和也は一条にニヤリと笑いかけた。
「オレはアンタの慎重さや、『沼』を作ったその発想を買ってんだ。
どうだ…オレの部下になっちゃえば…?きっと良い事あるぜ…!」
「は……」
一条の方は和也の軽い口ぶりに唖然としていた。
先程まで冷静に7億の損害について説明していたわりに、『なっちゃえば…?』ときた。
噂で和也の人となりは耳にしていたが、直接こうしてお目にかかるのは初めてだ。
実物を前にして、ただただ驚くばかりだった。
利根川が和也に話しかけた。
「和也様…、和也様の傘下に入れていただければ、部下の命も保障されるという情報を仕入れたのですが…」
「おお…?何…?何…?何でもう知ってんの…?それ…!」
和也がはしゃいだ声で利根川に尋ねると、利根川は頷きながら話した。
「ええ…それに関しては、あちらに見えますギャンブルルームの中で説明させて頂きたいと思います…。
一条…。お前にとっても、値千金の情報だ…。付いて来い」
利根川はそう言うと、病院の傍に建つギャンブルルームへと歩み寄った。