カードキャプターさくら連載中スレ

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1 ◆RDQNQFm41U
月刊「なかよし」1996年6月号より「カードキャプターさくら」という漫画が連載された。
この漫画について語ろうじゃないか。
尚、この漫画はクロウ・リードの魔力を借りて執筆されるため、一日に一話ずつの速度で連載されるようだ。
投下時刻は午後9時。たまにさくらが寝坊して、変な時期に合併号になる事もあるが気にしないでくれ。
ちなみに今日は1996年6月号の発売日だ。

このスレの詳しい事は連載中スレの楽屋裏にて。

初めての人は、必ず楽屋裏でルールを確認してから書き込んでほしい。

連載中スレの楽屋裏 第28幕 http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1229427330/
連載中スレまとめWiki(皆で作るまとめサイト) http://rensai.qp.land.to/
連載中スレについて http://rensai.qp.land.to/t/about
2第一話 1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/09(火) 20:39:47 ID:???
三日月に照らされた東京タワーの付近。
巨大なうさぎのような物体がビルの間を跳ねまわっていた。
「やっと追いついたわ」
その物体を追い続けていた少女はぐっと拳をにぎる。
少女の傍らには宙を飛ぶ、小さなオレンジ色のぬいぐるみのような存在が。
ぬいぐるみのようなものに「さくら」と呼ばれた少女は、暴れる物体に対し呪文を唱えた。
                                                レリーズ
「闇の力を秘めし『鍵』よ! 真の姿を我に示せ 契約のもと さくらが命じる 『封印解除』!」

さくらの足元に魔法陣が広がり、さくらが手にしていた『鍵』は杖のように変わった。
『THE WINDY』と下部に書かれたカードを取り出し、さくらは唱える。

「『クロウ』の創りしカードよ 我が『鍵』に力を貸せ カードに宿りし魔力をこの『鍵』に移し我に力を!」

さくらが杖でカードを突きながら続けて『風(ウインディ)』とカードの名を呼ぶと、杖が風をまとった。
「風よ!戒めの鎖となれ!」まとわりつく風に捕縛された物体は身動きできなくなった。

「なんじのあるべき姿にもどれ! 『クロウカード』!!」
そのまま物体は『THE JUMP』と書かれたカードに変わった。


目覚まし時計の音が鳴り響き、起床したさくらはあくびをしながら制服に着替えた。
(わたし 木之本桜 友枝小学校に通う小学四年生
 好きな科目は音楽と体育 嫌いな科目は算数 とりあえず元気が取り柄の女の子です)
テレビの前ではぬいぐるみのようなものが、さくらの戦いの様子がおさめられたビデオに釘付けになっていた。
さくらがビデオを取り出すと、ぬいぐるみのようなものは、
「何すんねん!いっちゃんええとこやのに!わいの一番ええ顔ー!」と猛抗議をしてきたが、
このビデオは今日が返却の約束の日だった。
ビデオの持ち主で撮影者は、さくらのお友達の大道寺知世という女の子。
そして、長々とさくらに抗議を続けているぬいぐるみのようなものは本名ケルベロス、通称ケロちゃん。
テディベアのような顔で、背に翼を生やしたケロちゃんは、ぬいぐるみではなく立派な生き物である。
(と いっても犬さんや猫さんじゃないんだけど じゃ なんなんだって? それは話せば長いのよ)
3第一話 2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/09(火) 20:41:20 ID:???
遅刻しそうだとバタバタ居間にやってきたさくらを、お兄ちゃんの桃矢は
「怪獣が闊歩してるみたいだ」と揶揄してきた。
桃矢は友枝小学校のすぐ横の、星條高校に通う二年生。
「さくら怪獣じゃないもん!」 「たしかに怪獣にしてはちみっちゃすぎるか」
年が離れていて長身の桃矢とは、ケンカをしてもさくらが勝てたためしはない。
(いつか絶対電柱くらい大きくなって踏んでやる!)
そこに、お父さんの藤隆が朝ごはんを持ってやってくる。
藤隆は大学で考古学を教えていて、やさしくて料理も裁縫も上手。
さくらのお母さんは、さくらが三つのときにに亡くなっている。
(でもさびしくないよ お父さんもいるし いぢわるだけどお兄ちゃんもいるし ケロちゃんもいるし)
飾られている写真の中のお母さんはきれいで、優しい微笑みを浮かべている。

サッカー部の朝練で早出の桃矢を追っかけ、ご飯を飲み込むとさくらもインラインスケートを履いて家を出た。
さくらのお目当ては、いつも桃矢の自転車の後ろに乗って登校している月城雪兎という男の人だった。
(この野蛮なお兄ちゃんのお友だちだなんて信じられないくらい やさしくてすてきな人なのーv)
やがて学校に着くと、雪兎は去り際にさくらにキャンディを渡してくれた。

さくらが惚れ惚れとしていたところ、そこにやってきた知世は、去り際にプレゼントをした雪兎を「やるヤツですわね」と評した。
ビデオを返し、撮影のことがてれると言うさくらに、知世は大仰に言う。
「てれてはいけませんわ!
 あなたはこの世に災いをなす『クロウカード』を集める
 地球でたった一人の勇敢な少女なんですもの!」

(そうです わたしは『クロウカード』というカードを集めているの)
二か月前、四年生になったばかりだったさくらは藤隆の書庫で古い本を手に取った。
本を開くと表紙から抜け出るようにケロちゃんが現れた。
ケロちゃんはその本を守る「封印の獣」で、本当の姿はもっと大きくて「すっごいかっこいい」らしい。
長いこと本が大阪にあったために、しみついた大阪弁でケロちゃんは本の説明をした。
「この本はただの本やない 中に『クロウカード』ちゅうカードが入ってるんや」

  『クロウカード』 その『封印』が解かれる時 この世に災いがおとずれる
4第一話 3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/09(火) 20:43:04 ID:???
クロウカードとは『クロウ・リード』という物凄い力を持った魔術師が創ったカード。
カードは一枚一枚が生きており、それぞれが『名前』と『姿』と『魔力』を持つという。
カードはそれぞれが好き勝手に行動したがり、並の者には制御することができない。
そのため、クロウはカードを封印するためにこの本を作り、ケロちゃんを護り役として表紙に宿らせたという。
しかし、本の中の、カードが入っていたと思われる箇所は空っぽになっていた。
「わいがこの本の表紙で眠っとる間になんかあったらしい」
失態をごまかすようにケロちゃんは本題に入った。
この本は、魔力を持つ者にしか開けられない。さくらには素質があるのだという。
ケロちゃんは封印の『鍵』を本から呼ぶと、さくらに向かい呪文を唱えた。
「封印の『鍵』よ なんじとの契約を望む者がここにいる 少女 名を さくら
 『鍵』よ! 少女に力を与えよ! 封印解除(レリーズ)!」
足もとに現れた魔法陣から光があふれ鍵は杖となり――さくらは杖を手に取った。

「よっしゃあ! カードキャプターの誕生やー!!」

回想を終え、思えばケロちゃんに騙されたようなものだったと言うさくらを、かっこいいですわと知世は誉めたたえた。
知世はさくらと三年生の時から同じクラスで、頭がよくて美人でいい子で、すごく大きな会社の社長の娘さん。
さくらのカード集めを知る唯一のお友達で、カード集めの時のビデオ撮影と、
カードを探しに行く時にさくらが身につける服の作成をしてくれている。
「やはり特別なことをする時には それなりの服を着るべきですわ!
 そして記念のビデオ撮影はお約束ですわーーーーっ」
きらめきながらそう言う知世を前に、さくらはずっこける。
(いい子なんだけど ちょおおぉおっと 変わってるかも)

運動神経のいいさくらは体育の時間に大活躍。
友枝小学校と星條高校の校庭は隣り合っており、横では桃矢も大活躍。
「ご兄妹そろって素敵ですわねー」と知世はうっとりと赤面しながら言う。
こけた雪兎の頬をひっぱって見せつける桃矢に「コロス!」とさくらが憤っていた時――
突如、突風が辺りに吹きわたった。風の渦の中、一瞬だけ巨大な鳥の姿が見えた。

(確かに鳥だったわ でも あんなに大きな鳥なんて…まさか『クロウカード』!?)
5マロン名無しさん:2009/06/09(火) 22:29:08 ID:???
これってレイアース書いてた作者?
また魔法っつーかファンタジーか。そういう話が好きなんだろうか。
6マロン名無しさん:2009/06/09(火) 22:31:17 ID:???
まさかCLAMPがこんな正統派魔法少女ものを描くとは…
しかし知世ちゃんいいキャラしてんな
“ちょおおぉおっと”変わってるどころじゃないぞ
7マロン名無しさん:2009/06/09(火) 22:54:48 ID:???
レイアースより明るい感じでいいね。
主人公が低年齢化して普通に可愛いわ。
8マロン名無しさん:2009/06/09(火) 23:08:36 ID:???
さくらたんのエロ画像キボンヌ、と……
9マロン名無しさん:2009/06/10(水) 00:16:54 ID:???
コテコテの魔法少女ものだな。
だがクランプが作者なら毒がありそうだなレイアース第一部のオチみたいに。
10マロン名無しさん:2009/06/10(水) 00:47:22 ID:???
ビデオ撮影がお約束とはすごいな
11マロン名無しさん:2009/06/10(水) 00:49:04 ID:???
レイアースの頃と絵柄が全然違う
前は太い感じだったのに線が細くなってるような
12マロン名無しさん:2009/06/10(水) 00:53:17 ID:???
変身する魔法少女っていうのは定番中の定番だけど、コスプレする魔法少女っていうのは初めて見た
13マロン名無しさん:2009/06/10(水) 01:34:22 ID:???
CLAMPなー。
レイアースじゃ「『なかよし』で流血シーン(しかも主人公)」をやっちゃたっからなー。
また同じ事やるんだったら、なかよしから出て行ってほしいよ。
14マロン名無しさん:2009/06/10(水) 02:09:58 ID:???
知世ちゃんもコスプレしてさくらと一緒に戦う予感
15マロン名無しさん:2009/06/10(水) 06:43:55 ID:???
知世は兄貴に惚れてるのか
女の子はそんなおかしな体型してるわけじゃないけど、男キャラの肩幅がやばいぞ
16マロン名無しさん:2009/06/10(水) 08:33:53 ID:???
木之本家の人はみんな木のもとになる花の名前なんだな
レイアースは異世界キャラがみんな車の名前だったなあ
17マロン名無しさん:2009/06/10(水) 08:49:13 ID:???
少女漫画で流血なんて別に目面しくもないでしょう
18マロン名無しさん:2009/06/10(水) 11:15:03 ID:???
カード、西洋チックなデザインのわりに上の方には漢字があるんだなー
クロウは名前的に英語圏の人だと思うが、本があった大阪にでも暮らしてたのかな?
19マロン名無しさん:2009/06/10(水) 12:05:00 ID:???
兄ちゃんも雪兎もイケメンなのに男同士で自転車二人乗りとか…なんという空しさ
20マロン名無しさん:2009/06/10(水) 15:35:08 ID:???
これヒットしたら兄ちゃん×雪兎のヤオイ本でるんだろうな。
21マロン名無しさん:2009/06/10(水) 15:50:25 ID:???
いえいえそこはさくらの男体化で
22マロン名無しさん:2009/06/10(水) 16:16:38 ID:???
さらっと書いてるが七歳差の片思いなんだな……
23マロン名無しさん:2009/06/10(水) 17:40:09 ID:???
微笑ましいねえ
24マロン名無しさん:2009/06/10(水) 18:25:59 ID:???
さくらの運動神経ガチですごいな
体育のところの跳び箱八段はあったぞ
25マロン名無しさん:2009/06/10(水) 19:04:35 ID:???
あのスケートがすげえと思った
公道でやるのはちょっと危なくないか
26マロン名無しさん:2009/06/10(水) 19:14:39 ID:???
CLAMPは本当に東京タワーが好きだね
27マロン名無しさん:2009/06/10(水) 19:19:19 ID:???
ぼくはさくらたんが大好きです
この変形ショートカットがたまらん
快活さと女の子らしさを両立させている
28マロン名無しさん:2009/06/10(水) 19:37:57 ID:???
>>25
パンツ丸見えだな
29マロン名無しさん:2009/06/10(水) 19:55:30 ID:???
少女漫画によくある、スカートの下にはいてるレース状のもう一枚のスカートみたいなのってなんなんだ
さくらも履いてるけど
30第二話 1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/10(水) 21:00:06 ID:???
風の中の巨大な鳥を、さくら以外に見た者はいなかった。ケロちゃんはクロウカードではないかと言う。
「こりゃいっちょ現場までいってみるしかないな!犯人はかならず現場にもどってくるさかい!」
サングラスをつけ煙草のようにポッキーを口にくわえ、背景に炎をメラメラと燃やすケロちゃん。
「ケロちゃん最近、再放送の刑事ドラマに凝ってるの」
「わたしは『はぐれ刑事純情派』が好きですわ」

その晩、さくらは知世の作った衣装を身に着け、
知世との待ち合わせのため、インラインスケートで友枝小学校に向かった。
もちろんカードを捕まえるためだ。
さくらが到着すると、知世のボディーガードたちが会釈をしながら去っていった。
夜に外出する時はいつも知世を送迎しており、知世の母の方針で全員女性だ。
「すっごい!ボディーガードがいる小学生なんてあんまりいないよー!」
「あら 魔法が使える小学生もあまりいらっしゃいませんわ」
インラインスケートは下駄箱に置き、さくらは校庭に立つ。カードの気配がするとケロちゃんが言う。
そこに突風が吹き――巨大な鳥が姿を現した!「こいつは『翔(フライ)』のカードや!」
「闇の力を秘めし『鍵』よ! 真の姿を我の前に示せ 契約のもと さくらが命じる 『封印解除(レリーズ)』!!」
さくらは『風(ウインディ)』のカードを使い『翔』を捕縛しようとしたが――風が逆流して吹き飛ばされてしまった。
ケロちゃんに助けられて事なきを得、一方知世も無事でバッチリ撮影を遂行していた。

結局その晩は帰宅することに。ケロちゃん曰く『翔』は風属性のカードであるため『風』で捕えることはできないのだという。
「カードにもいろいろあるんや 大人しいやつ暴れもんなやつ 気むずかしいやつ 強いやつ弱いやつ」
一番友好的だという『風』はさくらと出会った時、自分から本の中に入ってくれた。
次に捕まえた『樹(ウッド)』も同じくらい友好的だった。
最近捕まえたばかりの『跳(ジャンプ)』はケロちゃんが言うには「好戦的やけど頭が悪い」。
『風』が効かなくても『翔』は友好的な性格のカードで、何故暴れているかはケロちゃんでもわからない。
クロウは占い師としても有名で、カードは占いにも使えるから、
もう少しカードがあれば『翔』の暴れる理由が占えたのにとケロちゃんは言う。
31第二話 2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/10(水) 21:02:01 ID:???
恋占いもできるかなとさくらははしゃぎ、ケロちゃんにも雪兎を紹介したいと言う。
ふと気づけば時計は午前一時をさしていた。さくらはベッドに入り込む。
ケロちゃんは、捕まえたカードたちに自分の名前を書いたかと聞いてきた。
ちゃんとカードの最下部には「SAKURA」と書いてある。
こうやっておけば、本から出してもカードはさくらのいうこと以外は聞かないので安心だという。


……ピルルルルルル
暗闇の中で鳴き声がした。
声のする方に歩いて行くと、足から血を流した鳥が地に伏していた。

そんな夢を見ていたところ、藤隆の呼ぶ声でさくらは目を覚ました。
あわてて支度を済ませてから、インラインスケートを学校に忘れてきたことに気づいた。
走って行っても遅刻してしまうため、さくらは桃矢に自転車に乗せてほしいと頼んだ。
「…今日の夕飯の片づけ、おまえな」
ニヤリと笑う桃矢。雪兎は弓道部の早朝試合に出るため早出したという。
さくらが見に行くと、雪兎はちょうど的の中心に矢をあてたところだった。
雪兎は弓道部員というわけではなく、無所属だが試合があるたびにあちこちの部から助っ人を頼まれている。
(頭もすごくいいし なんでもできて すてきで… はにゃーん)
そこに、突風が!上空には『翔』の姿。周囲の物を撒き散らしながら吹く風からかばい、桃矢はさくらを抱きしめる。
ピルルルと、夢の中で聞いたのと同じ鳴き声を残して『翔』は消えた。

その晩、さくらとケロちゃんはおそろいの羽モチーフの衣装で再び夜の校庭に立った。
『翔』の突風が襲ってくるが、さくらにはある作戦があった。
飛ばされたさくらは『樹』のカードを使い、樹木に包まれて無事に着地すると『跳』を使った。
さくらはシューズから翼を生やして『翔』のもとまで跳び、『翔』を抱きしめた。
「こわがらなくていいの ね」夢の通りに怪我をしていた『翔』は、安心したようにカードへと戻った。
怪我のことは夢で知ったのだと言うさくらにケロちゃんは驚く。(思ったよりすごい魔力の持ち主やで…)
本に戻すと『翔』の怪我は治った。『翔』は杖に移すと、杖に乗って空を飛ぶことができるという能力を持っていた。

――翌朝。 「うみゃあああ!遅刻ううう!」
カードは戻せてもさくらの遅刻癖までは解決していないようだった。
32マロン名無しさん:2009/06/10(水) 22:31:26 ID:???
>「わたしは『はぐれ刑事純情派』が好きですわ」

渋い趣味だな知世ちゃん…
おまけにボディーガードがいるってどんだけお嬢様なんだ
33マロン名無しさん:2009/06/10(水) 22:34:20 ID:???
お嬢様を置いて帰るボディガードって・・・
34マロン名無しさん:2009/06/10(水) 22:53:45 ID:???
送迎だけじゃなくてその間も見守らないといけないだろjk
それとも知世は意外と格闘技を教え込まれたりしててボディーガードはポーズだけだったりするのだろうか
35マロン名無しさん:2009/06/10(水) 23:07:59 ID:???
突風でさくらを守る兄ちゃんがかっこいい。
普段は扱い悪いけど、内心はデレデレしてそうだな。
36マロン名無しさん:2009/06/10(水) 23:17:45 ID:???
はにゃーんってのがなんかツボにきた
はにゃーん

あとフライかわいいよフライ
37マロン名無しさん:2009/06/10(水) 23:30:13 ID:???
穿ちすぎかもしれないが、魔法少女が使う呪文としては「闇の力」ってのはなんか不穏だな
38マロン名無しさん:2009/06/10(水) 23:32:19 ID:???
魔法なら闇は基本だと思う
39マロン名無しさん:2009/06/10(水) 23:49:37 ID:???
使うとき以外にもカードを呼び出してはべらせたりはできないのかな
フライ可愛すぎだろ
常に肩に乗せたりしたい
40マロン名無しさん:2009/06/11(木) 00:12:02 ID:???
力づくでカードを捕まえるんじゃなくて、カードの気持ちになって接することで解決するっていうのはいいな
41マロン名無しさん:2009/06/11(木) 00:27:28 ID:???
日頃から頑張って練習してる部員からするとゆきうさぎは腹立たしい存在だろうな
42マロン名無しさん:2009/06/11(木) 00:38:20 ID:???
>>40
うんうん
足が弱ってるとはチャンスだぜ!な邪な主人公じゃなくてよかった
43マロン名無しさん:2009/06/11(木) 07:28:51 ID:???
兄ちゃんはいいキャラしてる
44第三話 1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/11(木) 21:03:08 ID:???
「うちの学校 食堂かお弁当か選べるから便利だよね」
「先生も科目ごとに違いますしね」
みつあみの子、ボブカットの子、眼鏡の子、そしてさくらと知世の五人は仲良くお弁当を食べていた。
「わたしこくごの碧先生がすきー」「えー体育の寺田先生がいいー」
みつあみの子とボブカットの子がそう言い合っている中、さくらはずっとニコニコし続けていた。
「だってプールの日だもん!」
プールが楽しみで仕方がないさくらに、みつあみの子は怖い話をする。
みつあみの子の姉は六年生で、一昨日にプールの授業があった。
その時、誰かがいたずらをしたわけではないのに水中で足を引っ張られた子が何人も出たという。
昨日にも、三年生の子たちが次々に手や足を引っ張られたという。

(わたし こわい話とこんにゃくはだめなんだよー)
いざ迎えたプール授業。おびえながらも、泳ぎ出してみれば気持ち良くてたまらないさくら。
そこに悲鳴が! みつあみの子――千春が溺れかけてもがいていた!
助けに寄ると、千春の足首に絡みつくように水が渦巻いていた。
渦巻きはさくらにも絡みつき、わしゃわしゃと手足を動かしてもそれ以上泳げなくなってしまう……

「ほ…ほえ……?」
さくらが目覚めると、みんなが心配そうにさくらを見つめていた。
助けてくれたのは知世。知世は10メートルしか泳げないが、5メートル以内のところにいたので大丈夫だったそう。

帰宅して、ホットケーキをつくりながらさくらはその一件をケロちゃんに話した。
水の渦巻きからは、幽霊のようなこわい感じはしなかった。
知っているもののような、まるでクロウカードのような感じだった。
そこに桃矢が帰ってくる。ケロちゃんは身を隠すため速効でさくらの部屋に帰る
桃矢は、折角さくらがお小遣いをためて作ったホットケーキを無断でつまみ食いしてしまう。
さくらが激怒していたところ、雪兎もやって来た。
桃矢の部屋に行く雪兎に、ホットケーキを持っていきますと赤面しながらさくらは言う。

(はにゃ〜ん!)桃矢の部屋の前、お盆で両手がふさがって扉が開けられないと困っていたところ、雪兎が気づいて開けてくれた。
「どうしてノックしてないのにわかったんですか?」
「なんとなく さくらちゃんが来てくれたかなあって思ったんだ」
45第三話 2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/11(木) 21:04:32 ID:???
自室に戻るやいなや、さくらは幸せすぎてへたりこんでしまうが、
ケロちゃんに促されてカードの対策話を再開することに。
ケロちゃんが言うには、渦巻きの正体は『水(ウォーティ)』のカードらしい。
『水』は数あるカードの中でも高度な魔法。
四大元素の『地』『水』『火』『風』は使いこなすのが難しい。
攻撃魔法用でもある『水』は気性が荒く、今さくらが持っているカードでは太刀打ちできない。
同じ高度魔法でも『風(ウインディ)』は気性がやさしいから敵わないし、水のように形のないものは捕まえにくいという。

チアリーディング部で練習に励みながらも、さくらは『水』のことばかり考えていて上の空。
溺れかける子は後を絶たず、このままではプールが閉鎖になってしまう。
練習後に、さくらは手洗い場の蛇口をひねる。
手ですくおうにも流れて行ってしまう水――こんなものを捕まえることができるだろうか?
そこに、星條の方で掃除中だった雪兎が話しかけてきた。
「ホットケーキのお礼に今度、かき氷食べにいかない?イチゴミルクのおいしいお店があるんだ」
大喜びで「はいv」と返事をしながら、かき氷と聞いてさくらの中でひらめきが生まれた。
「雪兎さん! ありがとうございます!」
さくらは涙を流さんばかりに笑顔を浮かべて走り去っていった。

その晩。知世の母の会社でつくられたという携帯電話で、さくらは知世と連絡を取る。
鍵が開いていたかと訊ねるさくらに、食堂前に待機していた知世は「ばっちりですわ」と答える。
さくらは『水』を引き寄せると、『翔(フライ)』で宙を飛び、上階の窓から校舎内に飛び込んだ。
追ってくる『水』と共に階下に降り、食堂の中に入るとさくらは『風』を呼び出した。
『水』は『風』に吹き飛ばされ、その先の――食堂の冷凍庫の中で凍りついた!
「なんじのあるべき姿にもどれ! 『クロウカード』!」
固めてしまえば形を得て捕まえ易くなり、『水』はカードへと戻った。
「うちの学校は食堂があるから大きな冷凍庫があるんだもん」
窓と冷凍庫の鍵を確かめてくれた知世にさくらはお礼を言う。
そして、解決のきっかけをくれた雪兎にうっとりしていたところ、冷凍庫にいたままのさくらは凍って固まってしまった!
「よっしゃオチもついたな! 次回も根性見せたれ さくら!」
46マロン名無しさん:2009/06/11(木) 21:44:34 ID:???
はにゃ〜ん
かわゆすなあ
47マロン名無しさん:2009/06/11(木) 22:25:00 ID:???
で、これってカード集めてどうすんの。
CLAMPだしアニメ化とかグッズ化とかしそうだなあ。
48マロン名無しさん:2009/06/11(木) 22:38:11 ID:???
少々ボケに無理矢理感があるなあ
49マロン名無しさん:2009/06/11(木) 23:17:32 ID:???
まるでドリフのような無理な落ちだ
50マロン名無しさん:2009/06/12(金) 02:43:41 ID:???
アニメ化したら杖とかカードとか売るのか
51マロン名無しさん:2009/06/12(金) 06:32:18 ID:???
杖は鳥の横顔になっとるんかな?結構立体化は難しそうだ
52マロン名無しさん:2009/06/12(金) 09:06:20 ID:???
・食堂がある
・先生も科目ごとに違う
・制服がある

友枝小って私立学校みたいだな。それもかなりいい方の。
さくらの家もそれなりの金持ちなんだろうか?
53マロン名無しさん:2009/06/12(金) 17:08:49 ID:???
第一話読み返してみたら、校門にさりげなく「私立友枝〜」ってあったよ
金持ちらしい知世が通ってるくらいだしなー

今回、水の描写がうめえ
氷化したウォーティーきれいだ
54マロン名無しさん:2009/06/12(金) 17:57:36 ID:???
ウォーティーのデザインいいね
中性的な感じで
55第四話1/3  ◆RDQNQFm41U :2009/06/12(金) 21:06:53 ID:???
(ピアノのおけいこで遅くなっちゃった…早く帰らなきゃ)
夜も更けてきた中、さくらのお友達の眼鏡の子は公園を急ぎ足で歩いていた。
と、横にある池から小さな光が見えた。見てみると――池の中から一つ目のおばけが現れた!

「 ほ ぇ え え え ! ! 」

夏休み、チアリーディング部の練習の休憩時間にそんな話を聞いたさくらは思わず叫んでしまった。
件の公園は、ペンギン大王と呼ばれる大きなペンギンの形をしたすべりだいがある公園。
帰りにあの公園を通るのに……とさくらは涙目。眼鏡の子――奈緒子の見間違いでもないらしい。
こわがりながらも練習を再開したところ、高く飛ばし過ぎたポンポンが木に引っ掛かってしまった。
さくらはみんなの目を盗んで『鍵』を取り出す。                      レリーズ
「闇の力を秘めし『鍵』よ! 真の姿を我の前に示せ 契約のもと さくらが命じる 『封印解除』!!」
持ってきていた『跳』を使って木の上に飛び乗りポンポンを回収したところ、歌声が聞こえてきた。
コーラス部の知世の歌声が教室から響いていたのだった。
(きれいな声で歌もすっごく上手なの コンクールとかでもいっぱい優勝してるんだよ)
音楽の先生が出ていくと、さくらは木の上から知世に話しかけ、
一緒に帰る約束をした。例のおばけがこわいからだ。

さくらは、知世と奈緒子と千春と一緒に公園を通る。まだ日も明るいから大丈夫だと知世は言う。
だが、池が光を放ち――ゆるやかにウェーブした長い髪の女性が水面に現れた!
すぐにその場から走り逃げると、知世以外の三人は一斉に叫び声をあげた。
「おんなのひとがああっ!」
「なんかおっきくて目がひとつでぐるぐるのが!」
「もやもやしてよくわかんなくてとんがった耳の…!」
順にさくら、奈緒子、千春……みんな見たものがまるで違う。
「私が見たのは…ペンギン大王でしたけど………池の上にぼうっと」
知世の言葉にさくらは「ほえ?」と言うしかなかった。

ケロちゃんとお風呂に入りながら、さくらはその事件を報告する。
幽霊が出るという噂は以前からあったが、それは池ではなくその先にある大木にだった。
もしかしたらクロウカードだろうか? 幽霊はこわいからそうであってほしいとさくらは願った。
56第四話2/3  ◆RDQNQFm41U :2009/06/12(金) 21:10:01 ID:???
「早くケロちゃんが元の姿にもどってボディーガードになってくれればいいのに」
知世のボディーガードを思い出しながらさくらは言うが、もっとカードを集めなければ無理だという。
ケロちゃんのシンボルは『太陽』であるため、少なくとも『太陽』の属性の『火』のカードが必要。
元の姿はかっこいいとケロちゃんは言うが、
さくらにはケロちゃんが今の姿のまま巨大化している風にしか想像できなかった。

お風呂上がりの夕食は藤隆のつくった冷麦。麺類の好きなさくらは大喜び。
食卓にはいつも通り、さくらのお母さんの写真が飾られている。見たことのない写真だ。
「お母さんが十六歳の時の写真だよ」
藤隆は微笑む。お母さん――撫子は十六歳の時に、二十五歳だった藤隆と結婚した。
中学生の頃から撫子はモデル業を務めていたので、家には撫子の写真が数多くある。
雑誌から切り取ったものなど、撫子の写真は毎日藤隆によって取り換えて飾られている。
「お母さんきれいだね」 「うん 世界一きれいでやさしくてすてきな人だよ」
さくらには撫子の記憶はあまりないが、藤隆がいつも撫子のいろんな話を聞かせてくれたから、撫子のことが大好き。

桃矢はバイクを買うためバイトに出ているので、
さくらは桃矢の分のプリンをケロちゃんと食べることにした。
知世からファックスが届いていた。
明日の晩にペンギン大王公園の祭に行かないかということだった。
人がいっぱいいればきっと幽霊も出ないはず……翌晩、さくらは知世と桃矢と雪兎と共に祭に行った。
桃矢がいることに不満なものの、雪兎の存在に笑顔のさくら。一方、知世は桃矢を見て頬を染めた。

さくらに言われて桃矢は三人にりんごあめをおごってくれた。
「ゆき 足りるのかこれで」
「家でいっぱい食べてきたから」
りんごあめを手渡す際に桃矢と雪兎はそんな会話をする。実は雪兎はかなりの大食いなのだという。
「朝ごはん食べて二時間めにパン食べて、お昼にお弁当二段食べて、帰りにお好み焼き食べて、夜は家で食べて…」
いつも桃矢の数倍は食べるという。さくらと知世はちょっとびっくり。
前にさくらと一緒にかき氷を食べた時は二杯だけしか食べなかったが、
実はその前にパンを5個も食べていたそうだ。
57第四話3/3  ◆RDQNQFm41U :2009/06/12(金) 21:11:58 ID:???
そこに、悲鳴が聞こえてきた。池の方から女の子たちが駆けてくる。
「なんか足の長い変なのが!」
「ちがうーーー!白いのだよ!」
「きりんみたいに首が長いの!」
「ピンクでぴかぴかって丸いのー!」
口々に叫ぶおばけの姿は、またしてもみんなバラバラ。

こわいけどクロウカードなら捕まえなきゃと、一旦帰宅した後にさくらは知世とケロちゃんと共にまた池にやってくる。
知世はさくらにコンパクトのようなものを渡す。知世の母の会社の新作だ。
電話になっており、開くと右には番号を押すキーが、左にはポケットベルの液晶がある。
水の中でも連絡が取れるようにするためだ。短縮の1で知世に通じる。
さくらは『水(ウォーティ)』で水の玉をつくり、その中に入って池の中に潜ることにした。
玉の中の空気がある限りは潜っていられるが、長時間は無理である。

深くて暗い池の中をさくらは少しずつ潜っていく。
すると、底の方でなにかがキラキラと光を放っていた。
怯えながらも気を奮い立たせて更に近づくと、光がひときわ大きくなった。
光はゆらりと形を成し、波打つ長い髪の女性へと変わり、さくらに向って微笑んだ。
その女性は――




     「お … …

              … … お 母 … … 
                              さ … … ん … …!?」
58マロン名無しさん:2009/06/12(金) 21:57:23 ID:???
ケロちゃんの元の姿は多分レイアース
59マロン名無しさん:2009/06/12(金) 22:02:47 ID:???
ケロちゃんの元の姿ってどんなだろー。
ケルベロスってくらいだからかっこいいような気もする。
でも口調は関西弁w
60マロン名無しさん:2009/06/12(金) 22:09:02 ID:???
これは見た人の心理を反映させるとかそんな感じだろ。
ケロちゃんに心当たりがないから、カードは普通の状態じゃないかも。
61マロン名無しさん:2009/06/12(金) 23:28:04 ID:???
お母さん16の時に即結婚とかお父さんに犯罪チックな香りを感じる
62マロン名無しさん:2009/06/13(土) 00:15:16 ID:???
本来のケルベロスって三ツ首の魔犬かなんかだったはずだが、生えてくるのか?
あと前にも指摘されてたが、専門家でもないのにスポーツ万能の上に
超大食いのくせにあの体型とはバケモン過ぎるだろゆきうさぎ。
通常の食い物からは養分を吸収しないヴァンパイアかなんかじゃあるまいなw
63マロン名無しさん:2009/06/13(土) 00:31:56 ID:???
>>61
病弱で人より寿命が短いから早く幸せを掴もうとしたのだとエスパー
64マロン名無しさん:2009/06/13(土) 00:47:49 ID:???
あんな可愛いケロが頭三つの化け物になるとか小さい子トラウマもんだろ
65マロン名無しさん:2009/06/13(土) 16:56:35 ID:???
知世はスク水撮影はしないのか
66第五話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/13(土) 21:00:21 ID:???
[ オカアサンガイル ]
さくらから送られてきたポケットベルの内容にケロちゃんと知世は驚く。
水中のさくらの前には確かに撫子の姿があった。
さくらは身を包む水の玉を割り、撫子の胸の中に飛び込み抱き合う。
ケロちゃんは助けに行こうとするが、強い力で弾かれて昏倒してしまう。
続けて知世が池の柵を乗り越えようとしたところ――ジーンズ姿の誰かが先に水中に飛び込んだ!

息が出来ずに苦しむさくらは、水底へと沈んでいく。
薄れゆく意識の中で、さくらは誰かが自分の手を掴むのを感じた。

さくらが目覚めると、そこは雪兎の家だった。
「あ 着替えさせたのはうちのおばあちゃんだから」
雪兎は幼い頃に父母を亡くしており、今は祖父母と暮らしている。
たまたまコンビニに夜食を買いに行っていたところ、さくらを見つけて助けてくれたのだという。
知世はケロちゃんを預かり、ボディーガードに迎えられて帰っていった。
桃矢に連絡をしてあるので、迎えにくるまでしばらく眠るよう雪兎は言う。
さくらはまどろみながら、池の中で撫子に出会ったことを話した。
「むかし…お兄ちゃんが言ってたの 幽霊が出てくるのには理由があるんだって…
 お母さん… わたしになにか言いたいことあるのかな…」
「……でもね もしお母さんなら…さくらちゃんを危ない目に遭わせたりするかな」

そのまま眠りつづけるさくらを背負いながら桃矢は雪兎に礼を言う。
桃矢は撫子の霊を見たことがあるという。桃矢が中学に上がったころにはもういなくなっていたが。
桃矢は昔から幽霊の類をよく見ていた。
さくらが怖がりになったのは、桃矢があまりにもキッパリとどこそこに霊がいると話しすぎたせいだった。
さくら自身は、幽霊が見えるわけではないが、なにか感じるものがあるのか、昔からその手のものに敏感なところがあった。
「……やっぱ母さんがいなくてさみしいのか」
さくらを見ながらそう言う桃矢に、そんなことはないと雪兎は微笑む。
「会えるなら会いたいと思うのもしょうがないかも」
さくらを大事に思っているならいじわるをやめればいいのにと雪兎は言う。
「こいつで遊んでいいのはおれだけだ」
「とーや シスターコンプレックスってしってる?」
67第五話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/13(土) 21:01:43 ID:???
翌日。知世はケロちゃんを連れてお見舞いにきた。ケロちゃんは一輪の花をくわえて差し出す。
「ごめんな…… わい なんもでけへんで」
知世もお詫びのクッキーを渡してくる。さくらは二人の気遣いが嬉しかった。
冷麦を食べた時に見た、撫子の写真を二人に見せる。
写真のままの姿の撫子が池の中にはいたのだと。
目撃者はそれぞれ違ったものを見ていた。
そして、力はケロちゃんを跳ね飛ばすほどに強い。
正体はさっぱりわからない。
ただ、クロウカードにせよ幽霊にせよ、雪兎が通りかからなかったらさくらは危なかった。
「カード捜しを頼んだんは わいやけど さくらに大けがさせたり泣かせたりするんはいやや」
そう言って、ケロちゃんは今回の件からは手を引くよう言うが、さくらには諦めるつもりはない。
カードなら何とかしなければいけない。それに、昔桃矢が言っていた。
「母さんはここにはいない おまえがでっかくなったから 安心して空の上のすごくきれいな所にいったんだ」
なのにどうして撫子は池の中になんているのか、何が言いたいのか――それをさくらは知りたかった。

夜、さくらと知世とケロちゃんは、今度はお揃いのトランシーバーで連絡を取ることにした。
水上に撫子が姿を現す。今度は三人ともが同じ姿を見ていた。
撫子は近づくさくらを水中に引きずり込む。
(さびしいの? わたしにここにいてほしいの?)
もがきながら頭の中に疑問符を並べていると、雪兎の言葉が脳裏に浮かんだ。
――もしお母さんなら さくらちゃんを危ない目に遭わせたりするかな

「違う! お母さんはこんなことしない!」

瞬間、撫子の姿が揺らめき、そのシルエットが幾何学模様へと変わった。
この模様には覚えがある、クロウカードだとケロちゃんは叫ぶ。
さくらは『水(ウォーティ)』で水を一時的に取り除き、
底にいた『幻(イリュージョン)』をカードに戻した。
68第五話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/13(土) 21:03:27 ID:???
「人が見たいと思てるもんを見せることができるカードや
 それぞれの心の中にあるもんを見せるさかい
 みんなばらばらなもん見てても当りまえやな」

前に知世はペンギン大王のことを考えながら歩いていたという。
今回皆が撫子の姿を見たのは、池の中に撫子がいると聞かされていたから。
ケロちゃんが助けようとした際に弾かれたのは、
撫子に会えてうれしいというさくらの思いがそれだけ強かったためだという。
さくらは『幻』のカードに頬を添えながら涙を流す。
「でも…よかった お母さんこの池で一人ぼっちじゃなくて……
 会えたらうれしいけど でも…お空の上のきれいなところにいてくれたほうが もっとうれしいもん」

さくらがこんなにがんばってるならお母はんも安心や、ケロちゃんは微笑む。
ハッと、さくらは自分がびしょぬれになっていることに思い至る。
また池に溺れかけたことが桃矢にバレたらと心配するが――知世が予備の服をしっかり持っていた。

朝、新学期なのにいつものように遅刻しそうなさくら。
今日からバイク登校だという桃矢は余裕そうにさくらを見て笑う。
バタバタしながらも撫子への「いってきます」は欠かさずにさくらは出ていく。
そのさくらの横には――大きな翼を生やした撫子の姿が。
さくらは何も気づかないが、桃矢は撫子と目をあわせながら呆然とする。
「今回はちょっとだけ心配だからきたの でも もうだいじょうぶね」

撫子はすっと消え、後にはさくらの元気の良い声が響いた。

「いってきまーす!」。
69マロン名無しさん:2009/06/13(土) 21:21:22 ID:???
兄ちゃんの霊感に驚きだが、
それ以上に雪兎が気になった。
何か特別な能力があるんじゃなかろうか。
おかし持ってきたさくらに気づいたときとか。
70マロン名無しさん:2009/06/14(日) 01:17:25 ID:???
シスコンな桃矢がたまらん
71マロン名無しさん:2009/06/14(日) 01:22:04 ID:???
ケロちゃんのでかくてかっこいい姿ってまさか、高身長イケメンの人間形態だったりして
今回のかっこよすぎる台詞を前にそんな妄想がよぎった
72マロン名無しさん:2009/06/14(日) 01:30:49 ID:???
知世とか桃矢や雪兎の事とか、子ども向け漫画なのにあやしすぎる。CLAMPって同性愛みたいな描写多くない?
73マロン名無しさん:2009/06/14(日) 06:03:32 ID:aNiOravN
作者はそういうの好きそうだし、それっぽく書いてはいるがカップリングは白髪ペア、黒髪ペアにきっかり分かれるだろうな
さくらはゆきうさぎ一筋だし、知世も兄ちゃんに赤面してるし。
74マロン名無しさん:2009/06/14(日) 14:37:25 ID:???
母ちゃん、羽生えとるがな
75マロン名無しさん:2009/06/14(日) 15:45:08 ID:???
死んだら羽が生える世界なのか。
母ちゃんが特別なのか。
76マロン名無しさん:2009/06/14(日) 17:46:32 ID:???
前回知世が渡したポケベル、一話の扉絵で持ってたやつだね
77第六話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/14(日) 21:00:42 ID:???
今日は友枝小学校の運動会。足の速いさくらは一等賞。
ボブカットのお友達――利佳から一位の旗をもらう。
雪兎と桃矢も、二人でつくったという大きなお弁当を持って見に来てくれている。
藤隆は大学の授業だけでなく、発掘や研究発表にも忙しく、仕事が終わってから来てくれる。
午後に行われる「父兄参加100メートル走」には間に合うかどうか。

さくらは次に、チアリーディング部の演目に出る。
それに出る前に、放送の係をしている知世に会いに行く。
知世の母は会社の会議が終わり次第、運動会を見に来るという。
(わたし 知世ちゃんのお母さんには一度も会ったことないんだ だから楽しみ
 でも知世ちゃんからお父さんの話って聞いたことないんだよね 
  亡くなったってわけじゃないみたいなんだけど いろいろ複雑なのかなぁ)
知世はさくらの演技をバッチリカメラでとらえる。投げたバトンが頭に当たったものの、上手くできた。

「花びら、どっから降ってるんだろう?」
どこかからか花びらが舞う中、さくらと知世、桃矢と雪兎は一緒にお弁当を食べる。
話に聞いていた以上にものすごいペースで食べ続ける雪兎にさくらはびっくり。
そこに、息を切らせながら藤隆が現れた。
チアリーディング部の演目が見れなかったことを藤隆は悔いるが、知世はビデオを、雪兎が写真を撮ってくれていた。
「ごめんね さくらさん」 「ううん! 走ってきてくれてうれしい!」
男性陣がゴミを捨てに出ていったところ、知世の母がボディーガードを引き連れて現れた。
とてもきれいなその人はさくらを見て一瞬驚いたような顔をするが、すぐに笑顔に戻り園美という名だと自己紹介した。
「ほんとうに可愛い子ね …わたしの知ってる子によく似てる……」
下の名前しか知らないという園美は、さくらに苗字を訊ねる。そこに、藤隆が帰って来た。
「ああああああああああああっ 木之本先生!」
「園美くん…」
藤隆と園美は知り合い同士のようだった。
78第六話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/14(日) 21:03:25 ID:???
園美の旧姓は「天宮」。
だから藤隆は「大道寺」という知世の苗字を知っても園美の娘だということに気づいていなかった。
撫子も同じく元は天宮姓で、園美とは従姉妹同士だった。

「『桜』……この名前で気づくべきだったわ
 撫子が「ぜったい女の子が生まれたらつけるの」って言ってた名前ですもの」

園美は敵意をむきだしにして、藤隆を絶対に許さないと言う。
幼稚園の時からずっと大切にし続けていた撫子を奪った藤隆を、いまだに敵視しているのだ。
「おまけにたった二十七で死なせたくせに! へらへらへらへらしてーー!」
「……泣かないって約束したからね 撫子さんと」
園美は一瞬押し黙ったが、すぐにまた勢いを取り戻すと、100メートル走で勝負するよう挑んだ。

桃矢は、事情を知らない雪兎に経緯を説明する。
撫子は有名な財閥の令嬢だった。一方、当時の藤隆はなりたての新米教師。
苦労するのがわかっていたのに、撫子は16で結婚して学校に通いながらモデルとして働いた。
そのせいで撫子が病気で亡くなったというわけではないが、
それでも撫子の実家の藤隆への風当たりは強かった。
中でも、二人の結婚に一番反対していたというのが園美だった。
「そっか でも桃矢の家にある撫子さんの写真は 雑誌に載ったのじゃなくても、いつも幸せそうだけどね」
微笑み合う桃矢と雪兎。桃矢は周囲を見ながらつぶやく「…しかし すごい花だな」。
絶えることなく花びらが舞い散っていた。

いざ始まる父兄参加100メートル走。さくらと知世はゴールテープを持つ係。
園美は元国体選手だが、木之本家一だという藤隆の運動神経も負けてはいない。
絶えることなく花びらが降り積もっていた。

前が見えないほどの量の花びらに、流石に周囲も異常を感じてさわぎだした。
はらってもはらっても花びらが降ってくる。まるで校庭を埋め尽くすかのよう。

(まさか 『クロウカード』!?)
79マロン名無しさん:2009/06/14(日) 21:09:10 ID:???
教職の身でありながら、十六歳のお金持ちのお嬢様を落とすとは
なんて罪な男なんだ
80マロン名無しさん:2009/06/15(月) 00:06:08 ID:???
お父さん、桃矢・桜より上って
どういう一家なんだ
81マロン名無しさん:2009/06/15(月) 00:07:02 ID:???
桃矢と雪兎は料理もできるし女の子にもてそうだな
まあ、二人は興味なさそうだが
82マロン名無しさん:2009/06/15(月) 01:22:32 ID:???
知世の父は重要キャラになるヨカーン
83マロン名無しさん:2009/06/15(月) 07:35:10 ID:???
読者の気持ちを代弁してくれるキャラだな
84マロン名無しさん:2009/06/15(月) 12:43:19 ID:???
撫子は桃も好きだったのか
85マロン名無しさん:2009/06/15(月) 14:34:49 ID:???
令嬢でモデルで高校生で人妻か……ゴクリ………
86第七話 1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/15(月) 21:00:44 ID:???
花びらに足を取られて、もう競技どころではないという状況の中、藤隆と園美だけは競い続けていた。
身動きもまともにできない状態になっても、今度は花びらの中を泳ぐという方法で、けして立ち止まることはない。
「息ができないー!」 「お花でおぼれちゃうよー!」
そんな深刻な声も聞こえる中、意を決しさくらは『鍵』を取り出す。
花びらで周囲の視界が塞がれているので、堂々と魔法を使っても問題はなかった。

「闇の力を秘めし鍵よ 真の姿を我の前に示せ 『封印解除(レリーズ)』!!」

ゴールテープは千春と利佳にお願いし、『翔(フライ)』で知世も後ろに乗せて空高くに飛んで行く。
知世に渡された携帯電話で、さくらはケロちゃんに連絡を取る。
花がどこから飛んでくるかを突き止めればいい、とのアドバイスを受け見つけた先は――学校の屋上!

顔まで届くほどに降り積もった花びらの中、背伸びしてゴールテープを死守する千春と利佳。
背の高い桃矢と雪兎はゴールテープをひょいと取り、高い所に避難するよう2人に言った。
いつも通りの笑顔の藤隆と、必死な形相の園美はゴールの手前まで迫っていた。

さくらが屋上に着くと、そこには花びらを散らしながら笑顔で踊る女性の姿が。
女性に手を取られて、さくらは一緒にくるくる踊るが、我に返って女性をカードに戻した。
『花(フラワー)』のカードが全てを引き起こしたのだった。
楽しい事が好きな『花』は、運動会の盛り上がりに惹かれ、景気づけにと花を散らしたようだった。
『花』の能力は「いろんな花がだせる」といったもの。
と、知世が悲鳴を上げた。何事かと思いきや、ビデオを撮れなかったことに苦悩してのことだった。

一位の旗を手にしたのは藤隆だった。
花吹雪が止み、落ち着いた周囲はとりあえず校庭の大掃除をはじめた。
「これだけあればジャムがいっぱいつくれるねー」と雪兎は笑顔。
藤隆と園美の姿が見えないことにさくらは気づく。二人は校舎裏に消えていったという。

さくらと知世が駆けつけると、そこでは園美が「くやしいくやしい」と連呼していた。
高校の頃から、撫子を取られたくなくて何度も勝負を申し込んでは、いつ負けていたのだという。
87第七話 2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/15(月) 21:03:19 ID:???
「わざと負けたりしたら君に失礼だから
 君が撫子さんをどんなに大事に思ってるか知ってるから
 だからぼくも いっしょうけんめいがんばったんだ」
園美は忌々しげに撫子と藤隆の新婚生活を語る。
「ちっこいアパートに二人暮らしで! 新米教師のくせに一緒に登校とかしちゃって!」
とても悔しそう。

覗きこみながら、もめているみたいだと心配するさくらに、知世は耳打ちする。
言われたとおりに、さくらは『花』のカードを取り出す。
「あの二人に花を与えよ」
すると――藤隆と園美の手元へ、二輪の撫子の花がふわりと降って来た。
園美は涙を浮かべながら撫子を思い出す。
撫子は根っからの天然ボケで、園美が藤隆に挑むたびにほえほえしたテンポで場の雰囲気をあっさり壊していた。
わたしが一番撫子のことを好きでいた、そう言う園美に、撫子も園美が好きだったと藤隆は言う。
「でも、わたしが欲しかった『好き』じゃなかったわ」
撫子の姿を思い浮かべ、園美は涙を流す。
「撫子…幸せそうだったわ 先生と結婚してから…
 いつ見ても今までで一番いい顔して笑ってた……
 幸せだったくせに、こんなに早く逝っちゃうなんて……」
顔を覆う園美の肩を支え、藤隆は謝る。何故謝るのかと園美は言う。
「十六歳から二十七歳まで、ぼくが一番撫子さんとの時間をもらってしまったから」
そういうところが嫌いよと園美は藤隆の頬を力いっぱい引っ張った。

知世の髪がとても長いのは、撫子と同じようにしたいという園美の思いからだった。
園美の撫子への思いと同様に、知世もさくらのことが大好きだという。さくらは「わたしも」と答える。
「きっと さくらちゃんとは違う意味の『好き』ですけど」
聞き取れずにさくらは聞き返すが、知世は「さくらちゃんがもう少し成長したらお話しますわ」と微笑むだけ。
知世は桃矢を見る。耳の形がさくらとそっくりで、桃矢を見ているとさくらを思い出して赤面してしまう。

どこかのビルの上。中華風の衣装を身にまとった子供が双眼鏡でさくらたちを見ていた。
その人物の手には、半球状の光を表面に留めた不思議な羅針盤が。
「見つけた 『クロウカード』の気配だ」
88マロン名無しさん:2009/06/15(月) 21:34:44 ID:???
>きっと さくらちゃんとは違う意味の『好き』ですけど

フラワーさん百合の花お願いします
89マロン名無しさん:2009/06/15(月) 21:53:53 ID:???
百合親子ですね
最高です
90マロン名無しさん:2009/06/15(月) 21:55:40 ID:???
雪兎と桃矢かこええな。
俺も花で溺れそうな女の子が居たら替わってあげよう。
91マロン名無しさん:2009/06/15(月) 22:38:52 ID:???
お父さんセリフくさい…でもすんなり読んじゃうw
(なかよし体質なのでwww)

中華風の衣装をまとった子ってクロウカード集めるライバル?
92マロン名無しさん:2009/06/15(月) 23:20:02 ID:???
クロウカードを持ってるさくらが目的かもしれん。
93マロン名無しさん:2009/06/15(月) 23:40:36 ID:???
おいおい
なかよしって小中学生位の女の子が読むものだろ?
こんな大々的に百合ネタなんかやっていいのかよ?
94マロン名無しさん:2009/06/16(火) 01:22:22 ID:???
耳の形とかマニアックすぎだろ!

新キャラの女の子に期待
とりあえず魔法使い系っぽさそうだ
95マロン名無しさん:2009/06/16(火) 01:38:59 ID:???
藤隆と撫子の結婚は学校で騒ぎにならなかったのだろうか
96マロン名無しさん:2009/06/16(火) 13:02:42 ID:???
余裕で退学レベルだ
子供産んだのは何歳なんだろう
97マロン名無しさん:2009/06/16(火) 15:02:10 ID:???
さくらが3歳の時に亡くなってて今回の話で享年27と判明
さくらと兄ちゃんは7歳差だっけ?
だとすると単純計算で17歳で初産

やっぱ父ちゃん犯罪だ
98マロン名無しさん:2009/06/16(火) 19:04:47 ID:???
年の差や立場違いの恋愛について、個人的感情はともかくルール上は
特に問題視されてないっぽいというと、両親が出会ったのはCLAMP学園か?
99第一巻1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/16(火) 21:01:22 ID:???
「カードキャプターさくら」第1巻発売。 発行日 1996年11月22日。
「なかよし」の1996年6月号〜1996年10月号までの掲載分を収録、第一話から五話までにあたる。
一枚目のカラーイラスト 左上に太陽のシンボル。チアリーディングの衣装を着て、バトンを持ったさくら。
柱の各キャラクターのプロフィール

1 木之本桜

  誕生日       4月1日
  血液型       A型
  好きな科目     体育・音楽
  嫌いな科目     算数
  所属クラブ     チアリーディング部
  好きな色      ピンク・白
  好きな花      桜
  好きな食べ物   麺類・オムライス
  嫌いな食べ物   こんにゃく
  得意な料理    ホットケーキ
  今欲しいもの    新しい通学カバン

2 大道寺知世

  誕生日       9月3日
  血液型       A型
  好きな科目     音楽・国語
  嫌いな科目     なし
  所属クラブ     コーラス部
  好きな色      ベージュ・白
  好きな花      木蓮・桜
  好きな食べ物   お蕎麦・お寿司
  嫌いな食べ物   ピーマン
  得意な料理    イタリア料理
  今欲しいもの    新しいビデオ編集機
100第一巻2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/16(火) 21:03:58 ID:???
3 木之本桃矢

  誕生日       2月29日
  血液型       O型
  好きな科目     科学
  嫌いな科目     なし
  所属クラブ     サッカー部
  好きな色      ブルー
  好きな花      桃
  好きな食べ物   ステーキ
  嫌いな食べ物   がんもどき
  得意な料理    オムライス・焼きそば
  今欲しいもの    新しいスニーカー

4 月城雪兎

  誕生日       12月25日
  血液型       AB型
  好きな科目     数学
  嫌いな科目     なし
  所属クラブ     なし
  好きな色      白
  好きな花      雪割草
  好きな食べ物   なんでも
  嫌いな食べ物   なし
  得意な料理    カレー・シチュー
  今欲しいもの    新しいお弁当箱

おまけのクロウカードを模したしおりの絵柄は、さくらが杖を持っている姿。背景は桜色。

ラストのカラーイラスト  右上に月のシンボル。知世製と思われるカードキャプターの衣装を着て、クロウの杖を持つさくら。
101マロン名無しさん:2009/06/17(水) 07:51:11 ID:???
ゆきうさぎの欲しい物「新しい弁当箱」って重箱が必要なんじゃないのかw
知世は好きな色がベージュで好きな花が木蓮ってやっぱ渋いなーと思ってたら
嫌いな食べ物がピーマンとか可愛すぎる

そして木之本家の食事におでんは出ないに違いない(さくらと兄ちゃんの嫌いなもの的に)
102マロン名無しさん:2009/06/17(水) 12:12:06 ID:???
オムライスは兄ちゃんが上手に作るからさくらも好きになったのか、
さくらが好きだから兄ちゃんが練習したのか
103第8話 1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/17(水) 21:02:23 ID:???
季節はすっかり冬。コートを着たさくらはなにか考え事をしている様子だった。
十二月二十五日の雪兎の誕生日に、何を贈ればいいか悩んでいるのだった。
「利佳ちゃんにアドバイスしていただくというのは?」
「そっか 利佳ちゃん年上の人とお付き合いしてるんだもんね 誰かは知らないけど」
ちょうど登校してきた利佳に相談してみたところ、利佳もクリスマスプレゼントを買うのだという。
帰りに一緒に買いに行く約束をしていたところ、ホームルームをはじめに寺田先生がやってきた。
寺田先生と目が合い、利佳は微笑む。寺田先生は少し頬を赤くした。
今日は転校生を紹介するという。
呼ばれて入って来た季節外れの転校生は男の子。
香港からやってきた彼は李小狼(リ・シャオラン)という名前だ。
何故だか小狼はさくらを凝視する。はじめてあったばかりなのにと、戸惑うさくら。
彼はさくらの後ろの席に着くことになったが、後ろからもずっとさくらを見つめ続けていた。

授業が終わると、小狼はさくらを人気のない所に呼び出した。
「玉亭有勅 神硯四方 金木水火土 雷風 雷電神勅 軽磨霹靂 電光転 急々如律令!」
小狼が羅針盤を手にそう唱えると、羅針盤が光を放ちさくらへと向いた!
「『クロウカード』 持ってるな」
羅針盤はクロウカードを捜すためにつくられたものだという。
小狼はカードを渡せと詰め寄ってくる。
一緒に集めるとケロちゃんと約束したのだからと、さくらは拒む。
「ケルベロスのシンボルは『太陽』 『炎』と『地』を司る者」
小狼は、九か月もカード集めをしているのに全てそろえるどころか、
ケロちゃんが司る『炎』と『土』のカードを持たず、ケロちゃんを真の姿に戻せないさくらを蔑視した。

無理矢理カードを奪おうとする小狼、守ろうとするさくら、二人はもみ合いになる。
すると、小狼の首根っこを捕まえる者があった。桃矢だ。知世も駆けつけてさくらの身を案じる。
小狼は、かなり身長差のある桃矢の顔を狙って身軽に飛び蹴りを食らわそうとするが、防御される。
二人の男が互いに構え、今まさに戦いをはじめようとした時――

「 ぶ た ま ん あ っ た よ ー ー っ 」

雪兎が手をふりながら駆けてきた。ぶたまんのほかにもピザマンやカレーパンも持っていた。
104第8話 2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/17(水) 21:07:39 ID:???
放心したようにぼーっと雪兎を見る小狼に、雪兎はぶたまんをあげようとした。
途端に、小狼は顔中を真っ赤にさせ、その場から走り去ってしまった。
(なんなのおおおぉおっ!?)

クロウカードの創り手であるクロウ・リードはとても有名な魔術師だったという。
他にカードを知る者がいたとしても不思議ではなかったのだが、
いきなりのその存在にさくらは動揺し続けていた。
けれど、利佳がおすすめする可愛い雑貨屋さんに着くと自然と笑顔がこぼれた。
さくらの目に留まったのは、雲と月とうさぎの書かれた可愛いお茶碗。
誕生日にあげるには変かもと悩むものの、
食べることが大好きな雪兎にはぴったりだと知世に後押しされた。
一方、利佳の目に留まったのは、剣をモチーフにした細かな造りのお洒落なピンブローチ。
「わたしこれにするわ なんだかきにいっちゃたの」

さくらが帰宅すると、今日の当番の桃矢が夕食作りをしているところだった。
桃矢はバイトがあるので作り終えるとすぐ家を出るという。藤隆は出張中。
小狼のことを報告しようとさくらがケロちゃんのもとへ向かうと、
ケロちゃんは寝ぼけながら空中遊泳中だった。

「…『ユエ』…… あかん! そんなことしたらカードが!」

寝言を言いながら壁に激突したケロちゃんは目を覚ました。
小狼のことを聞いたケロちゃんは、さくらと一緒に夕食を食べながら、それは『李家』の者だと言った。
「わいのご主人クロウ・リードはな、お父はんがイギリス人でお母はんが中国人なんや」
そのためクロウの魔法には西洋魔術と東洋魔術が入り混じっており、
さくらが魔法を使う時に現れる魔法陣にも英語と漢字が入っているのだ。
カードに宿る魔法は、クロウが創りだした新しいものだという。
古くから伝わる魔術というものは、手順さえキチンと踏めばある程度のものまでは誰でも使用できるという。
しかし、一から自分でまったくの新しい魔術を創るということは非常に困難であるという。
クロウカードをつくったクロウはすごい人なんだと誉めるさくらにケロちゃんは、
「まぁ 本人は色々問題あったけどな」とちょっと呆れたように言う。
105マロン名無しさん:2009/06/17(水) 21:09:11 ID:???
クロウの母もすごい魔力の持ち主だった。李家は彼女の実家で、有名な道士の家系。
小狼はクロウの遠い親戚にあたる。
けれど、譲る必要はない、もうクロウカードはさくらのものだとケロちゃんは言う。
「……あいつがなんもせえへんかったらな」
ケロちゃんはつぶやくが、さくらには聞き取れなかった。
どうして小狼は香港からわざわざ日本にやって来たのだろうか?
さくらは、はじめて出会った時にケロちゃんが言っていたことを改めて訊ねる。


『クロウカード』 その封印が解かれる時 この世に災いがおとずれる


「『災い』ってなんかよくわかんないけど
こわいことがおこっちゃって 地球がどかーーーんってなったりするの!?」

目をぐるぐるさせてこわがるさくらに、なだめるようにそんなことはないとケロちゃんは言う。
「人によっちゃ『災い』でもなんでもないかもしれん」
さくらはホッとする。と、ドアチャイムの音が聞こえた。
ぱたぱたと玄関に向かうさくらの後姿を見ながら、ケロちゃんはつぶやく。

「けど 人によっちゃ地球がどかんするより つらいことかもしれんな………」

玄関のカメラを見ると、訊ねて来たのは利佳ちゃんだった。
寒いのにコートも羽織らずにいる利佳の胸元には買ったばかりのブローチがつけられている。
笑顔でさくらがブローチを覗きこむと――ブローチが突然に大きくなった!
不自然に無表情な利佳は、本物の剣のようになったブローチを構え、さくらに襲いかかった!
106マロン名無しさん:2009/06/17(水) 22:53:38 ID:???
利佳ちゃんと付き合ってる年上の人って寺田先生?
ミスリードでなければ、パパとは比べものにならん犯罪者
107マロン名無しさん:2009/06/17(水) 23:34:44 ID:???
あの描写と「年上と付き合ってる」からすると可能性濃厚だが…流石にヤバくね?
しかしライバルの子はいきなりカード渡せときたか
108マロン名無しさん:2009/06/17(水) 23:58:26 ID:???
ライバルの子って男装した女の子だよな
ゆきうさぎにポーッてしてたわけだし
109マロン名無しさん:2009/06/18(木) 00:35:10 ID:???
>「人によっちゃ『災い』でもなんでもないかもしれん」
>「けど 人によっちゃ地球がどかんするより つらいことかもしれんな………」
桜には辛いことですねわかります
110マロン名無しさん:2009/06/18(木) 02:13:13 ID:???
>>106
流石になかよしでそんなヤバイ展開にはしないだろ
幾らなんでも小学生に手を出す教師っていうのは・・・
111マロン名無しさん:2009/06/18(木) 07:46:05 ID:???
みんな操られてるっぽい利佳ちゃんの心配もしてやれよ
クリスマスプレゼント買いに行った筈なのにあのピンブローチを買っちゃってる時点で既に怪しい
どうみても年上の彼氏(先生かどうかはこの際おいといて)に贈る品じゃないだろあれ
112マロン名無しさん:2009/06/18(木) 10:38:23 ID:???
年上の彼女にだったらそんなにおかしくない
113マロン名無しさん:2009/06/18(木) 11:51:40 ID:???
>>111
変態ロリコン教師に手を出されていないかという点で心配している
114マロン名無しさん:2009/06/18(木) 16:08:28 ID:???
>>112
そういえば付き合ってる相手が男だとは何処にも書いてないな
115マロン名無しさん:2009/06/18(木) 17:30:44 ID:???
ここまで「ユエ」なる何者かに一切興味のない貴様等に泣いた
116マロン名無しさん:2009/06/18(木) 17:55:54 ID:???
ロリコン疑惑で頭がいっぱいなんです
どちらかというと利佳ちゃんが誘惑してるように見えないこともない
117マロン名無しさん:2009/06/18(木) 18:21:18 ID:???
何の情報もないのに何の興味が湧く
118第9話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/18(木) 21:11:00 ID:???
さくらは利佳の剣をなんとか避けるが、利佳はなおもさくらに迫りくる。
「あれは『剣(ソード)』のカードや!」
『剣』は使う人間を誰でも剣の達人にさせる。
操られている利佳の太刀さばきにはよどみがなかった。
『剣』は使い方次第では岩をも切れるのだという。
さくらは『花(フラワー)』を使い、花びらで目くらましをして『跳(ジャンプ)』で逃げる。
こちらが利佳を攻撃するわけにはいかないし、操られた利佳を放っておくわけにもいかない!

一時的に塀の上に避難していたところ、利佳の『剣』で塀が崩されてしまった。
落ちて倒れこむさくらに利佳は容赦なく『剣』を打ち込む。が、それを誰かの剣が受けた。
それは小狼だった。「弱い」とさくらに言うと、小狼は容赦なく利佳に剣を向けようとする。
さくらはそれを阻む。利佳に怪我をさせるわけにはいかない!
「あのお嬢ちゃんが一瞬でもええから 剣から手を離してくれたらええんやけど…」
ケロちゃんのつぶやきに閃き、さくらは一枚のカードを取り出し利佳のもとへ走った。

「彼の者が一番強く想う者の姿を映し出せ 『幻(イリュージョン)』!」

幾何学模様のシルエットは利佳にだけは特別な人物の姿に見えた。
「…せん…せ………」
利佳はつぶやく。放たれた『剣』がカードに戻されると、利佳は気を失った。
さくらの弱さを批判する小狼。ケロちゃんはさくらをかばうように二人の間に割って入る。
「これが…『封印の獣 ケルベロス』!? 黄金の瞳の最強の守護獣が………この…ぬいぐるみ……」
ケロちゃんを指さしながら、小狼はなにやらショックを受けた様子。
ぬいぐるみ呼ばわりされたケロちゃんは小狼の指にがぶりと噛みつく……と、人の気配がした。ケロちゃんは身を隠すため去っていく。
現れたのは雪兎だった。小狼の指の噛み傷に気づき、心配そうに小狼の手を取る。
小狼はまたしても赤面して一目散にどこかへ走って行ってしまった。

翌日、さくらは利佳に会いに図書室へ行った。利佳は『剣』にまつわる昨日の記憶が曖昧になっていた。
せっかく買った『剣』はカードになってしまったので、
さくらは自分が持っていた他のブローチを代わりにプレゼントする。
利佳は不思議そうにしていたが、なにも追及せずに「ありがとう」と受け取ってくれた。
119第9話2/2  ◆RDQNQFm41U :2009/06/18(木) 21:14:11 ID:???
(わたしが困るからなにも聞かないでおいてくれたんだ……
 利佳ちゃん美人だし優しいし おとなっぽくて素敵だなー
 やっぱり年上の人とおつきあいしてるからかな)

利佳と別れ図書室から出ようとしたところで、さくらは入室してきた寺田先生とすれちがった。
さくらが去っていくのを見届けた後、寺田先生は利佳の前に小さな箱を置いた。
「約束どおり 店のお姉さんに『婚約指輪』ですって言って買ったぞ  『結婚指輪』になるまで大事にしろよ」
小さな宝石のついたその指輪を指にほめ、利佳は頬を染めながら笑んだ。
「………はい」

桃矢は激怒した。雪兎から、さくらと小狼が一緒にいたと聞いたからだ。
今までもこのような調子で、さくらに近づいてきた男の子は桃矢がすべて追っ払っていたらしい。
二人は、渡したいものがあるというさくらと待ち合わせをしているところ。

雪兎の肩についた葉っぱを桃矢が払おうとしたところ――桃矢の腕へと護符が飛んできて燃えだした!
投げたのは小狼だった。にらみ合う小狼と桃矢。そこに、紙袋を抱えたさくらがやって来た。
「あの…これ 今日お誕生日ですよね」
恥じらいながらプレゼントを渡すさくら。中に入っているのはお椀とお箸。
二人のやりとりに驚愕した様子の小狼は、慌ただしくポケットをまさぐると、
中から出てきたものをぷるぷると震えながら雪兎に差し出した。
「た……誕生日………」
顔を赤くし、手をカタカタさせながら雪兎に渡したものはチョコ菓子だった。

『さくらちゃんがプレゼントを渡すの巻』をひっそりと撮影中だった知世がさくらの前に姿を現した。
「あの転校生さんも月城さんをお好きみたいですね」
えええええっと驚くさくらを続けて撮影しつつ知世は笑う。

「『クロウカード』集めでも『恋』でもライバル登場ですわね」
120マロン名無しさん:2009/06/18(木) 21:29:09 ID:???
だ…ダメだこの町の連中…
早く何とかしないと…
121マロン名無しさん:2009/06/18(木) 21:37:37 ID:???
>利佳は不思議そうにしていたが、なにも追及せずに「ありがとう」と受け取ってくれた。
なんという大人!
「わけを話している暇はない!」ってせっぱ詰まったときにごねないタイプだ
122マロン名無しさん:2009/06/18(木) 22:45:53 ID:???
先生…相手小学生ですよね…orz
で、小狼はホントに雪兎ラブなのか。
いろいろ困った漫画だー。
123マロン名無しさん:2009/06/19(金) 00:03:16 ID:???
>>122
小狼が男装した女の子の可能性だってあるじゃないか
124マロン名無しさん:2009/06/19(金) 00:25:29 ID:???
>>123
ここはあれだ
雪兎が男装した女の子
125マロン名無しさん:2009/06/19(金) 00:39:32 ID:???
何てこった
相手はガチで先生だったのか…
126マロン名無しさん:2009/06/19(金) 07:38:07 ID:???
今の利佳ちゃんの指に合わせて指輪買ったら数年後には填められなくならないか?
まあ本人の年齢と相手との年齢差に比べれば些細な問題だが
127マロン名無しさん:2009/06/19(金) 10:41:10 ID:???
ロリコンからの「ずっと成長すんなよ」というメッセージかもしれない……

小狼は女装とか言ってる奴は現実を見るんだ!奴はガチホモだ!
128マロン名無しさん:2009/06/19(金) 11:23:58 ID:???
何この強烈なロリ属性。
バレたら先生はタイーホかカイーコだな。
129マロン名無しさん:2009/06/19(金) 12:44:05 ID:???
あのお菓子は明らかにチョコボールw
130マロン名無しさん:2009/06/19(金) 14:49:26 ID:???
小狼はさくらに絡むわゆきうさぎに惚れるわでこりゃ桃矢大変だなw
131マロン名無しさん:2009/06/19(金) 16:07:54 ID:???
この調子だとみつあみと眼鏡の子たちもアブノーマルな恋愛してそうだ
132マロン名無しさん:2009/06/19(金) 16:47:17 ID:???
雪兎もそうかも
実は僕おばあちゃんが好きなんだ
133マロン名無しさん:2009/06/19(金) 17:36:16 ID:???
ロリ、レズ、ホモときたら次はショタか?
小狼に惚れる年上お姉さんキャラが出てくるか、もうすでにさくらのクラスの男子の誰かが年上お姉さんとお付き合いしてると予想。
134マロン名無しさん:2009/06/19(金) 19:29:06 ID:???
シスコンもいるよ
135第10話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/19(金) 21:18:49 ID:???
「なんじのあるべき姿にもどれ!! 『クロウカード』!!」
さくらが『雷(サンダー)』を捕える様子をビデオで見ながら、知世はさくらの可愛さを絶賛する。
知世は今日はさくらの家に泊まりに来た。
明日の朝は早起きして、二人でバレンタインデー用のチョコレートを買いに行く予定。
さくらと知世は同じベッドで一緒に眠りに就いた。

ケロちゃんは一人、クロウカードのおさめられた本に目をやる。
「『この世の災い』か……さくらやったら、あいつをなんとかできるかもしれんな……」

翌朝。さくらと知世が美味しいチョコのあるお店に行ったところ、そこにはバイト中の桃矢の姿が。
「お兄ちゃんあちこちでバイトしてるのね」
そこに千春と利佳もやって来た。同じくチョコを買いに来たのだ。
利佳はさくらがあげたブローチを身につけていた。お出かけの時によくつけているという。
さくらは『幻(イリュージョン)』を見た時に利佳がつぶやいた「せんせい」という言葉が気になっていた。
(でも…いいたくないのかもしれないし なんか事情があるのかもしれない
 うん 利佳ちゃんが言ってくれるまで聞かないでおこう)

商品を選んでいたところ、さくらは奇妙なことに気づいた。
店内にいる女性客の「影」が急に動き――その影が商品の陳列されている棚を倒した!
桃矢が咄嗟に棚を押し止めたので、客は無傷ですみ、桃矢が片腕に傷を負っただけで済んだ。
戦慄するさくら。そこに、店のドアを開いて小狼が姿を現した。
「………『クロウカード』だな」

夕食時に桃矢は店で起きた事件を話した。人間のものではない気配がしたとも。
「桃矢くんはそういうのわかるほうだからね 霊感っていうのかな」
撫子にも同じような能力があったという。藤隆は鈍感で、その手のことには全く気付けないが。
「さくらさんはそういう話しないね」
さくらは汗を垂らしながら「だってこわいんだもん」と言った。

夜。バレンタイン仕様のハートモチーフの衣装を着たさくらは、クロウカードの気配を追う。
カード捜しを続けるうちにさくらの魔力も強くなっており、気配でカードの潜んでいるところもわかるようになった。
そんなさくらに向かい、周囲の影がゆらめき、意志を持って襲いかかって来た!
136第10話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/19(金) 21:21:19 ID:???
相手は影を自在に操ることのできる『影(シャドウ)』だった!
『風(ウインディ)』でなんとか退けるものの、絡みつくように迫りくる『影』相手にさくらは苦戦する。
『影』は攻撃カードでこそないものの、クロウでさえ扱いに困った曲者なのだという。
そこに式服を着た小狼も現れる。小狼は護符を『影』に投げつけるが、『影』は護符をすり抜けていく。
「『影』はわいらに触れるけど わいらは『影』に触られへんのや!」
物知らずと小狼を叱りつけるケロちゃんと、言い返す小狼とがケンカをしていたところ、またしても『影』がさくらに迫る!
小狼はさくらをかばって負傷するが、すぐに懐から剣を取り出し呪文を唱える。
「雷亭招来 急々如律令 雷撃!!」
雷が影を直撃する。光に当たれば『影』は消えるはず しかし、『影』はすぐにまた動きはじめる。
一部を照らしただけではすぐに影は復活してしまう。
かといって『影』本体はクロウカード中でも1,2を争う素早さのため、本体のみを狙うのは困難だった。『影』が操っている全ての影を一気に光で消さなくてはいけない。

さくらは『影』を倒す作戦を思いついた。

「『クロウ』の作りしカードよ 我が『鍵』に力を貸せ!
 カードに宿りし魔力をこの『鍵』に移し我に力を! 『雷』!!」

さくらは『雷』を用い、辺りを囲むように立つ街灯に落雷させた。
街灯はメラメラと燃え、その明りによって影は消えていき『影』本体が姿を現した。
さくらは『剣(ソード)』を使う。『剣』は使う者の心次第でなんでも切ることができる 『影』さえも!
剣先で『影』の動きを止め、さくらは『影』をカードに戻した。

さくらは小狼の怪我の手当をし、小狼の攻撃を見て『影』への作戦が浮かんだと感謝した。
「おれはお前を認めたわけじゃないからな!」
心動かされたかのようでもあったが、小狼はそう言って去っていく。
残されたさくらは、燃え上がる街灯を慌てて『水(ウォーティ)』で鎮火させた。
137第10話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/19(金) 21:24:05 ID:???
バレンタインデー当日。友枝小学校ではあちらこちらでチョコの受け渡しが見られた。
「山崎くんにチョコあげるのって何回目だっけ」 「幼稚園からだから五回目だよ」
千春は糸目の山崎にチョコを渡す。もう習慣となっているので、二人の間に恥じらいはなくほのぼの。

放課後。昨夜の怪我を心配して小狼を探すさくらに、
星條高校の水飲み場の方に向かっていたと山崎は知らせてくれる。
小狼は先週にバレンタイデーがどんな行事か山崎に知らされているので
、チョコレートを渡しに向かったようだという。
「さくらちゃん いそがないとライバルに先を越されてしまいますわ」
知世に言われ、さくらも星條に向かって猛ダッシュ。カメラを持って知世も追随する。

小狼に呼び出された場所に向かっている雪兎の横には、小狼の挙動を怪しむ桃矢の姿が。
商店街の電灯がショートしたということで、桃矢のアルバイトは今日は休み。
小狼はなにをやらかすかわからない、さくらにつきまとっているし、そう桃矢は苛立たしげに言う。
「どーして ぼくはさくらちゃんと話してもいいの?」
雪兎は桃矢に笑顔で質問する。
「おまえは…」
桃矢が雪兎の頬に触れてなにかを言いかけた時、遠くから競うようにさくらと小狼が駆けてきた。
「ついてくるな!」 「わたしもこっちに用があるんだもん!」
言い合いながらも雪兎の前にたどり着いた二人は、
肩で息しながら雪兎にチョコレートを差し出した。
「ありがとう」
チョコレートを受け取り微笑む雪兎の顔を間近に、さくらと雪兎は幸せそうに頬を赤く染めた。

「さくらちゃんと李くんってよく似てますわねー」
『さくらちゃんバレンタインデーの巻』を撮影しながら知世は微笑む。
知世の腕には、さくらに渡す用の手作りチョコレートがあった。


「ここね」
丸いサングラスをかけた人物が、長い髪を風に揺らしながら友枝小学校の校舎を見上げていた。
138マロン名無しさん:2009/06/19(金) 23:23:44 ID:???
桃矢の雪兎に対する「おまえは・・・」で吹いた。
さすがにこれはミスリードだと思うがw
139マロン名無しさん:2009/06/19(金) 23:43:51 ID:???
ようやくまともなカップルが出てきたな>千春と山崎

しかしよく考えるとこういう魔法少女モノでライバルキャラが男ってのは珍しいな
たいてい女同士の戦いになるのに
140マロン名無しさん:2009/06/19(金) 23:46:17 ID:???
同じ相手を好きになる方が遥かに珍しいからなぁ
141マロン名無しさん:2009/06/19(金) 23:47:06 ID:???
バトルも意外と面白いな、この漫画
今後も色んなカードを駆使して戦ってほしい
142マロン名無しさん:2009/06/20(土) 00:06:22 ID:???
ネコミミが前座とはどういうことだ
143マロン名無しさん:2009/06/20(土) 06:37:18 ID:???
鈴までつけるとは知世その手のことに精通しすぎだ
144マロン名無しさん:2009/06/20(土) 07:58:54 ID:???
>>141
勇気と正義だけでどうにかなるっていう展開も嫌いじゃないが、
ちゃんとカードの性能や伏線を生かしてくれるのはいいな。

なんでも斬れる剣だからって斬りかかるのではなく、
斬れる=触れるということで動きを止めるためだけに利用ってのも血なまぐさくなくていい
145マロン名無しさん:2009/06/20(土) 10:46:55 ID:???
>>143
父親か母親の薫陶だろうか
146マロン名無しさん:2009/06/20(土) 19:36:01 ID:???
>>「おれはお前を認めたわけじゃないからな!」

認めてるんですね、分かります
なんかこういうのそのうち流行りそうな気がする
147第11話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/20(土) 20:54:22 ID:???
お使いを終えて帰る途中だったさくらは、ふと傍らを見上げた。
「わー桃の花だ もう春だね!」
帰宅すると雪兎が出迎えてくれた。桃矢は雪兎に髪を切ってもらっていたところだ。
(いいな いいなーー! 雪兎さんに切ってもらってーー!)
雪兎は桃矢の髪を切り終えると、さくらの髪も切ってくれると言う。
後ろ髪をちょっと揃えてもらうだけ、それでもさくらはとっても幸せになれた。
庭の向こう側には、さくらを見つめる――サングラスをかけた長髪の女性がいた。

山崎と手をつないで街を歩いていた千春は、可愛いペンギンのぬいぐるみを見つける。
「皇帝ペンギンってね、大人になると身長が1メートル70センチになるんだよ」
いつもと同じ笑顔でさらっと言う山崎を、千春はあきれたように見ていたが、
堂々と語る山崎を見ているうちにちょっと信じかける。
法螺を吹き続ける山崎と共に売り場から離れようとしたところ、さくらの姿が見えた。
話しかけようとした瞬間、さくらは積まれているぬいぐるみの山を突き飛ばして崩してしまった!
そのまま、さくらはインラインスケートで逃げるように去って行った。

翌朝、ご機嫌な様子のさくらに千春は、昨日ぬいぐるみショップに行ったかと訊ねた。
行っていないと言うさくら。昨日のは人違いだったのだと千春はホッとした。
御機嫌の利用を知世に問われ、さくらは真っ赤になりながら雪兎に髪を切ってもらったのだと説明した。
「 な に い ! ? 」
大きな音を立てて、座っていた小狼は勢いよく立ち上がる。
そのまま暴れ出しそうな小狼を山崎はおさえつけてなだめる。
「今日の体育バドミントンだって それで決着つけるってのはどう?」
バドミントンは古代ローマから伝わる由緒正しい決闘方法で、
負けた方はもうそれはひどい目にあうのだと、真面目に山崎は説明する。
本気にした様子のさくらに千春は嘘よ嘘よと否定する。
しかし ひょっとして――と思っている千春。
信じそうになっている――さくら。
信じている――小狼。
いい芸見せてもらっている――と思っている奈緒子。
冗談だ――と思っている利佳。 そうなら面白いのに――と思っている知世。
六者六様の反応のまま、体育の授業ははじまった。
148第11話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/20(土) 20:55:03 ID:???
さくらは、小狼と一対一で試合をすることになってしまう。奇しくも星條の方でも体育の授業が行われていた。
「二人ともがんばれー」
雪兎からそう声をかけられては負けるわけにはいかない!
二人の戦いは白熱した。
ラリーが延々と続き……決着がつかないまま授業は終わってしまった。

「今度はぜひわたしに髪を切らせてくださいな」
放課後、試合のせいで腕を痛めているさくらに知世はそう頼む。
いいけど、どうして?とさくらは訊く。
「さくらちゃんが好きだからですわ」
ちょっと照れるさくら。そこに誰かの悲鳴が届く。
さくらが声のする方向を見ると――

インラインスケートを履いて走り抜けてくる『さくら』がいた。

さくらと同じ姿形をした『さくら』はさくらに向って笑いかけ、そのままどこかへ駆け抜けていってしまった。
後から、奈緒子と千春が息を切らせてやってきた。『さくら』を追いかけてきたのだ。
『さくら』は奈緒子たちの見ている前で文房具屋の商品をひっくり返し、逃げ去ったのだという。
店の人には気づかれておらず、さくらには知世と一緒にいた証拠もあったが、ただならぬ事態だった。

さくらからその事件を聞いたケロちゃんは、占いをしてみようかと言う。
『水(ウォーティ)』 『風(ウインディ)』 『翔(フライ)』 『花(フラワー)』 『跳(ジャンプ)』
『樹(ウッド)』 『影(シャドウ)』 『剣(ソード)』 『幻(イリュージョン)』 『雷(サンダー)』
クロウカードはちょうど十枚。占いをするには十分な数だ。

「『クロウ』の作りしカードよ 我が問いかけに答えよ 我が前に立ちはだかる者の真の姿を示せ」
手順に従って引いた一枚目のカードは『風』だった。
『風』は『伝達』や『情報』を表すカードでもある。カードにさくらたちの情報が知れ渡っているということを示していた。
はじめのころ、さくらは偶然にカードの起こす事件に巻き込まれていた。しかし、『剣』は違っていた。
『剣』はさくらの友人である利佳を狙って操った。さくらが友人を傷つけられないという性格もカードたちには知られていた。
また、『影』は桃矢のバイト先に現れた。さくらに危害はなかったが、桃矢はその際に怪我をした。
「わたしにお兄ちゃんがいるってことも知ってるの?」
149第11話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/20(土) 20:55:55 ID:???
次に引くカードは、『影』がどういうつもりであったかを示している。
引いたのは『剣』だった。意味は『勝負』や『腕試し』。
さくらの力量を測るために『影』はわざとさくらの前で騒ぎを起こしていたのだ。
「『影』は偏屈やさかいなあ 最初からさくらに仕掛けてこんとこが、またへんくつや」
これから捕まえようとするカードたちは、恐らくは皆さくらのことを知っている。
中にはそんなことには興味のないカードもいるであろうが。
「……あの わたしそっくりな子も『クロウカード』なの?」
その可能性は高いとケロちゃんは言い、次に三枚のカードを引くように指示した。
出てきたのは――『影』 『水』 『幻』。

「この三つから連想できるカードで さくらにそっくり……」

自転車に乗って帰宅途中の桃矢は、インラインスケートで走るさくらを見かける。
話しかけるとさくらは無言で桃矢に微笑んだ。桃矢はなにかを感じる。
「さくら?」

引き続き、占いを行っている最中のさくらとケロちゃん。
三枚のカードが示している『さくら』の正体がつかめない。
とりあえず『今せまっている危険について』示しているカードを引く。
それは『花』のカードだった。
花からさくらが連想したのは――昨日に見た桃の花。
桃が意味するものは――――


「お兄ちゃんが危ない!?」
150マロン名無しさん:2009/06/20(土) 21:24:02 ID:???
今のところ今回のカードが一番凶悪だな。
「影」と「幻」から考えると他人に変身出来るようになるカードかな。
151マロン名無しさん:2009/06/20(土) 22:34:03 ID:???
カードで占いもできるのか
本格的だな
152マロン名無しさん:2009/06/20(土) 22:43:34 ID:???
タロット占いみたいな感じなのかな
しかし兄ちゃんの霊感からすると目の前のさくらが偽物だってすぐ気付きそうなもんだが
153マロン名無しさん:2009/06/20(土) 22:52:49 ID:???
誤解される展開は嫌い
3件目で桃矢に接触したのはむしろ被害を減らせて良いかも
154マロン名無しさん:2009/06/21(日) 00:33:58 ID:???
アニメ化したらメイン商品として売り出すね
カードダスかなんかでコンプリートすると〜とか
155マロン名無しさん:2009/06/21(日) 00:46:58 ID:???
>>154
ロリウォーティを出そうと狙ったはずがイリュージョンばっか出て涙目とかいう展開が
156マロン名無しさん:2009/06/21(日) 11:27:41 ID:???
幻と影はそのまんま幻影ってことでわからんくもないが、水はなんだろう
蜃気楼的な感じか?

ところで季節は春っぽいがさくらは進学したのか
157マロン名無しさん:2009/06/21(日) 16:55:45 ID:???
今回のカードの正体を推測する上で重要なポイントになりそうだな>水
158マロン名無しさん:2009/06/21(日) 18:31:23 ID:???
水っぽいところで「鏡」じゃね?
手袋のSAKURAの字も、次回では
何事もなかったように逆になってるよ。
159第12話 1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/21(日) 21:01:21 ID:???
落し物をしたのだと偽って『さくら』は桃矢を林の奥へと連れていく――

ケロちゃんを連れてさくらは必死で走る。
魔力が強くなったのか、クロウカードのいる方向が何故だかわかった。
しかし、林の中に入った途端にさくらは足を止めた。
人の気配が多すぎて魔力がまぎれてしまっているのだ。
しかし、辺りに人はいない。さくらが怖がる幽霊の類がいるようだった。
立ちすくみ、さくらは兄の安否を不安に思い泣いた。

「もっと奥 もっと奥だよ」
『さくら』に言われるままに林の中を進み続けた桃矢は、崖の先端から滑り落ちてしまった。

泣き崩れているさくらの前に、カードの気配を追って来た小狼が現れた。
さくらの涙に動揺する小狼。彼の持つ、カードを探すための羅針盤を目にしたさくらは勢いよく立ちあがる。
「お願い! それでお兄ちゃん見つけて!」
さくらは羅針盤に導かれるままひたすら駆ける。木が多すぎて『跳(ジャンプ)』は使えなかった。

崖の下、桃矢は満身創痍で座り込んでいた。立ち上がろうとするが、足を痛めていて叶わなかった。
「……あのな… ちゃんと落し物…さがすから… さくらの姿でいるのは……勘弁してくれねぇか……」
桃矢は『さくら』がさくらではないことに気づいていた。
はじめは間違えそうにもなったが、すぐに相手が生きているものではないと感じた。
さくらの姿をしたままでは、まるでさくらが死んだみたいに思えていい気分がしないと桃矢は言う。
「落し物見つかるまで付き合うから……見つかったら・・・行けよ」
天を指さしながら桃矢は言うと、ここに来るまでに大きな切り傷のついた手で『さくら』の頭をなでる。
「…おれの母さんもいるから よろしくいっといてくれ……」
そう言い残して目を閉じる桃矢の顔を『さくら』は悲しそうに見つめた。

そこに、さくらと小狼が『翔(ジャンプ)』で変化した杖に乗って崖上から飛んできた。

桃矢は意識を失っているだけだった。しかし、桃矢の体中の傷はさくらを怒らせるに足るものだった。
すぐに『風(ウインディ)』で『さくら』を捕縛しようとするが、効かない。『水(ウオーティ)』の攻撃もすり抜けてしまう。
「呪縛カードも攻撃カードも効かんっちゅうことは、こいつは特殊カードや!」
160第12話 2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/21(日) 21:03:21 ID:???
特殊カードは今までのような方法ではカードに戻すことができない。
戻すには、そのカードの正体を当て、名前を呼ばなければならない。
心配する小狼とケロちゃんにも構わず、さくらは『さくら』の前へと突き進む。

「あなたがあの人の妹ね」
「そうよ! お兄ちゃんにひどいことして…!」
悲しそうに『さくら』は目を伏せた。
「さくら! そいつがなんのカードか当てるんや!
 占いが示してたカードは『幻(イリュージョン)』 『水』 『影(シャドウ)』から連想されるもんや!」
さくらが固く杖を握って考え込んでいると――『さくら』も同じようになにかを掴むかのように手を動かした。
『さくら』がさくらの真似をしているかのよう、まるで――



 同じような動きをする 『影』
                    いろんなものを移す 『水』
                                     でも本物じゃない 『幻』



「あなたは! 『鏡』のカードね!」


『さくら』は鏡を抱えた少女の姿に変わると、涙を浮かべながら桃矢の傷つき腫れた目元に口づけした。
ごめんなさい、そう言って泣きながら『鏡(ミラー)』はカードになった。
「わたしがわかるように わざと動いてくれたみたいだった」
『鏡』は桃矢を傷つけたことに反省して、自ら正体を明かしてくれたかのようだった。

さくらは、眠ったままの桃矢をぎゅっと抱きしめた。
161第12話 3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/21(日) 21:04:39 ID:???
桃矢はベッドでホットケーキを食べていた。
本人は平気だと言うが、さくらが痛んだ足のことを気にして、
わざわざ桃矢の自室まで皿を持って行ったのだった。
「なあ そいつ……」
さくらのフードの中に入っているケロちゃんを桃矢は指さす。
焦りながらもごまかすさくら。ぬいぐるみのふりを続けるケロちゃん。
そこに玄関のチャイムの音が聞こえた。
さくらは玄関に向かうが、ドアの前で一旦立ち止まり、
振り向いて「ごめんね」と言った。なんのことだと桃矢は訊く。
「なんでもいいの ごめんね」

「にーちゃん なんか気づいとるんとちゃうか」
ケロちゃんがそうつぶやいていたところ、玄関のチャイムが鳴った。
来客から隠れるためケロちゃんは棚に入る。
訪問したのは、知世と雪兎だった。桃矢のお見舞いだ。
雪兎は先に桃矢の部屋に行き、知世は持参したケーキを切り分けはじめた。
ケーキ目当てにケロちゃんは棚から飛び出した。

「あの林 よくとーやが『見える』っていってたとこだよね これはその見えるものに付き合った結果かな」
包帯に巻かれた桃矢の足に触れながら雪兎は言う。
「…目が覚めたらいなかったんだ 気がすんだんかな」
「きっとそうだよ やさしいね とーや」
桃矢はちょっと照れながら、照れ隠しのように雪兎の口にホットケーキを突っ込んだ。

『花(フラワー)』と『剣(ソード)』に引き続き、またしても撮影ができなかったと悔しそうな知世。
一方でさくらは、今回の事件で新たに固く決意をしていた。

「わたし一生懸命カードを集めるよ カードが悪いことしないように ぜったい全部集める」

「さくらやったら だいじょうぶや!」
ケロちゃんはそう激励する。ケーキを桃矢たちのもとに運びに行くさくらの後姿を見ながらケロちゃんは思う。
(ほんまに さくらやったら あいつをなんとかできるかもしれんな)
162マロン名無しさん:2009/06/21(日) 23:11:21 ID:???
鏡のカードってすごく便利そう。
コピーロボットのように留守番させたり、
敵を欺いたり。
163マロン名無しさん:2009/06/21(日) 23:16:13 ID:???
鏡たんハァハァ
164マロン名無しさん:2009/06/21(日) 23:53:51 ID:???
桃矢は人間じゃないものにまで優しいんだな
165マロン名無しさん:2009/06/21(日) 23:57:51 ID:???
名前を当てないと勝てないってまるで悪魔祓いだな
随所に魔法ものっぽい要素が散りばめられてて面白い
166マロン名無しさん:2009/06/22(月) 06:43:49 ID:???
風や樹や水といい可愛い子が多すぎるぞクロウカード
おっさんカードとかはいないのか
167マロン名無しさん:2009/06/22(月) 10:17:24 ID:???
そういえば今のところ美少女系ばかりで男いないな
168マロン名無しさん:2009/06/22(月) 11:18:22 ID:???
影の中身は偏屈なおっさん

という事にしておこう
169マロン名無しさん:2009/06/22(月) 12:29:54 ID:???
>>166
水は男じゃないのか
170マロン名無しさん:2009/06/22(月) 16:22:50 ID:???
水は若干乳があるような
いやないような
ロリだろうかショタだろうか
171マロン名無しさん:2009/06/22(月) 18:37:16 ID:???
下手したら自分が死んでたかもしれないような目に遭わされたのに、桃矢兄ちゃん優しすぎるぜ…(ノД`)
172第2巻1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/22(月) 21:01:02 ID:???
「カードキャプターさくら」第2巻発売。 発行日 1997年4月4日。
「なかよし」の1996年11月号〜1997年3月号までの掲載分を収録、第六話から十話までにあたる。
一枚目のカラーイラスト 楽譜を持った知世。左上に太陽のシンボル。

柱の各キャラクターのプロフィール

5 ケルベロス

  通称        ケロちゃん
  誕生日       秘密
  好きな食べ物   甘いもの
  嫌いな食べ物   辛いもの
  好きなもの     TVゲーム
  好きな色      赤・オレンジ
  好きな花      ひまわり
  今欲しいもの    新しいゲームソフト
  居場所       現在はさくらの部屋
  本当の姿      まだ戻れないので不明

6 李小狼

  誕生日       7月13日
  血液型       O型
  好きな科目     体育・算数
  嫌いな科目     国語
  所属クラブ      なし
  好きな色      緑
  好きな花      牡丹
  好きな食べ物   点心・チョコレート
  嫌いな食べ物   こんにゃく
  得意な料理     なし
  今欲しいもの    クロウが書いた魔術書
173第2巻2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/22(月) 21:02:07 ID:???
7 木之本藤隆

  誕生日       1月3日
  職業         大学講師
  好きな食べ物   甘いもの・麺類
  嫌いな食べ物   なし
  好きなもの     TVゲーム
  好きな色      白・アイボリー・茶
  好きな花      撫子・桃・桜
  得意な料理     お菓子類
  特技         人の顔と名まえを覚える
  趣味         料理
  今欲しいもの    なし

8 木之本撫子


  誕生日       5月20日
  職業         モデル
  好きな食べ物   甘いもの・紅茶
  嫌いな食べ物   なし
  好きなもの     暖かい陽射し
  好きな色      白
  好きな花      藤・桃・桜
  得意な料理     なし
  苦手なこと     人の顔と名まえを覚える
  趣味         眠ること
  特技         どこでも眠れる

おまけのクロウカードを模したしおりの絵柄は、バレンタイン使用の恰好のケロちゃん。背景はオレンジ。
ラストのカラーイラスト  ビデオカメラを持った知世。右上に月のシンボル。
174マロン名無しさん:2009/06/23(火) 00:29:36 ID:???
撫子はとんでもないおとぼけお母さんだったようだなあ
175マロン名無しさん:2009/06/23(火) 01:00:46 ID:???
桃と桜を子供の名に付けるのはいいとして、まさか相手の名前に好きな花が含まれてるから
お互い結婚したわけじゃあるまいな……
176マロン名無しさん:2009/06/23(火) 03:46:29 ID:???
お父さんTVゲーム好きなのか
177マロン名無しさん:2009/06/23(火) 06:41:31 ID:???
シャオランもこんにゃく嫌いなのか
178マロン名無しさん:2009/06/23(火) 08:40:53 ID:???
>>175
結婚してから(というかくっ付いてから)お互いの名前に関わる花が好きになった
と解釈した
179第13話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/23(火) 21:12:49 ID:???
さくらはバスに乗って知世の家に向かっていた。
なんでも、知世の家で「困ったこと」が起こったらしい。
ケロちゃんはカバンの中に詰め込まれていた。

「ほえええ」 「で でかい」
知世の家を目の前にしてさくらとケロちゃんは目を見張る。そのあまりの大きさに。
インターフォンを通すと自働で開く門、知世をお嬢さまと呼ぶメイドさん、
大きさ以外のものにもびっくりしつつ、さくらは知世に出迎えられて家の中に入った。
知世の部屋に行くと、すぐに息を切らした園美が飛び込んできた。
さくらの来訪を聞いて会社から飛んできたという園美は、ケーキを食べようとやや強引にさくらを庭に連れ出した。
残されたケロちゃんは、ケーキをうらやましがり地団駄を踏んでいたが、なにかの気配に気づきハッとした。

撫子も甘いものが好きだったと、頬を染めながら園美は言う。
さくらもその事は知っていた。撫子はホールケーキをぺろりと一人で平らげていたらしい。
しかも、どれだけ食べても太らない体質だったのだという。
同時刻、木之本家。ガソリンスタンドでのバイト経験がある桃矢は手慣れた様子で車を洗っていた。
そこに雪兎が訪ねてくる。さくらが大道寺家に行ったと知り、運動会での園美の険悪な様子を思い出し心配そうにする。
「だいじょうぶだよ 園美さんはさくらさんを傷つけるようなことは ぜったいしない」
草むしり中だった藤隆は、そう言って微笑んだ。

さくらに撫子の面影を見出し、園美はうっとりと撫子のことを思い出す。
園美ちゃん、いつでもそう呼んでは笑いかけてきた撫子の姿――
「あのね園美ちゃん わたし結婚するの 木之本先生と」
やな場面まで思い出してしまったと、園美は回想を打ち切る。

さくらは運動神経がいいのだと聞いて、園美はまたすぐに回想を再開する。
撫子はまったく運動ができなかった。普通に歩いていても転び、スキーに行けば雪だるまになっていた。
高校生の時。そんな運動音痴にも関わらず、撫子ははぐれた雛鳥を巣に返すため樹上に登っていた。
園美が下から心配していたところ、やはり撫子は樹から落ちてしまった。
だが、藤隆が自分の体を下敷きにしてかばったため、撫子は無事だった。
「天使が空から落ちてきたのかと思いましたよ」
微笑む藤隆と撫子は見つめあった――
180第13話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/23(火) 21:14:32 ID:???
「なにが天使よ! あーー歯が浮く! そりゃ撫子は天使みたいに可愛かったけどーー!」
いきり立つ園美に驚きつつも、さくらは古くからの藤隆の知人でもある園美に藤隆のことを聞く。
藤隆にはもう親戚はいないというし、園美以外の撫子の親戚もさくらは知らず、
当の藤隆自身もあまり自分のことを語らないのだ。
「あなたのお父さんはね やな人よ」
ツンと言い切られてさくらは動揺するが、すぐに園美はウインクする。
「かっこよくてやさしくて 料理が上手でなんでもできて
 撫子のこと好きだった人から見れば すっごくすっごくやな人
 そうねー欠点といえば欠点がないとこくらいかな?」
嬉しそうにさくらは笑った。その頃――藤隆はくしゃみをしていた。

夕食も一緒に食べると約束をすると、さくらと知世は一旦園美と分かれた。
知世の部屋に戻り、涙目になってケーキを乞うケロちゃんにケーキを渡す。
「ったく―― この部屋なんかクロウカードの気配するし 一人で寂しかってん」
知世はケロちゃんをさすがだと誉め、鍵穴のついた箱をさくらに見せた。
箱を開けようと知世は鍵を差し込むが、鍵は弾かれたように鍵穴を飛び出してしまう。
これが件の「こまったこと」。箱の中からはカードの気配がした。
「この中には母とわたしのたいせつなものが入っているんです
 箱の中にあるわけですから なくなったわけではありませんが…とてもたいせつなものなんです」
ガッツポーズで「やってみる!」と言うさくらに、知世は即座に衣装を渡した。

さくらが杖で箱を突こうとしたところ、箱の周囲を覆う見えない壁のようなものに杖が当たった。
「わかった! こりゃ『盾(シールド)』のカードや!」
『盾』は性格のいいカードなので、さくらを試したりするような真似はしない。
知世がさくらの友人だと知って狙ったわけではないだろうとケロちゃんは言う。
「『盾』は大事なもんを守るためのカードや より大事なもんを守ろうとする性質がある
 よっぽど大事にされとるんやな その箱」
心の在り方次第でどんなものでも切れる『剣(ソード)』を使い、さくらは『盾』の結界を破る。

「なんじのあるべき姿に戻れ! 『クロウカード』!!」

『盾』はカードに戻り、箱は無事に開けられるようになった。
181第13話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/23(火) 21:15:48 ID:???
箱の中にあったのは、きれいな桜の花のブーケ。
やってきた園美は、愛おしそうにブーケに頬を寄せた。
「これはね あなたのお母さん 撫子の結婚式のときのブーケよ」
撫子は桜の花が好きだった。小さい頃から、将来女の子が生まれたら、さくらと名付けると言うほどに。
「あなたがその さくらちゃん」
さくらと園美は向かい合い、二人して微笑んだ。
夕飯は園美がつくってくれるという。さくらを引きずるようにして園美は部屋を出ていった。
園美がやってきてから去るまでの間、知世の後ろに隠れていたケロちゃんはホッとする。

知世は箱の中から、リボンのかけられた小さな袋を取り出した。
これが知世の大事なもの。

三年生になったばかりのころ――知世はさくらと出会った。
消しゴムを忘れてしまった知世に、さくらはうさぎの形をした消しゴムを渡してくれた。
「よかったらもらって」
ささやくように、さくらはそう言った。

「これは…はじめてさくらちゃんにいただいたものですわ」

小袋を手につぶやく知世の声はケロちゃんには聞こえなかった。
「中身なんや?」
「ないしょですわ」

知世はそっと小袋を箱の中へと戻し、鍵を閉めた。
182マロン名無しさん:2009/06/23(火) 21:18:46 ID:???
>そうねー欠点といえば欠点がないとこくらいかな?
園美さん格好良すぎるやろ
183マロン名無しさん:2009/06/23(火) 21:31:14 ID:???
天使かと思ったって亜美ちゃんか
184マロン名無しさん:2009/06/23(火) 22:17:26 ID:???
シールドが知世の家にいたとか偶然すぎるだろ
てか知世の家うらやましい
185マロン名無しさん:2009/06/23(火) 22:59:42 ID:???
さくらと初めて会った時に貰った消しゴムをずっと取っておいてるなんて
知世かわいいよ知世

この親子どっちも一途でよいね
186マロン名無しさん:2009/06/24(水) 00:19:25 ID:???
一途なのはいいんだけど、その対象が同性っていうのがちょっとな・・・
187マロン名無しさん:2009/06/24(水) 00:31:13 ID:???
娘のことを撫子に見せかけたコピーのように思ってそうだ
188マロン名無しさん:2009/06/24(水) 00:37:03 ID:???
>>「あのね園美ちゃん わたし結婚するの 木之本先生と」

いきなりこんなこと言われてビックリしただろうな
189マロン名無しさん:2009/06/24(水) 04:08:20 ID:???
まあ何のかんの言って「撫子は結婚して幸せだった」ってちゃんと受け止めてるみたいだよね
運動会の話も含めてさ>園美さん

だからこそ
>「かっこよくてやさしくて 料理が上手でなんでもできて
> 撫子のこと好きだった人から見れば すっごくすっごくやな人
> そうねー欠点といえば欠点がないとこくらいかな?」
なんて台詞が出てくるんだろうな
190マロン名無しさん:2009/06/24(水) 18:27:14 ID:???
藤隆に激しく嫉妬
チートすぎるだろ人間じぇねえ
191第14話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/24(水) 21:01:18 ID:???
「ほぇえええぇえ!!! ちこくだよぅ!!」
毎度のことながらさくらは寝坊して大慌て。
雪兎を「ゆきうさぎ」呼ばわりするケロちゃんを叱りつけるとすぐに階下へ走り下りた。
自転車に乗る用意をしている桃矢に間に合うため、さくらは素早く食事をすませる。
桃矢はせっかくバイクを買ったというのに、自転車で登校することの方が多かった。
「バイクだとあぶないからじゃないかな」
藤隆に言われ、桃矢は運転が下手なのだろうかと思いつつ、さくらは急いで家を出ていった。
「バイクだと いつも追いかけてるさくらさんが あぶないからじゃないかな」

もう雪兎を後ろに乗せている桃矢に、さくらはやっと追いついた。
いつも通る道は工事中だったため、三人は別のルートで学校へ向かった。
ペンギン大王公園の向こう側にあるその道に、神社があることをさくらは初めて知った。
月峰神社、そう鳥居に書かれた神社を見ながら桃矢は複雑な顔をしていた。

さくらから話を聞いた奈緒子は、月峰神社を知っていると言う。
「わたし そういうの好きだから 神社とかお寺とかUFOとかこわい話とか
 あそこのお守りってきくって評判なんだよ 願いごとが叶うんだって 受験とか恋愛とか…」
恋愛、その言葉にさくらと小狼は過剰に反応する。そこに山崎もわいて出る。
「お守りっていうのはね むかし中国で守り札を袋に入れたのがはじまりらしいよ
 むかしのお札はね ものすごく大きくて全長10メートルくらいあったらしいんだ(ry」
騙されやすい小狼も、中国に関することでは本場の人間なので流石に今回は突っ込んだ。
一応クラス委員長であるという山崎は、算数の授業が自習になると皆に連絡した。
算数担当の堤先生が休んでいるからだという。

放課後、さくらは月峰神社にお守りを買いにインラインスケートをすべらせた。
勢いよく走っていたところ、曲がり角で女性にぶつかってしまった。
サングラスをつけ長い髪をしたその女性は、さくらの顔を見て「あなた…」とつぶやく。
女性はさくらが怪我をしていないか訊ねながら、サングラスを外した。
(すっごい きれいな人だあ)
その素顔の美しさに驚くさくらに、女性は言った。

「…なにか欲しいものあるの? ざんねん 今日は手に入らないわ」
192第14話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/24(水) 21:03:42 ID:???
女性は風に髪をなびかせながら「またね」と笑いかけ、去って行った。

さくらはその女性のことが気にかかり、帰るとケロちゃんに報告した。
女性の言ったとおり、お守りは買えなかった。神社が閉まっていたのだ。
それに別れ際の「またね」という言葉も引っかかる。また会うことがわかっているかのようで。
ケロちゃんも気になるようで、どんな人だったかとさくらに訊いた。
「すっごく すっごく! すっごく! きれいな人!!」
ノックの音がして、桃矢が部屋に入って来た。藤隆のつくったゼリーを持って来てくれたのだった。
桃矢は不審そうに、ぬいぐるみのふりをしたケロちゃんを凝視する。
小さな頃から「いろいろ見たり聞いたりする方」だった桃矢は、なにか勘付いているのかもしれない。

寺田先生は朝のホームルームで、堤先生がしばらく学校を休むことを知らせた。
新しくやって来たのは――先日にさくらがぶつかった長髪の女性。
「観月歌帆です」
きれいな人だとクラス中がわきたつ中、小狼だけは険しい顔をしていた。

小狼はさくらと知世を校舎裏に連れ出した。小狼は観月を警戒していた。
「かんじなかったか? 『力』の気配だ それもかなり強い力……用心した方がいい」
三人のもとに、音もなく観月が現れた。話は全て聞いていたにも関わらず、美月は笑顔。
ほしいものは手にはいったかと観月に訊かれ、照れながらさくらはだめだったと答える。
「そっか でもきょうならだいじょうぶ」
至近距離で美月にそう言われ、さくらの顔は真っ赤になる。
(ほんとうにきれいな人だよう それになんだかすっごくふんわりした気分になっちゃう)
観月はさくらを眺めながら「あんまりにてないなあ」とつぶやく。そこに、桃矢の声が聞こえた。
さくらの忘れ物を持って来てくれたという桃矢は、星條の方からさくらたちに呼びかけながら――観月と目をあわせた。
「か……ほ………」
「おっきくなったね とーや」
明らかに動揺する桃矢に対し、観月の微笑みは変わらなかった。

学校が終わり、お守りを買いに月峰神社の境内に来たさくらと知世は、同じ目的で来たらしい小狼と遭遇する。
その瞬間、周囲の空間が歪み――見渡す限りに迷路が広がった!
193マロン名無しさん:2009/06/24(水) 21:08:40 ID:???
観月先生が「ゆえ」か?
明らかに重要人物だし、なんとなく「ゆえ」って感じするし。
194マロン名無しさん:2009/06/24(水) 23:01:04 ID:???
あからさまにキーパーソンな上に兄ちゃんとも知り合いだと!?>観月先生
これは一気に話が動く予感
195マロン名無しさん:2009/06/24(水) 23:43:09 ID:???
観月先生今までに何度か出てたのに、今回になって漸く話題に出した君らに泣いた
196マロン名無しさん:2009/06/25(木) 00:51:03 ID:???
だがちょっと待ってほしい。
今までの例から考えるに、この観月先生に関しても一筋縄ではいくまい。
たとえばまずは本当に女性であるのかというところから検証する必要も…
197マロン名無しさん:2009/06/25(木) 12:57:20 ID:???
これはあれだ
幼き日の兄ちゃんがレイプされたあいて
198マロン名無しさん:2009/06/25(木) 17:21:55 ID:???
不思議な力があるみたいだし、ストレートにクロウの父親の方の血縁とか?
199マロン名無しさん:2009/06/25(木) 18:24:52 ID:???
中国系の母の血を引くのが小狼で、
イギリス系の父の血を引くのが観月先生か
けっこうありそう
200第15話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/25(木) 21:06:07 ID:???
辺りに広がった迷路は、気配からするとクロウカードによってつくられたものだった。
「…おそらく『迷(メイズ)』のカードだ」
このカードは中に入った者が出口を見つけるまで消えないのだと小狼は言う。

桃矢が帰宅すると、藤隆は桃矢の顔を凝視し「なにかあった?」と訊いた。
どぎまぎとしながら「おれ なんか変かな」と桃矢は訊き返す。
「わかるよ ぼくは桃矢くんのお父さんだから」

片手を壁につけながら歩くという正攻法で出口を探していたさくらたちだが、一向に出口は見つからない。
上空から出口を探そうと『翔(フライ)』のカードでさくらは宙を飛ぶが、
上昇にあわせて周囲の壁も高く伸びてしまい、成功しなかった。

藤隆に観月のことを語りはじめる桃矢。藤隆も彼女のことは以前から桃矢に聞いて知っていたようだった。
「留学したんだったよね 桃矢くんが中3のときに こっちに戻ってきたんだ」
桃矢は中学時代を思い出す――

学生服を着た桃矢が、木の下にいる何かを気にして立ち止まっていた時、
同じようにそれを見ることの出来る女性が……観月が話しかけてきた。
その何かは、人に危害を加えるようなものではなかったが、それでも桃矢は気にした。
「いい子ね」
観月は桃矢の頭をなでると、続けて言った。
「名前……… 明日会えるわ そのとき教えて またね」
予言したように、観月は翌日に教育実習生として桃矢の前に現れた。
桃矢が制服を着ていたからではなく「なんとなく」で再会するとわかっていたのだという。
互いに自己紹介をしながら「きっと仲良しになれるわ」と観月は言った。
「それも、なんとなくか?」
「うん でも…わたしの希望も入ってる」
それから時は経ち――月峰神社の祭の夜に、観月は留学するのだと桃矢に切りだした。
「教育実習の最後の日に とーやにここで「好きだ」って言われてもう一年なんだね」
桃矢の肩にもたれながら観月は微笑み、桃矢は顔を赤くした。
とーやと毎日遊べて楽しかった、観月は過去形でそう言った。そして、さよならをしようと。
理由を問う桃矢に「だって…」と観月が言い始めたところで、思い出しダメージを受けた桃矢は回想を打ち切った。
201第15話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/25(木) 21:08:57 ID:???
藤隆は複雑な顔をしている桃矢を心配する。
「……歌帆の言うとおりになってるのは やっぱしゃくだなあと思って」
ふと時計を見て、桃矢はさくらの帰りが遅い事に気づいた。

さくらたちは相変わらず『迷』の中をさまよっていた。それぞれの家族も帰りを心配しだす時間だ。
しかし、小狼は一人暮らしなのでその点は平気であるという。
家族には母と姉四人がいるが、皆香港にいるという。
一人ですべての家事をこなすという小狼をさくらはすごいとほめる。
「でも 一人だとさびしかったりしない?」
まっすぐに見つめられながら問われ、小狼は目を「べつに」と照れて目をそらした。

また出口を探しては疲れて休憩していたところ、何者かの足音が近づいてくるのに気づいた。
警戒して、さくらと知世の前に立つ小狼の前に現れたのは――観月だった。
「うちの神社の中がなんか変だったから調べてたら巻き込まれちゃったみたい」
観月は月峰神社の神主の娘だという。同じように迷い込んでいる人がいないか探しに来たのだという。
観月は、両端に持ち手のついた三日月型の風変りな鈴を持っていた。
彼女はその鈴で『迷』の壁を叩き砕き、順路を無視して突っ切りはじめた。
さくらを探してバイクを走らせていた桃矢は、月峰神社の方から妙な光が漏れるのを目撃した。

観月の後を追うさくらたち。
カードのつくった迷路を壊せる観月は、やはりすごい力の持ち主だと小狼は言う。
やっとさくらたちは迷路の外にたどり着いたが、またしても周囲の景色が歪みはじめる。
早くカードに戻さなければまた迷路ができてしまう。しかし、観月の前で魔法を使うわけにはいかない。
「じゃ うしろむいてる」
観月は気遣ってそうしてくれたので、さくらは通常より小声で『迷』をカード化した。
「おわった?」と言って観月は振り向いてさくらにきれいな微笑みを向ける。
(やっぱりふんわり気分になっちゃうよぅ)
そこに、桃矢が駆けつけてきた。
202第15話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/25(木) 21:10:55 ID:???
知世はボディーガードに迎えられて帰って行く。
小狼は去り際に「あの先生はただ者じゃない」と、気をつけろと言い残した。
観月は桃矢と二人きりで話す。さくらと桃矢はあまり似ていない、だけど似ているところもあると。
「別れる時にわたしがいったとおりになった?」
かつて観月は言った。

「だって今度会うときには とーやには好きなひとができてるもの」

          「それにわたしにも」


桃矢は照れたような顔で無言のまま、否定しなかった。
じゃあこれも大丈夫ね、と観月はかつて言った言葉をまた繰り返す。
「今度会ったときは わたしととーやは すっごく大事な友達になれる」
桃矢はむすっとした顔で言う。
「全部歌帆が予想したとおりになるのはしゃくだ」
観月は声を出して笑うと、やっぱりいい子だと言って桃矢の頭をなでた。
二人から離れた所に立っていたさくらのもとに、雪兎が走って来た。
同じく、さくらを心配していて探してくれていたらしい。
会話するさくらと雪兎――その二人を見ながら観月はなにかに気づいたようだった。
「………あいかわらずね とーや」
観月はにっこりと笑う。
桃矢にはその言葉がなにを意味しているのかはわからなかった。
「また あしたね木之本さん!」
観月は鈴を持った方の腕を高く挙げ、リンと音を響かせながら去って行った。

(観月先生 李君がいってたみたいに気をつけなきゃいけない人には見えないんだけどな でも不思議な人…)
203マロン名無しさん:2009/06/25(木) 21:32:42 ID:???
まさか観月先生がショタ要員だったとは…しかも相手桃矢兄ちゃんだし

しかしマジで観月先生何者だ
カードに鈴だけで対抗できるって
204マロン名無しさん:2009/06/25(木) 21:34:14 ID:???
観月先生は桜の味方だな。
裏をかいて敵ってことにはならないと思う。
205マロン名無しさん:2009/06/25(木) 21:35:16 ID:???
>上空から出口を探そうと『翔(フライ)』のカードでさくらは宙を飛ぶが、
>上昇にあわせて周囲の壁も高く伸びてしまい、成功しなかった。
ゴッドサイダーなら化け物に食われてるところだ
206マロン名無しさん:2009/06/26(金) 00:03:44 ID:???
兄ちゃんは観月先生と付き合ってた事までお父さんに話したんだろうか
だとすれば全く動じてないお父さんは色んな意味で流石だ
207マロン名無しさん:2009/06/26(金) 00:10:24 ID:???
この漫画の教師は生徒に手を出し過ぎだろ
208マロン名無しさん:2009/06/26(金) 11:01:35 ID:???
あれ……寺田のときはきめえと思ったけど今回は何故かときめいた
209マロン名無しさん:2009/06/26(金) 16:02:35 ID:???
>「だって今度会うときには とーやには好きなひとができてるもの」
が気になって仕方ない
210マロン名無しさん:2009/06/26(金) 17:35:58 ID:???
>>208
今は大学生と美人教師だからかな
>>209
それさくら・・
211第16話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/26(金) 21:08:07 ID:???
臨海学校にやって来たさくらたちは、海での泳ぎを満喫していた。
「ビーチバレーはね 昔ハワイでやしの実を使って海岸で遊んだのが最初なんだ」
相変わらず山崎は怪しい蘊蓄をみんなに語る。一同から離れ、小狼は一人で黙々と泳ぎ続けていた。
山崎はビーチバレーに小狼も誘うが、輪の中に観月もいるのを見て断った。
強力な力を持つ観月を、小狼は警戒し続けているようだった。
(でも わたし観月先生を見てるとはにゃ〜んってなっちゃうんだよう)
尚も蘊蓄を語り続ける山崎を千春が引きずって行く。
ふたりは幼稚園からの幼馴染で、千春は山崎の扱いになれているのだという。
「長くおつきあいできるって素敵ですわね」
知世がそういう傍らで、利佳は離れた所にいる寺田先生の姿を頬を染めながら見た。

木之本家で留守番をしていたケロちゃんは「わいかて海行きたかったぁ!」と暴れて、並べられている本の中に突入してしまう。
階下で勉強していた桃矢と雪兎は、その激突音を聞いた。
雪兎は不思議がるが、桃矢はケロちゃんの仕業だとわかっていた。
「……ありがと 観月先生のこと 教えてくれて」
桃矢は観月に関してのことをすべて雪兎に話していた。
「…ゆき」
桃矢はなにかを言いかけるが「…………今度でいい」と打ち止めた。
さくらの部屋で、ケロちゃんは崩れた本の山から涙目で抜け出していた。
教科書にまぎれて、クロウカードのおさめられていた本もあった。それを見ながらケロちゃんはつぶやく。
「…『ユエ』……」

カレー作りのためにじゃがいもの皮をむくさくらと小狼。
二人とも皮むきが上手いと誉められ、小狼はさくらに対して対抗意識を持った様子。
さくらは神社で助けられたことについて、観月にお礼を言う。
「気にしないで わたしもよく道に迷うから」
さくらがご飯の炊けた飯盒を受け取って去ろうとしたところ、観月が呼びとめた。
「……ううん あなたならきっと自分で気づくわ」

夕食を終え、さくらは利佳の味付けがよかった、将来すてきなお嫁さんになるといって誉めた。
「そ そんなこと な ないわ!」
いつもは落ち着いている利佳が、めずらしく顔を真っ赤にさせて慌てた。
212第16話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/26(金) 21:09:52 ID:???
バンガローの明りを消し、さくらたちは布団に入る。
「あしたは肝試しがあるそうですわ あの岩場で」
岩場は長い洞窟になっており、奥には小さな泉と祠があるという。
オカルト好きの奈緒子は、事前に調べてきたという話を披露する。
昔、さくらたちと同じように臨海学校に訪れ、肝試しをした小学生の話だという。

「泉には橋がかかってるから それを使って奥までいって
 ろうそくを置いてくるっていうのが肝試しの内容だったらしいの
 二人一組で生徒たちがそれぞれ ろうそくを持ってまっくらな橋を渡って行くんだけど…
 その橋けっこう長くて…でもね 帰ってこないの …誰も
 いくら橋が長いっていっても こんなに遅いのは変だなと思った先生と残った生徒が探しに行ったんだけど…」

奥には誰もいなかった――話しかけのところで、
寺田先生が見周りに来たのでみんな布団にもぐりこんだ。
怖がっているさくらを気遣い、もう夜も遅いので寝ましょうと知世は奈緒子に提案した。
しかし、みんなが眠りについてからも、さくらは目が冴えてしまって眠ることができなかった。
こわいので先生たちと一緒にいさせてもらおうと、さくらは先生たちのバンガローに向かって走り出した。
と、いきなり誰かに話しかけられてさくらは絶叫する。
呼びかけたのは小狼だった。さくらの叫びに小狼の方もびっくり。

海辺にさくらと小狼は並んで座る。
小狼は、カードのものかはわからないが岩場から妙な気配を感じるという。
観月を危険視する小狼は、観月の仕業ではないかと怪しむが、
さくらは「はにゃーん」となってしまうだけで観月への疑いはない。
「とにかく他と違う感じはするだろ 『力』があるものは『力』にひかれやすいからな」
観月からこわい感じはしないとさくらは言うが、
恐ろしいものがいつでも恐ろしい顔をしているわけではないと小狼は言う。
「でも いいなぁとか好きだなぁって思う気持ちは自分じゃどうにもできないよ」
例えば、雪兎に対して。さくらは真っ赤な顔をし、小狼も雪兎を思い出して同じように顔を赤くする。
二人は互いに、雪兎が好きだと打ち明け合う。
213第16話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/26(金) 21:11:33 ID:???
桃矢が高校一年生だった時の三学期に雪兎は転校してきた。
雪兎はその日のうちに桃矢と仲良くなり、さくらの家に遊びに来た。
その日に出会ってすぐ、さくらは雪兎に一目ぼれしてしまった。
小狼もやはり一目ぼれだった。転校初日、ぶたまんを持っている雪兎を見た瞬間に好きになった。
「わたしも李君も雪兎さんよりずっと年下だけど…
 でも しょうがないよね 好きなんだもん」
さくらの微笑みに小狼はどきっとする。
もう寝るぞと言って小狼はいきなり駆けだした。その後を追うさくら。
そんな二人の様子を、樹上から観月が眺めていた。
観月が洞窟に目をやると――洞窟の入口が怪しく揺らめいていた。

翌朝、さくらがふと洞窟に目をやると入口が一瞬だけ妙に歪んで見えた。
「ほええええ!いっしょにいこうーー!」
さくらは知世にすがりつき、その晩の肝試しは知世とペアをくむことにした。
そして迎えた肝試し。怯えるさくらと対照的に奈緒子はうきうきしていた。
先生は拡声器で元気よくみんなに肝試しのルールを説明する。
「この岩場の奥に小さな泉があるの その泉にある橋を渡ると真ん中の祠にたどりつきます
 その祠にろうそくをおいてくること いいですねー?」
洞窟の中は一本道で迷う心配もなく、中には脅かし役の先生が待機しているとのこと。
おびえながらも、さくらは観月からろうそくを受け取り、知世と二人で洞窟の中に入って行った。

「木之本さん右手と右足いっしょに出てるよ」
おっとりと山崎は突っ込む。
その隣で小狼は、観月をにらみつけていた。
214マロン名無しさん:2009/06/26(金) 21:59:00 ID:???
若い男女が2人で何話してんだよ
215マロン名無しさん:2009/06/26(金) 22:02:56 ID:???
>>214
臨海学校の夜にふさわしくドキドキ恋ばなで盛り上がっている
ほほえましい小学生達の光景じゃないか
216マロン名無しさん:2009/06/26(金) 23:56:03 ID:???
そうそう
恋に年の差も性別も関係ないのだよ
217マロン名無しさん:2009/06/27(土) 00:48:14 ID:???
この漫画でそれはシャレにならんw
218マロン名無しさん:2009/06/27(土) 01:39:18 ID:???
小狼の好きな相手が男だってことになんの抵抗もしめさないさくら
やっぱこういうのはなれてるのか・・
219マロン名無しさん:2009/06/27(土) 02:28:56 ID:???
桃矢は雪兎に告白しようとしたのか?
いや、まさかな…
220マロン名無しさん:2009/06/27(土) 03:12:57 ID:???
観月先生が言ってた桃矢の好きな人とは雪兎のことでした
なんてオチじゃあるまいな
221マロン名無しさん:2009/06/27(土) 03:19:48 ID:???
>>218
きっとあれだよ、さくらはまだ好きの意味がよく理解できてないんだよ
はにゃーんとか謎の言葉で表しちゃうぐらいだし
222マロン名無しさん:2009/06/27(土) 08:04:41 ID:???
この世界では同性愛も普通なのかもしれない
223マロン名無しさん:2009/06/27(土) 10:46:02 ID:???
>>転校初日、ぶたまんを持っている雪兎を見た瞬間に好きになった。

文章だと何かシュールだな
224マロン名無しさん:2009/06/27(土) 11:40:47 ID:???
好きならしょうがないか……
それを俺は今まで性別だの年齢だの立場だの気にして……
この漫画読んでると心が洗われるようだよ……
225マロン名無しさん:2009/06/27(土) 12:13:53 ID:???
でも今度法律が変わって、なぜかこれもポルノ扱い指定されるんだってよ。
持ってるだけで逮捕だそうだから今のうちに本誌も単行本も捨てた方がいいみたい。
ここもじきにスレストかなあorz
226マロン名無しさん:2009/06/27(土) 13:13:55 ID:???
さくらに構ってばっかで普段はぼっちの小狼を気遣う山崎はいい奴
227マロン名無しさん:2009/06/27(土) 16:51:25 ID:???
>>225
何それ?そんな話初めて聞いたタダのデマだろ
228マロン名無しさん:2009/06/27(土) 17:12:19 ID:???
臨時楽屋だがマジ
今自民党が出してる方の児ポ法改正案だと、警察の気分次第で
確実に児童ポルノの範疇に含まれて逮捕される。
229マロン名無しさん:2009/06/27(土) 17:13:32 ID:???
山崎は妙な語りはするけど、精神的には結構大人びている感じだ。
利佳ちゃんも大人びている設定だけど、いくらなんでもまだ小学生なんだし寺田はやめてくれー
230マロン名無しさん:2009/06/27(土) 17:35:29 ID:???
>>227
ないない
231第3巻1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/27(土) 20:50:33 ID:???
「カードキャプターさくら」第3巻発売。 発行日 1997年8月6日。
「なかよし」の1997年4月号〜1997年7月号までの掲載分を収録、第11話から14話までにあたる。
一枚目のカラーイラスト 制服姿の小狼。左上に太陽のシンボル。
柱の各キャラクターのプロフィール

9 三原千春

  誕生日       5月28日
  血液型       O型
  好きな科目     国語・図工
  嫌いな科目     算数
  所属クラブ      チアリーディング部
  好きな色      黄色
  好きな花      フリージア
  好きな食べ物   オムライス・アイスクリーム
  嫌いな食べ物   ピーマン
  得意な料理     カレーライス
  今欲しいもの    リボン

10 柳沢奈緒子

  誕生日       10月11日
  血液型       AB型
  好きな科目     算数
  嫌いな科目     体育
  所属クラブ      チアリーディング部
  好きな色      水色
  好きな花      さるすべり
  好きな食べ物   ラーメン・アイスクリーム
  嫌いな食べ物   野菜
  得意な料理     ラーメン
  今欲しいもの    とんでも本
232第3巻2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/06/27(土) 20:51:47 ID:???
11 佐々木利佳

  誕生日       6月24日
  血液型       A型
  好きな科目     体育
  嫌いな科目     なし
  所属クラブ      なし
  好きな色      白
  好きな花      マーガレット
  好きな食べ物   マフィン
  嫌いな食べ物   納豆
  得意な料理     お弁当料理
  今欲しいもの    洋服

おまけのクロウカードを模したしおりの絵柄は、花束を持った知世。背景は紫。
ラストのカラーイラスト  式服を着た小狼。右上に月のシンボル。
233マロン名無しさん:2009/06/27(土) 22:45:19 ID:???
利佳ちゃんの

>得意な料理     お弁当料理

ってのはよく寺田先生に作ってあげてるからなんだろうか
その場合親になんて言い訳して作ってるのかが気になる
234マロン名無しさん:2009/06/27(土) 23:06:42 ID:???
>>233
親公認に決まってるだろう
235マロン名無しさん:2009/06/28(日) 00:13:48 ID:???
>>233
恐らく親は「生徒思いの感心な先生」位にしか思ってないと予想
236マロン名無しさん:2009/06/28(日) 02:59:43 ID:???
一応誰にも仲は打ち明けてないと思われるが、
この世界なら「パパはママが幼稚園の時の先生だったの」みたいなことを
利佳ちゃんの親が打ち明けてもおかしくないし親にバレても問題なさそうだ

無難に「お友達の分も作るのー」な感じだろうか
237マロン名無しさん:2009/06/28(日) 10:43:33 ID:???
観月先生が洞窟になにか(というかクロウカード)仕掛けたのか?
238マロン名無しさん:2009/06/28(日) 14:27:53 ID:???
観月先生がやったかどうかはともかく
次のカードは洞窟にありそうだ
奈緒子ちゃんが語った怪談は何か関係あるんだろうか?
239第17話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/28(日) 21:10:12 ID:???
いつも通りの落ち着いた知世は、片手にろうそくを持ちながら暗い洞窟の中を歩いていた。
空いている方の腕には、今にも泣き出しそうな顔のさくらがひっついている。
大声と共に、突然おばけが現れ、さくらは悲鳴をあげて知世にしがみつく…
が、おばけの正体は寺田先生だった。
さくらの怯えっぷりに、驚かしがいがあると寺田先生は豪快に笑った。
しかし、すぐ傍にいたはずの寺田先生は、ふと目を離した隙にいなくなっていた。
「ほかの生徒をおどかしにいかれたんでしょうか…?」
一方、洞窟外。小狼と山崎はラストペアで、山崎がろうそくを持ち先頭に立って歩み始めた。
小狼は観月をにらみ続けていたが、観月はいつもの笑顔で「…がんばってね」とだけ言った。
洞窟の中に一歩入った瞬間、小狼はなにかの気配を感じた。

例の橋の前で、知世はおかしなことに気づく。寺田先生以降、
他にもいるはずのおどかし役の先生が一向に現れていないのだ。
もっとおかしいのは、先行した誰とも出会わないこと。洞窟は一本道で、もうろうそくを置き終わった人たちが戻ってくるはずだった。
「きゃあああああああ」
橋の向こうから悲鳴が聞こえた。千春たちの声だった。さくらと知世は橋の向こうへと走って行く。

そこには小さな祠があり、その周りには何本ものろうそくがあった。
そして更にその前には、しゃがみこんで泣きじゃくる、千春と利佳と奈緒子の姿があった。
「みんな消えちゃったの!」
千春は泣きながらさくらにしがみつく。その横にいた奈緒子が――さくらの目の前で音もなく消えた。
そして利佳も、さくらの腕の中にいた千春さえも、フッと消えてしまった。
「これじゃ本当に奈緒子ちゃんの話とおなじだよ!」
外にいる先生に知らせなければと、さくらは知世の腕を引き橋の上を駆けだした。
しかし、確かに握っていたはずの知世の手の感触が消えた。
ふりむくと知世も姿を消していた。残されたのは、知世が持っていたろうそくだけ。
持ち手のいないろうそくは自然に落ちた。燃えていく橋を前にさくらは呆然とした。

洞窟の中を走っていた小狼は、同じように走っていたさくらとぶつかった。
小狼も、山崎が消えてしまったのだという。さくらは混乱して泣きじゃくるばかりだった。
「落ちつけ!落ちつけばわかるはずだ」
240第17話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/28(日) 21:11:30 ID:???
さくらの両肩を強くにぎり、小狼はそう冷静に諭した。
流れていた涙をさくらはぬぐい、意識を集中させる。
「…『クロウカード』の 気配?」

洞窟の外では、ただ一人だけ残された観月が、いつも通りの涼しい笑みを浮かべながら、
ユラリと空間の歪んでいる洞窟の入口を眺めていた。

落ち着いたものの、自然と涙をこぼしてしまうさくらに、小狼はハンカチを差し出した。
「…やさしいんだね」
「泣いてるやつが苦手なだけだ」
小狼は赤面しながら礼の言葉を突っぱね、羅針盤でカードの居場所を探る。カードは祠の辺りにあるようだった。
周囲は暗いため、小狼は「火神」と唱えて、帰り用の予備のろうそくに火をつけた。
さくらにはまだ火をつけるような魔法は使えないので素直に誉めたところ、またしても小狼は赤面した。

急ぎ足で二人ならんで歩みながら、さくらは小狼に訊いた。小狼は何故カードを集めるようとしているのかと。
「…この世の災いを避けるためだ」
李家に残されたクロウが記した魔術書の中に、こんなことが書かれていたという。

「『クロウカード』の封印がすべて解かれる時 この世におとずれる災い…
 その災いが起こらぬことを その日が永遠に来ぬことを心から願う」

具体的に「災い」がなんであるのかはわからない。
しかし、変わった性格をしていたというクロウは、大抵のことには動じなかったという。
そんな人が「起こらなければいい」と願うほどの災いを野放しにはできず、李家で最も魔力の高い小狼がやってきたのだ。
「でも!ケロちゃん言ってたよ! 人によっては災いでもなんでもないかもしれないって……」
「それって 人によってはすごい災いにもなる ってことじゃないか?」
さくらはまた泣きそうになってしまい、小狼は慌てて、とりあえずはカードを探すべきだとまた走りだした。

橋は燃え落ちており、歩いて祠にまでは行けなかった。『翔(フライ)』では気配で相手に気づかれる恐れがあった。
小狼は「浮歩」と唱え、その魔法により水面に浮いた。さくらにも同様の魔法がかけられたので、二人は水の上を歩いて祠に向かった。
しかし祠に近づこうとした瞬間――小狼の姿も消え始めてしまった。
241第17話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/28(日) 21:12:47 ID:???
慌てふためくさくらに小狼は呼びかける。
「落ちつけ!発動中のカードなら居場所がわかるはずだ!」
消えていく小狼を前にして落ち着き難いさくらに小狼は「みんな消えたままでいいのか!」と叫ぶ。
「いや!!」
祠の周囲の空気が歪んだ。祠の中にカードがあるのだとさくらは気づいた。
さくらは祠に向かって一直線で駆け寄った
「汝のあるべき姿に戻れ! 『クロウカード』!」

カードの正体は『消(イレイズ)』だった。カード化したと同時に小狼は元に戻った。
小狼のおかげでカード化できたと、さくらは笑いかけながら小狼にカードを渡そうとした。
「…それはおまえのだ」
優しいね、とさくらは小狼を誉め、小狼は顔を真っ赤にしてその場から走って行ってしまった。

洞窟の外では、正常になった洞窟の入口を眺めながら観月が微笑んでいた。
「…なんとかなったみたいね」

翌日。『消』が記憶までも消したのか、みんなは肝試しの思い出がうろ覚えになっていた。
奈緒子はほのぼのと、先日の夜に聞かさせたこわい話を再開する。
話の落ちは心霊物ではなかった。祠の裏に小さな抜け道があって、参加者は皆その道を通っていただけの話だった。
奈緒子は、千春らとその抜け道を探そうとしていたという。

さくらは改めて小狼に礼を言う。
「おれはおまえを認めたわけじゃないからな」
「うん でも「ありがとう」っていいたかったの」
さくらはそう言うと、みんなとのビーチバレーの輪に入って行った。
小狼はそんなさくらの後姿を見ながら、また頬を染めた。
242マロン名無しさん:2009/06/28(日) 23:41:49 ID:???
知代が消えるシーン
滅茶苦茶怖ぇー
243マロン名無しさん:2009/06/28(日) 23:44:07 ID:???
「消」・・・
何気に最強のカードかも
やろうと思えばドラえもんの独裁スイッチみたいな使い方が出来そう
244第18話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/29(月) 21:20:01 ID:???
さくらの周囲には無数の光るものが飛びまわっていた。
その一つに、さくらは包み込むように両手をかざす。
(きれい…これ……ひょっとして……)

「ひょっとして」
つぶやきながら、さくらが目を覚ますと目の前にはケロちゃんの顔があった。
驚くさくらに、ケロちゃんは言葉の続きを促すが、さくらは夢で見ていたことをすっかり忘れてしまっていた。
「夢は大事なもんなんで 特に力の強い者が見る夢は予知夢である可能性も高い」
さくらには前に『翔(フライ)』のことを予知した前例もあるし、夢は覚えておくようにとアドバイスをされた。

さくらは今日の夕食当番なので買い物に出かけた。その帰り、電信柱に貼られたチラシに気づいた。
書かれているのは月峰神社でのお祭りのお知らせだった。そういえば、さくらはまだお守りを買えていなかった。
知世を誘ってお祭りに行き、お守りも買おうとさくらは考え、雪兎も誘おうと思いついた。

雪兎の家に寄ると、屋根の上から名前を呼ばれた。雪兎は屋根の修理作業を終えたところだったという。
家の人は今は誰もいないという。雪兎の祖父母はとても仲が良く、二人そろって旅行中だという。
(雪兎さん一人かあ 寂しくないのかなあ)
さくらが思い切って今晩はご飯を食べにこないかと誘うと、雪兎は肯いた。
(きょうは本当にいい日だようーーっ)

「…やっぱり食べるよね そういう時は」
「そうですよねっ だからわたし冷蔵庫の中のゼリー食べちゃったんですけど それお兄ちゃんので…」
雪兎と話しながら歩いていたところ、さくらは話題の人物の桃矢とぶつかってしまった。
「やっぱ おまえが食ってたのか」
三人で夕食をつくりながら、祭の話を聞いた桃矢は自分も行くと言いだした。
さくらが知世にお誘いの電話をかけに行っている間に、雪兎は桃矢に言う。
「お祭りだったら人出も多いし夜遅いと危ないし心配? やさしいねお兄ちゃん」
うるせーと桃矢は照れ顔。知世も行けることがわかったので、四人で祭に行くことになった。
その段階ではじめて祭の場所が月峰神社であることを聞かされ、桃矢は一瞬作業の手を止めた。
桃矢も観月に教えられたことがあることについてさくらに訊かれ、
桃矢は動揺しながら「まあな」と言った。
245第18話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/29(月) 21:20:56 ID:???
さくらは屋台で水風船釣りに挑戦するも失敗してしまった。
すると、雪兎が代わりにさくらが目当てにしていた赤い水風船を釣って渡してくれた。
赤面しながらお礼をするさくらを撮影しながら「かわいいですわー」と知世は嬉しそう。
そこに、同じく祭にやってきた千春と山崎のペアが話しかけてきた。
神社好きの奈緒子から聞いてやってきたという。当の奈緒子は、利佳と共にピアノ教室に行っているため来られなかった。
さくらは、射的をしている最中の小狼を発見する。さくらが呼び掛けると小狼は顔を真っ赤にした。
熱をふりはらうようにぷるぷると顔をふる小狼の横には、射的で得た品々が山のように積み重なっていた。
すごいねー、そう雪兎に話しかけられ、小狼はまたしても真っ赤になりながら、
山をかきわけてPECO SABLEというお菓子を無言で手渡した。

「射的っていうのわね――」
突然語りだそうとする山崎を千春は制し、射的でぬいぐるみを取ってほしいと山崎にねだった。
とってくれたらお菓子をつくって明日持って行ってあげると言われ、山崎は「お祈りしなきゃ」と言う。
「食べてもまたぶじでいられるように」
知世は、さくらも雪兎にヨーヨーを取ってもらえて良かったねと話しかける。
すると、先ほどまで恍惚状態だった小狼が怒り顔で「なんだって!?」と話に割り込んできた。
自分の話題らしいと雪兎がさらに二人の間に割り込み、さくらになんの用かと更に桃矢が入ってくる。
知世は場を収めるため、桃矢と小狼に輪投げでぬいぐるみをかけて競争するよう誘導し、
自分自身はその場に留まり、さくらと雪兎を二人きりにして見送ってあげた。

「いこっか」
「…はい…」
さくらと雪兎は手をつないで歩きだした。人
気の少ない道の中、蛍のようなふしぎな光が幾つも漂っていることに気づいた。
これは夢でみたのと同じものかと思案するさくら。雪兎はいったいなんなのだろうと不思議がる。
「でも きれいだよね」
「……はい」
幻想的な光の中、さくらは雪兎を見上げる。
「雪兎さん……わたし……わたし……」
そこに、うさぎのぬいぐるみをそれぞれ手に持つ小狼と桃矢が現れた。
雪兎は小狼から、さくらは桃矢から受け取った。
(もうちょっと あのままいたかったな)
246第18話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/06/29(月) 21:21:42 ID:???
小狼からぬいぐるみをもらった礼として、雪兎はかき氷をおごってくれるという。他の皆の分も。
しかしさくらは、気になることがあるから先に行ってと言い残し、知世と一緒に場を離れてしまう。
二人きりでは危ないと桃矢が追いかけようとしたところ――巫女姿の観月が話しかけてきた。
小狼は観月の登場に露骨に顔をしかめてそのまま帰って行ってしまった。
雪兎は、ほしいものがあるといってその場所を観月に教えてもらうと、一旦場を抜けた。

二人きりになると、観月は桃矢に言った。
「相変わらずね 桃矢」
なんのことだと訊き返す桃矢に「わかってるくせに」と言って観月は笑う。
続けて、どうして友枝町に戻って来たのかと桃矢は質問する。
「これから起こることで ちょっと ね」

さくらが向かった場所は、さきほど雪兎と一緒にいたところ。
相変わらず宙を漂う不思議な光たちは、さくらの『鍵』に集ってくる。
やはりこれは……
「『封印解除(レリーズ)』!! 汝のあるべき姿に戻れ! 『クロウカード』!」
ふしぎな光はクロウカードの『灯(グロウ)』だった。
さくらは、夢の中で自分の言った「ひょっとして…」に続く言葉は「クロウカード」だったのだろうと察した。
このカードからは気配がしなかった。小狼も気づかなかったようだし、夢を見なければ気づかないままだった。
「でも このカードのおかげですっごい幸せだった ありがと」

そこに雪兎がやってきた。手には月峰神社のお守り。
それをさくらに渡すと、微笑みながら雪兎は言った。
「ここのお守りって願いごとが かなうんだって? さくらちゃんのも かなうといいね」
さくらは顔を赤くしながらただ「……はい」とだけ返した。
247マロン名無しさん:2009/06/29(月) 21:33:53 ID:???
桜が中国っぽい服を着てたのは
小狼の影響か?
248マロン名無しさん:2009/07/01(水) 01:59:10 ID:???
さくらはゆきうさぎへの乙女乙女した態度がかわいすぎる
249第19話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/01(水) 21:18:41 ID:???
木之本一家+雪兎は別荘へと向かっていた。知世も誘ったがコーラス部の全国大会があるため不在。
行き先の別荘は、藤隆と同じ大学の数学教授が所有するもので、貸してくれたのだという。
さくらのカバンの中に入れられてケロちゃんもついてきている。
そして、藤隆の持ってきた写真の中には撫子の姿も。
桃矢と雪兎が食料の買い出しに出ている間、さくらは暇をもてあましていた。
「ここにくるちょっとまえに すごく大きな別荘があったね いってみる?」
藤隆に言われて、さくらはその別荘を見に行くことにした。
いってきますと言うさくらに返事をしながら、藤隆は撫子の写真を飾った。

ケロちゃんとともに大きな別荘を見に行くと、豊かなひげをたくわえたおじいさんに話しかけられた。
隠れるケロちゃん。おじいさんは別荘の持ち主で、さくらはおじいさんと一緒にお茶をした。

帰ってきた桃矢たちと食事の用意をしながら、さくらは藤隆におじいさんの話をした。
「旅先で友だちが増えるのはいいことだよ」
明日もおじいさんと会う約束をしたさくらに、藤隆は行っておいでと優しく言った。

翌日はケロちゃんは置いていき、さくら一人でおじいさんのもとを訪ねることになった。
さくらは藤隆がつくってくれたクッキーを手土産に持って行く。
「おじいちゃんによろしくね」
藤隆は出かけていくさくらにそう言うと、写真の中の撫子を見つめた。

昨日はおじいさんの別荘の庭でお茶をしただけだったが、今日は別荘の中まで入れてもらった。
内装も豪華で、さくらは「ほえー」と感嘆の声を上げる。招かれた部屋の中には今日もお茶の用意がされていた。
「そうしてると孫が帰ってきたみたいだよ」
席につきティーカップを持つさくらに向って、おじいさんは言う。
「その子もここにきてるんですか?」
さくらの質問に、おじいさんは悲しく眉根を寄せた。
「ずいぶんまえに天国に行ってしまった」
ごめんなさい、そう謝るさくらの頭を、おじいさんは慰めるようになでると笑顔で言った。。
「女の子は笑顔が一番だ」
さくらは笑顔を取り戻し、父からのものだと言ってクッキーを差し出した。
おじいさんは一瞬、なにか複雑な顔をしたが、すぐに笑顔に戻って受け取った。
250第19話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/01(水) 21:19:28 ID:???
「さくらちゃんのお父さんはどんな人かね」
「優しくてお料理上手で大学の先生で お裁縫も得意で あ 編み物もできますそれからそれから…!」
さくらちゃんはお父さんが好きなんだね、おじいさんはそう言うとクッキーを食べ「うまい」と言った。
おじいさんは、さくらを孫の部屋に招き、孫の服を着ないかと言う。
さくらはちょっと照れながらも、渡された服を纏った。
「よく似合う! 孫が一番好きだった服だよ 本当に…あの子によく似てるよ」
服をもらってほしいというおじいさんの申し出を、だめですと言ってさくらは断ろうとした。
「もらってやってくれ あの子もきっと喜ぶ」
そう言われ、さくらは微笑んで受け入れた。
二人の傍らには、額縁に入れられた虹の絵があった。
おじいさんは虹が好きで、孫はおじいさんのためによく虹を書いてくれたのだという。
「雨上がりにはこの部屋のベランダからきれいな虹が見えたんだ」
優しい絵だとさくらが言うと、優しい子だったとおじいさんは言った。

おじいさんの別荘から帰ったさくらは、すぐにケロちゃんのもとへ行った。
おじいさんのことを話し、おじいさんの親切さにどうお礼をすればいいのかを相談した。

翌日。今日には自宅に帰るさくらは、おじいさんにもらった服を着て別れの挨拶をしに行った。
すごく楽しかったとお礼を言うと、自分が帰ったらすぐにベランダから外を見てほしいとさくらは頼んだ。
不思議がりながらもおじいさんは承諾し、さくらは帰っていこうとする。
「おじいちゃんのお孫さんね きっとわたしのお母さんと同じお空の綺麗なところにいったんだと思います
 お兄ちゃんが言ってたんです お母さん お父さんと結婚できて幸せだったから きっとすごく綺麗なところにいるって
 だから おじいちゃんのお孫さんも すっごくすっごく綺麗なところにいると思います」
そう言い残して去っていくさくらに、おじいさんは涙ぐみながら「ありがとう」と言った。
251第19話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/01(水) 21:20:15 ID:???
さくらは外に出るとすぐに『水(ウォーティ)』を使って辺りに虹をつくった。
その虹を眺めるおじいさんに、園美が話しかける。
実は園美はずっと別荘内におり、お茶の用意などをしてくれていたのだった。
「…幸せそうだったよわたしの曾孫は 本当に幸せそうだった」
木之本藤隆はいい男だったらしい、おじいさんはそう言いながら、
額縁を外してその裏を見る。そこには幼い字で「あまみやなでしこ」と書かれていた。
「撫子の選んだ相手ですから」

帰りの車の中でさくらは、ちゃんとおじいさんに虹が見えたのかなと窓の外を見ながら思う。
桃矢は、さくらがおじいさんからもらったびらびらした服を揶揄すると、
おじいさんの別荘の方を見ながら「いったい誰の別荘なんだろう」と言う。
「むかしは小さい女の子とおじいちゃんが 夏休みごとに避暑にきてたんですよ」
そう言う藤隆に、さくらは驚きいて「お父さん知ってるの?」と訊ねる。
藤隆はただ微笑みながら、車のなかにも飾られている撫子の写真を見た。

空には虹がかかっていた。
252マロン名無しさん:2009/07/01(水) 22:54:23 ID:???
何気に新しいカードが出てこない話って初めて?

藤隆さんが遠回りにおじいさんに会わせたのはやっぱ色々あったからなんだろうな
撫子さんと結婚するにあたって
253マロン名無しさん:2009/07/01(水) 23:58:04 ID:???
戦いじゃなくて、人を喜ばせるために魔法を使うのがいいなぁ
本来魔法ってこういうことに使われるべきなんだよ
254マロン名無しさん:2009/07/02(木) 00:27:15 ID:???
今回の話、雪兎いらんやろ。
パパとかぶって紛らわしいから片方にしてくれ。
255マロン名無しさん:2009/07/02(木) 00:48:11 ID:???
紛らわしいつうか、むしろゆきうさぎの方が藤隆パパの息子といっても違和感がない。
しかし桃はひいじいさんと接点ゼロでもいいのかしらん。
256マロン名無しさん:2009/07/02(木) 01:04:24 ID:???
たしかに白髪眼鏡同士でちょっとかぶるな雪兎と親父w
桃矢は撫子の色素受け継いでるんだろうけど
あの団欒を見ると桃矢だけよその子みたいだ
257マロン名無しさん:2009/07/02(木) 01:38:13 ID:???
よそのじいさんのところに通わせるなんてなに考えてんのと思ったらこういうつながりかー
水は攻撃カードらしいけど、幻戦では防御的な感じに、影戦では火消しに、そして今回と、
さくらが使うと平和利用でほのぼのするな
レイアースの血なまぐささは、あれはあれで良かったけどなかよし向けではないとわかったんだろうなあ
258マロン名無しさん:2009/07/02(木) 01:47:49 ID:???
>>257
さくらが主人公で本当に良かったよ、この漫画
何だかんだ言ってさくらってこの漫画のキャラの中じゃかなりまともな方だし
259マロン名無しさん:2009/07/02(木) 09:39:21 ID:???
幻の時に「お母さんが池の中に独りきりじゃなくて良かった」って言ったり
翔の時に予知夢をみていたとはいえ怪我を見抜いて労ったり
今回は曾祖父(本人は知らないけど)の為に虹を見せてあげたり
基本的にさくらって凄く心優しい子なんだよな
260マロン名無しさん:2009/07/02(木) 10:13:58 ID:???
小狼あたりが主人公だったら只のバトル漫画になってただろうな
261第20話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/02(木) 21:15:52 ID:???
友枝小学校で毎年十二月に行われる学芸会で、さくらのクラスは劇をやることになった。
(去年は合奏だったんだよね)
演目は「眠れる森の美女」で、配役はあみだくじによって決める。
副担任である観月があみだくじの紙を黒板に貼った。
小狼は、いつものようにそんな観月を警戒して眉をつりあげていた。
(でも……やっぱり観月先生見てるとはにゃーんってなっちゃうんだよう)
クラスのみんなは、あみだくじに線を書きくわえていく。
「さくらちゃんがお姫さま役なら衣装は絶対わたしが作りますわ」
うっとりして言う知世。一方、小狼はあみだくじへの行き来の途中も観月をにらみ続けていた。

「そんなに警戒しないで ……もうすぐだから」

観月の言葉に小狼はぎょっとして、さくらにその事を告げる。
なんのことだろうと言い合っていたところ、寺田先生がみんなの役柄の開示をはじめた。
「えっと次は……オーロラ姫と王子だな」


配役を聞かされたケロちゃんは驚いて叫んだ。
「王子役ー!? さくらがか!?」
きっと可愛い王子になると知世は大はしゃぎで、衣装も自分がつくるという。
そして、もう一人の主役であるお姫さま役は小狼が当たった。
さくらの相手役だからということで、小狼の衣装係も知世が買って出た。
役決めは、公平であるようにと男女別に分けられていなかった。そうするよう提案したのは観月だった。
小狼が観月を警戒していることなどを報告されたケロちゃんは言う。
「わいは会うてへんからわからんが…確かにこの町に『力』が集まってきてるような気がする
 魔力のむっちゃ強いもんがおる気配と… なんかおこりそうな感じや」
観月の調査と、さくらの勇姿を見物するために、ケロちゃんも学芸会に行くという。
「ただ学芸会見たいだけでしょーー!!」
さくらは恥ずかしがってそうケロちゃんに怒鳴りつけた。

学芸会当日。藤隆は仕事で来られなかったが、雪兎と桃矢は劇を見にきた。
二人とも、さくらが演じる役は知らされていなかった。
262第20話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/02(木) 21:18:26 ID:???
舞台裏では、衣装に着替えたさくらのクラスメートたちが待機をしていた。
長いマントを翻した、勇ましくも可愛らしいさくらの王子姿をみんなは口々にほめる。
賑やかな皆の様子を、王妃役の利佳は少し離れたところでにこやかに見ていた。
「………よく似合うな」
寺田先生は利佳の耳元でそっとつぶやき、後ろからみてもわかるぐらい顔を赤くして去って行った。
「どしたの? 利佳ちゃん顔赤いよ」と、訊ねるさくらに利佳はひどくあわてた態度を取った。
「な なんでもないの! 劇がんばろうね!」

お姫さまと王子さまの衣装は、知世がリキを入れてつくったもので、公開されるのは本番の今日がはじめて。
「  ぜ  っ  た  い  い  や  だ  」
まだ皆に衣装のお披露目をしていない小狼の声が、控え室の方から聞こえた。
さくらが覗くと、既に着付けは終えており、ひきずるほどに長いボリュームのあるドレスを纏い、
縦ロールのカツラとティアラを身につけたお姫さま姿の小狼がなにやら抵抗していた。
こんな姿で舞台に立ちたくないと小狼は言うが、
劇が中止になれば客席にいる雪兎ががっかりすると知世に言われ、いきなりやる気を出した。
そして、知世のアナウンスによる進行で劇ははじまった。

利佳演じる王妃と、王のあいだに王女が生まれ、オーロラと名付けられた。
千春と奈緒子らが演じる妖精は、姫の誕生を祝い、魔法による祝福を姫に与えた。
しかしそこに、山崎演じる招かれざる悪い魔女が現れてしまった。
「なんか山崎のってないか」 「うん」
「山崎女の子のしゃべりかた上手いな」 「うん」
兵士役の男の子二人は、妙にノリノリは山崎の演技に少々おびえる。
山崎魔女は、姫が16歳になったその日に糸車の針に指を刺して死ぬという呪をかけ、
ホホホと甲高く笑いながら去って行った。
三人の妖精の中で、奈緒子妖精だけはまだ姫に祝福の魔法を与えていなかった。
奈緒子妖精は、姫は死ぬのではなく眠りにつくだけだと魔女の呪いを薄めた。
姫の眠りを解くのは、姫を真に愛する若者だけ。

場面が変わる合間に拍手をしながら、桃矢と雪兎はさくらの出番を待っていた。
ケロちゃんは、放送室にいる知世の肩の上から舞台を見ていた。
次の場面から、とうとう姫と王子が、小狼とさくらが登場する。
263第20話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/02(木) 21:21:33 ID:???
王に呼ばれ、小狼演じるオーロラ姫はぎくしゃくとした足取りで舞台に上がった。
客席にいる雪兎に手をふって応援され、小狼のやる気ゲージは一気に高まり爆発した。
背後に炎が見えるかのような妙に熱い小狼姫は、王たちとの会話を終えるとドタドタと自室に戻って行った。
するとそこには、山崎魔女の呪い以来、そのすべてが燃やされ国からなくなったはずの糸車があった。
「オーロラ姫は糸車をみたことがなかったのです 不思議に思ったオーロラ姫はそっと近づき…」
知世のアナウンスとは違い、糸車に突進した小狼姫は、思いきり指先に針を突き刺してすっ転んだ。
山崎魔女は、自分の呪から逃れられる者はいないのだと高笑いをしにくると、また去って行った。

妖精たちは、小狼姫にあわせて国中の人々が眠るよう魔法をかけた。
呪いを解くことのできる若者が現れることを祈りながら、そして月日は過ぎた。
みんなが眠りに落ちた国に、さくら演じる勇敢な王子が現れた。
その姿に驚く桃矢、かわいいねーとほめる雪兎。雪兎の姿にさくらのやる気ゲージもMAXを超えた。
知世は、二日間徹夜でつくった衣装を身につけたさくらの姿に見惚れた。

「わたしにはこの剣と勇気がある 必ず姫君の呪いを解くと約束しよう」
妖精に事情を知らされ、さくら王子はいばらにまみれた城の中を勇敢に進んでいく。
知世とケロちゃんが放送室で盛り上がっていたところ、観月が入室してきた。ケロちゃんはすぐに隠れる。
「お話があるの 台本の後ろにすっごく強い力を持った子がいるよね」
観月は明らかにケロちゃんの存在を確信していた。ケロちゃんは腹を決め、台本の裏から出てきた。

とうとう山崎魔女を倒したさくら王子は、小狼姫と対面する。
「姫を目覚めさせるのは 真に姫を愛するものの口づけだけ」
目をつむりながらも赤面している小狼姫の唇に、さくらは唇をよせていく。

まさか本当にキスをするのではと桃矢が立ち上がりかけた瞬間――
緊張に耐えきれなくなった小狼が叫びながら起き上った瞬間――

黒いなにかが辺りを覆いつくした。
264マロン名無しさん:2009/07/02(木) 23:19:23 ID:???
ケロちゃんも言ってるけど、いくら平等にとはいえ男女の役は分けた方がいいよ…観月先生。
さくらの王子姿はカッコいいけどw


山崎の意外な一面を見て、茫然とする千春ちゃんかわいい。
265マロン名無しさん:2009/07/02(木) 23:24:39 ID:???
それにしてもこの山崎、ノリノリである

熱演しすぎだろww
266マロン名無しさん:2009/07/03(金) 00:09:07 ID:???
あ〜やっぱ利佳ちゃん可愛いわ
個人的に可愛さだけならこの漫画で一番だと思う
今のところ両想いの恋愛してるのってこの娘だけだしなあ
267マロン名無しさん:2009/07/03(金) 01:07:57 ID:???
だが寺田、あいつは許さんぞ

最後の黒いあれはクロウカードだと思われるが、
迷とか消といい、近頃のカードは観月近辺でばかり現れるな
なんのカードかわからんが観月がなんかやらかしてるのはガチじゃないか
268マロン名無しさん:2009/07/03(金) 09:18:10 ID:???
小狼妙に似合ってるしw
269マロン名無しさん:2009/07/03(金) 12:05:05 ID:???
きっと知世が似合うように作ったんだよ
似合っててお姫様として可愛く見えて舞台映えするデザイン
なんたってさくらの相手役だもの
270マロン名無しさん:2009/07/03(金) 16:33:55 ID:???
もう日頃から女装しちゃえばいいのに
271第4巻1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/03(金) 21:05:43 ID:???
「カードキャプターさくら」第4巻発売。 発行日 1997年12月5日。
「なかよし」の1997年8月号〜1997年11月号までの掲載分を収録、第15話から18話までにあたる。
一枚目のカラーイラスト 制服姿の桃矢。左上に太陽のシンボル。
柱の各キャラクターのプロフィール

12 山崎貴史

  誕生日       6月1日
  血液型       AB型
  好きな科目     算数
  嫌いな科目     特になし
  所属クラブ      コンピューター部
  好きな色      えんじ色
  好きな花      曼珠沙華
  好きな食べ物   魚料理・すあま
  嫌いな食べ物   プリン
  得意な料理     おにぎり
  今欲しいもの    落語の本

13 大道寺園美
  誕生日       10月13日
  職業         おもちゃ会社社長

  好きな食べ物   キノコ料理・紅茶
  嫌いな食べ物   コーヒー
  好きなもの     木之本撫子
  好きな色      淡い紫
  好きな花      撫子
  得意な料理     だいたい何でも作れる
  苦手なこと     早起き
  趣味         お茶全般をいれること
  特技         バイクと車の運転
272第4巻2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/03(金) 21:06:27 ID:???
14 観月歌帆

  誕生日       2月11日
  職業         小学校教師

  好きな食べ物   お酒
  嫌いな食べ物   マシュマロ
  好きなもの     散歩
  好きな色      生成り
  好きな花      月見草
  得意な料理     まったく作れない
  苦手なこと     道を覚えること
  趣味         骨董品集め
  特技         道をまったく覚えないこと

おまけのクロウカードを模したしおりの絵柄は、剣を持った小狼。背景は緑。
ラストのカラーイラスト  バーテンダー姿の桃矢。右上に月のシンボル。
273マロン名無しさん:2009/07/03(金) 22:28:22 ID:???
観月先生の「特技:道をまったく覚えないこと」は
特技なのか?
274マロン名無しさん:2009/07/04(土) 00:03:24 ID:???
全く覚えずに、目的地にたどり着けると考えれば…
魔力の無駄使いか
275マロン名無しさん:2009/07/04(土) 01:17:01 ID:???
「好きな花:曼珠沙華」
彼岸花ではなく曼珠沙華という辺りが実に山崎らしい
プリンが嫌いってのは意外だが
276マロン名無しさん:2009/07/04(土) 01:35:02 ID:???
千春ちゃんに食べ物もらうたびにお腹の心配をしているのは
過去にもらったプリンに大当たりしたせいだと思ってみる
277マロン名無しさん:2009/07/04(土) 10:37:46 ID:???
園実さん、撫子好き過ぎだろ
278マロン名無しさん:2009/07/05(日) 00:04:24 ID:???
娘をコピー品にするくらいな
279マロン名無しさん:2009/07/05(日) 20:50:42 ID:???
知世はさくらのママンの座を得るために後に藤隆と結婚したのであった
280第21話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/05(日) 21:04:25 ID:???
周囲が突然真っ暗になり、さくらはライトが切れたのかと辺りを見回す。
「気をつけろ クロウカードだ!」
そう叫ぶ小狼の方を振り向くと、小狼もまた引きずり込まれるように闇の中に消えていった。

「『これ』に飲み込まれへんかったっちゅうことは かなりの魔力の持ち主……『月』の力を持つもんやな」
さくらから離れたところで、ケロちゃんと観月は対峙していた。
辺りにはなにもなくただ暗闇が続くだけ。その中で観月はケロちゃんの言葉に頷いた。

「わいと対で生まれた もう一人のクロウカードを見護る者 『ユエ』 中国語で月のことや」

さくらは、放送室にいる知世とケロちゃんの安否を心配するが、
確認しようにも周囲が暗すぎて、放送室がどこにあるのかすらわからず戸惑った。

友枝町に来た理由をケロちゃんに問われ「ここでちょっと大変そうなことが起こるから」と観月は答える。
「……全部知っとるんか」
「全部じゃないわ ……『最後』はどうなるか わからないから」
さくらにはなにも言っていない、言わなくても気づくだろうからとも観月は言う。
「わいは……さくらやったらなんとかできるて信じとる」
「わたしもよ」

さくらは皆の名前を呼びながら歩きまわるが、どこからも返事は来ない。
ひたすら歩いているにも関わらず、どこにもぶつかることがなく、暗闇には果てがないようだった。
「…みんなどこいっちゃったの? わたし一人になっちゃったの?」
こけたさくらは泣きだすが、すぐに涙をふいた。
暗闇の中で怖がっているかもしれない知世たちのためにも、なんとかしなければいけない。
(李君はクロウカードの仕業だっていってた だったらわたしにも何かできるかもしれない)

さくらは『鍵』を取り出した。その力の気配を、ケロちゃんと観月は感じた。
(がんばれさくら! 『こいつ』を封印するには さくらが自分で『あれ』を見つけなあかんのや!)

「この空間の果てを探し出せ! 『樹(ウッディ)』!」
さくらは『樹』をどこまでも伸ばすが、『樹』はどこにもぶつからなかった。
281第21話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/05(日) 21:06:02 ID:???
なんのカードが起こした事態なのかをさくらは考える。真っ暗なので『黒(ブラック)』ではないだろう。
「……『闇(ダーク)』」
つぶやいた瞬間、辺りの暗闇が一瞬晴れようとして――すぐに元に戻った。
そのことにケロちゃんと観月も気づいた。
「正体がわかっただけじゃ『闇』はカードに戻せん さくらが自分で『あれ』を見つけな…」
さくらだったらわかるはず、そうケロちゃんは信じていた。

『鏡(ミラー)』の時のように名前を当てるだけでは解決しない。
必死に方法を考えていたさくらは、ふと不思議な事に気づいた。
「あれ? でも本当に真っ暗ならわたしのことも見えないはずだよね」
周囲は真っ暗でなにも見当たらないのに、さくらは自分自身の体のことだけはちゃんと見えていた。
「どうして自分のことは見えるんだろ」

ケロちゃんと観月は、辺りの闇がより深くなったことに気づく。
「『闇』は『月(ユエ)』配下の第一カードや 『月』の力を一番強く受け継いどる」
このままでは、さくらも『闇』の中に閉じ込められてしまうという。
さくらの体は足もとから『闇』に染められていこうとしていた。
泣きそうになるが、泣いちゃだめだとこらえて上を向く。
「がんばるってきめたんだもん だいじょうぶなんとかなるよ」

 「絶対だいじょうぶだよ」

その言葉と共に――さくらの体が光を放った。
「そうか!わたしが光ってるから真っ暗でも見えるんだ!!」
さくらの体の中から、光を放ちながら女性が現れた。
「わたしは『光(ライト)』 『太陽(サン)』……ケルベロス配下の第一カード あなたの心にずっといたの」
カードの封印が解かれた時から、ずっと『光』はさくらの中にいた。
「あなたが絶対あきらめないで 私の存在に気づいたから出てこられたのよ」
光はさくらにウインクすると、続けて言った。
「さて問題です 『闇』を明るく照らすのは?」
『光』
そうさくらが答えた瞬間に周囲を包んでいた『闇』は『光』に照らされていった。
282第21話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/05(日) 21:08:14 ID:???
『闇』は収束し、女性の姿になった。
「『光』に気づいてくれてよかったっわ あなたならわたしを封印できると思っていたけど」
『闇』はそう言って、『光』と微笑みを交わすと互いの手を取り合い寄り添った。
わたしが心に住めたお嬢さんですもの、『光』はそう『闇』に言う。
「『闇』のこと嫌いにならないでやってね
 これもあなたがクロウカードの持ち主にふさわしいかどうかのテストだから」
テストという言葉に疑問を抱くさくらに、最終審査をするのは『月』なのだと『闇』は言った。

促され、さくらは二人をカードに封印する。
「あの あの! 『ユエ』って誰ですか!?」
封印される瞬間に『闇』は言った――『月』はあなたのそばにいるわ。
そして、『光』もまたさくらに言い残していった。
「だいじょうぶ わたしがいなくてもあなたの心は光でいっぱいだし
 あなたには無敵の『絶対だいじょうぶだよ』の呪文があるもの」

そして――気づけば何事もなかったかのように、元の舞台の上にさくらは戻っていた。
よかった、と小狼に抱きつくさくら。それに対し激怒する桃矢。知世は事態を不思議がる。
『闇』はさくらなど魔力のあるものだけを取り込んでいたため、
他の皆にとっては全く時間が経っていない状態だった。
さくらに何か手出しをするつもりかとケロちゃんに問われ「わたしの役は別にあるの」と観月は言う。
「なんでわかるんや」
「………なんとなく」
283マロン名無しさん:2009/07/05(日) 22:55:29 ID:???
> 『月』はあなたのそばにいるわ
……まあアイツなんだろうなあ
284マロン名無しさん:2009/07/06(月) 00:16:54 ID:???
謎解きで相手に認められて新たな力を得るっていうのがいかにも魔法使いって感じで面白い
改めて思ったけど、この漫画のバトルって力より知恵や勇気が重視される場面の方が多いな
285マロン名無しさん:2009/07/06(月) 00:39:58 ID:???
光さんと闇さんの手の絡ませ方にエロスを感じてしまいました
286マロン名無しさん:2009/07/06(月) 00:54:30 ID:???
今更だけど、こんな可愛い娘だらけのカードを作ったクロウ・リードってどんな奴だったんだろうな・・・
287マロン名無しさん:2009/07/06(月) 01:02:54 ID:???
観月先生がユエだと思ってたけど違うみたいだ。
ユエはいかにも人っぽいが闇系をあらわすもので、
観月先生はユエの代表としてテストを行う人で便宜上ユエと呼ばれる人。
288マロン名無しさん:2009/07/06(月) 01:29:36 ID:???
月はあなたのそばにいるわ、というかわたしg・・・ゲフンゲフン
289マロン名無しさん:2009/07/06(月) 02:44:42 ID:???
闇の中閉じ込められたらどうなるの?
教えて先生!
290マロン名無しさん:2009/07/06(月) 17:45:55 ID:???
光は封印が解けたときからさくらの心に住んでたって言ってるし
ケロちゃんも「さくらが自分であれを見つけな」って言ってるってことは
さくらの心に光がいたことは知ってたんだよね

もしかしてケロちゃんはたまたまそこにいたからさくらを選んだんじゃなくて
光が住んでたからさくらを選んだのかな
291マロン名無しさん:2009/07/06(月) 19:35:42 ID:???
ケロちゃんが選んだ子だからこそ、光もさくらとともに居たんだと思う
292マロン名無しさん:2009/07/06(月) 19:59:00 ID:???
どういう経緯でさくらが選ばれたっけ?
293マロン名無しさん:2009/07/06(月) 20:11:32 ID:???
さくらが本を開くことができたからケロちゃんはさくらは選んだ
選んだ時に既に光が宿ってることに気づいていたのかもね

ケロちゃんが寝てる間にカードの封印が勝手にとけてしまったらしいが、なんでなんだろう
作為的なもんじゃないかなーと思ってみたりするが、ユエとやらが関係してるのかな
294第22話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/06(月) 21:04:03 ID:???
(綺麗な月…)
さくらは大きな満月を見上げた。
月の端に被さるように、鳥居の上に立つ長い髪の人物のシルエットが見えた。
(わたし知ってる……この人)

授業中に居眠りをしていたさくらは、知世に起こされて目覚めた。
さくらは最近よく、大きな月の出る気がかりな夢を見ていた。
ケロちゃんのいう予知夢なのかもしれない。
夢のことを聞かされたケロちゃんはしょっちゅう考え込むようになった。
さくら自身も、なにか「変な感じ」がしていた。
放課後、さくらが知世にそう打ち明けていたところ、小狼が現れた。
小狼は羅針盤を見せる。クロウカードを探すためのものだが、全面が光っていて機能を果たせていない。
強い力を持つなにかが傍にいるために、使い物にならなくなっているのだ。
そこに、雪兎が通りかかり、さくらたちにケーキをごちそうすると言ってくれた。

赤面してぽけーっとするさくらと小狼に、学芸会の二人はとても可愛かったと雪兎は褒めた。
「でも途中で真っ暗になっちゃってびっくりしたよね」
四人のテーブルにケーキが運ばれてきた。運んだのは、ケーキ店でバイト中の桃矢だった。
ケーキを食べながら皆は口々においしいと言い合う。
雪兎にそう言われ微笑まれて赤面した小狼は、さくらに微笑まれてもまた赤面し、自分は一口も食べずに走り去ってしまった。
桃矢と知世は、反応は違えど、二人とも小狼の態度からなにかに気づいた。
一同のもとへ観月もやって来た。さくらは皆から離れた席で、観月と向かい合う。
戻ってきた小狼は元の席に着くと、そこから観月をにらみつけた。雪兎は席を立っているため知世と二人席。

さくらは、ケロちゃんから観月と出会ったことを聞かされていた。
それでも警戒心はわかず、はにゃーんとしてしまう。
観月はケロちゃんから聞いたわけではないのに、ケロちゃんの本名も、クロウカードの存在も知っていた。
「わたしもちょっとだけ関係者なの」
観月は言う。『審判者・月(ユエ)』はさくらのすぐそばにいると。

新しく入ったというケーキを見に行こうと、観月はさくらの手を取る。
(あれ…この感じ前に…)
295第22話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/06(月) 21:06:38 ID:???
小狼と知世は羅針盤を見ていた。相変わらず強い光を放っているが、それはカードへの反応ではない。
「もっと強い力の持ち主がすぐ近くにいる」
小狼は観月を睨む。その傍で、また「はにゃーんとかいうのになってる」さくらの無防備さに怒る。
「さくらちゃんですもの」
対して、知世の方には心配する様子はなかった。
知世はむしろ、観月よりも小狼の態度の方に感じるものがあった。
小狼にとって、さくらはライバルであるはずなのにどうしてアドバイスをするのか。
ライバルには不利な状況でいてほしいはずなのに、どうしてさくらのことをいつも気にかけるのか。
「お お お お おれは! そ…そんな ぜ ぜ ぜ ぜ ぜったい ちがっ……!」
問われて、小狼はそう抗弁しようとするが、知世に「何が違うんですの?」と言われて頭からゆげをだした。

たくさんのケーキを前に、さくらはどれにしようか悩んでいた。後ろでは、雪兎と観月が話していた。
二人の間にはなごやかな雰囲気が漂い、雪兎は高一の三学期に引っ越してきたことや、祖父母と暮らしていることを話した。
「とーやのことよろしくね」
「……がんばります」

どのケーキにするかを決めたさくらを席に連れていくため、雪兎はさくらの手をにぎる。
(あ…! この感じだ 観月先生と手をつないだ時といっしょ……なんかあったかくてしあわせな感じ……)

桃矢は観月に、雪兎となにを話していたのかを訊いた。
「とーやが雪兎君に本当に話したいことは言ってないよ」
手をつないで歩くさくらと雪兎を見ながら「もう少しね」と観月はつぶやく。

ケロちゃんは、クロウカードのおさめられた本の前に立ちながら、
カードが揃うにつれ自分の力も戻ってきていることを感じていた。
「けど 『ユエ』の力も同じように強うなっとる …確かにあいつの力を感じる
 あのさくらの学芸会の時が一番『月』の気配が強かった」


「…さくら 『審判』はもうすぐやで」
296第22話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/06(月) 21:07:56 ID:???
ケーキ店からの帰りに、知世は小狼の耳元にささやいた。
「…さくらちゃんはふんわりなさってますから大変ですわよ」
違うと叫ぶ小狼に微笑みを返し、知世は帰って行った。
小狼とさくら、雪兎と観月はそれぞれ並んで歩いて行く。
さくらは小狼に問われ、観月がクロウカードを知っていたこと、
関係者だと言っていたことを話した。
今度はさくらが小狼に問うた。『ユエ』とは何者なのかと。

「クロウカードのもう一人の守護者だな
 太陽を司る『封印の獣ケルベロス』と 月を司る『審判者・ユエ』
 クロウ・リードがクロウカードを守るために対で作った者たちだ」

審判者とはいわれているが、なにをどう審判する者なのかはわからない。
クロウの残したどの書物にもユエについて詳しいことは書かれていなかった。
クロウカードを収める本の表紙に描かれる『黄金の獣』がケルベロス、裏表紙の『月』がユエだという。
「本の裏に月なんてなかったよ」
「じゃあケルベロスと同じくユエも実体化してるってことか」

語り合う二人の目前、空中に突如火の塊が現れた。
その火は燃えつく媒体もなしに広がり、大きな円を描いて四人の周りを囲んでしまった!
297マロン名無しさん:2009/07/06(月) 22:17:58 ID:???
前々からそれっぽい兆候はあったけどやっぱり小狼はさくらに惚れてたか…
最終的に雪兎とさくらどっちを選ぶんだろう

しかし恋敵になるかもしれない相手にアドバイスが出来る知世ちゃんはいい子だなあ
298マロン名無しさん:2009/07/06(月) 23:11:43 ID:???
さくらの夢の人がどう見ても観月先生な件
さくらー気づけ気づけー
299マロン名無しさん:2009/07/07(火) 00:21:54 ID:???
>「でも途中で真っ暗になっちゃってびっくりしたよね」
雪兎は何かあるな。
やっぱり一巻の感の良さは伏線だった。
300マロン名無しさん:2009/07/07(火) 12:27:46 ID:???
知世こそ「何故ライバルになる相手にアドバイスをするのか」って感じだ
さくらを見守っていたいとかなのかな

それにしても
>「とーやが雪兎君に本当に話したいことは言ってないよ」
相変わらず本筋に関わりそうな事も脇っぽい事もいちいち思わせぶりだな観月先生
301マロン名無しさん:2009/07/07(火) 18:20:55 ID:???
小狼はホモじゃなかったのか
バイだったのか
302マロン名無しさん:2009/07/07(火) 18:55:17 ID:???
>>300
さくらと雪兎のことも応援スタンスだし
本当にいい子なんだろう
(知世ママみたいに内心歯ぎしりしてるとこは想像できない)
303マロン名無しさん:2009/07/07(火) 19:42:06 ID:???
>>301
これ二股じゃん
304第23話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/07(火) 21:03:07 ID:???
襲い来る火のつぶてから、小狼は身を呈してさくらをかばう。
火からはクロウカードの気配がした。それも、かなり強いカードだ。
更に大きな火がさくらと小狼に向かってくるが、雪兎が前に立ちコートで払ってくれた。
カードのことを既に知っている観月はともかく、雪兎が傍にいては魔法が使えないとさくらは困る。
「すみません!」
小狼は雪兎に対していきなりそう叫ぶと、雪兎の腹に一発こぶしを入れた。
魔法が使えるよう気を失ってもらったのだ。雪兎を支えながら、魔法を使えと小狼は言う。
さくらは杖を取り出し『盾(シールド)』で火から身を守る。
しかし、やや離れた場所にいる観月まではカバーできなかった。
だが、観月は月の形をした鈴を頭上で鳴らして、向かってきた火を跳ね返し霧散させた。
すごい、さくらはそう感嘆しつつ『風(ウィンディ)』で風を払おうとするが、『風』は火に飲まれてしまう。
『風』は四大元素カードの一つ。四大元素カードは『光(ライト)』と『闇(ダーク)』に次ぐ高位カードだ。
その『風』が太刀打ちできないということは、
相手はまだ手に入れていない四大元素カードの一つ、『火』だ。

『火』は集まり、翼を生やした子供の姿を成す。
攻撃カードである『火』に対抗できるのは、同じく攻撃カードである『水(ウオーティ)』!
さくらに呼び出された人魚のような姿の『水』は、好戦的な目つきの『火』をにらみ返す。
『火』と『水』の力は互角。勝負の行く末は、『水』を使っているさくらの力次第だった。
両者が戦っている中で『火』の放った火の弾がさくらに向って飛んできた。
ケロちゃんは、民家の壁にぶつかりそうになったさくらをかばって下敷きになり、怪我を負う。
「ちょ ちょうどよかったわ…」
ケロちゃんのシンボルは『太陽(サン)』で、『火』はケロちゃんの属性であるため、
ケロちゃんが傍にいることで『火』は更に力を強めてしまうのだという。ケロちゃんが気を失えば『火』は弱くなる。
「…けど先に『火』が姿を現わしてよかったわ …さくら がんばれ カードはこの『火』と あともう一枚や」
ケロちゃんは意識を失った。さくらは『水』をカードに戻し、ケロちゃんを観月に預けた。

「お願い もう一度さくらといっしょにがんばって」
さくらは『水』と『風』のカードに語りかけた。
305第23話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/07(火) 21:06:54 ID:???
「『クロウ』の創りしカードよ 我が『鍵』に力を貸せ
 カードに宿りし魔力をこの『鍵』に移し 我に力を! 『風』!! 『水』!!」

さくらは『風』と『水』を同時に呼びだした。高位カードを二つ同時に使いこなすさくらに小狼は驚く。
使う側のさくらも苦しそうであったが、『風』と『水』の同時攻撃により『火』は勢いを抑え込まれていった。

「汝のあるべき姿にもどれ! 『クロウカード』!!」
『火』がカードに戻った瞬間、観月の手の中のケロちゃんが光を放ち、宙に浮いた。
背に生えていたケロちゃんの小さな翼は巨大化し、ケロちゃん自身の体を覆い隠した。
閉じた翼は隙間から光を射しながら、再び開いていった。
中からは、背に翼を生やした、ライオンを思わせる巨大な黄金の獣が姿を現した。
「あ あなた……だれ?」
「何ぼけてんねん! わいや ケルベロス!」
この姿こそが、ケロちゃんの真の姿だという。
なんだかケロちゃんって感じがしない、そう言うさくらに間に合ってよかったとケロちゃんは言う。
最後のカードが『火』ではなくてよかった、残り一枚のカードを捕まえる時ぐらいは手伝えるようになったと。
「それに…あいつより先に元の姿に戻れた」

その言葉に答えるかのように観月は『月(ユエ)』とつぶやく。
はっとしてさくらが振り向いた瞬間、強い地震が起こった。
「私の役目もそろそろね…」
観月はまたつぶやく。倒れたままの雪兎を抱え、傍の月峰神社まで皆は避難した。
が、そこで地割れが起きてさくらが落ちかけてしまった。。
小狼が片手で支えるが、更なる揺れの衝撃でさくらは落下してしまう。
「さくら!」
小狼は手を必死で伸ばし叫ぶ――すると、さくらの背を咥えてケロちゃんがぱたぱたと浮上してきた。
さくらは助けてくれようとしたことを小狼に感謝しながら、名前で読んだことを指摘する。
「…なんかうれしい わたしも小狼君って呼んでいい?」
「す 好きにすればいい!」

二人の目の前で、地面が盛り上がり、伸び続け、巨大な土の柱を成していった。
最後のカード、四大元素の一つである『地』だ!
306マロン名無しさん:2009/07/07(火) 21:52:51 ID:???
気付いたらクライマックス。
キャラに気を取られてストーリーをあまり気にしなかったが、
あと1枚だけか。
307マロン名無しさん:2009/07/07(火) 22:00:26 ID:???
ケロちゃん予想以上にかっこいいw
308マロン名無しさん:2009/07/07(火) 22:07:24 ID:???
レイアースからたてがみ取った感じ?
309マロン名無しさん:2009/07/07(火) 22:21:34 ID:???
『炎』と『地』、半分だけでも戻れるのか。
なら『ユエ』のカードは両方さくらが持ってるわけだが・・・
いわゆる『真の姿』をとってるのだろうか?
310マロン名無しさん:2009/07/07(火) 23:49:38 ID:???
小狼がさくらって呼ぶところいいな
311マロン名無しさん:2009/07/08(水) 07:17:22 ID:???
真の姿は神話などにおける首三つの姿かと思っていたがなんというイケ獣ww
第三形態まであって更にすごい姿になった末に首三つになったりはしないよな流石に
312マロン名無しさん:2009/07/08(水) 17:03:49 ID:???
火と水は流石に対の存在って感じで、光と闇みたいに話したりはしないものの、
互いに敵意を持ちあってるとわかりやすいのがカード同士にも人間関係はあるんだと感じさせて面白い
313マロン名無しさん:2009/07/08(水) 19:18:01 ID:???
他に好きな人が出来た途端に前に好きだった人を殴り倒すなんて

いや、今も赤面してるし同時進行で好きなのか
314マロン名無しさん:2009/07/08(水) 19:20:19 ID:???
腹殴っても悶絶するだけじゃないか
315マロン名無しさん:2009/07/08(水) 19:31:40 ID:???
雪兎はショック死しました カードキャプターさくら・完
316第24話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/08(水) 21:09:22 ID:???
さくらと小狼の足元の地面も『地』によって各々に盛り上がり、地上から遠くへ押し上げられる。
心配してさくらは観月たちの方を見やるが、観月と雪兎の周囲だけは何事もなく無事な様子だった。
「あれが…最後のカードなんだよね」
さくらは杖を手にケロちゃんに聞く。
「…カードはな……」
さくらは小狼に、雪兎たちの安否を頼んで『地』に立ち向かおうとする。
「おまえ…!」
小狼はさくらのことをこそ心配する。
「『さくら』だよ」
さくらは微笑み、『翔(フライ)』で盛り上がった土の柱から飛んで行った。

「だいじょうぶ 木之本さん……いえ さくらちゃんなら」
観月は、一際太い柱となっている『地』に向かい飛んでいくさくらとケロちゃんを見上げた。

その頃、知世は自宅でひどい地震を感じた。クロウカードではないかという予感がした。
「ちょっとでかけてきます!」
知世は母やメイドさんにそう言い、ビデオカメラを持って走り出た。
そして、バイト中の桃矢も揺れを感じながら、なにかの気配を察した。

宙を飛ぶさくらの眼下で、町は『地』によってあちこちで地割れを起こしひどい状態になっていた。
このままでは町が壊れてしまう。これこそが例の『災い』なのか――そうではないとケロちゃんは言う。
地面から突き出す土の柱を、鋭い『水(ウォーティ)』で断ち切るが、すぐにまた伸びてきてしまう。
今度は『火(ファイアリー)』を用いるが、逆に『地』に利用されてしまい、火を纏った礫がさくらに襲い来る!
ケロちゃんの背に乗せられ助けられたものの、あぶないところだった。
「『火』のカードは確かにわいの属性やけどな! 『地』もやで!!」
同じ属性同士であるため『火』は『水』より効かない上に、ケロちゃんがそばにいることで『地』はなお強くなる。

『地』は土を龍のような形に連ねさせ、その連なりをさくらに向かわせる。
「さくら! わいに『火』のカードを使うんや!」
戸惑いながらも従うと、ケロちゃんは火を身に纏い、その炎を口から吐き出し土に吹きかけた!
衝撃で一時しのぎはできたが、やはり一時的なものにすぎない。逃げ回りながら、地上を見たさくらは気づいた。
(あれ…? 木は倒れてない?)
317第24話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/08(水) 21:10:37 ID:???
割れてひどい状態の地面が続く中、木の周囲だけはなんともなく、木自体は一つも倒れていなかった。
さくらは、自分を背に乗せるケロちゃんに『地』に近づくようお願いした。
「カード全部集めるって決めたんだもん! やってみる!」

「『クロウ』の創りしカードよ! 我が鍵に力を貸せ!
 カードの魔力をこの鍵に移し我に力を! 『樹(ウッド)』!」

たちまちに伸び生えた『樹』は、『地』の龍をからめとった。
「汝のあるべき姿に戻れ! 『クロウカード』!」
そして、最後のクロウカード『地(アーシー)』はカードに戻った。
ケロちゃんは、さくらが『五行思想』を知っていたのかと驚く。さくらはそんなものは知らなかった。
「『地』のせいで地面は割れてたけど、木は平気だったから」
五行思想とは、昔から中国にある宇宙万物を創るものは五つの要素であるという考えのこと。
木・火・土・金・水はそれぞれ対応しあっており『木は土を侵して生ず』と言われている。
木は土の上に生えるため、木は土に勝るという考えだ。

「クロウカードには東洋魔法も入っとる まったく知らんでそれをやってのけたとは…
 …わいの『選定者』としての目は正しかったな」

地上に降り立ったさくらのもとに小狼が駆け寄る。
「これでクロウカード全部集めたよ!」
『地』のカードを見せながら笑いかけるさくらを見て、小狼は赤面しながら「よかったな」とどもる。
そこに、息切らして知世も駆けつけた。同様の報告をするさくらに知世はショックを受ける。
「あああああ! 『カードキャプターさくら』最後の勇姿を取り逃がしてしまうなんてー!!」
衣装も持参してきたという知世の悲しみぶりに、せめて衣装は着るとさくらはなだめた。
知世は瞳にきらめきを取り戻すと、ふと傍らにいる真の姿をしたケロちゃんの存在に気づいた。
「…どちら様でしょう?」
318第24話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/08(水) 21:12:06 ID:???
すっかり夜も更け、空には満月が見えた。
月峰神社の鳥居をバックに、衣装に着替えたさくらの撮影会が行われた。
「きょうは『カード全部とれておめでとう日』ですもの!」
決めポーズを催促して大はしゃぎの知世とは対称的に、ケロちゃんには嬉しそうな様子がなかった。
そして、もう一つの気がかり。いつまでも雪兎が目覚めないままなのだった。
「そうですわ! もう最後のカードに名前は書かれました?」
知世に言われてはじめて、まだ書いていないことに気づいた。
その場面を撮影すると知世ははりきり、さくらもカードに手を伸ばす。
「名まえ書いたらカードは全部封印終了や」
ケロちゃんに「うん!」と答えながら、さくらはペンを走らせる。
「…準備はええか」
さくらがカードからペンを離した瞬間に、ケロちゃんはそう言った。


「…最後の『審判』よ」


観月は言う。
瞬間、さくらの持っていたカードたちが宙を舞い始めた。
そして、寝かされていた雪兎の体もふわりと浮いた。
空中に留まった雪兎の真下には魔法陣が広がり、巨大な翼が現れた。
翼は雪兎の全身を覆い隠す。
閉じた翼は隙間から光を射しながら、再び開いていった。
中からは、背に翼を持つ長い髪の――見知らぬ青年が現れた。
319マロン名無しさん:2009/07/08(水) 22:22:40 ID:???
ちょw雪兎さん
320マロン名無しさん:2009/07/08(水) 22:30:51 ID:???
え、雪兎!?
まさか今まで観月先生が散々怪しげだったのはブラフ?
321マロン名無しさん:2009/07/08(水) 22:43:54 ID:???
そっかー兎だもんねぇ、そうだよねぇ
と、強引に納得しようと思ったが
そういえば一応苗字が月城だったな
それに一応カードの使い手二人が惹かれていたんだし
こっちの方が納得といえば納得…かなぁ?
322マロン名無しさん:2009/07/08(水) 22:44:58 ID:???
雪兎がアレなのか?
雪兎もなんかあるとは思ってたけど、
観月先生が怪しすぎてそれとは考えなかった。
323マロン名無しさん:2009/07/08(水) 22:49:43 ID:???
まてまてじゃあ観月先生は何者だ
324マロン名無しさん:2009/07/08(水) 23:56:05 ID:???
今までサクラと小狼に挟まれながらぽややーんとしてただけだったのに
食事量とか運動神経とかいろいろ超人だったけどさ
325マロン名無しさん:2009/07/09(木) 00:12:00 ID:???
7/12東京都議選

児童ポルノ法改悪を阻止するためには、自分の票を死票にしないことが一番大事。
一番選びたい政党より、一番選びたくない政党に'最も対抗しうる政党'に入れること。
投票に行かなかったり、票が分散してしまえば、自民党と公明党の思う壺だ。

期日前投票が便利。最寄りの役所で毎晩8時まで、土日も休まず投票できます。

反オタク国会議員リスト
http://otaku.rulez.jp/kill_the_assholes.html
326マロン名無しさん:2009/07/09(木) 06:56:56 ID:???
>>321
カードキャプター2人だけじゃなく霊力が強いとかいう
桃矢もうほっ気味だったしなあ
小狼の「強い力を持つものは強い力を持つものに惹かれる」云々は観月先生じゃなくこっちにかかってたのか
327マロン名無しさん:2009/07/09(木) 08:44:27 ID:???
逆に怪しすぎてユエ≠観月先生と思ってたのは私だけかorz
じゃあ誰だと思ってたんだよと聞かれると困るけど…
328マロン名無しさん:2009/07/09(木) 17:45:53 ID:???
今にして思えば派手なミスリードだったよな
329マロン名無しさん:2009/07/09(木) 18:17:31 ID:???
>>「『地』のせいで地面は割れてたけど、木は平気だったから」

小学四年生とは思えない冷静さと観察眼だな
さくらスゲエよ
330マロン名無しさん:2009/07/09(木) 18:44:42 ID:???
近隣住民のみなさんは無事なんでしょうか
地を使えば地面を直すのも楽そうではあるが

火と水はロリ(ショタ?)で、風と地は巨乳のお姉さん、
そして木水火土より更に上位の光と闇もバインバイン、クロウの趣味がうかがえる。
・・・エロおやじかと思ったが、そういや性別出てたっけ?実は美人なお姉さんという可能性も?
331マロン名無しさん:2009/07/09(木) 20:18:30 ID:???
四大元素最萌えは水です
3325巻発売1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/09(木) 21:03:51 ID:???
「カードキャプターさくら」第5巻発売。 発行日 1998年4月4日。
「なかよし」の1997年12月号〜1998年3月号までの掲載分を収録、第19話から22話までにあたる。
一枚目のカラーイラスト フォーマルな服装の観月。左上に太陽のシンボル。
柱の各キャラクターのプロフィール

15 寺田良幸

  誕生日       7月18日
  職業         小学校教師
  好きな食べ物   きんぴらごぼう
  嫌いな食べ物   餅
  好きなもの     将棋
  好きな色      緑
  好きな花      マーガレット
  得意な料理     日本料理
  苦手なこと     縫い物
  趣味         映画鑑賞
  特技         料理

13 木村ゆき絵

  誕生日       8月28日
  職業         小学校教師
  好きな食べ物   卵焼き
  嫌いな食べ物   大根
  好きなもの     洋裁
  好きな色      水色
  好きな花      ひまわり
  得意な料理     チキンライス
  苦手なこと     ビデオ予約
  趣味         サイクリング
  特技         洋服作り
3335巻発売2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/09(木) 21:04:46 ID:???
おまけのクロウカードを模したしおりの絵柄は、桃矢。背景は水色。
ラストのカラーイラスト  巫女姿で月の鈴を持った観月。右上に月のシンボル。

1998年4月7日よりNHK衛星第2テレビ『衛星アニメ劇場』にてアニメ放映開始。

(ちなみに、木村ゆき絵は本編では顔のみの登場で名前は柱が初出。
 臨海学校の際に、皆に肝試しの説明をしたまゆげが太めで元気のいい先生)
334マロン名無しさん:2009/07/10(金) 00:22:20 ID:???
「好きなもの:将棋」「得意な料理:日本料理」
意外と渋いな寺田
335マロン名無しさん:2009/07/10(金) 07:46:11 ID:???
なのに異性の好みはロリロリとな
336マロン名無しさん:2009/07/10(金) 08:38:49 ID:???
アニメ化ktkr
でもNHKじゃスポンサーがつかないから玩具は出ないな…
クロウカードとかさくらの杖とか欲しいって子は絶対いるだろうに

まさかチョイ役の先生にここまで詳しい設定があるとはw
特技とか見る限り家庭科の先生かな
337マロン名無しさん:2009/07/10(金) 08:58:21 ID:???
ユエの審判とやらで終了かと思ったけど、このタイミングでアニメ化とはまだ続きそう
失敗→またカード散らばるみたいなのか?
審判って具体的になにすんだろ 最後の審判ってなにやら不穏だが
338マロン名無しさん:2009/07/10(金) 09:08:14 ID:???
>>334-335
だから彼女がああなんだろう
339マロン名無しさん:2009/07/10(金) 11:12:38 ID:???
「『物理的な災害ではないが、人によっては地球滅亡より辛い』この世の災い」
がかかってる事になるのかな。
さくらには当然該当するとして…具体的にどんな事なんだろ?
340マロン名無しさん:2009/07/10(金) 11:41:30 ID:???
魔力が全くなくなるとか?
341マロン名無しさん:2009/07/10(金) 12:54:34 ID:???
物理的じゃないんだよな
目が見えなくなる?色が無くなる?声が出なくなる?デフレスパイラル?
PCのデータがとぶ?
こんなことしか思いつかん。
342マロン名無しさん:2009/07/10(金) 13:02:16 ID:???
目の前で自作ポエムを朗読されるとか?
343マロン名無しさん:2009/07/10(金) 16:42:29 ID:???
駅のホームから屋根が無くなるとか
更衣室が男女共用になるとか
スーパーやコンビニの袋が有料になるとか
344マロン名無しさん:2009/07/10(金) 16:53:32 ID:???
雪兎が魔法の国へ帰るとか
345マロン名無しさん:2009/07/10(金) 16:53:48 ID:???
今までレイアースみたいな血流展開がなかったのは次回から一気に噴出させるためだったのかもしれない
散々惚れるように誘導して好きにさせておいて、その相手と血みどろに戦うはめになること=災いと推理
幻から助ける時のタイミングとかあの眼鏡野郎絶対狙ってたぞ
346マロン名無しさん:2009/07/10(金) 17:44:42 ID:???
雪兎が審判者ってのはけっこう納得できたが、だったら観月はなんなんだ
ただのちょっと魔力の強いショタコン先生か
347マロン名無しさん:2009/07/10(金) 18:33:40 ID:???
しかし「ちょっとだけ関係者」とも言ってたしな
稀代の魔術師クロウと神社の娘観月先生にどんな関わりが…?
348マロン名無しさん:2009/07/10(金) 18:37:14 ID:???
ケロちゃんでいうならぬいぐるみの姿=雪兎、動物姿=ユエみたいな感じなのか
意識がないところを乗っ取られた的なのではないんだよな
普段の雪兎は演技だったのか?
349マロン名無しさん:2009/07/10(金) 18:44:10 ID:???
もしかして「旅行大好きで家にあまりいない雪兎の祖父母」って存在しないんじゃないか?
350マロン名無しさん:2009/07/10(金) 19:23:46 ID:???
てか雪兎って結構前から兄ちゃんの友達じゃなかった?
351マロン名無しさん:2009/07/10(金) 19:32:40 ID:???
お兄ちゃんが雪兎が選んだカードキャプターで
そのお兄ちゃんと対決するんじゃない?
先生は雪兎の親族とか付き人とかそういうのだよ
352マロン名無しさん:2009/07/10(金) 20:30:52 ID:???
何故かふりふりの衣装来たお兄ちゃんを想像してしまった

ユエが審判者、選定者はケロちゃんといってたし、
カードキャプターを選ぶのはケロちゃんだけなんじゃね
353マロン名無しさん:2009/07/10(金) 21:02:14 ID:???
むしろタキシード仮面みたいな格好したお兄ちゃんを(ry
354第25話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/10(金) 21:25:48 ID:???
向かい合うさくらと青年の間にわりこむように、さくらを守るようにケロちゃんはさくらの前に立つ。
「ユエ…クロウカードのもう一人の守護者や……」
ケロちゃんに言われ、さくらは混乱した。雪兎はいったいどこへ行ってしまったのか。
観月は、雪兎こそがユエだったのだと言う。
「…ひさしぶりだなケルベロス」
ユエは無表情でそう言う。思えば、ケロちゃんは雪兎と対面したことがなかった。

雪兎が現れた時は大抵ケロちゃんは身を隠すため離れていた。
『幻(イリュージョン)』捕獲の際には至近距離にいたが、その時は『幻』によってケロちゃんは意識を失っていた。
学芸会の時はユエの気配を強く感じたが、魔力が強い観月も傍にいたため、雪兎の方までは気がまわらなかった。

「ケルベロスと対で生まれたもう一人のクロウカードを見守る者 『ユエ』 中国語で月のことや」
ケロちゃんは、ユエのことを知っていたのかと観月に問う。
「…知ってます わたしもちょっとだけ関係者だし」
ユエとつるんでいたのかとケロちゃんは激昂するが、そうではなく初対面だという。
この状況がさくらには一向に理解できなかった。ユエはふわりと宙に浮き、さくらの前に再び立った。
「ケルベロスとおなじだ 魔力が足りない状態では真の姿に戻れない だからあの姿でいたんだ」
雪兎の存在はユエの仮の姿にすぎなかった。
ユエは戸惑うさくらのあごに手をやり、さくらの顔を引き上げる。
「…この姿で会うのは初めてだな 『選定者・ケルベロス』が選んだ 次のクロウカードの主候補」

ケロちゃんはまた二人の間に割って入り、さくらを守るように翼を広げた。
「さくらやったら おまえをなんとかできるはずや!」
あいかわらず甘いとユエは言い、あいかわらず性格悪そうだとケロちゃんは言う。
「なんとかってどういうことなの? カード全部集めたら『災い』は起らないんじゃなかったの!?」
「クロウカードを集めたもんには最後の『審判』があるんや」

戦いのはじまりを告げるように、ユエは空を飛び、鳥居の上に立った。
満月を後ろにした、長い髪と大きな翼のシルエット――それはさくらが夢で見た風景と酷似していた。
355第25話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/10(金) 21:28:37 ID:???
「クロウの創りしカードよ 汝らの主たることを望む者がここにいる
 『選定者・ケルベロス』によって選ばれし者 名をさくら
 少女が真に我らの主にふさわしいか 我『審判者・ユエ』 最後の『審判』を行う」

さくらの持つ杖は自然に光を放ち、辺りをカードたちが舞う。
「封印したカードを使てユエに勝てたら! さくらは新しいクロウカードの持ち主になれる!」
カードの持ち主にふさわしい者なら、カードの守護者に負けるはずがない――
ユエはそういって『土(アーシー)』の攻撃のように、無数の土の礫をさくらに投げた。
さくらは『跳(ジャンプ)』で跳んで避けた。ともよ、観月、そして小狼が駆け寄る。
小狼は護符でさくらの加勢をしようとするがケロちゃんに止められた。
他者が手出しすればさくらの負けになるのだという。

さくらたちを追うために走りながら、知世は雪兎の正体に今も驚き続けていた。
「『力』の気配なんかまったく感じなかった!あいつの兄貴の方がよっぽど……!」
「せやからユエは桃矢にーちゃんの友達として始終すぐそばにいたんや!
 桃矢にーちゃんには力がある! さくらとは違うがかなり強い力や!」
ケロちゃんが本を開く者を待っていたのと同じように、ユエも強い魔力の持ち主の傍で、
カードの主候補が全てのカードを集め終えるのを待っていたのだった。

しかし、さくらが本を開いたのも、その兄である桃矢のそばにユエがいたのも、
なにかの作為によるものではなく全て偶然だとケロちゃんは言う。
そして、雪兎は自身がユエであることも知らずにいた。だからこそケロちゃんたちは気付けなかったのだという。
「ええ でも…月城くんに惹かれたでしょう 李君もさくらちゃんも」
観月に言われ、小狼はかつて臨海学校で自分自身が言った言葉を思い出した。

『力のある者は 力に惹かれるからな』

「クロウ・リードの血をひく者と クロウカードを受け継ぐ者 クロウカードの守護者に惹かれるのは当然かも」
だが、知世も小狼もそれだけでは納得いかない。
小狼はもう一人の守護者であるケロちゃんとは仲が悪かったし、さくらが「はにゃーん」となった観月を危険視していた。
356第25話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/10(金) 21:30:15 ID:???
問われて、わたしには役目があるからと観月は微笑み、持っていたショルダーバッグに手をやる。
「渡すものがあるのよ」
ユエに対し攻撃カードも使わず逃げるだけだったさくらは、満身創痍だった。
「しっかりせえ!さくら!! このままやとこの世の『災い』が起こってまう!」
ぼろぼろのさくらは『災い』がいったいなんなのかと訊いた。

「…『忘れること』だ」

『選定者』であるケロちゃんに選ばれた主候補が、『審判者』のユエに勝てなかったら、
クロウカードと、カードに関わったすべての者たちから『一番好きな人』の記憶が消えてしまうのだと

いう。
カードたちは自分の主を一番大事に思う。けれどその主がふさわしくなかった時は、
カードが辛くないように一番好きな人を、主の記憶をカードから消す。そして、カードに関わったすべての人からも。
「わたしも…忘れちゃう……一番好きな人のことを…」
そしてまたカードの封印は解かれ、次の主を求めるようになるという。
「地球が壊れたり天変地異が起こったりするもんやない……けど……
 人によっちゃそんなことより ずっとずっと辛いことなんや……」

みんなが好きな人を忘れてしまう。知世も小狼も雪兎と友達だった桃矢も。
クロウカードの本を書庫に置いていた藤隆も、『水(ウォーティ)』に足をひっぱられた千春も、
『幻(イリュージョン)』を見た奈緒子も、『剣(ソード)』に操られた利佳も、
『花(フラワー)』が花を降らせた時に運動会に来た全ての人たちも、観月も。

そんなのいやだ! さくらは杖を固く握るが――ユエに攻撃はできなかった。
「今は違う感じがするけど やっぱり雪兎さんだもん
 それにユエさんもケロちゃんと対になって生まれたんでしょ わたし仲良くなりたいよ」

「どうしていいかわかんないけど でも…いっしょうけんめいやってみる
 なんとかなるよ 絶対大丈夫だよ」

ユエが正体を見せてからさくらははじめて微笑み、ユエもまた笑みを見せた――審判は続行された。
357マロン名無しさん:2009/07/10(金) 21:47:41 ID:???
勝手にユエの隠れみのにされてた桃矢兄ちゃんカワイソス

この世の災いの正体はかなり意外だったw
でもこれってつらいのは記憶消される本人じゃなくて忘れられた人の方じゃないのかな
358マロン名無しさん:2009/07/10(金) 22:21:17 ID:???
ユエもユエで記憶消してやんぜひゃっはーって感じじゃなくてなんか辛そう
鏡のカードの態度をなんか思い出した
359マロン名無しさん:2009/07/10(金) 22:25:09 ID:???
片思いや、問題ある関係の多いご町内だから
忘れる側の方が辛いっていうのも間違いじゃないよ
(たとえば園美さんが撫子さんのことを忘れたりしたら絶対に可哀想だ)

カードの記憶を消すのは思いやりなんだろうけど、
カードに関わった人間全員を巻き込むのは大迷惑でしかないぞクロウ
360マロン名無しさん:2009/07/10(金) 22:26:01 ID:???
利佳ちゃんは忘れさせてあげよう
361マロン名無しさん:2009/07/10(金) 22:33:59 ID:???
>>360
「利佳ちゃんも…!」のシーンで実はちょっとそれ思ったw
362マロン名無しさん:2009/07/10(金) 22:46:21 ID:???
審判に小狼は蚊帳の外か
363マロン名無しさん:2009/07/10(金) 22:57:47 ID:???
はるばる香港から来たのに…
364マロン名無しさん:2009/07/11(土) 00:47:39 ID:???
>桃矢にーちゃんには力がある! さくらとは違うがかなり強い力や!」
こりゃとーや兄ちゃん第二のカードキャプター化フラグがたったな
365マロン名無しさん:2009/07/11(土) 01:16:31 ID:???
全て偶然だってのは何か引っ掛かるな
偶然だったと見せかけて実は…ってのがありそう
とりあえず桃矢兄ちゃんに期待だな
366マロン名無しさん:2009/07/11(土) 01:27:18 ID:???
兄さんは雪兎ともショタコン先生とも深い中だし
これは絶対ユエにかかわってる
367マロン名無しさん:2009/07/11(土) 14:20:41 ID:???
利佳ちゃんは全てを忘れてもいいんだぞ
368マロン名無しさん:2009/07/11(土) 15:48:13 ID:???
実は兄さんが黒幕
369マロン名無しさん:2009/07/11(土) 15:55:01 ID:???
さくらと兄ちゃんは魔力持ちなのにお父さんはなにもないんだよな
撫子はよっぽどすごい魔力持ちだったのか
370第26話1/5 ◆RDQNQFm41U :2009/07/11(土) 21:23:32 ID:???
(攻撃しないで なんとかなるカード…!)
さくらは『風(ウインディ)』を取り出すが、ケロちゃんに止められた。
『風』はユエの属性カード。ユエ属性のカードを使ってもユエには効かず、跳ね返る恐れもある。
「おまけに今日は満月! ユエの力が一番大きいときや!」
手助けできないかわりにケロちゃんは助言をしていたが、それももう大目には見ないとユエは言う。
「…ごめんな…わい……またなんもででけへん…」
ケロちゃんは悔しがりながら、それでもさくらのことを忘れたくないと言う。
「それはさくらが集めてくれたカードもいっしょや… みんなさくらが大好きなんや」
ケロちゃんの後ろには、さくらを見守る小狼と知世と観月の姿もあった。
「ありがと」
微笑んで、さくらは『樹(ウッド)』のカードを出した。

「かの者を捕らえよ! 『樹』!」
ユエへと伸びかけた『樹』は、跳ね返りさくら自身を縛り付けた。
『樹』もユエ属性のカードなのだ。
ケロちゃんは最低限のことしか教えてはならないと定められているため、さくらは知らなかった。
これで勝負がつけば、この世の『災い』が起こってしまう――
「だめーーー!」
さくらは大声で叫び、気力で『樹』の縛めを解いた。
その様子に、ユエもさくらの魔力に感心する。
「…しかし 『審判者』に勝てるのはクロウだけだ…」
そう言うユエから、さくらはクロウを失ったユエの悲しみを感じた。

ユエは水を弓のように尖らせ、切っ先をさくらに目がけ、弦を引く。
すると――カードたちがふわりとさくらの周囲を囲った。ユエからさくらを守るように。
「ありがと…!」
さくらのもとに、観月はいきなり駆けよりだした。渡すものがあるのだという。
余計な真似は怪我のもとだとユエは忠告するが、
観月は月の力を持つ者だからユエの力は効かないという。
観月がカバンの中から取り出したものは――月の形をした鈴。
「クロウ・リードから あなたへの贈り物よ」
371第26話2/5 ◆RDQNQFm41U :2009/07/11(土) 21:25:05 ID:???
みんなは驚き、ユエは弓を消すと「どういうことだ」と訊いた。
クロウはこの日本で亡くなった。持ち主を失ったカードはその瞬間に辺りに散らばった。
「占い師であるクロウは 自分がいつどこで死ぬかもわかってたみたい
 そして次の候補者がいつどこに現れるか その時クロウカードの本がどこにあるのかも」
本が様々な人の手を渡って友枝町にくることも、候補者がさくらであることもクロウにはわかっていた。
「でなければそんなピンクの可愛い杖にしないでしょ」

クロウには、新たな候補者にとって、ユエが手ごわい存在であることもわかっていた。
「だから次の候補者を助けるものを用意していたのよ
 この鈴はクロウ・リードが死ぬまえ 日本で創ったものよ」
その鈴を、候補者であるさくらの家のそばにある、月峰神社に預けたのはクロウ自身だった。
「わたしみたいにちょっと力のある人間が月峰神社に生まれて
 この鈴の謎に気づくのも彼には全部わかっていたんでしょうね」

「鈴に触れてすぐにわかったわ いつかこの鈴を必要とする子が現れる
 そしてその子が本当にカードの持ち主になることを決めたらこの鈴を渡す
 それがわたしの役目 わたしはあなたにこれを渡すために帰ってきたの」

観月は鈴を掲げ、同じように杖を掲げるようさくらに言う。
そして、今から唱える言葉を復唱するようにと。

「クロウの創りし鍵よ 新たなる月の力を宿し 新たなる姿を我が前に示せ」
鈴は形を失うと絡みつくように杖へと収束していき、新たな形をつくっていった。
左右に翼のつけられた円。その円の中央には星のシンボル――杖はそのような姿になった。

この杖でカードを使えばいいと観月は言う。
「攻撃しなくてもなんとかなるわ あなたなら」
さくらは『風』をユエに向かわせる。反射されずに、『風』はユエを捕縛した。
ユエは片膝をつきながら、眉根を顰めて言った。

「…なにが『審判者』だ 結局最初から次のクロウカードの持ち主は決まってたんじゃないか
 この世の『災い』が起こらないこともあいつは知って……」
372第26話3/5 ◆RDQNQFm41U :2009/07/11(土) 21:26:22 ID:???
「クロウがそういう性格なんは おまえとわいが いっちゃんよく知っとるやろ」
ユエと向かい合うさくらのとなりに、ケロちゃんもやって来た。
「偶然やなかったんやな わいがさくらの家の地下で寝とったのも
 さくらが本開けたんも ユエが人間の姿になってさくらのそばにおったんも…」
クロウさんの予定通りってことでしょうか…知世はつぶやき、小狼は「ああ」と肯いた。

「ユエさん…きっとすごくクロウさんのこと好きだったんだね」
さくらは微笑んだ。
「わたしなんか まだまだ子どもだし 魔力もぜんぜんだし……
 寝坊ばっかだし…算数も嫌いだし なんにもできないけど……」
少し困ったような顔をするも、さくらはまた笑う。
「カードのこともケロちゃんのことも大好き
 きっとユエさんのことも好きになれる ううん もう好きだよ!」
風の縛めがとけてゆくユエに、さくらは手を差し伸べた。

「『主』とかじゃなくて 『仲よし』になってほしいな」

ユエは立ち上がると、目をつむるようさくらに言った。
「審判終了 我 『審判者・ユエ』 さくらを新しい主と認む」
さくらの体は宙に少し浮き、カードたちも辺りを舞う。そして、さくらは瞼の裏で見知らぬ人を見た。

「ケルベロスとユエとカードたちをよろしくお願いします」
そう言ったのは、長めの髪を後ろで束ねた丸眼鏡をかけた男の人だった。
ひょっとしてクロウさん…? そう思うさくらに彼はつづけて言った。
「その杖には新しい力が宿っています 太陽でも月でもないあなただけの『星』の力が
 たとえ今は小さな光でも 自分で光り続ける星の力が…」

「これから『わたし』がご迷惑をおかけすると思いますけれど…
 あなたなら…『絶対だいじょうぶ』ですよ…」

(え…?)
さくらはそこで瞼を開いた。地面に降り立ったさくらの手元に、カードたちが重なって落ちてきた。
373第26話4/5 ◆RDQNQFm41U :2009/07/11(土) 21:27:41 ID:???
さくらはまだ力不足であるため、まだ仮の姿でいた方がいいだろうとケロちゃんとユエは言い合う。
「これからはさくらがこまった時に封印を解いたら元の姿になるさかい これからもよろしゅうな」
うん!とさくらは満面の笑顔で言い、
ケロちゃんはぬいぐるみのような格好に、そしてユエは雪兎へと姿を変えた。
「ぼく、どうしてここに…」
ユエでいた間の記憶のない雪兎はそう言うと、ふらりと倒れてしまった――
が、駆け付けた桃矢が体を受け止めてくれた。
こんな時間までなにやってんだと聞かれ、さくらはあたふたした。

元々の算数の先生である堤先生が産休から復帰することになり、観月は留学先に戻って行った。
いつもよりフォーマルな服装で、さくらたちは観月を見送りに来た。
「わたし まだひとつわからないことがありますの」
どうして小狼は雪兎相手には真っ赤になって、
ケロちゃんとは仲が悪くて、観月にはむっとなって、
一方でさくらは雪兎にも観月にもはにゃーんとなってケロちゃんと
仲よしであるのか、それがわからないという。

「李君の魔法は月の力をより多く使っているから… ユエに反応したのね」
しかし、さくらの魔法は月の力も太陽の力もバランスよく溶け合っていたから、ケロちゃんとも反目しなかった。
小狼が観月を気に入らなかったのは、観月の持つ月の力が、
クロウの月の力とは異なるものだったからだ。
おまけに、その観月の持つ月の力は、
クロウのつくった『審判者・ユエ』が負けるきっかけを持っていた。
「クロウ・リードの血を引いて月の力を持つ者としてはあまり仲よしにはなれないわよね」
さくらが観月と雪兎、どちらといても幸せ気分になれたのは、どちらも自分が手に入れる力だったからだ。

「クロウカードの持ち主は クロウカードの二人の守護者 どっちとも仲よくなれなきゃ ね!」
「つまり…今考えるとやっぱりクロウカードの持ち主は最初からさくらしかおらんかったっちゅうこっちゃ!」
観月とケロちゃんにそう言われながらも、さくらは素直に喜べなかった。傍らの小狼に引け目を感じてだ。
「と とにかくカードが全部集まったんだから まあいい」
赤面して目をそらしながらもそう言う小狼の姿に、さくらはほっとする。
(でも…雪兎さんがユエさんだったなんて…)
374第26話5/5 ◆RDQNQFm41U :2009/07/11(土) 21:28:46 ID:???
さくらは観月の荷物を積める手伝いをしていた雪兎の方を見た。
ユエと知ってからでも、雪兎に見つめ返されるとやはりさくらは赤面してしまった。

同じく手伝いに来ていた桃矢に、観月は訊いた。
ユエとの戦いが終わった後に駆けつけた桃矢は、本当は現れるよりも前からそばにいたのだろうと。
「…歌帆がいたし さくらが『絶対だいじょうぶ』だっつってたからな…」
観月は、雪兎が人間じゃないことも以前から知っていたのかと訊いた。
「…ああ」
「人間以外にも優しいのは相変わらずね とーや」
でも 月城くんにいいたいことは早く言った方がいいよ、観月は桃矢の肩をぽんと叩いた。


「またね! 今度は遊びに来るね!」
そうして、観月は去って行った。
さくらは、カードの本当の主になった瞬間に見た男の人のことを思い出した。
(あれ やっぱりクロウさんだったのかな)

「これから『わたし』がご迷惑をおかけすると思いますけれど…」

『わたし』ってどういうことだろう?
考えるさくらに、既に場を離れようとしている桃矢が、
置いていくぞと声をかけてきた。
「あ 待ってー」
さくらはみんなを追いかけだした。
375マロン名無しさん:2009/07/11(土) 21:46:28 ID:???
これは
お兄ちゃんの正体はクロウさんフラグ
376マロン名無しさん:2009/07/11(土) 21:51:02 ID:???
雪兎の本命がクロウだと判明し、さりげなく2人まとめて失恋だな
ユエと雪兎が完全に別人格ならまた別だけど
377マロン名無しさん:2009/07/11(土) 21:53:22 ID:???
イイサイシュウカイダナー

と思ったらまだ続くのか!
378マロン名無しさん:2009/07/11(土) 22:12:53 ID:???
そうかピンクの杖にはそういう理由が・・・
なんか他の魔法少女ものと比べると納得がいくというかなんというか。コスチュームの件にしても。
セーラームーンとかそのコスチューム誰のデザイン?って感じるし
379マロン名無しさん:2009/07/11(土) 23:39:19 ID:???
クロウさんには申し訳ないが、杖のデザインは前の方がよかった。

しかしクロウさんの最後の言葉が気になるな。
まだ越えなければいけない試練があるんだろうか。
380マロン名無しさん:2009/07/12(日) 00:21:49 ID:???
今度はクロウさん=お兄ちゃんを倒すとか
381マロン名無しさん:2009/07/12(日) 00:27:13 ID:???
雪兎となんかホモっぽいお兄ちゃんを倒すことでさくらの恋が確かなものになるという展開か……

いやいや、それはないだろw
共通点髪の色ぐらいしかないw
382マロン名無しさん:2009/07/12(日) 00:42:13 ID:???
>>379
俺も鳥っぽい杖の方が・・・
383マロン名無しさん:2009/07/12(日) 00:43:37 ID:???
結局観月先生は、力の強い普通の人か。
384マロン名無しさん:2009/07/12(日) 01:03:57 ID:???
クロウがおっさんだということが判明したわけだが、
彼は一体なにを思ってあんな可愛いおにゃのこカードばかりつくったのだろうか。
カードの次の主が女の子だとわかっているならイケメンカードをつくるべきだったのではないか
385マロン名無しさん:2009/07/12(日) 01:22:19 ID:???
恋多き乙女になっても困る。
現状でも雪兎にはにゃーんしたり小狼とフラグ立てたり
観月先生にはにゃーんしたり兄貴がシスコンだったり親友が百合だったり
386マロン名無しさん:2009/07/12(日) 03:32:46 ID:???
血まみれの雪兎の亡骸を抱えながら「こんなのってないよ…」とさくらが東京タワーで泣き崩れるような展開じゃなくてよかった
387マロン名無しさん:2009/07/12(日) 06:39:39 ID:???
>379
鳥は可愛さとかっこよさを両立してたよね
今のは魔法少女らしすぎるというか
予定済みってことがバレる時のことだからクロウもはっちゃけたのか
388マロン名無しさん:2009/07/12(日) 09:38:11 ID:???
>>381
雪兎の上を行く魔力の持ち主なんだよ
クロウさんの生まれ変わりかもしれないよ
389マロン名無しさん:2009/07/12(日) 11:27:39 ID:???
しかしユエさんはかわいそうだな。
ずっと審判のためにスタンバイしてたのに
実はクロウのやらせでしたーなんて
390マロン名無しさん:2009/07/12(日) 15:32:46 ID:???
クロウさん今まででもう十分迷惑でしたよ
391マロン名無しさん:2009/07/12(日) 15:49:01 ID:???
>>389
「次の主もう決まってるから頼むよ」
と言われてもクロウにウホッぽいユエは抵抗するだろうと考えてのことだろうけど、
やらせならやらせでバレないようにした上でのやらせにしてあげればよかったのに。
392マロン名無しさん:2009/07/12(日) 16:00:42 ID:???
ウホっていうか親みたいなもんじゃね
393マロン名無しさん:2009/07/12(日) 16:04:30 ID:???
継母さくらにだだをこねる子供ユエか
ちょっと可愛いぞ
394マロン名無しさん:2009/07/12(日) 16:24:41 ID:???
ケロちゃんは弟をなだめるお兄ちゃん的な存在か
395マロン名無しさん:2009/07/12(日) 18:03:54 ID:???
>>386
ちょっと見てみたいと思ってしまった俺みたいのは決してカードに選ばれない
396マロン名無しさん:2009/07/12(日) 20:47:28 ID:???
ユエが焼きもちを妬くから、カードの中の人は女性だったり、獣だったりするのか?
397第27話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/12(日) 21:18:09 ID:???
扉絵 
『星』のシンボルの杖を持ったさくらとケロちゃん 辺りには無数の星が舞っている

光の射さない暗闇の中に東京タワーがそびえたっていた。
その鉄骨の上に、背に羽を生やした四本足の巨大な獣が立っていた。
(だれ…)
獣の向こう側では、同じように羽を持つ髪の長い人物が座っていた。
(だれ…?)
さくらは、太陽と月の二つのシンボルを併せ持った杖を見た。
その杖を持つのは、大きな帽子をかぶり、長いマントをひるがえらせた子供だった。
(知ってる…会ったことある…この人…)
その子供は、こちらに向かってふりむこうとした。

目覚まし時計の音でさくらは飛び起きた。目の前には、時計をかざすケロちゃんの姿。
夢を見たような気がするものの、その内容を思い出せないままさくらは制服に着替えた。
(わたし 木之本桜 友枝小学校に通ってるの
 好きな科目は体育と音楽 最近算数もちょっと好きになってきた 元気がとりえの女の子です)
ケロちゃんがさくらの髪にリボンを巻く手伝いをしてくれた。
さくらはクロウカードの本を見ながら、クロウらしき人物の言葉を思い出す。
「これから『わたし』がご迷惑をおかけすると思いますけれど…あなたなら…『絶対だいじょうぶ』ですよ…」
どういう意味なんだろうと思いつつ、ケロちゃんに急かされて階下に行くと、そこには桃矢の姿が。
(桃矢お兄ちゃん うちの小学校の隣の星條高校に通ってて 相変わらずいじわるなのよう
 絶対いつかお兄ちゃんよりおっきくなって踏んでやるって
 決めてるんだけど 最近お兄ちゃんまたおっきくなったみたい)
桃矢は牛乳パックをさくらの頭の上に乗せる。さくらは1cmしか背が伸びていなくて、
パックの分を足しても身長差はかなりあり、悔しそうに腕をぐるぐるまわす。そこに、藤隆がやってきた。
(お父さんの藤隆さん うちからバスで三駅先の塔和大学で考古学を教えてる先生なの
 優しいし なんでもできるし だーい好き♥)
桃矢のつくった朝食を食べながらさくらは、今日も飾られている撫子の写真を見る。
(お母さんの撫子さんは わたしが三歳の時に亡くなったんだけど
 いつもこうやって写真が飾ってあるしお父さんやお兄ちゃんから
  お母さんの話いろいろ聞けるしさびしくないよ)
398第27話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/12(日) 21:19:00 ID:???
自転車に乗る桃矢を追って、さくらはインラインスケートで疾走する。
桃矢は、途中で雪兎を拾って自転車の後ろに乗せた。
(月城雪兎さん お兄ちゃんと同じクラスでお兄ちゃんのお友達)
その新の姿はクロウカードの守護者であるユエ。
(でもでも やっぱり雪兎さんを見てると はにゃーん♥ ってなっちゃうー♥)

学校に着くと、一番に知世が挨拶をしてきた。
(大道寺知世ちゃん クロウカードを探してる間も
 いろいろ力になってくれた わたしのいちばんのお友達)
知世は憂い顔でため息をつく。カードを全部集めて以来、めっきり撮影の機会がなくなったからだ。
「ああ! さくらちゃんに着ていただきたい服はまだまだたくさんありますのに!
 そして! それをそれをわたしが撮影!! 幸 せ 絶 頂 で す わ ー !!」
(やっぱり ちょおおおおおっと変わってるかも)

教室に入り、さくらは皆と挨拶を交わし、席についている小狼にもおはようと声をかける。
(李小狼君 クロウカードを作ったクロウリードさんの親戚なんだって
 カード集めてる時はいろいろあったけど いまはちょっと仲よくなれたみたいでうれしい)
カード集めが終わったので、小狼は一度香港に帰るという。
でも、戻ってくる、そう言われさくらは「よかったぁ!」と笑う。その笑顔に小狼は赤面した。

さくらは観月から送られてきたという手紙を小狼たちに見せた。
(観月歌帆先生はわたしたちに算数を教えてくれた先生なの)
観月のおかげでカードの持ち主だと認めてもらえた。これでいいはず、でも今朝の夢が気にかかった。
(なんか大切な夢のような気がするんだけど 思い出せないんだよね……)

担任の寺田先生は転校生を連れてきた。
その眼鏡をかけた優しそうな男の子は、さくらを見つめて微笑んだ。
「柊沢エリオルくん イギリスから来たんだ」
エリオルの席は、さくらの斜め後ろ、小狼の隣になった。
席に着くまでに、もう一度エリオルはさくらに笑みを向けた。
(あれ…なんだか……)
不思議な気分になるさくら。一方で、小狼はエリオルに対してむっとしていた。
399第27話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/12(日) 21:19:56 ID:???
「なんか…初めて会った気がしないなあ…柊沢くん……」
休み時間。観月への返事の手紙に、転校生が来た事を書きながらさくらはつぶやいた。
その声に答えるように、ぼくもですよと言いながらエリオルが現れた。
「変だね はじめてなのに」
「会ってるのかもしれませんね」

「生まれるまえに 会っているのかもしれない」

さくらの名前を聞いたエリオルは、日本で咲くきれいな花の名前だと誉め、「さくらさん」と名を呼ぶようになった。
照れる様子のさくらに「エリオルと呼んでください」と言って、エリオルはさくらの手を取る。
その様子をこっそり眺めている小狼と知世。小狼は、いい感じの雰囲気の二人の間にわりこむ。
小狼はエリオルをにらみつけるが、エリオルは動じた様子もなく微笑みを返すだけだった。

ずっと難しい顔の小狼を気にするさくら。もうすぐ帰国してしまうし、力になれるうちに悩み事は言ってほしいとさくらは言う。
「帰らない…まだ当分いる」
赤面しながら小狼は言う。嬉しくなったさくらは、小狼と知世にアイスをおごるといって走って行った。
「ライバルになりそうな方も登場しましたし 香港に戻るのはしばらくお預けですわね」
涼しい顔で知世に言われて小狼はあたふたとした。
アイスを持ったさくらが戻ってきたが、そのうちの一本をくたびれた様子の桃矢に奪われてしまった。
星條にも転校生がやってきたせいだ、桃矢がそう言ってすぐに、ロングヘアの女の子が桃矢の背中に飛び乗って来た。
「あら あなたが桃矢君の妹さん? わたし秋月奈久留! 思ってたとおりね! かわいい!」
ハイテンションにそう言うと、奈久留は桃矢がくわえていたアイスをさりげなく引っ手繰って去って行った。
奈久留が去ると、桃矢は雪兎に目をやった。「なに?」 「…なんでもない」

夜。なにか変な感じのする雨が降っていた。
ニュースによれば友枝町にのみ降っており、隣町には雨の気配すらないという。
なにかがおかしい、さくらは知世の衣装を久しぶりに来て、公園まで出てきた。
雨はやはり普通の雨ではなく、水がさくらに襲いかかる。
「クロウの創りしカードよ 我が『鍵』に力を貸せ! カードに宿りし魔力をこの『鍵』に移し我に力を!」
さくらは『水(ウォーティ)』で対抗しようとするが――何故か魔法が効かない!
400マロン名無しさん:2009/07/12(日) 21:42:12 ID:???
小狼が帰らなくて良かった。
小狼に必要なのは敵か。
401マロン名無しさん:2009/07/12(日) 21:48:32 ID:???
あの外見といい意味深な発言といい、どう考えてもエリオルってクロウの変装じゃないか
402マロン名無しさん:2009/07/12(日) 21:55:38 ID:???
しかし、子どもの一存で(しかも「恋敵が現れたから」という理由で)あっさり帰国を延ばすことができるのか
小学生の子ども一人だけで外国に送り出してる件といい、小狼の親はずいぶん放任主義なんだな
403マロン名無しさん:2009/07/13(月) 01:54:45 ID:???
10歳になったら大人扱いという一族なのかも
しかしあの秋月ってのは何なんだ
只の空気読めない脇役かそれとも重要キャラの顔見せか
404マロン名無しさん:2009/07/13(月) 02:44:21 ID:???
まあ苗字に月が入ってるからそっち関係だろ
405マロン名無しさん:2009/07/13(月) 07:42:03 ID:???
友枝小学校はずいぶん国際的だな
406マロン名無しさん:2009/07/13(月) 09:32:42 ID:???
観月先生の親戚か何かかな
407マロン名無しさん:2009/07/13(月) 18:15:33 ID:???
エリオルもクロウの血筋では
苗字は柊沢だからハーフかもしれんが、とりあえずイギリス系統らしいし
クロウの父片のひとくさい
408マロン名無しさん:2009/07/13(月) 21:11:41 ID:???
「カードキャプターさくら」第6巻発売。 発行日 1998年7月13日。
「なかよし」の1998年4月号〜1998年7月号までの掲載分を収録、第23話から26話までにあたる。
一枚目のカラーイラスト 青空を飛ぶ仮の姿のケロちゃん。左上に太陽のシンボル。

柱の各キャラクターのプロフィール

17 碧麻紀子

  誕生日       11月19日
  職業         小学校教師
  好きな食べ物   京菜漬け
  嫌いな食べ物   麺類
  好きなもの     掃除
  好きな色      紫
  好きな花      桔梗
  得意な料理     和食
  苦手なこと     徹夜
  趣味         生け花
  特技         和裁

おまけのクロウカードを模したしおりの絵柄は、和服姿で鈴を持った観月。背景は紫。
ラストのカラーイラスト  夜空を飛ぶ真の姿のケロちゃん。右上に月のシンボル。

(碧先生の名前の初出は第3話の千春の台詞「わたしこくごの碧先生がすきー」。 姿は柱が初出?)
409マロン名無しさん:2009/07/13(月) 21:41:18 ID:???
奈久留みたいなタイプのキャラって大抵のCLAMP作品で一人は見かける気がするんだが
410マロン名無しさん:2009/07/14(火) 11:10:33 ID:???
水に飲み込まれる『水』たん萌え
411マロン名無しさん:2009/07/14(火) 17:18:45 ID:???
男の食べかけアイスを持って行くとは・・・
やる奴ですわね
412第28話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/14(火) 20:59:25 ID:???
扉絵 星のシンボルを背景にした小狼とエリオル 臨海学校時などに着用していたボーイスカウト風の服装
    立っている小狼はハーフパンツ、座っているエリオルは長ズボン

「この気配!?」
ケロちゃんはなにかを感じる。さくらは襲い来る水を『盾(シールド)』で防ぎ、知世を守り抱く。
しかし、水の奔流は『盾』すらも破り、さくらたちに向かって流れだした。
カードが通じない以上仕方がない、一旦は引くしかないとケロちゃんに言われ、
さくらは知世の手を引いて公園から駆けていった。
(まさか…そんなはずない けどあの気配は!)
ケロちゃんは去りながら、なにかが引っかかり公園の方をふりむいた。
街灯の上に立つ子供の姿に、ケロちゃんは気づかなかった。

「なんでわたしの魔法ぜんぜん効かなかったんだろう…」
お風呂に入りながらさくらは言う。ケロちゃんは、明日雪兎を家に招くよう言った。
「用があるんはユエや 確かめたいことがある」

翌日、学校でも不思議な雨の話題が持ちきりだった。奈緒子だけは、超常現象かなと嬉しそう。
(やっぱりこの雨は普通の雨じゃない でもクロウカードは全部集めたのにどうして…?)
考え込むさくらに、エリオルはそっとマーガレットの花を渡す。さくらには笑顔が一番似合うからと。
対抗するように、小狼はさくらに駆け寄って大声で「おはよう」と叫ぶ。
エリオルを睨む小狼と、やはり微笑み返すエリオル。もりあがってますわねーと知世はうきうきしている。

校舎の外の雨宿りができる場所で、さくらは小狼に昨晩のことを話した。
さくらたちに力を感知させないよう出来るほど強い力の持ち主が魔法を妨害しているのかもと小狼は言う。
話し合う二人の様子は、星條の校舎の中からも見えた。目撃した桃矢は、さくらを気にしつつ傍らの雪兎に言う。
「…おれ……おまえが……」
言いかけたところで、奈久留が飛びついてきて話は中断した。奈久留曰く、先生が桃矢を呼んでいるとのこと。
桃矢が先生のもとへ行った後、奈久留は雪兎に言った。
「…まだみたいね …だったら わたしがもらうね♥」

その晩、さくらに呼ばれて雪兎が木之本家にやってきた。
桃矢がバイトに出かけるとすぐに、雪兎はユエへと変わった。
413第28話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/14(火) 21:01:51 ID:???
寝起きが最悪に悪いというユエ、まるでその時のように機嫌が悪そうであった。
「…仮の姿と本来の姿が別人格というのは面倒なものだな…」とだけユエは言った。

さくらはユエにお茶を出そうとするが、ユエは飲食物を受け付けないのだという。
「わいも食わんでもいいんやけど必要に応じてな
 わいはユエと違うて食えるさかい 人生楽しまんとな」
要は食い意地のはっているケロちゃん、早速お茶のおかわりをさくらに頼んだ。
「この雨どう思う?」 「誰かが故意に降らせているものだろう」
ケロちゃんも真の姿になる。問題は、雨を降らせているのが『誰か』だ。

ケロちゃんとユエを連れて、さくらはまた公園へ向かった。
雪兎にはユエの記憶はないが、ユエは雪兎でいる時の記憶をすべて持っているという。
(なんかきんちょうするなぁ ユエさんと雪兎さん 同じ人だなんて思えないよぅ――
 ユエさんはすっごくきれいだけど 雪兎さんは……)
考えるさくらのもとに水が押し寄せてくる。
渦を描いた水はさくらを巻き込み、竜巻のようになってさくらを上空へ押し上げていく。
ケロちゃんたちは助けに行こうとするものの、何故か体が動けなくなってしまう。
水の中、さくらは息もできなかった。でも、あきらめるのは――「絶対にだめ!」

ケロちゃんたちは、上空のさくらの背後に、見たこともない魔法陣が広がっていることに気づいた。
「あの魔法陣は…」 「クロウが創ったものやない!」
左右に太陽と月、そして中央には星のシンボルが描かれた全くあたらしい魔法陣だった。
(カードさんお願い! さくらといっしょにがんばって!)
さくらは『火(ファイアリー)』で水を蒸発させた。
魔法が発動する瞬間、杖の『羽』が巨大化した。
そして、『火』のカードの図柄の周囲のデザインが星モチーフのものへと変わった。
動けるようになったケロちゃんたちが駆け寄ると、さくらは倒れてしまった。
ユエがすぐに抱きあげたが、さくらは眠っているだけだった。

樹上から、さくらたちの姿を見る者たちがいた。
蝶の羽を持った、謎の人物と獣にはさまれて、中央に立つ影は言った。
「…これからが楽しみだな」
414マロン名無しさん:2009/07/15(水) 02:57:52 ID:???
「わたしがもらうね」
…奈久留は観月先生に代わる「思わせぶり発言」担当か
415マロン名無しさん:2009/07/15(水) 06:43:52 ID:???
そのまんま受け止めると性的な意味にしか聞こえなくて困る
416マロン名無しさん:2009/07/15(水) 12:13:46 ID:???
影のシルエットがまんまエリオルだがこれもクランプお得意のミスリードなのかっ
417マロン名無しさん:2009/07/15(水) 14:52:42 ID:???
やっぱおにいちゃんの正体はクロウさんの生まれ変わり
418マロン名無しさん:2009/07/15(水) 16:32:27 ID:???
雪兎はなにも知らないんだなあ
なんかちょっと不憫だ
知らない方が日常を送れるんだろうけど
419マロン名無しさん:2009/07/15(水) 18:45:31 ID:???
奈久留は思わせぶりな事言っておいて実は対したキーパーソンでもなかったりして
420第29話 1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/15(水) 21:04:22 ID:???
扉絵 星のシンボルを背景にしたさくらと知世 臨海学校時などに着用していたボーイスカウト風の服装
    立っているさくらはプリーツスカート、座っている知世はタイトスカート


東京タワーの真上の青い空が暗くなっていく。太陽と月が重なり行こうとしていたのだ。
暗闇の中には、長い髪をした見知らぬ人と獣、そして太陽と月の意匠の杖を持った子供の姿。

                      『ヒ…デ…』


さくらは目覚めるが、異様に強い眠気のため起き上がれなかった。
熱はないようだが、普通の様子ではないため藤隆はさくらを休ませた。
心配していた藤隆と一緒にさくらを看ていた桃矢は、去り際にぬいぐるみのふりをしているケロちゃんをにらんでいった。
「にーちゃん やっぱりわいのことに気づいとる そのうえ怒っとる」
夢うつつの中でさくらは思っていた。
(…お父さんとエリオル君って似てる……でももう一人似てる人が…)
さくらは一瞬目を覚ますものの、またすぐに眠りについた。
ケロちゃんは机の上に並べられたクロウカードのうち『火(ファイアリー)』を取りだした。
「…カードが変わった」

学校では調理実習でケーキ作りが行われていた。さくらのことを考えて上の空な小狼。
それでも手際は良く、皆にほめられた。エリオルも同じようにケーキ作りが上手かった。
いつも家でつくっているから慣れているのだという。奈緒子は、一人暮らしなのかと訊いた。
「いえ 二人…いや三人ですね」

小狼と同じく、さくらを案じて上の空な桃矢。そこにやって来た雪兎は、肩幅より大きい袋にいっぱいの食料を抱えていた。
「ゆき おまえわかってないと思うからいうけど…… おれ…おまえが……」
外からの歓声に遮られて話が中断する。奈久留が男子相手にバスケで大活躍していたのだった。
奈久留は上階にいる桃矢に向かっていつものように大はしゃぎで話しかける。
どこの部にも入るつもりはないようだが非常に運動神経のいい奈久留を雪兎はほめた。
桃矢は、奈久留と雪兎は似ているという。部に入らないところがかと雪兎は訊いた。
「…それだけじゃねぇよ」
421第29話 2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/15(水) 21:05:04 ID:???
午後三時になってようやく、さくらはスッキリと目覚めた。
小狼と知世は、実習でつくったケーキを持ってお見舞いにきてくれた。
最初から赤い顔をしていた小狼は、さくらにお礼を言われてますます耳まで赤くなった。
しばし和やかにみんなでケーキを味わった後に、ケロちゃんは真剣な顔で言った。
さくらが急に眠たくなったのはカードが新しくなったからだという。
『火』のカードのデザインは裏も表も変わった。
昨日さくらが魔法を使った時に出た魔法陣は、カードの裏に新たに出来た図柄と同じだった。

「この『火』はクロウが創ったカードをもとにして さくらが新たにつくったカードやと思う」

驚くさくら、きらめく知世。
「これは『クロウカード』ではなく さくらちゃんが創った『さくらちゃんカード』ということですわね!
 自ら創った『さくらカード』でこれまで以上に強力な何者かと闘う! すばらしいですわーっ!」
杖変更に新たな敵はお約束!とはしゃぐ知世に、さくらは新たなカードのネーミングに動揺する。
『さくらちゃんカード』ではなく『さくらカード』に改められたが、まるで銀行のカードのようであった。
クロウカードを使うのにももちろん魔力は必要だが、
カード自体に込められたクロウの魔力の補助があり負担は少なかった。
しかし、さくらカードは違う。
さくらが自身の魔力だけを使うため、消耗が激しく眠たくなってしまうのだ。

しかし、何故さくらカードは『誰か』に通じてクロウカードは通じないのか?
真の姿のケロちゃんやユエすら抑え込まれるのか?

「クロウカードを無効化できて わいとユエを足止めできる奴は…
 今のカードの持ち主であるさくらと……クロウ・リードだけや…」
422第29話 3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/15(水) 21:05:57 ID:???
「おかえりなさい エリオル」
大きな家に帰宅したエリオルにそう言ったのはぬいぐるみのような黒い猫。
背には蝶のような羽、しっぽの先は二重に丸まっている。
「ただいまスピネル 今日も一日読書かな」
スピネルと呼ばれたその猫は、漢文で書かれた本を読んでいた。昔、エリオルがこの家に残して行ったものだという。

「ただいまーー!スッピー♥」
そう言って現れた奈久留は、学校には「いいもの」がいるから気にいっているという。
「手の早いあなたがよく つまみぐいせずに我慢していますね」
ちょっと面倒な子がそばにいる、それに我慢した方が「ごちそう」は美味しくなると言う。
「しかし あなたは男子の制服を着るべきでは?」
「いいじゃない! 女の子の制服の方が可愛いんだもーん!」
そもそも人間じゃないのだから性別なんて大した問題ではないと奈久留は言う。
暖炉の前には一つだけ椅子があった。そこに腰かけるエリオルにもたれかかり、奈久留は訊ねた。この町が気に入ったかと。
「ああ ここはわたしが死んだ場所だからな」
太陽と月がモチーフにされた鍵をエリオルは取りだした。
                                                  レリーズ
「闇の力を秘めし『鍵』よ 真の姿を我の前に示せ 契約の元エリオルが命じる 『封印解除』」

太陽と月のシンボルを持つ杖から出でた光が部屋中にふりそそいだ。
真の姿に戻れ、エリオルがそう言うと、奈久留とスピネルの体は巨大な羽にくるまれた。
そして、羽が開き、二人は真の姿を現した。

「スピネル・サン」
巨大な黒豹のような姿で、胸元に蝶のモチーフ。背には蝶の羽、シンボルは太陽。
「ルビー・ムーン」
顔も体も奈久留のまま、蝶をモチーフにした衣装を纏う。背には蝶の羽、シンボルは月。

「我らを創りし者 エリオル 前世の名は『クロウ・リード』」
「この町に来た目的はなに?」

「…欲しいものがある」
423マロン名無しさん:2009/07/15(水) 21:30:22 ID:???
ナクルは女装っ子要因のホモかい
424マロン名無しさん:2009/07/15(水) 22:36:46 ID:???
銀行のカード編w
425マロン名無しさん:2009/07/15(水) 22:38:20 ID:???
スカートでバスケってやばいだろー
と思ったら男かよ
いや、やっぱりヤバイよ
426マロン名無しさん:2009/07/15(水) 23:47:01 ID:???
「つみ食い」とか「美味しい」とかw
さすがに小学生にはピンと来ないだろうが、相変わらず思わせぶりだな
427マロン名無しさん:2009/07/16(木) 01:04:45 ID:???
可愛い女の子かと思ったらうほっかよ…
そしてミスリードではなく正統派にエリオル=クロウか
428マロン名無しさん:2009/07/16(木) 01:25:17 ID:???
エリオルがクロウならば
スピネル・サンがケロちゃん的立ち位置でルビー・ムーンがユエ的立ち位置ってとこか
雪兎と違って奈久留とルビー・ムーンは人格が一致してるっぽいが
…しかし奈久留の髪型と性格で男子高校生の格好をしたらかなりの変人だと思うのだが
429マロン名無しさん:2009/07/16(木) 01:25:40 ID:???
「杖変更に新たな敵はお約束」
……作中でこういう指摘をされてるの初めて見た。
430マロン名無しさん:2009/07/16(木) 02:54:36 ID:???
>>428
あんなもろ被る役割の奴らを新たにつくるってクロウけっこうひどいな
ケロとユエはもう用済みってことじゃんよ
431マロン名無しさん:2009/07/16(木) 16:29:56 ID:???
ケロちゃんとユエにはもうさくらという新しい主がいるんだし、2人のことはさくらにまかせて
自分専用の使い魔(?)を新たに創ったってとこなんじゃないの。
432マロン名無しさん:2009/07/16(木) 20:11:03 ID:???
さくらがユエたちを治めた後につくったのかな
どれぐらいの期間があるのかわからんがスピーディーだな
433第30話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/16(木) 21:16:48 ID:???
扉絵 暗闇の中にいるスピネルとルビー・ムーン

(だれ…? あなた…)
真っ暗な東京タワー、さくらはまだ見知らぬスピネルとルビー・ムーンの姿。
そして、子供の姿。
『ヒ……デ……』

目覚めたさくらは、大事な夢を見たような気がしたのに思い出す事ができなかった。
これも何者かの妨害のせいだろうかと、不安な気持ちになっていた
「相手がわからん以上気にしてばっかりやと さくらの方がまいってまうで!」
何事も気合いと勢いだとケロちゃんに言われ、さくらは元気を出して学校に行った。

「クロウは確かに死んだ…わいとユエが看取ったんや……」
ケロちゃんは、登校していくさくらの後姿を見送ると、クロウのことを思った。

お昼時、利佳はさくらにクッキーをくれた。最近元気がないようで心配だからと。
「ちょっとお裁縫の続きやっていい?」
利佳ちゃんは、手造りのテディベアの製作を再開し始めた。
あとは腕を胴体につけるだけだという。今日中に渡せそうで良かった、利佳はそう言う。
(やっぱり利佳ちゃん 好きな人にあげるんだ)
利佳ちゃんはやがてテディベアを完成させた。
「ぬいぐるみさんのお誕生日って いつかご存じですか?」
知世はそうさくらに訊く。できた日でもいいのだが、それ以外の決め方もあるのだという。
「ぬいぐるみさんに名前をつけて はじめてリボンを巻いてあげた日」
だという。なんだか素敵だね、そう言ってさくらをはじめ皆ほんわかとする。
知世は、ぬいぐるみに関するもう一つの話を付け加えた。
「好きな方に自分の名前をつけた手作りの くまのぬいぐるみをプレゼントすると ずっと両想いでいられる」
さくらは雪兎を思い出してはにゃーん、利佳は寺田先生の姿を浮かべた。
そんな女の子たちの姿を、木の上から小狼は眺めていた。両想いと聞いて、小狼はさくらを見つめた。
木の下にはエリオルがいた。彼に話しかけられ、小狼は一瞬気を失い木から落ちてしまった。
エリオルに受け止められ、小狼は突然の気絶を不思議がりながらも、不器用に礼を言って走って行った。
「面白い人だ…しかし わたしが欲しいものを手に入れるのには 邪魔だな」 
434第30話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/16(木) 21:17:36 ID:???
放課後。さくらもテディベアをつくろうと、知世と手芸店に寄ることにした。
利佳ちゃんは用があるためこられず、そのことをさくらに謝ると足早に去って行った。
(利佳ちゃんの好きな人ってだれかなあ いつか利佳ちゃん話してくれるかなぁ
 利佳ちゃんにはいろいろ助けてもらってるから なんかわたしも してあげられることあるといいなあ)
手芸店にはエリオルもついてくるという。それを聞きつけ、小狼も一緒に行くと言いだした。

利佳は図書室に飛び込んだ。本棚の間で、寺田先生が利佳を待ってくれていた。
完成したテディベアを渡すと、利佳は髪に結んでいたリボンをほどき、それも渡した。
知世に聞かされたテディベアの誕生日の話をすると、今日が誕生日だと言って寺田先生は笑った。
「あの…名前は…」
「『りか』…はどうかな 大事にする」
利佳は少し驚き――顔をほころばせた。

手芸店に向かう道すがら、知世はエリオルに町の案内をする。
今のところ、さくらも小狼も怪しい気配は感じていない。
「も…もし なにかあったら一人で突っ走らずに知らせるよ おまえ危なっかしいからな」
さくえは笑顔で「うん!」と答えた。
手芸店につき、さくらはテディベアのキットを手に取った。知世は買わないようだった。
「わたしは…大好きな方が わたしと両想いになるより
 幸せなことがあるなら ずっとそのままでいてほしいですわ」
好きな人に好きになってもらえなくてもいいってこと、そうさくらは訊いた。
「もちろん好きになっていただければうれしいですわ
 でも わたしには大好きな人が幸せでいてくださることが いちばんの幸せなんです」
「知世ちゃんに好きになってもらえた人は きっとすっごく幸せだねっ」

エリオルは、糸だけを大量に買っていた。
「なにかぬうの?」
「糸はほかのことにも使えるんですよ」
どんなことかと聞き返した瞬間に、小狼が間に割って入った。

その晩、さくらは早速テディベアづくりをはじめたが、何故かクマらしくならずケロちゃんに似てしまう。
チャイムの音が聞こえ、玄関に行くと雪兎が立っていた。
435第30話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/16(木) 21:18:50 ID:???
桃矢が学校に忘れてきたものを届けに来てくれたのだという。桃矢本人はバイト中。
(…そうだ… エリオル君ってお父さんにも似てるけど 雪兎さんにも似てるんだ)
さくらがそう思いながら雪兎を見上げていると、予告もなく雪兎はユエに変わった。

さくらがケロちゃんのためにお茶を淹れている間、ユエはケロちゃんと話していた。
「…このままではいずれ元の姿に戻れなくなる」
『太陽』のシンボルを持つケロちゃんは、自ら輝く太陽のように、
食べ物を食べたりすることで自力で魔力を補給することができる。
だが、他者の光を照り返して光る『月』のシンボルを持つユエはそうはいかない。
雪兎は無意識に通常の倍以上食べ物を摂って補おうとしているが、それも効果はなかった。
さくらは新しいカードに手いっぱいでユエに魔力を渡せるほどの余裕がない。
ユエは一刻も早く、誰かから魔力を受け取らねばならなかった。
「適任者はいる… しかし『雪兎』が…」
さくらがお茶を持ってくると、いきなりユエは雪兎に変わった。さくらはなんとかごまかした。

雪兎が帰り、食器を洗っていたさくらと、ケロちゃんは気配に気づいた。
「…クロウ…さん?」
さくらは小狼と知世と共に夜の町に出た。突然、小狼は持っていた剣をさくらに向かって振り上げた。
小狼は何者かに操られているようだった。小狼を操っているものの媒体がわかればどうにかなるかもしれない。
身動きを制限されながらも小狼は札を取り出し『水龍招来』と唱えた。
大量の水が小狼自身にふりかぶり――小狼の体に絡みついた無数の「糸」を露わにした。
糸を切ればいいのだとさくらは『鍵』を取り出すが、鍵は杖に変わってくれない。
どうすればいいのか考えるうちにさくらはクロウの言葉を思い出した。この杖には星の力が宿っているという……
「『星』の力を秘めし鍵よ 真の姿を我の前に示せ
 契約の元さくらが命じる 『封印解除(レリーズ)』!」
鍵は杖に変わり、さくらは『剣(ソード)』で小狼を縛る糸を斬った。
『剣』はさくらカードに変わり、さくらはまた眠り倒れてしまった。

その様子を、手に糸を絡ませたエリオルが見つめていた。
「…糸はこんなふうにも使えるんですよ……さくらさん」
436マロン名無しさん:2009/07/16(木) 21:28:10 ID:???
寺田先生はロリコンの鏡だな
437マロン名無しさん:2009/07/16(木) 21:46:35 ID:???
木之本パパは(というか木之本家は)
クロウリードの子孫じゃなかろうか。
438マロン名無しさん:2009/07/16(木) 23:36:41 ID:???
そういや藤隆さんて何気に出自が謎なんだよな
いつだったかさくらが「お父さんの親戚はもういない」みたいなこと言ってたし
439マロン名無しさん:2009/07/17(金) 00:06:47 ID:???
「知世ちゃんに好きになってもらえた人は幸せだね」
…そうだね、幸せだね
440マロン名無しさん:2009/07/17(金) 00:59:32 ID:???
目標物に糸を絡めて操るって確かレイアースにもあったな
441マロン名無しさん:2009/07/17(金) 01:11:46 ID:???
>>437
ユエに焼きもちやかれて嫁に逃げられ・・
442マロン名無しさん:2009/07/17(金) 01:33:04 ID:???
>>437
そうなると、さくらと小狼は遠い親戚になるな
443マロン名無しさん:2009/07/17(金) 15:30:45 ID:???
そういや雪兎は生活費どうしてんだろ?
クロウの遺産かな?
444マロン名無しさん:2009/07/17(金) 16:43:12 ID:???
祖父母がいるとかいうからその人たちが出してくれてるんじゃないか
クロウ関係者か、一般人が魔術かなんかで騙されてる的なのかな祖父母は
445マロン名無しさん:2009/07/17(金) 17:23:59 ID:HPcjY83V
雪兎の祖父母ってまだ出てきてないよね?
本当にいるのかな?
446マロン名無しさん:2009/07/17(金) 17:30:01 ID:???
雪兎って誰のネーミングだろう。
ユエ自身?だとしたら結構乙女だな
447マロン名無しさん:2009/07/17(金) 17:43:14 ID:???
流れぶった切ってスマソ
今回鍵が杖に変わらなかったのは杖の力が「闇」から「星」に変わったからなんだよね?
だったら何で最初の雨と戦った時は今までの呪文でレリーズ出来たんだろう?
448マロン名無しさん:2009/07/17(金) 18:14:31 ID:???
その時点で星の力に切り替わってはいたものの、まだ闇パワーも微妙に残っていたとかかな?
もしくはクランプのうっかりミスw

さくらみたいに明るい主人公が闇の使い手というのははんか違和感があったから
希望がある感じの星の力になったのはしっくりくるなあ
杖のデザインは前の方がやっぱり好きだがw
449第31話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/17(金) 21:03:15 ID:???
扉絵 お姫さまのような格好をしたさくらと、王子さまのような格好でさくらの手をとるエリオル

どうしてもテディベアがケロちゃん顔になってしまう、さくらは途方にくれていた。
観月への手紙も書きかけ。内容は、クロウについてだった。
そこにエリオルが現れた。手紙を指すエリオルに、観月への手紙だとさくらは言った。
「いまは外国にいるんだけど いっぱいお世話になったんだ」
エリオルは少し黙り込むが、すぐに「ぼくもお会いしたかったです」と微笑んだ。
さくらの持つテディベアにもエリオルは目をやった。手芸は得意なので手伝えるかもと言う。
不器用なテディベアを見ても、笑ったりはしないエリオルの優しさがさくらは嬉しかった。
(エリオル君 本当にやさしいな それにやっぱりお父さんと雪兎さんに似てる)
ということは、藤隆と雪兎も似ているということ。さくらははじめてそれに気づいた。

目をもう少し上につけて、耳を小さくする。エリオルのアドバイス通りに作り直すと、やっとクマらしくなった。
何かエリオルにお礼をしたいとさくらが言うと、エリオルはさくらの足元にひざまずいた。
そして、さくらの手を引き、手の甲に口づけをした。
「そのクマを あなたから贈られる方がうらやましいですね」
ほええええと驚き、さくらは頬を染めて、去っていくエリオルを見送った。

千春は、今日やっと出来上がった手作りテディベアを山崎に渡した。
知世から聞いたテディベアの名前に関する逸話を千春が話しだそうとしたところ――
「『すあま』にしよう! ぼく『すあま』大好ききなんだよ! このくま すあま色だし!」
と台無しなことを言いだした。
ずっと両想いでいたくないのー?と言いながら千春は山崎の肩をがくがくゆすった。

そんな千春たちを一瞥し、小狼は自作のテディベアを見つめた。
両想いと聞いて浮かぶのはさくらの顔。
「なんであいつが出てくるんだ!」
そこに、大量の食糧を抱えた雪兎が通りがかった。
雪兎から一部を分けてもらいつつ、小狼は赤面して雪兎と隣り合って座した。
テディベアを誰かにあげるのかと訊かれ、やはり小狼が浮かべたのはさくらの姿。
「だからなんであいつにやらなきゃいけないんだ!」
思わず声に出して叫び、小狼はテディベアを放ってその場を駆けだした。
450第31話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/17(金) 21:04:52 ID:???
(なんであいつが出てくるんだ! おれが赤くなったり 
 心臓がはれつしそうになったりするのは あの人に会ったときなんだから!)
雪兎の姿を浮かべ、がむしゃらに駆け抜けた先には、さくらの姿が。さくらは小狼に気づき振り向いた。

(あいつがいきなり立ってるから! 顔が赤くなって心臓が!)
小狼は真っ赤な顔で、また走りだした。が、しばらくして足を止めた。
「これって あの人にあった時とおなじ?」
そこに、ユエが現れた。雪兎に対する時と、さくらに対する時の思いは違うものだとユエは言う。
「おまえが『雪兎』に会って混乱するのは…『雪兎』から感じる魔力のためだ
 落ち着いて己の心と向き合えば 己が真に思う者がわかる…」

 バレンタインの前夜、小狼のおかげで『剣(ソード)』を倒せたと微笑むさくら。
 『鏡(ミラー)』に連れられ消えた桃矢を心配して泣きじゃくるさくら。
 臨海学校の晩、好きだという気持ちはしょうがないと笑いかけてきたさくら。
 『消(イレイズ)』に知世たちが消され泣きながらも、ハンカチを貸してくれた小狼をやさしいと言って微笑むさくら。
 学芸会で『闇(ダーク)』の封印から皆が解かれたことを喜びはしゃぐ王子姿のさくら。
 小狼がはじめて名を呼んだ時の、『地(アーシー)』によって奈落に落ちていく瞬間のさくら。
 クロウカードを全部集められたと、満面の笑みを向けるさくら。
 最後の審判の時、ユエに立ち向かうその前に、みんなの方をふりむいたさくら。

 そして――つい先ほどの、テディベアを抱えたさくら。

思い浮かぶのは、出会ってから今までのさくらの様々な顔ばかりだった。
そんな小狼を見ながら「雪兎の方も気づけばいいが」とユエはつぶやき、雪兎へと姿を変えた。
最近ふと気づいたら瞬間移動してる、と雪兎は不思議がりつつ、手に持っていた小狼のテディベアを渡してきた。
「これ返そうと思って追いかけたんだよ せっかく作ったんだから ちゃんとその人に渡さなきゃ」
小狼はもう、雪兎に対してあたふたとすることはなかった。
ただしっかりと雪兎を見据えて言った。
「…ありがとうございます」
451第31話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/17(金) 21:06:13 ID:???
手作りのテディベアを抱え、さくらは雪兎の家へ向かった。
身につける服は、知世のお手製のもの。
「『さくらちゃん 月城さんに手作りくまさんを渡す』の巻!
 これは正真正銘特別な日! やっぱり特別な日には!」
「それなりの恰好をせんとな!」
きらめく知世にあわせ、ケロちゃんは知世と同じポーズで言葉を引き継ぐ。
わかっていただけでうれしいと、知世はケロちゃんと握手する。
カードが変わったことだしと、知世はビデオカメラも新調していた。

撮影係の知世はともかく、なんでケロちゃんまでついてきたのか?
その問いに、雪兎が元気か見に来たのだとケロちゃんは答え、なにそれとさくらはずっこける。
「…いつまで存在を維持できるかわからんからな」
そんなケロちゃんのつぶやきはさくらには届かなかった。
さくらが心の準備をするよりも早く、ケロちゃんは月城家のインターホンを押した。
雪兎はプレゼントを受け取り、包みを開いてテディベアを取り出した。
「ありがとう 大切にするね」

二人のやりとりを隠れて撮影しながら、知世は重い表情でケロちゃんに問うた。
小狼が雪兎に惹かれていたのは月の力によるものだという。ならばさくらの雪兎への思いも…
「そりゃ違う ユエが正体現わしても 新たなカードの主になっても
 さくらはまだ ゆきうさぎ相手にはにゃーんってなっとる」
さくらは月の魔力だけではなく、雪兎自体に恋をしている。
「せやからこそ…ユエ用の魔力をどこぞで調達せんと
 ユエ本来の姿に戻れんだけやない…ゆきうさぎも……」

さくらはクロウの気配を感じた。
雪兎の持っていたテディベアは突然、強い光を放ち始めた。
反応したように雪兎はユエに変わる。
さくらとユエが見上げた先には――屋根より高く巨大化したさくらのテディベアの姿が!
452マロン名無しさん:2009/07/17(金) 21:43:44 ID:???
フラグのない恋愛展開だなあ
453マロン名無しさん:2009/07/17(金) 22:05:51 ID:???
緊張感のない巨大くまで終わってワロタ
454マロン名無しさん:2009/07/17(金) 23:45:35 ID:HPcjY83V
クマなんて可愛い敵だな
455マロン名無しさん:2009/07/18(土) 18:23:40 ID:???
さくら以外で魔力、それも月の力よりってシャオラン適格じゃんよ
456マロン名無しさん:2009/07/18(土) 18:40:29 ID:???
観月先生もじゃん
457第7巻発売 ◆RDQNQFm41U :2009/07/18(土) 21:10:13 ID:???
「カードキャプターさくら」第7巻発売。 発行日 1998年11月13日。
「なかよし」の1998年8月号〜1998年11月号までの掲載分を収録、第27話から30話までにあたる。
一枚目のカラーイラスト たくさんのパンを抱えた雪兎。左上に太陽のシンボル。
柱の各キャラクターのプロフィール

18 柊沢エリオル

  誕生日       3月23日
  血液型       AB型
  好きな科目     なし
  嫌いな科目     なし
  所属クラブ      なし
  好きな色      黒
  好きな花      桜
  好きな食べ物   甘いもの
  嫌いな食べ物   なし
  得意な料理     お菓子類
  今欲しいもの    秘密

19 秋月奈久留

  誕生日       10月13日
  血液型       AB型
  好きな科目     数学
  嫌いな科目     なし
  所属クラブ      なし
  好きな色      赤
  好きな花      月下美人
  好きな食べ物   秘密
  嫌いな食べ物   なし
  得意な料理     なし
  今欲しいもの    おいしいもの
458第7巻発売 ◆RDQNQFm41U :2009/07/18(土) 21:11:09 ID:???
20 スピネル・サン

  通称         スッピー
  誕生日       秘密
  好きな食べ物   辛いもの
  嫌いな食べ物   甘いもの
  好きなもの     読書
  好きな色      黒、緑
  好きな本      呪術関係
  好きな花      芥子
  今欲しいもの   静かな環境
  居場所       エリオルの家
  本当の姿      蝶の羽根を持った黒豹

おまけのさくらカードを模したしおりの絵柄は、雪兎。背景は白。
ラストのカラーイラスト  腕を組んだユエ。右上に月のシンボル。
459マロン名無しさん:2009/07/19(日) 05:28:50 ID:???
ほしいもの=さくら と推測
460マロン名無しさん:2009/07/19(日) 12:20:53 ID:???
何故か「秘密が欲しい」という意味に読み違えてしまった
461マロン名無しさん:2009/07/19(日) 18:38:45 ID:???
>>460
!!
462第32話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/19(日) 21:06:47 ID:???
扉絵 ウェイトレス姿の奈久留 手に持ったお皿の上には、ミニ桃矢とフォークとナイフ

巨大くまはさくらを押しつぶそうとするが、ユエがさくらを抱えて飛んで逃げてくれた。
しかし、ユエの背の羽が消えてしまい、ユエとさくらは墜落してしまう。
かばわれてさくらは無事だったが、ユエは怪我をした。
「魔力が足りないのでしょう あのお嬢さんでは『太陽』と『月』 両方を維持するのは無理のようですし」
「とくに『月』の方はね よそから魔力を調達しなきゃ」
スピネルとルビーは、離れたところから観察していた。二人のさらに後ろで、エリオルも。

さくらは『跳(ジャンプ)』のカードを掲げた。『跳』はクロウカードからさくらカードへと変わった。
暴れまわる巨大くまは、このままでは雪兎の家を破壊しかねない。
しかし、どうやって止めればいいかわからない。
「あれは…魔力で動いている…その源を捜すんだ…」
知世に肩を貸されながら、ユエはそうさくらにアドバイスする。
源――魔力の強いところは、巨大くまの右耳だった。
さくらは『剣(ソード)』を片手に巨大くまに飛びかかろうとするが、巨大くまの耳元までなかなか届かない。

「あかん! 『翔(フライ)』で飛ばんと無理や!
 けど『翔』は杖の先に羽根はやして飛ぶ魔法や! あれ使たら『剣』は使えん!」
暴れる巨大くまは雪兎の家の屋根を殴る。
そのかけらは知世たちの方へと飛んで行った。
知世をユエが覆ってかばい、それを更に真の姿に戻ったケロちゃんが羽を広げて守った。
さくらは屋根の上に座り、一旦カードたちを元の姿に戻した。
さくらは『翔』のカードを手に、心で語りかけた。
(お願い まだ『剣』を使わなきゃいけないの だから杖を使わずにわたしを空に運んで)
クロウカードからさくらカードへと変わった『翔』をさくらは使った。
すると、いつも杖に生えていた『翔』の翼はさくらの背に生えた。
さくらは巨大くまの耳元まで一気に『翔』で飛び、くまの魔力の源を切った。
切った耳からは紙切れが落ちた。紙には、クロウカードを使う時に出る魔法陣が書かれていた。
「…さすが さくらさん」
エリオルは高みからさくらを見ながら微笑んだ。
463第32話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/19(日) 21:07:42 ID:???
翌日に巨大くまのことを、さくらは小狼に報告した。突然のことで仕方がなかったが、小狼は呼んでほしかったようだった。
さくらは、知世に渡された園美の会社が製造した携帯電話を小狼に渡した。これで、次からはちゃんと呼べるからと。
約束、そう言ってさくらは小狼と指切りをする。小狼は応えながらも顔を真っ赤にした。

「ご ごめんね 小狼君も雪兎さんのこと そ その す・す・すきなのに…!」
雪兎にテディベアを渡しに行った件をさくらは謝った。
小狼はかまわないと言う。本当に好きなのは別の人だと気づいたからと。
「べつのひと………? 誰?」
不思議そうに尋ねられて小狼は「さ」と言いかけるが、聞いちゃだめなことだったよね、とさくらに遮られた。
「そういえば それなあに?」
さくらは小狼の持っている紙袋を指さす。
小狼は真っ赤になって、紙袋を放って場を去って行った。
さくらは、投げられて紙袋からはみだしているテディベアを拾い上げた。

雪兎は木蔭に佇んでいた。近頃、いくら食べてもお腹いっぱいにならず、
記憶はすぐに飛ぶし、眠気も強く、おかしなことばかりだった。
眠りかけていたところ、桃矢が現れ雪兎のすぐそばに来て言った。
「…ゆき おまえ おれが知らねえと思ってるかもしんねぇけど…
 いや おまえも知らねぇかもしれねぇけど……おれは おまえがいなくなるのはいやだ」
どうしてぼくがいなくなるのかな、雪兎は何も知らないようでそう言う。
「いいから聞け あのな ゆき  おれはおまえが…」
言いかけたところで、木の上で昼寝をしていた奈久留がいきなり現れたので中断した。
無邪気そうに笑う奈久留に対し「わざとか?」と訝しがるように言いながら桃矢は去って行った。

桃矢はやっぱりわたしのことに気づいている、奈久留はそう言いながら雪兎を見た。
「でも あなたは本当になにもわかってないのね
 ま 『前』に『創ったもの』の方が能力が下なのは仕方ないか
 桃矢君はわたしがもらうわ 邪魔しないでね」
奈久留は雪兎の前から去ると、弁当を届けにきたスピネルと出会った。桃矢こそが奈久留の言う「ごちそう」であった。
「このままじゃ わたしがいじわるしなくても 邪魔者は勝手に消えてくれそうよ」

残された雪兎は、ただ一人でうつむいた。
464マロン名無しさん:2009/07/19(日) 21:43:05 ID:???
本当に桃矢はただ者じゃないな
465マロン名無しさん:2009/07/19(日) 21:53:53 ID:???
「わたしなんかが聞いちゃダメだよね」
どうやら告白は当分先になりそうだ。
ところでこのコマのさくらの顔が別人みたいだ。
466マロン名無しさん:2009/07/19(日) 23:35:46 ID:BZSRPLX+
奈久留の
「『前』に『創ったもの』の方が能力が下なのは仕方ないか」
ってどういう意味か分かる方いますか?
467マロン名無しさん:2009/07/20(月) 00:26:01 ID:???
エリオルの「欲しいもの」ってさくらの事かな。
いままでの事は、自分の力に匹敵する女性を嫁にするための壮大な計画とか
468マロン名無しさん:2009/07/20(月) 01:31:07 ID:???
>>465
雪兎も奈久留もクロウに造られた存在だが、
以前につくられた雪兎よりも、新型の奈久留の方が優秀ということなんでないか
469マロン名無しさん:2009/07/20(月) 04:29:53 ID:???
とりあえず、奈久留はガチホモなわけではなくあくまでも魔力についてなんだな
美味しいとか食べるとなんかそういうのは
クランプめやりよるやりよる
470マロン名無しさん:2009/07/20(月) 07:49:30 ID:amEgDxr7
>>468
クロウが創った順番だったんですね
分かりました
471マロン名無しさん:2009/07/20(月) 10:53:11 ID:???
さくらの背に翼が生えるシーンいいな
蛹から羽化するみたいで
472マロン名無しさん:2009/07/20(月) 11:08:56 ID:???
変態したのか
473マロン名無しさん:2009/07/20(月) 17:49:40 ID:???
さくらより小狼の方がよっぽど少女漫画の主人公らしい
474第33話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/20(月) 21:09:10 ID:???
扉絵 太陽のシンボルのもと、鏡のように向かい合うケロちゃんとスピネル

暗闇の中の東京タワー、そしてマントをひきずる子供の影。
(あなた 誰?)
子供は太陽と月のシンボルを併せ持った杖を掲げ、魔法陣が広がる。
(それ…クロウさんの魔法陣……あなた…誰?)

子供がふりかえろうとしたところで、さくらは目覚めた。
夢の内容はほとんど思い出せないが、昨夜に拾った紙に書かれていたのと、
同じ魔法陣が出てきたことだけは薄らと覚えていた。
さくらは顔が赤く、いつもよりぽーっとしている様子だった。
桃矢はさくらの額に自分の額をあわせ、さくらに熱があることを確認した。
でも、その事を藤隆に言わないでとさくらは言った。
今日、藤隆には大事な発掘作業がある。以前から心待ちにしていた場所の発掘許可がやっと得られたのだ。
「きっと…行くのやめちゃう……」
おはようと笑いかける藤隆に、さくらはいつも通りのふりをした。
(やっぱり エリオル君とお父さんと雪兎さんって似てるなあ)

とろんとした目つきなどから、学校では知世や小狼もさくらの熱に気づき心配した。
エリオルは今日は欠席している。さくらは、小狼が置いて行ってしまったテディベアのことを言う。
「…持ってていい」
小狼は顔を赤らめてただそう言った。
体育の時間。ハンドボールを行っていたところ、熱でぼんやりしていたさくらにボールが当たりそうになった。
小狼が咄嗟に前に出て、ボールを跳ねはらってくれたので、さくらは無事にすんだ。
「だいじょうぶか!? 具合が悪いのに体育の授業に出るなんて! どうしてお前はいつもそう…!」
さくらの肩を掴んで小狼はそう叫び――周りの注目に気づき赤面して黙った。
知世にも言われ、さくらは早退することになった。今日は日直だったが、小狼が代わりにやってくれるという。

ふらふらしながら家路に着こうとしていたところ、桃矢と雪兎が声をかけてきた。
星條はテスト期間で早めに終わる日なのだという。桃矢はさくらを気にして友枝まで見に来たのだった。
桃矢に背負われて帰るさくら。辺りには霧がたちこめてきていた。桃矢は眉をひそめる。
木之本家まで見送ると、雪兎は帰って行った。一度振り向き、なにか不安そうな顔を桃矢に向けた。
475第33話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/20(月) 21:10:48 ID:???
さくらは一旦は床についたものの、クロウの気配を感じてむくりと起き上った。
外の霧は普通のものではなく、誰かが造ったもの。
熱のせいか、いつもより意固地なさくらはケロちゃんが止めるのも聞かずに外に出ようとする。
「我の姿を映し もう一人の我となれ 『鏡(ミラー)』」
桃矢が看にきた時の影武者として、さくらは『鏡』を残して行った。
薬を飲む前になにか食べなければと、ご飯を持って部屋に入って来た桃矢は、
さくらの姿をした『鏡』を見て一瞬目を見開くが、すぐにいつものように対応に戻った。

約束したからと、さくらは小狼に電話をかけたが出なかった。とりあえずメッセージだけは送っておいた。
さくらは『翔(フライ)』で気配を追うが、熱のためにふらりと傾き、落下してしまいそうになった。
現れた小狼が『風華』と唱え助けてくれたものの、濃い霧がさくらを覆い、さくらは消えてしまった。

霧の中、クロウの気配を感じながらさくらは目をつむっていた。
どうにかしなければ、霧を消さねばと思いながらも熱で意識がまとまらない。
「風で吹き飛ばしてしまえば霧は晴れますよ」
そう誰かが語りかけた。その声は、クロウのものだった。
さくらは『風(ウインディ)』で霧を掃ったものの、カードを変えたいつもの時のように眠りに落ちた。
眠るさくらを抱きかかえながら、エリオルは謝った。
「…熱があったんですね すみません気づかなくて」
エリオルはさくらの額に手をやり、さくらの熱を取った。
「がんばってくださいね さくらさん」
やがて、さくらのもとに駆けつけた小狼は、眠るさくらの上に何者かのコートがかけられていることに気づいた。
476第33話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/20(月) 21:13:21 ID:???
ご飯を食べ終わった『鏡』が薬を飲もうとしていたところ、桃矢が止めた。
「具合悪くねぇ時は飲まない方がいい さくら…じゃねぇだろ 前に会ったな」
桃矢は『鏡』がさくらではないことに気づいていた。
だが、そのことをさくらに知らせるなと『鏡』に言った。
あれでも隠しているようだからと。
ありがと、そう言って桃矢は『鏡』の頭を撫でた。
帰ってきたさくらは『鏡』と入れ替わった。お礼を言われた『鏡』は頬を赤くしながら言った。
「会えて…嬉しかったから」
今日は看病のため桃矢の出入りが多いだろうからと、ケロちゃんは小狼の家に泊まることになった。
何者かのコートを抱えた小狼は、さくらの部屋の明かりを外から見つめた。

看病に来た桃矢は「今度はさくらだな」とつぶやきつつ、全快した様子のさくらにホッとした。
さくらが眠った後、今日は帰らない予定だった藤隆がやってきた。さくらの様子に気づいていたのだった。
「ぼくに心配かけないように元気にふるまってくれてたんですね
 さくらさんは…本当にいい子ですね」
「まあな」
桃矢も照れながらうなずいた。
477マロン名無しさん:2009/07/20(月) 22:47:50 ID:???
桃矢兄ちゃんはホント人外に好かれるな。
478マロン名無しさん:2009/07/21(火) 00:11:26 ID:???
やばい
鏡たん可愛すぎる・・・
479マロン名無しさん:2009/07/21(火) 01:03:42 ID:???
常に浮かべてる偽悪めいた表情が「鏡」に対する際には全く見られないんだよな。
また実際カードにとっては効き目もない代わりに害もないだろう薬を
わざわざ「具合が悪くなけりゃ飲まない方がいい」と言うのは
うまく言いにくいが「鏡」を対等な存在として認めてるという事でもあろう。
しかし本物のさくらには決してこの顔は見せないのであった…
480マロン名無しさん:2009/07/21(火) 03:07:49 ID:???
兄ちゃんは優しいのが本当の姿なんだろうけど、ついツンツンしちゃう癖があるんだろうな
481マロン名無しさん:2009/07/21(火) 20:29:14 ID:???
小狼と一緒じゃないか
482マロン名無しさん:2009/07/21(火) 21:11:23 ID:???
鏡の大人しい桜も可愛いが、
全快した元気な桜も可愛すぎる。
483第34話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/21(火) 21:24:26 ID:???
扉絵 from Sakuraと書かれたハート型のチョコレートを持ったさくら

さくらは知世と一緒に、バレンタインデーに渡すチョコを手づくりしていた。
雪兎に渡すのはハート型。ケロちゃん、桃矢、藤隆に渡すのは星型。
ということは星型チョコは三つでいいはずなのだが、つくり上げてみると、星型チョコは四つできてしまっていた。

早朝、バイトのために出かけていく桃矢にさくらはチョコを渡した。家に寄るよう、雪兎に言っておいてほしいと頼んだ。
次に、さくらは藤隆にチョコを渡しに行った。
「お兄ちゃんっていっつもバイトしてるよねー バイクもう買ったのに」
「大学へ行くお金 自分で貯めたいそうですから」

投稿すると、校内中楽しそうな雰囲気だった。さくらが挨拶すると、小狼は赤面した。
千春からチョコを受け取った山崎は、いつもの調子で蘊蓄を語りだした。
曰く、チョコレートは昔はすごく危ない食べ物で、いい感じになっちゃう薬が入っていたのだという。
山崎はその話をエリオルにふった。真面目なエリオルが冗談に乗るはずないと千春は言うが……
「よくご存じですね」
エリオルは笑顔で話しに乗った。当時は法律で二十歳未満の者はチョコを食べられなかったのだという。
本当なの?と動揺するさくらをよそに、山崎とエリオルは「いい関係を築けそう」だと固く握手をした。

桃矢が校舎外を歩いていると、奈久留が二階から桃矢めがけて飛び降りてきた。
「桃矢君の大切なものもらうんだから お礼もかねて」
奈久留はそう言ってチョコを押しつけ、桃矢の首筋に唇を寄せようとした。
桃矢は自分の上に圧しかかっている奈久留と、チョコをどかし、立ち上がった。
「おれのもんを誰にやるかは俺が決める それに…おれ 好きなやついるから」
去っていく桃矢の後姿に対して、奈久留はなにやら興奮しながら「100点」と点数をつけていた。
エリオルがつくってくれたチョコは無駄になってしまったが桃矢の恰好いい態度が良かったらしい。
「…でも もらう相手がなにもわかってないなら あげようがないと思うなあ」

雪兎にチョコを渡すため急いで帰宅しようとするさくらに、知世は手作りチョコを渡した。
小狼も、さくらに向ってカバンの中からなにかを取りだそうとしたが――やめた。
さくらは無邪気に笑って去って行った。
484第34話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/21(火) 21:25:14 ID:???
小狼はチョコを渡そうとしたいたのだが、さくらの忙しそうな様子から自粛した。
それに、今は調べなくてはいけないこともある。さくらのもとに残された、謎のコートの持ち主を知らなければならない。

帰宅したエリオルに、術がまとわりついているとスピネルは指摘した。
東洋の追跡術でエリオルの「可愛い血縁」によるものだったが、エリオルには効いていなかった。
笑みを浮かべ続けたままのエリオルに、スピネルは楽しそうですねと言った。
「楽しいよ とても …これからもっと楽しくなりそうだ」

雪兎に無事にチョコを受け取ってもらえ、目の前で美味しそうに食べてもらい、
嬉しくてさくらははにゃーんしながら辺りにハートを飛び散らせた。
残るは、何故かつくってしまった星型のチョコが一つだけ。

藤隆の毛糸の編み物の手伝いをしながら、さくらは藤隆に訊いた。
撫子はいつもバレンタインはどうしていたのかと。
ひどく不器用だったという撫子だが、毎年欠かさずがんばってチョコをつくってくれていたという。
「ぼくの分と桃矢君の分と 園美さんの分と……大好きなおじいさんの分」
そのおじいさんは健在だが、藤隆は一度しか会ったことがないとさくらに明かした。
おじいさんにとって藤隆は、大事な曾孫を奪った悪い奴でしかない。だから会えない。
「お父さん悪くなんかないよ! わたしお母さんのことぜんぜん覚えてないけど 写真の中のお母さんいつも幸せそうだもん!
 それにお父さんとお母さんがいなかったら わたし生まれてないし! わたしすっごく幸せだもん!」
藤隆は悪いひとじゃない、こんなに素敵な人、そうわかってもらうための方法をさくらは思案した。
そして浮かんだのは、送る相手のいない星型のチョコ。
藤隆には「確実に届けてくれる宅配便屋さん」がいるとのことで、さくらは送る準備にとりかかった。
撫子の慣習と同じようにするため、さくらは『花(フラワー)』で撫子の花を出し、手紙とチョコと共に同封した。
(わかってもらうんだ お父さんとお兄ちゃんとわたしが幸せだってこと)
「宅配便屋さん」の園美は藤隆からさくらのチョコを受け取ると、絶対に届けると約束して行った。

チョコを四つつくったのも、こうするための一種の予知だったのかもしれない。
さくらは、撫子の写真に微笑みかけた。
485マロン名無しさん:2009/07/21(火) 21:41:07 ID:???
四つ目小狼じゃないとは意外。
486マロン名無しさん:2009/07/21(火) 22:27:21 ID:kLgMs0aB
私も小狼に挙げるのかと思ったよ
487マロン名無しさん:2009/07/21(火) 22:59:33 ID:???
おじいさんもさくらパパが悪い人じゃないことは、よく分かってると思うんだけどな
藤隆さん、もうちょっと言葉を足さないと、おじいさんが悪者になりかねないよ
488マロン名無しさん:2009/07/22(水) 00:58:50 ID:???
さくらがおじいさんを悪く思ったりはしないと分かってての事じゃないかな
あと運動会の話で園美さんに「僕が一番撫子さんの時間を貰ってしまったから」と言ってたし
藤隆さんも家族から撫子さんを奪ってしまった的な自覚はあるのでは…と思った

そしてパシらされながらもちゃんと届けてくれるらしい園美さんはいい人だ
489マロン名無しさん:2009/07/22(水) 01:15:24 ID:???
さくらも撫子の親族もいい人ばかりだしね

園美さんが、義理とはいえ毎年チョコを貰ってたことに何か救われた
490マロン名無しさん:2009/07/22(水) 05:03:41 ID:???
全宇宙が泣いた
491マロン名無しさん:2009/07/22(水) 06:55:02 ID:???
小狼はチョコを貰う側ではなくあげる側なんだな
492第35話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/22(水) 21:05:04 ID:???
扉絵 プレゼント用に包装された、たくさんの箱や袋の中で横たわるのさくら

細長い包みと、大きめでややふくらんだ包みを持ってさくらは家を出た。
藤隆は出かけていくさくらにカバンを渡した。今日はホワイトデーだから、お返しなのだという。
さくらを見送ってからしばらく、藤隆は園美からの電話を受け取った。
「え? …おじいさんが?」

さくらは途中でエリオルと出会った。日曜日で渡せないから、ホワイトデーのプレゼントを知世に渡しにいくところだと説明した。
イギリス育ちのエリオルには、チョコを贈るバレンタインデーの風習はあまり馴染みがないという。
「じゃエリオル君はバレンタインデーにチョコレートもらったことないの?」
「…いえ ありますよ」
チョコをくれた人はとてもきれいな人だった、そう言われてさくらは自分も会いたいなあ言い、そこでエリオルと別れた。
「…ぼくにチョコレートをくれた人には…もう会ってますよ さくらさん」

さくらは知世に大きめの方の包みを渡した。知世のつくってくれたチョコには敵わないけど、と恥じらいながら。
「さくらちゃんがくださったものなら シャープペンの芯でも一生折らずに大切に保管しますわ♥」
お菓子作りよりはまだ縫物の方ができるというさくらが贈ったものは、手作りのポーチだった。
「…大切にしますわ」

小狼は、巨大な魔法陣のようなものの上にコートを乗せ、その持ち主を探ろうとしていたが、上手くいっていなかった。
そこに、さくらが訪ねてきた。なんの用なのかと赤面しながら、小狼はさくらにお茶を出した。
さくらは細長い包みを小狼に渡した。チョコをくれたお礼だという。
15日の朝、さくらはポストに無記名の手作りチョコが入っていることに気づいた。それが小狼のものだということにも。
「わかるよ小狼君がくれたものだもん」
小狼には好きな人がいるのに、自分がもらっていいものだろうかと思いつつ食べたという。
包みから出てきたものを小狼ははし箱だと言ったが、実際はペンケースだった。
小狼は、どこからどう見てもペンケースにしか見えないと言い直して取り繕った。
「…やっぱり小狼君って優しいね わたし小狼君となかよくなれてよかったよ
 小狼君ほんとに優しくて素敵だから 小狼君の好きな人もきっと小狼君のこと好きだよ」
493第35話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/22(水) 21:06:14 ID:???
雪兎の家にやってきた桃矢は、雪兎が庭で倒れていることに気づいた。
そばには、さくらに渡すつもりのプレゼントの包みがあった。
雪兎は眠っていただけだが、その眠気は尋常ではない様子だった。
桃矢に起こされても、またすぐに桃矢の体に倒れこむように眠った。
雪兎の手足は透けており、手足を通して地面が見えるほどだった。
桃矢はぎゅっと雪兎をだきしめた。
「…早く気づけよ……ゆき……」

藤隆は、待ち合わせをしていた撫子のおじいさんのもとに落ち合った。
「何年ぶりかね」
「ぼくと撫子さんの結婚式の招待状をお持ちして以来です」
おじいさんはさくらから受け取ったチョコのことを話した。
手紙には、撫子がどれだけ幸せだったか、今のさくらもどれだけ幸せなのかが一生懸命書かれていた。
おじいさんはホワイトデーのお返しのプレゼントを藤隆に渡すと、ずっと言いたかった二つの言葉を告げた。
「…ありがとう そして…すまなかった」
おじいさんは涙を流して顔を覆った。
「…わかっていたんだ 君は撫子が選んだ男だ きっと誰よりもあの子を幸せにしてくれるだろうと…」
藤隆は、おじいさんの言葉をつないだ。
「血縁はいない どこで生まれたのかもわからない
 そんなやつに大切な撫子さんをわたすわけにはいかないと思うのは当然ですよ」
いや、意地をはっていただけだとおじいさんは言う。まだ16の撫子を嫁がせるのが寂しかったのだと。
「…あの子にも言ってやればよかった
 撫子はほんとうにいい相手を選んだと わしの孫娘は世界でいちばん幸せだと…」
きっとどこかで聞いてくれていますよ、そう微笑む藤隆たちを、空高くから翼を生やした撫子が笑顔で見つめていた。
撫子がふと横を見ると、樹上に腰かけるエリオルがいた。二人は笑みを交わし、撫子は姿を消した。
残されたエリオルは、地上の藤隆に目をやった。

さくらはおじいさんからもらったという服をさくらに渡した。今日は桃矢は月城家にお泊り。
おじいさんからもらった服を着たさくらは、服をくれたお爺さんといえばと、以前訪れた避暑地で出会った人を思い出した。
「さくら いつかおじいさんに会えるかなあ」
きっと会えます、藤隆は撫子の写真に笑いかけながら言った。
さくらもまた、嬉しそうに大きく笑った。
494マロン名無しさん:2009/07/22(水) 21:14:13 ID:???
おじいさん許してくれたのなら
正体明かしても良いんじゃないか?
495マロン名無しさん:2009/07/22(水) 21:52:15 ID:bZmkuVrJ
藤隆さんも教えてあげればいいのにね
496マロン名無しさん:2009/07/22(水) 22:18:15 ID:???
小狼が不憫だ
497マロン名無しさん:2009/07/22(水) 23:48:37 ID:???
月やケロちゃんは、いい加減さくらに魔力のことを話した方がいいんじゃないだろうか
さくらを心配させることになるし、魔力が足りない状態で雪兎を助けようと無茶をする可能性もあるのは分かるが

もし手遅れだったとき、自分の魔力が足りないことが原因で(さくらの性格からして自分の力不足を責めるだろう)
自分の好きな人が消えてしまって、しかもその間自分は全く危機を知らされずに、(困った事件はあるものの)幸せに過ごしていたことになるわけで
ずっと引きずるトラウマになると思うが
498マロン名無しさん:2009/07/22(水) 23:51:25 ID:???
エリオルがもらったチョコレートってナクルからだろうか
499マロン名無しさん:2009/07/22(水) 23:54:06 ID:???
きれいな女性、ではなくきれいなひとだからな
奈久留くさい
500マロン名無しさん:2009/07/23(木) 01:05:17 ID:???
でもなくるが桃矢に渡そうとしたチョコはエリオル製だよな
自分で作ったチョコプレゼントされてもカウントできないだろ
501マロン名無しさん:2009/07/23(木) 01:31:10 ID:???
エリオルが奈久留のことを「ひと」って表現するかなぁ
502マロン名無しさん:2009/07/23(木) 02:42:03 ID:???
撫子か!
503マロン名無しさん:2009/07/23(木) 16:37:18 ID:???
ユエなんじゃ
504マロン名無しさん:2009/07/23(木) 16:55:51 ID:???
ひい爺さんも園美さんも兄ちゃんに関しては一貫してアウトオブ眼中な件について
505マロン名無しさん:2009/07/23(木) 19:10:10 ID:???
撫子とさくらは萌えても桃矢は男の子だからさ・・・
506第8巻1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/23(木) 21:02:05 ID:???
「カードキャプターさくら」第8巻発売。 発行日 1999年3月11日。
「なかよし」の1998年12月号〜1999年3月号までの掲載分を収録、第31話から34話までにあたる。
一枚目のカラーイラスト 制服姿の奈久留。左上に太陽のシンボル。
柱の各キャラクターのプロフィール

21 ケルベロス

  主          木之本桜
  誕生日       秘密
  シンボル      太陽
  属性         陽(光)
  目          金
  体          オレンジがかった金
  魔術系統      西洋魔術
  好きな食べ物   甘いもの
  好きなこと     にぎやかで楽しいこと
  嫌いなこと     悲しくて寂しいこと
  仮の姿       白い羽根の生えたオレンジのぬいぐるみ

22 ユエ

  主          木之本桜
  誕生日       秘密(雪兎の誕生日とは違う)
  シンボル      月
  属性         陰(闇)
  目          紫がかった銀
  髪          銀
  魔術系統      東洋魔術
  好きな食べ物   何も食べない
  好きなこと     寝ること
  嫌いなこと     面倒なこと
  仮の姿       月城雪兎
507第8巻2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/23(木) 21:02:56 ID:???
23 スピネル・サン

  主          柊沢エリオル
  誕生日       秘密
  シンボル      太陽
  属性         陰(闇)
  目          ペパーミントに近い緑
  体          黒
  魔術系統      東洋魔術
  好きな食べ物   辛いもの
  好きなこと     しずかなこと
  嫌いなこと     さわがしいこと
  仮の姿       透明な羽根の生えた黒い子猫

24 ルビー・ムーン

  主          柊沢エリオル
  誕生日       秘密(奈久留の誕生日とは違う)
  シンボル      月
  属性         陽(光)
  目          黒がかった赤
  髪          赤
  魔術系統      西洋魔術
  好きな食べ物   何も食べない
  好きなこと     面倒なこと
  嫌いなこと     退屈なこと
  仮の姿       秋月奈久留

おまけのさくらカードを模したしおりの絵柄は、奈久留。背景は赤。
ラストのカラーイラスト  羽根を広げたルビー・ムーン。右上に月のシンボル。
508マロン名無しさん:2009/07/23(木) 21:28:08 ID:???
ケロちゃん&ユエと違って、スピネル&ルビーはシンボルと属性が一致してないんだな。
まあ性格的にはすごく納得できるけど。

しかしケロちゃんの仮の姿ってマジでぬいぐるみだったのか。
そういうフリしてるだけで何か動物なんだと…。
509マロン名無しさん:2009/07/23(木) 21:40:20 ID:???
西洋魔術と東洋魔術の違いがようわからん
510マロン名無しさん:2009/07/23(木) 22:18:48 ID:???
>>509
英語か漢字かってだけ
511マロン名無しさん:2009/07/23(木) 23:10:24 ID:???
>>504
実は血が繋がっていない
512マロン名無しさん:2009/07/24(金) 17:00:52 ID:???
ルビーは流石に知ってたが、スピネルも宝石の名前なんだな。
どちらも赤い
513マロン名無しさん:2009/07/24(金) 20:26:51 ID:???
>>509
魔方陣書いて悪魔を召喚するのと
丑の刻参りをして呪うのと

全然違うじゃねーか
514第36話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/24(金) 21:07:44 ID:???
扉絵 うさみみをつけたさくらと、その上に乗っかった仮の姿のケロちゃんとスピネル
    周囲にはケロちゃん模様とスピネル模様のバルーンが大量に浮かんでいる

舞い散る桜の木の下で、さくらはうっとりとしながら腕時計に目をやった。
ホワイトデーの翌日に雪兎がくれたものだ。その時の、少し気分の悪そうな雪兎の様子が気にかかっていた。
帰宅すると、イギリス留学中の観月から手紙が届いていた。
さくらは、クロウの気配などについて観月に相談の手紙を送っていたが、
教えてあげられることはなにもないという。さくらは少ししょんぼりするものの、二枚目の手紙に元気づけられた。

 『みんな さくらちゃんのことが大好きだから』
              +
 『さくらちゃんの、無敵の呪文』
 忘れないでね

無敵の呪文と聞いて浮かんだのは『絶対だいじょうぶ』。
笑顔になりながら、さくらは何故か、クロウのことを思い出した。
玄関から、ガタンと物音がした。見に行ってみると、桃矢と、桃矢に肩を貸された気を失った雪兎がいた。
帰り道で急に眠りこんでしまったので連れて来たのだという。
近頃、雪兎は授業中もずっと眠りっぱなしだという。
隠れて様子を見ながら、ケロちゃんは焦った。魔力の足りないユエは、雪兎もろともこのままでは消えてしまう。
桃矢もまた焦る様子で「早く気づかせねぇとな」とつぶやいた。

目覚めた雪兎は、さくらと桃矢と一緒にご飯をたくさん食べた。さくらはお茶を入れに場を立った。
「おまえはわかってねぇと思うけど このままじゃまずいんだ
 …おれはちゃんと知ってる おまえが…」
桃矢がそう言いかけたところで、さくらが戻ってきた。入れ替わりに、桃矢はバイトに出ていった。
道端で眠ったら困るからと、雪兎は木之本家に待機することになった。バイトが終わり次第、桃矢が送るという。
(わーい♥ 雪兎さんとお留守番ーー♥)
喜んでいたさくらは、雪兎を見て驚いた。一瞬、雪兎の体が透けて見えたのだ。

さくらはクロウの気配を感じ、ケーキを買ってくると言って抜け出し、ペンギン大王公園に駆けつけた。
もちろん知世と小狼も一緒。さくらたちは、ペンギン大王のいる位置がいつもと少し違う事に気づいた。
515第36話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/24(金) 21:08:47 ID:???
ペンギン大王が本来あったはずの場所には、巨大な穴があった。
さくらは『翔(フライ)』で穴の中へと降りていった。
ケロちゃんも後を追おうとしたが――見えない蓋のようなものに阻まれ穴に入れない!
小狼が『雷帝招来』で雷によって蓋を攻撃するが、効かない。
そうやってもがいていると、中からはさくらの悲鳴が聞こえた。
小狼は蓋を壊そうと必死で拳を叩きつけた。
「くっそーーー! さくら!」

その様子を、いつものように樹上からエリオルとルビーとスピネルは笑いながら見ていた。
あんなことをやっても無駄なのに、と小狼のことを言うルビーとスピネルに、エリオルは言った。
「ああいう いっしょうけんめいさが 彼のいいところだ
 …わたしが欲しいもののためには邪魔かと思っていたが…」

さくらは穴の中で、急に降って来た大量の羊のぬいぐるみに押しつぶされそうになっていた。
ぎゅうぎゅうづめの状態をなんとかしなければならないが、どうすればいいのかわからない。
『水(ウォーティ―)』を使えばもっと苦しくなるだけ。
『火(ファイアリー)』では羊だけではなく、さくらも燃えてしまう。
「そうだ! 『消(イレイズ)』!!」
さくらは『消』で羊たちを消した。その瞬間、見えない蓋もなくなり、小狼は中に飛び込んだ。
が、飛び込んだ瞬間にさくらが出てきたので、小狼は縁につかまってすぐにまた地上に出た。
ほっとした表情の小狼は、心配してくれてありがとうとさくらに言われて赤面した。
あとは『地(アーシー)』で穴を塞ぎ、『風(ウインディ)』でペンギン大王を元の位置に吹き戻して解決した。

「今日は二枚変わりましたね」
スピネルは言う。以前にすでにさくらカードに変わっているカードを除き、『消』と『地』がさくらカードになった。
わたしがなにをやりたいかを、わかっているという顔だとエリオルはスピネルに言う。
「どうでしょう あなたは楽しいことであればあるほど誰にも言いませんから」
エリオルは、この世で一番楽しいことはなんであるかとスピネルに訊いた。

「…予想できないことが起こることだよ」
516マロン名無しさん:2009/07/24(金) 21:43:23 ID:???
雪兎がこのまま本当に消えるんじゃないかと心配だ
517マロン名無しさん:2009/07/24(金) 22:27:27 ID:???
雪兎を待たせて戦闘するから
ハラハラして楽しめないよ。
またどうでもいいフォローシーンが入るのかと。
518第37話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/26(日) 00:35:49 ID:???
扉絵 芝生の中で眠る雪兎

体育の時間に、知世とさくらは二人で準備体操をしていた。
さくらは最近あまり眠たくならない。カードを変えても大丈夫になってきたようだ。
「それはきっと! さくらちゃんがさらにパワーアップしている証拠ですわ!
 一日ごとにさらに可愛く凛々しくすばらしく成長なさるさくらちゃん!
 そしてそれを一秒ものがさずビデオにおさめるわたし! ああ幸せすぎてめまいが…」
でも一緒にいると危ないかもしれない、さくらはそう言うが、
知世はさくらといられるなら多少の危険はかまわない。
「それに…さくらちゃんといっしょなら きっとだいじょうぶですわ」
今日の体育はバスケットボール。今日は一対一で行い、まずは小狼とエリオルが組み合う。
エリオルは小狼から軽くボールを奪い、ゴールを決めた。
次に小狼もボールを投げたが、もう少しのところで外れてしまった。
「気合いが入りすぎるのもよくないですから 特定の観客を意識しすぎですわね」
知世はそうコメント。もう一度投げようとする小狼の後ろにエリオルは立ち、落ち着いてと優しく言った。
すると、次に投げたボールは無事にゴールに入った。
エリオルは小狼に言った。
「落ち着いて自分を見失うことさえなければ きみはもっと強くなれますよ」

授業が終わって一人で歩いていたエリオルは、星條で眠そうに歩いている雪兎と顔を合わせた。
エリオルを見た瞬間に――雪兎はユエへと姿を変えた。
「クロウ! なぜ そんな姿でここにいるんだ…!? クロウは死んだはずなのに…!」
しかし、エリオルに手をかざされた瞬間にユエは意識を失い、倒れこんでエリオルに支えられた。
「…欲しいものがあってね ケルベロスにもユエにも内緒にしていたんだよ」
ユエにはほとんど魔力が残っていないことにエリオルは気づいた。そばには『適任者』がいるというのに。
「考えていたものとは違う展開になってきていて わたしはとても楽しいよ
 いまはまだわたしの存在に気づいてもらっては困るんだ しばらく忘れていてくれ」
目覚めた雪兎は、また眠りこんでしまったのかと思いながら校舎の方へ戻って行った。そこに桃矢が通りかかった。
桃矢はエリオルを見て言った。父さんに似ていると、眼鏡だからという外見のことではなく、中の方が。
519第37話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/26(日) 00:36:39 ID:???
知世の家にやってきた小狼は、ソファに座りながらなにか考え込んでいるようだった。
「さくらちゃんのこと考えてらっしゃるんですの?」
お見せしたいものがある、そう言って知世が再生したビデオカメラの画面には――
先日、さくらが穴の中にとじこめられた時に「さくら!」と叫びながら見えない蓋を叩く小狼の姿があった。
「さくら!」 「さくら!」 何度も同じ場面を流すと、当のさくらがひょっこり顔を見せた。
小狼は必死で取り繕う。さくらが顔をひっこめると、知世は告白をしないのかと小狼に訊ねた。
超絶的に素敵で可愛いさくらのことを思う人は他にもたくさんいるのに、と知世は言う。
「わ わかってる …柊沢とか」
知世からすれば、エリオルのさくらを見る目はそうではないように見えるという。
「恋をしているというより とても大切な人を見守るような 本当に優しい感じですもの」
本当によく見てるんだな、小狼に言われて知世はただ微笑んだ。

やがて、知世の衣装に着替え終わったさくらがやってきた。
その可愛さに動揺した小狼は、うっかりビデオカメラのスイッチに触れてしまう。
再び流れる「さくら!」の声に、さくらは先日の時のことだと気づいた。
「すっごく心配してくれてたんだね ありがと」
そんなほのぼのとした雰囲気の中……さくらはクロウの気配に気づいた。

気配を追ってさくらたちは学校にたどり着いた。
小狼は、知世は服を作ったりとさくらのために色々やっているのに、自分はなにもできないとつぶ

やいた。
「李君はちゃんとご自分にできることをしてらっしゃいますわ 自信を持ってください」
気配を追って教室に入った一同。しかし、なにもなかった。
廊下に出ようとドアを開けると、何故かそこには美術室が。
もう一方の扉を開けると、そこには家庭科室が。
扉がめちゃくちゃに他の教室に続いてしまっているようだ。
次々に教室を渡り歩いていくが、法則性もなく、一向に出られそうにない。
音楽室に着いたさくらたちは、更に他の教室に行こうと扉を開けて出ていった。
最後尾でカメラを構えていた知世も続こうとするが……いきなり扉がしまってしまった!
さくらはすぐに閉まった扉をまた開けるが、そこは音楽室ではなくまた違う教室につながってしまっていた。
「知世ちゃん…!」
520マロン名無しさん:2009/07/26(日) 00:55:35 ID:???
>「恋をしているというより とても大切な人を見守るような 本当に優しい感じですもの」
このコマ、知世が乳首出してるように見える
521マロン名無しさん:2009/07/26(日) 01:41:31 ID:???
あ、本当だ片乳首が・・・って、乳首はもっと下の位置にあるもんだ!
522マロン名無しさん:2009/07/26(日) 01:42:59 ID:???
知世はお嬢ルックっぽく見えてタイトな服好きだよな
百合っ気がほんのり出ている
523マロン名無しさん:2009/07/26(日) 01:48:50 ID:???
お父さんはクロウの実子だったりするんだろうか
似てる似てる言われすぎだし、親戚いないというし
524マロン名無しさん:2009/07/26(日) 10:05:05 ID:???
>超絶的に素敵で可愛いさくらのことを思う人は他にもたくさんいるのに
自分のことだね知世ちゃん
525第38話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/26(日) 21:07:37 ID:???
扉絵 巨大な桜の枝の上に座る知世 大きな桜の花を手に持ち頬を寄せている

知世の居場所がわからず、どうしようかとさくらは泣きそうになった。
「泣くな 泣いてもなんにもならない 考えるんだ どうすれば美術室にもう一度行けるか」
小狼の言葉に、さくらは涙を拭い、杖を固く握りしめうなずいた。
扉がつながっている場所に法則性はなく、学校全部の扉を開けてもどうにもならない。
一つの扉を何回開けても、いつまた音楽室に戻れるかもわからない。
「知世に魔力はないさかい それを感知して探すこともできんしなあ」
さくら、小狼、ケロちゃんはそれぞれ意見を出し合うが、一向に解決策が見つからない。

(知世ちゃん一人でこわい思いしてるかもしれない
 早く見つけなきゃ でもどうやって!?)

焦るさくらたちのもとに、声が聞こえてきた。綺麗な歌声――知世が歌っているのだ。
(待ってて知世ちゃん 絶対見つけるから!)
さくらは、足元の自分の影を見て閃いた。
「彼の者の影を捕らえよ! 『影(シャドウ)』!!」
さくらが『影』に命じると、知世をめがけて『影』が伸びていった。
『影』を追っていくと、ある扉の向こうから知世の歌声が聞こえた。ここに知世はいるのだ。

扉を開けると、そこには知世と、その横に立つ『影』の姿があった。
「ごめんね遅くなって 一人でこわかったでしょう!?」
さくらは涙目で知世を抱きしめた。しかし知世は「いいえ」と言った。
「さくらちゃんならきっと見つけてくださると思っていましたから」

窓の外の樹の上から、エリオルは微笑んでその様子を見ていた。
さくらは、クロウの気配が消えるのに気づいた。誰かの気配がして窓の外を見るが、そこには誰もいなかった。
エリオルは校舎から去って行きながらつぶやいた。
「カードが変わるたびに さくらさんの力はちゃんと強くなっていますね」

さくらは知世に言った。泣きそうになってしまったけど小狼が止めてくれた、そして知世の歌声に励まされたのだと。
はげましてくれて、見つけてくれて、「ありがとう」と互いに言いいながら、二人は寄り添って歩いた。
526第38話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/26(日) 21:08:54 ID:???
知世には一つだけ心残りがあった。それは、またしてもさくらが活躍している場面を撮影し損なったこと。
「最近一番の盛り上がり場面はいつも欠席で悲しいですわー!」
そんな知世のためにケロちゃんが代わりにポーズをキメてくれるが知世はおほほほと笑うだけ。

ケロちゃんと知世がなにやら盛り上がっているところから少し離れて、さくらは小狼にも礼を言った。
「ありがと さっき泣くなって言ってくれて ううん今日だけじゃないね いつも本当にありがと」
小狼は顔を赤くしながら、式服の帽子を外した。
先日知世に言われたように、告白しなければと思ったのだった。
「お…おれは…おまえが… す…」
しかし、一緒にポーズを決めようとケロちゃんが乱入してさくらを連れて行ってしまった。小狼は赤面したまま固まった。

美術の時間、エリオルの描いた絵をさくらは誉めた。
そして、エリオルの所作はやはり藤隆と似たものがあると感じた。
「あ わたしのこと『さくらさん』って呼んでくれるところも一緒だっ!」
そんなさくらの様子を離れたところから見つめる小狼。
「昨日は残念でしたわね」
知世が小狼に話しかけた。告白しようとしていることに気づいていた知世は、きらめきながら続きは今日するのかと訊ねた。
二人が話しているところに当のさくらがやってきた。
小狼に、中断してしまった昨日の話の続きを聞きたいと言う。

気を利かせて去っていく知世。さくらと小狼はベンチに二人で座った。
「お おれ お…おまえが… す……す………  き  ゃ  あ  あ  あ   !
小狼はなんとか告白を成し遂げたのだが、その言葉の後半は誰かの悲鳴にかき消されてさくらに届かなかった。
星條の方で体育をしている途中の雪兎が倒れてしまったのだった。
桃矢が雪兎を抱えて保健室へ連れて行った。奈久留は、雪兎の手が透けていることに気づいた。
「あらら もう限界ね」

眠りに落ちていた雪兎はすぐに目を覚ました。最近こんなことばかりで、どこかおかしいのかなと雪兎はつぶやく。
「…おまえが気づかねぇからだよ …ゆき おれはおまえが……」
その言葉を奈久留が遮った。奈久留は保健室の窓から身を乗り出し、早く戻れと桃矢に呼びける。
桃矢は戻って行こうとしたが、服の裾を雪兎に掴まれ、立ち止まった。
527第38話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/26(日) 21:09:45 ID:???
桃矢はまだ戻らないと、保健室の窓を閉めカーテンも引いた。
奈久留は窓の外で、まずいわまずいわと言いながら一人でくるくる回った。
「まずいわーー! このままじゃ桃矢くんの大事なものがーー!」
「仕方ないでしょう 彼がそうしたいのなら」
樹上にいたスピネルはそう言う。
奈久留は、もしもそうなったらエリオルが困るかもしれないと言って抗議する。
「…エリオルは困らないと思いますよ むしろ喜ぶかもしれませんね」

閉ざされた保健室の中で、桃矢はやっと雪兎に告げた。
「おれは…おまえが人間じゃないって知ってる だから隠さなくていいんだ」
雪兎はユエへと姿を変えた。
ユエは自分の名を名乗ると、雪兎の思いを語った。
雪兎は桃矢にだけは自分が『人間』ではないことを隠し続けていたかったのだという。
「自分の気持ちに『雪兎』はずっと気づかなかった さっきお前を行かせまいとしたのも無意識だ
 しかし無意識の行動にこそ本心が透けて見える 『雪兎』にとってお前は特別な存在なのだろう」
今の主では雪兎の存在を支えきれない。どうすればいいのかは桃矢もよくわかっていた。
「おれの力でゆきが消えずにすむなら…全部やる」
もう母親にも会えなくなるぞ、ユエはそう言うが、
自分だけが母親に会えるのも不公平だからと、桃矢は受け入れた。

「ただ…力がなくなったら おれにはさくらが危ない目にあっても
 もうわからねぇだろ だからあいつを守ってやってほしい」
「約束するまでもない この身に代えても主は守る」
しかし、代えられてはこまるのだと桃矢は言う。
「あんたが消えたらゆきも消える さくらも守って自分の身も守ってくれ」
それが魔力を渡すための条件だった。
ユエはしばし考え込んだ後「努力する」とだけ答えた。
雪兎とユエは似ているといって桃矢は笑った。

ユエは桃矢の魔力を得た。今度は桃矢が眠り倒れた。
「クロウの魔力の波動に似ている 新しいカードの主になれた者の血縁だからか…
 …ありがとう…と 言うべきなんだろうな……」
528マロン名無しさん:2009/07/26(日) 21:25:54 ID:???
桃矢の力うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ
529マロン名無しさん:2009/07/26(日) 21:54:08 ID:tC9aYHeo
小狼早く告白しちゃえばいいのに
530マロン名無しさん:2009/07/26(日) 21:55:16 ID:???
てs
531マロン名無しさん:2009/07/26(日) 22:12:15 ID:???
ユエが桃矢から力受け取るシーンがなんか妙に色っぽく見える…。
532マロン名無しさん:2009/07/27(月) 02:57:25 ID:???
あれ首にキスしてるよな
533マロン名無しさん:2009/07/27(月) 03:16:13 ID:???
ゆきうさぎととうやってガチだったんだ……
534マロン名無しさん:2009/07/27(月) 07:25:49 ID:7yEm/9d5
というより、頬をくっ付けるよな
535マロン名無しさん:2009/07/27(月) 09:34:30 ID:???
桃矢もユエも素敵
536マロン名無しさん:2009/07/27(月) 11:33:40 ID:???
ここでさくらvsユエ戦での複線が
537マロン名無しさん:2009/07/27(月) 12:36:49 ID:???
ともよは魔力なくても金持ちで可愛くて歌唱力あって裁縫上手いんだから十分すごい
兄ちゃんもイケメン高身長で勤勉だしサッカーできるし魔力がなくなったって大丈夫

でもカーチャンと会えなくなるのはちょっと可哀相だ
538マロン名無しさん:2009/07/27(月) 13:01:43 ID:???
そういえばさくらは結構魔力強くなったのにまだ撫子さんに会えてないな
幻の時にさくらを助けに現れただけで
その辺あたりがさくらと桃矢兄ちゃんの力の違いなのかな
539マロン名無しさん:2009/07/27(月) 15:07:13 ID:7yEm/9d5
魔力と霊感は違うから?
540マロン名無しさん:2009/07/27(月) 16:39:57 ID:???
今回の表紙がなんかエロい
桜=さくらの暗喩 だろう
541マロン名無しさん:2009/07/27(月) 17:29:28 ID:???
桃矢が力を失うことは
キャラが変わるくらいの変化だがこれから大丈夫だろうか。
542マロン名無しさん:2009/07/27(月) 17:55:28 ID:???
シスコン属性が健在なら大丈夫
543第39話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/27(月) 21:35:22 ID:???
扉絵 妖精のような姿のさくら 座り込んで手元に隠すように星を持っている

ユエが何者かの気配を感じてカーテンを開けると――そこには涙を目にいっぱい溜めたさくらがいた。
雪兎が倒れたと聞いて心配でやってきたさくらは、一連の会話を全て聞いてしまっていた。
「わたしの力が足りないから雪兎さん消えそうになってたんですね…
 お兄ちゃんの力もらわないとだめになってたんですね…!」
ごめんなさい、さくらは泣きじゃくりながら、さくらは言った。
ユエはひざまずき、顔を覆って泣くさくらと目線をあわせた。
クロウカードもその守護者も、不世出の魔術師・クロウによって創られたもの。
それを、まだ子供のさくらが支えられないのは仕方がない。
ユエはそう言ってさくらの涙をぬぐった。
「…おまえが泣けばこいつが悲しむ 約束したんだお前を守ると…だから泣くな」
さくらはうなずいて自らも涙をぬぐうと、傍らの桃矢を見た。桃矢はベッドで眠っていた。

「…ごめんね お兄ちゃん
 もしお兄ちゃんに何かあったら さくらすぐ行くから
 絶対お兄ちゃんのこと守るから」

さくらは桃矢の手をとり、そう誓った。
ユエさんは優しい、とさくらは言う。兄妹そろって変なことを言うとユエは眉をひそめた。
「似てます 雪兎さんと ううん同じだと思う」
どこがと問われ、さくらは「ぜんぶ」と答えた。
二人は同時にクロウの気配を感じた。すぐに窓の外を見るが、誰もいなかった。
木蔭に、エリオルがひっそりと身を隠していた。
「…これ以上さくらさんの力が強くなると さすがに隠すのは難しいな …急ぎましょうか」

友枝小学校では明日、模擬店大会が開かれる。さくらのクラスの出し物はお菓子のパーラー。
家庭科で作ったお菓子や紅茶を提供する。
父兄以外の外部の人の参加も許可されており、みんな楽しみにしている。
しかし、さくらは憂い顔だった。雪兎が倒れたということしか知らない知世と小狼は、そんなさくらを心配した。
さくらは帰宅すると、ユエの魔力不足の件を知っていたらしいケロちゃんに、どうして教えてくれなかったのか訊いた。
「さくらに今みたいな顔させたなかったからや」
544第39話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/27(月) 21:36:24 ID:???
ケロちゃんにもユエにもかばわれるばかりだと、さくらはすまなさそうにした。
かばってるわけではない、そうケロちゃんは言う。

「さくらが前に言うたんやろ 主とかとちゃう わいらと『なかよし』になりたいって
 なかよしの相手のこと考えるんは当たり前や
 さくらがわいのこと考えてくれるのと同じように わいらもさくらのことが好きなんや」

ありがと、と言うと、さくらはユエが桃矢から魔力を得たことを語った。
よく魔力の波動があったものだとケロちゃんは感心した。
そういえば、さくらの魔力もクロウと似たものがあるという。
新しいカードの持ち主なのだから当たり前かもしれないが、遠い血縁の小狼より尚近いという。

インターフォンがなり、カメラを見ると桃矢を肩に背負った雪兎の姿が映っていた。
雪兎はユエのことをいまだによくわかっていなかったが、とりあえず眠気は消えているという。
桃矢のバイトに代わりに言ってくると慌ただしく出ていく雪兎に、模擬店のパーラーに来てほしいとさくらは誘った。
「かならず行くよ」

さくらはウェイトレス姿でお客さんたちを迎えていた。知世がつくってくれた型紙を各々で縫ったのだ。
バーテンダー姿の小狼やエリオルと、互いに似合うねと言い合った。
知世に促され、さくらは雪兎を校内中案内することになった。小狼は切なそうに、エリオルはいつもの微笑みでそれを見送った。

体育館では『星の道』という催しものがあった。暗幕を張った道の中に、星を模したさな電球が幾つもぶらさがっていた。
眠りつづけたままの桃矢を案じる雪兎。さくらは、星に囲まれた中で、雪兎を見つめた。

「…雪兎さん ……わたし 雪兎さんが …好きです」

雪兎もさくらが好きだと言う。
しかし、さくらにとっての一番は自分ではない、と続けて言った。
さくらが雪兎を好きだと思う気持ちは、さくらが父親を好きだと思う気持ちとよく似ていないか、そう雪兎は訊ねた。
考えてみると、その思いは確かに――よく似ていた。
「ぼくは藤隆さんによく似てるから さくらちゃんが子どもだと思ってはぐらかしてるんじゃないよ」
さくらが家族みたいに思ってくれていることには、雪兎もずっと気づいていて、嬉しく思っていたという。
545第39話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/27(月) 21:37:14 ID:???
「雪兎さんにも一番好きな人がいるからわかったんですか?」
それは、桃矢なのかと訊くと、雪兎は頷いた。
「お兄ちゃん いぢわるばっかりだけど本当は優しいんです
 照れ屋だからすぐまたいぢわるするけど」
微笑みあいながら、それでも桃矢が自分にとっての一番だと雪兎は言った。桃矢がどう思っているかはわからないが。
桃矢にとっても雪兎は一番だとさくらは言い、だからこそ力を渡したのだともつぶやいた。
「お兄ちゃんが わたしの大好きな雪兎さんの一番で すっごくうれしいです」
でも、もし桃矢がなにかいぢわるなことをしたら、わたしがやっつけてあげるとさくらは意気込んだ。

雪兎はそっとさくらに手をさしのべた。
「…きっと見つかるよ さくらちゃんが一番好きになれる人が
 その人もきっとさくらちゃんを一番に想ってくれるから」
もしもその人がさくらを泣かせたら、やっつけてあげると雪兎は言う。
さくらは雪兎の手のひらに自分の手を重ねた。

突然、電球たちが割れ始めた。
雪兎は破片からさくらをかばおうと抱きしめ、そしてユエへと姿を変えた。
辺りに飛び散る破片を見て、さくらは「何!?」と叫んだ。
546マロン名無しさん:2009/07/27(月) 23:36:46 ID:???
良かった、さくらがダークモードに突入しなくて。
547マロン名無しさん:2009/07/28(火) 00:08:23 ID:???
さくらはユエとくっつけばいいと思う
548マロン名無しさん:2009/07/28(火) 00:10:19 ID:???
桜の雪兎を想う気持ちが親と同じって酷くない?
このままだと雪兎一直線の桜を小狼に振り向かせられないから
諦めやすい形にしたんだろうけど・・・。
549マロン名無しさん:2009/07/28(火) 13:45:58 ID:???
いきなり告白きたあああああああ
そしてあっさり玉砕となっ………
お父さんに対してははにゃーんしてないし、さくらはちゃんと恋心持ってると思うがなあ
550マロン名無しさん:2009/07/28(火) 16:47:26 ID:???
さくらは兄貴と雪兎のガチっぷりを悟ってハナから玉砕覚悟だった説
雪兎の断り方は酷いと思うがな
551マロン名無しさん:2009/07/28(火) 18:22:19 ID:???
俺はお前の兄貴が好きだから断るっ!
とキッパリ言われた方がまだいいよな。
お前は俺のこと対して好きじゃないんだよ、と遠まわしに言われる方が残酷だ。
552マロン名無しさん:2009/07/28(火) 20:36:21 ID:???
恋のライバルはお兄ちゃんでした(笑)
553第40話 ◆RDQNQFm41U :2009/07/28(火) 21:26:39 ID:???
扉絵 鏡の前に立つエリオル 鏡にはクロウが映る

なにかの気配を感じた小狼は、教室から飛び出して走って行った。
一方、星の道でユエはさくらを抱えながら、この気配はクロウのものだと言っていた。
異常事態が起こっているところなのに、関係のない生徒が入ってきようとしていた。
「かの者たちを迷い道に誘い幻を見せよ! 『迷(メイズ)』! 『幻(イリュージョン)』!」
生徒たちの前にはプラネタリウムのような光景が広がった。
さくらは、クロウの力を強く感じた。またなにか起こるかもしれない。
気配を追って駆けだすとそこには――太陽と月のシンボルを併せ持った杖を持つ、エリオルがいた。
驚くさくらを眠らせ、エリオルは笑った。
「一度に二枚のカードを変えられるとは …本当にさくらさんの力は強くなりましたね」

さくらの後に星の道に入った者たちの中で、一人だけ『迷』を突破した者がいた。小狼だった。
剣を持ち、走って来た小狼はユエと遭遇し、二人そろってさくらを追った。
『迷』と『幻』が突然カード化して降って来た。辺りの風景はさくらが入って来た時のものと同じになった。
さくらの力が途切れたからだとユエは言う。
小狼は「さくら!」と叫んだ。

さくらは夢を見た。どこかの大きな屋敷の中、暖炉の前には一つだけ椅子があった。
その椅子に座っているのはクロウ。クロウの前には、真の姿のケロちゃんとユエがいた。
「わたしは今日 逝く」
寿命なのだという。クロウは何百年も生きながらも、若い姿のまま、魔力を衰えさせることもなかった。
「…それでも 全ての生き物に等しく終わりはやってくる」
ユエはヒステリックに嘆き、ケロちゃんはクロウの体に鼻先をこすりつけた。
クロウは二人の次の主を決める準備をするという。
新しい主などいらないと言うユエに、クロウは主にふさわしいかどうかを審判する役目をユエに与えた。
「新しい主などいらない…本の中でずっと眠っている…」
ユエだけが決めては不公平だろうからと、クロウは新たな主の候補を決める役はケロちゃんに与えた。
「ユエとケルベロスとクロウカードは わたしが持てる力と心をすべて注いで創った者達だ
 だからこそ わたしが逝ったあとも 新しい主の元で幸せにすごしてほしいんだよ」
554第40話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/28(火) 21:27:42 ID:???
ユエがカードの裏表紙へと戻っていくと、ケロちゃんは言った。
新たな主などユエの性格では受け入れられるはずがないと。
ならば、ユエでも受け入れられるような主を決めてくれとクロウは言った。
「本当にわがままなんだから 性格悪いしきまぐれだし 魔力が強すぎて浮世離れしてて
 本当に変な奴だけど……おれにとってはいい主だったぞ」
そうして、ケロちゃんも本の表紙になった。
「さて わたしも最後の魔術を使おう」
一人残されたクロウは、太陽と月のシンボルの杖を掲げた。
辺りに広がる魔法陣、クロウの姿は光に包まれ――そのシルエットは二つに分かれた。

さくら、そう呼ぶ小狼の声でさくらは目覚めたの。
「…夢を…見てたの…」
様子をうかがう小狼に、さくらはそうつぶやいた。
エリオルは隠れてその様子をながめていた。
「…ほんの少しぼくの魔力にふれただけなのに
 クロウ・リードの過去夢を見るとは……これなら…もうすぐですね」

さくらはその夢のことをケロちゃんに話した。
夢で見たクロウの住んでいた家の状態などはケロちゃんの記憶にあるものと同じだったが、
所々のエピソードは食い違っていた。
ケロちゃんは、クロウが亡くなる前に本に戻ったのではなく、クロウを看取っていたという。
「クロウがわいらの記憶をいじったっちゅうことも考えられる」
今は、木之本家に雪兎が来ている。ケロちゃんはユエにも確認したいと言った。
「でも…お兄ちゃんとこにいるの お兄ちゃんの目が覚めるまでそっとしておいて」

目覚めた桃矢は、雪兎が消えずにいたことに安堵した。
雪兎は桃矢の手を頬にあてられながら言った。
「…ぼくは人間じゃなかったんだね あの家におじいちゃんもおばあちゃんもいないし…ぼくは転校生でもない」
雪兎が持っていた、生まれ育った記憶もすべてがまがいものだった。
「…けど おれと会った後のことはぜんぶ本当だろ おまえが何だろうが関係ねぇよ
 おれは おまえが相変わらずおれの側で ぼーっとして笑ってりゃ…それでいいんだ」
雪兎は桃矢の手をにぎり「ありがと」と言って微笑んだ。
555第40話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/28(火) 21:28:49 ID:???
買い物に出たさくらに、知世と小狼もつきあってくれた。もう日暮れ時で、知世は帰って行った。
小狼はさくらを家まで送って行ってくれるという。さくらは、公園に寄らないかと小狼を誘った。

並んでブランコに腰かけながら、さくらは言った。
「…今日ね 雪兎さんに言ったの「好きです」って」
うつむきながらも、そうなのかと小狼は相槌を打った。
それはお父さんを好きな気持ちと似ていないかと言われたことも、続けてさくらは話した。
「すごく…似てた」
さくらは悲しく眉をよせながらも、口元では笑って言った。
「…でもね そうじゃない『好き』も雪兎さんにはあったんだ」
でも、雪兎には一番好きな人がいて、その人はさくらの一番好きな人で、その人もきっと雪兎を一番に思っている。
「…だからね 雪兎さんの一番がわたしじゃなくても いいなって
 雪兎さんが一番好きな人といられて…それで幸せならそれでいいなって」
そう思った時に浮かんだのは、知世の言葉だったという。さくらの目に涙が浮かんだ。
大好きな人が幸せであることが一番で、幸せでいてくれるなら自分を一番に好きになってくれなくてもいい、知世はそう言っていた。

「でもね…やっぱり ちょっとだけ なんだかわからないけど…少しだけ…涙が出そうになって…」

さくらは涙を流した。雪兎を困らせたらいけないと思って我慢していたが、今になって止まらなくなってしまった。
雪兎が幸せならそれでいいと、本当に思っているんだよ、さくらはそう弁解する。
小狼は、今度ばかりは泣くなとは言わず、ハンカチをさしだした。
「わかってる …ちゃんとわかってるよ」
さくらはより一層涙をにじませ、そのハンカチを受け取った。
「…ありがとう」

さくらは、小狼の肩に頭をあずけて言った。
いつかきっと、さくらが一番に思える人が現れるだろう、そう雪兎が言ってくれたのだと。
「その人もきっと…わたしのこと一番好きになってくれるって」
小狼はさくらの肩に手をやった。
「見つかると…いいな
 だいじょうぶだ…絶対見つかる」
さくらは笑顔で、うんとうなずいた。
556マロン名無しさん:2009/07/28(火) 22:30:05 ID:???
死ぬ間際に2人に分かれたってことは、エリオルの他にもう1人クロウの生まれ変わりがいるんだな。

それとも
死んだのは片方だけ→その生まれ変わりがエリオルでもう1人はまだ生きている。

…どっちにしろ何で分裂したのかワケがわからん。
557マロン名無しさん:2009/07/28(火) 22:56:55 ID:???
さくら。・゚・(ノД`)・゚・。
もうこのまま小狼とくっついちゃえばいいのに
558マロン名無しさん:2009/07/29(水) 04:10:59 ID:???
今まで小狼ってさくらが泣くのを止めて奮起させる係だっただけに、
今回のハンカチ渡すシーンはぐっときた。
あと、さくらと小狼ってこんなに身長差あったっけ。
頭ひとつぐらい違ってて驚いた
559マロン名無しさん:2009/07/29(水) 12:55:35 ID:???
クロウさんが亡くなったのって何年ぐらい前なんだろう
560マロン名無しさん:2009/07/29(水) 15:56:27 ID:???
クロウの家がものすげー老朽化してるわけでもないし、何十年も前ってわけではないんじゃないかな
561マロン名無しさん:2009/07/29(水) 17:05:24 ID:???
関西弁じゃないケロちゃんのかっこよさは異常

ふられた時悲しそうだったが笑ってはいたから意外と大丈夫なのかと思っていたが
やっぱり辛いんだな はじめのころは雪兎とくっつくとばかり思ってた
562マロン名無しさん:2009/07/29(水) 17:12:21 ID:???
いやまて、雪兎とくっついたら小学生と高校(ry
いやこの漫画なら大丈夫か
563第41話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/29(水) 21:09:33 ID:???
扉絵 花のついた桜の枝を手に持ち見つめる小狼

珍しく早起きしたさくらは、ケロちゃんを起こさないようそっと起き上り着替え、鏡を見て笑ってみた。
「もうだいじょうぶ いつものわたしだ」
テーブルの上にはハンカチがあった。小狼が貸してくれたものだ。
さくらはハンカチに頬を寄せて「ありがとう」と言った。
新聞をとって藤隆に持っていくと、元気になったようで良かったと藤隆は言った。
最近元気がないようだった、そう言われて、何か変な様子だったのかとさくらは焦った。
「いいえ でもわかりますよ ぼくはさくらさんのお父さんですから」
さくらは「ありがとう」と言った。今日の朝ごはんはさくらの大好きなホットケーキにするという。

そこに桃矢が起きてきた。桃矢はさくらが持って行った新聞をひったくり、さくらの顔にかぶせて読み始めた。
さくらが桃矢の足を蹴ろうとすると、いつもなら避ける桃矢がまともにダメージを食らっていた。
桃矢はかなり眠そうだった。ユエに力を渡してからはずっとこの調子で、それは魔力を失った後遺症なのだという。
(献血したあとと同じだって でも献血した血は体の中でつくれるけど
 お兄ちゃんの魔力はもう戻らないからずっとこのままだろうって…
 それでもお兄ちゃんは力…ぜんぶあげたんだね ユエさんと雪兎さんがいなくならないように)

さくらはホットケーキを食べながらエリオルのことを思い出した。藤隆と似ているのだと報告した。
それを聞いて、多分会ったことがある奴だと桃矢は言った。藤隆も、会ってみたいと言う。

さくらは一人で登校していた。あれから雪兎とは会っていない。
雪兎とは登下校でも会わないし、家にも遊びにこない。
(…今もし雪兎さんに会えたらきっとすごくうれしい でもきっとまえのどきどきとは違う
 きっとはにゃーんってなっちゃうけど もっと優しい気持ちだと思うの)
そう思えるのも小狼のおかげかもしれない、なにかお礼がしたいとさくらは思った。
電柱柱に月峰神社のお祭りのお知らせが貼ってあった。
それを見てさくらは閃き、学校に着くと早速、祭に行こうと小狼を誘った。
今度の日曜日にさくらの家で待ち合わせをすると、二人は指切りをして約束した。
564第41話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/29(水) 21:11:05 ID:???
さくらは花の水替えに行った。小狼はその後姿を見つめていた。
「よかった いつもの笑顔に戻りましたねさくらさん」
エリオルがそう小狼に話しかけてきた。さくらを元気にしてくれてありがとうとエリオルは言う。
俺はなにもしていない、それになんでエリオルが礼を言うのだ、小狼に問われてもエリオルは笑うだけだった。

翌日、火曜日。さくらは親指と薬指に怪我をしてテープを巻いていた。知世がだいじょうぶかと案じた。
水曜日。中指にもテープが増える。小狼が心配してくるが、さくらはそしらぬ風に対応する。
木曜日。左手の指全部にテープが巻かれ、右手親指と薬指も怪我した様子。小狼は驚愕する。
金曜日。右手小指以外全ての指にテープが。
なにかあぶないことやってるんじゃ、と小狼が問いただすも笑ってごまかすさくら。

「なんともないわけないだろ! そんなにけがして!」
土曜日。とうとう全ての指をテープで覆ったさくらに対し、両手を掴んで小狼は叫んだ。
しかし、それでもさくらは理由を隠し続ける。
知世は助け舟を出すように、予定にあったという買い物に行くためさくらを連れ出した。
さくらは「まにあわせる」ために、今日は寝ないでなにかをするという。
知世は手伝おうかと言うものの、さくらは一人でそれをやってみたいという。
小狼は今は違う人が好きだと言っていたが、それでも雪兎という同じ人を好きでいた時期があった。
そんな小狼に話を聞いてもらえて楽になれたから、小狼にお礼がしたいのだとさくらは語った。
知世も、同じようにいつでもさくらのことを考えてくれている。
知世に悲しい事が起こったら、なんでもするとさくらは言った。
「…さくらちゃんが笑顔でいてくだされば なにも悲しいことはありませんわ
 わたしの幸せはさくらちゃんが幸せでいてくださることですから」

日曜日。さくらは桜柄の浴衣姿で小狼を出迎えた。
藤隆は初対面の小狼に挨拶し、別室に連れて行った。そこには、縞柄の浴衣があった。
この浴衣はさくらが作ったものだ。
どうしても渡したい人がいると、さくらは藤隆に教えられながらも一人で縫い上げたのだという。
小狼は着付けを手伝われながら、藤隆の顔にエリオルの面影を見た。

下駄も貸してもらい、小狼はさくらと連れだって祭に向かった。
565第41話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/29(水) 21:11:46 ID:???
浴衣のお礼を言う小狼に、礼を言うのは自分の方だとさくらは言った。
「あの時…ほんとうにありがと」
さくらは貸してもらっていたハンカチを小狼に渡した。
月峰神社では知世と待ち合わせをしている。
そして、桃矢と雪兎とも。
小狼はさくらのことを案じるが、だいじょうぶだとさくらは言った。
「…今はほんとに 家族みたいに雪兎さんが好きだから」

ぼーっとした様子の桃矢と並んで、雪兎は月峰神社の辺りを歩いていた。
さくらが祭に誘ってくれてうれしかったと雪兎は言う。
さくらが自分に対して持っていた気持が、父への思いに似たものだけでないことを雪兎は知っていた。
「でも ああ言わないとさくらちゃんの気持ちの整理がつかないから…
 ぼくを好きな気持ちのせいで さくらちゃんの本当の一番を見つけるのが遅れちゃいけない…」
さくらが悲しむのはわかっていたが、ああいうのが一番よかれと思ってやった。
さくらは笑ってくれたけど、本当は自分と会うのが嬉しくないだろうなと雪兎は言う。
「…あいつは あいつなりに考えてお前の答えを受けとめた」
だから今日誘ってくれたんだろう、桃矢はそう言った。

さくらと合流した知世は、浴衣姿のさくらを撮影できて幸せだと言ってきらめいた。
桃矢と雪兎とも合流し、にぎやかな祭の中に入って行った。

エリオル、奈久留、スピネルも祭の場に来ていた。
「また女の子用の浴衣ですか それもわざわざエリオルに作ってもらって」
「いいじゃない似合うでしょ」
言い合う奈久留とスピネル。エリオルはいつものように笑みながらさくらを見つめた。
「…こんな日はそっとしておいてさしあげたいのですが……仕方ありませんね」
566マロン名無しさん:2009/07/29(水) 21:22:00 ID:???
さくら、針刺しすぎだ
右手まで刺しちゃうとは
567マロン名無しさん:2009/07/29(水) 21:36:54 ID:uXUhR0kz
浴衣を自分で作るなんてさくら凄いね
568マロン名無しさん:2009/07/29(水) 23:00:28 ID:???
知世にもつくってあげようぜ
569マロン名無しさん:2009/07/29(水) 23:42:58 ID:???
雪兎のフリ発言
フォロー入ったw
570マロン名無しさん:2009/07/29(水) 23:52:45 ID:???
全国の女児からものすごい批判の嵐が来たんだろうか
さくら板も悲喜こもごもですごい荒れている
571マロン名無しさん:2009/07/30(木) 11:06:36 ID:???
ずっと睡眠不足状態ってかなり辛そうだ
572マロン名無しさん:2009/07/30(木) 15:16:05 ID:???
単に幽霊とかが見えなくなるだけじゃないんだな
兄ちゃんはそのこともわかってた上で、それでも力を上げたのかな
573マロン名無しさん:2009/07/30(木) 15:42:11 ID:???
知世さりげに告ったな
気づかれなかったけど
574マロン名無しさん:2009/07/30(木) 15:54:54 ID:???
桃矢にいちゃん霊感失うわ眠気一生取れないわおおごとだな
きっとサッカーもやめなきゃなんだろうな  自分で決めた事とはいえカワイソス
それ見て笑ってるさくらは事の重大さを分かっているのか・・・
575第42話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/30(木) 20:58:37 ID:???
扉絵 ベンチに座って読書中の桃矢と雪兎 桃矢は眠りこんで雪兎にもたれている

さくらと雪兎は挨拶を交わした。今までと変わらない、自然な態度で。
桃矢に夜店のものを皆におごるよう偉そうに言いつけると、さくらは雪兎と手をつないで歩きだした。
その様子を見て、今のさくらは雪兎のことを本当に家族のように思っているようだと、知世は言った。
今のさくらははにゃーん状態だが、今までのはにゃーんとは違う。
胸がどきどきするものではなく、もっと優しいはにゃーんなのだという。
本当によくさくらのことを見ている、小狼は感心した。
「さくらちゃんのことですから」
小狼と知世は、さくらが元気になったことを喜んだ。
さくらに告白しないのかと知世は訊いた。
小狼は、さくらの気持ちを思って告白をしないのだという。
「自分が…好きな人の一番じゃなかった時の気持ちを あいつはよく知ってる
 おれがあいつに自分の気持ちを言ったら あいつはおれが悲しむのを考えてきっと困るだろう」
先頭に立っていたさくらは、話しこんで遅れている二人のもとに駆け寄って来た。

桃矢はさくらや知世をおごることにはそれほど異存ないようだったが、
小狼におごるのは気に食わないと雪兎にぶつぶつ言う。
どうしてそんなに小狼を目の敵にするのか、初対面が悪すぎたのかと雪兎は不思議がる。
「昔のことじゃねぇよ 気に入らないのはこれからのことだ
 あいつはこれから おれがずっと大事にしてきたもんをかっさらいやがるからな」
いきなりさくらが桃矢の前に現れた。ジュースを買ってほしいとのことだが、
いきなりすぎて桃矢は声を上げるほど驚いた。
桃矢と雪兎はジュースを買いに行き、残りの三人は先に『月鏡之池』のあたりに行くという。

さくらたちが去ると、雪兎は暗い顔をした。
今まで桃矢は目をつむっていても、そばに誰かがくれば気配で察していた。
それが、今はさくらが来ても話しかけられるまで気づかなかった。
また、桃矢がずっと眠たがっているのも、自分が力をもらったせいだと雪兎は言う。
「もしゆきが弁当持っててな それを食おうとしたとき
 腹へって死にそうなおれがやってきたらその弁当どうする?」
桃矢に全部渡すと雪兎は即答した。それと同じことをしたのだと言って桃矢は笑った。
576第42話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/07/30(木) 20:59:46 ID:???
木に囲まれた池の傍には神馬の像。池の水面には水月が見えた。
人気のないこの池は、休憩するにはいい場所だと観月に教えられていた。
この池には魚など、生き物はいないという。池に映った月で色んな事を占うための池だからだ。
なにも映らないかもしれないけど、と言いながらも、さくらは池に向かって手をあわせた。
「これからわたしが気をつけないといけないことがあったら 教えてください」
水面の月が揺れ、そこには大きな帽子をかぶり長いマントを翻した子供の後姿が映った。
クロウの気配を感じて、さくらが振り向くと――神馬の銅像が生きているかのように動いていた!
迫りくる神馬を、さくらは『樹(ウッド)』で捕えるが、神馬はその縛めを力づくで解いてしまう。
神馬は暴れながら上空に飛んでいき、架線を切ってしまった。祭の場は停電した。
小狼は『雷帝招来』で神馬を攻撃するが、足元をかするだけだった。全体にあてなければいけない。
さくらは、小狼が助けてくれればなんとか倒せそうだと、作戦をもちかけた。
小狼はまず『風華招来』で、強い風により神馬を池に叩きつけた。
そこにさくらが『雷(サンダー)』をぶつけ、神馬は池の底に沈んで行った。

「小狼君のおかげだよ ありがとう」
照れる小狼。桃矢と雪兎は、買っていたジュースも置いて、心配のあまり駆けつけてきた。
停電で人々は混乱した様子で、このままだと祭は中止になるかもしれないという。
せっかくのお祭なのに、さくらは落ち込むが、すぐに閃いた。
皆から離れ、さくらはこっそりとカードを使った。

祭客たちは、電気の代わりのように蛍のような光が辺りに漂うのを見た。
さくらが使った『灯(グロウ)』のカードだった。
きれいだね、つぶやく雪兎。桃矢はさくらがやったことだと気づいていた。

知世と小狼もさくらがやったのだとわかった。知世は池の傍で、小狼に言った。
「さくらちゃんは悲しいことを ずっと悲しいまま抱える方ではありませんわ」
どんな形にせよ、さくらは小狼の思いを受け止め、さくららしい答えを返してくれると知世は言った。

さくらは辺りの光を見ながら『灯』を封印した時の幸せな気持ちを思い出し、皆も幸せになれればいいなと思った。
そんなさくらを影からエリオルは見つめる。
「…もう少しですねさくらさん」
577マロン名無しさん:2009/07/30(木) 22:29:07 ID:???
なんか本当に優しい漫画だな
578マロン名無しさん:2009/07/30(木) 22:41:37 ID:???
小狼、シャレ抜きで『漢』だな…
579マロン名無しさん:2009/07/30(木) 22:47:29 ID:???
桃矢のいうかっさらわれるものって明らかにさくらだよな
良かったな小狼

エリオルはとりあえずさくらを強くしたいみたいだがなんでなのかがわからない
580マロン名無しさん:2009/07/30(木) 22:49:33 ID:???
自分を殺して欲しいとか

…あれ?レイアース?
581マロン名無しさん:2009/07/30(木) 23:25:00 ID:???
悪意はないもんね
遊んでるだけなんじゃ
582マロン名無しさん:2009/07/31(金) 00:07:41 ID:???
後輩を鍛えてやんぜという意外と体育会系なノリだったりして
583マロン名無しさん:2009/07/31(金) 07:06:23 ID:???
なんか目的はあることはあるようだけどな
欲しいものがあるとか言ってたし
584マロン名無しさん:2009/07/31(金) 07:35:50 ID:???
桜を鍛えて魔力を食べるとか
585マロン名無しさん:2009/07/31(金) 12:01:54 ID:???
兄ちゃん眠いの大変そうだ
がんがれ 超がんがれ
586マロン名無しさん:2009/07/31(金) 14:22:44 ID:???
スピネルとルビーが管理するエリオルカードというのがいずれ出てくるのかな?
587第43話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/31(金) 21:45:14 ID:???
扉絵 背に翼を広げて街灯の上に座るさくら

(太陽と月がかくれちゃう…)
空が暗くなっていく夢を、さくらは見た。
暗闇の中の東京タワーには、羽根を生やした髪の長い人物と、大きな獣がいた。
(ケロちゃんと…ユエさんに似てる…)
そして、クロウの声が聞こえた。

 これから『わたし』がご迷惑をおかけすると思いますけれど…
 …あなたなら『絶対だいじょうぶ』ですよ

太陽と月のシンボルを象った杖を手にした子供が、さくらの方を振り向くが顔は見えなかった。
(その杖…クロウさんといっしょ…)

 …ヒガ…デ……ミンナ…メ……ル

目覚めたさくらは、夢で見た人物は祭の晩に池に映った人と同一人物だと言った。ケロちゃんは予知夢だろうという。
今まで目覚めると忘れていた夢を覚えていられるようになったのは、さくらの魔力が強くなったからだ。
これまでは、何者かが妨害していたのだ。
恐らくはクロウだが、死んだはずのクロウにどうしてそんなことができるのか。
強い魔力を持つクロウなら、死んだ後でも効く魔法を使えたのかもしれないが、だとしても何故さくらに『迷惑』をかけるのか。
その疑問を晴らすため、さくらは決意した。
「…わたし行ってみるよ 夢の中の場所に」

その事を知らされた小狼は、自分も共に行くと言った。自分ではクロウ相手に何もできないかもしれないが、と顔を渋くしながら。
「助けてもらってるよ いっぱい それに… 小狼君がそばにいてくれると思うだけで 安心できるもん」
小狼は、知世に励まされたことを思い出し、告白をしようとしたが――やめた。
東京タワーから帰ったあとでいいと言うと、さくらは指切りを求めた。
知世はそんな二人の様子を離れたところから眺めていた。知世と一緒にプリント運びをしていたエリオルは言った。
「あなたはいつもそうやって さくらさんを優しい目でご覧になっているんですね」
柊沢くんと同じですわ、そう言って知世は微笑み、エリオルは少し驚いた顔を見せたものの、同じように微笑み返した。
588第43話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/31(金) 21:46:12 ID:???
さくらが帰宅すると、観月からの手紙が届いていた。
手紙の中では、この手紙が届くころにはさくらの周囲の大変な出来事も終わるだろうと書かれていた。
『PS 貴方を助けるヒントは いつも貴方の中にあるの』
その文面を不思議がっているところに、藤隆がやってきた。
今日はこれから出かける用事があるらしく、その前に洗濯ものを干すところらしい。
「…………また気になることがあるんですね」
藤隆はさくらの顔を見てそう言った。
「なんでわかるの それもお父さんだから?」
さくらの問いに、藤隆はただ笑うだけだった。
やっぱりお父さんってすごい、さくらは藤隆に抱きついた。
何かできることがあれば教えてくださいねと言いながら、藤隆はさくらの肩にそっと手を置いた。
(あれ…? この感じ なんかお父さんといるこの感じって…エリオル君といっしょの時と似てる…)

自宅の椅子に座り、一人微笑むエリオルに向かい、何かを決めましたねとスピネルは言った。
「わたしたちを創ってからあなたはずっとその子供のままの姿です いつまでその姿でいるんですか?」
それもそろそろ終わりになりそうだとエリオルは言う。
さくらの魔力はかなり強くなっている、これならばと。
帰ってきた奈久留は、届いていたという手紙をエリオルに渡した。
桃矢が魔力を失った今でも、奈久留は桃矢に粘着し続けているらしい。
魔力をユエに渡すとき、エリオルもそばにいたにも関わらず、
それを阻止しなかったことが奈久留には不服であるようだった。
エリオルのやることはどうも真剣味がなく甘い。そもそもなにをやりたいのかすらわからないと奈久留は言う。
「…それも今夜わかるよ」

東京タワーにやってきたさくらは、いつものように知世作成の衣装を着ていた。今日の衣装は星のシンボルがついたもの。
こんなところでこの格好は恥ずかしいとさくらは言うが、ふしぎと辺りに人どおりはなかった。
そういえば、クロウの気配がする時はいつも誰も周りに来なかった。まるで、誰かが術で防いでいるかのように。
「ぼくですよ」
東京タワーの上から、大きな帽子と長いマント姿のエリオルが現れた。
桃矢と共にバイト中だった雪兎は、突如ユエに変わった。
「…主に危機が迫っている」
589第43話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/07/31(金) 21:47:09 ID:???
いつものように微笑みを浮かべるエリオルからは――確かなクロウの気配がした。
そして、奈久留とスピネルも姿を現した。
奈久留の名を呼んで驚くさくらに、ルビー・ムーンという本当の名を告げながら奈久留はルビーへと変わった。
私は初対面ですね、そう言いながらスピネルも子猫のような姿から黒豹のような姿へと変わった。
二人の姿がユエとケルベロスに似ていることに小狼は気づいた。
「わたし スピネル・サンとルビー・ムーンは あなたとユエを創ったものによって生み出されたからです」

エリオルは小さな『鍵』を取り出した。                          レリーズ
「闇の力を秘めし鍵よ 真の姿を我の前に示せ 契約の元エリオルが命じる 封印解除」
『鍵』は太陽と月のシンボルを持った杖へと変わった。
「わたしの現世の名はエリオル そして前世の名はクロウ・リード」
驚愕するさくら。そしてケロちゃんは、どうしてさくらに迷惑をかけるのかと叫んだ。
「欲しいものがあるんだよ ケルベロス」
エリオルがそう言いながら浮かべた微笑みは、ケロちゃんの知るクロウのものと同じだった。

では、はじめましょうか――エリオルはそう言って杖を掲げた。
杖からは黒い渦が出でて、それが空へと伸びていき、闇が辺りをつつみはじめた。
太陽と月が重なり合い、隠れようとしていた。

さくらの傍らにいた知世が倒れた。
ユエは桃矢と共に東京タワーに向かっていたが、桃矢もいきなり倒れてしまった。
公園のベンチでは千春と山崎が、自宅で本を読んでいた奈緒子が、メイドと共にいた園美が、図書室で利佳と寺田先生が――みな、眠っていた。
小狼も、こらえるものの体をぐらつかせた。
「闇を呼んだんですよ この街は闇に包まれました
 …すべてのものが眠りについたんです」
本当は小狼にも眠ってもらうつもりだったが、強くなったのですねとエリオルは笑った。

「このまま夜が明ける時間になっても まだ闇が晴れなければ
 この街の人たちはずっと眠りつづけることになりますよ」
ずっとっていつまで、知世を抱きかかえながらさくらは問うた。

「…ずっと ですよ」
590マロン名無しさん:2009/07/31(金) 22:03:33 ID:uC9DgBhl
エリオルの欲しいものって何だろう?
591マロン名無しさん:2009/07/31(金) 23:11:32 ID:???
秋月はお兄ちゃんなんだし
エリオルはお父さんじゃないか?
592マロン名無しさん:2009/08/01(土) 02:11:56 ID:???
成長したさくらの魔力…を奪うって展開だと今までの流れとは乖離しちゃうな。
593マロン名無しさん:2009/08/01(土) 18:31:03 ID:???
エリオルの欲しいものは「自分(=クロウ・リード)を超える魔法使い」と予想
594マロン名無しさん:2009/08/01(土) 18:43:06 ID:???
雑魚と戦ってもつまらないから君を鍛えたんだよ的な
595第10巻発売1/1:2009/08/01(土) 21:11:36 ID:???
「カードキャプターさくら」第10巻発売。 発行日 1999年12月3日。
「なかよし」の1999年8月号〜1999年11月号までの掲載分を収録、第39話から42話までにあたる。
一枚目のカラーイラスト 制服姿のエリオル。左上に太陽のシンボル。
柱のキャラクターのプロフィール

29 クロウ・リード

  誕生日       不明
  職業         魔術師(?)
  好きな食べ物   甘いもの、酒類
  嫌いな食べ物   特になし
  好きな色      黒
  好きな花      桜
  得意な料理     料理全般
  趣味         人を驚かせる
  好きなこと     楽しいこと
  好きなもの     予測不可能なもの
  考えてること    不明

おまけのさくらカードを模したしおりの絵柄は、エリオル。背景は群青。
ラストのカラーイラスト  杖を持った帽子とマント姿のエリオル。右上に月のシンボル。
596第44話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/08/02(日) 21:13:36 ID:???
扉絵 暗闇の中に佇むさくら その周囲に浮かぶクロウカードたち

「あなたの魔法でわたしの魔法を打ち破って この闇を解くしかありませんね」
みんなを目覚めさせる方法はそれだけだとエリオルは言う。
スピネルはいきなりさくらを攻撃してきた。ケロちゃんがかばうが、衝撃で吹き飛ばされた。
そこに、ユエが現れた。ユエは意識のない桃矢を抱えていた。
魔力を失った桃矢は、他の皆と同じように眠りこんでしまったのだった。
エリオルはユエに対し、会うのは二度目だなと言った。
ユエにはあった時の記憶はなかったが、途切れている記憶があり、
その時にエリオルに会っていたのだと確信した。
「…生まれ変わるなら なぜ新しい主など決めさせたんだ!」
エリオルはどこか悲しげな表情を浮かべた。ルビーはユエに攻撃を仕掛けた。
直撃はしなかったものの、攻撃はユエをかすめていった。

ケロちゃんよりもスピネルが、ユエよりもルビーの方が上手だった。
主の差かと言うルビーに、ケロちゃんは憤った。さくらのせいやない、そう言って再びスピネルに向かっていく。
さくらは、辛うじて意識を保っているという風の小狼に、桃矢と知世を見守るよう頼んだ。

「わかんないよ! どうしてこんなことするの!?」
さくらはエリオルに向かって叫ぶが、知りたければわたしを倒すことだと返されるだけだった。
「朝が近づいていますよ このままみんな目覚めなくてもいいんですか?」
そんなわけにはいかない、でもエリオルを攻撃なんてできない……戸惑うさくらに向い、エリオルは炎を放った。
さくらは杖を取り出し『盾(シールド)』で炎を防ぎ、『水(ウオーティ―)』で鎮火させた。
「…あと二枚」
エリオルのつぶやきをユエは聞いた。

さくらは『跳(ジャンプ)』でエリオルに近づこうとするものの、攻撃により態勢を崩して落下していいた。
ケロちゃんとユエが止めに入ろうとするものの、スピネルたちに妨害される。
さくらは墜落しそうになったが――風に受け止められた。
小狼が『風華招来』によってさくらをかばったのだった。
この状態で魔力を使うということはかなりの無茶で、小狼は地に突いた剣にしがみつくことで辛うじて立てる状態だった。
「彼とみんなを助けたいのなら わたしの魔法を破りなさい」
597第44話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/08/02(日) 21:15:00 ID:???
さくらは杖を固く握り、エリオルを強く見つめた。
意を決したさくらは『風(ウィンディ)』によってエリオルを捕えようとしたが、あっけなく弾かれてしまう。
さくらは今度は『翔(フライ)』でエリオルのもとに向かおうとしたが、炎で羽根を焼かれて木の上に落ちた。
ケロちゃんとユエは、力技でスピネルとルビーを退けてさくらのもとへ向かった。
「力はわたしたちの方が上なんだけどねえ」 「主を思う心でしょう」
樹上のさくらの前には『さくらカード』たちがふわふわと浮かんでいた。
「心配してくれてるんだね……ありがとう」
駆けつけたケロちゃんとユエにも、大丈夫だとさくらは言った。
しかし、一体どうすればいいのか。エリオルを傷つけずに魔法を破るには……。
(クロウカードは全部で19枚 さくらカードになったのが17枚…)
残る二枚のカードは『光(ライト)』と『闇(ダーク)』。

 …ヒガ…デ……ミンナ…メ…ル

さくらは夢の中で聞いた言葉を思い出した。
「陽が出ればみんな目覚める!!」

『光』ならばこの闇を払えるかもしれない。
だが、ケロちゃんの第一配下である『光』をさくらカードに変えて使うには、さくらの魔力はまだ弱かった。
使おうとしても『光』は発動しない。このままではみんな眠りつづけたままになってしまう。
「『光』と『闇』はいつも一緒や 変える時も一緒の方がええ わいらが手伝えるかもしれん」
一枚ですら変えれないのに二枚同時なんて無理だ、さくらはそう言う。
しかし、ケロちゃんとユエを杖の中に取り込み、二人の力もあわせれば出来るはずだとケロちゃんたちは言う。
高みからエリオルも言う。杖に取り込んでも、闇を掃えば二人は元に戻れると。
しかし『光』を使えなければ、二人は杖の中で眠り続けると。
「だめだよ!! できなかったらもう二度とユエさんとケロちゃんに会えなくなっちゃう」
さくらはユエにしがみつき、泣きながら言う。ユエは、さくらと同じ目線にしゃがんで言った。
「けれどこのままでは ほかの誰とも会えなくなるぞ」
「だいじょうぶや さくらには無敵の呪文がある」
さくらは、覚悟を決めた。

「……絶対………だいじょうぶ…だよ」
598第44話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/08/02(日) 21:15:41 ID:???
ケロちゃんとユエを取り込むと、杖にあった星のシンボルに、新たに太陽と月のシンボルが加わった。
「お願い! 変わって!!」
さくらは『光』と『闇』のカードを変化させようと杖を掲げるが、今までにない強い力の奔流に押し流されそうになる。
それを支えたのは――小狼だった。
小狼はさくらを後ろから包むように、一緒に杖をにぎってくれた。
クロウの血を引く者として、少しは手伝えるかもしれないと息も絶え絶えに言う。

「…おまえなら……絶対だいじょうぶだ」

そうして二枚のカードは変わり行こうとしたが、小狼は途中で倒れてしまった。
このままカードが無事に変わらなかったら、小狼も二度と目覚めなくなってしまう。
(だいじょうぶ ケロちゃんとユエさんを信じて!
 カードさんたちを信じて! 自分を信じて! 絶対だいじょうぶ!)
そして――『光』と『闇』は、『クロウカード』から『さくらカード』へと変わった。

さくらが『光』を使うと、辺りを覆っていた闇は一掃されていった。
その光景を見ながら、エリオルは晴れ晴れとした顔で言った。
「これでやっと終わったよ」

目覚めた小狼に、本当にありがとうと言ってさくらは涙を浮かべながら抱きついた。
「…おれは何もしてない けっきょく最後まで手伝えなかったし…」
「小狼君がいてくれたから もっともっとがんばれたんだもん」
杖から解かれたケロちゃんとユエにも、さくらは礼を言った。
「例言うことなんかない わいらとさくらは『なかよし』なんやからな」
さくらのもとにエリオルが歩み寄って来た。まだ時間は夜だから、『闇』で辺りを暗くしないと大騒ぎになるとエリオルは言う。
急いでさくらは『闇』で周囲を暗くした。――これで、すべてのカードが正真正銘さくらのものになった。
「わたしが星の力でつくった 『さくらカード』に」

ケロちゃんはエリオルを問い詰めた。どうしてさくらに迷惑をかけるような真似をしたのかと。
「わたしも知りたい! どうしてこんなことしたの? エリオル君…!」
その時、さくらは何かに気づいた。
「あ!!」
599マロン名無しさん:2009/08/03(月) 00:29:48 ID:???
絶対だいじょうぶだよで公務員試験も突破できそうな気がしてきました


最後のあ!はなんだろう
エリオルが変身でもしたのか
600マロン名無しさん:2009/08/03(月) 00:44:18 ID:???
多分なんでもないけど引きに使えるので
大げさに驚いたんだろう。
俺は期待せずに待つ。
601マロン名無しさん:2009/08/03(月) 00:49:09 ID:???
やっとエリオルの目的が明らかになるのか
602マロン名無しさん:2009/08/03(月) 02:34:43 ID:???
すべてのカードがさくらカードのなると何か起こるのかな?
603マロン名無しさん:2009/08/03(月) 02:58:34 ID:???
カードの完全なマスターになって魔力を究めてしまうと
かつてのクロウ・リードのように超長命の身となる。
一見よさそうに見えるがそれは親しい人々と同じ時代を生きづらくなって
しまうという事でもあり、そんな孤独の苦しみを背負わせないために
カード転生が完了した時点で魔法関係から切り離そうとしてる…てのは?
604マロン名無しさん:2009/08/03(月) 06:22:33 ID:???
変人のクロウならすごい魔力持っててその副作用で長生きしてもわりと大丈夫そうだが、
さくらみたいな普通の子だったら辛い事になりそうだしなあ
605マロン名無しさん:2009/08/03(月) 13:05:24 ID:???
真の姿のケロちゃんのかっこよさは異常
ケロ×さくら展開頼むよクランプさん
606第45話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/08/03(月) 21:06:43 ID:???
扉絵 桜の花を抱くさくら

「お…お父さん!」
さくらは、仕事帰りらしき藤隆が歩いて来るのを見た。
今目覚めたばかりの皆とは違い、藤隆は何事もなかったかのように颯爽と歩いていた。
近くを歩いていたら急に空が真っ暗になり、周囲の人々が眠りにつき、
と思ったらいきなり空が明るくなり、また暗くなり――不思議なことだと藤隆は言う。
どうして藤隆だけは無事だったのか、さくらは不思議に思った。
「彼にはわたしの魔法は通じませんから」
エリオルは言う。さくらはそこで、妙な格好をした自分やエリオル、人外にしか見えないケロちゃんやユエのことに思い至った。
この人たちは? そう訊ねる藤隆に向かってエリオルは歩み寄っていった。

「久しぶりだな もう『一人の自分』に会うのは」

「お父さんがもう一人のエリオルくん!?」
そう言われても藤隆は戸惑うばかりだった。
「ふたつに分かれた時に記憶はわたしだけが継いだから」
クロウの魂はふたつに分かれて生まれ変わり――一人がエリオル、一人が藤隆となった。
エリオルはそう言う。そして、さくらに願い事を言った。
「わたしとあなたのお父さんに魔法をかけてほしいんです」
何故魔法をかけないといけないのか? それにエリオルでも魔法をかけられないというのに……
疑問だらけのさくらに、エリオルは言う。危害のある魔法ではないし、さくらにしかできないことなのだと。
「…ほんとにエリオル君の言う魔法をかけても お父さん平気なんだね」 「…はい」
やってみる、そうさくらは決意した。エリオルは嘘をついている顔ではないからと。
さくらは、エリオルが唱え始めた呪文を向かい合って復唱した。

「ふたりに別れ この世に再び生まれし そのうちの一人のみに封じられし魔の力よ
 かつてその魂がふたつに別れたように その魔力も二つに別れ それぞれの体に宿れ」

エリオルの体の中の膨大な魔力は、エリオルの体より出でて、二つに分かれてエリオルと藤隆の体内に入っていった。
藤隆は意識を失っているようだったが、魔力を得ただけであり、体におかしなことはないという。
どうしてこんなことをしたのか、さくらに問われたエリオルは、欲しいものがあったのだと答えた。
607第45話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/08/03(月) 21:08:01 ID:???
「『この世で一番強い魔術師ではない自分』です」

それが、エリオルの望んでいたものだという。
今のエリオルには、この辺りに人を近づけないようにする力はない。
このままでは人が来てしまうからと、エリオルは皆を自宅に招いた。

桃矢と藤隆はベッドに眠らせた。
エリオルは暖炉の前の椅子に座り、向かい合う形で皆も椅子に座った。
さくらが全てのカードを集め終えてから、様々な事件を起こしたのは自分だとエリオルは認めた。
その理由の一つは、さくらが杖に新しく得た力が『星の力』だったからだという。
カードを集め終えた頃、さくらはカードを使うことができなかった。
それは、さくらの持つ『星の力』と、カードの持つ『闇の力』が別種のものであるせいだった。
『最後の審判』で『風(ウィンディ)』が使えたのは、
観月の『鈴』から月の力を取り込んだ直後であったためだった。
『風』は月属性の力だからだ。クロウには、さくらがユエに対し『風』を使うことも読めていたのだった。

「しばらくは わたしがカードに残した闇の力でカードたちは活動できますが
 ずっとそのままでは力を失いクロウカードはただのカードになってしまいます
 けれどあなたの初期の魔力では対象物もなく次々にカードを変えていくのは危険です」
だから、エリオルは全ての事件を起こしたのだった。

やっぱりエリオルは優しい方だった、知世はそう言う。
「いつも優しい目でさくらちゃんや李君を見てらっしゃったから」
知世はエリオルの正体に気づけていたわけではない。だが、エリオルの優しさはわかっていた。
「…あなたは魔力をお持ちでないかわりに 優しい心と鋭い洞察力をお持ちなんですね」
ケロちゃんは、それなら最初から事情を話せばいいのにと怒るが、
事前に話されて真剣味のない戦いを行っても、それではカードを変えられなっただろうとスピネルに反論され押し黙った。

「エリオルはあなたと同じ年のまま ずっとあなたを待っていたんです」
さくらが、クロウカードをすべてさくらカードに変えられるようにするために。スピネルはさくらにそう言った。
608第45話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/08/03(月) 21:08:59 ID:???
さくらはエリオルに感謝した。
「ぜんぶわかってたんだね わたしたちのこともカードのことも」
エリオルは、すべてをわかっていたわけではないと言う。
「クロウ・リードにも予知できなかったことってなんだ? あっなん…ですか?」
訊ねる小狼に、敬語は使わなくてもいいとエリオルは言う。
そして――さくらと小狼を順に見つめた。
「内緒にしておきましょう」

「そして もうひとつの理由は……わたし自身のためです」
クロウ・リードは、あまりに強い魔力にこまっていた。
その力のために先に起こることすべてが見えてしまうのは、愉快なことではなかった。
だから、死の寸前にクロウは魂を二つに分けた。エリオルと、藤隆の二人に。
だが、魔力を分かつことはできなかった。そうするのは、クロウの魔力でも不可能だった。
クロウ・リードでも成しえなかったことができるのは、クロウを凌ぐ力の持ち主だけ。
「つまり クロウ・リードがつくったカードを全て自分の力で『さくらカード』に変えた さくらさん あなたです」
そして今、エリオルの魔力は藤隆に分けることで半減させることができた。
「わたしはやっと…『最高の魔術師』ではなくなった……」
エリオルはそう言うと、今までの迷惑を詫びた。

「カード達とケルベロスとユエを よろしくお願いします」
頭を下げるエリオルに、さくらは笑顔で「はい」と答えた。

「ほんとうにおつかれさま さくらちゃん」
そう言いながら、誰かが部屋のドアを開けた。
609マロン名無しさん:2009/08/03(月) 21:27:01 ID:???
前回と同じ引きでワロタ
今度は観月先生だろう。
610マロン名無しさん:2009/08/03(月) 21:33:06 ID:4apsXHuF
エリオルの欲しいモノが
『この世で一番強い魔術師ではない自分』
なのにビックリした
611マロン名無しさん:2009/08/03(月) 21:43:58 ID:???
というか藤隆さんったら
今のエリオルと同じぐらいの年齢の姿で生まれて
そのまま孤児として施設かどっかに引き取られてたのか
612マロン名無しさん:2009/08/03(月) 21:49:07 ID:???
それだけ強い力を持ち続けることに疲れてたってことなんだろうな。

しかしもう一人の生まれ変わりが藤隆さんってことは、クロウって割と最近まで生きてたんだな。
藤隆さんて三十代後半〜四十代前半ぐらいっぽいし。
613マロン名無しさん:2009/08/03(月) 21:50:57 ID:???
あ、>>612>>610へのレスです。
614マロン名無しさん:2009/08/04(火) 07:23:40 ID:???
「欲しい物」というと
何かを+するイメージだから
弱くするとは考えなかった。
615マロン名無しさん:2009/08/04(火) 09:04:50 ID:???
小狼がさくらに惚れることだけは読めなかったということか
あの一瞥は

魔力で惹かれる云々なら小狼がエリオルに惚れるのが一番予想できそうだ
エリオルが現れた時点ではもうさくら一筋モードになってからそういう展開は回避していたが
616マロン名無しさん:2009/08/04(火) 10:16:19 ID:???
エリオル…
お前はそれでいいかもしれんが代わりに最強になったさくらはどうするんだよ
このままじゃ確実に同じ運命歩むぞ

まあその辺りもちゃんとフォローがありそうだけど
617マロン名無しさん:2009/08/04(火) 15:51:57 ID:???
桃矢にも魔力分けてあげればいいのに
618マロン名無しさん:2009/08/04(火) 16:57:26 ID:???
>>616
最強の肩書きじゃなくて能力が問題なんだから
同じ道を歩むとは限らんさ。
たとえば「先のことが全て分かる」能力は
今のところ無い。(この先は分からんが)
61911巻1/1 ◆RDQNQFm41U :2009/08/04(火) 21:11:17 ID:???
「カードキャプターさくら」第11巻発売。 発行日 2000年2月24日。
「なかよし」の1999年12月号〜2000年2月号までの掲載分を収録、第43話から45話までにあたる。
一枚目のカラーイラスト 西洋風の外着のコートを着たクロウ。左上に太陽のシンボル。

柱のキャラクターのプロフィールは無し

帯情報
・今夏『劇場版カードキャプターさくら』新作公開決定!
・さくら祭開催中! カードキャプターさくらのキーチェーンがもらえるよ。
 帯の折り返しにあるさくらマークを二枚集めて応募しよう。
 A.さくらちゃん B.ケロ&スッピー どちらか一つ。

おまけのさくらカードを模したしおりの絵柄は、クロウ。背景は黒。

ラストのカラーイラスト  中華風の太陽と月のシンボルの書かれたコートを着たクロウ。右上に月のシンボル。
620第46話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/08/05(水) 21:13:37 ID:???
扉絵 桜の花びらが散る中に立つさくらと小狼

扉が開くと、そこには――観月が立っていた。
エリオルは席を立ち、自分が座っていた椅子を観月に譲った。
「…エリオルもご苦労さま」 「ありがとう…歌帆」
言葉を交わす二人を、知世は微笑んで見つめた。

観月はイギリス留学中にエリオルと出会っていた。
さくらが遭遇した事件の真相も知っていたが、
知らせてはさくらが力を上げるための邪魔になるだろうと隠していた。
ごめんなさい、と観月は言うが、さくらは首をふる。
本当のことを聞かされていたら自分はあれほど真剣になれなかっただろうし、
観月の手紙にはたしかに励まされたという。

ケロちゃんは、まるですべてクロウの筋書き通りのようだと不満そうだった。
だが、予想できなかったことはあったのだとエリオルは言う。
「いくら魔力が強くても 心まで予想するのは難しいようだ 特に『好き』という心はね」
皆が話す中、ユエはひとり席を立ち外へ出ていった。
知世はエリオルに聞いた。クロウよりも強い魔力を得たさくらは、未来がすべて予知できるようになってしまったのかと。
さくらや小狼たちは知世に言われてはじめてその可能性に思いいたった。
だが、そうなることはないとエリオルは言う。
さくらはクロウを越える魔力を持つからこそ、クロウでは制御できなかったこともできる。
未来を見る力も、さくら本人が望まない限り発動することはない。
それを聞いて安心したと言う知世に、やはりあなたは優しいとエリオルは誉めた。

皆が和気あいあいとしはじめる中、エリオルは外で佇むユエを迎えに行った。
「…答えはまだ聞いていない なぜ教えてくれなかったんだ 生まれ変わると」
教えればユエはクロウを探し続けるからだとエリオルは答える。
エリオルは、クロウの生まれ変わりであって、クロウそのものではない。
クロウの記憶を継いではいても、クロウが蘇ったわけではない。死んだ者が生き返ることはないのだ。
「ユエはさくらさんが嫌いなのかな」 「…きらいなわけじゃない」
それはユエにとっては「とても好き」という意味だった。
621第46話2/3:2009/08/05(水) 21:14:32 ID:???
この町に来て良かったと、エリオルは言う。クロウが創った者たちや、さくらと出会えたからだ。
「それに…予想できなかったことも起こってくれたしね」
ひとつは、雪兎の『心』だ。
雪兎は、やがて主になるさくらの事を好きになると思っていた。
そしてさくらも、雪兎のことを好きなままでいるとおもっていた。
「けれど…違ったな 『雪兎』の心はユエが一番よく知っているだろう
 『雪兎』はさくらさんの兄を一番に選んだ
 そしてさくらさんの一番が誰なのかは…もう少しでわかるよ」

翌朝、さくらはいつものように遅刻ギリギリで目覚めた。
藤隆の顔を見ても、いまだにクロウの生まれ変わりだということは信じられなかった。
家を出ていくさくらを見送った藤隆がふりむくと――そこには撫子がいた。
「ど…どうして見えるんでしょうか ぼくには桃矢くんのような力は…」
「それはこれからお話するわ でもその前に また会えてうれしいわ藤隆さん」
天使のような翼を生やした撫子は、そっと藤隆のもとに下り、藤隆の頬にキスをした。
「ぼくもですよ」
藤隆は撫子を抱きかかえた。

なんとか先生が来る前に教室についたさくら。今日はさくらよりも遅くに登校した者がいた。
それは、小狼だった。出かける前に電話がきてバタバタしたのだという。
電話をかけてきたのは――香港にいる小狼の母。その内容を小狼は語らない。
「今日はみなさんに残念なお知らせがある 柊沢エリオルくんがイギリスに戻ることになった」
ホームルームでの突然の知らせに皆は驚いた。さくらも驚き、そして残念だと思った。

放課後にエリオルは、さくらにあるお願いをした。
さくらの傍にいる誰かが、エリオルのように遠くに行ってしまうことがあったら、
一体その時にどう思うか、その感情を、エリオルと別れる時の感情と比べてほしいと言う。
「そうすれば あなたが本当に誰を『一番』だと思っているのかがわかりますから」

帰り道、さくらは自分の背後にいる小狼に気づいた。
エリオルの帰郷のことなどを語りつつ一緒に帰りながら、さくらは言った。
「東京タワーのこと終わったら教えてくれるって言ってたお話ってなぁに?」
622第46話3/3:2009/08/05(水) 21:15:33 ID:???
小狼は、学生帽を外すと、さくらを見つめた。

「おれ…おまえが……おまえが…好きだ」

なにも言い返さないさくらに、小狼は続けて言った。
「おれがいちばん好きなのは…おまえだ
 言いたかったことはそれだけだ …気をつけて帰れよ」
さくらは戸惑い続けながら、去っていく小狼の後姿を見ていた。

雪兎は桃矢と一緒に、木之本家で料理伝りをしていた。
観月の話題になり、転じて観月の知り合いであるエリオル、そしてクロウの話になった。
クロウのことを迷惑な奴だと評する桃矢に、雪兎は言う。
「でも ぼくは感謝してるよ その人がぼくのほんとうの姿をつくってくれたから
 ぼくはさくらちゃんたちや…とーやに会えたんだ」
雪兎はさくらのことを心配した。
さくらは帰って来てからずっと部屋にこもりきりなのだ。
なにかあったのだろうかと言う雪兎に「あったんだよ」と桃矢は言う。
「前から知ってる この後どうなるかも だからあのガキが気に食わなかったんだよ」

さくらは顔を真っ赤にして、布団の中にずっとくるまっていた。
身を案じるケロちゃんには平気だと言いながら、さくらはずっと小狼の言葉を反復していた。

(小狼君…わたしどう思ってるんだろう……小狼君のこと)
思いだすのは『光(ライト)』と『闇(ダーク)』のカードを変える時に、一緒に杖をにぎってくれた小狼の姿。
(好きだよ お友達だから でもそれだけ?)
『地』のカードを封印する際に、地割れの中から助けようとしてくれた小狼の姿を思い出す。
(ちがう)
巨大な穴の中で、ひつじのぬいぐるみまみれになった時、見えない蓋を必死で叩いてさくらを救おうとした小狼を思い出す。
(ちがうけど)


(この気持ちって 雪兎さんの時とは違うこの気持ちって …なんなんだろう)
623マロン名無しさん:2009/08/05(水) 21:40:25 ID:???
少女漫画になりました
624マロン名無しさん:2009/08/05(水) 22:53:00 ID:8di9HQVD
桃矢の予知能力って凄かったんだろうな
625マロン名無しさん:2009/08/05(水) 23:16:09 ID:???
さくらは未来の出来事が無制限に分かってしまう訳じゃないんだな
知世ナイスフォロー
626マロン名無しさん:2009/08/05(水) 23:18:05 ID:???
同性カップルや年の差カップルの次は人間と幽霊のカップルか
627マロン名無しさん:2009/08/06(木) 15:31:47 ID:???
撫子が木から落ちた時と体勢がかぶせてあることに気づいた
天使のような撫子は本当に天使になって帰ってきたってわけか


あれ、さくらも魔力あるから撫子見えるんじゃね
桃矢仲間外れ?
628マロン名無しさん:2009/08/06(木) 17:49:12 ID:kVnuR6KJ
今までは撫子のことさくら見えなかったよね
629マロン名無しさん:2009/08/06(木) 18:23:07 ID:???
撫子さんってお化けじゃなくて天使になってたんだー
だからさくらは恐くなかったんだね
630マロン名無しさん:2009/08/06(木) 18:26:34 ID:???
エリオル、本国に帰る前に園美さんにも魔力を分けてやるんだ
さくらにやってもらえ

撫子が死ぬまでの間の時間を一番もらったのは藤隆だとかいってたが、
死んだあとの時間まで独占されるとか園美さん可哀相過ぎるぞ
631マロン名無しさん:2009/08/06(木) 18:26:43 ID:???
少女漫画って以外とグダグダな最終回って少ないよな
みんな結果があると言うかいい感じでまとめやがる
632第47話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/08/06(木) 21:03:15 ID:???
扉絵 小鳥たちと戯れる知世

今日はエリオルと観月がイギリスへ向かう日。
空港まで見送りたいところだが、平日なので授業があって無理だった。
早朝に二人のもとを訪れたさくらは、二人に手紙を送ると約束した。
観月はさくらたちに渡すものがあるというが……その置き場所を忘れてしまった。
エリオルはクスクスと笑いながらその場所を教え、観月は恥じらい隠しに頭をかきながら、それを取りに行った。
「…観月先生もうっかりするんだ」
「歌帆はかなりおっちょこちょいですよ」
道を覚えられないため、イギリスでもよく迷子になっていたという。
やがて、観月は三つの小包を抱えて戻ってきた。
「優しい目で観月先生をごらんになっているんですね」
今までで一番優しい目をしていると知世はエリオルに言う。
「…やはりあなたは本当にすばらしい観察力をお持ちですね」

さくらと知世は観月から小包を渡された。残りの一つは小狼の分。
今朝は用事があるからと小狼だけは見送りに来られなかった。
小狼の分の包みを預かりながら、さくらは小狼のことを思い出して胸をどきりとさせた。
さくらたちはそろそろ学校に行かねばならず、エリオルらとは別れることになった。
「…忘れないでくださいね あなたのそばにいる人が遠くに行ってしまうと知った時
 その時の気持が今のぼくとの別れとどう違うか考えてみてください」
またお会いできる日を楽しみにしています、そう言ってエリオルはさくらと握手を交わした。
奈久留は手をふり、スピネルも控えめに片手を上げる。
「本当にすてきな方たちでしたわね」 「うん!」

桃矢で遊べないのがつまらないと言う奈久留と、あちらはほっとしたのではと言うスピネル。
観月はエリオルに訊いた。どうして奈久留とスピネルをつくったのかと。
「…わたしにはすでにルビーとスピネルがいる
 そうでなければケルベロスとユエはわたしの中にずっとクロウ・リードを探し続けるだろう」
もちろん、感情的にも「わたしはわたしなりに二人を気に入っている」という。
それはエリオルにとって「とても好き」ということ。
633第47話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/08/06(木) 21:05:09 ID:???
観月は、エリオルを優しい人だと形容した。
エリオルのことを知る者は皆、彼のことを変わり者だという。
優しいというのは観月だけだった。
「わたしの好きになる人はみんなそう ほんとうは誰よりも優しいのに照れ屋さんなの
 …知ってたんでしょう? わたしがあなたを好きだって」
「…ああ けれど最後がどうなるかはわたしにはもうわからないよ」
二人はそっと手を取り合った。
「わたしにもわからないわ
 でも…あなたがわたしと同じ気持ちならきっとハッピーエンドよ」

「…さくらさんもハッピーエンドをむかえられるといいんだが」
「だいじょうぶよ さくらちゃんだもの」

小狼の告白を知った知世は、返事はまだしていないのかと訊いた。もちろん、まだだった。
さくらは、小狼のことを考えるたびに胸が痛くなるのだという。
「ぜんぜん…わかんなくなっちゃうの…自分のことなのに…」
だから、どう返事をすればいいのか迷っていたのだった。
「人が一番わからないのは自分のことですわ 特に『心』は
 さくらちゃんの本当の心は さくらちゃんにしかわかりません
 だいじょうぶです 答えはもうさくらちゃんの中にあります」
知世はそう言ってさくらの肩に手をやった。
あとは、思いに気づくきっかけがあればいいのだと。


小狼は事実で、香港の母からの電話を受けていた。

「はい 香港に戻ります」
634マロン名無しさん:2009/08/06(木) 21:32:38 ID:???
チョコレートをくれた人は観月先生だったのか…さすがショタ
でもエリオルが精神的に大人なせいかあんまり違和感ないな
635マロン名無しさん:2009/08/06(木) 22:20:00 ID:???
エリオルって実年齢いくつなんだろ
前にスッピーが自分達を作ってからずっと子供の姿のままだとか言ってたよな
636マロン名無しさん:2009/08/07(金) 00:11:13 ID:???
桜の父ちゃんと同じ年かそれ以上じゃないの
637マロン名無しさん:2009/08/07(金) 10:53:44 ID:???
分割した時の様子を見るに、生まれた瞬間から10歳程度の体だったっぽいから
父ちゃんは実質的には10歳ぐらい若いことになるんだろうか
638マロン名無しさん:2009/08/07(金) 14:04:00 ID:???
おっきくなっちゃうトーヤよりずっと子供の姿のエリオルに鞍替えしたんだね
639マロン名無しさん:2009/08/07(金) 20:48:27 ID:???
いや、さくらの同級生のふりをするために敢えて成長を止めていただけらしいから
これからは成長していくんでないか
先生の趣味にあわせる可能性もあるが
640第48話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/08/07(金) 21:01:14 ID:???
扉絵 花畑でランチバスケットを広げる千春と山崎

観月がくれた包みの中には、くまのブローチが入っていた。
くまといえば――一度は雪兎に渡したテディベア。
結局、さくらのそばにいることになった。
そしてもうひとつのテディベア――小狼がさくらのもとに忘れていったもの。
そのテディベアを見ていると小狼の顔が浮かんだ。
お前が好きだ、そう言う小狼の真剣な表情が。
(小狼君…)
ケロちゃんに顔が赤いと言われて、さくらは我に返り、切らしたノートを買いに出ていった。
残されたケロちゃんは、小狼のテディベアを見た。
「最近さくら こいつ見てしょっちゅう赤くなっとるな んな赤くなるほど男前か? こいつ」
わいの方が数万倍かっこいいのに、とケロちゃんは一人で胸を張っていた。

さくらは、小狼がテディべアを置いて行った日のことを思い出した。
おれが好きなのは別のやつ、小狼は雪兎の話題の時にそう言った。
今思えば、それはさくらのことだった。
小狼君の好きな人も小狼君のことが好きだ、無神経にそう言った時のことも思い出す。
(あのとき小狼君はわたしが雪兎さんのこと好きだって知ってた なのにわたし…)

歩いていたさくらは、公園でお弁当を食べている千春と山崎に声をかけられた。
千春は「百面相」、山崎は「思い悩んだ顔」とさくらの表情のことを言う。
山崎はさくらたちのためにジュースを買いに行くといって場を離れていった。
千春はさくらの悩み事を訊ねた。山崎は気を利かせて出ていったから当分は帰らないという。
長い付き合いだから、直接山崎からそう言われなくてもなんとなくわかるのだという。
「あ…あのね 千春ちゃん 山崎君にひどいこと言っちゃったらどうする?」
千春は微笑みながら「あやまるよ」と答えた。
山崎とは長いつきあいであるし、千春は言いたいことは言ってしまう方だから、時には傷つけてしまうこともあるという。
「でもやっぱり好きだし ずっといっしょにいたいからあやまるんだ
 言っちゃった時はいろいろわかんなかったり悪気がなくても
 あとで すごく傷つけてたんだなあってわかることあるから
 そういう時はちゃんとあやまるの 『ごめんなさい』って」
641第48話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/08/07(金) 21:01:56 ID:???
山崎ならば謝れば許してくれるし、もし山崎が何かをしても、
『いいよ』と言ってあげたいと千春は言う。
「すてきだね すごく」
「さくらちゃんも あやまればきっと『いいよ』って言ってくれるよ」
さくらと千春は手を重ね合わせた。
「うん…ありがと」

「 ジ ュ ー ス っ て い う の は ね ー ー ! 」
タイミングよくそこに山崎が帰って来た。
笑いあう千春と山崎の姿に微笑みを向けながら、さくらはまた道を歩いて行った。

歩きながら、さくらは小狼に謝らなくては考えていた。
それから、告白の返事もしなければならない。
(小狼君のこと好きだよ 大好き これってお友達とは違う『好き』だと思う
 でもこの『好き』ってどんな『好き』なの…?
 知世ちゃんは答えはもうわたしの中にあるっていうけど…)
さくらはかばんのなかから、小狼宛ての観月のプレゼントを取り出した。
とにかく、これは渡さなければいけない。
でも告白の返事はどうすればいいのかわからない…

小狼のマンションの前に着くと、引っ越し業者らしき人たちと、小狼がいた。
さくらは赤面しながらも、観月のプレゼントを渡すが、後の言葉が続かない。
「あっ…あの あの! ど…どこかお引っ越しなのかな? 荷物いっぱいだね!」
そう無理をして話題をふって帰ってきた言葉は――
「おれだよ」
さくらは信じられずに聞き返した。

「帰るんだ 香港へ」
642マロン名無しさん:2009/08/08(土) 07:11:50 ID:???
千春ちゃんと山崎で傷つけたとか謝らなきゃとかいう状況が想像できん
まあ長い付き合いだと色々あるんだろうな
643第49話1/2 ◆RDQNQFm41U :2009/08/08(土) 21:02:43 ID:???
扉絵 花の中で笑いあう利佳と寺田先生

小狼は元々クロウカードを集めるためだけに来日した。
集め終った後に起きた事件も解決されたから、小狼は帰国しなければならないのだという。
クロウカードをさくらカードに変えられたのは、小狼の力もあったから、
さくらはそう言って悲しみ、顔を伏せた。
「そう思ってくれてるなら うれしいよ」
うつむいたまま、どうしても帰っちゃうのとさくらは訊いた。
「……ああ おれにもやらなくちゃいけないことがあるんだ 香港で」
日本を発つのは明日だという。
さくらが会いに来ていなければ、小狼が自分からさくらに挨拶をしに行くつもりだったという。

「日本に来てよかった おまえ…いや さくらに会えたから」

引っ越し業者の人に呼ばれて行った小狼が振り向くと、もうさくらはいなくなっていた。
さくらは一人で歩きながら、胸を痛めた。そして、別れ際にエリオルが言っていた言葉を思い出した。
(エリオル君がイギリスに帰っちゃうってわかった時はすごく残念だった
 また会えるといいなとか お手紙書こうかなとか いろんなこと考えてた)
だが、小狼の時は違った。さくらは涙を流した。
(そんなのやだ…やだ…)

泣きながら歩いていると、利佳に声をかけられた。
どこか痛いのか、そう聞きながら利佳はさくらにハンカチを渡した。
さくらは泣きやむが、それでもまだ辛そうだと利佳は心配してくれた。
利佳の今日の服もカバンもお出かけ用だった。どこかに出かけていく最中だったようだ。
「ひょっとして…お付き合いしてる人に会いに行くの?」
利佳は顔を真っ赤にした。いつもは落ち着いている利佳のその様子に、
どれだけ付き合ってる相手のことを利佳が大切に思っているのかがさくらにはうかがえた。
さくらは利佳に聞いた。付き合ってる人とはよく会えているのかと。
会えなかったら悲しくならないか、泣きそうになったりしないかと。
「好きな人と会えないの? それで泣いてたの?」
「これから…会えなくなるの…」
644第49話2/2 ◆RDQNQFm41U :2009/08/08(土) 21:03:31 ID:???
「わたしはね 会えないわけじゃないんだけど
 あんまりお話とか一緒にいたりとかはできないの」
利佳の付き合っている人はお仕事をしているし、他にもいろいろと事情があるのだという。
寂しくなったりしないのとさくらは訊ねた。
「さびしいときもあるよ でもやっぱり好きだから
 会えないっていうだけで きらいになったりできないわ」
好きな人に会えなくなったらきらいになってしまいそうなのか、
そう訊ねられ、さくらは首をふった。また少し涙が出てしまった。
利佳はさくらの手をにぎって「だったらだいじょうぶよ」と励ました。

さくらが走り去った後、木の陰で待機していた寺田先生が現れた。
「木之本だいじょうぶかなあ 泣いてるのはじめて見たよ」
「だいじょうぶ さくらちゃんなら」

急いで家に帰ってきたさくらは、裁縫箱を取り出した。
服をどこか破ってしまったのかとケロちゃんは訊く。
「違う 作るの」
「何を?」

(ちゃんとわかったよ わたしが小狼君のことどう思ってるか)
さくらは厚手の生地を取り出し、抱きしめるように生地に頬を寄せた。

(だから作るの 明日までに)
645最終話1/3 ◆RDQNQFm41U :2009/08/09(日) 21:13:01 ID:???
扉絵 花束を抱えたさくらと辺りを飛び交う小鳥たち

深夜一時をすぎ、ケロちゃんが眠気を訴え始めてもなお、さくらは懸命になにかを縫い続けていた。
ケロちゃんは手伝おうかと申し出るが、さくらは全て自分でやりたいのだと断った。
「わかった…わいは邪魔にならんように寝るわ けどなんか用があったら絶対起こすんやで
 わいができることやったらなんでもするさかい」
さくらはケロちゃんと握手した。
「……ありがと」

桃矢の部屋には雪兎が来ており、二人は一緒に勉強をしていた。
まだ起きている様子のさくらのことを二人は心配する。
桃矢は、さくらが今なにをつくっているのか、つくり終えたあとになにが起こるのかも事前に知っていた。
苛立っている様子の桃矢。雪兎は、さくらのために夜食をつくろうと部屋を出ていこうとした。
桃矢もそれについていく。ついでだと言いながら。
「ほんとうに照れ屋だね とーや」 「うるせー」

さくらの部屋に雪兎が夜食を持ってきた。桃矢は照れて、運ぶ役目を雪兎に任せて先に自室に戻った。
雪兎は、さくらがつくりかけの物を見ながら、誰かに渡す物なのかと聞いた。さくらは頷く。
「見つかったんだね さくらちゃんのいちばん好きな人」
紹介してほしいなと雪兎は言うが、遠くに行ってしまうから無理かもしれないとさくらは言う。
「でも…ずっと会えなくなるわけじゃないんだよね」
雪兎は自分の正体を知った時に、思ったことがあるのだという。
もしも事前にユエのことを、魔力が尽きればユエもろとも消えることを知らされていた自分はどうしただろうかと。
きっと、消えないですむ方法を探しただろうと言う。さくらや桃矢などの大切な人とまた会うために。
大好きな人に出会えないことは本当に辛いことだ、
だからこそ会いたいという気持ちが強ければまた会えるという。
「さくらちゃんが その人に会いたくて その人もさくらちゃんに会いたいと思ってくれれば
 また会えるよ 二人がそう思ってるあいだはきっとだいじょうぶだよ」

勇気づけられ、雪兎が去った後もさくらは作業を続け――朝にはようやくつくり終えることが出来た。
九時頃、起きてきたケロちゃんと喜び合っていると、知世から電話がかかってきた。
646最終話2/3 ◆RDQNQFm41U :2009/08/09(日) 21:23:14 ID:???
知世はコーラス部の大会に来ているのだが、激励に来た寺田先生の話によれば、
小狼は今日の十時の飛行機で帰国してしまうのだという。
もう小狼は家を出てしまった時間だ。
「…やだよ…そんなの 渡せないまま…わたしの気持ち伝えないままなんて…やだ……」
電話機を片手に座り込み、涙を浮かべるさくらに知世は言う。
「しっかりなさって! さくらちゃん!
 まにあいますわ! さくらちゃんには無敵の呪文がありますもの!」

「…絶対だいじょうぶだよ」
さくらは勇気づけられ、知世に礼を言うと、紙袋片手に部屋を飛び出した。

五分後に出発する、空港行きのバスに間に合うために、
さくらは忙しくインラインスケートを履いていた。
だが、いくら急いでもインラインスケートでは間に合いそうにない。
「…ここまで予想通りかよ わーーった バイクの後ろに乗ってけ」

(答え……聞けなかったな)
一人、バスの中で小狼が告白した日のことを思い返していると、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。
ふりむくと、バスの後方に、桃矢のバイクから降りて、こちらに駆け寄ってくるさくらの姿が見えた。
「小狼君! わたし わかったよ……自分の気持ち…!」
さくらは紙袋の中から、羽根を生やしたテディベアを取り出し、それを小狼に渡した。

「…わたしのいちばんは 小狼君だよ!」

小狼は、テディベアに『さくら』と名付けていいか聞いた。
承諾し、さくらは以前にもらったテディベアに『小狼』と名付けていいか聞き返した。
やがて――バスは走りだした。小狼は、香港でやらねばならないことを終えたら、必ず戻ってくると誓った。
「時間がかかると思う まっててくれるか?」
「うん…!」
そして、バスは走り去っていき、さくらはただ片手を振って見送った。

(まってるよ ずっと だって小狼君はわたしのいちばん好きな人だもん)
647最終話3/3 ◆RDQNQFm41U :2009/08/09(日) 21:24:07 ID:???



――桜の花が満開の季節。



遅刻してしまうとあわてながら、さくらは急いで家を出た。
面ざしが少し大人びたさくらは、ランドセルではなく学生鞄を手に持っていた。
「またお兄ちゃんに中学生になっても寝坊してるって言われちゃうー」
駆けだしたさくらは、小さなテディベアを見た。
羽根を生やしたそのテディベアを持つ人物は――

「…小狼君……?」

さくらと同じ学校の制服を着た小狼がそこにはいた。
「香港での手続きがやっと終わった
 これからずっと この友枝町にいられる」

ほんとうに、と信じられないようにさくらが訊ねると、小狼はああと言う。

「もう手紙とか電話だけで我慢しなくていいの?」
「ああ」
さくらは涙を浮かべて笑った。

「これからはずっといっしょだね!」


舞い散る桜の中で、さくらと小狼は抱き合った。
648マロン名無しさん:2009/08/09(日) 21:39:31 ID:v0r98Q12
終わっちゃったよー
さくらと小狼の今後のストーリーが見たい
649マロン名無しさん:2009/08/09(日) 21:45:07 ID:???
CLAMPとは思えないほど、これ以上ないハッピーエンドだな。
よかったー。
650マロン名無しさん:2009/08/09(日) 22:18:02 ID:???
兄ちゃんの予知能力ってすごいな。桜よりすごい。
兄ちゃんがカードキャプターになれば良かったのに
651マロン名無しさん:2009/08/09(日) 22:28:22 ID:???
綺麗に終わって良かったわー。
正直、終盤の少女漫画部分は少々退屈で惰性で読んでたがw
652マロン名無しさん:2009/08/09(日) 22:34:45 ID:???
少女を脱した者がそうでも、本来の少女たち的にはむしろ「やっとキター」な感じだったんだろうか
大人の視点から見れば微笑ましいが、リアル少女はドキドキしながら読んでいたのかなあ
653マロン名無しさん:2009/08/09(日) 22:52:40 ID:???
>>650
クロウリードよりすごいんだよな・・・
だから、クロウは兄ちゃんの力をユエに渡すように仕向けたのかな
654マロン名無しさん:2009/08/09(日) 23:30:13 ID:???
本当に桃矢の予知能力すごすぎw
さくらと小狼がこうなることがわかってたからこそ、桃矢は小狼のことを気に入ってなかったんだなあ
655マロン名無しさん:2009/08/10(月) 13:05:16 ID:???
雪兎には焼きもちやいてなかったねお兄ちゃん
656マロン名無しさん:2009/08/10(月) 20:18:24 ID:fbugQz7u
657マロン名無しさん:2009/08/10(月) 21:01:28 ID:???
カードキャプターさくら第12巻発売。
発刊日 2000年7月31日。
第46話から最終話までを収録

はじめのカラー絵 羽根の生えたテディベアを持った小学生のさくら

さくらカード風のしおり 新しい杖を持ったさくら。背景は桜色。

最後のカラー絵 羽根の生えたテディベアを持った中学生のさくら


〜〜〜以降楽屋裏〜〜〜
658マロン名無しさん:2009/08/10(月) 21:04:00 ID:???
>>1
さくらかわいいよさくら
中学さくらもかわいい
659マロン名無しさん:2009/08/10(月) 22:15:07 ID:???
>>1
おつかれさまでした。
楽しませてもらったよー
660マロン名無しさん:2009/08/11(火) 09:24:56 ID:4u6yCA54
>>1
久しぶりにCCさくら見たよ
661マロン名無しさん:2009/08/11(火) 13:33:23 ID:???
>>1
あまり書くことはできなかったけど、いつも楽しく読ませていただきました
662マロン名無しさん:2009/08/19(水) 17:07:01 ID:???
連載乙でしたー
色々とぶっ飛んだカップル達の話題になる事が多かった気がするけど
最後は紆余曲折を経て両想いになったヒロインと男の子が成長して再開…という王道の大団円なんだよな
663マロン名無しさん:2009/08/29(土) 09:42:10 ID:???
最近CCさくら見ようと思うんですけどアニメ版と原作コミック版で違いありますか?
664マロン名無しさん:2009/08/29(土) 10:30:55 ID:???
かなり違うんじゃないかなー
665マロン名無しさん:2009/08/29(土) 11:58:54 ID:???
原作のほうがやわらかいタッチだからお勧め
あの線はアニメじゃ出せん
666名無しさん@そうだ選挙に行こう
>>665なるほど、教えてくださりありがとうございました。