投下できたので投下しました
失敗ごめん
霧の底は以上です
すげーびっくり!
この漫画、渡千枝じゃなかったのか!
内容がっつり覚えてるけど、作者とタイトル勘違いしてたわ…
投下乙でした!
780 :
マロン名無しさん:2012/01/15(日) 21:41:54.09 ID:inQxagN/
ほしゅ
「妖狐×僕SS」お願いします
アニメの1話だけ見たんですが、なんか原作の展開がすごいと聞いて
>>778 言われてみれば、渡千枝の絵で余裕で脳内再生できる
関よしみだとすると、食料めぐっての醜い争いはいつものよしみ無双か…
あ、こっちも脳内再生余裕だわww
小山鹿梨子さんの「校舎のうらには天使が埋められている」お願いします。
未解決のリストの中からなら何書いてもいいのかな?
では投下しますね。未解決リストにある機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91です。
登場人物
トキオ:連邦軍少尉。テストパイロットとしてアナハイム社に出向中
アイリス:アナハイム社のMS開発部エンジニア助手
ケビン:アナハイム社専属のテストパイロット
カール:元ネオジオン。現在はアナハイム社所属
レイラ:コロニーに住む元ネオジオン残党の子供
シェフィールド大尉:クロスボーンのMS試験部隊の隊長。通称「焔の虎」
オバリー少尉:クロスボーンの新人パイロット
ガレムソン:ネオジオンの残党狩りを行う連邦軍306部隊隊長。トキオの元上官
[]内はWikipediaから引用
[サナリィ製小型モビルスーツに遅れを取ったアナハイム・エレクトロニクス社は、失地回復の為、
非合法諜報活動を含む新型モビルスーツ開発計画「シルエットフォーミュラプロジェクト」 (SFP) を極秘裏に発足。
地球連邦軍パイロットであるトキオ・ランドールは、これにより完成した3機の試作機の一つRXF-91シルエットガンダムの
テストパイロットとしてアナハイム試験艦ブレイウッドに派遣され、月の裏側の暗礁宙域・ゼブラゾーンでの実動試験に参加する事になる。
数ヶ月に及ぶスケジュールも残すところ後一週間と迫った、宇宙世紀0123年2月18日。
トキオ搭乗のシルエットガンダムとケビン・フォレスト搭乗のRGM-111ハーディガンは、模擬戦中に所属・機種不明のモビルスーツと遭遇、攻撃を受け交戦に入ってしまう。]
何とか敵を退けたブレイウッドはゼブラゾーンからの離脱を始める。
一方そのころ、所属不明のモビルスーツが帰還した先でオバリー少尉がシェフィールド大尉から叱責を受けていた。
彼らはクロスボーンのMS試験部隊であり、この遭遇戦は彼らにとっても予定になかったものであったのだ。
「クロスボーンの存在はまだ世に出すことはできない。何者であろうともわれわれの姿を見たからには口を封じさせてもらう。」
かくしてクロスボーンはブレイウッド襲撃を決めるのであった。
敵襲を警戒しながら航行するブレイウッド。クロスボーンの襲来をセンサーがキャッチする。
先に出ていたトキオは単機で二機の敵の相手をしていて苦戦する。
トキオのきれぎれの「こちらガンダ………早く…ちそうも無い…」という通信にアイリスは過去の父の死がフラッシュバックする。
アイリスはMACSS(マニューバ・コントロール・サポート・システム)のスイッチをすべて切るように言う。
機体のバランスはめちゃくちゃになり、人間に負担がかかるようになるがその分、使いこなせれば機動特性が機敏になるという。
このまま死ぬのを待つならと、スイッチを切り本当の力を発揮したRXF-91によって敵を撃墜し窮地を脱した。
敵の攻撃で航行に支障が出ていたブレイウッドは遺棄されたものの機能しているコロニー・7バンチコロニーで修理を行うことを決めた。
無事コロニーに到着し、修理を始めるが資材が足りずコロニー内のプラントへ調査に赴くアイリスとトキオとMSに乗ったケビン。
そこに30年前のMSギラドーガが襲いかかる。難なく制圧したケビンがハッチをあけるとそこには女の子が乗っていたのだった。
少女の名前はレイラといい、元ネオジオンの生き残りの子供であった。
このコロニーに住み着いていた元ネオジオンの生き残りは六年前にやってきた連邦軍によって虐殺されていてレイラはブレイウッドもその仲間だと思って襲ってきたのだ。
なんとかレイラを説得し元ネオジオンの生き残りに接触するべくMSででていくトキオたち。
レイラに先導されネオジオンの残党を保護する交渉をするも失敗。レイラのみがトキオたちについてくることとなる。
一方そのころ、ゼブラゾーンにさらなる正体不明艦が到着しようとしていた。
その艦は極秘任務を受けた連邦軍の戦艦エイジャックスで、ブレイウッドへの任命書をもっていた。
そして指令通りエイジャックスに派遣されたアイリスは、そこで二機のネオ・ガンダムの調整をすることとなる。
さらにそのころ、オバリー少尉とシェフィールド大尉はMSに乗ってデータの受け渡し場所に移動中だった。受け渡し場所にはネオガンダムに乗ったガレムソンがいた。
待っていたのが連邦だったことに驚きつつデータを渡すと、いきなり攻撃を受け、オバリー少尉が殺される。激怒したシェフィールド大尉が応戦するもののエネルギー切れで撤退を余儀なくされる。
帰ってきたネオガンダムに戦闘のあとがあったのを見たアイリスはガレムソンに詰め寄るがそのまま監禁されてしまう。
トキオはエイジャックスにガレムソンがいることを知り過去を思い出す。
ガレムソンは三年前、トキオが特殊部隊にいたときの隊長だった。
残党狩りを自分の楽しみのためにやっていたガレムソンに反抗して処分を受けたことがあったのだ。
ガレムソンの元へ行くトキオ。ガレムソンから今回の一件のネタばらしを受ける。
今回の事件はアナハイムの上層部と連邦軍が組んで、クロスボーンとブレイウッドを交戦させデータを集めた上で両方始末するという計画だったのだ。
ガレムソンと銃撃になりからくも逃げ出したトキオはアイリスを救出しネオガンダム二号機に二人で乗り込んだ。
その時、レイラとケビンが助けにきてレイラがトキオが置いて行こうとしたRXF-91に乗り込んだところ、ガレムリンをレイラが発見し、逆上してガレムリンを殺そうとする。
ガレムリンこそ、レイラのコロニーで虐殺をおこなった張本人だったのである。
レイラを抑えてエイジャックスから逃げ出したトキオたちはガレムリンの乗るネオガンダム一号機に攻撃を受ける。
レイラが初めて乗ったMSで驚異的な機動を見せネオガンダムに対抗するも形勢は不利になる。
そこにガレムソンを狙いシェフィールド大尉がやってきてガレムソンに攻撃を仕掛ける。
その隙にコロニーの中に逃げ込んだトキオたち。エイジャックスがコロニーを砲撃しようとしているのを発見し、ネオガンダムのビーム砲でエイジャックスを撃沈させた。
そこにガレムソンが追いついて攻撃をする。トキオとレイラ二人がかりでも苦戦する状況で、アイリスの指示通りトキオの乗るネオガダム二号機がガレムソンの乗るネオガンダム一号機の背中をはがいじめにする。
実は二号機はコアブロックシステムを採用していたので機体は羽交い絞めにしたままコアファイターで脱出するトキオ。
身動きが取れないネオガンダム一号機を二号機ごとレイラが切りつけトキオがとどめをさしてガレムソンを倒すことができた。
喜ぶトキオたちを遠目に見ながらシェフィールド大尉は彼らを見逃し帰還していった。
結局今回のことは事故として処理され、さらに帰還したときにはフロンティアW襲撃事件が起こった後だったので騒ぐこともできず元の生活に戻るのであった。
しばらくして再開するトキオたち。トキオは軍をやめていた。アイリスは今回の事件の戦闘データをすべて隠して会社に渡さないでいた。
それを知ったトキオたちが笑いあっておしまい。
というところで機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91はおしまいです。
お次はSci-Fi HARRY
Sci-Fi HARRY漫画版は二種類あって東城麻美と阿部忍の二人が描いてる。
東城版は1995年刊行で二冊で途中打ち切り。安部版は2001年刊行で完結済み。
東城版に読む価値はまあ無いので安部版のストーリーを。
舞台は現代アメリカ。とある大学のバスケットの時間。気弱で運動もできないハリーのところにボールが来た。
お前に何ができるはやくパスしろと周りにせっつかれるなか、クラスメイトのキャサリンがシュートして!と声をかけてくれた。
やる気を出してシュートするハリーだったがなぜかゴール後ろの窓が割れガラスがキャサリンに降り注ぐことに。
それが原因でクラスメイトに殴られているのを助けてくれたのはキャサリンの恋人のジョンだった。
一方そのころ、町では器物破損事故が多発していて刑事が捜索していた。道路標識が捻じ曲げられたり信号機がねじ切れたり……
ベンチに座りいじめられている時のことを思い出しているとキャサリンがやってきてやさしい言葉をかけてくれ、キャサリンが気になってくるハリー。
その夜、キャサリンがジョンとデートをしていると不意を突かれキャサリンが連れ去られてしまう。
犯人は昼間ハリーをいじめていたクリスだった。レイプされる間一髪のところに現れたのは、キャサリンになにかあったと勘でわかったハリーだった。
しかしハリーはクリスに強く言えず殴られ、キャサリンを助けることができない。
いよいよキャサリンが危ないとなったとき、近くの工場が大爆発を起こして炎上し、それに驚いたクリスは逃げて行きキャサリンは助かるのであった。
一方そのころ、刑事たちは爆発のあった工場の近くで起きた首をねじり殺された変死体を発見していた。
ハリーはキャサリンの家に招かれていた。
キャサリンの弟のエリオットが見ているテレビに出ていた超能力者ミラキュラス・ミックのスプーン曲げを真似てみたところ驚くほど簡単に曲がるのである。
何度やってもスプーンは曲がる。これでハリーを馬鹿にする人は誰もいなくなるとキャサリンは大喜びする。
一方そのころ、変死体を捜査する刑事たちのもとに、別の場所でも同じ殺害方法の変死体が発見された報告が入る。その場所は奇しくもキャサリンの家の近くであった。
公園でキャサリンとともにスプーン曲げの練習をするハリー。
一方そのころ同じ公園で母親が子供の前で首を折られ殺害されていた。
大学の校舎内でクリスとジョンの喧嘩を止めるためナイフを曲げるハリー。
一方そのころ、校舎の外では首を折られた学生が……
超能力があると自覚したハリーはキャサリンに連れられTVショーに出ることに。
首が折れる変死事件の新聞を見ながらその番組のCMを見ていたジョンはハリーと変死事件の関係を発見する。
ハリーの超能力はコントロール不能で周りの人の首を折ってしまうことをハリーに告げるジョンだったが、
やっと巡ってきた自分のチャンスを捨てられないハリーはジョンを気絶させTV局へ向かう。
ハリーのTVショウがはじまる。
刑事を連れてTV局に入るジョン。
デモンストレーションで満員の観客の前でスプーン曲げを行うハリー。
TVスタッフがジョンの目の前で首を折られて死ぬ。
いよいよハリーのスプーン曲げを電波に乗せる間際、ジョンが放送を止めることに成功する。
そしてスタジオに向かったジョンが見たものはハリーとキャサリン以外観客が全員首が折られて死んでいる状況だった。
ぼくじゃない…そういって力を解放させたハリーはスタジオを爆発させ行方をくらますのだった。
ハリーを探すジョンはTV局のプロデューサに会う。その帰りなぜかFBIに拘束されそうなところを刑事にたすけてもらう。
もう一度プロデューサーに会いに行くが首を折られて死んでいた。彼が残したメッセージから告発者アキューザーという言葉が浮かび上がる。
ハリーは謎の組織に拘束されていた。その組織の名はアキューザー。
そこで、スタンリーという男にレイプされそうになったハリーは力を暴走し脱出をする。そしてジノリという少女に助けられる。
ジノリと友達になるハリー。裏切らないでねというジノリ。
そこにハリーの勘がキャサリンの危険を感知する。キャサリンはハリーによってTV界を追われたミラキュラス・ミックに襲われていたのだった。
そこに駆けつけるハリーだったがミックがハリーに銃を突きつけ絶体絶命。
しかしミックは逆に超能力で首を折られ死ぬのであった。
そこに現れたヘリ。急に熱を出して倒れたハリーをそのヘリに乗せるキャサリン。とそこには謎の組織アキューザーのケイトがいた。
ハリーを預けて一息ついたキャサリンのもとに子供とは思えない冷たい顔をしたジノリが現れる。
ハリーが帰りたいというから帰らせたのに…とキャサリンを責めるジノリ。そしてもうハリーは返さないからと告げ去っていく。
ハリーの容態を見ていたケイトのもとに扉をサイキックで壊しながらジノリが入ってきた。
口論の末、ハリーを殺そうとしたスタンリーをサイキックでバラバラにして殺してしまうジノリ。
そしてそのままハリーを自分の家に連れ帰ってしまう。
そのころFBIと接触していた刑事はアキューザーの正体を知る。
アキューザーとは冷戦が終了して不要になったCIAが持っていた冷戦時代のアメリカの暗部と言っていい会社を買収した企業家やCIA・OBによる組織だったのだ。
ジノリの家に連れていかれたハリーだったが、今までのことがうそのように穏やかに、二人で楽しく暮らしていた。
ところが、アキューザーからハリーに抹殺指令が出ていたのだ。
ハリーを暗殺しようとした少女をサイキックで殺そうとするジノリだったが、その少女は対サイキック用に強化されていて逆襲される。
そこへ現れるハリーだったが様子がおかしい。
ハリーは何者かに体を乗っ取られていたのだ。のっとっていた存在こそが真のアキューザーであった。
真のアキューザーとはCIAによって利用され、冷戦時代に繰り返された薬物実験などで後遺症に苦しむ超能力者たちだったのだ。
彼らはCIAの管理下に置かれジノリの家の地下で植物人間状態で幽閉されていたのだ。
ハリーの体を乗っ取ったアキューザーはその、超能力を電波に乗せる力を利用してアメリカ国民すべてにアキューザーが味わった苦痛、屈辱、罪を知らしめようとしていた。
アキューザーの力を束ねる存在として生まれたジノリはアキューザーに裏切られサイキックも使えなくなってしまった。
ジノリはハリーを取り返すためにハリーの心にダイブする。そこはTVショーの舞台だった。
アキューザーに唆され、もう一度、今度はちゃんとスプーンを曲げるから邪魔をするなとジノリに告げるハリー。
ジノリはハリーを説得する。
「超能力なんかなくたっていいじゃない。普通のハリーでいいじゃない」
「それじゃ駄目なんだっ!何も無い僕じゃ!ジノリにはわからないよ。僕のことなんか」
「わかるわよ……ずっとあの家で一人で暮らしていたのは人の悪意に触れないためよ。人は必ずいつか私を裏切る……でも」
「ハリー……あなたは違う。人に悪意を持たない。うらやんでも畏れても悪意は持たない、裏切らない」
「私はあなたのそばしかいられないの」
「ハリー」
そう言ってハリーの心の中から消えるジノリ。
ジノリの説得でアキューザーに刃向うハリー。200人の超能力者たちであるアキューザーを圧倒するほどのサイキックが発揮される。
気を失っていたハリーはキャサリンに起こされる。人間として成長したハリーはキャサリンに別れを告げジノリのもとへ向かう。
そのころ、組織の方のアキューザーは軍隊によって攻撃されていた。FBIとCIAを束ねる男、アメリカ合衆国大統領の命令でアキューザーを、ジノリを消すよう命令が出たのだ。
ジノリは自分の家でハリーのことを思い涙していた。
銃弾を止め、攻撃ヘリを落とし、ジノリの家に向かうハリー。そして二人が出会い、抱き合った瞬間、戦車による砲撃が……
一年後
スプーンでアイスを食べながらTVの野球中継を見ている大統領。突然画面にハリーが大写しになる。
場面は変わって野球場。ハリーとジノリは手をつないで野球場にいる。
「あの人TV見てたかな?」
「それは大丈夫だと思う。でも……」
「また、はずしちゃったかもしれない」
曲った血まみれのスプーンが描かれておしまい。
というわけでSci-Fi HARRY以上です。
アニメのほうはもっと無茶苦茶でアキューザーの正体がアメリカ国民全員のことだったり、
ラストはジノリとハリーがフュージョンENDという理解不能の終わり方だったりした怪作でした。
最後に半熟忍法帳の雑誌で掲載されなかった話(単行本書き下ろし分)
全体のストーリーは割愛して該当部分だけ。
799 :
半熟忍法帳:2012/01/18(水) 00:21:14.38 ID:???
最終回からしばらくして、沙織が大頭に嫁いだことで紅影団は火車忍軍に吸収合併されていた。
そんなある日、敵組織に沙霧が襲われていることがわかり沙霧のもとに急ぐ小頭だったが、ぼろぼろの沙霧をかばい刀で顔面を切られそのまま川に落ちてしまう。
そして小頭を助けるために川に飛び込む沙霧。
沙霧が小頭の顔面の刀傷を触るとずるりと顔の皮がはがれ月影の顔が出てくる。
実は小頭の本当の顔は月影で、昔雷太たちを拾った時に厳しく育てるために鬼のような顔に変装して生活するようにしていたのだった。
敵組織を片付けたのちのある日、桔梗(沙霧)が小頭のもとへ歩いていた。沙霧は小頭のために桔梗として変装したまま小頭と結婚しようとしたのだ。
小頭にプロポーズする桔梗だったが、小頭は沙霧が好きだからといって断る。
そして桔梗は変装をといて正体をばらし沙霧として結婚することとなった。
月日はめぐって数年後。
かすみと疾風の祝言の日。
二児の母で三人目を身ごもっていた沙霧と月影のままの小頭などがいるなか、
ウエディングドレスのかすみと紋付の疾風の結婚式が紅影団やいつものメンバーでドタバタになっておしまい。
これで半熟忍法帳の雑誌で掲載されなかった話(単行本書き下ろし分)はおしまい。
サイファイハリーとシルエットフォーミュラ読みました、乙です
タイトルが思い出せないんだけどストーリーが気になって気になって。
学園
複数で夜の学園に潜入
夜の王?的なことば
アンデッド
10年位前に見た。
わかる方いらっしゃったら教えてください。
相川有の「DARK EDGE」じゃないですか?
なら書けますけど
●基本設定
「メゾンド・章樫(あやかし)」という、高級マンションが舞台。
特別な家柄の者しか住むことを許されず、厳重なセキュリティが施され、
住人一人につき一人のシークレットサービス(以下、SS)がつくという。
実は住人は従業員も含めてほぼ全て、妖怪と人間が交わった末の子孫で、
そのうちでも珍しい、妖怪としての特性を色濃く持った「先祖帰り」たちだった。
先祖帰りたちは、始祖となった妖怪と同じ日・時間に生まれ、同じ容姿と性質を持ち、
稀にその記憶を受け継ぎ、不思議と同じ運命を辿るとされている。名前も初代のものをつけるのが慣例。
普通の子供のように両親の特性を継がないこと、人間離れした性質を持つことから、
先祖帰りは家庭内で異形視される事が多いため、マンションに身を寄せ合う事が確立された。
また、先祖帰りは純粋な妖怪に狙われることがあるため、互いに守り合う必要もあった。
SS制度はそのためのもので、主従としての拘束性はそれほど強くない。
●一章
白鬼院凜々蝶(しらきいいん・りりちよ /以下、りりちよ)は鬼の先祖帰りの少女。
妖怪の血を受け継ぐ家は何故か栄えるため実家はお金持ちで、
その事をやっかまれでいじめられたり、純粋な人間である妹と比べて親から愛情をそそがれなかったりと、
あまりいい環境で育たなかったせいで、なにかされる前に先手で冷たく暴言を吐いてしまう悪癖があった。
そんな性格を変えたいと思いながら、長年の習慣で変えられないことを、僕っ子であるりりちよは、
「時間は重みだ 僕はそう思う」
と内心でつぶやいた。
人と上手く接する事が出来ないりりちよは、高校進学を機に、一人で暮らすために家を出た。
メゾンド・章樫に入居する事になったが、一人で生きたいからとSS契約もしていなかった。
マンションにつくと、そこには何故かりりちよのSSを名乗る青年がいた。
御狐神双熾(みけつかみ・そうし)というその青年は、
何故か初対面のはずのりりちよを崇めており、「凜々蝶様」と呼んで慕い、
自主的にりりちよを守るためのSSに志願してきた。りりちよの転居の情報を得て前日に越してきたという。
身に覚えのない好意を向けられりりちよは困惑するが、ストーカーチックな双熾を仕方なくそばに置くことにした。
りりちよは危機を何度か双熾に救われ絆を深めていきつつ、
同じマンションに住み同じ高校に通う他の先祖帰りとも仲を深め、
少しずつ悪癖の払拭に励むようになった。
その他の主なメインキャラ
・反ノ塚連勝(そりのづか・れんしょう)
一反木綿の先祖帰り。普段は普通の姿で高校3年生。りりちよとは幼馴染である。
悪態をつくものの文面では本音を出せるりりちよからよく長文の手紙をもらっており、理解者。
・雪小路野ばら(ゆきのこうじ・のばら)
雪女の先祖帰りで成人女性。反ノ塚のSSを務める。
若干百合っけがある。
・青鬼院蜻蛉(しょうきいん・かげろう)
りりちよと同じく鬼の先祖帰りの青年。常に仮面をつけた変態。口癖は肉便器。
慣例としてりりちよの許嫁で、文通していた。
・髏々宮カルタ(ろろみや)
がしゃどくろ(巨大なドクロ)の先祖帰り。普段はりりちよと同い年の少女。蜻蛉のSS。
ぼんやりとした性格で食べ物ばかり食べている。
・渡狸卍里(わたぬき・ばんり)
豆狸の先祖帰り。普段はりりちよと同い年の少年。カルタの幼馴染で思いを寄せる。
・夏目残夏(なつめ・ざんげ)
百目の先祖帰りの成人男性。渡狸のSSを務める。
過去未来、人の思考、物理的なものに関わらず様々な物を見通すことができる。
先祖帰りの扱いには家庭ごとに差異があった。
尊ぶ家もあれば差別するところもあり、かつての双熾は軟禁されていた。
両親が誰かも知らないような環境で双熾は、汚い手を使ってでも自由を得ようともがいた。
手始めに使用人女性に体で媚を売り、より上の立場の女性に近づいていき、
とうとう一族の中で一番立場の強い女性に行き付き、先祖帰り家系の集まりに顔を出せるまでになった。
そこで出会った御狐神家より立場の強い家の女性は、
先祖返りの子供を持つ母親で、見返りなしに双熾を引き取った。
その家の息子は蜻蛉で、まだ子供である彼の世話を見る代わりに、
双熾は給与をもらい、いつかその金で家を出て一人で生きようと考えていた。
双熾がりりちよを知ったのは、蜻蛉に彼女からの手紙の返事を書くよう求められてだった。
手紙で知るりりちよは、繊細で潔癖そうな少女だった。
物心ついた時から他人に媚を売るための作法ばかり学習してきた双熾は、
淡々と相手が好みそうな内容を返信し続け、あくまでも仕事として手紙を書いていた。
だがいつからか、感傷的なりりちよの文に牽引されるように、
無感動だった双熾の中に感情が生まれていった。
一度りりちよは蜻蛉の家にやってきた。
遠くから見た実際のりりちよは、傲岸不遜な物言いをする子だった。
あんな子があの手紙を書いていたとは思えず、向こうも代筆だったのではと双熾は一度落ち込んだものの、
表面上は強気なりりちよが、他人の家ですごす緊張から帰宅した後吐いたということ、
代筆を頼む器用さもなく手紙はやはり自筆だった事、家庭の事情などを蜻蛉から知らされ、
自分と同じように不遇な立場にいながら感情を殺せず耐え続けているりりちよを守りたいと思うようになった。
というのが双熾がりりちよを以前から知っていた理由だった。
りりちよは文通の相手が蜻蛉ではない事には気づいていたが、まさか双熾だとは知らず、
蜻蛉の暴露により真実を知った。好意を寄せてくれる双熾のためにもと
りりちよは性格矯正をがんばるようになった。
マンションの専属コックは河童の先祖帰りで、彼の息子は普通の人間だった。
先祖帰りは始祖と同じ特性を持ち、言い換えれば生まれ変わりのようなものだった。
「お父さんが死んだらまた生まれ変わるんですか?
お父さんは来世でお母さんと違う人と結婚して僕じゃない子供のお父さんになるんですか?」
不安がるコックの子供のために、来世のコックに向けてタイムカプセルを残そうという企画が起こり、
りりちよたちも手紙を書くことになった。
来世の自分なんて実感がわかないからとりりちよは、差し当たっての目標として、
「悪癖を直して双熾のそばにいたい」的な事を書いたところ、うっかりそれを双熾に見られてしまった。
りりちよは激しく動揺したものの、口頭で改めて愛を告げ、双熾と交際するようになった。
りりちよと双熾はラブコメな日々をすごし、りりちよ入居後から半年ほどがたった。
そんな時、先祖帰りたちの眠れる妖怪としての本能を呼び起こし、
「百鬼夜行」を行い人間に害なそうとする謎の少年・犬神命(いぬがみ・みこと)が現れた。
それに逆らい立ち向かうりりちよたちだったが、犬神は強く、
りりちよをかばおうとした双熾は首を切り落とされ絶命した。
やがてまた春が訪れ、一人の少女がマンションに引っ越してきた。
つい人に悪態をついてしまうその少女はりりちよという。
彼女の前に現れた青年・双熾は、何故かりりちよを「白鬼院様」と慕い、SSになると申し出た。
りりちよは初対面の彼を前に、何故か涙をこぼした。
「時間は重みだ 僕はそう思う」
第一章終わり
●二章
りりちよお金持ちの子で、、家におもねり表面上だけ愛想よく接してくる同級生らに苛立ち、
人を遠ざけようとつい悪態をついてしまう悪癖を身につけていた。
マンションに移り住んでからは、SSの双熾や他の住民に囲まれ少しずつ丸くなっていった。
そんな彼女の前にある日、中年男性の姿となった反ノ塚が現れた。
その姿を見た瞬間、りりちよは意識を失った。
実は二章は一章から23年後の話で、りりちよを始めとするほとんどのキャラは、
一章のキャラの来世であった。反ノ塚だけは死なずにそのまま年を取っていた。
一章双熾の死後、一章りりちよはふさぎこみやがて死んだ。
百鬼夜行について調べようとした他の面々も次々に死んでいき、百鬼夜行の消息も途絶えた。
先祖帰りとは、ただ祖先の特性を継ぐのではなく、本来不死のものである妖怪が人とまざった事で、
人の腹を介して何度も再生している姿だともいえた。
生まれ変わった先祖帰りらは、りりちよと双熾は一章と同じ年齢差だが、
カルタはだいぶ年上の二十歳、野ばらと渡狸はりりちよより年下になった。
りりちよと双熾と渡狸以外の面々は、つい十数年前の事である前世の記憶を思い出していた。
彼らは時々集まっては、自分たちの死の原因をつくった百鬼夜行とはなんだったのかを調べ続けていた。
前世の事を忘れているりりちよらに、辛い記憶を無理に思い出させたりしないようにしていた。
人の心をある程度見ることのできる夏目は、双熾は本当は前世を思い出しているのではと疑っていた。
反ノ塚と再開し倒れた後、りりちよは悪夢を見た。
誰かの生首を抱いて泣くというものだった。
目覚めたりりちよは、夢の中の生首と同じ顔の双熾の姿に違和感を訴えた。
双熾はりりちよのことを、「白鬼院様」から「凜々蝶様」に言い換えるようになり、
暗示をかけるかのように、悪いことは全て忘れるよう諭し、
りりちよは胸に引っかかる断片的な記憶を忘れることにした。
以下連載中
変な名前ばっかだな
811 :
マロン名無しさん:2012/01/24(火) 22:52:44.59 ID:tVpWa3M5
保守
そろそろ容量も終わりに近づいてきたね
『さらい屋五葉』を詳細までとはいかず、中間ぐらいの感じで
どなたか書いていただけませんか?
>>812 長くなるかもしれませんが、書いてみます。
週明けぐらいまでお待ち下さい。
末松正弘さんという方が描いた「エイトマン」というSF漫画の内容と最終回を教えてくれませんか?ボーイズコミックという雑誌で連載されてましたが、廃刊になっていました。
815 :
マロン名無しさん:2012/01/30(月) 22:04:01.89 ID:zp+OXsIg
ほしゅ
小学館IKKIコミックス 全8巻
誘拐を「つとめ」「働き」、押し込み強盗や強盗致死を「急ぎ働き」など、時代劇的な表現が散見されます。
物語の趣には欠けますが、書き人が口語的な表現に変えている部分があります。
原作には文中で紹介する他に銀太という仲介屋、主人公の弟妹、いい味出してる立花という同心が登場しますが、これらのエピソードを拾っていくと止めどなく長くなってしまいますので、思いっきり省いています。
過去と現在が飛び飛びに交錯するシーンがあり、書き人の方で勝手に切り貼りしていますので、原作とは時系列が違う部分があります。
ノイタミナで放送されたアニメとは結末が異なります。
以上、ご理解、ご了承くださいませ。
気弱な浪人・秋津政之助(政)は郷里への送金の必要に迫られ、誘拐を生業とする拐い屋・五葉の用心棒になる。
脛に傷を持つ五葉の面々をまとめる頭目・弥一(イチ)はヤクザな遊び人のようでありながら、どことなく品のある男。
五葉には他に居酒屋の主人・梅造、女郎上がりの色っぽい美人・おたけ、腕のいい飾り職人として様々な店に出入りする情報屋の松吉がいる。
人質は薬で眠らせて、彼らが「ご隠居」と呼ぶ、引退した盗賊一味の元締め・宗治の庵に一時預かってもらい、身代金を受け取った後に生きて返す。
彼らが関わった誘拐には、五葉の楓の葉を添えた脅迫状を相手方に届けるという習わしである。
相手を吟味し、江戸で「五葉」の名が噂されることもなく、彼らの仕事は上手くいっていた。
複雑な想いを抱きながらも悪事に手を染める内、政はそのバカ正直さで彼らの信頼を得ることとなり、また、政も彼らに居心地の良さを感じるようになってゆく。
そんなある日、政は、新たに奉行所に赴任してきた与力・八木平左衛門と知り合う。
政と一緒にいた弥一を見かけた八木は「墓参りに付き合え」と政を誘い、道すがら昔話を話して聞かせる。
八木は元々この近くの沢井という旗本の次男坊で、後に八木家に養子に入り、江戸を離れていた。
沢井家の向かいには、同じく旗本の三枝家があった。
刻限過ぎまで遊び回って締め出された八木は、見かねた三枝家の使用人・弥一に招き入れられ、やがて互いに「弥一・平左」と名で呼び合う程に親しくなる。
その後八木は、弥一に懐いていた三枝家の跡取り息子・誠之進とも親しくなっていった。
この時代、子供が出来ずに貰い子をしたものの、後に跡継ぎが出来、疎まれる子も多かった。
誠之進もそんな子供であった。
肩に五葉の火傷の痕がある他は文武に優れ、利発な少年であったが、奥方に嫌われていた。
折悪く奥方が懐妊し、ますます誠之進の肩身は狭まった。 そんな身の上の誠之進にとって、弥一と八木は兄のような存在であった。
しかし更に折悪く、誠之進は誘拐されてしまう。
誠之進は家に戻って間もなく病死したとされ、それからすぐに、弥一も井戸に転落するという事故で亡くなった。
本当の跡取り息子もその後亡くなり三枝家は断絶、真相は闇の中…
長い話が終わり、辿り着いた墓には「弥一之墓」と書かれていた。
そして。
数年前に残忍な急ぎ働きで江戸を騒がせ、獄中にあった盗賊一味・白楽(ばくろ)の残党共が出所する。
彼らは自分達を密告し、一味の金を持ち逃げしたとされている「霧中の誠」という男を探しに江戸にやってくる。
残党の内の一人・仁は、つてを頼ってご隠居の庵に身を寄せる。
そして五葉は、新たに誘拐を決行。
大旗本である加納家の嫡男を拐うも、受け渡し人は身代金の半分と「あれは嫡男に非ず。返さずともよい。そちらで内密に処理されたし。表沙汰にすれば五葉の名が瓦版に躍ることになろう」と言い置いて去ってしまう。
身代金は嫡男の始末料ということだ。
事前の下調べでは、嫡男は養子ではないはずだった。
嫡男は奥方の不義の子で、誘拐されたのを幸い、厄介払いをされたのだろう…とイチ達は結論づける。
いつもクールなイチにしては珍しく、加納の嫡男に顛末を話して聞かせる。
家には戻るなと説得するが、嫡男は信じず「金は父上が私の為に用意してくださったのだ。そうでないはずがない」と涙ながらに訴える。
ふいに出ていってしまったイチを追った政は、イチの泣き笑いのような顔を見て、彼が三枝誠之進であると確信するのであった。
加納の嫡男を殺すわけにもいかず、梅造は彼を江戸の外れに離した。
後日、嫡男の行く末が気にかかり、加納家に向かったイチと政の前に、仁が現れる。
「霧が晴れたな、誠」
不穏な空気を感じた政はイチを逃がし、仁と向き合う。
仁は匕首(あいくち=短刀)を納め「あいつに、次はケリをつけると伝えろ」と去る。
住まいの長屋に戻った政はある決心を固め、イチに自分の身の上を語る。
政は秋津家の長男として生まれながら、人見知りで気弱な性格ゆえに宮仕えに馴染めず、藩主より暇を出されてしまう。
剣の腕は良いものの、人目が多いと足がすくんでしまい、満足に立ち合いも出来ない。
背だけは高いが、自信の無さから、いつしか猫背になった。
そんな自分を変えたい、そしていずれは再仕官を果たしたいと思い、政は江戸に出た。
しかしそう簡単にはいかず、何度も用心棒の職をクビになり、途方に暮れていた時にイチに声をかけられた。
「お前さん、俺を守ってくんねえか?」と…
母が病に倒れたとの手紙が届き、政にはどうしても金が必要だった。
後にそれは弟・文之助による嘘であったと判るが、自分の離藩により俸禄を下げられ、替わって跡を継いだ弟の苦労を思えばこそ、知らぬふりをした。
戸惑いながらも悪事に手を染め、再仕官など望めぬ身となったが、後悔は無い。
「過去は関係ない。今を楽しめ」と軽やかに世を渡るイチの様は小気味良く、政は彼のようになりたいと思った。
しかしイチの過去を知った今、政にはそれがイチの精一杯の虚勢のように感じられるのだった。
「過去に囚われているのは、弥一殿なのではござらんか?」
「なんだと!」怒るイチに、冷静に政は相対する。
「某(それがし)が身の上を話したのは、弥一殿のことを知りたいと思ったからでござる。某はこれから、ご隠居をお訪ね申す」
江戸の外れ、ご隠居の庵にて、政はイチの過去を聞く。
誠之進を誘拐した白楽に、三枝家から始末の申し入れがあった。
誠之進をよく知る弥一は、とうに事故に見せかけて殺されていた。
仁は誠之進を気の毒に思い、手元に置くことにした。
仁は「過去は関係無い。今を楽しめ」と誠之進に言う。
しかし、家人に見捨てられたという思いを拭えず、誠之進は自らを「霧中の誠」と称した。
霧の中であれば、女子供であろうと平気で斬れる。誠は冷酷な殺人者に成長していった。
仁は誠を恐れながらも同情し、繰り返し「今を楽しめ」と言い聞かせた。
長じて、ある大店に急ぎ働きに入った白楽一味は追手をまく為、バラバラに逃亡した。
この時、金を運んでいたのは誠だった。
結局、この急ぎ働きで白楽一味は一網打尽にお縄となり、誠だけが逃げ伸びたのだった。
仁は白楽の残党があと二人いることを知っていた。
ご隠居に身を隠すよう差配し、イチの下へ向かう。
仁には、自分が誠之進を霧中の誠にしてしまったという後悔があった。
しかし白楽の者として、裏切り者へのけじめはつけなければならない。
同じ頃、加納家を探った松吉は、嫡男が病死として処理されたとイチに報告する。
荒れたイチは松吉に匕首をつきつけ、過去を明かす。
「身を守る金さえ手に入りゃあ、五葉なんて、俺にはもう無用のものだ」と言い捨てる。
その夜、政は弥一(本者)の墓にイチを連れ出した。
峠に差し掛かると、白楽の残党二人が現れた。政は二人を斬り、返り血を浴びる。
「某、人を殺めたのは初めてでござる。慣れてしまえば、何も感じなくなるものなのでござるか?」
「…そんなことを責めるなら、なんで放っておかない?白楽での俺を知ってるんだろう?だったら…」
「軽蔑いたす。だが、それを知っても尚、弥一殿と共に行く気持ちが勝ったのだ」
政はイチの手を引き、墓へと誘う。
寂しい林の奥に、粗末な石でポツンと建てられた、弥一の墓。
幼い頃が思い出され、イチは慟哭する。
誠之進であった頃、肩の傷さえ無ければと嘆くイチに、弥一がくれた言葉。
「鮮やかで、とても立派だ。自信をお持ちなさい。誠之進様の火傷の痕は、この楓と同じでしょう?」
庭の五葉の楓を見上げ、弥一は言った。
「誠之進様はお優しく、お強い。あの楓のように立派に成長なされる。私はそれを、お側でお見届けいたします」
しかしその夢は、叶うことはなかった。
その夜からしばらくして、瓦版に五葉の名が躍った。
切れ者として名高い八木は、政が刀で斬った白楽の残党の遺体を改め、着実に五葉の正体に迫りつつあった。
ある日の夕方、1人で弥一の墓に参ったイチは、白楽の仁 と出会う。
仁はイチを追い詰め斬りつけるが、自責の念に止めを刺せず、逃がしてしまう。
仁が林の中で途方に暮れていると八木が現れる。
八木は三枝誠之進を知っていることを明かし、仁はイチの白楽時代の過去を話してしまう。
「俺はあいつを見逃しちゃならねえ。ならねえが…あいつの希望を俺は奪った。今それをまた奪い上げる事は、俺にはできねえ」
仁は「誠をあんたに託す。つけるべきけじめを、奴につけさせてやってほしい」と八木に手をついた。
翌日から、梅造の店の近辺に八木の姿が散見されるようになった。
イチは自身が居候をしている女郎宿・桂屋の女将に政への文箱を託し、身を隠した。
弥一の墓で時を過ごし、いくばくか戻ると八木が待っていた。
「弥一、霧中の誠、三枝誠之進。一体、どの名のおめぇと接すりゃいいのか」
「三枝?」イチは薄く微笑んで「俺の名は弥一だ」と言い切った。
八木はイチの前に一歩踏み込む。
「北町奉行所与力・八木平左衛門として弥一、おぬしを拐かし一味『五葉』頭目、その疑いのかどでお縄とする」
五葉の面々は表向き平静を装い日々を暮らすが、イチがいつ自供するかもしれぬと疑心暗鬼となり、揉めることも多くなった。
そんな中にあって、政だけは頑なにイチを信じ、誰もがその愚直さにいっそ清々しさすら感じている…といった風であった。
金だけで繋がっていると思っていた五葉という組織が、いつの間にか大切な心の拠り所となっていたことを感じ、その終わりを寂しく思うのだった。
イチは拷問を伴う厳しい取り調べにも何も喋らず、一人で罪を被ろうとしていた。
政は八木の住まいを訪ね、座して向き合った。
「弥一殿を助けたい」
八木は立ち上がり、政を見下ろす。
「無実を証明するものを持っているか?それもなく、ただ助けたいとすがりに来たか」
「八木殿しかいないのでござる」
「五葉一味の名が出れば一同、死罪を申し渡す」
八木は政に背を向け、窓の外を見やる。政は膝に拳を握りしめ、汗をかいていた。
「八木殿はなぜ、白楽ではなく、五葉の件で縄をかけられたので?」
「奴が、自分が弥一だと申したからだ」
「…では、霧中の誠だと申せば白楽として捕らえたのでござるな」八木は答えない。
「もしも三枝誠之進と申していたら、見逃されていたので?」
八木は政の方を見ずに、目を閉じた。
「話は…それだけか?」退室を促す八木に、尚も政は食い下がる。
「弥一殿には、生き長らえてもらいたいのでござる!」八木は政に向き直る。
「お前さんは、道理の通らぬことをしている」そう言って、政を見据える。
「…俺は今、役人として道理の通らぬことをしている。己の首を締めるだけでは済まないぞ」
その顔を見て、政は悟った。
八木は政が五葉の一味であると知っている。おそらく、他の者達のことも分かっている。
これ以上、政がイチの命乞いの為に八木を訪ねるのであれば、見逃してやることが出来なくなる、ということなのだ。
その帰り、桂屋を訪ねた政は、女将がイチから預かった文箱を渡される。
中には、イチが今までの五葉の仕事で貯めた小判が詰められていた。
イチが「身を守るもの」だと思っていたもの。
今、イチは金ではどうにもならない過去と八木に向き合っている。
白楽として追われていた時、イチは桂屋に逃げ込んできた。
女将は彼を気に入り、以来、イチは桂屋に居候を続けてきた。
白楽の仲間達が捕らえられたことを知ったイチは過去を捨てた。
そして、手元にあった急ぎ働きの金で女郎のおたけを身請けした。
惚れた腫れたの話ではなく、イチにとっては「今を楽しむ」為だけの、気紛れな行動だった。
次第に他の仲間達とも知り合い、五葉が始まった。
司直の手が迫っていることを悟り、桂屋を離れ、周囲との関わりをできるだけ絶っていた。
覚悟を決めた後のイチは女将に礼を言い、やってきた時と同じように、ふらりと出ていったそうだ。
「難しいようで、あの子の求めるものは単純だった」
長い煙管をふかしながら、女将は言う。
「家族だよ。自分の居場所を、あの子は築きたかったんだ」
同じ頃、墓地を訪ねた八木は、弥一の墓前に供えられた楓の一枝を見る。
「おめぇがあいつの側にいてやれてたらなあ…」
翌朝、八木の出勤の道中に額を擦り付けんばかりに深々と土下座をする政の姿があった。
「夕方、道場に参れ。手合わせいたそう」
長い立ち合いの末、政は八木の木刀を落とした。
勝ったにも関わらず政は膝を折り、二本の刀を床に置いた。
「某は刀を捨てる。武士を辞め申す」 「二度と江戸に、俺の前に姿を見せぬと約束できるか?」
「約束いたす」
真っ直ぐに、迷いの無い顔で政は刀を差し出し、八木はそれを受け取った。
その夜。
奉行所での取り調べでは埒が明かぬということで牢に送られることとなったイチは、八木と向かい合った。
八木は座敷に座し、イチは白洲のムシロの上に座っているのもやっとという体である。
(※『遠山の金さん』的な画を思い浮かべていただければ幸いです)
八木はどうせ逃げられないからとイチの縄を解かせ、人払いをする。