けられます」
『よし!その少年だけもらおう!『バオー』の実験には若い肉体が最も望ましい!!』
「りょ、両親の方はどうすればよろしいのでしょう?」
「“遺族のいない者”がこの実験の重要条件なのだよ、君…!」
『な… なんですって!? そんなまさか!3人とも声明は助ける事ができるのですよ!?』
「君も『ドレス』なんだろう?理解できるねェ? あとの処理はこっちでやる…
 3人とも交通事故で死んだのだ! いいね! 死んだのだよ!」
「この薬を注射すれば簡単に片が付く」
助手が両親に注射した直後、育朗が気が付いた。
「こ… ここはどこですか? 父さん…? 母さん…?」
その直後、両親は激しい全身けいれんを起こし、血を吐きながら苦しみ始めた!
霞の目は焦り、助手に育朗を研究所へ運べと命じる。
育朗は父と母を呼びながら弱弱しく手を伸ばすが、その手が両親に触れる事は二度となかった……。


 ―研究所手術室―
育朗の脳に寄生中バオーが注入されようとしていた。
死ぬかもしれないが、成功すればこの重傷も凄い速さで治癒してしまうだろう。
――――こうして、育朗は水の中で眠りに入ったのだ……。
274荒すじ呂彦 3/5:2011/09/22(木) 22:02:15.33 ID:3GWE3ktx
 ―古風な民家―
『バアさんや、バアさん!』
その家では老夫婦が暮らしていた。
「今晩、ハクサイの漬物でメシが食べたいのォ…」
「街の歯医者で奥歯抜いたばかりなのに、大丈夫ですか?」
『食いたいつーたら食いたいのじゃッ!!』
「怒鳴る事ないじゃないですか…」
ブツブツ文句を言うおばあさんの後ろで「お前の漬物はこの世で一番うまいぞ」とじいさんが一言。
気をよくしたおばあさんは離れ小屋に向かい、戸を開けると… 恐ろしさに顔色を変える!

――離れ小屋の中には、育朗とスミレが休んでいたのだ。

「こ… 怖がらないで!怪しい者ではありません!』
育朗は慌てて弁解するが、おばあさんは怯えながら泥棒だと家へ逃げ帰ってしまう。
その声に気づいたじいさんは散弾銃を持ち出し、育朗の鼻先に突きつける!
『動くなッ! この野郎、ここで何してる!?』
「す… すみません、すごく疲れていたのでここで休ませてもらおうと思って… すぐに出ていきます」
(…丁寧で礼儀正しい育朗に対し、スミレは育朗の背中で罵詈雑言を浴びせているのは黙っておこう)
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110922215756.jpg
じいさんは人睨みすると登山客じゃない事を見抜く。何しろ荷物も何も持ってないのだから。
スミレは相変わらず罵詈雑言を浴びせるが、育朗はスミレを押さえ立ち去ろうとする。
「おばあさん!おどろかしてすみませんでした」

――が、じいさんに呼び止められる。
『待ちなッ!  …中へ入んな!メシ食ってけ!」
まさかの言葉におばあさんは驚きを隠せない!
「何か訳ありって感じだな… 見た所困ってるようだし、じき日が暮れる なんなら泊まっていってもいいぞ!」
「あ あたしゃ反対ですよっ! 都会の若者じゃないですか!」

『やかまし――――っ!! わしはこの若者が気に入ったぞっ!
 態度や言葉遣いが紳士じゃ!娘の方はどうしようもないが… 泊めるつーたら泊めるんじゃあっ!!』
275荒すじ呂彦 4/5:2011/09/22(木) 22:02:29.09 ID:3GWE3ktx
頑固じじいもここまでくるともはやおばあさんは何も言えない・・・・・・・ が。
「それに13年前出て行った息子みたいじゃないか…」
その一言で、おばあさんはもう完全に何も言えなくなってしまい黙り込んでしまった。



時計を見るともうそろそろ8時になろうとしていた。
爺さんと育朗・スミレは囲炉裏を囲み、夕飯をごちそうになっていた。
「どうじゃ、おじょうちゃん もう一杯おかわりでも…」
だが、よほど疲れたのかスミレは育朗の腕にもたれかかって眠っていた。
「おっと!もうおねむかい!? 相当疲れとうようだのォ… バアさん!布団しいとくれ――――ッ!!』
…だが、おばあさんは不機嫌そうにプイと向こうへ行ってしまった。
それを見た育朗は申し訳なさそうにするが、じいさんは気にするなと言ってくれた。
「わしらにも息子達が3人おるんじゃが、何年も便り一つよこさんでのう…
 だからバアさんは若者が信用できんのじゃ」
――そうしみじみ言うと、寂しそうにキセルを大きく吸った。
「ぼくらがどうしてこの山にいるのか、理由を聞かないのですか?」
「話たけりゃ話せばいい…」
そう言うと、じいさんは薪を取ってくると外へ出て行った。


じいさんが薪を取っていると、背後から「こっちを振り向け」と声がする。
反射的に振り向くと、機械の義手がじいさんの眉間を人差し指で押さえつける!
すると義手が展開し、細いアームがいくつもじいさんの額にくっつく。
――怪しい人物は髪を束ねた、若い男だった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110922215808.jpg
「私の手は洗脳機械になっている…
 今… お前は私の催眠支配のもとに入った! お前の家に柱時計はあるか!?」
「あ… ある」
276荒すじ呂彦 5/5:2011/09/22(木) 22:02:43.39 ID:3GWE3ktx
「よし! 家の中に少年がいるな…
 “柱時計が二つ打ったら”少年の頭を散弾銃で撃てッ!! いいか!頭をひき肉みたいにぶっ飛ばすのだ!!
 そして少女と自分の妻をも撃ち殺し、お前も自殺する!!』」

「…わかった…」
「今まであの小娘の予知が危険を少年に知らせた、それが問題だったのだ…
 しかし今、あの娘は疲れぐっすり眠っている… やるなら今だ!!
 行けッ! お前には殺意の“におい”が無い!奴には気づかれん!!』


家に戻ったじいさんの顔は先程と何も変わらなかった。
「ジイさん、薪はどうしたの?」
「薪? ああ、薪ね… 今日はくたびれた、銃の手入れをして寝るぞ… おやすみじゃ!」
そう言い残しじいさんは部屋へ戻り銃の手入れを始めた。                     <続く>
277マロン名無しさん:2011/09/22(木) 22:17:23.77 ID:???
これまたアクの強い新キャラが出たな。>爺さん
何だかんだ言って根は優しそうだな…婆さんはろくでもなさそうだが。
そしてサイボーグのキャラは策士系か?
278マロン名無しさん:2011/09/23(金) 00:50:07.01 ID:???
婆さんも悪い人じゃないだろ
> だからバアさんは若者が信用できんのじゃ」
279マロン名無しさん:2011/09/23(金) 10:17:27.72 ID:???
一般人をこういう形で巻き込むのはきつい展開だなあ
マーチンの時みたいのしか思い浮かばん
爺さん……

育朗がスミレをだっこしている図、なんかほのぼのするw
280マロン名無しさん:2011/09/23(金) 12:27:45.12 ID:???
>「母さん、私も運転しながら弾いてもいいかな?」
>「人“轢く”からだめよ」
お茶目な両親だったんだな…。

>「りょ、両親の方はどうすればよろしいのでしょう?」
>「“遺族のいない者”がこの実験の重要条件なのだよ、君…!」
ドレスの非道さがここに表れてるな…。
281荒すじ呂彦 1/4:2011/09/24(土) 21:18:22.24 ID:GJfcOjAW
  <第7話:アロマ・バットの巻・前編>
「MPPの秘密」:ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110924211540.jpg


時間はそろそろ2時になろうとしていた。梁の上で寝ていたノッツオは何かを感じ取り目を覚ます。
起きている者が一人もいない家の中に、パタパタと何かの音が響く。
やがて穴から何かが顔を出す… コウモリだ! あれはコウモリの羽音だったのだ!
コウモリは家の中に侵入すると、梁の下にぶら下がるが… その足には監視カメラがつけられていた。

カメラを通して家の中を見た義手の男はほくそ笑む。
「フフフ… よく寝入っている、相当疲れていると見える…
 これではあの娘の予知能力も… 役に立つまい!!』
――そう叫んだ直後、柱時計が鳴った!
「今、時計が2つ鳴るッ! 私の催眠術にかかったジジイが橋沢育朗を始末してくれる!
 橋沢育朗は親切に泊めてくれた人のいい老人に… 散弾銃で撃ち殺されるのだ!!』


目覚めたじいさんは散弾銃を取ると、弾を込め、うつろな目でムクリと起き上がる。
ミシミシと床をきしませ、育朗の頭に散弾銃を突きつける…。
《よし!橋沢育朗の頭を破壊しろッ!!》

――その時、梁の上にいたノッツオは不審なコウモリに対し唸り声をあげ襲い掛かった!
コウモリとノッツオの叫び声で育朗とスミレは目を覚まし、間一髪で銃撃を避けた!!
…と、同時にコウモリもノッツオの針で仕留められていた。
「モニターカメラをつけたコウモリを送り込んだのがアダとなったか…
 やむを得ん… アロマ・バット作戦で行くとするか…」
義手の男は監視していたワゴン車から降り、じいさんの家へと赴いた。
282荒すじ呂彦 2/4:2011/09/24(土) 21:18:36.58 ID:GJfcOjAW
『お… おじいさん!何をするのです!』
育朗はドレスがじいさんに何かしたのかと勘繰るが、考える暇もなくじいさんは育朗を狙う!
『いけないッ!ぼくに殺意を向けるのは!ぼくはあなたを殺すかもしれないッ!』
騒ぎを聞いたおばあさんも起きだし様子を見に来た。
育朗がスミレを突き飛ばしたのと同時に、じいさんは育朗の胸に銃撃した!
育朗が吹き飛ばされた直後、じいさんは弾を込め今度はスミレを狙う。
思わずおばあさんは飛び出し、スミレをかばう。
『おじいさん!  い…一体何が…!?」
  
――その時、じいさんの後ろでパキパキと何かが割れる音がする。
ふりむくと、そこには武装現象を終えたバオーがいた!
異形の姿へと変貌した育朗を、おばあさんは思わず化け物と叫んで怯えてしまう。
『きさま、まだ生きとったか――――――ッ!!』
じいさんは再び発砲するが、バオーの固い筋肉にそんなものは通じない!
バオーはにじり寄り、じいさんの頭を掴み力をこめ始める…。
『育朗、やめて! 違うわ!!』
スミレの叫びが聞こえたのか、バオーは動きを止める。


            バオーは思った! 『違う! この男の『におい』ではないッ!!』
              彼の嫌いな『におい』はこの老人から発散されていない!


直後、じいさんの催眠が解け我に返る。
バオーはじいさんが敵ではない事を感じ取り、本当の敵は上… 屋根の上にいる事を察知する!
バオーは大ジャンプするとそのまま天井を突き破り、屋根の上へと着地する。
――そこには、あの義手の男が待ち構えていた。
「出てきたな… お前は殺意の『におい』で攻撃するんだったな」
男が義手を高く上げると、無数のコウモリが集まってきた!
283荒すじ呂彦 3/4:2011/09/24(土) 21:18:50.23 ID:GJfcOjAW
『芳香蝙蝠(アロマ・バット)!!
 このコウモリは私の腕から出ている超音波で操られているのだ、そして……
 このコウモリの出す特殊な芳香は、お前の触覚をマヒさせる!
 フフフ… どうだ? おれがどこにいるのかわかるまい」

男はバオーの背後に回り込むが、バオーは男を察知できずただ立ち尽くしていた。
「これからこの薬をお前の触覚器に注射する… 脳組織は破壊され、お前は速やかに死ぬ」
男は注射器を取り出すと、バオーは最後のあがきなのか下へと飛び降りていく?!

その直後、心配になったスミレとじいさんが外へ出てきた。
バオーを追って飛び降りた男に、じいさんは銃を向ける!
『待ちな! わしの土地で何をしている!?」
「私は政府の者です…
 実はご覧の通り、この少年は悪質な伝染病にかかっています、その少女もです
 少年の姿を見なさい! 怪物です!」
その言葉に疑いの眼差しを向けるじいさん、泣きながら嘘つきと叫ぶスミレ。
「催眠状態になりませんでしたか? それもこの少年の仕業です…」
スミレはでたらめだと泣きわめくが、じいさんはそばに来るなと一喝する。
男はうやうやしくおじぎすると、注射をするだけなのですぐ済む、とバオーに注射をしようとする…。

――その直後、銃声と共に……注射器が粉砕された?!

『テメ――――ッ! 変な動きをするんじゃねぇ!!
 おじょうちゃん、もう泣くのはおよし わしは味方じゃよ……
 じゃが、銃をぶっぱなすから離れておいで!
じいさんは男を信用していなかったのだ!寄るなと言ったのも、銃を撃つからだった!
おばあさんは関わらないでと懇願するが……
284荒すじ呂彦 4/4:2011/09/24(土) 21:19:06.73 ID:GJfcOjAW
『バータレッ! この子達はわしの客じゃい!!
 少年は確かに得体のしれん病気にかかっているかもしれん!
 …しかし!わしが招待した客じゃあ――――っ!!
 自分が気に入った客は自分の土地の中では最高の友情と“もてなし”を与えるんじゃ!!
 この山の猟師… 先祖代々そうしてきた!わしもそうするんじゃッ!!
 わしは好かんぞ! こんなかわいい子供を困らせるよーな奴は好かんッ!!
 それにわしを憑き物憑きにしたのもお前じゃな――――ッ!!』

じいさんの豪語に男は態度を豹変し、暗殺ターゲットにじいさんも含める。
ふと、スミレはコウモリが怪しいとにらみ、じいさんにコウモリを狙うように指示する。
――が、その直後に男の義手から弾丸が発射され、じいさんの腹に命中した!!
すかさず男はバオーを狙おうとするが、男が撃つよりも早くコウモリが次々と撃ち落される!
『てやんでぇ!』
幸い、致命傷を免れたじいさんがコウモリを全滅させてくれたのだ!             <続く>
285マロン名無しさん:2011/09/24(土) 21:53:17.46 ID:???
じいさんカッコイイ!なんか好きになってきた!
286マロン名無しさん:2011/09/25(日) 00:17:26.34 ID:???
ばあさんも咄嗟にスミレを保護しようとしてたしいい人には違いないんだよな、
ただまあ若者不信+荒事を望まないというだけで。
しかし義手男…あんな髪型で政府関係者と称して信じてもらえると思うのか?
287マロン名無しさん:2011/09/25(日) 01:54:43.28 ID:???
じいさんはいい奴だと信じてたが
思ってた以上にいい奴だった

 少年は確かに得体のしれん病気にかかっているかもしれん!
 …しかし!わしが招待した客じゃあ――――っ!!

最高
これこそ精神的貴族ですよビーティ君
288マロン名無しさん:2011/09/25(日) 11:25:05.83 ID:???
「お前の家に柱時計はあるか」「な・・・ない」
289マロン名無しさん:2011/09/25(日) 11:28:48.90 ID:???
>MPP
「フェノメノン」なのに頭文字はPなのか。Fじゃないの?
290マロン名無しさん:2011/09/25(日) 11:33:16.05 ID:???
「紳士」が好きだったり、てやんでえと言ったり、
田舎住まいだけど東京出身だったのかなじいさん。
291マロン名無しさん:2011/09/25(日) 11:40:23.50 ID:???
ハラの脂肪で弾丸を止めるジイさん逞しいです
292マロン名無しさん:2011/09/25(日) 12:51:41.56 ID:???
>>289
「フェニックス」だって頭文字はFじゃなくてPだぞ?
293マロン名無しさん:2011/09/25(日) 19:04:16.95 ID:???
>>289
英語はphでfの音になるのが多い

フィリピンとかその語源のフィリップとかもそうだし
フェニックスと関連語のフェニキアなんかは別の読み方でポエニ戦争のポエニになったりもする
294第66話 爆弾の反動(1/2):2011/09/25(日) 21:03:51.81 ID:???
更衣室で女装をとくジャンと小此木の前に、弥一がズカズカと入り込んできた。
「わざわざ店の恥に“なりに”行きやがって!」と二人をつかみ、総料理長室へと連行する。
「五番町飯店が格下相手に勝っても自慢にならん!」と説教するが、
ジャンは五番町飯店とは関係なく、「ヤツらがいい気になっているのが気にくわなかっただけだ」と反論する。
まさしく「ケンカ犬」―――しかも、相手がどんな料理人か解らないのに勝つ気でいる。

なんとか事態を収集したホテル・ミラージュで、テレビ局のプロデューサーが「オレ様の番組をブチ壊しやがって」と激昂していた。
「蜃気楼対秋山醤のリターンマッチをセッティングしてやろう」と申し出る。
秋山を“極悪料理人”に仕立て、正義の鉄槌を下さなければならない!!
表情を変えず、「大人げないが、おしおきが必要ですわ」と同意する大谷だったが、
内心は(ニャハハーーッ!「災い転じて福となす」や)と大喜びだ。

そして、勝負のために五行の腕前を見せる事になった。
穏やかな顔で、プロデューサーとディレクターの首筋に手を当てる……「五行膳」の始まりだ!
出された料理はもちろん旨いが、それだけではない。
ポイントは、プロデューサーたち二人に違う料理を――“二人に必要な物を”別々に作ったということ。
とまどう二人に、「フフフ、ブヒヒヒッ」と大谷は笑うだけだ。
295マロン名無しさん:2011/09/25(日) 21:04:34.45 ID:???
ごめんなさいorz
上は無視してください
296マロン名無しさん:2011/09/26(月) 10:37:32.83 ID:???
じいさんカッコ良すぎw
バオー状態でじいさんを殺さなかったのは安心した
確かに催眠状態じゃあ逆に殺意はでないよな
297マロン名無しさん:2011/09/26(月) 10:52:32.82 ID:???
逆に義手男は、じいさんでも分かるくらい悪意の『におい』を発してたな。
298マロン名無しさん:2011/09/26(月) 12:26:08.70 ID:???
>>295
そっちのスレもいつも見てます
299マロン名無しさん:2011/09/26(月) 17:23:20.88 ID:???
>>224
アリガトゴザイマース!
300荒すじ呂彦 1/3:2011/09/26(月) 22:00:05.94 ID:VNB79BlR
  <第8話:アロマ・バットの巻・後編>


コウモリがやられ、バオーはバルバルと唸り声をあげ正常に戻ってゆく。
さすがにコウモリがやられたら、いくら自分でもバオーには勝てない…!
そう悟った男がうろたえていると、バオーはまるで万歳するかのように両手を掲げてゆく。


                      列車から脱走して4日!
           今までの闘いを通じ『バオー』ははっきり区別できる事を学んだッ!
         敵と味方を! 殺意のにおい、邪悪のにおい、恐怖のにおい、悲しみのにおい!
              『バオー』の胸の奥深く感じる、この耐えがたいにおいを!
                 敵のにおいだ! 悪いのはこの『生き物』だッ!!
                   ――こいつのにおいを止めてやるッ!!


バオーはリスキニハーデン・セイバーを発生させると男へ向かってジャンプする!
男はやぶれかぶれに義手の銃を乱射するが、弾丸はことごとくセイバーで反射される!
トドメにSBSが男の顔に突き刺さり、その一瞬で男はセイバーで頸動脈を切り裂かれた!
義手も切り落とされ男は倒れる   ――――が、男の“におい”はまだ消えていなかった。
…ふと、切り落とされた義手がピクリと動くのをスミレは見た。
気のせいかと思ったその瞬間、男がムクリと起き上がりジャンプすると木に足でぶら下がる。
見ると、男の顔半分の皮膚が無くなり、その下からメカニカルな頭蓋骨が覗いていた!
頸動脈から出ていたのも、血ではなくオイルだったのだ!

「運が良かったと言うべきか…
 おれの身体は半分以上がサイボーグ化されている… 昔爆弾でふっとばされてな
 おれ一人ではとてもお前にはかなわんッ! ひとまずさらばだ、『バオー』!!
 ――――しかしその小娘はもらっていくぞッ!!』

背中からパイプを伸ばしたかと思うと、パイプはハンググライダーと化し義手がスミレをさらってしまった!
バオーはジャンプしようとするが、男は義手を投げつけると義手は爆発、バオーの追撃を阻止する。
301荒すじ呂彦 2/3:2011/09/26(月) 22:00:28.89 ID:VNB79BlR
歯噛みするじいさんは銃で狙いをつけるが、弾切れの為何もできなかった。
男はバオーとスミレの絆を感じ取り、バオーをおびき寄せるエサとしてスミレをさらったのだった。
(フフフッ おれもズルがしこい男よ…)
バオーはスミレの助けを求める“におい”を感じ取るが、もはや追う事はできなかった。
   ウオォォォ――――――ム…
崖の上まで上り詰めたバオーは天に向かって咆えた――――……



翌朝、どこかの海岸の上空をヘリコプターが飛ぶ。
《ヘリコプターの着陸と同時に、この『ドレス三陸海岸研究所』は戦闘態勢を取る!
 くりかえす、戦闘態勢を取るッ!!》
海岸では釣り人が釣りを楽しんでいたが、その釣り人に二人組の黒づくめの男が歩み寄る。
「大変申し訳ないが、ここは私有地です 速やかに立ち去って頂きたい…」
もう片方は釣り人のカメラのフィルムを露光させ台無しにするとカメラまで叩き壊してしまう。
「ここでの撮影は困る」 そう言うと男は札束を釣り人に叩きつけた。
…よく見ると、あちこちに監視カメラやレーザーフェンスが仕掛けられていた。


                この三陸の研究所は『ドレス』の表向きの顔だ!
          一般にはただの民間製薬会社直属の医学・生物研究施設と言われている

               しかし! その地下にはもう一つの顔があるという!
                それこそ生物化学兵器開発の為の研究の場であり、
              タンクの中の育朗が運び込まれようとしていた所なのだ!
302荒すじ呂彦 3/3:2011/09/26(月) 22:00:46.24 ID:VNB79BlR
ヘリが着地すると係員が駆け寄るが、中から現れた人物を見て驚く。
「ドルドだ」
――それは爆風で顔半分が吹き飛んだ、あの義手の男だった。係員は一斉に敬礼をする。
「中で眠らせてある小娘を地下7階の超能力者用隔離室へ連れて行け!」
『ハッ!中佐!!』



その頃、育朗はスミレを助けに行こうと外に出た所だった。
「若いの… 助けに行くんじゃろ…?」
「はい…」
考えてみればいつまでも逃げ続けられる訳ではない。
自分の体に大きな力が宿っている事を知った育朗は、この力でドレスと闘う事を決意していた。
「せめてスミレだけは自由にしてやろう…」
                                                       <続く>
303マロン名無しさん:2011/09/26(月) 22:28:12.55 ID:???
崖で吠えるバオーの吠え声がなんか寂しそうと言うか、せつない…
次回からは育郎の反撃か。楽しみだ。
304マロン名無しさん:2011/09/26(月) 22:34:22.57 ID:???
脱走して4日しか経ってなかったのか。ほとんど毎日襲われてたんだな。
305マロン名無しさん:2011/09/27(火) 09:04:17.51 ID:???
>せめてスミレだけは
切ないな……
自分には未来がない(寄生虫が成長したらジエンド)のを
どこかで悟っているのかな
306マロン名無しさん:2011/09/28(水) 03:06:44.98 ID:???
バオーの時の記憶が育郎に残っているんだな。何気なく。
307マロン名無しさん:2011/09/28(水) 03:10:57.99 ID:???
                                                       <続く>
308マロン名無しさん:2011/09/28(水) 09:18:32.75 ID:???
無敵っぽくてもやっぱり生き物なんだなバオーって
息もするし空は飛べないって色々描写があって面白い
309マロン名無しさん:2011/09/28(水) 10:58:55.71 ID:???
マーチン、ドルドの戦いからする毒ガスは充分に通じるな。
310マロン名無しさん:2011/09/28(水) 11:38:39.86 ID:???
ガス室に誘導しての攻防はありそうだな
311マロン名無しさん:2011/09/28(水) 15:50:12.49 ID:???
相手の本拠地に乗り込むわけだしドレスも色々と対策してるだろうな
ちょっと不安になってきたが、かっこいいとこ見せてくれよバオー!
312マロン名無しさん:2011/09/28(水) 18:55:47.78 ID:???
だがスミレ救出の際、育郎は死亡ENDの可能性高いよな…
313マロン名無しさん:2011/09/28(水) 19:00:32.80 ID:???
育郎を救う方法はスミレの能力が鍵となるのが王道だろうな
314荒すじ呂彦 1/4:2011/09/28(水) 22:00:31.63 ID:GIlkH53g
  <第9話:怪物(バオー)よ出でよの巻>


冒頭、バイクにまたがりエンジンをふかす育朗。
「おう!動いてよかった 三男が使ってた奴だ、ボロいけどもってけ!」
腹に包帯を巻いた爺さんを心配し、おばあさんが心配そうに家から飛び出してくる。
「動いちゃだめですよ」
じいさんは腹の脂肪を貫通しただけだと強がるが、途端に痛みにうずくまりだす。
心配になった育朗はじいさんに駆け寄るが――――……
『この人に触らないでッ!早く出ておいきッ! もうこれ以上揉め事はごめんよ、疫病神!!』
一気にまくしたてられ、さすがの育朗も顔を伏せてしまう。

「バアさん、お前にそんな事言えねぇぞ!
 ――よくわからんが、この子は得体のしれん病気に“させられた”んじゃ
 そして女の子がさらわれた! そんな少年にお前は『出ていけ』と言ったんじゃぞ!
 どんな人間だろうが、彼に『出ていけ』と言えるもんじゃねぇ!」

「で… でも…」
じいさんの一喝に黙り込むおばあさんだが、育朗は微笑んで気にしていないから困らないでと励ます。
「お前さんが誰で、あの子が誰で 誰に連れ去られたのか、わしらには何もわからんし何もしてやれん
 でもな、全ての問題が片付いたら またわしらの家においで……」
――――そして育朗はじいさんの家を後にした。



路上をひた走る育朗。バイクの後部にはおばあさんからのせめてもの餞別がくくりつけられていた。
育朗の脳裏に別れ際のおばあさんの言葉が甦る。
「着替えと、おむすびと… 少ないけど私のへそくりが入ってるわ 必要でしょ…
 さっきは悪かったわね… ただ、ジイさんが心配だったので、つい…
 さあ、お行き… あの子のために、自分の為に」
――育朗は心優しい老夫婦に感謝しつつ、バイクをひた走らせた。
315荒すじ呂彦 2/4:2011/09/28(水) 22:00:49.67 ID:GIlkH53g
(ぼくの体に宿る得体のしれない「力」 化け物の「力」 邪悪な「力」…!
 今まではそうだった…… しかしこの「力」を逆手に取ろう!
 せめてスミレを自由にしてやるためにッ!!
 ああ……! この「力」を自分の意思でコントロールできるなら……!)



 ―ドレス三陸海岸研究所―
霞の目は地下4階より下へ行くエレベーターには許可証が必要だった事を思い出す。
スミレは地下7階のベッドに寝かされ、その様子は監視カメラでモニターされていた。
「ドルド君 きみら特殊工作部門が4日間追い回しての成果は こんな女の子一人捕まえただけかね?」
「くう… しかし奴は少女を置いて逃げるはずはないし…
 少女の予知を知る事ができなくなりました、相当にピンチのはず…」 
「そうかな、バオーの能力を見くびるな… 人間への寄生は橋沢育朗が初めてで、実験データが無いのだ
 赤ん坊の様に学習していると言うか、未知の可能性だらけじゃ 予想がつかん!」
冷や汗交じりで立ち尽くすドルドに、ふと霞の目は背後の扉に目をやる。

「……ところで、『彼』がバオーと闘ってみたいと言っている どうだろうか…
 彼の名は“ウォーケン”」

――扉の陰には、シルエットに包まれた怪しい人物がこちらを見つめていた。



とある街中で高校生位の男女がデートしていた。
…だが、女は憂鬱そうな表情でずっとつまらなそうにしていた。
そんな様子にも気づかず、男は鼻の下を伸ばしずっと浮かれている。
それではいかんと真顔になった男は女… 綾にボーリングに行かないかと誘う。
だが、綾はもうこんな時間だから帰ろうかなと断った。・・・・って、まだ2時なのに!?
316荒すじ呂彦 3/4:2011/09/28(水) 22:01:10.62 ID:GIlkH53g
ならばせめて手を握ろうとするが―――― ふと、2人はスパナを握って見つめる育朗に気が付いた。
(スミレの話だと、手で物を溶かせるとか…)
男は変な奴だと見つめていると、育朗も2人に気が付く。
男がうらやましいだろうヘイヘイ!と思っていると、育朗はバイクを押して2人に近寄っていく。
…この時、育朗と目が合った女はときめいていた。
「聞きたいんですけど、ここら辺に本屋は無いでしょうか? 1/50000の地図を売っているような…」
男が考えていると、綾が500m先だと教えてくれた。
例を言ってバイクを押しながらその場を去る育朗を見て、ダサいバイク、ガソリンがもったいないのかと茶化す男。
「白沢君、聞こえるわ!」


育朗と別れた白沢と綾が踏切に差し掛かった時、白沢は綾の手を握りしめる。
「白沢君… 何?この手 何のつもり、離して」
「手… 手ーぐらいつないだっていいだろ!」
白沢はますます手を握りしめ告白しようとするが、綾は嫌がって強烈なビンタを一発!
…その直後、弾みでよろけた綾の足首が踏切上の線路の隙間にハマってしまった!
――しかもまずい事に警報が鳴りだし、綾は必死で足を抜こうとするも抜けない!!
ついには遮断機まで下りてきて、いよいよ時間が無い!
『白沢君!緊急信号のボタンを押して!!』
――彼方から列車が迫ってくる。それも最悪な事に、今綾がいる“こっち側”!!
綾は泣きながらボタンを押してと懇願するが、ビビった白沢は綾を見捨てて逃げ出してしまった!
「お… おれ…… 知らねぇー!!」

『誰か助けて!!』
綾は助けを求めると、その声を聴きつけたのか彼方から育朗が駆けつけてくれた!


                   アドレナリンの大量分泌! …しかしッ!
           育朗自身が攻撃されている訳ではないッ!『バオー』には変身できない!!
                 “やれるかもしれない!やらなければならない!”
317荒すじ呂彦 4/4:2011/09/28(水) 22:01:41.14 ID:GIlkH53g
(さあ!ぼくの中の力よ!危険が迫っているぞッ!助けようとしないのかッ!!
 化け物の「力」よ、出現してみろッ!出てみろッ!!
 お前は人を殺すだけかッ! 現れろッ! 出てこいッ!! 出てみろ!怪物めッ!!)
――列車はすぐそこまで迫っている!一か八か、育朗はレールに手をかけ力をこめる!!

そして―――― 綾の悲鳴の直後、列車が通過してゆく!



……列車は通過していった。しかし、2人はどうなったのか?
――――2人とも無事だった! 育朗は恐る恐るレールを見ると、手をかけた部分が“溶けて”いた。
(ぼくの中で意識的に能力を発揮したぞ……
 こ…… これがぼくの得体のしれない「力」なのか……!)
育朗は自分の力に驚き戸惑いながらも、その凄まじさを知るのだった。       <続く>
318マロン名無しさん:2011/09/28(水) 22:17:50.15 ID:???
おばあさん、オレあなたの事誤解してました…
見ず知らずの青年に食料・金・服・バイクをあげる事なんて、そうそうできないぞ…
せいぜい服と食料が関の山だろうし。
老夫婦はホントいいな。また登場してほしいな。

それに引き替え、白沢と言うクソガキは…
319マロン名無しさん:2011/09/28(水) 22:22:11.32 ID:???
だがバアさんたちは危険だ。目撃者は消される恐れがある。

それが この組織―――― 『ドレス』のやり方なのだ……
320マロン名無しさん:2011/09/28(水) 23:33:14.00 ID:???
綾ちゃん、線路と一緒に足溶かされなくてよかったね〜
321マロン名無しさん:2011/09/28(水) 23:55:40.05 ID:???
>>319
そ、そうだった!
すると後半、老夫婦がいつの間にかドレスに捕らわれていてバオーの前で殺されて、
怒りと悲しみでバオーパワーアップとかやらんでくれよ?
ンな事やったら鬱になっちまう…
322マロン名無しさん:2011/09/29(木) 11:50:17.85 ID:???
おばあさん、言い過ぎだと思ったが根はいい人なんだな

まあ山の中で老夫婦二人っきりで静かに暮らしていたら
見知らぬ若者が入り込んできておまけに暴力事件に発展して
夫が負傷なんてことになったら誰だってパニックになるし
出て行ってほしい、関わりたくないって思うのが普通だよな

老い先短くて何があるかわからんのにへそくりを渡せるのはすごい

それにしても白沢君サイテーだw
323マロン名無しさん:2011/09/29(木) 15:07:30.05 ID:???
次回でまた白沢がノコノコ出てきて、おれの女に〜〜とかぬかして、
ビンタくらってくれればもっとスカッとするんだけどなw
324マロン名無しさん:2011/09/29(木) 17:36:54.50 ID:???
バオーがビンタしたら首がもげそうだなw
325マロン名無しさん:2011/09/30(金) 15:22:14.75 ID:???
>>244のタバコ屋のババアも殺されていたのか・・・
アリガトゴザイマースと言っていたオウムが哀れにすぎる。鳥好きなので。
326マロン名無しさん:2011/09/30(金) 15:28:29.83 ID:???
違った、>>224ね。

霞の目は仙台の地名だし、電車から逃げ出したのも三陸海岸。
作者の出身地の宮城県にドレスがあるんだな。
アメリカ政府関係者から命令を受ける立場ということは、戦前に作られた組織なんだろうか。
327マロン名無しさん:2011/09/30(金) 15:39:16.88 ID:???
タバコ屋バアさんの見た情報ぐらいなら殺さないんじゃないかな。札束バラ撒いて済ませる事もあるみたいだし。
328マロン名無しさん:2011/09/30(金) 17:19:04.50 ID:???
>>326
>戦前に作られた組織なんだろうか

>>186
>組織の起源は旧日本軍の化学細菌戦部隊に由来する!
329荒すじ呂彦 1/3:2011/09/30(金) 19:00:37.79 ID:McE9J42Q
  <第10話:サイボーグ・ドルド中佐の巻>


冒頭、怒りに壁に拳を叩きつけるドルド。
(くそ!どいつもこいつもおれを無能扱いしやがって!!)

「私が生み出したアロマ・バットを無駄死にさせたのか、ドルド君!」
「連れ帰ったのはただの小娘一人だと? スゴスゴ逃げ帰って来たのかね…?」
――ドルドの脳裏に霞の目やお偉いさんの言葉が甦り、ますます怒り狂うドルド。
そしてドルドは単身車に乗り込み出かけてゆく。

「戦場で2500人も殺したおれに向かって無能だと!?
 霞の目め!仕留めればいいんだろう、あの『バオー』を!! やれるとも!やってやるとも!!
 この屈辱!橋沢育朗に必ず償わせてくれる!!』

そのドルドには、切り札とも言えるような装備がトランクの中に入っていた。



…一方、育朗はと言うと踏切から立ち去ろうとしている所だった。
「大丈夫ですか?歩けますか?」
綾は大丈夫と言うが、一瞬足首に痛みが入り(わざとらしく)育朗の胸に倒れこむ。 ゴロニャン
綾は真っ赤になりながらお礼を言うと、せめてものお礼とばかりに本屋を案内させてほしいと言う。



場面は変わり、ドルドはビルの屋上にいた。
ドルドはトランクから切り札であるライフル型義手を取り出し、切断された腕に装着する。
スコープを伸ばし、むき出しの義眼に密着させセット完了、育朗を探し出し始める。
――――発見! 距離913.28m! 風速や気温も計測し、狙撃準備は整った!
『予知能力を持つ少女がそばにいない今! お前に危険を教える者はいない!!』
330荒すじ呂彦 2/3:2011/09/30(金) 19:00:56.59 ID:McE9J42Q
この為に用意したのは『エキスプロッシブ弾薬』という弾丸の先端に爆薬が仕込んである炸裂弾!
「奴を殺には頭部に命中させねばならん! だがおれには可能だ! 今…… 殺しの時だ!!』
スコープを覗き込むドルド。――――ついに照準が育朗の眉間を捕え、弾丸が発射された!!

………その時、信じられない事が起きる。育朗は危険を感じたのか、頭をひっこめ弾丸を避けたのだ!!

外れた弾丸は店のマネキンや店舗を破壊し、破片が周囲に降り注ぎ人々にパニックが発生する!
この事態はドルドも予想外で慌てふためく。
『よ 避けた!? そ…そんなバカな!おれの見間違いだ!!』


――これは偶然ではなく、明らかに育朗には弾丸の軌道が『見えて』いたのだ!
ドレスの殺し屋が襲ってきた事を知った育朗は綾に伏せろと叫ぶ。
一方、ドルドも見間違いだと信じ第二射を撃つが―――― それは何百分の一秒の闘いだった!
育朗の目にはコマ送りの様に弾丸が見える。
(まずい! 今度は弾丸を避ける事はできない!
 弾丸の軌道上に彼女がいる!ぼくが良ければ彼女に命中してしまう!
 彼女を突き飛ばすか!? 無理だ!その加速と衝撃に彼女の体は耐えられない!!)

そう判断した育朗は―――― バイクを抱え上げ、盾としたのだ!!

その様子を見たドルドは狼狽する。
『げぇぇ――――っ! あ あいつ『バオー』の力を出した!!
 変身もしていないのに『武装現象』が出現しているぞッ!!
 な… なんてことだ!一日一日奴の体は確実に進化しているんだ!
 無敵… 奴はあと数日で無敵になるぞ! お…恐ろしい!!』


危機を逃れた育朗は自分の手をまじまじと見つめる。
(ドレス!宣戦布告だ! 行くぞ、お前達の所に!!
 ぼくはお前らにとって脅威の来訪者となるだろう!!)
高らかに右手を挙げ宣戦布告する育朗であった! 
331荒すじ呂彦 3/3:2011/09/30(金) 19:01:15.78 ID:McE9J42Q
その頃、研究所ではスミレは椅子に拘束されていた。
《スミレちゃん!意地を張るのもいい加減にしなさい! 君を洗脳する事もできるんだよ!
 我々に協力して君の「能力」を見せるんだ!》
ガラスの向こうの研究員が叫ぶが、スミレは頑なに協力せずつっぱね、靴を投げてカメラを壊す。
「今の他にどんな能力を見たい?」
『なんて小娘だ! 一時間に五百万もの機械が3台も壊されたぞ!!』

研究員が頭を抱えていると、霞の目が様子を見に来る。
スミレが霞の目を見た途端、スミレの脳波が急に乱れ始めた!
「熱いコーヒーはないのか!」
……いや…… スミレの視線は霞の目ではなく、霞の目が連れてきた“大男”に向けられていた。

「きっと彼を見たからだろう… 同じ 超 能 力 者 をね…
 少女は今、危機を感じ取ったのだ! それも橋沢育朗に迫るであろう、重大な危機を!
 『バオー』と闘う…… 地上最強の超能力者、彼の名は“ウォーケン”!!』

ヘッドホンをつけ、毛皮のベストを着た筋肉質の大男、ウォーケンがそこにいた。
ウォーケンの持ったコーヒーカップは、火に入れていないのにゴボゴボと沸騰してゆく…。
                                                        <続く> 
332マロン名無しさん:2011/09/30(金) 19:07:37.80 ID:???
>ぼくはお前らにとって脅威の来訪者となるだろう!!
ここで主人公の口からタイトルの「来訪者」という言葉が出るのか。
カッコイイ!

なるほど、バオーはドレスにとっての脅威の来訪者だったというわけか。
333マロン名無しさん:2011/09/30(金) 20:20:20.64 ID:???
筋肉はゴリラ!
牙は狼!
燃える瞳は原始の炎!
熱いコーヒーにに闘争の超能力がみちていた…
そいつがバイオレンスウォーケン!
334マロン名無しさん:2011/10/01(土) 00:32:39.58 ID:???
(ドレス!宣戦布告だ! 行くぞ、お前達の所に!!ぼくはお前らにとって脅威の来訪者となるだろう!!)

シビれるなぁ。
あこがれるなぁ。
肉体的には人間のワクをはみ出していながらも見上げた精神だ
335マロン名無しさん:2011/10/01(土) 03:55:11.14 ID:???
>>333
バイオレンスジャックに似すぎだよなw>ウォーケン
336マロン名無しさん:2011/10/01(土) 09:31:25.27 ID:???
>その加速と衝撃に彼女の体は耐えられない

何気にここ感心した
弾丸をも上回る速度で人体を突き飛ばしたら
そりゃあ……そうなるよなあw
ちゃんと物理的なこと考えてるんだな
337マロン名無しさん:2011/10/01(土) 11:12:30.33 ID:???
ドルドはまさに「現場の人間」って感じだな。
自ら手を下さずに命令するだけの上の人間に対する怒り方が。

>今…… 殺しの時
「今…… 別れの時」みたいに言うなw
338マロン名無しさん:2011/10/01(土) 15:32:47.34 ID:???
バイクを爆裂弾の盾にしたら、燃料に引火して爆発しない?
339マロン名無しさん:2011/10/01(土) 21:35:49.69 ID:???
バイクもろともおにぎりも着替えもパーか…
340マロン名無しさん:2011/10/01(土) 21:49:23.49 ID:???
何百分の一秒の闘いで一瞬でもオニギリを気にしたら頭が吹っ飛ばされていただろうなw

囚われのスミレはまだ意外と元気だったので安心した。
341マロン名無しさん:2011/10/02(日) 06:18:59.92 ID:???
しかし、ごく普通の人生を歩んできたとしか思えぬ少年に、なぜここまでの闘志があるんだろうな?
342マロン名無しさん:2011/10/02(日) 15:44:48.34 ID:???
逆に考えてみよう。
もし>>341が突然超人的な能力を持って、悪の組織がいるとしたらどうするかな?
343マロン名無しさん:2011/10/02(日) 15:55:51.17 ID:???
中佐って何百人の部下を従える高級管理職なんだけどね。普通は。
344マロン名無しさん:2011/10/02(日) 19:33:30.47 ID:???
おぼろげながらも両親を殺されたことに気付いてるからじゃないか。
345荒すじ呂彦 1/3:2011/10/02(日) 21:59:26.62 ID:HzQERXHi
  <第11話:魔人ウォーケンの巻>


住人が騒ぎを聞きつけ駆け寄って来た時、綾は我に返った。
周囲を見渡すといつの間にか育朗は綾の前から姿を消していた…。

――その時育朗はいつの間にか近くのビルの上にいた。
「姿を消そう! 誰にも会わず、誰にも見られず…」



その夜、研究所の廊下では屈強な警備員に連行されるドルドがいた。
離せと警備員の腕を振りほどこうとするが、サイボーグである彼でも振りほどけない!
警備員はドルドの腕をねじりあげ、廊下にドルドの悲鳴がこだました。

ドルドが連れて行かれた部屋では、霞の目が待ち構えていた。
「上からの命令だ… ドルド中佐、君を始末する
 君の勝手な行動のおかげで、我々は少年を60時間も見失っている」
霞の目がそう言うと同時に、いつの間にかウォーケンが現れドルドの顔に手をあてがった。
ドルドは必死でやめてくれと懇願するが、ウォーケンはただ一言、「もう遅い」と切り捨てた。

『ウォーケンは“物質の分子を振動させる事ができる超能力者”なのだ!!
 機械だろうが! 石ころだろうが!』

――ドルドの機械の半身が瞬時に破壊され、残った肉体も破壊され処刑完了!
「物質は全て塵に帰る… バオーよ、お前もだ…」



その後、霞の目は自室でワインを飲みながらも無数の冷や汗を浮かべていた。
60時間も育朗を見失い、どれだけ総力を挙げても育朗を見つけられないからだ。
しかし、奴は来る! なぜならば…… スミレが捕えられているからだ!
346荒すじ呂彦 2/3:2011/10/02(日) 21:59:47.45 ID:HzQERXHi
一方、当のスミレは巨大なスピーカーのある部屋に入れられ、膨大な重低音の拷問を受けていた。
その様子を見た研究員は霞の目に言う。
「2日間、水一滴口にしてません… 少女に生命危険の診断が下されました…
 ――まだ続けるおつもりですか? “この音”の拷問を!」
『『バオー』はこの少女の“におい”を嗅ぐ!サメが数キロから血を嗅ぎ付けるように!
 続けるのだ!生命危険の“におい”に誘われて出てくるまで!!』
「それにしても、この少女 叫び声一つあげないとは…」
その直後、内線からバオー発見の報が霞の耳に入った。その育朗を見つけた場所とは……

《この研究所敷地内にいます!!》 ――育朗は断崖絶壁を昇って研究所に侵入しようとしていたのだ!

信じられない事だが、育朗は付近の迷路のような鍾乳洞の中を潜り抜けてきたようだ。
まさかあの鍾乳洞を通ってきた事に、突如霞の目は笑い出しウォーケンを呼ぶ。



ようやく断崖絶壁を昇り切った育朗は、スミレの“におい”を全身でより強く感じ取っていた。
(彼女は今死にかけている! 誰のせいで!?
 ――そうだ!スミレはぼくのせいで死にかけているのだ! スミレを助けなければ!)
そう決意した瞬間、育朗の顔の皮膚がヒビ割れ、同時に2人の男が飛びかかってきた!
『おれの名はケイン!』 『ブラッディ!』

『ぼくの邪魔をするな――――っ!!』 迎え撃とうとする育朗の額が割れた!

ケインとブラッディは爆弾を投げつけるが、育朗が手を伸ばすとどうした事か爆弾が空中で止まった?!
バオーが武装現象を終えた直後、ケイン達の体が細かく激しい振動に襲われ、肉が強く引っ張られる。
(『電気』! ぼくの体から電気が発せられている!!)
バオーの体から発せられた電気はますます強さを増し、ついにはケイン達の皮膚を骨から引きはがしてしまう!!
347荒すじ呂彦 3/3:2011/10/02(日) 22:00:04.21 ID:HzQERXHi
『バオー・ブレイクダークサンダー・フェノメノン!!』

爆弾を空中で爆発させ、危機を脱したバオー。
(ドレス! お前らの“におい”を止めてやるッ!!)
また一つ進化したバオーの目には、決意と共に今まで無かった『瞳』がわずかに見えていた。
                                                         <続く>
348マロン名無しさん:2011/10/03(月) 06:45:43.82 ID:???
新技きたー!
瞳も描かれているってことは、バオーにどんどん育郎の意識が戻ってるってコトなのか?
349マロン名無しさん:2011/10/03(月) 07:10:37.36 ID:???
そういえば来訪者バオーじゃないんだな

数学者ガウス とか 漫画家荒木ひろひこ とかの言い方もあることだし
ガウス数学者 とか 荒木ひろひこ漫画家 みたいで変だと思ってたけど

考え方を変えてみれば

先生荒木ひろひこ でなく 荒木ひろひこ先生 の方が正しいようなもんだな。
数学者の例でいくと○○者は前に来た方がよさそうだけど
容疑者バオー より バオー容疑者 のほうが合ってるわけだから
○○者が後ろでも特におかしいわけではないわけか
350マロン名無しさん:2011/10/03(月) 13:22:17.35 ID:???
>“物質の分子を振動させる事ができる超能力者”
分子を操って体をバラバラにされたら防ぎようがないじゃないか…。
前回のコーヒーはこの能力で電子レンジの原理で沸騰させてたのかw

>バオー・ブレイクダークサンダー・フェノメノン
急にひねりの無い普通の分かりやすい英語の技名になったなw
この電気でウォーケンの超能力に対抗するのか。
どっちも防御不可の技同士で相討ちになりそうな気もするが…w
351マロン名無しさん:2011/10/03(月) 13:36:20.11 ID:???
ダークはどこから付いた名前なんだろう?
全くの新しい能力なのに、即座に名前が付けたのはどこの誰なんだ?
352マロン名無しさん:2011/10/03(月) 14:33:02.62 ID:???
育朗の脳に繋がってる寄生虫バオーが。
353マロン名無しさん:2011/10/03(月) 18:21:35.63 ID:???
まだ新しい能力かは分からない
354マロン名無しさん:2011/10/04(火) 12:32:20.67 ID:???
分子の振動って……そんなのされたら勝てねえよw
どうするんだ

はっここでスミレが参戦かな?
超能力者同士の対決で相手の集中力を乱して、そこでバオーがとどめとか
355マロン名無しさん:2011/10/04(火) 16:17:19.36 ID:???
そもそも分子の振動ってのがよくわからん
356マロン名無しさん:2011/10/04(火) 18:03:35.24 ID:???
>>355
その応用例の一つが電子レンジだと思っておけばよろしい
火とか湯を通して熱(振動エネルギー)を伝導して加熱しなくても
物質の中の分子をピンポイントで振動させることでその箇所だけ熱を生むことが可能
ちなみに電子レンジは水分子限定で振動させ熱を生むしくみ

そのほかにも
分子の結合をゆるめれば一気に分解消滅とかもできるようだな
357マロン名無しさん:2011/10/04(火) 20:06:43.05 ID:???
あー、なるほど。だからコーヒーが煮立ってたのね

…となると、バオーはそれを防ぐために体にアルミホイルを巻くとか?
358荒すじ呂彦 1/3:2011/10/04(火) 21:58:50.62 ID:rA27g3Pe
  <第12話:ネペンテス液の恐怖の巻>


爆風で吹き飛ばされた壁から研究所へと侵入するバオー。
今の闘いを監視カメラで見ていた霞の目は驚愕する。
「……『バオー』の新しい武装現象…」


           普通の人でも筋肉や神経は、すごく弱いが電気を作っている
     …もし!その筋肉細胞を乾電池を繋ぐように、一つ一つ直列状に繋ぎ合わせたとしたら…
         ごく弱い電気は、何十万倍 何百万倍の細胞の数の電力となるはずだ!!
        電気ウナギがそうやって発電するように、バオーの筋肉もそれができるのだ!!

          ましてやバオーの筋肉細胞は一つ一つがものすごいパワーを持っている!
                      高圧電流60000ボルトだ!!
             これがッ!ブレイクダークサンダー・フェノメノン(BDTP)だッ!!


バオーはエレベーターのボタンを破壊すると、BDTPで基盤を操作、ドアを開いて降下してゆく。


やがてバオーはついに地下7階のメイン通路にたどり着く。
その様子を見た霞の目は不気味にニヤリとほくそ笑む。
   ゴゴゴ・・・・
通路を進むバオーは突如背後から次第に大きくなる振動音を感じ取る。
やがてマシンガンを持った兵士数人と遭遇するが、兵士達は怯えている。

だがバオーは兵士を無視し―――――― 跳 ん だ !! あの音は隔壁が閉まっている音だったのだ!

バオーは隔壁の淵を掴むが、抵抗も空しく隔壁は閉まってしまった。
背後の隔壁も兵士の一人を巻き込み閉じてしまい、兵士達とバオーは同じ通路に閉じ込められた。
359荒すじ呂彦 1/3:2011/10/04(火) 21:59:03.80 ID:rA27g3Pe
 ―管制室―
「閉じ込めました! 壁・扉全て鋼鉄製です…… しかし!
 計算によると、バオーが扉を破壊する時間は約5分 それしかもちません!」
「『ネペンテス液』を入れろ!」
『な なんですって! 中には戦闘員が二名逃げ遅れています!!』

『聞こえなかったのか!? 『ネペンテス液』を入れろと言ったら入・れ・ろッ!!』

鬼気迫る形相で研究員に指示する霞の目に恐れをなし、研究員は言われるままスイッチを押した。


 ―廊下―
戦闘員の頭上のハッチが開き、大量の液体…ネペンテス液が戦闘員にふりかかる。
――するとあっという間に戦闘員は頭から全身グニャグニャに溶けだしてしまった!!

『熱帯地方の食虫植物ネペンテス(ウツボカズラ)の消化酵素を強化した液体だッ!
 タンパク質 ――――つまり“肉体だけを溶かす”ッ!!』

バオーは扉に両手をつき、MPPで溶かそうとする…。
「お前の皮膚再生能力より早いぞ! お前の体が溶けるまで5分!
 ネペンテス消化液が早いか! お前のメルテッディン・パルムが扉を溶かすのが早いか!」
…その直後、ネペンテス液を出しているハッチから巨大な何かが姿を現した!

それは人間よりも一回り大きい巨大なクモ、『液グモ』だった!!

「食虫植物の中には驚くべき事に、生物が住み着く事がある… ある種のクモもその一つだ…
 体内に消化液を分解する酵素を持っているためだ… 全く平気なのだ!
 私が人工進化させた『液グモ』と闘うがいい!!』
霞の目の命令を聞いたのか、液グモ達がバオーに襲い掛かる!
液グモと闘いながらでは扉を溶かす事に集中できない! このままでは溶けてしまう!
360荒すじ呂彦 3/3:2011/10/04(火) 21:59:23.82 ID:rA27g3Pe
『ウオォォォ――――――――ム!!!!』
バオーの雄叫びと共にリスキニハーデン・セイバーで液グモの背中を切り裂いた!!
……だが、バオーはあえて急所を外しとどめを刺すのをやめた。 それはなぜか…!?



液グモを放ってから30分が経った。
「よし、排液しろ! 扉を開けて『バオー』が溶けた事を確認するのだ…!」
研究員は言われるままに扉を開くが、廊下にはもう液グモしかいなかった。
バオーの姿はあとかたもなく溶けてしまった事を大興奮で霞の目に報告する研究員。
「…何? 一匹も殺さずにか……?」
霞の目が不審に思っていると、液グモの1匹の動きが妙におかしい事に気づく。
『い… いかん! 扉を閉めるんだ――――ッ!!』

慌てて叫ぶと同時に―――― 液グモの体内からバオーが飛び出した!!
『な… なんと!クモの体内に隠れていた!!』


                『寄生虫バオー』の出す分泌液の作用によって、
              生かしたまま体内に潜り込んでいる事はたやすい事なのだ!


危機を乗り越えたバオーは廊下を進む。
(スミレのにおいが近い! この階にいる!)
…だが、バオーはその足を止めてしまった。

「ようこそ来訪者!」

――――バオーの目の前には、ウォーケンが待ち構えていたのだ。         <続く>
361マロン名無しさん:2011/10/04(火) 22:27:38.94 ID:???
BDTPでエレベーターを動かしたり液グモの体内に隠れたり、
明らかに人間の知性が残るようになってるな。
362マロン名無しさん:2011/10/04(火) 22:29:38.30 ID:???
バオーの瞳が描かれてからというもの、かなり頭を使った戦い方してると思う

>「ようこそ来訪者!」
かっこいいんだけど、作者が無理に言わせてるような気がする…
普通に「ようこそバオー」とか「よく来たなバオー」とかでもいいと思うんだが
363マロン名無しさん:2011/10/04(火) 23:07:53.24 ID:???
漫画とはいえ、生物学的にあんなデカイ蜘蛛って有り得るのか?

戦闘能力云々以前にあんなデカイ蜘蛛が目の前に現れたら、即気絶できる自信があるわw
364マロン名無しさん:2011/10/04(火) 23:51:04.98 ID:???
蜘蛛を入れたのは、全く余計なことだったな。ネペンテス液を入れた時点で、バオーの生存率は5分。
生き残っても溶けて大ダメージを受けている可能性が高かったというのに。
そういえば、天井までネペンテス液を入れれば窒息していたような。。。
365マロン名無しさん:2011/10/05(水) 00:09:17.23 ID:???
> 『寄生虫バオー』の出す分泌液の作用によって、
でもぶっちゃけ、こういうナンデモアリなことやってるわけだから

 ハンサムなバオーは突如ネペンテス液耐性の液が分泌される

とかで解決しても別にかまわんわけだよな
しかしハゲはなんでちゃんとモニターておかないんだろうな
肉だけ溶かすなら衣類などが残ってるかどうかくらい確認する慎重さはほしいもの
366マロン名無しさん:2011/10/05(水) 13:12:21.88 ID:???
なんか今回は生き物トリビアみたいで面白いw
367マロン名無しさん:2011/10/05(水) 15:31:58.39 ID:???
何だかんだと不本意な状況でも、ウンチクたれてる時の博士は活き活きとしてるなw
368マロン名無しさん:2011/10/06(木) 12:54:36.91 ID:???
普通の水を入れたら仮死状態にできたんじゃないか?
369マロン名無しさん:2011/10/06(木) 13:59:33.12 ID:???
そういや1話でも普通の水に浸かってたな

酸素供給を断たれると仮死状態になるのか?
370マロン名無しさん:2011/10/06(木) 14:20:20.46 ID:???
バオーは肺呼吸が止まると仮死状態になると言ってたな。
まあ液グモの体内でもまともに呼吸できてるとも思えんから仮死状態になるまで多少は時間も掛かるのかも。
一話の様子ではちょっとでも水が切れるとマズいみたいだし、そうそう簡単にもいかないのだろう。
371荒すじ呂彦 1/2:2011/10/06(木) 21:57:42.87 ID:okz1/nnR
  <第13話:『尊敬』と『礼儀』と『死』の巻>


冒頭、ベッドの上で苦しむスミレ。
「育朗! 来ちゃだめ!」
それだけ言うと、ついに精神と体力の限界に達しベッドから落ち気を失ってしまった。


スミレの危機を感じ取ったバオーは、ここを通らなければならないと判断する。
…だが、目の前には凄まじい殺気を放つ大男・ウォーケンが立ちふさがっている。
「少年よ… 私自身はお前に怨みも怒りもない!
 だが私は戦士! 戦いこそが全て… 殺戮こそが生きがい……」
ウォーケンは毛皮のベストを脱ぎ捨てると、自らの指を胸に突き立て動かしていく。

やがて―――― ウォーケンの胸いっぱいに、何らかの血模様が刻まれた。
126

ウォーケンは一体何をしたかったのか?! それは監視していた研究者達にもわからなかった。
…だが、霞の目は知っていた。
(ウォーケンがあのようなマネをするとは初めてだ!
 ウォーケンはアメリカ・インディアンの今は滅びた一族、スクークム族の最後の生き残り…
 あれは戦士の決闘の化粧! あの血模様は戦う相手への『尊敬』と『礼儀』…
 そして『死』の意味が込められているという…! ウォーケンはバオーを真の戦士と認めたのか…!)


『殺らいでかッ! 『バオー』!!』
ウォーケンは雄叫びと共に頭上を指さすと、人差し指の周りの大気が振動を始める。

『分子空動波ッ!!』
咄嗟にバオーはセイバーで防ぐが、防いだだけで研究所中が激しく揺れた!!
分子空動波を壁に弾かせるが、バオーのセイバーも無事ではなかった。
左手のセイバーはあっという間に粉砕、消失してしまった!
372荒すじ呂彦 2/2:2011/10/06(木) 21:58:02.05 ID:okz1/nnR
分子空動波が当たった壁は沸騰し、次第に大穴を開けてしまう。
まるでシチューの様に沸騰し、50m離れた霞の目達がいる部屋にまで振動が伝わる。

『シューティング・ビースス・スティンガ――――ッ!!』

バオーの毛針がウォーケンに迫るが、ウォーケンは手の平で防ぎ、毛針までも粉になって破壊される。
「無駄だ… 私に近づくもの! 生物! あらゆる物質! 全て塵に変える…
 いくぞ! 分子地動波ッ!!』
今度はウォーケンの足元の床が沸騰し、ゴボゴボとバオーに向かってゆく!
バオーは飛びのいてこれを回避するが、間に合わず靴がぼろぼろに破壊されてしまった。
――だが、これもウォーケンの作戦だったのだ!
「跳んだな…」
今度は壁に手をつくと、壁が沸騰しまたしてもバオーに向かってゆく。
壁に大穴が開き、バオーの腕を鋼鉄の壁に封じ込めてしまった!
これでバオーは動きと共にBDTPも封じられてしまったのだ!(鋼鉄の壁がアースになるため)
「少年よ、ある種の事柄は死ぬ事より恐ろしい…
 お前の『肉体』や私の『能力』がそれだ… 私もお前も同じだ… 『化け物』だ!
 この手で直接闇の彼方へ沈めてやろう、苦しみはもう… 無い」
勝利を確信したウォーケンはバオーにとどめを刺そうと歩み寄る。
…だが、バオーは諦めていない!

ひときわ高く咆えると―――― 壁に埋め込まれた左手を自ら切り落とした!!

『ブレイク・ダークサンダ――――ッ!!』
封じられていたBDTをウォーケンに放ち反撃に転じるバオー! だが、ウォーケンは耐える!
『セイバー・オフ!!』
――なんとバオーはセイバーを切り放し、放たれたセイバーはウォーケンのこめかみに突き刺さった!
ヘッドホンごと頭部を切られ、ついに崩れ落ちるウォーケン。

(死ぬわけにはいかない! 生き残らなければならない!)                   <続く>
373マロン名無しさん:2011/10/07(金) 00:12:01.90 ID:???
シューティング・ビース「ス」?誤植か?

なんかウォーケンあっさり片付いたな。まだ死んでないに一票。
374マロン名無しさん:2011/10/07(金) 00:12:20.66 ID:???
>ヘッドホンごと頭部を切られ、ついに崩れ落ちるウォーケン。
分子肉動波で頭部の弱点をずらしていたから大丈夫だなコレ
375マロン名無しさん:2011/10/07(金) 01:42:51.55 ID:???
いや、普通に脳みそ切られてるだろアレ…普通に死んでると思うぞ
376マロン名無しさん:2011/10/07(金) 01:44:01.33 ID:???
普通ならなw
377マロン名無しさん:2011/10/07(金) 02:57:28.34 ID:???
空気中を伝わるのが空動波で床や地面を伝わるのが地動波か。

>>373
「bees(蜂の複数形)'s(の)」で「ビースス」じゃあないか?
「大量の蜂の群れの針」ということで。
378マロン名無しさん:2011/10/07(金) 03:02:01.43 ID:???
>>371
この血模様、今後リスペクトされまくるだろうな。
379マロン名無しさん:2011/10/07(金) 03:08:44.03 ID:???
複数形+所有格のsはs'になるだけだろ

まあメルテッディンパルムとかリスキニハーデンとかの
分からなくもないがちょっと変な言葉を作る作者だから
深く考えるだけ無駄な気がする
380マロン名無しさん:2011/10/07(金) 23:04:44.83 ID:???
骨を切らせて肉を絶つ、ホントにやられると燃えるなー。
しかも根性や精神で耐えるんでなしに不死身の生物だから可能なとこが。
381荒すじ呂彦 1/3:2011/10/08(土) 22:03:31.95 ID:Zy7kADSC
  <第14話:再会の巻>


冒頭、ウォーケンを倒したバオーに、霞の目の目が怪しく光る。
「私の生み出した『バオー』… よくぞここまで闘い、生き残りしぞ!
 だが、お前の命運もこれまで!我々最後の切り札で雌雄を決してくれる!」


ウォーケンを倒したバオーだったが、ウォーケンの死体を通り過ぎた時、何かを感じ取り振り返る。
…しかし、確かにウォーケンは死んでいた。
(スミレが危ない! 急がねばならない!)


やがてバオーはスミレのいる部屋の前にたどり着き、鋼鉄の扉を破壊して侵入する。
――すると「罠の作動を確認せよ」とアナウンスが流れ始めた。
…暗闇の中にスミレは倒れていた。
バオーは心の中で呼びかけると、スミレは目を開けバオー=育朗が来てくれた事に気づく。

《28門のレーザー砲! エネルギー充填!》

周囲をよく見ると、暗闇の中にはレーザー砲が並んでいた!
『28門とも標的は少女だ!『バオー』ではない! 少女を撃て!! そうすれば奴の方から部屋に入ってくれるわ!!』
霞の目の指示でレーザーが発射されようとした瞬間…… バオーは跳んでスミレを守るべく覆いかぶさる!
無数のレーザーがバオーを射抜き、バオーは咆える!

『シューティング・ビース・スティンガー!!』

毛針を発射し、次々とレーザー砲を破壊するバオー。
レーザー砲の部品が転がり落ち、止まった先には血だまりがあった。
その血だまりは―――――― バオーのものではなく、スミレのものだった。

…バオーの体を貫通したレーザーの砲撃で、スミレは死んでいた――――……
382荒すじ呂彦 2/3:2011/10/08(土) 22:04:10.20 ID:Zy7kADSC
冷たくなってゆくスミレの体温を感じ取り、バオーはショックで膝をつき、血の涙を流し咆えた…。



その頃、研究所のあちこちでは次々とシャッターが閉まっていた。その数、31!
「研究所内のあの部屋に通じるシャッターを全て閉鎖しました
 例えバオーでも、一つのシャッターを破壊するのに5分!
 外に出るまで最短コースでも、25のシャッターを破壊しなければなりません!」
汗だくでその報告を聞いた霞の目は研究員達に向き直る。

『諸君! いよいよ我々最後の切り札だ! 決断する!
 今より15分後にこの研究所全体を爆破する!!
 バオーは閉じ込めた!この研究所もろとも吹き飛ばす!
 持ち場を離れ、速やかに半径1km以上外に出る事!  ――――幸運を祈る!」

そう言い終えると、霞の目は起爆スイッチを押した。
警報とアナウンスが鳴り響く中、無数の研究員達は脱出を開始する。もう、爆発を止める事はできない!



――爆発まであと11分40秒… バオーはまだスミレと共にいた。
ふと、バオーは爪で自分の下唇を切ると、その血をスミレの口に垂らし始めた…。


                 『バオー』は感じていた!スミレのかすかな生命のにおいを!
                       今なら『バオー』の血で傷を治せる!
                  …しかし爆破時刻が迫る今、生き返らせて何になろう!
                             育朗は考えていた。
                『誰に誓った? 自分に誓った この少女を助けると自分に誓った!
                 望みは捨てない!自分は最強の生命力を持った生物なのだ!』

――バオーは強くスミレの体を抱きしめた。
383荒すじ呂彦 3/3:2011/10/08(土) 22:04:30.28 ID:Zy7kADSC
爆発まであと10分20秒……。
逃げる研究員達の前に、死んだはずのウォーケンが立ちふさがった!
だが、ウォーケンの“ヘッドホン”が取れている事に気づき、研究員達は青ざめ大騒ぎになる?!
…実はあのヘッドホンは、ウォーケンの凄まじい超能力を 制 御 する為の物だったのだ!
ウォーケンと遭遇した研究員の体は無残なまでに沸騰し、煮崩れていった……!

「『バオー』…… 奴と闘う! 奴を討つ…… 奴を葬る……」

ウォーケンは研究員達を一掃すると、うわ言の様に呟きを繰り返していた。


爆破時刻が刻一刻と迫る中――――――…… バオーの腕の中で、スミレの目が開いた。
                                                        <続く>
384マロン名無しさん:2011/10/08(土) 23:45:12.67 ID:???
まあパターンからしてウォーケンがあれで終わりってのはありえんからなー
385マロン名無しさん:2011/10/09(日) 00:37:04.83 ID:???
やっぱ生きてたか。その代りにスミレ死んでしまったけど…(´;ω;`)
だけどそれもあと10分の命か。なんだかんだで助かるとは思うけど
386マロン名無しさん:2011/10/09(日) 00:42:12.33 ID:???
血液だけであれほどの重傷を治せるとはな。
さすが博士が医学的にも世界の優位に立つ事ができると言っていただけの事はある。
387マロン名無しさん:2011/10/09(日) 20:57:31.97 ID:???
生身ではレーザーからの盾にはなれんかったかー。
体内の水分で水蒸気作って威力殺ぐとかでは無理かな?
388マロン名無しさん:2011/10/10(月) 06:20:43.56 ID:???
ウォーケンの能力が隔壁をこわし
結果的に脱出がスムーズにいくと見た
389マロン名無しさん:2011/10/10(月) 10:00:46.95 ID:???
レーザーがスミレの方を狙ったとこがすげえショックだった
なんて非道なんだ
強い奴と強い奴がぶつかりあうのは燃えるが、
完全な弱者に向けられる暴力は絵的にもキツイわ……

生き返って良かった
390マロン名無しさん:2011/10/10(月) 10:52:44.30 ID:???
>バオーの血
なんか副作用とかありそうで怖いんだが…。
391マロン名無しさん:2011/10/10(月) 12:08:27.75 ID:???
>>390
最終回ではスミレもバオーになりそうな気がするんだよな…
392マロン名無しさん:2011/10/10(月) 16:32:56.46 ID:???
バオーの卵とか混じってないだろうな…。
393荒すじ呂彦 1/4:2011/10/10(月) 22:01:16.12 ID:6tNinu12
  <最終話:未来への予知の巻>


研究所中が揺れる中、スミレは扉がヒビ割れていくのを見てバオーに危機を知らせる。
――それは復活したウォーケンだった!

まだ地下7階にいた霞の目は、研究所全体を揺らす程のウォーケンのパワーに驚愕していた。
バオーはスミレの救出を最優先したため、ウォーケンにとどめを刺さなかったのだ。

「…となると、“超能力制御ヘッドホン”の取れた
 ウォーケンの能力はもはや留まる所を知らない!暴走する!!」

爆発まであと8分20秒。霞の目は研究員達の目の前で、単身脱出用ポッドで脱出してしまった。
「残念だが諸君! この脱出用ポッドは一人用だ… 無事を願う…」



一方、ウォーケンはバオーと対峙していた。
「来い!『バオー』… 地下の闇に沈め!」
ウォーケンは超能力でがれきを引き寄せバオーに投げつけるが、バオーはあっさりと避ける。
『この全身の血流れ尽くすとも、お前を地獄へ叩き込んでやる!!』
ウォーケンの怒りと共に近くのがれきが沸騰し始めた!

――ついに研究所の壁や床が崩壊し、スミレもろともバオーは空中に投げ出される。
(スミレ、大丈夫だ 心配ない!)
スミレはバオーの心の声が聞こえたのか、互いに互いの体をしっかり抱きとめた。
バオーはスミレを守りつつ、深淵の穴の中へ咆哮しながら落下してゆく……。



同時刻、霞の目の乗った脱出ポッドは地下の鍾乳洞に落ちていた。
『な… なんと! ウォーケンの暴走した超能力は岩盤をも突き抜けたのか!』
394荒すじ呂彦 2/4:2011/10/10(月) 22:01:33.78 ID:6tNinu12
そしてバオーもまた鍾乳洞でウォーケンと対峙していた。
(今ここでこの男と闘うのは無理だ! 彼のパワーの流散はスミレを巻き込む!)
そう考えたバオーはスミレを下すと向こうを指さした。
「!? …どういう事?向こうが出口だと言う事を教えてるの?」
直後、バオーはウォーケンをスミレから引き離すべく自ら鍾乳洞の奥へと向かった。
『育朗〜〜〜〜! あんたと離れるのはいや〜〜〜〜〜!!』

(奥へ! 奥へ! 奴を誘い込まねば! 逃げるんだスミレ!無事脱出してくれ!!)


鍾乳洞にこだまするウォーケンの雄叫びが霞の目の耳に届く。
周囲を見渡すと、レーザー砲を抱えたバオーとウォーケンがこちらに向かっているではないか!
『うぉっ! 『バオー』とウォーケン!』
ふと、霞の目はバオーがレーザー砲を持っている事に気づく。
しかしあれをどうするつもりだというのか? 撃つにしろ強力な電源が必要…………
『あ……あるッ! レーザー砲を撃つ電源が!!』
バオーは闘志を燃やし、ひと声咆えると――――

『バオー・ブレイクダーク・サンダ――――ッ!!』 手首に刺したコードを介し、レーザー砲を発射した!!

レーザーはウォーケンの顔を分断し、さらには鍾乳石まで次々と切り落とす。
…今度こそ、本当にウォーケンは息絶えたのだ。
それと同時に秒読み開始のアナウンスが鍾乳洞に響き渡る。
《爆発まであと20秒、秒読み開始! 18… 17… 16…》

「私の生み出した『バオー』よ… もう間に合わん…爆発はここまで来る…
 フフフフ…… わしとお前が死ねば…ドレスの研究も終わりだ…
 この神秘的な洞窟こそ、わしらの墓場にふさわしかろう! さらば『バオー』! さらば少年よ!!』

切り落とされた鍾乳石に身体を貫かれた霞の目は別れを告げると、ついに残り5秒を切った!
5… 4… 3… 2… 1… 0! その瞬間、閃光がバオーの体を覆った!
――――こうして、研究所は爆発炎上し、霞の目の野望は潰えたのだった……。
395荒すじ呂彦 3/4:2011/10/10(月) 22:01:49.75 ID:6tNinu12
              その爆発は大惨事にしては、小さく報道された――……
         死者6名、負傷者2名 原因は製薬会社の爆発物管理ミスとの公表だった……
                  『ドレス』の名は表面化しなかった

                 …そして数か月―――― 事件は忘れられた



   <エピローグ>

            スミレは以前よりやや痩せたけれども、2cmばかり背が伸びていた

スミレが草原を歩いていると、目の前の草むらがガサリと動き、中からノッツオが顔を覗かせる。
「こら!ノッツオったら… 顔をなめるなって言ってるのにィ!」
嬉しそうにスミレの頬をなめるノッツオ、しかしスミレは言葉とは裏腹に嬉しそうだった。


                あの爆発の後、親のない少女は行く所がなかった…
             彼女のそれまでの存在全ては、破壊と共に世間から消え去り…
                  深い悲しみと恐怖の後遺症だけが残った……

                  でも現在…彼女の心は明るくなごんでいた…


「育朗は生きている、眠っているだけ… ゆったりと…
 それは映像を見たから… 地下洞窟の湖底に静かに眠っている少年の映像を…
 目覚めるわ!きっと… 水の中から目覚めるわ…
 それは私が17歳になった時、そして再び会える―――― それが私の映像、私の予知」
396荒すじ呂彦 4/4:2011/10/10(月) 22:02:25.78 ID:6tNinu12
「スミレ、じいさんの割った薪を家の中へ運んでおくれ…」
そんな身寄りのないスミレを引き取ってくれたのは、あの老夫婦であった。
「はい…」

                少女の輝きのある、愛くるしい微笑みを見て老婆は…
                 「将来この子はきっと幸せになるわ……」
                                   …と思った
      
                                           <バオー来訪者:THE END>
397マロン名無しさん:2011/10/10(月) 23:26:01.16 ID:???
終わりか…
綺麗な話だったわい
なかなかいい話を描くなこの作者
398マロン名無しさん:2011/10/11(火) 01:57:47.65 ID:???
短期打ち切りとは思えないほど話がまとまってるな。

霞の目博士、一人だけ脱出手段を用意したりして身勝手なヤツかと思ったら
最期は妙に潔かったな。

スミレが17歳になった時、育朗の中のバオーも仮死状態中に何とかなって
産卵によって死んだりせずに普通に目覚めて上手く収まるのかな。
スミレも予知について悲観的になってないし。
399マロン名無しさん:2011/10/11(火) 11:32:59.17 ID:???
霞の目ほっといてどうすんだと思ってたが、見事天罰が下っててよかったよ

だけど…… バオーはどうすんだ。
いずれ復活した育郎の体からバオーが飛び出してくるんじゃなかったか?
400マロン名無しさん:2011/10/11(火) 12:33:06.24 ID:???
ええ〜っ、打ち切りかよ。今ジャンプに載ってる作品の中でも一番好きだったのに。
ビーティーの時も『えっ、もう終わり?』思ったが、まったく何がダメだと言うんだ。
401マロン名無しさん:2011/10/11(火) 13:56:07.50 ID:???
>>399
通常なら百数十日で成虫になって産卵して、孵化した幼虫が体を食い破るらしいが、
(スミレの予知によると)約7年間水中で仮死状態という特殊な状況だから通常通りの
結果にはならないんじゃあないかな。

そういや、作中では何日間の話だったんだろう?
列車から脱走してから一週間も経ってないんじゃないか?
402マロン名無しさん:2011/10/11(火) 13:58:32.59 ID:???
で、結局シューティングビースススティンガーのビーススってどういう意味だったんだ?
403マロン名無しさん:2011/10/11(火) 14:25:45.57 ID:???
>>351
>ダークはどこから付いた名前なんだろう?
ブレイク・ダーク・サンダーで「闇を切り裂く稲妻」という中学生的発想の
カッコつけネーミングなんだろうw
404マロン名無しさん:2011/10/11(火) 20:55:19.50 ID:???
>>401
つまり、作中の期間は1週間だと仮定して、それから7年の間は寄生虫も仮死状態、と?
だとしたら7年後に育郎が目覚めて、それから約百日で寄生虫が孵化するって事に…((((((((;゚Д゚)))))))

>>402
荒木のミスor誤植に一票w
405マロン名無しさん:2011/10/11(火) 21:19:45.75 ID:???
>>404
育朗が仮死状態の間にバオーが何か上手いこと処理されて助かるんじゃないか、
と言ってるんだが…。
上にあるようにスミレも悲観的な予知をしていないし。
406マロン名無しさん:2011/10/12(水) 10:41:35.04 ID:???
何にせよ荒木お疲れ様!
次ね作品も期待してるよ!



…………きっと出るよな?Orz
407マロン名無しさん:2011/10/12(水) 13:00:50.45 ID:???
妙に爽やかに終わったww
なんとなくスティーヴン・キングの「ファイアスターター」っぽい印象

面白かったわ!
この作者の演出ってよく考えたら時々ぶっ飛んでるんだが
引きこまれるものがあるよなあ
また何か書いてくれるかな
408マロン名無しさん:2011/10/12(水) 17:59:30.03 ID:???

1日目:ドレスの秘密列車から脱走
2日目:脱走約20時間後に第22の男と接触・襲撃
3日目:特殊工作部隊&マーチンの襲撃
4日目:爺さん宅に宿泊・翌午前2時ごろドルド来襲
5日目:PM2時ごろ綾ちゃんと遭遇・ドルド再来襲
6日目:ドレスの監視から60時間逃れる
7日目:翌深夜、研究所に突入・ウォーケンと対決

時間経過はこんな感じかな。ハードなスケジュールだ。
409マロン名無しさん:2011/10/13(木) 15:10:49.26 ID:???
そういや綾ちゃんはあの後どうなったのだろうか?
ちゃんとクズ男にビンタかましてくれただろうかw
410マロン名無しさん:2011/10/13(木) 22:17:53.30 ID:???
(グイッ…バーーンッ)
綾「あのですねェ、あれだけまとわりついといて助けてもくれずに
  『お…俺…知らねェーー(シャカシャカ)とはどういうことですかねェ』」
411マロン名無しさん:2011/10/13(木) 22:43:42.43 ID:???
短編集を買った
荒木は短編を作らせたら、いいものを描くと前々から思っていた
死刑執行中脱獄進行中…展開は読者を引っ張っているしオチも、うまく捻っている
ドルチ…オチが?って印象 物語の視点が猫や飼い主に移りすぎて いまひとつ
岸辺露伴は動かない…これも展開とオチのドンデン返しが見事
デットマンズQ…吉良吉影のスピンアウトものだわね。展開もオチも特に捻っていない。因みにバンテッドQのテッドマン・バンディがタイトルや吉良の元ネタか?
412マロン名無しさん:2011/10/14(金) 01:55:10.33 ID:???
次はアイリンか?
413マロン名無しさん:2011/10/14(金) 03:56:44.87 ID:???
何それ?そんな妄想の産物書かれても困るよw
414マロン名無しさん:2011/10/14(金) 04:04:34.55 ID:???
そいつに触れることはスレ違いを意味する!
415マロン名無しさん:2011/10/14(金) 14:29:28.76 ID:???
バブル初期のジュリ扇踊りと言えば荒木師匠だよね!
416荒すじ呂彦 1/4:2011/10/14(金) 22:00:47.82 ID:YivzvDSP
1985年 週刊少年ジャンプ特別編集「AutumnSpecial」掲載
  <ゴージャス☆アイリン 大女の館の巻・前編>


                    彼女は嘘をつく 自分の体で――――
                  頭で考えだした、背景の嘘なんかよりは巧みに
                                   (ジャン・コクトー)

                その町はどこにでもある、ごく普通の町に見えました


とある豪邸の中から打撃音が響く。豪邸の中では縛られた青年が3人の女から暴行を受けていた。
「も もう殴らないで お願いです…
 何でも話す… 何でも喋るから もうぼくを殴らないで下さい…」
するとソファーに座っていた、リーダー格である女が青年を褒める。

「よろしい、とっても素直な坊やだこと 坊や…… お前…… 殺し屋を雇いましたね?」

脳みそのステーキらしき物ををナイフで切りながら大女が問い詰める。
大女の手前にはどういう事か、猫が1匹ずつ鉢植えに植えられていた。
大女は脳みそを猫の鉢植えに落とすと、猫は脳みそを貪り食う。
すると大女の横にいた猫がお腹を空かせたのか、物欲しそうに鳴く。
「おお、よしよし お前もお腹空いたのかい? フンフン では生けてから食べましょうね」
大女は楽しそうに開いている鉢に土を入れ、その猫を生けようとするが嫌がった猫は大女の指を引っ掻いた。
…すると大女は豹変、引っ掻き傷をじっと見つめる…。
「私のお肌に傷をつけましたね」

――そう言うが早いか、大女は猫を鉢植えに突っ込み、バキバキと捻り潰した!!

腕の動きが止まり、鉢植えから血の噴水が吹き上がると、世話役の老婆がタオルを持ってきて大女の手をふく。
「だから猫は嫌いです ――坊や!殺し屋を雇いましたね! …と聞いておるのだよ」
今の残虐さを見せつけられた青年は恐る恐るそれを認めた。
417荒すじ呂彦 2/4:2011/10/14(金) 22:01:01.20 ID:YivzvDSP
「よろしい、話しなさい そいつは何者だ? 話しなさい… どうやって私を殺すつもりなのか?」
「そ… その少女はとても不思議な、特別な『少女』で…」 バゴ
見当違いの話をした為青年は再び殴られる。
『待て! 何を話している!? 私は殺し屋の事を話せと言っておるのだ!」 

「こ… この世にあんな女の子がいるのか!……
 あんな不思議な心を持った少女がいるのか… と思いました… 私は10日前… 彼女に…会いに行きました…」



――物語は10日前に遡る。
ハエ叩きを持った不気味な老人が運転する、高級外車に乗って少女の家へ向かう青年。
「これからお嬢様に会わせますじゃ… だが、いいですかな 一つだけ言っときますじゃ
 “嘘”はいけません… “嘘”は… カカ!
 真実を話すのじゃよ、アイリンお嬢様は人の良すぎるお方じゃ 何事も信じやすいお方なのじゃ
 友情の証を示しなさい
 もし、アイリンお嬢様に嘘を話したなら… この私があなたを 殺 し ま す 」
――直後、老人はハエ叩きを振るった!
「いいですかな、念を押しますよ 嘘はうけません、嘘は! カカカ!」
老人が笑うと同時に、真っ二つになったハエが床に落ちた。



 ―アイリンの家―
老人と青年が車を降りると、庭で遊ぶ少女が1人。この少女がアイリンだった。
015
青年が声をかけようとすると、茂みに近所の悪ガキ共が何やらよからぬ事を企んでいた。
「おいら、アイリンがあの花食べるって方に5$賭けるぜ!」
「いくらアイリンでもそこまでは騙されないよ!あれ苦いんだぜ?」
「OK! ぼく、その賭け乗ったよ!」
茂みから出た悪ガキ共はアイリンに花をプレゼントすると、実はこの花食べられるんだと騙す。
「おいしいよ、食べてごらん?」
418荒すじ呂彦 3/4:2011/10/14(金) 22:01:44.74 ID:YivzvDSP
躊躇せず花を口にしてしまった事に悪ガキ共は驚き、転んだはずみで泥水がアイリンの左目の下にはねる。
悪ガキ共は慌てて謝るが……
「あたしの顔に何かつきました?」
アイリンはそう問うと、急に大粒の涙を流して泣き出した??!!
悪ガキ達は心配そうにするが、アイリンは自分でも訳が分からず、急に悲しくなったと答える。
――異変はそれだけではなかった。
アイリンのツインテールがピクピクと動き出すと、リボンをちぎってバサリと髪が下りた!

『くぉらァ――――ッ! ガキ共!お嬢様に何をしておるんじゃァ!!』
何が起きたのかわからない悪ガキ共は、老人の一喝で逃げ出してしまった。
老人はアイリンの顔についた泥水に気づくと、あわててハンカチでアイリンの顔を拭いた。
悪ガキ共は遠くから謝るが、決してこいつらはアイリンの事が嫌いな訳ではないのだ。
「胸はペチャンコ、いつもボーッとしてるけどカワイイ子、ほっとけないよなぁ」
…俗に言う「好きな子にはイタズラをしたくなる」年頃である。

              どこにでもいる女の子でした… 年齢は16という事です…
                誰も思わないでしょう、とても思えませんでした…

泣き止んだアイリンと目があった青年は、一礼するとおもむろに依頼をする。
「お願いがあって伺いました   ――――ある人物を『始末』して下さい」

                   この少女が『 殺 し 屋 』だと言う事を!

老人は青年を家に招き、そこで話をする事にした。

                      少女は老人と二人暮らしでした
            金糸を使った17世紀のダマスカス絨毯、ロココスタイルの18世紀の箪笥…
               一見普通に見えるが、歴史と芸術性を持つ重厚な家と家具類

「私の父はあなたの亡きお父様と友人でした」
それを知っていたから、老人も青年をアイリンに会わせたのだった。
そして依頼の内容は――――『大女ローパーを殺してほしい』とのこと!
419荒すじ呂彦 4/4:2011/10/14(金) 22:02:21.55 ID:YivzvDSP
「理由を言いましょう、私の住む町スウイング・タウンにも賭博は酒場を支配する犯罪組織がありました
 ある日、あの女はそこのボスを暗殺し、その座につきました
 ――その後、町は変わりました… ヤクザの世界の秩序がなくなったのです!
 ゴロツキが増え、殺人が増え、子供・老人までもが犯罪に巻き込まれています!!
 麻薬が町に流れました、大量に! あの女は学校にまで麻薬を売りさばいているのです!!
 奴は用心深く頭がいい! 暗殺者と裏切り者を防ぐ為、自分の屋敷には女の召使い以外置きません!』


とある洋服屋にて、店長に威圧をかけるローパー。
「どうしてもこのドレス、仕立てられないと言うのですか」
「そ… そうではございません、明日までは無理と言う事で、生地を取り寄せませんと…」
…無理もない。ローパーは身の丈3m以上はありそうな大女なのだ。
が、突如ローパーは恐怖に震える店長の胸倉をつかみあげる!
「私の体が大きすぎて、普通の生地では間に合わんと言うのですね」
「そ… そのような事は決して…」
『そう聞こえたのよッ!!』
ローパーは店長の顔を巨大な舌でひと舐めするとガラスへと弾き飛ばした!
「う… う… い…いつまでも… いつまでものさばれると思うなよ
 汚れた町の警察と裁判所はワイロで牛耳られても、友人の新聞記者が動いている!
 新聞に叩かれればお前はおしまいだ!!』
ついに我慢の限界に達した店長は叫ぶが、ローパーは平然とガムを噛んでいる。
…ふと、ガムを口から伸ばすと、ガムはたちどころに刃と化し店長の横っ面に突き立てた!!
『ホホホ――ッ! これは『特殊ガム』でね、体温以下になると瞬時に金属の様に固まるのです
 ナイフの様に尖らせるには訓練がいりますけど
 ――無礼な男! こんなカスみたいな男が私にたてつくとは!」



…数日後、新聞記者の家に送り主不明の小包が届く。いざ開けようとすると、何やら異臭が漂ってくる…。
小包を開けた新聞記者は、箱の中身… 店長の切り取られた 顔 面 に恐怖に震えだした!
<友達によろしく 新聞記者さんへ、逆らうとこうなる>とあるメッセージカードも添えて…。
新聞記者の家に悲鳴がこだましたのは言うまでもない。               <続く>
420マロン名無しさん:2011/10/14(金) 23:31:59.65 ID:???
今度は女の子が主人公か。少年誌で女の子が主人公とは意外だな。
421マロン名無しさん:2011/10/15(土) 00:27:02.97 ID:???
ネコを活けるのか
シュールよのォ
422マロン名無しさん:2011/10/15(土) 09:10:41.92 ID:???
殺し屋もの?
相変わらずいろんな部分がぶっ飛び過ぎてて
わけも分からずついていくしかない感じだがこれは期待w
423マロン名無しさん:2011/10/15(土) 16:07:28.60 ID:???
洋服屋さん、もうちょっと耐えればよかったものを。
424マロン名無しさん:2011/10/15(土) 17:59:06.94 ID:???
大女、自分がでかいのは気にしてるのか?ww
425マロン名無しさん:2011/10/16(日) 07:04:11.04 ID:???
シンディローパー?
グッドイナフ?
426荒すじ呂彦 1/4:2011/10/16(日) 22:00:15.45 ID:SU9iV0MD
  <ゴージャス☆アイリン 大女の館の巻・後編>


――そして話は現在へと戻り、青年は話を続ける。
「私の父です… 殺された洋服屋は お嬢様、お母様のドレスも仕立てた事もあります
 この国へ移住して50年! やっと築き上げた父の希望の人生をッ!!
 アイリンお嬢様、公正な裁きを!! 父の誇りと魂の尊厳を取り戻して下さいッ!!』
青年の涙の訴えに、アイリンは――――……「あなたは私に友情を誓えて?」と問いかける。
どういう事かと面食らう青年に老人が説明する。

「アイリンお嬢様に報酬はいりませんのじゃ
 家族のいないお嬢様は、永遠の友情のみに基づいて行動されるのです
 もし、いつか今度はお嬢様が困った時、あなたは彼女を助けてくれますか?」

そういう事なら…と、青年はアイリンの右手の甲に近いの口づけをした。



……そして、話は冒頭、ローパーに説明しだした青年へと戻る。
チェーンソーのエンジン音をけたたましく鳴らし、興奮状態のローパー。
『ホホホ――――ッ! 少女だと?少女が私を殺しに来るだと!?
 よし!少女が殺し屋だとしよう! そいつはどうやって私に近づくのだ?」
「彼女は… とても不思議な心を持っている」
『心… 心がなんだと言うのだ!』
「恐ろしい… フハハハ! もうすぐ見れるよ、見れるさ もう来てるかもしれん!」
あやふやな答えに、ローパーは至近距離に巨大チェーンソーを振りおろし青年を脅しつける。
『だから何がだ!? 貴様の言い回し、気に入らん!』
「彼女は“なりきる”んだ… 暗示にかかりやすい性格、ガラス細工の様に繊細な神経」
…その時、召使いの老婆がササッとその場から離れタオルを取り出したのを、誰も気づかなかった。

「彼女は『化粧』をすると……『性格』が変わる……
 “メイクによって『別人の性格』が持てる少女”なのだ!!』
427荒すじ呂彦 2/4:2011/10/16(日) 22:00:33.95 ID:SU9iV0MD
その時、ローパーが後ろの老婆に気づいた。
『お前、私の後ろで何をしている!?』
老婆は不気味に笑うと、「顔を拭いているのでございましゅ」と答えるだけだった。
他の召使いの女は気づく。この老婆は数日前に雇ったばかり…。

「『変装』では……ない…ぞ 彼女は“なりきってしまう”のだ!!
 恐怖が一夜にして人を老人にするように、彼女の精神は自分の肉体をも微妙に変えるぞ!!』

青年の言葉と共に、顔を拭いている老婆の手や顔がどんどん若返ってゆくではないか!
――――そして……ついに完全に若返り、アイリンが素顔を現した!!
老婆の化粧を落としたアイリンは、次に『戦いのメイク』を施す。
メイク終了と共に、アイリンの体は悩ましい声と身震いを起こし、少女の体から大人の女へと成長してゆく!!
『戦いのメイクは彼女に完璧のプロポーションと、残忍な殺し屋の性格を与えるぞ!!』

『 ゴ ー ジ ャ ス ・ ア イ リ ン ! 』

さながら魔法少女の様に少女から大人へと成長したアイリンがそこにいた!
ローパーの合図で手下達は一斉に弾丸を浴びせ、アイリンは思いきりのけぞってしまう!
…だが、アイリンは無傷!なんと弾丸を全てつかみ取っていたのだ!! 信じられん!!
ふと、アイリンの付け爪が剥がれると、まるでミサイルの様に性格に手下の眉間やのどに命中、息の根を止めた!
「あなた、体が大きいだけではありませんわね… なかなかすばやい動きで見切っていましたわ」
爪の一つがローパーの鼻頭に傷をつけた事にローパーは激怒し、チェーンソーを振るって襲い掛かる!
『招かれざる客でこの屋敷から出た者はいないッ!』

『死の舞踏始めますわ!』

アイリンは華麗なダンスで、まるで酔拳のようにローパーの攻撃を紙一重でかわす。
それだけではない。青年はアイリンの体から、バラの匂い… 多分香水の匂いをかぎとった。
その上、突如アイリンは服を脱ぎだし下着姿になってしまう。これは一体どういう事なのか!?
一部始終見ていた青年はすぐに分かった。これは“身体の動きをよく見せる為”なのだと。
『この! おちょくりおってぇぇぇっ!』
ローパーはハイヒールの踵で絨毯をひっかけ、そのせいでアイリンはバランスを崩しよろけてしまう。
428荒すじ呂彦 3/4:2011/10/16(日) 22:00:50.91 ID:SU9iV0MD
『もらったッ!!』  ――巨大なチェーンソーがアイリンの体を両断しようと迫る!

…だが、驚くべき事にアイリンは白刃取りでチェーンソーを受け止めた!
『ヌウ! どこにそんな力が!? 排気量400cc 重量80kgのチェーンソーの白羽、よくぞ受けた!!
 だがそなたの両腕はふさがり、体はどこへも逃げられん!どう戦うつもりだ!」
ローパーは大声で笑うと、特殊ガムで脳みそを抉り取ろうと準備を始める。
さらにアイリンをそのまま両断できてもいいように、腕に力をこめ始める。
徐々にアイリンは圧され、チェーンソーの刃がブラジャーを切り裂きわずかに乳首がのぞく。

『くらえい!!』そんな絶体絶命の中―――― ローパーは特殊ガムのナイフを噴き出した!!

――だが、アイリンは柔軟な体を生かして大きくのけぞり、見事ナイフを避けた!
「あなた、動きをやめなさい」
アイリンがそう言った直後、なぜかローパーは特殊ガムを口から落とし、ナイフ部分が彼女の腕を斬る。
そしてアイリンはチェーンソーから両手を放してしまう! 危ない!!
……が、ローパーは動かず、アイリンはその場から這い出してきた。
「『死の舞踏』終了しました」
ローパーは稼働するチェーンソーを身構えたまま、ピクリとも動かない。
どういう事か、「自分でも動かしたくない」と思っていたのだ。

「私は心の魔術師 あなたの精神は岩になりました、精神が岩になれば肉体も岩になります
 ――これが『死の舞踏(ダンス・マカブル)』!! 香水の香り! 周囲の空気の動き、光!
 一定のリズム! 音! 目の動き、手の動き、足の動き 一つ一つ決まった順序を組み合わせた動作!
 私は戦いを通じ、あなたの心へ暗示信号を送っていました
 『死の舞踏』は相手の心を操るダンス! あなたの精神はもはや私の奴隷ですわ」

アイリンは近くにあった姿見(鏡)をローパーの前へ持ってくる。
『死苦へのメイクアップ!』
鏡面のローパーにキスをすると、おもむろに鏡面のローパーの中心に口紅で縦一直線に線を引く。

「私・・・・・・・ 残酷ですわよ  悪の力をもって正義を行います!!』
429荒すじ呂彦 4/4:2011/10/16(日) 22:01:27.93 ID:SU9iV0MD
ローパーの腕は自分の意思とは正反対に、自らの体にチェーンソーを向けた!
(な… なぜか自分を切ってみたい… 切りたい!鏡の線の通りに! でも助けてッ!!)
――これは“催眠術だ!” ローパーは悲鳴を上げる事もできず、そのまま自分の体を両断した!!


戦いを終えたアイリンは拘束された青年へと歩み寄る。
「かわいそうに、ひどく殴られて ……でも、あなた…… 私の事しゃべりましたわね
 私はあなたへの永遠の友情のためここへ来ました… だが、あなたはそれを忘れました
 あなたのお父様に免じて、命だけは助けましょう 一度だけです、一度だけ… いいですね」
友情を裏切られたアイリンは涙を流しながら、青年の血を指につけると、それを舐めて去ってゆく。
「ま… 待って、ひとつ聞きたいのです」
「弾丸ね… 空砲にすりかえておいたのですわ、老婆の私の時に… まだ残ってますわ、本物の方
 演出ですわ、暗示への演出…… ウフフ」
アイリンは手袋のすそを引っ張ると、残っていた弾丸がバラバラと零れ落ちた。
――そしてアイリンはそのまま振り向かずにその場を立ち去って行った……。


                 イタリア・シシリーには代々殺人教育を受け継ぐ家系があった
               今世紀初め、その血族の男がアメリカに渡り、一大犯罪組織を作った
             彼には息子があり、息子には一人だけの子供―――― 女児 ――――がいた

                         だが、その子は幼くして両親を失う
                  彼女は自分の血統の特性を知り、その悪の力を善に向けようと
                          「美しき死神」になったのである
                       その名は―――― 『 ア イ リ ン 』!


「私、残酷ですわよ」                                        <終わり>
430マロン名無しさん:2011/10/16(日) 22:58:42.74 ID:???
わ た し
ざ ん こ く で す わ よ

431マロン名無しさん:2011/10/17(月) 13:22:25.16 ID:???
( ゚∀゚)o彡゚ちくチラ!ちくチラ! トーンも貼ってないただの線だけどなぜか興奮する…
この作品も何気に燃える台詞多いね。
432マロン名無しさん:2011/10/17(月) 14:49:52.06 ID:???
無垢な少女と残酷な殺し屋のギャップに何か燃える!
てか、化粧で老婆にも変身できるとか凄すぎw

残酷ですわよって何か記憶に残るな……
433マロン名無しさん:2011/10/18(火) 09:41:56.30 ID:???
やわらかそうなおっぱい……と思って見ていたら
大女の方も片パイ見えてることに気付いた
気付きたくなかったww

あ、最初の方でアイリンが泣いてたのって
泥が偶然「泣く」化粧になっちゃって……ってことだったのか!
434荒すじ呂彦 1/5:2011/10/18(火) 21:56:06.32 ID:4qQjnEIe
  <ゴージャス☆アイリン スラム街に来た少女の巻・前編>


冒頭、女性と戦闘中のアイリン御付の老人。
老人の仕込み刀は折れ、女性の服の背中が切り裂かれる。
女性の背中には―――― 「炎の中でもがき苦しむ手」のような刺青があった。
それもただの刺青ではない、よく見ると刺青の手が動いている!!
刺青に気を取られた老人は喉を切り裂かれてしまった!

(アイリンお嬢様! 逃げて下さい…「姿」を変えて
 あなたは世間知らずだが、きっと無事に生き延びるでしょう…)

――老人は飼っていたリスに伝達を託し息絶えたのだった。



その頃、恐るべき指令がアメリカ中を伝わっていた。
《ラポーナの娘ッ!復讐を受ける可能性あり!
 国中の宿泊施設、交通機関 警察 地下組織、全て手配せよ!
 性別女 イタリアン系白人16歳 5フィート7インチ
 重火器使用による死体の損傷には気をつけろッ!
 死体はできるだけきれいな形で持ち帰れッ!
 多分姿を“変えている”本人かどうか確認する為だ!
 少女の使う催眠術には注意せよ!
 その精神力は自らの肉体まで変化させてしまうほど凄まじいッ!!》
435荒すじ呂彦 2/5:2011/10/18(火) 21:56:20.62 ID:4qQjnEIe
                          男がいた――――
           男は生まれてからずっと心に虚無を抱え、人を愛せずその人生は空しかった
                      ゆえに、「殺人」を職業にできた

                    男はたった一人の人物に仕え「仕事」をした
                 その人物は男の「虚無」を大らかに包んでくれる信頼と
                     魅力と権力を持った人物だったので
              男は生まれて初めて生きがいを見つけ、彼の為なら死ねると思ったのだ

           だがある日! その人物はあまりにも権力を持ちすぎたので、敵の組織に暗殺された!
             同時に敵組織は男をも抹殺した、男は危険すぎる「才能」を持っていたのだ

                      男には妻がいなかったが、娘がいた
                娘の名はアイリン! 男の危険すぎる「才能」を受け継いでいた!



 ―スラム街―
パトカーがパトロールしに来たが、スラム街の入口で止まってしまった。
「パトロールはここまででいい! ターンしてメシ食いに行こう」
――ここから先は非常に治安が悪く、パトロール警官でさえも寄り付かない場所だったのだ。

がれきの上で18歳位の少年がチキンを食べていると、3本脚の野良犬がヒョコヒョコと現れた。
見かねた少年は食べかけのチキンを放ってやるが、犬はプイとそっぽを向き通り過ぎてしまった。
――ふと、何かを感じ取った少年は大急ぎでがれきの陰に身を隠しこちらを覗き様子をうかがう。
「…信じられねぇ!まさかな! 近くに仲間がいるはずだ… いや!やはり一人だ!
 少女だ! よそ者だ! よくここまで来れたもんだぜ、無事によぉ!」
少年が見たものは、たった一人でスラム街を進むアイリンだった。
少年はアイリンのハンドバッグをひったくると、転んだアイリンの腹を踏みつける。
『よォ――――し!おとなしく寝てなッ! まず金目の物だ! その後犯してやっからよォ!』
436荒すじ呂彦 3/5:2011/10/18(火) 21:56:33.71 ID:4qQjnEIe
ハンドバッグの中身を漁るが、中は化粧品だけで金目の物は一切無かった。
ふと、アイリンの顔を見ると全く怖がっていない事に気づく。
『てめー! 今襲われてんだぞ!怖がれ! イカれてんのかッ!それとも麻薬中毒かッ!?』
少年はアイリンを責め立てるが、アイリンの外見を見て違和感を感じる。
小奇麗な服、気品のある顔立ち…どう見ても上流の雰囲気だ。
(だが人種はおれと同じプエルトリカンだ!
 …そもそもこのゴミためのスラムにたった一人でいるってのがおかしい!
 襲ってくれって感じで! 何者だ!? どこから来た!?)

そんな事を考えていると、アイリンはすーっと手を伸ばし、少年の持っていたナイフの刃をつまむ。
少年は慌ててナイフを引っ込めようとするが… ピクリとも動かない! 細い指でつまんでいるだけなのに!
アイリンが指を放すと少年の腕も自由に動くようになるが、アイリンは少年の顔をじっと見つめている。
――するとアイリンは、どういう事か少年の体にひしっとしがみついた!
少年は一瞬戸惑うも、アイリンを払い除けたりもしなかった。
(な… 何だこの女…… わからねぇ……)

「ようよう マイケル! トッポイ女連れてんじゃね――――か! 見かけねぇ顔だなァ」
「オレ達にもまわせよ! 一緒にひっぺがそうぜ!」

突如物陰に隠れた、少年…マイケルよりもガラの悪い3人が現れた!
マイケルは向こうへ行きやがれと一喝するが、それが3人組の怒りを買ってしまう。
「なんか、自分でもわからねぇが… どうした事か、急に催眠術にでもかけられたみてぇによぉ…
 守ってやりたくなった――――っ!!』
マイケルはあっという間に2人をノすと、アイリンを連れてその場から逃げだした!



その後、バーに着くとマイケルは少女の名を問うと、少女はアイリンと名乗った。
「よし、アイリン 家出したのかなんか知らねえが、こんなゴミためみてぇな所にいちゃいけねぇぞ!
 メシ食ったら地下鉄まで送ってってやる!家に帰りな…
 …チェッ! 襲ったおれがこんな世話焼いているとはな… ところで何飲む?」
「シャンペンをいただきます」
437荒すじ呂彦 4/5:2011/10/18(火) 21:56:46.14 ID:4qQjnEIe
マイケルはカウンターに向かいコーラとホットドッグを2つずつ注文する。
マイケルが離れている間にアイリンの後ろの男が声をかけてきた。
「ハイ、カワイコちゃん いい粉があるの、メチャいい夢が見れる奴… 譲ってやるけどいらない?」
世間知らずなアイリンは男から粉を受け取ると、一礼してそのまま向き直る。
…当然金を支払わない事に男は激怒し袋を奪い返す!
『20$だよ!一袋! ボケたガキッ! すでにラりってんのか!?』
「お金持ってないの」
「なに、金がない?それを早く言ってよベイビー!
 だったら映画に出ない?普通で200$、縛るなら400出すわ キミなら絶対スターになれる!」
「スターに? 出るわ」
――世間知らずのアイリンの危機に、戻ってきたマイケルは男の顔面に肘鉄をかまし追い払う。
「消えな   おめ―――― 一体どういう生活してきたんだ?
 妙な奴と話なんかするんじゃあねぇ! 何でも信じる奴だぜ!」



 ―地下鉄入口―
「ほらよ! 金やるから自分家までの切符買ってきな」
――直後、そばにいた盲目の乞食が恵んでもらおうと近寄るが、マイケルはそれを一蹴する。
…ちなみに、今渡した運賃でマイケルの財布はもうスッカラカンだった。

気を取り直してアイリンの元へ戻ろうとすると… 今度は屈強な大男に金を渡していた!!
『おい!何してんだよ! こいつは切符じゃねぇ、馬券だッ!!
 くわ――――っ このアホ!闇馬券を買わされてらぁ――――っ!!』
怒ったマイケルは闇馬券売りを追いかけるが、闇馬券売りはすっとぼけ逆にマイケルをKOする。
心配になったアイリンは鼻血を出したマイケルに声をかけるが、逆に怒鳴られる!
『テメ――――ッ! 本当にここイカれてんのかァ――――っ!?
 信じるな、誰も信じるなッ! オレを見ろッ! 誰も信じないで生きてきたッ!!
 あいつも、あいつも あいつも! みんな信じるなッ!騙されるな!! わかったか!!』
道行く人々を次々と指差し、説教するマイケル。
「さあ! 家はどこだ、駅の名は?」
「もう・・・・・・ 家は無いの 父さんも、召使いのじいやも みんな死んだの……」
438荒すじ呂彦 5/5:2011/10/18(火) 21:57:41.31 ID:4qQjnEIe
――それを聞いたマイケルは、言葉が見つからず黙り込んでしまった…。



その夜、マイケルの住処。
アイリンをベッドに寝かせ、自分はソファで寝る事にした。
「別々に寝てやるぜ! こんな女の子の弱みに付け込むのは男がすたるからな!
 でも、しばらくの間だ…」



翌日―――― どうしても金が必要になった2人は店に強盗に入る!
だが、運悪く店側も店を守るのに必死だった。窮鼠猫を噛む!
「ちくしょう〜〜〜〜 今年はこれで4度目だ!もう強盗になんかになめられてたまるかッ!」
おやじは金属バットを取り出すとマイケルに殴りかかった!
だが、寸でのところでアイリンが発砲、金属バットを破壊するとおやじは戦意喪失してしまった。


――その頃、先日2人が立ち寄ったバーでは、あの麻薬密売人が少女の行方を尋ねられていた。
だが、男は知らないと言う。白人の少女がこの辺をうろついてたら無事ではすまないからだ。
「――でも、待って! なんかさあ、どこか『共通点』のある子なら見たよ… 別人だけどね
 そら!一種 特別の何か… って言うか、印象に残る『何か』よ
 もちろんその子は白人じゃなくってプエルトリカンだった… 別人よ…混乱させちゃったね!
 変装? 違う! あたし、化粧にはうるさいし 顔触ったし、
 映画のスカウトやってるから変装かどうか位わかるよ!」
男から写真を返してもらうと、その人物… 冒頭の女性は立ち去った。        <続く>
439マロン名無しさん:2011/10/19(水) 00:34:33.39 ID:???
「別々に寝てやるぜ! こんな女の子の弱みに付け込むのは男がすたるからな!
 でも、しばらくの間だ…」


なんかわざわざ言っちゃうところに荒木ひろひこらしさがにじみ出てるな
ピカレスクなBTとかにも共通する、作者自身の潔癖さというか善悪へのコダワリみたいなのがあるんだろうな
440マロン名無しさん:2011/10/20(木) 13:09:49.54 ID:???
戦いのメイクをしなくても、そんな簡単な動作だけで催眠術にかけることができるんだな。
441マロン名無しさん:2011/10/20(木) 13:15:38.84 ID:???
しかし前作からかなり間が空いてるとはいえ絵柄が変わり過ぎだな。
442マロン名無しさん:2011/10/20(木) 14:38:59.04 ID:???
>少女の使う催眠術には注意せよ!
>その精神力は自らの肉体まで変化させてしまうほど凄まじいッ!!
そういや、普通の(というか実在の)催眠術だと自殺とかまではさせられないんだっけか。
自己防衛本能の方が強くて自らを傷つけるような指示には従わないとかで。
443マロン名無しさん:2011/10/20(木) 19:28:48.28 ID:???
敵の方には催眠術って解釈されてるのか?
それともアイリンは化粧はあくまでも催眠術の手段として
使ってるだけなのかな
444荒すじ呂彦 1/3:2011/10/20(木) 21:59:26.44 ID:ICDkSOcH
  <ゴージャス☆アイリン スラム街に来た少女の巻・後編>


その夜、マイケルの住処。アイリンが飼っているリスが窓の方を指して妙に騒ぐ。
不吉な予感を感じ取ったアイリンはバッグから化粧品を取り出すと、マイケルに隠れるように叫ぶ。
「私を殺しに来た!」

――窓を見ると、冒頭の女性… 暗殺者がガラスを割って入ろうとしているではないか!

「一瞬のうちに殺さねばならないッ! さもないと化粧により変身されてしまう!
 変身による奴の動作は催眠術の要因となり、術をかけられてしまう!」
暗殺者はナイフを向けアイリンへと襲い掛かる!
アイリンはすかさず空中に散らばるガラス片をつまむと反撃に転じるが阻止されてしまう!
「アイリン・ラポーナ! その精神力は肉体をも支配する!
 人種を変えてスラム街に潜伏するとはなッ!盲点だった! そこまで変身できるとはな…」
その時マイケルは気づいた。暗殺者… 女の背中の刺青がうごめいている事に!

『くらえ! 刺青化幻掌(ファンターミィム・タトゥー)だッ!!』
冒頭で召使いの老人を殺した、刺青からのび太腕がアイリンに襲い掛かる!!
予想外の攻撃を回避できなかったアイリンは、肩口にナイフの直撃を受けてしまった!
『殺ったッ!』
勝利を確信した刺青の女はアイリンを突き飛ばす。
「いいえ… ここに来る前から ……あなた、すでに負けているわ…」
刺青の女はとどめを刺そうと床を蹴る  …が、足元の床が爆発、女の左足を吹き飛ばした!!
バランスを崩し床に手をつくと、今度は手をついた床が爆発した!!

(ゆ… 床に爆弾が! ま…まさか、無数の! すでに床に無数の爆弾が仕掛けてあるのかッ!!
 この防衛目的の為にあいつはこのスラム街に潜入したのか!
 し… しかし、なぜ奴は間違って爆弾を踏まずにこの部屋で生活できるのか!? あの男も!
 ――さ… 催眠術! あいつは敵に術をかけるのではなく、自分達にかけていた!
 それなら無数の爆弾を踏まずに生活できる!
 あの男も無意識に爆弾を避けて生活するようにしていたのか! そしてそこに私が踏み込んだ!)
445荒すじ呂彦 2/3:2011/10/20(木) 21:59:43.23 ID:ICDkSOcH
『手足の1本や2本! なんのこれしき!へこたれぬわッ!!』
重傷を負ったにもかかわらず、刺青の女は執念で立ち上がる!
それだけではない、背中が大きく膨らんでいる!

『刺青舞宙弾(ビュラレン・スペーシン・タトゥー)ッ!!』

背中から這い出た無数の蟻がアイリンの顔に張り付く!
しかもこの蟻、ただの蟻ではない!アイリンの皮膚を食い破って体内に侵入していくではないか!!
「この蟻に食えぬ物は薬品を塗ったあたしの体だけッ! …肉を食い破り、奥へ奥へ脳を食いちぎる!」
だが、アイリンは動じず殺しのメイクアップを開始する。
「見せてあげます、私の素顔を 化粧は私の体を変化させる…」
アイリンの顔の筋肉が動き、食い破った穴から蟻が押し出されてくる!
「化粧とは古代より儀式への装いであると同時に、疫病や毒虫からの防御でもありました
 私の殺しの化粧も同様!
 私は一方で自分の心を隠す為に化粧をするの 家族や仲間が死んだ悲しみを隠す為…
 血に潜む殺し屋の性質を隠す為… そして全てを信じる、心の底から!!
 そして一方で化粧は殺し屋の性質と肉体を引き出す!』
アイリンの肌の色、髪の色、そして体が少女から大人へと変貌し、刺し傷がみるみるふさがってゆく!

『ゴージャス・アイリンッ!    私残酷ですわよ」

アイリンは口紅を手にすると、一瞬で刺青の女に口紅を引き術をかける。
――すると刺青の女は口を大きく開き、そのまま閉じれなくなってしまった!
続いて背中の蟻が刺青の女の口を目指して昇ってゆく…。 口の中には薬を塗っていないから!
自滅した刺青の女は断末魔を上げると、窓から落下、墜落死してしまった!
446荒すじ呂彦 3/3:2011/10/20(木) 22:00:02.32 ID:ICDkSOcH
戦いが終わり、アイリンはマイケルと向き直る。
「騙すつもりはなかったの、心の底から装わなければ生きていけない」
「信じるよ…」
アイリンはそっとマイケルにキスをすると、「さよなら」と一言だけ別れを告げ、部屋を出て行った。


                           <エピローグ>
                マイケルは―――― アイリンの買った闇馬券で大穴を当て
               ロサンゼルスに出た2年後、ミュージシャンとしてデビューした
                 そのシングルは4週間、チャートの1位で600万枚売った
                    不思議な少女を歌った希望にあふれる曲だった


                    アイリンは―――― その行方は誰も知らない



  新聞記事より
トニー・ボウモント氏(51)怪自殺!
7日 シカゴの自宅で一人でいる時、巨大な植木ばさみを自分の口の中へ突き刺し自殺 動機は不明
――氏は表向きはホテル王であるが、次のように噂されている
ボウモント氏は犯罪シンジケートのボスであり、数か月前敵組織との抗争に勝利をおさめ
全米を支配下に置いたばかりである
なお、メイドの一人が事件後姿を消し、警察は必死の捜索中――――――
                                       <終わり>
447マロン名無しさん:2011/10/20(木) 22:08:29.49 ID:???
>刺青からのび太腕

のび太wwww
しかし蟻に体食われるってエグいな・・・
448マロン名無しさん:2011/10/21(金) 00:50:08.96 ID:???
またバオー的な技名キターw

そしてまた技名ミスもキターw
449マロン名無しさん:2011/10/21(金) 09:33:47.02 ID:???
自分たちに催眠術をかけて……か、発想の転換がイイ!
マイケルはアイリンの友情を裏切らなかったから幸運をつかめたのかな
450荒すじ呂彦:2011/10/22(土) 21:31:25.67 ID:???
楽屋裏開始

皆さんお疲れ様でした。
話の切れ目が分からず何話かくっつけちゃって今回は失敗したなー('A`)
451マロン名無しさん:2011/10/23(日) 01:43:56.35 ID:???
話数詰め過ぎて短くなったってのももちろんあるが
進行の日程自体も
もう少しゆっくりなペースで良かった気がするな

あんま参加者の色が出る余地がなかったというか
ただストーリーが流れて、要所で感心してみたいな
ハプニングやいい意味での意外性に欠ける連載中スレだった
452荒すじ呂彦:2011/10/23(日) 02:31:20.88 ID:???
レスどうもです。

>進行の日程自体ももう少しゆっくりなペースで良かった気がするな
例えば3日に1話掲載とか?

>ただストーリーが流れて、要所で感心してみたいな
言われてみればそうかも。話が短いのばかりで推理要素とかそういうのが少なかったし。
基本的に1話完結だからなー
453マロン名無しさん:2011/10/26(水) 14:08:10.56 ID:???
で、余りまくったこのスレの残りはどうすんの?何かやるの?
454マロン名無しさん:2011/10/26(水) 16:54:36.59 ID:???
まだ脱獄進行中とか動かないとかルーブルとかあんじゃね?
455荒すじ呂彦:2011/10/26(水) 17:26:46.89 ID:???
>>454
どっちも本持ってないです…

やるとしたら…そうだね、能力バトルの元祖とも言えるJOJO第3部を簡単なあらすじでやるかも。
(5行程度にまとめた超簡素な物)
456マロン名無しさん:2011/10/27(木) 01:31:13.21 ID:???
3部なら掲載時サブタイトルをちゃんと出してくれさえすればいいな
既読者向けに、言葉でのビジュアル描写抜きとかでも十分だ
457荒すじ呂彦:2011/10/27(木) 01:44:49.41 ID:???
掲載時サブタイトル?単行本のサブタイではなくて?
言葉でのビジュアル描写抜きって…例えばどういう事でしょうか?
458マロン名無しさん:2011/10/27(木) 02:00:58.24 ID:???
JOJOが3部から単行本で思い切ったサブタイトル変更してるのは有名でしょ
コミックスではたいてい敵スタンド名+通し番号の機械的なものになってる

ビジュアル描写は、
スタンドの形状だとかポルナレフの髪型とかの説明にいちいち文字をさかなくても読んでる人には伝わるわけだから、
5行クオリティならアヴドゥルがマジシャンズレッド出したとこを、当時まだスタンド名命名前とか、アヴドゥルがどんなルックスの奴で
マジシャンズレッドがどんな形状かなどの説明をしなくても
「アヴドゥルがマジシャンズレッドを出す」くらいで済ませてもいいのかもなってこと
459マロン名無しさん:2011/10/27(木) 09:53:09.50 ID:???
荒木の初期の絵は線がシンプルで見やすいな
今の絵も好きだけどこの頃(ビーティー)の絵も好きだ
460荒すじ呂彦:2011/10/27(木) 18:49:01.61 ID:???
>サブタイトル変更してるのは有名
ごめん、初耳(;´Д`) 調べてみたら幸い、雑誌時のタイトル網羅したサイトがあった。
http://www.remus.dti.ne.jp/~atsu-c/Library/t11_20.html

>ビジュアル描写抜き
この辺はメジャー作品だから考えた。
で、試しに第3部1話のあらすじを書いてみました、5行どころじゃなくなったけど。

ジョジョの奇妙な冒険・第3部  第1話「悪霊にとりつかれた男」の巻


警察に逮捕された高校生・空条承太郎。母親はこんな子ではなかったと嘆くが、一体何をしたのか?
聞けば何人ものゴロツキを病院送りにしたらしい。…だが、問題はその後だ。
看守は釈放だと鉄格子を蹴飛ばすが、承太郎は母親を冷たく突き放した。
承太郎は言う。自分には「悪霊」がとりついている、ケンカもこの「悪霊が」やったのだ、と。

「…だから… だからおれをこの檻から出すな」
承太郎と同室の囚人は嫌がり、他へ移してくれ、奴の言う事は本当だと叫ぶ。
――ふと、目を離した隙に、承太郎はいつの間にか缶ビールを飲んでいる!?
「だから言ったろう、「悪霊」だよ、「悪霊」が持ってきてくれるんだ」

怪現象はそれだけではなかった。他にもラジカセや雑誌がいつの間にか檻の中にあったのだ。
だがこの程度では釈放されてしまうかもしれないと考えた承太郎は、自ら悪霊の恐ろしさを見せる事にした。

承太郎の右手からもう一本人間の腕が現れたかと思うと、看守の拳銃を奪い、自分に向けて発砲した!
――だが、弾丸は悪霊が掴んで止めていた。
「おれの後ろに誰かがいる!最近とりつかれたみたいなんだ」


――その頃、大西洋・アフリカ沖では…我々が見覚えのある棺桶が100年ぶりに引き上げられていた。
                                     <続く>
461荒すじ呂彦:2011/10/27(木) 23:37:15.50 ID:???
↑こんな感じでよければ、レギオンあらすじ書き終ったらこっち書き始めます
462マロン名無しさん:2011/10/28(金) 01:14:25.51 ID:???
2部のラストからの方がよくね?
3部のラストとオーバーラップさせてる感動シーンもあるし。
リサリサ(エリザベス・ジョースター)は、みたいな後日談あたりから。

3部だと参加者多そうだからサクサク進んでも充実度高いかもな
逆にいろんなネタ出す余地があるから3日に1回ペースでじっくりの方がいいのかな
どっちだろう
463荒すじ呂彦:2011/10/28(金) 03:44:41.10 ID:???
なんか寝付けないな…

>3部のラストとオーバーラップさせてる感動シーンもあるし。
あの飛行場のシーンか。
あれどうするか迷ったけど、やっぱりここも追加した方がよさそうだね。
(ただし後日談は省くかもしれない)
464マロン名無しさん:2011/10/28(金) 12:35:16.75 ID:???
>我々が見覚えのある棺桶が100年ぶりに引き上げられていた
さっそく「あれ?あの棺桶ってエリナが漂流するのに使ってなかったっけ?」
ってツッコみてぇ!w
465マロン名無しさん:2011/11/20(日) 22:13:21.77 ID:???
バオー
466マロン名無しさん:2011/12/03(土) 20:23:26.18 ID:???
過疎ー
467マロン名無しさん
バルルバルル・・・・バルバルバルバル・・・・