福本漫画バトルロワイアル part.6

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388本心 5/10 (代理投下)
「あ、いやいや…!勘違いしないでくれ。少しぼうっとしてたっ…。
すぐ戻るから、部屋で待っていてくれねえか…?」
カイジは恐る恐る振り向き、笑顔を作って沢田に言った。
だが、沢田が真剣な様子で黙り込んでいるのを見ると、誤魔化せないと悟り、俯いた。

「……行かせてくれっ…!アンタらの気持ちは、心から有難いと思ってるんだ。
だが、悪いけど待っていられない。こうしている間にも田中さんは追い詰められていってるんだ。
本当に、本当の本当に取り返しがつかなくなる前に、行かなくちゃ」
「……田中沙織が死ぬことが、か?」
「田中沙織が死ぬことと、これ以上人を殺し続けることが、だ」
「アンタが殺されるかも知れなくてもか?」
「殺されたりしないっ…!」
「まともに話し合えるかどうかもわからないんだろう…安全を確保できるような策があるのか」
「……っ……ないっ…!でも、田中さんを探しながら考えるっ…!」

カイジの頑として譲らない様子に、沢田は既視感を覚えた。
「…さっきアンタ言っていたな…。田中沙織に助けられたと」
「そうさ…。彼女がいなければ俺はとっくに死んでいた…!」
「…だから…今度は助けるのか…。」

沢田は溜息を吐き、再びカイジを説得するために話し出す。
「お前の話を聞いていて思った事を、正直に言わせてもらう。
カイジ…お前達が仲間になったのも、命を助けられたのも、単なる成り行きでしか無いだろう。
“くじ”を引いて、当たったからって、それを引換所に持っていくか否かはお前自身が選べると思うがな」
「……そうかも知れない。だが、それが例え貧乏くじであったとしても、引いちまったって事実に変わりはないだろ?
言い訳してたって事実は変わらない。俺の方が先に彼女に声掛けたんだ」