B・Mネクタール 連載中 2匹目

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1マロン名無しさん
週刊少年チャンピオン2000年3号にて「B・M ネクタール」という漫画が掲載された。
この漫画について語ろうじゃないか。
尚、この漫画は作者がBMから生き残る為に頭をフル回転させる事で
1日に1話ずつの速度で連載されるようだ。
(現在は規制が多いようなので、2日に1話ずつとなっています)

時々あらすじ書きがBMに食われ、変な時期に合併号になる事もあるが気にしないでくれ。
ちなみに今日は週刊少年チャンピオン2001年45号の発売日だ。
なお、あらすじ投下中に割り込んだ奴、及び 未来からの預言者は
無数のBMに生きたまま貪り食われるので要注意だ!


※注意※
連載中スレとは連載終了した漫画作品を第1話〜最終話まで順々に、
『現在連載されているもの』つまり現在進行形で語り合うスレです。

●ただし、あらすじは単行本基準で進行していきますが、
●まれにページが多く、やむを得ず同シナリオでも複数に分ける場合があります。
●(「第1話・A」とか「第2話・前」等)
●スレ住人から教えられた場合は別ですが、この場合、
●区切りのいい所や一定のページで一旦切り上げる場合があります。ご了承下さい。

ネタバレ発言はご法度。現在明かされてる情報のみで語り合いましょう。
連載中スレにそぐわない話は楽屋裏スレで行いましょう。
次スレが立ったら or 連載終了して合図があったら楽屋裏! 現代に戻って好き放題に語り合え!

連載中スレの楽屋裏 第32幕
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1293543652/

※規制の巻き添えで書き込めない人は代理スレ↓を利用しよう!誰かがレスを貼ってくれるぞ!
【代理スレ】連載中スレの楽屋裏避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/comic/5124/1213249930/
2あらすじネクタール 1/4:2011/03/03(木) 22:01:37.92 ID:etI03z3A
 Vol,70 〜コンキエスト〜


侵入者の少年少女2人に銃を向けられるシンゴ達。
「と… 東条神悟ォ! お おとなしく手を上げてこっちに来い!」
「ふざけやがってガキが…!」
SPはいきり立つが、再びクローシュに止められる。
「こ 子供だからってナメんなよこのやろ――――」
「あたし達、これでも立派なコンキエストの戦士なんだからね!」
「確かに… こっちの警備体制の不意を差し引いても、ここまで入込んだのは立派と言う他ないな」
連中の功績を認めつつも、落ち着き払ったシンゴ。
『よ 余裕かましてんな! う、撃つぞコラ!!』 『ダメよ! 落ち着きなさいって銀次!』

「ところで君達… ここが何だか分かって来てるのかい?」

「え? な…何って…」
「よく見たまえ、周りを…」
訳が分からず、銃を向けたまま言われるまま周囲を見回す銀次達。

「このBM達は全て生きている、もちろん今はチェンバーの中でぐっすりおねんねしているがね
 なるほど機関銃ならば、子供でも使い方さえ知っていれば外す事はないだろう
 だが逆に――――
“ 当 て て は い け な い モ ノ に 当 て な い 事 ”
 は不可能に近い程難しい、君達の腕力ではね…
 君達の流れ弾1発でもガラスに当たればチェンバーは破裂―― 数十匹のBMが溢れだす事になる…」

「いやいや、私どものチェンバーはその程度では…」
シンゴのブラフ作戦に余計な口を挟みそうになる責任者に指を立てて口封じするクローシュ。
「君達自身の手で再びこの“南”にまで、4年前の悪夢を再現するなら――――
 『失地回復』を旗印とする君達…
 コンキエストとしては、はなはだ不本意な結末なんじゃないかな?」
銀次達は顔を見合わせ、唸っていると非常事態解除の放送が流れる。制圧完了したのだ。
3あらすじネクタール 2/4:2011/03/03(木) 22:02:20.82 ID:etI03z3A
これで立場は完全に逆転したシンゴ。
「さて―――― 君達に…選択肢は2つだ…
 もう30秒ここに留って、“同志達”と同じ運命を辿るか、今すぐ尻尾を巻いてお家に帰るか…」
逆上した銀次は同胞の仇を討とうとするが、少女に止められる。
「だ… だってミハル… ここまで来て…!」
『わっかんないの、この単細胞!あたし達の負け! こんなトコで捕まるワケにいかないでしょ!!
 ゴーモン受けたらあんたなんかすぐ全部しゃべっちゃうわよ!!』
少女… ミハルは銀次の手を引き、悔しそうにシンゴを睨みながらやむなく逃げ出した。
「銀次クンとミハルちゃんか… 気をつけて帰るといい…」
シンゴは追いかけもせず、警備員に通報もせず彼らが逃げるのを見送った。


「よろしいのですか?見逃して…」
「警備体制の見直しが必要ですね、所長」



 ―その夜、BM通商局―
「BM通商局長官をお連れしました」
男に案内され久我共々部屋に入るシンゴ。部屋で待っていたのは―――― 父、東条だった。
「御苦労… しばらくだったな、シンゴ」
「御無沙汰しております、東条―――― 高千穂統括知事――――」
「フン… 統括知事…か…」
相変わらずの癖でメガネをクイッと上げると、東条は久我に席を外すよう命じる。

久我が部屋から出たのを見計らい、東条はゆっくりと椅子から立ち上がる。
「さて…と 東条BM通商局長官――――
 聞かせてもらおうか、説明を―――― いや、弁明……かな…
 コンキエスト壊滅の為には、構成員を捕えその情報を得る事が何よりも肝要…… そうだな?
 ましてやそれが子供であれば、尋問の効果は絶大 またとない情報源となる事もわかるだろう
 みすみす見逃したそうだな? なぜだ?」
4あらすじネクタール 3/4:2011/03/03(木) 22:03:05.39 ID:etI03z3A
「相手は子供です 極限まで追い詰めれられれば、パニックを起こし機関銃を乱射しかねません
 あの場には私だけではなく、フランス食糧相補佐官もいました
 場合によってはチェンバーにまで破損を与えかねない状況だったのです
 我々は決して圧倒的優位に立っていたワケではない
 あの場合、最善の判断であったと確信しています」
「なるほどな… 相手は10歳位だったそうだな」
「それが何か?」
「お前にとっても、思い出深い年齢だと思ってな…それとももう忘れたかな、そんな日々の事は…」



 ―コンキエスト本部―
銀次とミハルは立たされ、上司らしき3人の男女に睨まれていた。
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『す… すいませんでした隊長ッ!
 7人もの同士を死なせておきながら、目的を果たせず自分だけ生きて帰るなんて…
 つ…連れて帰れなくても、せめて東条の奴を殺して自分も死ねばよかったんです!! なのに…!』

「銀次…  バカな事を言うな、2人ともよく生きて帰ってくれた」

――必死で謝る銀次を睨む団長は、口を開くと意外にも優しくしてくれた。
「私達は4年前、身寄りをなくしたお前達を引き取ってここまで育ててきた
 だがそれは決していたずらに命を投げ出すような兵士を育てる為じゃない
 お前達は皆私達の子供… 我々コンキエストは1つの家族なんだ」
よく見ると、銀次とミハルだけでなく、同じ部屋には他の子供達も大勢いた。

「7人の同志達はさぞや無念だろう、しかしそれをお前達が気に病む必要はない
 彼らは人間の尊厳を賭けて戦い、コンキエストの理念に殉じたのだ
 自然の理に反したBMなどという異物をこの世から排除し、
 失われた国土を再び我々人類の手に取り戻す!!
 全てはお前達、次の世代にこの大地を引き継がせる為だ… 分かるな?」
5あらすじネクタール 4/4:2011/03/03(木) 22:03:47.10 ID:etI03z3A
元気よく返事する銀次だったが…
「でも…今回は明らかに作戦ミスでした あの建物は手を出すべきじゃありません、あそこには…」
「その情報持ち帰ってきただけでもお手柄よ、あなた達」
副団長らしき女性がミハルを褒める。

「この“南”に大量の生体BMが…
 使い方次第では、コイツは我々にとって最強の切り札になるな…」          <続く>
6マロン名無しさん:2011/03/03(木) 22:46:17.49 ID:???
パパキターーーー(≧▽≦)!!
しかもすげえ地位上がってるよ!
さすがだぜパパ
7マロン名無しさん:2011/03/03(木) 23:15:58.26 ID:???
コンキエストの幹部連中は凄まじく胡散くさいな・・・
相変わらずこの世界の大人はロクなのが居ない。
8マロン名無しさん:2011/03/03(木) 23:19:43.37 ID:???
チッ、東条生きてたか!その地位は何億人の犠牲の上で得たんだか…

>>7
そう? BM災害孤児を育てるなんて今の世の中、どれだけ金があっても足りんから立派だと思ったけど
9マロン名無しさん:2011/03/03(木) 23:36:53.30 ID:???
コンキエストって、conquest【=征服・克服】で良いのかな
10マロン名無しさん:2011/03/04(金) 00:33:17.48 ID:???
和訳からしてどうもそれっぽいな
11マロン名無しさん:2011/03/04(金) 11:40:48.47 ID:???
コンキエストの幹部たち、東条パパなみにうさんくさいんだがw
立派なお題目も余計に嘘くさくないか?
12マロン名無しさん:2011/03/04(金) 17:06:03.89 ID:???
統括知事、ね…第一話に出てきた大臣さんは、既に死んだのかな?
ネクタールって口にしたのは、あの人だけだったが。
13マロン名無しさん:2011/03/04(金) 19:54:01.49 ID:???
ああいうお偉いさんは死んでるのがお約束だからな、この手のジャンルは
14マロン名無しさん:2011/03/04(金) 20:14:24.09 ID:???
言わないねえ、ネクタール。
まあ、とても神の恵みとは皮肉としても言いがたいからな。
15マロン名無しさん:2011/03/04(金) 21:58:21.89 ID:???
今だから言える。ネクタールで不二家ピーチネクターを連想してたのは俺です。
16マロン名無しさん:2011/03/05(土) 04:14:07.66 ID:???
あの、俺も……
ガキの頃、あれが大好きでジュース飲んでいいとお許しが
出たときはいつもネクター買ってもらってたなあ
17マロン名無しさん:2011/03/05(土) 08:16:40.67 ID:???
そのジュースの語源だからな。
18マロン名無しさん:2011/03/05(土) 10:26:43.75 ID:???
>>16
よう、同志!

>>17
マジか… 初めて知ったわ
19マロン名無しさん:2011/03/05(土) 18:36:26.86 ID:???
BMは最早ネクタールどころかベヒーモスだな
世界の全てを食い尽して肥え太り、最後の審判の日に神々の食卓に供される陸の獣。
20マロン名無しさん:2011/03/05(土) 20:30:03.44 ID:???
ベヒーモスの名はFFでよく聞くが、原典はそんな怪物なのか。
どっちもBMだし、>>19のつけどころはすごくいいと思った
21あらすじネクタール 1/5:2011/03/05(土) 22:00:00.01 ID:Q1RZI8dt
 Vol,71 〜高千穂紀行〜


壊滅した本土と違い、まるで東京、いや、それ以上の都会となった高千穂。
そんな中、おしゃれな服を来て偵察に来た銀次とミハルは驚きの余り茫然としていた。
「ふわ〜〜〜〜…… すっげ〜〜〜〜人……」
「やっぱ都会だわ、高千穂は… 感心してる場合じゃないよ銀次!
 ここは言ってみれば敵のど真ん中なんだからね プラモデルとかも見てる場合じゃ…」
「わかってるようっせーな!」
「それにしたって、いくらなんでもこれはないよね――――
 どー見たってどっかのキッズカタログ丸写しじゃん、これじゃ変装じゃなく仮装だっつーの…」
ブツブツ文句を言っていると、急に大声で呼ばれるミハル。何かあったのか!?

『ミハル――――!!    サ サルだ、おサル!! おサルが芸してる!! すっげ〜〜〜!!』
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                  (しばらくお待ちください)

…ブン殴られ、揉めつつも先へ進む二人。
031
『殴る事ねーだろ!!』
『うっさいこのバカ!! あれほど言われたでしょ、目立たないよーにって!
 できるだけ早く任務終わらせて帰ってくるよーにって!」
「何だよ――――
 自分だってせっかく高千穂行くんだから、カワイイ服買いたいな〜とか言ってたくせに」
「「たいな〜〜」でしょ? あたしは実際に寄り道したりしないもん!」
ミハルの鉄拳炸裂で頬を凹ませつつも文句を言う銀次。 …と思ったら、ある物を見て足を止める。
「何?今度は」
22あらすじネクタール 2/5:2011/03/05(土) 22:00:48.69 ID:Q1RZI8dt
「ちょっとお茶してかね?」

こじゃれたカフェを見つけた銀次に、盛大にコケるミハル。
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『人の話聞いてんのあんたは!! 大体、何が哀しくてあんたなんかと一緒に…!』
「いや、だってさ ミハル前に言ってたじゃん
 1度でいいから高千穂にあるよーなオシャレなカフェでお茶してみたいなー、って」
「え…… い…いいのかな」
突如モジモジしだすミハル。任務だなんだと言っておきながら、やはり入ってみたいようだ。
「大丈夫大丈夫! ちょっとくらいかまやしねーって!
 オレ達もう二度と来られるかどーかわかんねーんだからさ…」
確かにこんなチャンスは滅多にないかもしれない。そう決めた2人は店内に入った。



…その後、2人は一緒にメニューを見て困惑していた。
「ね… 値段が… 書いてない……」
「どゆこと、コレ? メ メチャメチャ高いのかな? 時価とか…?
 ね、銀次 今いくら持ってんの?」
――銀次もミハルもお金はほとんど持っていないようだ。
「ご注文お決まりですか?」
ヒソヒソ相談を続ける2人に店員が声をかけてくる。まずい!笑ってごまかそうとする2人だが…

「…君達―――― 高千穂の子じゃないね? どこから来たの?」

――早くもバレた! 2人はそっと懐の拳銃に手を伸ばし始める…。
すると店員は途端に表情を和らげ、微笑んで2人の肩に手を置き説明を始めた。

「ここはね…… 高千穂に最近いっぱい出来てる官営ショップの一つなんだ
 ここでは全部のメニューが 無 料 で 注文できるんだよ」
23あらすじネクタール 3/5:2011/03/05(土) 22:01:35.74 ID:Q1RZI8dt
思わず聞きなおす銀次。むりょう… 無料って、タダって事?
「もちろん
 カフェやレストランだけじゃないよ、映画館・美術館・コンサートホールに本屋さん…
 やがては“南”中の他の町にもどんどんできる
 この国が“BM”で儲けたお金はこうしてみんなの為に使われるんだ
 だから遠慮しないで何でも好きな物を頼んでいいんだよ」
笑顔で親切丁寧に教えてくれた店員に、銀次は調子に乗って色々食事を頼みまくる。
『いーかげんにしなさい銀次!!』  怒られた。

たくさんの注文を終えた銀次は一発で高千穂が気に入ってしまったようだ。
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「い――トコだね、ミハル――――♪ タダでご飯食べられるし、みんな優しいしさ――――♪」
「話しかけないでよ、恥ずかしい」


その時、突如テラスに米軍の装甲車が止まり中から武装した兵士達が降りてきた!
――やはり2人がスパイだとバレたのか!?
兵士達はあっという間に2人が座っているテーブル周辺を取り囲んでしまった。
もはや観念するしかないのか!? そう思った瞬間――――

『ち… ちっくしょぉぉ!!』 突如隣のテーブルでノートPCを使っていた男が叫んで立ち上がった!
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『動くな! 通信法違反不法情報流布の容疑で逮捕する!!』
どうやら彼らは銀次達ではなくこの男を逮捕しに来たようだ。

『み… みんな目を覚ませぇ! 我々のこの甘ったるい生活は誰のおかげだ!!
 我々の肉親や友人… 彼らの犠牲を忘れてはいけない…!
 い 今でも本土では………!』

男は取り押さえられつつも叫ぶが、周囲の人間は気にせず食事や会話を楽しんでいる。
ついに男はスタンガンを当てられ一声悲鳴を上げると気絶し護送されていった。
ひと騒動終えると、2人の元にさっきの店員が寄ってきてアイスパフェを置く。
24あらすじネクタール 4/5:2011/03/05(土) 22:02:19.04 ID:Q1RZI8dt
「ハハハ ごめんごめん、ビックリさせちゃったみたいだね よくある事なんだよ、高千穂では…
 困るんだよね、あーゆー手合いの人… 折角皆が幸せに楽しく暮らしてるのにさ…
 あんな風に騒いで… 波風を立てないで欲しいんだよねぇ…」
――店員の笑顔に、銀次とミハルはただ黙りこむしか出来ないでいた。



 ―BM通商局―
シンゴの後ろでソファーにふんぞり返る軍人風のいかつい男。
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「日々せっせと全ての通信内容をチェックしては街中に狩り出て
 まるで市警のようにケチなテロリストを一人ずつしょっぴいて帰ってくる…
 誠に… 不本意ですなぁ」
「何がでしょう、司令?」
「4年前… あなた方が体制の再建に手いっぱいだった時…
 あなた方に変わって治安と防衛を請け負ったのは、我々在日米軍でした
 今に至るもそれは続いている…
 この国の治安と主権を守っているのは我々だという自負はあります」
「よく承知しております、司令
 ですから我が国は米国に対して最優先で安価にBMの供給を行っている
 私達はお互いに相手を必要としている―――― 良きパートナーシップを築いてきている筈では?」
「Of course(もちろん)! だからこそ不本意なのですよ、Mr東条Jr
 我々はもっとあなた方のお役に立ちたい、もっと要求して頂きたいのです
 我が国の対不穏分子特殊部隊の投入を許可して頂ければ
 コンキエストなどという素人集団など、1週間で始末してみせましょう
 何卒、お父様に御進言を…」
葉巻を吹かしながら言う在日米軍司令に眉をしかめるシンゴ。
「お心遣いは感謝いたします、司令 また 決してあなた方の力量を疑っている訳でもありません
 ただ… あなた方にお願いしているのは治安維持です
 我々の国土内で戦争を起こしてもらう訳にはいかない」
「これは失礼、そんな悠長な状況だとは思いませんでね…」
25あらすじネクタール 5/5:2011/03/05(土) 22:03:00.88 ID:Q1RZI8dt
一方、銀次達はコンキエストのリーダー宅(高級そうな家)にいた。
「お疲れ様、そんなに緊張しないで リーダー達は別に怖い人達じゃないわ
 リラックスして… ね」
秘書らしき美女にもてなされ、ソファーに座ってガチガチに緊張している二人。


その様子を監視カメラで窺う、顔の見えぬリーダー達。
「わざわざあんなガキ共を伝令によこすとはね 実動部隊の連中は何を考えてるんだ
 しかも面が割れてるかもしれないって言うじゃないか」
「まァ 仕方あるまいさ、今やどんな通信手段でも政府の検閲から逃れるのは不可能だ
 この情報を無事届けてくれた事はほめてやろうじゃないか」

「生体BM―――― か… やっと…勝負に出られるカードを手に入れた訳だ…
 勝利か… さもなくばこの“南”にも、本土の同胞達と同じ死を…」

ワイングラスを傾けながら、リーダー達は不気味に微笑むのだった。        <続く>
26マロン名無しさん:2011/03/05(土) 22:37:35.61 ID:???
こんな壊滅的状況でも、伝統芸の猿回し(&猿)はいるんだなw
27マロン名無しさん:2011/03/06(日) 17:47:25.40 ID:???
ちょっとお茶してかね?フイタw

お姉さん風吹かせてるがミハルより銀次のほうが、ある意味上手だな。
28マロン名無しさん:2011/03/06(日) 20:31:04.18 ID:???
>『動くな! 通信法違反不法情報流布の容疑で逮捕する!!』
やっぱり九州は情報操作してるっぽいな
29マロン名無しさん:2011/03/07(月) 20:28:55.44 ID:???
猿回しの人の顔が猿ww

いろんな勢力が出てきたな
BM、完たち生き残り、シンゴら体制、コンキエスタ、米軍
どうなるんだろ
あと、こういうパラレルストーリー?
社会の仕組みが違う漫画って読むのすごく面白い
30あらすじネクタール 1/4:2011/03/07(月) 22:00:00.38 ID:n815c9nq
 Vol,72 〜新世紀の神〜


 ―高千穂港―
輸送船から積まれたコンテナを運ぶ輸送機。
そのパイロットは全くパイロットとは思えないほど、薄汚れた中年と強面の中年だった。
「岡山超えたからな、そろそろ餌場だぜ 今日の餌場は……426番… かの甲子園球場…か」
サングラスをかけた男はエロピンナップを見ながら昔甲子園を目指してた事を話した。
「ま、関西方面の当番でラッキーだったぜ 今日、女房の誕生日だからよ 早く帰んねぇとな
 東北だの北海道だの割り当てられた日にゃ、ヘタすりゃ1日仕事だからよ
 …よっしゃ到着―――― BM様、出前お待ちィ――――」
スイッチを入れると、輸送機下部が開き大量のゴミが甲子園目がけて降り注ぐ。
その様子を見て、どこからともなく声がする。
「は〜〜〜 なるほど、こうやってゴミ捨てる場所って決まってるんですねェ――」

「あ〜〜? そりゃそーだろ、おめ
 てんでに好き勝手に適当にバラまかれたんじゃ、日本中のBM君達に平等にエサが…
 ――――って、あんた誰!?』

相棒の声かと思いきや、声の主はなんといつの間にか輸送機に乗り込んだクローシュ!!
後ろの席から首をニョッキリ、コンニチハ!ボンジュール!
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クローシュは非礼を詫び、怪しい者ではないと身分を明かす。
「フランスの… なんだって?」
「いや、よくわかんねーけど相当偉い人なんじゃねーの?」
「じゃ… じゃあ、いいのかな、乗ってても…」
「い… いいんじゃねーの?本人もあやしくねーって言ってるし…」 そういう問題だろうか。
「いや〜〜 すみません、私もBMを輸入するにあたりまして、
 少し勉強しなきゃいかんかなーと思いましてね――――
 なるほど、世界中のゴミがこうして日本中のBMを養ってるんですね――――」
冒頭の大型輸送船は、世界中からゴミを集めてきたのだった。
31あらすじネクタール 2/4:2011/03/07(月) 22:00:42.36 ID:n815c9nq
「BMはどーやって捕まえるんですか?」
「ああ、そいつはアレだよ、見えるかい?」
運ちゃん(あの風貌ではパイロットと呼びたくない byあらすじ)は下を指差すと、巨大なドームがある。
「それぞれの餌場ごとにすぐ近くに1つずつ…
 日本中で千か所以上になるんだけどね、BM処理センターつーのができてんのよ
 まぁ、“できてる”つーか、実際はバカでけぇ装甲車みてぇなモンで
 自分で海岸から“走ってた”んだけどね
 難しいこたぁよくわかんねーけど、何か特殊な音を流してBMを中におびき寄せるんだと
 そんで、まぁ アレ自体がでっけぇ電子レンジみてぇなモンになってるワケよ
 ――あとはレンジでチンして出来上がり
 あのパイプラインを通して海岸線の港まで運ばれるって寸法だ
 なんでも港までは完全に無人で動いてるってぇ話だぜ」
そこでふと、クローシュは1つ疑問に思った。

「海岸線… 港っていえば、BMってのは海から逃げたりしないんですかね?」

「あ〜〜 そいつはねぇってよ、アイツら海水はダメらしい
 ほら、塩水だろ? ま、BMっつーのは結局でっけぇナメクジみてぇなモンだからよ」
――ふと、運ちゃんは相棒につつかれる。見るとクローシュは暗い顔でうつむいている…
「す すんません あの、気分悪くしちまったら…」

「私らはもともとカタツムリを喜んで食べる国民です
 今さら大ナメクジを喰えと言われても、何程の事もありませんよ」

意外にも笑顔で返すクローシュに、そう言ってもらえると助かると和気あいあい。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110307212948.jpg
「よかったよ、オレぁフランス人ってな、もっとキザでイヤミな奴ばっかと思ってたよ」
「だからそーゆー偏見でモノゆーなっての!」
「それじゃもう1つだけ教えて頂いてよろしいですか?」
気を良くし、場の雰囲気も和んだので運ちゃんは快く何でも聞いてくれと答える。
32あらすじネクタール 3/4:2011/03/07(月) 22:01:25.55 ID:n815c9nq
「本土にまだ生存者がいるのに、“南”が見殺しにしてるって話… アレはどうなんですかね…?」

――その問いに運ちゃんズは黙りこんでしまい、お互い知らない、生存者はいないと言う。
「妙〜〜〜〜ォですねぇ…
 私達の間では公然の秘密とゆー事で、まことしかに囁かれてるんですけどねぇ…」
『し 知らねぇモンは知らねぇっつてんだろ!! もういいだろ、帰るぜ!!
 に 女房が待ってんだよ、今日は!』

空港へ降りると、そこには久我達が待ち構えていた。クローシュのSPに銃を突きつけて…。



 ―BM通商局―
シンゴに対しひたすら頭を下げ謝る役員達。しかし当のクローシュは涼しい顔だ。
「まだ… 本国にお帰りになってなかったのですか? ジャン・クローシュ補佐官」
「いや〜〜〜 この高千穂があまりにステキなので、すっかり気に入っちゃいましてねー
 折角ですから溜まっていた有給取ってしばらく観光させて頂く事にしたんですよ、コレが」
「立場をお考えになって、少し自重して頂きたい
 観光ならば、もっと楽しめるスポットをいくらでもご案内致します
 あなたの身に何事かあれば、我々としては…」
「お心遣いありがたいのですが、十分楽しめましたよ 色々勉強になりました
 世界中の人類が生み出す全ての生活廃棄物を引き取り、
 世界中の人類が喰らう食料を生み出し供給する…
 全人類が組み込まれた、全く新しいこの地球の食物サイクル…
 それを支配するあなた方は… まさしく新世紀の神だ
 神の視点では… 多少の犠牲は見えなくなってもやむをえないのかもしれませんな」
芝居がかった態度と言葉にさすがのシンゴもクローシュを睨みつける。

「補佐官 誤解の無いよう、これだけは言っておく
 我が国は4年前の惨劇で国民の90%、国家資産のほとんど全てを失った
 我が国が自治と主権を守る為には、取るべき道は1つしかなかったのです
 BMを糧とし…… BMと共に生きるしか」
33あらすじネクタール 4/4:2011/03/07(月) 22:02:09.21 ID:n815c9nq
「そこだけがどーしても未だに分からないんですよ
 これだけBMを熟知し、BMの管理に長けたあなた方が、何故それほどの惨事を引き起こすような
 イージーミスを許したのか…?
 ま、後はその謎解きを楽しみつつ、高千穂ミステリーツアーと洒落こみましょうかね」
――そう言うとクローシュは部屋を後にした。食えぬ男だ。
部下にクローシュの監視をつけるように命じる久我。

「退屈しないゲームが始まりそうだ、ホントステキな街だよ、高千穂(ここ)は…」

去り際、不敵に微笑みながら独り言を吐くクローシュだった。               <続く>
34マロン名無しさん:2011/03/07(月) 22:47:41.32 ID:???
クローシュ、やっぱりくえないやつだな
何が目的かな……?
35マロン名無しさん:2011/03/07(月) 23:00:53.11 ID:???
なんか脳内で赤塚絵のクローシュが一瞬よぎったんだが…
36マロン名無しさん:2011/03/08(火) 07:45:54.73 ID:???
今更だけど高千穂って現実にはどの程度の都市なわけ?
九州の地理に詳しくないがあんまり聞かない地名のように思うけど
首都が福岡とかじゃないのは本州に近いからとかかな
37マロン名無しさん:2011/03/08(火) 16:23:11.14 ID:???
高千穂は神話にでてくるからぐぐれ
なかなかロマンな名付けだと思った
場所的には阿蘇山のあたりらしいぞ

「うしおととら」にも高千穂屋敷ってのがでてきた
38あらすじネクタール 1/3:2011/03/09(水) 22:00:00.86 ID:7WTCaiNr
 Vol,73 〜破滅の序章〜


深夜、人気の少ない山道を大型トラックが走っている。
兵士4人が同乗し、運搬しているのは… BM用の空のチャンバー。
ふと、空き缶を踏み潰し車内がわずかに揺れ、居眠りしていた兵士が起きる。
「何やってんだ、寝てんじゃねぇよ」
「ね 寝てませんよ、空き缶か何か踏んだだけでしょ! 何スか、みんな寝てるくせにオレだけ…」
リーダーらしき兵士に怒られる若手の運転兵士。
「ああ、いや ほれ、最近コンキエストの話もあるしよ 気ィつけろって事」
「そんでみんなこれだけ景気よく眠ってりゃ、世話ないっすよ
 大体、そんな心配ならこんなチェンバーなんかわざわざ真夜中にこそこそ運んだりしてないで
 輸出ベースン中で自前で作っちゃえばいいんすよ、全く…」
「そーもいかねーのよ、なんもかんもお上でやっちまったらよー
 民間企業の仕事、なくなっちまうでしょー? 民間活力って奴がよー」
「民間っつったって、結局 全部政府の下請けじゃないすか」
「青い事言ってんじゃねーの、形よカタチ そーゆーのが大事なんよ、社会っつーのは」

――そんなやり取りを続けていると、突如前方に子供(銀次とミハル)が照らし出される。
慌てて急ブレーキをかけ、トラックはギリギリの所で止まった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110307195445.jpg
運転兵士は罵声を浴びせるが、リーダーが様子がおかしいと運転兵士を止める。
『た…助けて… 助けて下さい! お願い! あたし達殺されちゃう!!』
銀次はミハルを抱きしめ、必死で兵士達に助けを求めるが、兵士達は何が何だか分からない。
とりあえず、リーダーは消毒液と絆創膏を出せと叫ぶ。
『マジっすか、班長!任務中ですよ! 一般人との接触は基本的に…!』
『ンな事言ってる場合かバカヤロォ!! あの様子を見ろ、ただ事じゃねぇぞ!!』
39あらすじネクタール /3:2011/03/09(水) 22:00:43.32 ID:7WTCaiNr
…仕方なく、班長と一緒に他の兵士も降りて銀次達を保護しようとする。
毛布と水、チョコ・クッキーを与えられる銀次達。
「しっかりしな、もう大丈夫だ」
「ありがとう、おじさん…」
「なァに、オレにも君達と同じ位の子供がいてね ほっとくワケにもいかねぇよ」
班長は優しく微笑んで、銀次達を元気づける。しかし……

「おじさん・・・・・・・・・・・・・・     ゴメンなさい♥」

突如隠し持った銃を班長に突き付ける2人。お芝居だったのだ!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110309204834.jpg
――と同時に、周辺から無数のコンキエスト兵士が現れ兵士達を包囲した。
「ハ〜〜〜〜イ 動かない動かない」
「く… コンキエストか…」


それからしばらく経ち、コンキエストのメンバーは兵士の服と装備を奪って変装する。
唯一、班長だけは別に捕縛され、服はそのままだった。
「お前達もよくやったぞ、銀次 ミハル お手柄だ」
兵士の装備を見に包み、兵士になり済ましながら2人を褒める団長。
そんな会話を目前で聞かされた班長は舌打ちし毒づく。
「何がお手柄だ、こんなちっちぇー手に持たせる物じゃねぇだろ…」
『ち… ちっちゃいってバカにすんなよ、これでもオレはな――――!』
「あー よせよせ銀次 さて…あんたには我々と一緒に来ていただきます
 あなたがここの班長と言う事ですので、IDチェックはあなたにパスして頂かねばなりません」
「おいおい、本気でできると思う?そんな事」
「先程…お子さんがいるとおっしゃいましたね?
 突然父親を失う子供さんの気持ちをお考えになった事がありますか?」
「ハッ おどしのつもりかよ? 案の定、安っぽい連中だねぇ」

――すると団長は突如振り返り、別に捕縛していた兵士達を射殺してしまった!
40あらすじネクタール 3/3:2011/03/09(水) 22:01:36.89 ID:7WTCaiNr
「我々はあなた方の様な飼い犬と違う、胸に崇高な理想を抱く本物の戦士だ
 口先だけのおどしも、躊躇も我々には無い…」
…兵士の死体を崖下へ投げ捨て、トラックはその場を出発した。
もちろん、班長以外は兵士になり済ましたコンキエスト達を一緒に乗せて――――
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110309204940.jpg



検問へ着くと、予定より20分遅く到着した事を問い詰められる班長。
班長は部下が腹痛の為トイレを探していたとごまかす。
「ハハ…そうですか、お大事に」


検問を通ると団長が笑い出す。
「ククク… なかなかナイスなアドリブでしたよ
 ただ、私の好みからすると―――― いささか品がありませんでしたがね……」
トラックはゆっくりと施設の中へと消えていった…。
                                                   <続く>
41マロン名無しさん:2011/03/09(水) 22:51:33.44 ID:???
…トラックにひかれそうになるシーン、ミハルパンツはいてなくないか…?
42マロン名無しさん:2011/03/09(水) 23:19:14.32 ID:???
> あの様子を見ろ、ただ事じゃねぇぞ!!
ミハルがノーパンなのを一瞬で見抜くとは流石隊長だなw
43マロン名無しさん:2011/03/09(水) 23:39:00.19 ID:???
確かにノーパンに見えるな。
上着の裏地かとも思ったが線がキレてるから違うな。
二コマ目は普通に肌だし。
44マロン名無しさん:2011/03/10(木) 08:24:44.57 ID:???
1部香ノ宮以来のサービスカットキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
45マロン名無しさん:2011/03/10(木) 08:50:44.67 ID:???
それってどんなんだったっけ?
46マロン名無しさん:2011/03/10(木) 09:38:06.77 ID:???
班長、最初バカかと思ったが2部の大佐みたいな人物なのかな……
子持ちだから子供に武器を持たせる悲惨さが分かっているのか
47マロン名無しさん:2011/03/10(木) 19:44:58.09 ID:???
>>45
教室から降りる時、あれでパンツ丸見えなら
Tバックか紐だろってくらい捲れてる
48マロン名無しさん:2011/03/10(木) 20:10:18.07 ID:???
気付かなかったが、尻肉まで見えてるな
49マロン名無しさん:2011/03/10(木) 20:41:27.86 ID:???
>>47
ああ、なるほど!言われて初めて気が付いた!ありがとう!

ところで今回ミハルがパンツはいてナイのは下着工場が減ったからだと思ったけど、
一応九州にも工場はあるのね。
http://www.wacoal.jp/top/tanoshimu_contents/tanken/factory/
…だとするとなんではいてナイのかという話になるんだが。
50マロン名無しさん:2011/03/10(木) 21:37:06.62 ID:???
1.女幹部の悪ノリ
2.団長にry
3.リーダーがry
4.普段からそんな感じ

さて、どれでしょう
51マロン名無しさん:2011/03/10(木) 22:17:29.13 ID:???
真面目に考えれば1。パンツ履いてないから、何か大変なことが起きたと錯覚させるため、とか?


ぶっちゃけ藤澤の隠れエロが発揮されたと思えばw
52マロン名無しさん:2011/03/14(月) 14:43:24.84 ID:GmO1Pmcr
保守
53あらすじネクタール 1/5:2011/03/15(火) 21:30:01.69 ID:5u2JDqIr
 Vol,74 〜ATTACK!〜


自室にて高千穂の夜景を見下ろすシンゴ。
(眠らないんだな…高千穂も… 何も変わらない、4年前の東京と…
 どれほどの惨劇を経ても、人は必ず同じ日常を再現しようとする…)

「まだお仕事ですか、局長 たまにはお休みにならないとお体に毒です」
物思うシンゴは突如呼ばれ振り返る。久我だ。
「ああ… 気の毒な事をしていると思っているよ、お目付役のキミにはね
 だが、無駄な労力だよ 皆が寝静まっている間に何かよからぬ事をやらかそうって訳じゃない
 父さ…統括知事には心配ないと報告しておけばいい…」
「私は局長の補佐官として配属された者です 局長の監視は私の仕事ではありません」
そう言うと、久我は持ってきたコーヒーを机に置いた。
「それを言うならお茶くみも君の仕事じゃないだろう? 頼んだ覚えは無いよ」
――シンゴは冷たくあしらうと、意外にも久我は哀しそうな顔をした。
「……すまない、言いすぎた
 どうにもだんだん… 嫌な所ばかり“あの人に”似てくる…」
自己嫌悪し反省すると、シンゴはコーヒーを手に取り微笑んで礼を言った。
「ありがとう」
「私を任命した時、統括知事は言われました
 『神悟に厳重な監視は必要ない、重大な責任だけ与えておけばいい
  それだけで自ら縛って身動きできなくなる』……と…」
「フ…… つくづく…嫌な所ばかり似てくるのですね、父さん…」



 ―BM処理施設―
件の大型トラック…BM処理車のチェンバーを運び出そうと、施設作業員がコンテナが開くと、
中から武装したコンキエストが現れた。
54あらすじネクタール 2/5:2011/03/15(火) 21:30:43.99 ID:5u2JDqIr
そして場面は再びシンゴへと戻る。
「眠れないんだ
 ――破滅は一瞬でやってくる 始まりは誰も気づかないほどささやかな予兆だ
 いつ来てもおかしくはない、それはボクが惰眠をむさぼっている間かもしれない
 あるいは今、この時既に始まっているかもしれない…」
シンゴは嫌な予感がしていたのだろうか。
この時すでにBM処理施設はコンキエストによって占領されていた。


 ―BM処理施設―
凄腕ハッカーがセキュリティシステムへの侵入に成功し、全ての地図や情報がバレてしまっていた。
「これが警備員の待機所、全部で48か所っすね」
「よし、全て閉鎖しろ」
…そして各警備員待機所のドアが閉まり、慌ただしくなる警備員達。

「ハハハ無理無理、新しいパスワード 桁数を2倍にしてやったからね
 おたくらのお頭じゃ、どうあがいたって開けられっこないって」
「まだその辺をうろついてる警備員だっているんでしょ?」
「そいつらも居場所は確認できますよ」
すると団長はおもむろに所長を呼び付け、警備員達に武装解除を命じるよう言い渡す。
「犠牲者は出したくありませんよね?」

副長や他のメンバーが慌ただしく動く中、銀次とミハルは拉致した班長を見張っていた。
「『当節はこんな当たり前の事も忘れられがちだが――――
 武器というのは、悪いもの…凶器なんだよ』」
突如妙な事を言いだした班長に、首をかしげる銀次。
「老子っつってな、大昔 中国にいた偉い人の言葉なんだと
 オレも全然学のねぇ男だけどな、自衛隊に入るつった時、お袋がオレに教えてくれたんだよ
 こいつだけはなぜかずっと覚えてる」
「何が… 言いたいんですか…?」
55あらすじネクタール 3/5:2011/03/15(火) 21:31:25.61 ID:5u2JDqIr
「もしオレが君達の親なら… そのちっちぇえ手に、そんな重くて冷たい銃…
 絶対に持ってほしくは無いと思うね…」


コンキエスト通信兵は団長にリーダー到着の報告を告げる。
『そうか! 全員整列! リーダー達をお迎えするぞ!!』
「リ… リーダー?」 団長をリーダーと思っていた所長は思わず問いかける。
「しがない市民団体だった私達に 武器と資金を提供して下さった方々です
 私もお会いするのは初めてですがね
 正体は誰も知りません 今回ついにお姿を現し、私達と共に闘って下さるのです!!」
そして黒塗りの車が到着し、左右にコンキエストが整列する。
ドアを荒々しく蹴り開けて現れたのは――――

『ヒィィヤッホォォォ!! ハデに行っちゃうよォ〜〜〜〜〜〜〜ン!!』
『最終ステージ!! ラストヒーロー参上ォ!!』

………ど――――――――見ても、頭の悪そうなバカばかりの登場に、呆気にとられる一同…。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110315211933.jpg
「あらら〜 何?銃撃戦とかやってねーじゃん」
「うっわ 何かショボ〜〜」 「せっかくフル装備なのにぃ」
あまりのバカっぷりに、さすがの銀次もこのバカ共がリーダーなのかと疑い始める。

…とりあえず気を取り直して、団長達はリーダーに歓迎の言葉を贈る。
「こ こんな前線までようこそおいで下さいました! お お目にかかれて光栄です!」
「何? オタク実動部隊の隊長さん?」
「ハ ハイ、僭越ながら…」
「あ〜〜〜 じゃ―――― アンタ、もーいーよ」
「は?」
「あとはオレらが指揮するからさ、ゴクローサン」
あまりの待遇に、さすがの団長も相槌を撃ちながら命令に従うしかなかった。
56あらすじネクタール 4/5:2011/03/15(火) 21:32:07.40 ID:5u2JDqIr
ふと、リーダートリオの1人が銀次達の後ろの班長に気がついた。
「何? コイツ捕虜?」
「ハ… ハッ、IDチェックをパスさせるため連行した者で…」(団)

「ふ――――ん        じゃ、もういらねーじゃん」
リーダーはタバコをポイ捨てすると、不要となった班長を射殺してしまった!

『ヒャハハハハハ! カイカン!! コレよコレ!!』
「あ〜あ おいおい、何ムチャやってんだよ みんなもビビってんだろ?
 味方ひかせてどーすんのよ
「だ〜〜〜って 早く人撃ってみたかったんだも〜〜〜ん」
リーダー達の行動に、団長を始め一気に引いてしまうコンキエスト達。
「……じゃ…… …いんですか……」
か細い声を振り絞ったのはミハルだった。

「殺す必要なんか… 全然なかったんじゃないですか?」

涙を浮かべ、冷酷なリーダー達を厳しい目で睨みつけるミハル。
『よ よしなさいミハル!誰に向かって…!』
団長は慌てて止めようとするが、リーダーに阻まれてミハルに向かう事が出来ない。
「この人… 子供がいるって… あたし達と同じ位の…」
リーダーはタバコを吐き捨て――――

『カッワイイね〜〜〜 この子ォ〜〜〜!!
 見て! 見てホラ!! 泣いちゃってんの、かぁわいい〜〜〜〜♥』

殴られるかと思いきや、突如ミハルを抱きしめ笑い出すバカトリオ。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110315212159.jpg
すると銀次はバカからミハルを奪い返し、銀次もまた激しい憎しみの目で睨みつける。
「んも〜〜〜 そ〜〜〜んな恐い顔しないでよぉ 確かに殺す必要全ッ然なかったけどさァ
 ――別に生かしとく必要も全ッ然無いでしょォ?」
なんという冷酷無慈悲なリーダー。団長を含めたコンキエストは全員呆れかえっている。
57あらすじネクタール 5/5:2011/03/15(火) 21:32:49.31 ID:5u2JDqIr
『ハイハイ皆さん、そんなシケた顔してないしてない!
 こんな事にかまけてる場合じゃないでしょ! 理想があんのよ、オレ達にはさ!!』

手を叩きながら叱咤するリーダー。ちなみに後ろの1人はミハルに興味を持ってもっとヤバそうだ。
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「さ〜〜て ゲーム開始だよ〜〜〜ん 今一番偉いのは誰か教えてあげないとね
 高千穂のてっぺんで、ふんぞりかえってるタコどもに…ね」

危険思想のリーダー達は一斉に、シンゴのいるBM通商局へと狙いを定めた。


 ―BM通商局―
「4年前… 出来る事が何もなかったワケじゃないんだ…
 いや…むしろ出来る筈の事はいくつもあった… だけど…ボクは何もできなかった…
 今だって… 本土の事を知りながら、ボクは何もしていない…
 こんな人間が… 安らかに眠るなんて、許されるはずがない…」
すると久我は哀しそうな顔を浮かべ、背中からそっとシンゴを抱きしめた。


 ―BM処理施設―
所長の誘導の元、施設の奥へと進むリーダー達。

「おほっ♥ いや〜〜〜 話には聞いてたけど、ホントにいたんだねぇ〜〜〜
 壮観だねぇ、ゾクゾクしちゃうよ こりゃオレ達勝っちゃうね、このゲーム…」

彼らの目の前には、BMが入ったチェンバーが静かに佇んでいた。          <続く>
58マロン名無しさん:2011/03/15(火) 22:33:00.94 ID:???
何このクズ共。隊長以下一同があきれるのも無理もない
59マロン名無しさん:2011/03/15(火) 22:49:04.79 ID:???
これはダメだろ・・・。
内部分裂になりそう。
相手が外であれ中であれBM解放のピンチに変わりないけど。
60マロン名無しさん:2011/03/15(火) 23:37:15.07 ID:???
バカリーダーに愛想が尽きて隊長がシンゴ側に寝返え・・・・るとは思いにくいな。
どうすんだこの先の展開
61マロン名無しさん:2011/03/16(水) 11:33:55.20 ID:???
黒幕たちって……
あまりにもクズすぎてあっけにとられる

冷酷無慈悲というよりはリアルを認識できない感じ?
2部の米軍の人のように、命の重みを分かっていて
火炎放射したのとはまた違うよな

何がしたいの
展開的に真っ先に食われそうだけど
いやしかしまじで日本終わっちゃうぞ
62マロン名無しさん:2011/03/16(水) 13:03:16.51 ID:???
第1部の戦犯:無し(強いて言えば地震)
第2部の戦犯:ドレクス・BMオタク科学者・池内・マスゴミスタッフ
第3部の戦犯:バカ3匹

こんな所か?
こいつらのせいで死者多数・日本が滅んだら悲惨すぎるんだが…
63マロン名無しさん:2011/03/16(水) 19:08:53.02 ID:???
…あれ?シルエットで登場した時の
>「生体BM―――― か… やっと…勝負に出られるカードを手に入れた訳だ…
> 勝利か… さもなくばこの“南”にも、本土の同胞達と同じ死を…」

…という重々しいセリフは何だったんだろう?
どーでもいいけど第一部でブーに反旗を翻した3馬鹿に似てるな、こいつら。
生まれ変わりか?あ、年齢的に無理か。
64あらすじネクタール 1/4:2011/03/16(水) 22:00:00.15 ID:AzWLpJIx
 Vol,75 〜交渉〜


 ―BM通商局・オペレーションルーム―
深夜、若手警備員が映像通信が入っているのに気付き上司に相談する。
「何だこんな夜中に、ちょっと出てみろ」

《カメラちゃんと映してるぅ? おろ、もぉ映ってんの?
 おっはよ―――― 高千穂の迷える子羊諸君》

――警備員達が見た物は、チェンバーの前にソファーを置いてふんぞり返るリーダー達だった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110316215153.jpg


同時刻、シンゴは久我の手にそっと触れたかと思いきや―――― パシッと払いのけた。
「局長…」
「“そういうの”も、キミの仕事じゃないはずだ」

「御自分だけだとお思いですか…? 私も…4年前、本土で両親と兄を亡くしました
 誰にだって1人や2人は本土に思いを馳せる人間がいたはず… 現在(いま)だって…
 私達は誰もこれほどの繁栄や安楽を望んでここまで来た訳じゃなかった…
 ただ、その日だけを生き延びようとあがいて、私達は皆同じ罪を重ねて来たんです」

いつしか、久我は厳しい目つきでシンゴを睨んでいた。
「わかっているさ…」
「ならば受け入れて下さい、神として君臨するという罰を!」
…その時ホットラインのベルが鳴り響き、大至急オペレーションルームへ来てくれと言われる。
そして向かったシンゴが見た物は―――― 例によってバカヅラ下げたバカ3匹だった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110316215207.jpg
65あらすじネクタール 2/4:2011/03/16(水) 22:00:52.36 ID:AzWLpJIx
《はぁい♪ ちゃんと大画面使ってくれてますかぁ?
 東条神悟クン、な〜〜〜んで今日先生がキミを呼び出したかわかりますね〜?
 キミ達はァ 先生の再三の注意にもかかわらず、お友達を沢山犠牲にして
 自分だけがいい目をみて来ましたァ
 あんまりバカちんなんで、とうとう先生はお仕置きとして
 今回ィ、キミ達に2つ宿題を出す事にしましたぁ〜〜
 はい、ひとぉつ 本土にはびこっているBMを1匹残らず駆除する事――――
 ふたぁつ 今までキミ達がやってきたBM政策の全てを洗いざらい世界中に発表する事――――
 この2つが出来たら先生に知らせなさぁい、24時間以内にですよ――――
 それができたらせんっせいもぉー このスイッチは押しまっしぇん》

ヲタリーダーはスイッチをちらつかせる。
見ると、周囲のBM入りのチェンバーには爆弾が取り付けられていた!
《もしこれが全部爆発するとォ 分かりますねー?
 キミ達も本土のお友達と同じ苦しみを味わうワケです》
久我は警備員に合図するが、すでにシステムジャックされこちらから制御する事はできなかった。
《無駄な小細工してんじゃねぇよ》
《そっちのやりそーな事くらい、どっくに手を打ってあるもんねぇ〜〜だ》
…とはいえ、24時間以内にBM駆除って、一体どうやって…? 慌てふためく役員達。
《おいおい、そりゃそこのキツネ目の兄ちゃんがよく知ってる事だろぉ?》

「広域…BM対策システム……か……」

《そーゆーのがあるんだって? 調べはついてんのよ♥》
「あるにはある… だが」
《おおっと! キミ達の言い訳を聞くつもりはありまっしぇん!
 先生はァー キミ達を信じています キミ達は腐ったミカンなんかじゃなぁ〜〜い!》
…それだけ言うと、リーダー達は一方的に通信を切ってしまった。

久我はオペレーターに連中の身分を照会できるかどうか聞く。
「ええ、隠そーともしてませんよ 見て下さい、3人とも高千穂の一流企業の御曹子
 しかも政府にパイプのあるBM関連企業ばかりです」
66あらすじネクタール 3/4:2011/03/16(水) 22:01:35.34 ID:AzWLpJIx
「泣けてくるな… 下手すると人類を破滅に導こうというのが
 金と暇を持て余したおぼっちゃまの革命ごっことはね…」
ドラ息子ズにあきれ果て、大きく椅子でのけぞるシンゴ。心中お察しします。
「しかし局長… 広域…BM対策システムと言うのは…?」

「ゲームのやりすぎなんだよ、おぼっちゃん…
 そんな都合のいい物があるなら、4年前… あんな事にはなっていない
 広域対策システムと言っても、実用性はせいぜい局地防衛程度
 しかも、人体への影響を見る臨床テストも行っていない
 結局、4年前には現場に投入される事さえなかった試作品だ」

「局地防衛が可能ならば、それを使って生鮮BM輸出ベースを包囲するのは?」
「そ そうだ! そうすれば仮にBMがあふれだしたって… 奴らの脅迫を無効にできる!」
久我の提案に希望を見出す役員達   ――だったが、シンゴの言葉でまた絶望視する。
「あいにく… 研究所があるのは小笠原諸島沖12.5km…
 おまけに研究開発が凍結されてからもう4年もたっている
 ここまで運んで来て今から起動させようと思えば、1週間かかって出来るかどうか…
 タイムリミットは24時間だ」
顔を伏せ塞ぎこむシンゴ。無理もない。バカ共のせいで高千穂が滅びるかどうかの瀬戸際なのだから。
「…久我君 キミはあの連中をどう見る?」 
「彼らに… 実際に自分の命を投げ出す覚悟があるとは思えません… ただ…」

「――同感だ    ただ…… 末端にはガチガチの思想犯が何人もいるはず……
 今の所は刺激しないで、様子を見るしかないな…」



その頃、施設内ではリーダーがマシンガンを乱射し人質を脅しつけていた。
「かぁ〜〜〜 やっぱ実弾は手応えが違うね〜〜」(短髪)
「つ… 次ボク… ボクにも撃たせてよ、早くっ!」(ヲタ)
「んじゃ賭けんべ、弾痕が捕虜に近い方が勝ちな」
「いーよ、その代り当てちゃったら1発1万円の罰金ね」
67あらすじネクタール 4/4:2011/03/16(水) 22:02:16.86 ID:AzWLpJIx
――そして捕虜達の悲鳴が響き渡る中、もう1人のリーダーは酒を飲みながら音楽を聞いていた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110316215227.jpg

「あ…あの… これで…彼らは我々の要求を受け入れるのでしょうか…?」
不安を感じるコンキエストを代表して、リーダーに質問する団長。
「え〜? だって受け入れるっきゃないでしょ〜 ヤバいじゃん、でなきゃ〜」
「万一、受け入れられなかった場合は…本当にチェンバーの爆破を?」
「ん〜〜〜 ま、そこんとこは様子を見ながらおいおい…ね」

そんな中、ふとミハルは銀次に話しかける。
「銀次って4年前、本土でお父さんお母さんとはぐれたんだよね?」
「あ… ああ、なんだよいきなり…」
「…まだ生きてると思う?」
「わ… わかんねぇよ、そんなの! もしかしたらまだ本土のどっかで生きてるかもしれねぇし
 本土が解放されたら… また会えるかもしれねぇし…」
「…だといいね」
するとミハルはおもむろにチェンバーに向かってゆっくりと歩き出す。

「あたしの父さんと母さんはあたしの目の前でBMに喰い殺された…
 あたしは… もう2度とBM達を野放しにさせたりしない 何があったって絶対に!」

決意を固め、BMが入ったチェンバーを見上げるミハルだった。              <続く>
68マロン名無しさん:2011/03/16(水) 22:44:27.79 ID:???
2部に出てきた対策グッズの発展型か?
BMなんてもんを量産する前に、まずそういう対策の方をしっかり作っとけよなー。
69マロン名無しさん:2011/03/16(水) 22:52:43.63 ID:???
BMって弱点ありそうなのに何か開発遅いよな。
海水に弱いとか言ってるんだから塩でも撒いときゃ良いんじゃないのか。
電流フェンスより堀でも掘って海水流しといた方がコストも管理も楽そう。
70マロン名無しさん:2011/03/16(水) 23:29:34.66 ID:???
>電流フェンスより堀でも掘って海水流しといた方がコストも管理も楽そう。
それ前スレでも言われてたけど、なぜそうしなかったのか。
周囲を海水で覆われた島とかでBMを生産、輸出すればこういう大災害は免れたのでは。

あと3バカがいちいちムカつく。金と権力をバカに持たせちゃいけないね。
71マロン名無しさん:2011/03/16(水) 23:51:50.08 ID:???
2部のBM対策グッズの事が、ヒントかな。
BMにも苦痛はあるから、苦しい所には入って来ない。しかし食い物があるとわかったら一斉に襲い掛かってくる。
堀が埋まるほど一斉に押しかけてきたら、水面に浮かんだ仲間の上を走ってでもやってくるだろう。

なんかのマンガで見た事ある気がするんだよ、水面に大量に浮かんだクラゲの上をネズミの大群が走って、船に襲い掛かるってシーン。
72マロン名無しさん:2011/03/17(木) 08:49:58.15 ID:???
BMってどのくらい地中に潜れるんだろう
掘り進むのは無理と見ていいのかな?
73マロン名無しさん:2011/03/17(木) 13:07:09.04 ID:???
そういや、日本の全滅したBMバスターズって、確かBM用装備って持ってたよな?
あれ着てると襲われなかったりするのか?
74マロン名無しさん:2011/03/17(木) 13:21:58.42 ID:???
バカ3匹が高千穂のお役人の御曹司!?
本当にバカだな

仮にその要求どおりになってBMがいなくなり
BM関連の情報が暴露されたら破滅するのはお前らの親父も同じだっつーのw
そしたらバカの親父も職を失ってお前らも親の金で遊べなくなるっつーのww
75マロン名無しさん:2011/03/17(木) 20:14:45.75 ID:???
>>74
馬鹿だからな
自分たちは英雄になって世界中から賞賛されるとでも思ってるんじゃないの
76マロン名無しさん:2011/03/17(木) 20:55:08.65 ID:???
>>72
少なくともあまり深くは潜れ無さそう。
せいぜい自分の体が隠れるくらいかな?

>>74
バカは後先考えないものです
77マロン名無しさん:2011/03/18(金) 00:21:33.12 ID:???
ミハルの発言どう見てもフラグだわー、この3バカ絶対爆破するわー。
78マロン名無しさん:2011/03/18(金) 06:29:56.25 ID:???
と言うか爆破しなきゃ話は進まないしな。

ところであの3バカリーダーの言い回し、金八先生っぽいんだが合ってる?
(当方耳が不自由なので実際に喋ってる所を聞いた事が無い)
79マロン名無しさん:2011/03/18(金) 06:54:58.04 ID:???
>>73
確かグラスファイバーで出来てるとか何とか
じっとしてれば置物と間違えてスルーしてくれるかも知れんけど
一旦獲物と認識されたらアウトだな
80マロン名無しさん:2011/03/18(金) 07:28:17.30 ID:???
>>78
ああ、金八だ。「腐った蜜柑の方程式」って題名の回が第二シリーズにあってな…。
そういやこの前ビーストウォーズメタルスでもネタにされてたっけ。
81マロン名無しさん:2011/03/18(金) 17:20:47.85 ID:???
>>73
対BM防護服は>>79が言っている通りグラスファイバー(ガラス繊維)なんで食われはしないと思う…そう思いたい。
でも着ている所はあったけど、実際に襲われたらどうなるやら。


>>80
あ、やっぱり金八先生か。てかトランスフォーマーでもあったのか!
腐ったミカンはお前らだと言いたいよ
82あらすじネクタール 1/4:2011/03/18(金) 22:00:00.96 ID:dLuQlGkN
 Vol,76 〜共通の友人〜


夜空の下、密かに施設を包囲する軍隊。
そんな折、オペレーターが知事(父)から通信があった事をシンゴに伝えた。
「なんて言ってる?」
「そ… それが…」
「構わない、聞かせてくれ」
「『睡眠中につき、報告の要件に関しては―― 管轄内で良きように処理されたし』 …以上」
「フ… あの人らしいな… ま、全権を委任されたと言う事だろう」
そしてシンゴはオペレータからパソコンを借り、何かを入力し始めた。


 ―小笠原諸島沖12.5km 人工島―
凍結されたはずの人工島の指令室に通信ベルが鳴り響く。

《あ〜〜〜 も〜〜〜 こんな夜中に誰じゃい!!》

シンゴ達の目の前の大型スクリーンにどアップで映る妖怪… もとい、老人にビビる一同!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110318213122.jpg
「御無沙汰しております、徳永さん どうせ起きていらっしゃるんでしょう?」
《お〜〜 何じゃ、坊(ぼん)かいや 久しぶりじゃの、元気にしとったか?》
「ええ、徳永さんもお変わりなさそうで」
《はん! そりゃ変わらんわい、なんせここじゃ4年前から時間が止まっとるからの》
シンゴと妖怪… もとい、徳永の挨拶に久我は誰かと問う。
「ああ、徳永博士 原子物理学の権威だ 広域BM対策研究所の実質上の指導者だった方さ
 開発凍結後も研究所に残って、管理と研究を続けてらっしゃる…」

《おお 坊! 何じゃい、そこのお嬢ちゃんは!!
 そーかそーか、坊もついに無事“男”になりおったか!!
 いやいや、心配しとったわい!! なんせ坊はここに居った時からカタブツでの、一時は…》
83あらすじネクタール 2/4:2011/03/18(金) 22:00:42.14 ID:dLuQlGkN
徳永の激しい勘違いに顔を真っ赤にしてうつむく久我さん。やはり彼女も恥ずかしいようだ。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110318213136.jpg
…ボケはさておき、本題に入るシンゴ。
《はん! わかっとるわい
 高千穂でお偉いさんまで出世した坊がわざわざこんな老いぼれ灯台守を呼び出すんじゃ
 何ぞ、えらい大事が起こっとるんじゃろ》
「お伺いしたい事があるのです 最終試作システム零-7号は、現在…」
《4年前からたいして変わっちゃおらんよ、坊からの雀の涙の研究費ではな》
「その零-7号ですが… こちらに運んで起動させるのに、最低どれだけ必要ですか?」

《ホッ…何を言い出すかと思えば… アレは実験用施設じゃぞ、運び出す事など前提にしとらん
 なんぜ自重70tを超える複合システムじゃ、宅配便っちゅーワケにゃいかんわな
 バラして運び出そうと思うたら、そうじゃの… まぁ3日――――
 そっちで組み立てて起動できる状態に持っていくんなら
 なんぼ急いでみても まぁトータルで1週間はみんとな
 そうして起動させたところで、確実に作動するッちゅー保証はどこにもないがの》

「でしょうね」
《まァそれでもええというなら、他ならぬ坊の頼みじゃ 何とか使えるよう頑張ってみるがの》
「――いえ、いいんです 現在は… もうしばらく零-7号をお願いします
 この世界に生まれたほころびが、もう少し大きくなるまで……」


 
 ―BM処理施設内―
「ふ… 不可能…って… あの…それはどういう…?」
何かを聞いて呆然とする隊長。
「おいおい、しっかり聞いてくれよ団長さん
 24時間で本土のBMを1匹残らずなんて、無理に決まってんじゃん?
 どんなご立派なシステムか知らないけどさ、本土ったって広いのよ
 まずムリ目の要求を出し、徐々に要求を下げていって最高の妥協点を探す――――
 交渉の基本よ、基本」
84あらすじネクタール 2/4:2011/03/18(金) 22:01:24.19 ID:dLuQlGkN
「お言葉ですが… 我々の理想の前に、妥協などと言う言葉は…」
「焦んじゃないの、24時間以内に自分達の悪行を世界中に発表すんのはやってもらうんだからさ
 そうなりゃ国連だってEUだって、人道的立場から黙っちゃいない
 世界中のBM市場がひっくり返って高千穂の連中は全員破滅よ
 オレらってば、間違いなく世界史の教科書に名前載っちゃうよ
 ゲームオーバー、明日のオレらは世界一の有名人よ♥」
その時、PCの前にいたハッカーは異変に気付いた。
「た… 隊ちょ… あ、いや、リーダー! ほ…包囲されています、いつの間にか… 大軍です…」
――隊長は双眼鏡で様子を窺うと、包囲しているのは米軍だと知った。



 ―通商局指令室―
一方こちらでも、米軍が出動している事を知らずに役員達はパニックに陥っていた。
『どこかの関係機関が要請を出したのか!?』
『いえ、そういう報告はありません!!』

『現在確認されている規模は3個師団以上! 全員重装備の実戦部隊です!!
 生鮮BM輸出ベースを完全に包囲して展開中!!』

――この展開はシンゴが指示したものではなく、シンゴも訳が分からずにいた。
「米軍司令部に問い合わせろ」
(どういうつもりだ…? いや、それよりも行動が速すぎる…)


 ―現場に立てた米軍司令キャンプ―
電話に出ているのは、以前シンゴと対談していた米軍司令だった。
「ハッハッハ 何… 礼には及びませんよ、Mr東条Jr」
《誰も礼など言っていない! あなた方の行動は明らかに越権行為だ!! 主権の侵害です司令!!》
85あらすじネクタール 4/4:2011/03/18(金) 22:02:05.57 ID:dLuQlGkN
「とんでもないMr あなた方の主権を守る事こそが私達の務めです
 その危機にあって出動するのもまた当然の務め
 友人としてそちらからの要請より早く駆けつけられた事を誇りに思っておりますよ
 いち早くあなた方の危機を伝えてくれた、我々共通の友人に感謝せねば… ね」
《共通の… 友人だと? とにかく今すぐ部隊を撤退させるんだ、司令!!
 我が国に実戦部隊の上陸は絶対に許可できん!!》
「やれやれ… どうやらいくらモニター越しに言葉を交わしても、らちがあかんようですなMr
 ここはひとつ、直接お会いして御理解いただくしかありますまい
 第一、BM管理の長官であるあなたにも、前線で指揮をとる責任の一端はあるでしょうからな」
――そして急きょ、シンゴは車で司令キャンプへと向かった。


テントへ入ると同時に驚愕するシンゴ。
「Welcome Mr東条 彼の事はご存じですな?」
テント内にいたのは、司令だけではなく―― ジャン・クローシュもいたのだった。   <続く>
86マロン名無しさん:2011/03/18(金) 22:12:00.21 ID:???
うむむ?
どんな展開になるんだろう
このまま米軍に制圧してもらっちゃってもいいかもしれないが
銃撃戦でBMのガラスが割れそうだな

バカ3匹の動機は幼稚な英雄願望か…
87マロン名無しさん:2011/03/18(金) 22:12:56.70 ID:???
本性出し始めたな、クローシュ…
88マロン名無しさん:2011/03/18(金) 22:32:06.05 ID:???
真っ赤になってうつむく久我さんかわいいよ久我さん(;´Д`)ハァハァ
それを見るシンゴの横顔もなんかおもろいぞw
89マロン名無しさん:2011/03/18(金) 23:28:38.66 ID:???
徳永さん、仙人みたいだな
90マロン名無しさん:2011/03/18(金) 23:56:20.30 ID:???
久我さんがついに隙を見せたか…
91マロン名無しさん:2011/03/19(土) 00:08:54.52 ID:???
クローシュが何か関係してんのか?
フランスとアメリカが何か組んでるのか
それともクローシュ単体がスパイなのか

やっぱり怪しい奴だったか!
92マロン名無しさん:2011/03/20(日) 18:29:07.31 ID:???
新キャラ続々もけっこうだが、そろそろ完たちの動向にカメラをを回したほうが良い気がするな。
93マロン名無しさん:2011/03/20(日) 19:13:29.92 ID:???
香ノ宮が気になるな
重症だったから激しい運動を止められててもおかしくないし
満身創痍からフェードアウトしたミドと同じ扱いになるかも……
94あらすじネクタール 1/4:2011/03/20(日) 22:00:00.51 ID:C/PW0S6H
 Vol,77 〜ジャン・クローシュ〜


米軍テントにクローシュが居た事に驚きを隠せないシンゴ。
「ど――も、しばらくですムッシュ…」
「なぜ…あなたがここに…?」
「礼を失せぬように、ミスター あなた方の危機を教えてくれた大切な友人だ」
「いやなに、ほんの偶然ですよ
 なにしろあの生鮮BM輸出用ベースと言うのは私にとって、何より興味深い観光スポットでしてね
 毎日見物に通ってたところ、たまたま今回の一件に出くわしまして
 すわ、お国の一大事―――― とね   あ、そーそー それとムッシュ…」
クローシュはニコニコ笑顔で指を鳴らすと、ふん縛った日本人数名が米兵に連れてこられた。

「私は気ままな一人旅を愛する性分でしてね こーゆー無粋な“同行者”はご遠慮申し上げますよ
 私の事を見張ってる暇があるなら、生鮮BM輸出用ベースの方を
 もう少し用心しておいた方がよろしかったのでは?
 アレは日本… いや全人類の生命線でしょ? 戴けるものなら私だって頂きたいものですよ」

どこまでも喰えない男、ジャン・クローシュにシンゴは冷ややかな目つきで睨みつけた。



 ―生鮮BM輸出用ベース内部―
大軍に気付いたハッカーは下水や通風孔を封鎖した。
これで強行突破しない限り侵入を許す事はなくなったが、総攻撃をかけられたらひとたまりもない。
パソコンを見る隊長達に冷や汗が流れる中、リーダーは落ち付けと言う。
「もちっとクールになれよ、クールに  高い理想も志もケッコーだけどさ
 熱くご立派な事語ってるばかりじゃ本土解放なんざ、夢のまた夢よん
 遅かれ早かれ米軍が出張ってくるのは予測済だろ? ま、確かに予想よりえらく早かったけどさ」
「し しかし、あいつらが例の… 広域BM対策用システムというのを装備してたら…!」
焦る団長を小馬鹿にしつつなだめるリーダー。
95あらすじネクタール 2/4:2011/03/20(日) 22:00:46.24 ID:C/PW0S6H
「おいおい、そのシステムってのは手荷物ですかぁ?
 リュックに入れて持ち運べるよーなモンなのぉ?
 どー考えたってそれなりにバカでけぇもんだろ?
 この物資解析データん中のどこにそんなモン入ってんのよ?
 どれだけ数がいよーが、あいつらは所詮“ただの軍隊”
 こっちに生体BMって切り札(カード)がある限り、手出しはできないさ」

――そのやり取りを見ている銀次達ことコンキエスト兵一同。
雲行きが怪しくなり、リーダー達のバカさ・ヤバさにあちこちでヒソヒソ話が起きる。
「で でもよ、こっちには生体BMがあるんだ! こいつらがある限り何があったって…」
「生体BMを使わなきゃならなくなったら、あたし達の負けでしょ?」
強がる兵士に冷静な判断を下すミハル。

《コンキエストの闘士諸君!御静聴願いたい!
 私は米海軍極東方面司令 クラクスター・ダグラスだ!!
 諸君らの無謀ともいえる勇気と自己犠牲の精神には敬意を表する!
 しかし現実における犠牲は避けるべきだろう! ここらでゲームは終わりにしないか?》

突如入ってきた米軍の無線に戸惑うコンキエスト達。
通信を遮断できるが、リーダーはあえてそのまま通信を聞く事にする。

《真の勇気ある者はただちに武器を捨て、わが軍に… そう、名誉ある投降をしてもらいたい!
 無論、投降者の待遇については国際条約に則り最大限その人権を保証する事を約束しよう!
 ただし… 不幸にしてそれが叶わぬ場合、我が方には――――
  限 定 戦 術 核 を使用する用意がある》

――“ 核 兵 器 ”との単語に、さすがのリーダー達も顔色を変える。
もちろん、そんな話を聞いていないシンゴもまた青くなりダグラスを止めようとする。
『バ… バカな、司令…!!』
96あらすじネクタール 3/4:2011/03/20(日) 22:02:12.66 ID:C/PW0S6H
《当然、核の使用に関しては国際法上、また人道上 様々な制約がある事は承知している
 ――が、BM産出国としての日本の国際社会における重要性を考慮した場合
 それらは全てクリアーできるものと我々は考えている これは“高千穂政府代表”も了承済だ
 BMを道連れに焼き尽くされる道を選ぶか、諸君らの良識ある判断に期待したい》


 ―生鮮BM輸出用ベース内部―
緊張の空気が走る中――――… 「ミハル………      限定戦術核……って、ナニ?」

…ただ一人、事態を把握していない銀次に頭を痛めるミハル。
とりあえず読者はどんな物か理解しているし、こっちも頭痛がしてきたので画像だけ貼っておこう。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110320214542.jpg

核を使われたら、BMすらも意味がない。ますます困惑するコンキエスト達。
団長は必死で隊員達をなだめるが、もはや動揺は広がるだけだった。
やむを得ずリーダーの判断を窺おうとすると……
「ブ… ブラフに… ハッタリに決まってんだろ…
 建前だけでも、日本に核は無い事になってんだ、そんな簡単に使えるはずないだろ…?
 だ…第一、あいつらだってあんな近くで包囲してんだ 自分らも巻き添えくっちまう…
 交渉じゃなく、一方的な通告にしてきたのが何よりの証拠さ
 あいつら、オレ達を動揺させて自滅させようって魂胆なんだ
 こ こんなハッタリでブルってどうするよ! このオレらがよ!!」

『聞いたか皆!リーダーがおっしゃる通りだ!!
 我々の理想の前に恐れる物など何もない!最後まで戦い続けるんだ!
 怯えるな!勝利は目前だ! 勝つのは我々なんだ!!』

リーダーの強がりを聞いた団長は、引きつったような笑みを浮かべつつ仲間を激励する。
「そ そうだよ、殺せるわきゃねーんだよ」
「ボ ボクらのパパは高千穂の実力者なんだもんね」
しかし、隊員達はすぐには士気は上がらず、リーダーの残り2人も強がるのみであった。
97あらすじネクタール 4/4:2011/03/20(日) 22:02:54.69 ID:C/PW0S6H
「バ… バッカじゃねぇの… 本気で言ってんのかよぉ、あんたらそんな事ォ…
 こんな話じゃなかっただろぉ、楽勝だって言ーから…
 これで何もかもうまくいくって言ーから来たんじゃないかよぉ…
 よく見ろよ、もう終わってんじゃん 勝ち目ねぇじゃん
 そんな事もわかんねぇのかよ、このミリタリーオタクがよぉ…」

――ただ一人、泣き言を言ったのはハッカーだった。
「隊長ォ こんな奴らの言う事聞く事ないんすよ、やり直しましょうよぉ…
 ボクら元々ただの市民団体じゃないですかぁ! ね、昔みたいに地道に世論に訴えて……」

「唾棄すべし、その怯儒(きょうだ)」

意外にも、そう切り捨てると隊長はハッカーを射殺してしまった!
まさかの事態に一同、茫然とする中、リーダーを呼ぶ団長。
「私はあなた方を誤解していた、自分が恥ずかしい
 あなた方こそ真の指導者、どこまでもついて行きます!!」
顔中返り血にまみれた団長は、理性を失った不気味な笑みを浮かべていた…。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110320214619.jpg

その頃、テント内ではダグラス葉巻を吹かしつつはシンゴに怒りの罵声を浴びせられていた。
『何を考えているんだ!! 彼らには実際にBMを放つような行動力は無い!
 時間をかけて交渉すれば、いずれ内部から崩壊していくはずだった!!』
「しかし、中には… 少数とはいえ、危険なまでに狂信的な活動家もいる…」(ク)
「だからこそ、彼らを刺激しない事が重要なんだ! それを……!!」

「平和ボケ…と言うんですかな…
 あなた方日本人は“力”の与える恐怖と圧力(プレッシャー)を理解していない
 現実に核など使い得るはずはない…
 頭で理解していても、いざ目の前に圧倒的な力を突き付けられ、生命の危険を感じた時…
 理想もモラルも友愛も、何一つ人を繋ぎ止められはしない
 あとはただ見ていればいいのですよ、彼らが…速やかに自滅してく様を…」
ダグラスの言葉通りに、コンキエスト内部では何かが確実に変わっていた。    <続く>
98マロン名無しさん:2011/03/21(月) 11:13:43.80 ID:???
たたた隊長ーーーーー!?
どうしちゃたの
もうヤバいにおいがぷんぷんします
99マロン名無しさん:2011/03/21(月) 11:34:40.99 ID:???
ある意味予想通りだな。最初から目がアブなかったものコイツ。
ここからは間違いに気付いたミハルたちの脱出行になりそうだ。
100マロン名無しさん:2011/03/21(月) 13:12:31.88 ID:???
やべーよ隊長…隊長暴走しちゃったよ…!
あの3バカリーダーでさえ怯え腰になっちゃってるし!
101マロン名無しさん:2011/03/21(月) 21:53:24.18 ID:???
怯儒って何?
調べても全然関係なさそうなのばかり出てくる
102マロン名無しさん:2011/03/21(月) 22:56:51.74 ID:???
何が引き金になったんだろ。
強がりにしか見えないが前向きで素晴らしいと思ったのか。
103マロン名無しさん:2011/03/22(火) 12:41:28.23 ID:???
リーダーは素晴らしい人のはずだっていう思いこみを
自分で強化暗示かけたような感じなのかね
だってリーダー達がただの3バカだって認めちゃったら
この人自我崩壊しそうだもん……
104マロン名無しさん:2011/03/22(火) 12:43:43.53 ID:???
>>101
きょう‐だ【怯懦】
[名・形動]臆病で気が弱いこと。いくじのないこと。また、そのさま。
「己の―を恥じる」「―な性格」

漢字が違うんだと思う
「だ」はにんべんじゃない
105マロン名無しさん:2011/03/22(火) 19:25:37.72 ID:???
d、つまり「意気地なしは死ね」ということか。
漢字が違ったのか・・・どうりで調べても出ないはずだ。あらすじさん、しっかりしてくれよ
106あらすじネクタール 1/4:2011/03/22(火) 22:00:01.54 ID:OKDwsU/J
 Vol,78 〜野心〜


ダグラスの前に集まる5人の兵士。
「――――で、秩序ある海軍将校諸君がお揃いで何の用かな? 上官たるこの私に」
「失礼はお許し下さい、司令 ですが…」
「今回の作戦の意義を我々が理解できねば、部下に命令に従うよう納得させる事もままなりません」
「なぜ我々は本国への報告も無く動かねばならなかったのか
 また、日本政府への打診もなく これほどの大戦力を投入する必要が果たしてあったのか?」
集まった兵士…将校達はダグラスの独断に納得できない者達だった。
「作戦の意気――――か… 君達に“それ”が理解できておらんとはな 見たまえ」
おもむろに椅子から立ち上がり、将校達の間を歩み抜けると、テントの入口を思い切り開ける。

「アレキサンダー…チンギス・ハーン…ナポレオン…ヒトラー…
 過去、誰一人として成しえなかった世界制覇の夢…
 生体BM輸出用ベース… あそこにはその夢を現実にする力がある」

ダグラスの思惑を理解していたクローシュも言葉を続ける。
「生体BMは諸刃の剣… その天使と悪魔という両面性において、核をも凌駕する存在です
 資源として完璧にコントロールし得るのならば、BMは無限の恵みと莫大な富をもたらし
 神々として人類の頭上に君臨する力を与えてくれる
 ――しかし一たびコントロールを失えば、たちまち一刻を滅ぼし
 際限のない破壊と災厄をもたらす悪魔の軍勢と化す  そうですね、ムッシュ東条?」
「その通りだ、だからこそ彼らもあそこを押さえた
 現在、世界で唯一人類に管理された生体BMを入手し得る場所…全世界の食物連鎖のアキレス腱…」
「人類の存亡がかかったこの危急の事態に、本国の指示やら国連の承認…
 ましてや優柔不断な日本政府の決断など、待ってはおられまい
 国際社会は誰も我々の行動を非難できない」(ダ)
「ひ… 非難? そ それはどういう…」
事態が飲み込めない将校に対し、ダグラスは――――
107あらすじネクタール 2/4:2011/03/22(火) 22:00:47.16 ID:OKDwsU/J
「弱体な日本政府が安全に管理し得ないならば、我々が代わってBMを管理する
 ――――すなわち、明日からは我々が新たなる神となる!」

邪悪な笑みを浮かべるダグラス。彼の真の狙いはこれだったのだ!
『バ…バカな! あなた方にBMの管理などできはしない!! BMの… 何一つ分かっていないんだ!!』
掴みかかろうとするシンゴだったが、米兵に取り押さえられる。

「いかにも… 私達はBMについては全くのド素人です
 だから必要なんですよ、BM管理の高度なノウハウを持った、“従順な”協力者がね」

取り押さえられたシンゴをクローシュもまた、邪悪な笑みを浮かべながら顔を近づけた。
ダグラスの真の狙いを知った将校達は気は確かかと詰め寄る。
「お気は… 確かですか、司令…? 我々は誇り高きUS海兵隊(ネイビー)です
 あなたのおっしゃっている事は、同盟国の主権を脅かし合衆国への裏切りをも意味している
 服従はしかねます」

「では聞くがね、中佐 この極東の最果てで食料と引き換えに東洋人共のケツを舐め
 番犬として生きるのが海兵隊の誇りかね?
 軍規に忠実に… 祖国に忠誠をつくし、退役した君達を待っているのは
 ささやかな軍人恩給と年金暮らし…
 そしてテキサスの片田舎で武勇伝をせがむ孫相手に君達はこう言うんだ
 『おじいちゃんはお前達にBMを食べさせる為に、昔…日本人に跪いていたんだよ』と…」

ダグラスの眼光と威圧に何も言えなくなる将校達。
『見たまえ、あの高千穂シティを!! 
 軍人とは本来闘って勝ち取る事こそ本分ではなかったか!!
 かつてのブルネイをも遥かに凌ぐ富と栄華がそこにあるのだ!!
 ――私に賛同し得ぬ者は本国へ帰還するがいい、引き留めはしない」
その言葉に将校達は茫然と立ち尽くし、クローシュもまた不敵に微笑んでいた。
108あらすじネクタール 3/4:2011/03/22(火) 22:01:29.26 ID:OKDwsU/J
 ―生鮮BM輸出ベース―
団長は時計を見ると、かれこれ12時間経っていた。
「与えてやった時間の半分が過ぎましたね、リーダー…」
「あ…ああ そうだね」
団長の変貌ぶりに、さしものリーダー達もおとなしくなっていた。

「12時間を経過しても、米軍に核を使用する気配は無い
 やはりおっしゃってた通りでしたねリーダー そう…おっしゃる通り、焦る事などない…
 高千穂の連中さえ失脚させてしまえば…
 本土のBM駆除など、その後でゆっくりやればいいんですよねぇ…」

「う うん そうだよね…」
――もはや理性を失った隊長を止められる者はなく、狂気の笑みを浮かべていた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110322214834.jpg
そんな隊長を見て怯え気味になっていたリーダーはおずおずと問いかける。
「あ… あの…さ…隊長さん あの…ホラ、あっちにも色々都合ってモンがあるじゃない?
 た 例えば、だからもし24時間でオレ達の言うとおり出来なかった場合にさ…
 そ その ま、向こうの出方次第じゃさ…いきなり爆破ってのも、どーかなーみたいな感じも…」
リーダーの気弱発言を聞いた団長は思い切り眉をしかめる。
やむを得ず、残った2人も派手に爆破しようと言葉だけでも同意した。
「何言ってんだよバカヤロ、相手はマトモじゃねぇんだぞ…」
「ナニしでかすかわからないんだからね…」
小声で同意したお互いを責め合う二人。

「押していただけますねリーダー あと12時間後には、そのスイッチ…
 溢れだすBMの恐怖と苦痛は本土の同胞達の苦しみ…
 逃げてはいけない… 私達が本来分かち合うべき苦しみなのです」

狂気に走った隊長を見るコンキエスト達。もはや副長以外、誰も隊長の味方はいなかった。
109あらすじネクタール 4/4:2011/03/22(火) 22:02:10.99 ID:OKDwsU/J
やや離れた場所で話し合うコンキエスト達。
「ど… どう思う…? 24時間以内に要求が通る見込みは100%ねぇと思うぜ」
「あのリーダー見て、まともに相手しようって気にはならねぇもんな」
「でも…高千穂は、隊長がイッちゃってるのを知らない…
 このままじゃ、あと10時間で間違いなく隊長はチェンバーを爆破するわ…」
――ミハルの言葉にふとチェンバーを見ると、ガラス越しにBMの巨大な口が見える。
それはまるでミハル達に喰いつけるのを、今か今かと待ち焦がれる様にも見えた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110322214851.jpg
もちろん、コンキエスト達の多くにとって、そんなのは理想ではない。
『冗談じゃねぇ!! こんな所でただBMのエサになってたまるかよ!! 犬死にはゴメンだぜ!!』

「“犬死に”なんかじゃないわ… 南を道連れにする“心中”よ…」

慌てた連中は爆弾を外そうとするが、それもムリだった。
剥がしたり起爆装置を切ろうとすれば、即爆発するようにセットしてあるのだ!
『パ パスワード解いて、プログラム解除しない限り…!』
――そのパスワードを知るハッカーも、もうこの世にはいない…。



 ―米軍キャンプ―
「そろそろ… あちらにも動きが出始める頃ですよ、司令…」 不敵に笑うクローシュ。

その一方で、ミハル達もまたやるしかないと決断をしていた。              <続く>
110マロン名無しさん:2011/03/23(水) 13:09:56.86 ID:???
こりゃあもう展開的にまたBMの大群があふれるのは間違いないな
ぞわぞわの覚悟決めとくわ
111マロン名無しさん:2011/03/23(水) 20:26:41.64 ID:???
>それはまるでミハル達に喰いつけるのを、今か今かと待ち焦がれる様にも見えた。
この辺、今回あらすじさんの書き方がうまいと思ったわ。
画像を見ると確かにそう見えてぞっとする…
112マロン名無しさん:2011/03/23(水) 20:31:29.10 ID:???
こっちを見て笑ってるように見えるな。BMのデザインを活かした良い構図だ。
113マロン名無しさん:2011/03/23(水) 21:26:16.33 ID:???
おー確かに!
こっちを見てにやにやしているようにしか見えなくなった
これは嫌だwww
114マロン名無しさん:2011/03/23(水) 21:48:26.77 ID:???
確かにここで背中向けてもな。
口を見せているから余計に想像力をかきたてる。
115あらすじネクタール 1/4:2011/03/24(木) 22:00:03.53 ID:lh+nDXEh
 Vol,79 〜BAD COMMINICATION〜
扉絵:ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110324215508.jpg


「用意は…いいな?」
隊長の暴走を止めるべく、コンキエスト兵士達は戦闘準備をする。
「隊長らとは古い付き合いなんだよ… こんな終わり方したくはなかったけどな…」
「しょーがねぇよ、こーなっちまっちゃ…」
「それに何も隊長達を殺そうってワケじゃねぇんだし…」
「これだけの人数に銃突き付けられりゃ、いくらあの人達だってオレらの言う事聞くしかねーだろ…
 手段と目的が… いつの間にか入れ違わっちまったんだ…
 オレ達の方も手段をえらんじゃいられねぇ…》
――――いつの間にかセットした盗聴器で、彼らの会話は隊長に筒抜けだった。
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やがて兵士達は隊長に歩み寄って行く。
「隊長… は 話があるんだ… オレ達、もうあんたらとは…」

「話…?  ――――話なら、もう聞かせてもらった」

振り向きざまに二丁マシンガンで兵士達を銃殺してしまう隊長!
本当に元味方を撃った事により、残りの兵士達・銀次達もパニックを起こし逃げ出してしまう。
『イカれてる! マジでイカれてるよアイツ!! 逃げろォ!!』
リーダー達は一応味方を殺してしまった団長と女副長を責めるが……

「味方とは我らと共に理想の道を歩む者… 我々の理想に背を向けるような裏切り者は必要ない!」

団長は悪魔的な笑みを浮かべ切って捨ててしまった。もはや誰にも止められない…
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リーダーの2人が茫然とする中、もう1人のリーダーが『その通り!』と叫ぶ。
「勝利を目前にして、オレらの理想を裏切るなんて言語道断! 絶対許されない行為だね!」
116あらすじネクタール 2/4:2011/03/24(木) 22:00:46.25 ID:lh+nDXEh
「な… ナニ言っちゃってんだよ、オイ…」
「隊長! あの裏切り者共を1人残らず処罰しろ! 我々の理想の名の下に!」
『はっ! お任せ下さいリーダー!!』
そう叫ぶと、隊長・副長2人は兵士達を掃討すべく走り去った。


隊長達が見えなくなると、処罰命令を出したリーダーは踵を返す。
「おい、逃げよ ズラかるぞ!」
「…へ?」
「ったく、シラけちまったよ これ以上つきあってられっか、あんな連中に
 何やってんだよ、早く乗れよ」
『お… おう!』
狂った隊長に見切りをつけ、リーダー共は車に乗り込んだ。


一方、BM入りチェンバーの陰に身を隠している兵士達。そして隊長が入口に姿を現した。
「楽しいね… BMの森でかくれんぼ…か…」
「ち… こ…このサイコ野郎が…」
「でも困ったね… ここではお互い銃は使えない… さあ、出ておいで 鬼さんは今丸腰だよ!」
隊長は銃を捨て、兵士達が襲ってくるのを待ち構えた。
すると兵士の1人がナイフを持って背後から襲ってきたが、隊長は彼の顔を掴み床に叩きつけた!

「私を口先だけの書斎派インテリとでも思ったか?」

兵士は頭を割られ、返り血を浴びた隊長の顔はますます不気味に歪む。
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「世界は… 汚れと過ちに満ちている…」
ならばと今度は左右から挟み撃ちにする兵士だったが、やはり瞬殺されてしまった。

「こんな世界で理想と正義を貫き通すには力が必要だ…
 力なき理想… 弱き正義など何の意味も無い… 私は強いよ…ものすごく…」
117あらすじネクタール 3/4:2011/03/24(木) 22:01:27.89 ID:lh+nDXEh
兵士を瞬殺した隊長はゆっくりと進み、銀次とミハルが隠れているチャンバーの前で足を止めた。
――同時刻、老副長は兵士達と銃撃戦を繰り広げ、女副長の方はワイヤーで兵士を絞殺していた。



銀次とミハルは隊長から逃げていた。しかし、隊長は追いかけはするが決して走らなかった。
じわじわと、ゆっくり、しかし確実に2人を追い詰めていく…
「銀次…ミハル… お前達には失望した…
 私はお前達を本当の子供の様に思っていた… お前達2人は他の子供の誰より優秀だった
 次代のコンキエストを委ねられるのはお前達だけだと思っていたんだ…」
――今回の扉絵が全てを物語っていた。それだけ隊長は2人を信頼し、愛していたのだ。
その内、2人は扉の前に追い詰められる。いくら叩いても叫んでも、扉は決して開く事は無かった。

「楽には死なせん… これからお前達に与える苦痛は全て… 唾を吐きかけられた私の愛情だ!」

ついに追い詰められた銀次とミハル。2人にゆっくりと狂気の隊長が迫ってゆく。
118あらすじネクタール 4/4:2011/03/24(木) 22:02:10.98 ID:lh+nDXEh
その頃、リーダー達が乗った車は施設出入口のシャッターの前まで来ていた。
「この扉をくぐれば外… さっさとオサラバしようよ、こんなトコ…」
「ったく、ムナクソ悪ィゲームだったぜ…」
「お〜〜いおい そのムナクソ悪いのをそのまんまにしといていーの?
 いくらボクらだってこれだけの事やっちゃったんだ、ただじゃすまないだろ
 ひょっとしたらパパに怒られるかもしれないし… サイアク、ケーム所行きもアリかも…」
口をひょっとこ風にとがらせつつ当たり前の事を言うリーダー。
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『け…刑務所ォ!? や やだよ、たったこれっぽっちの事で…!』
『オ オレの人生傷つけられてたまるかよ!!』
「だろ? そもそもボクらが金出してセッティングしたゲームなんだぜ?
 ムカつくと思わない?ボクら全然おいしくないじゃん
 こ〜〜〜〜んなつまんねークソゲーさ… チャラにしちゃわないと…ね…」
「チャラ?」「で… できんの?そんなコト…」

「ボクらに… 敗北(ゲームオーバー)は無いんだよ こいつは… リセットボタンさ…」

――リーダーは邪悪な笑みを浮かべながら、爆弾のスイッチを手に取った。     <続く>
119マロン名無しさん:2011/03/24(木) 22:17:05.47 ID:???
扉絵と作中での隊長の変貌っぷりがすげぇ…
どんどん狂気に走っていくし、隊長怖ぇよ!!

それに対し3バカは無責任にも逃げようとするし…
高確率でBMに食われるだろうけど、食われるだけじゃあきたりん。
120マロン名無しさん:2011/03/25(金) 12:35:43.53 ID:???
副長達まで……!

3バカの認識があまりにも幼稚すぎて笑えてくるな
爆破したはいいが、扉が開かなくてBMに食われるか
脱出したはいいが、米軍に阻まれてハチの巣になるか
121マロン名無しさん:2011/03/26(土) 14:11:32.77 ID:???
隊長、ひ弱なイメージがあったけど格闘技とか使えたんだな。あなどれねぇ…
122マロン名無しさん:2011/03/26(土) 14:17:41.05 ID:???
3バカのリーダー
なんか好きだ
123あらすじネクタール 1/4:2011/03/26(土) 22:00:03.72 ID:2j7COn2T
 Vol,80 〜パンドラ〜


「これからお前達に与える苦痛は全て… 唾を吐きかけられた私の愛情だ」
血にまみれた両手を広げ、返り血だらけの顔で不気味に微笑みつつゆっくりと2人に近づく隊長。
「ミハル… オ オレがつっかかるから、スキを見てなんとか擦り抜けろ」
「あんた一人で何とかなるワケないでしょ あたしも一緒に行く」
「2人がかりなら勝てるってモンじゃねぇだろ! 2人とも殺されっぞ! それでも…」

「やだ!    ――小さい時から、ずっと一緒だったじゃん」
「…バーカ   今だって…小さぇだろ…」

隊長が至近距離まで迫った時―――― チャンバーが次々と爆発を起こした!
爆発音に振り返る隊長、周囲を見渡すコンキエスト兵士達。
そして周囲の床にBMがバラ巻かれてしまった!



 ―施設入口―
『ヒャーハハハハ!ザマみやがれ!! お望み通りブッ飛ばしてあげたよーん!』
「で…でもさ、大丈夫なの こんなコトして…」
「ビ… BMが溢れ出しちまったら…」
「全〜然問題無し!外壁が破れるワケじゃないんだし、この中がBMで一杯になるだけさ
 そして今回のゲーム参加者達を全員食い殺してくれる… ボクらの事も…ね」

同時刻、隊長は銀次達への攻撃をやめうわ言のように呟きながら元来た道を引き返していた。
「そんな… まさか…そんな… なぜです…リーダー… なぜ今…勝利を目前にして… なぜ…?」
茫然としている隊長の両脇を擦り抜け、銀次達は危機を脱したのだった。
124あらすじネクタール 2/4:2011/03/26(土) 22:00:44.99 ID:2j7COn2T
 ―再び施設入口―
爆破したリーダーの魂胆は、自分達もここで食い殺された事にしてトンズラしようというのだ。
「そんでボクらはカリブででものんびりバカンス、ほとぼりが覚めた頃に戻ってくりゃいい
 実は双子の兄弟がいたとかなんとか言ってさ、その辺はパパがどーにでもしてくれるさ」
『さ さっすがァ あったまイイ〜〜〜〜!!』 『すげー! 完璧じゃん!』
リーダーの名案…というか迷案に感極まる仲間達。
「ま、トーゼンね この位 わかったらさっさと出発するよン 扉開けて」
………しかし、ヲタリーダーには扉は開けられなかった。

「だ だってホラ コンピューターシステムジャックした時に、
 暗証番号もパスワードも全部変えちゃったじゃん?
 だ、だからボクその後の事聞ーてないから開けられないって…」

『バ……  バ ッ カ ヤ ロ ォ !! なんでそれ早く言わねぇんだよデブ!』
『だ だってそんな事当然わかってると思うじゃんフツー!』
『ちょっと待てよオイ! どーゆー事だよ、オレ達出られねーのかよ!!』
無思慮なリーダーのせいで取っ組み合いのケンカに発展するバカ3人!
ヒートアップする口論のさなか、突如ボシュッと大きな音がして我に返る。
3人が振り返ると、車のタイヤが破裂した音だった。そして車の下からはザワザワと無数の足音…
BMが接近している事に気付き、3人はケンカをやめ必死で扉を叩く。
『こ このブタてめぇが1人喰われりゃいいんだよ!!』
『なんだよぉ!オタクの方がデカイじゃんかよぉ!!』
――そしてついに彼らの足にBMが喰らいつき、無思慮・無慈悲・無能のバカ3人は喰われていった。
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125あらすじネクタール 3/3:2011/03/26(土) 22:01:26.49 ID:2j7COn2T
一方、一か所に集められた職員、コンキエスト兵士達もあの音の正体にうすうす気づき始めた。
騒ぎだす兵士の額に、ポツリと水が一滴落ちる。
見上げると―――― 大きな口を開けて降ってくるBM! やがて職員達はBMの雨に晒された。
BM襲撃はあちこちで混乱を生みだしていた。
副長との銃撃戦の中、こんな事している場合じゃないと叫ぶ兵士、背後から噛みつかれる副長。


そして…… 隊長は爆破されたチャンバーを見て、茫然とたたずんでいた。
ちょうどそこに怪我をした女副長もやってきて、隊長を呼ぶが彼女もまたBMに食われてしまう。
完全に気が狂った隊長は、次第に声高らかに笑い出した…。
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「ハハ… 終わりだ… ヒャハハハハハハハハ!!!
 おしまいだ!我々の理想も、高千穂も!! ヒャアッハハハハハハハ!!!』        <続く>
126マロン名無しさん:2011/03/26(土) 23:17:49.84 ID:???
三バカの言う通りBMが建物内に溢れるだけで食い止めるには
米軍の突入なんて厳禁な訳だ…
説得しようにもクローシュのが口が回りそうだな
127マロン名無しさん:2011/03/26(土) 23:39:30.04 ID:???
野郎はどうでもいいんだが、女副長が食われたのは辛い…orz
128マロン名無しさん:2011/03/27(日) 23:06:48.41 ID:???
>実は双子の兄弟がいたとかなんとか
考えが幼稚すぎてワラタwwww
129マロン名無しさん:2011/03/28(月) 13:08:08.20 ID:???
バカ3人の顔のせいもあってこいつらが喰われるシーンが
ギャグにしか見えないw
BMの群れくるかくるかと思っていたがまだだな
このくらい大きめなら全然耐えられる
130マロン名無しさん:2011/03/28(月) 13:31:27.30 ID:???
ごめん
このくらい大きめ、って何が?
131マロン名無しさん:2011/03/28(月) 15:20:21.53 ID:???
香ノ宮のおっp…ゲフンゲフン、多分BMの密集っぷりの事だろう
132マロン名無しさん:2011/03/28(月) 17:02:41.72 ID:???
>>130
ちっこいBMがびっしりだったら
ぞわぞわぎゃあああああってなるけど、
今回の画像ぐらいに、BM一匹一匹が適度な大きさだったら
まだまだ耐えられるってこと
133マロン名無しさん:2011/03/28(月) 17:07:12.21 ID:???
なんだ、ぞわぞわさんだったのか

そういや香ノ宮どうなったんだ
134マロン名無しさん:2011/03/28(月) 18:48:38.62 ID:???
九州がBMだらけになるのは防げそうだ。
あとは銀次とミハルがどうなるかだな・・・。
135あらすじネクタール 1/3:2011/03/28(月) 21:59:57.78 ID:bY5OqTVO
 Vol,81 〜八方ふさがり〜


 ―米軍司令キャンプ―
「いつだ?」
「15分程前です、BMベース内で微弱な振動を感知しました、連続して数十回
 小規模な爆発によるものと思われます」
連中が指示した時間までまだ6時間もあるのに、これは一体どういう事なのか困惑するダグラス。
内部の状況を確認しようにも、向こうから回線を開いてくれなければどうにもならなかった。
やむを得ず、ベースの周囲にいる班に連絡を取って見るが、どの入口も開く気配はないようだ。
《全て完全封鎖されたままです、BMが外部に流出する要素はありません》
「ど… どういうつもりだ、一体…?」

…ただ一人、状況を理解したクローシュ。
「集団自殺(スーサイズ)… カルト教団や激越な思想団体にはよくある末路ですがね…」
「他人事のように言ってくれるな、クローシュ君 キミの筋書きにはこんな展開は無かった
 それとも何か? これも君の思惑のうちだと言うのかね?」
「まだ何も終わった訳ではないでしょう、司令?
 あの三流レジスタンスどもを始末するのが少し早まっただけですよ
 後はゆっくりBM達を私達のコントロール下に置けばいい… 状況は少しも悪くなってませんよ」
「そうでなくては困る 祖国に背を向けた我々はもう、後戻りはできんのだからな…」


その頃、銀次とミハルは施設の中を当てもなく逃げていた。
当てもなく人の手を引っ張って逃げ出した事にミハル激怒!つられて銀次も激怒!
…などとケンカしてる場合ではない!とにかく少しでも早くチェンバーから遠くへ逃げないと!
『だからって闇雲に走りまわって余計危ないトコ迷い込んじゃったらどーすんのよ!!』
『カワイクねーな!お前はいつもそーゆートコ!』
『あんたにカワイイなんて言われると鳥肌立つっての!!』
「さっきは一瞬・・・・」
そう言いかけた瞬間、2人の頭に滴がポタリと落ちる。見上げるとすでにBMの群れがいた!!
再び走り出す銀次達、追うBMの群れ。
136あらすじネクタール 2/3:2011/03/28(月) 22:00:39.45 ID:bY5OqTVO
しばらく逃げていると、ミハルは『非常用冷却装置』のボタンを見つける。
説明を読むと、液体窒素を振りまいてBMを凍らせる…との事。
しかし、今の状態では押したら2人まで確実に凍ってしまう…。
「じゃ、銀次は逃げて!あたし押すわ!」
BMの大軍はもうそこまで来ていた。
「ちっ、しゃーねーよなー やっぱこいつら野放しにはしとけねー
 アクリル割んの、ミハルじゃ突き指するって」
銀次はミハルを抱き寄せ、渾身の力でアクリルカバーを割りボタンを押した!

『くらえ、このダンゴ虫!!』

・・・・・・・・・が、何の反応も無い。何度ボタンを押しても反応が無い。
もうダメか! 迫りくるBMの大軍に2人はしっかり抱き合い、覚悟を決めた瞬間――――
離れた所の工業機械が大きな駆動音を立てて動き出し、BMはそちらへと向かっていく。
2人は気付かなかったが、操作盤にぶつかったのか、いつの間にか機械のスイッチを入れてた様だ。
とりあえず2人はこれ幸いと、気配を殺し、忍び足でBMの群れから離れるのだった。


そして2人は管制室へ行き外部へコンタクトを取ろうとするが、電話も無線もつながらない。
「外と連絡をつけることさえできないなんて…」
「外…ったって、米軍に連絡してオレ達を助けてくれるとは思えねーけどな…」
「あたし達の事はこの際どーでもいーのよ、とにかくここがこんなになってる事知らせなきゃ…
 何も知らずに攻撃仕掛けられて、穴でも開けられちゃったらBMが外へあふれ出ちゃう…」

『動くな! 手 手を前に頭の後ろで組……』

突如乱入するコンキエスト反乱軍!(&警備員)しかし、お互いの顔を見て胸をなでおろした。
銀次達は今の状況を伝え、液体窒素も電話も使用不能だと言う。
とはいえ、説明されても訳が分からず戸惑う反乱兵士を茶化す警備員。
「バッカじゃねーのか、お前ら 自分でやった事だろーが」
「こ… こら、誰が手をほどいていいって…!」
137あらすじネクタール 3/3:2011/03/28(月) 22:09:45.50 ID:bY5OqTVO
「今さら何言ってんだ、ボ〜〜〜ケ
 この期に及んで敵だの味方だの言ってる場合かよ おめーら状況分かってんのか?
 多分お前らがここのシステムを乗っ取った時点で
 いくつかのセクションを勝手に動かせなくしちまった 恐らく通信とセキュリティセクションだ
 つまりもう一度システムを回復しない限り、外部と連絡はつけられねぇ
 冷却装置を作動させて、BMどもと刺し違える事もできねぇ…
 そして当然扉(ゲート)も開かねぇ、オレ達はここから決して出られねぇんだ…」

その頃、BMの群れは銀次達を嘲笑うかの様に、自分の動きを止める非常スイッチに群がっていた。
                                       <続く>
138マロン名無しさん:2011/03/29(火) 10:01:28.45 ID:???
今のところBMも人も外に出られないってことか
外部がどんな判断をくだすか、だな……
139マロン名無しさん:2011/03/29(火) 20:25:21.94 ID:???
普通に考えればBMが飢え死にするまで放置だな
140マロン名無しさん:2011/03/30(水) 09:58:08.82 ID:???
時間おいたら地下とかいろいろ出るところありそうだし、
今のうちに爆弾とかナパームで焼き尽くせば
141あらすじネクタール 1/4:2011/03/30(水) 20:33:11.02 ID:HyxSPgbv
 Vol,82 〜いい度胸だ〜


細身の警備員は施設の地図を見せる。
「これがこのベースの概略図だ ここんとこがお前らが調子コイていた集荷用スペース…
 そんでそっから奥へズ〜〜〜〜ッと続いてるのが、チェンバー保管エリアだ
 常時ざっと800本のチェンバーが保管されてるが、
 お前らの話だと爆破されたのは入口近くの50本、BM共はここを中心に広がってくるってワケだ」
その際、ミハルが現在地を尋ねると、ここは左翼の中程の地上3階の第18管制室だそうだ。
とはいえ、ここがどこだとか何番だとか、部屋の名前とかはどうでもいい!
反乱軍達はBMが来るのかどうかと騒ぎ始める。
「そいつぁBMの数次第だな、チェンバーには1本に約30〜50匹の生体BMが収容されている
 それが50本てコトで、ま 2000体前後のBMが野放しになったってとこだろ」
「に… 2000も…かよ…」 総数を聞いて絶望視する反乱軍達。

「まぁ、こんだけのデカさの施設だ
 2000ったってそれだけなら拡散の程度も密度もたいしたこたぁねぇ… が、捕虜はどこだ?」
するとミハルは捕虜は全員地下の集荷用スペースに居た事を教える。
「――確実に…全滅だな…
 深夜だったとはいっても、職員・作業員・警備員全部あわせりゃ300人は優にいる
 それを全部喰って奴らが分裂してったとすると……」
「な… 何匹になるんだ?」
「てめぇらもちったぁ頭を使え 人間1人の平均体重が70kg、BMが1体約2〜3kgだ」
「単純計算で1人喰って23〜33匹… さ…300人だと…」
試算してみてますます青ざめる反乱軍達。

「9000 最初の2000体と合わせりゃ、
 1万体を超えるBMがエサを探してこの施設内を走り回ってるってコトだ
 ま、それもかなり甘い計算でな 分裂直後のBMはせいぜい1体数100グラムだ
 つまり数だけ言うなら、実際には最大3〜4万体に増殖している可能性がある…」
142あらすじネクタール 2/4:2011/03/30(水) 20:34:42.85 ID:HyxSPgbv
『さ 3〜4万…! 冗談じゃねぇぞ!! ここまでやってくるのも時間の問題じゃねーか!!』
パニクった反乱軍達は警備員に銃を突きつけ、何とかしろと叫ぶ。
「みっともねーなー なんともできるワケねーじゃん」
「その人達に何にもできなくしちゃったのはあたし達でしょ?」
『ンだとてめぇら…!!』
「それから―――― あんまりデカイ声出さない方がいいよ
 さっき見たけど、あいつら大きな音に集まってくるみたいだから」
そう言われると、反乱軍達は怒りを胸にただ黙るしかなかった。



その頃、BMは銀次達が偶然スイッチを入れた大型機械に群がっていた。
するとその1匹が配電盤をかじってしまい、電気が止まったので大型機械も止まってしまった。
――こうして再び、BMの群れはエサを探して施設内をさ迷い始めた…


同時刻、モニターで施設のコンピュータを乗っ取った端末を見ると、完全に喰い荒らされていた。
これでコンピューターへのアクセスは絶望となり、周囲に重い空気が漂う。
するとミハルはコンソールに座り、キーボードを叩きはじめる。
「こーなったら最後の手段… ここのコンピューターを一度完全にシステムダウンさせちゃうのよ
 その後再起動させれば、ベーシックな機能は最初の状態で復帰するはず!」
…しかし案の定、アクセスはブロックされていた。やっぱりダメか…
「まだダメと決まったワケじゃねぇぜ、お嬢ちゃん
 システムったって、所詮は機械 最後の最後にたどり着くのは… 人間の手だ
 わかるか? 最後は人間の手でとどめがさせるよーにできてんだよ
 どんだけ高度で複雑なプロテクトだろーと関係ねぇ
 直接コンピュータルームに乗り込めりゃ、手動で主幹電源切ってシステムダウンさせられる!」
警備員の言葉に勇気づけられるミハル達。それならいけるかも…!

「ただし、ま… それに際しちゃ問題が一つ…
 見ての通り、コンピュータルームはチェンバーエリアの地下12階…BMゾーンど真ん中の真下だ」
143あらすじネクタール 3/4:2011/03/30(水) 20:35:31.46 ID:HyxSPgbv
――ますます絶望視するミハル達。
反乱軍達は辿り着けなきゃ意味がない、慎重に行こうと弱気になるが警備員は構わず言葉を続ける。
「キミらはどーする? 坊ちゃん嬢ちゃん」
「行きます… ここにいたって、何にもならない」 「じゃ、決まりだ オレも行く」
『よ――――っしゃいい度胸だ!! 子供はやっぱそーでねーとな!!』
銀次達の勇気に警備員は思わず2人を抱きしめる…が、勝手に話を勧めるなと銃を突き付けられる。


――すると警備員は一瞬の内に兵士の懐に近づき、軽く頸動脈を押さえる。
「勘違いすんなよ、オレ達ゃ例え丸腰でもお前らみてーな素人、制圧するのなんざ朝飯前なんだよ
 人質もいなくなった今、別におめーらを生かしとく必要だってねーんだぜ
 立場わかってねーのは… どっちだ?」

殺気をみなぎらせる警備員に、反乱兵は青ざめる。
…結局、出発しようとすると全員一緒に行動する事になったのだった。
「いいの?」
「ああ    ――囮は多い方がBMに襲われた時、危険が分散するだろ?
 ところでおめーら名前何てんだ?」
共に行動する以上、名前は知っておかねばなるまい。銀次達は自己紹介する。
「オレは仙波、こいつは坂田ってんだ ヨロシクな」
ようやく名前が出た警備員。相棒の警備員はガタイはいいのだが無口なので仙波が代わりに挨拶。
…ちなみに反乱兵も名乗ろうとするが、こいつには聞いていないのでどうでもいい。モブだし。
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144あらすじネクタール 4/4:2011/03/30(水) 20:36:14.45 ID:HyxSPgbv
 ―米軍司令キャンプ―
将校達と共に作戦会議するダグラス。そしてその背後で会議を聞くクローシュとシンゴ。
「サ…司令… 何卒状況の御判断は慎重に…」
「私は充分に慎重なつもりだ、キミらの様に憶病でこそないがね…
 我々にもたらされた全ての情報は、ある一つの真実を物が立っている
 コンキエスト共は恐怖にかられ、自らパンドラの箱を開け 溢れだした絶望に飲まれ自滅し果てたのだ
 かくなる上はわが軍は箱の底に残った一つの希望となり、
 すみやかに工作部隊を派遣しBMの処理と事態の収拾にあたらねばなるまい」
「コンキエストが壊滅したのなら、なおさら急ぐ必要はないのでは…?」
「対BMであれば日照の強い白昼の方が安全であり、より効率的かと…」
ちなみにこの提案↑、クローシュも何度も言ったのだとシンゴに耳打ちする。
「いつまでも君の言葉に踊らされてばかりもおらんよ、クローシュ君
 成す術もなく取り囲み、ただ成り行きを見守っていただけ…
 無能な軍隊の烙印を押されるワケにはいかん
 彼らが指定してきたタイムリミットは24時間…
 その間に自らの手で制圧してこそ、初めて証明できるのだ
 我らこそ強者!! 真にBMを支配し神たりえる資格を持つ者也――――と!!
 …ではないですかな? 高千穂政府代表」

「それもいいだろう、もしあなた方が本当にBMを制圧できるものならば―――― ね…
 だが覚えておくといい、ぼくらは過去一度として神たりえた事などありはしない
 誰一人として、BMを支配出来た者などいないんだ」

冷ややかな視線でダグラスを睨むシンゴ。
――そして施設の中では、銀次達が作戦行動中だった。                 <続く>
145マロン名無しさん:2011/03/30(水) 22:10:39.62 ID:???
頼もしい大人が付いたな。
大佐が江戸っ子になった感じw
146マロン名無しさん:2011/03/31(木) 06:38:18.47 ID:???
>…ちなみに反乱兵も名乗ろうとするが、こいつには聞いていないのでどうでもいい。モブだし。
仙波もひどいがあらすじさんもひどいww
しかし仙波さんがえらく頼りになりそうだな。さすが警備員隊長。
147あらすじネクタール 1/3:2011/04/01(金) 22:00:00.28 ID:z4Ax/G7l
 Vol,83 〜人間の手〜


警備員達がまず最初に向かった所は武器庫だった。
護身用の為にと仙波は銀次達に火炎放射機を渡すが、銀次はマシンガンがあるから平気だと言う。
「マシンガンじゃ破壊はできてもBMは殺せねぇ
 銃弾5・6発ブチこまれたってあいつらはビクともしねぇ
 肉片1つ… いや、最後の細胞1個になっても生き続ける、それがBMだ
 アイツらから生き延びようと思ったら、火炎放射機(コイツ)は必需品だぜ」
BMの恐ろしさをよく知っている警備員の助言を聞き入れ、銀次達は素直に火炎放射機を受け取った。
…が、モブ達は火炎放射機をもらえなかった。
「ちょ、ちょっと待ってくれよおい だったら俺たちにもくれたって…」
『しょーがねーだろ! 待機所にゃ1部屋4台ずつしか置いてねーんだからよ!!
 欲しけりゃおめーら自分で別の待機所まで行って取ってきな!!』


とりあえず、準備が整った所で仙波は地図を叩きながら作戦を伝える。
「いっか、よく聞け
 アイツら横に広がるのはあっという間だが、上下に広がろーと思えばもうちっと時間かかる筈だ
 床の上をただ突っ走るのと違って、所々にある階段や通気口、排水管なんかを伝って
 垂直に昇り降りしなきゃいけねぇワケだからな …だったら何も余計な危険を冒すこたぁねぇ
 BMからできるだけ遠く… つまりここからできるだけ近くのエレベーターで地下12階まで下り
 そのままコンピュータルームへ向かう
 これでヤツらに出くわす可能性は相当少なくできるはずだ」
それを聞いてほっとする反乱軍兵士達。
「な 何だよ BMのど真ん中なんて言ーから… は 早く言ってよ、そーゆーことは…」
しかしその次に待っていたのは、ミハルのきっつい一言。
「可能性が少ないのと、可能性が無いのじゃ全然違うわ」
「ハ… 生き延びられるのは、どーやらこの子供らだけみてーだな
 ま、仲良くやってこーや 旅は道連れ、世は情け…ってな」
悔しがるも何も言い返せない反乱軍達を仙波は鼻で笑い、作戦開始となった。
148あらすじネクタール 2/3:2011/04/01(金) 22:00:43.00 ID:z4Ax/G7l
同時刻、外部では米軍がパイプのような物をつけた特殊車両を用い、シャッターに密着させていた。
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《速乾性コーキング剤注入完了! 工作隊輸送車両、完全に密着しました!》
「まずは我が軍からの、熱い口づけといったところかな」 報告を聞いたダグラスは皮肉る。

防護服を着た米兵はパイプの中からシャッターを焼き切り、突入を開始する。
「ベース内に侵入しました、現段階ではBMの姿は確認できません」
試しにコンピュータを操作してみるが、やはり完全に乗っ取られている。
「どうします?」
《コンピュータにアクセスしろ、コントロール権を我々で確保する》
工作兵は壁のパネルを開け、直接配線からアクセスを試みる。



一方、銀次達は地下12階に到着していた。
今の所、BMはいないようだが油断は禁物、慎重にゆっくり進む事にする。


再び米兵へと場面は移る。
アクセスを試みた米兵は舌打ちする。相当強力なプロテクトらしい。
「3分でプロテクト解除」と言った彼はむきになり、もうかれこれ10分経ってしまった。
『黙って下さいよ、気が散る!! コイツうっかりすると逆にこっちに侵入してきやがるんですよ!!』
「な 何逆ギレしてんだよ、おい…」


 ―米軍司令テント内―
「クク… 米軍の誇る特殊工作隊の頭脳も、日本の誇る“オタク”の頭脳の前にはカタナシですね
 彼らには愛国心も中世も損得勘定さえもない
 ただ己の欲望追求の為にのみ特化した頭脳の持ち主です
 その能力は時として、企業も国も軍隊も超える… なかなか一筋縄ではいきますまい」
「フ… 座興だな、時間は充分にある」
皮肉るクローシュ、しかしまだ余裕のダグラス。
149あらすじネクタール 3/3:2011/04/01(金) 22:01:24.52 ID:z4Ax/G7l
そして銀次達は、幸運な事に何事もなくコンピュータルームの前に辿り着いた。
とはいえ、この扉から先は誰でも入れる訳ではない。
仙波は坂田に合図すると、坂田はカードキーを差し込み暗証番号を入力する。
「坂田さんは入ってもいい人なの?」

「あったりめーだろ、あの人はここの警備主任でオレ達全員の指揮官だぜ」

――――え?(;゚ω゚)  意外な事実! 実は仙波の方が下っ端だった!!
『うっせーな! 下っ端とか言ってんじゃねーよ!!』
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…閑話休題。部屋の中に入ると、そこはコンピュータルームと言うより、まるで神殿だった。
「で… でけぇ」
「そりゃそーだろ、生体BMに関するありとあらゆるデータが集積されてるんだからな
 施設の保全だけじゃねぇ、BMの鮮度管理から品質向上の為の研究まで…
 ま、およそ世界でも最高レベルのハイテク施設だろーな ――で、そのど真ん中に…なぜか…」
仙波の視線の先には……  バ ル ブ ハ ン ド ル????
おもむろにハンドルに手をかけると、渾身の力で回し始めた! やっぱ手動かよ!!!!
ハンドルを開くと、床から柱が2本せりあがってくる。
「ふ〜〜〜固ぇかてぇ…  ん?どした?」
「い…いえ… こ…こんなんでいいのかなって… 世界最高のハイテク施設が…」
呆然とするミハルに笑って答える仙波。
「言ったろ? 機械が人間の運命を決めんじゃねぇ 人間が人間の手で機械の運命決めんだよ」
せりあがった柱に収納されていたレバーを倒すと、周囲に警報と警告アナウンスが流れる。
《警告します! 主幹電源を切ると館内全ての機能が停止します
 再起動まで全ての設備が使用できません》
このままでは音を聞きつけてBMがやってくる!仙波は銀次達に全てのレバーを倒すように命じた。


同時刻、ゲート付近の米兵は突如パソコンや証明が消えた事に不思議がる。
「あ… 灯りが…消えた…?」 予想外の事態に、さすがのダグラスも焦りを隠せなかった。<続く>
150マロン名無しさん:2011/04/01(金) 22:12:18.46 ID:???
正直、ミハルたちの為に犠牲になる仙波さんの絵が浮かんでしょうがないぜ。
151マロン名無しさん:2011/04/01(金) 22:41:29.84 ID:???
それ以外に無いだろうな。
「ここは任せてお前たちは先に行け!」って感じで。
てか、坂田さんの方が上司だったのかよww こりゃ意表突かれたわw
152マロン名無しさん:2011/04/01(金) 23:02:07.02 ID:???
今更だけど地下12階とか広すぎだろ
上でBMが溢れたら下の人間全滅するな
153マロン名無しさん:2011/04/02(土) 00:00:34.79 ID:???
地下12階って現実で一番深い建造物って何かあったっけ?
154マロン名無しさん:2011/04/02(土) 10:43:14.27 ID:???
坂田さん、頼れる副長って感じなのにw
これは予想外

オタクのすごさが語られていてワロタ
クローシュさんw
あと、中世じゃなくて忠誠だよね
155マロン名無しさん:2011/04/02(土) 11:41:52.97 ID:???
つまりヲタの知識>軍の知識という事か

こういうのが迷惑なコンピューターウィルス作るんだよな…死んでほしいわ
156マロン名無しさん:2011/04/03(日) 12:19:46.43 ID:???
少なくともあのガタイのいい警備員2人がいれば、隊長をあしらう事はできるだろうな。
1対1でもいい勝負になりそうだ。
157あらすじネクタール 1/3:2011/04/03(日) 22:00:17.04 ID:1PmSOQSV
 Vol,84 〜システム・ダウン〜


施設内の非常灯以外の全ての照明が消える。
アクセスを試みていた米兵は、仲間から何かやったのかと問い詰められていた。
兵士から施設全ての機能が停止している事を告げられ慌ただしくなる。
『停電か!?』
『いえ、その場合補助電力に切り替わるはずです! 人為的に停止させられたとしか…!』
「システム・ダウンか……」 シンゴは誰に言うとでも無くつぶやいた。


その頃、銀次達は闇の中にいた。ライターを持っていた人がいたので、なんとか互いの顔は見える。
「これでこのシステムは一度、完全に死んだワケだ
 おう、手探りででもまだレバーの場所位分かんだろ? 今度は全部レバーを元に戻すんだ」
全員、目の前のレバーを戻し、起動音と共にシステムが動き出す・・・・が、灯りがつかない。
「ったり前だろ、今のはただコンピュータに電源が入っただけだ
 これから再起動させなきゃ何一つ機能しやしねぇよ」
次に仙波は再起動用のパソコンを壁から出し、上司である坂田に頼む。
「手際良く頼むぜ、坂田さん
 何しろこの暗がりでアイツらに襲われたらひとたまりもねぇからな…」



一方、米軍は急に暗闇になった事に舌打ちしつつ文句を言っていた。
「とりあえずいったん輸送車まで戻るぞ、照明と暗視ゴーグルを装備して出直しだ」
…相変わらず、パソコンを操作していた工作兵はお前のせいだと責められていた。
米兵達は輸送車に戻ろうとするが、暗くて方向が分からない。
そんな折、兵士の一人が何か柔らかいものを踏んでしまい、動きが固まる……。
「どうした? 早く行けよニック」
「い… 今… 何か踏んだ…」
「何か…って… なにを…」
――その瞬間、ニックはいつの間にか接近していたBMの群れに喰われてしまった!
158あらすじネクタール 2/3:2011/04/03(日) 22:01:20.09 ID:1PmSOQSV
 ―米軍司令キャンプ―
侵入した兵士の断末魔と叫びを聞いた将校は落ち付けと叫ぶ。
《君達が装備しているのは最新鋭の広角火炎放射機だ!! 放射角を最大にしてなぎはらえ!!
 冷静に対処すれば問題は無いはずだ!!》
「なぎはらえったって… 何も見えねぇのにどこ向かって撃ちゃいいんだよ」
やむを得ず、兵士達は広角度にして火炎放射を開始する。

そして火炎の灯りに浮かび上がったのは―――― すでに兵士達は無数のBMに包囲されていた!
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死角を作らない様に攻撃を続けるが、上から降ってきたBMの群れで兵士達は全滅したようだ…。
無線で彼らの断末魔を聞き、将校は何度も呼びかけるが、もはや無線からはノイズしか聞こえない。
「一体… 何が起こった…」(ダ)
BMに関しては全ての知識があるシンゴには何が起こったのか説明する。
「対サイバーテロ用の最終手段だ… が、まさか実際に使う事になるとはね…
 一度システムダウンする事で、コンピュータを初期設定に戻して再起動させる…
 どうやら内部関係者に生き残りがいるようだな…」
「余計なマネを…」

「あの中で生き延びるには最善… いや、唯一の方法だろう
 事実、あなた方もコンピュータを支配する事には失敗している
 保安機能が回復すれば、冷却装置や隔壁を作動させられる
 BMを処分して脱出する事は決して不可能じゃない……ただし…… 再起動させられれば…の話だ
 生鮮BM輸出用ベースのメインコンピュータを起動させるのは、そう誰にでも出来る事じゃない
 再起動に必要なIDを持つ者は、高千穂の中でもたった2名…
 東条高千穂統括知事… つまり私の父と… この私だけだ」
159あらすじネクタール 3/3:2011/04/03(日) 22:04:42.75 ID:1PmSOQSV
その頃、坂田は―――― 指紋照合でもコンピュータがIDを受け付けず苦戦していた。
メインコンピュータが再起動出来ない事を知り、反乱軍達はパニックに陥る。
『ふ ふざけんな! 今さら起動できませんで済むと思ってんのかよ!!
 さんざ偉そーに吹いといて何だよそりゃ!!
 どーすんだよ! 灯りはつかねぇ、何も見えねぇで ああ!?
 ますますヤバくなっちまっただけじゃねぇか!!』

「…いい加減にして いつまでそんな事言ってれば気が済むの?」

そんな中、ミハルが罵詈雑言を浴びせる連中を冷ややかにたしなめる。
「みんな… この人達だって、高千穂の人達だって生き延びようとして精一杯努力してんじゃない
 なのに自分達は何一つしようとしないで、文句ばっか
 今だって全部あたし達が自分でやった事じゃない
 コンキエストなんてこれじゃ、ただの寄生虫じゃん」
激怒した男達はミハルに襲いかかるが、男達の鼻先を火炎がかすめる!
「ミハルに指一本触れてみろよ、あんたらただじゃおかない…」
男達に向け、火炎放射機を構える銀次。

「もしも生きて帰れたら… そン時は、気が済むまでオレをブン殴らせてやる
 だからとりあえず今だけは、生き延びるために全員団結して協力する!
 ――ってコトでどうだ?」

仙波の鶴の一声に、男達はしぶしぶ協力する事になった。


 ―米軍司令キャンプ―
「あのベースのメインコンピュータが回復しなければ、あなた方… いや
 この地上の誰一人としてBMを管理する事などできやしない…」
『そんな事はわかっている! だがどうやって…!』

「選択肢は1つしかないだろう? ボクが行く システムを再起動させ、全てに決着をつけよう」
                                                   <続く>
160マロン名無しさん:2011/04/03(日) 22:15:36.17 ID:???
( Д )    ゚ ゚ 久々のぞわぞわ注意
161マロン名無しさん:2011/04/03(日) 22:32:02.42 ID:???
タイミングわりーなホント
162マロン名無しさん:2011/04/04(月) 10:33:35.61 ID:???
ぞわぞわきたあああぁぁぁぁ!
うひーびっしり取り囲まれてる〜っ

でもまだ隙間があるな、まだまだだぜ(>皿<)!
163あらすじネクタール 1/4:2011/04/05(火) 22:00:02.14 ID:6XMVO5by
 Vol,85 〜望むもの〜


防護服を着こむシンゴに話しかけるクローシュ。
「感心しませんね、ムッシュ
 私達にとってもあなたは大切な身体、あなた本人が自ら出向く事は賛同しかねますな…」
「ID確認にはボクの指紋と虹彩パターンが必要だ
 目玉をくりぬいて持っていかれるワケにはいかないんでね」
「条件はなんだ?」(ダ)
「条件?」
『とぼけるな!! BMの巣窟と化したあのベースの深部へ潜入するなど
 勇猛をもって鳴る我が軍の精鋭たちであっても、望むモノではあるまい!
 …そうであっても我々は君に頼らざるを得ん
 君にしてみれば、まさに形勢逆転の切り札を手に入れたワケだ
 代償に何を要求する?我が軍の撤退か? この私の謝罪か?」
怒りで額に血管を浮かべ、憤慨するダグラスに返ってきた答えは――――

「“南”の人々の生活さえ保証してもらえるなら、新世紀の神の座などあなた方にくれてやる」

予想外の返答に、しばし呆然となる米軍&クローシュ。
「必死に生き延びてきた人々の生活を守る事…
 これまでも、これからも ボクがそれ以上を望む事は無い…」


その後、シンゴはベースに入り際、同行する米兵にアドバイスする。
「君達 暗視スコープはやめた方がいい…フードも 視野が狭くなるだけ不利だ
 防護スーツもあまりアテにしない事だ
 グラスファイバー製だろうと、ヤツらは君達が思っている以上に悪食だ
 かまわず喰い破り、消化できなければ吐き出すだけ
 パニックを起こせばその瞬間で全てが終わる――――
 ヤツらの生態を理解し、冷静に対処する… それしか生きて帰る方法は無い」
米兵はシンゴのアドバイスを素直に受け入れ、次々とスコープとフードを外し始めた。
164あらすじネクタール 2/4:2011/04/05(火) 22:00:46.03 ID:6XMVO5by
ふと、その米兵の一人がシンゴに声をかける。
「ミ… ミスター東条… オレには3カ月になる息子がいる あんたを信じる…死にたくないんだ」
「みんなそうさ… 死にたくはないんだ、みんな… ただそれだけなのにな…」
シンゴは寂しそうにつぶやくと、火炎放射機を持ち3人の護衛と共にベースへと侵入した。


目の前には二重扉。この扉の向こう側はもうBMの巣窟だ。
「射角を最大にしろ、開けたと同時に一斉放射だ 各々4隅に向けて放射、死角を作るな…」
合図と共にシンゴは扉を開け、通路と同じ幅の火炎放射が放たれる。
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周辺のBMを焼き払うと、シンゴはベース内部へ一歩足を踏み入れる。

「さて…と 何度めだろうな… この地獄めぐりは…」

ザワザワと迫りくるBMの群れを見据え、誰に言うとでも無く呟いた。



「このハシゴ… 昇れってのかよ…」
その頃、反乱兵達は―――― 長く伸びる非常用ハシゴを見上げていた。
理由は電力停止によるエレベータの停止。よって、地下8階まではこのハシゴを昇るしかないのだ。
『待てよ! さっきの警報でBMどもはこっちへ向かってんだろ!?
 こんな狭ぇ筒ン中で出くわしちまったらどーすんだよ!!』
「どーするって、そりゃ…」
火炎放射機を上に向け、火炎放射する仙波。これが答えだ。「こーすっきゃねーだろ?」
…今の火炎放射でBMが数匹焼けながら落ちてくる。やはりこの中はBMがすでに侵入していた!
反乱兵達は火炎放射機を持っている銀次達に先に行けと怒鳴り始める。
…ちなみに2番手以降はジャンケンで決めるそうだ。揉める男達に呆れる銀次達。
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165あらすじネクタール 3/4:2011/04/05(火) 22:01:33.35 ID:6XMVO5by
そして仙波、坂田、銀次、ミハル、あとモブ達の順に昇り始める。
仙波が火炎放射でBMを薙ぎ払いながら、熱く焼けたハシゴに注意しながら昇る一行。
「大丈夫かミハル?」
「目の前で見苦しいモン見せられてる以外はね」←目をそむけながら
『お前な! 誰のおかげでハシゴつかめてると思ってんだよ!!』
『わかったからこっち向かないでよ、見苦しい!!』
銀次はシャツを破ってミハルの手を保護する即席グローブを作ってやったのだが、この有様だ。
昇っている中、男達は思ったよりも楽勝だと安堵する。
「考えてみりゃ細ぇ筒の中にいるってこたぁ、先頭の奴が火炎放射機持ってりゃ
 確実にBMをやっつけられるって事だもんな しんがりを行く分にゃ、ほどよくハシゴも冷めて…」

――突如、最後部の男が断末魔を上げる!下を見ると、いつの間にかBMが下から上がってきたのだ!

銀次とミハルはやむを得ずハシゴの脇へ移動し、他の男達を先に昇らせる。
しかしそれも間に合わず、しんがり2番目の男も喰われ始める。
残った男達は銀次達にさっさと撃てと叫ぶが、喰われている男は撃たないでくれと懇願する。
『ごめん!』
目をつぶり、かつての仲間を撃つ銀次。喰われた男は悲鳴を上げる間もなく燃え落ちる。



犠牲者2名を出しつつも、どうにか地下8階まで逃げのびた一行。
銀次はミハルをハシゴから引き揚げてやると、ミハルは涙目で銀次に詫びる。
「ゴ… ゴメンね銀次… あ…あたし撃てなかった…
 撃たなきゃ…撃たなきゃってわかってたのに…」
『ったくよぉ! 口先ばっかで使えねーガキだぜ!!』
『どーせあいつら助からねぇんだからよ! オレ達までやられるトコだったぜ!!』
生き残った男共はミハルに罵声を浴びせるが、坂田はそれを遮って2人の頭を優しくポンと叩く。
「坂田さん…」
166あらすじネクタール 4/4:2011/04/05(火) 22:02:14.98 ID:6XMVO5by
「覚えとけ、これから先生き延びようと思ったら、
 仕方のネェ事ややらなきゃならねぇ事がいくらでも出てくる
 ――――だからって、人が死ぬ事に鈍感になってもいいってワケじゃねぇ 大事な感覚なんだよ
 こんなやべぇ時こそ、絶対にそいつを忘れんな」

坂田の温かい励ましと仙波の微笑みで少しだけ元気が出る銀次とミハル。
…が、残った男共はまだ文句を言っている。
「ケッ… ひ…人の死とか言っちゃってるけどよ… 他人事じゃねーんだぞ!どーすんだよ!
 このままじゃオレ達だって遅かれ早かれBMの餌食だぞ!」
「上へ行く 地上1階… あのチャンバーエリアだ」
「チャンバーエリアって…あそこは… 1番BMの密度が高いトコ…」(銀・ミ)

「脱出はできねぇ…BMどもを退治する事も…
 ――となりゃ、あとは今こん時を生き延びる事だけ考えるしかねぇだろ」    <続く>
167マロン名無しさん:2011/04/06(水) 00:02:32.13 ID:???
168マロン名無しさん:2011/04/06(水) 01:44:23.61 ID:???
>>167
条件はなんだ?
169マロン名無しさん:2011/04/06(水) 08:46:36.57 ID:???
普通先頭と最後尾が武器持つだろと思ったら
案の定下からBMがきたよ…

銀次、女の子の手をやけどさせないため?のグローブって気が利くじゃん!
しかし主人公組がシンゴしかいないんだがもう
今行動しているのが主人公って捉え方でいいのかな
170マロン名無しさん:2011/04/06(水) 10:14:35.72 ID:???
いいんじゃない?
美味しいところで颯爽と登場するのは主人公じゃなくてヒーローだし
171マロン名無しさん:2011/04/06(水) 12:39:04.06 ID:???
>>168
何の条件?

>>169
ダイ大でもアバン先生が言ってた
「追撃を防ぐためにも、最後列にも強力な仲間を配置する」って奴思い出したよ。

そろそろ完達にもクローズアップしてくれないものかね…
172マロン名無しさん:2011/04/06(水) 15:13:39.27 ID:???
>>167
脱がしたんならこうしなきゃだめだろう!
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173マロン名無しさん:2011/04/06(水) 15:47:27.92 ID:???
>>171
とぼけるな!! BM好きの巣窟と化しているこのスレへエロを投下するなど
勇猛をもって鳴る我らが紳士の精鋭たちであっても、望むモノである!

駄目だ、良い改変が思いつかない
ノリだけでやる物じゃなかったね(´・ω・`)
174マロン名無しさん:2011/04/06(水) 21:19:01.11 ID:???
>>172
アホス&エロスwwww
確かにホラー映画とかじゃセクース中のカップルは必ず死ぬよなw
175あらすじネクタール 1/4:2011/04/07(木) 22:00:03.73 ID:H2Rh+eem
 Vol,86 〜執念〜


ベース内に侵入したシンゴ達は、まず手始めにエレベーターを調べていた。
シンゴの予想通り、エレベーターは地下12階で止まっていた。
「どうする? 最下層へのルートはこのエレベーターくらいなんだろ?」
「垂直降下だ あなた方特殊部隊には専門分野だろ?」
シンゴは軽く笑うとそれぞれ準備し、一斉に垂直効果を開始した。

『気をつけろ! 先に下へ行った人間がいるという以上、
 地下12階にはすでにBMが到達していると考えた方がいい!!』
降下中、護衛に警告するシンゴ。
「日本語で“ナラクノソコ”ってヤツだな…」
「ヘッ コイツはまさに… ホンモノの地獄めぐりじゃねぇか!!」


その頃、仙波達は通路のBMを焼き払いながら移動していた。
「避難室?     ――――って、そんなモンがあったの? ココ」
「まぁ、警備員やってるオレが言うのも何だけどよ
 こーゆーお役人が作った施設の危機管理意識っつーのはどーにも甘っちょろいのは事実なワケよ
 そーは言ってもさすがに最低限、BMが漏れだす可能性を全く考えねぇ程ヌケちゃいない
 一時的にチャンバー付近にいる職員が逃げ込む為の避難所が一応は用意されてんだよ」
「ちょ ちょっと待てよ、そんな都合のイイもんがあるってわかってたんなら
 なんだってあんなアブねー思いして地下へ行かなきゃならなかったんだよ!?」
銀次と仙波のやり取りに、火炎放射に頭をすくめつつ愚痴る男達。
「…ったく、つくづくおめでてぇなおめぇらはよ
 “逃げ込む”ってのはな、すぐに誰かが助けに来てくれるってのが大前提になってんだよ!
 オレ達にはこの先、いつになったら助けに来てくれるってアテは全くねぇ
 水も食料もない一時避難所で来るアテもねぇ助けをじっと待ち続けるしかなくなるワケだ」
「それでも……とにかく今、生き延びるにはそれしかないってワケだね…」
「あたし達より… この中の事、外へ知らせなきゃ…」
「今ントコそいつはあきらめな、お嬢ちゃん!」
176あらすじネクタール 2/4:2011/04/07(木) 22:00:58.99 ID:H2Rh+eem
やがて避難所の扉が見えてきた。
ドアを開くのをモブの男達に任せ、火炎放射組は周囲のBMを焼き払うと仙波達は室内になだれ込む。
「これで… ひとまずは安心だ… ここにゃBMが出入りできるよーな通気口も排水溝もねぇ
 何かの拍子に液化窒素がブチまかれたとしても、それなりの対冷性も備えている
 ここにいる限りはとりあえず・・・・・・・」
    ド ン
突如聞こえた爆発音に周囲を見渡すと、男の片割れが腹を血で真っ赤に染めている。
    ドウ ドウ  ドウ ドゥ
今の音は 銃 声 だった!
闇の中から続けざま銃声が聞こえ、もう一人の男は銃弾を背に受け、仙波と坂田の腕に命中する!

「さすがだよ、銀次 ミハル…
 生きているものならば、ここで待っていれば必ず会えると思っていた…」

闇の中から現れたのは―――― BM襲来から逃げ延びた、不気味な笑顔を浮かべた隊長だった!!
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銀次は火炎放射機を撃とうとするが、仙波に大声で止められる。
「アレを見ろ…」
「撃つがいいさ、銀次…ミハル… 愛するお前達と共に死ねるなら私も本望だよ…」
…よく見ると、隊長の身体にはいくつもの空き缶サイズのカプセルがついている。
「か… 火炎放射機のカートリッジ…」(銀)
「熱でもちょっとした火花でも… 引火したらドッカーンだぜ」(仙)
「お前達の最期を… 銃で安直に…などと無粋なマネはしたくないからね…」
「仙波 子供達を連れて逃げなさい」 ――唐突に登場以来、初めてしゃべった坂田。
仙波は上官を置いて行く訳にはいかないと反論するが…

「上官命令だ   ――――行け!   行 け ェ ェ ェ ェ !!!! 』

今まで大仏の様に温厚な顔をしていた坂田の顔は、もはや仁王の様に険しい顔つきになっていた。
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坂田は3人が部屋から脱出する前の間、自らの巨体を生かし凶弾から3人を守る!
177あらすじネクタール 3/4:2011/04/07(木) 22:02:11.59 ID:H2Rh+eem
…その頃、シンゴは虹彩チェックを終えシステム再起動させていた。
再起動のアナウンスに歓声を上げる米兵をよそに、シンゴはすぐさま地階管制室へと指示する。
「は? 管制室? …ま、待ってくれ オレ達はこの後液化窒素をブチまけるだけって聞いてるぜ
 その程度だったらここででも…」
「生存者がいた事がわかっている 全館に液化窒素を散布するワケにはいかない
 ワンランク上のマニュアルを使う 超音波を使ってBMを一区間に集め隔離して凍結させるんだ」
「命令と違う!聞いてないぜ」

「あなたはさっき死にたくないと言った… ぼくはもう誰も死なせたくないんだ」

3か月の息子がいると言った米兵に対し、シンゴは微笑んでそう返した。



そして逃げる仙波達も、灯りがついた事に驚いていた。
『システムが復旧したの!?』
「へっ…ありがてぇ やっぱ暗闇じゃ死にたかねぇもんな…」
激痛をこらえ強がる仙波。出血もかなりひどい。
「銀次… そこらの物陰にオレを置いてけ…」
『な 何言ってんだよオッサン!!』
「このまま足手まといになる位なら、せめて時間稼ぎさせろや…」
『あきらめんなよオッサン!』
「そうです!システム回復したんだし、今なら脱出できる!」

「…たく、甘ちゃんだねぇ… オレ達がボランティアでお前ら連れて逃げたとでも思ってんのか?
 言ったろ? 囮は多い方が危険が分散するって… お前らはそのための頭数なんだよ
 ――だったらオレの方が囮になるってパターンも“アリ”だ
 じゃなきゃ、フェアじゃねぇだろ?」
178あらすじネクタール 4/4:2011/04/07(木) 22:02:55.23 ID:H2Rh+eem
そうこうしている内に、ついに隊長がBMを焼き払いながらすぐそばまで追いかけてきた。
「行けよ 無駄に死んだら承知しねぇぞ…」
仙波は特攻をかけ、隊長に体当たりし床に倒れ伏す。
「まぁ、そー急ぎなさんな隊長さんよ 仲良くBMのお夜食になろーぜェ」
しかし隊長は暴れるでもなくただ、不気味な笑い声を発するだけだった。


そして銀次とミハルは逃げ惑う内、横道から出てきたシンゴ達とハチ合わせになる。
『と… ととと東条ォ!!』
生存者が銀次とミハルだった事にシンゴは軽く驚く。

「ハハ… これはこれは… 最後の最後に…願っても無い客人にお目にかかれたな…」

不気味な声に一同、顔を見上げる。そこにはもう追いついてきた狂気の隊長がいた。  <続く>
179マロン名無しさん:2011/04/07(木) 22:50:58.48 ID:???
隊長お終いだ!とか発狂したように見せつつ
それはそれとして直後にBMからは普通に逃げてたのかよ
180マロン名無しさん:2011/04/07(木) 22:54:54.21 ID:???
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181マロン名無しさん:2011/04/07(木) 22:55:47.56 ID:???
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182マロン名無しさん:2011/04/07(木) 23:14:30.95 ID:???
ぎゃーーーーーーーーーー!! こんなAAあったのかよ!職人早い!!
183マロン名無しさん:2011/04/08(金) 09:04:50.01 ID:???
BMよりこええww
坂田さんも仙波さんも死んじゃった……
システム復旧自体はあっさり成功したな
一難去ってまた一難はこれからか

正直隊長のとこは忘れていた
184マロン名無しさん:2011/04/08(金) 13:08:57.64 ID:???
坂田さん、あれが最初で最後のセリフとは…
ダイ大のブロックのセリフを思い出すな、状況も似てるし。
「ミンナ… ハドラーサマヲタノム」ってシーン。
坂田さん、普段は温厚無口なのにイザと言う時は頼れる人っぽかったのに。
こういう上司持ちたかったわ・゚・(つД`)・゚・

>一難去ってまた一難
もうこの作品の伝統芸になりつつあるな。
というかこれからどうなるんだ。さすがに九州にBM溢れるとは思えんが…
185あらすじネクタール 1/3:2011/04/09(土) 22:03:28.92 ID:BeWaFp4/
 Vol,87 〜足らんよ〜


「最後の最後に… まさかこんな形でお目にかかれようとはね… 光栄だよ、東条BM通商局局長…」
狂気の笑みを浮かべたまま挨拶する隊長に、米兵に撃つなと止めるシンゴ。
……追いつくのが早過ぎる。不信に思ったミハルが仙波の事を尋ねると…
「彼か? 残念だったね あんな身体でなければもう少し楽しませてくれたろうに…」
グローブについた血を舐める隊長。それはつまり――――……
怒りに飛びかかろうとする銀次を遮るかのようにシンゴが一歩前に出る。

「あなたが理想の闘士ならば… ここにいる罪のない人々の死や…
 ましてや“南”の壊滅など望みはしないでしょう」

以外にも隊長は狂気の笑みをやめ、まともに対応するかと思いきや――――
「フ… だから?」
「降伏して下さい 公正な裁判の場であなた方の主張を世に問う事もできるはず」
「人を見下して生きる時間が長くなると、自分の立場と言う物がわからなくなるようだな…
 今、この場を支配しているのは私だ 君達には私への攻撃は許されていない…
 降伏と言うものがあるなら、それは君達の選択肢だ」
再び邪悪な笑みを浮かべ、拳銃の撃鉄を起こす隊長。
「わかっている、タダとは言わない」 シンゴは火炎放射機を床に落とすと――――

「ボクを殺せ それは罪に問わない事を約束しよう
 それで… あなたの“感情”が満足したなら、あとは“理性”に従って行動して欲しい
 もういいだろう、死も破滅も…」

まるで子供を諭すかのように微笑むシンゴに、隊長はゆっくりと歩み寄る。
米兵は銃を構えるが、シンゴはただ下がれと命令する。
…そして隊長は至近距離まで近づき、拳銃の銃口をシンゴの腹に押しつける。
186あらすじネクタール 2/3:2011/04/09(土) 22:04:17.30 ID:BeWaFp4/
「――――足らんよ」

…たった一言、それだけ言うとどうした事か、隊長は踵を返し元来た道を引き返してゆく。
米兵、銀次達は訳が分からず呆然とするが―――― “ある事”に気付いたシンゴは青ざめる。
『マズい!! 管制室だ、急げ!!』
そう叫ぶと同時にダッシュするシンゴ、慌てて追いかける米兵と銀次達。
シンゴは走りながら無線を取り出しダグラスへと連絡する。

『司令! 聞こえるか司令!! 今から言う事を全室に通達して徹底させてくれ!!
 ベースを包囲している兵を下がらせろ!!距離を取って退避させるんだ!!』

ダグラスは言われるまま全軍に命令する。
《これから先ベース内で何が起ころうとも、決して反応するな!!“完全なる静観”を守れ!!》


走りながらシンゴに問う銀次。
「な なぁ東条 何なんだよ? 隊長はどこに行って……」
「何としても… 彼の行動に先んじなければ…」
「隊長の…」「行動?」

「――――  自  爆  だ」


その頃、隊長は相変わらず不気味で邪悪な笑みを浮かべたまま、BMのたむろする通路を歩いていた。
「足らん… 足らんよ東条 全然足らん… そんな… 美しき自己犠牲ではな…
 自らの過ちが引き起こした惨劇… その地獄絵図を存分にその目に焼き付けてもらわねば…ね…」
BMに足を喰われながらも、まるで痛みを感じないかのように歩みを止めなかった。
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187あらすじネクタール 3/3:2011/04/09(土) 22:04:59.28 ID:BeWaFp4/
なんとか隊長よりも先に管制室にたどり着いたシンゴ達。
「さっきの… ベース中央部では確実に外壁を破壊できるとは限らない
 おそらく彼はベースの最外殻部まで辿り着いて自爆するつもりだ
 外壁に穴を開け、BMを野に放つために―――― その前に、全てのBMを超音波で誘導する!」
シンゴがキーボードを叩いている中、隊長は下半身を喰われながらも銃口を自らに向けた。
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『 起 動 し ろ ォ !! 』


――そしてベースで爆発が起きた!
爆発は米軍司令キャンプでも確認され、外壁が破損している事も確認された。
「い… いいのだな、東条… 本当にこのままで…」
シンゴの言葉を信じ、掃討部隊を向かわせずに動くなと叫ぶダグラス。


ベースの近くにいた米兵は、爆煙が晴れると這い出てきたBMに冷や汗だらけで対面する。
小さく悲鳴を上げ、逃げようとする仲間を止める米兵。
(アレを見ろよ…)
――見ると、BMは外へほとんど出ずにまだベースの中に残ってどこかへ移動しようとしている。
シンゴの超音波起動が間に合ったのだ! おかげでBMはホールらしき広間へと集まりつつある。
「間に… あったの…?」
「ああ、多分ね… このまま…何も起こらないでくれれば…」


その頃、外では足下まで来ていたBMを見て、恐怖で固まる米兵がいた。
恐怖のあまり今にも発砲しかねなかったが―――― 幸い、外に漏れ出たBMも引き返していく。
安堵する米兵      ――だったが、銃を降ろした際に小さくカチリと鳴ってしまう。
その音に反応し、鎌首をもたげたBMに、一番BMに近かった兵士はついに銃を乱射してしまう!!
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仲間が止めようとするも時既に遅く、銃声と悲鳴に反応したBMが外部へ漏れだそうとしていた!!
                                                     <続く>
188マロン名無しさん:2011/04/09(土) 23:07:06.07 ID:???
とりあえずシンゴが助かったのでほっとしてる俺
189マロン名無しさん:2011/04/09(土) 23:47:08.34 ID:???
とりあえず次回から話が大きく進展しそうでほっとしてる俺
190マロン名無しさん:2011/04/10(日) 01:08:45.59 ID:???
とりあえず隙間なくびっしりなBMにうわあああああな俺
191マロン名無しさん:2011/04/10(日) 01:17:43.80 ID:???
とりあえず仙波の最期の活躍が見られなくて悲しむ俺・゚・(つД`)・゚・
隊長、どんだけ強いんだよ…!
192マロン名無しさん:2011/04/10(日) 09:02:42.48 ID:???
これは訓練されてない兵士だな
笑いながら馬鹿にする死亡フラグをたてたカーネルの部下とはえらい違いだ
193マロン名無しさん:2011/04/10(日) 10:49:04.07 ID:???
完全に狂ったわけじゃなくて
中途半端に理性のある隊長迷惑すぎる
194マロン名無しさん:2011/04/10(日) 11:44:34.07 ID:???
この流れからすると隊長の自爆が元で九州にBMがあふれるんだろうな…
第3部の戦犯は隊長に決定だな
195あらすじネクタール 1/4:2011/04/11(月) 22:00:04.89 ID:t1wnf5Wo
 Vol,88 〜最後の夜明け〜


折角の超音波誘導作戦も、パニックを起こした米兵の銃声と悲鳴に失敗してしまう。
その戸を聞き付けたBMの群れは―――― ついにベースから外部へと漏れ出してしまった!!


一方、管制室ではシンゴは手動でモニターを切り替え、隊長の行方を探すが見つからない。
普通ならば監視システムが自動で侵入者を追ってくれるのだが、システムが完全ではないのだ。
その内シンゴが窓から外を見ると、ついにBMが外へ漏れ出してしまったのを見てしまった…。


外部では米軍がマシンガンでBMの群れと対峙していた。
「主よ…主よ… 父なる主よ、聖霊よ どうかこの忌まわしき悪魔の軍勢より我をお守り下さい…」
兵士の一人が神へ祈るが、当然祈りが届くはずもなく、次の瞬間無慈悲にも喰われてしまった。
「ママ… ママごめんよ  もうしないよ、許してママ… 痛いよ…」
こちらでは走馬灯でも見ているのか、腰を抜かしたまま喰われる兵士もいた。
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この様子は司令部でも情報が混乱し、ダグラス達は何が起こっているのか分からずにいた。
ただ1つ分かっているのは、“何者かと交戦”している事…。
やむを得ずダグラスが全軍撤退命令を出した直後、再びシンゴから無線が入る。
《司令!聞いてくれ! 兵士達のパニックを鎮静させてくれ!!
 じっとしてさえいれば、ヤツらは10mの距離でもやりすごせる!!
 BMの被害が超音波の届く範囲に収まっている限り作戦は有効だ!
 頼む!あなたの言葉なら、兵士達も……》

「なるほど… そういう魂胆か、東条
 自らの国土と引き換えに我が軍に 報 復 しようとはな!
 非力で卑劣な東洋人らしいやり口よ!!」
196あらすじネクタール 2/4:2011/04/11(月) 22:00:46.59 ID:t1wnf5Wo
――何を勘違いしたのか、シンゴの頼みを切って捨てるダグラス!
《ま 待ってくれ司令! 誤解だ!これはあなた達の安全を…!》
「貴様の言葉など2度と聞く耳持たんよ、東条 せいぜいそこにこもって勝ち誇るがいい
 ――――今度こそ、その頭上に 戦 術 核 を ブ チ こ ん で や る ! 」
それだけ言うとダグラスは一方的に無線を切ってしまう。
「10分でここより撤収する、洋上艦隊に戦術核弾頭をスタンバイさせろ」
しかしその命令を将校達は復唱しなかった。
「司令… お忘れですか…? 我々は一度祖国に背を向けたのです
 ここを離れても、我々にはもはや帰るべき国は無い」
「忘れたまえ、ここであった事の全て…」
「は?」

「東条BM通商局局長は独断で我々に出動要請を出した
 我々はそれに応えて出動し、今また彼からの強い要望に応えて、“やむを得ず”戦術核を使用する
 そして全て焼き尽くす!! 誰一人、我々を糾弾させはしない!!」

――そして米軍は装備を放棄し、トラックに乗り込み撤退を開始する。


その頃、管制室では拳を机に叩きつけ、悔しがるシンゴがいた。
「どうしていつも…こうなんだ… 何が…“新世紀の神”だ……!
 ボクはただの死神じゃないか……!」
そんな折、ミハルは少々怯えつつシンゴに声をかける。

「東条…さん… あなたはずっと…私達の敵でした 今だって味方かどうかわからない
 だけどあなたが今でも私達なんかよりも、ずっとずっと強い力を持ってる事は変わりないんです
 生きている人間のために、あなたにはやらなきゃいけない事があるはずです」

ミハルの説得に冷静さを取り戻すシンゴ。
「そうだ… まだ全部が終わったワケじゃない… 高千穂へ行く! 一緒に来る者は?」
197あらすじネクタール 3/4:2011/04/11(月) 22:01:29.07 ID:t1wnf5Wo
同時刻、米軍司令キャンプでは通話記録・軍事行動記録を抹消し、証拠隠滅中で慌ただしかった。
…ふと、周囲を見渡すといつの間にかクローシュが居なくなっている。
ダグラスは将校に聞くが、誰も彼がどこに行ったか知らないと答える。
「あの… フランスのキツネめが…!」
今にも葉巻を噛みちぎらんばかりに怒りを露わにするダグラスだった。

――その頃、当のクローシュはヘリで脱出を図っていた。
「アデュー、ダグラス司令 もう少しは要領よく働いてくれると期待してたんですがね…
 ま、夢にまで見たあなたの王国で幸せにお暮らし下さい あなたのBM王国でね」
ヘリ操縦士はこれからどうするかと尋ねる。
「このまま国外へ退去して本国へ…?」
「国外退去? 冗談だろ? ゲームってのはね、局面が変わる時が一番面白いんだよ
 次の一手を考える、この瞬間が… ね」



証拠隠滅作業を終えたダグラス達はトラックに乗り込もうとしていた。
兵士が急かすが、BMがここまで繁殖するまでにはまだ若干の時間がある。
急かさず落ち着いて乗り込もうとした矢先、運転を誤ったのか仲間のトラックが突っ込んできた!
――幸いダグラス達は轢かれなかったものの、トラックは2台とも大破してしまった。
『バ… バカ者が!!どこに目を付けとる! 所属と姓名を名乗れ!!
 本来ならば降格ものだぞ! 私に万一の事があれば・・・・・・・・・・!』

突っ込んできたトラックのドアが開き、現れたのは…… 全身をBMに喰われている兵士だった!

腰を抜かし来るなと叫ぶダグラス、助けを求めて手を伸ばす兵士。
…ふと、ダグラスの手に激痛が走る。 彼の背後にはすでに無数のBMが群がっていた。
――振り向き、青ざめるダグラス。     …こうしてダグラスの野望は散って行った。
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198あらすじネクタール 4/4:2011/04/11(月) 22:02:11.09 ID:t1wnf5Wo
周囲に火災の煙が立ち込める。
クローシュがヘリの窓から外を窺うと、煙と共に夜が明け始める。

「朝焼けだ… 見たまえ、こんなにも美しい… 高千穂最後の夜明けだ…」

真っ赤な朝焼けを見るクローシュ。
まるでこれから流される大量の犠牲者の血の色の様に赤く染まっていた――――   <続く>
199マロン名無しさん:2011/04/12(火) 09:13:52.86 ID:???
>自らの国土と引き換えに我が軍に 報 復 しようとはな!
>非力で卑劣な東洋人らしいやり口よ!!

なんかさー、あれだよな
誤解っていうか自己紹介乙というか
人がみんな自分と同じように考えるわけじゃないんだよ

前回、隊長が地獄を見ろって言ってたけど
シンゴはもう地獄見過ぎだよ
隊長たちよりもずっと地獄を見せられ続けてきてるんだよな
シンゴがちょっとでも救われないかな……
200マロン名無しさん:2011/04/12(火) 22:40:36.17 ID:???
最終回ではきっと救われる、と思いたい…
201マロン名無しさん:2011/04/13(水) 08:48:44.10 ID:???
ダグラスことモアイ2号もあっさり喰われたか
202マロン名無しさん:2011/04/13(水) 11:54:18.62 ID:???
第2部と違って米兵が喰われるシーンがあるが、生々しくてグロいな…
203あらすじネクタール 1/4:2011/04/13(水) 21:59:22.72 ID:h3zXERJ2
 Vol,89 〜スタンド・バイ・ミー〜


「おお〜〜〜お え〜〜ぇイモやー♥
 いやー 秋ゆーたらイモ掘り、やっぱサイコーやね」
手の平を超えるでっかいサツマイモを掘り出し満足するこの男は、約20話ぶりに登場の完。
「こら麻綾! サボっとらんとサクサク掘らんかい!」
気持ちの良い秋晴れを見上げていると突如麻綾を影が覆う。

――それは巨大な飛行機だった。

しかし何か様子がおかしい… 「あれ… 落っこちてんのとちゃうか…?」


同時刻、くつろいでいた自警団は墜落の音を聞き何事かと待機所から出てくる。
幸い、飛行機は爆発もせずフェンスを破壊する事も無く土の上に墜落していた。
「な… なんやコレ」
「なんやて… そら飛行機やろ」
「いや せやからそれがどっから来よったかて話なんやけどな…」
茫然と見ていると飛行機のコクピット窓が開き、中年男が2人降りてくる。
『ア アホ!!出たらあかん!! すぐ助けに行ったる! 中へ戻り、早う!!』
男達が言うにはどうやら燃料が切れて不時着したようだが、迂闊にも降りてしまったため
土の中から這い出してきたBMに喰われてしまった…。
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「何が… 起こっとんのやろか…?」


『作業終了! 整列! 番号!!』
…どうやら完達は服役中の作業として、農業を営んでいるようだ。
「あ〜あ 終わり終わり〜〜っと…
 ホンマこんだけイモ掘ってんのやから、もちっと食わせっちゅーねん 腹減るちゅーねん」
仲間と共に収穫したイモを運びつつ愚痴る完。
204あらすじネクタール 2/4:2011/04/13(水) 22:00:48.01 ID:h3zXERJ2
すると自警団員が団長と呼びながら完の元へ走り寄ってきた。
「団長言わんといてて言ーてるやろ、もー1カ月やでキミ メチャメチャ居心地悪いやん、それ」
団員は平謝りしつつ要件を言う。どうやら完に面会があるそうだ。
心当たりがないまま面会室へ向かうと――――

「よっ、模範囚 なかなか畑仕事が板についてるみてーじゃねーか」

…なんと面会者は幡場と回復した香ノ宮だった!
完は元気そうだなと言い、香ノ宮の腕の具合を聞くと今日退院したばかりなのだそうだ。
「まだ元通りってわけにはいかないけどね
 麻綾君の方こそすっかり凹んでるかと思ってたら、けっこー元気そーじゃん」
痛々しそうなギブスを見せながら笑顔を作る香ノ宮。
「まー、住めば都ちゅーヤツや
 収容所言ーたかて、そもそも紀伊エリア自体フェンスで囲まれてるワケやし
 そー思たら、シャバとそー変わらへん」
そんな話をするうち、幡場はその巨体を生かし見張りと完達の間に割り込み視界を遮る。
すると香ノ宮はこっそりと耳穴式のイヤホンを完に渡し、小声で耳に入れるように指示する。
(あたし達が話してるから、適当にあいづち打ちながらそれを聞いて)
完が耳にイヤホンを入れたのを確認すると香ノ宮はこっそり何かのスイッチを入れると――――

《この通信を受信される皆さん! 私達は新生首都高千穂政府…あなた方の言う“南”の者です!
 “南”は壊滅しました!BMの襲撃です! 現在は都庁舎に避難できた約4千人の市民を残すのみです
 我々がこれまであなた方にしてきた仕打ちを考えれば、こんな事は言えないかもしれない
 しかし、彼ら一般市民には何の責任もありません
 どうか彼らだけでもここから助け出し、本土に受け入れて下さい!!》

聞き覚えのある懐かしいこの声は…シンゴの声だった。しかし、その内容は悪夢そのものだ。
悲痛な面持ちの完に、さりげなく話を振る香ノ宮。
「どう?麻綾君 ここの感想は」
「……そやな… そら、もちろんシャバ出たいわ “今夜”にでも―――― な」
すると香ノ宮はバッグからブックカバー付の本を差し出す。
「これ、お父さんから預かってきたの」
205あらすじネクタール 3/4:2011/04/13(水) 22:01:31.53 ID:h3zXERJ2
規則によりあわてて本をパラパラとチェックする自警団員だが、特におかしい所はないようだ。
「お父んの小説や、こんなもんでも読んどれ言ーのやろ、あのクソ親父」
面会を終えた香ノ宮達は踵を返し別れを告げる。
「じゃ… 麻綾君、“また”ね」
「“また”な 香ノちゃん」



 ―その夜―
昼間の団員がビクビクしながら見回りをする中、完の独房を覗くと鉄格子が切られ完が消えている。
すわ脱走かと鍵を開け、あわてて中に入ると―――― 完は扉のすぐ横(死角)にいた。
「ゴメンな―――― キミ、えー子やけどなー」

                 (しばらくお待ちください)

「よーでてけるやろ、コレ? CGで簡単に作れるんやて、最近はこーゆーの」
説明しながら窓に貼られたCGを剥がす完。これはブックカバーの裏に印刷されたCGだったのだ!
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完は団員を拘束し、彼の着ていた制服を着こみながらさらに説明する。
「ま 差し入れのブックカバーの裏までチェックせぇちゅーのは酷やと思うけど
 後学のために1つ言ーといたるわ、こーゆー時は絶対ドア開けたらあかん
 鍵かけたまんままず警戒態勢や、ええな?」
縛られさるぐつわをかまされたままの団員はうーうー言いながらもうなずく。
「ええ子や♥」   ――こうして完はまんまと脱走に成功した。
206あらすじネクタール 4/4:2011/04/13(水) 22:02:18.02 ID:h3zXERJ2
そして収容所の庭に出ると、何層もの有刺鉄線の上に板が渡されるのが見えた。
もちろん、板を渡したのは幡場だった。
完はその上に飛び乗り渡り始める  ――が、板が薄いのでトゲがあっさり板を貫通、痛がる完。
『何遊んでやがんだバカヤロォ!!』
『アホかい!! こんなうっすいベニヤ板、トゲトゲ突き抜けるに決まってるやろ!!』
『しょーがねーだろ!こんなでっけー板、そーそー手に入らねーんだからよ!!』
…脱走早々口論を始める2人に香ノ宮は呆れつつも、早く板を回収するように言う。

*ばんばは いたを かいしゅうしようとした!
*しかし いたは がっちりトゲトゲに ひっかかっている!

…そりゃそうだろうな。ますます呆れる香ノちゃん。
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モタモタしている内に3人に灯りが照らされ、ついに発見されてしまう!

『何でキミとやといつもいつも脱走コントになんねん!!』
『うるせぇな! 誰のおかげでこんな苦労してると思ってんだよ!!』
『逃げてる時くらい黙って走れないの、あんたらは!!』

各々罵りながらその場からトンズラするのであった。                    <続く>
207マロン名無しさん:2011/04/13(水) 23:29:26.60 ID:???
やっと主人公始動か。待ちくたびれたぜ。
次はミドも活躍できるかな。
208マロン名無しさん:2011/04/13(水) 23:51:05.92 ID:???
ようやく完達復帰きたー!
相変わらずのコントかましてくれて清涼剤となるなw
209マロン名無しさん:2011/04/14(木) 08:52:29.22 ID:???
おお、主人公組きた!
どんな脱出キットかと思ったら面白い手段だなw
錯覚と心理を利用するのか……イイ!
210マロン名無しさん:2011/04/14(木) 10:23:35.32 ID:???
一瞬香ノ宮がマタニティドレス着てるのかと思った
211マロン名無しさん:2011/04/14(木) 11:02:59.65 ID:???
>>210
てめえ、よりによってなんてことを!












想像しちまったじゃないかハァハァ
妊婦香ノ宮ハァハァ おっぱいますます大きくなってハァハァ
最終回はきっとそんなシーンが見られるに違いない、BM全滅から○か月後とか○年後とか。
212マロン名無しさん:2011/04/14(木) 20:29:32.22 ID:???
にしても、一人一人は凄い頼れそうなのに揃うとコントになるってふしぎwww
213マロン名無しさん:2011/04/14(木) 20:43:19.38 ID:???
えーと…

誰だっけ、こいつら?
214マロン名無しさん:2011/04/14(木) 21:50:27.26 ID:???
>>213
読者に忘れられる主人公カワイソス
215マロン名無しさん:2011/04/14(木) 21:53:10.19 ID:???
あた! あた うあちゃ! あた
216マロン名無しさん:2011/04/14(木) 22:36:47.23 ID:???
>>215だけ見るとまるで北斗の拳かと思うなw
217あらすじネクタール 1/5:2011/04/15(金) 20:52:30.75 ID:kkOlJ6f7
 Vol,90 〜トラブルメーカー〜
(扉ページ:第3部主人公、シンゴ以外全員逮捕        …ではない)
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収容所からの警報をバックに逃げる3人。
「ハハっ やっぱ悪党追っかけとるより、こうやって逃げ回っとる方が似合いやな、オレら」
「言えてる」
「うれしかねーよ バ――――カ」
笑いながら逃げる3人の前に突如横から車が飛び出してくる。
『乗って下さい、早く!』 運転手は追手ではなくミドだった!
車に乗り込み、発車すると完はミドの具合を窺う。
「まだ時々立ちくらみおきますけどね」
その直後、追ってきた自警団が追いつくも、すでに車は発車した後だった。
『やられた、車や!』『総本部へ連絡せぇ! 応援を頼むんや!!』



道中、何が起きたのか説明を受ける完。
「シンゴさんからの通信が入り始めたのは、昨日の早朝からです
 かなり幅広い周波数帯で放送したらしく、無線・ラジオでも受信した人がいくらかいるでしょう」
「ちゅー事は、当然自警団の連中も…」
「知ってます……が……」

「紀伊エリアの全地区団長が話しあって、黙殺する事に決めたわ
 それから通信を受信した全ての人々に、その内容を他の人にしゃべらないように…って」

「…ま、ムリないわな 聞かされたからて何ができるワケやないし
 “南”まで壊滅したて言われても、絶望感山盛りになるだけで何もエエ事ないしな…
 オレらも勢いで飛び出したモンの、実際に何ができるか言ーたら…」
…まさかの事態と対応にがっくりと力を無くし目を伏す完。
「麻綾さん、ボクだって別にアテもなく走らせてるワケじゃないですよ」
218あらすじネクタール 2/5:2011/04/15(金) 20:53:12.23 ID:kkOlJ6f7
そして4人が着いた先は――――< 港 >だった。
座り込んで待つ桐生にヘッドライトが辺り、車に気付くと大声を上げる。
『ルネちゃーん! 来よったで、ルネちゃ――――――ん!!』
桐生の声に先に乗船していたルネも出てきて、車に向かって手を振る。
感動の兄弟の再会              ……と思いきや。

『 く ぉ ら  桐生ワレェ!! 何さらしとんねんこのガキ!!
 人がおらん間にこんな夜中で二人きりで!!』

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まさに獣の様な形相で車から飛び出し、桐生の胸倉を掴みあげる完!怖ぇ!
そのやりとりに呆れかえる車内の3人。
「麻綾さんて想像以上の……」「頑固オヤジ……」
ルネも慌てて止めるが、その口論は突如照らされたライトで止まる。
――――周りを見ると、完達はすっかり自警団に包囲されていたのだ!
…もはや成す術なくなった一行。香ノ宮達も観念して車から降りる。

「やっぱり… 大阪港へ来はりましたな、麻綾さん」
「副長… いや、団長やったな 今はあんたが…」
「ホンマ、かつての大阪地区自警団団長 鬼の麻綾ともあろうお方が
 しょーこりもなく次から次へとしょーもないマネしてくれはりますなぁ…
 あんたとあんたのお仲間らが何をしよーとしとるんかくらい、わかるつもりや
 けどな、麻綾はん その前に1つ考えてみてくれ
 もし先に壊滅したのがうちら紀伊エリアやったら、
 “南”の人は誰かうちらを助けに来てくれた思うか?
 ――2年前にうちらを見捨て、4年間うちらを拒み続けてきた“南”が…や」

「オレが… もし今も自警団団長やったら、あんたと同じ事言うやろ
 けど、あいにく今のオレはどこにでもいるただの脱獄囚や
 今のオレはちょっとタチ悪いで そないな正論には納得したらへん!」
219あらすじネクタール 3/5:2011/04/15(金) 20:53:55.26 ID:kkOlJ6f7
厳しい目つきで副長を睨みつける完。
「こんだけ言うてわからんのやったら、しゃあないな…」
その言葉に完はすかさずルネをかばい、その後ろで桐生も完の背後を守りつつ身構える。

「あんたらみたいなトラブルメーカー、いつまでも居られたらこっちが迷惑や
 どこへなと好きなトコへとっとと出てってくれ」

・・・・・・・・・え???? 副長の意外な答えに拍子抜けする完達&団員達。
「…て、団長 あの… つ…捕まえなくて…ええんですか?」
「なんや、捕まえたいんかい 自分ら?」
副長の威圧に押された団員は誰も捕まえたくない、とっとと消えて欲しいと口を合わせ始める。
完は副長の気づかいに礼を言おうと口を開くと……
『うっとーしな! さっさと行かんかい!!
 あんたらがちゃんと出てくかどーか 全員で見届けたるわ!!』
そこら辺の石や空き缶を完に一斉に投げつける団員達に、完は慌てて準備をする。
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操船を桐生に任せ、船は出港する。――“南”の生存者を救出するために。
「副長…」
甲板から自警団を眺める完、副長達も船を見送っている。
「ホスト面だったけど、イイ人だったね」
「ホスト面はしゃあない、なんせ4年前まではミナミでブイブイいわせとったNo1・・・・・・
 って、何でルネちゃんキミまで乗ってんねん!! あかんがな、キミ乗ってたら!』
まさか同船していると思わなかったルネに声をかけられ驚く完だった。


「行ってしまいましたな、団長」
「どーせまたすぐ帰ってきよるわ…」
徐々に小さくなる船を見送りつつ、副長は完が生きて戻る事を信じていた。
220あらすじネクタール 4/5:2011/04/15(金) 20:54:36.90 ID:kkOlJ6f7
その頃、完の家では…父がルネの置手紙を読んでいた。
(やはり…行ってしまったか… わかっていて引き止めなかった私を、君なら責めるだろうか…?
 だが、ここに居た方が安全と言う確証は何もない…
 それならば、親の私が居て欲しい場所よりは子供本人が居たい場所に居させてやるべきだろう…)
10年前の完と妻の写真を見て物思う父。


……そんな感動的な展開とは裏腹に、船上では桐生を挟んで完とルネがもめていた。
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『絶対あかん!! 桐生!どっか岸へ着けぇ!!』
『絶ッ対やだ!! 桐生クン、着けちゃダメだからねl!!』

「ど…どないしまひょ、姐さん…(゚ω゚; 三 ;゚ω゚)」
しかし香ノ宮は桐生の好きにすればとそっけない。
『遊びやないんや、ルネちゃん!絶対にキミ連れてくワケにいかん!』
『何でよ! 何でこの中であたしだけ仲間はずれになるの!?
 あたしだって7年前、みんなと一緒に生き残ったんだよ!
 それで完兄が連れて帰ってくれたんじゃない!
 だったら最後までみんなと一緒にいたっていいでしょ!!』
『お父んがどんだけキミの事心配しとるか知ってるやろ!
 お父んのためだけでもええから、今すぐ船から降りるんや!!』
『お父さんが心配してるのは完兄だって同じじゃない!
 完兄は自分だったら死んでも誰も哀しまないとでも思ってんの!?』
『オレらは別に死にに行くわけやない! シンゴ君連れて必ずみんな生きて帰ってくるんや!!
 みんな一緒に言ーのやったら、その後なんぼでも……!』
221あらすじネクタール 5/5:2011/04/15(金) 20:55:18.36 ID:kkOlJ6f7
「だったらさ………… この子も生きて連れて帰ってあげればいいじゃない」

兄妹ゲンカに(あらすじを含め)うんざりする中、香ノ宮が鶴の一声を発する。
もちろん完は反論するが、香ノ宮はそれをスル―する。
「わかってるわよね、自分から行くって言う以上…
 連れて帰って“もらえる”とか保証とか… そんなものありえない…
 7年前からわかってるはず、そんな事…」


…そして完は一人船先に佇んで海を眺めていた。
「怒ってる……よね さっきの事でしゃばって…」
申し訳なさそうに完に近づく香ノ宮。
「別に… むしろよかったわ、それは…
 オレの口からは連れていく言うワケにはいかへんかったからな…」
「でも、すごい怖い顔して海見てたよ…」

「ああ… シンゴ君の事思ォてた シンゴ君の生きてきた4年間…
 オレらはこの4年間…大変やったけど、
 こんな風に仲間内で揉めたり騒いだり結構楽しゅう生きてきた…
 けど、シンゴ君は… あの意地っ張りクンは多分一人で生きてきたんやろな…て
 この4年間、ずっと… 1人で…なんもかんもしょいこんで…」

――親友の事を思いたそがれる完。
その内、九州…“南”が見えてきた事に幡場は大声を出して仲間に知らせた。    <続く>
222マロン名無しさん:2011/04/15(金) 21:09:17.79 ID:???
>NAME 桐生 新八 Age13

 ウ ソ だ っ !!
223マロン名無しさん:2011/04/15(金) 21:28:59.85 ID:???
ルネ
>SEX  (空白)
意味が分からなかった空白なのか、それともまだ処女と言う意味の空白なのか…

というか桐生、でかいでかいとは思ってたけど2m超えてるのかよ!
224マロン名無しさん:2011/04/15(金) 21:58:55.39 ID:???
元副長いい人で良かった。
自警団の皆も本音は完を捕らえたくなかったようで・・・
帰る場所はあると見て良いだろう。
225マロン名無しさん:2011/04/15(金) 22:21:09.65 ID:???
貴様のような13歳がいるか!
226マロン名無しさん:2011/04/15(金) 23:03:13.46 ID:???
なにげに幡場のフルネームを初めて見たような気が。
227マロン名無しさん:2011/04/15(金) 23:55:32.57 ID:???
>>226
言われるまで気づかなかった…つうか幡場らしくない名前だなw
228マロン名無しさん:2011/04/16(土) 02:16:30.84 ID:???
>>217
第一部生存チームの三名は脱獄囚。
殴り書きで大きめサイズの文字、札は斜めに片手持ち。

その他チームの三名は模範囚。
丁寧かつ普通〜小サイズの文字、札は水平に両手持ち。

この面子で一番油断ならないのは香ノ宮さん、次点で留音ちゃんだと思うw
229マロン名無しさん:2011/04/16(土) 08:59:47.70 ID:???
香ノ宮は姐さんポジションか
字綺麗だなー!
桐生でかすぎw
え、こんなに縦も横も大きかったっけw?
230マロン名無しさん:2011/04/16(土) 13:47:46.05 ID:???
13歳で2m越えてて船舶運転できて車の運転可。

・・・BMのせいで遺伝子おかしくなったんじゃねーのコイツ・・・
231マロン名無しさん:2011/04/16(土) 14:44:16.84 ID:???
このペースなら24歳で3m超えるなw
232マロン名無しさん:2011/04/16(土) 14:44:54.93 ID:???
文明が崩壊したから何でもできないと生きていけないんじゃないか?
身長については実際、年齢の割に背が高い子もいるっちゃいるし。
233マロン名無しさん:2011/04/16(土) 15:09:00.48 ID:???
今更13歳が仲間入りするんだ。
これくらいオーバーなスペックじゃないと背中を預けられないだろう。
・・・いや、何も13歳にする必要はないな。
234マロン名無しさん:2011/04/16(土) 16:17:03.39 ID:???
生き残るのに年齢は関係ありません。問題は技能や知識です。
ほら、香ノちゃんだってミドに言ってたじゃないか。
体力バカよりもミリタリーヲタの知識が役に立つ、って。
235マロン名無しさん:2011/04/16(土) 16:20:29.93 ID:???
だがこの作品世界では年齢が高いと生存確率が下がる傾向は有るな
236マロン名無しさん:2011/04/16(土) 19:53:06.39 ID:???
「顔が駄目だと」、だろ?
237マロン名無しさん:2011/04/16(土) 20:17:26.35 ID:???
上に加えて「性格も悪いと」だね
238マロン名無しさん:2011/04/16(土) 21:37:27.43 ID:???
性格が良すぎても逆に死にやすくなるけどね
239マロン名無しさん:2011/04/16(土) 21:56:56.59 ID:???
香ノ宮ってルネより背が低いのか?幡場といるから小さく見えるだけかと思ってた。
240マロン名無しさん:2011/04/16(土) 22:09:43.60 ID:???
どうでもいい一般人

雑兵(米兵、雑魚コンキエスト、対BM部隊

クズ、小悪党(ツネ汚、ババア、桐嶋、議員、秘書、後藤、リーダー3人組etc

実はいい人だった(池内、キミちゃん

悪党のボス(ドレクス、ダグラス、メガネ隊長

頼りになるいい人(おかん、カーネル、仙波さん、坂田さん

大体この順に死ぬ感じだな
新シリーズはメガネが強すぎて順序が入れ替わったけどw
241マロン名無しさん:2011/04/16(土) 22:26:32.29 ID:???
調査超乙! 確かにそんな感じだw
242マロン名無しさん:2011/04/16(土) 22:34:56.50 ID:???
クズ・小悪党枠が充実しすぎだよなw
もうでてきた瞬間に「あーこいつもうすぐ死ぬな」って分かるw
243あらすじネクタール 1/4:2011/04/17(日) 21:59:53.54 ID:BmBzLXBb
 Vol,91 〜上陸!〜
<扉絵:死神風の衣装をまとったシンゴ>


 ―壊滅した夜の高千穂―
路上に、ビルにあちこちに無数のBMが徘徊する。
次第に夜が明け、逃げ遅れたBMがたちまち干物へとなってゆく。



 ―通称局・局長室―
まばゆい朝日で目が覚める銀次とミハル。するとおもむろに久我が部屋へ入ってきた。
「楽しい?
 あなた達―――― コンキエストの願いが実現したんですものね さぞやいい眺めでしょう?」
『な なんだよそれ!オレ達は…!』
つかみかかりそうになる銀次をミハルが止める。
「あなた方がコンキエストだという事を、他の避難民の人達が知ったら
 多分… あなた達を八つ裂きにするでしょうね… 決して許されようなんて思わない事ね…」

するとシンゴが部屋へ入ってくる。
「もうよせ久我君 世界をこんな風にしてしまったのは我々だ 少なくとも、その子達じゃない…」
銀次達は通信施設の状況を聞くが、ベースに入る際にシンゴの護衛についた米兵が答える。
「まるっきりダメだな、屋外のアンテナ類が全部BMどもにやられちまってる
 なまじっか建物が立派な分だけ一度閉めきっちまうと、
 屋外アンテナ無しじゃ極端に電波状態が悪くなる
 ま、もっとも今更通信が復旧したからって、どうなるってもんでもねぇと思うけどね…」
――しかしシンゴは落ち着き払っていた。
「局長… まだ…思ってらっしゃるんですか? その“彼ら”が本当にやってくると…」
244あらすじネクタール 2/4:2011/04/17(日) 22:00:36.90 ID:BmBzLXBb
 ―洋上―
ミドは無線を調整しているが、何度やっても通信がつながらない。
「どういう事? “南”のジャミングはとっくに止まってるワケでしょ?」
「ええ 多分シンゴさん側の通信施設のトラブルだと思います」
「オレ達がここまで来てるってこと、シンゴに知らせる事もできねぇってワケかよ」
「モトより覚悟の上や、オレらが直接会いに行けばエエだけの事やろ」


覚悟を決めた完達は精巧な地図を広げ作戦会議する。
「スゴイな、こんな地図どないしたんや?」
「ジャミングがなくなったんで、衛星ナビの情報が受信できるようになったんですよ」
「要は4千人を海まで運べばいいってコトね BMは塩に弱いから、海水の中までは追ってこれない
 船は沖に停泊させておいて、あとはのんびり泳いででもたどり着けばいいわ」
「けどよ、4千人だぜ 4千人を40km運ぶって…」
幡場の言葉に一同、沈黙してしまう。

「――ま、オレらがここで考えとってもしゃーない
 オレらがここまで来てる事さえわかれば、きっと何とかしてくれる
 シンゴ君ゆーのはそーゆー男やろ?」

完の励ましに重い空気を吹き飛ばし、香ノ宮・幡場・ミドは微笑む。
完はさっそく桐生に接岸するように指示するが、桐生は空を見上げると何かに気付いた。



 ―通称局内部―
4千人の避難民は疲弊しきっていた。
泣く子供をあやす母親、年老いて衰弱した父を心配そうに見守る中年女性……
245あらすじネクタール 3/4:2011/04/17(日) 22:01:36.40 ID:BmBzLXBb
――その頃、シンゴは東条にかけあっていた。
「食糧だと?」
「職員食堂のための食材の備蓄があるはずです、それを市民達に…」
「冷蔵庫1台分の食材を4千人に…な 何程の足しにもなるまい」
「子どもと衰弱の著しい者だけでいいのです、このままではいずれ彼らは…」
「神悟よ 貴様あの4千人をどうしようというのだ?
 ギリギリでお前が発した避難命令でこの庁舎に対比しえた者4千人
 航空手段や船舶を所有していた者の中には、国外へ脱出し得た者もいるだろうな
 それらを含め、多く見積もって1万人…か
 まさか、1万人を救ったつもりでいるのではあるまいな?」

「お前は―――― 千三百九十九万人を殺したのだ、4年前と同じに…な」

東条の言葉にシンゴは目を見開き固まってしまう。
「4年…前…?」 思わずオウム返しに問う久我。

「4年前… 紛失した生体BMサンプルを追跡していたあなたは、
 飛騨山中のある山村にそれを所持した犯人達が潜伏している事をつきとめた…」

突如部屋の隅から男の声がした。それは、いつの間にか部屋にいたジャン・クローシュだった。
「当時BM対策室長だった東条氏の与えた指令は、山村もろとも一帯のナパーム焼却…
 しかしあなたはその指令に背き、自ら犯人グループと対峙した…」


 <以下回想>
コテージに2人の犯人を追いつめるシンゴ達。
いくつもの銃口を向けられ、犯人達にそれを返せと歩み寄るシンゴ。
…しかし犯人はニヤリと笑うと、なんとすぐ側の裏口を開け、谷底へBMのカプセルを投げ捨てた!
――犯人共は射殺されるも、最期まで笑っていた…。
シンゴが裏口を見下ろすが、もはや回収はできなかったのだった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110417213524.jpg
 <回想終了>
246あらすじネクタール 4/4:2011/04/17(日) 22:02:20.25 ID:BmBzLXBb
「聞いてしまえばなんという事はない――――
 あなたは何度も同じ事を繰り返している… 目前の…小さな悲劇に自分が手を下す事を恐れて
 より大きな決定的な破滅を引き起こす天使気取りでね…
 “新世紀の死神” ――――それこそがあなたにはふさわしい称号でしょうな、シンゴ・東条」




その頃、完達は船から車で港へと降り立っていた。
『よっしゃ桐生!すぐに岸から離れるんや!!』
言われるまま岸から離岸する船。その船の上ではルネが叫んでいた。
『完兄ィ!! 絶対帰ってきてね、完兄ィ!!』
ルネの願いに完はサムズアップし出発する。

「天気も上々! ちょっとハードなドライブ日和やな」
無線で桐生に報告すると、桐生から嫌な返答が入る。

《それなんやけどな、兄さん
 あいにくオレの天気見が正しかったらヤバいで… 低気圧が接近してる…》

嫌な予感を覚えつつ、桐生はただ船を守ることしかできなかった。            <続く>
247マロン名無しさん:2011/04/17(日) 23:34:46.64 ID:???
>《それなんやけどな、兄さん
 あいにくオレの天気見が正しかったらヤバいで… 低気圧が接近してる…》
相変わらず「一難去ってまた一難」っぷりは健在か

ともあれもう少しで第3部になってようやく完達とシンゴが合流するのか。胸熱だ
248マロン名無しさん:2011/04/17(日) 23:58:38.56 ID:???
死神は言い過ぎだが、
シンゴが目先の悲劇から目をそらして災害に繋がったことは事実━━!
249マロン名無しさん:2011/04/18(月) 00:29:24.83 ID:???
犯人は何だって生体BMサンプルを3年も持ち歩いてたんだろうな。
250マロン名無しさん:2011/04/18(月) 10:29:50.30 ID:???
ルネの両親の件は仕方なかったが
サンプル谷底事件は擁護できないな
東条パパの判断が正しいと思う
交渉するなら、犯人がどこへも逃げられないよう
封鎖すべきだ
裏口とか
251マロン名無しさん:2011/04/18(月) 18:47:22.78 ID:???
4年前もできることが無かったわけじゃないが何もできなかった、とか言っていたから
この後もに辺り一帯を焼き払うのを躊躇って結果、本州を壊滅させたって事だからな。

小さな山村で被害は最小に抑えられたと思われるのに少数を切り捨てられなかった。
252マロン名無しさん:2011/04/18(月) 22:00:54.36 ID:???
少を犠牲にしてでもBMの繁殖を阻止しなければならなかったが…
さすがにそこまで非道になれなかったか、シンゴ。
253マロン名無しさん:2011/04/19(火) 08:59:30.17 ID:???
目の前の小数を切れないのはルネの両親の件がトラウマなのかも
でも本州壊滅が分かっていながら何も「できなかった」ではなく
「しなかった」のは罪に入るだろう……
目の前の小数も結局犠牲になってるんだから
俺も擁護できん
254あらすじネクタール 1/4:2011/04/19(火) 21:30:27.10 ID:pkWY/H3K
 Vol,92 〜恩讐の彼方〜


桐生の見立てでは、じき低気圧が来る―――― しかし完達はそれを信じなかった。
「アホかい! この上天気やぞ? ワレの天気見なんぞアテになるかい!」
そうなのだ。外はBM君が避難するほど、雲もほとんどない快晴。信じられないのも無理もない。

《そー思いたいトコやけど、オレは寿司屋や この4年間は毎日海に出てる
 海の天気のコトやったら、あんたよりはわかるつもりや
 ――間違いない、夜までには荒れよるで》

桐生の無線を聞き、完達の顔に一筋の汗が流れる。
《もっと早うに言えへんかったのは申し訳ないと思てるんやけど、
 何分慣れへん土地やからオレもなかなか確信もてへんかって…》
「それは別にかめへんわ どーせせやから言ーて、上陸せーへんちゅーワケでもなかったしな
 オレらの事よりそっちや船は大丈夫なんか?」
《わからへん 図体はデカイけど、所詮は“はしけ”やからな
 外海の波風に耐えるよーにはできてへん》
「…桐生! ワレは船だけ守れ!! ルネちゃんにもしもの事があったら生かして帰さへんで!!」
《それやったら、あんたもあんじょう生きて帰ってくるこっちゃ!》

――緊張に満ちた通信が終わる。こうなると、のんびり行動している暇は無い…
「新都庁までは2時間もあれば着けます あとはシンゴさん次第ですが…」
「そもそもオレら、どないして都庁ン中入るんやっちゅー話もあるしな
 …そーいや、キミらがさっき積み込んどったその荷物、それ一体何やのん?」
後部の幡場と香ノ宮を振り返ると、何やらトランクが4つ積まれている。
「ヘッ オレらだって何も考えねーで出てきてるワケじゃねーぜ 秘密兵器よ、ヒミツヘーキ!」
…体力バカ幡場の考えた秘密兵器、ねぇ…… 完(&読者)が呆れていると、香ノ宮が口をはさむ。
「あ、安心して 考えたのはあたしと篠浦クンだから」
「何や、そんならえーわ」
『ちょっと待て、何だよそりゃ!!』
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110419212558.jpg
255あらすじネクタール 2/4:2011/04/19(火) 21:31:08.74 ID:pkWY/H3K
…閑話休題。ふと思い出した香ノ宮はおもむろにニコバッジを渡す。
「やっぱ自前のツナギに着替えたんだったら、要るでしょそれ?」
「クリップ… 直してくれたんか?香ノちゃん…」
「ま、入院中ヒマだったしね」 そう言ってニコバッジの様ににこやかに笑う香ノ宮。
「い いや ヒマやちゅーて、キミ… 腕利かへんかったんちゃうのん…?」



 ―都庁・知事室―
今だ話を続ける東条親子。
「フランスへ?」
「これ以上、この国に居ても意味はあるまい? 今や全人類の為にBMの供給を止めるワケにはいかん
 この国にその管理ができないのであれば、どこかが代わってやらねばなるまい」
「そこでそれでしたら、ひとつ我が国が全人類の為にお役に立とうと言うワケでしてね
 ま、先日はおマヌケな軍人どものおかげでご迷惑をおかけしましたが、
 事ここに至っては私利私欲に走っている場合ではありません
 ただただ全人類の将来の為に、東条氏を我が国にお迎えしたいと思います」
そう説明するクローシュ。どこまでも食えない男だ。
「父…さん あなたはまだ…」
「お前も来るか? 神悟」
「まだわからないのですか、父さん 人類にBMの管理などできはしない!
 BMの開発は何の解決にもならなかった
 ただ、我々人類が犯してきた過ちをより大きな過ちで塗りつぶそうとしただけです
 人は自らの過ちを管理する事などできない」
「誤りはBMの存在ではない、それに携わる人間達の無知と強欲にこそある
 “私の”BMに罪はない、この先も人間を支え続けるのだ、“私の”BMが!」

これ以上は親子間の話になりそうなので、クローシュは一旦席をはずす。
「ムッシュ東条、ヘリポートでお待ちしておりますよ」
「1時間で行く」
256あらすじネクタール 3/4:2011/04/19(火) 21:31:51.07 ID:pkWY/H3K
「マドモアゼル、よろしければあなたもいかがです?
 こんな島国にしがみついて果てるよりはマシでしょ?
 あなたが望むなら連れて行ってさしあげてもいいんですがね
 ま、私の愛人(ラ・マン)の一人と言う事なら…ね」
久我の顔を覗きこみ、下卑た薄笑いを浮かべ退室するクローシュ。

部屋を出るとヘリパイロットと護衛が低気圧の接近を確認した為急ぐようにと促した。
「なに、そう時間はかからんさ 1時間後には我々はBMの全てを手に入れる
 ナポレオンは無様にしくじった 今度こそ全世界は我が国の前にひざまずくんだ!!」


 ―知事室―
久我がドアノブに手をかけると、廊下のクローシュ達の会話が聞こえてくる。
「しかしこうしてみると“7年前の事”はむしろ幸いでしたね」
その様子を聞いた久我はこっそりと聞き耳を立てる。
「あの時、予定通り生体BMの持ち出しに…」
「シッ! 調子に乗るな、ここはまだ日本だ」
その会話を聞いた久我は東条親子に気付かれないよう、こっそりと部屋の外へ出て行った。



ヘリポートにて東条を待つクローシュ達はエレベーター到着の音を耳にする。
「ど――――も 意外に早かったですね、ムッシュ…」
しかし現れたのは東条ではなく、険しい表情の久我だった。
「ハハ… 私をフランスへ連れてって&hearts;  ――という雰囲気ではなさそうですな」
「ジャン・クローシュ フランス食糧相補佐官…
 ただし2年前まではフランス諜報局日本担当支部長…」
「ハハ…別に隠すつもりもなかったんですけどね…」
「7年前… 生体BMのサンプルを持ち出そうとしたのはあなたですか?」
「ア・タ・リ♥」
隠そうともしらを切ろうともせず、邪悪な笑いを浮かべながら白状するクローシュ。
257あらすじネクタール 4/4:2011/04/19(火) 21:32:33.36 ID:pkWY/H3K
「まったくまいりましたよ、あの時は…
 日本のチンピラどもをそそのかしてグローバルフォーラムから盗み出させたまではいいんですが
 いざ引き渡しの段になって、連中 値を吊り上げてきましてね…
 交渉に手間取っているうちにあの東条親子がいまいましい程手際よく厳戒態勢をしいてしまった
 あとはよくご存じの通りですよ クク… 世の中何が幸いするかわかりませんねぇ」
明らかになった真相に、クローシュの部下もニヤニヤ笑っている。

「…許さない……」 登場以来、初めて憎しみの表情を浮かべクローシュを睨みつける久我。

「クッ 似合いませんよ、そういうセリフ」
「私の家族 私の友人 4年前死んだ日本人全て 4年間、局長が背負ってきたもの全て…」
「ククク… 許せなかったら… どうします?」

「この庁舎は緊急時の避難所として想定されているわ…
 だからそれぞれのブロックは完全に密閉されるように出来ている」
 つまり仮にこのヘリポートにBMがあふれても、下のフロアには影響ないと言う事…」

『 !   ま… まさか!!』 クローシュは驚愕するが、同時に天井のハッチが開く。
――すると庁舎に張り付いていたBMの群れがヘリポートへと降り注ぐ!
「ヘリポートの出口は私の権限で封鎖しました あなたには動かせない」
「我々を殺すだけならあなたは来なくてよかったんじゃないか?
 外部からでもこの位の操作はできたはず…」
「あなたの死に様を見届けたかった」
「なるほどね… 光栄ですよ、マドモアゼル…」
冷静を装うクローシュと久我の身体から血飛沫がほとばしる。
――――こうして、久我はクローシュを道連れにし、死んでいった者達の復讐を遂げた――……
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110419212613.jpg


同時刻、庁舎から街を見下ろしていた銀次とミハルは車が近付いている事に気付く。
「見えてきよったでぇ、あれが噂の新生都庁かいや…」
完は表情をこわばらせながら呟いた。                            <続く>
258マロン名無しさん:2011/04/19(火) 22:45:19.20 ID:???
根性座ってるなこの二人
259マロン名無しさん:2011/04/19(火) 22:51:56.19 ID:???
久我さん…。・゚・(ノД`)・゚・。

>>258
誰と誰?
260マロン名無しさん:2011/04/20(水) 00:14:49.74 ID:???
なんかクローシュ引っ張ってた割には唐突に死んでしまったけど、まさか、打ち切り
に入っちゃった?
261マロン名無しさん:2011/04/20(水) 05:47:18.94 ID:???
>>259
クローシュと久我
復讐でヤケになった久我はともかく
クローシュはあの状況で慌てないとか。
262マロン名無しさん:2011/04/20(水) 09:54:08.77 ID:???
久我さんかっこいいよ……
クローシュも元凶の一人かよ!!
判明した途端死んじゃったのでちょっと気持ちが落ち着かないが
263マロン名無しさん:2011/04/20(水) 22:30:37.57 ID:???
貴重なマン○がまた一人減った…orz
264あらすじネクタール 1/4:2011/04/21(木) 21:34:36.91 ID:YM2rACpr
 Vol,93 〜待たせたな〜


完達を乗せた車は路上のBMを踏み潰しながら新生都庁へとひた走る。
『待たせたなシンゴ君! 迎えにきたでぇ!!』


――その頃、シンゴは内線で久我の死を知らされ茫然としていた。
「久我君が…?」
《は はい ヘリポートの封鎖を命じられまして… お一人でヘリポートへ向かわれて、その後…》
「バカな… なぜ…そんな事を…」
《わ 私達は何も知らなかったんです! まさかこんな事になるとは思》 ブツッ
内線は突如東条によって切られてしまう。
「愚かなマネを… もう少しは頭の良い娘と思ったのだがな…
 過去にあのクローシュという男が何をしていようが、所詮過ぎ去った出来事への感傷
 全人類の未来と秤にかけるべき問題ではない」
「彼は… 一体何を…?」
「この“私のBM”を欲しただけだ、7年前のあの日から…な」

ふと、廊下が騒がしくなる。
何事かとシンゴが廊下に出ると、銀次とミハルから車が来た事を聞き驚いた。



同時刻、完達の乗った車は都庁の前に止まらず走り回っていた。
窓からそれを見た米兵はきっとどこかに隠れていた南の生存者だと叫ぶが…
シンゴは直感であの車の連中が“彼ら”だと感じ取っていた。
『あ あり得ねぇよ! 米軍だって全部引き上げちまったんだ!
 こんなBMの群れン中にノコノコ来るようなヤツなんざ、絶対……!!』
「だからこそ―――― 彼らしかいないんだ…」
265あらすじネクタール 2/4:2011/04/21(木) 21:35:18.57 ID:YM2rACpr
…とはいえ、問題はどうやって彼らを都庁内に入れるか、だ。
「シャッターを開けるってのはナシだぜ、東条
 いくら日向側であっても、地下駐車場への入口にゃ、日陰がいくらでもある
 シャッターが動き始めりゃたちまちBMがなだれこんで食い止めようがねぇ」
「ヒース、何とか彼らと交信できないか?」
「ムリだろうな… あの車にそんな高性能な通信機能が積めるとは思えねぇ
 こっちの設備が完全な形で機能しない限り、あのレベルの無線と会話するのは難しいな…」
「どーせ何も考えちゃいねーに決まってんだよ、大体今さら何ができるって…」
「テッド!」 暴言を吐く米兵・テッドを諌める黒人兵士。
しかしシンゴはどうにかできないかと考えている…
「おいおい、テレパシーとか言わねぇでくれよ
 考えたからってあいつらの考えがわかるってワケじゃねぇだろ」
「わかるさ ボクらは何度も同じ状況を一緒に生き抜いてきた…」

(麻綾君達ならどうする? 彼らのおかれている状況――――
 同じ条件、同じ制約、同じ可能性… そう、必ずたどりつく…)


 ―車内―
無線で何度もシンゴに呼びかけるが、ノイズばかりで一向に返事が無い。
「あかん… やっぱり通じへん シンゴ君がオレらに気付いてるかどうかもわからへんわ」
「もうしばらくこのまま走り続けるしかねぇだろ、そのうちシンゴも…」
「そうも言ってられないようです…」
外を見ると、さっきよりも強い風が吹き始めていた。
「海からの風が出はじめました… 桐生君の言う通りなら、荒れ始める前兆でしょう…」
「時間は無いちゅーコトやな」
「あとはシンゴ君を信じて、計画通りやるしかないわ」

「ヘッ、そんじゃいよいよ… 秘密兵器の出番てワケか」
おもむろに持ってきたトランクを開ける幡場。その中身は… ただの“ ラ ジ カ セ ”??
266あらすじネクタール 3/4:2011/04/21(木) 21:36:00.86 ID:YM2rACpr
幡場はトランクごと音楽を流したラジカセを窓から投げ捨てる。
すると音楽につられ、トランクにBMが群がって行く! こういう使い方だったのか!
全てとはいかないまでも、かなりBMを引き付けたおかげで地下駐車場へ突入しやすくなった。
「この時間、あの駐車場入口が一番日当たりがええ
 あのクソうるさいラジカセにBMどもが喰いついとるうちやったら、
 シャッター開けてもBMが中へ入る事は無い…」
「シンゴさん… わかって…くれますかね…?」

「実際に起こっている事を観察して、冷静に判断すれば当然たどりつく結論ばかりだろ?
 …スゴイやろ? シンゴ君が小5の時のセリフやで、これ
 シンゴ君は絶対オレらと同じ結論にたどり着く 絶対にあのシャッターを開けるはずや」


トランクに群がるBMを見て毒づく幡場。
「ヘッ もっとガンガン喰いつけ!そのトランクはジュラルミンで出来てんだよ
 おめーらがいくらかじりついたって、中のラジカセはビクとも・・・・・」
そこで異変が起こる。どうした事か、音楽が流れなくなっているではないか!

『BMで埋め尽くされてるんだ!』  ――大誤算!

「トランクに喰いついたヤツらは干からびて行くから、これ以上仲間を呼ぶ事もしない…
 このまま音が聞こえなくなれば……」
「当然この車にも来るわな…」


――ついに音が完全に聞こえなくなり、BMは車に向かって移動し始める!
『ミド! あのシャッターに突っ込むんや!!』
『ダ ダメです! シャッター壊しちゃったら…!』
『いいから! 行きなさい篠浦クン!!』
もうどうにでもなれとミドはシャッターに向かって突撃をかける!
267あらすじネクタール 4/4:2011/04/21(木) 21:36:42.40 ID:YM2rACpr
激突寸前―――― ついにシャッターが開いた!!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110421213222.jpg

シャッター内にはあの3人の米兵が火炎放射機を持って待ち構えていた。
『テッド! ドレン! たいした数じゃねぇ!落ち着いて片づけていこうぜ!!』


…侵入してきたBMは全て焼き払われ、一安心する一同。
車から降りた完達は、久々にシンゴと対面する。

「ホンマかなわんわ… なっかなか開けてくれへんから、オレらに会いたないんか思たでシンゴ君」
「キミにならってね、少し出のタイミングをはかってみたんだ…
 ともあれ…… ようこそ、高千穂へ」

数年ぶりの再会に、無表情だったシンゴも思わず頬を緩めるのだった。       <続く>
268マロン名無しさん:2011/04/21(木) 21:46:05.35 ID:???
おっとこまえすぎるぜシンゴ
269マロン名無しさん:2011/04/21(木) 22:47:09.33 ID:???
ようやく主人公ズが勢ぞろいしたか。
これからは第3部の本領発揮だな!
270マロン名無しさん:2011/04/22(金) 00:37:31.85 ID:???
シンゴと一緒にいる軍人、
ダグラスが死にかけて丸くなったのかと思ったら
子供が居るから死にたくないって言ってた人か。
271マロン名無しさん:2011/04/22(金) 06:30:16.30 ID:???
あれって明らかな死亡フラグじゃないか?
272マロン名無しさん:2011/04/22(金) 08:48:08.44 ID:???
電源再起動の時に死んだかと思ってたw
これから死ぬのか
273マロン名無しさん:2011/04/22(金) 16:16:14.95 ID:???
これからまだサバイバルがあるって事は…
なんとか建物内まで避難したのに食料が尽きかけてて
もう一回外に出なきゃいけない上に今回は海もあって
大阪まで辿り着けても自治区が無事かハッキリしてなくて
無事でも確実に飽和状態になるから、他みたく崩壊しかねないわけだ
4年前に九州へ脱出できた人もいるだろうに、どこのハンター試験だよ
274マロン名無しさん:2011/04/22(金) 18:05:19.78 ID:???
完たち、到着早いなw
しかしこれからが大変だろうな……
275マロン名無しさん:2011/04/22(金) 20:16:01.06 ID:???
ずいぶん合流が早かったな。クローシュ達もさっさと始末しちゃったし、展開を急いでるような。
276マロン名無しさん:2011/04/22(金) 21:06:30.20 ID:???
1部のセリフを巧く使ってるなあ。
作者って劇団主宰してるんだっけ?どーりでセリフ回しが巧いわけだわ。
277マロン名無しさん:2011/04/23(土) 01:02:35.01 ID:???
ごめ、一部のセリフってなんだっけ?
278マロン名無しさん:2011/04/23(土) 07:33:47.24 ID:???
>「実際に起こっている事を観察して、冷静に判断すれば当然たどりつく結論ばかりだろ?
 …スゴイやろ? シンゴ君が小5の時のセリフやで、これ

これじゃないのか。
279マロン名無しさん:2011/04/23(土) 13:49:21.99 ID:???
ああ、なるほど、読み飛ばしてたよありがとう!

ところでシャッターに突っ込む前の香ノちゃんの胸の谷間がエロい件。
280マロン名無しさん:2011/04/23(土) 13:59:27.00 ID:???
>>278
でもそれ確かシンゴくんはBMの事を知ってるのに知らばっくれて言ったセリフだよなw
ミドはその事を知らないから通じるが、それに賭けられる完たちは流石だな。
281あらすじネクタール 1/4:2011/04/23(土) 21:58:58.42 ID:gUjGxk/N
 Vol,94 〜退避?〜


7年ぶりの再会に微笑む一同    ――と思いきや、突如シンゴは両膝をついた??!!
「ボクは… 君達に謝罪しなければいけない…」
なんとここに来て、シンゴの土下座を見るとは思わなかった一同は皆驚く。
「君達を… 本土の人達を拒絶し続けた事……
 そして…南の人達を… 偽りの降伏で欺き続けてきた事…」

「……今さらナニぬかしとんねん ボケ
 謝罪なんぞする位やったら最初っからしないなや!!
 キミはキミが一番正しいて信じとる事やってきたんと違うんかい!!
 せやったらナニ地べたはいつくばっとんねん!!
 オレらはそんなカッコ悪いキミ見に来たワケちゃうで!!』

完の一喝に驚きつつ顔を見上げるシンゴ。
「まだ、せなならん正しいコト残ってるやろ? 立てやシンゴ君」
そう言って微笑む完だった。


『 で か ッ !! 』
その後、彼らは超・巨大なトレーラーを目の辺りにして思わず叫んでいた。
高さは優に普通の家の3階分はありそうだ…。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110423214302.jpg
「主にBM関連事業に使われてきた超大型トレーラーだ 最大積載量は150t
 およそ公道を走れる車両としては世界でも最大級だろう」
「そ そらまたゴッツイな〜…て言ーか、公道走ってたの、こんなモン…」
「ま 夜中にこっそりとね… コレ1台で2千人は運べるだろう、2台で4千人だ」
「それにしてもよ、よく都合よくあったな こんなバケモンみてぇな車…」
「こないだ逃げ出した時にね せっかくだから拝借してきたんだ …必ず必要になると思ってね」
「オレらも必ず何か用意してくれると思うてたで!」
282あらすじネクタール 2/4:2011/04/23(土) 21:59:48.63 ID:gUjGxk/N
その後、シンゴは放送で避難民に救助が来た事を知らせる。
地下駐車場へ避難民を誘導するが、トラブルを起こさぬどころかあちこちでトラブルが発生。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110423214314.jpg
避難民達は我先にとトレーラーに乗り込み始めるが、殺気があちこちで立ち上り始める。
幡場は全員乗れるから落ち付けと叫ぶが、もはや避難民達の耳には入らない。
見かねた香ノ宮は隣に居た銀次の火炎放射機に目を付ける。
「ゴメン、ボク ちょっとそれ貸して」
――そして香ノ宮はトレーラーの上に昇ると、威嚇の火炎放射を一発かました!

「何べんも言わせないで、この車には4千人全員が確実に乗れる
 冷静に行動すれば誰一人犠牲にならずに済むわ
 ただし… みんながそんな様子じゃ、助かるものも助からない
 ――と、ゆーワケで、次にトラブル起こした人は 遠 慮 な く 撃 ち ま す ! 
 多分… その周りの人も、何人かは巻き添えを喰うと思うけどゴメンね」

その一言で避難民の暴動は沈静化した。さすが香ノ宮だと幡場に言う完。
「香ノ宮が… 好き好んで強くなってるとでも思ってんのかよ、バカヤロォ…」
完はもう一度香ノ宮を見ると、その顔はどこか悲しそうだった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110423214743.jpg


その頃、東条は―――― 迎えに来た職員に背を向けたそがれていた。
「フフ… 理解できんよ、リスクを冒してここまでやってくるその行為にメリットがあるのか…
 愚行もここまでくると、一種の娯楽だな」
「あ… あの、知事… そろそろ退避を…
 一般市民と一緒では何かと危険です、専用車を出しましょう…」
「退避?」
283あらすじネクタール 3/4:2011/04/23(土) 22:00:30.55 ID:gUjGxk/N
 ―同時刻・洋上―
かなり荒れてきた海から船を守る桐生、完の無事を祈るルネ。
「けっこー荒れてきよったな… 急いでや、兄さん
 これ以上荒れてきよったら、BMの変わりに高波に飲まれて皆さんオダブツやで…」



 ―地下駐車場―
『天候が荒れてる、あまり待てんぞ! 乗り込み次第出発する!』
『あとは都庁の職員だけです、ヒースさん!!』
シンゴは辺りを見回すが、今だ東条は出てこない。東条を呼びに行った職員に詰め寄ると――

「そ それがあの… 私達も退避するよう申し上げたのですが…
 『退避と言うのは、より望ましい状況へ移動する場合に使う言葉だろう
  今さら私が紀伊エリア(あんな所)へ移動して何が改善されると言うのだ?』……と…」

ショックのあまり力を落とすシンゴに、銀次達が避難民が全員乗り込んだ事を伝える。
『出発できます東条さん!』
『急げ東条、時間が無い! 中には子供も老人もいる!海が荒れるとマズイぞ!
 あとはあんたらだけだ! 東条!!』
運転席からヒースも急かすが、シンゴはその場に突っ立ったまま動かない…。

『ヒースはん! この子らを乗せたら出発したってや!!』

何を思ったか、銀次とミハルの頭を鷲掴みにして叫ぶ完!
「勘違いすなや、シンゴ君 オレらかてまだ死にとーはないで まずこの駐車場は完全封鎖や
 そんでオレらはさっきの…… なんやったっけ」
「第6」
「そや、第6駐車場から乗ってきた車で脱出する」
「チッ しょーがねーな、ほっときゃいーのによ あんなオヤジ」
「ま、でもシンゴパパには色々言ってやりたい事もあるしね」
284あらすじネクタール 4/4:2011/04/23(土) 22:01:14.01 ID:gUjGxk/N
「じゃ、ボクも残らないワケにはいきませんね 一応ドライバーだし」
なんだかんだで結局完に賛同する一同。
「みんな…」
「ただし! いつまでも待てへんで、さっさとオヤジさん連れて戻って来 シンゴ君!」


その頃、東条は自室からトレーラーが出発するのを見届けていた。     <続く>
285マロン名無しさん:2011/04/23(土) 22:05:35.27 ID:KzejKBu3
メギドラオン!?♪。
286マロン名無しさん:2011/04/23(土) 22:11:32.16 ID:???
意外と大勢連れての脱出自体は簡単だった。
しかし今度は親父がガンか・・・
287マロン名無しさん:2011/04/23(土) 22:39:31.24 ID:???
2台で4千人と言うことは、きっと1台の2千人はBMに食われるな。
288マロン名無しさん:2011/04/23(土) 23:26:42.23 ID:???
>>287
もしBMに食われるなら、どういう状況になるのか予想を聞いてみたい
289マロン名無しさん:2011/04/23(土) 23:26:44.19 ID:???
銀次とミハルはここまでか
290マロン名無しさん:2011/04/24(日) 13:59:19.65 ID:???
トレーラーでかすぎw1台で2000人収容ってどんだけでかいんだ!?
デザイン見ると一瞬ロボットに変形するのかと思ったわ
291マロン名無しさん:2011/04/25(月) 11:17:33.87 ID:???
パパ……いずれ死ぬさだめなんだろうけど
ここで退場するつもりなのかな
事態が好転などしないと見切っているのか
とことん冷静な人だ
292マロン名無しさん:2011/04/25(月) 11:58:19.28 ID:???
多分これからシンゴの母親と何があったか明かされるんだろう。回想でしばらく過去編に突入かも。
293マロン名無しさん:2011/04/25(月) 12:05:35.53 ID:???
シンゴは親父なんかとっととおいて行くかと思ったんだが
親父のこと嫌いじゃないのかな?
294あらすじネクタール 1/4:2011/04/25(月) 21:58:28.35 ID:thXExksj
 Vol,95 〜さらばだ〜


ついに天候は大きく荒れ、雷鳴が轟く。
そんな中、東条は降りしきる大雨を見ながら、やや寂しそうに何かを思う――――
次に雷が鳴った瞬間、窓ガラスに迎えに来たシンゴの姿が映る。
東条は黙って振り返り、親子はしばらくの間見つめ合った。


 ―第6駐車場―
車に乗り込み、シンゴの帰りを待つ一向。
「とうとう降りだしたみたいね…」
「さっき出発した人達… 大丈夫でしょうか?」
「あのバケモントレーラーやったら、少々の車ブッとばして走れるやろ
 港まで着くのにそない時間はかからへん
 雨が降り出した言ーても、本格的に海が荒れるまでには、もうちっと時間があるはずや
 あっちは何とかなるやろ」
「どっちかって言ーと、問題はこっちよね
 シンゴ君も大概だけど、シンゴパパはそれに3回位輪をかけてプライド高そーだし…」
「ハイそーですかって、シンゴについてくるとは思えねーな」
「ま、何にしてもオレらが立ち入れる問題やない あとはシンゴ君信じて待つしかないやろ」


 ―知事室―
「にわかには受け入れがたい光景だな… こんな所で何をしている神悟?」
「あなたこそ… よもや死をもって罪を償おうなどと殊勝な考えでいるのではないでしょうね?」
「フ… 私に償わねばならぬ罪などがあるとするなら、それは――――
 自分の息子を過大評価し、強大すぎる権限を与えてしまった自らの不明だ
 まったく… つくづくお前は私の期待を裏切ってくれる…」
「今になってもまだ… あなたはボクと共に生きようとは思ってくれないのですか…?」
295あらすじネクタール 2/4:2011/04/25(月) 21:59:09.65 ID:thXExksj
「お前が問題なのではない BMの歴史が終わったこの世界に… 私が生きる何の意味がある?」

雷光が東条のシルエットを浮かびあがらせ、そしてまたしばしの沈黙が流れる。
「あなたの…方じゃない……」
「?」

「先に… あなたを拒絶し、あなたを傷つけたのはボクの方だ あなたじゃない…」

――再び雷光が親子を照らし出した。
天候はますますひどくなる。
その頃………… BMの焼死体があるシャッター付近に、嵐のせいで水がにじみ出していた。
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なかなか戻って来ないシンゴにしびれを切らすミド。
「いつまで… シンゴさんを待ちますか?」
「いつまでって、そりゃ決まってんだろ」
「シンゴ君が戻るまでや」
「そー言ーと思いましたよ」 やれやれと溜息をつくミド。
「早よしや、シンゴ君…」
…その頃、雨水を吸ったBMが再生しつつあるのに完達は気付くはずもなかった。
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 <以下回想>
幼少時、母の葬式に出るシンゴ(当時5歳)。
「実験中の事故だって言うけどね…」
「ありえねぇって、絶対 彼女ほどの優秀な研究員が、そんな…」
「アレだろ? 嫁さんってのはBM実用化には反対してて…
 東条にとっちゃ、一番の厄介払いができたってワケだ」
焼香に集まった人々はシンゴ母の死を怪しみ、シンゴ母の両親が荒れ狂う。
「あの男が… あの冷血漢が私達の娘を…!」「やめなさい母さん!落ち着くんだ!」
296あらすじネクタール 3/4:2011/04/25(月) 22:00:17.68 ID:thXExksj
――しかし、東条は哀しみもせず、ただ冷徹な無表情を浮かべていた。
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母の墓に花を供えるシンゴ。その背後から東条が現れる。
「無意味な感傷だ、神悟 母さんはもういない」
――シンゴは幼いながらも、ただ冷徹な父親を睨んでいた…。
「これまでお前とはほとんど共に時間を過ごす事はなかった、母さんとも… 反省はしている
 だが後悔は人生の浪費だ いくらここで時間を費やしても、母さんは還って来ない
 これからは2人で共に・・・・」 パシ
シンゴの頭に手をやると、シンゴはそれを払いのける。

『あなたが母さんを殺した!! ボクはあなたなんかと共に生きて行きたくは無い!!
 あなたが死ねばよかったんだ!! 母さんの変わりにあなたが死ねば!!』

感情に任せて叫ぶと、シンゴは東条の制止も聞かずにその場から走り去った…
 <回想終了>



「母さんを失ったばかりのあなたを、ボクはさらに深く気づ付けた…
 当時の実験記録からも、母さんの死は事故死だった事は明白だ
 …にもかかわらず、愚かなボクは心無い誹謗中傷を信じていた…
 いや、信じようとしていたんだ 幼稚な母親への思慕と、父親への反発から…それが」
「神悟よ…… さっきから何をクドクド語っている?」
背を向けたまま荒れる空を見つめていた東条が振り向くと、不気味なまでに微笑んでいた。

「まさかその笑止な思い込みが、お前をここまで来させた理由だと言うのではあるまいな?
 思いあがるなたわけが!! 人間には人一人変えられる程のなにものもありはしない!!』
297あらすじネクタール 4/4:2011/04/25(月) 22:01:02.39 ID:thXExksj
その一喝にシンゴは目を見開き、一筋の汗が頬を伝う。
「人を変え得るものは、ただ自らが信じるもののみ… お前が信じるものなど…私には理解できん
 だが同時に私の信じるものも、お前には理解できまい ――それでいい
 例え親子であっても、人は協調などしなくていい 私とお前とは別の人格なのだ
 どうやら私の信じたものは…終わったようだがな…」
東条はゆっくりと歩み寄ると、シンゴの肩をかすめるように通り過ぎる。
「どこへ……行くのです…?」
「ヘリポートだ あそこには私の人生の全てが待っている…」
「どうしても… ボクと共に生きてはくれないのですか、父さん…」
頑固な父にシンゴは拳を震わせていた。

「何度も言わせるな、私は私の信じたものと共に行く…
 お前もさっさとお前の信じるものの所へ行くがいい…    さらばだ神悟」

――そう告げると、東条は部屋から出て行った。
シンゴは振り向く事もできず、その場で顔を伏したまま突っ立っていた……     <続く>
298マロン名無しさん:2011/04/26(火) 08:51:47.63 ID:???
パパ死なないでーーーーーー!
幡場か桐生連れてきて力づくでパパ拉致しろよ〜
299マロン名無しさん:2011/04/26(火) 09:06:06.93 ID:???
日本終わらせたわけだし
連れて帰ってもシンゴパパの居場所無さそうだな
300マロン名無しさん:2011/04/26(火) 12:19:01.12 ID:???
東条は精神的に揺らぐことがないのか
強いよな……
自分に対しても子供に対しても
301マロン名無しさん:2011/04/26(火) 17:39:14.78 ID:???
というか燃えても再生できるとかBMどんな構造してんの
それとも表皮から水分がなくなったから行動不能になっただけか?
302マロン名無しさん:2011/04/26(火) 19:43:10.71 ID:???
中身まで完全に焼けないとダメって第一部か二部で言われなかったか?
303マロン名無しさん:2011/04/27(水) 08:57:36.28 ID:???
やばいやばい、水で再生したら完達の車のタイヤ喰い破られちゃう?
今度はシンゴが乗り損ねちゃわないか
304あらすじネクタール 1/3:2011/04/27(水) 21:57:50.06 ID:DAttdb8Z
 Vol,96 〜信じていけるもの〜


エレベーターがヘリポートで止まっている事を確認しショックを受ける。
「…父…さん…」
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 ―第6駐車場―
あれから1時間になるが、まだシンゴは戻って来ない。
「ミド 桐生に連絡とってみてくれ、船の方はどないなっとるか」
ミドは無線を操作するが、なぜか無線は通じなくなっている…。
「な なんでやねん さっきまでは船とは連絡ついとったやないか」
「多分、この建物のせいでしょう
 最新の公共建築ですから、病院と同じで防電磁波仕様になってるんだと思います」
「外に出んコトには、ルネちゃんらの様子もわからへんてコトかい…」


――その時、突如周囲の車のタイヤが次々と破裂してゆく!
何事かと思った4人は火炎放射機を手に取り車から降りる。
「ま… まさか… そんな…」
「どっから… どっから入ってきやがったんだ…?」
周囲を警戒しつつ見渡すと、香ノ宮はシャッター付近のBMだと気付いた。
残りの3人が見ると、今も雨水を吸って再生中のBMがいた。
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「火炎放射機で撃たれたBMが本当に死んでたかどうかなんて、誰にもわからない…
 もしも… 芯の方が“生焼け”のまま、死に切らない細胞が残っていたら…」

思い出してみると、7年前のUSBMは水を吸って再生していた。
…と言う事は、同じ事が国産BMに出来ても不思議ではない。
そうこうしている内にも、タイヤの破裂は次々と完達に近づいて行く!
「どうする…?」
305あらすじネクタール 2/3:2011/04/27(水) 21:58:46.22 ID:DAttdb8Z
「どーするて、答えは2つしかないやろ?
  1:シンゴ君ほっぽって今すぐ車乗って逃げ出す
  2:車ほっぽって今すぐシンゴ君トコへ知らせに行く…」
「ま、1で手堅く生き延びるってゆーのもなかなか魅力的ではありますが」
「これでシンゴ連れて帰らねーんじゃ、カッコ悪すぎるだろ」
「どーせそー言うと思いましたよ…」
――全員一致で友情を選ぶ。合図と共にその場を駆け出すと、同時にBMも車の下から這い出てくる!


ドアの中へと逃げ込み、とりあえず一息つく。外からはBMが扉をかじる音が聞こえる…
「急がないと、あいつらすぐに色んなトコから這い出してくるわ」
「け けどよ、ここって確か完全封鎖できたんじゃねぇのか?」
「シンゴさんが居れば…です ボクらじゃそこまでは動かせない…」
「とりあえずシンゴ君のトコ行かなな…
 シンゴ君の親父さん… 都庁(ここ)で一番偉いおっちゃんの部屋っちゅーコトやな…」


その頃、シンゴは暗い表情のまま廊下を歩いていた。
(お前もさっさとお前の信じるものの所へ行くがいい…) 彼の脳裏に父の言葉がよみがえる。

(ボクは… ボクは何を信じて生きていけばいいんだろう…
 BMと人類の共存も果たせなかった… “南”の人々の生活を守る事さえかなわなかった…
 自分の両親とすら理解しあえなかった…)

エレベーターのボタンを押そうとすると、到着音が鳴る。
…すわBMか!? ――と思いきや、出てきたのは完達だった。
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「キミ達… な…何で…?」
「ナイスタイミングやな、シンゴ君 ギリギリ間に合ってよかったわ」
306あらすじネクタール 3/3:2011/04/27(水) 22:00:21.04 ID:DAttdb8Z
その後、状況を知らされたシンゴはバカなと叫ぶ。
「いや〜〜 オレらもビックリしたわ、まさか黒コゲのBMが…」
『そうじゃない!! その状況ならなぜ車で脱出しなかった!!
 キミ達は脱出の可能性をみすみす放棄したんだぞ!!』
「いや… なぜ…って言われても… ねぇ」
「そりゃ、やっぱ……」

「10年前からずっとやんか、オレらは絶対生き延びる みんな一緒にや!」

(ボクが… 信じていけるもの……)
なぜ気付かなかったのか。シンゴが信じれるもの、それは――――……『仲間達』。
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 ―洋上―
嵐の中、泳いで船にたどり着いた避難民を引き上げる桐生。
『きばりや皆さん! もうちっとや!! 甲板まで上がってしもたら助かるんやで!!』
陸の上では米兵達が幼児とケガ人優先でボートに乗せていた。
『元気のあるヤツぁ自分で泳いで行けェ!!』

銀次とミハルは無事船に泳ぎ着き、他の避難民を介抱していた。
そしてルネは軽傷者の手当てを行い、それぞれ慌ただしく動いていた。
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――突如すさまじい突風が吹く。
「クッ…… きっついな…  そろそろ…限界やで、兄さん…」
幼児を抱き抱えつつ、本格的に荒れそうになる予感を感じ取り舌打ちする桐生だった。 <続く>
307マロン名無しさん:2011/04/27(水) 22:32:48.82 ID:???
やっぱ5人揃うと良いなあ
308マロン名無しさん:2011/04/27(水) 22:36:30.58 ID:???
進撃の巨人とどっちが面白い?
309マロン名無しさん:2011/04/27(水) 22:39:15.63 ID:???
何それ? よくわからんが>>1読もうな。
310マロン名無しさん:2011/04/28(木) 08:24:09.64 ID:???
一瞬エレベーター前のシンゴの首が無いのかと思った
しかし細胞単位で分裂か
これ人型だったら伊藤潤二の富江になるかな?
311マロン名無しさん:2011/04/28(木) 14:39:07.20 ID:???
1時間もシンゴ何してたんだよw
312マロン名無しさん:2011/04/28(木) 23:48:07.11 ID:???
父とのやり取りで1時間かかったのでは?
313あらすじネクタール 3/3:2011/04/29(金) 21:55:34.22 ID:5pdRSYGI
 Vol,97 〜暴風圏〜


本格的な嵐となり、大波が船を飲み込もうとし、揺れる船内ではあちこちから悲鳴が沸き起こる。
『お おい!大丈夫なのかキリュウ!? こんなポンコツに4千人も積んでよ!!』
幼児達を守りつつ叫ぶ米兵。
「わからへん、積み荷だけやったら違法(モグリ)でもうちっと積んだ事あるけどな
 こんだけの時化(しけ)は初めてやし…
 この程度の低気圧でも、今のオレらには立派なパーフェクトストームや
 ま、フツーに考えたらオレらが生き延びる方法は一つ
 これ以上天気が悪うなる前に北上して、紀伊エリアに向かう事………なんやけど……」
――チラリとルネを見る桐生。つられて銀次達も視線を追うと、そこにはルネが立ちつくしていた。
「完兄……」



 ―BM通商局―
シンゴのおかげで完全封鎖はなんとか間に合った。
「シ…シンゴ君…」「オ…オヤジさんのコト…よ」「何て言うたらええか……」
どうやら父の死はもう説明し終えたらしい。しかしシンゴは悲しむ気配は無かった。

「キミ達のご両親や家族が遂げた非業の死に比べたら、この上なく傲慢かつ身勝手な死だ
 いささかの同情にも値しない あの人も… ボクも……ね」

その時、ミドから無線が回復しそうだと報告が入る。
言われるままミドに連れられて行くと……… 何やら釣り竿のような道具をいじっている??
「窓ガラスに小さな穴を開けて、コイツをできるだけ突き出すんです」
釣り竿の正体に気付いたのはシンゴだった。これは簡易式の屋外アンテナだ!

「もちろん感度はあまり期待できませんが、都庁の設備の性能で多少はカバーできるかもしれない
 うまくいけば、桐生君や紀伊エリアとも連絡がとれます!」
314あらすじネクタール 2/4:2011/04/29(金) 21:56:15.77 ID:5pdRSYGI
「さ さすが軍事&メカオタクやな、ミド…」
「いや、役に立つならオタクも立派な技能だろう」
「役に立たない体力よりはね」
呆れつつも褒める3人。…香ノちゃん、隣の体力バカの幡場が睨んでます。
「言われとるで、ブー」
『おめーもだよ!!』
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――コテコテのコントをしている場合ではない。一刻も早く桐生に自分達の事を伝えなければ!


 ―洋上―
完達からの無線を聞いた桐生はもうこっちは限界だと叫ぶ。
完達は自分達の生存を伝えると、桐生達も全員無事だと聞き胸をなでおろす。
「桐生!今すぐ紀伊エリアへ帰れ! 天候が回復するまで絶対にこっちへ来るんやないで!
 この天気やと、とうていオレらは海までたどり着けへん
 それでもオレらは安全な場所で天候の回復を待つ事が出来る
 せやけどそっちが転覆してしもうたら元も子もない
 とりあえずは4千人の皆さん連れて、紀伊エリアまで生きて帰るんや」
完の判断にルネは思わず涙声になり完の名を呼ぶ。
「あかん、あかんてルネちゃん オレら全っ然死ぬ気なんかあらへんのやで
 この低気圧が過ぎて、もっと気持ちのええ上天気になったらのんびり迎えに来てくれたらええねん
 今、ヤバいんはどっちかゆーたらそっちや 行くんや桐生!
 ルネちゃんの事…… あんじょう頼んだで……」
桐生は塞ぎこむルネを横目に、完の意気込みを汲み船を出発させた。

『しっかりつかまっときやァみんな!
 全速で2時間も走ったら暴風圏は抜ける!それまでの辛抱や!! オレらは絶対生き延びるんや!!』
315あらすじネクタール 3/4:2011/04/29(金) 21:56:59.87 ID:5pdRSYGI
 ―BM通商局―
桐生に連絡がとれたのでとりあえず一息つく一向。
「低気圧が抜けるのって、フツー どの位かかるもん?」(香)
「ま、早くて2日… 長引けば5〜6日かな…」(シ)
「食い物…なんか…あるわけねぇよな…」(幡)
「こっから先は… お天道様との根競べやな…」
その時、完達を嘲笑うかのように雷が鳴り響いた。



――それから3日経ったが、未だに天候が回復する気配は無い。
「生きとるかいやブー?」
「ヘッ デブをナメんなよ、おめーらとは蓄えが違うんだよ」
「ねぇ、あたし少しやせたと思わない? ダイエット効果アリだよね、これ」
…口々に強がりを言う3人だったが、その顔は明らかに疲労が浮き出てやつれていた。

するとシンゴとミドが部屋に入ってくる。
「良い知らせと悪い知らせ、どちらを先に聞きたい?」  …どういう事だろうか。
とりあえず完は紀伊エリアと無線がつながったのかと聞くが、さすがにまだムリなようだ。
紀伊エリアからも連絡を取ろうとしていると思うが、いかんせん周波数が狭すぎ今の段階ではムリ。
「ただ… その代わりと言ってはなんですが、韓国放送の気象情報を受信しました
 ここしばらくの天候の変化が分かります…」
「ま… 何にもわからねぇよりかはいいか…」
「ほな、そのもー1個のええ知らせちゅーのを」
「今のが良い方だ」
…よりによって今のが良い情報なのか…。 これには3人とも絶句する。
「これ以上… 何か悪くなるワケ…?」

「その…気象情報なんですが… インド洋沖で連続して低気圧が発生して北上しています…
 九州地方は当分天候回復の見込みはありません…」
316あらすじネクタール 4/4:2011/04/29(金) 21:57:45.21 ID:5pdRSYGI
――ますます最悪の状況に陥る3人はより一層絶句し青ざめる。
「このまま天候の回復を待つというボクらのプランは、変更を余儀なくされる
 ただ救助を待つだけならば、食糧無しで10日でも生き延びられるだろう
 だが自力で脱出するならば、ボクらの体力はあと2日が限界だ」
その時、別室から何かの信号音が発せられる。あの音は… 無線の入電音だ!
全員無線の元へ走り寄り、完が応答する。
『も もしもし?こちら高千穂都庁や! 誰や? 聞こえるか!?』

返ってきた声は女性の声。ノイズ混じりだが間違いない、この声はルネだ!
お互いの無事を確認し、完は胸をなでおろしルネは現在の状況を伝える。

《あれからみんな無事に紀伊エリアに着いたけど…
 この事…ホントは完兄達に聞かせたくないけど… でも…伝えなくちゃいけないから…
 紀伊……… もう……  ダ メ か も し れ な い ! 
 完兄達が帰ってくる所… なくなっちゃうよぉ!》

ノイズ混じりにルネの悲痛な声を聞き、一行はただ呆然とするしかなかった――…  <続く>
317マロン名無しさん:2011/04/29(金) 22:52:55.36 ID:???
そりゃヌクヌクと生きてた4000人をどうにかしようとしたら・・・なあ。
318マロン名無しさん:2011/04/29(金) 22:58:38.92 ID:???
4000人の人員以上の積み荷(しかも違法)を積んだことのある13歳って何者やねん。
コイツも4年前に完たちのように自力でBMの群れから生き延びたような経験でもあるのか。
319マロン名無しさん:2011/04/29(金) 23:37:02.36 ID:???
そういや、香ノ宮って第一部では祖父母と暮らしてて、両親は外国にいたんだよな?
両親はどうなったんだ?まったく触れられないが…
320マロン名無しさん:2011/04/30(土) 00:16:59.01 ID:???
>>319
両親のことはおばあちゃんの優しい嘘で、
実際は娘捨てて夜逃げしたんじゃない?
321マロン名無しさん:2011/04/30(土) 06:30:19.58 ID:???
>>319
言われるまですっかり忘れてた…
>>320の言う通りか、もしくは第一部の時点で他界したか…
322マロン名無しさん:2011/04/30(土) 08:20:15.44 ID:???
で、シンゴパパどうなったんだ!?
323マロン名無しさん:2011/04/30(土) 13:14:34.28 ID:???
紀伊で何があったんだ!?
もう本州も完全にBMに埋め尽くされちゃった!?

シンゴパパ、あの演出だとヘリポートのBMに食われたのかなあ……
くそっかっこつけやがって
最初から最後まで取り乱すことがなかったな
324マロン名無しさん:2011/04/30(土) 22:40:02.71 ID:???
まだ死んだと決まったわけじゃないだろう>シンゴパパ
もし死ぬなら今までの大惨事の責任を取って欲しいわ
325マロン名無しさん:2011/04/30(土) 23:38:59.50 ID:???
責任とるのはシンゴだろ?
パパは常に正しい選択をしていた
シンゴに実権を与えたことはミスだったが
326マロン名無しさん:2011/05/01(日) 00:32:25.03 ID:???
だがBMを開発したのはシンゴパパだろ?
生みの親が責任を取るのは当然じゃないか?
327マロン名無しさん:2011/05/01(日) 16:41:10.11 ID:???
ダイナマイトが戦争で使われたら、ノーベルは死ななきゃならないかい?
328マロン名無しさん:2011/05/01(日) 18:58:42.96 ID:???
>>327
…そう返ってきたか。なるほど、なんか納得した
329あらすじネクタール 4/4:2011/05/01(日) 21:51:58.22 ID:t50hdu3M
 Vol,98 〜1%の希望〜


 ―紀伊エリア―
暴風雨の中、フェンスの補修作業を進める自警団。
団員は木津や奈良のピンチを現・団長へ伝えるが、ここも手一杯で応援なぞとても無理だった。
「くそ… 何やてまたよりによってこないな天気の時に こないあちこちボロボロいきよんねん!」

その様子を見たヒロや医者はかつての自分達、横須賀エリアの時と同じだと呟く。
「同じ…と言うと…?」 医者の隣にいた御嶽ヶ原はどういう事か問う。
「房総エリアや伊豆エリアもそうだったと思いますが、
 フェンスの耐用年数が限界に達しているんです……
 4年前、急ピッチで設置された本来は仮設の防護フェンスだと聞いています
 いくらメンテナンスを施しても、使用に耐えるのは4年が精一杯…」


場面は変わり、無線室で状況説明を続けるルネ。
「今、桐生君や…男の人達は皆自警団の手伝いに行ってるけど、
 このままじゃそんなに長くはもたないって…… 完兄ィ! どうすればいいの!? ねぇ完兄!!」
一同が黙り込んでしまう中、シンゴが代わって返答する。

《聞こえるかルネ君、シンゴだ 桐生君というその彼にもう一度船を出すように言ってくれ
 高千穂近海まで我々を回収に来てくれと…
 無論この天候で船を出す事が非常に危険である事はわかっている
 何よりもキミが… 決してボクを信用できない事も……だが信じてくれ、
 ボクは必ず紀伊エリアを救う!! これまでの過ちだらけの人生のせめてもの償いに!!
 許されようとは思わない、ただ償わせてほしい キミのご両親を死に追いやった事も…》

シンゴの言葉を聞いたルネはしばしうつむき―――― 口を開いた。
「伝えます! シンゴさん… 桐生君にも、あなたを信じるようにと!」
330あらすじネクタール 2/4:2011/05/01(日) 21:55:42.53 ID:t50hdu3M
 ―通商局局長室―
これからの事を説明するシンゴ。
「零―7号… 広域BM対策の最終試作機、今となっては最後の希望だ
 なんとしてもここから脱出し、輸送力のある船団を組んで小笠原沖の研究所へ向かう
 零―7号を紀伊エリアまで運び、起動させるのに所要時間は最低で1時間
 時間的にもギリギリだろうし、必ず成功すると言う保証もない
 他にも電圧の確保等、問題は山積みだ…… が、それでもこれに賭けるしかない…」
「それはわかるんやけど、肝心なのはそれ以前の問題やろ
 まずオレらがここを脱出してこの暴風雨の中、車も無しにどないして海まで辿り着くちゅー話や」
…問題はそれだ。どうしようかと一行が頭を悩ませる中、街を見ていた幡場がある物に目を付ける。

「よぉ、アレ… ここから100m位のとこだけどよ、アソコ ほら、でけぇ川が流れてるだろ?」

幡場が目を付けたのは<五ヶ瀬川>。
シンゴ曰く、今はただの川ではなく、水路となっているがその先は海まで続いているそうだ。
「だったらよ、ボートか何かであの川を下りゃ、一気に海まで……」
――しかし幡場の提案を聞いた4人は頭を痛めている。
「たまーにブーがモノ考えたと思たらコレや」
「川は真水よ、今頃BMで溢れてるわ 努力は認めるけどね…」
「第一この暴風雨の中じゃ、火炎放射機でも100m移動するのはムリです」
トリプルコンボでツッコミを喰らう幡場、哀れ。
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だがシンゴだけは何か名案が浮かんだようだ。
「ヘリを…… 使うしかない…か」
「へ… ヘリ? ま、待って でもあのヘリポートって」
「それこそBMで溢れ返っとるはずやん」

「キミ達と同じ手口だよ
 ヘリポートのハッチを封鎖して、館内放送用のスピーカーから大音量を流す
 BMどもがスピーカーに引き付けられている間に、ボクらはなんとかヘリに乗り込む
 ただし―――― ヘリのエンジン音は当然、館内放送よりはるかに大きい
 エンジンをかけると同時にBMは再びヘリに押し寄せてくるだろう」
331あらすじネクタール 3/4:2011/05/01(日) 21:56:28.52 ID:t50hdu3M
「それにハッチを開ければ、BMはまた一斉になだれ込んできます…」
「そ そんな事よりもよ、そもそも誰がヘリの操縦するんだよ?」
幡場の問いに、ミドに一同の視線が集まる。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110501214020.jpg
ミド曰く、一応操縦方法は知っているが当然、操縦経験は無いそうだ。(シンゴも同じく)
「ペーパードライバーで嵐の中を離陸… ってワケね」
「オレの川下りとたいして変わんねぇんじゃねぇか…?」
「そう… 成功の確率は1%も無いかもしれない
 こんな状況でもなければとても言い出せるような計画(プラン)じゃない」
限りなく低い成功率に一同、また黙り込んでしまう   ――が、最初に口を開いたのは完だった。

「1%もあれば十分やろ… 1%やろが、0.1%やろが成功してしまえば100%や…
 せやけど何もせんとじっとしとったら、間違いなく0%やで!」

完の一言に勇気づけられる4人。
「それでも… アレ(川下り)を使うよりはマシだろう…」



…そして作戦は決行された。
まずヘリポートのハッチを閉じ、外部からスピーカーの音源を入れる。
「何か… 曲に関してリクエストがあるかい?」
「――――て、例の超音波やのーてええのん?」
「ああ、自然音が届く範囲なら特にその必要はない」
「じゃ、ここはやっぱ“ワルキューレ”なんか気分じゃない?」
火炎放射機を持った香ノ宮のリクエストに応え、ヘリポートに“ワルキューレの騎行”が流れる。
作戦は成功、見事にBMの群れはスピーカーに群がって行く。
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その隙にヘリポートへ入る一向。
「どうやら… ここまではうまくいっとるみたいやな」
332あらすじネクタール 4/4:2011/05/01(日) 21:57:11.77 ID:t50hdu3M
ヘリに移動する際、シンゴは血だまりで何かをふんづける。――それは父・東条のメガネだった。
改めて父の死に塞ぎこむシンゴだったが、気を取り直し先を急ぐ。

               (さようなら…… 父さん………)

息子よりもBMを選んだ父に心の中で別れを告げ、シンゴ達はヘリに乗り込んだ。
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                                                    <続く>
333マロン名無しさん:2011/05/02(月) 00:56:46.75 ID:???
ヘリで脱出って、呼んだ船はどうすんだ?w
334マロン名無しさん:2011/05/02(月) 09:08:02.37 ID:???
ヘリはあくまでも海へ脱出するためのものかな?
海上の移動、機器の輸送は船みたいだし

東条パパンに敬礼!
335マロン名無しさん:2011/05/02(月) 09:40:01.97 ID:???
川下りが伏線っぽいから
途中で川に飛び込むんじゃないか。
「浮力の補助があれば、海まで飛べるかもしれない!」
実際出来るんかしらんけど。
336マロン名無しさん:2011/05/02(月) 10:53:22.11 ID:???
>>333
何にしても無線で桐生に連絡すればいいかと。後でケンカになりそうだがw

だけど二度ある事は(ry がお約束のこの作品だ、すんなりヘリで脱出できるとは思えんな。
何かしらの理由で飛べなかったり、飛べてもトラブル発生でBM群の真っただ中に墜落とかありそうだ。
337マロン名無しさん:2011/05/02(月) 11:45:01.78 ID:???
川下りの伏線が思いっきりあるし、ヘリの燃料が足りない

川へダイブとかなりそうw
ヘリって水に浮く?
338マロン名無しさん:2011/05/02(月) 14:37:52.87 ID:???
血だまり数えたら……('A`)
339マロン名無しさん:2011/05/02(月) 15:46:27.68 ID:???
>>337
どう考えても沈むだろ

ヘリの中に救命用ゴムボートとかあるといいが…喰われてないだろうか
340マロン名無しさん:2011/05/02(月) 17:23:20.42 ID:???
ジョジョ2部のvsカーズ戦を思い出したw
341マロン名無しさん:2011/05/02(月) 18:54:27.63 ID:???
どんなだっけ?>カーズ戦
342マロン名無しさん:2011/05/02(月) 20:36:42.74 ID:???
ラストバトルの、ヘリでジョジョ逃げる→カーズの分身のピラニアに
機体喰われる→生身で飛び降りる
の展開のことかな
343マロン名無しさん:2011/05/02(月) 23:37:35.34 ID:???
あー… 言われて思い出した、d!
344マロン名無しさん:2011/05/03(火) 00:20:00.27 ID:???
おいその時代にヘリはねーだろww
何か記憶書き換えられてね?
345マロン名無しさん:2011/05/03(火) 01:49:24.17 ID:???
プロペラ機じゃなかったっけ?w
346マロン名無しさん:2011/05/03(火) 08:50:35.16 ID:???
343は一体何を思い出したというのかw
347あらすじネクタール 1/3:2011/05/03(火) 21:57:28.49 ID:mkTpXnc3
 Vol,99 〜ウィンチ〜


一行が無事ヘリに乗り込んだ途端、先頭の完は軽く驚く。
機内のシートなどが喰い荒らされていただけでなく、武器が山積みとなっていたからだった。
「スゲェ武器の山だな」
「護身用にしちゃゴッツイわ…」
「どーせなら火炎放射機持っててくれればよかったのに…」
「クローシュのヤツ… 父さんが提案に応じなければ、武力で拉致するつもりだったな…」
香ノ宮とシンゴははミドを急かすが、ミドは愕然としている…?
「ダ… ダメですシンゴさん…」

――ミドの足下を見ると、パネルを引き剥がして配線を完全に喰い荒らされていた!
「BM対策用ヘリでなければ耐えられないと言う事か…」
シンゴが力を落とす中、完はスピーカーが生きている内に引き揚げようと促す。
「待て…」
突如シンゴは何を思ったのか、ヘリを下りると後部へ走りだしウィンチを剥き出しにする。
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「みんな! コクピットに工具があるはず 急いでこのウィンチを外すんだ!」
「へ?」「あ… いやそれよりも…」「早くズラからねぇとヤバいって…」

『説明してる時間は無い!! 生き延びて紀伊エリアを助けたければ言うとおりにしろ!!』

珍しく鬼気迫る形相で叫ぶシンゴに、4人は言うとおりにするのだった。
348あらすじネクタール 2/3:2011/05/03(火) 21:58:10.32 ID:mkTpXnc3
完が四つん這いになり背中にミドを乗せ、幡場と共にウィンチ取り外し作業。
何とかスピーカーが喰われる前にウィンチを取り外せた。
「大丈夫ですか、幡場さん かなり重いですよ」
「ま… まかせとけって…   おろ…」
   ド ゴ ォ !
――幡場が手を滑らし、ウィンチが落下! 危うく完が下敷きになる所だった!!
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『こ… 殺す気かいアホ!!』 「わ… 悪ぃ…」
幸い怪我は無かったが、今の衝撃音でBMがこちらに気付いてしまう!
『早く! ウィンチを持ってエレベーターへ!!』
幡場が自慢の馬鹿力を活かし、ウインチを持って全員エレベーターへ乗り込む。
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「だ…大丈夫ですか、番場さん…」
「へッ… ら…楽勝よ、この位…」
余程重かったのか、さすがの幡場も大きく息を荒げ疲労の色が濃い。
「100kg以上あるウィンチを一人で抱えて走ったんだからね、大したもんだよ」
「これでオレら体力班がどれだけ必要か、わかってもらえたやろ」
「麻綾君は特に何もしてないけどね…」
「けどよ、シンゴ どーするつもりなんだよ、こんなモン…
 コレと…その おめーの背中の物騒なモン…」
幡場がチラリとシンゴを見ると、シンゴはいつの間にかRPG-7ロケットランチャーを背負っていた。

「1%未満の希望も潰えてしまった以上、0.01%未満の希望にでも賭けるしかないだろ?
 今のボクら以外の人にとっては、出来の悪いジョークにしか聞こえないだろうけどね…」
349あらすじネクタール 3/3:2011/05/03(火) 21:58:51.73 ID:mkTpXnc3
その頃、紀伊エリアでは…… 避難民と自警団が対立していた。
『ムダだと言ってるんだ!!』
「ムダ…っちゅーのはどーゆー事なんか、聞かせてもらいましょうか」
「ムダなんだよ、こんな状態で素人がいくらあがいた所で
 どうせフェンスは決壊し このエリアはBMに喰い尽される
 しかし幸いここには我々を高千穂から運んできた船の他にも、何隻かの船がある
 これ以上ここにとどまってムダな努力をするより、一刻も早く船で国外へ脱出すべきだろう?」
『何言ーとんねん! 今度はオレらに紀伊エリアまで捨てぇちゅーんかい!
 誰のおかげでこんな事になった思てんのや!!』
『何だよ!オレらのせいだってのか!? 我々が邪魔だと思うんなら、出て行く事に文句無いだろ!』
『アホか! この時化の中、脱出するのがどーゆー事かわかっとんのか!!』
『だったらあんたらここで勝手に死んでろよ!!』
『ちょっと待てて! 今そんな事でモメてる場合ちゃうやろ!?』
『うるせぇ! これじゃ高千穂にいたのと変わらねぇじゃねぇかよ!!』

――口論を聞いていた御嶽ヶ原はおもむろに立ち上がると、両者をなだめる。
「あなた達は忘れていないか? なぜ高千穂が本土の人間をあれ程頑なに拒み続けていたかを…
 ほんのわずかでもBMに汚染された可能性のある難民を受け入れる国などどこにもない
 待っているのは砲弾と火炎放射の洗礼だ
 あなた方、“南”がかつてそうしてきたように…」
その一言で、避難民達は誰もかれも黙り込んでしまった。


 ―BM通商局・局長室―
火炎放射機の口径を最小に絞り、バーナーの様にして窓ガラスに穴を開ける。
「ホンマ、マジメな顔して… よ――こんな事考えるわ、シンゴ君…
 そやけどこーなったら、奇跡の神様信じるしかないもんな!」

「そうとも… 0.01%は0じゃない!」

ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110503215006.jpg
シンゴはロケットランチャーを構え、狙いを定めた。                   <続く>
350マロン名無しさん:2011/05/04(水) 08:44:40.75 ID:???
んー、隣のビルへウインチのロープをかけてターザン作戦?

紀伊エリアももう捨てなくちゃいけないのかな
フェンスは仮設用だったしもう耐久が限界、と
物資もないだろうししっかりしたフェンスを
新たに建てるのはできなかったんだろうなあ
どのみちBMに浸食されるのは時間の問題だったのか
351マロン名無しさん:2011/05/04(水) 12:58:48.64 ID:???
紀伊エリアの生存者と高千穂の生存者で対立が起こっているとか?
あんな狭いエリアにこれ以上収容できず、暴動のはずみでフェンスが破れるとかありそう
352マロン名無しさん:2011/05/04(水) 21:52:57.43 ID:???
しかもその対立理由がフェンスの耐用年数の限度だっつーんだから、誰にも解決できない問題だものね・・・
今までの南がしてきたことによる感情論であれば落としどころはあったのかもしれないけど。
353マロン名無しさん:2011/05/05(木) 00:20:10.65 ID:???
こりゃ最終回は日本脱出かな?
354マロン名無しさん:2011/05/05(木) 08:42:02.96 ID:???
つくづく日本が島国で良かったよなあ

もう外国から侵略してもらう方がマシかも
アメリカが空母でやってきてガンガン新品のフェンスを建てて
人間エリアを広げるくらいしか……?

ところで、フランスへの生きてるBMってもう出荷しちゃったっけ?
355マロン名無しさん:2011/05/05(木) 09:24:41.02 ID:???
あくまで鮮度を保つ為にナマBMを用意して見せただけで輸出するのは加工BMじゃなかったっけ。
まあ今は高千穂政府は崩壊。米軍も居ないから生体BMぐらい取り放題だろうけど。
356マロン名無しさん:2011/05/05(木) 09:45:02.85 ID:???
ヘリポートに大量の食料があるのに食えない(´・ω・`)
357マロン名無しさん:2011/05/05(木) 10:10:42.33 ID:???
焼けば食えるはずだよな?ビタミン ミネラル カルシウム等、豊富に含んだ完全食。
食わないのは単に心情的な問題か。
358マロン名無しさん:2011/05/05(木) 11:03:57.44 ID:???
だってこれまでに何度も人々が食われるのを目の当たりにしてきたからな…
間接とはいえ、カニバリズムになっちまうだろう。
いや、それ以前にろくな装備も無い今じゃBM1匹さえ捕まえるのも難しいのでは。
359マロン名無しさん:2011/05/05(木) 16:38:56.95 ID:???
安全に捕獲から調理まで出来る設備さえあれば
モリモリ食ってる気がする
でもそんな設備南にしかないんだろうな
360あらすじネクタール 1/3:2011/05/05(木) 21:59:01.71 ID:Ra5eBum+
 Vol,100 〜LIFE ON WIRE〜


ワイヤーを結びつけたロケットランチャーで、水門へと狙いをつけるシンゴ。
「ところでこのロケット君… ホンマに爆発したりせえへんのやろな、ミド?」
「わ…わかりませんよ、そんなの ボクだって信管外すのなんか初めてなんですから」
シンゴは全員を退避させ―――― 発射した!


ウィンチからワイヤーが伸び、ロケット弾は見事水門へと命中する。
こうして、都庁と水門を結ぶ急角度のロープウェイが完成した。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110505214720.jpg
4人は喜ぶが、浮かれるのはまだ早い。まだクリアしなければならない難関が残っているのだ。

「ここからあの水門まで渡るだけだって、
 10年前 校舎の3階からカーテンを垂らして降りてた時とはワケが違う
 ワイヤーの傾斜角は優に50度を超えている 滑り降りるといっても、その加速度は自由落下に近い
 ブレーキをかけ損じれば、着地時の衝撃は人間が耐えうる限界をはるかに超えるだろう
 理論的には決してできない事じゃない
 落ち着いて冷静に行動できれば、このスピードと高さの恐怖にどこまで耐えられるか…だ」

一同に緊張が流れる中、完が口を開く。
「ま、おっかないからちゅーて今さらやめるワケにもいかんやろ
 あっちにもこっちにも大穴開けてしもたんや、グズグズやっとる時間はないで」
もはや引く事は出来ない。行動あるのみ!


…と言う事で、まずは体力班その2である完が先に行く事になった。
パイプ椅子のパイプを曲げて作った簡易ハンドルを手に、カッチョ悪いポーズだとぼやく。
「頼んだよ、麻綾君」
「まかしとき、先行って向こうのBM片づけといたらええんやろ」
「麻綾君… 死なないでね…」
361あらすじネクタール 2/3:2011/05/05(木) 21:59:43.27 ID:Ra5eBum+
「香ノちゃん… 大丈夫や、オレは絶対死なへん!
 この為に犠牲になった パ イ プ 椅 子 君 達 に誓(ちこ)うて!!」
…他に誓うものはないのだろうか。確かに後ろにはパイプ椅子の残骸が散らばってるが。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110505214738.jpg

完のボケで緊張感がほどよくほぐれ、いよいよ出発となる。
「ほな… 行ってみまひょか……      ――――ッしゃあッ!!』
気合一閃、雄叫びと共に滑り降りる完!

――シンゴの言うとおり降下スピードが速すぎる!咄嗟に両足でワイヤーを挟みブレーキをかける!
水門内部に飛び降り、たたらを踏むが……とりあえず怪我もなくなんとか着地した。
内部には予想通りBMが数匹うろついていたので、火炎放射機で撃退する完。
『すまんけどお邪魔さしてもらうで!』



 ―通商局局長室―
様子を見ていたシンゴは2番手に幡場を指名する。
「へ? い いいのかよ、最後じゃなくて?」
「ああ、まさかワイヤーが切れるって事はないだろ
 それに君が向こうに行ってれば、万一香ノ宮君や篠浦君がブレーキをかけ損じても受け止められる」
…そう言う事か。シンゴの説明を理解した幡場は雄叫びと共に滑り降りた。
だが―――― 床に固定したウィンチが幡場の重みでわずかに浮き始めた。

水門に着くなり、受け身を取れず豪快にスッ転ぶ幡場。
「何やブー いきなりキミでオチかい」
『ビ BMは… BMはどこだ!!』
「あらかた片付いたみたいやで、そないぎょうさんおらへんかった
 やっぱこの嵐やと、あれだけの爆音でもたいして寄って来よらんみたいやな」
362あらすじネクタール 3/3:2011/05/05(木) 22:00:25.16 ID:Ra5eBum+
3番手はミドなのだが……余りの高さに足がすくんでいる。無理もない。
しかし恐怖に震えているのはミドだけではない。香ノ宮もまた震えていた。
「どうしよ… こんなの… あ…あたしできない…」
「か… 香ノ宮さん… だ 大丈夫ですよ、香ノ宮さん…ボク先に行きます
 ボ ボクができるんだから、香ノ宮さん楽勝ですよ み、見てて下さい 大した事ないですから」
冷や汗を流しつつ、雄叫び… もとい、悲鳴と共に滑り降りるミドだった。
「なかなか女優だね」
「随分しっかりしてきたけど、こーゆー時にはまだちょっと頼りないからね、あの子」
実は香ノ宮のあの怯えミドを奮い立たせるためのお芝居だった事を見抜いたシンゴ。

一方、ミドは幡場の厚い胸板に飛び込んで無事移動完了。
「本当に強くなったね、キミも…」
「あんまり好きじゃないの、そう言われるの…」

――そして香ノ宮も渡り終える。暑苦しい幡場に抱かれるのが嫌なのか、華麗に着地。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110505214752.jpg
「相変わらずキミは全く問題無しやね、香ノちゃん
 ほんまあっちの2人に比べて心配し甲斐ないちゅーか…」
不機嫌そうな2人(主に幡場)は置いといて、最後はシンゴだ。彼なら心配ないだろう。
「さよなら高千穂 さよなら父さん」 シンゴは別れを告げ、自らも滑り降りる。

その瞬間、床に固定されていたウィンチが外れ、シンゴの身体が大きく揺れた!
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                                                    <続く>
363マロン名無しさん:2011/05/05(木) 23:15:31.95 ID:???
>この為に犠牲になった パ イ プ 椅 子 君 達 に誓(ちこ)うて!!」
不覚にも今回ここで盛大に笑てもーたわw
ホント完はおもろいなw

そして相変わらずピンチの連続の発動…なんかマンネリになってきたな
364マロン名無しさん:2011/05/05(木) 23:38:13.83 ID:???
シンゴの罪を精算するときが来た・・・のならイヤだなあ。
シンゴには生きていて欲しい。
365マロン名無しさん:2011/05/05(木) 23:46:12.66 ID:???
火炎放射器持ってるし、一人だけ残って完達を逃がすべく犠牲になる…
そんな展開が予想できてしまうのが怖い
366マロン名無しさん:2011/05/06(金) 00:26:26.93 ID:???
シンゴパパ内心ショックだろうな
2回も別れを告げられて
367マロン名無しさん:2011/05/06(金) 02:31:16.52 ID:???
あの男がその程度でショックを受けるタマかね
368マロン名無しさん:2011/05/06(金) 09:17:21.01 ID:???
逆に「何回も別れを言わねば心の整理がつかんか、シンゴ」とか思ってそうだがw
守りはしないけど見守りはしそうな気がする

ミド、男らしいじゃんと思ったら香ノ宮の演技によって
そう誘導されたとは……俺も一瞬だまされたわ
369マロン名無しさん:2011/05/06(金) 09:23:59.86 ID:???
香ノみーの演技はチョー不自然だったぞ。
ミドも団長どのがそんなヤワじゃない事ぐらい知ってるはずなのにな。
自分を心配してるのを察して、騙されたフリしたわけでも無さそうだし。
370マロン名無しさん:2011/05/07(土) 02:18:59.32 ID:???
>>359
そもそも主人公連はみんなベジタリアンになってる(肉が食えなくなってる)描写が既に2部であったぞ
ブーのあの体がどうやって野菜と米だけで出来上がったのかは不明だが(作中でも突っ込まれてた気がするw)
371マロン名無しさん:2011/05/07(土) 03:52:41.00 ID:???
BMが食えないってだけじゃね
魚とかもあったろうし本物の肉とか・・・
372マロン名無しさん:2011/05/07(土) 07:56:00.79 ID:???
シンゴパパ達に生活保障させてたし、本物の肉を食うぐらいは不自由しなかっただろうな。
あの時の食堂にはBM加工食品しかメニューになかったのだろう。
373マロン名無しさん:2011/05/07(土) 08:17:54.25 ID:???
もしくは植物性タンパク質(大豆)を採ってたとか
374マロン名無しさん:2011/05/07(土) 09:17:15.47 ID:???
シンゴ、ここであえなく脱落はないだろうけど
どんな逆境にハマるのか心配だ
375マロン名無しさん:2011/05/07(土) 11:31:45.65 ID:???
これがシンゴでなければコントになりそう
376マロン名無しさん:2011/05/07(土) 11:59:23.10 ID:???
ドリフで言えば仲本工事オチですかな。
脅威的な体術で危機を脱するが着地で大コケ。シンゴパパに「ダメだ こりゃ」と・・・
377マロン名無しさん:2011/05/07(土) 21:12:43.93 ID:???
俺が見たドリフはほとんど志村オチだったから、仲本オチは見た事ないかも…
378あらすじネクタール 1/3:2011/05/07(土) 21:51:59.87 ID:bteW87V7
 Vol,101 〜握手〜


シンゴが滑りだした途端、固定されたウィンチが外れてしまう!
――不幸中の幸いでウィンチは部屋奥に固定していたので、完全に落下するまで若干の間がある!
後はウィンチが都庁から落下するまでにシンゴが滑り降りれれば……!
(ク… 届いてくれ…  ム…ムリ…か……)

――ウィンチは窓ガラスに引っ掛かり、弾みでパイプがワイヤーから離れてしまう。
ついにウィンチは窓から落下、同時にシンゴの身体も落ち始めパイプから手を離してしまう!
水門まであとわずかの所で落ちるシンゴに完達は思わず叫んでしまう。

しかしシンゴは素早くワイヤーを手に巻き付け落下を免れる。
墜落死は免れたものの、シンゴのすぐ側には壁にへばりつく数匹のBMがいた。
「嵐に耐えて必死にへばりついている…か… 落っこちたくはないものな…お互いに…
 何も変わらない…生物同士だものな…」
いつしかシンゴの手から力が無くなり始めそろそろ限界かと思った時、突如引っ張り上げられる。
先に渡りきった男3人がワイヤーを引っ張り、シンゴを引き上げているのだ!

…こうして、シンゴも這い上がり、5人は無事渡り終えた。
シンゴは傷と血だらけの手を差し出す。完達も自分の手を見ると傷だらけだと言う事に気付く。
それでも構わず微笑みながら手を差し出し、男4人は信頼と友情の握手を組んだのだった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110507211142.jpg


「この水門は都庁舎とは違う 建物内で完全封鎖できるようには造られていない
 一度BMの侵入を許してしまった以上、
 いくらドアを閉ざした所でこの中にBMが溢れるのは時間の問題だ
 つまり後戻りはおろか、ボクらはもう立ち止まる事も許されない」
「ま、こーなるまで教えてくれへんゆーのやから」
「ここから先はよっぽどムチャな計画なんでしょ?」
379あらすじネクタール 2/3:2011/05/07(土) 21:52:47.96 ID:bteW87V7
「この五ヶ瀬川をボートで海まで下る」

「ボ…」「ボートで……」「…って……」 茫然となる4人。
「水門の操作室には、水位観測や災害時の作業用にゴムボートが常備してある」
「い いや その そーゆー問題やのーて…」
「ボ ボートがあるのはいいとして…」「か… 川には一面にBMが…」
「この川が治水の為に巨大な貯水槽と海まで続く水路になり果ててる事は前に話したね」
「そ、そーだよ だからオレがこいつで海まで行こうって言ったのによ」
「せやからそれがムリやて話やったはずやろ?」
「水路には河口から上流まで、ここを含めて8つの水門が設置されている
 そして最上流には地中式貯水槽…
 常時6百万tの水が蓄えられ、高千穂320万世帯の生活用水を賄っている…」
「ちょ… ちょっと待って…」「“ボートで下る”…って…まさか」

「貯水槽を開放し、6百万tの水で全てを一気に海まで押し流す!
 計算上は時速80km超の激流となって水路を駆け抜ける
 水上でBMに襲われないためには、これだけのスピードが必要だ
 動力を持たないゴムボートでこのスピードを得るには、激流に乗って一気に走り抜けるしかない
 海まで押し出されてしまえば、BMは無力だ 海水に飲まれ、酸素の供給を絶たれて死滅する
 …もっとも我々だって嵐の海を漂いながら、
 運よく桐生君に拾ってもらえる事を祈るしかなくなるわけだけどね」

シンゴの無謀とも言える計画に一同絶句する。
「ゴムボートで… 80kmの激流を40km…かよ」
「オモシロそーやん! ラフティング言ーヤツやろ? 一遍やってみたかったんや!
 とにかく海まで、意地でもボートにしがみついとけちゅーコトやな」
380あらすじネクタール 3/3:2011/05/07(土) 21:53:29.27 ID:bteW87V7
その後、シンゴは操作室で水門を解放していく。
「下流の水門から順に開けていって、海まで続く完全な水路を作る…
 あとは貯水槽を開ければ、ものの5分でここへ激流が押し寄せる…」
パネルに全ての水路がOPENと表示されると、避難警報が鳴り響く。

「水門を全部開くのは、よほど大規模な水害の時だけだからね
 ――そしてこれが高千穂で起こりうる、最大の水害だ」

シンゴがスイッチを入れると、貯水槽の扉が開き大量の水が一気にほとばしった。  <続く>
381マロン名無しさん:2011/05/07(土) 23:59:04.25 ID:???
へばり付くBM「シンゴサン!ボクラヲフミダイニシテ!!」
382マロン名無しさん:2011/05/08(日) 00:23:44.91 ID:???
うわーやっぱり川下りかよ
しかし時速80kmとは怖いなww
ボートから振り落とされないようしがみつくのが30分続くのか…
383マロン名無しさん:2011/05/08(日) 01:28:00.44 ID:???
時速80kmと言ったら近いのは何がある?
速度だけ言われてもピンとこない
384マロン名無しさん:2011/05/08(日) 12:51:47.78 ID:???
時速80kmと言えばおっぱいの感触だろ
385マロン名無しさん:2011/05/08(日) 14:13:56.67 ID:???
チーターが走り出した時のスピードが時速70km超えなんで、その位かな?
386マロン名無しさん:2011/05/08(日) 20:51:02.30 ID:???
つーか主人公が一番役に立ってないな。
そのくせ言う事だけはえらそーだし。
387マロン名無しさん:2011/05/08(日) 23:30:45.11 ID:???
失礼な。完はボケ担当と言う事でシリアスな雰囲気を和ませてくれるじゃないか!
388マロン名無しさん:2011/05/09(月) 10:19:21.04 ID:???
>>383
車かバイクに乗れよ
389マロン名無しさん:2011/05/09(月) 12:50:15.10 ID:???
>>383
富士急ハイランドのジェットコースターの最大時速が80km

こええええええ
390マロン名無しさん:2011/05/09(月) 18:58:05.04 ID:???
>>388
車もバイクも持ってないんだ…

>>389
おお、ジェットコースターか!それは盲点だった!
なるほど、あのスピードで川下りか…確かにこれは恐ろしいな
しかも周りはBMだらけ。誰か死ぬんじゃなかろうか?
391あらすじネクタール 3/3:2011/05/09(月) 21:56:53.56 ID:hmvjlEeO
 Vol,102 〜ガラやない〜


その頃、桐生は前回とは違う別の新しい船で、再び海の上に居た。
突如押し寄せた大波に耐え、罵りながらも体勢を立て直す。
「かなんなホンマ 今の一発だけでも、この前のポンコツやったら木っ端微塵になっとるトコやで…
 ホンマ、オレもよーやるわこんなん ガラやないっちゅーねん…」


 ―数時間前…―
完達を救出の為出港しようとする桐生に、現・団長達自警団の方々が別の船を用意してくれたのだ。
「なんぼなんでもムリやろ、この嵐の中あのポンコツやと
 ナリは小さなってもスタビライザーの性能が違う エンジンの推力も船体の頑丈さも桁違いや
 ホンマ言うたら自警団(ウチ)からも何人か人手つけたいトコやけど、
 こっちもいっぱいいっぱいで手が足らへん 高千穂から来た皆さんも結構手ェかかりよるしな…
 ウチらにできるのはこの位や…」
「団長はん…」
「桐生 アンタにしてみたらえらい迷惑な話かもしれん
 けどウチらはもうあの人を信じるしかないんや ――頼むで 何とかあの人を連れて帰ってや」


桐生が船に乗り込もうとすると、レインコートを着たルネが駆け寄ってきた。
「堪忍してやルネちゃん
 キミ乗せてったりしたら、兄さんひろぉた途端にオレ海へ叩き落とされてまうわ」
「分かってる… そのかわり…絶対完兄連れて帰って来てね…
 そしたらあたし、もう絶対完兄に桐生君イジメさせたりしないから!!」
(イジメられてたんや、オレ…) ここに来て完の真相がバレ、ちょっと凹む桐生。
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こうして桐生はルネと自警団に見送られながら出港したのだった。
392あらすじネクタール 2/3:2011/05/09(月) 21:57:36.71 ID:hmvjlEeO
そして現在……… 再び船は大波に揉まれていた。
激しい大波にコクピットのガラスは割れ、桐生も額に傷を負ってしまう。

「ハハ… ホンマシャレにならんわ… おちおち思い出話にもひたれへん…
 まさかこのオレが自警団のお見送り受けて“鬼麻綾”助けに行くて…
 3ヵ月前にはおシャカ様かて思わへんかったやろ… それもこないな… 命がけの海にやで…」

額から流血しながらも再び操船を続けるが、またしても大波が船を大きく傾けた。
今度の大波は非常に大きく、桐生は激しく転倒し操縦パネルが大破してしまう!
自動起動なのか、鳴り響く救難信号をやかましいと一喝する桐生。
『誰も聞いてへんちゅーねん! 今さら…………!!』

そこで桐生は前方を見て愕然としてしまう。 ――――高さ 10 m 以 上 の大波に!

「あ… あかんて そんな…」
思わず呟くも、大波は容赦なく船もろとも桐生を飲み込んでしまった……!
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393あらすじネクタール 3/3:2011/05/09(月) 21:58:18.42 ID:hmvjlEeO
同時刻、完達はゴムボートを運んでいる最中だった。
「ホンマどーせやったらライフジャケットも置いといてくれたらええのに」
「ああいうモノは基本的に個人管理だからね、よく探せばどこかにはあるんだろうけど…」
「ヘッ どっちにしたって、オレが着られるサイズなんてねぇんだからよ」
――やがて轟音が響き渡り、ついに激流がやってきた!


「火炎放射機は持ってはいけない…
 これから死に物狂いでボートに掴まっていなければいけないボクらには、まさに無用の長物だ」
「これから先は… 何があっても徒手空拳… ですか」
「こら、いよいよもってしくじれへんな」
冷や汗を浮かべながら強がる香ノ宮と完。

激流を前に、シンゴは呟くように言う。
「みんな… キミ達をこんな危険な目にあわせてしまったのは、全てボクの責任だ
 心から…申し訳ないと思ってる…」
「な――――にを今さら」
「らしくないですよ、シンゴさん」
「結構好きでやって来たんだから、あたし達」
「そーゆー話は、また“明日”や シンゴ君」

一行は水門の出入り口を開け、生き残るために激流に飛び込んだ!
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『 行 ィ ッ く で ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ッ !!! 』                  <続く>
394マロン名無しさん:2011/05/09(月) 22:24:24.02 ID:???
>>390
>誰か死ぬんじゃなかろうか?
早速桐生が死んだな…
395マロン名無しさん:2011/05/09(月) 23:17:56.00 ID:???
ルネは清涼剤
396マロン名無しさん:2011/05/09(月) 23:28:30.67 ID:???
香ノちゃんはおっぱい要因
397マロン名無しさん:2011/05/10(火) 15:33:13.68 ID:???
いい歳こいた大人が中学生イジメんなよ…w
398マロン名無しさん:2011/05/11(水) 18:19:24.89 ID:???
>>397
いやあ、まさかルネがやらせてたとは・・・
399あらすじネクタール 1/3:2011/05/11(水) 21:58:34.72 ID:JSVgULuF
 Vol,103 〜ラフティング〜


着水と同時に激しい衝撃と流れが一行を襲う。同時に、頭上から無数のBMも降り注ぐ!
その内1匹がゴムボートの上に落ちるが、シンゴは素早くBMを掴むと水の中へと投げ捨てた。

「落ち付け! こいつらだってこの激流の中、何kmも流されてきたんだ!
 昆虫や原始的な生物は強い衝撃に対して神経を遮断し、凝固する事で身を守る
 今のこいつらもほとんどは仮死状態で攻撃能力は無い」

…とはいえ、BMと同じ水の中というのはぞっとしない。
幡場はゴムボートに乗ろうとするがシンゴはそれを止めた。
「ムリに這い上がろうとするな!ボートのバランスが崩れる!」
「しっかし何やな、一遍見ずに乗ってしもたら思うたより順調に流れよるもんやな
 ラフティングちゅーのは、もーちょい出んじゃラスなスポーツやったんちゃうかな…」
「確かに… 水深も十分にあり、流れやすいよう護岸設備された水路…
 このままなら通常のラフティングより安全とすら言えるかもしれない…
 だが… ボク達には“アレ”がある…」
シンゴの言葉に4人が前方を見ると―――― 次の水門があった。

『しがみつけェェェェェェッ!!!!』

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激流がボートを跳ね飛ばし、大渦がボートを飲み込んだ!



その頃、紀伊エリアでは―――― 桐生の船が沈没した報告を聞かされる団長がいた。
「きゅ 救難信号が… 自動発信のモノやと思いますけど、入ったと思たらすぐ切れて…」
「あかん……のか?」
400あらすじネクタール 2/3:2011/05/11(水) 21:59:18.87 ID:JSVgULuF
団長の問いに団員は答えられず、ただ唇を噛み締めうつむくしかできなかった。
「ど… どないします、団長…」
「どないもこないもない、皆 今の話は忘れぇ オレらは今オレらがやるべき事をやるだけや」
「い…いや そやけど… こうなったら、もうオレらには何も…」

その時、団長を呼びながら2人組が駆け寄ってくる。銀次とミハルだ。
「な 何やキミら こんな前の方来たらアカン! アブナイで!早よ帰り!!」
『と 止めてくれよ!』『高千穂から来た人達が船で勝手に…!』


知らせを聞いた団長達が港へ戻ると、すでに船が2隻出港した後だった。
「ハッ… 大したコトないさ、この程度の波…」
「あんな所で生きたままBMに喰われるなんざ、まっぴらだ」
「どこだっていいんだ、陸地にさえ着けりゃ… 気付かれずに上陸する位なんとかなる
 生き延びるのはオレ達だ!」

「防波堤に囲まれた港の中と外海の波は全くの別物や… ムリや…助からん…」
その瞬間、団長の説明を裏付けるかのように巨大な波が船を一瞬で飲み込んでしまった。



一方、完達は―――― 水門に吸い込まれたかと思うと、今度は数m下へと落下していた。
『今度は滝つぼかいや!』『息をつめろ! 首を守れ!』
メガネが吹き飛ばされた事もお構いなしにシンゴは全員に叫ぶ。
激流の前にはゴムボートの浮力もかなわず、川底近くへ沈みこむ一行。
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401あらすじネクタール 3/3:2011/05/11(水) 22:00:03.54 ID:JSVgULuF
『ブハッ ぶ 無事かみんな…!』
かろうじて浮上し、全員が居る事を確認するが、ミドと香ノ宮が居ない!
幡場はすぐ側にいたミドを引き上げ、完がロープを手繰ると香ノ宮が顔を出す。
「大丈夫か?香ノちゃん」
「ハァ ハァ 大丈夫…なんだか大丈夫でないんだかも… わかんない…」
「こ… こんなのが あといくつあるんだよシンゴ…?」
「あと…  4 か 所 …」
スポーツのラフティングよりも遥かに過酷なこの川下り。
この滝が4か所もある事に愕然とする完達。

「やっぱり…… 死ぬかもしれんな………」                      <続く>
402マロン名無しさん:2011/05/11(水) 22:32:13.09 ID:???
五ヶ瀬川は実在の川だが、水門は5か所もあるのか?
それとも漫画だけの創作?
403マロン名無しさん:2011/05/11(水) 23:19:02.40 ID:???
>>402
五ヶ瀬川は鮎も遡上してる自然豊かな河川で水門は無いよby元宮崎県民

”今はただの川ではなく、水路となっている”って言ってたし漫画だけの創作でしょ
404マロン名無しさん:2011/05/11(水) 23:25:09.37 ID:???
地元民からの有力な情報きたー!ありがとう!
そうか、水路となってるってのを見落としてた
405マロン名無しさん:2011/05/12(木) 08:53:05.68 ID:???
うわー川下り、ボートにつかまってさえいればいいかと
思ってたがそう簡単にはいかないな
時速80kmのジェットコースターに捕まってろなんて俺無理だよ
海に出ても桐生はいないのね……
406マロン名無しさん:2011/05/12(木) 19:26:31.65 ID:???
>海に出ても桐生はいないのね……
いやいるだろうw
普通に待ってると緊迫感がないからピンチになっただけで
407マロン名無しさん:2011/05/12(木) 20:15:46.36 ID:???
まあ確かに漫画の展開的には何かトラブルがあって待ってるor合流するってのが燃えるもんな。
特にこの作品はそれが顕著だ
408あらすじネクタール 1/3:2011/05/13(金) 22:05:41.46 ID:ojcTw3aO
 Vol,104 〜漂流〜


――あれから何とか3つの水門を超え、残す所あと1つ!
『ラストだ! がんばれみんな!この水門を超えれば海……!!』


シンゴの激励のおかげで、ついに一行は超ラフティングをクリアした!
「う… 海…? た… 助かっ・・・・・・・」

一安心する間も無く―――― 次に迫ってきたのは 数 m の 大 波 !

ようやく困難を乗り越えた一行を、大波は無慈悲にも飲み込んでしまった!


力尽きた一行はついにゴムボートから手を離してしまう。
だがなんとか浮上し、全員の生存を確認する。
『無事かみんな!!』
周囲を見回すと、ボートはあっという間に遠く離れた場所に浮かんでいた。
「あんな所に…」
「この分やと泳いでつかまえられる距離やないな…」
「海が… これほど荒れているとは…」
「き… 桐生君は…?」
「この海だ… 彼の船も、多分…」
荒れ狂う海を見て絶望視する5人に、まるでトドメを刺すかのように再び大波が彼らを飲み込む!

『あ… あの根性無しがァ――――――ッ!!』
409あらすじネクタール 2/3:2011/05/13(金) 22:06:26.59 ID:ojcTw3aO
再び浮き上るとシンゴは全員に離れるなと叫ぶが、今の大波でミドの姿が見えない。
幸いにも香ノ宮は完のすぐ側にいたが、半失神中のようだ。
完が香ノ宮を捕まえると同時に、またしても大波が一行を飲み込む!
――――次に完が浮き上った時には……… 幡場とシンゴの姿は無かった。
「シ…シンゴ君…? …ブー…? シンゴ君! ミ…ミド! ブ――――!!』
どれだけ叫んでも、彼らの声はもう聞こえなかった…。

その叫びで香ノ宮も目を覚ます。
「ウ…ウソや… ウソやろ、みんな…」
呆然とする完に、気絶から覚めた香ノ宮は完にしがみつく。
そんな2人に大自然からのトドメの大波が迫りつつあった――――
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(ゴメンなオレ… 何もしたれへんかった…)

死を覚悟し、香ノ宮を強く抱きしめるが……… 近くに巨大な船影があった事に気付かなかった。
410あらすじネクタール 3/3:2011/05/13(金) 22:07:08.22 ID:ojcTw3aO
 ―紀伊エリア―
――あれから1週間が経っていた。
自警団はフェンスの側にテントを張り、それぞれ寝ずの番をしていた。
「キツなってきましたな、さすがに…」
「不眠不休もそろそろ限界かい?」
団員の愚痴にものすごいクマを浮かべた団長は、コーヒーを飲みながらニヤつく。
「ア アホ言ーたあきませんわ」
「オレらはまだまだなんぼでもイケますけど… 問題はフェンスの方ですわ
 電圧の下がるポイントの増えるんが、日に日に早うなってきますやろ
 このままやったら大概時間の問題でっせ」
「せめて… 船出せる程度に天候が回復してくれたらええんやけどな
 最後はやっぱ皆さんを、海の上へ逃がすしかないやろ…」
団長のぼやきをよそに、ルネは…… 一人港に立ち、完達の帰りを信じて待っていた。


「ここは危険だルネ君… 気持ちは分かるが、桐生君が船で出発してからもう1週間だ
 現実を受け入れねばなるまい…」
そう言って現れたのは完とルネの父、御嶽ヶ原だった。
「2人とも約束してくれたんです… 生きて帰ってくるって… 連れて帰ってくるって…!」
「ああ… とにかく家へ戻ろう、ここにいては危ない」
御嶽ヶ原がその場を引き返そうとすると―――― 風の音の中、突如汽笛が聞こえた。
2人が海に振り向くと、沖に軍艦の影が数隻見える。
「あれ…は 軍…艦…?」
「米国艦隊だ… ついに… 海上封鎖に踏み切ったか……」

「………………………違う……」

ルネは空母の甲板をよく見ると――――… そこには6人の人影があった。
6人の人影……。それは米軍に拾われていた完達5人と桐生だった!
生きて帰って来てくれた完に涙し、ルネは思わずその場を駆け出した――――
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                                              <次回、最終回!>
411マロン名無しさん:2011/05/13(金) 22:38:46.17 ID:???
こんなでかい船で悠々と帰るとは想像もしなかったわw
412マロン名無しさん:2011/05/13(金) 22:59:55.86 ID:???
桐生生きてたーーー! 完達も生きてたーーーー!
ラフティング開始からは語る所が少なかったけど、まさかの空母での帰還とはww

・・・でも、完達が帰ってきても事態は好転してないんだよな。
次回で最終回とアオリにあったけど、果たしてどうなる事やら。
413マロン名無しさん:2011/05/14(土) 09:12:59.48 ID:???
香ノ宮が尋常じゃない可愛さを出したな…
414マロン名無しさん:2011/05/14(土) 16:18:57.45 ID:???
ええっもう最終回!?
でかい船で帰ってきたし、一気に解決かな?
例のシンゴの秘密兵器でさ
415マロン名無しさん:2011/05/14(土) 16:30:37.31 ID:???
>例のシンゴの秘密兵器
すっかり忘れてたw

だけどあれ運ぶのも大変だと言ってたし、仮に運んでも電気はどうすんのさ?
あれだけの設備、大量の電力が必要だと思うんだが
416マロン名無しさん:2011/05/14(土) 21:32:35.09 ID:???
しかしまあ、ブーもミドも最近いいとこなしばっかだな。
一番活躍してない完だけは、主人公だから目立つとこだけ持ってくし。
ブーにもミドにもそろそろ幸せになってほしいよ。

…いつぞやのブーに惚れてたデブ専のリカちゃんでも生きていたらなぁ…
417マロン名無しさん:2011/05/14(土) 21:38:44.58 ID:???
そういやそんな子もいたなあ…
BMハザードに襲われなければ、きっとブーもその子とくっついてたろうな…
418マロン名無しさん:2011/05/14(土) 21:51:05.29 ID:???
自分だけ密かに脱出していたシンゴパパがアメリカ政府に打診していたんだな
死んだと見せかけてシンゴ達のピンチまで出待ちして最後に美味しい所を持って行くとは強かだぜ
419マロン名無しさん:2011/05/14(土) 22:02:33.61 ID:???
あの眼鏡にはBM集合装置が仕込まれていてね
BMの注意がそっちに向いてる間に一人用ヘリで海に脱出してたのさ。
420あらすじネクタール 1/6:2011/05/15(日) 21:58:56.22 ID:NPDtMfpW
 Vol,105(最終話) 〜全ての人に幸福(しあわせ)を〜


                     空母から降りた完に抱きつくルネ。
              紀伊エリアに留まった高千穂の人々に力こぶを見せつける幡場。
              ミドも知り合った女性と再会を喜び、香ノ宮も男達に囲まれる。
            シンゴもまた銀次とミハル、ヒース・テッド・ドレン3人との再会を果たし、
                  桐生は団長と自警団に苦労を労らわれていた。

                 奇跡の生還を果たした彼らを祝福するかのように
              いつの間にか嵐がおさまり雲から朝日が差し込んでいた――――

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誰もが彼らの生還を喜ぶ中、ヒース・テッド・ドレンは艦隊司令に歩み寄り敬礼する。
「救助要請への対応に感謝致します、准将」
「君達の生存、及び任務の継続に対して敬意を表そう ヒース部隊先任伍長(マスターチーフ)」
「じゃ何? おっちゃんらが呼んだの?この人達」(銀)

「ここへ呼んだワケじゃない
 生命の危険を冒してまで我々を助けに来てくれた勇者達がいる―――― と
 彼らの救助に向かって欲しいと要請したんだ」


「九州方面へ出港した我々が最初に受信したのは、Mr桐生の救難信号でした
 救助した彼から高千穂の状況を聞き、五ヶ瀬川河口へ駆けつけたのです」
「こんな根性無しでも一応、役に立ったちゅーコトやな」
『根性無し言ーな!!
 大体あんたら、こないだから聞ーてたらヘリコプタてなんやねん!ヘリコプタて!!
 そのヘリふぁちゃんと飛んでたらオレ遭難し損やないか!!』
『やかましな!! 結果オーライやろ! 済んだ事ガタガタ言いなや!!』
所構わず口論を始める完と桐生に、やれやれと肩をすくめる艦隊司令達。
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421あらすじネクタール 2/6:2011/05/15(日) 21:59:42.15 ID:NPDtMfpW
「申し訳なかったと思っている
 けどボクらもあの天候の中、紀伊エリアまで飛行できる自信はなかった
 あの時点では考えうる限りの可能性に最善を尽くすしかなかったんだ、ありがとう桐生君」
シンゴの謝礼に一旦完と桐生の口論はおさまりかける     ・・・・が。
「何でこんな感じに筋道通して紳士的に話せへんのやろな、この人は…」
『やかましわ!!』

…それにしても、あれから1週間も彼らは何をしていたのか?
自警団連中がその事を尋ねようとした時、彼らの背後から罵声が飛んでくる。
『気をつけんか! ゆっくり、ゆっくりじゃぞ!!
 よーし、そのままじゃ! そのまままっすぐ〜〜〜!!』
その場に居た全員が振り向くと、誰かがクレーンで大きな積み荷を降ろそうと誘導している。
「な… 何や、アレ…?」(団)
「オレらからの小笠原土産や」

「広域BM対策装置―――― “零―7号”です
 大まかなユニットごとの組み立ては終わっている、艦内で実用テストも行いました
 明日からでも起動出来ます」

「広域…」「BM対策…?」 どういう事か一瞬分からず、顔を見合わせる自警団達。
「ま、早い話アレさえあったら、
 BM君らをキレイサッパリ片づけられるちゅー ありがたーいシロモノや!」
完の説明に団長達は大喜び……… はせず、浮かない顔をしていた。
「どないした? うれしないんかい、皆?」
「せっかくやが… ムダになりそや、麻綾はん」(団)
「ムダ?」
「紀伊はもうフェンスの電圧さえ維持できへんような有様や
 あんなバカでかい機械、動かす程の電力は逆さにして振り回したって出せへん…」
…ここまで来て…! 誰もがそう愕然としそうになる中、突如艦隊司令に話しかけられる。
422あらすじネクタール 3/6:2011/05/15(日) 22:00:30.07 ID:NPDtMfpW
「その事なら心配いりません
 ――我々極東艦隊の艦載発電力の全てを、この紀伊エリアに供給しましょう
 物資・技術・人員… 可能な限りの援助は惜しみません」

まさかの援助に一同の顔に希望の光が差し込む。
「我が艦隊は指揮系統が混乱しており、独自の判断で行動している状態です… が、
 今回の責任が全て我が軍にある事を思えば 米国も我々の行動を容認せざるを得ないでしょう」
「せ… せやけど、なんであんたらがオレ達の為にそこまで…」(自警団員)
「あなた方のおかげで私は、もう一度3ヵ月になる息子に会える…」(ヒ)
「我が軍の軍人が全て、ダグラス司令のような男ではない事をあなた方に知って頂きたい…」



……こうして、米国艦隊の援助のおかげで紀伊エリアは復興作業を始めた。
「広域対策と言っても、零―7号の実用範囲はせいぜい半径数km程度です
 BMを除去した分だけフェンスを延長していくワケですが…
 このやり方では日本中のBMを除去するのに、何年… いや何十年かかるか分かりません…」
「それでも… これは明らかな希望だ…」(御)
「君には礼を言わなければならない
 ずっと長い間忘れていた ボクに希望を持つ事を教えてくれたのは
 未来に希望の持てる暮らしというものを… あなたの息子さんです、先生…」
復興作業を見ながら、隣に立つ御嶽ヶ原に微笑むシンゴ。


一方、現場では昼時になり幡場がミドにメシにしようと話しかける  …が、何かそっけないミド。
「? どした?」
「い いえ 今日はちょっとお腹の具合が… その…」
幡場がキョトンとしていると……
423あらすじネクタール 4/6:2011/05/15(日) 22:01:15.86 ID:NPDtMfpW
「ツーヨシ♥ なーにやってんの、ツヨシ♥
 今日からお弁当作ってくるって言ったでしょ いっしょに食べよーよ、早く――――&hearts;」

ミドの背後から2人分の弁当を持った女性が陽気に駆け寄ってきた。
「す すいません あの… そーゆーコトなんで…」
『いーからさっさとどっか行っちまえ!このエロガキ!!』
モテない男・幡場は嫉妬の炎を燃やしミドを一喝する!その気持ちは分かる!
「あの〜… 番場さん…」
『だ〜〜〜〜〜〜ッ! うっせーぞ!まだ何か……  用・・・・・・」
突如背後から弱弱しい声をかけられ、またミドかと思い一喝しながら振り向くと――――…

「ご… ごめんなさい あの…お弁当作ってきたんです…けど
 勝手な事… あの でも… もし御迷惑でなかったら…」

――長髪の気弱そうな女性が弁当を差し出しそこに立っていた。
「マ…… マジっスか……」
最終回になり、ようやく告白され幡場にもついに春が訪れたのでありました。
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一方、こちらはルネ&桐生。
「も―――― さっきからず――――っとキョロキョロしてる――――!
 落ち着いて食べなさいよ、折角作ってきたんだからー!」
折角二人きりになったのに、桐生はキョロキョロと辺りを見回し落ち着かない。
「い いや せやけどね いつものパターンやとこの辺で、“あの人”がドッカ―――ンて…」
「だーいじょーぶだってば! 今日は完兄“達”非番なんだから
 今頃は、ど――せあっちだって……」
424あらすじネクタール 5/6:2011/05/15(日) 22:02:00.49 ID:NPDtMfpW
場面は変わり、平穏な海を見ながら寄り添う当作品のヒーロー・完とヒロイン・香ノ宮。
「ホントに来ると思う? BMがいなくなる日なんて…
 あたし達が知ってるこの10年間だけで… 人間は3回も失敗してるのに…」
「ま、どっかでまた失敗するかしれんけど、そしたらまたやり直すだけの事や」
「また… 次も絶対生き延びる?」
「絶対…一緒に…や」
見つめ合う完と香ノ宮。 良い雰囲気――――            と思いきや。

『 ミ ハ ル――――――!! ミハル、ほら見て見て! ヤドカリ捕まえた、ヤドカリ!!』
『あ〜〜〜もぉ! いーカンジだったのに今!!』

どこからともなく現れ無邪気にヤドカリを捕まえ叫ぶ銀次、草むらから現れるミハル!
「すいません、ムードブチ壊して 何分ガキのする事ですから」 ふかぶか。
「それで… オトナのキミのする事はノゾキなワケやね…」
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閑話休題。去りゆくミハルの背中を見つめる完。
「ま… オレらももーちと頑張らなあかんちゅーコトやな… あの子らの世代の為にも…」
その言葉が耳に入ったミハルは、チラリと2人を見て一言。

「お2人の――――  お 子 さ ん 達 の世代の為…… でしょ?」

マセたミハルに、完と香ノ宮は赤くなる。
それでもミハルの言う事ももっともだと、夕陽を浴びながら遊ぶ2人を見守る2人……。
425あらすじネクタール 6/6:2011/05/15(日) 22:02:42.19 ID:NPDtMfpW
作業中のヒース・テッド・ドレンは休憩中、ラジオに耳を傾ける。

《――大統領は本日の議会演説の中で、現在の世界的な食糧危機に対抗する声明を発表し…
 7年前に凍結されたUSBMの研究開発を再開する事を明らかにしました
 これにより、早ければ年内にもUSBMの実用化が実現する見通しとなり………………》

――突如入ってきた悪夢とも言えるニュースを耳にした3人は青ざめ――――……


    『 O h   M y   G o o o o o o o o o o d !! 』

         地球全体に響き渡る程の、彼らの悲鳴が轟いたと言う…。



    この世界に生きる全ての人々に―――― “日常”という名の幸福を――――
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                                        <BMネクタール・完 ・・・?>
426マロン名無しさん:2011/05/15(日) 22:19:37.56 ID:???
とりあえずハッピーエンドでよかったと思ったら…なんだよ最後のあれw

藤澤先生、三年間お疲れさまでした。
427マロン名無しさん:2011/05/15(日) 22:32:55.17 ID:???
終わった・・・・・・・・と思ったら、まさかの大どんでん返し!
USBMの事なんかすっかり忘れてたぜ!

>空母の電力を提供
そういえば、GS美神でもあったな。
「空母の電力は都市一つをまかなえる」って。これも原子力のおかげか?
428マロン名無しさん:2011/05/15(日) 23:09:58.87 ID:???
良い軍人達じゃったのー。

…そこでカーネルの事を思い出してほしかった…
429マロン名無しさん:2011/05/16(月) 00:41:18.25 ID:???
軍人達が死なずに最後に役立ってくれるとは・・・。
しかも主人公さしおいてラストシーンのオチ担当とはw
430マロン名無しさん:2011/05/16(月) 14:36:28.38 ID:???
>>427
空母は原子力で動いてるからな
半端ない発電量だろう

そしてあらすじ氏と作者に乙
あの軍人絶対に死亡フラグ立てたと思ってたのになw
431マロン名無しさん:2011/05/16(月) 14:55:49.46 ID:???
息子が云々と言ってたもんな
もしかしたら死亡フラグを回避したのって初かな?

軍事関係はよくわからないけど、原子力空母って航行してなくても原子炉は稼動してるの?

だとすると、移動式原発みたいなもん?
432マロン名無しさん:2011/05/16(月) 15:07:12.33 ID:???
移動式原発みたいなもんという認識でかわまないかと
というか乗ってる人員も含めると移動式の町みたいなもん
433マロン名無しさん:2011/05/16(月) 15:48:28.56 ID:???
勉強になった、ありがとう!

シンゴだけ彼女いなくてカワイソス(´・ω・`)
434マロン名無しさん:2011/05/16(月) 19:13:53.43 ID:???
でもあの軍人さんたちは4部のアメリカ編あったらやはり死んでるな
435マロン名無しさん:2011/05/16(月) 23:12:29.59 ID:???
>>164
>「ミ… ミスター東条… オレには3カ月になる息子がいる あんたを信じる…死にたくないんだ」
>「みんなそうさ… 死にたくはないんだ、みんな… ただそれだけなのにな…」
これが死亡フラグっぽかったんだよな。何にしても生き残ってよかったよ…

「小さいモンスターが大量に出るホラー映画は、ラストで必ずモンスターの生き残りが出る」
という法則そのまんまだよなこれ。
「黒い絨毯」とか、ヒッチコックの「鳥」とか。
(↑言いたい事わかる人いるだろうか?)
436マロン名無しさん:2011/05/17(火) 14:13:20.72 ID:???
エイリアンとかもある意味そうだよな
437マロン名無しさん:2011/05/17(火) 19:03:05.22 ID:???
マジでこれで終わりなの?
シンゴパパが死んだのは絶対にフェイクだと思ってたのに…
438あらすじネクタール:2011/05/17(火) 22:00:10.85 ID:???
楽屋裏開始
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9月30日から始まったBMスレもとうとう完結!
知る人ぞ知るサバイバルホラー作品はいかがだっただろうか?
最初と違って後半は人が少なくなってしまったが、未読の人がいたらぜひ感想を聞かせてほしい!
(大佐風の口調で)
439あらすじネクタール:2011/05/17(火) 23:18:29.51 ID:???
あと、スレがかなり余ってるので
キリのいいところで「エレル」(全2巻)やるけど、参加してくれる人はいますかね?
440マロン名無しさん:2011/05/18(水) 09:30:24.21 ID:???
あらすじさん乙であります!
未読でしたが、不足なく楽しめました
1話1話じっくりだったのでどーなるんだーと色々味わうことができました
単行本一気に読んだら怒涛の展開に圧倒されそうだな〜

主人公組は知恵と勇気で活躍してくれましたね
でも自分は揺るぎない東条パパが一番好きなキャラです
息子がどうのこうののフラグ立てた人が生き残ったのはびっくりですw

>エレル
参加させていただきます!
441あらすじネクタール:2011/05/18(水) 19:14:47.95 ID:???
>>440
未読者発見&エレル参加者1名様ご案なーい!w
単行本はブックオフ巡れば比較的入手はしやすいと思います。
藤澤先生は最近パニック物漫画描いてるし、女性は結構エロいので好きなのだけど
青年誌でさえ乳首が出ないのが悲しい…(´・ω・`)

エレルは打ち切りではありますが、最終回は必見です!
442マロン名無しさん:2011/05/18(水) 21:48:06.25 ID:???
あらすじお疲れ様でした。
中盤すっかり参加し忘れましたが(おい)チャンピオンに一番ハマってた頃を思い出せて愉しかったです。
443マロン名無しさん:2011/05/18(水) 22:10:40.39 ID:???
>>あらすじ乙
連載中をきっかけに読んだが面白いわこれ
444マロン名無しさん:2011/05/18(水) 22:42:06.81 ID:???
お二方乙ありがとうございます!
乙と感想言われると、本当に「あらすじ書いててよかった」と思います。

>>443は未読かな?
自分も未読の作品をきっかけに本集める口です。

そういえばあの「ぞわぞわ氏」は最後まで読んでくれただろうか?
445あらすじネクタール:2011/05/18(水) 23:59:34.25 ID:???
ちなみに>>431は自分です。
ほら、東日本大震災で米空母が電力提供云々って記事あったじゃないですか。
ちょうどBMでも似たような状況だったので質問させていただきました。
教えてくれた人、本当にありがとう。
446あらすじネクタール:2011/05/19(木) 20:01:58.90 ID:???
できれば450とかキリのいいレス数でBMスレを終えてエレルに移行したいな
447 忍法帖【Lv=2,xxxP】 :2011/05/20(金) 06:05:12.92 ID:bSkfj07J
もう何もレスが無いようなので、では明日よりエレル開始します。



・・・・楽屋裏がこの調子だと、参加者ほとんどいなさそうな気が・・・
448マロン名無しさん:2011/05/20(金) 12:32:40.92 ID:???
あらすじさんお疲れ様でした
自分はぞわぞわさんになってしまいましたが、感想はもう書きましたw
どんでん返しが好きなので、エレルは楽しみです
449 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/05/20(金) 18:26:06.87 ID:???
>>448=ぞわぞわさん?
とりあえずエレル楽しみにしてくれて何よりです、短いですが最後までお付き合いください
450マロン名無しさん:2011/05/20(金) 18:27:43.62 ID:???
〜〜〜「BMネクタール 連載中」これにて終了〜〜〜

あらすじネクタールの今夜の次回作にご期待ください
451あらすじネクタール:2011/05/20(金) 21:19:33.57 ID:???
うっかりしてました。エレルは明日よりやります。
452マロン名無しさん:2011/05/21(土) 13:19:46.32 ID:???
もし更新が止まってるとかで過去ログ倉庫に入らないなら
1スレ目のdatが欲しい
ググって出てきたキャッシュは最後のほうが切れてたから…
453 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/05/21(土) 14:31:34.25 ID:???
DATじゃなくてHTMLでよければ、月曜の夜楽屋裏スレの方に貼りますが、それでもいいですか?
454マロン名無しさん:2011/05/21(土) 19:50:53.24 ID:???
>>453
問題ないです
ありがとうございます
455あらすじネクタール:2011/05/21(土) 21:35:49.07 ID:YqX9lobS
週刊少年チャンピオン2005年6号にて「エレル -ELEL-」という漫画が掲載された。
この漫画について語ろうじゃないか。
尚、この漫画は作者が感染者から生き残る為に頭をフル回転させる事で
2日に1話ずつの速度で連載されるようだ。

時々あらすじ書きが感染者にやられ、変な時期に合併号になる事もあるが気にしないでくれ。
ちなみに今日は週刊少年チャンピオン2005年6号の発売日だ。


※注意※
連載中スレとは連載終了した漫画作品を第1話〜最終話まで順々に、
『現在連載されているもの』つまり現在進行形で語り合うスレです。

●ただし、あらすじは単行本基準で進行していきますが、
●まれにページが多く、やむを得ず同シナリオでも複数に分ける場合があります。
●(「第1話・A」とか「第2話・前」等)
●スレ住人から教えられた場合は別ですが、この場合、
●区切りのいい所や一定のページで一旦切り上げる場合があります。ご了承下さい。

ネタバレ発言はご法度。現在明かされてる情報のみで語り合いましょう。
連載中スレにそぐわない話は楽屋裏スレで行いましょう。
次スレが立ったら or 連載終了して合図があったら楽屋裏! 現代に戻って好き放題に語り合え!

連載中スレの楽屋裏 第31幕
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1276265722/

※規制の巻き添えで書き込めない人は代理スレ↓を利用しよう!誰かがレスを貼ってくれるぞ!
【代理スレ】連載中スレの楽屋裏避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/comic/5124/1213249930/
456あらすじネクタール:2011/05/21(土) 21:59:59.30 ID:YqX9lobS
 Vision.01 <黒き病の神>


200X年 関東某県・北涼大学附属病院――――
妹・早苗を火事現場から救出できなかった少年が救急車で搬送されてきた。


そして時をほぼ同じくして、南米・アマゾン川流域。
日本人調査隊は木にへばりついた、顔よりも大きな粘菌(スライムのような物)に驚いていた。
調査隊のリーダーである神代教授は熱帯雨林で全長2kmの粘菌がある事を告げると全員ビビる。
どうやら粘菌は教授達の調査対象でもあるようだ。
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突如部下が大声で教授を呼ぶ。行ってみると、密林に飲み込まれつつあるピラミッドを見つけた。
「バカな… この一帯は人類未踏の地とすら言われてるんだぞ…
 これほどの巨大遺跡を残す文明の存在など…」
ふと、現地人ガイドがある物を見つけ恐怖に固まってしまう。恐る恐るレリーフを指さし…

「“黒き…病の神…” 子供の頃おばばに聞かされた…
 森の奥深くは“黒き病の神”の世界…… だから入ってはいけないと…」

そう言うと荷物をその場に置き逃げ帰ってしまった!


その後、調査隊はこの遺跡を調べるか調べないかの二派に分かれてしまう。
「俺達は考古学チームじゃないんだ、そんな事をしている時間はないだろ?」
『バカ言え!未知の文明なら大発見だぞ!』 『みすみす他の誰かにこの功績を譲るつもりなの!?』
――結局、調査隊は教授の鶴の一声で調査をする事にした。
『教授!我々のプロジェクト自体、極秘なんですよ!? 調査したって発表する事さえ我々は…!』
「功績は問題じゃない、これは文明史上貴重な発見だ
 記録だけでも残しておくのが科学者としての責任だろう」
「フム…… 黒き病の神… か…」 ……こうして、教授達調査隊一行は遺跡の調査を開始した。
457あらすじネクタール 2/7:2011/05/21(土) 22:00:42.12 ID:YqX9lobS
同時刻、北涼大学附属病院。
冒頭の少年が目をさまし、看護婦は医者を呼び大騒ぎになっていた。
…医者によると、少年は 1 か 月 も意識が無かったらしい。
少年は家族の安否を問うが、両親も妹の早苗も助からなかったらしい……。
自分の未熟さで何もできなかった事を悔い、この小児科で様子を見る為入院を続ける事になった。



 ―大部屋病室―
「明智光成(こうせい)君、小学校5年生…
 今日からこの部屋の新しいお友達よ、みんな仲良くしてあげてね」
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看護婦の紹介に、同室の子供達は光成に視線を集中させる。
「彩文(さいもん)君! この子の事よろしくね、色々面倒みてあげて あなたが一番年上だから」
特徴的な髪形のメガネの知的な少年、彩文(小6)はよろしくと手を伸ばす。
……が、光成は手を出さず、黙って彩文の顔を見つめていた。
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とりあえず彩文は光成を窓際のベッドに案内する。
「落ち着いたら他の皆も紹介するから、とりあえず荷物を――――」
「彩文さん」
「あ、サイモンでいいよ、みんなそう呼んでる で、何?」
「もういいかな? 寝たいんで…オレ」
ぶっきらぼうにそう言うと、光成はカーテンを閉めベッドでふさぎ込んでしまう。

ふと、隣のちょっと悪ぶった感じの少年が気さくに声をかけてきた。
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「よぉ オレ、ハルトってんのよ、鹿賀春斗 今日からおとなりさんだべ、よろしく
 5年生っったらタメだろ? んじゃコーセーでいいべ オレん事もハルトでいいからよ」
「――悪いけど、覚える気ないから…せっかくだけど」
またしてもつっけんどんに返す光成にハルトはブチ切れ、サイモンに取り押さえられる!
458あらすじネクタール 3/7:2011/05/21(土) 22:01:24.70 ID:YqX9lobS
「別に…全然すごくないよ、こんなの…何の役にも立たなかった…」
妹を助けられなかった悔しさに、拳を強く握りしめ、気まずくなったハルトは話題を変える。

…この病院には白い服を着た髪の長い女の幽霊が出るらしい。
「見ろよ、でっけぇ塔があんべ?
 アレ“お化け病棟”ってよ、あん中じゃ人体実験とかやってるらしいんだよ
 んでその実験で殺された女の幽霊が恨みを残してさまよってんじゃねえかって…」
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 ―病室―
サイモンによると、お化け病棟は正式名称「0号病棟」だそうだ。
あそこは奇病や重体患者のための特別病棟で高度な医療施設だという。
「ま、確かにそれと並行して新しい治療法や薬の開発・研究なんかもやってるって話だけどさ…
 人体実験なんてそんな、ゲームのやりすぎなんだよ…」


その頃、当の0号病棟・特別集中治療室には―――― 神代教授が収容されていた。
「どうだ?神代教授の様子は」
「あ… 外山教授…」
外山は部下の医師に聞くと、意識もあるし会話も可能、体も健康だというのだが……
「ただ…… どうしても何一つ、思い出せない――――と……」
――当の神代はただ茫然と空を見つめていた。


やむなく外山は神代の側へ行き憎々しげに話す。
「念の為脳のCTスキャンもも撮ってみたが、これといった損傷は認められん
 考えられるとすれば強い心因性のショックという事だが……
 それで思い出せませんではすまされんのだよ、神代教授
 あんたも知っての通り、今回のプロジェクトにはすでに億単位の金がつぎ込まれている
 当然バイオグランデ社は相応の成果を要求してくるんだ
 それが何の成果も上げられなかったばかりか、全員行方知れず… あんた達調査隊の責任は…」
459こっちが本当の 3/7:2011/05/21(土) 22:02:40.72 ID:YqX9lobS
『ハルト! 落ち着けハルト! あの子はほら今日入ってきたばかりだしさ
 君だって初めはふてくされてばかりだったろ?」
ハルトは舌打ちしつつも、しぶしぶ落ち着きを取り戻した。



休憩所でジュースを買う光成とハルトの前に中学生位の不良が子分4人を引きつれて現れる。
「よぉハルト!そいつかよ、おめーんとこの新入りってのはよ
 んで?おチビ おれはさー… おめーから何をもらえる訳?
 ゲームかな〜? CDかな〜? あ、もちろん現金も随時受付中よん♥」
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「何だオマエ?」
すると不良はハルトをひっぱたき、礼儀くらい教えとけとリンチにし始めた!
それなのに光成は我関せずとばかりに一人戻ろうとする。

「なんだァ、オイ? ダチ見捨てて一人スタコラトンズラですかぁ?
 あ〜〜 そーいやそーだよなー 誰か見捨てて一人で逃げるのとくいだったっけな――――
 なんせ家族全員見捨てて自分だけ生き残ったお方だもんな――――
 妹見殺しにしたってホントだったんだ――――
 お兄ちゃんお兄ちゃん たちゅけてたちゅけて〜〜」

不良の冷やかしに子分爆笑する。
すると――――――  不良の鼻ッ面に光成の怒りの後ろ蹴りが炸裂した!
親分がやられた事に子共は次々と殴りかかるが、光成は連中をあっという間に返り討ちにしてしまった。
(もっと… オレがもっと… オレがもっと強ければ!!)
救えなかった亡き妹を思い出し、光成は殴りかかりながらも涙を浮かべていた。


その後、騒ぎを聞きつけた大人達の声を聴き、光成とハルトは慌てて逃げ出した。
ハルトの話によると、あの不良は織田という偉い政治家か何かの息子らしく、
何か悪さをして補導されそうになるたびに、仮病で入院してほとぼりが冷めるのを待っているらしい。
「それよっかよ… すげーじゃん、コーセー 空手か何かやってんの?」
460あらすじネクタール 5/7:2011/05/21(土) 22:03:26.83 ID:YqX9lobS
――“調査隊”。その単語を聞いてようやく神代は反応した。
「そ…そう… 調査隊は…… 私の助手は…… 私の学生達はどこへ行ってしまった……」
神代の反応にそんな事はどうでもいいと怒鳴り散らす外山。
いらだちを抑える為、院内は禁煙だ注意されるのもお構いなしに煙草に火をつけようとする。

ライターに火をつけた瞬間―――― 神代は無意識の内に一瞬にして大きく飛びのいていた!

その動きは3人中、誰一人として見えなかった。
上半身を起こした体勢で、明らかに着地のポーズをとっているというのに…。
――ふと、外山は“ある事”を思い出す。

「神代教授…… そういえばあんた…… メガネは無くても……見えるのかね……?」

冒頭、メガネをかけていたはずの神代は終始裸眼だったのだ。
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 ―病室―
深夜になっても眠れない光成は、ふと外を見ると…夜の庭を出歩く早苗そっくりの少女を見かける。
気になった光成はこっそり病院を抜け出すと、少女は花壇の花を慈しんでいた。
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……その少女は、ハルトの言っていた『白い服を着た髪の長い女の幽霊』と条件が当てはまる。
少女は光成の存在に気付くと、慌ててその場から逃げ出してしまう。
「ま…待てよ… 待てよ、早苗!」
少し走っただけで少女は苦しそうに胸を押さえ、その場にうずくまってしまった。
461あらすじネクタール 6/7:2011/05/21(土) 22:04:18.43 ID:YqX9lobS
 ―0号病棟・特別集中治療室―
寝ている神代の横で看護婦が器具を整理していると、神代は上半身を伸ばしたままゆっくり不気味に起き上がる。
看護婦が振り向くと―――― ベッドの上でカエルの様に腰を落とし、
両腕をだらりと下げた不気味なポーズの神代がこちらを見つめていた!
呆気にとられる看護婦に、神代はものすごいスピードで飛びかかった!
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同時刻、光成は少女をおぶって歩きつつ、驚かせてしまった事を詫びて自己紹介する。
「あんたは?」
「瑠奈(ルナ)…」
「走って苦しくなったって事はあんたユーレーじゃねーよな?
 なんだってこんな夜中にうろついてんの?」
ルナを病室まで運ぼうとすると、案内された先は―――― あの0号病棟だった。
ルナは怖くないのと聞くが、別に怖くはない。
「別にここになんか怖いってモンがいる訳じゃないし…」



…そして、再び特別集中治療室。光成の言う「怖いモン」がここにいた。
神代は何やらブツブツ言いながら、腕1本で看護婦の顔をつかんで壁に押し付けていた!
看護婦は神代の腕をひっかいて抵抗するが、傷から出てきたのは血ではなく……ネバネバした物!?
(な… 何これ…!? 動い…てる!? 血じゃない…!)

粘液状の物体はゆっくりと看護婦の顔に這い登り…… 穴と言う穴から体内へと侵入した!!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110521214234.jpg
462あらすじネクタール 7/7:2011/05/21(土) 22:05:05.49 ID:YqX9lobS
 ―エレベーター内―
「何階?」
「…15階…」
「お〜〜 最上階じゃん、カッコイイ〜〜」
「うん… 政治家とか…芸能人がこっそり入院したりするVIPルームとかあるの…」
『へーマジ!? すげぇじゃん!!』
「うん… でもね… なんだか人が少なくてさびしいし… 少し…怖いの」

何気ない会話の中、倒れた看護婦を放置し神代はゆっくりと病室を後にした。  
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110521214247.jpg      <続く>
463 忍法帖【Lv=3,xxxP】 :2011/05/21(土) 22:06:40.50 ID:YqX9lobS
(あらすじ3と4(>>458-459)を逆に貼ってしまいました、すみません)
464マロン名無しさん:2011/05/21(土) 22:46:28.73 ID:???
藤澤先生の新作キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
前作のUKキングダムはいまいちだったし、打ち切りだったからな…
今回はBMと同じようなバイオパニック物だし、大好きなジャンルなんで応援するぜ!

>粘液状の物体はゆっくりと看護婦の顔に這い登り…… 穴と言う穴から体内へと侵入した!!
うわああぁぁぁぁぁ!!!!((((((((;゚Д゚))))))) 怖えええええ!!
465マロン名無しさん:2011/05/22(日) 09:47:59.48 ID:???
穴という穴からでハァハァしながら画像見たらギャアアアアアア
466マロン名無しさん:2011/05/22(日) 13:30:13.02 ID:???
>んで?おチビ おれはさー… おめーから何をもらえる訳?
すがすがしいまでの悪党だな。死亡フラグバリバリ立ててやがるw

今回のテーマは一体何なんだ?憑依?
467マロン名無しさん:2011/05/23(月) 16:12:56.77 ID:???
うわーなんなんだろ、不気味で面白そう!
粘菌が直接入ってんのか、「黒き病」のウイルス感染みたいなものなのか
とりあえず身体能力は大幅アップ?
468 忍法帖【Lv=4,xxxP】 :2011/05/23(月) 19:19:30.25 ID:???
BMよりもますますバイオハザードっぽいな
469あらすじネクタール:2011/05/23(月) 22:04:11.79 ID:fjc0+o3h
 Vision.02 <深夜病棟>


 ―エレベーター内―
光成はルナの症状を聞いていた。
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「“色素性乾皮症”…体質なの、生まれつきの… 紫外線に対する免疫力が無いんだって…
 普通に日光を浴びるだけであっという間に皮膚が干からびてボロボロになる
 数時間もすれば、全身がガン化して死んでしまうわ…
 だからあたしは赤ん坊の頃から、ずっと…この病棟から出た事が一度もなかった…
 今日みたいに、真夜中にこっそり抜け出すだけ… 一人だった… ずっと…」
15階に着き、エレベーターを降りる。
そんな悲しそうなルナに光成は赤くなりながら、真夜中なら付き合ってもいいと言う。
「いい… 病院で知り合った人は…どっちにしてもすぐいなくなってしまうから…」
「それなら…心配ねーよ オレ…家も家族もなくなっちまったからさ」

しばらく見つめあう2人だが、突然ルナは背を向け今すぐ帰ってと強く言う、
「早く!見回りの看護婦さんに見つかったら大変…!」
「へーきだよ、怒られるだけだろ、どーせ…」
『ダメ! 夜中に病棟出たりよその病棟に入ったりするの、ホントはすごくいけない事なんだよ!
 見つかったらもう二度と抜け出せなくなっちゃう…!」
そこまで言うと、ルナは再び光成を向き直る。

「また… 付き合ってくれるんでしょ? 散歩」    ――ルネは初めて微笑んでいた。

「あ… お、おお!やっと…笑ったな」
「そっちも… じゃ、気を付けてね」
別れを済まし立ち去りながら、やはり笑うと早苗に似てると考える光成。
470あらすじネクタール 2/5:2011/05/23(月) 22:04:55.73 ID:fjc0+o3h
ふと、曲がり角を曲がった瞬間―――― 見回りの看護婦にバッタリ出くわした!
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「何してんの、キミ?こんな夜中に…」
看護婦は光成の顔をライトで照らすと、この病棟の子じゃない事に気づき、光成は慌てて逃げ出した!

そのやり取りを病室の入口で伺うルナだったが… 後方から神代が近寄っているのに気付かなかった。



その頃、光成は男子トイレに逃げ込んでいた。
まさか看護婦を殴る訳にもいかないし、どうしようかと焦っている。
「ふぅ… まったく ただでさえ夜勤ってお肌に悪いんだから…
 これ以上ストレスかけないでちょーだい…」
愚痴りながら男子トイレの中を覗いた瞬間… 神代が横から恐ろしい速さで彼女に襲い掛かった!
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中に隠れていた光成は看護婦が来ない事に気づき、もう行ったのかと思ってトイレを後にする。
…しかし、その背後には助けを求める看護婦の手が伸びていた事に気づく由もなかった。
――看護婦の上に馬乗りになった神代の目等からあの粘液が大量にこぼれ、彼女の顔に滴った。
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 ―翌朝、7:13 ルナの病室―
ロン毛の若い担当医が検温や容体をうかがい、付添いの看護婦に合図を送り看護婦は病室を出る。

「――さてと… 昨夜、また脱走したねルナ君!」
…バレてる!ルナはとぼけるが、担当医は布団の中から動かぬ証拠である木の芽を見せる。
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471あらすじネクタール 3/5:2011/05/23(月) 22:05:45.09 ID:fjc0+o3h
「ルナ君! 知っているだろう? 君の病気「色素性乾皮症」は単に日光に弱いだけじゃない
 体中の免疫力も著しく低下させるんだ
 外の世界には様々な雑菌やウィルスがウヨウヨしている
 君の体は他の子に比べてはるかにこれらの菌に感染しやすくなってるんだよ」
担当医の説教にルナはしょんぼりとなる。

「だからいいね、ルナ君
 ――――今度から脱走した次の朝は、こっそり先生だけに教えてくれる事 約束だよ」

まさかの反応に茫然となるルナをよそに、担当医は微笑んで踵を返す。
ふと、ルナはおずおずと昨夜変わった事がないかと問う。
「変わった事……って?」
「あの、例えば その 看護婦さんが誰かを捕まえたとか… 誰かとケンカしたとか…」
担当医はそのような話は聞いていないらしく、ほっと安堵するルナ、




 ―同時刻、ナースステーション―
「それじゃ… お疲れ様でしたー」
帰ろうとする島田と藤堂(夕べ神代に襲われた看護婦)は婦長から無理しないようにと言われる。
どうやら倒れているところを発見されたようだが、帰ろうとする2人の目には大きなクマが浮かんでいた。
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一方、光成はベッドの上で大あくび。何しろ夜更かししていたから…。
いざ寝ようとすると、ものすごい勢いでブタが突進してくる!
『コーセー君、聞いたよ!スゴイんだね、キミ!』
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…このブタの名は猪本。昨日の織田(不良)をぶちのめした事が病棟中になって興奮しているらしい。
472あらすじネクタール 4/5:2011/05/23(月) 22:06:37.39 ID:fjc0+o3h
『バカヤロ、ポンチョ!ンな話でけぇ声で吹いて回ってんじゃねーよ!!』
『ポンチョってゆーな!ボクの方が年上なんだぞ!!』
サイモンはそんな話は聞いていないとハルトを咎めようとし、ハルトはポンチョと口論中。
三つ巴の口論をすぐ側でされ、うるさそうにする光成をちょこんとおかっぱ頭の男の子が覗き込む。
「・・・・・・・・・ざ…… 座敷わらし……?」
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その頃、監視室では外山達が夕べ神代に何が起こったのか、記録を見ていた。
ベッドから50代後半の男とは思えぬ瞬発力で看護婦に襲い掛かる所を見ていたのだが、
あいにく看護婦は画面の外にいたので何をやっていたのか知る事はできなかった。
「その後、いったん病室を出て30分程して戻ってきます
 その後襲われた看護師も起き上がり… まるで何事も無かったかのように部屋を出て行きました」
「この看護師はこの後どうなっているのかね?」
「ナースセンターに問い合わせたところ、軽いショック状態で戻ってきたそうです
 初めは質問にも答えられず、この間の事は何も覚えていないと…
 現在は宿舎に戻って静養中との事です」
「神代教授の様子はどうだ?」
「それが… 今朝から記憶の損壊が急激に進んで… すでに会話も困難な状態に…」
「・・・・・・・・・院長に報告だ…」
473あらすじネクタール 5/5:2011/05/23(月) 22:07:23.57 ID:fjc0+o3h
その後、しばらくすると手術着に着替えた外山達が神代の病室になだれ込んできた。
助手達は神代を強引に抑え込み、酸素マスクを押し付ける。
「神代さん… 哀れな人生だったな…
 学内の派閥争いに敗れ、居場所をなくしアマゾンの果てまで使い走り…
 あげく、知識も言葉すらも失い 人格者ともてはやされた姿も、今や見る影もない…
 だが… 決して無駄な人生ではなかったよ、神代さん
 あんたはその体の中に新しい医学の可能性を宿して帰ってきたんだ
 安らかに眠りたまえ、神代教授…」

――ふと、神代は意識を失う直前、「エレル…」と呟いた。
「何だって?」
「さあ… 確か「エレル」とか…」
神代はその単語を現地娼婦か何かだろうと思い、手術開始の合図をする。

助手がメスで着衣切除しようとした瞬間―――― 突如神代が目を見開き、助手の手を掴んだ!!
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神代は恐ろしい力で助手の手を骨ごと握り潰し、病室に悲鳴が響き渡った!!



…一方、時計が3時を過ぎた頃、外では光成がルナを待っていた。
「遅ェな… ルナ…」                                       <続く>
474マロン名無しさん:2011/05/23(月) 22:37:40.23 ID:???
うわあああああああ!新たな犠牲者が…!
このメガネ看護婦さん、結構好みなんで余計凹むわ…
押し倒される様子がエロいけど、それ以上に神代が怖い!
ラストの突然目覚めた神代も怖い!!

・・・・で、エレルって何だ?タイトルにもあるんだが・・・
475マロン名無しさん:2011/05/24(火) 10:27:57.05 ID:???
襲われる看護婦さんがえろいw
しかし主人公の仲間?がみんな個性的な顔ばかりだな

エレル……遺跡に残されていた何か、か?
476マロン名無しさん:2011/05/24(火) 11:33:29.23 ID:???
乾皮症って本当にある病気なんだな。
きっとこれが粘菌への切り札になるのだろうか…

>仲間が個性的
あの中でまともそうなのはサイモンだけだな、髪型がチンコカットだがw
こっちはシンゴポジションだな。
デブは………蛮場ポジション…とは思いにくい
477マロン名無しさん:2011/05/24(火) 12:09:27.76 ID:???
まあ数時間もすれば全身がガン化してってのは大げさすぎな表現だが
画像検索とかするとショッキングな写真が色々出てくるけど皮膚病変はこの病気の症状のひとつに過ぎないからね
フィクションでは「紫外線に当たれない病気」ってのがクローズアップされる事が多いけど
478マロン名無しさん:2011/05/24(火) 20:43:04.24 ID:???
そういやBMの全身をガン化させるグッズってあったよな。
そうか、彼女は人型に進化したBMだったのか。
479マロン名無しさん:2011/05/24(火) 22:42:22.53 ID:???
>>477
うぉ、ホントだ… 自分が調べた時はそうでもなかったのは、「色素性」と入れてなかったからだったんだ。
「色素性乾皮症」で画像検索すると、重度だと確かにショッキングな顔の子供がいるね…
480あらすじネクタール 1/3:2011/05/25(水) 22:01:31.01 ID:7ehRA+9o
 Vision.03 <侵入>


――深夜03:56……。約1時間待ってもルナは現れず、いつしか光成はベンチの上で眠っていた。
…その直後、足音が聞こえ光成は目を覚ました。
「…ルナ!」



 ―職員用宿舎 04:00―
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汗びっしょりで目を覚ました島田。
「もう4時……か 爆睡だ… どーしちゃったんだろ、昨日…仕事中にぶっ倒れるなんて…
 あたしも今年で26… いつまでも若くないっつー事? 彼からも… メールの一つも来ないしさ…
 やめ時なんかなぁ… この仕事…」
目覚ましを止め、コーヒーを飲もうとコンロに火をつける。

直後―――― 右手だけがコンロから飛びのくように大きく離れ、ビクビクと痙攣している!?
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一方、光成は……
「何なの、一体… ルナって誰よ、コーセー?」
足音の主はサイモンやハルト達、同室のメンバーだった。
サイモンがベッドに光成がいない事に気づき、探しに来たのだ。
どういうつもりかと問い詰めるサイモン。本来なら許可なしで病室から出られないし、
何より消灯時間以外の外出・及び深夜外出…。
ここまで来ると怒られるのは光成だけではなく、室長としてサイモンも怒られる。
いぶかしげに帰ろうと言うが…
「関係ない… ほっといてくれよ…」と無下にあしらう。
「ボ ボクはキミの味方だよ、コーセー君」 ←ごますりながら媚びへつらうブタ
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481あらすじネクタール 2/3:2011/05/25(水) 22:02:13.44 ID:7ehRA+9o
「オレ達さ、聞いたよ おめぇの家族の話」
ハルトがそう言ってせめて説明しろと続ける。そしたら自分達も納得し、帰るからと。



――そして光成はこのオバケ病棟とルナの事を説明した。約束の時間になっても現れない事も。
恐らくバレて外出できないのだろうとブタが言うと、光成はおもむろに病棟に向かいだす。

「一人ぼっちにさせないって約束した! ルナが出てこれないんならオレの方から会いに行かなきゃ!
 もういいだろ、帰れよ 怖いんだったら…」

ブタ以外はそういう問題じゃないと叫ぶが、座敷童子っぽい男の子は光成にくっついた。
『コロ! コロってば、ちょっと!』
「コロっつーの、お前? お前は怖くねーんだな?」
座敷… もとい、コロはその問いには答えず、無表情でただ光成を見つめている。
ハルトとサイモンを2人の後を追い、ブタもやむなく4人を追いかけた。


…エレベーターに乗り、15階のボタンを押すが反応が無い。
「14階停まりなんじゃないの、これ?」
しかし昨日は確かにこのエレベーターで15階まで行ったのだ。
やむなく14階まで上がる事にした。



 ―14階―
エレベーターを降りると、ここは廊下だというのにもかかわらず、色々な荷物が置かれている。
これだけ人のいた痕跡があるにもかかわらず、誰一人見当たらない上に人の気配もない…。
「つーか、病棟にしちゃえれぇちらかってねぇ?ろーか…」
「そういえば聞いた事あるよ、0号病棟って入院してるのは特殊な症例の人とVIPだけで…
 実際、建物のほとんどは研究施設と検査室だ…って… だから夜間になると全然人がいないんだ」
482あらすじネクタール 3/3:2011/05/25(水) 22:02:55.55 ID:7ehRA+9o
進むうち、一行は階段を見つけ昇って行く… が、15階は非常用シャッターで閉ざされていた。

「どーしても15階にゃいれてくれねーって訳ね、でもなんで…」
「や…やっぱアレだよ、そのルナって子が勝手に外に出ないよーにさ、先生達が閉めちゃう事にしたんだよ」
1階分上がっただけで息切れするブタが何か言う。
仕方がないのでハルト達は帰ろうとするが――――
「そんなら… ルナの部屋にだけ鍵かければすむ話だろ…?
 15階には他の患者だっているんだろ!? オカシイじゃんか、絶対!!」
確かにおかしい話だが、シャッターが閉まっていてはどうしようもない。
…するとコロが光成の袖を引っ張り、無言で上を指さす。
指さす方法を見上げると… 通 気 口 があった。
「い いや そりゃアレ、向こうに通じてるかもしれねーけど、いくらなんでもソレは…
 第一あそこ、どーやって入る…」
さすがの光成もコロが相手では怒る訳にもいかず、小さい子を諭すようにツッコむ。

――するとコロはオーバーオールのポケットから各種道具を取り出した!
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…結局、工具を使って通気口に侵入した光成達。
『ちょっとコーセー! コーセーってば! 本気でやってんの、ちょっと!
 言っとくけどこれ規則違反どころじゃなくて立派な犯罪だよ!!』
「そ そーだよ! ボクはサイモンの味方だな!」←媚びへつらうブタ・その2
「だからさ、ついてこなくていいって言ってんじゃん、最初から」


廊下に降りる光成達。
「昨日までフツーに会いに来れた所が、今日は今日はいきなり犯罪…って ありえないだろ、そんなの
 なんか… 犯罪以上の“なんか”がないとさ…」

光成達の背後の廊下の曲がり角に、警備員の惨殺死体があったのに彼らが気づく事はなかった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110525215926.jpg      <続く>
483マロン名無しさん:2011/05/25(水) 22:38:53.74 ID:???
島田さんエロいよ島田さん。乳首立ってるよ! (;´Д`)ハァハァ
26歳なら十分魅力的ですし若いですよ! (;´Д`)ハァハァ
484マロン名無しさん:2011/05/25(水) 23:59:09.47 ID:???
これは……右手に寄生されてるってことか?
すぐに全身のっとられるわけじゃなさそうだな
485マロン名無しさん:2011/05/26(木) 00:38:21.65 ID:???
少なくとも「すぐに全身を乗っ取られる」訳ではなさそうだ。
神代も島田も、しばらくの間は自意識保ってるし

ところであのデブがやたらムカつくのは俺だけか?
486あらすじネクタール 1/2:2011/05/27(金) 22:00:00.75 ID:R7RSmLM+
 Vision.04 <彷徨う者>


「あのさ…やっぱり… 今…誰かに見つかったりしたら… そーとーヤバいんだろーね、ボク達…」
「ヤバいなんてもんじゃないよ、これじゃ立派に警察沙汰だ この年で犯罪者だよボク達!」
ポンチョの言葉にますますうろたえるサイモン。先生にだって叱られた事ないのに、人生に傷がつく!
親指の爪をかじりながらブツブツ言っていると、昨日看護婦に出くわした廊下に出る。
…念の為、光成は物陰から様子を見ると、前方に誰か男がうずくまっているのが見えた。
慌てて体を隠し、どうしようかと小声で話し合う光成達。

――――しかし…… その話し声はしゃがんでいた男…神代の耳にしっかり届いていた。
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仕方ないので男子トイレに隠れ、あのオジサン(神代)がどこかにいくまで隠れる事にした。
…と、その瞬間、何者かがモップを振るい光成に襲い掛かった!
間一髪で光成は身をかわし、身構えるが……襲撃者の方から殺さないでと命乞いをしてきた??!!
手術衣を着ている所を見ると、どうやらこの男は医者のようだ。
「なんだってこんな…」
『ど どーだっていーよ、そんな事!
 それよりさ! ボクら見つかっちゃったんだから早く逃げなきゃ! その人がパニクってる内にさ!!』
どういう事かと事情を聴こうとするが、ポンチョが珍しく正論を言うので退散する事にした。


全員その場から走って逃げるが、何しろ走るのは2か月ぶりで体力が落ちている。
仕方ないのですぐそこの部屋で休もうとし、一行が目にしたものは―――― 警備員達の惨殺死体!
みな、人間業とは思えないほど首があらぬ方向にねじ曲がったり、目を背けたくなる程だった。
…ふと、ポンチョの額に雫が落ちる。

見上げると、そこには―――― 神代が天井に貼りついていた!
487あらすじネクタール 2/2:2011/05/27(金) 22:00:45.07 ID:R7RSmLM+
神代は光成達の体内をスキャンすると、天井から落ち変形四つんばいで追いかけてくる!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110527213817.jpg
その中で足の遅いポンチョが捕まりそうになった時… 光成の水月蹴りが直撃した!
「やっべー… モロに入っちゃったけど、この場合は… しょうが・・・・・」
なんと神代はピンピンしたまま反撃してくる!
(お… おい水月モロに入ったはずだぞ… 腹筋も腹圧もロクになかったじゃん…
 KOだろ、フツー…)
神代はゆらりと立ち上がると、目を見開き光成を捕えようと掴みかかる!
光成は回避しつつ、アッパーをブチ当て、延髄に一発!
神代の首が折れたかのようにねじ曲がる     ――が、それでも光成に掴みかかった!
だが、風を切る音と共に光成に向き直る神代。明らかに人間ではない!

直後、逃げられない光成に…… 神代の顔の穴と言う穴から、粘液が滲み出してきた!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110527213832.jpg       <続く>
488マロン名無しさん:2011/05/27(金) 22:44:55.91 ID:???
うぉ、怖ぇ…!振り向いた神代の口から血がしたたってもおかしくない図だ!
しかしなぜ神代は光成達をスキャンしたのか?つか、そんな機能もあるのか?
ダメージを受けても立ち直り早いどころか、風を切る音を発しながら振り向くのも怖い!
489マロン名無しさん:2011/05/28(土) 12:41:52.07 ID:???
やべ、最後のコマショタに目覚めそう
490マロン名無しさん:2011/05/28(土) 14:03:24.59 ID:???
この作品でショタに覚醒とか奇特ですなw
491マロン名無しさん:2011/05/28(土) 21:24:43.52 ID:???
スキャンした次のコマで電撃走るトーン貼ってあるのは
何か暗示してるのかな
そもそも、寄生する人間の選定基準ってあるのかな?
無差別?

これから感染者続出になるんだろうか……わくわくする
492マロン名無しさん:2011/05/28(土) 23:34:08.49 ID:???
>そもそも、寄生する人間の選定基準ってあるのかな?
すでに寄生済かどうかを調べている…のかな?
493あらすじネクタール 1/3:2011/05/29(日) 21:58:45.41 ID:UnBEN75k
 Vision.05 <不協和音>



目の前に迫る粘液に悲鳴を上げる光成。絶体絶命!
――――が、ハルト達が消火器を噴射し、神代は光成を離してよろめいてしまう。


噴射を続けるうちについに消火剤が切れ、光成は走れと叫ぶ。
サ「あ あれだけ消火剤あびたんだ、酸欠で気絶してるはずだよ 下手すりゃ死んでるかも…」
光「………いや……  それは無い……」

光成は逃げながらチラリと後ろを見ると、粘液を顔に貼りつかせ、這いながら追いかける神代の姿!
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曲がり角を曲がると、前回光成に襲い掛かった医者がいた。
『逃げろ!あんたも…!』
しかし、医者は恐怖のあまりその場にうずくまってしまう。
そんな医者に神代はとびかかり、あっという間に粘液を体内に抽入させてしまう!
もはや助ける事も出来なくなった光成達は、医者を見捨ててその場から逃げ出した。



走るうち、ふと前方に部屋の中を見て腰を抜かしたデブがいた。
『ポンチョ! てめぇ何一人で逃げてんだよこのデブ! 誰のせいでオレ達こんな…!』
ハルトに胸倉をつかまれるポンチョだが、彼の指さす方向を見ると―――― 部屋の中は死屍累々。
その数、約50人。負傷者は少なそうだが、生きているか死んでいるかはわからない…。
「だいぶ見えてきた… この0号病棟の15階に凶悪な殺人鬼がもぐりこんだんだ
 それで被害が広がらないように、15階を閉めきった…
 15階の患者や医師たちはこの部屋に避難しようとしたけど、間に合わなかったんだよ、きっと…」
推理するサイモンだったが、実際戦った光成は否定する。
494あらすじネクタール 2/3:2011/05/29(日) 21:59:28.40 ID:UnBEN75k
「殺人鬼……ってゆーか、アレ… 人間じゃない… 見ただろ?さっきの…」
『じゃあ一体なんだっていうんだよ、アレ!』
「わかんないけど… ホラ」
光成の視線の先は… 警備員の死体。 いや、死体が持つ“特殊警棒”。

「警備員だけでも30人はいたと思うけど…みんなこの警棒を持っていた…
 マンガじゃないんだ… 武器を持った30人相手に、素手で勝てる人間なんていないよ…」

「い いや、だけど…」「例えば一流の格闘家とかよ…」
『いー加減にしろよさっきから!』
サイモン、ハルトの横から口を挟み怒鳴るポンチョ。
『さっきから聞いてりゃ何くだらない事ゴチャゴチャ言ってんだよ!! どーだっていいだろ、そんな事!
 それより今はさっさと逃げ出す方が先だろ!
 ボクはイヤだったんだからね!はじめっからこんなトコ来るの!』
…それもそうだが、問題はどうやって逃げ出すか、だ。
もう一度通風孔までよじ登ってグズグズしていたら、見つかるのも時間の問題だ…。

「じゃ… じゃあさ、ずっとココにいようよ」

とんでもねぇ事を言い出すサイモン。
「だってさ、ここに避難しようとしてたって事はさ、きっとここは安全なんだよ
 扉を閉めるのが間に合わなかっただけでさ 扉さえ閉めちゃえば、きっと…」
サ「言えてるかもしれないね… 見た所、扉はかなり頑丈そうだしロックも複雑だ
  内側から鍵をかければまず入ってこれない… 朝になればきっと誰か助けに来てくれるだろう」
ハ『マジかよ!こんな死体の山と一晩中…!』
ポ『自分が死体になるよかマシだろ!!』
サイモンは光成に意見を求めるが、光成は部屋の中を調べてここにはルナがいない事に気づく。
「まさかキミ…」
「一人にしないって約束したから、探しに行かなきゃ…」
「い いや ここにいないっつても、この有様だぜ…」
「も… もう死んでると思った方が…」
495あらすじネクタール 3/3:2011/05/29(日) 22:00:09.58 ID:UnBEN75k
「……だったら…… 死体を見つけてやんなきゃ」

「バ… バッカじゃねーの!何カッコつけてんだよ!!
 ゲームかアニメのヒーロー気取りかよ、このオタク!!
 ちょっとぐらい強ぇからって調子に乗ってんじゃねぇよ! 小学生の空手で何ができるってゆーんだよ!!』
自分の思うようにいかず、サイモンとハルトが止めようとするのもお構いなしに罵詈雑言を浴びせるポンチョ。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110529215138.jpg
「なぁ、コーセー…なんだってそこまで意地はるんだよ…?
 オレらだってさすがにそこまでつきあえねーぜ…」

「ついてきてくれなんて言った事、一度もないだろ」

光成のその一言が決定打となり、ハルト達4人は部屋の中に閉じこもってしまう。
(助けて… お兄ちゃん…)
光成は両手の警棒を握りしめ、助けてやれなかった妹の最後の言葉を思い出していた。



…一方、部屋の中では……
ハ「大丈夫かな、コーセー…」
ポ「し 知らないよ、自分で勝手に出てったんだから
  ぼくらのせいじゃないよ、本人がカッコつけたいってゆーんだからさ 好きにさせてやろーよ
  な…… 泣いて帰ってきたって、絶対入れてやんないもんね」

――その背後では、倒れていた人々がゾンビのように不気味に起き上がりだしていた…。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110529215238.jpg      <続く>
496マロン名無しさん:2011/05/29(日) 22:46:48.24 ID:???
ますますポンチョがむかつく件
BMの幡場は頼れる力担当って感じだったが、こっちは明らかに足手まといになりそう
497マロン名無しさん:2011/05/30(月) 18:00:00.03 ID:???
追っかけてくる神代がキモカッコイイぞw
498あらすじネクタール 1/3:2011/05/31(火) 22:01:07.92 ID:5Opka5An
 Vision.06 <扉の向こう>


冒頭、光成はあの火事の事を思い出していた。
助けを求めて手を伸ばす早苗、助けることができなかった自分…。
(もう… イヤだ…  何もできなかったなんて…)
…一歩歩き出すと、サンダルのキュッという足音が静かな廊下に響く。
足音を立てないよう、光成はサンダルを脱いで歩み始めた。


その一方、部屋の中ではブタが助けてもらった恩も忘れ遠慮なく陰口を叩いていた。
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「大体さ、現実が見えてないんだよね ヤダヤダ 最近多いよね、あーゆーオタク
 アニメかゲームの主人公みたいに都合よくさー 自分は何でもできるって思ってんだよね――――
 どーで殺されたってさ、魔法のアイテムで生き返れるとでも思ってんじゃないの?」
「よくそこまで言えんな おめぇ、1回助けてもらってんべ?」
「フン! こっちだって1回も助けてくれなんて言った覚えないね あんなのボク1人で楽勝だったよ」
さすがにムカついたのか、ハルトがいさめるがこのブタ、留まる事を知らない。
「泣いて帰ってきたって、絶対に入れてやんないんだからね!」
するとコロが無言でブタを睨む。
「あ で でもさ、出方次第じゃ入れてやってもいーんだけどね、別に…」
…しかし、以外にもブタの意見にサイモンが同意する?!
つまりこういう事だ。光成がここへ逃げ帰ってくるという事は、殺人鬼も一緒だという事。
「うっかり扉を開けてこの中へ入り込まれたら、僕らも皆殺しだよ この人達みたいに…」

サイモンが振り向くと―――― 倒れていた人々はゾンビの様な虚ろな表情ですぐ後ろに迫っていた!
499あらすじネクタール 2/3:2011/05/31(火) 22:02:42.11 ID:5Opka5An
一方、光成はガラス張りの廊下から外を見ると夜明けが迫っていた。
夜が明ければあの化け物達は動けなくならないかな…と、淡い期待を胸に抱いてしまう。
そして曲がり角を曲がると、数人の男女が倒れていた。
死んでいるようには見えない。どう見てもただ眠っているように見える…。
そう思いながらひたすらルナの病室を探す。       ………のだが、問題が一つ。
「………ルナ………………    ――――って、感じでどう書くんだろう…?」(汗

…などとやっている内に見覚えのある場所に出る。
「えーと…『くり』…『はな』…『らく』…『る』?……『な』…  ルナ!?」
“栗花落(※つゆり、と読む) 瑠奈”。ついに見つけた!
ドアを叩いてルナに呼びかけると、扉が開き腕が光成の胸倉をつかみ、部屋に引きずりこんだ!!



一方、ブタは………ハルト達を見捨てて涙とハナミズまみれで逃げ出してしまう。
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ハルト達も逃げ出すが、人々はハルト達を追わずにただ、ふらふらと歩く。
…ただ一人、ハルト達に気付いたような看護婦を除いて…。



場面は戻り、光成はと言うと…ルナの担当医に取り押さえられていた。
「やれやれ… 物騒だな、近頃の子供は… いきなり警棒で殴りかかるはないだろ?
 私でなければ大けがしてるところだ」
担当医は光成を開放する。
「意外に… 乱暴なお友達とお付き合いがあるようだね、ルナ君?」
その声にルナの存在に気付く光成。よかった、無事だった!
互いの無事を確認しあい、光成は担当医に何があったのか聞くが、彼も事情を知らないそうだ。
「外で一体何が起こっているんだ? キミはここへ来るまでに何を見た?」
500あらすじネクタール 3/3:2011/05/31(火) 22:03:23.84 ID:5Opka5An
――そして光成は事情を説明した。
「なるほど……ね 不死身の殺人鬼…か」
「なんなんだよ、アレ あんた医者なら説明しろよ」

「何かは私もわからないが、なんであれここにいる限りは安全だ
 ドアは防犯用の強度を備えているし、鍵も内側から施錠してある
 鍵を持っているのは主治医の私と… 担当の看護婦だけだからね」

ドアの外には、ハルト達の存在に気付いたあの看護婦が立っていた事を2人は知らない。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110531214725.jpg      <続く>
501マロン名無しさん:2011/05/31(火) 22:39:32.31 ID:???
相変わらずブタがむかつくな。そのままやられちまえばいいのに。

とりあえずこれで良識ある、頼れる大人が合流か…
正直子供だけだったので、展開が予想できなかった。
502マロン名無しさん:2011/05/31(火) 22:43:01.11 ID:???
やっぱりこんなバイオハザードな時は頑丈な扉とか鍵とか過信しないで
粛々と対抗策と脱出を考えたほうがいいんだな
503マロン名無しさん:2011/05/31(火) 23:16:32.80 ID:???
子供ばかりだからそこまで考えが回らないのでは。
でも今回で医者と合流したから、話は進むと思う
504マロン名無しさん:2011/06/01(水) 13:48:10.39 ID:???
でもこの青年医師、顔がイイだけに勘繰っちゃうなあw
505マロン名無しさん:2011/06/01(水) 14:03:46.50 ID:???
何をだ?
506マロン名無しさん:2011/06/01(水) 17:30:45.93 ID:???
ロリコンじゃないかってことだよ言わせんな!w

しかし、イケメンなら頼りになりそうなものだが
いまいち頼りにならなさそうなんだよなこのあんちゃん
507マロン名無しさん:2011/06/01(水) 19:03:27.26 ID:???
素で分からなかったwwww>ロリコン
いや、藤澤作品ならもっとロリコンらしい顔になるんじゃないか?
ほら、BM3部で香ノ宮達がバスに戻れないようにロックした奴とかさ。
508あらすじネクタール 1/3:2011/06/02(木) 22:00:50.28 ID:TJC0i5bw
 Vision.07 <神代>


冒頭、今度は担当医が何があったのか説明していた。
「昨日の夕方―――― 6時過ぎ位か… 警報が鳴って館内放送があった
 全員レクリエーションルームに避難するように、と」
「レクリエーションルーム…って…」
「そう、君達の見た部屋と言うのが多分それだ だとすれば君も知っているだろう
 レクリエーションルームへ行くためには、ガラス張りのホールを通らねばならない
 …が、この季節、あの時刻ではまだ十分な外光が差し込んでいた」
「…あ、そういや色素性なんとか…って…」
「無論、一般的な色素性乾皮症の場合、数時間日光を浴びた位では命に係わる事ではない
 しかしルナ君の場合は―――― 世界的にも極めて報告例の少ない、劇症型色素性乾皮症
 ほんのわずかな日光で皮膚が急激に炎症を起こし、ショック症状から心停止に至る可能性もある…」
ル「それで… 部屋を出るのに時間がかかって…」


ここで話は少し時間をさかのぼる。
夕べ、避難の為に担当医がルネに科学服を着せていると、突如廊下から激しい足音と悲鳴が聞こえてきた!
担当医は急いで扉を閉め施錠し、以降、ここに立てこもっていたという訳だ…。
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「――ま、結果的にはそれが幸いした訳だが…」
「――――じゃ、じゃあ… 医者のあんたでも何もわからねーってことかよ あのバケモノの事とか…」

「実際に見てはいないが… 医学的な見地から説明を試みる事はできるよ
 ある種の薬物中毒患者は一切の苦痛を感じない――――
 いや、むしろ苦痛を和らげる為の脳内モルヒネの分泌によって快感さえ感じるようになる…
 一般に人間は筋力の30%程度しか発揮できないとされている
 無論、過剰な負荷で自身の筋肉や関節を破壊しないだめだが…
 裕度の薬物中毒患者の場合、こういった制御も効かず通常では考えられない筋力を発揮する場合がある」
509あらすじネクタール 2/3:2011/06/02(木) 22:01:34.15 ID:TJC0i5bw
「それって火事場の馬鹿力って奴?」
「ここへ運び込まれるくらいだから、特殊な薬物… それもかなりの重症患者だろう
 それが逃走して他の患者達を傷つけたとすれば大変な失態だ
 内々で処理しようとしたのもわからなくはない
 殺人鬼――――という、君のお友達の推論もあながち的外れではないが
 苦痛を感じず、常人よりもはるかにタフという意味ではむしろ君の言うように……」
そこまで言って、開錠する音に一同扉を見る。
扉を開けて入ってきたのは、ハルト達を追ってきた看護婦、早川だった。
「早川君…? 無事だったのか、早川君? いったい何が…」
担当医は早川に歩み寄るが、早川は虚ろな表情で言葉にならない声をあげる…。

直後、担当医は早川の後ろに人影があるのに気づく。 ――――神代だ!!
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光成が叫ぶと同時に神代の魔の手が担当医に伸びる!万事休す!
だが、担当医はとっさに神代を投げ飛ばし、神代は頭から床に叩きつけられた!
光成は今のうちに逃げろと叫ぶが、担当医は神代の姿を見て驚きを隠せない。
『これが君達を襲った殺人鬼だと言うのか!?』
『そーだよ!だから早く逃げろってんだろ! その位じゃそいつは…!』
「バカな! これは薬理の神代教授だぞ 俗物揃いの教授連中の中で唯一賢人をまで言われた人だ!
 私が最も尊敬する――――……」
直後、神代は担当医の背中にとびかかり、恐ろしい力で締め上げる!
そして神代の顔の穴と言う穴から、粘液がにじみ出てくる!
ルナは担当医を助けてと光成に懇願するが、助けようにも蹴っても殴っても効き目が無い!
(ちっくしょぉ… また何もできないのかよ…!)
光成は自らの無力を悔しがっていると…… ふと、ポケットの中にコロからもらった工具に気付いた。

担当医の口に粘液が迫る! 光成は――――  むき出しの電気コードを神代へくっつけた!
510あらすじネクタール 3/3:2011/06/02(木) 22:02:23.49 ID:TJC0i5bw
電気ショックに神代は口や全身から煙を上げながらダウンする。だが、なんとか担当医は助かった。
「あ… あきれた子供だな… よくこんな無茶を思いついてくれるよ…」
「前にマンガで読んだ事あるんだ、むき出しのコード風呂につっこんで感電させるって奴…」
「教育的でないものでも… たまには役に立つ……って事か…」
「それより早く逃げなきゃ… あいつ… 多分まだ死んでない…」
一同、同意し担当医は気を失った早川を担ぎ廊下へ出る。しかしそこには…

「……な…… なんだ、こいつら…?」

虚ろな表情をした患者や医師達が廊下を彷徨っていたのだった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110602214119.jpg      <続く>
511 忍法帖【Lv=5,xxxP】 :2011/06/02(木) 22:02:37.37 ID:???
梃鍵教会斬!?♪。
512マロン名無しさん:2011/06/02(木) 22:48:28.36 ID:???
早川の後ろに立つ神代が怖い…

コロの工具がこんな風に役立つとは思わなかったぜ
513マロン名無しさん:2011/06/03(金) 08:57:52.54 ID:???
長髪兄ちゃんいまいち頼りないなあw
もう退場するのかと思っちゃったぜ

しかし、神代以外の奴はすぐ襲いかかってくるわけじゃあないのかな?
514マロン名無しさん:2011/06/03(金) 23:52:59.79 ID:???
神代がリーダー格で、余程の事態にならないと襲撃命令を出さないとか?
515マロン名無しさん:2011/06/04(土) 11:40:24.56 ID:???
神代に寄生していると思われるあのアメーバ、こうやってどんどん増えるのか?
怖いような楽しみなような
寄生したらずっとこのままなんだろうか
何か、最終形態とかあるのかね?
516マロン名無しさん:2011/06/04(土) 13:01:48.59 ID:???
>怖いような楽しみなような
何を楽しみにしてるんだか聞かせてもらいたい
いや、マジでw
517マロン名無しさん:2011/06/04(土) 17:17:27.07 ID:???
え、だってたった1匹の異物によってある社会形態や秩序が
崩壊していくさまってぞくぞくしない?
安穏とした秩序と災厄の混沌の対立、
先が読めない生命の生存競争ってすごい面白いと思う

いやあああ怖いよおおおって気持ちもあるけど、
この命の対立、知恵と勇気で敵性存在を克服するってのがすごいワクワクする
もちろんアメーバにあえなく敗北しても英知で勝利してもそこに
全力で立ち向かった過程があれば満足
こんな説明で分かるかな……?w

アメーバの弱点が炎っていうのは示唆されてるよね
そこに登場人物たちが気付く過程が今一番必要なことかな?
518マロン名無しさん:2011/06/04(土) 18:51:52.61 ID:???
あー… なんとなくわかるな。
>たった1匹の異物によってある社会形態や秩序が崩壊していく
近いのを上げると映画「エイリアン(1)」かな。

確かにアメーバつーか粘液の弱点は炎っぽいな。
光成達はまだそれに気づいてないが…。




あとポンチョはウザいからとっとと死んでほしいな。
519あらすじネクタール 1/3:2011/06/04(土) 22:00:08.20 ID:npdROZsa
 Vision.08 <回帰>


廊下にいた人間は虚ろな表情で歩いていた。光成達も気にせずに、各自の部屋へ戻っているようだ。
ふと、担当医は同僚である河原先生を見かけ、声をかけるが、担当医にぶつかりながら進んでいく。
「まるで…… 夢遊病患者の群れだな…
 意識はなくとも最終的には、自分の家や部屋―――― 日常へ戻っていこうとする…
 何があったというんだ、一体……」
突如ルネが大声で担当医を呼ぶ! 部屋を見ると、復活した神代が起き上がっていたのだ!
こちらに気付いた神代は、顔の穴中から煙を出して飛びかかってきた!
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間一髪で光成が扉を閉めるが、恐ろしい力で扉をドンドン叩き今にも壊されそうだ!
担当医が扉を施錠し、今のうちに避難する。
「今の神代教授に鍵を開けるだけの理性が残されていないとしても……
 このままではいずれドアを破られる…」
「あんた、さっきこのドア防犯用だから大丈夫だっつったじゃんかよ」
「ああ言った――――が… 病院内での防犯と言うのは、『普通の事では破れない』というレベルだ
 あれだけなりふり構わず力任せに暴れられては…
 ましてや神代教授のあの筋力だ、いつまでもはもたんよ…」
ルネは担当医に神代との関係を聞くと、担当医は神代の講義を何度も受けた事があるそうだ。

「バイオ・メディックス――――
 植物などの生物から、未知の新薬を開発する分野のスペシャリストであり…
 何よりも心から研究を愛し、学生達からの人望も厚い教育者でもあった…
 ただ… 私の聞いた話では、教授は数か月前から休職され
 研究室の学生達を連れてどこか国外へ調査旅行中という事だったはずだが……
 その目的地は誰も知らない… 無論、いつ日本へ戻ってきたのかも…」
520あらすじネクタール 2/3:2011/06/04(土) 22:01:27.19 ID:npdROZsa
 ―休憩所―
「つまり… あれがよーするにヤク中…って事はさ、そのナントカ教授がとんでもねー薬発明して…
 自分でそれ飲んでヤク中になっちまった……って事?」
「神代教授に限ってそんな事は無いと思いたいが…
 ここまでの状況を論理的に説明しようとすれば、そうとしか……」
「あんたも一緒だね…
 サイモン達もそうだけどさ、納得できねー事や説明できねー事はなかった事にすんのな…
 だけどあんたもオレも、目の前で見てんじゃん あれはもう…人間じゃねぇよ…」
光成と担当医の脳裏に神代の顔面から出てきたあの粘液が思い出される。確かにあれは人間ではない。

すると担当医は軽く笑って歩き出した。
「子供の豊かな想像力は大変すばらしいが、あいにく私は大人…
 大人としては現実的に対処せざるを得なくてね
 内線で保安課へ連絡して助けに来てもらう、冷静に考えれば一番現実的じゃないかな?」
「助けるつもりがあれば、とっくに助けに来てるだろ?」
「大学病院と言う所は世間で思われているほどの悪の組織ってわけじゃない
 こちらの状況さえ正しく伝われば……」

担当医は内線をかけるが…… 案の定、こういうったジャンルのお約束でつながらなかった。

神代が電話回線を切ったのかと思ったが、あの知性では恐らく無理だろう。
「――――となれば、君の言う通り…… 見捨てられたな、我々は……」
担当医の額に冷たい汗が伝った。
…ふと、ルネが何か考えたのか口を開く。
「レクリエーションルームもそうだけど……
 レントゲン室とか放射線治療室とか…金属でできた頑丈な扉の部屋っていくつかある…
 ここの近くにだって…その中に隠れてしまえば…」
とはいえ、いつまでもその中にいる訳にはいかない。食料などの問題もある。
担当医はそこに隠れ、丸一日しのげば必ず状況は変わると判断し、一行はそこへ向かう。
521あらすじネクタール 3/3:2011/06/04(土) 22:02:08.80 ID:npdROZsa
行先はこの先の曲がり角を曲がった所にある、MRI操作室。
「あとはあいつに気付かれないように祈るだけ…か…」
担当医は早川に声をかけるが、やはりうわ言のようにつぶやくだけだった。
担当医の指示通りに角を曲がると…… そこには、頭を抱えてうずくまるブタがいた。
「ポ… ポンチョ…?」
ブタは光成に泣き叫びながらしがみついてきた。
騒ぐブタをなんとか鎮めようとするが、聞く耳持たない!
――――そのせいでこちらに気付いた神代が猛スピードで迫ってきた!!
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一同は慌てて逃げ出しT字路を曲がると、そこは――――
「あ… 朝… 太陽が…」
ガラス張りの窓から、太陽の日差しがいっぱい廊下に降り注いでいた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110604215032.jpg     <続く>
522マロン名無しさん:2011/06/04(土) 22:19:32.13 ID:???
まったくもってブタは自重しない。
今回は取り乱してるかもしれないんだけどさ。

今度は夜明けか…
一般のホラー作品だったら夜明けは希望の象徴みたいだが、この作品じゃ微妙だな。
光成達にとってはなんともないのだけど、ルネにとってはバリアみたいなもんだ。
523マロン名無しさん:2011/06/05(日) 21:55:47.81 ID:???
この豚どうにかしてミンチに出来ないかな?
524マロン名無しさん:2011/06/05(日) 22:42:03.25 ID:???
おまいらが光成だったらあのブタ助けるか? 俺なら途中で見捨てるな。
映画だったらああいう奴は死亡フラグ立ちまくって途中で死ぬんで、
途中でやられるとは思うんだが。
525マロン名無しさん:2011/06/06(月) 10:08:20.35 ID:???
勝手に単独行動して次会ったら死んでるならいいんだけどな…
他人を巻き込むだけ巻き込んで楽に死ぬタイプに見える
526マロン名無しさん:2011/06/06(月) 12:27:10.71 ID:???
豚の大きな体で太陽光をさえぎってルネちゃんを向こうへ連れていけないかな

あ、担当医先生がいたね!
豚はいらないや
527あらすじネクタール 1/2:2011/06/06(月) 21:58:51.94 ID:zxhNu395
 Vision.09 <夜明け>


廊下いっぱいの日光を見て愕然とする光成に、背後から神代が迫ってくる!
恐怖にかられたポンチョは光成達を差し置いて我先にと逃げ出してしまった!

「逃げてコーセー… あたしはどうせもう逃げられない、この…体じゃ…」

自分を置いて逃げるようにと促すルナだったが、担当医はルナに白衣をかけた。
『コーセー君!ルナ君を頼む!!ここは私に任せて!!
 ――私は医者だ、建前だけでも患者の健康と生命を守るのが仕事なんでね
 行け!! 早川君、君も走れ!!』
担当医は抱えていた早川を突き飛ばすと、襲い掛かる神代に対し身構える!
光成とルナは振り向くが、白衣からわずかに出たルナの爪先が日光に触れた途端煙を上げだす。

担当医は襲い掛かる神代の襟首をつかむと、柔道の要領で投げ飛ばす!
(どれだけ速かろうが、筋力が増そうが…しょせんは素人――――
 薬物中毒患者であっても、運動中枢を破壊されれば動きは止まる!!
 ――――お許しください、神代先生!!)
神代は受け身を取れず、後頭部から床に叩きつけられた!!

――――だが、その直後、神代はありえない反射神経で足から着地した!
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さすがにこの反射神経には担当医も驚愕する。
すると神代は襟首をつかんだままの担当医の手を恐ろしい力で握りつぶそうとする!
…形勢はあっという間に逆転、立ち上がった神代はますます力を増し、担当医の腕を捩じりあげる!
担当医は絶叫しつつも、光成の考えが正しかった事を思い知らされる…。
(ハハ… コーセー君……君が正しかったよ… アレはもう… 人間じゃない……)

このままやられるのかと思いきや、駆けつけた光成が消火器で神代の後頭部を殴りつけた!
528あらすじネクタール 2/2:2011/06/06(月) 21:59:33.42 ID:zxhNu395
崩れ落ちようとする神代だったが、またしても脊椎の可動範囲を無視した動きで振り返る!
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『バカな! なぜ戻ってきた、コーセー君!!』
消火剤の煙幕を張る光成に神代は問う。

「あんたがいなくなったら、ルナは病棟(ここ)で一人ぼっちだろ?
 もう…ヤなんだよ…… なんにもできなかった―――― だけど仕方なかった…って…」

たったそれだけの理由で戻ってきた事に、担当医は茫然としてしまう。


消火剤が切れてきた頃、光成は担当医と一緒に逃げ出す。 …ただし、ルナ達とは“逆方向”に。
煙幕が晴れてきた直後、またしても神代は2人を追いかけてくる。
「なるほどな… こちらに引き付けてルナ君から引き離す作戦か…」
「今頃ルナはどっか近くの丈夫な扉の部屋に逃げ込んでる… あとはオレ達が…」
「MRI操作室まで逃げ切れば、まずは一安心って訳だ」
「あいつだってまるっきりダメージが無いワケじゃない…スピードだってだいぶ落ちてる…」
担当医の指示に従い、廊下を曲がった直後――――

『コーセー!無事だったんだべ!?』 『よかった、コーセー!』

『な… なんでこんなトコにいんだよお前ら…! 来るな!逃げろ!!』
――なんという誤算!ここでハルト達3人と再開してしまった!
                                                   <続く>
529マロン名無しさん:2011/06/06(月) 22:50:01.84 ID:???
骨の可動域すら無視するとは…恐るべきバケモノだなオイ!
しかも運の悪い事に仲間と合流しちまうとは…
530マロン名無しさん:2011/06/07(火) 08:46:59.80 ID:???
担当医が頼りになるのかならんのかよく分からんww
死亡フラグ立てたかと思ったら折れるし

神代がだんだんかっこよく思えてきた
つえーーーーーw
531マロン名無しさん:2011/06/07(火) 08:56:05.22 ID:???
豚はまたさっさと逃げた?
そんな事より、やっぱり後頭部にくらうのはダメージになるのかね
532マロン名無しさん:2011/06/07(火) 13:09:38.15 ID:???
>今頃ルナはどっか近くの丈夫な扉の部屋に逃げ込んでる…

ちゃんと描写されていない限り安心できないw
533マロン名無しさん:2011/06/07(火) 19:13:47.62 ID:???
ブタがルナを突き飛ばしてどっかに逃げ込む、というシーンが浮かんだ
……本当に奴ならやりかねんから困る
534あらすじネクタール 1/2:2011/06/08(水) 21:57:29.53 ID:NmUdaCuL
 Vision.10 <誤算>


よりによってこんな時にハルト達に遭遇してしまった光成!
『来んな! 逃げろ早く――――ッ!!』
事情を知らないハルト達はなぜ逃げるのかわからず面喰う。
やむなく光成は十字路の真ん中に飛び出し、自らが囮になる!
『こっちだバケモン!かかってこい!!』
神代が飛びかかった直後、担当医が光成の腕を引きなんとか捕獲は避けられた!
今の神代に感情があるのかはわからないが、とりあえず引きつける事には成功した。
『動くな、ハルト サイモン!黙ってろ!!』
3人にそう言い残し、光成と担当医は再び逃げ出した。
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…もう少しでMRI操作室だ。安堵の表情を見せる担当医だが、事態はそれですまなくなった。
「あいつらがいる… オレらが安全な所へ逃げ込んじゃったら、
 あのバケモン あとはもうハルト達を狙うしかなくなっちまう…」
「それさえも、何もできなかった―――― じゃすませたくないって了見か?」
「あいつらも一度はオレを助けてくれたし…」
「……まったく…… これだから子供は苦手だ… 理不尽極まりない」
文句を言う担当医だが、その顔は微笑んでいた。MRI操作室を通り過ぎ、今だ2人は逃げ続ける。
「――――で、実際問題これからどうするね?神代教授も確かに多少お疲れの様子だが…
 何しろ向こうはバリバリのドーピング選手だ、このままでは我々の方が先に体力の限界を迎えるのは必至」
逃げながら辺りを見回す光成の目に入ったのは…「ドアロック」。
「あいつ… 確か鍵とか開けられないんだよね…」
「まぁ…そうだな 非常に低い確率の偶然を除けば… 意識的にロックを解除するのは無理だろう」

「だったら… イケるかも…
 オレ達が安全な所に逃げ込むんじゃなくて―――― あいつを安全な所に閉じ込めるんだ…
 あいつを一度鉄の扉の部屋へ誘い込んでから、オレ達だけ逃げ出して外からカギを描けて閉じ込める…」
535あらすじネクタール 2/2:2011/06/08(水) 21:58:25.52 ID:NmUdaCuL
「簡単に言うね、そううまくいくかな?」
「失敗したらオレがやられてる間にあんたがドアを閉めればいい…
 “どっち”にしたって……犠牲は一人で済む…」
『ハハ…… つくづく可愛気がないな君は!!』
もはや体力の限界も近いので、担当医はその作戦に乗る。
突き当りの部屋の扉を開け、襲撃に備える2人   ……だったが、またしても予想外の事態発生!

――――振り向くと、神代は“ 歩 い て ”じわじわと2人に向かってくるではないか!
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「ハハ… 参りましたね、神代教授… こう落ち着いて攻めてこられちゃ…」
「追いつめてるってコト… 理解(わか)ってんのかな…?」
「さあ… 単に筋疲労の限界かもしれんが…
 いずれにしろ…闘牛士のようにヒラリ…とはいかなくなったな……」
そうしている間にも、神代は一歩一歩、手を広げ確実ににじりよってくる。
「犠牲は一人で済む… か… キミが言った事だ、議論の余地はない
 うぬぼれる訳じゃないが、君よりは私の方が多少は強い
 犠牲を一人で済ますなら、より確実にいかなきゃな…」

せめて時間稼ぎをしようと担当医は神代の襟首をつかむ――――が、鞭のようにしなる手で頬を叩かれる!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110608215627.jpg

余りの威力に一瞬脳震盪を起こし、膝が崩れる担当医。
神代は担当医の顔を掴むが、担当医は弱弱しく逃げろと命じ、光成は逃げ出した。
神代は担当医をスキャンし、異常がないのを確認すると軽々と診察台へと投げ飛ばす!
そのはずみで担当医は気絶してしまい、神代は今度は光成を狙い始める。
危機迫った光成は近くにあった重いガラスの花瓶を投げると、花瓶は神代の頭に命中する。

頭部に傷を負った神代の頭から血が流れるが…… やがて不気味な粘液状の物質があふれ出てくる。
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そのおぞましさに光成は悲鳴を上げるのだった!                 <続く>
536マロン名無しさん:2011/06/08(水) 23:22:54.37 ID:???
うわ、グロ…!
やっぱあの粘液?が脳を支配しているのか?
だとすると寄生された人間はどうなるんだ。しばらくの間は生きているようだが、やはり死ぬのか?
537あらすじネクタール 1/2:2011/06/10(金) 22:19:15.83 ID:2SFqZhaj
 Vision.11 <終焉>


にじり寄る神代の恐怖に悲鳴を上げる光成。
その悲鳴を聞いた担当医は意識を取り戻し、立ち上がろうとするが足に力が入らず視界が歪む!
(一人の動きを封じ、その間にもう一人を仕留める… それ程の判断力があるというのか…!
 くそっ… 何とかしないと… 何かないのか、何か…!)

ついに追いつめられた光成は覚悟を決める。
『神代先生! お許し・・・・・下さい・・・・』
除細動装置を持った担当医は、濡れた床と神代の背に電極をつけ最大電流を流した!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110610221732.jpg

これには神代も全身ビクビクと震わせ、あちこちから煙を上げる。
トドメとばかりに今度は背中に二極当て、神代の心臓を止める!
――――ついに神代は両膝をついて崩れ落ちるが、まだ死んでいない!
大きくのけぞったまま、最期の力で背中側の担当医に手を伸ばす…。

「神代先生…… お別れです…」

頭の両脇に電極を宛がい、トドメの一撃を放つ。…ようやく、神代は力尽き息絶えた…。



大きく肩で呼吸する担当医に駆け寄る光成は、一体何をしたのか問う。
「除細動… 俗にいう電気ショックって奴さ
 本来は停止した心臓を動かすためのもんだが、
 出力を最大にすれば逆に心臓を止める程のショックを与える事ができる
 こいつが使えたのも、君が水をぶっかけといてくれたおかげ………」
――その時、2人は奇妙な光景を目にする。
538あらすじネクタール 2/2:2011/06/10(金) 22:20:01.47 ID:2SFqZhaj
なんと神代の口や目から、あの奇妙な粘液がズルズルと這い出てくるではないか!
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「き…… 寄生体…か…… このみじめで無様な生物が神代教授を操っていたというのか…!」
復讐の炎を燃やした担当医は、電極を粘液に突っ込み電気ショックを与える!
……粘液ははじけ飛び、煙を上げて息絶えた。
「終わったよ…… 全て……」



その頃、別室では外山教授と誰かが話し合っていた。
「終わってるかな… そろそろ全て… 君がプロデュースしたB級ホラーは… なぁ、外山教授?」
「も… 申し訳ありません か 神代教授の身体能力を見まして…これなら…と…」
「抜群の瞬発力で若い看護師に襲い掛かる初老の男性…か
 精力剤でも開発してくれれば大ヒット商品になったかもな」
「結果、あらわれたのは制御不能 共謀無比のモンスター… さて…これからどうなさるおつもり?」
「む 無論 事は全て速やかに内密に処理し、決して事実関係が外部に漏れる事の無いよう…」

「違うだろ? 君が考えるべき事は――――
 いかにしてこれまでの投資に見合った利益に結び付けるか…だろ?
 その―――― モンスターを・・・・・ね」

金の亡者とも言うべき老人と女性… 恐らく院長と秘書が外山教授を見つめていた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110610221756.jpg    <続く>
539マロン名無しさん:2011/06/11(土) 13:53:51.66 ID:???
1匹倒したところで、他に寄生した分身?はまだいっぱいいるよー
こわいよー

しかし、今回はモンスターパニックだから倒す「黒幕」「悪役」は
いないなあと思っていたのに、すごーく悪そうなのが出てきたな!
どう絡んでくるんだろう
540マロン名無しさん:2011/06/11(土) 15:09:56.16 ID:???
美人のおねいさんキタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
…でもなんか死亡フラグが…
541マロン名無しさん:2011/06/11(土) 15:10:44.16 ID:???
>>539
少なくともあと2匹いるんだよな。看護婦2人に寄生した奴…
542マロン名無しさん:2011/06/12(日) 10:57:44.21 ID:???
おねいさんの綺麗な足ハアハア
543あらすじネクタール 1/4:2011/06/12(日) 22:00:23.52 ID:eFgLZvSJ
 Vision.12 <安堵>


寄生体を倒した担当医と光成はルナを迎えに行き、互いの無事に喜んで抱きついた。
「先生、その顔…」
「ハハ… 久しぶりに見事にハらされたな 男前が台無しだよ…」
ふと、担当医は部屋の奥を見ると、気を失っている早川を見つけた。
「後から走ってきたんで一緒にこの部屋に隠れたんですけど、
 急にガックリ気を失ったみたいに――――… 声をかけてみたんですけど、全然起きなくて…」
担当医は早川の容体を確認するが、命に別状はなくただ眠っているだけのようだった。
「昏睡状態だとすれば無理に起こさない方がいい、このままナースセンターへ運ぼう」

担当医が早川を抱え廊下に出た時、向こうからハルト達がこちらにやってきた。
…その後、光成達は隠れていたブタを見つけ口論したのは言うまでもない。
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仮眠室に早川を寝かせるが、あんな騒動があったというのに看護師も患者も全員見事に爆睡中。
サイモンは担当医に何があったのか問うが…
「さっきまでに話した以上の事は、私にも説明できんよ…
 とにかく大半の人間は生きていた訳だが…
 現実に数十人単位の死人が出ているのも事実だ… いずれは警察による解剖が行われるだろう
 ま、その時は自己防衛のためとはいえ、私も傷害致死罪に問われる事になるな…」
…時計を見ると、もう6時半を過ぎていた。
「君達はさすがに少し眠った方がいい、夕べから起きっぱなしなんだろ?
 とりあえず今日の所は空いている病室を使いなさい」
そう言うと担当医は空き病室の鍵を渡し、ハルト達を帰す。
…帰り際、ルナに惚れたのかハルトは光成に紹介しろと肘でつつく。
「? なんで?名前ならさっき教えあったじゃん」
「そ そーじゃねーべや、ショーカイっつーのは…!」
そんなやり取りを見て担当医は微笑むのだった。
544あらすじネクタール 2/4:2011/06/12(日) 22:01:08.86 ID:eFgLZvSJ
 ―院長室―
前回ラストの院長に呼ばれ、ソファーに座って緊張気味の島田看護師(Vision.01参照)。
「すまないね、こんな早朝から呼び出したりして …あ――――… 島田君?
 一看護師がいきなり院長室に呼びつけられたんだ、
 リラックスしたまえ… と言われても無理かもしれんが…」
「は はぁ…(あ… 当たり前じゃない… リラックスどころかさっきから頭がやたらぼーっとして…)」
「外山教授から聞いたんだが… 島田君、君先日… 巡回中に倒れたそうじゃないか?」
その事を言われた島田は冷や汗だらけで頭を下げる。
「も 申し訳ありません! もう二度とあのような事は…!」
「――――で、その後どうかね? 何か変わった事… 特に変調は無いかと聞いているんだ」
どういう事か面喰う島田だったが、心当たりはあった。 …無意識に右手が動いた事を。
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だが、島田は特に何ともないとうそぶく。
「いかんな… 医療に携わる者がそんな事では…
 安易な自己診断は禁物だよ、えてしてこういう場合思いがけない疾病が隠れているものだ
 島田君、君には精密検査を受けてもらいたい」
「精密… これから…ですか?」
「今すぐだ」
「し… しかし私、今日シフトが… 早番でもう本当なら入っていないと…」

「なぁに、構わんさ どうせ今日0号病棟は休館だ」

――突如数名の医師が院長室へなだれ込み、島田を連れてゆこうとする。
「スタッフの健康管理も院長の仕事のうちだよ、わかるよね 島田君?」


扉が閉まると、どこにいたのか秘書が現れた。
「フフ… “アレ”ならまだ十分制御できそうですわね」
「そう何度も失敗はしませんよ、うちのスタッフもね」
「どうかしら? 今回の後始末、ご自分でつけられて? 外山教授
 病院関係者とスタッフには箝口令をしきましょう 問題は患者とその親族だが… 外山君?」
545あらすじネクタール 3/4:2011/06/12(日) 22:02:00.30 ID:eFgLZvSJ
「はっ、幸いな事に現在0号病棟の入院患者の中には
 マスコミの目を引くような芸能人や有力な政治家はおりません、全て一般の特例患者です
 …であれば、病状を偽って面会謝絶するのはたやすい事です
 え ええ、患者の方は私が責任を持って“始末”致します
 ただ… 当院の警備員は只今壊滅状態にあり…」
「承知しています 我がバイオグランデ社の生物テロ対策班を派遣しましょう
 ――ただし、活動は極秘です 0号病棟から一切の人間を排除して下さい」
女性は秘書ではなく、企業の女社長であった。
「行きたまえ、外山君 今回の首尾に君の今後の立場がかかっている事を忘れんようにな」
――院長はそう言うと、外山は院長室を後にした。


「大丈夫でしょうね、院長? わが社の本プロジェクトへの投資はすでに20億を超えていますが
 その見返りが『未発見の伝染病に名前を付ける権利』だけでは到底上は納得してはくれませんよ」
「未知の伝染病… 貴社になら十分利用価値があるのではないですかな? この業界、公然の秘密…… ですよ
 貴社が防衛庁の依頼を受けて―――― 生物兵器の研究・開発を行っている事は、ね」


…その頃、担当医は粘液と神代の死体を床に密閉させ、粘液を研究していた。
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「なんかわかった?」
唐突に光成が入ってくる。あんな事があったのでは興奮して眠れなかったそうだ。
結局この粘液がなんだったのかは担当医でもわからなかった。何しろ彼は医者、生物学者ではない。
『医者っつたらすっげー頭いいんじゃねーのかよ!?』
「専門バカって奴だよ、まして未知の生物ときちゃ、まるっきりお手上げだね」
そういうと担当医は伸びをした。
「あのさ… オレ達見たんだ、オッサンからあふれ出したアレが… 他の人の体に入り込んでいく所…」
「…気が付いたかい? 殺されていたのはほとんどが警棒を持った警備員達… そして医師が2・3人…
 だけどその医師達は皆―――― その手にメスを握りしめていた…」
「…じゃ、武器を持っている人間… 自分にとって危険な人間だけを選んで殺してる…って事?」
「そう… つまり、アレの目的は殺戮じゃない  “ 感 染 ”と“ 増 殖 ”だ……」
546あらすじネクタール 4/4:2011/06/12(日) 22:02:53.10 ID:eFgLZvSJ
「――――て、事はさ… よーするに……
 今ここに生き残っている人達は全員… “感染してる”って事…だよね…」

誰もいない廊下は不気味な静けさがあった――――                <続く>
547マロン名無しさん:2011/06/12(日) 23:06:41.45 ID:???
>「フフ… “アレ”ならまだ十分制御できそうですわね」
>「そう何度も失敗はしませんよ、うちのスタッフもね」
どう考えても死亡フラグです、本当に(ry
548マロン名無しさん:2011/06/13(月) 12:50:03.80 ID:???
おや、おねいさんはじじいの秘書的なものじゃなくて
外部の人間だったのか
なんか話が広がりそうだなワクワクする
549あらすじネクタール 1/4:2011/06/14(火) 21:59:00.48 ID:eo7eLY42
 Vision.13 <エレル>


冒頭、0病棟の前には立ち入り禁止の看板が出されていた。

――そしてルナはコロと一緒にいた。
「“つゆり”って読むのよ、栗花落瑠奈―――― 珍しい苗字でしょ、日本中でも少ないんだって
 コロちゃん… だっけ? ホントの名前は何て言うの?」
…だが、コロは何も答えなかった。

「大丈夫、別に嫌われてるワケじゃねーから オレだってまだ見た事ねーしさ、そいつが喋んの
 寝てなきゃダメじゃん、ルナ」

廊下の向こうから光成がやってきた。
「コーセー… 違う病室だとなんか寝付けなくて… ずっとこの部屋で暮らしてたから」
今、ルナとコロがいたのは自分の元病室前だったのだ。
「そんでも眠らなきゃダメだって シキソセーなんとかって体も疲れやすくなるって先生が言ってたし」
「この部屋で寝ちゃダメかな?少し位散らかってたって構わないから…」
『ダ…ダメだよ! ちゃんと鍵のかか部屋で寝ないと!あぶねーだろ!!』
唐突に大声を上げる光成にびっくりするルナ。
「なんで?だって… やっつけたんでしょ?あの人……」
「え? な…なんで…って… そりゃ…」



…ここで話は前回のラストにさかのぼる。
「――――て、コトはさ… つまり――――
 今、この病棟に生き残っている人は全員―――― 感染してる…ってコト?」
「ああ、まずそうみて間違いないだろうな
 あの放心状態とそれに引き続く昏睡は、恐らく感染の初期症状の一つだろう
 異物が体内に侵入した事によって引き起こされる、ショック症状の一種だ」
「…じゃあ、目ェ覚ましたら、みんなああなっちまうってコト…?」
550あらすじネクタール 2/4:2011/06/14(火) 21:59:57.16 ID:eo7eLY42
光成の視線の先には、口をぽっかり空けた神代の死体があった。
「まあ、そうは言ってもあの状態の神代教授をここまで運び込むとは思えない
 ああなるまでにいくらかの潜伏期間があるはずだ」
「どの位なんだよ? その…期間ってのは…」
「さあね、通常のウィルスでも環境や個人の体質で潜伏期間は随分変わる…
 ましてや生態も全く未知の生命体だ… 何か月か…あるいは何時間かも…
 一つ言えるのは―――― 神代教授一人でこの病棟の一フロアは全滅した――――
 もしここの生存者80人からが全員発症した場合、我々が生き残る可能性は限りなく0に近いという事だ」
『そ そこまでわかってんなら、なんだってみんなに寝ろって言ったんだよ!?
 今ならオレ達が入ってきた通気口から外へ出られるだろ! すぐみんなを起こして外へ!』
担当医は光成をチラ見すると、その通気口を閉じなければと呟いた。

「コーセー君 私は君とも… 君の友人達とも初めからずっと行動を共にしてきたワケじゃない…
 これがどういうコトだかわかるかい?
 君達が感染していないという確証を―――― 私は持っていないんだ
 野放しにはできないよ、君達感染予備軍をね」

――そう言う担当医の視線は今までの優しい目ではなく、厳しい目つきになっていた。



…そして現在。ルナに呼ばれ我に返る光成。
とにかく戸締りをしっかりしろとだけ言うと、ルナはあの人がまだ生きているのではと勘繰る。
「あ、いや ないないないない! それはない!」
「でもさっきアブないって… つまりホラ、あいつらがいるだろ?
 あのハルトって奴、あれすっげースケベだからさ、戸締りしてねーとホント何すっか…!』

『 誰 が ス ケ ベ な ん だ べ や コ ラ ァ !! 』

――どさくさまぎれの言い訳に、当の本人が背後からいきり立って襲い掛かる!
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551あらすじネクタール 3/4:2011/06/14(火) 22:01:07.39 ID:eo7eLY42
『そーやって人のポイント下げて足引っ張んの、絶てー反則だべ!!
 ちっと先に知り合ったからって、こーゆーコトはフェアに――――』
ヘッドロックをかけるハルトに、ルナはこんなトコで何やってるのかと問う。
「あ い いや、その… ちょっと便所に…」
「トイレ…お部屋にありますよ?」



同時刻、0号病棟の外では何の連絡もなく出勤してきた看護師達が病棟を見上げていた。
「いきなり今日休みってさ―――― どゆコト?」
「機材点検ってなんか聞いてた?」
「全然 休みはいいけどさー な〜〜んで院内待機してなきゃいけないワケ〜?」
「まーいいじゃん、別にどっか遊びに行くアテがあるワケじゃないし、遊びに行く相手がいるワケでもないし」
『あんたもでしょ!』
「まー、宿舎で一日ゆっくりできるんだからありがたいよね――――」
「そーそー、コレが何よりですわ 藤堂さんなんてまだ部屋で爆睡中だもんねー」
「あー、だって藤堂さんってさー… こないだ夜勤の途中で倒れちゃったって言うじゃない?
 だってハードだもん、ローテーション 労働基準法あって無きが如しだもんね」
「倒れたって言えばさ―― 島田さんも倒れたんでしょ、同じ日に」
「あー、そういやそんな事言ってたけど どーしたんだろ、島田さん 今朝から見ないよねー」
――――そんな話の中、当の島田は不気味な表情で寝返りを打っていた。
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その頃、担当医は神代が手術される直前の録画を見ていた。
そして耳にしたのは、『エレル』という単語…。その単語をインターネットで調べてみると
「『現在は南米アルゼンチンに住む、ブエルケ・インディアンの伝説…嵐と疫病、死をもたらす者』……
 南米の疫病神―――― と言った所だな…」
さらに担当医は南米という単語を入れ、神代の行先を調査する。
552あらすじネクタール 4/4:2011/06/14(火) 22:02:01.53 ID:eo7eLY42
「案の定――――
 アマゾンの国際保護区域…私企業による商業的調査・採取の禁じられたエリア…か
 教授がアマゾンの奥地で感染し、ここまで運び込まれたとなると…
 潜伏期間は最低でも一週間はあると見ていいか…」
引き続き録画を見る担当医。そこには自分の調査隊(学生)をベッドの上で探す神代がいた。

「なんだこれは…?
 この記録で見る限り、潜伏期間中の神代教授は感染前後の記憶だけが完全に欠落している…
 あの生物の目的は感染と増殖―――― 全ての生態はその目的の為だけに機能するはず…
 だとすれば、この潜伏期間は…… この短期記憶の喪失は……まさか……
 日 本(ここ) へ 戻 っ て く る 為 か !! 
 ジャングルの奥地で発症しても、周囲には感染の対象となる人間はいない――――…
 より効率よく感染・増殖する為には、集落や村… 人間のいる所まで戻って受け入れられねばならない…
 もし…そうなら… この日本まで戻ってきて、この日本で繁殖し始めた“彼ら”は――――
 もはや潜伏期間を――――  必 要 と し な い !? 」
考え出した結論に顔色を変え、振り向くと―――― 部屋の入口に早川が立っていた!
早川は恐ろしい表情で担当医に飛びかかるが、かろうじて担当医はそれを避け部屋を飛び出す。

だが、時すでに遅く―――― 廊下は無数の感染者に埋め尽くされ、担当医の絶叫が響き渡った!
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                                                     <続く>
553マロン名無しさん:2011/06/14(火) 22:56:02.69 ID:???
あの粘菌?は「エレル」という名前なのか。ようやく作品のタイトルが出てきたな。
つーか… た、担当先生ーーーー! 名無しのまま死なないでーーーー!
554マロン名無しさん:2011/06/14(火) 23:24:04.30 ID:???
その単語だけなら2話の終りのほうで最初の感染者の教授が呟いてたな。
555マロン名無しさん:2011/06/15(水) 06:53:55.28 ID:???
ああ、そういえば忘れてた…
でもあの時は名前だけは出たけど、それが何を意味するのかまだわからなかったし。
556マロン名無しさん:2011/06/15(水) 10:04:59.37 ID:???
潜伏期間関連、粘菌の習性じゃなくて粘菌が考えているの!?
えらく高度だな……すげえよエレル
エレルって名前だけなら何か女の子の名前みたいなのに

そしてイケメン先生ーーーーー!
うわああああはびっくりの声だよな、断末魔じゃないよな!
557あらすじネクタール 1/3:2011/06/16(木) 21:59:25.07 ID:LItUDJ+f
 Vision.14 <急変>


冒頭、0号病棟にマシンガンで武装し、科学服を着込んだ生物テロ対策班が到着していた。
その物々しい光景を見た外山は、煙草を吸いながら面白くなさそうに見つめる。
「ふん、大仰な話だな、一私企業の分際で… まるで軍隊だ」
「私共バイオグランデは国際企業です、紛争地域や独裁国家も市場の内――――
 取引が必ずしも平和的に行われるとは限りませんからね」
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110616213432.jpg
「装備が大げさすぎると言っとるんだ、出来の悪いハリウッド映画じゃあるまいし
 状況を正しく理解しとるとは思えんな!
 病原体はウィルスでもバクテリアでもない、肉眼で捉えられるゲル状物質
 感染経路は感染発症者との物理的な直接接触… しかもその感染者は全員潜伏期間中…
 神代教授の例によれば、一週間は徐々に記憶を失いつつ潜伏期間が続く
 要は今現在発症中の神代教授だけを確保すればすむ話だ
 …それがなんだ、この御大層な完全装備にこの人数…
 バイオトラブルが発生しましたと自分で言っているようなものじゃないか」
「その神代教授お一人にそちらの警備体制は壊滅させられたのでしょう?
 そちらに敬意を表して万全を期したまでの事
 …それよりもよろしいのですか、外山教授 あなたには現場を案内して頂かねばなりませんが…
 エレベーターは使用できません、階段を昇って頂く事になります」
『な… 階段!? じゅ、15階までかオイ!?』
「感染者達の逃走経路となる可能性がありますから
 エレベーターの動力は万一に備えて停止させて頂きました
 階段も一ルートを残し全てシャッターで閉鎖してあります
 それで少しでも息切れなさるようでしたら、煙草は少々お控えになられた方がよろしいのでは?」
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そう吐き捨てると女社長はその場を去り、対策班を集め始めた。
「た… たかがプロバー(※)風情が… このわしに向かって…何様のつもりだ…!」
(※プロパー:製薬会社の営業担当)
558あらすじネクタール 2/3:2011/06/16(木) 22:00:11.12 ID:LItUDJ+f
同時刻、各部屋でぐっすりと眠るルナ達。だが、光成だけは目がさえて眠れなかった。
担当医が言っていた「君達が感染していないと言う確証を持っていない」という言葉が甦る。
――――すると、同じ部屋で寝ていたポンチョが不気味に起き上がる…?!
『ポンチョ! どこ…… 行くんだよ……?』
部屋を出ようとするポンチョに身構えながら問いかける光成。 …すると。

『な なんだよォ! なんでそんな怖い顔すんだよコーセー!!
 い、いいだろ!ちょっとお腹すいちゃったんだからァ!!』

……はい?(;゚д゚) 光成が呆気にとられるのも無理もない!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110616213501.jpg
それどころかブタが騒ぎだしたせいで、サイモンやハルトも起き出してくる。
「な〜〜に騒いでんだべ、ったく…」
『あ!聞ーてよねぇ、コーセーがさ!!ちょ(ry   ←以下うるさいのであらすじ自粛
ちなみにこのブタは元々肥満外来の患者なのだ。なので寝てる間に物食べてはダメ。
『大きなお世話だよ! ホントならとっくに朝ごはんの時間なんだからね!
 オタクらにとやかく言われる筋合いは――――

ブタがドアを開けた直後―――― 目の前にはエレルに感染した人々がゾンビの様に立ちはだかっていた!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110616213517.jpg

襲い掛かる感染者から鼻水と涙を流し、汚い顔で逃げるブタ。
すかさず光成はドアに飛び蹴りを食らわして鍵をかけるが、ドアはドンドンと叩かれる!
(ヤバい… このままだと… このドア、また破られる…!)
事情を知らないハルト達は腰を抜かしながら何者かと問う。
「全員… 感染してる…!」
559あらすじネクタール 3/3:2011/06/16(木) 22:00:59.23 ID:LItUDJ+f
すると、隣の部屋から壁越しに騒ぎを聞いたルナの声がする。
「コーセー…どうしたの…? 何があったの、コーセー?」
光成はドアを抑えながらルナに鍵をかけて部屋から出るなと叫ぶ。
――――が、突如聞こえてきた無数の悲鳴と共にドアを叩くのがピタリと止まった。
「な なんだ…? 静かに…なった…? なんで?」

全員で恐る恐る廊下を見渡すが、感染者の姿は誰一人見当たらない。
…とりあえず、この部屋はもう危険なので今のうちに逃げようと移動する一行。
隣のルネにも声をかけ、説明は後だとその場から逃げ出す。
すると、曲がり角から再び悲鳴が聞こえる。

警戒しながら様子をうかがうと―――― 生物テロ対策班が感染者に襲われていた!!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110616213531.jpg

銃撃しても怯まない感染者に次々と襲われる生物テロ対策班。
「何…やってんだよ…オイ…
 これでもう―――― 誰かが助けに来てくれるって可能性は―――― 消えたな……」
その地獄絵図を見て、光成達は絶望視し始めた…。               <続く>
560マロン名無しさん:2011/06/16(木) 22:04:05.36 ID:???
ちょwなんという出オチwwいつぞやのBM対策班を髣髴とさせるな…
ていうか豚の奴マジうぜえなあ、とっとと一人だけ感染しちまえばいいのに
561マロン名無しさん:2011/06/16(木) 23:27:06.44 ID:???
てっきりブタが感染してた、やった!と思ったのに…( ゚д゚)、ペッ
俺ならあのままブタを廊下に蹴飛ばすな。


ところであのお姉さん、秘書でも社長でもなかったのね。
つーかおぱいの谷間がエロい
562マロン名無しさん:2011/06/17(金) 08:59:45.47 ID:???
装備が大げさすぎるとか言ってる時点で死亡フラグの立った対策班w
見開きで襲われパーティー☆で噴いたw
何というお約束
563マロン名無しさん:2011/06/17(金) 19:08:27.81 ID:???
見開きで襲われる所、よく見たら光成達より年下そうな子供までいやがる…
襲われる所を想像したらぞっとした…
564マロン名無しさん:2011/06/18(土) 10:11:30.26 ID:???
思った以上にアグレッシブな襲い掛かりっぷりで笑ったわ
565マロン名無しさん:2011/06/18(土) 11:55:07.68 ID:???
>アグレッシブな襲い掛かりっぷり

同意ww
566マロン名無しさん:2011/06/18(土) 13:29:27.83 ID:???
じゃあ神代はアグレッシブじゃないとでもいうのかw
567マロン名無しさん:2011/06/18(土) 16:30:35.35 ID:???
いやー集団の迫力ですねw
568マロン名無しさん:2011/06/18(土) 20:40:20.74 ID:???
子供がなんか笑えるw
569あらすじネクタール 1/3:2011/06/18(土) 21:59:46.40 ID:hHkeSLrY
 Vision.15 <ステアウェイ・トゥ・ヘル>


「も… もうダメだよ…
 あんなのがあんなにたくさんいたんじゃ、もうどうやっても助かりっこないよぉ…」
頭を抱え泣きだすポンチョ、ルナに他に階段に向かうルートを訪ねる光成。
「ルナ、ここを通らないで階段に行ける?」
「うん、遠回りをすれば… だけど階段は今…」

「あの襲われてる人達、かなりの人数だ もしエレベーターなら何往復もしなくちゃならない
 多分どこかの階段のシャッターを開けて入ってきたんだ
 あの人達が襲われてる間にその階段までたどり着ければ、逃げ出せるかもしれない…」

だが、これには問題がある。
光成達も逃げ出せるかもしれないが、奴らが追いかけてきて逃げ出す可能性もある。
しかし、サイモンの指摘にルナが意見する。
「うまくいけば、閉じ込められないワケじゃない…
 2階から上の窓は強化ガラスになってて開かないようにできてるの
 だから、あたし達が先に1階まで下りてシャッターさえ閉めちゃえば もう追ってはこられない」
「だ だけどさ、 そりゃボクらが先に下まで逃げられればの話だろ?」
「できてもできなくても、助かるんだったらこれしかない…」
ルナの言う通りだ。このままではやられてしまうのは間違いない。
それに今なら、感染者達は生物テロ対策班を襲うのに夢中で光成達に気付かない…!
ルネの誘導の元、一行はもう一つの階段へと向かう事にした。
「見つからないように大回りしていくけど、階段に近づけばあの人達が大勢いるのは避けられないわ」
サイモンの提案で、一行は道中の消火器を拾ってせめてもの武器にする事にした。
570あらすじネクタール 2/3:2011/06/18(土) 22:00:32.70 ID:hHkeSLrY
――移動中、一行は廊下の陰でしゃがんでいる担当医の姿を見る。
『先生! 先生!よかった、会えて・・・・・・・』

嬉しさの余りルネは声をかけて近寄るが…… 担当医もすでに感染、プロパーに襲い掛かっている最中だった!!

ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110618215654.jpg
光成は素早く悲鳴を上げそうになるルネの口を抑え、その場を後にする。
泣くルナを気遣う光成とハルトだったが、ルナは涙を拭いてうなずいた。


T字路に出ると、ここでも感染行為が行われていた。
「階段に近づいたから襲われる人も増えてくるんだわ」
「行こう、こいつら誰かに乗り移ってる間はすぐそばを人が通っても気づかないみたいだ」
ズゾズゾと不気味な音を聞きながら、一行は感染者のそばをそろそろと通り過ぎる。
「なんだコイツラ、全然バカじゃん ビビることなかったね、ヨユーでラクショー…」
ブタが何か言っているようだが、すぐに天罰が下る。
「! ポンチョ、何も言わずにとにかくしゃがんで…」

「へ?」 ――ポンチョのすぐ後ろに、感染者達が迫っていたのだ!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110618215706.jpg

光成とハルトは消火剤を浴びせ、サイモンがポンチョを助け出す。
『走れ! 逃げるんだ、早く!!』

曲がり角を曲がると、ようやく階段が見える…… が、外山がシャッターを閉めている最中だった!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110618215720.jpg
『待って! まだ閉めないで!』 『待って下さい!ボクらは生き残りです!!』
口々に叫ぶサイモン達だが、外山は自分が助かりたい一心で聞く耳持たない。
『ふざけるな、来るんじゃないガキどもが! わしまで巻き添えにするつもりか!!
 せ 折角ここまで逃げてきたんだ… 誰がきさまらなんぞのために…」
――だが、外山はこの時背後に感染者が迫っているのに気付かなかった。
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571あらすじネクタール 3/3:2011/06/18(土) 22:01:21.28 ID:hHkeSLrY
突如シャッターが停止し、外山の悲鳴が聞こえてくる。
一行は何が起きたかわからなかったが、とにかくシャッターをくぐる事に。
…シャッターをくぐると、感染行為中の外山が助けを求めて手を伸ばしてきた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110618215744.jpg


全員がシャッターをくぐると、それを追って他の感染者達もシャッターをくぐり抜けてくる。
階段を下りながらも愚痴るポンチョ。
「無理だよ、無理だよ… こんなの1階まで逃げ切るの…」
「大丈夫だよ、見てごらんポンチョ! あいつらは早く走る時は四つんばいだろ?
 四本足の動物は下りの階段が苦手なんだ!」
「だけど… 今の… 見たでしょ…? シャッターが閉まるの、1分近くかかってた…」
                                                     <続く>
572マロン名無しさん:2011/06/18(土) 23:33:12.67 ID:???
担当先生、やはりやられてたのか…orz 結局名無しのままだったのかよ!
573マロン名無しさん:2011/06/19(日) 15:47:42.52 ID:???
看護婦の騎乗位はちょっとえろかったけど
外にも既に感染者が進んでたってこと?
なんか壊滅的な状態っぽいなー…どうなるんだろ
574マロン名無しさん:2011/06/19(日) 18:22:31.55 ID:???
俺立ち読みで済ませてたんだが…
見落としじゃなければ、次回最終回ってあったような気がするんだが?
次回最終回だったら、どう収拾つけるんだこれ…
575マロン名無しさん:2011/06/19(日) 18:52:45.96 ID:???
ああハンサム先生……
逃げるところもうないのかなあ…?
しかしデブが感染者に襲われそうな場面、どの人よりもデブがきもいw

え、最終回って嘘だろ?w
576マロン名無しさん:2011/06/19(日) 23:42:24.36 ID:???
担当医急にやられたな
生態調べてたしもう一活躍すると思ってた

>>573
看護婦の騎乗位なのにぶっかけるのも看護婦というね…
577マロン名無しさん:2011/06/20(月) 00:12:16.86 ID:???
何か打ち切りっぽい急展開だな
578マロン名無しさん:2011/06/20(月) 03:24:59.52 ID:???
俺も担当医もっと活躍するかと思ってた
ダシタイナ号に乗っちゃったのかもなー
579マロン名無しさん:2011/06/20(月) 08:39:28.86 ID:???
何、ダシタイナ号って?
580代理1/3:2011/06/20(月) 23:16:53.43 ID:???
 Vision.16 <終幕>


(追ってくるのは大体5・6人…… シャッターが閉まるのに約1分――――)
現在7階だが、その差は一向に開かなかった。
「も もういいよ シャッターなんか… このまま外まで逃げ出しちゃえば、何とかなるよ きっと…」
『バカゆってんじゃねぇべ! んなコトしてあいつら外へ連れ出して見ろ
 日本中あいつらだらけになっちまって、それこそオレら逃げ場所なくなっちまうべ!』
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110620212010.jpg
身勝手な豚の発言は腹が立つが、もう一つ問題がある。
今はまだ陽があるから、どのみちルナは外へ逃げられないのだ…。
『知ったこっちゃないよォ、そんな他人の事なんか…!』

「ムリだって、ポンチョ
 さっきも言ったろ、あいつらとボクらは今下り階段だからなんとか追いつかれないでいるんだ
 平地の追っかけっこになったら、キミなんかあっという間に追いつかれちゃうよ」

『だ……だけど……! じゃ、じゃあどーすんのさ、一体!!』
うるさい自己中ブタに説明するのも疲れ、一行はついに2階までたどり着いた。
『1階へ降りちゃダメだ! 絶対2階で食い止めなきゃ!!』
一行は身近な部屋へと逃げ込むが、廊下に着いた途端感染者の速さが上がる!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110620212023.jpg
かろうじて鍵をかけるが……あっさりドアは破壊され、感染者がなだれ込む!
光成達は逃げるが、そのはずみでガスコンロのスイッチが入り、火がともる。
(逃げた場所は調理室だったのだ)

飛びかかる感染者  ――――だったが、ありえない動きで飛びのいた??!!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110620212037.jpg

感染者達は壁に貼りつき、ビクビクと痙攣している……??
一瞬何が起きたのかわからなかった光成達だが、周りを見渡して何が起きたのか理解した。
581代理2/3:2011/06/20(月) 23:17:22.33 ID:???
奴らの弱点は――――――“火”だ!!
それがわかれば、まだ助かる可能性はある!光成は仲間にありったけのタオルや布を集めろと叫んだ。



手製の松明を作り、調理室から出る一行。
感染者達は誰も彼もが大きく飛びのく。明らかに火を恐れている!
『よし!いけるぞ! 絶対火を放すな!』
ハルトと光成は感染者達を松明でけん制し、残りのメンバーが先行してシャッターを下ろす。

……だが、松明の煙に反応したスプリンクラーが作動、放水で松明が消えてしまった!

『コーセー!ハルト!!早くこっちへ!!』
シャッターの向こう側に渡ったサイモンはそう叫ぶと、何かの薬品をシャッターの向こう側へ撒く。
そこに火をつけると炎の壁が現れ、追いかける感染者達を退け、その隙にシャッターを閉めた。

一息ついて、光成は何をやったのかと聞く。
実はこれ、アルコールランプ用のアルコール。さっき松明を作った残りを持ってきたのだ!
「おいおい、それ盗人だべ 今度こそママさんに叱られるべよ」
――助かったのもあり、ハルトの冗談に一行は笑い出した。



 ―エントランス―
「オレはルナと夜までここに残る…
 閉じ込めたって言ったって、シャッター一枚向こうにあいつらがいるんだ
 みんなは先に安全なトコまで逃げて――――…」
「スタンドプレーは無しってんべ、コーセー」
「室長としてそんな危険な状況、見過ごすわけにはいかないね」
コロは同意するようにルナの足にピトッとくっつき、ブタも同意する。
「ひ 一人で帰ったらボクだけしかられるじゃん! つ、つきあってやるよ しょーがないから」
582代理3/3:2011/06/20(月) 23:17:35.05 ID:???
ふと、外を見ていたハルトが何かに気付く。
「お おいアレ! 誰かこっちやって来んべ! あの人にさ、助け呼んできてもらおうよ!!』
ハルトが指さす方を見ると、そこには一人、坂道を上ってくる人影(院長)の姿が見える。
『お〜〜い!』 『こっちだべ、こっち!!』

院長は突如這いつくばると同時に、院長の後ろからも無数の人影が現れ這いつくばり……
0号病棟目指して、感染者の群れが向かってくるではないか!!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110620212051.jpg

「そ……そんな…」 「もう……おしまいだべ……」
――まさかの事態に愕然とするハルトとポンチョだったが、光成はまだあきらめていなかった。



「まだ…… オレ達は全員生きてるだろ?
 日本中の―――――― オレ達以外の全員が感染してたとしたって、オレ達はまだ生きてる――――
 まだ―――― 終わりじゃない」


ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20110620212102.jpg
                                  ―エレル/完―
583マロン名無しさん:2011/06/20(月) 23:26:57.70 ID:???
え、これで終わり!?
さすがに残り一話でまとめるのは無理だったか…
つーかこのままだとほぼ確実にバッドエンドだよな…
584マロン名無しさん:2011/06/20(月) 23:56:42.49 ID:???
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・な、なんじゃこりゃあ!?
打ち切りとはいえ、なんつーBAD END…

最後までデブはうざいままだったな…
585マロン名無しさん:2011/06/20(月) 23:58:10.15 ID:???
あ〜… えーと、これは いわゆるアレですね? 打 ち 切 り E N D 

まあ、しゃあないか。 エレルとか言っても、ここまで単なる良くあるゾンビものでしか無かったし。
コーセーくんの言葉と裏腹に、希望のカケラもまるで感じられませんな…
586マロン名無しさん:2011/06/21(火) 00:29:20.28 ID:???
あの製薬会社のグラマー姉ちゃんはどこ行った
587マロン名無しさん:2011/06/21(火) 05:54:53.09 ID:???
なんというか… 打ち切りなら打ち切りで仕方ないが、せめて希望のあるラストにしてほしかった……orz

>>586
1話前でエレルに感染した担当医に襲われてますぜ、具体的には>>570
588マロン名無しさん:2011/06/21(火) 12:12:47.03 ID:???
ええええ〜終わり!?
あああ……希望を失わない精神は立派だがこりゃあBADENDだよなあ
たまにはこういう絶望的なものもいいか
589マロン名無しさん:2011/06/21(火) 12:45:30.73 ID:???
こりゃもう路線変更してコーセー君が感染しながらも人の心を失わないエレルマン≠ノなるしかないな。
590マロン名無しさん:2011/06/21(火) 19:06:43.81 ID:???
>>580
これ1枚目の最初のコマだけをセリフ無しで見たら
初見の人は100%勘違いするな…
591マロン名無しさん:2011/06/21(火) 19:15:41.73 ID:???
全員が階段を走り降りる所?
何を勘違いするって?
592マロン名無しさん:2011/06/21(火) 19:34:17.81 ID:???
なんという打ち切りw
院長のかませっぷりがひどいw
593マロン名無しさん:2011/06/21(火) 20:17:28.67 ID:???
言われてみればデカい口の怪物から逃げてる様にも見えるな
594マロン名無しさん:2011/06/21(火) 20:33:55.55 ID:???
把握したwww
確かにあいつだけ異様にでかいしなwww
595マロン名無しさん:2011/06/21(火) 20:53:22.74 ID:???
あのコマだけなんかパースがおかしいw
596マロン名無しさん:2011/06/21(火) 20:54:53.32 ID:???
ヤツは骨格からおかしいな。
597マロン名無しさん:2011/06/21(火) 22:18:23.16 ID:???
豚だけは体がおばさんになっても違和感ないw
598マロン名無しさん:2011/06/22(水) 01:34:10.61 ID:???
599マロン名無しさん:2011/06/22(水) 08:17:36.23 ID:???
怖ぇぇぇ!!!!
これは別の意味で嫌すぎるwww
600マロン名無しさん:2011/06/22(水) 16:16:22.50 ID:???
>>589
物語終盤で、生き残った人間によってルナの生首が晒される訳ですね、わかります!
601マロン名無しさん:2011/06/22(水) 21:40:52.21 ID:???
キリのいい所で楽屋裏開始

よりによって最終回で規制になってしまったけど…
この最終回はぜひ連載中でやりたかった。
未読の方いかがでした?
602マロン名無しさん:2011/06/24(金) 00:54:54.62 ID:???
未読だけど打ち切りっぽい急な流れで何とも言いづらい…
もっとエロく画像を加工出来たらな、と後悔してる
ドット絵ツールで頑張ったけど無理だった
603マロン名無しさん:2011/06/24(金) 08:24:46.28 ID:???
展開が遅すぎたね。
BM第一部は10話であれだけの内容を簡潔に纏めていたのに。
604マロン名無しさん:2011/06/24(金) 15:14:22.89 ID:???
最後のどんでん返しって、バッドエンドってこと?
ちょっと期待しすぎたかも
605マロン名無しさん:2011/06/24(金) 20:48:14.52 ID:???
>>602
You、>>480の1枚目をエロく加工しちゃいなよ!
606マロン名無しさん:2011/06/24(金) 23:02:22.99 ID:???
>>604
どんな期待してたのか聞かせて欲しいな♪
607マロン名無しさん:2011/06/25(土) 12:04:10.13 ID:???
7月25日発売と8月25日のプレイコミックで前後編読切「BMクロニクル」掲載。
608マロン名無しさん:2011/06/25(土) 13:34:12.77 ID:???
それがマジなら、あらすじ氏のジンクスは健在たな
待ち遠しいな!
609あらすじネクタール:2011/06/28(火) 19:26:32.98 ID:???
ようやくぷらら規制解除された… 改めて皆さんお疲れ様でした。(特にぷららユーザー)
改めて、未読に人の感想を聞かせてほしいな。

>>607-608
確認してきた。確かに今月号のプレイコミックに予告載ってる…!
前後編ではあるが、確かにBMの続編みたいだね。
親子3人が描かれていたが、あれは完と香ノ宮とその子供なのかな?
610マロン名無しさん:2011/06/30(木) 08:39:17.38 ID:???
打ち切りにしても欝になりそうな終わり方だったな…
ともあれお疲れ様でした!
611マロン名無しさん:2011/06/30(木) 09:58:37.01 ID:???
あらすじさんお疲れ様でした
エレル未読者です

こういうモンスターパニック物をそもそもあまり知らなかったので
わくわくしながら楽しめました
主人公たちのキャラもこれから色々個性出して面白くなりそうだったのに
終わってしまうとは残念ですね
612マロン名無しさん:2011/06/30(木) 11:08:35.16 ID:???
BADエンドはあれはあれでいいけど、最初から最後まで豚がウザくて役立たずだったのが不満
613マロン名無しさん:2011/06/30(木) 11:37:02.37 ID:???
せめて死んで欲しかったな
614マロン名無しさん:2011/06/30(木) 14:13:01.88 ID:???
仮に豚がエレルに感染してゾンビ化して襲い掛かってきたとしよう…
それはそれで嫌な絵になりそうな気がw

あの不気味な顔で起き上がとた時は「やった!」と思ったのにな… チッ
615マロン名無しさん:2011/07/08(金) 22:01:27.90 ID:6Dc6qeZI
保守あげ
616あらすじネクタール:2011/07/14(木) 06:36:35.50 ID:J2zTTxC9
新潟の荒らしと糞運営のおかげですっかり水を差されてしまったな…(´・ω・`)
さて、残り400スレあるけどどうしようか。

1:他の藤澤パニックホラー作品を連載(ワルタハンガ or レギオン どちらも全3巻)
2:今月25日発売のヤングチャンピオンの「BMクロニクル」を待つ
3:このままひっそりとDAT落ちさせる

皆さんはどれがいいですか?
1の場合、ワルタハンガかレギオンどっちがやりたいか意見も聞きたいです。
ちなみにワルタハンガは現代のバージェスモンスターパニック、レギオンは大量のネズミがメインです
617マロン名無しさん:2011/07/14(木) 08:52:46.87 ID:???
BMの続編?おまけ短編?なら語る場所が欲しいと思ったり
618あらすじネクタール:2011/07/14(木) 13:47:28.73 ID:???
BMクロニクルはその通り、BMの後日談だか続編らしいです。
その他は全く別の設定。

…なのだけど、実は藤澤作品はほとんどが「現代日本」が舞台なのよね…
実は明記してないだけで、エレルややBM事件と並行して無人島ではバージェスモンスターに襲われてたり、
都会では大量のネズミに襲われてたり、と考える事もできる…((((((((;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル

人類に逃げ場無し!
619マロン名無しさん:2011/07/14(木) 17:03:31.66 ID:???
本土だと3部の惨状見るにBMが最強だな
無人島のって丸い機械のやつ?
何かで1回偶然読んだだけだから今一覚えてない
620マロン名無しさん:2011/07/14(木) 18:25:04.28 ID:???
バージェスモンスター…アノマロカリスとかそういうの。詳しくはググってくれ。
とある無人島に踏み込んだツチノコ狩りのメンバーが、そこに生息していたバージェスモンスターに襲われる話ね。
ちなみに主人公は32のさえないサラリーマンと33歳の巨乳のOLでございます。
621マロン名無しさん:2011/07/21(木) 21:55:10.69 ID:???
25日発売のヤングチャンピオン発売まであと4日
保守しとこう
622マロン名無しさん:2011/07/21(木) 22:06:18.12 ID:???
プレイコミックじゃないの?
623マロン名無しさん:2011/07/21(木) 22:39:50.67 ID:???
間違えたorz
624マロン名無しさん:2011/07/24(日) 19:20:59.95 ID:???
そういやメトロサヴァイブってのもあったな。
あれは天災と人間が相手だけど。
625あらすじネクタール:2011/07/24(日) 20:28:22.86 ID:???
つまらなくはないんだけどね、メトロサヴァイブ。
藤澤先生はサバイバルホラー作家というイメージがあるんで、なんか物足りなかった。
626マロン名無しさん:2011/07/25(月) 08:22:33.70 ID:???
( ゚∀゚)o彡゚おっぱい!おっぱい!
627マロン名無しさん:2011/07/25(月) 17:58:45.67 ID:???
この人の作中にでてくるきもいおっさんは明らかに骨格レベルで人間やめてるよね
もうきもいおっさんに美少女が襲われるサバイバルホラー描けばいいんじゃないかな
628あらすじネクタール:2011/07/25(月) 19:58:25.39 ID:???
プレイコミック買ってきた。

あの夏、瀬戸内海の某島で起きた日常がテーマだった。
墓穴を掘る店員の兄ちゃんワラタw
ママは若くて乳でかいけど、相変わらず作者は乳首を描きたくないらしいな…(´・ω・`)
つーか完ママと同じく子供守って死にそう
629マロン名無しさん:2011/07/26(火) 21:13:48.62 ID:???
読み終わった。
見慣れた光景なのに、あの4人が居ないと本当絶望的な気持ちになるな…
630マロン名無しさん:2011/07/26(火) 21:16:25.66 ID:???
「あの夏」って第一部〜第三部のいつの頃だろうか?
631マロン名無しさん:2011/07/27(水) 01:50:39.06 ID:???
本編と違って担任もまともなツラしてるな。少しは生き延びてくれるかね?
632マロン名無しさん:2011/07/27(水) 19:39:27.30 ID:???
担任って母親の事か?

とりあえず顔、生き残りそうなのは海里(少年)陽美(ママさん)、こだま(イケメン店員)かな。
海里は確実に生き残るだろうが、ママさんは完ママという前例があるから…

>>630
季節は夏なので第一部、地震があった直後だと思われる。
だが一つ突っ込みたい。
WIKIによると第一部の舞台は2021年。今から10年後もAKB48は活動しているのだろうか?w(もどきだが)
633マロン名無しさん:2011/07/28(木) 20:26:50.35 ID:???
BMクロニクル読んでみたが、既刊が見事にプレイコミックで出した物だけになってるな…
まあ、さすがにBMネクタールとかエレルとか古すぎて絶版になってるよな…
634マロン名無しさん:2011/08/04(木) 12:45:28.08 ID:???
このスレはBMスレ?みたいだが今の状況はどうなってんだ?
連載中やるにしては過去作品は上で終わってるし、
BMクロニクルやるにしては話題が無さすぎるし。
635あらすじネクタール:2011/08/04(木) 14:57:05.22 ID:???
藤澤作品スレでいいと思います。何でも語ってくださいな。
自分もまだ他の藤澤作品あらすじ手がけられない状況だし、
仮に他作品連載中やるとしても、BMクロノクルの後編もあるから間が悪すぎる。
636マロン名無しさん:2011/08/05(金) 22:10:36.24 ID:???
キリコが痛めた右手の人差し指突き立てる所、本当は中指じゃないのか?
637マロン名無しさん:2011/08/05(金) 22:33:45.12 ID:???
誤爆ってた('A`)
638マロン名無しさん:2011/08/18(木) 19:42:46.34 ID:???
保守
639あらすじネクタール:2011/08/25(木) 21:39:08.73 ID:???
プレイコミック買ってきた。
島が壊滅するのは分かり切ってた事だが、何も知らない警官の娘が死神(BM)連れてきたのにはぞっとした…

あと藤澤センセ、画力が上がってるからBMの腹(口)側が旧BMより気持ち悪いったらありゃしない…
640マロン名無しさん:2011/08/27(土) 22:55:14.55 ID:???
特に前後作とも繋がり無し。普通に逃げ延びて終了か。
これが更なるB・M派生作品へのプロローグなら良いけど、そうにはなりそうもないか。
641マロン名無しさん:2011/08/27(土) 23:12:18.66 ID:???
あの3人が生き延びても話を作るのは難しいだろうね。
かといって、他の生存者に話を当てても長期連載は難しいだろうし…
新たなパニックホラーの新連載開始を祈る事しかできないだろうな
642マロン名無しさん:2011/08/28(日) 13:45:12.21 ID:???
警官の人が第二部の騒動が有ったみたいなこと言ってたから、これはその後の話かな。
この短編のB・Mは結局どう処理されたんだろう。
643マロン名無しさん:2011/08/28(日) 14:58:22.80 ID:???
第一部→第二部→クロノクル→第三部、かな。

BMの処理はよくあるホラー映画同様、視聴者(この場合読者)の想像に委ねる、って感じかな
644マロン名無しさん:2011/08/28(日) 20:16:36.16 ID:???
ひょっとしてクロニクルって、シンゴくんが取り逃がしたBMが瞬く間に日本中に広まっていく過程での話で
この後も第3部までBMは駆除されないままなのかな。
645あらすじネクタール:2011/08/28(日) 23:52:30.05 ID:???
>>643
それなんてアシャー?

>>644
なるほど、それだともし連載するのであれば第3部冒頭までは連載できるかもね
646マロン名無しさん:2011/08/30(火) 22:37:45.66 ID:???
連載当時、北海道・四国・九州以外の島はどうなってんだよって突っ込まれたからな。
それにしても、ほんとどうやって島に来たんだ?舟に取り付いてたのか?
647マロン名無しさん:2011/08/30(火) 23:07:22.99 ID:???
まさかと思うが藤澤先生、このスレ見て離島の状況を描こうと思ったんじゃないだろうな…
648マロン名無しさん:2011/09/10(土) 06:32:18.43 ID:???
保守
649マロン名無しさん:2011/10/25(火) 14:07:07.07 ID:J/mAM5WM
浮上
650あらすじネクタール 1/5:2011/10/25(火) 21:08:21.08 ID:+dMopnFB
プレイコミック 2007年No,17号「レギオン」連載開始

  第1話『序曲』


              この冬はまだ―――― 2月になっても雪が降らない
エルニーニョがどーだの、異常気象がこーだの、その辺は学者や気象予報士に任せておくとして…
                 今、我々にとって最も切実な問題は――――

                 朝、布団から出る時の気温   ――――であろう


朝、とある家で父親に起こされる高校生位の娘。
『華音(かのん)――――!! いつまで寝とんだ華音―――ッ!!』
父親は華音の布団を剥ぐが、華音は寒さに震え起きられなかった。
父は自分の若い頃はと昔話を始め、いらついた華音はついに起きる。
…しかし、時計を見るとまだ5時54分。6時前ではないか!
華音はまだ6時前だと父に文句を言うが、今日、父親は出張の為早く家を出なければならないのだ。
『だったら1人で勝手に出てきゃいーじゃない!!』
『馬鹿者! それじゃ家族そろって飯が食えんだろが!!
 家族とゆーのは全員揃って食卓を囲むものだ!つべこべ言わず龍斗を起こして顔を洗え!」

やむなく華音は弟を起こしに行くと、龍斗は布団にくるまっていた。
「ったく、我が弟ながら―――― 他人が自分だけぬくぬくと布団にくるまってるのを見ると…
 理不尽だとわかっちゃいても… ムカつくっつーの!!』

一気に布団を剥ぐと―――― なぜか龍斗と一緒にカブトムシやカマキリなど、昆虫がびっしり!!!
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…当然、朝っぱらからご近所迷惑な華音の悲鳴が轟いたのだった。
651あらすじネクタール 2/5:2011/10/25(火) 21:08:41.89 ID:+dMopnFB
『信じられない! ありえない! なんだって虫なんか連れて帰ってきてんのよ!バッカじゃないの!!』
朝食を取りながら文句を言う華音に対し、気弱そうな龍斗は答える。
「だってしょーがないじゃん、クラスのみんながさ ダメだって言ってんのにこんな時期に羽化させちゃうから…
 こんな季節に一晩中教室に置いといたら、みんな死んじゃうよ」
そんな弟に虫フェチの変態と罵声を浴びせる華音だが、
華音も小学生の頃、学級飼育のハムスターを連れてかえって一緒に寝ていた事があるのだ。
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朝食を取り終えると、親子揃って亡き母の遺影に手を合わせ「行ってきます」と挨拶。
父親が家を出ると、部下の若い女性、麻切が待っていた。
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「おはようございます、戸隠課長」
「わざわざ家まで来なくてもよかったのに…」
「どうせ通り道ですから それに…駅での待ち合わせって苦手なんです、私
 人が多すぎるとなんだか何かの群れみたいで…少し怖くて…」
2人揃って出発する後姿を2階の窓から冷たい目で見送る華音。
「さっき… 母さんに手を合わせたばっかじゃんよ…」
やがて華音は弟を待たずにさっさと家を出てしまう。あんな虫の集団と一緒に行ってたまるか。
…ちなみに、現在7時2分。いくらなんでも早すぎだっつの!



 ―東京駅・新幹線内―
席に座り談笑する2人。出張先のY県は麻切の地元で、今回の出張を志願したのもその為だ。
この出張は夕方には終わる予定なので、麻切は思い切って地元の店で食事でも、と誘う。
だが、父は子供達の事を考え、仕事が終わったら早く帰るつもりでいた。
「あ、君は実家にでも顔を出してくるといい 明日の出社は午後からでも…」
『そんな! 課長がお帰りになるのなら、私も帰ります!』
真っ赤になって叫ぶ麻切。どうやら戸隠父に惚れている模様。
652あらすじネクタール 3/5:2011/10/25(火) 21:08:55.40 ID:+dMopnFB
…話が進む内、戸隠は華音よりも龍斗の方を心配している事を暴露する。
「いい子なんだけどね… 聞き分けもいいし、心もやさしいし…
 だが、どうにも覇気が無いというか、今一つ頼りないというか…
 あんな調子で学校とか…うまくやっていけてるのか、どうも心配でね…」
――その後、話を続けながら新幹線は出発した。


場面は変わり、小学校。当の龍斗はたくさんの虫かごを抱え、クリーチャー顔の級友に悪口を言われていた。
「わざわざもっぺん持ってくんじゃねーよ、バッカじゃねーの?」
「だって学級飼育なんだから…みんなで飼うからって…」
が、他のクソガキ共は飼育が面倒、ヘラクレスやゴライアスみたいな強くてかっこいい方がよかったと文句を言う。
『ダ ダメだよ、生き物なんだからさ! いっぺん飼いはじめたら責任もって最後まで面倒みなきゃ…!』
必死の説得に心を入れ替えたのか、男子はうなずいてカブトムシを取り出した。

「そーだよね、龍斗の言う通りだよね やっぱ最後までちゃんと面倒みないとね
 最後まで―――― 責任もって!!』
――言うが早いか、カブトムシを床に叩きつけると踏み殺してしまった!
「メンドーみときましたんで〜」 「後片付けはよろしく〜」
ショックを受け茫然とする龍斗を笑いながら、男子…もとい、クソガキ共は向こうへ行ってしまった。

その後、龍斗は職員室で担任に相談するが、やはり担任もろくな教師ではなかった。
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こんな教師を見て、龍斗は思った。
(人は良く虫けら虫けらって言うけど―――― こういう人達の一体どこが虫よりも上だって言うんだろう…?)



その頃、父親は出張先の無数の風車を見上げていた。
責任者は頭を掻きながら問題点を述べる。
「いや〜〜 例年ならこの時期、ここらは雪で埋まっとるはずなんですが、今年はご覧の通りでしてねー」
「助かりますけど、積雪時のデータが取れないのは残念ですね」
その後、責任者は戸隠にこの後一席設けさせて頂くと言うが、戸隠は帰りを急ぐのでと断わり、施設の中に入った。
653あらすじネクタール 4/5:2011/10/25(火) 21:09:09.18 ID:+dMopnFB
場面は変わり、華音へと移る。
ヤクドナルドでバカ笑いを上げる女クリーチャーに交じり、元気のない華音。
『マジありえねえ〜〜〜! めっずらしく朝イチから戸隠がガッコ来てたと思ったら…」
「ある意味すごくね?あんたのオヤジ!昭和の化石!! やっぱさ、ちゃぶ台ひっくり返したりしてるワケ?フツーに」
なお、この女クリーチャー共、もし自分の親がそんなだったら金属バットで殺すと物騒な事を言う。
このクリーチャー共、他の客の迷惑も考えずに大声を出し、しまいには龍斗の事まで悪口を言い出す。
「でもさー それでさらに弟が虫オタてのが超ウケね?」
「マジキモ〜〜! 戸隠ん家、家族イタすぎ〜〜! 絶対40過ぎても童貞だよね!!」
「つか早い内息の根止めといた方がよくね!?」                 お前が言うな。
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いい加減うっとおしくなったのか、華音は席を立ち、ゴミ箱にゴミを捨てていると… 突如停電が起きた。


再び父親へ場面は戻る。
地下送電ケーブルモニターが3基とも何も映さない事を不審がる華音。
責任者は残業を嫌がり、電気は送れているから問題ないとごまかそうとする。
「そういう訳にはいきませんよ、セキュリティの問題もありますし
 単純な接続不良なら30分もあれば終わる作業です」

戸隠と麻切は地下へ降りようとするが、証明をつけようとしても電気が来ていないのに気付く。
もしかしたら電気設備全体のトラブルかもしれないが、一応確認しようと責任者共々懐中電灯を持ち階段を下りる。

階段を下りると―――― 無数の ネ ズ ミ がザワザワとうごめいていた!
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あまりの恐怖に責任者が悲鳴を上げるのと同時に、数匹のネズミが責任者の足に食らいつく!
助けをこう責任者、手を伸ばす戸隠。
だが、責任者は自らの血で足を滑らせ、ネズミの海へと転げ落ち食われてしまった!
異常な光景にしばし固まる戸隠だったが、先に逃がした麻切の声に我にかえり、一目散に逃げて扉を閉めた。
654あらすじネクタール 5/5:2011/10/25(火) 21:09:27.26 ID:+dMopnFB
戸を押さえながら呼吸を整える2人。…ふと、数匹のネズミが走るのを見て麻切は悲鳴を上げた。
『お 落ち着け麻切君! 大丈夫…数さえ少なければ、ただのネズミだ… あっちの方で逃げてくれる…」
「そう… ですよね、ネズミ… ですもんね… ただの…ネズミなんですもんね…
 ありえないですよね… 何かの間違いですよね、これ…
 だって… ネズミが…人間を… そんな…」
恐怖に涙目になりつつ、必死で現実逃避に走る麻切。


三度画面は変わり、華音へと戻る。
停電に騒ぐ客達は、足元を何かが走るのに気付く。

     いや――――… ネズミは雑食だ。 食えるとみればなんだって食べる――――…

――華音は足元に無数のネズミらしき影がいるのに気付いた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111025210046.jpg       <続く> 
655マロン名無しさん:2011/10/25(火) 21:30:59.79 ID:???
藤澤先生、青年誌に場を移しての連載2つ目か。
正直前作のメトロサバイブは物足りないと言うか、微妙というか…

今回はアニマルパニックみたいだが、ネズミの大群というのはすでに「滅びの笛(or宴)」でやってるんだよな。
どういう結末になるか見ものだ。

…できればお色気も入れて下さいw
656マロン名無しさん:2011/10/26(水) 14:09:58.11 ID:???
ろくでもねー奴と友達になんなよ、龍斗も華音も…
BMの時はいくらかまともな性格(と顔)の奴もクラスメートにいたのに、全員クリーチャー顔じゃん
教師もろくでもない奴だし
657マロン名無しさん:2011/10/27(木) 09:55:01.82 ID:???
うおーネズミかあ
噛みつかれると痛そうだ……
共食いしないのは何でかな
658あらすじネクタール 1/3:2011/10/27(木) 22:00:13.57 ID:0+uApuFe
  第2話『暗闇の饗宴』


暗闇の中、華音の足元を無数のネズミが歩き回る。
周囲が騒ぐ中、華音はただ一人、慌てず騒がず冷静にどうすればいいのか考えていた。
(そう… 多分それが正解…
 大体マンガだって、ホラー映画だって初めに焦ってジタバタする奴はロクな目にあわない… だけど…)
そこで華音は龍斗が言っていた事を思い出す。
「虫だってなんだってさ、人間以外の生き物の行動には絶対必要な理由があるんだよ」
――あの虫オタの弟が言う事だから、きっと間違いないだろう。

(だったらこいつらの―――― こいつらの、ここ(ハンバーガー店)に集まる理由って… 食べ物(エサ)があるから?)
華音の嫌な予感を裏付けるかの様に、ネズミは客の食糧を喰い始めた。
最悪の予感を感じた華音はコートを取ると、薄暗がりの中そっと店を後にする。
…途中、クリーチャーババアとぶつかりグチグチ文句を言われるが、そいつは無視して先を急ぐ。
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(確かこのモール、エスカレーター… エスカレーターんトコ、ガラス張りだったはず…
 まだ日の暮れる時間じゃないし――――)
人とぶつかりながら先へ進むと、ようやくエスカレーターへたどり着く。
予想通り足元が見える程度に明るくなったが、他の客がガラスをじっと見ている。

その視線を追うと…… 窓ガラスにびっしりとネズミが群がっているではないか!
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客はただのネズミだと冷静を装う中、華音はコートを落としたのにも構わず出口へ走る!

(他の人達は誰も気づかない? こんだけのネズミが全部いっぺんに食べ物のある方へ向かってるんだよ!
 それってつまり――― このネズミ全部―――― お腹すかせてるってコトじゃん!!)
そう頭の中で結論づけるのと同時に、はるか後方から人々の叫び声が聞こえ、人々がこちらへ走ってきた!
華音がモールを出た直後、狭い出入口に人々が殺到し、ガラス越しに先頭の人々が潰れるのが見えた。
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659あらすじネクタール 2/3:2011/10/27(木) 22:00:27.09 ID:0+uApuFe
しかも周りをよく見ると、他の建物からも悲鳴が聞こえ人々が飛びだしてくる。
周囲はあっという間にケガ人であふれ、辺りはパニックとなった。
そんな人々をあざ笑うかのように、側溝から無限とも言える数のネズミが次々とあふれ出した――――…



 ―Y県・施設内―
「ネズミが都市部で爆発的に増加しているという話は、もう10年以上も前から言われている事だ…
 地下街や下水道、地下鉄などで寒さをしのげる事と、エサが豊富になった事が原因と言われているが…
 おそらくここのネズミ達も、寒さを逃れようとして地下へ集まったんだろう
 だがあいにくここの地下にはエサになるような物は何もない
 しかもなまじ暖かいばかりに、代謝を下げて休眠状態に入る訳にもいかない
 彼らはひどく餓えていたはずだ―――― そこへ無防備に人間が踏み込んだ…
 暗闇の中、あれだけの数に襲われたら、人間に勝ち目はない…」
戸隠の説明に、麻切は警察に通報しようとし携帯をかけるが、混線しているのか繋がらなかった。
…もしかしたら山奥だから電波が悪いのかもしれない。
とりあえず2人は車に乗り込み、営業所まで戻ってから警察、県庁、保健所に知らせる事にした。

…普通、ネズミは明るく視界の開けた場所へ出たがらないものだ。
それはただ天敵の鳥獣の目を恐れているだけで、人間の事を恐れている訳ではない。
むしろネズミから見れば、人間は動きも遅い、自分達を捕食もしない、かっこうの獲物なのだ。
「課長… もし…今、都市部で大規模な停電が発生したとしたら… どうなると思いますか…?」
麻切の問いに戸隠は大丈夫だと答えるが、しかし現にあの地下室のモニターと証明を壊したのはネズミだ。
「つまり… アレですよね、一度配電されちゃえば、どんな建物の電気系統だって…
 ネズミに止められちゃうのを防げない… ってコトですよね?」
ちらりと横を見ると、麻切の手は携帯を握りしめたまま震えている。一体どうしたというのか?

「…おかしいんです… とっくに市街地が見えてるはずなのに… ほとんど明かりが見えない…」
嫌な予感がした戸隠は、麻切に営業所に電話をかけるように急かすが、警察にもどこにもつながらない!
「…何が… 起こってるんだ、一体…」
660あらすじネクタール 3/3:2011/10/27(木) 22:00:44.72 ID:0+uApuFe
…その頃、華音は必死の思いで自宅近所まで逃げていた。
駅方面はあちこちから煙が上がり、野次馬はテロでも起きたのかと不安になる。
周囲を見ると、あのネズミの群れは住宅街にはいないようだ。
(何が何だかさっぱりわかんなかったけど―――― 明日になれば、きっと全部終わってるよね…
 そりゃケガ人ぐらいはいっぱい出たみたいだけどさ、ネズミだよ ネズミ…)

ドアを開け、ただいまと一声かけ、帰っていると思われる龍斗に話しかけようとすると――――…
家の中は真っ暗。さらに、ネズミの群れが華音の前を横切った。
「あの子、まだ… 帰ってない…?」                                 <続く>
661マロン名無しさん:2011/10/27(木) 23:36:28.90 ID:???
うお、怖ぇ…!パニックになって狭い出入り口に詰まる人々が怖ぇ!!
ところでY県って山形か?

>>657
BMだったらあのデカい口でほんの数口で致命傷、死ねるけど、
無数のネズミだったら致命傷にならず激痛に苦しみまわって死ぬと言うのがイヤすぎる…
662マロン名無しさん:2011/10/28(金) 13:12:19.23 ID:???
ネズミ大量発生は実際にあったが、入口に詰まるってのはラッシュの電車で疑似体験できるから恐ろしさがよくわかるな…
663マロン名無しさん:2011/10/28(金) 13:37:15.39 ID:???
この街はクリーチャー顔の人口比率が高いな・・・
664マロン名無しさん:2011/10/28(金) 14:16:13.10 ID:???
というより藤澤作品の特徴(お約束)だろうなw
クリーチャー顔が出なかった藤澤パニック作品はエレルだけじゃね?
665マロン名無しさん:2011/10/28(金) 15:23:17.72 ID:???
あ貴様ーの化け物を忘れたというのか…!
666マロン名無しさん:2011/10/28(金) 19:28:26.49 ID:???
何の事?
667マロン名無しさん:2011/10/29(土) 00:33:59.83 ID:???
ポンチョ・・・はクリーチャー顔ではないな
もっと恐ろしい何かだ
668マロン名無しさん:2011/10/29(土) 09:20:41.06 ID:???
完全にフィクションではなく、パニックになって出口に殺到、
圧死する人間が出るってのは現実にもあることだから
そこらへんのリンクさせ具合がえぐいなw
更に、出口(救い)が見えてるのに動けないってのがより悲惨で
669マロン名無しさん:2011/10/29(土) 14:39:50.62 ID:???
人々が出口に押し寄せるシーン、リアルなんだが
個人的にはあれだけの人が押し寄せてもヒビ一つないガラスに違和感がある
670あらすじネクタール 1/2:2011/10/29(土) 21:57:29.00 ID:d/nlewNW
  第3話『ホームルーム』


冒頭、龍斗のいる小学校・4-C。クリーチャー担任&生徒に囲まれる龍斗。
「あのなァ、いーかげんにしてくれよ戸隠 もうとっくに生徒の下校時間は過ぎてんだぞ?
 言っただろーが、全部お前の家で引き取るか、そうでなきゃ焼却処分だ…って」
大量の虫かごを持ち切れず、二日に分けて持ち帰ろうとする龍斗だが、クリーチャー共はそれすら許さない。
それならせめて花壇に埋めさせてと頼むが、学校を虫だらけにするつもりかと騒がれる。
「――なぁ、戸隠?いつまでもンなワガママばっかり言ってたらロクな人間にならねぇぞ、ん?
 お前の為にこんな時間まで居残ってくれてる友達の身にもなってみろ
 そうやってみんなに迷惑ばかりかけてるようじゃ、仮にお前がイジメにあったとしても
 先生としてもかばってやる訳にいかなくなっちまうぞ?」
極めつけのクズ教師の一言に落ち込む龍斗、舌打ちして煙草に火をつける担任。

「職員室以外、校内は全面禁煙ですよ 鷹田先生 子供達も見てますし、まずいんじゃないですか?」
――意外な救援登場。助け舟を出してくれたのは、他のクラスの教師・鬼崎(きざき)だった。
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鷹田は硬い事言いっこなしだと煙草をふかし、クズ生徒共もそーだそーだと大ブーイング!
「…て、事はアレかな 噂の問題児、戸隠君ってのがキミって訳?
 鷹田先生、いつも職員室でボヤいてるよ 君さえいなけりゃ扱いやすいクラスなのに…って」
その言葉に笑うクズ生徒、焦る鷹田。…てか、そもそも鬼崎は何しに来たんだ!?
「区の方から連絡がありまして、
 今 校内に残っている児童は保護者が迎えに来るまで学校内で待機させるように―――― って」
鷹田も鬼崎も例のネズミ騒ぎを知らず、鷹田は自分も保護者が来るまで帰れない事を嘆く。残業代は出るのか!?
すわ変質者出現かと騒ぐメスクリーチャー共、お前らの事ではない。
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やむなく携帯で電話をかけようとした瞬間、バタバタと大きな足音が聞えた。
鷹田は廊下に出て一喝するが、人影すらない。…足音は天井裏からだ!
全員が天井を見上げた瞬間、停電となった。
671あらすじネクタール 2/2:2011/10/29(土) 21:57:47.27 ID:d/nlewNW
――その頃、華音は息を切らせながら住宅街を走り回り、龍斗の姿を探していた。
(今―――― 気が付いたけど… 静かすぎんだろ、コレ……)
足を止め、携帯をかけると…… 突如背後のガレージから中年男に足首を掴まれる!
男は今にも消えそうな声で助けを求めるが、パニックを起こした華音は放してと暴れる。

『放してってばァ――――!!』
男の体ごと足を引きずった瞬間―――― ガレージから引きずられた男の胸から下は、ネズミの群れに食われていた!!
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同時刻、街から上がる無数の煙を見て一体何が起こっているのかと青ざめる2人。
車を進めていると、前方で玉突き事故がありこのままでは車で通れそうにもない。
――すると、男がガラスを叩き乗せてくれと懇願してきた!
…いや、男だけじゃない。周囲にはまるで獲物を狙うゾンビのように、無数の人々が車に集まってくる。
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『乗せろ早く!』『グズグズしてると“あいつら”が来ちまう!』
慌てた戸隠は車をバックで急発進させると、Uターンしその場を後にした。

「の… 乗せてあげなくてもよかったんでしょうか…?」
…どのみち、あれだけの人数は乗せられない。それに…奴らの目は明らかにまともではなかった。
「“あいつら”が来る―――― って言ってましたよね…」
戸隠は嫌な予感を覚えつつ、カーラジオを操作した。
――するとノイズ混じりでネズミが日本中に大量発生しているとの情報を聞いた。
そのニュースを聞いた戸隠は、華音と龍斗が心配になり車を止め携帯をかけるがつながらない。
再び戸隠は車を発進させる。 ――この車で東京まで戻るために!
「落ち着いて下さい、課長 ここから東京まで500km以上あるんですよ?
 ガソリンだって絶対もたないし… それに…途中の山の中は冬の間、ほとんど通行止めです」

「あと… 30分もすれば日が暮れる…
 そうなったら、もうどこにも――― あの子達に逃げ場はないんだ」
――その頃、華音は息を切らせながらようやく龍斗のいる小学校に辿り着いていた。   <続く>
672マロン名無しさん:2011/10/29(土) 23:27:10.91 ID:???
>ガレージから引きずられた男の胸から下は、ネズミの群れに食われていた!!
ひぃぃぃ!!!((((((((;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル
なんか映画スウィートホームにも似たようなシーンなかったか…?

新キャラのイケメン先生とDQN教師、名前が逆でもよかったんじゃないですか藤澤先生?
673マロン名無しさん:2011/10/31(月) 12:13:25.12 ID:???
>車をバックで急発進させると
判断が正確で良かった
こういう時におろおろしたら死亡フラグだもんな
674マロン名無しさん:2011/10/31(月) 17:06:52.09 ID:???
どのみちあんな大人数は乗れないしな…
あそこでまごまごしてたらガラス割られて引きずり出されるか、ネズミの餌食になるかしかないもんな
675あらすじネクタール 1/3:2011/10/31(月) 22:03:29.19 ID:QRh7HF0e
  第4話『暗くなるまで待って』


小学校の全ての電気が消えているのを見る華音。もう全員帰ったのか、それとも…?

その頃、教室内では無数のネズミの群れの足音をテケテケだと騒ぐ生徒達。
鷹田はネズミに決まってるだろと叫ぶと、生徒達もそれを聞いて落ち着きを取り戻す。
「だけど…すごい数…」(龍)
鷹田は生徒達にさっさと電話しろとイラつきながら命令する。
(なんなんだよクソ、本当なら今頃どっかで一杯やってるか、ヘルスで抜いてるはずなのによ…
 このクソガキ(龍斗)のおかげでオレの優雅なチョイ悪アフター5が台無しじゃねえか…
 どーする… もっとイジメけしかけて、二度と学校へ来れなくさせてやるか…
 いや、いっそこのガキ犯したろか……)

教師にあるまじき事を考えていると、鬼崎に呼ばれているのに気付く。
鬼崎曰く、停電だとすると日のある内に生徒達を帰した方がいいと提案する。
生徒達も親がいなくても大丈夫と言うが、鷹田はそれに反対する。
――万一、ガキ共に何かあれば自分が責任取らされるからだ。
そんな中、少年2人がトイレに行きたいと言うので行って来いと言う。
「ただしちゃんと戻ってこいよ!」
「い いや そーでなくて… 暗いからやだな〜みたいな… ついてきてくんね、センセ…」
「知るか!勝手に行って来い!」


廊下にて文句言いながらトイレに向かう少年。もううぜえからこのまま帰ろうという事に。
「うわ マジ真っ暗じゃん、便所ん中… さ…先に一人だけ帰ったらブッ殺すかんな」
「そ そっちこそ 裏切ったらブッ殺す!」
物騒な事を言いながら用を足す2人だが、背後の便器から無数のネズミが這い出ているのに気付かなかった。
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676あらすじネクタール 2/3:2011/10/31(月) 22:03:42.71 ID:QRh7HF0e
一方、インターホンを押す華音だったが、誰も出ない。
まだ5時半だというのに、全員帰っているとはありえない…。
華音は意を決し、後門をよじ登った直後――――  恐ろしいまでの悲鳴が聞こえてきた!

悲鳴を聞いた鷹田は生徒達に様子を見てこいと言うが、当然拒否する。
『と 友達だろーが、お前ら!』
『はぁ〜〜? 知らねぇよ、あんな奴ら!センセ行きゃいーじゃねーかよ!』
見かねた鬼崎は自分が見てくると言い、廊下に差し掛かった時、龍斗に一緒に行かないかと誘う。
「ボクが出て行った後、“こんな所”に一人残ってるってのも居心地悪いだろ?」
――龍斗は承諾し、一緒に行く事になった。


 ―廊下―
「滑稽だよね、見なければ認めないで済むと思ってる
 この異常なネズミの数、断末魔の悲鳴、帰ってこない子供達… 誰にだって最悪のパターンが想像できたはず
 その想像を確かめるのが怖い… だから見ずに済ませたい――― みんなね…」
「先生は… 怖くないの…?」
「怖いよ、すごく… 怖いからこそ―――― 見なきゃいけない…
 正しく見識っておかなければ―――― 適切な判断は下せないから――――」
鬼崎は龍斗の目を覆い、生徒の死体をかじるネズミの群れを確認した。
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静かに、そっとその場を離れる2人。
龍斗が落ち着いたのを見計らい、階段を降り始める鬼崎  …って、どこへ?
「決まってるだろ、逃げるんだよ 見たよね?さっきの ああはなりたくないだろ?
 確信はないけど、今の所廊下や梗実でネズミ達が襲ってこないのは ほんのわずかに残ってる日照のおかげらしい
 だとすれば―――― 日没まであと10分足らず… ここにいて助かる可能性はまずないからね」
「だ…だったら逃げるよりも… は 早くみんなに知らせないと…」
「つまらん事を言い出すもんだな、君も…」
「と… 友達を助けるのが… つまらない事ですか…?」
677あらすじネクタール 3/3:2011/10/31(月) 22:03:56.57 ID:QRh7HF0e
「“お友達を助ける”のは確かに立派な事だけど、この場合君は2つの点で間違ってる
 1つ、彼らは君の友達なんかじゃない 2つ、君が行く事は彼らを助ける事にはならない
 1つ目は今更説明するまでもないだろう、2つ目について言えば…
 君が逃げろと言う以上、彼らはかたくなにここにとどまろうとする、絶対に!
 彼らは愚かだ 例え彼らが自分で危険だと判断し、逃げる必要を感じたとしても
 それが君の指示である限りは、彼らは決して従わない… 愚か者とはそういうものだ
 正しいとわかった事だったらできる… そういう人ばかりなら、世の中こんなにささくれだっていないんだよ」
――しばし呆然とする龍斗に鬼崎は手を差し伸べる。
「さあ、おいで 行こう、一緒に ボクは愚か者に差し伸べる手は持ち合わせていない…」
…だが、龍斗は背を向けその場から走り去ってしまった。
「…やれやれ、だからイヤだったんだ… 小学校の教師なんて―――」


教室に戻った龍斗は全員に報告するが、鬼崎の言ったとおり龍斗を罵倒する。
龍斗は鷹田を見上げると、鷹田は龍斗の手をガシッとつかむ。
「あの2人に便乗してボクも逃げちゃおうってか? ボクってあったまいい〜ってか? あ?このガキ!」
鷹田は生徒達に迎えが来るまで一歩も出るなと命令する。
――すると大きな足音がこちらに向かってくるのをはっきりと聞いた!何かが来る!

『龍斗ォ!!』 ――ドアが開き、現れたのは華音だった!
華音は龍斗の手を引き、鷹田達に逃げろと一言叫ぶと教室から逃げ出した。
生徒達は不安になり、逃げた方がいいのかと考えるが鷹田はかたくなに通せんぼした。
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華音と龍斗が玄関に差し掛かるが―――― そこはすでにネズミの群れに占領されていた!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111031220046.jpg        <続く>
678マロン名無しさん:2011/11/01(火) 09:34:32.87 ID:???
鬼崎先生が生徒に目隠ししてるところに萌える
適切な判断をして弱者を守れる人って素敵
龍斗くんには冷たいと思われたみたいだけど

しかし鷹田の顔面クリーチャーぶりはすごいなw
679マロン名無しさん:2011/11/01(火) 15:36:39.81 ID:???
鬼崎先生クールだな、龍斗にはまだ理解されないが。
仮に俺が龍斗の立場だったら絶対鬼崎に同意して逃げ出してる>1つ、彼らは君の友達なんかじゃない
でも作中でこれやると、絶対死亡フラグ立ちそうなのが怖いんだよな…

さて、いきなりクライマックスになりそうなんだがネズミの群れからどうやって玄関突破するんだろうか。
自衛隊でもかけつけてくるのか?
680マロン名無しさん:2011/11/02(水) 13:54:39.16 ID:???
>いや、いっそこのガキ犯したろか……)
ショタレイプ(;´Д`)ハァハァ
681あらすじネクタール 1/3:2011/11/02(水) 21:59:38.99 ID:pGuwUWiB
  第5話『聖職者』


獲物―――― 華音と龍斗を見つけたネズミの群れは階段を昇り始めた。
龍斗は戻ろうと言うがすでに手遅れだった。この足音は…2階からもネズミの群れがこちらに向かってきている!


その頃、教室では扉を押さえる鷹田がガラス越しに走るネズミを見る。
それを見た生徒達も逃げた方がよくないかと言いだし、しぶしぶ鷹田も同意する。
その前に鷹田が外(廊下)の様子を確かめようと、わずかに扉を開けると… 床一面、すでにネズミで一杯だった!
その光景を見た鷹田は小さく悲鳴を上げ、慌てて扉を閉める。
(ど どーするよ、えれぇ数だぞオイ!
 あんだけ数いりゃ、戸隠が言ってたように人間が喰われたっておかしくねぇ…!)
鷹田の様子に怯える生徒達。その内の一人がオレにも見せて見ろと扉に近づくが、鷹田はその生徒を突き飛ばす。
勝手に出るなと一喝するが、よく考えたらいつ天井板が食い破られるか分からない…。
だとすると教室にいてもダメ、逃げ場がない分かえってヤバい!
生徒達は今頃になってただ一人逃げた龍斗に腹を立てるが、もはや後の祭り。
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――そこで鷹田の脳裏に邪悪な考えが浮かぶ。
…お達しの通り、ちゃんと教室に待機してて“何かあった”なら、それはもう自分の責任ではない…。
そう考えた鷹田は、生徒達に命令した。
「今すぐ教室の一番奥へ行け!目ぇつぶってじっとしとけよ!」
グダグダ反論する生徒に怒鳴りつけ、生徒達はしぶしぶ奥へ移動し、目をつぶってしゃがみこんだ。

(悪く思うなよ、クソガキども… “全員”―――― 喰い殺されるってワケにゃいかねぇだろ?)
――扉を開け、ネズミの群れを教室に入れると同時に、自分は扉のすぐそばの掃除道具入れに逃げ込んだ!
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「まだかよセンセー どーなってんだよコラァ これでホントに助かるんだろーなァ?」
様子が分からない生徒達にネズミの群れが襲い掛かり、断末魔の悲鳴が無数に轟いた!
682あらすじネクタール 2/3:2011/11/02(水) 21:59:54.81 ID:pGuwUWiB
同時刻、その断末魔は戸隠姉弟も耳にしていた。
そしてネズミの群れは逃げ場のない戸隠姉弟へと向かっていく。
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(父さん――――!!)


その頃、戸隠父はいまだ路上を走っていた。
「――君の実家に?」
「はい、とりあえず… ここから車なら20分位です、すっごいド田舎なんですけど…」
あのネズミは地下街や下水道で増えたわけだから、もしかすると田舎の方にはそんなにいないかもしれない。
それに、田舎なら人間を襲わなくても他に食べる物はたくさんあるからだと見越しての提案だった。
「あ あの 課長…お子さん達の事心配なのはわかりますけど…」
――戸隠はなんにせよ、今の状況、対応…情報を欲しがっていた。
「君の言う通りどこかで落ち着いて対策を練る必要がある… ありがとう、麻切君 君がいてくれてよかった」
「い… いえ、そんな…」
真っ赤になる麻切に対し、戸隠の表情は硬かった。
(今のオレには何もしてやれん… 無事でいてくれ、華音… 龍斗―――…)


そして今にもネズミに喰われそうな戸隠姉弟を強烈な光が照らしたかと思うと、玄関を破壊して車が突っ込んできた!
「大丈夫か戸隠君? 乗りなさい、早く!!」
――運転していたのは鬼崎だった!車と光に驚いてネズミの群れが道を開けた隙に急いで乗り込む。
「ハハッ どう、戸隠君?言った通りだったろう?」
「なんで…助けに来てくれたんですか?」
「あらら〜〜… 迷惑だったかな?」
「だって! 愚か者は助けないって…!」
「ハハッ どんだけ愚か者だろうが… 助けられるもんなら、そりゃボクも助けるさ」
車をバックさせ、ネズミの群れから逃げ出す3人。…助かった…!
683あらすじネクタール 3/3:2011/11/02(水) 22:00:09.82 ID:pGuwUWiB
…が、鬼崎は浮かない顔をする。校舎を破壊したからだ。
減給処分か、下手すれば懲戒免職かもしれない…。
「ま もっとも助かったってのもどうかな? 問題はこれからどこへ行けばいいのか…
 さっきラジオで言ってたけど、このネズミ達… 日本全国そこら中で大発生してるらしい…
 安全と言える所が、はたしてまだ残っているのか…?」
「ね… アレ… 何…?」
龍斗の言葉に3人は前方を見ると、証明と防護服を装備した無数の人影がこちらに迫っていた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111102212836.jpg        <続く>
684マロン名無しさん:2011/11/02(水) 22:50:34.01 ID:???
鷹田外道極まれり!だが、うざいガキクリーチャー全滅でスッとした!
685マロン名無しさん:2011/11/02(水) 22:53:32.11 ID:???
もう完全に全滅する流れだよな、最後の防護服軍団はw
686マロン名無しさん:2011/11/03(木) 10:35:13.65 ID:???
最悪だな鷹田先生……
でも閉じこもるってのはそこから出られず喰い殺される伏線としかw

防護服軍団、何者?
なんかガラ悪そうな印象だけど
687マロン名無しさん:2011/11/03(木) 12:11:48.83 ID:???
防護服軍団はBM駆除部隊… じゃなくて、自衛隊かなんかじゃね?
688マロン名無しさん:2011/11/03(木) 12:50:11.94 ID:???
対応が早すぎるな。やはりネズミも自然発生じゃなく人為的なものなのか。
689マロン名無しさん:2011/11/03(木) 20:51:51.38 ID:???
昼間ネズミの群れが現れたんだし、保健所なり警察に通報してるだろうから対応はそれなりに早いのは当前じゃ?
690あらすじネクタール 1/3:2011/11/04(金) 21:59:40.75 ID:SdD1K7x8
  第6話『Country Side』


夜もすっかり更けた頃に麻切の実家に到着…って、かなり立派なお屋敷だ。
「田舎ですから、広さだけは必要以上に…」
麻切は戸隠を外で待たせ、家人に知らせてくると先に家に入る。
――田舎とはいえ、物音ひとつしない静けさを少々不気味に感じていると、突如背中に銃を突き付けられた!
「動くな… オモチャだと思うか…? 動いてみりゃわかるべ…」
戸隠は車ならやると手を上げていると、家から出てきた麻切が走り寄ってきた!
『く 来るな麻切君!逃げるんだ、家の中へ…!』

『なーにやってっだ!!その人誰だと思ってんだべ、お父(ど)!!
 そっただ物騒なモン、さっさとしまえーッ!!』
意外!戸隠に銃を突きつけたのは、麻切の父親だった!
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…家の中で戸隠に詫びる父、まくしたてる麻切。
そもそもこんな事になったのは、地区団長から「街の連中がこちらへ押しかけている」からだそうだ。
『それにしたって実の娘の声ぐらいわかるでしょ! いっくら呼んだって誰も出てこないで!』
麻切母も、まさか娘が急にこっちに帰ってくるとは思わず、返事できなかったのだ。
「あ 麻切君、そもそも一言も無しに押し掛けた我々の方に非がある訳で…」
『課長は黙ってて下さい!』
戸隠は麻切をなだめようとするが、その勢いにまるで華音のようだと冷や汗を流す。
(なぜだ… なぜ“娘”という立場を前にすると、
 “父親”という立場はどこでもこんなにもか弱くならねばならんのだ……?)
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――口論を止めたのは、以外にも麻切の弟だった。
「いー加減にしろや姉ちゃん、父ちゃん母ちゃんがよ、どんだけ心配したと思ってんだ?」
「心配?」
691あらすじネクタール 2/3:2011/11/04(金) 21:59:57.12 ID:SdD1K7x8
「そう、夕方からTVもラジオもずーっと言ってるもんだから… こっちの街の方もひどいらしいけど――――
 東京はそれこそもう滅茶苦茶で、 全 滅 じゃないかっていう勢いだって…」
――その言葉を耳にした戸隠は衝撃を受け、拳を握りしめた。


台所にてお茶を入れる麻切、声をかける弟。
「なー姉ちゃん あのオッサンさー、姉ちゃんのオトコか?」  ガチャッ!
dでも発言に驚いて火傷する麻切。弟曰く、あんなオッサンがアニキだなんて嫌だそうだ。
「言ったでしょ、あの人は姉ちゃんの会社の課長さんだって」
「ふーん……     要するに小使徒の職場不倫か」
dでも発言パート2にお茶を運びながら思わずコケそうになる麻切。
『ケータイ小説の読み過ぎかあんたは!!』
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そして戸隠はTVで東京の状況を知り青ざめていた。
被害の実態はまだ明らかになっておらず、都内だけでも数千〜一万の死者が出たと言う。
さらに日本全国規模だと、犠牲者は数万人にもなっていると言う……。
麻切父がネズミが人を襲うとは世も末だと嘆いていると、麻切祖母が珍しい事ではないと言う。

「戦争が終わったばかしの頃ぁ、この近在でもしょっちゅう、赤子がネズミにかじられて死んじまったもんだぁ
 南方へゆかれた兵隊さんもな、ケガして船で内地へ戻ってきなさる時――――
 船底で身動きもできんと、何人も何人も… 生きたままネズミに喰われんさったそうじゃ
 アメリカ兵に殺されるより、ネズミに喰われる方が多い島もあったでな…
 ちょっとの間…忘れとっただけじゃ… わしらなんぞ、ネズミ様やなんやの御情けにすがって
 やっとお天道様の下、住まわしてもろうとるだけじゃゆう事…」
するとそこへお茶を持ってきた麻切が時代が違うと否定する。
その証拠にと、ニュースでは緊急対策部隊によるネズミ駆除が始まっていると報道した。
「そりゃ、初めは面喰ってパニクってただろうけど… 相手はしょせんネズミ――――
 人間がちょっとその気になりさえすれば――――」
692あらすじネクタール 3/3:2011/11/04(金) 22:00:10.10 ID:SdD1K7x8
同時刻、東京では避難所に指定された小学校からネズミ駆除を開始していた。
発電機も用意され、照明と暖房が入り体育館に弱った人々、約2000人が収容されていく。
その光景を見ていた華音、龍斗、鬼崎。
「そろそろ―――― 一言くらい、お礼を言って頂けると嬉しいんだけどね ボクとしては
 あとできれば自己紹介とかね ホラ、こっちから女の子の名前聞くのってさ、問題あるでしょ?
 やっぱ教育者としてはね…」
――そういえばお礼も自己紹介もまだだった。遅いお礼と自己紹介をする華音。
「ほら、龍斗!あんたもお礼を言いな!」
…ふと、龍斗は疑問に思っていた事を鬼崎にぶちまける。
もし、鬼崎も一緒に教室に戻って一緒に皆を説得してくれたら、皆助かってたかもしれない。
「確かに…“かもしれない”けど…
 それほどのハイリスクを冒してまで助ける価値が、彼らにあったと本気で思ってるのかな?」

――と、その時。救助された鷹田が現れ、歓声に笑顔を振りまくる     …が、鬼崎と龍斗の生存に驚愕する!
(まずい… 生きてやがったのか、このガキ……!)
鷹田は何か言われる前に、必死に自己弁護の演技を始めた。子供達は勝手に逃げて行った、と。
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すると鬼崎は鷹田の肩に手を置き微笑んで励ました。
「ご自分を責める必要はありませんよ、鷹田先生… よくぞご無事で…」
それだけ言って踵を返した鬼崎を追いかけ、問う龍斗。あれでいいの?
「死人に口なしだ、何があったのかボクらにはわからないし、知る必要もない…
 とりあえず人が一人生き残った、それでいいじゃないか
 いずれにせよ、ボクにも君にも…何の関係もない話だろ?」
あまりにも非情な鬼崎に嫌いだと宣言する龍斗。だが、鬼崎はよかったと自己判断した。
「子供に好かれるって事は、子供と同じ判断を下してるって事だ
 そんな事じゃ、この先… 生きていくのは大変だからね…」

その一方、鷹田は龍斗を睨みつけていた。
(鬼崎はいい、放っときゃ余計な事はしねえ あいつはそういう奴だ…
 だがあのクソガキのオレを見る目、間違いなく何もかも知ってやがる…
 けど悪ィな戸隠、せっかく永らえた命だ てめぇなんぞにこれ以上オレの人生邪魔させやしねぇ!!)
693マロン名無しさん:2011/11/04(金) 23:32:17.49 ID:???
美人が田舎なまり使うとなんか萌えるなw
弟はいくつか知らんが、あれどっちかというとオヤジに言わせる台詞だろww

鷹田はやばいな、龍斗のアナルの危機だ
694マロン名無しさん:2011/11/05(土) 10:16:28.90 ID:???
>小使徒の
何かと思ったが、「上司との」かw

何だ、鷹田生き残ったか
でもいずれ死ぬだろうな〜
ネズミ様というのはまた極端な
695マロン名無しさん:2011/11/05(土) 12:33:39.98 ID:???
ちょうど方言が足りないと思っていた所だったが麻切くんはダベ女だったのか。これは予想できなかった。
696マロン名無しさん:2011/11/05(土) 19:00:42.12 ID:???
娘の前では父親は無力、というのが笑えるw
697マロン名無しさん:2011/11/05(土) 20:35:21.37 ID:???
戸隠が冷や汗かくのもうなづけるなw
ホント、年頃の娘持つと扱いにくいぜ…
698あらすじネクタール 1/3:2011/11/07(月) 21:57:54.57 ID:VmT2t/hq
  第7話『Just Two Of Us』


冒頭、麻切の家で地図を開き、ルート探索をする戸隠。
麻切父はどうしてもいくつもりかと問うと、戸隠は子供の為に一刻も早く戻って探したいと答える。
麻切母がそれならせめて夜が明けてからと勧めるが、行かしてやれと言ったのは麻切弟だった。
「本人が勝手に行きたいゆーてんだから、ガタガタ言わんと好きに行かせりゃえーがや」
麻切は失礼な弟を一喝するが、弟は聞く耳もたずスタコラ行ってしまった。


その後、給油する戸隠に弟の非礼を詫びるが、戸隠は気にしていないようだ。
何しろ、弟にしてみれば見ず知らずのオヤジがいきなり家に押しかけてきたのだ。
そりゃ早く出て行ってほしいと思うのが普通だ。
「じゃやっぱりもう、行かれるんですね?」
「ああ、これ以上ご迷惑もかけられんからね」
「わかりました。じゃ私も急いで支度してきます」
――――ん?? まさか、麻切も一緒に行くつもりなのか?なんで??
「な なんでって、決まってるじゃないですか 私だって仕事ある訳ですから戻らないと…」
しかし戸隠は、この様子では会社も何か月かは休業になるだろうと判断した。
「安全が確認されて鉄道復旧したら戻ってくればいい
 勤務評定だったら心配いらんよ、君が仕事熱心なのはよく知っている」
――この間、戸隠についていきたい麻切は色々と言い訳するが、戸隠はかたくなに許可しなかった。
無事東京に辿り着ける保証も無く、何かあったら家族に何とお詫びすればいいのか…。

『だから! だから… ここで別れちゃったら、次いつ会えるか分からないじゃないですか… だから…」
その様子に鈍感な戸隠も麻切の胸の内を知った。
「すまなかった、麻切君… 今まで気づいてあげられなくて…
 君が―――― そんなにも深い、愛社精神の持ち主だという事…
 だが仕事よりも大切なのは、やはり…」
『もぉいいですッッ!! 課長おひとりでど――――ぞお帰りになって下さい!!』
…前言撤回。恋する乙女の心をわかっちゃいなかった!('A`)
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699あらすじネクタール 2/3:2011/11/07(月) 21:58:11.69 ID:VmT2t/hq
その後、泣きはらした目でTVを見る麻切に、戸隠が出発する事を告げる弟。
見送りに出た麻切家、夜食を渡す麻切母。

「何ボケっとしとんだ、梨沙子?
 早よ、おめが車に乗らねば 課長さん、いつまでたっても出発できなくてお困りでねが?」
――突如そんな事を言いだす祖母に真っ赤になる麻切。
そもそも、この辺に慣れていない戸隠を夜中に放り出すわけにはいかない。道案内が必要だ、と。
「ながびぃたぁ っちゅーやつだ」「ナビゲーターだ、ばあちゃん」
戸隠は反対するが、祖母曰く、ここにいても安全と言う保証はどこにもない。
もちろん祖母の長い人生経験からしてそれだけではない。
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「どーか連れてって、側においてやってくんなせ」

弟にも元気づけられ麻切は車に乗り込む。
「我が家では、おばあちゃんの言葉は絶対です! 出発です!!』
麻切に一喝され、慌ててエンジンをかける戸隠。
車を見送る祖母はつぶやいた。
「やれやれ、ジサマも大概鈍いお人じゃったけど… あの娘も苦労しそうじゃのう…」

車内をピリピリした空気で充満させ、戸隠はため息をつく。
「なんですか、課長?」
「いえ…勝てんのだな、どこまでいっても―――― “娘”には……」


その頃、華音と龍斗は避難民と一緒に視聴覚室でTVを見ていた。
偉い人や学者の対談の中、恐るべき緊急情報が入る。なんと東アジア全域でもネズミの襲撃があったというのだ!
それを見た人々は、脱出するならアメリカかヨーロッパだろうと呑気に考えていた。
そんな折り、華音と龍斗を元気づけようと鬼崎が現れた。
龍斗は目を伏したまま鬼崎と目を合わせようとしない。
「まだ気にしてるのかな?あんな連中の事――――」
それを聞いた龍斗は一人、視聴覚室を出て行ってしまった。
「ハハ… けっこー根に持つタイプだね、彼…」
700あらすじネクタール 3/3:2011/11/07(月) 21:58:24.51 ID:VmT2t/hq
社会科準備室に入った龍斗を追いかけ叱る華音。
「何?あの態度 どーしちゃったのよあんた!
 危ない所助けてもらったんでしょ、命の恩人でしょ?そーゆーキャラだったっけ、あんた?」
すると龍斗は地球儀を回しながら「お父さんはいつ帰ってきてくれるの?」と聞く。
今朝の美人(麻切)を見た華音は、きっと若いおねえちゃんでも必死に守ってるんだろうと答える。
…むしろ、父親よりも鬼崎に惹かれる華音。
「お姉ちゃんの馬鹿!なんにも知らないくせに!」
その一言に華音は激怒、龍斗を放置して視聴覚室に戻る。もう優しい姉はやめだ!

視聴覚室に戻ると、鬼崎が龍斗の事を聞いてきたので、華音は知らないと答える。
「知りません……って、一人で置いてきたって事?」
「え ええ それが何か?」

「ああ―――― 今、ここで…それは… まずいかもしれない…」
――その頃、地球儀でネズミの群れが発生した所を見て何か気づく龍斗。
だが、その背後には龍斗を狙う恐ろしい形相の鷹田が忍び寄っていた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111107213648.jpg       <続く>
701マロン名無しさん:2011/11/07(月) 23:32:26.90 ID:???
龍斗のアナルがぴむち!
ばあちゃん、クリーチャー顔に近いのに珍しく善人だな
702マロン名無しさん:2011/11/08(火) 12:45:51.06 ID:???
ばあちゃん、長い人生で色々見てきたんだろうなあ

龍斗は大人しめな外見で主人公!って感じではないが
どうなるんだろう(狙われている尻が)
703マロン名無しさん:2011/11/08(火) 20:01:14.82 ID:???
君のお尻が 君のアナルが狙われてるぞ
窓を開いて下を見ろ 迫るネズミの超大群
迎え撃て 華音と龍斗
704あらすじネクタール 1/3:2011/11/10(木) 21:08:00.49 ID:uTm2N3Qd
  第8話『オニギリ』


地球儀を見て何かに気付いた龍斗。
東京…ソウル…平壌…上海…台北…マニラ…北京… これは東京から順に夜になっている所だ!
ふと、龍斗は足音を聞き、姉かと思い振り向くと―― そこには鷹田が龍斗を見下ろしていた。
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一方、華音は鬼崎に何がマズいのか説明を聞いていた。
ネズミの事ではない。今、学校の中には大勢の避難民がいる。どんな人がいるかわからない。
その上、皆普通の状態ではない―――― そう説明した。
華音はあんな生意気な弟は放っとけばいいと言いながらも、2人は社会科準備室に到着する。
…だが、準備室の中はもぬけの空だった。さっきまでここにいたのに…?
「……遅かったか……」

同時刻、龍斗は屋上に連れられていた。
「あの…先生… 何ですか、話って…」
「戸隠… おめぇよ、オレの事嫌いだろ? ゴマかすな、わーってんだよ
 まぁ―――― 無理もねぇやな おめぇにゃ随分きつく当たったし、色々やな事も言ったろーしよ…
 けどな、これだけは覚えとけ戸隠… おめぇはおれの可愛い可愛い生徒なんだぜ」
鷹田は似合わない不気味な笑顔を作り、腹は減ってないかと聞く。
「配給を…もらいました おにぎり2個…」
「そんなもんじゃ足んねぇだろ?なんたって育ち盛りだ… さぁ、喰ってくれ戸隠…」
鷹田はポケットから自分の分のおにぎりを取り出し差し出した。

その頃、華音は校舎内を走り回り龍斗を必死に探すが、鬼崎はそれを止める。
「危ないんだ、ここじゃ… 人はね、不安になればなるほど集団で「日常」を演じようとする…
 お互いの「日常」を確認しあう事で安心しようとするんだ
 今ここにいる人達も、何の危機感もなく能天気にしているように見えても、
 実際には全員恐怖とストレスに押しつぶされそうになっているんだよ――――
 もし、ここで誰かが「日常」を破るような行動を起こせば…
 待っているのは爆発的な集団ヒステリーの感染だ――――」
705あらすじネクタール 2/3:2011/11/10(木) 21:08:14.63 ID:uTm2N3Qd
同時にラジオでソウル等がネズミによる被害で飼何時的な打撃を受けたと発表する。
それを聞いたネズミ男顔の若者は世界中に逃げる所がなくなると冗談をかます。
他の避難民も口々に逃げる必要はない、日本は安全だと気楽に構えるが……

「いいですな…素人さんはお気楽で…
 うちはオヤジの代から駆除業をやってきましたがね、うちらの業界じゃ常識なんですよ
 シロアリやゴキブリは駆除できても、ネズミは絶対駆除できないって…」
突如口をはさんだ老人に若者はいきり立つが、笑顔の中年男がそれをなだめる。
プロの意見はもっともだが、しかし現に今ネズミは1匹残らず影も形も無い。それでも駆除できないというのか?
「追っ払っただけなら“駆除した”とは言わんでしょ?」
ネズミは虫とは違う。少し位殺鼠剤を浴びてもすぐには死なず、危険を感じれば別の場所へ移動するだけ。
――むしろ今はネズミは減ったどころか、たらふく喰ってどこかに潜伏してしまった。
「メスは2週間もすればボロボロ子供を産む… その子供がまた2週間もすれば、人間を襲う位に成長する…
 あとひと月もすれば―――― 何倍にも膨れ上がって帰ってきますわ そうなったら、もう…」

『黙れェェ! 黙れ黙れ、負け犬がぁ!!』
――なんと中年男がブチ切れ、イスで老人の頭を殴りつけた!!
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騒ぎを聞きつけ自衛隊員が駆けつけるが、子供の毛布を奪うなど、視聴覚室の秩序は崩壊し出した。
それを廊下で見ていた華音と鬼崎。
「わかったかい…? いっぱいいっぱいなんだよ、本当はみんな…
 このありさまじゃ、ネズミの逆襲を待つまでもないかもな…」
「月並みですね… 一番怖いのは人間なんて…」
――その時鬼崎は気づいた。もしかしたら鷹田と龍斗は人間が一人もいない場所にいるかも…!


 ―屋上―
遠慮なく食ってくれとおにぎりを差し出す鷹田、遠慮する龍斗。
「オレはいいんだ、オッサンだしよ 食欲もねぇしな…」
――食欲が無いのも無理もない。このおにぎりは…  殺 鼠 剤 がたっぷり入っているのだ!!
(誰かが仕掛けたネズミ用の罠を、腹を空かせたバカなガキが拾い喰い…それで話は通る!
 このドサクサだ、誰もそれ以上つっこみゃしねぇさ…)
706あらすじネクタール 3/3:2011/11/10(木) 21:08:30.68 ID:uTm2N3Qd
「い… いりま…せん…」  ――その一言にブチ切れる鷹田。
「オレも…死ねば満足だったのか? オレ一人生き残った事が…そんなに許せねぇか?
 どうすりゃよかったんだ、えぇ!? あん時できたのはオレ一人生き残るか全員死ぬかだったんだぞ!!
 死にやよかったのか、ああ! あそこで全員死んでりゃお前は満足だったのか!!
 ――あいつらは全員死んじまった… お前は奇跡的に生き残った、たった一人のオレの大事な生徒なんだよ…
 こいつは一人も助けられなかったオレのせめてもの償いなんだ… 頼む戸隠… 喰ってくれ…」
怒鳴りつけ、今度は涙目で一人芝居を続ける鷹田。
ついに龍斗はおにぎりに手を伸ばし、口に運ぶ―――…。

――ふと、鷹田の後ろの光景が奇妙な事に気付く。ビルの上に…… うごめく黒い影??
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鷹田が気にしないで喰えと勧めた時、屋上のドアが開き華音達が飛び込んできた!
鬼崎は龍斗が手にしたおにぎりを摘み上げ、鷹田を一睨みすると…… おにぎりを鷹田に返した。
「生徒に対する愛情は理解できますがね、鷹田先生 それを不公平だと非難する輩もおります
 こういう行動は慎んだ方がいいでしょう」
「あ ああ… そ そうですな…(この野郎…)」
華音は龍斗を叱りつけるが、龍斗はそれよりも外を見てと叫ぶ。
――――学校は四方八方を黒い影に包囲されていたのだ!

「な… 何…コレ…?」
「やられた… この地域の住民全員がここに避難してるという事は…
 もはやここにしか“エサはいない”という事…
 この地域…全部のネズミがここへ押し寄せるなら、とても防ぎようがない…」
――黒い影の正体はネズミの群れだった。                              <続く>
707マロン名無しさん:2011/11/11(金) 14:56:42.66 ID:???
一応自衛隊がいるけど…こりゃ最終回近いかな。逃げ場ないじゃん!
708マロン名無しさん:2011/11/11(金) 17:40:44.70 ID:???
いまいちどこに向かってるか分からん作品だな。この事態は龍斗くん一家にどうこう出来る問題なのか。
それともネズミはギミックに過ぎず、あくまで人間たちの集団パニックから逃げ延びるのが主題なのか。
709あらすじネクタール 1/3:2011/11/12(土) 21:58:15.81 ID:AwvQtf6o
  第9話『防衛線』


冒頭、街を覆い尽くす黒い影に気付く避難民と自衛隊。
黒い影――― ネズミの群れはもう学校のすぐ側まで迫っていた!
鷹田は早く逃げようと言うが、どこに逃げようと言うのか。こうなったらもうどこにも逃げ場はない…!
「どうなるの…?これから…」
「人間と言う種族の驕りが、野生の脅威の前にどこまで持ちこたえられるか…試される事になるだろうね…」


その頃、職員室では警察・自衛隊が揃って作戦会議を開いていた。
指揮官は若き女性自衛官・早瀬軍曹に現場の指揮を命じるが、救急隊や警察は反対する。
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『自衛官が現場の指揮だと!? それじゃ文民統制(シビリアンコントロール)の原則は…!』
だが、今は非常事態だ。早瀬はこの件が解決したら、懲戒でも国会審問でも受けると言う。
「とりあえず今は生き延びる事を最優先に――――」

その後、自衛隊は避難民を体育館から校舎へ移動させ、フェンス際にガソリンを撒く。
火炎放射器隊を配置させ、ネズミが侵入したのを見計らい―――― 点火!!
校舎の中の避難民は歓声を上げるが、屋上から見ていた龍斗達は気付いた。
「と… 止まらない……!」
「止まれないんだ… 例え先頭のネズミが止まろうとしても、
 後ろから押し寄せる群れの圧力が止まらせてくれない… 自分達の肉体で炎を踏み消していく…」

自衛隊は火炎放射と殺鼠剤で迎え撃つが、多勢に無勢。あっさりと防衛線を突破されてしまう!
『退け!退けぇっ!燐化亜鉛ラインの後方まで退却!! 強毒性の粉だ、舞い上がった粉塵に注意しろ!!』
早瀬の号令の元、自衛隊は後退するが転んだ隊員がネズミに喰われてしまった!

5分も持たず突破され、避難民は絶望視する。
次第に避難民は屋上へ逃げろと叫び、その叫びは屋上にいた鷹田も聞いていた。
すると鷹田は慌てて扉を押さえ、3人に一緒に押さえろと叫ぶ。
710あらすじネクタール 2/3:2011/11/12(土) 21:58:39.99 ID:AwvQtf6o
一方、ネズミの群れは…燐化亜鉛で死んだ仲間の死体を踏み越え、なお進んできていた!
そして避難民は大勢が狭い階段につめかけ、将棋倒しになっていた。


 ―屋上―
パニックになる鷹田を落ち着かせようとする龍斗と鬼崎。
どの道ネズミは壁伝いに上がってくるし、大勢の力を4人で押さえられる訳でもない。
むしろそんな事をしたら4人は袋叩きにあってしまう…!

「だけど…変じゃない? これだけたって…まだ誰一人上がってこないなんて…」
――それもそのはず、階段の途中で将棋倒しになりつかえていたのだ。
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ならば外の非常階段を使おうと後ろの人達は戻ろうとするが、もはや退路は侵入したネズミに塞がれていた!


 ―職員室―
救護ヘリがまだ来ない事にイラつく指揮官。同様の事態があちこちで起こり、とても対処が間に合わないのだ。
するとネズミに左半身を喰われながらも、一人の男が校舎内でネズミが発生した事を伝えに来た。
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 ―屋上―
賢い鬼崎はなぜ人が来ないかすぐわかった。恐らく将棋倒しになって詰まったのだろうと。
それを聞いた鷹田は自分の事を棚に上げ、悪態をつく。
「へっ、ザマみやがれ!てめぇだけ助かろうなんて浅ましい了見してっからだよ!」
…だが、これで龍斗達4にんも逃げ場が無くなってしまったのだ。


 ―校庭―
懸命に火炎放射を続けるが、ネズミの数は一向に減らない。
早瀬は一旦校舎内に退避しろと命令するが、校舎内にもすでにネズミが侵入、地獄絵図となっていた!
711あらすじネクタール 3/3:2011/11/12(土) 21:59:02.00 ID:AwvQtf6o
その地獄絵図を屋上から見る鬼崎達。
「仲間の死体を踏み越え、障害を乗り越えてきたネズミと、
 自らの屍で自らの退路を絶ってしまった我々人類――――
 どちらが下等なケダモノで―――― どちらが万物の霊長なんだろうな――――」
                                                       <続く>
712マロン名無しさん:2011/11/12(土) 23:02:44.03 ID:???
早瀬はこれからレギュラーになる新キャラか?その割にはコマが小さいのが気になるな
将棋倒しになる人々また出たか。この辺リアルなんで怖ぇ…

>するとネズミに左半身を喰われながらも、一人の男が校舎内でネズミが発生した事を伝えに来た。
ヒィィィ!((((((((;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル
713マロン名無しさん:2011/11/13(日) 08:35:45.59 ID:???
食われながら報告に来る根性は凄いけど、このせいで指令室は全滅っぽいなぁ
714マロン名無しさん:2011/11/13(日) 12:17:04.55 ID:???
遅かれ早かれ全滅は必至だったからそう言ってやるなよ…
715マロン名無しさん:2011/11/14(月) 10:15:59.82 ID:???
女軍人ってかっこイイ!
悲惨なことにならなければいいが…

仲間の死体を越えてくるネズミに王蟲の進行を思い出した
716あらすじネクタール 1/3:2011/11/14(月) 21:57:52.34 ID:NnSDAS+N
  第10話『箱舟』


次々に仲間が喰われていくのを見て弱音を吐く自衛官達。進退窮まり、早瀬は屋上へ向かえと叫ぶ。
――その頃、視聴覚室は生きながら少しずつ体をネズミに喰われる人々がいた。
そしてノイズ混じりのTVが映した映像もまた、血みどろのスタジオだった…。
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 ―屋上―
なかなかネズミが上がってこない事を不審に思う華音。
それは今はまだ、下にたっぷり“エサ”があるから…。
だがそれも時間の問題だ。そのエサを喰い尽くせば、奴らは必ずここまで上がってくる…!
「く 喰い尽くせば…って、オイ!3000人近く人間がいたんだぞ! そんだけ喰やもう充分だろうが!!」
鷹田は叫ぶが、彼はネズミを甘く見ている。
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――と、その時背後から悲鳴が上がる。振り返ると、早瀬達自衛隊の生き残りだった。
『落ち着けバカモン!生存者だ!』
互いに生存者を確認する一行。自衛隊200人は今はもうこの3人だけという有様だった。
それを聞いた鷹田は役立たずと罵るが、早瀬は反論せずその場に座り込む。

「まったくな… 妄想まがいの戦争ごっこに備えて、いっちょ前に人殺しの訓練だけはやってきたが…
 いざ実戦となると、ネズミ相手に手も足も出ないとはね…
 救助は来ない―――― ネズミに襲われてる避難所はここだけじゃない…
 恐らく日本中全ての避難所が襲撃の真っ最中だ… そして屋上にも…いずれ確実にやってくる…
 相手の戦力を過小評価して、結果壊滅… この国は前の戦争から何も学んじゃいないな…」
そしてまたふざけんなと暴言を吐く鷹田。
『お前らオレらを守るのが仕事だろぉが!! 高ぇ税金ボッタくりやがって、なんだその言い草ァ!
 この税金ドロボーが!!』
隊員2人は反論する。守るのは国であって国民ではない!
717あらすじネクタール 2/3:2011/11/14(月) 21:58:11.30 ID:NnSDAS+N
「ち ちくしょう…お前らも戦ってみろ…
 燃やしても燃やしても… 殺しても殺しても、あとからあとから湧いて出るんだぞ!!
 め 目の前で仲間が生きたまま喰われてくんだ…お前らにわかるか!?
 どうやって戦えってんだ、あんな奴らと!!』
涙目で訴える隊員をやめろと一喝する早瀬。…もう、本当に助かる方法は無いのか…?
「ムリだね、ソドムとゴモラだか、ノアの大洪水だか… 神さんはもう人間なんざいらねぇってさ…
 なんならあんたら、鋼鉄の箱舟でも作ってくれよ… そん中に閉じこもりでもしなきゃ、あいつらには…」

――“ 鉄 の 箱 ”……。それならある!
隊員の訴えで閃いた全員の視線が集中した先は―――― 貯 水 槽 だった!


同時刻、車で移動中の戸隠と麻切だったが、ノイズばかりで一向に情報が無い事に苛立つ戸隠。
山間部に入ったから電波の受信状態が悪いのか?
「各地の避難所で何らかの異変があったのは確かなんだ…
 だが、その後何一つ情報が入ってこない… ラジオ放送ですらままならん自体だとでもいうのか…」

――と、その時背後から暴走族が追ってきた!
「ハイ、そこの車そこの車 左に寄せてパンツ下ろしなさい♥』
暴走族は若い女が乗っているのを見ると、下卑た言葉を浴びせながらバットでフロントガラスにヒビを入れる!
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『ねぇねぇオジサマぁ ムシしちゃやぁよぉ♥』
『ネズミにかじられる前にボクにもかじらせてぇ!』
『一人はみんなの為に、一人の女はみんなの為にってゆーでしょォ!』
戸隠は加速し、連中を振り切ろうとすると―――― 前方に黒い竜巻のような物が現れ、戸隠達に襲い掛かった!
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718あらすじネクタール 3/3:2011/11/14(月) 21:58:27.07 ID:NnSDAS+N
 ―屋上―
早瀬は拳銃で貯水槽の壁に穴を開け水抜きをしていた。あとは中に入って夜明けを待つのみ。
恐らくネズミ達は夜が明けて食べ物が見当たらなければ、きっとどこかへ移動するだろう。
「で… でも、その開けちゃった穴はどうするの?」
龍斗の問いに早瀬は微笑むと上着を脱犠打した。
「こいつさ、陸自特務舞台装備の装甲(アーマード)ベスト!
 中にプロテクターが仕込んである上に、腰には89式のマガジンが装着されている…
 こいつを水で濡らして穴につめこむんだ
 いくらネズミどもも、まさかこれをエサとは判断しないだろう」
――しかし、こんなんで本当に大丈夫なのだろうか?そこまではネズミに聞かないと分からない。
「とりあえず、一番の問題は… この水が抜けるのが間に合うか…って事ですね……」
鬼崎の心配はすぐ現実となった。見張りをしていた隊員がネズミ襲来を叫んだ!
早瀬は先に民間人を貯水槽に上らせるが、鷹田は水だからと言って嫌がる。
『ネズミに比べればマシでしょう! ――ただし鷹田先生、例のオニギリは捨ててって下さいよ
 妙なモノが水に溶け出しちゃかなわない」
小声でそっとつぶやく鬼崎。――――やはりあれが毒オニギリだと知っていたのだ!

全員が貯水槽に飛び込み、最後に鬼崎が蓋を閉める。――間一髪、間に合った!
…だが、それだけでは終わらない。
季節は2月下旬、夜11時47分―――― 気温摂氏4度… 夜明けまで7時間―――
                                                       <続く>
719マロン名無しさん:2011/11/14(月) 23:56:27.16 ID:???
早くも生存者全滅か…それもここだけじゃなく全国規模らしいし。
貯水槽に逃げ込んでも、冬の寒さで一晩越せるか?

>「ハイ、そこの車そこの車 左に寄せてパンツ下ろしなさい』
不覚にもフイタw
しかしあの黒い竜巻はなんぞ?
720マロン名無しさん:2011/11/15(火) 03:30:26.92 ID:???
お姉さんいい人だし生きててよかった…共闘するレギュラーなのかな?それよりクリーチャー抹殺しといたほうがいいんじゃねーのかなあ、生かしといてもまた騒動の種だろうに
721マロン名無しさん:2011/11/15(火) 12:17:29.97 ID:???
クリーチャーにはむごたらしく死ぬという重要な役割がありますので…
722マロン名無しさん:2011/11/15(火) 12:20:40.34 ID:???
ネズミへの対抗手段が全然ないなあ……
戸隠たちが来てもどうしようもないんじゃ
723マロン名無しさん:2011/11/15(火) 15:49:54.74 ID:???
「滅びの笛」でも一応対抗手段はあったけど、通常のネズミとは違うんで一向に役に立たなかったな。
最終回は例えば南極とかに逃げるか、人類滅亡のラストしか予想できん
724マロン名無しさん:2011/11/15(火) 16:04:25.76 ID:???
>通常のネズミとは違う
どういう事?
725マロン名無しさん:2011/11/15(火) 17:41:46.51 ID:???
女性科学者がネズミ撃退用の超音波装置(だったかな)を開発、
普通のネズミに対しては効果があったが、群れで襲うネズミはある意味バーサーカー状態で効き目が無かった
726マロン名無しさん:2011/11/15(火) 19:04:12.22 ID:???
貯水槽の中に入っても一時しのぎに過ぎないよな
希望が見えない……
727マロン名無しさん:2011/11/16(水) 00:10:30.35 ID:???
猫いらず貰ってアルジャーノンだけ叩くんだろ
728マロン名無しさん:2011/11/16(水) 02:08:10.37 ID:???
アルジャーノン?
729あらすじネクタール 1/3:2011/11/16(水) 21:59:34.27 ID:8QnStDnm
  第11話『体温』
扉絵:ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111116213411.jpg


穴にベストを詰め込む早瀬。現在時間、0時5分…。
8時を目標にして、あとはここでおとなしくまてばいいだけの話だ   …との事だが。
ずぶぬれで冬の夜の寒さの中、8時間も待つのかと震える隊員。
鷹田は火炎放射器で暖を取ろうと提案するが、かさばる為外に置いてきたのだった。
鷹田は戸隠に何か燃やす物は無いかと聞く。鷹田はライターを持っているのだ。
しかし龍斗はダメだと止める。こんな狭い中で火を燃やしたら、あっという間に二酸化炭素中毒になる!
「確かに火を起こさないとしても、この密閉された空間じゃ酸欠を起こすのも時間の問題だな…」
『ふ ふざけんなオイ!助かるっつーからズブ濡れんなってまで飛び込んだんだろが!!』
『ど どーすんだよ!冗談じゃねぇぞ、そんな死に方ァ!!』
まくしたてる鷹田と隊員に業を煮やしたのか、早瀬は――――

「そうだな―――― この狭い空間に7人もいたのでは… こうするより他に方法はあるまい…」
――おもむろに銃を抜きこちらに向けると、夜空に銃声が響き渡った!


 ―同時刻、黒い竜巻に襲われた戸隠達―
「麻切君… 窓は―――― 全部閉まってるだろうな?信じ難い話だが、あれは――――“ 蚊 柱 ”だ…」
黒い竜巻…蚊柱に突っ込む車と暴走族。
無数の蚊は暴走族の口と鼻をふさぎ、あっという間に窒息死させてしまう!
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戸隠達はかろうじて蚊柱から脱出し、あんな恐ろしい蚊柱は見た事が無いと冷や汗をかく。
「で…でも助かりましたよね、私達的には ほら、あの人達にからまれて実際ピンチだったし…
 なにしろネズミと違って蚊ですもん… 蚊ですから…あの人達だって、まさか死ぬような事には…」
そんな麻切に、戸隠は蚊の大群の恐ろしさを語る。実際、旧ソビエト時代、そういう刑罰があったのだ。
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だが、一つ分かった。我々人間に牙を剥いてくる自然は…ネズミだけではなかったという事だ。
730あらすじネクタール 2/3:2011/11/16(水) 21:59:51.10 ID:8QnStDnm
 ―貯水槽―
早瀬の撃った銃弾はうるさい男共を始末するのではなく、空気穴を開ける為だったのだ。
とりあえず酸欠の心配はなくなったが、今度は龍斗がぐったりして気を失っている?!
「低体温症だな…このままでは危険だ…」
症状を診る鬼崎、子供だからって甘ったれていると愚痴る野郎共だったが、早瀬に一喝される。
「お前らの半分もない体重で文句ひとつ言わずに耐えてんだ、お前ら余暇よっぽど骨があんだろ!」
華音はどうすればいいのかと聞くと、結論から言えば…「 裸 で 抱 き 合 う 」しかない。
「やります、それで龍斗が助かるんなら…」
華音は上着を脱ぐと、透けたYシャツに鼻の下を伸ばす隊員。

「私も付き合おう まぁ言っても子供2人の体温じゃ、この寒さ共倒れになりかねんからな」
なんとここで早瀬も協力を申し出る。自分も濡れた軍服にはうんざりだったからだ。
それを聞いた鷹田達は自分も温めてくれと鼻の下を伸ばしながら懇願するが、早瀬は銃を突きつける。
「あっちを向いてろ、一瞬でもこっちを見たら即殺する!」
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――さて、男連中は背を向けながらも龍斗に殺意を向ける。あいつばかりいい目にあいやがって…!
「寒いようならそっちはそっちでやってみたらどーだ?男4人もいれば相当暑苦しくなれるだろ?」
早瀬の提案に鬼崎は一つやってみますかと微笑むが、鷹田達はふざけんなと大反対!

一方、華音は早瀬にごめんなさいと謝るが、早瀬は華音の頭を優しくなでる。
「お前はいいお姉ちゃんだな、周りの大人に気を使って、その子をよく守って――――
 けどな―――― お前だって子供なんだ、こんな時ぐらいもう少し甘えろ―――」
――その言葉に、華音は母親の事を思い出し涙を流した。
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731あらすじネクタール 3/3:2011/11/16(水) 22:00:08.03 ID:8QnStDnm
…そして恐怖の夜が明けた。
貯水槽から出ると、襲ってはこないが無数のカラスが屋上にいた。

「逃げ遅れた奴や、仲間に踏みつぶされたネズミの死骸を…カラス達がむさぼる…
 今となってはこんな当たり前の自然の営みがまぶしいな…」
「確かに… この営みが繰り広げられる光景の中には―――― 人間の居場所なんてないのかもしれない…」

羽ばたくカラスを見つめ、鬼崎と華音はそうつぶやいた。                    <続く>
732マロン名無しさん:2011/11/16(水) 22:45:12.69 ID:???
おっぱい!おっぱい!
…だけど先生、せっかくの青年誌なんだから乳首描いて下さいよ…
プレイコミックは昔エロいのが多かったから余計残念だ。

今回でネズミパニックだけじゃないという事が判明したな。
カラスはどうかわからないが、他の生物も群れを成して襲ってくるという事か?
733マロン名無しさん:2011/11/17(木) 08:52:08.51 ID:???
うひょー女体いいねえ!
しかし今回はネズミパニックじゃないのか
自然界の生き物が襲ってくるのかな……
734マロン名無しさん:2011/11/17(木) 17:40:37.72 ID:???
「頼りになる良い人は最後に死ぬ」の法則があるから早瀬さんも危ないな
735マロン名無しさん:2011/11/17(木) 18:09:59.06 ID:???
頼むからゴキの大群だけはやめてくれよ…
恐怖新聞や蓮華伝説アスラのトラウマを思い出す
736マロン名無しさん:2011/11/18(金) 08:48:02.20 ID:???
クモの大群だけは勘弁してください
737あらすじネクタール 3/3:2011/11/18(金) 21:58:13.08 ID:pBwaQMFE
  第12話『お宅探訪』


冒頭、一夜を明かした戸隠は、エンストした車の原因を調べていた。
原因は…あの蚊の大群だった。蚊の死骸がラジエーターグリルから吸気口までぎっしり詰まっていたのだ!
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これではエンジンがイカれるのも無理もないが、この状態で朝までよくもってくれたものだ。
「いずれにせよ、これで…“足”はなくなったわけだ」

戸隠は山間部を見ていい眺めだと呟くが、何かおかしい。
麻切にこの辺はこの季節、毎年こんななのかと問うと、本来なら雪に覆われ真っ白になっているはずだ。
「するとこの美しい景色も、あのネズミや蚊の大群と同じ… 我々人類の愚行の賜物って訳だな
 ――ここまでか… 車無しではとても1日で山間部を超える事はできん
 昨夜の蚊といい、山の中ではどんな生物が異常繁殖しているかわからん
 夜になれば―――― “何か”が我々を襲うだろう
 君には申し訳ない事をしたと思ってる、麻切君… 君のご家族にも…」

「私―――― そんな事謝ってもらいたがるほど、バカな女って思われてんですか?
 確かに私おバカですけど、自分で勝手についてきた事位わかってるつもりです
 私が今聞きたいのはそんな言葉じゃありません
 お子さん達のためだったら、這ってでも東京へ帰る!なんでそーゆーの聞かせてくれないんですか?」
諦めかけていた戸隠を一喝する麻切。
とはいえ、車が無いのでは…ならば、歩くしかない。こんな山の中でも民家はある!そこで車を借りるのだ。
「ム 無理だ! もし逃げ延びようとすれば車は絶対必要になる
 こんな状況で見ず知らずの人間に車を貸してくれるはずがない!」
「それでも!歩いた分だけは東京に近づけます!」
――やれやれ。やはり父親は娘にはかなわないのだな。


…一方、意識を取り戻した龍斗はオッサンズからセクハラ質問攻めにあっていた。
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すると早瀬がオッサンズを咎めつつ、大量のミルクセーキを持ってきてたき火で温め始めた。
738あらすじネクタール 2/3:2011/11/18(金) 21:58:37.97 ID:pBwaQMFE
「いや―――― 表にあった自販機思い切り蹴飛ばしたら、いっくらでもジャラジャラ出てきてな」
そんな早瀬のふくよかな胸をチラ見する龍斗。
「どーした少年?」

そして鬼崎が燃やせそうな紙類、華音が毛布とシーツを運んできた。
「あ、そうそう 鷹田先生 被害者の方々が身に着けてた貴金属類がね、そこら中に散らばってるんですよ
 今だったら拾い放題なんですけど――――」
それを聞いたオッサンズは目の色を変え、鼻の穴を広げ火事場泥棒すべく突っ走っていった。

早瀬は紙を火にくべながら不審に思う。なぜネズミはこういうかじられそうな物をかじっていないのか?
「ネズミ達が―――― 人間の味を覚えてしまったという事でしょう
 他の物には目もくれず、まっしぐらに人間を目指す その分、人間に対しては見事なもんだ
 校内中探しても―――― 骨のひとかけらも残しちゃいない――――…」


同時刻、戸隠達は車のある民家に辿り着いていた。
「ダメ元で頼んでみるか」
「ウチの父親みたいに、いきなり猟銃突きつけるような人でなきゃいいんですけど」
「それは…笑えんな…」 先程の件で青くなる戸隠。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111118213514.jpg

ごめんくださいとドアを開けると、鍵が開いたまま留守のようだ。
履物もあるし、電気もつけっぱなしでとても留守には見えない。
やむなく麻切は勝手に上がり住人を探そうとするが、戸隠はそれはまずいと止める。
「ここは諦めて、次のお宅へ…」
「次のお宅…って、わかってんですか課長?この山ん中で歩きなんですよ私達
 次のお宅なんて、あと何時間後に辿り着ける事やら…
 厚かましいのはわかってますけど、そんな事言ってる場合じゃないんです!」

声をかけながら家の中を進むと、居間に誰かがもたれかかっているのが見えた。
「なんだ、いるんじゃないですかやっぱり すいません、おじゃまして・・・・・・」
739あらすじネクタール 3/3:2011/11/18(金) 21:58:56.93 ID:pBwaQMFE
麻切は小走りに駆け寄り、居間に入ると… そこにあったのは、服を着たままの 白 骨 死 体 !!
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悲鳴と共に死体が崩れ落ち、よく見ると子供と奥さんの白骨死体まであった。
(ネズミ…なのか…? 都市部でもないこんな山間部まで…?)

麻切を家から連れ出し落ち着かせる戸隠。あれもネズミの仕業なのか…?
ともあれ、戸隠は車の鍵を見つけ拝借していた。もう本来の持ち主には必要ないだろう。
車を調達できた戸隠は、相変わらずラジオが入らず情報が不明のまま車を走らせた。


やがて次の家が見えてきたので、一旦車を止めTVを見せてもらおうと戸隠は降りようとする。
すると麻切の側のガラスに男がガラスに寄り、乗せてくれと懇願する。
麻切はドアを開けようとすると、異変に気付いた戸隠が止める。

――――男の皮膚にミミズのような腫物がいくつも出来、男は苦しみ始めた!
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男に目を奪われる麻切、戸隠は周りを見ると、家の中から黒い絨毯のような物が這い出てくるのが見えた。
                                                           <続く>
740マロン名無しさん:2011/11/18(金) 23:18:03.06 ID:???
白骨死体((((((((;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル
その数ページ前でこの作品のネズミは骨まで残さず食うってあるから、
あの黒い絨毯は…ムカデ?
男の皮膚に入り込んでいるのもそんな感じだし。

ところで赤くなっている龍斗に不覚にも萌えてしまったw
741マロン名無しさん:2011/11/19(土) 21:15:02.35 ID:???
骨も残さずって言ったそばから白骨死体ってのはあからさまな伏線だよなぁ
742あらすじネクタール 1/3:2011/11/20(日) 22:13:58.91 ID:X/ySxHc0
  第13話『黒い絨毯』


車の横で顔を押さえ絶叫する男、そして家からザザザと出てくる黒い絨毯の様な物…。
あれは一体何なのかと不審に思っていると、より顔を貼らした男がガラスにへばりついた!
『タ…タスケ…タスケテ ノセテ ハヤク…ハヤク…!』
思わずドアを開けようとする麻切を戸隠が止め、地面を見てみろと言う。
そこには、あの地を這う黒い絨毯の様なものが辺り一面に広がり、男の体によじ登っていた。

――――黒い絨毯の正体…、それは無数の“ 蟻 ”だった!
やがて無数の蟻が男の皮膚を食い破って現れ、男はひときわ大きな断末魔を上げた!
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戸隠は車を急発進させ、急いでその場を離れる。ああなったらもう病院に連れて行っても無理だ!
しかし国道に出ると、蟻の群れがあちこちからザワザワと這い出ているのが見えた…。
戸隠は舌打ちすると車を発進させる。
『課長… 相手はネズミじゃないんですよ!蟻なんです!助けられない事は…!』

「そうだ、ネズミじゃない蟻だ… ネズミよりははるかに小さい…
 蟻にしてみれば、車の運転席などスキマだらけだ
 もし停まっていたら… 走り続けていなければ、たちまち車内に入り込んでくる…」
「課長… まさか、さっき見つけた白骨死体… アレ…蟻の仕業だと思ってるんじゃないでしょうね…
 バ…バッカみたい、ネズミ 蚊ときてとうとうアリンコですか?
 ぐ…軍隊アリじゃあるまいし、フツーの日本の黒アリじゃないですか?
 走ったって人間の方が断然早い… いくら数いたってあんなアリンコにどうやったら人間が殺せるんですか?」
「君の若さじゃ―― 蟻に咬まれた経験はないか…」
「あ ありますよ、田舎育ちですから 子供の頃は何度も…」
「どうだった?」
「どう…って、そりゃ…」
743あらすじネクタール 1/3:2011/11/20(日) 22:15:22.25 ID:X/ySxHc0
「そう… あんなちっぽけなクセに咬まれれば子供なら泣き出しそうな程に痛い…
 そしてただれたような咬み痕がしばらく残る… あいつらは蟻酸と言う強力な酸を持っているからだ
 体質にもよるだろうが―― もしも千匹の蟻に同時に咬まれたら…?
 例えば寝ている間、TVを見てくつろいでいる間、気づかない内に押し包まれ一気に襲われたら…
 激痛と多量の酸によるショックで一時的に運動機能がマヒする、人によっては命にもかかわるだろう
 龍斗―― 息子に聞いた話だが、アフリカの象やライオンでさえ大量の蟻にたかられる事は激しく嫌うそうだ
 それに比べれば人間の皮膚は柔らかい、とりついてしまえば蟻達はやすやすと食い破って体内に潜り込む…
 血管を食い破る―― 神経を噛み千切る―― 人間を内部から破壊する方法はいくらでもある…」

「どんだけか弱いんですか…人間って…」
「生物学的には…多分、最弱だろうな… だが今回は人間ばかりでもなさそうだ…」
ふと、外に目をやると白骨化した牛の死体が転がっていた。
「ここいら一帯はどうやらもう蟻の天下みたいだな 都市部ではネズミ、地方へ来れば蟻…
 これが神の仕業なら… 本気で我々を根絶やしにするつもりらしい…」
――ふと、麻切は家族がどうなったのか気になった。
戸隠は戻ってもよかったが、麻切はもう家族の死を覚悟していた。
「実家にも車はありますし… それでもし逃げ出せてないようだったら、どのみち手遅れですよね…」
「せめてラジオが何か…教えてくれればいいんだが――――」
「…いいんです、それより… 音楽でもかけながら行きましょう…」


同時刻、小学校では短波放送のラジオが聞こえていた事に騒いでいた。その内容は――――
「本日日没より東京23区周辺の市街地に殺鼠剤の空中散布を行うので住民は郊外へ退避せよ」との事だった。
…なんという具体性のない指示だ。しかしこれで鬼崎達の計画は変更せざるを得なくなった。
「当初の計画ではあの貯水槽に立てこもって何日か夜をやりすごし、
 エサを無くしたネズミ達が餓えてどこかへ移動するか自滅するのを待つというものでしたが…」
744あらすじネクタール 3/3:2011/11/20(日) 22:15:37.51 ID:X/ySxHc0
鷹田は殺鼠剤が降ってくる間閉じこもればいいのかと考えるが、そうもいかない。
地下街や地下鉄・下水道にまで及ぶ殺鼠剤の量は人間もただではすまない。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111120215016.jpg
――日没まであと4時間弱。一行は郊外へ脱出する事になった。



一方、戸隠達は宇都宮に到着していた……が、何かおかしい。
これだけの年なら立派な避難所があり、生存者に何か教えてもらえると思ったのだが…。
しかし麻切は会いたくないと言う。何しろ今まで会った人間はすでに暴徒と化していたから。
――と、思ったら前方を生存者が横切った。…しかし、全員異常に疲労した顔つきなのが気になった。
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そして早瀬は部下に命じ、駐車場で走れそうな車を探していた。
そんな時、突然龍斗が華音の手を引き家に戻ろうと言いだした。
「お父さんに書置きしとかなくちゃ
 このままボク達が逃げちゃったらさ、お父さん帰ってきてもボク達見つけられないしさ
 お父さん、知らずに殺鼠剤浴びちゃうかもしれない…ちゃんと伝言書いておかなきゃ」
「あ…あのね、龍斗 わかってんのあんた時間ないんだよ?車が見つかったらすぐ出発するんだから」
「だからみんなが車探してるうちに戻んなきゃ お父さんが…」
『父さんが帰ってくるわけないでしょ!どこにいると思ってんのよ!』
『帰ってくるよ絶対!!』
『だったら一人で勝手に行けば!? 逃げ遅れたって知らないからね!』
――その勢いに龍斗は一人走り出し、結局華音もしぶしぶ付き添う事にした。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111120215043.jpg         <続く>
745マロン名無しさん:2011/11/21(月) 00:54:45.81 ID:???
ムカデじゃなくアリだったか。そういえば昔「黒い絨毯」ってアリ映画があったな。

ところで龍斗よ、せめて早瀬さん達に一言言っておけよ…

746マロン名無しさん:2011/11/21(月) 10:09:36.15 ID:???
精気のない人たちが気になるな…なんだろ
食べ物が食い尽くされて…とか?それだけじゃないか、なんなんだろう。
他の虫?の影響だろうか
747マロン名無しさん:2011/11/21(月) 10:18:19.21 ID:???
生気のない人たちって、もう何かに乗っ取られてゾンビ的なものだったりして
748マロン名無しさん:2011/11/21(月) 11:42:11.87 ID:???
それじゃエレルじゃねぇか…

てか、もしBM・エレルと同一の時間・設定だったら人間に逃げ場がなくなるな
749マロン名無しさん:2011/11/21(月) 17:29:19.86 ID:???
アリかあ……
ちっこいものがうぞうぞやってくるのって精神的にクるなあ
今のところ小さい生物ばかりだが、野犬の群れとかきたらオワタになるな
750マロン名無しさん:2011/11/21(月) 19:29:06.98 ID:???
その気になればいくらでも敵は増やせるんだよな。
ヒッチコックの「鳥」みたく、例えばカラスとかも群れで襲ってくるかもしれん
751マロン名無しさん:2011/11/22(火) 10:24:02.98 ID:???
そもそもこれらの現象の原因は何だろうな
それが分かれば少しは対処もできるかもしれんが…

女軍人さん冷徹な判断ができる人のようだ
情に流されない女かこいい!
逆に死亡フラグ立てなきゃいいんだが
752マロン名無しさん:2011/11/22(火) 10:43:55.34 ID:???
龍斗は結局、地球儀を見て何に気付いたんだっけ?
753マロン名無しさん:2011/11/22(火) 11:36:29.06 ID:???
>>752
>>704
>地球儀を見て何かに気付いた龍斗。
>東京…ソウル…平壌…上海…台北…マニラ…北京… これは東京から順に夜になっている所だ!
だが、東京から順に夜になったからといってどういう事なのかわからん
754あらすじネクタール 1/3:2011/11/22(火) 21:57:29.18 ID:bDaX5hiw
  第14話『天使降臨』


冒頭、華音は幼い頃、この家に引っ越してはしゃいでいた頃を思い出していた。
そして母が抱いているのは、産まれたばかりの龍斗がいた。

――現在。龍斗の手を引き、玄関前に立つ華音。
(いつからだろ―――― この家をウザいって思っちゃうようになったの…)
「お姉ちゃん? どしたの?早く行こうよ、お姉ちゃん
 もーしっかりしてよね!時間ないんだからさ、わかってんの?」
(……きっとコイツが産まれてからかも…)
龍斗がドアノブに手をかけた時、華音は我に返り慌てて止める。
家の中は教室とは違う。電気をつけなければ昼間でも真っ暗なのだ。
「ネズミ…いるの…?」
「あ あたし見たから… 昨日1回家へ帰ってきた時…」
「だけど… それじゃお父さんが…」

――考えた結果、中には入らず玄関に張り紙をしておく事にした。これなら確実に目に入るし読んでくれる!
「スゴイや… お姉ちゃんって      ほんっとに漢字書けないんだね… 高校生にもなって危ケン…って…」
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うるさいわねと揉めていると、突如後ろに音楽を慣らした車が止まり、ガラの悪い連中が降りてきた。
リーダー格はいいところへ連れてってやると言うが、当然華音は断る。
「イケないね〜〜 人の親切は素直に受けるもんだぜ
 でないと、キモチイイコトの前に―――― いっぱい痛い思いする羽目になっちゃうんだな、コレが」
チンピラ達はナイフやバットを抜き華音達を脅し、華音は咄嗟に龍斗の手を引き、家の中へと逃げ込んだ。
「残念な子ちゃんだね〜〜 家の中っつーのは真っ暗で、ネズミさんがワンサカいるだろーに…
 どっちに喰われるかの違いだけなのによ… オレらか…ネズミか…」
涙目の華音の耳にネズミの鳴き声が入る。振り返ると、ネズミが今にも飛びかからんとしていた。
755あらすじネクタール 2/3:2011/11/22(火) 21:57:46.49 ID:bDaX5hiw
その頃、早瀬達は無事な車を調達していた。
鷹田はさっさと出発しようとするが、7人も乗る訳だからできればもう1台見つけておきたい。
…ふと、隊員の一人が子供達がいない事に気付いた。
――現在時刻、0310…4時には出ないとまずいから、探した方がいいと早瀬は言う。


場面は再び戸隠家に戻る。落ち着いてよく見ると、ネズミの群れは思ったよりも多くは無い。
「龍斗!思いっきり走りなさい… 突っ切るよ!
 駆けあがって2階のベランダへ出るの!ベランダは日が当たってるし、
 サッシを閉めちゃえばネズミは出てこられないわ…
 痛くても怖くても… 絶対立ち止まっちゃだめよ…」
「だ…だけどお姉ちゃん…」
『行くよ!これ以上ネズミが集まってきたら突っ切れない!!』
――そう叫ぶと同時に華音は龍斗を連れて走る!
それでも数匹が足に噛みつき、華音は亡き母に守ってと祈る。

かろうじてベランダに脱出すると、サッシを閉め足にまとわりつくネズミを叩き追い払う。
そして下を見ると、未だチンピラ共があきらめずにその場に佇んでいた。
「さぁハニ〜〜 恥ずかしがらずにこの胸に飛び込んでおいで〜〜」
――その時、華音は気づいた。彼らの後ろにいつのまにかネズミの大群が迫っている事に!
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思わず逃げてと叫ぶが、大音量の音楽のせいで連中は華音の声が聞こえず、あっという間に喰われていった。


同時刻、早瀬達は子供達の姿を探すが当然見つかるはずもなかった。
外道の鷹田はどうせくたばったんだろうからさっさと出発しようと愚痴る。
「4時までまだ30分近くある、もうしばらく待ってみよう
 悲鳴も何も聞いてないし、死んだと断定するのは早計だろう」
――しかし、ここで意見はぶつかる。隊員2人も鷹田と同意見だと述べ始めた!
「この状況下で足手まといにしかならない子供2人を待つのに、どんな意味があるのか…」
その言葉に早瀬は隊員を睨みつけるが、そもそもこの3人は元々別部隊で上官・部下の関係ではないのだ。
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756あらすじネクタール 3/3:2011/11/22(火) 21:57:58.93 ID:bDaX5hiw
そして一方、華音達は壁を昇ってくるネズミから逃げるべく、屋根の上へと上がる。
四方をあっという間にネズミに包囲され、龍斗を抱き死を覚悟した時―――― 黒い羽根が舞い降りた。
見上げると―――― そこには、無数のカラスがネズミを捕食していたのだ。
(それはかつて私達が散々忌み嫌ってきた―――― 黒い天使の群れ――――)    <続く>
757マロン名無しさん:2011/11/22(火) 23:21:16.09 ID:???
てっきり鳥類も襲ってくると思ったが、鳥類は味方なのか?
それともカラスだけが例外なのか?
チンピラ共も暴走族の様に2・3話引っ張ると思ったがいともあっさりやられたな。

>同時刻、早瀬達は子供達の姿を探すが当然見つかるはずもなかった。
だから一言言っておけと…
758マロン名無しさん:2011/11/23(水) 05:12:10.42 ID:???
敵か味方かという別け方は微妙だけど
カラスからしたら人間襲うより効率いい餌なんだろうね。
まだ他にも荒ぶる生き物出てきそう…動物と虫たちで殺し合いしてなにが残るのか!?という展開になるのかなー
759マロン名無しさん:2011/11/23(水) 09:07:14.14 ID:???
カラスも味方というわけではないんだろうな
でかい人間つつくよりも一口サイズのネズミの方が食べやすいってだけで

チンピラのあっさり具合にワロタ
760マロン名無しさん:2011/11/23(水) 12:16:38.69 ID:???
カラスに襲われるで思い出したが、さいとうたかをのサバイバルでカラスに目を喰われて死んだ軍人思い出した…orz
761あらすじネクタール 1/3:2011/11/24(木) 21:54:37.28 ID:q0I4+E5y
  第15話『誤算』


「あんたとオレ達はもう―――― 上官でもなけりゃ、部下でもない――――」
そう言ってついに敵対する隊員2人。…だが、早瀬は微笑むとあっさりと同意した??
「確かに… 今となっては私の命令に従わねばならん理由は1つも無いな…」
その後、隊員2人と鷹田は先に車に乗り込もうとすると、早瀬から1つ忠告された
「確実に助かりたければ、富士の演習場を目指せ」と。これは命令ではなく、戦友としての忠告だ。
「ま…達者でな」

――こうして、むさ苦しい野郎3人は早瀬達と別れ、一足先に避難する事になった。
「すまない…私が至らないばかりに…」
「協力的でない人達に一緒に行動されても、足を引っ張られるだけですからね」
「あいつらの事はともかく、車が…な…」
「車はまた探せば済む事です、それより――――」


一方、華音達はというと…ネズミに囲まれていたが、ネズミはカラスの襲撃に逃げ回っていた。
しかし、よく観察すると何か変だ。昨日のネズミと違い、迫力が無いと言うか、勢いがないと言うか…。
「だってそーじゃない? いくらたくさんカラスが来たって、ネズミの方が圧倒的に多いんだよ
 全部が全部喰い尽くされる訳じゃないし、その気になれば逆にカラスを喰い殺す事だってできるわ
 なんだってこんなビビって逃げまくんなきゃいけないわけ?」
今、ネズミ達の前には人間2人と言うエサがあるのだ。なのに逃げ回るのはどう考えてもおかしい。
「なんかあたし達が思ってんのと―――― ズレてきてる気がする…」


同時刻、戸隠は目黒に差し掛かっていた。
宇都宮の生存者から話を聞いて以来、一言もしゃべらない戸隠に声をかける麻切。
「か 可能性はいくらでもあると思うんです!避難所に行かなかったとか行っても、偶然出かけてたとか…」
「麻切君 我が子が自分より先に死ぬ… そんな事を考える親はいないよ
 オレが急いでいるのはただ、一刻も早くあの子達に会いたいからだ」
――もう少しすれば龍斗の小学校を通るので、まずはそこへ寄ってみる事にした。
762あらすじネクタール 2/3:2011/11/24(木) 21:54:59.22 ID:q0I4+E5y
ふと、前方で事故を起こしている車に気付く。
3人の男(鷹田達)がもめている所に声をかける戸隠。
「鷹田先生!鷹田先生ですよね?」
――が、鷹田は覚えておらず、戸隠は名乗り出ると鷹田はわざとらしく手を叩く。
「と 戸隠君の?いやいやいや、お父様? これはこれはご無事で何よりですなぁ!」
戸隠は鷹田に龍斗の事を聞くが―――― 鷹田はすでに郊外に脱出したと嘘八百並べ立てた。
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鷹田は隊員達に黙ってろと口封じし、急に戸隠に「郊外に脱出」と聞き返され殺鼠剤の事を説明する。
「ま 私達は教師と自衛官と言う責任ある立場上ですな、
 全ての子供達が安全に脱出するのを見届けてから最後に出発した訳ですが…
 お恥ずかしい話ですが、ご覧の通りの有様(事故)でしてね、途方に暮れておった所なんですよ」
戸隠は疑いもせず、車に同乗を勧める。
隊員は戸隠にバレたらどうすんんだと呟くが…
「あ? バレねぇよ、おめぇらが余計な事くっちゃべりでもしねぇ限り…
 まったくいいのかねぇ、世の中 どいつもこいつもこう扱いやすい事でよ…」
――ヤニだらけの汚い歯を見せ、邪悪な笑みを浮かべるのだった。


一方、危機を脱した華音と龍斗は学校に戻り、鬼崎達を探すが誰も見当たらなかった。
「ハハ… 無理もないよね… だって、もうすぐ日がくれそーだもん…」
へたり込む華音に涙目で謝る龍斗。ちゃんと姉の言う事を聞いていれば…!
華音は考え直す。もしかしたら殺鼠剤で死ぬ方が、ネズミに喰われるより楽だろうと…。
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華音は龍斗を抱きしめ、ずっと一緒にいてあげると約束する。

「殺鼠剤で死ぬってのも、そんなに楽なモンじゃないぞ
 下手すりゃ何日ものた打ち回ってゲロ吐いて、衰弱しきって死ぬって羽目になりかねん」
――突如聞こえてきた声に振り向くと、まだ残っていた早瀬(と鬼崎)だった!
「まぁ姉弟仲良く水入らずの所、申し訳ないんですが…
 その楽でもない死に方を我々もご一緒する事になりそうでしてね…」
鬼崎達は先に鷹田達に車を使わせた事を伝える。もう動く車は無いのか…?
「――あ もしかしたら…動く車、あるかも…」
763あらすじネクタール 3/3:2011/11/24(木) 21:55:15.19 ID:q0I4+E5y
龍斗の言う車とは―――― 先程、華音を狙ったチンピラ共の車だった。
悪趣味、無駄な装飾はともかく、走ってさえくれればいいという事で、4人は車に乗り込んだ。


――同時刻、戸隠サイドで現在、相模原。もうすぐ日が暮れるがここまでくれば大丈夫だろう。
ふと、麻切は下を見ると何かに気付いた。

そして再び華音サイド。
「あの…早瀬さん あたし少し気になる事があるんです…
 ひょっとしたらネズミ達って、もう―――― とっくに都心を見捨ててるんじゃないかって…」
――――戸隠達・華音達の車の下には、無数のネズミが都心から走って来るのが見えた。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111124214032.jpg           <続く>
764マロン名無しさん:2011/11/25(金) 00:52:16.44 ID:???
鷹田つくづく外道だな。こいつの最期は戸隠父に殺されるのか?
チンピラ達は何のために出たと思ったら車提供担当だったのか。
ネズミが都心から逃げ出して?いるのは何か意味あるのか?
765マロン名無しさん:2011/11/25(金) 12:46:55.88 ID:???
おお、何やらまた意外な展開だな
ネズミたちは大発生して襲ってきたというわけじゃなく、
沈む船から逃げ出す的な大移動の途中だったってことか!?
殺鼠剤を感知して逃げてるだけじゃないなら
何かの大災害の前触れ?
ネズミ被害が西へ移動しているから……何だろう、太陽が関係しているのか?
でももう一昼夜は越えたし…うーん分からん!
766マロン名無しさん:2011/11/25(金) 14:59:56.15 ID:???
食うもんがなくなっただけじゃねえの
767あらすじネクタール 1/3:2011/11/27(日) 22:05:34.48 ID:q3TSBZ/G
  第16話『津波』


冒頭、運転を鬼崎に任せ先程の事態を説明する華音。
確かに自衛隊の火炎放射と燐化亜鉛をものともせず向かってきたネズミ達と比べると脆弱な印象がある。
「今、東京に残っているのは残留部隊… 仲間たちの移動についていけなかった連中ですかね?」

――ふと、早瀬は右と指示を出す。こっちにいったら東になる。富士の演習場を目指すんじゃなかったのか?
「あのケツの穴の小さいお偉方の事だ、我が身かわいさに自分達の側から殺鼠剤を撒くに決まってる
 富士を目指せばモロに殺鼠剤の雨の中に突っ込む事になるだろう」
今、自分達にできるのは運よく神奈川辺りにでも抜けられるのを期待するしかない。
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「運よく…って、どの位の…?」
「難しいだろうな、生存者を見殺しにしてまで首都を奪還しようというんだ
 物量にモノいわせてネズミ1匹漏らさん包囲網を敷くだろうな
 まあ、もっとも…… その肝心のネズミどもがもぬけのカラでは、どんな包囲網も台無しだがな」
――説明する早瀬。その車と並行してネズミの群れが首都から脱出しているのが見えた。


一方、戸隠サイド。
ネズミの群れに囲まれパニックになる隊員だが、車に乗っていれば喰われはしない。
だが……ガス欠して止まってしまえばそれまでだ。
鷹田は猫なで声で戸隠にもっと飛ばせないかと問うが、これ以上の速度は危険だ。
「今はネズミ達も同じ方向に走ってる私達を、特に食料とは意識していないようです
 しばらくはこのまま刺激しないように並走した方がいいでしょう…」

――その言葉に隊員の片方は、同僚の無残な死を思い出し、ついに麻切を人質に取り飛ばせと叫んだ!
どの道無理だ!現在はネズミの上を走っているようなもので、ネズミの血でタイヤが滑っているのだ。
『これ以上スピードを上げれば確実にコントロールを失うぞ!それでもいいのか!?』
768あらすじネクタール 2/3:2011/11/27(日) 22:05:50.62 ID:q3TSBZ/G
鷹田は落ち着かせようとするが、興奮したもう一人の隊員は言う。
「あんたら実際に見てねぇんだろ… 目の前で…
 生きたままネズミに食い殺されていくのがどんなモンか…!
 あんな死に方するぐらいだったら、事故って死んだ方がよっぽどマシなんだよ!!』
戸隠はやむなくスピードを上げるが、ほどなくネズミの血でスリップ、タイヤが側溝にハマってしまった!


同時刻、華音は不思議に思っていた。なぜネズミは今日殺鼠剤の散布があるとわかったのか?
しかしそれを龍斗が否定する。殺鼠剤の散布で逃げ出したわけではない。
「ネズミは環境の変化に敏感なんだ、住みづらくなりそうだと一斉に集団で移動するんだよ
 多分もう東京には、自分達に必要なだけの“エサ”はないってわかったんだと思う…」
龍斗の言葉に鬼崎も肯定する。
「そうだね… しかもあれだけ人間を喰い尽くしたネズミは、やがて出産を迎える…
 数週間以内に爆発的に増える事になる、そうなればその前にエサを求めて移動するのは当然だ
 喰い尽くし、増え邦題増えれば移動し、またその場で喰い尽くし…やがて世界の全てを喰い尽くす
 まるで我々人間の歴史をダイジェストで見てるみたいだ
 産業革命以来、人間が200年かけてやってきた事をほんの数日でやってのけられては、
 万物の霊長も形無しだね」
「詩人なご意見だが…我々軍人の意見はもう少しシンプルだ
 あのネズミどもにそれだけの情報伝達力と機動力があるとすれば…
 我々人類にはもう―――― どこにも逃げ場はない…」


一方、事故った戸隠サイド。幸い、エンジンはまだ動く。問題は脱輪だけという事だ。
「つまり…また走れるという事だ… 誰かが…車から出て前輪を持ち上げてくれさえすれば…な」
そう説明し隊員2人を睨む戸隠、涙目で責める麻切、戸隠を責める隊員。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111127215233.jpg
揉める内、ふとバラバラという音に全員空を見上げる。そこには無数のヘリが都心に向っていた。
隊員達は助けてくれと叫ぶが、轟音とガラス越しでは聞こえるはずも無い。
「頼むから… 行かないで…」
必死の願いもむなしく、ネズミの群れは車に覆いかぶさっていった。
769あらすじネクタール 3/3:2011/11/27(日) 22:06:06.15 ID:q3TSBZ/G
そして殺鼠剤散布開始を確認した華音達。
あと10分も走れば神奈川に着く。東京23区を出てしまいさえすれば、後は…
その時異変は起きた。前方から津波がやってくる…??まさか、陸上で??
「それにあれは海からじゃない… むしろ…海に向かって…」

――よく見ると、それは“ネズミの津波”だった!
鬼崎はそれに気づくと車をUターンさせ、津波から逃げる。
ネズミ特有の超能力で意思が伝達、殺鼠剤から逃げる為に一斉に東京湾に押し寄せたためだ!

「拡散していれば物の数ではないネズミでも…
 1点に向って集中すると… 車をも押し流す奔流となる――――
 一瞬で情報を共有する伝達力と…全てが一斉に同じ行動を起こす機動力…
 我々人類にはもう―――― どこにも逃げ場はない――――!!」
ネズミの津波に追われる華音達、車をネズミの群れに包まれた戸隠達。万事休す!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111127215247.jpg      <続く>
770マロン名無しさん:2011/11/27(日) 22:53:59.05 ID:???
地元(神奈川)の地名が出ると怖さが30%アップしてしまう…

>生存者を見殺しにしてまで首都を奪還しようというんだ
お偉いさんは仮に市民を見殺しにして首都を奪還したとしても、
その後の政治家生命とかは考えないんだろうか?
仮にネズミから首都奪回しても、市民がいなければ自分達だってただの人間のくせに。

>ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111127215233.jpg
どう見ても無能自衛隊のせいです、本当にありがとうございました。
771マロン名無しさん:2011/11/28(月) 12:35:21.30 ID:???
うわ〜もう本当にどうしようもなくなっていくな
772マロン名無しさん:2011/11/28(月) 12:35:49.99 ID:???
あー速くクソ隊員ども死なねえかな
773あらすじネクタール 1/3:2011/11/29(火) 21:54:59.28 ID:q7yMSSgF
  第17話『ヒエラルキー』


ネズミの津波に追われる鬼崎達。津波は交差点のあちこちから現れ、車は曲がる事もできない。
『どんだけ出てくんのよネズミって一体!』
「だけど…結局ボク達人間が追い出したものだし…ネズミだって必死なんだよ…
 自分達だけが死んでたまるか――――って…」


同時刻、ネズミの群れに包まれた戸隠達は暖房を切っても蒸し暑く感じられていた。
2月だと言うのにこの暑さ… ネズミの体温で社内の気温が保たれているのは間違いない。
エンジンを切って待っていればそのうち通りすぎるのではないかと考えていたが甘かった。
「どうやらこいつらの知能を―――― 甘く見ていたようだな…」
「知能…ですか?」
「ああ… こいつらは“理解してる”んだ
 例え直接姿を見たり、声を聞いたり匂いを嗅いだりできなくても――――
 この鉄とガラスでできた小さな箱の中に、自分達の“エサ”が入っている事を――――」
それを聞いた自衛隊員はただしがみついているだけだろうと自分を納得させようとする。
「もしタイヤがかじられてパンクしたのなら衝撃でわかる… しかしその気配はない
 このネズミ達が何の考えもなく群がり手当たり次第かじりつくなら、
 まず唯一歯の立つタイヤを破裂させているはずだ
 つまりこいつらはタイヤはエサではない事を知っている、はっきりと中にいる我々を狙って集まっているんだ
 おそらく都市部で何度も車を襲っている内に学習したんだろうが…」
「学習…って、だけど… これだけのネズミ全部がそんなに何度も車を襲った訳じゃ…」
麻切は不信に思うが、実はネズミというのは群れで知識の共有ができるのだ。
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774あらすじネクタール 2/3:2011/11/29(火) 21:55:11.91 ID:q7yMSSgF
鷹田は朝になればネズミがいなくなるだろうと考え、いなくなればタイヤを引き上げようと考える。
そうとわかれば果報は寝て待てということで野郎共は寝ようとするが…さすがに暑すぎる。
いや、それだけではない。息苦しさがますます強くなっていく…。
「当然だ… この車を完全に包み込んでネズミ達が呼吸をしているんだから…
 何重にも…びっしり重なったネズミ達が酸素を吸い、二酸化炭素を吐く…
 この車は二酸化炭素のカプセルに閉じ込められたようなもんだ…
 朝までどころか、このままでは―――― 30分ともたない…」


一方、鬼崎達は波止場に辿り着いた。これでもう文字通り袋のネズミだ。
ふと、沖を見ると船が何艘も停泊している。きっと逃げ出せた連中だ!
遠すぎて声が届かないだろ位という事で、この車の無駄な電飾を点滅させてこちらに気付かせようと試みる。
「頼む… 気づいてくれ…」


そして戸隠達は―― 全員ぐったりしていた。
暑さと息苦しさでもはや全滅だと思われたその時、異変は起きた!
突如ネズミ達が悲鳴を上げ車から落ちていくではないか!

――外を見ると、蟻の群れがネズミを捕食しているのが見えた。
事情を知らない隊員達はラッキーと叫ぶが、戸隠は最悪だと心の中で叫んだ。
(ネズミと違ってこいつらは―――― 車の中にまで侵入する!)
ネズミがいなくなった事により隊員は呑気に外に出て車を持ち上げタイヤを路上に置く。
「どーよ少しは見直したべ?男のパワー」
「い いいから早く戻って!」
麻切は叫ぶが既に遅く、ヘッドライトに照らされた彼らの体には蟻がびっしりついていた!
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775あらすじネクタール 3/3:2011/11/29(火) 21:55:23.29 ID:q7yMSSgF
蟻に食らいつかれ悲鳴を上げる隊員、恐れをなしドアをロックする鷹田。
隊員は顔の内部を蟻に食い荒らされながら乗せろ、開けろと叫ぶがもう手遅れだ!
しかもよく見ると、ブレーキ周辺にまで蟻が侵入している!
やむを得ず戸隠は車を発進させ、後方から隊員の断末魔が聞こえてきた…。
「仕方ないと言う言い方はしたくない、正しい事のはずはない…が…
 助かる者と助からない者… その線は自分で引かなければならないんだ…」


一方、鬼崎達の乗った車はついにネズミの津波に押され海に落ちてしまった!     <続く>
776マロン名無しさん:2011/11/30(水) 04:06:42.42 ID:???
よっしゃ、腐れ隊員死んだww

>「当然だ… この車を完全に包み込んでネズミ達が呼吸をしているんだから…
 何重にも…びっしり重なったネズミ達が酸素を吸い、二酸化炭素を吐く…
 この車は二酸化炭素のカプセルに閉じ込められたようなもんだ…
 朝までどころか、このままでは―――― 30分ともたない…」
これってBM第3部でもあったネタだな
777マロン名無しさん:2011/11/30(水) 07:31:43.37 ID:???
仕方ないと言う言い方はしたくない、正しい事のはずはない…が…

スカッとした
778マロン名無しさん:2011/11/30(水) 10:38:08.74 ID:???
>助かる者と助からない者… その線は自分で引かなければならないんだ

しびれる
現実を見ることのできる大人だな
779マロン名無しさん:2011/11/30(水) 16:15:25.75 ID:???
ホラー映画とかでもよくあるシーンだよな>助かる者と〜〜

>一方、鬼崎達の乗った車はついにネズミの津波に押され海に落ちてしまった!
次週より竜宮城編ですね、わかります!

ところでいつ鷹田は死ぬん?もうそろそろ無残な死に方してもいいと思うんだが。
俺の予想じゃ一人裏切って逃げた時に車がガス欠で動けなくなって、車の中に潜んでいた何かに襲われると予想!
780マロン名無しさん:2011/11/30(水) 17:56:33.13 ID:???
じゃあ俺の予想を

きっと他の人を見捨てて、一人逃げ込んだ建物か何かに立てこもるが
その中で喰い殺されるとみた
781マロン名無しさん:2011/11/30(水) 21:27:16.83 ID:???
鷹田が死ぬのは終盤じゃない?
ほら、BMのシンゴパパもエレルの院長も、メトロのチンピラもほぼラストで死んでたし。
要は普通の悪役とキーキャラの悪役の違いだと思う
782マロン名無しさん:2011/12/01(木) 10:41:47.67 ID:???
シンゴパパの大物感と比べると小物過ぎるぞおいw
そんな大層な悪役とも思えんが……
少年と一緒にいればすごく危険人物だったが今はショタいないしなあ
783マロン名無しさん:2011/12/01(木) 11:58:20.61 ID:???
せいぜいBM2部のドレクスぐらいの位置
784マロン名無しさん:2011/12/01(木) 18:19:59.76 ID:???
つくづく鷹田と鬼崎は名前が逆だったらよかったのに、と何度も思ってしまうw
785あらすじネクタール 1/2:2011/12/02(金) 22:07:25.72 ID:QM0glJZj
  第18話『あの夏一番幸せだった海』


海に落ち、浮かぶ車。今は何とか浮いているが、この様子だと5分も持たず沈んでしまう。
「200m…泳げるかい?
 幸いこの車の後部ドアはスライド式だ、水中で圧力がかかってもどうにか開けられるだろう
 沖合に停泊していた船まで… およそ200m…
 車が完全に水没したら、後部ドアを開けて脱出 その後犬かきでもバタ足でもいい
 何がなんでも200m先の船まで泳ぎ切るんだ!
 助けに来てはくれなかったとは言っても、そこまで泳ぎ着いた人間をまさか見殺しにはしないだろう」
――と言っても、さすがに龍斗は25mも泳げない。
すると鬼崎は背広を脱いで龍斗にしっかり捕まってろと命令する。
「君はただ浮かんでいればいい、ボクが200m引っ張っていく!」
「大丈夫なのか?冬の海… 着衣で200mは半端な事じゃないぞ」
「小学校教員は全教科こなせなければなりませんからね、
 こう見えても一応水泳インストラクターの資格も持っているんですよ
 まさか… こんな形で使う羽目になろうとは思いませんでしたけどね…」
残る問題はネズミの群れだ。奴らは泳げるので水面はネズミで埋め尽くされるだろう。
しかも泳ぐ方向は同じ… あとは殺鼠剤から逃げるネズミがパニック状態になっているのを期待するしかない。


水没する車のドアを開け、海中で華音達が見たものは―――― 大量のクラゲだった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111202210515.jpg
恐らくこれらはエチゼンクラゲだろう、こいつらをかきわけて泳ぐのは並大抵のことじゃない。

ふと華音は気づいた。あれだけいたネズミがほとんど見当たらない…?
その時轟音と共にネズミの津波の第二波が見えた!
『お… 泳げ!もしもアレに生身で巻き込まれたら…!』
しかしクラゲが邪魔して思うように進めずピンチに陥る華音達。
786あらすじネクタール 2/2:2011/12/02(金) 22:07:45.15 ID:QM0glJZj
――その時、一艘の漁船から浮き輪が投げ渡された!
『そいつに捕まれや〜〜〜! あんたらを引き上げてる暇はねぇ!引っ張んべ!早よせぇやぁ!!』
おっちゃんはかみさんに合図すると船は急発進、かろうじてネズミの津波から難を逃れた。

ふと、後方を見ると―――― ネズミが海の上を走っている?!
いや、あれは…無数のクラゲの上を走っているんだ! そしてネズミの向かう先は……!

――――そして停泊していた船はネズミの奇襲に会い、生存者は全滅してしまった…。
(ほんのひと時…神を出し抜いたつもりで安堵に浸る事さえも… 決して許されない…
 やっぱりもうこの世界に…私達の居場所なんてないんだろうか…)
断末魔が響く船を見て絶望視する華音であった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111202210530.jpg     <続く>
787マロン名無しさん:2011/12/03(土) 01:29:15.23 ID:???
クラゲまでも大量発生とは…!
しかもクラゲは襲ってこないけど、ネズミと船への橋代わりかよ!
折角助かったと思った船の人々も、まさかネズミが海の上を走るとは思わなかったろうな…
一体どういう結末になるのか予想がつきにくいな。
788マロン名無しさん:2011/12/03(土) 06:19:43.04 ID:???
まぁクラゲはほっといても大量発生するくらいだしなぁ。
789マロン名無しさん:2011/12/03(土) 11:49:53.85 ID:???
クラゲいやああああ
790マロン名無しさん:2011/12/03(土) 12:57:15.36 ID:???
クラゲ大量発生って話はよく聞くが、ネズミが走れる位あんなに密集するものなのか?




おっと、忘れてた。( ゚∀゚)o彡゚ぱんつ!ぱんつ!
791マロン名無しさん:2011/12/03(土) 21:48:49.08 ID:???
>>790
クラゲの大量発生が最終段階まで行くとな、呼吸する隙間すら無くなってクラゲ自体が窒息死するんだ。
それほどに密集度がハンパない。
792マロン名無しさん:2011/12/03(土) 22:29:48.75 ID:???
>>791
ふくらました風船を箱ぎゅうぎゅうにつめたような状態?
793マロン名無しさん:2011/12/03(土) 22:43:34.57 ID:???
>>792
通勤時間帯の山手線で天井が低くて頭ギリギリにあるような状態
794マロン名無しさん:2011/12/04(日) 13:55:22.23 ID:???
すごい分かりやすい例えをありがとう。
確かに四方八方から押されて、しかも上の余裕もないと来たらそりゃ窒息死するな
795あらすじネクタール 1/3:2011/12/05(月) 21:56:51.92 ID:yOAg6eG9
  第19話『最後の砦』


おっちゃんからもらった毛布に包まる華音達。
おっちゃんはお茶でも出してやりたいが、物資の量に限りがあるから出せずに申し訳ないと詫びる。
「あれだけいて助けに来てくれたのはアンタたちの船だけだ、それだけでも十分感謝している」
「あいつらの事… あんまし悪く思わねぇでやってくれや…」
――何しろ、陸にはネズミの群れがいる上に一部は動けない船もあったのだ。

「だけどそれでもおじさん達は助けに来てくれたんですね…」
「まぁ、オレらぁ漁師だかんな 海の男の掟ってやつよ 海でおぼれてる人間を見過ごすわけにゃいかねぇ」
「そう言う事ならもう少し、早く来てくださってれば こんな濡れネズミにならずにすんだんですがね」
「だ――――ってそん時ゃ、まだあんたら陸にいたじゃねぇか」
豪快に笑うおっちゃん。…なるほど、そりゃごもっともだ。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111205212655.jpg

ふと、華音達ははおっちゃんの子供がこちらを覗き込んでいるのに気付く。
鬼崎は家族でこれからどうするのかと聞くと、おっちゃんは悲しそうな顔をする。
「こん国やぁもうダメだ… 漁師なんぞやってて、毎日海やらお天道様やら相手にしてっとよーくわかる
 日本っつー国にゃ、もう救いがねぇ…」

沖から陸を見ると、東京は殺鼠剤の煙で白く包まれていた。
あれだけ撒いたらネズミ以外の生物もひとたまりもない。
「さんざ好き勝手やっといて手痛いお仕置き喰らったってぇのによ、
 それでもまだお天道様にツバ吐くような真似しかしようとしねぇ…
 そんなんならこんな国、ネズミに住まわした方がマシだって神さんだってそりゃ思うべなぁ…」
――彼らの目的地は北、サハリンを超えてシャンタル辺りだと告げた。
「女房と子供と一緒に暮らせりゃ、オレぁそれでいい こんな国にしがみついてる必要ねぇからな…」
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111205212709.jpg
なるほど、寒冷地で越冬できるような地下街とかなければネズミが大量発生する事もないだろう。
だが―――― おっちゃんは華音達を連れていけないとはっきり告げた。
796あらすじネクタール 2/3:2011/12/05(月) 21:57:13.46 ID:yOAg6eG9
 ―陸上自衛隊・富士山麓演習場―
避難地として使用される演習場には多くの生存者が集まっていた。
辿り着いた戸隠は鷹田に感謝する。何も知らなかったら子供達と行き違い、東京で死んでいただろうと。
――だが、当然これは鷹田のウソだ。
(ヤッベ〜なこりゃ… 隙を見てとっととトンズラこかねぇと、このオヤジに殺されかねねーぞ…)

その後、宿泊テントに案内される戸隠達生存者一向。
戸隠は麻切に先に寝るように言い、自分は子供達を探しに行こうとするが鷹田は焦って止める。
第一もう夜も遅い、疲れてみんな眠っているだろうと説明すると麻切も同意する。
「眠ってないのは課長も同じですし、それにずーっと車運転しっぱなしだったんですから」
――やっと子供達に会えると思った戸隠だったが、緊張の糸がほぐれ、ついに眠りに陥ってしまった。


一方、華音達はおっちゃんから連れていけない理由を聞いていた。物資が家族4人分だけしかないのだ。
ならば我々はこれからどうなるのかと早瀬は問うと、明日日が昇ったら好きな港に向ってくれると言う。
「カンベンしてくんな… 結局一人の人間にできる事なんざ… 自分の家族を守る事位で精一杯なんだよ…」


寝静まった生存者の中、子供達を探す戸隠。
ようやく寝ている子供を見つけ、肩に触れた瞬間―――― ボロリと崩れ蟻の群れが戸隠を襲う!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111205212723.jpg

――そこで目を覚ます戸隠、悪夢だったのだ。
ふと、ヘリの轟音を耳にし、何気にテントの外へ出ると無数のヘリが降りてくる所だった。
戸隠が地面に目をやった瞬間、戸隠に気付いた自衛隊員が声をかける。
「ダメですよ、夜間は宿泊所から外へ出たら 生活規約にちゃんと書いてあったでしょ?」
「ここの…防衛体制はどうなっているんですか…?」
隊員はネズミ一匹この演習場には入らせないと微笑むが…
「蟻は…どうです? 蟻に対してはどのような対策を…?」
――蟻が人を襲うというのが信じられず笑う隊員に業を煮やした戸隠は、麻切と鷹田を叩き起こし出発しようとする。
隊員は不安の原因になるなら出て行ってもらうと叱るが…
「言われなくても出ていく――― だが、他の人達にも退避命令を出してくれ!」
797あらすじネクタール 3/3:2011/12/05(月) 21:57:31.85 ID:yOAg6eG9
同時刻、見張りの隊員の足元の地面から、蟻がポコポコと湧きだし隊員に迫る―――
『ちょ… ちょっとあんたら… 出ていくって、勝手に出てかれても困るんですよ!』
隊員はテントから出る戸隠達に叫ぶと、突如聞こえてきた断末魔の悲鳴に驚愕する!
――そこには、蟻に襲われる自衛隊員がいたのだ!

               AM4:51―――― 日本の頭脳・心臓―――― 機能停止―――       

ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111205212737.jpg          <続く>
798マロン名無しさん:2011/12/05(月) 23:06:31.18 ID:???
仮に自衛隊員に蟻の事話しても、結局笑い飛ばされるのがオチだろうな…

しかしこうなると、漁師の家族も全滅しそうな結末しか思いつかない。
例えネズミが少なくても、蟻はどこにでもいるし、他の動物や昆虫の群れに襲われそうな気が…
799マロン名無しさん:2011/12/05(月) 23:51:28.01 ID:???
なんか聞いたことがるな
ナメクジはどんな寒冷地でも生きることができる
ただし自分の食べるものが存在しない、とか

人間は…襲わないよなさすがに。
800マロン名無しさん:2011/12/06(火) 00:05:27.53 ID:???
>>799 こんなのもあるが、映画の話だからな…現実はわからない
ttp://www.geocities.co.jp/Milano-Killer/8668/s/slugs.html
801マロン名無しさん:2011/12/06(火) 10:36:56.48 ID:???
怖いというよりなんか辛くなってきた
自分の家族を思っても何にもならない無力感というか
救いはあるのか?
802マロン名無しさん:2011/12/06(火) 11:51:44.20 ID:???
というより、世界中の人間がことごとく全滅してるから救いがあるのかどうか…?
戸隠親子は流れ的に再会できるのは予想できるが、一体どういう最終回になるのかが予想できん。
803マロン名無しさん:2011/12/07(水) 15:47:01.91 ID:???
うーん今回のがヒントかも
どっかの離島で自給自足で細々と生活
他にもそうやって生き残った人々はいるかもしれないが
確かめるすべはない
人類の生息域は極端に狭くなり……的な
804あらすじネクタール 1/3:2011/12/08(木) 20:57:31.50 ID:4tYsAYqZ
  第20話『Missing Child』


蟻に襲われる仲間を見て呆然とする隊員。
「アリだ…」
「アリって… さっきからなんなんだよ、アリ アリって…」
すると自衛隊員の悲鳴を聞いた避難民が起き出し、何の騒ぎだと騒ぎだす。
戸隠は隊員に全員を避難させるように叫ぶが、隊員は上からの許可が無いと出来ないと言う。
『そんな悠長な事言ってる場合じゃないだろ!全滅だぞ、このままじゃ!』

意を決した隊員はテントの中へ駆け込み――― 動揺する避難民になんでもないと叫んでしまった!
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111208205449.jpg

戸隠は殴ってでも隊員を止めさせようと走り出そうとするが、それを鷹田が止めた。
『無駄ですよ、私らが言った所で! ホントにヤバくなりゃみんな勝手に逃げますよ!
 つか、ホントにヤバくならなきゃあいつらわかりませんって!
 とりあえず一足先に私らはズラからせてもらいましょうや!!』
…確かに一般人である戸隠らの手に負える事態ではない。だが、それでも戸隠は子供達を探そうとした。
「あの子達がここに居る事はわかっている、置いていくわけにはいきません!」
鷹田は無理だと反論するが、戸隠の決意は変わらない。
「わかった… んじゃ車のキーよこせ あんたは好きなだけ探しゃいい、あんたの子供だ
 だがオレにゃ関係ねぇ、あんたの親バカに付き合って死んでやる義理はねぇんだよ
 車のキーよこしてもらおうか」
当然戸隠は断る。子供達を連れて逃げるには車は絶対必要だ。
鷹田はエゴだと反論するが、それには戸隠も同意する。
『ああ、エゴだよ悪いか!? オレにとっちゃ、あの子らの命以外どうだろうと知ったこっちゃないね!!』
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111208205503.jpg
805あらすじネクタール 2/3:2011/12/08(木) 20:57:44.66 ID:4tYsAYqZ
戸隠が踵を返した時、ついに鷹田は暴露した。
『い 居ねぇんだよ、ここにゃ!! う…うそっぱちなんだ!
 あんたの子供達がここに逃げてきてるなんて… あ あんたの息子も娘もここには居ねぇ!!』
それを聞いた戸隠は激怒し鷹田の胸倉をつかみ、今にも殺しそうな目つきで睨みつける!
(こりゃ東京に置き去りにしてきたかも…なんて言った日にゃ… マジで殺される…)
やむなく鷹田は口から出まかせで死んだ、と伝えた。当然、ネズミに2人とも喰われて…。
「なぜ… あんなウソをついた…?」
『ほ 他にどう言えってんだよ!ああでも言わなきゃ、あんたあのまま東京行ってたろ!?
 今頃生きちゃいねぇんだぞ!!』
戸隠は拳を振り上げるが―――― 拳を止め、慟哭した。

ショックでへたり込む戸隠に、いつの間にか蟻の群れが迫っていた。
麻切は早くと叫ぶが、戸隠はそっとキーを差し出した。
「もう…いい オレは… 君達だけで行っ……」
弱気になった戸隠に麻切の平手が炸裂した。
『何情けない事言ってんですか課長!
 あなたがどうだろうと、あなたに生きててほしいって人間はまだいるんです!!』
その一言に正気を取り戻した戸隠は、麻切に手を引かれ車へと向かった。


 ―駐車場―
幸い蟻はいないようだが… そう思ったのもつかの間、地面がポコポコと盛り上がっていく。
「足音を聞きつけるのかどうかわかんないけど、こいつらエサがいる所を狙って湧いて出るみたい…」
「チッ 夕べのネズミといいよ…
 ひょっとしてこいつら、オレ達(人間)が一か所に集まるの待ってやがんじゃねぇのか…?」
鷹田の舌打ちを合図に、避難所から無数の悲鳴が聞こえてきた!
『乗って! みんなが押し掛ける前に車出さないと!』
806あらすじネクタール 3/3:2011/12/08(木) 20:58:01.93 ID:4tYsAYqZ
麻切は車を急発進させると、こちらに向かってきた避難民を危うく轢きそうになった。
その後方ではパニックになった人々が車を急発進させ、あちこちで玉突き事故を起こしていた。
そしてゲートに向かうと―――― バスがゲートをふさぎ、蟻に襲われる人々がいた!
この車ではフェンスは破れそうもないので、やむなく他の出口を探して走り続ける事にした。

一方、他の人々は大型ヘリに押し寄せていた。
だが、もはや積載量限界になったのでやむを得ず飛び立とうとするが、
残された人々は助かりたい一心でヘリにしがみつき、文字通り地上とヘリを結ぶ人間の塔が出来上がる。
すると人間の塔を蟻の群れが這い上がり、バランスを崩したヘリは墜落してしまった!
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…しかし不幸中の幸い、ヘリが墜落したおかげでフェンスが破れたのだ。
炎上する死体を見てまるで地獄絵図だと呟く鷹田。
「でも… この“地獄絵図”が最後の希望だったわけで… これで…最後の希望ともお別れですね…」
                                                     <続く>
807マロン名無しさん:2011/12/08(木) 21:40:10.66 ID:???
>『ああ、エゴだよ悪いか!? オレにとっちゃ、あの子らの命以外どうだろうと知ったこっちゃないね!!』
父ちゃん言い切っちゃったよ…エゴとはいえ、一応主人公なんだからさ…
808あらすじネクタール 3/3:2011/12/11(日) 19:39:12.26 ID:F7a8IQaI
  第21話『港町ブルース』


港へたどり着いた鬼崎達。おっちゃん曰く、いやな風だ、一荒れ来そうだと。
「使わねぇんだな、あんたのソレ…ピストルだろ?
 そいつを女房や子供達の頭に突きつけられりゃ、オレぁ大概何でも言う事聞いたと思うぜ
 なんで使わねかった?」
「…その手があったか… 早く言ってくれ、そーゆー事は」
「ま、置いてきぼりにしといて言うのもなんだけどよ 幸運を祈ってるぜ 死ぬなよあんたら…」

出港する漁船を見守る一向。さて、これからどうするか…?
『キャッ!』
唐突に早瀬の小さな悲鳴が上がり、振り向くとたくさんのフナムシがこちらに向かっていた。
「――てゆーか、今ひょっとして“キャッ”って言いました?早瀬さん」
赤くなってごまかす早瀬だったが、再び振り向くとフナムシはいつの間にか増え、群れとなっていた。
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いやな予感がした早瀬は龍斗にフナムシは何を食べるんだと聞く。
普通なら岩にくっついている海藻を食べるが… 一番の好物は魚なんかの死体、つまり肉食!
「いわゆる… スカベンジャーって奴ですね…」
…なら生きている人間は食べられる…という事は無い、と思ったら大間違い。数によるかもしれない。
一行は恐る恐る振り向くと、いつの間にかフナムシは船着き場を覆い尽くすほどに増えていた!


必死で町まで逃げた一向。
幸い、追いかけてこないという事は、恐らく龍斗達がケガするか死体になるのを待っていたのだろう。
しかしこれでわかった。異常発生しているのはネズミだけではないという事だ。
「こりゃあ、さっさと車見つけて一刻も早くおさらばした方がよさそうだな、こんな町…」
809あらすじネクタール 2/3:2011/12/11(日) 19:39:25.08 ID:F7a8IQaI
その時突風が吹いた。この様子では本格的に荒れてきそうだ。
「お姉ちゃん!」
龍斗の声に向かうと、そこにはバスがあった。これならタイヤも丈夫そうだしイケそうだ。
ドアを開くと―――― そこには乗客の白骨死体があった!

華音の悲鳴を聞き鬼崎達も駆けつけ、死体を調べる。
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これはネズミの仕業ではない。ネズミなら骨まで食うし、服もズタズタになるはず。フナムシの仕業でもない…。
「ドアロックを解除しておきながら… 逃げ出す間もなくやられている…
 我々でも走ってふりきれた程度のフナムシに、これだけの人間がむざむざやられるとは思えません…
 一体何が…」
――ふと、華音は外に黒い物が湧き出しこちらに向かってくるのを見た。あれは…“蟻”だ!!
「ア…アリの仕業だっていうの? ただのアリンコがこんだけの人間を…」
そこで龍斗が解説する。アリは大きな獲物をバラバラにし、人間には外骨格も鱗も無い。
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早瀬は慌ててドアを閉めるが無駄な事。ドアの隙間からアリはどんどん這い出してくる!
鬼崎はエンジンをかけるが、ライトがつけっぱなしだったためバッテリーがあがっていた!
そうこうしている間に、アリは少しずつ車内に入ってくる…
「地上にいる限り、こいつらから逃げられる場所は無い…」
「地上がダメなら海です! 海まで走りましょう
 港にいくつか海面に顔を出している岩がありました
 ネズミと違ってアリは波に逆らって海を渡る事はできない」
――だが、ここから海岸まで300mはある上に地面はアリで埋め尽くされている。走り切れると思うか?
「思うか―――― と言うより、走り切らなきゃならんでしょうね、なんとしても」
そう言うと、鬼崎は華音をヒョイと担ぎ龍斗に手を伸ばす。
「何…やってんですか…?先生…
 先生前に言ったでしょ、愚か者に差し伸べる手は無いって…
 子供みたいな考え方してちゃ、生き延びるのは大変だ…って…
 今の先生…ボクから見ても愚か者で子供だ―――― なんで?」
すると鬼崎は微笑んで答えた。
810あらすじネクタール 3/3:2011/12/11(日) 19:39:45.52 ID:F7a8IQaI
「もしアリの攻撃が思ってるほどたいした事なければ、ボクは君達を担いでだって走り切れる
 逆にもしボクが走り切れず、途中で食い殺されるようなら、より小さくて柔らかい君達が
 自分の足で地上を走り切る事は100%不可能だろう
 確率的に一番多くが助かる方法を提案してるワケで、別に崇高なる自己犠牲精神を持ち合わせてるワケでも
 教育者としての良心に目覚めたワケでもない
 合理的な判断はほとんどの場合、善意と同じ結論に辿り着く――――
 利己的、攻撃的な結論を出してしまうのは単に思慮の足りない愚か者のする事だ」

すると横から早瀬が龍斗を担ぎ上げた。
「合理的判断が聞いてあきれるな 子供とはいえ、人間二人担いで全力で走れるとでも思ってんのか?
 大体な、こーゆーのは本来我々自衛官の仕事だ
 民間人のあんた一人にいいカッコされたんじゃ、それこそ自衛隊の存在意義に関わるんでな」

そうしているうちに風が一層強くなり、バスがガタガタ揺れ始めた。
「この風―――― おそらく海岸へ近づけばもっと強烈でしょう
 海から吹く以上、必然的に向い風という事になりますね…」
「ハハ… よくよく神さんに嫌われたもんだな、我々も…」
心配し、早瀬の顔を覗き込む龍斗に早瀬は微笑んだ。
「そんな顔してんな少年 私らだって別に死にに行こうと思ってるワケじゃない
 所詮はアリ―――― 全速力でつっぱしれば、足に食らいつく程度もしれてるだろう」
――そして2人は意を決し、黒い絨毯の上を走り出した!


           神様―――― もう私達は誰もあなたになんか期待しない――――
              人間は人間の力だけで―――― 生き延びてみせる!!

                                                         <続く>
811マロン名無しさん:2011/12/11(日) 21:06:50.62 ID:???
やばいな、これ…鬼崎と早瀬さんが死にそうだ。
鬼崎はどうでもいいが早瀬さんは貴重なおっぱいだ、死なせないでほしい…

ああ…BMの完ママの最期が再びか…?(´;ω;`)
812マロン名無しさん:2011/12/11(日) 21:43:17.01 ID:???
キャッ!
813マロン名無しさん:2011/12/12(月) 03:21:51.27 ID:???
二人ともいい大人だよな…鬼崎のツンデレっぷりはたまらんな。みんな生き延びろ…
814マロン名無しさん:2011/12/12(月) 11:01:09.09 ID:???
ボルケーノって映画で仲間を担いで溶岩の上歩いて溶けちゃった作業員さんを思い出すわ・・・
815マロン名無しさん:2011/12/12(月) 11:28:33.95 ID:???
こういうかっこいい大人が死ぬのはもったいないよな〜
何とか助かってくれ
816マロン名無しさん:2011/12/12(月) 16:14:12.28 ID:???
>>814
俺そのビデオ持ってる…あれは屈指の名シーンだ
817マロン名無しさん:2011/12/12(月) 20:37:10.31 ID:???
アリが人間を引きちぎるというシーンで、手塚治虫のミクロイドSを思い出した
818あらすじネクタール 1/2:2011/12/13(火) 22:19:13.22 ID:???
  第22話『絶望のその果てに』


冒頭、母が亡くなった時の事を思い出す華音。

                いつだって―――― 子供は無力だ――――
              大人を差し置いて子供が大活躍――― なんてアニメか、
          ハリウッドのファミリー映画―――― 絵空事(フィクション)の中だけの話
                   子供の力では何もできやしない――――
                 子供の価値観なんてなんの役にも立ちやしない――――
             現実のあたし達に出来る事は、ただ―――― 大人達に護られる事だけ――――



まるでぬかるみのような蟻の群れを全速力で走る鬼崎と早瀬。
これだけの大群の前にエサは自分達だけなのだ。まさに文字通り「手厚い歓迎」だ。


すさまじい向い風に耐え、ようやく防波堤に辿り着くが―――― 岩が完全に水没してしまっていた。
立ち止まっている間にも蟻は2人の体を這い上がってくる。
やむなく鬼崎は華音達を防波堤の上におろし、おとなしくしてろと命じるとその場を駆け出した。
そして近くの民家へ向かうと、力を振り絞って小型ボートを持ち上げようとする   …が、重くて動かせない!
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「まったく世話の焼ける自称合理主義者様だな
 風といい、身体といい、このコンディションで一人で運べるワケないだろ、こんなモン」
――なんといつの間にか隣に早瀬が現れ手を貸してくれていた!
「ステキな女性の前ですからね、ちょっとカッコつけたかったんですけど」
「光栄だな ただ欲を言えば、次からはもう少し早めにしてくれ」
そして大人2人は胸まで蟻を這い登らせながらボートを運んできた…。
819あらすじネクタール 2/2:2011/12/13(火) 22:19:36.92 ID:4yNE1Avh
防波堤に蟻が這い上がり、今にも華音達に食らいつこうとする。
早瀬は海へ飛び込めと叫ぶが、先生と早瀬を残しては行けない。
『戸隠君!お姉さんを連れて行け!こんな所で無駄に死ぬんじゃない!!
 これからは君が自分で判断するんだ戸隠君!! 今やるべき事を決断しろ!!』
鬼崎の一言に意を決した龍斗は、嫌がる華音の手を引き海へ飛び込む。

浮かび上がった華音が見たものは―――― 子供達を守ると言う使命を果たし、蟻の群れに包まれる2人の姿であった。
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華音の叫びは激しい波の音に消され、それから1時間ほどが過ぎると雨が降ってきた。
「何よ…今更… あと…1時間早く降ってくれれば、先生も早瀬さんも死なずに済んだのに…
 寒い… もう…ダメ… もう…あたし達を護ってくれる人は誰もいない…
 ネズミもアリも… 天気まであたし達を殺そうとしてる… いいよもう… 疲れた…」
弱気になる華音に、陸に上がろうと言う龍斗。今なら蟻はみんな巣へ引き上げているはずだ。
「どうしようってのよ、今更陸へ上がったって…」
「わかんないよ、どうしたらいいのか… だけど何にもしないでこのまま死んだら――――
 先生と早瀬さんが死んだのが無駄になっちゃう、それって合理的じゃない――――」
――もはや龍斗は気弱な少年ではなく、精神的に大きく成長した男の“目”をしていた。
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2人は陸へ上がり道路に向うが、華音はまだショックから立ち直れずにへたり込んでいた。
「無駄よ… 歩いたってもうどこへも行けやしない…
 あたし達にできる事なんで、何にもないのよ初めから…」
――すると龍斗は前方から車が来るのを発見、車を止めようと手を振る。

こちらに気付いた車が止まると、中から降りてきたのは――――父親だった!
奇跡の再会を果たした戸隠親子は走り寄り抱き合うのだった。
ttp://sakurasite.homeip.net/imgboard/img-box/img20111213221321.jpg      <続く>
820マロン名無しさん:2011/12/13(火) 22:58:26.46 ID:???
うわあああああああああああ早瀬さーーーーーーーーーーーん!!貴重なおっぱいがーーーーーーーーーー!!
821マロン名無しさん:2011/12/15(木) 13:37:18.02 ID:???
断末魔の叫びが上がらないのはいいシーンなんだが、現実には無理だよな…
2人とも、心配させまいとして耐えたんだろうな…(´;ω;`)

そして戸隠親子はついに再会か、一体どんなラストになるのか?
…しかしそろそろ最終回近そうな雰囲気なのに、一向に鷹田が死ぬ気配ないな
822マロン名無しさん:2011/12/15(木) 22:27:13.23 ID:???
まるで事態に突破口が見えないが、親子が再会したぐらいで何か好転するんだろうかねえ。
823マロン名無しさん:2011/12/15(木) 23:22:44.58 ID:???
親子が再開した事で、死ぬ時も一緒になれるじゃないか…
824マロン名無しさん:2011/12/16(金) 18:35:56.72 ID:???
親子が再会して鷹田が死んだらエンディングでも驚かない
825あらすじネクタール 1/4:2011/12/16(金) 21:14:11.42 ID:IQZG0rzF
  第23話『再会』


             これだけ抱きしめても何のぬくもりも伝わってこないのは――――
                 冷え切っているからか――――? 幻だからか?
                   オレの息子はこんなにも小さかったか―――?
                   オレの娘はこんなにもか細かったか―――?

「なぁ…麻切君… 教えてくれ… これは夢か…?オレはまた夢を見ているのか…?
 いや…どうだっていい… これが夢なら―――― このまま醒めるな――――!!」


麻切は気をきかし、とりあえず車へと声をかける。
麻切の存在に気付いた2人は父に紹介され、麻切は微笑んで2人を見る。
「よろしく―――― 華音ちゃんと龍斗君ね、お父さんからいつも話は聞いてます」
しかし何でお互いこんな所にと問い詰めようとした時、車に残った鷹田が一人で運転させ逃げ出してしまった!
「ふ… ふざけんな…冗談じゃねぇぞ… 何かの間違いだろ…?
 なんでここにあのガキ共が… バケで出やがったのかよ… オレに復讐しようってか…?
 い… 生きてやがったにしても…ありえねぇ… なんでこんなトコに…」
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話は少し前にさかのぼる。
日本全国にあれだけの蟻が大量発生していると、どこにも逃げ場はない。
…となると、なんとか船を手に入れて海の上へ逃げるしかないと麻切は提案する。
鷹田はネズミを恐れ、車で走り続けていれば蟻も入ってこれないと反論するが…
『いつまでも走ってられると思ってんですか!? ガソリンだってもうそんなに残ってないんですよ!』

――そして現在。
「よ… よかったじゃねぇか、おめぇらはそこでお望み通り船でもなんでも探しな…
 そん変わりこの車はオレがいただく、恨みっこなしだぜ」
826あらすじネクタール 2/4:2011/12/16(金) 21:14:27.63 ID:IQZG0rzF
走り去る車を茫然と眺める4人。
「す…すみません、私が… キーつけたまま車降りたりしたから…」
「君のせいじゃない、麻切君… 彼の言う事を全て真に受けていたオレの責任だ…」
――その後、4人はひとまず近くの家で雨宿りする事にした。


父は家の戸を開けようとすると、突然華音が待ったをかける。
「あ…あれだけいた蟻がいなくなったのって雨のせいなんだよね…?
 だったらあの蟻達って、今みんな雨の降らない家の中に逃げ込んでいるってコトじゃないの…?」
蟻に警戒する3人だったが、龍斗は多分大丈夫だと反論する。
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――となると、蟻が支配していたのならネズミもいないだろう。
「あとは―――― 我が家の昆虫博士のご意見を信用しよう」
かくして家の戸を開けると、幸運にもネズミも蟻もいなかった。



「ありがたいな… 電気もガスも停まっていても、灯油ストーブはちゃんと動いてくれる」
ストーブで体を温める戸隠親子、タオルと着替えを探してきてくれた麻切。
麻切は華音にも着替えをすすめるが、華音はぶっきらぼうにいらないと答える。
「あたしはいい! ここん家の人の服勝手に持ってきたんでしょ、それってドロボーじゃない」
「そりゃそうだけど… でもそんなズブ濡れの服のままじゃ、体壊しちゃうわ」
「いい、あたし 別にこのまんまで…」
父の一喝に華音は悲しそうな顔をすると、しぶしぶ服を受け取り着替えようとする。
『着替えるんだから出てってよ!』
華音の叫びに父と麻切はそそくさと退散し、龍斗はなぜ怒っているのか聞くが、別にと答えた。


その後父は家探しして食料を探し、缶詰やポテチ等のお菓子を集めてきた。
「ネズミや牛さえ喰い尽くす蟻達も…意外やビニール袋には歯が立たんか…
 ま、ジャンクな食い物ばかりだかないよりマシだろう、あの子達もどうやら何も食べてないようだし」
そして父はその場にそわそわと立ちつくす。何かを待っているようだが?
827あらすじネクタール 3/4:2011/12/16(金) 21:14:40.31 ID:IQZG0rzF
「どうしました、課長?」
「い いた…もう着替え終わってるかな? うかつに入るとまた怒られるから…」
その様子に麻切は思わず噴き出した。
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壁をノックし、様子をうかがうが返事が無い。覗き込んでみると2人は仲良く眠っていた。
きっと疲れも溜まり、父に会えて安心したんだろう…。
「何があったかわからんが、子供2人ここまで生き延びてきたんだ…
 我々以上に辛い思いをしてきたんだろうな…」
父は麻切に先程の華音の反抗期&生意気な態度を詫びるが、麻切は総てお見通しだった。
「ああ… アレはでも、反抗期って言うよりは…」
「難しい年頃だからな、あいつも話したい事相談したい事あったろうに、
 妻が死んでからというもの、オレでは全く話相手にはなれなかった…
 君なら…少しはあいつの気持ちも理解してやれるんじゃないだろうか…?
 麻切くん、できればあいつの話相手になってやってくれないか…」
麻切は微笑むと、今世界がどうなっていると思うかと問う。
ラジオでは日本だけが襲われている訳ではないと言っていた。自衛隊も避難した人も全滅した。

「もしも世界中で同じ事が起こってて… 人類が全員死に絶えて――――
 生き残っているのが私達だけだとしたら、課長は―――― どうしますか?」

「人類はネズミや蟻に負けた訳じゃない…
 この地球と言う星の正当なルールに従わされただけだ…
 人類は確かにそのルールを踏みにじってのさばりすぎた
 だからこそ、人類を襲って爆発的に増加したネズミもたちまち蟻によって淘汰だれたんだ
 だが、やがてはその蟻達だって――――
 もし人類がこの地球にとって何の価値も無い生物なら、地球のルールに従って絶滅する事だってあるだろう
 だがオレはそうは思わない 我々にだってまだ存在する価値はあるはずだ、人類は絶滅しない!」
――まともな意見ではあるが、麻切が聞きたかったのはそういう事ではないのだ。
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828あらすじネクタール 4/4:2011/12/16(金) 21:14:58.89 ID:IQZG0rzF
ふと、コップがカタカタと揺れたかと思うと、突如壁にひびが入り水がしみ出してきた!
父は華音達を起こすと全員で2階へと避難する。
ベランダから外を見ると―――― 大雨による大洪水が発生していた!
周りを見ると、車だけでなく家も流されていた。この家も時間の問題だ…!
                                                 <次回、最終回!>
829マロン名無しさん:2011/12/16(金) 23:52:42.26 ID:???
再会できたと思ったらもう次回最終回とは。一体どうまとめるつもりですか藤澤先生?
830マロン名無しさん:2011/12/17(土) 02:41:55.58 ID:???
そういえば弟が大分前に何かに気づいてたような気がするがなんだったんだろう
打ち切りなのかなぁ…
831マロン名無しさん:2011/12/17(土) 05:11:49.38 ID:???
俺たちの戦いはこれからだ!
832マロン名無しさん:2011/12/17(土) 15:37:17.68 ID:???
>>830
東京から順に夜になってたって事?
833マロン名無しさん:2011/12/18(日) 03:21:47.70 ID:???
えっじゃあ地球全土やばいのか
834マロン名無しさん:2011/12/18(日) 14:58:45.78 ID:???
お前は今までどこを読んでたんだと。
作中で世界中がネズミに襲われてる、ってちゃんと説明してただろ
835あらすじネクタール 1/4:2011/12/19(月) 21:12:34.22 ID:f0mZuzU4
  最終話『終わりにみた風景』


大洪水に家がきしみ始め、このままでは流されてしまう!
逃げ場を探して一同が注目したのは、隣に建っている“病院”だった。
あそこなら鉄筋の4階建て、洪水にも浸水にも耐えられるが…問題はどうやって辿り着くか、だ。
「30m程度の距離ですけど、家を押し流すほどの激流ですよ? しかも流れに逆らって…」
…とはいえ、このままでは死ぬのも時間の問題。なんとかして病院まで辿り着くしか助かる方法はない。

――そう考えているのもつかの間、壁をぶち破って土砂が流れ込んできた!
このままでは土砂崩れに押しつぶされるが、不幸中の幸い、土砂崩れで病院までの道ができた!
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華音はいつ崩れるか分からないと嫌がるが、父は行こうと決意する。
「お前の言う通り、次いつ土砂崩れが起きるかわからん…
 が、もう一度土砂崩れが起こった時には間違いなくこの家は一息に押しつぶされてしまうだろう
 どのみちいずれこの家は押しつぶされるか、土砂に飲まれるかだ だったら行ける所まで行ってみよう」
…という事で、ぬかるみに気を付けながら4人は渡り始めた。
「くそ… せめて靴だけでも履いて出られていればな…」

半分ぐらいまで来た時、後ろからメキメキと家がきしむ音が聞こえ、家が土砂に飲み込まれた。
『い いかん、急げ!崩れるぞ!!』
4人は駆け出し、あとわずかと言う所で華音がぬかるみに足を取られ土砂に飲みこまれてしまう!
華音は死を覚悟し、恐る恐る目を開けると―――― 父と麻切が手をつなぎ、華音をしっかり捕まえていた。
「大丈夫?」
836あらすじネクタール 2/4
ようやく病院に辿り着いた4人は、窓を割って中に入ると父は麻切に感謝する。
「君がいてくれなかったら、どうなってた事か…」
父は華音にお礼を言えと叱るが、華音はうつむいたまま何も言わなかった。
『華音!』
「い いいんです課長 それより必要な物を探しましょう
 病院ですから、きっと乾いた毛布やシーツは手に入るはず… もしかしたら少しは食べ物もあるかもしれません」
「い いやしかし麻切君…」
「いいんです、ホントに…」


…ふと、窓の外を見るといつの間にか大雨は大雪に変わっていた。道理で急に冷えてくるはずだ。
麻切が冷蔵庫の中をあさっていると、後ろから華音が声をかけてきた。
「言っとくけど…あたしにいくら恩売ったって意味ないからね
 外堀から埋めていこうとか、そーゆーつもりだったら無駄だから
 あのバカオヤジ、超――――ガサツで鈍感なんだから、
 直接本人にハッキリ言ってやんなきゃ絶対わかりゃしないんだから――――
 別にさ、邪魔してるとか思ってほしくないワケ!好きにすりゃいーのよ、そんなん大人同士なんだからさ
 大体さ、迷惑なのよね いい加減子離れしてもらわないと
 いつまでもあたしらにまとわりついてないで、自分の…」
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ツンデレな言葉を遮って、麻切は微笑んで見つけたブドウ糖を差し出した。
「ほら、ブドウ糖見つけた♥」