テンプレ決めておけばよかったな。
なにか追加あれば頼む。
>>1乙
とりあえず
キャラが死んでも、泣かない、暴れない、騒がない
乙です
もういっちょ
予約はしたらば「予約スレ」にてお待ちしてます
支援
風が吹く。
高く昇った太陽の白い光が木漏れ日として降り注ぎ、常緑樹の大判な葉は鮮やかに輝いている。
島の周りに広がる大洋から届く潮の香りは通常、島を訪れる者に清爽さと神秘的な懐かしさを与えるが、
南郷はへばり付くような不快さを感じていた。
ぬぐってもぬぐっても汗はにじみ出てくる一方で、心の芯は歩を進めるたびに冷えていくようだった。
彼の足の向いている先にはひとつの屍体が転がっていた。
南郷は元々ギャンブルへの参加に合意してこの会場へ来たわけではない。
ある金曜日の終業後、彼がいつものように行きつけの居酒屋でちびちびと杯を傾けていると、
突然場にそぐわない黒服の男に声をかけられた。
男曰く、現在彼らの組に一時的に身を寄せているアカギから
南郷を呼び出すように依頼されたということらしい。
『アカギが俺を……?なんでまた…』
『はい、何やら頼みたいことがあると聞きましたが、詳細は本人から…ということですので』
南郷は当然訝しく感じ断ったが、黒服はそれでは面子が立たないと食い下がって退かなかった。
二人は何度か問答を繰り返した後、それ以上堅気には見えない黒服に居座られて
飲み仲間や店員に怪しまれることを危ぶんだ南郷が渋々了承し、今に至る。
支援!
9 :
マロン名無しさん:2008/07/22(火) 20:38:24 ID:YIC+v6d/
支援
南郷は、ホテルの外に放たれてからひとしきり支給品や首輪を調べた後、
物陰に腰を据えて様々な考えを巡らせていた。
しかし、彼方で響く銃声を聞いてからはいてもたってもいられなくなり、
殺し合わなくていい人物を捜してあてどなく歩きまわった末に、ひとつの死体を見付ける。
(一時間も経っていないのに……)
南郷からあと数メートルほどの場所に倒れている屍の口角にはあぶくが溢れ、
手は苦しみもがいたときのままであろう格好で喉元に添えられている。
川口の死の瞬間を目の当たりにしたときは腰を抜かしてしまった南郷だが、
再び死んだ人間を前にした今、奇妙な現実感のなさに包まれたふわふわした心地のまま、
吸い寄せられるように川松良平の死体に近づいていった。
(クソッ…!死にたくないっ……!!どうすりゃいいんだ…!)
死ぬ。遊びではなく、本当に。
目前に横たわる「死」に絶望感を覚えて頭を抱える。
銃を持っている人間もいる中で、手元にあるのはせめてもの足しにと拾った太い木の棒、
麻縄、それから袋に入った一箱分ほどのパチンコ玉だけ。
ここで諦めてしまえたらどんなに楽だろう。
死ねば絶望も、恐怖も、苦しみも感じなくなるのだから。
頭に添えた腕の間からぼんやりと視線を死体に向ける。
川松の頬には、うっすらと涙の跡が這っていた。
「…死にたくなかったよな…あんたも……」
死んだこの男がどのような志を持っていたかはわからない。
だが、少なくとももう何かを願うことや叶えることは永久にできないのだ。
俺はまだ生きている。
だったら、せめて諦めずに願おう。生き延びることをーーー
南郷は立ち上がって傍らに転がる帽子を拾い上げると、
そっと川松の見開いた目を閉じ、帽子を顔に被せてやった。
支援
支援
「恐いよ…死にたくないよう……」
その少し前、ホテルの北側出口から出た三好は、ひたすら周囲を見回しながら彷徨っていた。
手には、彼に支給された小型のサブマシンガンーーイングラムM11が抱えられている。
普段ならば底抜けの明るさをもつ三好であるが、首輪を爆破された川口の近くにいた彼は
顔面に鮮血を浴び、現在はすっかり恐怖の虜となっていた。
少しの物音にも耐えられず、擦り切れそうな悲鳴をあげてしまう。
「ううう………カイジさん……」
三好はギャンブルの説明や川口の死に動転していた中で、伊藤開司の名前を聞いた。
川口を挟んで隣にいたのに、それまで気づかなかったことが悔やまれる。
「そうだよ…カイジさんに会えれば……!きっとなんとかなるはず…!」
あの地下でのチンチロ勝負。逆境をものともせずに這い上がり希望を掴む圧倒的な力。
彼の力があれば、ギャンブルで金を稼ぎ脱出権を獲得できるかも知れない。
三好はカイジの顔を思い浮かべると、わずかな光明を見出した気がした。
彼はどこにいるのだろう。早く会わなくては。万が一彼が死んでしまっては何にもならない。
逸る気持ちを抑えられず、思わず足が速くなる。
目の前の傾斜を上った三好が見たものは、もちろん求めていたカイジの姿などではなく、
横たわる血の気のない男と棍棒を持った男だった。
ホテルを出てから初めて遭遇する死体。
「ひっ、ひっ、ひとっ…!?」
人殺しかもしれない。死体のそばで武器を持っているのだから。
そう思ってほとんど無駄な問いかけをしようとするが、それすら言葉にならない。
いや、無駄とはいえここでその質問ができていたなら、相手に弁解の機会もあったかもしれないのだが。
「ひっ……!待っ……!」
顔に血飛沫を貼り付かせイングラムを構えた三好を目にして、南郷も思わず木の棒を構える。
南郷が手にしているのは、冷静になれば人を殴り殺せるような代物ではないことがわかるが、
恐怖心という魔物に取り憑かれている彼、三好にはそれが理解できない。
武器を向けられていよいよ固まりゆく猜疑心。
支援
支援
死体。死体。死体。人殺し。人殺し。殺される…!!
「うわああああああああああ!!!」
三好は撃った。とにかく、ほとんど狙いもなしに撃ち続けた。
元々イングラムM11は狙いを付けても命中率が低く扱いづらい武器であることに加えて、
二人の間にはある程度の距離があったため、三好の銃弾は南郷に当たることはないと思われた。
しかし、運のないことに、現実には南郷の左大腿部にやや外し気味に当たって南郷は倒れ込んでしまう。
貫通した弾本体は後ろに転がる川松良平の身体に当たり、物言わぬ彼の身体がわずかに跳ね上がった。
反動でよろめきつつも弾倉一つ分の弾を撃ち終えると、三好は嗚咽をあげながら元来た方向へ走り去っていった。
三好にも南郷にもとてつもなく長く感じられた時間であったが、
実際に銃弾が飛んでいたのははわずか3秒ほどの間の出来事である。
「どうしよう……殺した…!殺しちゃった……!オレは……人殺し……!
人殺しを…カイジさんはきっと助けてくれない…!もうオレは…救われない……!!」
今まで下の瞼に溜まるだけだった涙が、いつの間にか流れ出していた。
言うまでもなく、三好やいるか分からぬ目撃者が告げなければ伊藤開司がこの出来事を知ることはないのだが、
限りなくネガティブな思考に陥った三好は、内なる自己糾弾の声にカイジの声を重ねて聞いてしまう。
『人殺し…!人殺し…!人殺し…!』
やっと念願の地上に出ることができたのに、積もっていくのは後悔と絶望だけ。
一体どうしてこんなことになってしまったのだろう。
出口のない自問自答だけが心中で渦巻く。
三好はいつの間にか走ることを止め、とぼとぼとただ足を交互に動かしているだけになった。
支援
「カイジさん……許して…許して…あいつは人殺しだった…んだ……」
瞬間、自らの発した言葉に閃きを感じ、はっと顔をあげる。
「……そうだ。あいつは…人殺しで、結局オレやカイジさんの敵だったんだから…
話せば……わかってくれるかも……?」
カイジと三好は、地下賭博を通して、一度はお互いに信頼し合った仲である。
そんな「仲間」を、彼が弁明も聞かずに切り捨てることはありえないはず。
やはり己を理解し救ってくれるのは伊藤開司、彼しかいない。三好はそう確信する。
「そう…ふふっ…カイジさんはきっと許してくれる…だって仲間だから……!
カイジさん…。カイジさん…。カイジさん…。」
うわ言のように伊藤開司の名前を呼びながら、幾度も足をもつれさせながら、三好は歩き続けた。
しばらく流れ続けていた涙は頬にこびり付いた山口の血液を溶かし、
それをぬぐった三好の腕を朱く染めていた。
【D-5/森/真昼】
【三好智広】
[状態]:精神消耗
[道具]:イングラムM11 30発弾倉×5 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:カイジに会う 生還する
【南郷】
[状態]:左大腿部を負傷、低度の精神疲労
[道具]:麻縄 木の棒 一箱分相当のパチンコ玉(袋入り) 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:生還する 三好を敵と認識
以上です。支援ありがとうございました。
ちょwwww山口が所々川口に\(^o^)/
すみません…修正お願いします。
三好こええええええええええええええ!!!!!!!!
うわあああああ南郷さーーーーーーーん!!!!!!!
叫んだらスッキリっ…!投下乙!どきどきだったぜ!
乙でした
南郷さんが死んだかと…!これはいい誤解フラグ
微妙に三好が発狂する可能性有りか?
乙!
マンゴーさん装備貧弱すぎワロタw
乙です!
三好発狂フラグきたね。
南郷さんも三好もうっかり者だなw
原作の七原思い出してワクワクしてきたぞ!
背筋がぞぞぞっとした…。もともと狂人ならいいがふとした瞬間で
一般人な三好が狂う様がすげー怖い…ナイスぞぞぞっ…!
乙です!
おもしれぇ…いい狂いっぷりだ…
>>23 こーいつぅ☆と続くような軽快さに吹いたwwwww
wiki編集してくださる方、重ね重ねすみません
トリップを間違えていたのですが「侠」の投稿者も自分ですので、
このトリにしておいて下さると助かります。
もうほんとお手数ばかりおかけして申し訳ない…あー恥ずかしいいい
↑のトリ確認用です。
乙!
三好怖いなw面白かったですw
投下します。
――安岡は、ただ生き延びたかった。
高額な優勝賞金に釣られて参加した彼だが、優勝を目指す気にはなれなかった。
確かに彼に取って十億という優勝賞金はこの上なく魅力的ではある。
しかし、命を賭けることは本意では無い。
この先また、もっと安全に金を稼ぐチャンスは巡ってくるだろう。
目先の金より、今は生きて帰ることが最優先である。
――最大でも九人殺せば帰れるのだ。
優勝は必要ない。
一億集めて、とっとと棄権するのが一番手っ取り早い方法である。
当然難しい話ではあるが、支給品次第では比較的容易にできるかもしれない。
可能性はある。
そうした期待をもって、安岡はバッグを開けた。
(遊びじゃねえんだぞ……こっちは………)
入っていたものは鉄バットが一本、そしてボールが一球にグローブが一つ。
いくら探しても、他に武器になるものはない。
この野球道具だけだ。
(ノックでもしてろっていうのか………奴らは……)
悪ふざけにもほどがある。
一応鉄バットで殴打すれば致命傷も与えられるだろう。
だが、鉄バットはそれなりに重く、振り回すとモーションが大きい。
扱いにくく、反撃される隙も生まれやすい。
当たりか外れかでいえば、無論外れよりの支給品である。
33 :
生きるために 2/4:2008/07/22(火) 23:19:43 ID:YIC+v6d/
(チッ……まあ武器にならないわけじゃないんだ………これでひとまず何とかするしか無い………)
幸いにも、ちょうど一人の少年の姿を確認できた。
こちらに気づいた様子はない。
奇襲なら比較的安全に、且つ確実に殺せるだろう。
未来ある若者をこの手で殺すことに抵抗が無いわけでは無いが、自分の命のためである。
安岡は決心を固めると、静かに少年のもとへと向かった。
* * *
涯は倒れている男を呆然と見下ろした。
まだ息はある――死んではいないようだ。
(……殺されるところだった)
危ういところであった。
気付くのが一瞬遅れていたら、今頃涯はあの世に行っていたかもしれない。
そう、一瞬の出来事である。
空気の流れがわずかに変わる。
(誰かいる……後ろにっ!)
慌てて振り向くと、そこには鉄バットを構えた一人の男が立っていた。
男は僅かに狼狽したが、そのままバットを振り下ろす。
当たればただでは済まない。
――だが、狼狽の隙に反射的に繰り出した涯の拳が僅かに速く決まった。
たまらず、後ろに倒れる男。
その時男の手からバットがこぼれ落ちた。
(あっ……!)
落ちたバットは、回転しながら男の額に直撃する。
流れ出る血液。
男は呻き声をあげ、やがて気を失った。
涯は呼吸を整える。
(油断していたっ………何故………もっと早く気付かなかった………)
この地では僅かな油断が命取り。
生きるためには少したりとも気を切らしてはならない。
(何をやっているんだ………オレは…………)
涯は反省し、生きるための覚悟を決めた。
(まあ……結果的に死ななかったんだ………今はそれでいい……引きずると逆に死を招く……
それよりどうする……この状況………)
生きるためである。
人を殺すのも躊躇わないつもりであった。
しかしこの状況――なにせ相手は気絶しているのである。
殺さずとも武器も金も持っていけるのだ。
(どうするっ………)
涯はしばらく悩んだあと、男の顔を見た。
目を覚ます気配はない。
その顔を見ると殺す労力も無駄に思えた。
殺す必要はない、と結論付けると涯は男の武器を剥ぎ取る。
――その瞬間、男の指がピクリと動いた。
支援
涯はハッとした。
何故、「殺さない」なのか。
(バカかっ……オレはっ………!こいつを殺さない…………それに何の意味があるっ……!
偽善だっ……そんなの………どっちみち死ぬっ………この傷だ……出血多量で………
万が一助かっても死ぬ……ここでは弱者は助からねえんだから………
怪我をしていて武器もなければ……間違いなく死っ……!)
本当に殺すつもりがないのならこの男を助けるべきであろう。
ここで放っておくのであれば、見殺しである。
直接殺すのとなんら変わらない。
それならば中途半端な行動は避けるべきであった。
奇跡的に助かれば、もう一度鉢合せ、そして今度は殺される可能性も僅かながらある。
この男はここで殺しておかねばならない。
(生きるために………殺すっ…………!)
涯はフォーク――彼の唯一の支給品――を振りあげた。
(死ねっ……!)
涯は男の支給品を探る。
バットの他には、グローブと野球ボールが入っていた。
(なかなかだな……)
グローブは、腹に仕込めば小さなナイフで刺されたくらいでは傷もつかないはずだ。
野球ボールは投擲に使える。
バットもこちらからの攻撃用としてはともかく、護身としては上等な武器だ。
涯は、男には目を向けず、生きるために歩きだした。
【C-5/平地/真昼】
【工藤涯】
[状態]:健康
[道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ 野球ボール 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:生還する
【安岡 死亡】
【残り 41人】
以上です。
明日から用事なので急いで投下しましたが、推敲不足かも……
読み辛かったらスマン。
同じもの見て違うことを考える、いいよいいよー面白かった!投下乙!
>>38 投下乙!
まさか涯が殺っちまうとは…!
てか安岡一応警官だろ…
涯がマーダー化するのか見ものだな
おつー!
涯の冴えた視点がいいなぁ
黒いのに福本キャラの側面も失われてない
投下乙です!
自分も二人の視点の違いが面白いと思った。
生き残るかどうかっていうのはこういう点でも違うんだなーと感心
このスレ読んでると俺は死ぬ側だと痛感するw
乙!
涯マーダー化か
強いし覚悟も決めてるし
それにしてもX7氏すげーな
一人じゃ無理w黒沢か沢田に助けてもらうしかねぇよなw
乙!
とどめを刺した所に涯の決心が見え隠れしてるね
涯決心したようだけど情に流されちゃうから今後どうなるか・・・
真昼から全然進まないけど…
こんなもんなの?パロロワって
こんなもんです
最初から無理に全員出さなくても良いと思うぞ
生きるために保守っ…!
皆、今週の零を見ろ。
このロワに間違いなく影響を与える、かなり凄い展開がきたぞ
またの名を打ち切りフラグという
利根川、平山投下します
(勝つっ……必ず!!)
地位も名誉も金も、そして誇りさえも。
利根川幸雄はその日、己が生涯を賭して築き上げてきた全てを失った。
唯一彼に与えられたのは、敗北者の象徴たる忌まわしき焼印。
額、両膝、両手。
全てに消える事無く残り続け、今もなお疼いている。
『利根川、機会が欲しいとは思わないか?』
『機会だと……? どういう意味だ、黒崎』
『会長は今、あるちょっとしたギャンブルを開催しようとお考えになっている。
その参加者を集めるよう、仰せがあったのだが……ここで成果を挙げられたならば、復活も夢ではあるまい。
仮に帝愛での復活は無理だとしても、観客からお前を買いたいと申し出る者は間違いなく出る。
どうだ、起死回生のチャンスを欲しくは無いか?』
グループ内での発言力を失い地位もどん底に落ちた利根川に転機が訪れたのは、ホンの数日前。
ゲームで一定以上の成果が挙げられたならば、元の地位に戻す事も考えるという黒崎直々の甘い誘いだった。
今の利根川は、彼等からすれば使い捨ての駒としては最適の存在。
ゲームを盛り上げる道化役がこれ程似合う者も他にはいまい。
利根川は自身がそう認識されている事は承知していた、その上で自らの力を誇示する為に参加を決意した。
されどこのゲームには常に、死と隣り合わせの危機が付きまとう。
死んでは元も子もない、取り止めた方が無難。
普通はそう思うだろう……事実、失脚前の利根川は間違いなくそうしただろう……が……っ!
支援
(今のオレには……積み上げてきたものも何もないのだっ……!)
それは利根川にとって逃げ道……安全策などという優しいものに非ずっ……!
彼は散々、若者達に説いてきた。
実力も社会的地位も持たぬ者がチャンスを掴むには、命を賭けるしかないと……!
そして今の利根川は、彼らと同じ……持たざる者っ……!
命以外に賭けるもの無しっ……!!
(ここで命知らずにならなければ、あの凡夫どもと何も変わらんっ……!
オレはあんなゴミどもとは違うっ……!!)
命を惜しみ、二度と巡って来はしない機会を蔑ろにした凡夫達は山ほど見てきた。
自分は彼等とは違う、機会を逃しなどしない。
そう、命を賭けるだけの価値がこのゲームにはあるっ……!!
ここで勝ち上がること、それ即ち己が実力の証明。
常に死と隣り合わせの状況は、言い換えれば常に大詰めの状態。
大詰めで弱い人間は信用できないといった兵頭和尊の言葉を、根底から覆せる……!
これは、二度と巡ってこないと思われていた再評価の機会。
全てを取り戻す最大にして最後のチャンス、起死回生の大勝負っ……!
(だが……ただ優勝するのでは駄目だ。
それだけでは、全てまでは取り戻せん)
しかしこの大勝負、単に優勝を目指すだけでは駄目。
それでは真の意味での勝利を得る事は不可能……
その為には、三つの関門を越えなくてはならない。
そして全ての関門に共通する事項は一つ―――帝愛への忠誠心を示すこと。
支援
支援
(まず第一に優先すべきは、兵藤和也様……会長の御子息の救出だ)
一つ目の関門は、兵藤和也をこのゲームより脱出させること。
彼は帝愛グループ会長―――兵藤和尊の一人息子であり、次期帝愛総帥の座に最も近き男。
直接の面識は無い、しかしその実力の程は聞き及んでいる。
父親譲りの才と性格、恐らくはあのカイジにすらも匹敵すると。
(だが……何故、参加しておられるのだ?)
唯一気にかかるのは、何故主催者は和也をこのゲームに参加させたのか。
このゲームの主催には、言うまでも無く帝愛が絡んでいる。
失脚扱いの自分や一条、部下の遠藤は分かる。
だが、明らかに彼の参加は異質……主催者の息子が殺し合いに参加させられるなど、奇異極まりない。
参加者の選出に何かしらのエラーがあったのか?
まさか兵藤和尊が、それとも兵頭和也自身が参加を望んだというのか?
(その真意は、どうにか確かめねばならんな。
まあいずれにせよ、一億を用意し和也様と会う事……それは必須事項だ)
他者に金を譲渡してはいけないというルールは無い。
ならば利根川が一億を用意すれば、和也の最低限の安全は確保できる。
もしくは、最後の二人となった時に自分が一億で辞退し、和也を優勝させる。
考えられる方法はこの二つ、和也を死なせての優勝、自身の中途半端な離脱など論外中の論外。
帝愛への忠誠を誓うにおいて、これは絶対に守らなければならぬ一線。
逆に言えば、彼を生かせさえすれば後は優勝以外どうでもいい。
いや、他に生かしておくべき存在など一人もいない。
そしてその中でも、特に抹殺すべき人物は二人。
(遠藤、貴様はこの手で処分する。
最早貴様は、帝愛に刃を向けた裏切り者でしかない!)
二つ目の関門、部下遠藤の抹殺。
利根川にとって彼は最早、部下にあらず。
既に利根川の耳にも、かの沼での情報は入っている。
あろうことか遠藤はあのカイジと手を組み、帝愛に損失を与えた。
被害総額は六億、加えて最高責任者の一条も地獄へと落とされた。
これだけの真似をした裏切り者を、生かしておく道理などない。
ましてや遠藤は己が部下だった男、責任はいずれ自分が被る事になる。
尚更この手で始末をつけねばならない。
始末自体は簡単にできる。
支給品の拳銃、その銃口を向けて引き金を引くだけ。
殺せばいいだけ、だから至極簡単。
これは参加者全員にも当てはまる……が……!!
例外が一人居る……簡単に殺せないのが一人だけいる……!!
それこそが三つ目の関門、忌まわしき宿敵……!!
伊藤開司……!!
(カイジっ……奴だけはっ!
単に殺すだけでは駄目だ……勝たなければっ!!
勝って殺さなければ、オレは何も取り戻せんっ!!)
カイジだけは、簡単に殺してはならない。
刺殺、撲殺、銃殺、毒殺、全部駄目。
彼を殺していいものは唯一、生き死にの博打、即ちギャンブルのみ。
そう、ギャンブルでカイジを上回りその結果で彼は殺さなければならない。
さもなくば、カイジによって刻み込まれた敗北の烙印は消えない。
カイジよりも下という立場にい続けなければならない、その評価は覆らない。
支援
敗北を塗り替えられるのは唯一勝利のみっ……!
勝たねば未来永劫、微塵に打ち砕かれたプライドは修復できないのだっ……!!
(カイジ……貴様にはオレと同じっ!
いや!! それ以上の屈辱と絶望を与えてやる!!
そして死ね、オレに殺されろっ!!)
利根川の中で交錯する……!
圧倒的憤怒……圧倒的憎悪っ……!!
* * *
「殺し合いだなんて、そんな……聞いてねぇよ……」
平山幸雄は絶望していた。
彼はこのゲームを、単なる名誉挽回のチャンスとしか捉えていなかった。
浦部に敗北し安岡と手を切られて以来、その評判は地に落ちた。
代打ちとして再起不能ではないかとまで自身で感じていた中、彼は声をかけられた。
日本で指折りの大グループ主催のギャンブル、その参加者として選ばれた。
これはつまり、少なからず自分は評価を受けているということ……!
更にこのゲームで優勝を果せば、再起も夢ではないということ……!
まさに救いの手、起死回生の奇跡っ……!!
……がっ……!!
それは希望的観測……そうであって欲しいという願望に過ぎなかったっ……!
現実は、死と隣り合わせの鉄火場……無情にして非情っ……!!
知っていれば、こんな勝負は受けなかった……命があってこその人生ではないかっ……!!
賞金も再起の機会もいらない……ただ、ただ生きて帰りたい……それだけっ……!!
支援
「……落ち着け。
何もまだ、死んだって決まった訳じゃねぇんだ……」
生きる為の希望は残されている。
優勝などせずとも、金……一億があればいいっ……!!
どうにかして一億集められれば、生還が出来るのだっ……!!
(だが、それを俺一人でするのは無茶だ。
同じ様な目的を持ってる奴は絶対にいる……そいつと協力する……それが最善だっ……!!)
現状考えうる最善の策は、同じく脱出を目指す者との合流。
たった一人で一億を集めるのは、不可能でこそないが為しえる可能性は低い。
最も安全な方法は、徒党を組む事……それも、それなりに実力がある人物が必要。
だが……名簿を見る限り、自身と手を組む可能性のある者の存在は皆無っ……!!
(安岡は俺を見限った……当然、組めるわけが無い。
アカギも同じだ、偽者を語った俺と協力するなんて虫が良すぎる……ありえない……
浦部は論外だ……あいつとだけは、こちらから願い下げだっ……!!)
こうなれば、残された手段は必然的に一つ。
会場内で見知らぬ参加者とコンタクトを取り、協力者となってもらう他に無い。
ここで注意せねばならぬのは、その相手が殺し合いに乗った人物か否か、その見極め。
判断材料はずばり、携帯している武器の有無。
殺し合いに乗っているかいないかに関わらず、武器を持っていない相手ならば接触しても一先ずは安全。
(っと……早速、誰かいるな)
平山は目の前に人影を確認してすぐさま物陰へ移動。
じっくりと相手を観察し、その様子を探る。
見た目は四十代半ばから五十代前半という所、スーツ姿で持ち物はデイバックのみ。
その手に武器の類は皆無、素手での取っ組み合いになったとしても若い自分が圧倒的有利っ……!
ならばいける……いけっ……!!
「おい、そこのあんた!!」
物陰から飛び出し、迷うことなく声をかける。
相手は当然それに気付き、彼へと振り返る。
いきなり襲い掛かられるという事は無い、全てが平山にとって上手くいっていた。
しかし、すぐに平山は己が行いを後悔させられる……見誤った事をっ……!
「うっ……!?」
平山の視界に飛び込んできたのは、声をかけた相手―――利根川の額。
見るからに痛々しい、火傷の跡……一時とは言え、裏に足を突っ込んだ身だから分かる。
日常ではありえないっ……! 血生臭い世界に身を置いている人間、ヤクザや犯罪者達が受ける傷っ……!!
この男は、修羅場を潜っている……ゲームに乗っていても不思議は無い人種っ……!!
もう少しじっくりと監察すべきだったか……!!
「……私がどうかしたか?」
「あっ……いや。
つい、他の参加者を見つけたもんでな……」
自分から声をかけた以上、逃げる事は出来ない。
仕方なく、平山は利根川へと応じる。
まだ、彼が完全にゲームに乗っていると決まっているわけではない。
仮にそうだとしても、見たところ武器を持っていない。
ここは自然に振舞い、相手の出方を伺うべき。
「自己紹介がまだだったな、俺は平山幸雄だ」
「ほう、平山幸雄か……面白い偶然だな」
「ん……あんた、俺を知っているのか?」
「いや、そういう意味ではない。
私は利根川幸雄、君と同じ名前なんだよ」
利根川の何気ない一言に、平山も少々驚いた。
初めての遭遇者は同じ名前の持ち主、確かに面白い偶然である。
しかしこれは、ファーストコンタクトとしては幸運。
相手に親近感を抱かせるには十分な切欠。
そして更なる幸運として、利根川には襲い掛かってくるような様子が無い。
デイパックに手を伸ばそうとはしていない、武器を手に取ろうとはしていない。
つまり、ゲームに乗っている人物ではないっ……!
そう察せた途端、平山は助かったと言わんがばかりの溜息をつく。
強張った表情が綻び、僅かながら微笑を浮かべる。
「それで平山君、君は殺し合いには乗っているのか?」
「いや、俺は乗ってはいない……一億集めての脱出が第一だ。
金品は流石にギャンブルで賭けるが、命まで使う気はないな」
相手に殺し合いの意思が無いのであれば、こちらも素直に応じるのが一番。
一億を集めての脱出が第一であるというその考えを、利根川へと告げる。
利根川も当然それに答えてくれると信じて……それが当然。
「そうか……ならば目的は同じだな。
私も一億を集めてこのゲームから脱出したいと思っている。
利害は一致しているのだし、ここは協力といかないか?
同じ幸雄同士、こうして出会えたのも何かの縁だ」
支援
利根川は左手を差し出して握手を求める。
平山にとって、またしても幸運っ……!
味方を、それも中々頼りになりそうな人物を得られた……脱出への第一歩に踏み出せたっ……!!
迷う事無く、平山は手を差し出す。
(全てが上手くいっている、いけるぞ!!
これなら脱出なんて簡単に……)
パァン
「え……?」
直後、平山の肩を衝撃が貫く。
僅かに遅れてやってくる、痛みと焦熱感。
目を見開いたまま、その根源へと手を伸ばせば……赤い液体。
ドロリと手を濡らす、生々しい感触……血っ……!
「う、うわああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ようやく平山、状況を理解。
途端に、怒涛の勢いで思考が溢れ出す……!
(銃創っ……!
俺が撃たれたっ……!?
一体誰がやったっ……! どうして俺がっ……!?)
平山の中で交錯する……!
溢れ出た思考は、整理できず……!
混乱……! 慌てふためく以外に何も出来ずっ…!!
「ククク……」
「え……?」
そんな平山を尻目に、低い笑い声を出す利根川。
そう、彼は平山を嘲笑っていた。
冷静になれば分かる事……周囲に人影は無し。
ならば誰が彼を撃ったのか……一人しかいないではないか。
真正面に立つ、他ならぬこの男……利根川しかっ……!!
「と……利根川さん……?
一体どういう……あっ……!」
しかし利根川は無手、銃器の類は持っていない。
そう思っていた筈だった……がっ……!
平山は気付く……今、利根川の手に握られているのは紛れも無い銃……!
掌サイズに収まる、小さな護身用の銃……デリンジャーっ……!!
「何も持っていない相手だから安全……素手ならば、若さで勝る自分が有利。
大方そう考えて私と接触したのだろう……その考えはそれほど間違っていない……ほぼ正しい……!
いや……ひょっとすると殺し合いにおいては、定石のような考えなのかもしれぬ」
利根川に支給された拳銃、それはデリンジャー。
彼はそれを、何かあったときにすぐ取り出せ、かつ相手にはその存在を知られない位置に潜ませていた。
無手だから安全という相手の、完全に裏を取れる位置……服の袖口にっ……!!
後は友好的に、のこのこ近づいてくる相手を待つだけ。
そして平山は最高のカモだった。
少し安全を装えば油断し、溜息をついて笑みを零すという体たらく。
標的として、この上ない存在……!
「しかし残念ながら、その定石という地点が……最も浅はかなのだ……このゲームではっ……!!」
撃鉄を起こし、銃口を平山に向ける。
肩では残念ながら致命傷にはならない。
利根川は狙いを平山の頭部へ……確実なトドメを刺すべくっ……!
「ま……ま、待ってくれ!
頼む、頼むから……殺さないでくれ!!
あんたの言う事を聞く、何だってする……だからっ……!!」
平山は涙を流し訴える。
死にたくない……助かりたいっ……!
土下座でも何でもするっ……!!
願いを込めて、心から訴るっ……!!
が……それは墓穴……!
最も取ってはならぬ選択っ……!!
「ほう……何でもか」
「え……?」
「死にたくないから何でもする……そう言ったな、今……!」
「あっ……!!」
支援
この時……平山に圧倒的後悔っ……!
助かりたい一心で、最も危険な言葉を口にしてしまった……!
これは下手をすれば、殺されるよりも惨い展開……全てが完全に裏目っ……!
しかし今更、その言葉を引っ込める事など出来ず……従う他、道は無しっ……!!
そしてこの展開、利根川にとってはまさに理想。
一撃で殺さず敢えて肩を打ち抜いたのも、全てはこの一言を引き出す為の布石……!
願っても無い最高のスタートっ……!!
「何、怖がる事は無い。
最初に言ったとおりに協力してもらうだけだ……ただし、手駒として……!」
依然銃口を向けたまま、利根川はデイパックからあるものを取り出す。
それは彼にとって馴染み深きもの……処刑道具。
Eカードの針具、耳用っ……!!
利根川はゆっくりと平山へ接近、それを装着させる。
しかし、本来用いる部位とは別の……首にっ……!!
「こ、これは……?」
「この器具はリモコン操作で針を伸ばせるようになっている。
本来は耳に装着して鼓膜を破壊する器具だが、胸に着け心臓を狙うという応用もありだ。
そして君の場合は、こうして首輪越しに首につけさせてもらった……意味は分かるな?」
平山の顔から血の気が引いた。
つまり、利根川がリモコンで操作を行えば針は伸びる……この首輪目掛けてっ……!
そんな事をすれば、針は首輪を突き抜け……爆発は必死っ……!!
死ぬっ……利根川の指一つで……殺されるっ……!!
「外そうとしても無駄だ。
それは特殊な器具がなければ取り外しは出来ない。
力ずくで外そうものなら、このリモコンのアラームが鳴る……その時、私は躊躇なく押すつもりだ。
リモコンの起爆ボタンをな……!」
「き、きばっ……!?」
支援
「そうなれば君は確実に死ぬ。
おっと、リモコンの電波が届かぬ位置に逃げようなどと考えても無駄だ。
この島の大きさならば、端と端にいようが逃げ場は無い……!」
利根川はリモコンを見せ、取り外そうとすれば即座に爆発させると脅しをふっかける。
首輪と密着した状態で爆破すれば、必然的に首輪も誘爆されてしまう。
しかし、利根川の言葉にはブラフがある……この器具に爆弾など積まれていないし、電波の範囲は全く未確認。
単に平山を脅し、絶対的服従をさせる為だけの脅しに過ぎない……だが、この脅しが効果的。
カイジや遠藤達なら兎も角、平山には器具に関する知識は皆無。
ましてや今の平山に、冷静に物事を考えられるわけがない。
利根川の言葉を盲目的に信じる……信じざるをえないっ……!
平山は両膝から地面に崩れ落ち、両手を地に付ける。
重い……背中に圧し掛かってくる……重圧っ……!
命を握られているという、圧倒的プレッシャーっ……!!
「……そんな……」
「ククク、そう落胆するな。
もしも君が私の期待に応えてくれたならば、器具を解除しよう。
いや、そうだな……ゲームが終わった後も部下として扱う事も、考えてやってもいいぞ?」
「……」
平山に、器具を解除するという言葉は胡散臭く聞こえる。
良い様に使い回され、最後に爆破というのはあまりにも典型的……末路は目に見えている。
それでも現状、縋るしかないのだ……そう……
人は希望があれば……そこに手を伸ばすしかないのだ……!
例えそれが、1%にも満たない絶望的なものであったとしてもっ……!!
確立を重んじる平山にとって、何たる皮肉だろうか……
「……俺は何をすればいい?
人を殺せばいいのか?」
「それは可能な状況であればでいい。
それより君に最もやってほしいのは、ある人物の捜索だ。
兵頭和也様、遠藤、一条、伊藤開司……この四人を探し出せ。
一人一人への対応は、この紙に書いてある」
平山に命じられた使命は捜索と伝言。
相手は、越えなければならない関門となる三人に一条を加えた合計四人。
それぞれに対する内容は、こう。
<兵頭和也>
見つけ次第事情を説明して保護、命を賭けて守り抜くこと。
持ち金は全て手渡し、一億に到達しない様ならばそれまで補佐すること。
<遠藤>
見つけ次第殺害すること、その手段は問わない。
<一条>
見つけ次第事情を説明して、私と目的が一致しているならば協力体制を取ること。
渋るようならば「私が元の地位に戻れた時は、地下から出す手筈を取る」と伝え説得すること。
ただし一条が私を蹴落としての優勝を目論んでいる様ならば、隙を見て殺害すること。
<伊藤開司>
見つけ次第事情を説明して、私の前に連れてくること。
間違っても危害は加えず、出来る限り万全の状態という条件で。
支援
関門たる三人に関しては、最早説明するまでもない。
ここで新たに加えられた一条については、利根川は自身と境遇が同じだと判断。
地下送りとなったところを拾われ、ゲームに参加させられた。
ならば目的も必然的に同じ……協力体制を取るのは容易い。
だが、ここで目的に僅かのズレ……蹴落とすという意識があれば、話は別。
同じ境遇だからかつての上下関係は無意味、かつての上司を蹴落として実力が上である事を証明する。
そんな意識があるならば……殺さないわけにはいられない……!
「まあ、分かったけど……このカイジって奴はどうするんだよ?
あんたの前につれて来いって言っても、あんたの位置が……」
「そんなことは場所と時間を打ち合わせておけば問題は無い。
そうだな、まずは……定時連絡時に発電所で会おう。
禁止エリアに指定された場合は、その周辺の何処かに私はいる。
そこで一先ずの情報交換と、次の待ち合わせとについて話す。
カイジを見つけたならばつれて来い」
一先ずの目標は、定時連絡時の発電所での合流。
このまま発電所を拠点にするという考えは没。
それは他者に情報が漏れた時、ほぼ確実に奇襲を受ける。
ならば得策なのは、一点に絞らず一定時間置きに拠点を移すというこの方法……これがベスト。
「では、伝える事は以上だ……行け」
「え……」
「どうした、行けといったのが聞こえないのか……?」
「あ、ああ……分かった、分かってるからっ……!!」
支援
伝える事を伝えたならば、後はさっさと解散。
利根川はリモコンをちらつかせ、平山は即移動。
その姿は脱兎……死にまいと必死になって逃げる、か弱き餌……!
平山は完全に、利根川という野獣に追い込まれてしまっていたっ……!!
同じ幸雄の名を持ち、同じく名誉挽回の為に参加を決めた両者。
境遇は全く同じ筈だった二人、しかし状況は完全な利根川の有利。
何が二人に差を生んだのか……それはずばり、覚悟の有無……!
利根川は己の命を賭し、何があろうと再起を果そうという覚悟があった。
しかし、平山にはそれがないっ……!
再起を果せずとも良い、命だけ助かれば良いと考えた……人としてはある種当然……しかし、消極的思考っ……!!
それでは積極的思考の利根川に、勝る道理無し……! 差が開いて当然っ……!!
(ここは言うなれば、命を賭けて目的を果す者達が集う戦場だ……!)
命を賭ける覚悟なくして戦いに望む兵になど……戦場は味方せんっ……!!
【C-3/平地/真昼】
【利根川幸雄】
[状態]:健康
[道具]:デリンジャー(1/2) デリンジャーの弾(30発) Eカード用のリモコン 針具取り外し用工具 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:ゲームで優勝、もしくは和也を優勝させての離脱
※両膝と両手、額にそれぞれ火傷の跡があります
※和也の保護、遠藤の抹殺、カイジとの真剣勝負での勝利・その結果の抹殺を最優先事項としています。
※一条はその目的次第で協力・殺害を判断します。
※平山と次の定時連絡時に発電所で落ち合う約束をしました。
※デリンジャーは服の袖口に潜ませています。
※Eカード用のリモコン
Eカードで使われた針具操作用のリモコンです。
電波が何処まで届くかは不明です。
※針具取り外し用工具
Eカードの針具を取り外す為に必要な工具です。
【平山幸雄】
[状態]:左肩に銃創、現在も軽い出血中 首輪越しにEカードの耳用針具を装着中
[道具]:不明支給品1〜3品 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:利根川の命令に従う 兎に角死にたくない
※和也の保護、遠藤の抹殺、カイジを利根川に会わせる事、一条に接触する事を優先事項としています。
※針具に爆弾がついている、リモコンは何処にいても操作可能と思い込んでいます
※利根川と次の定時連絡時に発電所で落ち合う約束をしました。
※Eカードの耳用針具
Eカードで使われた鼓膜破壊用の針具です。
専用の工具がなければ解除は出来ず、無理に外そうとすればリモコンのアラームが鳴ります。
投下終了です。
途中で利根川の一人称がオレから私に変化しましたが、Eカードで激情した利根川は自らをオレと言っていたので、あえてこうしました。
乙です!
同じ名前だったなwわすれてたw
この設定好きですw
投下乙!
流石利根川は人を使うのが上手いな
標組との遭遇フラグも立ったし楽しみだ
それから誤字発見
確立→確率じゃないか?
投下乙!
利根川恐ろしい…憎しみがこもった人間は恐いな
平山は時報回避したか…にしてもカワイソス
カイジ達とのフラグに期待だな
予約しました
乙です!
利根川先生は描写が難しそうと思ってたが、いい意味で期待裏切られた
福本漫画はキャラの姓名被ってるの多いんだよね
こういう形で対比的に持ってくるのは面白いな
投下乙!
丁寧な描写に感服です
頭のいい奴が狂う(ある意味)のって恐いな…
>>87 うおう、その通りです。
ご報告ありがとうございます、wikiに載せる時には修正を頼みます
投下乙。
キャラに違和感を全く感じさせないところに感動しました!
しかし平山が出てきた時点で「ああまた平山はズガン要員なのか‥」と思った俺は
反省すべきだなw
巧い…っ! この利根川の動き…! 常ならざる発想・・・・・・っ!
流石利根川さんっ・・!
それにしても上手い文、乙っ・・・!
圧倒的乙‥‥‥!
おつ・・おつ・・
とりあえず平山が初登場回を生き延びてくれて嬉しいよ
名簿ってさ、結局全員配布?
以前、赤木話を書いた者です。
投稿直後にリアル事故に遭ってしまいこのスレ覗けてませんでした
すみませんでした
大変でしたね。今はお加減いかがですか?
>>99 ちょwww大丈夫かwww
まあ、今回は残念だったけど次は頑張ってくれ!
>>99 うへえ…お大事に!
次の執筆期待してます
>>99 体お大事に
>>98 名前だけの簡単な名簿は配布されてるんじゃない?
食糧その他としてプリントに印刷された名前一覧とかさ
>>687 ◆9fw1ZntG8Y sage 2008/07/17(木) 19:29:37 ID:???
赤木・黒崎・黒服予約します
予約されていた方でした。
圧倒的有利な喧嘩中、何の前触れもなくクルマが突っ込んで来たんですね?
お大事に
>>107 まさに今これを使いたい。
「ざわ…ざわ…」
したらばで予約してきました〜
作中に登場するギャンブルについて意見を聞かせてもらいたいので、
お手すきの方はしたらばの議論スレ見てくれるとありがたいです
◆ZqxRMEDNEs氏の予約期限切れまであと3時間もないな。
一度出てきてほしいところ。
期限が1:54か
どうするんだろ
過ぎたが…どうする?
夜通し書いて完成したよ……投下するから……ちょっとだけ寝さしてください……
無理すんじゃねえwww
間に合わなきゃ予約は延長してくれればいいから身体は壊すなよ
何にせよお疲れ。投下待ってるよ
……ぱち……ぱち……
薄暗いギャンブルルームの中で静かに麻雀牌のたてる音が響いていた。
「悪いな……それ……!」
まず北家、原田克美……!牌を倒す。
東家、板倉……
「あちゃあっ……!」
「ちゃちゃ…!」
少しわざとらしく頭を抑える板倉。
板倉の捨て牌は二蔓
それは原田の上がり牌だった
「七対子、ドラ2、6400か……」
「くそ……先にあがられたか、テンパってたんだけどな……板倉さん……時間は限られてるんだ、早く進めようぜ」
支援
支援
したらばへ行かれたようです
なんか投下できなかったんでしたらばの方に投下しました
読んできた。登場人物が皆カッコ良かった。
>>122 投下ありがとうございました。お疲れ様でした。
こっそり投下します
「クゥクゥクゥ‥‥‥、わしは本当に運が良い‥‥‥‥。
やはり、神はこのわしこそを愛しておるのじゃ‥‥‥」
なんという強運であろうか。
鷲巣の支給品は、サブマシンガンウージー、防弾ヘルメット、防弾チョッキ。
これ以上はないくらいの「アタリ」武器、防具のセットである。
「‥‥‥参加者の中でも、わしほどの装備を持っているものはおるまいて‥‥‥。
わしは殺せる‥‥‥若者共を、あの赤木しげるも!
この勝負、わしの勝ち‥‥‥、勝ったも同然‥‥‥‥。
ククク‥‥‥‥」
鷲巣は、早速支給された重装備で島内を歩いていた。まるでピクニックに行く子供のようにはしゃいで。
しばらく進んだところで鷲巣は人の気配を感じ、立ち止まった。
少し離れたところに人影。
数は、4人。
「ククク‥‥‥‥、最初のこの機関銃の露と消える獲物が来たか‥‥‥、
そうか、そうか‥‥‥」
鷲巣は更に獲物に目を凝らした。
そして有頂天になった。
標的の4人の中には、見慣れた白髪頭の人物。
赤木しげるだ!
赤木しげるは今まさに、麻雀をするためにギャンブルルームへ向かっていたのである。
「‥‥‥こりゃ面白い面白い。
こんなところで、赤木しげるに引導を渡すことができるとは‥‥‥のぅ‥‥‥」
支援
鷲巣はウージーを構えた。次の瞬間、
「ドゥッ!」
‥‥‥‥響いたのはサブマシンガンにしては小さく軽い単音。
「あうっ!」
倒れたのは、鷲巣。
撃たれたのは、防弾チョッキでは防護しきれない、脚。
鷲巣に激痛が走る。
「なにぃっ! なんだとぉっっ!」
後ろから鷲巣を狙ったのは、グレネードランチャー。
弾はゴム製であったが、撃った当人である邦男には解っていなかった。
ただ見様見真似で弾を篭めただけだった。
脳に障害がある邦男には、先程の説明会会場での黒崎の話も良くは理解できていなかった。
ただ会場で、死んだはずの兄勝広の姿、殺したいほど憎い父秀峰の姿を見つけ、驚愕しただけだった。
2人に近寄ろうとしても、黒服に留められるだけ。
そして、頭を爆破された人間。
邦男の脳裏に、あの血生臭い惨劇の夜がよみがえった。
支援
そう、ここもあの夜と同じように「殺し合い」の世界なんだ。
本能的に、それだけは悟った。
邦男は支給された銃についても、自分で触るのは初めてだった。
構え方も撃ち方も、完全に自己流である。
他の標的を狙っている鷲巣の姿に気づいたときも、
「とにかく人間を見たら殺す」
という気持ちだけが先走り、引き金を引いた。
胴を狙ったはずの弾は、なぜか相手の脚に当った。
「なんだとぉ‥‥‥わしが撃たれるだとお?
そんなことがあって‥‥‥‥あってたまるものか‥‥‥‥!」
撃たれたのは、膝の裏。
弾はゴム弾であったが、高齢により脚が弱ってきている鷲巣にとっては泣き所だった。
膝を抱えて倒れる鷲巣。
その姿を改めて見た邦男はハッとする。
「兄‥‥さん‥‥‥!?」
防弾ヘルメットに防弾ベスト。肩から提げたサブマシンガン。
それは、あの惨劇の夜の、兄である勝広の姿を連想させた。
まさか‥‥‥‥そんなことが。
しかし、防弾ヘルメット姿では遠目には顔がわからない。
「おいら‥‥‥‥兄さんを撃っちまった‥‥‥‥?!
兄さん‥‥兄さん!!」
思わず、倒れた人影に邦男は無防備に駆け寄った。
支援
「ダダダダダダダダダッッッッ!!」
鷲巣のウージーが火を吹く。
非情にも邦男の体を貫通していく、銃弾の嵐。
「‥‥‥ぐはぁっっっ‥‥‥‥‥!!!」
‥‥‥‥邦男はあまりにもあっけなく死んだ。
「クッ、クズめが‥‥‥‥」
地面に倒れながらも、上半身のみでサブマシンガンを撃ち終えた鷲巣。
邦男を倒したものの、その場から動くことができない。
「いかん‥‥‥このままでは、ギャンブルルームから戻ってきた赤木どもに見つかってしまう‥‥‥‥」
気が焦るばかりだが、何も手を打つことができない鷲巣であった。
【D-2/ギャンブルルーム付近/真昼】
【鷲巣巌】
[状態]:ひざ裏にゴム弾による打撲 一時的に動けない
[道具]:サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット 防弾チョッキ 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:とりあえずこの場から去る
【吉住邦男 死亡】
※赤木を含むギャンブルルームへ向かった一行とニアミスしていますが、赤木らには気づかれていません。
※鷲巣は邦男を殺しましたが、まだ道具・所持金を手に入れていません(脚が動かないため)。
投下終了しました
支援ありがとうございました
乙でした
邦男せつねえ…せつねえよ
立てない鷲巣がどうなるか楽しみだな。ピクニックは想像して噴いたw
つーか支給品の豪華さも強運ということで普通に納得してしまえるのが恐ろしい
投下乙です。
剛運の持主と不幸の塊がかちあえばまあこうなるわな。
ウキウキ気分の鷲巣が微笑ましい。
投下乙でした
なんという剛運…さすが鷲巣
ギャンブルルームから出て来た赤木たちにどう対応するか今からwktk
なんか鷲巣他の爺キャラよりガチバトル得意そうなイメージがある
戦後人間だからか
乙!
鷲巣さまの豪運属性が生かされててワクワクしました!
でも、アカギの初出作って結局アレで通ったんだっけ?
通らなかったとしてもこれくらいの描写なら修正はきくと思う
書き手さんさえよければだけど…
◆ZqxRMEDNEs氏の作品についての提案です。宜しければしたらばにて御意見お願いします。
個人的には
・◆JsK8SvgrFA氏の許可が得られて◆ZqxRMEDNEs氏の意向がそうならば、作品破棄
・そうでない場合は本人の修正申請から72時間以内に再投下、間に合わなかった場合は破棄で後続の作家さんになんとか穴埋めして頂く
の二択しかないかと思うのですが、他に何か良い案はありますでしょうか?
尚、修正の期限は他ロワを参考に暫定で書かせて頂きました。
乙でした!キャラチョイスがいいなぁ
鷲巣様のピクニック気分、「狩る側が一転狩られる側」な喩えのシーン思い出して吹いた
鷲巣様ならこう動く、邦男ならこうしゃべる…っていうのが自然だから脳内で福本絵が浮かんでくるw
乙!
表現わかりやすい!面白かった!
利根川といい鷲巣といい、高齢者ほど恐ろしいなw
神威の爺さんが恐ろしいな。
投下します。
田中沙織は強かな女性であった。
彼女には、金のためならばどのような行為も辞さないところがある。
このギャンブルに不用意に参加してしまったのもこのためであった。
だが、もとより精神的に強い人間であるというわけでは無い。
「死のギャンブル」という現実は彼女に恐怖と絶望を抱かせるに十分すぎるものだった。
(そんな………そんなことって…………)
ギャンブルの内容を聞き、山口の死を目の当たりにして、彼女の目の前は真っ暗になった。
(嫌よ……助けてっ………誰か……)
――どのようにしてホテルから出たのか、はっきりしない。
気付いたら、民家の中にいた。
良く誰にも遭遇しなかったものだと思う。
ひとまず死を免れることができたのは幸運としか言いようがないだろう。
それほどまでに彼女の心は憔悴しきっていた。
(なんで殺し合いなんて……)
彼女の動揺にはある理由がある。
――半年以上も前のことだ。
彼女は神威家の「お家騒動」の立役者の一人であった。
無論、目的は金のため。
彼女にしてみれば、良い稼ぎになってくれればよかったのだ。
だが、残ったのは金では無く、ある種のトラウマ。
「鏖」
エレベーターに書かれた血文字が彼女の頭にこびり付いて離れない――
その日に起こったのは凄惨な殺し合いであった。
いくら強かであるといっても若い女性である。
心に大きな傷を残すのは当然といえた。
(もう……嫌………殺し合いなんて………)
彼女は壁にもたれかかって座り込む。
死にたくない。
人の死も見たくない。
そうして頭を抱えてうつむいた瞬間、玄関の扉が開かれた。
* * *
殺人鬼との望まぬ出会いを果たしてから、カイジはホテルの中庭に即座に身を潜めた。
移動する前に、支給品を確認しておきたいがための行動である。
(チッ……冗談じゃねえ………やってられるかっ……)
カイジは支給品を確認していらついた。
支給された武器はボウガンと矢が十本――実際に山口の死の瞬間や、殺しを楽しむ狂人を見はしたものの、
こうして人を殺す武器を手にすると自らも本当に参加させられているという実感が湧く。
(オレは乗らねえっ……こんなギャンブル………絶対に!)
狙うはこのギャンブルの主催者だけである。
死んだ山口にも誓った、必ず仇はとると。
――とはいえ、どこから攻めればいいのか、今は全く分からないが。
(とりあえず仲間を見つけねえと……どこに行くべきだ)
乗らないと決めた以上、できれば人の集まるところには行きたくない。
だが、仲間を集めるためにはそのリスクを冒さざるを得ないだろう。
この地で安全に仲間を集めるのは不可能であるといっていい。
カイジはしばらく悩んだあと、アトラクションゾーンを目指すことに決めた。
ここならホテルからさほど離れていない大きな拠点のため、人も集まりやすいはずである。
カイジは立ち上がると、周囲を警戒しつつ動き始めた。
カイジは民家の影に身を隠しながら北上する。
路上を歩くと目立つ。
突然の襲撃を避けるための配慮である。
その時、カイジの目にあるものが止まった。
(あれは……女?)
何を考えているのだろうか、カーテンも開きっぱなしで窓から丸見えである。
あれでは殺してくださいと言っているようなものだ。
(……どうする………このままだと死ぬぞ………あいつ………)
カイジは悩んだ。
仲間が欲しいとはいえ、自分の身もまともに守れないような女では戦力にはならないだろう。
いや、それだけならまだいい。
あれが獲物をおびき寄せる罠だとしたらどうか。
或いは殺し合いにも発展しかねない。
(ぐっ………クソッ…………バカッ…………!こんな時に……!)
――しかし、カイジはここで見捨てることのできるような男では無かった。
ぶつくさと独り言を言いながら玄関へと移動する。
そして万が一に備えてボウガンを構えると、カイジは扉を開けた。
家に入り、カイジは廊下を歩いてゆく。
そしてリビングに入る――女と目が合った。
「動くなっ……!そこから……」
カイジはボウガンを女に向ける。
女は一瞬ビクリと体を震わせ、直後に悲鳴を上げた。
「いやあああああああああああっ!!!」
「バカッ!叫ぶなっ!気付かれるだろ!安心しろっ!オレは殺し合いには乗ってない!」
だが、女は聞く耳を持たずヒステリックに叫び続ける。
「いやっ!いやっ!助けてっ」
「だから叫ぶなっ!」
慌てて女を止めるカイジ。
――彼女を説得するのに、十分ほどの時間を要した。
「そう……確かに迂闊だったわ……忠告してくれてありがとう」
女は礼をいった。
二人は外からは見えない台所へと移動している。
幸いにも誰にも見つかることはなかったようだ。
「自己紹介がまだだったわね……私は田中沙織よ」
「ああ、オレは伊藤開司だ」
自己紹介を終えると二人の間に沈黙が流れた。
精神的な疲労から話すのが億劫になっただけなのだが、微妙に気まずい。
この空気に耐えられなくなったのか、沙織は口を開いた。
「カイジ君……殺し合いには乗らないって言ってたけど………どうするの?」
「………このギャンブルを潰すつもりだ」
「えっ!それってつまり……」
「あ、いや……方法はまだ見当も付かないけど」
「………そう」
149 :
マロン名無しさん:2008/07/26(土) 12:11:42 ID:ZlEKssHt
支援
支援
再び気まずい沈黙。
そう、がっかりされても困るのだ。
現状では手段が思い浮かばないのだから、仕方がないではないか。
今度はカイジから口を開く。
「取りあえず………」
「なに?」
「支給品を見せてもらってもいいか?」
「あ!そういえば確認してなかったわ」
呑気な女だとカイジは思った。
尤も精神的にそんな余裕が無かっただけかもしれないが。
「これは……冊子ね。『参加者名簿』か……」
出てきたのは、写真付きの参加者名簿であった。
「これは幸運かもしれない……」
危険人物が掴める可能性もある。
これが把握出来るのと出来ないのとでは差は大きい。
カイジはそういうと、チェックをはじめた。
「カイジ君……危険人物はいた?」
沙織が尋ねる。
「ああ………殺し合いに乗りそうな奴は多い……」
彼の知る人物の多くはっ乗っているとみて間違いないだろう。
特に危険な人物は四人。
支援
支援
「要注意人物……一人目は有賀って男だ………一度ここで会っただけだが…………
こいつは殺しを楽しむ性質……最も危険っ………!
そして二人目………一条……こいつには七億の借金がある………棄権では無く優勝を目指す可能性は高い……。
三人目は利根川……こいつは失脚こそしたが、かつて主催者の側近だった男………」
「……三人とも危険ね」
「最後に四人目………何故参加しているのかはわからない………だが……間違いなく危険な男っ……
兵藤和也………主催者の息子だ…………さて、次はあんたの番だ」
言い終えるとカイジは沙織に名簿を渡した。
沙織もパラパラとページをめくる。
「まず多分力になってくれる人物として森田鉄雄………彼は仲間にしたいところね。
それから危険なのは神威秀峰、勝広、吉住邦男……………ねえ、気になることがあるんだけど」
「……なんだ?」
「死んだはずの人の名前が載ってるの………神威勝広と吉住邦男……どういうことだと思う?」
死んだ人間の名前。
カイジも気になってはいた。
石田と佐原――あの鉄骨渡りで死んだはずの二人。
だが、考えられることは一つしかない。
「多分生かされたんだ………連中にっ…………このギャンブルの参加者にするために………」
「……ひどい…………」
思うところがあるのだろうか。
沙織はやや沈んだ様子を見せた。
支援
「まあ今は参加した経緯なんてどうでもいいだろ………違うか?」
「ええ………あ、あともうひとつあるんだけどこの数字なんだと思う?」
「数字?」
カイジは名簿をのぞきこむ。
なるほど、顔写真の右上に小さく数字が書かれている。
例えばカイジは19.0、沙織は133.3といった具合である。
(数字………ああっ……まさかっ………!)
「どうしたの?目の色変えて」
「これは……確証はないが……多分………倍率だっ……!トトカルチョの……!
連中……誰が優勝するかを賭けてたんだ!」
「……ある意味ついてるわね」
「ああ………」
トトカルチョの倍率だとすればこの発見は大きい。
倍率が低い人間ほど人気がある――つまり危険性は大きい、ということである。
カイジは急いで倍率を確認した。
「どうだった……?」
「明らかに危険なのは二人だ………倍率が飛びぬけて低い…………10倍を切ってる………赤木しげると、平井銀二……」
【C-4/民家/真昼】
【伊藤開司】
[状態]:健康
[道具]:ボウガン ボウガンの矢(残り十本) 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:このギャンブルを潰す 仲間を集める 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、神威勝広、神威秀峰、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二、吉住邦男に警戒
※石田が合流したがっていることに気づいていません。
【田中沙織】
[状態]:健康
[道具]:参加者名簿 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:死に強い嫌悪感 カイジに同行する 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、神威勝広、神威秀峰、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二、吉住邦男に警戒
代理投下、以上です。
やべえ面白すぎるw
トトカルチョの倍率が参加者にわかるっていうのは良いな
アカギはともかく勝手に警戒される銀さん涙目w
乙です!
倍率記載っていうアイディアが面白い
田中さんは森田といいカイジといい仲間に恵まれてるな。
絶妙な引きでwktkが止まらんw
個人的な話、執筆に行き詰まってたけどパワー漲ってきたよ。ありがとう
投下乙
普通に福本が書いても違和感無い文章で天才かと
乙です!
倍率のアイディアおもしろいなぁ
まず戦力外のキャラと出会って見捨てきれないってあたりもカイジらしいw
乙!
終わり方、すげぇいいっ!一番見ててwktkしたw
銀さんがんばってくれw
これはレベル高い。面白かった!
書き手氏&代理投下氏乙です。
そのリストの倍率が凄く気になる。
全部とは言わないが、カイジが零より上か下かだけでも知りたいw
乙!
倍率はギャンブルっぽくてグッと来ました。
アカギと銀さん一番人気はどっちか気になる・・・
どちらも裏社会で知名度はあるけど、アカギはあくまで雀師としてだし
肩書きだけみると銀さんの方が上っぽいが。
若さ、という点でアカギは総合評価されたということか?
俺はアカギ儲だからアカギがレート高いに2000万ぺリカ
しかし、アカギそこまで倍率高いと主催者側からすれば要注意人物で
チェック厳しい、ってことになるのかな・・・・
まあ、当然そうだろうな
特に主催者達と関わりがある参加者なんて、おそらく目をつけられてるはずだし
そういう情報を参加者に支給するとは・・・・
倍率つき参加者名簿恐るべし。
投下乙
しかし何だ……殺し合いに乗ってない仲間の獲得(しかも貴重な女)に加え、
詳細名簿というアドバンテージの入手……
この運の良さが、後で田中さんとか他の仲間に裏切られて
ボロ……ボロ……するフラグにしか見えないw
詳細名簿じゃなくて普通の名簿だったか、俺早とちり乙
今回初出の情報なだけで、他の奴の名簿にも載ってるのね……
トトカルチョとか、いかにもこのロワらしい雰囲気があっていいな。
一番倍率低いのは誰かも気になる。
いや詳細名簿でしょ。
写真及び倍率付きの名簿。
いやしかしトトカルチョの倍率ってのは面白いっ……。
倍率盛り上がってるw
無知ですまんがトトカルチョは倍率低いか高いか
どちらの方が胴元(主催者)って儲かる?それとも関係ない?
それによって、勝たせたい人物のため武器の配給変わってくるだろし・・・
支給品の質も含めてのトトカルチョなんじゃね?
え?でも名簿も支給品のひとつだし・・・
バトロワ人物とアイテム決定→格財界人・政治家賭ける→倍率決定
→名簿に倍率掲載
・・・だと、名簿が特別過ぎるような。
そんな名簿、参加者に支給するって時点で、
主催者が正しい倍率載せてない可能性もあるじゃん
「保険」投下します。
B-4、アトラクションゾーン。
他所と変わらぬ薄暗いギャンブルルームの中、末崎と治は向かい合わせに座していた。
彼らが行っているのは、トランプを使った「ジン・ラミー」というゲーム。
(参考:
ttp://www.owari.ne.jp/~snowbird/rules/ginrummy.htm)
これは手札の中で「同じ数字のカード3枚以上の組」か「同じマークで数字の続いた3枚以上の組」を作るという、
「役」はないが麻雀と似た要素を持つゲームである。
さて、ゲーム開始前に彼らが設けた取り決めは次の三つ。
一、不当な長考は禁止。
一、制限時間の残りが10分を切った時点で得点の高い方を勝者とする。
一、敗者は、勝者が退出してから5分以上後に退出しなければならない。
最後の条件は治が提案したものである。
ギャンブルルーム内での暴力行為は法度だが、一歩外へ出てしまえばそこは戦場。
この提案は、人並み外れた機知を持たない治なりに張った防衛策であった。
2回ほどのテストプレイの後、お互いの支給品全てを賭けたギャンブルが始まった。
先制したのは末崎。
わずか4巡でノックを宣言、7点を余らせるが治の付け札を許さず、29点を得る。
その後3試合を経た時点での得点は、末崎64点、治16点。
さらに、この時点で治は1回しか上がりを許されていない。
広がった点差に焦りを感じつつ、治は対処の方法を探っていた。
(末崎の戦略は多分…速攻ノック……)
このゲームでは、ノックする際に手札が全て手役になっていると、「ジン」という上がりになりボーナスが付く。
しかし、必ずしもこれを狙う必要はない。むしろ可能な限り早い段階でのノックが最も有効な手となるのである。
麻雀における一般的な早和了と異なるのは、高得点を伴う可能性があるという点。
ジンはボーナスが25点入るが、後半になれば相手の手は大方出来上がっている。
つまり手役になっていない余り札が少なく、当然得られる点もそう多くはならない。
ゆえに手が早く組み上がったときは、多少の余り札を抱えつつもノックを宣言するべきなのである。
事実、ここまでの4試合における末崎の余り札は7点、8点、5点、8点であった。
(それなら、今までみたいにジンを追うのは得策じゃない…むしろアンダーカットを決めたいところ…)
先述の通り、末崎の戦略、速攻ノックはこのゲームにおける最善手である。
とはいえ、ノックしたくともある程度手がまとまらなければそれすら出来ないのだから、
やはり現在のところの運気は末崎に注がれているのであろう。
しかし一転、5試合目に入り、ツキは治に流れ始める。
7巡目でジンを決めた治は29点を獲得し、二人の点差は19点にまで縮まった。
そして迎えた最終戦の5巡目終了時、末崎の余り札は8とAの計9点。ノックを宣言できる状態である。
ここで今まで通り8点や9点の余りで上がっても、試合の序盤ゆえ、そうそうアンダーカットは成立しないと思われた。
だが、現在の二人の点差は19点。治は十分逆転可能圏内にいる。
末崎はノックを焦って治のアンダーカットを成立させる危険は避けるべきだと考え、
ダイヤの8が点数の低いカードと替わるのを待つことにした。
そして末崎が7巡目に引いてきたのは、ダイヤの5。
すでに出来ている手役ーーーダイヤの2,3,4に追加し、手役の一部にできるカードである。
これにより、不要なクラブの9を捨て、宣言…!
「ノック………!!」
ロワ開始前(成金客)とロワ開始後(vip客)の二回に分けてカルチョってるとか
これなら武器支給前後の倍率が微妙に違っててもおkにならんかな
支援
末崎が手札を開いていく。
ダイヤの2,3,4,5…ハートの7,8,9…ハート以外の3枚のK…そして余り札、スペードのA。
「点数は1…まあ兄さんは上がれんじゃろ…!さあ、さっさと手を開けたまえ…!」
「くっ………!」
治は苦々しい表情で手札を晒していった。
スペード以外の3枚のA…4種の10…ここで治の手は止まる。
「オレの手役はこれだけです。あとは、この3枚…」
治はハートの5と6を表に返し、末崎の7,8,9の組に添える。
末崎は、この土壇場で2枚の付け札を成した治に多少の驚きを感じる一方で、安堵もしていた。
治の抱えている残りの一枚は、少なくとも4枚晒されているAではない。
アンダーカットは点数が同点の場合でも適用されるため、もし治の最後の余り札がAであったなら負けていた。
「これが…最後です」
開いていく最後の余り札は、絵札。10点のカード…!
末崎は勝利を確信したが、次の瞬間に儚くもそれは消え去った。
治が開けたカードはハートのK。末崎の手役である三枚のKに付け札が可能なKである。
これにより治の余りは0点となり、アンダーカットが成立。
逆転……!!
「なにいっ……!!なんでそんなっ…孤立した…無駄なカードを…っ!?」
「付け札ができると確信していたからです…
末崎さんはオレの捨てたダイヤのKを拾ったけど、Jは切っていた…
おまけに逆転が許されない場面で、10点のKを残した無茶なノックはしないはず…
つまりKはセットになるしかない…!
だから他の手役ができるまでは優先して残しておいたんです。…他の付け札は偶然なんですけどね」
「ぐっ……クソオォ〜…ッ!!儂の金…儂の……!!」
末崎は卓上に突っ伏すと、震える手でテーブルのフェルトを掻きむしった。
敗北を嘆く声が治を呼び止める悲壮な叫びに変わっても、治は振り返らなかった。
支援
深海魚、と仲井は言った。赤木しげると自分たちでは、住む世界が違うと。
それは治自身も己の肌で痛いほど感じていたことだったが、
治はそれでもなお、赤木への憧れを拭い去ることはできなかったのである。
赤木の参加につられて怪しげなギャンブルに参加表明し、
その結果このような殺人ゲームに巻き込まれたことを後悔していないわけではない。
(だけど、後悔なら…あの日、赤木さんを追わなかったことの方が大きい…!
ここは天地が転覆したような島だ。深海魚にだって、少しだけ近づけるかもしれない…)
治は周囲を見回した後、二つのデイパックを提げてギャンブルルームから踏み出した。
赤木しげるの深淵をもう一度目にするために、生き残るためにーーー
が、直後、その後頭部に衝撃が走る。
脈打つような痛み、揺れる視界。治は芯が折れたように倒れ込んだ。
5分後、ギャンブルルームから末崎が退出する。
その顔には先ほどのような憎悪や悲絶の表情はなく、満足げな薄ら笑いを浮かべていた。
「待たせたな…!おぉ、うまくいったか…!」
「フフ…でも次は3分までにしといてくださいよ。待ってる間も気が気じゃないんだから…」
「悪いな…!まさかこの小僧が先に言ってくれるとは思わなかったからな。ま、わざわざ訂正するのも変じゃろ…?」
「まあいいですけど……さて、どうします?こいつ…」
そう言って薄汚れた靴で治の肩を小突いたのは、眼鏡をかけた体格のいい男ーーー安藤である。
支援
末崎と安藤は組んでいた。彼らの目的は金を集めること。
だが、二人ともギャンブルにはそこそこの自信しかなく、有効なイカサマを考えつくような賢智でもなかった。
そんな二人が立てたのが、片方がカモとギャンブルをして負けた場合、
待ち伏せていたもう一人が不意打ちで奪うという作戦である。
つまり末崎が行っていたのは、負けても結局は同じだけの勝ち分が手に入る保険付きの勝負であった。
さらに、勝者の安全を保証する条件を提案することが肝要であると安藤は言う。
今回のような退出の時間差、敗者は勝者を襲わないという誓約書、敗者の一時的な拘束……
ほんの少しの気の緩みを与えることができれば何でもよかった。
わずかでも心に弛緩した部分があれば、殺気を感じる感覚も鈍り、後ろから打ちのめすのは容易くなる。
そもそもそれ以前に、彼らは狙う人物を『どんくさそうな奴』に絞っていたのではあるが。
「そりゃあまあ…殺しちまった方がいいんじゃねえか…?」
「え、ええ……まぁそうですよね…じゃあ末崎さん、お願いします」
「わっ、わわ、儂がやるのか!?お前のが若いんだから…サクッとやっちまえ…!な…!」
「そんなぁ!元々その包丁は末崎さんのでしょう!?」
「何を言うかっ…!!支給品は共同って決めたじゃろ…!!」
「いやっ…それはそれ、これはこれ…!」
支援
支援
「ぶっ倒れてる奴すら殺す覚悟もなしに、この島で囀るんじゃねえ…!」
突然響いた沈重な怒号。
問答に気を取られていた二人は、その声で忍び寄る人影に初めて気付いた。
顔面に幾つもの傷跡を走らせ、手には黒光りする鎖鎌を構えた男。天貴史である。
場を覆う圧倒的な気迫に、安藤と末崎は早くも怯臆の色を浮かべている。
「3秒以内に失せろ………………斬るぞ」
その言葉を皮切りに、安藤たちは漏れ出る悲鳴を抑えながら藪生い茂る獣道へと却走していった。
治はぼんやりと取り戻しつつある意識の中で、彼らと同じように恐怖を感じていた。
(オレ…は…殺されるのか…?)
鉄の擦れ合う音と共に近づいてくる黒い影。無防備な自分。
まだ、死にたくないーーー動かない身体を呪い、奥歯を食い縛る。
しかしその耳に届いたのは、治を労る柔らかな響きを持った声であった。
「聞こえるか…?よかったぜ、あいつらが散ってくれて。
これなあ…強そうに見えるけど、やたら使いにくいんだ」
治の眼前に差し出された傷だらけの顔は、そう言って少し頬笑んだ。
支援
支援
【B-4/アトラクションゾーン/真昼】
【治】
[状態]:後頭部に打撲による軽傷 一時的な意識の薄弱
[道具]:なし
[所持金]:0円
[思考]:目の前の人物が味方かどうか確認したい
【安藤守】
[状態]:健康
[道具]:木刀 不明支給品0〜5 通常支給品×2
[所持金]:1900万円
[思考]:安全な場所へ移動する
【末崎】
[状態]:健康
[道具]:包丁 不明支給品0〜2 通常支給品
[所持金]:900万円
[思考]:安全な場所へ移動する
【天貴史】
[状態]:健康
[道具]:鎖鎌 不明支給品0〜2 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:治を助ける
以上です。支援ありがとうございました
したらばでの意見を参考に、ゲームのルールについては記載しませんでした。
マイナーなゲームなので、読みにくく感じたらすみません。
投下乙です!
ギャンブルの部分も、説明を交えながらで読みやすく、
展開もキャラに合っていて良かったです!
投下乙!
治せっかく勝ったのに…末崎と安藤マジうぜえ
天かっけえよ。治といいコンビになりそうだ
乙!治が逆転した時点では、ひろゆきと同じ流れに見えたけど
不意打ち以降の流れが、キャラが十二分に出てよかったです。
相変わらずの影の薄さで忘れてたけど、天は強力な対主催なんだよなぁ
乙
これで主役は全員出たんじゃね!?
安藤氏ねっぷりがとてもGJ
誰か早くやっつけてくれー!
乙です!
深海魚はいいところ持ってきたなぁ
そして安藤氏ね
投下します。
誤字脱字あるかもです…
202 :
復讐人:2008/07/26(土) 23:10:55 ID:UIV6re/2
―――人間学園事件…
それはある3人の勇気ある少年によって暴かれ、担当であった安部刑事により告発された、ある施設での事件。
その事件が初めて公になったとき、日本中の青少年達が震撼した。
…表面上は鳳臨グループが企画、建設した心に傷を負った未成年のための保護施設。
いうならば少年院…。
だが、それでは生ぬるく、本当の内容は罪を犯した未成年の強制的な更正を求め、違法的な拷問を受けさせられる…、
『監獄』だった…。
少年らの中でリーダー的な活動をしていた少年は無実の罪でこの監獄に連れられ、拷問を受けた…。
そして、自分の無実を証明するために脱獄…。
本来告発された事件は、その少年が関わった平田隆鳳氏刺殺事件だったが、
世間が興味を持ったのは、少年のいた監獄についてだった…。
もちろん、施設の関係者は全員告訴された…。
しかし、鳳臨グループの主である、二代目平田…。
告発された二つの事件、その主犯である二代目平田は無罪っ…。
金で丸め込んだのだ…。裁判の関係者全員を…。
そのため、二つの事件は人間学園課長だった澤井にすべて罪が課せられた…。
澤井の独断で生徒達に拷問を強い、澤井が平田隆鳳を刺し殺した…。
必然…。服役…。
そこを蔵前に拾われてこの殺し合いに参加させられた…。
wktk支援
204 :
復讐人:2008/07/26(土) 23:11:23 ID:UIV6re/2
「クホ…クホ…」
野に放たれた後、澤井は笑っていた。
「遂に…涯…工藤涯に…鉄槌っ…!下される時が来たのだ…!」
澤井の手には支給品である、ハンドガンのエアガンが握り締められている。
試し打ちしてみたところ、殺傷力はないものの、威力は通常の何倍かもあり、改造されているようだった。
「こいつで…涯を…じわじわと殺す…!」
一撃性のある武器よりも澤井にとってはよっぽど当たりだった。
既に涯をどのように殺すかを考えているらしく、口元にはよだれが流れ、正気は顔つきではなかった…。
「そして、儂がこの戦いに勝利し…その後は蛇っ…!平田っ…!
儂を…地獄へ落とし入れた平田とその家族もっ…!殺すっ…!」
かつての雇い主に捨て駒にされ、さすがの澤井も憤怒していた。
「クゥクゥクゥ…クホクホクホ…!」
決意を固めた澤井からは憎悪の念が込められた笑い声が漏れていた…。
支援
支援
207 :
復讐人:2008/07/26(土) 23:12:47 ID:UIV6re/2
工藤涯らが脱走した直後、まだ『人間』達の興奮が覚めやらぬ頃、平田は絶望と苛立ちに体が支配されていた。
「ぐっ…!澤井っ…!逃げられてしまったぞ!涯に…!」
澤井もまた絶望感に満たされていた。
「もっ…申し訳ありませんっ…!こんなっ…こんなはずでは…!
そうだっ!先回りっ!一番近い陸地に兵を送りましょう…!」
澤井が全てを言い切る前に平田は割って入った。
「もうよいっ!責任はっ…、罪はっ…貴様に被ってもらう…!全てっ…!」
「なっ…!?」
平田の予想外の一言に澤井は圧倒された。
「ん…?なんだそれは…!」
平田は、涯の火傷跡を模して作られた鉄片を見つけ、手に取った。
「こんなもので…!儂を騙そうとでも思ったのかっ…!
貴様っ…!どれだけ儂を…愚弄するつもりだ!」
叫びながらその熱せられていた鉄片を、澤井の顔の右半分に押し付けた…。
「ぐあああっ!」
澤井の悲鳴が人間学園の校庭に響く…。
興奮していた生徒も、教官も静まった…。
澤井は一瞬にして顔半分の皮が溶けたことをその時の匂いで判断した…。
「焼かれろっ…!そして落ちろっ…!底辺までっ…!」
そう言い捨てると、澤井の弱くなった悲鳴が聞こえる中、平田は乗ってきたヘリに乗り込み帰っていった。
支援
支援
210 :
復讐人:2008/07/26(土) 23:13:57 ID:UIV6re/2
澤井は涯とお揃いの、顔の火傷の跡を触りながらその日を思い出し、平田への憎悪を膨らませていた。
それを糧にし、この戦いを生き抜くつもりなのだ。
すると…
パァン―――
銃声が近くで鳴った。銃弾は近くの木の幹に当たり、木屑が飛び散った。
澤井は驚きつつも地面に伏す。
男は銃弾が澤井に当たったと思いこみ、近づいてきたようだ。
(クゥクゥクゥ…手ぬるいわ…!)
澤井は地面に突っ伏しながらも近づいてくる男の様子をうかがう…。
「し、死んだ…のか…」
髪の長い小奇麗な男、一条は自分が人を殺した事に動揺していた。
しかし、その瞬間に澤井は飛び起き、手に持っていたエアガンを男に向けた。
「クホクホクホ…!甘いのぅ…!若輩よ…!儂は地の獄より蘇った『復讐人』!
工藤涯を殺すまで…!平田を殺すまでは簡単には死ねぬ…!死ねぬのだ…!」
「くっ…!」
一条は懐にしまってしまったトカレフを取り出そうとする。
「あぁ〜!?動くなよっ…!」
そういって、エアガンを強調するように振る。
しかし、一条…それを見て何かを確信…!
迷わずトカレフを取り出す…。
「『復讐人』なら迷わず引き金を引きましょうよ…!拳銃が偽モノでなければ…ね!」
その言葉を聞き、澤井はようやく引き金に指をかける…。
だが、時、既に遅しっ…!
トカレフの銃弾が澤井の体を貫いていた。
鮮血が飛び散る…。
「涯ぃ…が…ぁ…いぃ………平…田ぁ…」
倒れた澤井はうわ言のように復讐すべき相手の名をただつぶやいた後…。
絶命…。
支援
支援
213 :
復讐人:2008/07/26(土) 23:14:34 ID:UIV6re/2
澤井の支給品を整理した後、一条は澤井の死体に語りかけた。
「死ねないのは同じ…。同じさ…『復讐人』なのだから…。私も…」
一条は遠藤、坂崎、そしてカイジの笑顔…。小憎たらしい笑顔を思い浮かべていた…。
「どうせ合法っ…!殺しが合法なら…背負ってたちます…!あなたの復讐もっ…!
あなたを殺したのは私じゃない…。工藤涯に平田という者たちへの憎悪だ…
だから…討つっ…!仇をっ…!」
半ば強引に決め付け、一条の復讐は3人から5人に増えた…。
【G-4/草原/真昼】
【一条】
[状態]:健康
[道具]:黒星拳銃(中国製五四式トカレフ)、改造エアガン、不明支給品0〜2(本人確認済み) 支給品一式×2
[所持金]:1000万円
[思考]:カイジ、遠藤、坂崎、涯、平田(殺し合いに参加していると思っている)を殺し、復讐を果たす
【澤井 死亡】
214 :
◆xuebCgBLzA :2008/07/26(土) 23:15:55 ID:UIV6re/2
以上です。
支援感謝です!
急いだんで、涯とお揃いの火傷が生かせなかった…。
圧倒的反省っ…!
投下乙でした
さよなら澤井…
一条はマーダーになったか
復讐人として二人をうまく絡めてあって良かったです
乙です!
復讐人の巡り合わせいいな
やっぱり課長は狂ってないとねw
澤井の来た経緯が涯のラストと自然につながってて良かった
一見冷静そうな一条も狂い始めてるな
投下乙です。
一条の活躍が楽しみすぎる。
投下乙 課長がキーキャラと思ってたが・・・
あとなんで一条は涯と平田知ってんの?ミスか?
すいません。ミスは俺です吊ってきます・・・
◆JsK8SvgrFA氏がしたらばにて「装備」の修正をしてくれているんですが、
wikiに本文を載せるのは本スレに投下されてからのほうが良いでしょうか?
俺は先にwikiに載せちゃっても良いと思うけどな
あれからまたちょっと推敲したので、本スレに再投下して良いですか?
どうぞどうぞ
ある程度の書き直し部分があるし、再投下してもらった方がいいかな。
どうぞお願いします
再投下します
変更点は、
・鷲巣たちがニアミスする人物達の変更
・推敲による微修正
で、前回と内容はほぼ同じです
「クゥクゥクゥ‥‥‥、わしは本当に運が良い‥‥‥‥。
やはり、神はこのわしこそを愛しておるのじゃ‥‥‥」
なんという強運であろうか。
鷲巣の支給品は、サブマシンガンウージー、防弾ヘルメット、防弾チョッキ。
これ以上はないくらいの「アタリ」武器、防具のセットである。
「‥‥‥参加者の中でも、わしほどの装備を持っているものはおるまいて‥‥‥。
わしは殺せる‥‥‥若者共を、あの赤木しげるも!
この勝負、わしの勝ち‥‥‥、勝ったも同然‥‥‥‥。
ククク‥‥コォコォコォ‥‥!」
鷲巣は、早速支給された重装備で島内を歩いていた。まるでピクニックに行く子供のようにはしゃいで。
しばらく進んだところで鷲巣は人の気配を感じ、立ち止まった。
少し離れたところに人影。
数は、2人。
「ククク‥‥‥‥、この機関銃の露と消える最初の獲物が来たか‥‥‥、
そうか、そうか‥‥‥」
人影は、今まさに連れ立ってギャンブルルームに行こうとする、銀二と零であった。
鷲巣は更に獲物に目を凝らした。
そして有頂天になった。
「ほぉ‥‥‥、銀髪の男はともかく、もう一人の方は若いのぅ‥‥‥。
ククク、若さの輝きは美しい‥‥のぅ‥‥‥。
‥‥‥こりゃ面白い面白い‥‥‥。
その前途多様な若者の人生を、わしの手で幕を降ろしてやろう‥‥‥!」
支援
鷲巣はウージーを構えた。次の瞬間、
「ドゥッ!」
‥‥‥‥響いたのはサブマシンガンにしては小さく軽い単音。
「あうっ!」
倒れたのは、鷲巣。
撃たれたのは、防弾チョッキでは防護しきれない、脚。
鷲巣に激痛が走る。
「なにぃっ! なんだとぉっっ!」
後ろから鷲巣を狙ったのは、グレネードランチャー。
弾はゴム製であったが、撃った当人である邦男には解っていなかった。
ただ見様見真似で弾を篭めただけであった。
脳に障害がある邦男には、先程の説明会会場での黒崎の話も良くは理解できていなかった。
ただ会場で、死んだはずの兄勝広の姿、殺したいほど憎い父秀峰の姿を見つけ、驚愕しただけだった。
2人に近寄ろうとしても、黒服に留められるだけ。
そして、頭を爆破された人間。
邦男の脳裏に、あの血生臭い惨劇の夜がよみがえった。
そう、ここもあの夜と同じように「殺し合い」の世界なんだ。
本能的に、それだけは悟った。
支援
支援
邦男は支給された銃についても、自分で触るのは初めてであった。
構え方も撃ち方も、完全に自己流である。
他の標的を狙っている鷲巣の姿に気づいたときも、
「とにかく人間を見たら殺す」
という気持ちだけが先走り、引き金を引いた。
胴を狙ったはずの弾は、なぜか相手の脚に当った。
「なんだとぉ‥‥‥わしが撃たれるだとお?
そんなことがあって‥‥‥‥あってたまるものか‥‥‥‥!」
撃たれたのは、膝の裏。
弾はゴム弾であったが、高齢により脚が弱ってきている鷲巣にとっては泣き所だった。
膝を抱えて倒れる鷲巣。
その姿を改めて見た邦男はハッとする。
「兄‥‥さん‥‥‥!?」
防弾ヘルメットに防弾ベスト。肩から提げたサブマシンガン。
それは、あの惨劇の夜の、兄である勝広の姿を連想させた。
まさか‥‥‥‥そんなことが。
しかし、防弾ヘルメット姿では遠目には顔がわからない。
「おいら‥‥‥‥兄さんを撃っちまった‥‥‥‥?!
兄さん‥‥兄さん!!」
思わず、倒れた人影に邦男は無防備に駆け寄った。
支援
「ダダダダダダダダダッッッッ!!」
鷲巣のウージーが火を吹く。
非情にも邦男の体を貫通していく、銃弾の嵐。
「‥‥‥ぐはぁっっっ‥‥‥‥‥!!!」
‥‥‥‥邦男はあまりにもあっけなく死んだ。
「クッ、クズめが‥‥‥‥」
地面に倒れながらも、上半身のみでサブマシンガンを撃ち終えた鷲巣。
邦男を倒したものの、その場から動くことができない。
「いかん‥‥‥このままでは、ギャンブルルームから戻ってくるあの2人に見つかってしまう‥‥‥‥」
気が焦るばかりだが、何も手を打つことができない鷲巣であった。
【E-3/ギャンブルルーム付近/午後】
【鷲巣巌】
[状態]:ひざ裏にゴム弾による打撲 一時的に動けない
[道具]:サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット 防弾チョッキ 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:とりあえずこの場から去る
【吉住邦男 死亡】
※平井銀二、宇海零とニアミスしていますが、2人には気づかれていません。
※鷲巣は邦男を殺しましたが、まだ道具・所持金を手に入れていません(脚が動かないため)。
投下終了しました
同じ話をたびたびすみませんでした
修正お疲れ様でした。違和感のないすばらしい改作ですね!
不可抗力なので ◆JsK8SvgrFA氏が謝ることないですよ
ありがとうございます
ただ気になるのは、今回キャラを予約せずに、ニアミスと言う形で使ったことです
それで、今回少し問題になりましたが、こういう手法はアリだったんでしょうか
また、次に話を続ける人にわかりにくくなかったか心配です
>>237 難しい判断だけど、とりあえず他の人に予約されていないキャラを使うのは別に禁止されていない。
予約されているキャラはこういう形でも使わない方が無難だろうね。
この程度のニアミスなら、予約しなくても問題はないと思う。
ただ、今回のようにニアミスするキャラの話を採用するかどうかが曖昧な場合は
確定してからの方がいいかもしれないね。
予約済みのキャラは
>>238の通り使わない方がいいかと
投下します。
運命などというものを原田は信じない。
道を作るのは天の意思では無く自分の行動。
そう思って原田はここまで生きてきた。
――だが、これが偶然なら出来すぎていると言わざるを得ない。
「ククク…………初めて遭遇した人間がお前とはな……赤木しげる………
お前には一度会いたかったんや………」
原田は一人の男――赤木しげるに向かってゆっくりと話し出した。
「といっても……お前は俺のことを知りはせんやろう………俺もお前のことを直接は知らねえ……
ただ聞いたことはある……伝説の代打ちと同じ名を持つ天才………お前のことや」
「………」
アカギは黙って原田の言葉を聞いている。
原田は言葉を続けた。
「俺はあの人が好きやった……だから人の名を利用しとるお前を殺すつもりやったわ………
他人の褌はいて名前を売っとるお前を」
「ククク……それがオレに会いたかった理由か………」
「いや……ちゃう。お前の顔を一目見た瞬間わかった………お前はあの人と同じ……
本物っ……紛う事無き天才やとな……」
ここで原田は言葉を切る。
アカギは自分のことであるにもかかわらず、興味が無いかのように少し笑うだけであった。
「クク……興味無いか………まあええ、お前に会いたかったんはお前の考えを聞きたかったからや」
「ふうん………」
「俺は純粋に勝負に生きてえんだ………このギャンブルの参加はその第一歩……
積み上げてきたものを壊すええ機会やと思った………
だが、わからねえ………参加者全員殺して優勝ってのも別に躊躇する気はねえんだが……
何かが違う……そんな気がしてな………お前に聞いてわかるもんでも無いが………
お前に聞きたいと、俺は直感でそう感じた」
「ククク……なるほどね………分からなくもない……あんたの気持ち…………
ここではもっと面白い勝負……もう一つのギャンブルが用意されている………
本能では気づいているが頭で理解してないんだ……お前は」
なるほど、この男に言われるとそういう気もする。
だが、それが何であるのかは見当もつかない。
「………そのもう一つのギャンブルってのはなんや?」
「……このギャンブルは確かに魅力的だ………お互いの命を奪いあう、まさに狂気の沙汰………
面白いさ……確かに……だが………所詮は殺す相手は騙されて集められたひ弱な参加者………
求めているのはもっと圧倒的相手………一見勝ち目のないギャンブル……違うか?」
「…………」
つまり、このギャンブルへの反逆こそが最も面白いギャンブルであると言っているのか。
――不思議と原田は納得した。
なぜ不満を感じていたのか。
それは強者を目の前にしながら決着をつけれないこと――
強者の手のひらの上で踊り、真に戦いたい相手と戦えないということであった。
「ククク……そう……オレは殺す………奴らを…………他人に死を強要するっていうのは……
強要されてもいいってことだ………だから殺す……」
「……ますます本物やな……お前は………」
アカギの言うとおり、自分は詰まる所反逆を欲していた。
驚くべきは、出会って間もない段階で原田の感じた違和感を指摘したということである。
まさに、人の心理を見抜ける本物の天才。
――原田には、ある興味が湧いた。
この男は己のよく知る赤木しげると比べて、どの程度の本物なのだろうか。
彼に匹敵するほどの男なら、行動を共にしても面白いかもしれない。
「なあ、アカギ……試験させてもろうてもええか……?」
「……試験?」
「ああ……お前の本物がどの程度のもんか………興味が湧いてな……だから試験や………勝負っ……!
損得勘定を抜きにした勝負が最も人を見極められる………せやからやってもらいたい………
ギャンブルルームで……『一人麻雀』を………」
アカギの合意を得て、二人はギャンブルルームに移動した。
準備をしたところで原田は早速アカギにルールを説明し始める。
「『一人麻雀』てのは何のことはない……クイズみたいなもんや。
まず……攻撃側と守備側に分かれる。
攻撃側は、『一人麻雀』の名の通り、一人で麻雀を打っていくんや。
このとき、常に攻撃側は東場、南家扱い……これであがりを目指す。
そしてテンパイしたらテンパイ宣言………このとき空テン、フリテンは禁止。
守備側は攻撃側のテンパイ宣言の後、五種類の牌を選ぶ。
この中に当たり牌が一つでもあれば守備側は勝ちとなり、攻守交代。
一つもなければ攻撃側の勝ちで、その手の点数分攻撃側に加算される。
その際のあがりの扱いは他家からの振り込みと同じ……たとえば門前ツモはつかへん。
………基本はこんなところや、わかったか?」
「ああ……」
「たださっきも言うたようにこれは試験や……若干ルールを変更する。
まず勝負は一回きり、攻撃側が俺、守備側がお前や………
あがりの点数も関係ない………単純にお前が当てたらお前の勝ち……外したら負け………
ただしそれではあまりにオレに有利…………だからハンデをつける………
まず一つ……満貫縛り………満貫以上の手を俺は作る…………
そして二つ目はドラの廃止……これは容易に手を作りにくくするためや………
これで行こうと思うが………こんなところでええか……?」
「………選ぶ牌は五つか?」
「せや………不満か……?」
「ククク……不満というか………五つもいらない…………一つで十分だ………」
「なっ……本気か………?」
この一人麻雀はそんなに容易なものではない。
五つ選択出来ても外れることは往々にある。
更には選択できるのは一つだけ――そのプレッシャーはかなり大きい。
つ@@@@
「ああ、それでいい」
「まあおまえがそれでええなら構わん……そしたら早速始めさせてもらうで……」
原田は山から十四牌とる。
配牌は一萬、四萬、五萬、九萬、九萬、二索、五索、三筒、六筒、東、西、北、北、白。
お世辞にもいい手牌とは言えない。
(ここから満貫……どうするか)
一回勝負である以上、極力運によるブレを減らしたい。
この状況から満貫確定を狙える手を作るのは困難だが、不可能ではない
まずはわずか三牌で一翻得られる役牌を集めるべきだろう。
狙いを決めると、原田は牌を切りはじめた。
「リーチ……テンパイや………牌を指定しろ、アカギ……」
十五巡目、原田はテンパイを宣言した。
手牌は一萬、一萬、七萬、九萬、一索、二索、三索、東、東、東、北、北、北。
八萬待ちである。
原田は当然多くの迷彩を施した。
いくらアカギに麻雀の腕があろうとも『一人麻雀』は初心者。
普通の麻雀と異なるポイントがいくつもある。
そう容易くできる見破れるものでは無いだろう。
――だがアカギは原田の予想を大きく超えていた。
「………八萬」
「なっ………!」
たった一つの指定牌でいきなりの正解。
一回限りの勝負なのだ。
こんなことがあってもいいものだろうか。
「正解か……?」
「あ、ああ………」
「ククク……そうか………試験の結果には満足か…………?」
「そんなわけねえだろっ……!教えろっ……何をしたか………」
原田にしてみればこれは試験のつもりである。
だがここまであっさり決められると実力の程度がまるでわからない。
ただの偶然なのか、それとも必然なのか。
アカギは原田を相手に、その理由を語りだした。
「このゲーム……攻撃側は出来るだけ早くテンパイする必要がある………
フリテンを避けるため………というのもあるが、何より相手に見破られる要素が増える………
それに加えてテンパイの形は出来るだけ待ちが少ない方がいい………単騎か辺張、嵌張が理想……
これも守備側が外せば勝ちなのだから当然のことだ。
そしてドラ無しの満貫縛り……二つの条件から考えれば待ちの予測はある程度容易い……
狙いやすさでいえば、リーチと役牌にチャンタか混一を絡めるのが最も簡単………さほど運に左右されない……
まして白や中を中盤まで出し渋っていたところを見れば役牌狙いは明らかだ……
そして……混一はチャンタに比べて迷彩が掛けにくい………一回勝負ではチャンタが最も無難……
となれば待ちは字牌か三色それぞれの一、二、三、七、八、九の合計二十五種類に絞られる……
実際には九萬、七索、三筒、西、白、中はフリテンだったから実質十九種類……
ここまではいいか?」
「ああ……そこまでは正解だ」
「次に何で待つかを考える……当然あからさまな危険牌で待つのは危ない………
とはいえ安全牌で待つのも見破らる可能性はある………当然アウツ………
筋待ちや地獄待ちは無意識のうちに避けるはず……
なら待ちは危険な臭いも安全な臭いも持たない牌がもっとも可能性が高い……
そうすると……まず安全牌と危険牌に明確に分かれる字牌はまず外れる……
ご丁寧にテンパイ宣言直前に四萬と六筒を切っている以上、
一萬、二萬、三萬、七萬、七筒、八筒、九筒も候補から外れ、あとは残り九牌だけ……」
原田は驚いた。
初めての筈のこのゲームでアカギは瞬く間に候補牌を九牌まで絞り込んだのだ。
「ククク………最後に八萬を選んだ理由だが………これは半ば直感……
だが……七萬、八萬、九萬の順子が面子の一つになっていることまでは予想できた………
二巡目………迷彩のための九萬切り……これが決定打………
テンパイ宣言まで時間がかかったのは手が悪い証拠……
チャンタ狙いの迷彩で浮いた老頭牌を序盤で切るほど手に余裕があるとは思えない………
つまり……この九萬は順子、塔子が出来ている状態で対子を崩したもの……
この順子がテンパイの段階でまだ出来ていないとすれば……候補牌の中で待ちは八萬のみ………
順子が既に出来ていれば当然これは当たり牌にはなりえないが………
まだ出来ていないと思った…………そこは直感……オレの感性だ………」
(すげえっ……ほんまもんの本物やっ……こいつは………)
天才にしか見えない理。
天才だけが持ち得るずば抜けた直観。
それをもってこの男はたった一つの牌を言い当てたのだ。
その天才はあの男に匹敵するものであろう。
この男と同行すれば、更に勝負を楽しめるかもしれない。
アカギは熱い勝負を引き寄せる、そんな気がする。
「ククク……面白えっ………!本当にあの赤木しげるの再来かもしれへんな……お前は」
そうか、と言いながらアカギはわずかに笑った。
【C-3/アトラクションゾーン・ギャンブルルーム/真昼】
【赤木しげる】
[状態]:健康
[道具]:不明支給品0〜3(確認済み)支給品一式
[所持金]:900万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す
【原田克己】
[状態]:健康
[道具]:不明支給品0〜3(確認済み)支給品一式
[所持金]:900万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す アカギと行動をともにする
250 :
マロン名無しさん:2008/07/27(日) 21:55:10 ID:tZ4HwtHh
投下乙!
書き手氏福本本人だろw
麻雀描写上手すぎ
プロか何かですか?
やべえアカギの台詞が全て萩原声で再生されたぜ…
主催者を殺すとな?!アカギなら本当にやってくれそうだから困る
アトラクションゾーンに人が集まりつつあるな
いつも思うがX7氏は執筆速すぎwww
一人麻雀面白そうだな
今度友人とやってみるかw
投下乙!一人麻雀もアカギもすげえが、原田がかっこよくて泣けるぜ!
通夜で赤木に「おまえは成功を積みすぎた」とか言われたのやっぱり気にしてたん
だな‥‥。
一人麻雀すげえwこれであと主役級で出てないのは森田だけか?
>>255 出てるよ。
黒沢、美心の話がwikiに掲載されてないことに今気づいた。
>>256 掲載しておきました。書き手氏ごめんね…
それに伴って各ページの追跡表?を少しずつ修正しましたが、
間違ってるかもしれないので気づいたら教えてください
投下乙
これほど麻雀を覚えたいと思ったのははじめてだ
>>257も乙!
麻雀歴半年だが種明かしにピンとこない自分に嫌気がさす。
そういえばパロロワwikiにも載ってないな
頃合いだとおもうけど……
>>259 どこにピンと来ないか言えば親切な人が教えてくれるかもよ
本当にスゲーとしか言い様がないな。原作浦部戦後の
アカギ神解説の興奮が甦った
しかしアカギはやっぱ対主催できたかw今後が楽しみすぎる
標・カイジ・天・原田・アカギを敵に回した主催ってある意味可哀相だな
かつてここまで開始早々から絶体絶命の危機に立った主催側がいただろうか
さらに言うなら森田も対主催なんだろう。主催も大変だな
これで銀さんが主催派だったら面白いな。
主人公で微妙な立ち位置なのは涯か…
マーダー化するかな?
涯はマーダーじゃないの?
wikiでスタンスが「対主催?」て書いてあったから、
てっきり微妙なのかと思ってた
正当防衛に近い形だから微妙といえば微妙だが、
とどめさしてたし、生還以外に目的なさそうだったからなあ
涯はまだ微妙な気がするよね
害のないやつまで無差別に襲って殺すようなイメージはないし
そうだな
今後誰に出会うかによって変わりそうで楽しみだ
投下します
支援
神威秀峰は憤慨していた。
殺人ゲームだとぉ?!
‥‥‥くだらん、実にくだらん!
そんなもの、わざわざゲームにしなくとも、この世はすべからく殺し合いではないか。
強者が弱者からぶんどる。金も権力も命すらも。当たり前ではないか。
むろん、肉親とて例外ではない。
それを、なまぬるい馴れ合いの世界のみに生きてきた阿呆どもが、
残酷だの非情だのと騒ぎおって。
そんなことだから、愚図は勝てないのだ。
愚図はどうやっても愚図!!
わしは違う。
わしはそうやって、この人生を勝ち抜いてきた。
勝ち抜いてきたのだ。
‥‥‥なんで今更こんな児戯に等しいゲームに参加させられなくてはならないのだ。
まあいい。
年老いたとはいえ、このわしの実力というものを見せつけてやる。
秀峰は、さっそく妙にかさばる支給品の確認にあたった。
まず出てきたのは、スコップ。
秀峰は少し失望し、考え込んだ。
‥‥‥これは‥‥‥武器としては少し扱いにくいか‥‥‥。
続いて出てきたのは、箕(農作業用の笊)。
ある閃きが、秀峰の頭をよぎった。
‥‥‥ほう‥‥これは、使えるやもしれん‥‥‥‥。
支援
支援
ククク‥‥、こんな手に引っかかるのは、よほどの愚図くらいかもしれぬ‥‥‥。
‥‥‥しかし、他に使えそうな道具も無し‥‥‥。
とりあえずは、これでいくとするか‥‥‥。
なに、どんな世界にも愚図は一定の割合でいるものよ‥‥‥。
そして坂崎も、他のついていない参加者達と同様に、このゲームに参加してしまった身の不運を嘆きながら歩いていた。
「‥‥‥美心‥‥‥。かぁちゃん‥‥‥‥。
うぇぇぇぇぇん‥‥‥‥」
せっかく。やっとの思いで。
カイジ達とパチンコ「沼」に勝ち、親子三人の穏やかな生活を取り戻した矢先だったのに。
こんなわけの解らない殺し合いをしなきゃならないなんて。
一応、手には支給されたチェーンソーを構えながら歩いている。
しかし、こんな凶暴な凶器で他人を殺さないと、自分の命さえも危ういとはなんということだろう。
殺されることも怖いが、自分がチェーンソーで人間を切り刻む様を想像するだに恐ろしい。
あと生き残る方法としては、一億円稼いで棄権するという手段があるが、果たして自分がそれだけの金を手に入れる方法があるだろうか。
ギャンブルではあと9人分、いやギャンブルルームの使用料もあるから実際には10人以上を破産させないと、一億は無理だ。
「そんなツキがわしにあるか!」
お金お金お金‥‥‥また金かよぅ‥‥‥結局金かよっ!
どうしても、歩く姿が俯きがちにならざるを得ない坂崎であった。
そんな時だった。
「お? 何だ、ありゃあ‥‥‥」
支援
歩いている先の地面の少し先の茂みの脇に、見覚えのあるものが落ちている。
「あれは‥‥‥まさか!?」
落ちているのは、喉から手が出るほど欲しい、一千万円分のチップである!
坂崎は思わず駆け寄った。
しかし、それを手にすることはできなかった。
「ぐあっ‥‥?!」
坂崎が小走りで踏んだある一歩は、硬い地面ではなかった。
地面を踏んだ足が、そのままぐにゃりと柔らかく吸い込まれていく。
あわてて、もう一方の足を踏みしめる。
しかし、その足が踏んだ地面も同様であった。
坂崎は両足を、その柔らかい地面に絡め取られてしまい、身動きができなくなった。
「なんだ、こりゃぁ‥‥‥‥!」
いくら身もだえしてもどうにもならない。
両足は、冷たく柔らかく重い何かにがっちりと絡め取られてしまった。
しかもそれは、坂崎の体重の重みによってどんどん、より深く彼の体を吸い込んでいく。
そして、もがけばもがくだけ深みにはまって行く。
坂崎が居るのは、もはや地面ではなく、まるで底無し沼。
自分いる、そのすぐ周りは普通の地面なのに。
なぜ、この足元だけが。
何故‥‥‥!!
「ククク‥‥‥やっと獲物がかかったようだの‥‥‥」
支援
秀峰は茂みの影から姿を現した。
「やれやれ‥‥‥、年寄りにはいささか重労働だったが、
まあ、その成果は有ったようだ‥‥‥」
坂崎は、やっと自分が罠に嵌まったことに気づいた。
「じ‥‥爺さん‥‥、
まさか‥‥‥、あんたが‥‥‥!」
「そうだよ。
その底無し沼はわしが作ったのだよ。
まあ、底無し沼とは言っても、底は有るが‥‥。
スコップで穴を掘り、掘った土を箕で細かく篩ったのを、
近所の民家から汲んできた水と混ぜ合わせての。
これが適当な固さにする塩梅がなかなか難しい。
それを穴に戻して‥‥‥カモフラージュに上から乾いた砂をかけておいた」
「頼む、助けてくれぇっ‥‥‥!!」
「ククク‥‥‥助けたいのはやまやまだ。
わしも用があるのはお前の金と道具だけだしの」
話しながらも、秀峰は坂崎が落としたチェーンソー、デイバッグを拾っていく。
当然、囮の為に置いた自らの一千万円分のチップも忘れずに。
「ほう‥‥‥なかなかの武器だ。
お前さん、こんなに使えそうなチェーンソーを貰えるだけの運が有りながら、
こんな簡単なトラップに引っかかるとは。
やはり、世の中には愚図がおるもんだの‥‥‥ククク‥‥‥」
そうこうしている間にも、坂崎の体は足から脚、腰、胸‥‥‥と、どんどん泥沼に飲み込まれていく。
坂崎は、自分の体が下から順にゆっくりと確実に冷たい泥に捕らわれていく感覚に心底恐怖した。
「爺さんっ!! いったいこの泥沼はどれだけ深さが有るんだ!!」
「まあ、 この老いぼれが掘れる穴くらいだから、たかが知れておる。
お前さんの頭くらいまでか」
「何だとぉ! このクソ爺!
助けろ! 助けるんだ!!」
今や坂崎の体は、首元まで泥沼に沈んでいた。
両手を挙げて、秀峰に助けを請う坂崎。
「そうだのう。
だがしかし、その泥は、もう人の力でどうこうできるほどの固さ重さではない。
一旦その沼に嵌まってしまうと、わしでもどうやって助けていいかわからんのだ。
まあ、とどのつまりそれがお前さんの運命。
わしは、そろそろ行くぞ‥‥。
愚図に生まれてきた自分をせいぜい呪うことだ‥‥‥」
坂崎は、もうその言葉に答えることは出来なかった。
泥沼は更に坂崎の体を飲み込んでいき、ついに坂崎の顔を捉えようとしていたのである。
「うがぁぁぁぁぁっっ!!」
ついに、坂崎の口に鼻に耳に目に、泥は侵入して行った。
秀峰は断末魔の叫びを上げながら泥沼に沈んでいく坂崎を、振り返ることなく立ち去って行った。
坂崎は体を頭まで泥沼に沈めたまま絶命した。
あとには、泥沼から天に向かって突き出された坂崎の二本の腕だけが残った。
支援
支援
【D-6/道路沿い/午後】
【神威秀峰】
[状態]:健康
[道具]:スコップ 箕 チェーンソー 不明支給品1〜3 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:優勝する
【坂崎幸太郎 死亡】
投下終了しました
支援ありがとうございました
投下乙
イヤすぎる死に方だな
二本の腕になんか吹いた
投下乙
えげつない…
チェーンソーがヤバい奴に渡ったな。これからもっとグロくなる悪寒
死に方が思いっきりダメギなとこに不覚にもワロタ
投下乙ー
おっちゃああああん!!!
神威これで85歳かよwwwww
神威相変わらず元気すぎるww
投下乙です
お年寄りなのに穴掘るなんて重労働すんなよww
流石神威www
おっちゃんを追悼しつつ投下します
支援
もうウンザリだ。
佐原は、最早あの絶望の城から生還したことを幸運だとは思わなくなっていた。
一度目は、押されて落ちても助かるかもしれない橋。
二度目は、押されることはないが、落ちたら助からない橋。
そして三度目、誰かを押さなければ助からないこのゲームーーー
そんな今回の優勝賞金は、二度目の橋の比ではない。
もしもこのゲームがもっと前に行われていたのなら、佐原は間違いなく優勝を目指したであろう。
そう、例え序盤には殺人を躊躇しても、いずれ感じ始める「殺らなければ殺られる」という状況。
それを呑み込んだ後は、生き残りと人生の再起という目的の下、殺人ゲームに乗っていたはずである。
しかし、狂人と言える主催者たちの気紛れで死の淵から引き上げられた今は違う。
もうウンザリだ。腐った権力者の手の内で弄ばれるのは。
彼はそう感じていた。
(何も奴らの思惑通りに参加者を殺してまわることはない。
ゲームの後半まで身を潜め、十分金を集めた一人か二人を殺せばいい…!)
支援
佐原に支給されたのは、狙撃用ライフル・レミントンM24。
軍隊でも採用されているスナイパー用の小銃である。
接近戦には向かないが、身を潜めつつ獲物を狩るのには十分適した武器だった。
これを最も効果的に使える場所を探し、佐原は南へ向かって歩いていた。
脇道を辿りながら1.5kmほど歩いたところで、佐原の耳に銃声が届く。
そう遠くないどこかで誰かが撃たれた音。死を呼ぶ音である。
(早速敵が一人減った…か…)
平静な心中とは裏腹に、肩に吊ったレミントンが一層重く感じられる。
あの鉄骨渡りを経験した佐原は、もう余程のことでは恐怖などというものを感じないと思っていた。
あの時の絶望的な状況を考えれば、現在置かれた環境など、比べるに値しない安全さである。
しかし、今の銃声と同時に、佐原はもうひとつの音を聞いてしまった。
それはまさに、恐怖が心の奥の鉄扉を叩く音ーーー
(クソッ……落ち着け…!多分気を張り通しで歩いてきたせいだろう…)
決して長くはない距離とはいえ、4kg超の銃とデイパックを背負って歩いてきたのである。
しばし足を止めることも必要…そう思った佐原は、すぐそばの白樺の幹に背を預けた。
もちろんそれと引き替えに、レミントンを腰だめに構えることも忘れていない。
しかし、周囲への警戒を省いた佐原は気づいていなかった。
茂みに潜む板倉の白い影に。
「あっ………?」
支援
視界の端に一瞬で滑り込んだ白い袖と、その先に光る銀針が佐原の首を捉える。
注射針の細い先端が皮膚を突き破ると、鋭い痛みが皮の下を這った。
先刻まで騒々しく聞こえていた葉擦れの音が遠い。
耳には、ただ自身の血潮が轟々と駆け巡る音だけが聞こえている。
時間にしてたった数秒というほんの僅かな間に、佐原の命は再び死の淵まで引き摺り込まれた。
まさに断崖絶壁、天空に渡された鉄骨の上。
「兄さん、動くなよ…手がぶれたら毒が入っちまうからな……」
「チッ……!……殺すなら殺せよ…勿体ぶらずにっ……!!」
板倉は、それまで他人の命を握った優越感を楽しむように笑みを湛えていたが、
佐原の啖呵に白い歯をのぞかせて嗤笑をあげる。
「ハハハ…!誤解しない誤解しない…それはアンタの話を聞いてから…
とりあえず、その銃を下ろしてもらおうか…!」
人の死の隣に立って笑い声を上げる男。
そんな板倉に胸を掻き毟りたくなるような苛立ちを感じつつ、佐原は銃を足下へ落とした。
「他には…?」
「ねぇ……!他にはひとつも…!」
「……そうか、ならオーケー。本題に入ろう…このゲームでの兄さんの目的は?」
「………脱出だ。一億払っての…」
「本当に?優勝は狙っていないのか?」
「そんなこと考えちゃいねえさ……確かに金は欲しいが…
もうウンザリなんだ、あんな奴らの趣味の悪ぃお遊びに付き合うのはっ……!!」
佐原は吐き出す。体内に鬱積していた苛立ち、その叫びを。
最早相手がどちらの答えを自分に求めているかは関係なかった。
「…………そうか」
支援
それを聞き届けると、板倉は注射の銀針を抜いた。
刺し痕には滲み出た少量の血でできた朱の球が浮かぶ。
「来な……アンタに少し、話がある」
板倉はそう言って、数メートル先にある灰色の記念碑らしき物を視線で示した。
佐原は戸惑いつつもレミントンを構え直し、板倉の後ろ姿を追う。
「おい……話って何だ…?まさか協力しようなんて言うんじゃ…」
「ハハハ、察しがいいな君は…!……そう、そのまさかだ…」
「なっ………!ふ…っざけんなよ、このヤクザ…!!さっきまで人を殺しかけといて協力だあ…!?」
顔に明らかな怒りの色を浮かべた佐原を横目に、板倉はククッ、と喉を鳴らした。
「そう…オレはヤクザだ……だから知っている…!一億払っての棄権などあり得ないことを……!!」
「…何だと………?どういう意味だ…?」
「ククク…裏の社会では、暴力や権力で一度結んだ約束を反故にするなんていうのはよくあること…
そして、一度足を突っ込んだ人間は何があっても逃がさない…これも常道……
兄さん、言いたいことはわかるか…?」
「…………つまり…棄権できるっていうのは方便で…
オレたちは優勝しない限り生きては出られない、ってことか…?」
板倉は振り返り、ラステンバーグ造りの記念碑に腰を預けて言う。
「…まあ、50点だな。前半はオーケー…見込み違いは後半部分…」
「後半って…まさか……優勝しても生きて帰る保証はないって言うのか……!?」
信じがたいといった様子で言葉を被せた佐原だったが、実は心当たりがあった。
それは言うまでもなく、あのスターサイドホテルでの出来事である。
一本目の橋を制覇したにも関わらず、賞金は二本目の橋を渡り切らなければ与えないという横暴。
そうして渡った鉄骨の最後に用意されていた罠。
さらに、あの橋を渡り切ったというカイジがこのゲームに参加しているということ…
つまり、最後の鉄骨を渡り切ったとしても、何かしら理由を付けて金は渡さなかった可能性がある。
「そうか…奴らにしたら、オレたちみたいなクズが勝つなんて面白くない…見たくないんだ……っ
ならば……歓喜に浸る優勝者を引き摺り落とすところまでが、あいつらのショー…!」
「おっと、随分物分かりがよくなったなあ…まあちょっと妄想過多な気もするがね……」
「それで…策はあるのか?おっさん…」
「板倉と呼んでくれ…。残念ながら、まだ具体的なことは何一つだ。
今はまだ同志の人間を集め始めただけ……ただし、使える奴の心当たりはある…」
板倉はその言葉に続けて、宇海零と標についての簡単な説明をする。
こうして対主催の狼煙を上げ、ブレーンになりそうな少年たちを探すことで合意した二人。
だがその二対の瞳は、実は全く別の方向を向いていた。
(…案外単純だったな……何か思い当たる経験でもあったんだろう………
さて…こいつの様子じゃあ、複数箇所での王候補の選抜……この可能性はないか…)
板倉は考えていた。このゲームに隠された真の意味、目的を。
彼がこの島に呼ばれた名目は、零や標達と同じく王の代打ちの最終試験ということだった。
しかし蓋を開けてみれば、用意されていたのはそれにそぐわないルールと参加者達。
この時点で彼は、このゲームは王の代打ち選抜とは無縁の催しである可能性を認識する。
が、その一方で、それでは筋の通らない事実があった。
それは、先刻の説明会場に零と標、おまけとして末崎や山口の姿があったということ。
彼らは言うまでもなく、ドリームキングダムで行われた代打ち試験の参加者である。
特に零と標の二人はその優勝候補。
そんな彼らを、お互いの凌ぎ合いの中でなく無関係な殺人ゲームで亡くすというのは、
在全の利するところではないはずである。
また、第三の権力が候補者達を横からさらったという可能性も低いだろう。
有数の資産と権力を持つ在全グループが、そこまで迂闊であったとは考えにくい。
では、どういうことか?
つまり最初に告げられていたとおり、やはりこのゲームの目的は王の選出なのだ。
ドリームキングダムの参加者には不甲斐ない者があまりにも多すぎたため、
新たに参加者を手広く集めて選び直しをしようとしているのだろう。
板倉は複数箇所で選抜されていた王候補の最終決戦という可能性も考えていたが、
それは先ほどの佐原の発言で消えた。
支援
これらはあくまでも板倉の推測に過ぎない。
実際に板倉自身も半信半疑といった状態である。
だが、優勝を目指すにせよ別の方法での脱出を目指すにせよ、
対主催者グループとの合流は必須ーーーそれだけは確信していた。
(初っ端からちまちまと殺して回るのはとんだ愚挙……!
口減らしは勝ちを急ぐ鼠どもに任せておけばいい……
オレはその間身を潜め……時が満ちたら肥えた奴らを討ち取るだけ……
殺しを本懐としない対主催派閥……奴らはいい隠れ蓑になる……)
【F-5/藪/真昼】
【佐原】
[状態]:健康 首に注射針の痕
[道具]:レミントンM24(スコープ付き)、弾薬×30 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:とにかく生還する 板倉の言っていた宇海零と標を探す
【板倉】
[状態]:健康
[道具]:毒液入り注射器 ※どのような毒かは不明(本人確認済み)
不明支給品0〜2 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:宇海零、標を探す 対主催者と合流する
以上です。支援ありがとうございました
投下乙!
板倉は福本ロワ初のステルスマーダー?か
佐原が典型的な対主催になってて驚いた。
零と標とのフラグに期待
板倉の後半のクール良いなぁ
身を潜めて〜で最後のほうまで残りそうだな
投下乙!
板倉かっけ〜よ
良質なステルスになるかいっそサラマンダーになるか……楽しみだな
兵藤和也、投下します
このゲーム、参加者の多種多様さは見るからに異常。
名も知られぬゴロツキ、二流三流もいい所の小悪党。
世界の頂点を狙えるだけの実力があるギャンブラー、裏社会を牛耳る重鎮。
挙句その果てには、指名手配中の凶悪犯……!
ピンからキリまで揃いに揃ったラインナップ、観戦客からすれば心踊ることこの上なしっ……!!
だが……そんな中でも、一際異彩を放つものが一人。
それは観客のみならず、参加者までもが疑問を抱かずにはいられぬ存在……!
どう考えても異質っ……!
この男だけは、異質の極みっ……!!
(考えてみれば……自分からゲームをするのも久々だな……!)
兵藤和也……! 主催者兵藤和尊の息子っ……!!
そう、彼はその立場上どう考えても異質。
金も地位も才も、成功に必要なものは満ち満ちている……参加の必要性は一見皆無。
何より、兵藤和尊がその参戦を認めるとは思えない……実の一人息子なのだから、それは当然と言えるだろう……
がっ……!!
実態は逆……!
大半の者が予測しえるその考えを、事実は根底から覆す……!
そう……和也の参加を決めた者。
それは他ならぬ、兵藤和尊その人なのだっ……!!
『息子だから全てが約束されている……そんな考えが堕落の一歩……!
力がなければ、血の繋がりなど糞の役にも立たんっ……!!』
帝愛グループは完全な実力主義。
力ある者が全て、力なき者に与えられる物は何も無い……その仕組みに例外は無い。
例えそれが、会長の息子であろうと……屑ならば必要は無いっ……!!
故に、兵藤和尊は説いた。
帝愛を継ぎたいのであれば、ゲームに参加して結果を示せと……!
『ああ、勿論分かっているさ……心配するなよ……!』
そして和也はそれに乗った……!
流石は親子、力がある者が全てというその考え……それは見事なまでに一致っ……!!
そう、このゲームは兵藤和尊が和也に課した試験……帝愛を継ぐだけの実力があるか、その見定め……!
その言動の一つ一つが、行動の一挙一動が評価に直結する……!!
和也は今、試練の渦中に在りっ……!!
(当面の目標は、こいつ等との合流だな)
和也の狙いは優勝、それは言うまでもない。
彼はその第一歩としてまず、自由に使える人材を欲した。
このゲームには帝愛の関係者が数名参加している、そんな彼等に共通する点は二つ。
一つ目は、優勝を狙わなければならぬ境遇にあること……そして二つ目……これが重要……!
彼等が抱える共通のウィークポイント……彼等は和也に決して逆らえる立場ではないという事実っ……!!
逆らえば即ち帝愛に弓を引く事……絶対に無理……!
その途端、彼等はゲームで積み上げてきた全てを失わざるをえなくなる……!
金も武器もその命さえも、和也を守る為に使う他無し……!!
そして仮に背いてきたとしても、実力で圧倒することは十分可能っ……!!
駒っ……! もしくは当て馬っ……!!
和也にとっては皆、都合が良い存在っ……!!
(使える奴ならば文句は無い……が……それはこの際、少々は目を瞑ろう……!
どんな雑魚でも、それなりに働いてはくれる……精々弾除け程度にはな……!!)
赤木しげる……鷲巣巌……平井銀二……神威秀峰……天貴史……原田克己……!
所謂社会の『闇』に生きる和也は、彼等がどれだけ危険な存在であるかを知っている。
そして何より……伊藤開司っ……!!
彼と村岡との十七歩勝負において、和也は傍らで見ておきながらカイジの手を見抜けなかった。
見事に出し抜かれたと言ってもいい……故に和也は、カイジを赤木達と同格に据える……!
勝つには、一切の妥協が許されぬ猛者ばかりっ……!!
このゲーム、使えるものはどんなものであろうと使うべき……いや、使わなければ勝利は不可能……!!
(そう……どんなものでも、どんな手段でも問わずにな……)
和也はククク、と低く笑い声を上げてデイパックに手を伸ばす。
その本性は真性のサディスト……人を傷つけるのに手段など選ばない……故にこの支給品を躊躇いもなく使う……!
彼に支給された武器……ずばり当たり品……!
人類史上最も極悪な兵器……その一つ……!!
対人用地雷っ……!!
(見つけた……ここだ)
威力の程は分からないが、最低でも片足は確実に吹き飛ばせる。
運が悪ければ即死に至る……しかし……それは踏まれればの話。
踏まれなければただのゴミ……それでは無意味……!
そこで和也は取った……確実に踏ませる手段を……ギャンブルルームの入り口への設置をっ……!!
このゲームをギャンブル抜きに生き残ろうと考える者はまずいない……ギャンブルルームは必須の存在。
ならばそこを狙い打つのは、至極当然……ましてやここはすぐ隣に病院……!
人は確実に来る……爆破はほぼ確定……!!
ギャンブルルームは恐らくその性質上、かなり頑丈に出来ている。
銃弾程度はもろともせず、地雷の爆風にも耐え切れるだろう……もっとも、耐え切れず中の黒服が死んだ所で問題は無い。
そしてそれを咎められる事も無い……ルールには何ら違反していないのだからっ……!!
(ククク……結果が楽しみだな……!!)
地雷の安全装置を外し、人が来ぬうちに即離脱……その顔には変わらず笑み……!
この男の前に、他者の命は全ては肥やしに過ぎないっ……!!
勝ち上がる為の……! 何より楽しむ為のっ……!!
その姿はまさに鬼……!
野望に燃える一人の鬼っ……!!
【E-5/ギャンブルルーム付近/真昼】
【兵藤和也】
[状態]:健康
[道具]:対人用地雷三個 不明支給品0〜2個 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:優勝して帝愛次期後継者の座を確実にする
※伊藤開司、赤木しげる、鷲巣巌、平井銀二、神威秀峰、天貴史、原田克己を猛者と認識しています。
※利根川、一条、遠藤、村岡の四人と合流したいと思っています。
彼等は自分に決して逆らえないと判断しています。
※E-5のギャンブルルームの入り口に対人用地雷が仕掛けられました。
威力は次の書き手さんにお任せします。
支援
投下終了です。
題名は忘れていましたが、『異彩の事実』です。
和也はどういう参加理由が一番自然なのかを考えた末、このような形になりました。
乙です。
参加理由から逆らえない奴らまで俺の考えてたのと全く同じで吹いたw
地雷えげつないなあ。
乙です
地雷こええええ
投下に圧倒的乙。
ついに和也登場か。こいつは何気に、親父以上にラスボスっぽい雰囲気あるな
しかし怖いw
投下乙!
地雷はやめてええ!
ギャンブルルームの前に設置するとか鬼畜過ぎるw
流石どSだ
319 :
マロン名無しさん:2008/07/29(火) 08:06:50 ID:fMig39gY
みんなでましたね
ほんとだ、これで参加者全員登場か。
結構いいペースで死人が出てるなあ
今7人か?<死者
8人じゃないか?
石原、浦部、大槻、良平、坂崎のおっちゃん、澤井、安岡、邦男
美心や勝広が知ったらと思うと…
こうして見るとダークと言われる福本漫画も結構熱いもんだな。
意外とヒーロー、悪役がきっちりしてるというか
天地が引っくり返っても、理性を失って暴徒化なんてしそうにない奴と
端から頭のネジが5・6本抜けてる奴と…
投下します。
326 :
華:2008/07/30(水) 11:41:07 ID:???
市川はイラついた。
(この野郎………余計なことを……)
――そもそもの始まりは数年前。
市川がアカギに敗れたことから始まった。
麻雀は、いわゆる運の要素の強いゲームである。
長く代打ちをしてきた彼には運という存在の頼りなさを知っていた。
弱い相手でも流れに乗れば、或いは自分でも勝てないこともある。
分かりきっていたことであったし、事実それまでの負けは運が味方しなかったことによるものであった。
しかし、この時ばかりはまるで違った。
アカギに敗れたことで、名声も、地位も、自身のプライドすらもすべて失った。
才能。
アカギにはそれがあり、自分にはそれがない。
自分は所詮凡夫であった。
長年代打ちをしてきて掴めなかったものを、たかだか十三歳の少年が掴んでいたという事実が彼を打ちのめす。
――老い先短い自分には、この頂を見ることはもはや叶わないのだ。
残ったのは、深く暗い哀しみだけ。
こうして、代打ち「市川」は死に、あとには抜け殻が残った。
327 :
華:2008/07/30(水) 11:41:37 ID:???
それから数年、市川は牌を握っていない。
あの戦いの後、彼は姿を消した。
――中身の無い抜け殻は死ぬべきである。
盲目である、やがては野垂れ死にするであろう。
そう考えて流浪の旅に出たのだが、奇妙なことに生き永らえた。
だが、もう長くはないだろう。
一人孤独に死ぬのもいいかもしれない。
そう考えていた矢先の出来事である。
「市川さん……ですね」
「……ああ」
居心地の悪い居酒屋で一人、不味い酒を楽しんでいた時だった。
声をかけてきたのは妙に畏まった口調の男。
この手の男の言うことは大体決まっている。
「隣………いいでしょうか?」
「………代打ちの話なら断る」
アカギに敗れたとはいえ、代打ちとしては日本有数の男である。
復帰の話を持ちかけられることは多い。
しかし、自分の限界を知ってしまった彼はこの手の話にうんざりしていた。
もう二度と麻雀をするつもりはないのだ。
だが、この時はいつもと違っていた。
「いえ……麻雀をお辞めになったことはよく存じ上げております。
そして………あなたは今、死に場所を探していることも…………」
そういって男は小さく笑う。
328 :
華:2008/07/30(水) 11:42:20 ID:???
「………何が言いたい」
「あなたに死に場所を提供しようと言っているのです。命をかけたギャンブル……バトルロワイアルに」
「バトルロワイアル?」
市川は男に尋ねる。
男は、命を奪いあうギャンブルであること、十億の賞金が出ること、
あのアカギも参加させる予定があることなどを事細かに語った。
「いかがです?」
「ククク……面白え………十億もアカギも興味はないが………やらしてもらう」
もう生きることに意味は無い。
だがどうせ死ぬならば、華々しく散ってゆきたい。
それが彼の最後の見栄であり、未練であった。
「死んで………華となるさ」
――こうして市川はこの地に立ったのであった。
「あ、そこ危ないですよ」
男は手を引きながら言う。
杖を落とすと下手に歩くこともできなくなるのだ。
目が見えないというのは、こういうときに煩わしい。
だが、更に煩わしいのは、石田と名乗ったこの男。
「あの………どうかしました?」
「いや……何でもねえ」
329 :
華:2008/07/30(水) 11:42:49 ID:???
一度はこの男を道連れに死のうかとも考えた。
だが、目が見えなくとも分かる。
あまりに華が無い。
下らぬ甘い男と心中したとして、それが何になろう。
自分の死に相応しい機会はまた来ると思っている。
「ところで………どうしてこのギャンブルに参加を?」
石田はたわいもない話を振ってくる。
答えるのも億劫だが、杖の無い今、この男の機嫌を損ねるのはあまり宜しくない。
隠すようなことでもないので正直に話した。
「………華になりたいのさ」
「…………はな?」
「ククク……お前のような男にはわからんだろうが………死に場所のことだ」
「それは……つまり………その……自殺ってことですか?」
石田の言葉に市川は黙った。
――この男は何か勘違いをしている。
もとより、自分は死んでいるのだ。
ただ抜け殻が意思を持って動いているだけである。
自殺だの何だのは見当違いも甚だしい。
だが石田は沈黙を肯定と解釈したのか、その見当違いな反論をぶつけてきた。
「そんなの……ダメッ………!ダメですよ……自殺なんて………何があったかは知らないですけど……
希望を持っていれば誰かが助けてくれることだってあるっ………!」
市川は苦笑する。
端から他人に頼った考え方――ここまで他人本位の男も珍しかろう。
自分の無い人間ほど滑稽なものはない。
もっとも形こそ違えど、今や抜け殻となった市川自身にも同じことは言えるが。
支援
支援
支援
「ククク……そうありたいものだな」
「そうですよっ……」
「なら一つ聞こうか………この地でどんな希望がある……?」
石田のような男にこんなギャンブルで生き残れるはずがない。
いつの世も、勝ち残るのは自ら先頭に立って行動したものである。
当然希望などあるはずがない。
ところが石田の返答は意外なものであった。
「ありますっ……」
「ほう」
市川は素直に驚いた。
「それは一体…」
「支給品にあったんです……たった一つだけど………希望の光……!
この拡声器で遊園地のバンジージャンプの台から呼びかけるんです!
殺し合いに乗ってない人を集めればなんとかなるかもしれない………!
特にカイジ君っていう人なら何とかできそうな気がするんです」
「ククク……なるほど、そいつは面白い」
「そうですよね!」
能天気な男である。
皮肉も分からないのであろうか。
確かに面白い話ではあった――市川にとっては、だが。
そんなことをすれば、「ここにいます」と殺し合いに乗った連中に宣言しているようなもの。
千万円を抱えている獲物がいる以上、我先にと人は集まるのは目に見えている。
(どうやら……早速機会は来たようだな)
――求めていた死に場所はそこにある。
集まった猛者達をダイナマイトで吹き飛ばす瞬間、彼は華となれるだろう。
市川は石田の評価を上方修正した。
どうやら杖の代用品は、とんだ拾いものであったようだ。
(ククク………華を映えさせる……さながら良くできた花瓶か………)
【C-3/アトラクションゾーン/午後】
【石田光司】
[状態]:健康
[道具]:拡声器 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:拡声器で殺し合いに乗っていない人を集める カイジと合流したい
常識の範囲内で困っている者は助けるが、状況による
※有賀がマーダーだと認識
【市川】
[状態]:健康
[道具]:産業用ダイナマイト(多数) コート(ダイナマイトホルダー) ライター
[所持金]:1000万円
[思考]:石田と同行する 死に場所を求める
※有賀がマーダーだと認識
代理投下は以上です。
毎度投下乙です
拡声器来ちまったああ
アトラクションゾーンの参加者たちに波乱の予感…wktk
乙!
呪われた支給品が石田さんに…w
死にたがりの市川にぴったりの支給品だな
定番の拡声器がまさか石田さんにwwwwwww
石田さんに色んな意味で死亡フラグがwww
死者スレを立ててきた。
後悔はしていない。
どなたかパロロワwikiに福本ロワ載せてくれんでしょうか……
今のうちに宣伝効果期待して載せておきたい
自分で載せたいのはやまやまなんだが携帯厨なんで……
あと関係ないけど死者スレみて吹いた
アトラクションゾーンやべえな
このメンバーが集まるとなると
誰が死んでも大波乱だぞ
まさに戦争だろうがっ……!
マーダー分布図。
北:拡声器の石田さんと自殺志願者市川、黒澤ラブの仲根。
西:復讐鬼一号利根川。
南:ドSのぼっちゃんと鷲巣様、復讐鬼二号一条、ステルスヤクザ板倉。
東:ステルスタバコ船井にアグレッシブジジイ神威。
ホテルから未移動:凶悪殺人鬼有賀。
……あれ、安全地帯無くね?
>>341 とりあえず載せてきたよ
文章とかは適当に手を加えてくれるといいかも
人いるかな?投下します
いつでもWelcome……!!
「森田………森田鉄雄…!」
森田は背後から不意に名前を呼ばれ、その顔に一瞬緊張の色を走らせた。
十分な警戒をしていたつもりだったのに、忍び寄る人影に気づくことが出来なかったーーー
己の迂闊さに歯噛みしながら、声のした方向を振り返る。
「……………遠藤……!!」
立っていたのは、森田をこのゲームに引きずり込んだ張本人、遠藤であった。
遠藤は軽く手を挙げて形ばかりの挨拶をする。
が、森田はそれを待たずに遠藤へ差し寄り、初めて出会ったときと同じように襟をねじり上げた。
「ぐっ…………」
「どういうことだ……殺し合いなんて…聞いてねえぞ……!!」
「ックク………よせよ…!俺だって知らされちゃいなかったんだ……」
今にも噛み付きそうな瞳で睨み上げる森田。しかし、遠藤に怯む様子はない。
胸元を掴む森田の腕を右手で捉えると、ニヤリと挑発的な笑みを浮かべる。
「それに、この島にいる以上条件は同じ……こっちも命を張ってるのは変わらない…」
そう、遠藤自身もこのゲームの参加者である。
ここで今さらこの男を責め立てても詮無いこと。そんなことは森田自身も十分理解していた。
だがその一方で、理性の蓋では閉じこめておけない怒りが、森田の身体の中を巡って止まないのである。
遠藤の指先が森田の腕を僅かに圧迫する。
数秒の後、森田はようやく怒りを腹に収めると、跳ね飛ばすように掴んでいた手を離した。
「………クソッ……!」
「ゲホッ…………フン、そうさ…俺たちは同じ穴のムジナ…せいぜい仲良くやろうぜ……」
遠藤は乱れた襟元を整えつつ森田に向き直って言う。
仲良くやる?
よくその風体で言えたものだ。
当然、森田に遠藤と「仲良く」やっていく気などあるはずもない。
森田は遠藤を一睨みすると、そのまま背を向けて歩き出そうとした。
だがそんな睥睨など意に介さず、遠藤は去ろうとする背中に再度声をかける。
「待てよ森田……!組まないか?俺と…」
「………ふざけてんのか……?なんでアンタなんかと組まなきゃならない…!?オレは御免だ……!」
「まあそう言うなよ……別にちゃちな仲間ごっこをしようってんじゃない…」
遠藤は相変わらず口元に嫌味な笑みを浮かべたまま、再び森田との距離を詰めていく。
「お前はこのゲーム…殺し合いに乗る気なんてない……
あくまでもこの間の写真の奴らを救出するのが目的……そうだろ?」
「…………………。
…救出か………そんな大層なことは考えちゃいない…神威の二人はともかく…」
平井銀二は別、そう言おうとしているのは遠藤にもわかった。
確かにあの男は、参加候補者の中でも別格。
主催者の息子である兵藤和也を除けば、
神威秀峰や鷲巣巌といった権力者達とすら一線を画しているだろう。
『帝日銀行頭取・土門猛や政治家・伊沢敦志と強い繋がりを持ち、
日本屈指の資産家である蔵前仁との地下ギャンブルで勝利』
数行の記載しかない名簿の詳細欄には、これでもかと言うほど錚々たる人物達の名前が踊っていた。
(そうだ…銀さんはオレの助けなんてなくても生き残れるだろう……
でも…もし、万が一、ってことも無いとは言えないのがこのゲーム……!
その「万が一」のためにオレはいる………)
「まあ、細かいことはいい。とにかく、人を殺して回ろうってんじゃないのは確か…
俺もそうさ……参加したのだって、簡単に言やあハメられたんだ。
だから金でなんとかなるならそれで済ませたい…殺しなんざしたくねえ……
ま、一番良いのは、この馬鹿げたギャンブルがなくなっちまうことだがな………」
半ば自嘲の音を混じらせながら、すらすらと虚言を吐き出す遠藤。
言わずもがな、彼は今までの人生で何万回と似たようなことをこなしてきた男である。
今さら言い淀むことはない。
「フン…信じられるかよ……っ!」
「そうだろうな……いいさ…全幅の信頼なんて端から期待してない…
ただ…これから行動を共にするなら、多少は信じてもらえないと困っちまう」
勝手に同行する前提で会話をする遠藤に、森田は食傷気味な表情を見せる。
遠藤は肩をすくめて溜め息をつくと、おもむろにデイパックの中から一綴りの書類を取り出した。
「俺の唯一の支給品さ…このゲームの参加候補者の情報が載っている」
「…情報………?」
「これが俺の生命線……!同行してくれるなら見せよう………!」
しかし…支援っ!!
森田は戸惑っていた。
遠藤は一にも二にも信用出来なさそうな男である。当然同行などしたくはない。
だが、情報ーーーどこまで詳細が記載されているかは不明。
そもそも、その内容が正確なものであるかもわからない。
しかし、限られた人数で行われているこのバトル・ロワイアルにおいて、
情報は多分に有用な武器のひとつである。
森田に選択の余地はなかった。
「…………悪いが…オレはアンタにやれるもんなんてないぜ…」
「構わねえさ…武器も持たずに一人で歩き回るよりは、お前といる方が危険は減る…
それだけでも俺にとっちゃ恩の字だ……とりあえずはな…」
「ケッ……言っておくが、アンタが襲われても助ける気はないからな……!」
「クク…上等上等。俺とお前はあくまでも同行者…それ以上でもそれ以下でもない……だろ…?」
「……………なら、いい…」
遠藤は参加候補者名簿を地面に置き、早々と情報交換をする体勢に入る。
支給品の時計は14時を指していた。
◆
「とりあえず…このくらい、か……」
それから十数分。
整然と文字や写真が並んでいた名簿は、所々朱の乱雑な字で彩られていた。
二人が主に行ったのは、参加している人物の絞り込みと危険人物のチェックである。
名簿には森田の知る巽や川田の名前が載っていたが、
説明会場での記憶と照らし合わせて不参加が確定。
安田も同じく名を連ねていたが、五十音順で森田よりも遅いために確実な判断はできなかった。
似たような背格好の人物を見ていたこともあり、彼については保留となった。
また、二人が印を付けた危険人物は
有賀、神威秀峰、利根川、一条、村岡、兵藤和也の6人。
しかしこれはあくまでも最小限であり、単なる目安でしかない。
誰が殺人鬼になってもおかしくないこのゲームでは、突き詰めれば全ての人間が危険人物なのだから。
「そうだな……じゃあ、さっさと行こう。時間が惜しい」
支給品のペンをデイパックに放り込んだ森田は、手早く立ち上がりスタスタと歩き始めた。
遠藤もそれに続き、慌ただしく名簿をしまい込みながら森田の背を追う。
「ったく、気持ちは分かるが置いていくな……!
ところで森田……どこに向かうつもりなんだ?」
「向かうのはD-7…大型ショッピングモール」
「ショッピングモール………?」
支援は僕らの手の中……。
遠藤の疑問の答えは明らかにされないまま、二人は目的地のショッピングモールに到着した。
ガラスの扉越しに見える館内は薄暗く、放課後の学校を思わせる不気味さが漂っている。
二人が近づくと、自動ドアはあっけなく開いた。建物自体に電気は通っているようだ。
巨大な吹き抜け構造の館内に、森田達の足音が甲高くこだまする。
期待はしていなかったが、エスカレーターは電源が切られ、単なる階段と化していた。
そんな中、唯一灯りを点すエレベーターが一層不気味さを煽っていた。
3階のフロアに立った森田は、立ち並ぶ家電製品の間をすり抜けてある一角に向かう。
「あった………!」
森田の視線の先にあったのは、パソコン売り場。
煌びやかなポップがいくつも踊り、互いに性能の良さを競っている。
森田がこの地を目指した目的は、ここに来てやっと遠藤の知るところとなった。
一台のパソコンの電源を探る森田の手にあったのは、
彼の支給品、一枚のフロッピーディスク。
「……えっと……あれっ……?」
「………貸してみろ」
おそらくパソコンというものを使い慣れていないのだろう。
遠藤は、電源を入れるのに試行錯誤する森田からフロッピーを奪い取ると、
手早く本体とディスプレイのスイッチを入れ、パソコンを起動した。
「はあ………慣れてるんだな………」
「…フン……仕事である程度はな………」
たかが電源を入れただけで感心する森田に、遠藤は調子を狂わされそうになる。
遠藤はフロッピードライブに半ばまでディスクを突っ込むと、何を思ったのかぼそりと呟いた。
「これ……入れたら爆発とか………」
が、背後からの視線が険しくなったのを感じ、素直に挿入する。
直後、本体からぎこちない読み取り音がして、ディスクの中身が画面に表示された。
「……これは…………?」
12 D-4 イガワヒロユキ ムラオカタカシ
【D-7/ショッピングモール/午後】
【森田鉄雄】
[状態]:健康
[道具]:フロッピーディスク 不明支給品0〜2 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:銀二の手掛かりを得たい フロッピーの中身を確認する
【遠藤勇次】
[状態]:健康
[道具]:参加候補者名簿 不明支給品0〜2 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:森田を利用して生き延びる フロッピーの中身を確認する
※遠藤は森田に支給品は参加候補者名簿だけと言いましたが、他に隠し持っている可能性もあります
以上です!支援ありがとうございました。
いちいちネタが盛り込まれててワロタw
おお、この支給品は興味深いっ…!
爆弾作ったけど、ラスボスに殺される役ですね
投下乙です。
面白い支給品きたね。
森田はこれで銀二を捜すのかな?
wikiの「華」なんですが時間表記が間違っているようです。
真昼→午後
どなたか修正お願いします。
毎日続きが楽しみで仕方ない
投下します。
363 :
武器:2008/08/03(日) 09:59:55 ID:???
鷲巣は焦っていた。
(グゥ……不味い、急がねば……)
このままではギャンブルルームに入ったあの二人に見つかるだろう。
当然連中に肉体的に不利な要因があるとは考えられないこと。
対して鷲巣は脚が動かないという決して良くない状況。
このままでは彼は連中の獲物――それだけは避けたかった。
王とは狩られる立場の人間では無い。
狩る立場の人間である。
(チッ………仕方ない)
鷲巣は這って茂みへと移動する。
殺した男の支給品は回収しておきたかったが、やむを得まい。
どのみち殺傷力に欠けるゴム弾である。
大した武器では無いのだ。
何者かに取られたとしてもさほど問題はないだろう。
(まあここは見つからないだけで十分………ワシの運があれば後でいくらでも挽回できよう)
* * *
「クク………死んでる……ククク……」
有賀は死体へと近づく。
目的は死体が手に持った武器。
いかに彼が無差別に殺しを楽しむ殺人鬼であるといっても、死体自体にはさほどの興味がなかった。
彼が好きなことはあくまで自らの手で誰かを傷つけ、殺すという行為。
目の前の死体は他人の手によって殺されて、その結果残ったものだ。
そのようなものは、無論どうでもいい存在である。
364 :
武器:2008/08/03(日) 10:00:30 ID:???
それよりも死体の持つ武器こそが彼の探し求めていたものだった。
優れた武器こそが何よりも欲しかった。
このグレネードランチャーはその条件を十分に満たすものである。
有賀はグレネードランチャーを手に取った。
つい最近発射された形跡がある――この死体が撃ったものであろう。
続いて転がっていた支給品のバッグを開ける。
他にはどれだけの武器があるのか、有賀にはその期待がある。
しかし、中身を見て彼は微かに落胆した。
入っていた武器はゴム弾が残り九発だけ。
(ククク……ハズレ………ただの玩具………)
容易に相手を殺せる武器では無い。
有賀は興を失った。
一人や二人殺すのならこれとナイフで十分だろう。
しかし、ここではもっとたくさんの人間を殺せるのである。
もっといい武器が欲しい。
有賀は一応弾を詰め支給品を回収すると、死体に顔を近づけ血を舐めた。
まだ温かく、血も乾いていない。
死んで間もなくといったところである。
だとすれば、この死体を作った者はまだ近くにいるのではないか。
(この子を穴だらけにした武器……欲しい………!)
有賀はざっと辺りを見回す。
ちょうど何かを引きずったか、或いは這ったかのような茂みに続く跡が見つかった。
365 :
武器:2008/08/03(日) 10:01:08 ID:???
置いて行かれた支給品、撃たれた形跡のあるグレネードランチャー、怪しい痕跡。
これだけ材料があれば何が起こったかは容易に想像がつく。
「ククク……キキ………」
有賀は笑いながらその場を離れた。
* * *
「チッ……来んのか………面白くもない………」
鷲巣はぶつくさと一人言を言った。
彼は罠として、敢えて這った跡を残していたのだ。
相手が跡に興味を示せば、鷲巣の目の前まで自らやって来る。
鷲巣は座ったまま標的に向かって引き金を引くだけで良い。
この脚で自ら攻め入るのは困難だが、待ち伏せなら問題なく殺せるだろう。
万が一相手が感づいて先に銃で撃ってきたとしても、防弾チョッキに防弾メットもあるのだ。
自分の身は余程安全である。
そこまで計算していたのだが、肝心の相手が気付かなければ意味はなかった。
(ククク……まあいい………来んなら来んでゆっくり回復できる……)
もともと行動出来ないからこそ潜伏したのだ。
殺して回るのは動けるようになってからでも遅くはない。
――そう思った矢先の出来事だった。
「クク……ククク………やっぱりいたんだ」
後ろから声をかけられハッと振り返る鷲巣。
そこにはグレネードランチャーをこちらに向けた男が立っていた。
「ぐっ………!」
366 :
マロン名無しさん:2008/08/03(日) 10:01:39 ID:IhR3fgwL
支援
367 :
武器:2008/08/03(日) 10:02:02 ID:???
慌てて鷲巣は銃を構えた。
しかし、引き金を引くより一瞬早く右腕にゴム弾を撃ち込まれる。
「グガッ……!」
右腕に激痛が走った。
右腕の骨にひびでも入ったのだろう。
その痛みで鷲巣はウージーを落とした。
「ククッ……カカカッ……!危ない危ない……回り込んできて良かったよ………!
真正面から撃たれちゃあたまらない……!」
男は喋りながら落としたウージーを拾う。
「こういうのを探してたんだ……!
……これは貰うね………僕は殺す、君は殺される……ククク………僕が持った方がいいでしょ」
「やめっ…!」
男は、無論鷲巣の制止を聞かずに銃をこちらに向けて撃ち始める。
痛みを感じる間もない。
鷲巣の目の前は、そのまま真っ暗になった。
「うっ……ワシは………?」
鷲巣が目覚めたとき、あの男はもういなくなっていた。
銃も防弾メットもバッグも無い。
防弾チョッキが残っているのは不幸中の幸いであろう。
彼が殺されずに済んだのは三つの幸運によるものだった。
支援
支援
370 :
武器:2008/08/03(日) 10:02:49 ID:???
まず一つ。
防弾ヘルメットをしていたため防弾チョッキを着ている胴体を狙われたこと。
無論防弾チョッキを着ているといっても衝撃は大きい。
その衝撃で今度はあばらにもひびが入り、そのまま気絶した。
これが二つ目の幸運である。
そして最後に、あの男がいい武器を手に入れた興奮のあまり生死の確認を忘れていたこと。
防弾チョッキ、気絶、確認忘れ――いずれが欠けても鷲巣は死んでいただろう。
こうして生き延びたことに、鷲巣は天の意思を感じずにはいられなかった。
あの男は必ず自らの手で息の根を止める。
幸運は再び巡ってくるはず。
鷲巣は気持ちを衰えさせることなく、状況を好転させる策を練り始めた。
【E-3/道路沿い/午後】
【有賀研二】
[状態]:健康
[道具]:果物ナイフ 不明支給品0〜5(確認済み) グレネードランチャー ゴム弾×8
, サブマシンガンウージー 防弾チョッキ 支給品一式×5
[所持金]:4000万円
[思考]:人を殺したい
【E-3/ギャンブルルーム付近・茂み/午後】
【鷲巣巌】
[状態]:ひざ裏にゴム弾による打撲 一時的に動けない 右腕にひび 肋骨にひび
[道具]:防弾チョッキ 支給品一式
[所持金]:0円
[思考]:この状況を打開する策を練る 有賀を自らの手で殺す
終わり?一応支援
連投規制食らったorz
投下は以上です。
支援ありがとうございました。
乙です
有賀相変わらず冷静と狂気兼ねそろえていい味してる
状態欄が鷲巣ボロボロすぎて吹いた
鷲巣生きててよかった
だが死ぬな
投下乙!
予約の時点で鷲巣様は死んだなと予想していただけに
生き延びるとは思わなかったぜ!
有賀の装備が着実にグレードアップしているwww
最強マーダー確定かな?
乙です
鷲頭はもう運が良いのか悪いのかわかんねえww
満身創痍でもやる気満々なところがとても鷲頭らしくていい!
とうとう有賀にいい武器が渡ってしまって恐いやら楽しみやら…
有賀の所持品、防弾チョッキは防弾ヘルメットの間違い?
今気づいたが有賀にはそろそろ基地が必要だな
5人分の支給品は重いw
「3人目のアカギ」投下します。
平山が利根川の前から立ち去って十数分が過ぎた。
どのくらいの距離を走ったかは分からないが、周りの景色は十分に変わっている。
とりあえず利根川本人の監視からは解放されたのだろう。
わずかな安堵を感じながら建物の壁に寄りかかり、溜め息を吐き出した。
青い空を仰ぎ見ながら、これが夢ならばどんなにいいだろうと何度も考え目を瞑る。
しかし、肩に宿る痛みと熱は、平山に一時の逃避も許してはくれなかった。
少し視線を落とせば、視界の端に入る金属器が平山の心臓を締め上げる。
『オ前ヲ見テイルゾ』
首輪に取り付けられたその針具は刺々しい光を反射させ、
そう主張しているかのようだった。
今の自分は利根川の狗だ。
こんなところまで来てもなお、誰かの手駒でしかない。
だがそれでも、生き延びたいという欲求は消せない。消せるものか。
死んだら全て終わりだが、生きていれば常に微かな希望はある。
だから今は、あの男の言いなりになってでも命を繋ぐべきなのだ。
平山は先ほどまで自分を支配していた恐怖をやっと飲み込み、代わりに菲薄な虚勢を手にした。
さて、あまり愚図愚図もしていられない。
最初の定時放送まであと5時間足らず。
容赦というものを知らないあの男のことを考えれば、空手で合流するなどということは許されないだろう。
早いうちに少しでも要求をこなしておかなければならない。
しかし、散った40余りの人間の中から特定の人物を捜し出すのは骨が折れる作業だ。
何か良い方法がないか模索するも、役立ちそうな支給品すらない。
そしてもう一つ、肩の傷のことも気がかりだった。
太い血管をはずしているのか、出血量はそれほど多くない。弾も貫通している。
とはいえ、このまま放っておけば化膿する危険性もあり、決して馬鹿には出来ない傷だ。
早めに消毒だけでもしておきたかった。
平山は傷ついた肩をきしませながら地図を広げ、コンパスをその上に放る。
今の位置は、エリアにするとD-3。
平山はしばらく思考を巡らせながら地図と睨み合いをしていたが、
なにかを思い出したように顔を上げて呟いた。
「……そうだ…!遊園地なら…警備棟みたいな場所があるかもしれない」
警備棟、そこに平山が求めているのは二つの要素だった。
一つは、応急処置用の道具。これは単純に肩の傷の手当のため。
もう一つは、モニタールームの存在。
たいていの遊楽施設には、警備のために多くの監視カメラが設置されている。
当然この島のアトラクションゾーンもその例に漏れず、
至る所にひっそりと備え付けられたカメラが確認できた。
それらをモニタリングする警備室のような場所を探し出せれば、
どのエリアにどんな人間がいるのかを知ることは容易いだろう。
「よし、まずは……入り口付近から行こう」
あるとすれば、奥まったエリアか、その逆の入り口に近い場所。
そう考えた平山は、まず東に向かって歩くことを決めた。
(おっと。この傷は隠しておいた方がいいな…)
手負いだということを遠目で悟られれば、狙われる確率は高くなる。
平山は血ぬれのスーツを脱ぐため、デイパックを足下に下ろした。
近距離から撃たれたせいで銃創の周りは火傷を負い、焦げた衣服が貼り付いている。
痛みに呻きながら上着を傷口から引きはがすと、
半ばほど固まった赤い結晶がパラパラとこぼれ落ちていった。
デイパックにしまい込んだ上着は、長い時間止血を怠っていたために
左腕部の大部分が血液で赤く染まっていた。
◆
(誰か…こっちへ来る………!)
村岡との勝負を終えた井川ひろゆきは、
戦利品である首輪探知機を手にアトラクションゾーンへと入っていた。
現在の設定探知範囲は100メートル。画面にはいくつかの光点が動いている。
そのうちのひとつが自分のいる方向へ向かってきていた。
ひろゆきは鉢合わせを避けるため、植え込みに身を潜めて様子を伺うことにした。
着実に近づいてくる足音。
それはひろゆきの近くを過ぎ去る前に、ある建物の影で止まってしまう。
草葉の陰から伺い見るに、足音の主は傷を負っているようだ。
ホテルで見た赤木しげると似た奇抜な銀髪が揺れている。
若い奴らの流行なのか?それにしてもすごいファッションだな…
などと見当違いなことを考えつつ、ひろゆきは観察を続ける。
すると、いくらも経たないうちにその人物は立ち去っていった。
青年がある程度離れたのを確認してゆっくりと立ち上がる。
(ん……あれは………?)
彼がいた場所に、数滴の血痕に混じって一枚のカードのような物が見えた。
特に役に立ちそうには見えなかったが、わすかに興味をそそられ、それを拾い上げる。
すると、それを見たひろゆきの顔は驚愕の表情に一変した。
「なっ……!ど、どういうことだ……?」
思わず頓狂な声をあげる。
その紙切れには、彼の敬愛する人物―――赤木しげるの名が刷られていた。
そう、ひろゆきが手にしているのは、平山が偽アカギとして活動していたときの名刺である。
件の対局以来不要になり処分したはずが、上着に紛れ込んでいたのだろう。
だが、ひろゆきがそんな事情を知るはずもない。
「…あいつは…あの赤木について何か知っているのか……?」
赤木しげると同じ名を持つ者がふたり?
いや、ひろゆきがホテルから出る前、あの青年の名前は呼ばれていなかった。
ならばあの名刺はあの赤木のものなのだろうか。
憶測だけ繰り返していても仕方ない。やはりあの青年に話を聞く必要がありそうだ。
相手は武器も手にしていない手負いの人間。慎重にいけば危険は少ないはず―――
ひろゆきは青年の立ち去った方向に向き直り、足早に植え込みから這い出した。
◆
「あった………」
数百メートルほど歩いたところで、平山はそれらしき建物を見付けた。
周囲を警戒しつつ来たため予想以上の時間を費やしてしまったが、
ここに求めている設備があれば大した問題ではない。
唯一の懸念であった施錠がされていなかったことも僥倖だった。
(フフ……ちょっとはツキが回ってきたのかもしれないな……)
不便さを感じながらも、右手でハンドル状のドアノブを下ろす。
左足をねじ込んでドアを開けると、そのまま滑り込むようにして建物の中へ入った。
最初の部屋は事務処理を行う部屋のようだ。放送機材が壁際に並んでいる。
足早に奥に進むと、security roomというプレートが見えた。
やはりあった、求めていたものが……!
しかし心の中で喜び勇んだのも束の間、彼はここであることに気がつく。
―――ドアの閉まる音がしていない。
聞き逃しただけか?いや、ドアに静音加工でもしてあったのか?
血の気が引いていくのを感じながら、平山は操られたように首をドアの方へ向けた。
目に入ったのは、一筋の光を湛えた日本刀。
更に一呼吸遅れて、それを握る男の姿を認識する。
「アッ………アンタは………?」
「……聞きたいことがあるんだ……君が何もしなければ、危害を加える気はない…」
「………聞きたいこと…?」
ツキなんてなかった。平山はただそのことに落胆していた。
「…フン……わかった…答えよう……」
「よし………君がいた場所でこれを拾った。……赤木しげるとは、どういう関係なんだ?」
ひろゆきの手に握られた名刺を見て、平山は思わず失笑を漏らしそうになる。
どこにもぐり込んでいたのやら。全て破り捨てたはずだったのに。
「…大したことじゃない……オレは奴の名前を借りてヤクザの代打ちをやっていただけの話…
それはオレを拾った奴に持たされた名刺さ……」
(なるほど……やはり彼もその世界の人間か………)
「名を騙ってたってことは、彼…赤木がどういう人物か少しは知ってるのか?」
「まあ多少はな…実際に会ったのは2回程度……知ってるのは得体の知れない男ってことくらい…」
「…………それだけ…?」
「ああ……アンタは残念だろうが、事実まともに対局もしてねえんだ」
そんな目でオレを見るな。
勝手に期待され、勝手に落胆されるのはもううんざりだ。
「予定はあったが……その前に雇い主にも相方にも見捨てられちまったからな…
そんなオレがあんな奴の何を知っているもんか………
大勝負に負けて裏の世界を追われた挙げ句、こんなところにまで来て他人の駒のオレが……っ!」
平山は半ば捨て鉢になって吐き捨てる。
何も自ら自身の恥を晒すことはなかったが、
もう平山にはこみ上げて来る言葉を止めることが出来なかった。
ここでも求められるのはあの赤木しげるか。
オレには運もない。力もない。必要とされていない。
生きていれば常に僅かな希望があるだなんて言ったのは、どこのどいつだ?
生きたいという心とは裏腹に、自分を投げ捨ててしまいたい衝動が平山を駆り立てていた。
うお、投下来てる。規制大丈夫かな?
「そうか、わかった…………縛ってるのは、それ?」
「そうさ…取り外そうとすれば起爆……奴の命令に背けば針が伸びて首輪が爆発って代物…
わかるだろ……?これがある限り、オレは逃げられないんだ」
「…ふうん…………外そうとかは…考えないのか?」
「そりゃ、外せるもんなら外したいぜ……!
だがそんなことはもう諦めた……言うこと聞いてりゃその間は生きてられるんだ……
何もわざわざ危険を冒すことはない……」
「なるほど……それじゃあ代打ち界を追われるのも当たり前……」
「…………何……?」
「そんな根性じゃ……ここでも狗扱いされて当たり前だって言ってるんだ……!」
「何だって…………?アンタに何が…!」
「できないって諦めて……やろうともしないで…ただ言いなりになっている………
オレは、そんな奴が赤木しげるを騙っていたことが許せない……っ!」
ひろゆきはそう言って平山に背を向けた。
ひろゆきは、平山にかつての自分の面影を見ていた。
強大なもの、一見敵わないものを前にして、萎んでしまう気持ち。
自分には勝てないと決めつけて、扉を閉ざしてしまう気持ち。
同じだ。状況は違えど、赤木が逝く前までの燻っていた自分と同じ―――
だからこそ腹が立った。
ちっぽけな価値観から、彼の最期にろくでもない言葉しか言えなかった自分。
そんな矮小な自分に似た者が赤木の名を口にすることなど、許せなかった。
「……待てよっ……!じゃあ……じゃあどうすりゃいい…っ!!
アンタはなんでそんなに平静でいられる…?なんで悠長に他人捜しなんてしていられるんだ!?
この殺し合いの中で………恐くはないのかっ……!?」
「………そりゃあ恐い………
殺すこと、殺されること……死んでしまうこと……
でも……遅かれ早かれいつかは死ぬ……!それはこの島の内でも外でも変わらない……
だったら、やりたいことをやれるだけやりたいんだ……
恐れて…諦めて…できるはずだったこともやらないで死にたくはない……!
できる限り自分の心に沿う…そうして生きてから………死にたいんだ………!」
平山は黙って一言一言を聞いていた。
ふと、首に噛み付いている針具に指先で触れる。
突き出た針は冷たくて、堅い。
この枷を外すのは、「できること」なのだろうか。
わからない―――わからないから、今の自分にできるのは、それに向かって足掻くことだけ。
それがやっておくべき「できるはずのこと」。そういうことなのだろう。
平山は静かな声で自問するように問いかける。
「……………そうして…そうやって生きて……その結果死んでも、満足か……?
その途中で…やりたいことをやりとげられないまま死んでも……」
「……何もせずに死ぬよりは、ずっといいよ」
平山は、ただ頷いていた。
【C-4/事務所内/午後】
【平山幸雄】
[状態]:左肩に銃創 一時的に精神不安定 首輪越しにEカードの耳用針具を装着中
[道具]:不明支給品0〜3(確認済み) 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:引き続き利根川の命令には従うが、逃れる術も積極的に探る
【井川ひろゆき】
[状態]:健康
[道具]:日本刀 首輪探知機 不明支給品0〜2(確認済み)
村岡の誓約書 ニセアカギの名刺 支給品一式×2
[所持金]:1700万円
[思考]:赤木しげるとギャンブルで闘う ギャンブルで脱出資金を稼ぐ 極力人は殺さない
平山の動向次第で手助けも考える
※村岡の誓約書を持つ限り、村岡には殺されることはありません。
さるさんセーフだったみたいですね。
長くなっちゃいましたがご容赦下さい。
投下乙!
平山はひろゆきと出会えて多少は救われたかな?
日本刀を持ったひろゆきが妙に恐く感じたのはきっと俺だけ
乙っ
投下乙です!
ひろゆきかっけえなあ……
流石赤木のスタンド使いだw
平山はグレーゾーンだし今後が楽しみすぎる展開だな。
続きが早くも気になる。
平山とひろゆきの動向に注目せねば。
>>377 その通りです。
防弾ヘルメットでした。
焼き土下座してくる………
orz
394 :
炎炎:2008/08/03(日) 22:59:21 ID:???
乙!
ひろゆきアツいなあwこの2人の組み合わせ楽しみだ!
投下乙!
熱い展開になってきたな。
日本刀構えたひろゆき、想像すると笑える
そんな所でアカギを真似しなくてもいいだろw
この後ひろゆきがアカギのスタンドを駆使してひろゆき無双の展開になるんですね分かります。
流石自重しない男、ひろゆきwww
投下します。
399 :
人殺し:2008/08/04(月) 12:01:29 ID:???
「お前のせいだっ!クズッ!クズッ!脳無しっ!」
「何言うんですか!末崎さんも同じじゃないですかっ!仮にもヤクザなんだからやって下さいよぉ!」
「黙れっ!クズがっ!ヤクザなら下のもんにやらせるのが当然だろっ……!」
「下のもんってどういうことですか!」
安藤と末崎は不毛な言い争いを続けていた。
論点はなぜ治を殺せなかったか――単なる責任のなすりつけ合いであった。
「お前に殺しを覚えせてこの地で生き残る覚悟を決めてほしかったんだっ……!親心………!
海だ……!母なる海っ……!海のように広い心っ……!」
「何を訳のわからないことを………!」
もともとこのような議論に意味などない。
作戦の要点は金を奪うことであって、殺すことでは無いのだ。
そして作戦は成功した。
殺すだの殺さないだのはこの作戦自体には関係のない話である。
しかし、火が点いてしまえば同じことであった。
一度壊れた関係は容易には元に戻らない。
この「バトルロワイアル」の舞台では尚更である。
「ダメじゃお前は……もう共闘はできんわっ!役立たずがっ!」
「役立たずはそっちでしょう!いいですよっ!もう解散しましょうっ!」
まさに売り言葉に買い言葉。
こうなってしまえば関係の修復は到底不可能であった。
更には、お互いがお互いを使えない人間と見ているのだ。
もはや共に行動する価値は無い。
安藤は立ち上がり末崎に背を向けた――その時だった。
400 :
人殺し:2008/08/04(月) 12:02:27 ID:???
「待て……」
「え?」
「金は置いていけっ!支給品もだっ!」
「な……誰が置いてくかっ!」
「わかっちゃいねえな……ヤクザを」
末崎はそう言うと、包丁を取り出し安藤へと向ける。
安藤の背筋が凍った。
* * *
「カイジさん……カイジさぁんっ………」
三好はカイジを求めてふらふらとさまよい歩いていた。
きっとカイジなら助けてくれる。
今の三好にはそれしか見えていない。
彼はひたすらカイジに逢いたかった。
その為ならばどんなことでもする気になった。
「カイジさん……カイジさぁんっ………」
三好はカイジを求めてふらふらと歩きアトラクションゾーンへ行きついた。
カイジがどこにいるのかは分からない。
考えることのできる精神状態でも無い。
カイジの目指すアトラクションゾーンへ向かったのは完全に彼の本能だった。
虚ろな目で三好はカイジを呼び続ける。
401 :
人殺し:2008/08/04(月) 12:03:12 ID:???
「カイジさん……カイジさぁんっ………」
三好はカイジを求めてふらふらと歩き――そして見た。
包丁を太った男に突き付けるガラの悪い男。
一目見て人殺しだと思った。
今の三好には、人殺しは自分やカイジにとっての敵であるという認識しかなされていない。
その心理は、常軌を逸している。
(カイジさんの敵……殺せば………カイジさんに褒めてもらえる……助けてくれるっ………!)
三好はその思いのままに暴挙に出た。
銃を構え、「人殺し」へと走り寄る。
ギョッとする「人殺し」。
(構わない……人殺しだから……敵だからっ………!)
そのまま三好は弾丸を撃ち込む。
脚に、腹に、額に、胸に。
「人殺し」は叫び声をあげる暇さえ与えられず、あっさりと死んだ。
だが、三好は止まらない。
(敵を殺さなきゃ……カイジさんは助けてくれないっ!殺すっ……殺すっ……殺すっ……!)
こぼれた包丁を手に取ると、三好は「人殺し」の喉をえぐり、胸をめった刺しにする。
「殺すっ……殺すっ……殺すっ……殺すっ……」
いつしか三好の思いは、そのまま声に出ていた。
「ハアッ……ハアッ……」
「人殺し」を完全に仕留め、三好は息を上げる。
激しい動きに体がついていかないのだ。
402 :
人殺し:2008/08/04(月) 12:04:07 ID:???
三好はチラリ、と太った男に目を向けた。
腰を抜かして動けない様子である。
(この人は……人殺しじゃない……敵じゃない……殺したらダメッ………カイジさんは助けてくれない……
それより……この人もカイジさんのところへ連れて行ってカイジさんを手伝わせよう……
きっと……カイジさんのためになる……褒めてもらえる……助けてもらえる………)
三好はそう考えて、太った男に向かってニコリと微笑んだ。
* * *
安藤は恐怖のあまり声も上げられなかった。
九死に一生を得た――それはいい。
だが目の前での凄惨な殺人、そして自分を見てニヤリと笑う殺人鬼。
頭の中が真っ白になる。
股間が生温かい。
どうやら失禁してしまったようだ。
替えのズボンもパンツも無い。
ここでは乾かすのも難しい。
いや、末崎のズボンを履けばいい話か。
そんなことばかりを安藤は冷静に頭の中で整理していた。
「ふふ……良かった………助かったんですよ………」
不意な男の一言で、安藤は現実に引き戻される。
今は生きるか死ぬか、その瀬戸際であった。
(ううっ……死にたくない………)
支援
おさるさんかな
したらばにきてた
携帯からだと改行とかの関係で代理投下できないのが辛いな
碌でもない人生だったが、まだ未練はある。
命乞いの一つもしたかったが、しかし声が出ない。
安藤は恐怖に耐えられずギュッと目を瞑る。
「なにを怖がっているんですか?人殺しは死んだのに……」
人殺しはお前だ、と安藤は心の中で叫んだ。
そもそも末崎が本当に自分を殺すつもりがあったのかも怪しいところだ。
治を目の前にしたときのあの様子を見る限り、殺す度胸があるようにも見えない。
だからといって末崎を憐れむ気持ちにはなれないが、
少なくともこの男に人殺しと言われたのでは末崎も浮かばれないだろう。
この男は狂気に身を堕としているのか、自分がやったことの意味をうまく捉えていないに違いなかった。
このような男に何を言っても無駄である。
この状況下で命乞いも出来ない自分を慰め、死への覚悟を決めた。
――だが、男の口からは意外な人物の名が出てきた。
「大丈夫……助けてくれますよ………カイジさんなら……」
(……え?)
安藤の緊張がフッと解ける。
思わぬところで出てきた知り合いの名。
自分は助かるのではないか、そんな気がした。
「あの……カイジって………伊藤カイジ……?」
「はいっ……!知ってるなら話は早い……オレはカイジさんの仲間です!一緒にカイジさんを探しましょう!」
まさか、ここでカイジの名が出るとは思いもよらなかった。
カイジならいいアイディアもあるかもしれない。
ここから生きて出ることも、あるいは可能だろう。
カイジの姿を広間で一目見かけたとき、安藤はそう考えた。
しかし自分は裏切り者――カイジが自分を信用するであろうか。
普通に考えれば無理な話である。
だが状況は変わった。
今はこの男がついている。
自分には裏切りの前科はあるが、仲間であるというこの男と行動すればそれも帳消しになるはずだ。
――出来ればこんな狂人とは一緒に行動したくないが、生き延びるためにはやむを得まい。
カイジの知り合いということで、下手に手を出しては来ないだろう。
安藤は心を決めると、末崎の支給品を回収し、男に向かって宣言した。
「もちろんです……カイジさんを探しましょう!一緒に!」
【B-5/アトラクションゾーン/午後】
【安藤守】
[状態]:健康
[道具]:木刀 不明支給品0〜8 通常支給品×3
[所持金]:2800万円
[思考]:カイジと合流する 三好を利用してカイジの信用を得る 生還する
【三好智広】
[状態]:精神消耗
[道具]:イングラムM11 30発弾倉×5 包丁 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:カイジに会う カイジの敵となる人物は殺す 生還する
【末崎 死亡】
【残り 37人】
裏切り×裏切り
GJ!
前回の三好投下の時から気になってたんだが、
この三好は堕天(裏切り)前なの?
投下乙!
三好KOEEEEE!奉仕マーダー?化したか
末崎も末崎で見苦しかったがエライ殺られ方したな…
それとやっぱり安藤はクズだな
投下乙!
三好完全にヤンデレ化したなw
「カイジさんに褒めてもらえる」ってどんな萌えキャラだよw
あと母なる海吹いたw
>>409 カイジは坊ちゃん知ってるし美心もカイジ知ってるから多分十七歩終了後
もともと三好はテンパってたし裏切っても大丈夫って甘えもあったんだろ
母なる海www
原作では見れない兄さん幻の名言ktkr
413 :
マロン名無しさん:2008/08/04(月) 14:19:09 ID:f0BVEjkx
ガスガス死んでいくなー
やっぱこのパロロワは異端w
ペース大丈夫?
ペースが早いことに越したことはないだろう
その分執筆が楽になるし
なんだかんだで重要キャラは一人も死んでないしな
後のことを考えると序盤の死亡者ラッシュは重要だし今の所ベストな展開だと思う
実は有賀の次に金を持っているのは安藤という事実
>海だ……!母なる海っ……!海のように広い心っ……!
これが本当に福本節っぽくて声出してワロタwww
この先主役格が出会ったり対決したりしてくのかと思うと楽しみだ
アカギ、原田投下します
「それで……俺は合格かい?」
「ああ、何も文句は無い……!」
試験は終わり、アカギの本質は見抜かれた。
彼は紛れも無く本物っ……!
天才と呼ぶに相応しい存在っ……!!
原田は心の底から、彼と組みたいと実感した。
目的も完全に一致、行動を共にするには十分な理由がある……がっ……
「しかし……これでは不公平やな……」
原田は話を切り出さず……そう、ここはこれで正解っ……!
その理由は大きく分けて二つあるが、ここで原田が口に出したのは一つのみ。
不公平だからということ……これが大きな問題なのだ。
現状、互いの立場は対等ではない……! それでは駄目っ……!!
アカギと同じく、原田も示さねばならない……!!
その実力……本質をっ……!!
それで初めて両者の立場は平等っ……!
共に歩む権利が生まれるっ……!!
「ククク……分かっているな……」
アカギもそんな原田の選択を肯定する。
不平等なままでの共闘は、いつそれを盾にされるかが分からない。
相手に不信感を抱かせることにも繋がりかねない。
それは共闘において最悪……!
ならばその不平等は即座に取り除くべき、それが最善。
つまり……アカギも今、原田に試験を課す必要がある……
がっ……!!
「だが……もう十分だ」
「何……?」
アカギ、それを拒否っ……!!
しかしこれは、不平等なままに進むという意志には決して非ず。
そう……彼は既に試験を終えていた……!
見抜いていた……原田の持つ実力を……!
「あんたの持つ大方の実力……それは一人麻雀の手腕を見れば明らか。
看破こそしたが……あの条件下で見れば、あれは中々の良手……!
それなりの実力が備わっているからこそ成せるもの……!!」
「……」
「だが……それ以上に決定的だったのがさっきの発言……不公平という言葉……!
あの一言を口にせずただ協力を持ちかけてくるようならば、俺はあんたを見限っていた。
一時の勝利に浮かれ……先に立つ真に重要な事を見抜けぬ男……半端者とな……!
ましてや……他人に強要をする者は、強要されてもいい立場にある……そう言ったばかり……!!
その上で事実を認識できちゃいないなんて、愚の骨頂……!!
ククク……原田さん、あんたは十分すぎるよ……勝負への理解が出来ているっ……!!」
「……ククク……そういうことかい……!」
一人麻雀はアカギに課せられた試験であると同時に、アカギが原田を観察する機会でもあった。
実力面はそれで十分把握出来る……しかし、寧ろアカギにとって重要だったのはこの次……!
不平等であるという現状を、原田が認識できていたという事……!!
彼は物事が好転しようと浮かれず、なおも冷静に事実を図れる人物……このゲームを切り抜けられるだけの人材っ……!!
故にアカギは認める……!
原田は行動を共にするに値する存在であるとっ……!!
「……試験はこれで終わりだ。
出ようや、アカギ」
「ああ……」
その後、二人は何も言葉を交わさずギャンブルルームを後にする。
試験を終えた今、ここに長居する理由は無い……正確に言えば、長居をする事は出来ない。
金の事も勿論あるが、それ以上に厄介な問題が一つ……これが二つ目……!
すぐに共闘を申し出れなかった、第二の理由……!!
「やろうやないか、アカギ……最高のギャンブルっ……!!」
「ククク……ああ……そうだな……!」
二人はここで初めて、互いが目指すものを口にする。
そう……ギャンブルルーム内には係員として主催者の手の者がいる……!
迂闊に反逆の意志は出せなかったのだ……!!
何かしらのペナルティをその場で課せられる可能性が、無きにしもあらず……そんな状況では当然のこと……!
無論、こうしてルームの外へと出た後にも危険性は付きまとう。
盗聴や監視で見張られているのは間違いない……少なくとも、首輪からの盗聴は確定と見ていい。
だが、それでも直接主催者側の人間の前で口にするのとでは断然危険度は違う……!!
「さて……それじゃあ、まずは仲間集めといくか?」
原田は仲間を集める様アカギへと告げる。
しかし、その指は自身の首輪を指差して……言葉は主催者を欺く為の罠……こちらが本命……!
アカギは変わらず微笑を浮かべたまま、静かに頷く。
反逆の大前提として、首輪の解除は必須事項。
相手と戦える立場にならなければ、話にならない……!
『生憎、俺達には専門的な知識も技術も無い。
この手の機械に詳しい奴と合流が出来れば幸いだが……心当たりはあるか?』
『いや……一応一人、刑事がいるが……爆弾処理は担当じゃないんでな……』
首輪を解除出来る可能性がある人物の捜索。
それが真っ先に思い浮かんだ行動方針……しかし、二人の知人に該当者は無し。
ならば自力で探し出すしかない。
そう思われた、その矢先……アカギが口を開く。
『だが……満更、心当たりがないというわけではない……
このゲームを開いたのが、俺の想像通りの人間であるならな……!』
『なに……? それはどういう意味や?』
『ククク……原田……お前は生き死にの博打を経験した事があるか……?』
ここでアカギ、原田に問う。
質問を質問で返す、まるで答えになっていない行為……しかしこれは重要な問い……!
原田はそれを即座に理解し、返答す……自身にとっては愚問への答え……!!
『死線をどれだけ越えたかなんざ……多すぎて覚えちゃいねぇな。
そういう意味では……俺も主催者どもと同じか……!』
関西最強の代打ちにして、最大規模の暴力団を纏める長。
潜ってきた死線など覚えちゃいない……日常が死と隣り合わせにも等しかったのだから……!
そして、ここで原田は同時に把握……!
アカギの問い、その真意をっ……!!
『そう……主催者は死と隣り合わせに近い……!
傍らでその様を見て、楽しんでいるんだからな……!
そして今回だけではない……恐らくは多すぎて覚えちゃいられない程……!!
人に殺しを強要する様な連中……狂人の類っ……!
そんな奴等が……これがはじめてのわけが無いっ……!!』
おわっ、大丈夫かな?支援
支援
規制食らったっぽいな
避難所にきてる
『もっとも……命までは取らないとしたケースもあったはあっただろう。
その場合に考えられるのは、指……首輪の代わりに時計でもつけて、手を吹き飛ばしでもしていたか……
まあ……首輪だろうが時計だろうが……形はどうでもいい。
重要なのは一つ……類似した何かが過去にも使われていた可能性……それが大いにあることっ……!
主催者が以前に開催したゲーム……それに参加した経歴がある者か……もしくは主催者側の立場にあった参加者……!!
このどちらかとの接触……それこそが最優先事項っ……!!』
アカギはこの首輪に類似した存在があると推理。
それを知る人物との接触こそが必須と踏む……!
そしてこの推理……ずばり的中っ……!!
この会場にはいる……!
帝愛グループが開発した拘束具……針具と腕時計の存在を知る者、多数っ……!!
『だが……簡単に教えてくれる相手ばかりとも限らないんじゃないか?』
『確かに、それは最もな意見だ……いや、一番可能性が高いとみていい。
主催者側の参加者が、情報をほいほい明かす……ありえるわけが無い……だが……!!
ならば……引き出せばいいだけのことっ……!
その為の武器が……俺にはある……!!』
そう言い、アカギは自身の支給品に手を伸ばす。
大きなジェラルミンケース、その鍵を開き中を見せる。
途端、原田に衝撃が走るっ……!!
ケースの中身は、このゲームの生命線……金っ……!!
一千万を軽く越えている……ぱっと見で、雄に五億っ……!!
しかし……冷静に考えればこれはありえない。
こんな大金が普通に支給されるわけがなく、勝負で手に入れたにしては時間が足りなさ過ぎる……!
ならば考えられるのは一つっ……!!
『偽札か……!!』
『ククク……そう……これはこのゲームにおいて、最強の武器の一つ……!!』
ケースの中にある札束、その実態は偽札っ……!!
目に入る一段目はカラーコピー、その下は全て新聞紙……!!
金こそが重要なファクターとなるこのゲームにおいて、これは強烈な罠っ……!!
そして偽である事を知らぬ者からすれば、最高の取引材料……情報を引き出すには十分っ……!!
『もっとも、これが通用しない相手も中にはいるかもしれない……それが少々厄介だが……
このゲームの穴……それを利用すれば、不可能ではない……!』
『穴……?』
『ああ……致命的といってもいい……!
例え、主催者の息がかかった者でも……外せない足枷っ……!!
ギャンブルルームでの取り決めだ……!!』
アカギは見抜いていた……主催者が犯してしまっている、最大のミス……!
『ギャンブルルームでの結果には、どうあっても従わねばならない』
『ギャンブルで賭けるものは何でもいい』
この二つ……この制約は一見、何て事が無い様に思われる。
しかしその実……これは致命傷っ……!!
『賭けるものは何も、金や支給品だけじゃない……情報も立派な資財……!
口を割らないならば、勝負で割らせればいい……!!
そして……それだけではない……あわよくば更なる望みが出せる……そう、これが穴……!!
俺が勝てば殺しを止めろという……相手の方針そのものを変える要求だって呑ませられる……!!
これを利用すれば……ゲームの転覆とて狙える……!!』
アカギはこのゲームの致命的な穴を見抜いていた。
ギャンブルルームでの取り決めは何があろうと守らねばならない……このルールは絶大……!
ゲームに乗っている人間に殺しをやめろという要求……そんな理不尽が通るっ……!!
無論それに匹敵するだけのものを賭けなければならない……リスクは高い……がっ……それでも十分……!!
『ククク……確かにコレは、致命傷やな……!
言われてみればその通り……どんな人物であろうと、こちら側に引き込める可能性があるとあっちゃ……ゲームは台無しだ……!』
『主催者は恐らく……まだこのキズに気付いていないか……気付きながらも無視っ……! 微々たる物だとしか捉えていない……!!
これは後々奴等の首を絞める……その時にはもう遅いっ……!!
その時にはもう、ゲームは中盤戦……ルールを今更変えれるわけがないっ……!!
決まりだ……今後の方針……!!』
完全に方針は固まった。
主催者が過去開催したゲームを知る者、その参加者との接触。
首輪に類似した器具が使われていたかどうかの確認……!
素直に情報を引き出せぬ場合は、偽札での交渉……ギャンブルでの実力行使っ……!!
使える人間ならば味方に引き込むっ……!!
「なら……人が集まりそうな場所か……
だがあまり集まりすぎても危険やから、適度に集中してくれるのが望ましいな……」
「且つ、拠点に出来れば言う事は無し……」
ここで、両者が開口。
これ以上は筆談でなくとも問題が無い領域。
一先ずは向かうべき地点を定めなければならないが……これは既に、目星が着いている。
人が適度に集まりやすく、更には対主催者の拠点ともなりえる地点……それはここ……!!
「F-6……もう一つのホテル……!
ここだ……ここが条件を満たすに最適っ……!!」
出発点とは別にある、もう一つのホテル。
物資の補給が可能な売店、怪我の治療に使える医務室。
他にも利用できるものは多々……拠点としては最適の場といえる……!
それなりの人数は、ゲームに乗った乗らないに関わらず必然的に集まる……!!
「一応、最初に居たホテルも同じ条件ではあるが……ここは駄目だ……」
「ああ……出発点にすぐ戻ろうとする奴はそうはいないし、仮にいたとしても無駄や。
俺が主催の立場なら、ここは真っ先に禁止エリアにする……」
二人は出発点のホテルは即座に封鎖されると判断。
主催者がこの会場内にいるとすれば、ホテルは最も怪しき場所。
禁止エリアにして、何者も近寄れないようにするのは確実……!
もっとも、主催者が会場の外にいるならば話は別になる……がっ……!
「どうせ見るなら特等席……そう考えるのが当然やろうからな……!」
それはない……!
主催者は確実にホテルにいる……あのホテルは言うなれば特等席……!!
会場の中央、もっとも観戦に適した場っ……!!
こんな悪趣味なゲームを開く連中ならば、確実にそこを根城とする……!
場の空気を身近で味わいたい筈だからっ……!!
「ククク……ならすぐに引き摺り下ろしてやるよ……!!
もっといい特等席……同じ土俵に……!!」
二人は歩き始める。
目指す事は唯一つ……!
優勝賞金も何もいりはしない……望みは唯一つ……!!
主催者殺しっ……!!
圧倒的な力を持つ絶対的強者への反逆、その末の勝利。
この場において、これ程心の躍る勝負が……熱くなれる勝負があるだろうか……!
故に二人は乗る……!!
主催者の持つ地位も権力も興味は無い……!
ましてや、正義や悪といった倫理観など論外っ……!!
ただ純粋に勝負に興じたい……熱き流れの中で生きたいからっ……!!
それは常人からすれば、正しく狂気の沙汰。
紫煙
だが、彼等からすれば……! これこそが面白いのだ……!!
そうっ……!!
狂気の沙汰ほど面白いっ……!!
【D-3/アトラクションゾーン/午後】
【赤木しげる】
[状態]:健康
[道具]:五億円の偽札 不明支給品0〜2(確認済み)支給品一式
[所持金]:900万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す F-6のホテルに向かう
※過去に主催者が開催したゲームを知る者、その参加者との接触を最優先に考えています。
接触後、情報を引き出せない様ならば偽札を使用。
それでも駄目ならばギャンブルでの実力行使に出るつもりです。
※危険人物でも優秀な相手ならば、ギャンブルで勝利して味方につけようと考えています。
※首輪に似た拘束具が以前にも使われていたと考えています。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※五億円の偽札
五億円分の新聞紙の束がジェラルミンケースに詰められています。
一番上は精巧なカラーコピーになっており、手に取らない限り判別は難しいです。
【原田克美】
[状態]:健康
[道具]:不明支給品0〜3(確認済み)支給品一式
[所持金]:900万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す F-6のホテルに向かう
※過去に主催者が開催したゲームを知る者、その参加者との接触を最優先に考えています。
接触後、情報を引き出せない様ならば偽札を使用。
それでも駄目ならばギャンブルでの実力行使に出るつもりです。
※危険人物でも優秀な相手ならば、ギャンブルで勝利して味方につけようと考えています。
※首輪に似た拘束具が以前にも使われていたと考えています。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
投下、代理投下乙
アカギは描写難しいと思うが、偽札の件とかスゴイ良いと思う
代理投下は以上です。
申し訳ないですが、改行規制があったので分割位置を変えてあります。
乙。
アカギの発想がぶっ飛んでやがるw
マーダーを力ずくで仲間にとか、普通考えつかねぇよ……w
偽札もかなりの当たり品だし、これは今後が凄い楽しみだ
投下乙
流石だ。偽札は武器ではないけれど交渉には最適だな
この二人マジかっけえwでも首輪解除できそうなやついたっけ?
兵頭をよく知るカイジ達と遭遇したらどんなことになるか楽しみだ
投下乙です
まさにナイフのように尖った19歳のアカギが表現されてて燃えた!
今はアトラクションゾーンの方に人が多いけど、
逆方向のアジトにどう集まってくるのか期待
今wikiみて思ったんだが仲根のスタンスって奉仕じゃね?
偽札賭けてギャンブルルームでひたすら麻雀やってたらいんじゃねwww?
一時投下スレに投下してきました
投下乙!
俺は本投下してもかまわないと思った
カイジ冴えまくってんな。
次も失敗せずに進めればいいんだが…
沙織が一般人な反応で安心する
乙
ただ、見たとたんに答えが解るという問題が惜しい
乙!
面白い発想だしカイジの推理もよかった
零的な展開もGoodだ
個人的には大好物w
ただ気掛かりなのは主催者が介入しすぎてる感じがすることと
あんまりロワっぽくない感じがしなくもないことかな
ちょっと意見が分かれそうな気がする
個人的な立場は中立
さっきも言ったけど大好物なんだw
不安なのは今回の話はからいろいろな箇所でいろいろなキャラに
同じような展開を強いることになるってこと
話の流れ的にこの一回だけって訳にもいかないからマンネリ化しそうな気もするんだよな……
投下乙!
こっちのアカギは天の方よりとんがってて、原田といいコンビだなw
一時投下も乙
読み物としてはすげー面白かったけど、確かに今後あちこちでこの展開が起きると
ちょっとロワっぽくないシーンが長くなるかも?という懸念はあるな
福本キャラが福本的ゲームに挑戦する話っぽい
まあこの際ロワっぽい事にこだわらなくてもいいと思うがな
ていうか書き手さんが磨り減りそうな気がw
難しいなあ。話単体では面白いけど、このロワ全体に関わってくることだし。
主催者の用意した零式ギャンブルがこれだけのはずは無いからこれからも似た展開を続けるってなると、
対人じゃないからいくらなんでもバトロワから掛け離れすぎた展開になるし。
この手のネタを他の書き手も考えなきゃいけないのも問題だな。
これを思い付けって結果的に強要するのは酷だと思う
利用するかは自由なんだしいんじゃね?
>>449 書き手の立場から見るとそうは行かないんじゃねーか?
これだけ大規模な設定を無視することになると全体的にみて見苦しいから
何度かはいつかやらざるを得ない
まあこれ以上は議論スレに行こうぜ
過疎だねえ
アカギ・原田は盗聴器に気づいているのがファインプレーっ・・・!
ほかの策士たちは気づかずにべらべらしゃべっているから
どこで破綻するか楽しみだ。
実際アカギ以外であっさり盗聴器に気付けるのは銀二と標くらいだろう
あとは森田カイジ零が冷静になれば気付けるかもしれないってくらいで
原作で複数の高校生が気付いてんだしそんなにハードル高くないだろ
最低限頭脳派なら可能性くらいは考える
455 :
マロン名無しさん:2008/08/08(金) 16:51:58 ID:EhIyXZFu
原作で、気づいたのは三村だけだが・・・
川田は一度参加していたから気づいたのでなく「知っていた」だけだからな。
零は自分でも盗聴機仕掛けてたから、そういうのには詳しいかもな
気付いているって点だけなら、利根川や坊ちゃん辺りもいけそうだけどな。
まあ、こいつらは端から優勝願いだし……
このロワの原田やひろゆきは原作の三割り増しかっこよく見える。
俺は天に期待するぜ!
>>458 天勢は原作終了後ってのが大きいな
赤木の死の前後で大きく変わったキャラ多いし
特に大きく生き方を変えることになったのはひろと原田だな
天は赤木とは違った自分を既に確立してるようなイメージ
福本のギャンブル最強は赤木と天発言もこういうところから来てる気がする
今更ひろゆきが20歳じゃない事に気付いた俺涙目
そうか…ひげゆきなのか…
>>461 わかる、俺も最初の方はなぜかきれいなひろゆきでイメージしてた
でも村岡ハメ返したり日本刀構えたりするひげゆきも…なかなかいい…
おまえらひげくらいスルーしてやれよw
きっとひげは剃ってきてるはずだ
言ったはずだこの会場内で髭を蓄えるのは禁止だと
ひろゆきは元々、センスはある・思い切りがよければいいとこ行けるって作中で言われてたからなぁ……
>>466 そうだよね一日過ぎたら普通髭生えるよねと考えて、
無精髭のあるアカギとか銀さんが想像してしまった
そんな銀さんに酒場でDABADAを歌ってほしい
髭を剃る銀さんは格好いいが髭を剃るアカギは想像しづらいな。
つかアカギってやっぱ髭も白いんだろうか。サンタみたいに。
赤木ひげる
議論しようよ…
つか、書き手さんは?
何か議論しなきゃいかんことってあるか?
今更だが誰か麻雀初心者の私にアカギ登場話の解説を頼みます!
「刃と拳」投下します
ヒュ、ヒュ、パチン。
ヒュ、ヒュ、パチン。
仲根の手元で銀色の刃物が踊る。
手にしているのは、一本のバタフライナイフ。
少し前までは浦部の所有物としてスラックスのポケットにしまわれていたものだ。
慣れない人間は両手で開閉するしかない特殊な形状のナイフだが、仲根はそれを右手だけでこなしている。
以前仲間内でナイフ遊びが流行った時期に得た技術だった。
仲根は浦部から剥ぎ取った支給品を整理して自分のバックに詰めたあと、
アトラクションのセットとして盛られた樹木の影で周囲を伺っていた。
仲根はナイフを弄びながら、視線をアトラクションゾーンの入り口の方へ這わせる。
言うまでもなく、誰かが視界に入れば迷わず殺すつもりだ。浦部にそうしたように。
本心から言えば、仲根にとって人を殺すのは「気持ち悪いこと」に他ならなかった。
視覚的な問題ではない。だが、精神的なものとも少し違う。
浦部の首から鮮血が噴き出した瞬間の、脳内に大量の「なにか」が放出される感覚。
魂の一部が剥がされていくような、虚脱とも倦怠ともつかない消耗感。
心は平静を保っているのに、肉体が殺人を厭忌して暴れ出してしまう。
そんな内と外が食い違った状況が、仲根にはとても気持ち悪いものに感じられたのである。
だからといって、やめるわけにはいかない。
金だ。今はとにかく金が必要。
気持ち悪さなんて、覚悟ひとつでなんとでもなる。
恐怖や罪悪感をそうして押さえ込んできたように。
ヒュ、ヒュ、パチン。
ヒュ、ヒュ―――
その時、仲根の瞳がひとつの影を捉える。
手に金属バットを持ったその人物は、仲根と同じくらいの年齢に見えた。
肩と背には二つのデイパックを提げている。より多くの金を持っている獲物だ。
「決まりだ………」
パチン。
仲根はその少年を狩ることに決めた。
◆
涯は安岡を殺したあと、進路を北に取ることにした。
アトラクションゾーンは障害物が多いため、万が一の時に逃げ延びやすい。
そしてそのように考えた人間が集まりやすいはずだと踏んだのである。
本来ならば人の多い場所は危険が多いため避けるべきなのだが、
こそこそとただ隠れて時間を消費するのは効率が悪い。
ただ無為に数日生き延びることではなく、生き延びて脱出することが目的なのだから。
リスクを背負わずに金や武器を得られはしない。
涯は生きるために危険地帯へと足を踏み入れる。
『おい、そこのアンタ……!』
アトラクションゾーンに入って間もなく、後方から声をかけられた。
涯はぴりりと頬が毛羽立つのを感じながらその場に立ち止まる。
男の声は、敵意むき出しというわけでもないが、決して友好的にも聞こえない。
右手に持っている金属バットを両手で構え直し、ゆっくりと振り返る。
「……オレに…何か用か……?」
振り返った先に人影は見えなかった。数秒経っても姿は現れない。
その先の生け垣の中に身を屈めているのだろうか?
確かに、涯が安全な人物だという保証がない今、迂闊に姿を現すことができないのは頷ける。
だが、交渉をするにしてはやはりおかしい。
交戦以外の目的があるのなら、危険を冒してでも身を晒さなければ相手の信用は買えないものだ。
ましてや、涯が手に飛び道具を持っていないのは明白。
それを鑑みても姿を見せないような保身家だとすれば、声をかけること自体不自然である。
つまり、声の主の目的は交渉などという平和なものではない。
そう、もっと別な――――――
そう考えた瞬間、腕に鋭い痛みが走った。
涯の右腕を切り裂く銀色の刃、仲根のバタフライナイフ。
(刺された………!?)
涯がそれを認識したときには、すでに不意の痛みで持っていたバットを取り落としていた。
しかし、肉体の刻む時はそれよりも数段早い。
背後から迫る気配にほとんど無意識で反応し、
腕からナイフが抜け去ったときには襲撃者に対しほぼ半身に構えていた。
そして淀まず左の拳を顔面に撃ち込む。
「がっ……!!」
だが、その拳は既のところで致命打にはならなかった。
腕を切りつけた仲根がすかさず胴体を狙いに身体を屈めたためである。
狙いは外れた拳だが、威力はそのままに仲根の前頭部を削る。
そしてそれとほぼ同時に、バタフライナイフが涯の胴体に突き立てられた。
まさかのガチバトル、支援
その時仲根に違和感。
(この感触……!?腹に何か入っている………!)
涯の腹部に仕込まれたグローブは、斬り付ける攻撃にはかなり有効な防具である。
また、突き刺されたとしても、小さなナイフ程度ならばまず身体が傷つくことはない。
しかし、仲根のバタフライナイフは刃長およそ10cm。
つまり―――切っ先がグローブを突き抜け、涯の腹部に到達する。
「……しまった………!!」
刺された勢いで後ろへよろめく涯。
とっさに片足を引き、足の裏を地面に叩き付けて崩れる体を支えた。
やや仰け反った体勢になったために、力を込めた腹部が痛みで悲鳴をあげる。
しかし涯は怯まない。
撃つ。もう一発。
その指令だけを身体に送り込み、傷の痛みは脳から追い出した。
(死ねっ………!)
そうして放たれた涯の拳は仲根の顔面を割った。
仲根は鼻から出血し、あわや悶絶といった表情を浮かべ苦しむ。
「ぐはぁっ………!!」
仲根は決定的な致命打を喰らったように思われた。
だが、まだ終わらない。
涯の拳打の威力は、体勢の悪さが影響したのか平常時の7割ほどしかなかった。
辛くも意識を繋ぎ止めた仲根の顔が憤怒の表情に変わったのも束の間、
その右足が蛇のように伸び、涯の左足の甲を踏みつけた。
「………転べっ……!!」
仲根は、涯の右足を力の限り自身の後方に引いた。
支えをなくした涯は転倒。仲根はすかさず馬乗りになり、涯の首元に銀刃を突きつける。
そして、振り上げた。
ゲームオーバー。
仲根の脳裏にそんな言葉がよぎる。
またあの血の噴水を見るのかとうんざりした気分すら沸き起こってくる。
しかし、仲根が再びその場面を見ることはなかった。
「キャアアアァァ……ッッ!!!」
まさにナイフが涯の首までの空間を裂こうとしたときだった。
後方から聞こえてきたのは、耳を劈くような女の叫び声。声の主は近いようである。
仲根は一瞬狼狽したが、涯からは目を切らない。
(関係ない、殺す。殺す。殺すっ………)
「おいおいっ……!大声出してどうすんだっ……!!」
(………えっ……!?)
仲根の視線が泳ぐ。
女の悲鳴に続いて聞こえてきたのは、焦ったような男の声。
おそらく叫んだ女の連れなのだろう。
先ほどの一声に続いて、大騒ぎする女をおたおたと諫めているようである。
一方、その声によってみるみる仲根の殺意が殺がれていくのが涯にもわかった。
(今が…チャンス………!)
涯は、仲根が気を取られている隙に身を捻って足の下を抜け出そうとした。
そしてそれはあまりにも簡単に成功する。
というより、涯が行動を始めたときにはすでに仲根が拘束を解いていたのだ。
半分寝そべった体勢の涯の脇を、いっそう生長く見える体が走り抜けていく。
仲根はそのまま一直線に垣根の一カ所に向かって走り、
ある物を回収してからアトラクションゾーンを後にした。
仲根が持ち去ったのは、彼があらかじめ仕掛けておいたICレコーダー。
元は浦部の支給品だったものだ。
始めに涯の足を止めたのは、この機械に録音された仲根の声だったのである。
仲根は、それが録音された声だと気づかれることをあまり心配していなかった。
とりあえず少しの間一方向に気を取られてくれればそれでいい。
そちらに警戒が行っている間に、背後から襲う。
作戦とも言い難いような単純な仕掛けだが、涯はうまくそれに嵌ってくれた。
別の場所でも同じことをするかは決めていない。
そんなことよりも、目下の問題は先ほどの声の男に見つかってしまったこと。
あろうことか、自分の敬愛する黒沢に人を殺そうとする現場を見られてしまったことだ。
彼は間違いなく人を殺すことを良しとしない。
行動を共にすれば、脱出資金を稼ぐためだとしても、殺人を止められることは明白だった。
だから、十分な資金を集めるまでは会いたくなかったのである。
しかし、先ほどの遭遇が致命的。
普通の状況であったなら、別行動を提案して金を集めた後、
ギャンブルで稼いだなどと理由を付けてチップを渡すことができたかもしれない。
だが、参加者を殺して得た金と知れてしまった今、それは不可能になった。
(このゲームのルール上……他人が強制的に棄権させることはできるのか……?)
黒沢を無事に帰還させたい。たとえ本人が拒否したとしても。
その思いは、予定が狂ってしまった今も変わらない。
金だ。今はやはり金が必要。
(そう……無理矢理にでも受け取らせてしまえばいいさ……手段はいくらでもある……
……兄さんだって、最後にはわかってくれるはず……)
ヒュ、ヒュ、パチン。
ナイフの刀身を慣れた手つきで柄にしまうと、
先端を濡らしていた血液が仲根の学生服をわずかに汚した。
485 :
マロン名無しさん:2008/08/10(日) 18:56:34 ID:HS2TK6aw
ざわ…ざわ…
【C-5/アトラクションゾーン/午後】
【仲根秀平】
[状態]:前頭部と顔面に殴打によるダメージ 鼻から少量の出血
[道具]:カッターナイフ バタフライナイフ ICレコーダー 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:黒沢と自分の棄権費用を稼ぐ 黒沢を生還させる 生還する
【工藤涯】
[状態]:右腕と腹部に刺し傷 他擦り傷などの軽傷
[道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:生還する
【黒沢】
[状態]:健康
[道具]:不明支給品0〜3 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:美心を落ち着かせる 仲根について涯から話を聞く 美心を守る 闘う
【坂崎美心】
[状態]:健康 一時的に精神不安定
[道具]:不明支給品0〜3 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:人殺し恐い カイジ、父に会いたい
以上です。支援ありがとうございました
涯が弱く描写されすぎ
投下乙!
>>488 涯については相手が仲根だしやむなしでは。
灯火乙
涯と仲根想像したらサイズが大人と子供みたいだなぁ
同じ中学生なのになぁ
乙!
肉体戦はまさにロワって感じでわくわくするなー
あと、仲根も十分強いし体格差含め俺は読んでて違和感なかったっす
投下乙です。
最強中学生対決(仲根はもう高校生か)は仲根の勝ちか……熱い戦いでした。
GJ!
>>488 指摘ありがとうございます
涯は本来仲根を抜くくらい強いと私も認識しています。
その上で、体格差、不意打ち、武器のアドバンテージなどにより
今回は追い詰められてしまったという風に描きたかったのですが、
私の力不足だったかもしれないですね。すみません。
気にすんな
乙も言えないガキだろうきっと
スルーしてもいいのに、
>>493の勇気に僕は敬意を表すッ!
496 :
マロン名無しさん:2008/08/11(月) 21:03:30 ID:SD/kOyMT
凄く面白かった。ところで疑問なんだけど曽我って参加してないんですか?流石に年だとは思いつつも神威がアクティブに活躍しまくってるので期待してしまいました。
498 :
マロン名無しさん:2008/08/11(月) 23:58:37 ID:SD/kOyMT
>>497申し訳ない。携帯からなので開けませんでした。
>>498 携帯からでも開けますが、
どうしても開けないならファイルシークでも使いなさいな
500 :
マロン名無しさん:2008/08/12(火) 00:45:31 ID:8/jBRcCT
>>499ありがとうございます。
またパソコンからもゆっくり見てみます。
そういやテンプレに名簿が無いなここは
慌てて立てられたからな
テンプレ決める暇も無かったし
今の内に正式なテンプレでも作るか
テンプレの草案、したらばの一時投下スレに載せてきた
乙です。
俺、今更なんだけど元作品全部知ってるパロロワってこれが初めてなんだ
投下します。
『布石』
「ククク……まさか貴様が参加してるとはな……」
「フフフ……いえいえ……それにしても、あなたが参加しているとは……ある特殊なギャンブルに興じているとは聞いていましたが……ねぇ、鷲巣さん……」
ギャンブルルーム前、零との勝負が終わった後……平井銀二、鷲巣巌、両者は相対していた。
鷲巣はこの場から離れようとしていたが、その困難さ……そして自分が何故逃げる必要があるのかというある種の傲慢さが鷲巣にその場から離れることを止めさせたのだった。
「ククク……儂の事も調べはついとるか……流石は……平井銀二といったところか……」
鷲巣は平井に銃を向けたままそう言葉を返す。
しかし、平井銀二はその程度の事で怖じ気つくような凡人ではない……!
銀二、鷲巣……共に闇社会に生きる化け物……この二人はまるでよく知った者達であるかのように、ここが喫茶店か何かのように談笑する。
実際……お互いに直接の面識は殆どない。
お互いに似た世界に生きる二人……直接の相対はなくとも、顔と名前……そして成した功績……それくらいの知識はある……
「本題に移りましょう……鷲巣さん……あなたはこの殺戮の舞台で何を望みますか……?」
「キキキ……ククク……ケケケ……何を望むか……単刀直入で良い質問だ。だが分かっているのじゃろう……」
「ええ……この世界にいればあなたの情報は入ってきます……あなたにとっては優勝賞金など端金に過ぎない……!あなたは殺しますね……しかも恐らくはそれ自体が目的……」
「流石は……銀王……といった所か……それでどうするのじゃ……儂と殺しあうか……?」
二人の中に流れる緊張感……しかし、この二人に限って言うならば緊張感など慣れ親しんだ友人のような物に過ぎない……
事実平井は笑みを浮かべ、
「いえ、辞めておきましょう……私も優勝が目的ではありません……」
鷲巣も平井のこの言葉は予想通りだったのだろう……笑みを浮かべて、言葉を返す。
「……では何を狙っておる……のぉ、銀王よ」
「私の目的ですか……?私はこのギャンブルで大企業帝愛を潰すつもりです」
平井の言葉、これは鷲巣も予想していなかったのだろう。慌てて聞き返す。
「貴様……正気か……?帝愛は資金力だけで言うならば正に最大の企業じゃ……それを潰すじゃと……?」
「えぇ……この場所ではあまりその方法について論じることは出来ませんが……」
「コレのことじゃな……」
鷲巣はコンコンと首輪を叩く。
「えぇ、まず間違いなく盗聴器くらいは付いているでしょうからね……」
支援
「まぁ……大体予想はつく……お主はこの殺し合いにかけられた賭け金……その破綻を狙っておるんじゃろ……」
「はて……何の事やら……」
「とぼけなくても良い……もちろん、それだけでは無いだろうが…………このゲームに賭けられている金額……これは総額、一体いくらになるのかも分からん……
そのような状況でもしこのギャンブルが破綻でもすれば…………帝愛は失うのぅ…………金、信頼、取引相手、権威………………そうなればいくら大企業帝愛といえども砂上の楼閣…………崩れる…………たやすくな…………」
「流石は……この国の暗部……その全てを占めるお方だ………概ね、その通りです……まぁ、それにはまだまだ色々な手回しが必要なんですがね………」
いつしか鷲巣は平井銀二に敵意を向けるのを止めていた………お互いに利に聡い者達だ……今相手を殺すことは自分にとってはマイナスにしかならないということが分かっていたから………!
そもそも、鷲巣は普通の人間ならばそのような事は不可能な程の怪我なのだが……だからといって平井銀二はそれを見くびらない……!
追い詰められた人間は何をするか分からない……それもあるが……知っているのだ……この鷲巣は常識が通じるような人物ではないと……!
鷲巣は涎をたらさんばかりの笑みを浮かべ続ける。
「しかし……銀王よ、首輪が付けられたままその様な事を言っても説得力は無いのぅ……」
平井銀二……この殺戮の舞台で政治的な手腕にかけては右に出る者はいないだろう……しかし、その様な彼でさえ……付いている……首輪……!
これでは飼い犬と同じ……飼い主に逆らうことは出来ない……
「フフフ……この首輪ですか……確かに厄介な物ではありますが………解除することはそう難しい物ではありませんよ……」
「キキキキキキ……流石は銀王よ……ハッタリもそこまでかませば……」
「ハッタリではありません……まぁ……この殺し合いの場で困ることと言えば………ラジオが聞けないことくらいですかね………いつも周波数を忘れるんです……ここではそれを調べることすら大変だ…………」
「ククククククククククク……………銀王よ………面白いのぉ、貴様は………」
「フフフ………光栄です……」
そして二人は別れた。再び別の道を歩む二人であったが、鷲巣は平井銀二がこのギャンブル自体をコントロールするつもりであることを感じていた。
そして平井銀二は鷲巣がその自身が創り出そうとしている計画を破綻させる程の力……単なる戦う力ではない、それを持っていることを感じていた……!
しかし、この場では交わることはなかった……お互いに馴れ合いもない、恐れもない……ただあるのは計算ずくの打算だけ……!
「ククククク………………もう少し待ってみるか………奴が造り上げた後で………奴が王となった後に殺すことが出来れば……儂はこの人生の中で最高の絶頂にひたれるじゃろうからな………」
鷲巣は銀王との会話を反芻しながら……ギャンブルルームの扉を睨みつけていた。
一応、中からドアを開けたものの死角になる位置に隠れてはいるものの……距離は殆ど離れていない……
この位置が殺すのにベストな距離と確信しての位置……!
しかし、どこかで期待していた……予期せぬ反撃を……
自身の快楽の絶頂に至るにはそれが必要だ……
平井銀二が主催者達にしているように………正直な所……鷲巣は平井銀二の予想外なまでの優秀さに舌を巻いていた………
実は平井銀二はあの先程の会話の中で多くの情報を伝えてきた……それは首輪の解除方法……驚くべき事に彼は既にそのヴィジョンを見ていた。
『困ることと言えば………ラジオが聞けないことくらいですかね………いつも周波数を忘れるんです……ここではそれを調べることすら大変だ…………』
これは盗聴されているために平井銀二が使った暗号の一つ、鷲巣ならば意味を理解することができると思っての事だろう……
その暗号は誰にでも分かるというものではなく、ある程度の軍事的知識。そして状況を整理して考えることができる能力が必要なものであった。
まず、首輪を解除するために乗り越えなければいけないものは何か?…………それはまず第一に遠隔操作による爆破…
ならばこれを一時的に不可能にするためにどうすればいいか……?これがその暗号の主な内容………!
平井銀二はその起爆の為の周波数を調べるつもりだろう………これは爆弾を解除する為に軍隊などでも当たり前に使われていることだ………
まず、起爆するための情報……電波により飛ばすそれを妨害する……そのために……必要になってくる物が周波数の情報………!
それさえわかれば、後は首輪の構造さえ理解出来れば素人だろうと解除する事ができる………!
もちろん障害も多い……まずはもちろんのこと、その周波数の情報を得ること……そして、それを外部に送り妨害する為の電波を流させる……
更には首輪の構造………これら全てを短い間にやらなければいけない……!
そして、それをする事が出来るのは唯一主催者達がいるであろうあのホテルのみ…………!あそこには情報も、外部に伝えることができる道具もあるだろう………
しかし、それは正に鬼の口に飛び込むがごとき行為……勝利すれば大金を得ることが出来るだろうが、敗北すれば死………!
正に狂気の沙汰………
「しかし……だからこそ面白い………」
鷲巣にとってはこのゲーム……誰が勝者になろうと大した違いはない……もちろん自分の命は前提として……の事であるが……
だからこそ、時が来れば……壊すだろう……その平井銀二の計画も……自身が快楽を得ることが出来るなら………
そして……外と隔絶された空間であったギャンブルルームの扉が開く………
鷲巣は笑みを強めた……!
平井銀二は鷲巣と相対した場所から少し離れた位置から振り返る……
「さて……あの少年はどうなるか……?」
平井銀二が求めていた物は生き死にのギャンブル……それに共に挑むことが出来る仲間……!
先程の少年は違った……しかし、どこか似ていた……嘗ての仲間、森田に……人を殺したくない。この場でそれは戯れ言に過ぎない……
しかし、それでも生き残れる程の実力を持つのであれば………………変わるだろう……命を賭けるに相応しい仲間に……
だから……今は去る……鷲巣巌……彼はギャンブルルームから出て来る零を殺そうとするだろう……
まさに台風のごとき存在の彼にかかればろくな武器を持たない一人の少年など簡単に殺される……
しかし、あの少年ならば生き残るかもしれない………平井銀二はそう考えていた。
もちろん、もし殺されればそれまで…………しかし……生き延びれば………
「フフフ………森田は……怒り狂うだろうな……あんな少年を見捨てるなんてな……」
平井銀二は歩む……今は選別の時……!それが……自らを悪と認める平井銀二の選んだ時の使い方……!
【B-4/道路沿い/午後】
【平井銀二】
[状態]:健康
[道具]:支給品一覧、不明支給品0〜2、支給品一式
[所持金]:1400万
[思考]:生還、森田と合流、見所のある人物を探す
【鷲巣巌】
[状態]:膝裏にゴム弾による打撲、右腕にヒビ、肋骨にヒビ、少し動けるようになってきています
[道具]:防弾チョッキ
[所持金]:0円
[思考]:零を殺す、平井銀二に注目、有賀を自らの手で殺す
代理投下は以上です。書き手氏乙でした
一行が長すぎて弾かれた箇所があったので、独断で改行した場所があります。
また、僭越ながら状態表の名前が間違っていたので修正を加えました。
鷲巣はなぜ銃を持っているのですか?
すいません、表記ミスです。
投下した最初のレスの『銃を向けたまま』の部分は『敵意を向けたまま』が正しいです
投下乙
二人のやりとりがすごくそれらしくてwktkした!
周波数とかは考えつかなかったから感心したよ。
それに関する銀さんのセリフもかっこいい。
ひとつ気になったんだけど、満身創痍で空手の鷲巣が零を殺すかもっていうのは無理があるんじゃ?
乙 面白くて良かったと思うが
銃の設定を覚えてたら零を殺すなんて考え起こす描写書かなかっただろうから
そこらへんは訂正するか、次の書き手にまかせるか
ウィキが更に良い感じになってるね
編集者さん乙です!
522 :
マロン名無しさん:2008/08/14(木) 23:56:34 ID:LDk2PNAV
あげ
遅れたが投下乙
首輪解除フラグがついにたったか
うまいこと出来ればいいが……
それにしても能力的に優れたキャラ同士の絡みにはやっぱり風格があるね
>>520 それは大丈夫じゃないかな
すぐに殺すとは言ってないから殺す方法もいろいろある
油断させるとかね
保守
周波数に目つけるとか面白いな
キャラ同士の戦闘と首輪解除の仮定wktk
保守しとくか
投下楽しみに待ってますよ〜
ほしゅ
ギリギリになってしまいました。「窮鼠」投下します。
「おっ、やっと出口だ」
赤松と標の足が、舗装されたエリアから草の茂った平地へと移る。
結局、二人は誰とも会うことなくアトラクションゾーンを抜けた。
現在彼らが立っているのは目的の発電所まで600mほどの地点である。
補足すると、その位置は発電所の東側ではなく北側。開けた広場を避け、若干迂回するルートをとったためであった。
エリア区分を考えると東や南から観察したほうが発電所自体に近づくことはできるのだが、
いずれすべての方向から見て回るつもりの二人には、どこから始めようが関係のないことだった。
さらに、主催側があのエリアに何か隠すとしたら、当然通常の視点からは見えにくい場所のはず。
つまり、北側のC-1エリアからの観察は必然なのである。
そういうわけで、赤松と標はアトラクションゾーンを出てから南西に歩いていた。
目指すはC-1の最西端。発電所付近への視界を遮るようにD-1の北側一辺を埋める林、その脇を進む。
海から吹く風が髪の毛を舞上げては去っていく。おだやかな波がそこかしこできらめいて眩しい。
こんなゲームでなく家族で行楽に訪れられたなら、どれだけの楽しい思い出を作れるだろうか。
赤松はふっとそんなことを思っては、ただただ真っ青な海に視線を向けた。
美しい景色を見ていると、殺し合いのゲームをしていることなど忘れてしまいそうになる。
そんな彼を現実に引きずり戻したのは、突然鳴り始めた首輪の警告音だった。
山口の首輪が爆発する寸前の断続的なものとは違って、音の間隔は長い。
赤松は思わず空唾を飲んだ。
あと何歩か前進すれば、この首輪は爆発する。
そういう道具が自分の首に巻き付いているという事実が、再び眼前に突きつけられていた。
「…そろそろ禁止エリアが近いってことか。気をつけないとね……」
緊張した面持ちで注意を促す赤松。
しかし、標はそれに「うん」だか「そう」だか気のない返事をすると、
何事もなかったように止めていた足を進め始めた。
(はあ……警告はあくまで警告ってことか……鉄の心臓だな、こりゃ……!)
赤松はただただ感心していた。
二人は耳障りな警告音を聞きながらさらに少し歩き、ようやく林の切れ目にたどり着いた。
「標くん、あれは……!」
標の見当ては正しかった。
発電所の裏、D-1にあるこの島最西端の岬の近くには、ある古びた建物があった。
直方体の簡素な施設から伸びる塔の部分が明確に教えている。
建物の正体、それはいわゆる灯台であると。
「待って」
標は赤松の言葉を制止すると、手早く支給品のメモ帳とペンを取り出す。
あっけにとられる赤松をよそに何かを書き付け、それを顔の前に掲げて見せた。
『首輪で盗聴されている可能性あり。重要なことは筆談で』
(えっ……盗聴………!?)
赤松は、驚いた様子で視線をメモ用紙から標の瞳へと移す。標は涼しげな表情で頷いただけだった。
言われてみれば、主催者側がこちらを監視していないはずはない。
赤松もすぐに納得し、デイパックから筆記用具を出して、先ほど言いかけたことをつづった。
『あれは灯台だね』
標は首を縦に振って肯定。そして再び紙にペンを走らせながらゆっくりと言葉を紡ぐ。
「一見普通のようだけど、あれは明らかに異質……その理由は主にふたつ……」
メモ用紙に箇条書きで内容を書き終えると、それを赤松の前へ置き直した。
赤松は全体に目を通した後、まずこの項目を指差しながら頷く。
『地図に載っていない』
彼もこの点に一番の違和感を感じていたからである。
灯台は地図に記載するに値する重要施設のはず。
ましてや、あの地図にはバッティングセンターや映画館といった建物まで載っているのだ。
灯台だけ省かれているのはおかしく、何らかの意図があったと考えざるを得ない。
赤松は標の文字の横に『=隠したい?』と走り書きをすると、次の項目に指先を移して標に問いかける。
「これはどうしてわかったんだい?」
標が挙げた二つ目の理由は、『人がいる』。
赤松は、これにはすぐに同意することができなかった。
それもそのはず。灯台の窓はいずれも小さいため、ここから室内は確認できないのである。
さらに、窓といってもあるのは換気窓のようなものばかり。
これでは真昼の今、室内の灯りを確認することも難しい。
しかし、標は確信に満ちた表情で口を開き、ただ一言つぶやくようにその問いに答えた。
「室外機………」
(え………室外機って…空調の……?)
それを聞いて、赤松はみたび灯台の下部に視線を送った。
(………あっ………!!本当だ、動いてるじゃないか…プロペラが……!なるほど…!)
実は、標は赤松に告げていないことがひとつある。
それは、灯台は無人でも、自動運転の空調設備が動いている場合があるだろうということ。
灯台にその役割を果たすための電子機器が設置されていることは想像できるし、
そうなれば温度や湿度を自動調節する設備が必要だということも見当がつく。
要するに、彼らが見付けたのは本当にただの灯台である可能性があったのだ。
しかし、標はその可能性を否定する。
なぜなら、主催者たちはこの施設の存在を隠したがっているから。
隠そうとするならば、夜間に光を発して存在を知らせるようなことはまずしない。
つまり、灯台に灯台の機能を果たさせようとはしないはずなのである。
本来動いているはずの灯台が灯りをともさなくなれば問題が起こるのは明白であるから、
おそらくこの灯台はすでに廃止されているのだろう。
それならば、やはりあの空調は中にいる人間のために動いていると考えられる。
「そういえば…君も気付いてるかもしれないけど、あそこに付いてるものも妙だと思わないか…?」
そう言って赤松が指で示したのは、やや見にくい位置に設置されたパラボラアンテナである。
「うん。付けられた場所と比べて、気味が悪いほど新しく見える……
あれはおそらく、このゲームのために用意されたもの……」
標は先ほどのメモ用紙を手元に引き寄せると、空いたスペースに『アンテナ』の文字を加え、
すべての文字を囲むようにぐるりと大きな円を描いた。
その円の内側から外へと一本の矢印を引っ張り、矢尻の部分にこう書き付ける。
『灯台=何かを送受信する重要な施設』
禁止エリアに含んで守り、地図に記載しないことで隠していることから伺える重要性。
明らかにこのゲームのために設置されたであろう送受信用のアンテナ。
「そして、この『何か』はおそらく………」
そう言いかけたところで、標は何かに気が付いた。
―――増えているのだ、首輪の警告音が。
「……赤松さん、左から誰か来る………」
「ああ………だ、大丈夫、何かあったら僕が守るからね……!」
赤松はデイパックの中の手榴弾に手をかけ、接近者のほうを睨みつける。
電子音は着々と迫ってきていた。もう持ち主の足音も聞こえるほどだ。
禁止エリアに大分近づいているために、一人分でも騒々しい首輪の警告音。
それが今やいくつも重なって鼓膜を襲うのだからたまらない。
しかし、ようやく二人の前に姿を表した人物は、そんな音よりもさらに暑苦しい表情を浮かべていた。
「おおおおっ……賢明なお二方っ……!!ワシを助けてほしいざんすっ……!!!」
その男―――村岡は、まさに身ひとつでそこに立っていた。
武器を持った危険人物という最悪の状態を想像していた赤松は、少しの間呆気にとられてしまう。
なにせ目の前に現れた村岡は、すがるような涙目にハの字眉毛への字口、
手は胸の前で組むという懇願の体勢をとっていたのだから。
「た、助ける………?」
「ええ、ええ……!ワシはゲーム開始早々…支給品のすべてを失ってしまった……!
気軽にギャンブルを受けたワシも浅はかだったが……その相手がまた卑劣な罠を仕掛けていてっ……!!
あっ!という間……見ての通り、支給品をすべて奪われてしまったざんす……!!」
村岡はすさまじい速さでまくし立てながら二人のほうへ近づいてくる。
武器は持たず戦意が無さそうな様子とはいえ、油断は出来ない。
「とりあえず止まってください……!まだあなたのことは信用できない……!」
しかし、赤松の制止を聞き入れるどころか、いっそう油分を振りまきながらすり寄ってくる村岡。
その様子を見ると、もはや危害を加えるかなどいうことはどうでもいい、
とにかく早く視界から消えてほしいと願わざるを得ない。
「確かに、ここは戦場……そう簡単には信じてもらえないと思うざんす…!
いやいやっ、いいざんすよ…!!あなたは正しい……!
ワシはホイホイ相手の罠に飛び込むような迂闊者……信じてほしいなんて言わないざんす……!!
だから、だからっ………」
そう言って村岡は何を思ったのか懐に手を伸ばす。赤松の顔に緊張の色が走った。
(まさか……拳銃……!?)
標を引っ張ってすぐさま逃げるべきか、それより先に攻撃するべきか。
迷いながらも、赤松は手榴弾を掴んだ左手をゆっくりと引き上げていく。
一方標は、村岡とは別の方向を警戒していた。
彼の耳には、首輪の音がさらにもうひとつ聞こえていたからだ。
つまり、今この場には4人分の音が存在していることになる。
村岡と組んだ仲間か、それとも関係のない第三者か。標の視線が付近を這い回る。
しかし、二人の疑問には、いずれも彼らが考えていなかった第三の答えが出た。
村岡が懐から取り出したのは、銀の首輪。三人の首に取り付けられたものと同じ首輪であった。
それを掲げながら村岡は再び口を開く。
「交換条件にするざんす……!!
ワシは君たちに守ってもらう代わりに、ふたつのものを差し出す………!
一つ目は、この首輪……これはここに来る途中にあった死体から失敬したもの……
どうやら持ち主が死んでも機能は停止しないようざんすね。
これはいわばサンプル……!首輪解除の手掛かりになる、重要な実物ざんす……!」
(死体から失敬しただって………?
首でも飛んでいない限り、そんなことは不可能だ……!まさかこの男…自分で………っ)
赤松の表情が引きつったことには目もくれず、村岡はさらに二つ目の条件を提示する。
「二つ目は、参加者の情報……!
元々面識のある人間と、ワシの支給品を奪った人物…
さらには、主催者についても多少知ってるから……合わせて10人足らずってところざんす……!
そいつらの情報を、知っている限り君たちに提供する……!!
どうざんす……?悪い条件じゃないざんしょ………?」
村岡は演技力に長けた人物であるが、この暑苦しい態度は決して演技ではない。
村岡はひろゆきに敗北した後、どうすれば裸同然の自分が這い上がることができるかを考えていた。
支給品もチップもなくては、間違いなく一日も経たないうちに死ぬだろう。
何も持たないのなら、何かを持つ者と行動を共にすればいい。
適当な交換条件を出して守ってもらえばいいのだ。適任はやはり対主催の立場の人物。
対主催派が第一に探すであろうものは、ゲームを壊す手掛かりと仲間。
ならば、ホテルか最初の禁止エリアあたりに行くだろうと見当をつけた。
ホテルはまだ黒服がうろついているため、向かう人物は少ないはず。よって行く先をD-1に決める。
実際はD-1まで行かずともいい。複数人でつるんでいる者たちを見かけたら、それも安全人物である可能性は高い。
こうして見つけ出したのが、標と赤松であった。
首輪はD-4に転がっていた石原の死体から、たたき割った公衆トイレの窓の破片を使い剥ぎ取った。
村岡が元来小心者であるにも関わらずそんな行為をやってのけられたのは、
偏に己の保身と復讐心に駆り立てられていたからである。
火事場の馬鹿力とも言える行動力。
だがやはりと言うべきか、守って「もらい」、同行者をうまく操って復讐相手を殺して「もらう」という
狡い考え方は根底にあるようだった。
(ここまでは計画通りざんす……あとは、この条件を二人がのむだけ―――いや、のませるだけ…!
なんとしても同行させてもらうざんす……!!聞き入れるまでやめるものかっ……!!!
そして、ワシは生き残って……ひろゆきとカイジっ………奴らを絶望に陥れてやるざんす………!!)
村岡が提示した条件は、赤松たちにとって申し分のない物だった。
情報は信憑性に欠けていても、首輪が手に入るだけで魅力的な話である。
ただ、この男はギャンブルをしたと言っていた。
「気軽に」と付け加えていたから、脅されたのではないのだろう。
果たしてこの状況で、勝ちの保証もなしに支給品全てを賭けるだろうか?
裏を返せば、彼は何か勝つ布石を打っていて、自分が対戦者を嵌めるつもりであったという可能性もある。
そしてそれをこの交渉の場面で隠しているとしたら、行動を共にして大丈夫と言えるのだろうか。
赤松は思案を続けていた。
しかし、そんな赤松を尻目に、傍らの標から意外な言葉が飛び出す。
「いいよ」
村岡と赤松の瞳が見開かれた。もちろん、それぞれ別の感情によって。
赤松は標を振り返り、不安を滲ませた表情で問いかける。村岡は喜色満面の様子で何かわめいていた。
「し、標くん!大丈夫なのかい……?」
「いくつかこちらも条件を出せば、大丈夫。……それに、多少のリスクは許容すべき………」
足下で静止していた標の視線が、村岡に向けられる。
そうか。そうだ。危険を避けてばかりでは、本当に必要な物は得られない。
命がかかっているから引くのではなく、命がかかっているからこそ進む。
赤松はまた標に大切なことを教えられたような気がしていた。
心の中だけか実際に声に出たかは定かでないが、赤松は標に「ありがとう」とつぶやくと、
村岡に正対して告げる。
「いいでしょう。僕たちは、あなたと行動を共にします」
【C-1/樹林地帯/午後】
【赤松修平】
[状態]:健康
[道具]:手榴弾×10 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:村岡と交渉を続ける できる限り多くの人を助ける 標を守る
【標】
[状態]:健康
[道具]:モデルガン 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:村岡と交渉を続ける バトルロワイアルの穴を見つける 他の対主催派と合流する
【村岡隆】
[状態]:健康 やや興奮状態
[道具]:石原の首輪
[所持金]:0円
[思考]:赤松・標と同行する ひろゆきとカイジに復讐したい 生還する
※村岡の誓約書を持つ井川ひろゆきを殺すことはできません。
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません
538 :
マロン名無しさん:2008/08/21(木) 10:43:10 ID:gIO1A6mZ
投下乙age!
社長良いキャラしてんなww
赤松さん頑張ってくれ
乙!
村岡なんか仲間にしないでくれ〜と思いつつも標なら全然安心できるな
騙されたり利用されたりするはずがないという・・・
こうしてみるとやはりアカギチックだな、標
乙!すげー面白かった…!
村岡が村岡すぎて吹くんだがww
乙です!
相手が三強一角という社長の間の悪さが笑えるw
下手に奸計に走らず素直に守って貰わないと危険だな。
それにしてもアンテナか……着々と立つ首輪解除フラグが楽しみ。
久々のZ
ガラスで首輪を切り取ったの?それとも首チョンパしたの?
阿呆でスマンが教えて
首輪切ったら爆発しないか?
自分の息子くらいの標に
>>536 >>赤松はまた標に大切なことを教えられたような気がしていた。
って思える赤松さん格好良い。作者さん凄すぎ。投下ありがとうございました。
おおよその主役陣は対主催かー。恐ろしいわ
投下します。
「命の価値」
伊藤カイジ、田中沙織、二人は道を歩いていた。なるべく建物の影に隠れるように移動してはいるが、いつどこから狙撃されるかも分からないのだ……ただ歩いているのだけでも疲労はたまっていく。
しかし、カイジはまだ良い……問題なのは、沙織の方であった。以前殺し合いに巻き込まれた事は沙織にとって深いトラウマとなっていた。
今も瞼にちらつくのはあの惨劇……
自然と息があがってくる。
カイジはそれを感じているのだろう、沙織を気遣う様に声をかけながら歩いていく。
そしてアトラクションエリアに入った後、その沙織の様子を見かねたカイジが振り返り提案する。
「田中さん……少し休もうか、ここは建物が沢山あるから」
「大丈夫よ……それよりも……先に誰か協力者を見つけないと………」
「大丈夫ですよ、田中さん。そんな焦らなくても、それよりも今は体力を回復しておかないと……腹もすきましたしね」
そういうとカイジは少しおどけた様子で腹を叩く。
すると、少しは緊張が緩和されたのだろう。沙織はクスッと小さな笑みを浮かべて……
「そうね、まだまだ先は長い…………」
そう言ったところで言葉を止める。
「田中さん………?」
訝しげに問うカイジをジェスチャーで静かにするように指示する。
「カイジ君……そのままゆっくりと振り返ってみて………」
カイジはその言葉通りゆっくりと振り向く……そこにいたのはひろゆきと平山………
「あの二人って……?」
「あぁ、確か……銀髪の方は………平井銀次……黒い髪の方はひろゆきだったかな……二人ともオッズはそんなに高くないはず………」
カイジは建物の影に隠れながら小声で話す。事前に参加者名簿で確認していたのが幸をそうした、名前と簡単な情報があれば対処法も変わってくる……!
「どうしよう……?」
ここでどうするかの答えは二つ……!声をかけるか、やり過ごすか。
通常ならば自分と相手との戦力差……数や武器といったそれを見て決める……または勘にまかせる……それくらいしか選ぶ方法はない
しかし、カイジ達には情報がある……一見何て事のない様なアドバンテージ……しかし、この差は大きい……
「ちょっと待ってよ……あった……確かに……二人ともそんなにオッズは高くないわね………」
参加者名簿を確認して
「よし……声をかけよう……」
「大丈夫……?」
「あぁ……まず十中八九は大丈夫なはずだ……まぁ、危険と言えば危険だけど………あんまり安全を追いすぎても……出きることが狭まっていくだけだからな……」
あまり固めすぎると……それが即ち堅固な守りになるというわけではない……
ある程度の柔軟性……それが必要となる……
カイジはそれを言っているのだ。
「だったら……これは閉まっておかないとな……」
そう言ってボウガンを鞄の中に入れる。誤解……最も厄介なそれを避ける為である。
もちろん……危険だ……しかし、リスクが無ければ当然得る物も少ない。
「でも……田中さんは隠れていた方がいい……」
それはカイジの優しさだった……もし隠れていれば、向こうが危害を与えようとしても逃げきることが出来る……
しかし、沙織はそれに首を振った
「駄目よ……ここでは警戒心を抱かせたら駄目……隠し事は自分達の破滅を招くわ……それに……カイジ君、一人じゃ駄目よ……このゲームをクリアするには協力しないと………ねっ」
「あぁ……」
カイジは少し笑みを浮かべて頷く。
普通の女性だと思っていたが予想外な程、精神的に強い……!
以前の事件を経験した事により沙織は心に一生消えないであろう傷を負った……しかし、それを補助するように危機に対応する能力がついていた……とはいっても、恐さがある……足は震えるし顔面は蒼白になっているだろう……だけど立ち向かえる……!
その事が少しだけ誇りに思える……
「分かったよ……田中さん……もう特別扱いはしない……俺達は仲間だ……」
カイジは右手を差し出す……
仲間………カイジにとっても特別な言葉……何度も裏切られながらも、カイジはそれを裏切ることは出来なかった……
人によってはお人好しというだろう……しかし、それがカイジの生き方……
沙織はその右手を力いっぱい握る。
「これからもよろしくね……カイジ君」
この殺し合いの舞台でも信頼できる仲間がいる……
その事がカイジは嬉しかった………
しかし……それは長くは続かなかった……
沙織の背後から何かが見え隠れする……………何か棒状の物……長さはそれほどではない………バット………そうだバットだ………そして………カイジの視界に一人の男が入る。
火傷……それが目に付く……しかし、そうじゃない……そんなことは問題じゃない……問題なのは、その男が金属バットを構えていたこと……!
「くそっ……!」
カイジは繋がれた沙織の手を思いっきり引く。
しかし、今まで経験した事もないほどそれがスローモーションに見える……
支援
wikiの一時投下スレに続きがあったんで読んできた(携帯からなんで投下は無理)んだが、ここでの涯の登場に違和感あるのは俺だけか?
というかダメギの本名は幸雄で銀二だと銀さんになっちゃうよwww
黒沢・美心と遭遇してるね>涯
確かに不自然だな
通して読んでみて、何となくふわふわした後読感を感じる。
必要以上に行間を空け過ぎなのでは。
それと涯を単独行動させるなら、黒沢と美心のくだりは
ちゃんと書いておいた方が良いかも。
面白かった。乙です
俺の嫁が遂に死んでしまったのか・・・
お前ら馬鹿か
何で本スレに投下されてないのにズバズバ感想言ってんだよ
ネタバレじゃねーかよ
そういうのは仮投下スレでやれよorz
>>555 この涯は無いわ と思った
これなら読んでない奴の想像で涯の事を書いたみたいだ
一応議論スレの方に意見を書いたからそっちの方で
功をそうする じゃない?幸 で良いんだっけ?
オッズが引くくてひろゆきと一緒なら銀じゃなくてダメギかな?
アカギとダメギなら写真しか知らなかったら取り違えるかもしれないけど。
あと、仕舞う じゃないかな?閉まう でも良いのかな?
ともかく乙
565 :
マロン名無しさん:2008/08/26(火) 02:15:22 ID:qXs+lDrF
あげ
保守
り
最近書き手氏減ったな……
一番投下してたX7氏とかまでいなくなっちゃったし
チラ裏で福本パロロワ書いているから分かるけど、福本キャラ同士のバトルって
かなり難しいからなぁ。自分より遥かに頭の良いキャラをそれっぽく書くという通常の努力+
どうしても対主催が多くなるから主催者強化をどのようにするか、で頭を悩ませる。
本当、キャラの雰囲気を壊さずに投下してきた書き手氏たちは偉大だとおもう
なるほど。
今さらだけど、上の涯の話は涯が自ら他人を襲い殺す事について「何故」の部分の心理描写があれば問題ないんじゃないかな?
安岡に関しては、まず先に襲い掛かったのは向こうだし、倒された安岡は放置しても死亡する可能性が高いし、活かしておいたらまた襲ってくると判断してのとどめだから。
涯は中身がまるまる変わったようにしか見えねえよ
>>568 わざわざ書くことじゃないかもしれないけど……
最後まで書き手をやめるつもりはないよ。
ただ夏休みで帰省してるから今はなかなか書く時間が取れないけど。
十月には復帰できると思います。
>>572 正直見捨てられたかと思ってヒヤヒヤしてた
心強い言葉ありがとう!
投下します
「束の間の勝者」
兵頭和也は地雷を埋めたギャンブルルーム入り口に背を向け、これからどの方向へ進むかしばし考えていた。
この地雷の結果も興味あるところだが、いつまでも地雷を見張り続けるには時間が惜しい。
もっと攻撃的な武器も欲しいところであり、また、協力者となるであろう者たちとも合流したい。
‥‥‥しかし、考える間もなく、何やら近いところで人の争う声が聞こえて来た。
(これは‥‥‥期せずして、すぐ傍で戦いが始まったか‥‥‥面白い‥‥)
和也は茂みに隠れた。
その少し前。
神威勝広は、しづかと少し話し合った結果、とりあえず病院やホテルのある南へと向かっていたところであった。
ある瞬間、背後で突然モーター音が聞こえた。
振り返れば、いつの間に忍び寄ったのか、チェーンソーを構え殺意に満ちた表情の老人。
否、その姿は勝広がこの世で最も憎んでも憎み足りない男であった。
この男を殺すことに、自分の残りの生涯の全てを賭けることを一度ならず二度も誓った‥‥‥‥
勝広の父、秀峰の姿がすぐそこにあった。
「ほほぅ‥‥‥。勝広か‥‥‥。面白い。
こんなに早くお前に出会えるとはな。
‥‥‥しかし、お前にわしが倒せるかな‥‥‥?
わしはお前を倒す‥‥このゲームに参加している他の愚図どもと同じようにな‥‥‥!」
秀峰は、唸るチェーンソーを勝広の前に躍らせた。
「危ないっ!」
しづかが小さく叫んだ。
「下がっていろっ!」
勝広はしづかを制し、拳銃を構えた。
秀峰は不敵にも笑って見せた。
「銃か‥‥‥。
この至近距離で、お前の拳銃とわしのチェーンソーのどちらが有効かのう?
ほれっ!」
パァン‥‥
勝広の拳銃の弾丸は空しく宙を撃った。
拳銃が火を吹くより、秀峰のチェーンソーが勝広の腕に届く方が少し早かったのである。
‥‥ヂュイーン‥ヂュヂュヂュヂュ‥‥!!
チェーンソーが人の肉を喰う嫌な音が響く。
勝広は拳銃を取り落とす。
右腕に走る激痛。
‥‥だが、勝広は諦めないっ‥‥。
反射的に、肉に食い込むチェーンソーを振り払う。
結果として、右腕の肉は大きく抉れ、血は激しく噴き流れた。
勝広はその場に腰を突いてしまった。
しかし、その目に宿した闘志は消えるどころか、ますます激しく燃え上がった。
「どうした? 拳銃が無くてはもう戦えまい‥‥‥。
次は腕ではなくて、首をいくぞ‥‥‥」
更にチェーンソーを構え直した秀峰の顔はまさに悪鬼であったが、秀峰からすれば殺されなければ殺されるこの状況では、自分の子とはいえ躊躇は無かった。
勝広の首に、チェーンソーの凶暴な刃が迫る。
「くっ! そんなに簡単に、親父に命までも奪われたくはないっ!
死なば諸共っ‥‥‥!」
勝広は渾身の力で、秀峰のチェーンソーを刃とは別方向から蹴り上げた‥‥!
高速で回転するチェーンソーは刃先を狂わせ、秀峰の首めがけて向かった‥‥‥!!
‥‥‥ヂュン‥‥‥!!!
チェーンソーはわずかに秀峰の喉をかすった‥‥ように見えた‥‥‥、がっ!
噴出した血液の量は尋常ではなかった。
わずかにしか当らなかったように見えたチェーンソーの刃先は、秀峰の大動脈を抉っていたのである。
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
首から大きく血を噴出しながら、秀峰は絶命した。
あまりにもあっけなかったため、勝広はにわかには信じられないという風情だったが、秀峰の死を確認すると、
「‥‥‥やった‥‥やったぜ‥‥‥。
ついに‥‥‥親父を殺した‥‥‥‥。
はは‥‥‥ははは‥‥‥あはははははは‥‥‥‥」
と、秀峰の返り血を浴びながらも、狂ったように笑い続けた。
秀峰を殺すと誓ってから、どれほどの辛酸をなめただろう。
そして、ここに至るまでの積年の恨み。
勝広にとって悲願とも言える秀峰殺しは、今やっと達せられたのである。
勝広には、この殺人ゲームでさえも、秀峰を殺すことができた舞台を与えてくれたものとして感謝したいくらいの気分であった。
有効な武器らしいものを持っていなかったしづかは、勝広に制されるまま少し下がった位置で、この親子の殺し合いを、気丈にも見つめていた。
勝広が勝利した瞬間、彼の傷を思いやってすぐに駆け寄ろうとしたが、勝広のあまりの笑い様に少し恐れをなし、その足を留めていた。
勝広の異様な喜びように、しづかは彼が少し自分とは遠い感覚の中にいるように感じられていたのであった。
どれくらい時間が経っただろうか。
しづかは、先程から人の気配を感じていた。
ずっとこちらを伺っているような視線だけは感じている。
しかし、どこにいるか解らない。
警戒しつつも、勝広の傍から離れられずにいた。
やがて勝広は、自分を取り戻してきたようだった。
「‥‥‥しづか、すまなかった。
この親父を殺すことが、俺にとっては人生最大の目標だったんだ‥‥‥。
今、その夢がかなって、つい、我を忘れてしまった‥‥。
あとは、俺はどうなろうと構わない。
これからはお前の好きにするがいいさ‥‥‥」
「ああ。
‥‥‥しかし、さっきから、ずっと私らを見てる奴がいる‥‥‥」
勝広はぎょっとして、辺りを見回した。
勝広はぎょっとして、辺りを見回した。
「‥‥どこに居るかは解らない‥‥‥、
だけど、確実に居る‥‥‥。
警戒するに越したことはない‥‥‥。
だが、このままじっとしていても仕方ない。
とりあえず、おっさんの怪我の手当てだ。
近くに病院がある。消毒くらいできるだろ。
行こう」
「‥‥そうだな。
その前に、こいつの武器や道具を漁っていこうぜ。
俺は拳銃を持つ。チェーンソーは、この手じゃ扱えないから、
しづかが持て」
二人は、道具や所持品を山分けすると、病院へ向かってさらに南下することにした。
和也は、一部始終を茂みの影から見守っていた。
しづかに気づかれそうになった時は流石に少しマズいと思ったが、結局見つからなかった。
そして、どうやら二人の行く先が病院らしいことがわかった。
行く先が病院であれば、この位置からだと必然的にギャンブルルーム前も通過する。
地雷の威力に興味を持った和也は、引き続きこの二人の様子を見ることにしたのである。
勝広としづかの二人は、それぞれの武器を構え、辺りに警戒しながら病院に向かっていた。
しかし、いくら周囲に警戒していても、地中に埋まっている物には気づくことができない。
ドォォォォォーーーーーーーーーンン!!!!
しづかには、一瞬何が起こったのか解らなかった。
突然の地鳴りのような音響。
巻き起こる土煙。
勝広が、和也の仕掛けた地雷を踏んでしまったのである。
突然の振動に、しづかは思わず転んでしまった。
気が付けば、一歩先を歩いていた勝広が倒れている。
「おっさん! おっさん!!」
良く見れば、勝広の下半身は吹き飛んでいた。
息は既に無かった。
「‥‥‥ひっ!!」
これには、さすがのしづかも心底驚愕した。
しかし、しづかはパニックを起こす前に、次の瞬間、近くの茂みで物音がしたのを聞き逃さなかった。
しづかはある確信を抱いた。
チェーンソーのスタータを一気に引いて、目の前の茂みを目指して切り込んで行く。
「‥‥‥そこだっ!!」
茂みを切り裂いたチェーンソーの先に、和也がしゃがみこんでいた。
「おまえだな!! さっきからずっと見ていたのも!
私らに手を出さなかったのも、ここに来させるためだったんだな!」
計画通り、地雷によって一人の男を殺すことができた和也は、茂みのなかで思わずほくそえんでいた。
そして、生き残りがまだ中学生の女の子であることに少し油断をしていたのであった。
逃げそびれた和也は、しづかの差し出すチェーンソーを目前にして動けずにいた。
【E-5/ギャンブルルーム付近/午後】
【しづか】
[状態]:健康
[道具]:チェーンソー 不明支給品0〜2(確認済み) 通常支給品×2
[所持金]:2000万円
[思考]:和也の出方を伺う
【兵藤和也】
[状態]:健康
[道具]:対人用地雷三個 不明支給品0〜2個(確認済み) 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:優勝して帝愛次期後継者の座を確実にする しづかの出方を伺い、生き延びる
※伊藤開司、赤木しげる、鷲巣巌、平井銀二、神威秀峰、天貴史、原田克美を猛者と認識しています。
※利根川、一条、遠藤、村岡の四人と合流したいと思っています。
彼等は自分に決して逆らえないと判断しています。
【神威秀峰 死亡】
【神威勝広 死亡】
【残り 35人】
投下は以上です
投下ミスで行がダブってるところがありますorz
申し訳ないです
乙 面白かった
しづかいいよしづか
乙
片手抉れ消毒とか無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!!!
乙!
神威家はとことん報われないな…切ない
秀峰を殺した後の勝広の描写が狂気にあふれてていいね
そしてしづかに惚れたww
グロ面白かった乙!
>>581 の後の展開が気になります。和也は逃げ延びたのか?
それともしづかに… 投下ありがとうございました。
投下乙! 面白かった!
でも勝広、邦夫のこと忘れてね?
投下乙!
神威の爺さんが敗れるとは・・・
そして恐らく女性陣最強のしづかvs坊っちゃんという意外すぎるガチバトルにwktkが止まらんww
投下乙!!
しづかキタ━(゚∀゚)━!
「束の間の勝者」
神威のじいさんと兵藤和也どっちにもかかる
題名が凄い
投下乙です!
坊ちゃん絶体絶命か?の引きが上手いw
保守
沢田さんの物語の続きが読みたいです。
ラミーの続き… お願いします。
「説得」投下します。
キュッ、と蛇口のコックを絞る音が建物の中に響いた。
天と治は、出会った場所からいくらも離れていない軽食レストランにいた。
ヨーロッパ風に飾られた建物の中は、他の施設と変わらず薄暗い。
テーブルや椅子は、もはや人に座られるのを諦めたかのように整然と並んでいる。
それらが漏れ入る陽の光に所々照らされている光景は、どことなくもの悲しく感じられた。
天は水道水で濡れそぼったタオルを軽く絞ると、調理場から出て治が腰掛けているベンチへ向かった。
「氷はないみたいだから、ちっと温いけどこれで勘弁な」
「はい……でも大丈夫ですよ、オレ」
天はそう言う治に構わず、冷やしたタオルを治の後頭部にあてがう。
あれから治の意識はすぐに回復し、現在は打たれた場所の痛み以外に異常は現れていない。
「ま、一応だ一応!頭は俺も打ったことあるけどな……酷くなきゃ冷やして安静が一番なんだと」
「安静」という言葉を口にした天であったが、
こんなゲームの中で「安静」にしていられる時間がいくらもないことは承知していた。
治に吐き気や痙攣などの症状が見られなかったことには安心したが、以前かかった医者から聞いた話―――
頭部の打撲は後になって急に深刻なダメージが明らかになることがあるという話が、かすかな不安を煽る。
そんな天の心中を知らない治は、タオルを受け取り自分で打撲痕をおさえ直した。
出会ったばかりの自分のことすら本気で案じてくれる天の人の良さを感じたのか、
少し口元の緊張が緩んでいる。
「これからどうするんですか?……天さんは、ゲームに乗ったってわけじゃなさそうですけど」
「…ああ、極力人を殺すつもりはない。当分は人集めだろうな……治はどうなんだ?」
「オレは…ある人に会わないといけないんです。
天さんはここに来る途中、アカギっていう人に会いませんでしたか?」
アカギという名前に、天の目が見開かれる。
やはり天もひろゆきや原田と同様に、あの赤木しげると同じ名前を持つ青年を気にかけていた。
ホテルでは後ろ姿をちらりとしか確認できなかったが、その特徴的な髪の色は、
40代半ばですでに真っ白に染まっていた赤木の頭髪とそっくりだった。
それが自然のものなのか、あの赤木を模しているものなのかはわからない。
どちらにせよ無関係というわけではなさそうに思える。
「………俺は会ってないが、知り合いなのか?」
「はい、職場の先輩だった人なんですけど」
「職場………で、その赤木ってのはどんな奴だ?」
「えっ……と、簡単に言えば麻雀がすごく強くて、独特な信念を持ってる人です。
なんか普通の人間じゃないっていうか、次元が違うっていうか…とにかくすごい人ですよ」
「それっ………!見たのか?打ってるところを直接……!」
「もちろんです。ヤクザの代打ちをしてるところと、雀荘での勝負…たった2回ですけど、確かにこの目で」
偶然か、運命か、悪い冗談か―――?
天は体中の血が沸き立つのを感じていた。
勝負したい。その一念が頭の中を満たしていく。
他人の言う「強い」が実際どの程度のものなのかという問題は差し置き、
とにかくあの青年も勝負の世界に身を置く者だということが分かっただけで満足だった。
居ても立ってもいられなくなり、思わず拳を作ってベンチから立ち上がる。
「治……俺もそいつに会いたいんだ。一緒に探そう、そのアカギって奴を」
「は、はい………!天さんが一緒なら心強いですけど……
でも、こんなところで人捜しって難しいですよね…脱出資金を集めてる間に偶然会うくらいしか……」
「脱出資金?お前、棄権するつもりなのか?」
「えっ?天さんは違うんですか?」
「………ホテルでの説明で、奴らがなんて言ってたか覚えてるか?」
「……一億円で棄権の権利を購入できる……でしたよね」
「そう……あくまで権利を売るってだけで、実際にこのゲームから離脱させてくれるとは言ってない」
「ええっ……!そんなのひどい話じゃないですか……!!」
きょとんとしていた治の顔が一転、驚愕の表情に変わる。
確かにひどい話。だが考えてみれば、そもそもこのゲーム自体が恐ろしく非道なものである。
今さらどんな非情な罠が隠されていようが、当然と言ってしまえないこともない。
治はそれでも、天の言うことが単なる言葉遊びにすぎない可能性を捨てきれないでいた。
だが、これまでにも散々狡猾な人物たちと相対してきた天は確信している。
彼らの言葉には決して甘いところはない。
話の至る所に、受け手の思いこみとも気付かないような思いこみにつけ込む罠を張っている。
主催側がわざわざあのような言い回しをするということは、確実に何らかの意図があるはずだ。
一億を集めてもまず簡単にはリタイアさせてくれないのは間違いないだろう。
天がその考えを伝えると、治は肩を落として言った。
「そっか……オレ、考えが甘かったみたいです。ダメだなこれじゃ……」
「………治、でも…」
「でも、生きて帰る手段がなくなったわけじゃない……!
ここでやらなきゃいけないこともあるし、ガッカリしてる場合じゃないんだ。そうですよね!」
天は落ち込んでいたように見えた治の発した力強い声に、一瞬呆気にとられた。
治の瞳は決して後ろを向いてはいない。それを見た天は、ふっと笑みをもらす。
「ああ、その意気だ」
「オレ、絶対生還して見せますよ。…天さんはこのゲームを潰すつもりなんですよね?」
「………ん、ああ…俺はとりあえず、死ぬ奴をできるだけ減らしたいんだ……」
天は少し言い淀んでそう答えた。
元々人情家の天は、一人でも多くの人間を死なせたくないがために、このゲームへの反逆を決めた。
少しでも多くの参加者を生きて帰らせるためには、やはりこのゲーム自体を潰すしかないと考えたのである。
だが一方で、アカギのような相手との勝負を強く望む気持ちもあった。
一人でも多く救うためには、一刻も早くこのゲームを破綻させる必要があるにも関わらず、である。
天はほとんど勝負のためだけに生きているような男であるから、
それも仕方のないことと言ってしまえばそれまでだが、彼の心中は複雑だった。
「そうしたら…やっぱりとりあえずは人を集めて………ん?」
その時、上下に空間のあるウエスタンドアの外から、人の声らしき音が聞こえてきた。
天は反射的に振り返り後方の窓を見て、そのまま視線の方向へ進んでいく。
遅れて治も天に追い付き、窓の外を見つめたまま声をかける。
「天さん、今………!」
「ああ……あっちだ」
治は天の指差す方に視線を向ける。
少し乗り出して覗きこむと、それまでは死角で見えなかった場所に二人の人物がいた。
一人はごく普通の中年の男、もう一人は白髪の老人。
そして奇妙なことに、老人の方が中年の男に手を引かれて歩いていた。
「あれは……代打ちの市川……?」
「知ってるんですか?」
「ああ、代打ち界でも指折りの打ち手ってので有名だ………いや、正確には有名『だった』か。
数年前から消息不明とは聞いてたが、まさかこんなところに…」
「へえ……あの人、目が見えないんですかね……?」
「ああ、盲目らしい……手を引いてる男も脅されてるようには見えないし、比較的安全かもな……
よし、声かけるぞ」
◆
「………で?確かに儂は数年前まで代打ちをしてたが………何か用か?」
「やっぱりそうか。個人的には純粋に対局でもしたいんだが、まあそういう場合でもないよな。
とりあえず、アンタらが今何を目的に動いているか聞いていいか?」
市川は代打ち時代について触れられたためか、少し苛立った表情で天たちに向かっている。
その横に立つ石田は、はじめ強面の天に腰が引けていたが、
はっきりと敵意がないことを告げられてからは少し緊張が解けたようだった。
天の質問に市川が口を開こうとしたが、先に石田が拡声器を掲げて答える。
「私たちは、今からこれで殺し合いに乗ってない人たちに呼びかけようと思ってたんだよ……!
ちょうどよかった……!君たちも殺し合いに乗ってないんだろう?」
「………呼びかける……?」
「そう、つまり仲間を募るんだ……!
そうすれば同志の人たちが集まるし、参加者の中にいる頭の切れる知り合いとも合流できるかもしれない。
その人ならきっと、君たちにとっても力になってくれるはずだよ……!」
「ちょ、ちょっと待ってください……天さん、それってヤバいんじゃ……!」
治は天に困惑の表情で視線を送る。
石田は二人の態度に不思議そうな顔で説明を求めているが、天はそれを無視して市川に言い放った。
「どういうことだ……?アンタなら気付かないはずがないだろう……」
「クク………さて何のことやら……」
「とぼけるなっ………!こんなところで呼びかけなんかしたら、安全な人物なんて来やしない……!
集まってくるのは、ハイエナみたいな危険人物ばかりに決まってる……!
そんなことくらい、あんたほどの人が気付かないわけがない……
なのになぜ止めないんだ?死にたいのかっ……!?」
「……えっ………?」
石田はこの時、初めて今までしようとしていた行為の危険性に気付かされた。
そんな馬鹿な。だってこれは、窮地に追いやられた自分たちにとっての唯一の希望の灯なのに。
そんな、そんなとうわごとのように繰り返しながら、石田はへなへなと地面に膝をついた。
「死にたいのか、だって………?そうさ、儂は死にたいのさ……」
そう言ってわずかに肩を揺らして笑い出す市川。
その声には、こんなところで邪魔が入るなんてとことん運がない、と自嘲の音が混じる。
「ククク……だがつまらない死に方をするつもりはさらさらない……
儂は死に場所を求めてここに来た……どうせなら華々しく散りたいじゃないか……なあ……?」
そう言って市川は、おもむろにコートの前身頃を開いて見せた。
びっしりと張り付いたダイナマイトの筒。それを目にした天はますます驚愕と憤りを露わにする。
「馬鹿野郎っ……!何人も巻き込むつもりかっ……!?」
「そうだ……いいだろう?所詮か弱い餌を貪りに来る乞食共さ………ククク……」
「クソッ………!!」
天は弾かれたように市川に髪の毛が触れるほどの距離まで詰め寄ると、市川の見えない眼をまっすぐ見つめた。
市川は眼前で燃えさかる怒りの鼓動を感じながら、それを逆撫でるような笑いを続ける。
「クク……お前も儂に死ぬなと言うのか……?」
「……そうは言わない。死ぬなら勝手に死ねばいいさ……
だが、考えてみろ…!あんたがくくりつけてんのはダイナマイトだろうが……
それだけの量があれば、このふざけたゲームをひっくり返せるんだぞ……!」
「何を言うかと思えば……クク………興味ねえなあ」
「本当にそうか……?アンタ、死に場所を求めてきたと言ったよな……
たかが参加者数人道連れにしたところで、満足か?
雀ゴロやただの中年、そんな奴らばかり殺して満足するのかよ」
「…………何が言いたい」
「アンタにふさわしい舞台は別にあるってことさ……
どうせ死ぬなら、主催者の根城のひとつ潰して死んだらどうだ……!
この場で一番殺しがいがあるって言ったら、奴らだろ……!」
「………………」
「ちっぽけな参加者には何もできやしないと高をくくって見物してる主催者たちを
吹っ飛ばしたときこそ、ホントに華々しい死に方ができるんじゃないのか……!?
それがアンタの求めてる最期ってやつじゃないのか……!!」
下手に逆上させたら今ここで爆発を起こされかねない状況の中、天は必死に説得を続けた。
天の必死の啖呵を、治はただ息をのんで見守っていた。
市川は気圧されたようにしばらく押し黙っていたが、やがて口を開く。
「………わかった」
「…………ほ、本当か………?」
ああ、と市川は静かに頷き、ゆっくりと呆気にとられたままの石田の方に向き直る。
天は張り詰めた表情を崩して、市川の前から一歩退く。
そのまま市川に触れられて我に返った石田も、
とりあえず市川が死ぬのを止めたのだということを認識して胸をなで下ろした。
誰もが天の説得の成功を信じ、その場に弛緩した空気が流れる。
だがその刹那、空間をも切り裂くような音が緩んだ空気を掻き回した。
『聞けっ……!ここに一千万ある……!!得たくば、奪いに来いっ……!!』
3人は動くことができなかった。
拡声器から最大出力で吐き出された轟音―――それは紛れもなく市川の発したもの。
気がつけば石田の手からは拡声器が消え、それは今市川の右手に収まっている。
口を金魚のように開閉させる天たちに振り向き、市川は不気味に笑う。
「小僧、お前の言いたいことはわかった……だが、受け入れることはできねえな……」
【B-3/アトラクションゾーン/午後】
【治】
[状態]:後頭部に打撲による軽傷
[道具]:なし
[所持金]:0円
[思考]:逃げるべきか迷っているが、基本は天に同行 アカギ・殺し合いに乗っていない者を探す
【天貴史】
[状態]:健康
[道具]:鎖鎌 不明支給品0〜2 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:市川の行動を止める アカギ・殺し合いに乗っていない者を探す
【石田光司】
[状態]:健康
[道具]:支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:ここから逃げ出したい カイジと合流したい
※有賀がマーダーだと認識
【市川】
[状態]:健康
[道具]:産業用ダイナマイト(多数) コート(ダイナマイトホルダー) ライター 拡声器
[所持金]:1000万円
[思考]:人が集まるのを待つ
※有賀がマーダーだと認識
乙!
石田さんの死亡フラグが消えたと思ったらっ…!
うおおおお!拡声器と市川の気持ちがこんな最大ピンチ展開を導くとは!
筆者本当に話作りが巧いなぁ、ファンになりました!
投下乙です!
天も罠に気付いたか……恰好良すぎる。
どれだけマーダーが集まるかな。
『アカギ』から抜け出た市川さんが話してるみたいだ…凄い
投下ありがとうございました。
天が熱くて格好良い。
まるで主役級キャラのようだ。
>>610 突っ込んだら負け…突っ込んだら負けっ……!
>>610 馬鹿野郎!原作でも天は主役級のキャラだっただろうが‥‥!
どう考えても主役はひろゆきだろ
天は作品初期主人公に迫る活躍をするが、後半から元の位置に下がる
からなぁ。バトロワでも今は活躍しているが・・・・
616 :
マロン名無しさん:2008/09/05(金) 11:22:08 ID:ZJT3+K1b
午後→夕方にしないと午後の話で拡声器の音が聞こえてないっていう矛盾が出てこない?
>>616 そうでもない
まだ夕方になったパートは無いから大丈夫
>>616 「午後」だけでも3時間の幅があるから大丈夫だと思うよー
まだ生きてて名前のでてない人がひとり居ると思うけど、俺の数え間違いじゃないよね?
620 :
マロン名無しさん:2008/09/05(金) 19:56:48 ID:5qpV/4Xd
誰?
読み間違いだったかorz
残りひとりは誰かと考えを巡らせてwktkしてたんだけどな〜
保守っとく
あれっ、◆xuebCgBLzA氏の予約切れてるね
まあ支障はないけど、大丈夫かな?
>>615 このスレでも、アカギとひろにお株を奪われる天が見れるのか最後まで主役級の活躍してくれるのか
どちらにしてもおいしい
626 :
◆xuebCgBLzA :2008/09/11(木) 02:17:07 ID:d+6tYK8h
遅れて申し訳ないです…。
見直し、一通りしたのですが、表現おかしかったり、矛盾等がありましたら
ご指摘よろしくお願いします。
627 :
賭博覇王:2008/09/11(木) 02:17:53 ID:d+6tYK8h
あらかた片付けた部屋を零は見回した。
この部屋で数分前まで自分は悪魔と1000万という巨額の金のやりとりをしていたのだ。
そう考えると零はゾッと身震いした。
「あと何分残っているのだろうか…」
零はこの残った十数分をどう過ごすか考えていた。
このまま時間ギリギリまでこの部屋に居座り気持ちを落ち着かせるか。
それとも、すぐにでもこの部屋を出て行き殺し合いに復帰するか。
できることなら長い間、この部屋に身を留めていたい。
しかし、いつまでもソトを怖がっていたら生き残れるものも生き残れない。
零は先ほどの選択、後者に決めた。
荷物をまとめもう一度、部屋を見渡す。
つくづく几帳面な少年である。
さて部屋を出るかと零はドアノブに手を掛けた。
この時零にある予感。
ドアノブの冷たさがヒヤリと手に染みる。
異常なまでの冷たさ。
しかし、このドアノブの冷たさが何を知らせようとしているのかわからなかった。
628 :
賭博覇王:2008/09/11(木) 02:19:07 ID:d+6tYK8h
零はゆっくりとドアを開ける…。
目の前には一人の男が立っている。
口角を上げ、にやついている老人。
手を伸ばせば確実に届くほど近い。
1mだろうか。それ以下だろうか。
老人は零に考えさせる間も与えず握り締めた拳を振り上げ、零へ向かって振り下ろしてきた。
拳は零の顔面を捉えた。
一瞬、老人の顔が歪む。右腕を損傷しているのだろうか。
だとしたら、この老人は狂人である。
不意の出来事だったので零はギャンブルルーム内へ倒れる。
その衝撃で袖の赤いボタンが取れ、テーブルの下へと転がった。
まさかこのような老人が出会い頭に、もっともあちら側は自分の事を狙っていたのかもしれないが、
顔面を殴ってくるなど思いもしなかったので、零はただ圧倒され、立ち上がることも忘れていた。
その隙に老人は片足を引きずり、近づいてくる。
そのまま零に馬乗りになり、もう一度右の拳を振りかざした。
「ま、待ってくれ!『ギャンブルルーム内での一切の暴力行為は禁止』…!『禁則事項が破られたときは、首輪が爆発』!」
老人は言葉を聞き入れたのか、立ち上がる。
629 :
マロン名無しさん:2008/09/11(木) 02:21:14 ID:O3DZFQMg
支援
630 :
賭博覇王:2008/09/11(木) 02:21:25 ID:d+6tYK8h
いまだ仰向けでいる零を老人が見下ろす。
「あなたっ…。名前は…!?」
「鷲巣…巌じゃ…!」
「鷲巣さん…狙いが金なら諦めてくれっ!オレはギャンブルに負けた…!素寒貧さ…!」
「いやいや…血じゃ…儂が見たいのは血…さすれば道も自ずと開かれる…優勝じゃ…!儂の…!」
零には鷲巣巌という人物がこの殺し合いに乗っていることだけは理解できた。
「血を見られるならば優勝など興味はないが…
人を殺せば…いやでも金はついてくる…!道程の1000万などに…興味は皆無…じゃ…!」
覚悟が違う。
自分が優勝者だと確信している人間が語る理論である。
(この男から逃げおおせるのは…不可能か…!?だったらイチバチで…)
「さぁ…早く出て来い…!」
ギャンブルルームから出た鷲巣がてぐすねを引いて待っている。
「……黒服さん…このギャンブルルーム…あと何分使えますかね…?」
さきほど、片付けを始めた時は1時間から使用時間を差し引いて残り10分程度と考えていたが、
平井銀二は「待ち時間」の30分も買っていたはず。
この「待ち時間」が丸々残っているなら話は別となる。
零は賭けたのだ。この「待ち時間」に。
631 :
賭博覇王:2008/09/11(木) 02:22:28 ID:d+6tYK8h
「あと、36分だ…」
いままで零と鷲巣のやりとりをただ黙って見ていた黒服が淡白に答えた。
「鷲巣さん…オレにも逃げ道をください…ギャンブルで勝負していただきたい…!」
勝つ見込みは無い。しかし、平井銀二との戦いで零は吹っ切れていた。
鷲巣はニヤリと笑う。
「君は…違うの……どうやら凡夫ではないらしい…」
零はまたも鷲巣の言う事を理解できない。
「凡夫は…理由をつける『対等に』とか『正々堂々と』だとか…
誰が優位かを判断できぬ…ここまで追い詰められても…
だが君は違う…自分を下へ置き…『逃げ道』を欲しがっておる…
いいだろう…勝負しよう…!君の勇気に免じて…!」
鷲巣はギャンブルルームへと踵を返す。
「もちろん君は…見返りは望んでおらぬよな…?金だの…。武器だの…まして儂の命だの…」
もらえるものはもらいたいと思っていた零だが、この流れからして、
その提案は呑んではもらえない。最悪この勝負自体なかった事になる。
「えぇ…見逃してもらえるのならば…それ以上は求めません…。
当然鷲巣さんが勝ったのならオレを好きにしていただいて結構です…
そして…。種目も決めていただいて結構です…鷲巣さんが…」
とことん自分を下に置く。
その精神が鷲巣に買われているのだからこの条件がベスト。
支援
更に、鷲巣が上に立つ事によって落ちてくる収穫…。
思いがけぬ収穫があるかもしれない。
鷲巣はますます機嫌を良くしたのか、真っ先にあるものを捜し始めた。
零は麻雀卓の席に腰掛けた。
そして…。そのあるものを見つけたらしく喜悦を隠せない様子で零に話しかける。
「君は…。『両面牌麻雀』を知っておるかね…?」
いわゆる、あの鷲巣麻雀で使われていた牌である。
「い、いえ…」
本当に知らない種目を出され、困惑した。
鷲巣は、
「4つの牌のうち、3つが透けて相手にも牌がわかる」ということ
「山は積まず、用意されてあった麻袋に全ての牌をいれ、
そこから手牌、ツモ、ドラ、裏ドラ、カンドラ等を引く」ということ
「その他は、他の麻雀と変わりがない」ということ
を説明した。
その説明を聞き、零は深く考えた。
(奴はこの種目…得意なんだろうな…絶対…絶対に勝つ見込みを持っている…)
零はあることに気付いた。
(…!この状況って…さっきのオレ対平井銀二…?)
あまりにも似ている状況。
(優位に立っているものはあんなにも無防備なのか!オレも…あんなだったのか…?)
うきうきしている鷲巣に目をやり、自らを省みる。
(ここから勝つ算段をたてて、勝ちに行くなんて…)
改めて平井銀二のなした事の凄さを実感する。
「よろしいか?このギャンブル…」
鷲巣の言葉に零は我に返った。
(そうだ…今は平井銀二じゃない…鷲巣巌だ…)
「いいでしょう…やります…」
もとより零には決定権はない。快く承認した。
鷲巣は喜びを隠せず饒舌になった。
「儂も数えるほどしかやったことが無いが…要領はわかる…
普段は仲間と共にやり、差し込みなどしたりするものだが…そんなものはできない…
ゆえにお互いロン牌が出づらい…。そこでどうだ…テンパったら即リーチ、
鳴いている場合はテンパイ宣言が絶対…そこからはお互いツモ切り…
単純に一局アガったものの勝ちというのは…!」
圧倒的不利…。しかしそんなことは承知の上…。
絶対に負けられない。
そう思いつつ、麻雀卓の上の透明牌の白を手持ち無沙汰でいじった…。
その時、零に奇策が舞い降りる…。
支援
(……鷲巣の様子だと…まんまと引っ掛かってくれそうだけど…確率としては…)
「わかりました…時間も無い事ですしね…」
(保険程度の確率か…)
「よし…!じゃあ始めようか…」
鷲巣はそういうと、零と対面の位置にあたる席に腰掛け、麻袋に麻雀牌を入れた。
いよいよはじまる。
崖の淵に立たされた者同士の対決が…。
* * *
東1局…親、鷲巣。
勝負はこの1局で決する。
お互いに手牌をそろえる…。
なんと、この時点で鷲巣テンパイ。昭和の怪物の強運が発揮された。
「ククク…残念じゃが…リーチじゃ…」
そういって鷲巣は手牌を晒す。
「なーに…どうせあとはお互いツモ切りじゃ………」
老いた笑い声が部屋に響き渡る。
鷲巣の待ちは1-4ピン。ダブルリーチ、ピンフ。
(なんで…なんでこんなにもツイているんだよ………オレ…!)
零は笑っていた。
「どうした…死を悟ったのか…?ククク…覚悟を決めろよ…」
生死を分ける、大事なツモ。
自分が麻雀で生死を問われるとは思ってもいなかった。
普通に大学を出て、普通に就職し、普通に結婚、子供、マイホーム…。
零はこんな生活を送るのだろう、と…高をくくっていた。
死に方は…?
わからない。だが一ついえたのは真っ当である事。
ガン、交通事故、運がよければ寿命。
間違ってもギャンブルで命を落とすなどとは微塵も思っていなかった。
しかし、現実は今、ここ…。
このツモで生きるか死ぬか…。
決まる。
零は右手を麻袋へ突っ込む。
そして、牌を選ぶ…。念入りに…。
「何じゃ、何じゃ…一気に引かんか…興が削がれるわ…!」
そう言いつつも焦らされる快感をも鷲巣は味わっている。
(うっ…このヌルッての…当たりだ…あとは…透明牌であれば…!)
しえん
零が麻袋から手を引き抜く。
その手には牌…。透明牌…。
零は牌の腹、つまり絵柄の書いてある面を親指で隠し、自分の眼前まで持ってきた。
しかし、鷲巣側、牌の背側からは一目瞭然…。
人差し指と中指の間からバッチリ…見えているのだ…。
赤く、大きな丸一つ…!
「クククッー!ツモ切りじゃ!即ツモ切り…!そのイーピンっ…!」
鷲巣は麻雀卓中央まで身を乗り出し、牌が切られるのを今や遅しと待っている。
零は牌を親指側に背、人差し指、中指側に腹が来るよう持ち替え、
歯を食いしばり、大きく振りかぶり牌を麻雀卓に叩きつける。
カーンという快音が鳴り響く…。まだ牌から零の指は離れない…。
鷲巣は待ちきれず宣言…!
「ロォーン!そのイーピンっ…!ロンじゃあー!!クックック…!」
その顔は歓喜と狂気に歪み、よだれも垂れ流している。
その刹那、牌から指を離し零は叫んだ。
「そのロン、チョンボ!!」
離れた指から生まれた牌、それは白だった…。
「な、何ぃ!?」
歪曲っ…!
鷲巣の顔が困惑で染まる。
「オレの勝ちだ!鷲巣巌!」
「イカサマか!?儂は許さんぞ…そんなもの…!」
「イカサマじゃない…!あなたがオレの白を見紛うただけさ…!」
そういうと、零は握り締めていた右手からあるものを落とした。
それは、先ほど零が鷲巣に殴られた時に外れた、真っ赤なボタンであった。
零は、それを拾い上げ透明な白に重ね合わせたのだ…。
鷲巣は椅子に座り込み動かなくなる。
「約束通り、見逃してもらいます…。それでは…」
零は鷲巣の後姿をギャンブルルームを出る。
周りに身の危険がないか確認し、歩き出そうとした…。
―――その時、後頭部に痛みが走る。
鷲巣が落ちていた木の棒を持ち零に殴りかかってきたのだ。
零はその場に倒れた。
「ぐっ…!クソっ…!」
「儂は認めん…認めんぞ……」
抜け殻になってしまったかのようにうわ言を言う。
その目は虚ろで、とても正気の人間の目ではなかった。
(ヤバい…殺される……!)
動く事も出来ず、今度こそ死を覚悟した。
だが、その瞬間、怒号が響く。
「退け!爺っ…!」
鷲巣は驚いたらしく、チラリと声の先の人物を見るとそのまま逃げ出した。
(なんだ…助かったのか…)
体を起こすと、男が近づいてきた。
「おい、大丈夫か…?」
男は零の顔をのぞき問いかけた。
「ありがとうございます…あの、お名前は…?」
「オレは…沢田って者だ…それよりも、何があった?ギャンブルルームの前でトラブルってことは、
ギャンブルでもしたのか…?お前…?」
零は沢田を信用し、平井銀二との勝負、鷲巣巌との勝負を洗いざらい話した。
「―――なるほど…。フィクサー界の大御所、平井銀二と、昭和の怪物、鷲巣巌と渡りあったのか…」
沢田は零に期待を抱いた。共に戦う仲間として。
零は自分が勝負を挑んだ二人がどれだけの人間かを改めて思い知った。
「なぁ…零よ…お前、オレと組む気はないか…?」
「組む…といいますと、この殺し合いに乗るっていうんですか…!?」
「いや、違う…。このギャンブルを根底から覆す…。つまり、このギャンブルの主催…こいつらを潰すんだ…」
対主催…。このギャンブルが始まって何時間か経つが、そんな頭は零にはなかった。
零に衝撃が走った。
「対主催…ですか。凄い…!そうすれば…殺し合いなんて考える人、いなくなるんじゃあ…!」
「いや、残念ながらそうはいかないだろう…。先ほどの鷲巣もそうだが…
ただ単純に殺しを楽しんでいる奴もいる…
それに…オレは既に一人殺した……やはりこのギャンブルが危険なのは変わりない…
方法は一つ…他にも対主催を考えている輩を募って共に戦う…邪魔者はしっかりと排除して…な」
零はただ黙って聞いていた。
「わかりました…オレもその戦いに協力させてください…!」
零なりに覚悟は決めた。
「歓迎しよう…!ただ…『俺たちに明日はない』…そのぐらいの覚悟が必要だ……」
【E-3/道路沿い/午後】
【宇海零】
[状態]:顔面、後頭部に打撲の軽症
[道具]:麻雀牌1セット 針金5本 不明支給品 0〜1 支給品一式
[所持金]:0円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す
【沢田】
[状態]:健康
[道具]:毒を仕込んだダガーナイフ ※毒はあと一回程度しかもちません
高圧電流機能付き警棒 不明支給品0〜4(確認済み) 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す
【鷲巣巌】
[状態]:膝裏にゴム弾による打撲、右腕にヒビ、肋骨にヒビ、少し動けるようになってきています
[道具]:防弾チョッキ
[所持金]:0円
[思考]:零を殺す、平井銀二に注目、有賀を自らの手で殺す
書き手氏&代理投下乙です。
鷲頭様なんといううっかりww
優位に立っている者の無防備さに気付くあたりがいかにもこのロワっぽくていいね
人情に厚いもの同士のタッグが楽しみ
書き手さん&代理投さん ありがとうございました。
沢田さんが再登場。嬉しいです。
>>642 >>邪魔者はしっかりと排除して…な
優しいだけじゃない沢田さんの活躍が楽しみです。
面白かったけど、ギャンブルルームでの決めを破ってね? ひろゆきの時と違って外に出たら無効になるのか。
あと、鷲巣がどうやって入ったのかも気になる。
面白かった乙です!
零の真面目さや礼儀正しさの描写が丁寧でが際立ってますね。
自分も所持金ゼロの鷲巣がどうやってルーム内に入れたか気になりました。
鷲巣不意打ちは「見逃す」という言葉のあいまいさ故かな、と自分は判断したんですが…どうなんでしょう?
使用料は残り分を折半すれば、時間は半分になるけど二人とも入れるね
それがルール上おkかはわからないけど。
どっちにしろ、補足説明を加筆してもらえるとありがたいです。
不意打ちは、とりあえずその場で殺すことをしなかった(見逃した)
ということでいける…かな?
あと、できれば沢田が、なぜ平井銀二、鷲巣巌の情報を知っていたか、
裏世界の住人ということで常識だったのかもしれないけど、
そのへんちょこっと補足してあったら完璧だったかな。
それと、鷲巣の動きが、右腕と肋骨にヒビが入っているにしては
元気に動きすぎてる不自然さもあるので、その辺も補足欲しい。
650 :
◆xuebCgBLzA :2008/09/11(木) 14:26:17 ID:O3DZFQMg
ギャンブルルームの残り時間が36分×2人分という設定にしたので、銀二と鷲巣が入れ替わったということで説明がつくと思ったのですが・・・。
無理がありましたかね?
二人で麻雀って出来ないんじゃないか?
>>650 そういう意図ならそのように説明入れとくべき。
一つ指摘。
このギャンブルの契約は「零が勝った場合鷲巣が零に危害を加えずお互いが離れる(=零を見逃す)」だよね?
だとしたら零が勝った後に鷲巣が暴力を振るった時点で契約違反→鷲巣あぼんにならないか。
ルールの
・過程はどうであれ結果には必ず従わなければならない
・禁則事項を破った場合、首輪が爆発する
に思いっ切り抵触してるぞ。
654 :
653:2008/09/11(木) 18:11:40 ID:???
ごめん、ガイシュツすぎたorz
でも鷲巣自身が契約を破棄するような発言(認めん)をしてるのでちょっと危ういと思う。
ギャンブルルームの外で決めたことにすればいいんじゃない?
それから中に入ったのなら、ルール上問題ないと思う。
今後、そういう悪用も可ってことか
そうだね。じゃあ
・残り時間については書き手氏の設定を加筆
・取り決めは外で行われたという描写に変更
って感じで修正&投下してもらえるといいのかな。
658 :
◆xuebCgBLzA :2008/09/11(木) 20:25:43 ID:d+6tYK8h
みなさんご指摘ありがとうございます。
ルールの確認が不十分だった事をお詫びします。申し訳ありませんでした。
みなさんに指摘していただいた点を踏まえて補足、加筆させていただきたいとおもいます。
ですが、みなさんが破棄すべきだとおっしゃるなら、この話は破棄という事にしたいとおもいます。
ご意見ください。お願いします。
破棄するなんて、もったいないです。
補足・加筆してください。
ぜひ、補足・加筆でお願いします
それを破棄だなんてとんでもない!
◆xuebCgBLzA さん ぜひ補足・加筆して残してください。
お願いいたします。
ありがとうございます。早速修正しました。
修正した点は
・ギャンブルルームの残り時間と引継ぎについてのルール
・零と鷲巣の口約束の場面
・零と沢田の会話を加筆(
>>649さんの助言を元に)
・鷲巣の怪我の表現
です。ギャンブルルームのルールですが、
勝手に作らせてもらったので、意見がありましたらよろしくお願いします。
投下はしたらばのほうがいいですかね?
お疲れさまです
自分は投下はどちらも良いと思います
無理はしないで下さいね
良作なので破棄はもったいないと思いましたので、嬉しいです
残すことにしてくださったようで、嬉しいです。
ありがとうございます。
「二択」投下します
「どういう人たちなのかは分からないけど……警戒するに越したことはないわね」
赤木しげると平井銀二の顔写真を見つめながら、沙織が言う。
二人の"危険人物"は、年齢には差があるものの、偶然にも外見が似通っていた。
白い短髪と吊り上がった目。目はともかく、髪の毛に関しては目立った特徴だと言えるだろう。
それによって何が変わるでもないが、少なくとも白髪を見たら警戒するという目安ができたのは、
彼らとの遭遇を避ける上で悪いことではなかった。
カイジは、沙織にもその顔写真が見えやすいように名簿を置き直す。
ところが、彼女は写真を見て一瞬身体を硬くしたかと思うと、すぐに目を離してしまった。
沙織を震わせたのは、他の誰でもない彼女自身だった。
沙織は、自らがあの二人に殺される姿を、閃光のような一瞬のうちに想像してしまったのである。
脳裏にちらつく惨劇の中に倒れる沙織の様子は単なる想像図ではなく、神威事件での血にまみれた彼女の姿にそっくりだった。
沙織は背中に走る悪寒にきゅっと口の端を引き締め、周囲に視線を漂わせる。
そうして目をやった先にいるカイジはというと、彼もすでに名簿を見てはいなかった。
「カイジ君、何か考えてるの?」
「ん、ああ……田中さん、これが本当に賭けの倍率だとしたら、奴らはオレたちを監視してる可能性が高い」
「………監視?」
カイジはこくりとも頷かず、何かを思い出すように前を見据え、言葉を続ける。
「監視と言うよりは鑑賞かな………
オレは前に、同じ主催者の開いたゲームに参加したことがある。その時やったのも命がけのギャンブルだった…
そして、そんなオレたちを見て楽しんでる奴らが大勢いたんだ」
「……今回も同じってことね」
「恐らくな。直接見るには範囲が広すぎるから、多分そこら中にカメラの類が仕掛けてあるんだろう」
思わず辺りを見回す沙織。
そう言われると、先ほどまでは気にも留めていなかったぬいぐるみや調度品が妙に気になって仕方ない。
今も見られているかもしれないと思うと、あまりいい気分はしなかった。
「……そうね………監視なんて考えてもいなかったけど、
そもそもゲームの性質を考えたら、こちらの動きをチェックしてないはずがないんだわ…
ねえ、ゲームを潰すなんて言っちゃって大丈夫だったのかしら?
都合が悪くなったら首輪を爆発させられちゃうんじゃ……」
「……いや、それは多分大丈夫。あっちは滅多なことじゃ直接手を下したりはしない…できないんだ。
賭けてる奴がいる以上、勝手に殺したら文句が出るに決まってるからな。
明確なルール違反をしたり余程の事態を起こしたりしなきゃ、そう簡単に爆破されることはないはず…
ただ、具体的な計画なんかは大っぴらに言わない方がいいってこと」
カイジのその言葉を聞いた沙織は、素直に胸をなで下ろした。
賭けの対象にまでされているという腹立たしい事実はともかく、
それによって少しでも生き残る可能性が上がったというならば悪くない……
そう考えたのか、先ほどまでとは打って変わった余裕のある表情を見せている。
アタリといえる支給品を手に入れたこと。冷静な分析ができるカイジに出会えたこと。
そんな些細な幸運を噛み締めるように、拳を握る。
(カイジ君がいてくれれば、大丈夫………本当に会えてよかった)
そんな沙織の心中を知らないカイジは、再び妙な沈黙が流れる前に、意を決したように問いかけた。
「田中さん…これから外に出ようと思うんだが……大丈夫か?」
「ええ、ここにいてもしょうがないもんね。………行きましょう」
目を合わせた二人は、お互いを勇気づけるように頷き合う。
カイジは、沙織が恐がって外に出るのを渋るかもしれないと考えていただけに、
彼女のしっかりとした返答に安心してわずかに口角を上げた。
膝を立て、そうと決まれば、と言わんばかりに立ち上がる。
その途中、二人の前に開かれたままだった名簿を閉じて、元々の持ち主である沙織に差し出した。
もちろんその行動に何の疑問を抱くはずもなく、沙織は名簿を受け取ろうと手を伸ばす。
ところが、カイジの手が名簿から離れたとき、沙織の動きが止まった。
「ん…どうかしたか?」
「あ………ううん、何も」
沙織は取り繕うような笑顔を見せると、何事もなかったかのように名簿を仕舞い込む。
それを見たカイジは、少し首をひねったもののさほど気にした様子もなく、すぐに後ろを向いて地図を見始めた。
一方、その行動の間にも、沙織は再び別のあるものを目にして眉尻を反応させていた。
彼女の目に留まったあるもの―――それは、カイジの指と左耳の付け根に沿って走る古傷。
それらは、元々特に隠されていたわけではない。
だが不思議なことに、沙織はつい先ほどまでその存在に全く気付いていなかったのである。
(なんなの、あの傷跡……)
視界から離れてもなお頭の中に強い存在感を残す、無惨な縫合の跡。
さすがに顔の傷には気付いていた沙織だが、そちらは単なる事故によるものだろうと考え、ほとんど気にかけていなかった。
しかし、指と耳の傷跡は明らかに異質。
その縫い跡はいずれも付け根をすっぱりと割り、意図して切ったことがありありと伝わってくる。
つまり、単なる喧嘩や事故によるものとはとうてい考えられそうにないものだった。
少し頭が切れる、何の変哲もない青年―――沙織の中で、カイジに対するそんな認識が少しずつ崩れていく。
本当のところ、彼は「普通」などとはほど遠い存在なのではないか?
自分が過去に首を突っ込んだことのある、血生臭い世界の住人なのではないか?
そんな憶測が沙織の頭の中を埋めていった。
沙織はさらに、カイジが生死を賭けたギャンブルをしたことがあると言っていたのを思い出す。
生き残ってここにいるということは、恐らくそのゲームを潜り抜けてきたのだろう。
それは、それ相応の能力があることを裏付ける分心強いともいえるが、もし―――
(―――もし、クリアしたのが今回のような殺し合いのゲームだったら?)
平坦なリズムを保っていた心臓の鼓動が、少しずつ速く、重くなっていく。
動揺を知られまいと、沙織は涼しい顔でデイパックを背負い立ち上がった。
そんな彼女の心中を知らないカイジは、頼もしげに頬笑んで廊下から手招きしていた。
◆
「……それで、これからどこへ向かうつもりなの?」
「同じ考えの奴を集めるのが目的だからな。
とりあえず、アトラクションゾーンで一番目立つ観覧車の下に行こうと思う」
「そう、わかったわ…」
沙織は疑心を抱きつつも、ひとまずはカイジに委ねることにした。
過去に何があったにせよ、先刻無防備にへたりこんでいた彼女を助けてくれたのは事実であるし、
今の時点では、カイジが人を騙して手にかけるような人物には見えなかったのだ。
何より、沙織にとっては先のことを心配するよりも、今生き延びられるかの方が重要だった。
(どうせ一人でいたって路頭に迷うだけ。今の私には、カイジ君と行動を共にするしか生き残る道はない…
私には彼が必要…………少なくとも、森田君に会えるまでは)
沙織はそう思いながら、カイジの横顔をちらりと見た。
一応は辺りを警戒しているのか、彼の表情は険しい。
そこから視線を前方に移すと、二人の目指す観覧車が遠くそびえ立ち、真っ赤な骨組みが青い空によく映えている。
本当にゲームに反逆する者と落ち合えるのかはわからないが、
確かにあれだけ目立っていれば目印になると考える人間も多いだろう、と沙織は思った。
『キャアアアァァ……ッッ!!!』
風の音、と言われれば納得していたかもしれない。
二人の後方から聞こえてきた悲鳴は、それほどか細かった。
しかしそれでも、神経を尖らせていた彼らの耳にはその声が確かに届いていた。
「カイジ君……!」
「ああ、今の悲鳴…向こうからだ……!」
「ま、待って!………行くの?」
すでに踵を返して声の方へ体を向けていたカイジは、予想もしていなかった言葉に困惑しながら振り返る。
「何言ってんだ……行くに決まって……」
「ダメよ!……わ、罠かもしれないじゃない……」
言い争う時間が惜しい。カイジは、少し苛立って唇を噛んだ。
先刻沙織をわざわざ保護したように、カイジは元来人情に厚い男である。
困っている者には手を差し伸べずにはいられないし、襲われているとあらば、彼の出来る範囲で何らかの策をとろうとする。
とは言え、聞こえてきたのが男の悲鳴であったなら判断は違っていたかもしれない。
大の男が悲鳴を上げるような事態にあるならば、相手は相応の危険人物と見て現場に近づこうとはしなかった可能性もある。
だが、先ほどの甲高い悲鳴は間違いなく女性が発したもの。
カイジが名簿で確認した女性参加者は3人いる。
目の前の田中沙織、まだ10代半ばに見えるしづかという少女―――そして、坂崎美心。
女性なら助けに行く、というのは、カイジが「女を手にかける」ことを卑劣と見なしているためでもあるが、
何より自分の知人が危険に晒されている可能性を顧みてのことだった。
「知り合いかもしれねえんだ……罠っていうことも覚悟してるさ…!」
「で…でも、もうきっと遅いわ。ここから大分離れてるみたいだし、間に合わないわよ」
「んなもん行ってみなきゃわからないだろうが……!」
沙織の言うとおり、聞こえてきた悲鳴はある程度離れた場所で発せられたものだろう。
ならば、なおさら一刻を争う事態なのだ。可能性どうこうを議論している場合ではない。
カイジは痺れを切らし、再び声のした方へ踏み出した。
「私を見捨てるの?」
その問いに、体内の血が冷える感覚に陥る。―――彼女は何を言っているのだろう?
またも投げかけられた予想外の問いは、一呼吸置かなければ言語として理解できなかった。
カイジには沙織がなぜそんなことを言うのかがわからない。
彼女も一緒に向かうことを前提にして行動を取っていた彼に、見捨てるつもりなどあるはずがなかった。
沙織は仁王立ちのまま、半身のカイジに向かって声を荒げる。
「私はそんな危険なところには行きたくない…
わかってるでしょう?声のした場所までは距離もある上に、正確な場所だってわからないのよ。
どうしても行きたければあなた一人で行けばいいわ。
でも、いいの?一人にしたら、次は私が殺されるかもしれない……」
カイジの良心に食い込むような内容を、沙織は淡々と吐き出していく。
カイジ君がいれば大丈夫。カイジ君がいれば生き残れる。
少し前に抱いたその安心感は今、ぐにゃりと裏返って沙織の心を縛り付けていた。
「………カイジ君には、生きててもらわないと困るの」
カイジ君がいれば大丈夫。カイジ君がいれば生き残れる。
カイジ君がいなければダメ。カイジ君がいなければ、死んでしまう……
【C-4/アトラクションゾーン/午後】
【伊藤開司】
[状態]:健康
[道具]:ボウガン ボウガンの矢(残り十本) 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:悲鳴のした方へ行く 仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、神威勝広、神威秀峰、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二、吉住邦男に警戒
【田中沙織】
[状態]:健康 精神不安定
[道具]:参加者名簿 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:カイジを引き止める 死に強い嫌悪感 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、神威勝広、神威秀峰、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二、吉住邦男に警戒
◆tWGn.Pz8oA さん 投下ありがとうございました。
2人の間に殺し合いもギャンブルも行われていないのに、凄い緊張した。
沙織 沙織なんだよね。彼女は…
投下乙です
田中さんは悪女だなw
カイジもいい味出てますね!
乙デス
心理描写にゾクっときました
凄く好きです
投下乙です。
三好についで田中さんにもヤンデレの気配……
カイジツイてなさ過ぎるw
すいません。昨日は寝落ちしてしまいました…。
こちらに投下させていただきます。
679 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 00:48:45 ID:???
あらかた片付けた部屋を零は見回した。
この部屋で数分前まで自分は悪魔と1000万という巨額の金のやりとりをしていたのだ。
そう考えると零はゾッと身震いした。
「あと何分残っているのだろうか…」
零はこの残った十数分をどう過ごすか考えていた。
このまま時間ギリギリまでこの部屋に居座り気持ちを落ち着かせるか。
それとも、すぐにでもこの部屋を出て行き殺し合いに復帰するか。
できることなら長い間、この部屋に身を留めていたい。
しかし、いつまでもソトを怖がっていたら生き残れるものも生き残れない。
零は先ほどの選択、後者に決めた。
荷物をまとめもう一度、部屋を見渡す。
つくづく几帳面な少年である。
さて部屋を出るかと零はドアノブに手を掛けた。
この時零にある予感。
ドアノブの冷たさがヒヤリと手に染みる。
異常なまでの冷たさ。
しかし、このドアノブの冷たさが何を知らせようとしているのかわからなかった。
680 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 00:50:52 ID:???
零はゆっくりとドアを開ける…。
ギャンブルルームから一歩出て周りを確認する。
『危険』なものはないか…。ないことを確認し、ドアを閉める。
しかし、『危険』はそのドアの裏に隠れていた。
男が立っている。
口角を上げ、にやついている老人。
手を伸ばせば確実に届くほど近い。
1mだろうか。それ以下だろうか。
老人は零に考えさせる間も与えず握り締めた拳を振り上げ、零へ向かって振り下ろしてきた。
拳は零の顔面を捉えた。
一瞬、老人の顔が歪む。右腕を損傷しているのだろうか。
だとしたら、この老人は狂人である。
不意の出来事だったので零は草の生えた地面に倒れる。
その衝撃で袖の赤いボタンが取れ、その場に転がった。
まさかこのような老人が出会い頭に、もっともあちら側は自分の事を狙っていたのかもしれないが、
顔面を殴ってくるなど思いもしなかったので、零はただ圧倒され立ち上がることも忘れていた。
681 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 00:55:24 ID:???
その隙に老人は片足を引きずり、近づいてくる。
そのまま零に馬乗りになり、もう一度右の拳を振りかざした。
「ま、待ってくれ!……あなたっ…。名前は…!?」
老人は零に乗ったまま答える。
「鷲巣…巌じゃ…!」
「鷲巣さん…狙いが金なら諦めてくれっ!オレはギャンブルに負けた…!素寒貧さ…!」
「いやいや…血じゃ…儂が見たいのは血…さすれば道も自ずと開かれる…優勝じゃ…!儂の…!」
零には鷲巣巌という人物がこの殺し合いに乗っていることだけは理解できた。
「血を見られるならば優勝など興味はないが…
人を殺せば…いやでも金はついてくる…!道程の1000万などに…興味は皆無…じゃ…!」
覚悟が違う。
自分が優勝者だと確信している人間が語る理論である。
(この男から逃げおおせるのは…不可能か…!?だったらイチバチで…)
「……黒服さん…このギャンブルルーム…2人であと何分使えますかね…?」
さきほど、片付けを始めた時は1時間から使用時間を差し引いて残り2人分で10分程度と考えていたが、
平井銀二は「待ち時間」の60分、つまり2人分と考えたら30分も買っていたはず。
この「待ち時間」が丸々残っているなら話は別となる。
零は賭けたのだ。この「待ち時間」に。
682 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 00:56:30 ID:???
「2人で36分、ひとりで72分だ…」
いままで零と鷲巣のやりとりをただ黙って見ていた黒服が淡白に答えた。
「鷲巣さん…オレにも逃げ道をください…ギャンブルで勝負していただきたい…!」
勝つ見込みは無い。しかし、平井銀二との戦いで零は吹っ切れていた。
鷲巣はニヤリと笑う。
「君は…違うの……どうやら凡夫ではないらしい…」
零はまたも鷲巣の言う事を理解できない。
「凡夫は…理由をつける『対等に』とか『正々堂々と』だとか…
誰が優位かを判断できぬ…ここまで追い詰められても…
だが君は違う…自分を下へ置き…『逃げ道』を欲しがっておる…
いいだろう…勝負しよう…!君の勇気に免じて…!」
鷲巣はようやく立ち上がり、ギャンブルルームのドアを開ける。
「儂が使ってもよいのか…?ルールに問題はないのか…?」
鷲巣は警戒し、黒服にルールの確認をする。
「はい。前回のギャンブルルーム使用時間が残りましたら、
その前回使用していたどなたか1人かでも使用するというのならば、引き続き使用可能となっております…
その場合は一度、1人分の時間で計算し、そこから使用人数で折半します。
例えば、1回目の使用でAとBが100万円ずつ支払い、2人で30分使える権利を買い、ギャンブルルームを2人で20分使用したとします。
その後、Aが部屋を去り、引きつづきBがCとギャンブルルームを使用するとなった場合、1人で20分あまっている事になるので、
BとCは2人でギャンブルルームを無償で10分使えることになります。
ただし、その間に1分でも他の組がギャンブルルームを使用したならば、残り使用時間はなかったものとなります」
「…つまり…今回の我々はその条件に見合っておるのか…?」
「はい。問題ありません」
683 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 00:58:09 ID:???
それを聞いて安心した鷲巣は零に問う。
「もちろん君は…見返りは望んでおらぬよな…?金だの…。武器だの…まして儂の命だの…」
もらえるものはもらいたい、それが真理だがその提案は呑んではもらえない。
最悪この勝負自体なかった事になる。
「えぇ…見逃してもらえるのならば…それ以上は求めません…。
当然鷲巣さんが勝ったのならオレを好きにしていただいて結構です…
そして…。種目も決めていただいて結構です…鷲巣さんが…」
とことん自分を下に置く。
その精神が鷲巣に買われているのだからこの条件がベスト。
更に、鷲巣が上に立つ事によって落ちてくる収穫…。
思いがけぬ収穫があるかもしれない。
「ククク…よろしい…。では、入るとするかの…ギャンブルルーム…」
零はボタンを拾い、鷲巣の後に続く。
鷲巣は機嫌を良くしたのか、ギャンブルルームに入るや否や真っ先にあるものを捜し始めた。
零は麻雀卓の席に腰掛けた。
そして…。そのあるものを見つけたらしく喜悦を隠せない様子で零に話しかける。
「君は…。『両面牌麻雀』を知っておるかね…?」
いわゆる、あの鷲巣麻雀で使われていた牌である。
684 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 01:00:59 ID:???
「い、いえ…」
本当に知らない種目を出され、困惑した。
鷲巣は、
「4つの牌のうち、3つが透けて相手にも牌がわかる」ということ
「山は積まず、用意されてあった麻袋に全ての牌をいれ、
そこから手牌、ツモ、ドラ、裏ドラ、カンドラ等を引く」ということ
「その他は、他の麻雀と変わりがない」ということ
を説明した。
その説明を聞き、零は深く考えた。
(奴はこの種目…得意なんだろうな…絶対…絶対に勝つ見込みを持っている…)
零は気付いた。
(…!この状況って…さっきのオレ対平井銀二…?)
あまりにも似ている状況。
(優位に立っているものはあんなにも無防備なのか!オレも…あんなだったのか…?)
うきうきしている鷲巣に目をやり、自らを省みる。
(ここから勝つ算段をたてて、勝ちに行くなんて…)
改めて平井銀二のなした事の凄さを実感する。
「よろしいか?このギャンブル…」
鷲巣の言葉に零は我に返った。
(そうだ…今は平井銀二じゃない…鷲巣巌だ…)
「いいでしょう…お受けします…」
もとより零には決定権はない。快く承認した。
685 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 01:04:20 ID:???
鷲巣は喜びを隠せず饒舌になった。
「儂も数えるほどしかやったことが無いが…要領はわかる…
普段は仲間と共にやり、差し込みなどしたりするものだが…そんなものはできない…
ゆえにお互いロン牌が出づらい…。そこでどうだ…テンパったら即リーチ、
鳴いている場合はテンパイ宣言が絶対…そこからはお互いツモ切り…
単純に一局アガったものの勝ちというのは…!」
圧倒的不利…。しかしそんなことは承知の上…。
絶対に負けられない。
そう思いつつ、麻雀卓の上の透明牌の白を手持ち無沙汰でいじった…。
その時、零に奇策が舞い降りる…。
(……鷲巣の様子だと…まんまと引っ掛かってくれそうだけど…確率としては…)
「わかりました…時間も無い事ですしね…」
(保険程度の確率か…)
「よし…!じゃあ始めようか…」
鷲巣はそういうと、零と対面の位置にあたる席に腰掛け、麻袋に麻雀牌を入れた。
いよいよはじまる。
崖の淵に立たされた者同士の対決が…。
686 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 01:07:50 ID:???
* * *
東1局…親、鷲巣。
勝負はこの1局で決する。
お互いに手牌をそろえる…。
なんと、この時点で鷲巣テンパイ。昭和の怪物の強運が発揮された。
「ククク…残念じゃが…リーチじゃ…」
そういって鷲巣は手牌を晒す。
「なーに…どうせあとはお互いツモ切りじゃ………」
老いた笑い声が部屋に響き渡る。
鷲巣の待ちは1-4ピン。ダブルリーチ、ピンフ。
(なんで…なんでこんなにもツイているんだよ………オレ…!)
零は笑っていた。
「どうした…死を悟ったのか…?ククク…覚悟を決めろよ…」
生死を分ける、大事なツモ。
自分が麻雀で生死を問われるとは思ってもいなかった。
普通に大学を出て、普通に就職し、普通に結婚、子供、マイホーム…。
零はこんな生活を送るのだろう、と…高をくくっていた。
死に方は…?
わからない。だが一ついえたのは真っ当である事。
ガン、交通事故、運がよければ寿命。
間違ってもギャンブルで命を落とすなどとは微塵も思っていなかった。
しかし、現実は今、ここ…。
このツモで生きるか死ぬか…。
決まる。
687 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 01:09:46 ID:???
零は右手を麻袋へ突っ込む。
いつの間にか鷲巣の目は充血し、その不気味な目でこちらを見ている。
そして、牌を選ぶ…。念入りに…。
「何じゃ、何じゃ…一気に引かんか…興が削がれるわ…!」
そう言いつつも焦らされる快感をも鷲巣は味わっている。
(うっ…このヌルッての…当たりだ…あとは…透明牌であれば…!)
零が麻袋から手を引き抜く。
その手には牌…。透明牌…。
零は牌の腹、つまり絵柄の書いてある面を親指で隠し、自分の眼前まで持ってきた。
しかし、鷲巣側、牌の背側からは一目瞭然…。
人差し指と中指の間からバッチリ…見えているのだ…。
赤く、大きな丸一つ…!
鷲巣の充血した目が見開かれる。
「クククッー!ツモ切りじゃ!即ツモ切り…!そのイーピンっ…!」
鷲巣は麻雀卓中央まで身を乗り出し、牌が切られるのを今や遅しと待っている。
零は鷲巣の言葉で勝利を確信した。
零は牌を親指側に背、人差し指、中指側に腹が来るよう持ち替え、
歯を食いしばり、大きく振りかぶり牌を麻雀卓に叩きつける。
カーンという快音が鳴り響く…。まだ牌から零の指は離れない…。
688 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 01:10:34 ID:???
鷲巣は待ちきれず宣言…!
「ロォーン!そのイーピンっ…!ロンじゃあー!!クックック…!」
その顔は歓喜と狂気に歪み、よだれも垂れ流している。
その刹那、牌から指を離し零は叫んだ。
「そのロン、チョンボ!!」
離れた指から生まれた牌、それは白だった。
「な、何ぃ!?」
歪曲っ…!
鷲巣の顔が困惑で染まる。
「オレの勝ちだ!鷲巣巌!」
「イカサマか!?儂は許さんぞ…そんなもの…!」
「イカサマじゃない…!あなたがオレの白を見紛うただけさ…!」
そういうと、零は握り締めていた右手からあるものを落とした。
それは、先ほど零が鷲巣に殴られた時に外れた、真っ赤なボタンであった。
零は、それを拾い上げ透明な白に重ね合わせたのだ…。
鷲巣は椅子に座り込み動かなくなる。
「約束通り、見逃してもらいます…。それでは…」
零は鷲巣の後姿を後にギャンブルルームを出る。
周りに身の危険がないか確認し、歩き出そうとした…。
689 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 01:12:47 ID:???
―――その時、後頭部に痛みが走る。
鷲巣が落ちていた木の棒を持ち零に殴りかかってきたのだ。
零はその場に倒れた。
「ぐっ…!卑怯な…!」
「儂は認めん…認めんぞ……約束も……イカサマも…」
抜け殻になってしまったかのようにうわ言を言う。
その目は虚ろで、とても正気の人間の目ではなかった。
(ヤバい…殺される……!)
動く事も出来ず、今度こそ死を覚悟した。
だが、その瞬間、怒号が響く。
「退け!爺っ…!」
鷲巣は驚いたらしく、チラリと声の先の人物を見るとそのまま片足を引きずり、逃げ出した。
(なんだ…?助かったのか…)
体を起こすと、警棒らしきものを持った男が近づいてきた。
「おい、大丈夫か…?」
男は零の顔をのぞき問いかけた。
「ありがとうございます…あの、お名前は…?」
「オレは…沢田って者だ…それよりも、何があった?ギャンブルルームの前でトラブルってことは…
ギャンブルでもしたのか…?お前…?」
零は沢田を信用し、平井銀二との勝負、鷲巣巌との勝負を洗いざらい話した。
690 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 01:15:15 ID:???
「―――なるほど…。平井銀二と昭和の怪物・鷲巣巌か…」
「あの人たちと面識があるんですか…?」
「鷲巣巌とは…ヤクザの世界に足を踏み入れて、すぐに…な。
オレの組の後ろ盾に鷲巣がいてな…。組全員で挨拶したことがあったんだ…。その時に一度…。
その時は使いっ走りだったし、鷲巣はオレの事を知らんだろう。確かに少し雰囲気がおかしいとは思った…。他の大物より…」
うすうす感じてはいたが、沢田はヤクザだった。
「……平井銀二は?」
恐る恐る質問する。
「平井銀二…。この男は噂のみだな…。天性の才能を持っているフィクサー。いわゆる黒幕ってやつだな…。
日本の裏社会の大事件…その影には必ず平井銀二がいる、と聞いた事がある。
オレの上の組織も現に平井銀二のサポートをもらっているらしい…。その顔は政界までも知れ渡っている…
つくづく恐ろしい男だと…聞いている」
零は自分が勝負を挑んだ人間がどれほど危険な人物か、改めて思い知った。
その一方、沢田は零に期待を抱いた。
奴等がどんな人間か知らなかったとしても、イカサマを仕掛け、カマをかけ、生き残っている。
これほど共に戦う仲間として心強いものはいない。
691 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 01:17:37 ID:???
「なぁ…零よ…お前、オレと組む気はないか…?」
「組む…といいますと、この殺し合いに乗るっていうんですか…!?」
「いや、違う…。このギャンブルを根底から覆す…。つまり、このギャンブルの主催…こいつらを潰すんだ…」
対主催…。このギャンブルが始まって何時間か経つが、そんな頭は零にはなかった。
零に衝撃が走った。
「対主催…ですか…凄い…!そうすれば…殺し合いなんて考える人、いなくなるんじゃあ…!
みんなが助かる…!考えてもいなかった…!」
「フフフ…こんな状況でも他人を思いやれるのか…今時のガキにしちゃあよくできてるっ…だが、零よ…
残念ながらそうはいかないだろう…。先ほどの鷲巣もそうだが…ただ単純に殺しを楽しんでいる奴もいる…
それに…オレは既に一人殺した……やはりこのギャンブルが危険なのは変わりない…
方法は一つ…他にも対主催を考えている輩を募って共に戦う…邪魔者はしっかりと排除して…な」
零はただ黙って聞いていた。
692 :
賭博覇王:2008/09/13(土) 01:19:59 ID:???
「わかりました…オレもその戦いに協力させてください…!」
零なりに覚悟は決めた。
心優しい少年、零と義理人情に厚いヤクザ、沢田の共闘が始まろうとしていた。
「歓迎しよう…!ただ…『俺たちに明日はない』…そのぐらいの覚悟が必要だ……」
【E-3/道路沿い/午後】
【宇海零】
[状態]:顔面、後頭部に打撲の軽症
[道具]:麻雀牌1セット 針金5本 不明支給品 0〜1 支給品一式
[所持金]:0円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 標、板倉、末崎との合流
【沢田】
[状態]:健康
[道具]:毒を仕込んだダガーナイフ ※毒はあと一回程度しかもちません
高圧電流機能付き警棒 不明支給品0〜4(確認済み) 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す
【鷲巣巌】
[状態]:膝裏にゴム弾による打撲、右腕にヒビ、肋骨にヒビ、少し動けるようになってきています
[道具]:防弾チョッキ
[所持金]:0円
[思考]:零を殺す、沢田を殺す、平井銀二に注目、有賀を自らの手で殺す
以上です。まわりくどい説明になってしまったかもしれません。
すいませんでした。これが限界です><
あと
>>649さんの意見聞きたいです。
694 :
649:2008/09/13(土) 04:40:22 ID:???
修正お疲れ様です。
ギャンブルルームの残り使用時間の確認、
沢田と零の会話で平井銀二と鷲巣巌に対する情報の確認を行うくだりは、
きれいにまとまっていると思います。
気になったのは、
・ギャンブルルームでの取り決めを外で行ったために、
鷲巣のギャンブル後の不意打ちがルール違反にならなかったことが不明瞭
・鷲巣がなぜ零を殴ることができるほど腕が健康なのか
(ちなみに、骨はひびが入っただけでも骨折ではあるので、動作には痛みを伴います)
の二点が、ちょっと曖昧な感じがすることです。
このままでも問題はない程度かもしれないのですが・・・・ちょっと気になったので・・・。
◆xuebCgBLzA さん、沢山の修正、ありがとうございました。
後に続く作品のために、整合性?を高めるということは
大変なことなのですね。ドキドキしながら読んでいる私には???なのですが。
大変お疲れと思います。再投下ありがとうございました。
加筆・修正は大変な作業だったと思います
本当にお疲れさまです
私はこれで問題無いように感じました
697 :
マロン名無しさん:2008/09/14(日) 16:24:00 ID:cRaP0Psr
「あがった方」が勝ちなのにチョンボで勝敗が決まるのはおかしい。
反則負けは反則負けってことだろ
決めてないことなら言ったもん勝ち
保守
>>697 上がった方が勝ち→上がる可能性を失った方は負け
少牌とかなら鷲巣だけ和了放棄だけど、誤ロンは流局だから零もその局で和了るのは不可能になるよね<和了る可能性
まあ、零も鷲巣もそれに気付かなかったって事にすりゃ問題無いけども
鷲巣「ノーカウントっ……! ノーカウントっ……! 零は和了ってないっ……! 勝ってないっ……! 流局っ……! ノーカウントっ……! チョンボは流局が常識っ……! やり直しっ……! 儂はまだ負けてないっ……! ノーカウントっ……! ノーカウントっ……!」
本当読んでて面白い。サクサク死ぬし。
死んだキャラもあっちで楽しめるし。
アカギ・原田コンビ、板倉・佐原コンビに注目。あと一条
マーダーズも気になる保守
つうか、鷲巣麻雀て盲牌禁止じゃねーの?
だいたい、鷲巣が提案したルールじゃ両面牌麻雀を使うメリットがまるでないんじゃ…
>>706 盲牌有り
・興奮してて気付かなかったんだよ説
・手袋が無かったんだよ説
・圧倒的有利な状況で心に余裕のあった鷲巣が確実に手を作るためのルール説
透明牌利用
・相手の当たり牌を抑えつつ手を作る駆け引きを楽しむギャンブルなんだよ説
足りない頭で考えてみた
まあ正直、牌を間違えた鷲巣のチョンボで勝ちって結末なら
普通に先に上がった方の勝ちってルールでいい気がしなくもない
それらの隙が
更に、鷲巣が上に立つ事によって落ちてくる収穫…。
思いがけぬ収穫があるかもしれない。
って事じゃない?
自分を貶める事によって相手を慢心させる駆け引き。
したらばでやった方がいいんじゃね?
「強者と弱者」
草原の影にしゃがみこんでいた和也に襲い掛かるしづか……!
しづかの行動は、和也にとって予想外の行動っ…!
中学生の女子にしては、あまりに根性がすわっているっ…!
無防備にも、強力な武器を持った人間に対し、和也は丸腰…!あまりにも丸腰…!
ここへきて和也は、一瞬頭の中が真っ白になってしまった…!
ゆえに許してしまう…!接近を…!
しかし、互いに1メートルというところで、和也は見逃さなかった……
華奢なしづかの体が、わずかにふらつくのを……。
うなりをあげるチェーンソーの刃を下向きに支え、しかし果敢に向かってくるその少女……
中学生の少女には大きすぎるその代物…!
瞬時に判断する…そして行動するっ…!
上着の懐に手を入れ、一気にそれを取り出す……!
パァン………………!
高い爆発音と、火薬の匂い……!!!
しづかは身をすくませた。
一瞬視界を覆った七色の虹…… 虹……!?
(撃たれたっ……!?)
いや、そうではないとすぐにわかる。
和也が手にしていたもの、それは…… クラッカーだった。
ホームパーティーなどで使うあれだ。
決して武器にはならぬ…だが、相手をひるませるには十分っ……。
一瞬の隙を突き、和也は地面を蹴って逃げ出した。
ギャンブルルームの建物…その裏側へと走るっ……!
クラッカーの紐を払いのけ、しづかはとっさに追いかける。
しかしあることに思い当たり、少し走るペースを落とす。
…地雷は先ほどの1箇所とは限らない…!
なら…和也が通った足跡……。
地雷を仕掛けた張本人が通ったところならセーフティ…まず安全…!
それにおそらく、奴には他に遠距離での攻撃方法を持っていない。
さきほどの接近……。 あの窮地で出てきたのが、ただのクラッカー……。
銃など持っていればすでに使っている……!
しづかはそう考え、和也の足跡を意識しながら敵の背中を追った。
慎重に近づいてくるしづかを振り返り、しづかの行動を訝しんだ和也だったが、すぐに気がつく。
しづかが和也の足跡を辿るようにして近づいてくる、その理由……。
(そうか…! まだ他にも地雷が仕掛けてあると思ってんのか…!
クク… なかなか聡明だな… こいつ…! いい判断だ…!
だが… 残念だな…! それは杞憂っ…!
今俺が意図しているのは全く別のこと…!)
地雷は先ほど爆発した1箇所だけ……!
しかし、敵はそれを知らない…。
誤解ゆえに生まれた隙…隙っ…!
(ククク…! クク……!!)
(追いつめた……。殺す……。
アンタがやったように、一方的に殺す……!殺してやる……!)
しづかの目には迷いはなかった。学習していた。
この空間では…殺るか殺られるか…どちらかしかないのだ……!
ギャンブルルームの裏側へと回り込んだ和也……
そこには数本ばかり木立が立ち並び、建物の影と重なって暗い影を落としていた。
しづかは少しずつ距離をつめていく……。
和也ももう背中は見せない。後ずさりしながら敵の出方を伺う……。
………………。
………………………………。
互いに声を発しないまま、チェーンソーの轟音だけが辺りに響く。
もう互いに2メートルもない……。
和也が一瞬でも気を許せば、襲いかかってくるであろう… うなりをあげて回転する刃が……!
そのとき、和也の足元でパキッと音がする。
足元の小枝を踏みつけたのだが、過敏になっている和也はとっさに反応…ふと足元に目を向けてしまう…
しづかがその隙を見逃すわけが無い……!
瞬時に2歩踏み込み、右下から一気に撫で上げるように左上へと斬りつける……!!
そして…振り上げた左上… 視界の隅で捉えた、確かに感じる音と重み…手ごたえっ……!
ギャリリリリリリリリリッ………!!!
和也が見せた隙……。
一瞬の隙……。
だが、その「隙」こそが和也の罠っ……!
しづかの2歩目の踏み込みで、和也は一気に左側へと走る…!!
左側には木立…!
そう、しづかの振り回したチェーンソーの刃は……その木立の幹に食い込んでいた……!!
「くっ…!」
(しまった…!)
冷静であれば、しづかも予測できていたはず… この事態をっ…!
だが…自分の持っている強力な武器… 相手が丸腰であること…
その優位のため、心にわずかな緩み…気づくのが遅れたっ…!
幹に食い込んだままうなりをあげるチェーンソーを、反対側に引っ張って抜こうとするも、
引っかかってしまいすぐには無理…!
その一瞬後……左側から衝撃…!
しづかは為すすべもなくふっとばされる…!
和也がしづかに体当たりを食らわせたのだ。
圧倒的な体格差…!あっさり飛ばされる…!
しづかは地面に尻餅をついた。
回転が遅くなり、幹に引っかかってぶらさがるチェーンソー…
やがてそれは、自身の重みで幹からはずれ、鈍い音を立てて落下した。
ふと、左上から影……
見上げると…がっしりした体つきの男…
口元には笑みを浮かべていた……。
その表情っ…!
サングラス越しにはっきりと見て取れた……その目……。
獲物を見つめる獣の目…!明らかな殺意……!
背筋が凍りつく感覚っ……!!
「………………!!!」
気づくと、しづかは一目散に逃げ出していた。
自身の持てる力の限りを振り絞って、後ろも見ずに走った。
逃げろ。逃げろ。逃げろ。
危険。危険。 危険っ……!
本能がそうさせたっ…!
何も考えず、ただ「離脱せよ」と、脳が体に指令を下した…!
しづかはただ走った。草に足をとられようが、伸びた枝に腕をかすろうが、おかまいなしにっ…!
「クク…!こいつはいい…!」
和也はチェーンソーを拾い上げ、ニタリと笑った。
超強力な武器を入手っ……! 僥倖…!なんという僥倖…!
(切断… 切断できる…! あらゆるもの… 特に… 人体っ……!!!)
愉悦に我を忘れかけた和也だったが、ふと冷静に今の状況を省みる。
(しかし… 「音」がな……。)
爆発音、そしてチェーンソーの音…。
あまりに騒がしくしすぎた。
これらの音を聞きつけ、誰かやってくるかも知れない。
そして……こんな轟音を聞きつけてわざわざやってくるのは……
「殺し合い」のみを欲する人物ぐらい……!!
今の状況でそれに出くわすのは和也の本意ではない……。
和也はしづかの走り去った方角を見つめた。
自称フェミニストの和也は、しづかをわざわざ追おうとは考えなかった。
それに… はっきりと刻印されたであろう…。
少女の心に…恐怖…圧倒的恐怖がっ……!
こちらを見上げたときに、少女の目ははっきりと物語っていた……
あの刹那… 強者と弱者… どちらの立場なのか…選別されたっ……!
(……だが、それでも…)
歩き出しながら、和也は考えていた。
(次に会ったとき、そのとき少女が怯えて竦みあがるようなら……………)
和也の姿は木立の奥… 日がやや翳り、深くなりつつある影の中へと溶けた。
***
【E-5/ギャンブルルーム付近/午後】
【しづか】
[状態]:健康、やや精神的不安定
[道具]:不明支給品0〜2(確認済み) 通常支給品×2
[所持金]:2000万円
[思考]:和也からとにかく逃げる
【兵藤和也】
[状態]:健康
[道具]:チェーンソー 対人用地雷三個(一つ使用済)
クラッカー九個(一つ使用済) 不明支給品0〜1個(確認済み) 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:優勝して帝愛次期後継者の座を確実にする
※伊藤開司、赤木しげる、鷲巣巌、平井銀二、神威秀峰、天貴史、原田克美を猛者と認識しています。
※利根川、一条、遠藤、村岡の四人と合流したいと思っています。
彼等は自分に決して逆らえないと判断しています。
代理投下は以上です。
和也の状態表の不明支給品の数だけ修正しました。0〜1で合ってるよね?
坊ちゃん、怖ー。
瞬時に、武器の特性・相手の肉体的不利を判断して
わなに掛けるなんて凄い。
ただの2代目ボンボンじゃない様子を表している。
◇6lu8FNGFaw氏、代理投下 氏 作品投下ありがとうございました。
乙でした!
ドキドキハラハラの臨場感があって面白かった。相変わらずしづかがかっこいい
しかし恐ろしい武器が恐ろしい人物に渡ってしまったなw
地雷も2個残ってるし、誰が被害者になるのか…
投下 ありがとうございました。
>>716 (次に会ったとき、そのとき少女が怯えて竦みあがるようなら……………)
殺されちゃうの?しづか
投下乙
しづかハアハア
乙です!
両方とも一筋縄じゃいかない…!
午後にまだ登場してないのは南郷、板倉・佐原、一条、船井の5名かな
動物ロワと合併しませんか><?
バトロアで頑張っているアカギには悪いが、とりあえず今日は線香を
あげさせてください・・・・・
そういえば命日だったな……
ちょっと墓石削ってくる
利根川もまだ午後に行ってなかったな
729 :
マロン名無しさん:2008/09/26(金) 12:58:24 ID:EnctVH0w
1999年 赤木しげる、永眠
まずまずの滑り出しやないか…。
船井はそう考える。
青年を屠った後、暫く歩いた船井は道路沿いの適当な看板の裏に腰を下ろしていた。
二人分の荷物と金を整理し一つに纏める。
世の中には二通りの人間がいる。
狩られる者である蛙と、狩る者である蛇。
船井は己は後者である、と自負している。
悪いのは狩られる者であるなのだ。
それが彼の持論である。
バカは駆逐される。弱者は餌。
いつでもそう嘯いてきた。
殊この場に於いては――
「殺される方が…悪いんやっ…」
半ば無意識の呟きであった。
今まで船井はずっと他人を欺き生きてきた。出し抜き、謀り、唆し此処まで来た。
そして……殺めた。
金を得る為に。
そう、人を殺した…。
己の手で。
自らの意思で。
すいません、タイトル忘れました。
「鏡」
もはや行くなら奥の奥。
覚悟を決めるしかない。
後戻りなど出来はせぬ。
行くしかないのだ。
もう他に…道はないのだから。
目指すのだ。優勝を。そして掴むのだ。
金…十億…圧倒的大金…。
視界に人が入り込んだ。
船井は思考を中断する。
向こうから歩いてくる一人の男。
身奇麗な優男で、今時の若者然りといった風体である。
武器は…所持していないようだ。
行ける。いや、行くしかない。
殺されるのが…悪いのだ。
船井は男が通り過ぎるのを待ち、看板の陰から出ると少し離れた場所からその後姿に声を掛ける。
「ちょお、そこの兄さん」
男は振り返る。
「はい…なんでしょうか…?」
落ち着き払った態度。声。
船井の中の“なにか”が正体の掴めない声を上げる。
だが…今、動揺を見透かされる訳にはいかない。
船井は己が内の声を押し込める。
「ああ…いやな、見たとこ随分若いようやし…。独りは心細いんちゃうかな思てな。老婆心ながら声かけてみたんよ。
ワイは船井いうんやけど…アンタは?」
「…私は一条と申します」
そう男は答えた。
「一条はん…ね。ええ名前や。
ワイはね、殺し合いなんか真っ平なんよ。殺すんも殺されんも」
どこまでが本心なのだと腹の中が笑う。
「そもそも武器になるような物も持ってへんねん。支給されんかった。」
敵意などありませんよ、という風に両の手を広げおどけるようにひらひらと振って見せる。
そんな船井の姿を一条という男は黙って見ている。敵意がある様子は窺えないが。
――調子が狂わされる。この男は…獲物の筈だというのに。
「ワイが支給されたんはこんなんよ」
言いながら内ポケットから例の煙草を取り出す。
「お近づきの印や。一本どうぞ」
だが。
「生憎…私は煙草は吸いませんので。」
「ああ…さよか…」
差し出した煙草が所在をなくす。
「どうぞ貴方がお吸いになって下さい」
「えっ…ああ、ワイ禁煙中やねん」
「まあ…そんな事よりな、一緒におらへんか?頭数は多い方が安心やん。
それに旅は道連れ世は情けちゅうしな。」
船井の言葉に一条は俯く。
考えているのだろうか。長めの髪に邪魔されて表情が見えない。
――チャンスや
毒煙草が使えないならば、と船井は忍ばせていたスタンガンに手を伸ばす。
一条の肩が小さく揺れている。
貴方――。
「え…?」
「 貴方、私を 殺そうとしましたね 」
顔を上げた一条は微笑んでいた。
緩慢な所作で懐から拳銃を取り出す。
船井は動けなかった。
目…この目は――蛇の眼だ――
銃口が船井の眉間に押し当てられる。
「ならば私は…貴方を殺さなければなりませんね…」
一片の躊躇もありはしなかった。
「あの方々からの支給品が…ただの煙草の筈がないでしょう…」
発砲。
崩れ落ちながら船井は僅かに――安堵した。
…あーあ…
一度人を殺したらもう…次々殺していかなあかんくなるよ…。
蛇であるアンタには…ワイが蛇に見えたんやねえ。
ワイにはアンタが蛙に見えとったんよ。ワイは蛇の振りをした…蛙やったから。
まあええわ…。
ワイはもうオンリや…。
……あの男は。
蛇でも蛙でもないあの男はこのゲームを生き残れるだろうか?
…カイジ。
船井が地に伏し息絶えるまでの刹那の思考など一条が知る由もなく…――
復讐を果たすのだ。
「何故…禁煙中である貴方の煙草が減っているんです…?
何故…貴方のバッグはそんなに膨らんでいるんです…?」
まだ死ぬわけにはいかない。
「貴方は…人を殺したのでしょう…?」
既に物言わぬ屍となった男に一条は語り続ける。
「私が貴方を殺した…。だが…カイジ…彼が貴方を殺したんですよ……」
邪魔をする者は殺さなければならない。
【F-5/路上/午後】
【一条】
[状態]:健康
[道具]:黒星拳銃(中国製五四式トカレフ)、改造エアガン、毒付きタバコ(残り19本)、マッチ、スタンガン、
不明支給品0〜2(本人確認済み) 支給品一式×4
[所持金]:4000万円
[思考]:カイジ、遠藤、坂崎、涯、平田(殺し合いに参加していると思っている)を殺し、復讐を果たす
復讐の邪魔となる(と一条が判断した)者を殺す
【船井譲次 死亡】
【残り 34人】
代理投下は以上です。
タイトル挿入ミス、申し訳ありませんでした。
◇wZ6EU.1NSA氏様、代理投下 様 作品投下ありがとうございました。
タイトルの「鏡」 と一条がよくあっていると思いました。
(一条は「鏡」に向かって眉毛のお手入れしているのが登場シーンだったので)
己を写す鏡をもっと早く船井が見ることが出来たら、
こんなギャンブルに参加はしなかっただろうなと少し哀れを感じました。
代理投下ありがとうございます
こちらこそお手間取らせて申し訳ないです
投下乙です。
一条の洞察力は流石だな。
船井の死に際の清々しさも良かったです。
乙! 面白かったよ!
船井、最期に少し救われて良かったな。
悪党を気取ってはいても、流石に殺しは負担だったか。
お疲れ船井。あの世で良平に一発殴られろ。な?
それぞれ持ち味が異なって読んでいて楽しい
◆X7hJKGoxpYさんは整った文章のオールラウンダー
◆tWGn.Pz8oAさんは情景・心理描写が丁寧な方
◆xsR5u1lNRkさんは福本節全開
って感じです。私的感想ですが。
皆さん応援しています
744 :
マロン名無しさん:2008/10/03(金) 03:28:59 ID:1VQRRjgC
期待age
「先延ばし」
「こいつは驚いたな……」
ボソリ、と遠藤がつぶやく。
『12 D-4 イガワヒロユキ ムラオカタカシ』
突如ディスプレイに現れた文字。
一瞬何のことだか分からなかったが、すぐに見当はついた。
「……これは全員の現在地のデータか?」
機械に疎い森田が尋ねる。
「いや……これはそれだけの代物じゃない………」
遠藤はそう答えると、『サツガイ』と書かれた箇所を選択した。
再び別の文字列。
『12 D-4 アリガケンジ』
「こいつは……」
「ちなみに最初に俺達が見たのが『ギャンブルルーム』……
他にも『ジュウヨウカイワ』、『コウセン』、『エリアイドウ』とある………ここまで言えばわかるだろ?」
「……なるほどな」
流石に森田は物分かりがいい。
ほぼ理解したのだろう、僅かに緊張を解いた気配がした。
このファイルにはバトルロワイアル開始からこれまでのあらゆる記録が送られてきている。
ギャンブルルームの利用者、何らかの重要な会話――例えば協力するために会話した人物、
誰かを殺害した人物、他者と交戦した人物、他のエリアに移動した人物。
ご丁寧にもそれぞれ該当するエリアまで書かれているようだ。
「とまあ……これは俺の推測だが、大きくは外れてないはずだ」
「頭の数字は何だと思う?時間か?」
「だろうな……正確にはおそらく1時間単位で書かれている………
俺の勘だが、1時間おきに新しいデータを送信してくるんだろうな」
「…………」
遠藤は自分の考察を言い終えると、僅かに伸びをして森田に目を向けた。
何を思ったのか、森田はそのまま考え込んでいる。
「どうした?いい情報が手に入ったんだ……少しは喜んだらどうだ」
「いや……何故奴らがこれを支給品にしたのか気になってな………アンタはどう読む……?」
「………このギャンブルを円滑に進めたいんだろ?」
「いや……それもあるが………おそらくは……」
「……おそらくは?」
「ある程度予測はしていたが……おそらくは警告だ。
お前たちは我々の手のひらの上にいる、余計なことを考えるな……とな」
遠藤は息をのんだ。何故これまでそんな根本的なことに気付かなかったのか。
ギャンブルルームの利用歴やエリア間の移動歴などだけなら分からなくもない。
だが、重要な会話を見極めるには、無論会話の把握は必須。
つまり――
(盗聴っ……!)
考えてもみれば当然であろう。
ここに集められた者の中には修羅場をくぐってきた曲者が数多くいる。
万全を期して何らかの監視をするのは必須。
盗聴器ばかりかカメラもいたるところに仕掛けられている可能性は高い。
そして、事前に参加者の策を読み取ろうとするはず。
策を練りいざ反乱、となったら間違いなく本来の意味で首が飛ぶことになるだろう。
(対主催の目は潰えたな……)
遠藤は考える。
無論、彼自身はもともと細い糸の上を渡るような暴挙に挑戦する気はない。
いうなれば、盗聴されていたところで己のスタンスは変わらないのだ。
しかし、森田はどうか。
お人好しで、且つ平井銀二に心酔している。
余程のことがなければこのギャンブルに乗ることはないだろうと思っていた。
だが、万が一もある。
望みが潰えた今、森田が乗る可能性は十分にある。
そうなれば真っ先に狙われるのは近くにいる自分だ。
逃げるなら、或いは殺すのならば、今しかないのではないか。
遠藤はそっと森田の様子を窺う
見たところ、森田に変わった様子はない。
(早計、か……?)
分からない。
が、下手な行動は自らの首を絞めることになろう。
(警戒は必要だが……ひとまずは保留だな………)
遠藤は保留――とりあえず先延ばしにしようと、そう結論づけた。
ちょうどその瞬間、コンピュータから電子音が響く。
* * *
南郷もまた、森田や遠藤のいるショッピングモールを訪れていた。
目的は武器の補充、そして安全な隠れ家を見つけること。
南郷は、いまだ己のなすべきことが分からなかった。
ただ、生きたいという気持ちが漠然とあるだけ。
あの青年のように人を殺すのか、ギャンブルで稼ぐのか、或いはアカギのような頼れる仲間を募るのか――
分からないからこそ、彼は身を隠したかった。
答えを出すのが怖かったから、せめてそれを先延ばしにしたかった。
自分では分からない、気付きもしない微かな恐怖であるが故に、その小さな壁を乗り越えられない。
先延ばしという自覚のない消極性を抱え、彼は建物の中に足を踏みいれた。
* * *
「新しいデータが送信されてきたようだな……」
ディスプレイには新しい文字列が表示されている。
遠藤は即座に時間を確認した。
「ほぼ15時……このデータを見る限りじゃ、案の定14時からのデータのようだな」
「俺達の手にすることができる最新データって訳か」
「ああ……多分、な」
二人は即座にデータを確認する。
重要なポイントは殺人者と近接地域に移動してきた者の把握である。
「いた……少なくとも俺達より後、このエリアに入ってきた奴………」
南郷という男。
参加候補者名簿と合わせて見る。
「遠藤……どうだ?」
「危険人物の可能性はさほど高くない……こいつも俺が誘ったんだが……
話した限りじゃさほど切れる人物じゃねえな………
一回三好って奴とやり合ったようだが、まだ一人も殺して無いようだし、逆にその三好って奴が他の奴を殺してる。
まあこいつが絶対乗ってないとは言わんが、積極派に襲われたって線が濃厚だろうな」
「そうか……」
どうするべきであろうか。
争いを避けるならここは隠れるべきであろう。
しかし、仲間を増やすチャンスは決して多くはない。
遠藤曰く遭遇してもリスクは少ないらしいが、その言を信じてもいいものかどうか。
南郷と無防備な状態で遭遇することだけは避けたい。
早く決断せねばならない。
行動を先延ばしする余裕などないことは承知している。
だがしかし、森田は迷っていた。
【D-7/ショッピングモール/午後】
【森田鉄雄】
[状態]:健康
[道具]:フロッピーディスク 不明支給品0〜2 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:銀二の手掛かりを得たい 接近している南郷に対して対策を練る
【遠藤勇次】
[状態]:健康
[道具]:参加候補者名簿 不明支給品0〜2 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:森田に警戒 森田を利用するか見切るかひとまず保留する 接近している南郷に対して対策を練る
※遠藤は森田に支給品は参加候補者名簿だけと言いましたが、他に隠し持っている可能性もあります
【南郷】
[状態]:左大腿部を負傷、低度の精神疲労
[道具]:麻縄 木の棒 一箱分相当のパチンコ玉(袋入り) 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:生還する 身を隠す場所を見つける
投下&代理投下乙!
遠藤の疑心、南郷の自分では気付かない弱さ、森田の迷い…
三者三様の先延ばしがすごい面白かったです
フロッピーディスクの重要性と森田の行動もあわせて次が楽しみな内容でした
GJ!
保守
◇X7hJKGoxpY氏、代理投下氏 作品投下ありがとうございました。
大きな行為・決断はされてないのに、2人の腹の探り合いにドキドキしました。
南郷さんの人相が、アニメの体型なのか漫画の体型なのかで「先延ばし」が
臆病に見えたり、慎重さに思えたりします。
三者三様の思考が面白いですね
南郷さん足大丈夫?
このバトロワでまともな職の大人って看護師・警官・施設職員位で、学生を除いたらあとは殆んどヤクザとニートか…
>>756 赤松さんなら四十人分のまともな職務くらい一人で引き受ける
X7氏投下乙〜
感想は本投下の後の方がいいよね?
>>756 生きてて真面目なのはひろゆきと赤松さんと南郷くらいかな。三好とか一条も裏だし、安藤は絶対にーとだし。
銀さんや鷲巣は違うし、赤木や市川なんかもダメっぽいし
有賀とかも仕事はなさそうだし
コクリ、とカイジが喉を鳴らすのがわかった。
沙織の言葉に動揺を隠し切れていないのは明らかである。
「……本当にその娘かどうかも分からない。そもそもどこかにいるかも分からない。
たとえ今から駆け付けても………もう、死んでるかもしれない。
生きているとしたら……か弱い女の子だもの、自分一人で何とか出来るとは思えないから、
他の誰かに保護されてるだろうし……ひとまず安全なはず。
あなたが行っても、あなたにはもちろん彼女にもメリットなんてほとんど無いでしょ?
それでも………危険を冒すの?」
沙織はカイジの様子を窺いながら話す。
可能ならば彼を危険に近づけたくないのだ。
何よりも自分の命を守るために。
できればこの説得で納得して引き下がって欲しかった。
だが――
「……いや、その、確かに田中さんの言うとおりかもしれないが………
助けを必要としてる可能性だってある……やっぱりダメだっ……行かないと………!」
「…………」
やはりカイジは聞く耳を持たない。
沙織はやや落胆する。
しかし、カイジの性格から、あらかじめ予測はしていた。
しばし理屈より感情を先行させる部分がある人物――それが分からない程沙織は不明な女では無い。
取りあえずは話し合いの土台は出来たであろう。
諌められて尚、感情的に行動する程愚かな男では無いことはトトカルチョの倍率からも窺い知れることだ。
現にカイジの語気は和らぎ、今は説得する姿勢に入っている。
女の生まれ持つ駆け引きの才能で、沙織はこの場を支配していた。
「……つまり、私を見捨てるのね」
「違う……どのみち何時かはここを出て同志を募らなきゃ駄目なんだ………
田中さんもずっとここにいるわけにはいかない……
俺と行動してくれれば田中さんも守れるし……同志がいてくれた方が俺も心強いだろ?」
『俺も心強い』
そんなのはあなたの勝手だ、と沙織は一瞬声を荒げそうになった。
もし普通の口論をしている普通の女なら、この発言で激昂していたに違いない。
通常このような場合、自分にとっての利害を押しつけても口論の火種が増えるだけだ。
カイジは強かな人物ではあるが、しかし女の扱いには慣れていないのだろう。
――だが、それは好都合。
カイジは沙織が現在駆け引きをしかけていることにすら気付いていないはずである。
男は肉体的弱者である女には本能的に警戒心を抱きにくいものなのだから。
「それに……」
カイジは言葉を続ける。
「助けたら……俺達の仲間になってくれたら絶対的なメリットがあるんだ」
「メリットって………どんな娘なの?」
沙織は参加者名簿を開き尋ねた。
カイジは無言でパラパラとページをめくり一人の参加者を指さす。
「坂崎美心……たしか彼女は一番倍率が高かったはずだけど?」
最も倍率が高い、ということは即ち最も生き残る公算が低い、と見られているということである。
正直、沙織には足手纏いになるとしか思えなかった。
「いや……そうなんだけど、このギャンブルには彼女の父親も参加してるんだ」
そう言うと今度は前のページの男を見せた。
「………こっちも倍率を見る限りじゃ……あまり頼りにならなさそうじゃない?」
「まあ……でも、それでもこの際いいんだっ……
この人は知り合いだし………その、親馬鹿だから娘と一緒にいれば簡単に、確実に仲間になってくれる。
このギャンブルで確実に信頼できる相手ってのは……大きいっ……」
明らかに後付けの理論武装。
流石にカイジ本人も白々しく感じたのだろう、頭をポリポリとかく。
しかし、おそらくこれがこの駆け引きでカイジの持つ唯一の武器。
このあとは感情論に身を任せるしかない。
そうなってしまえば、もう決して引くことはないだろう。
(頃合い……ね)
沙織としてはむしろこのまま口論を長引かせて時間を稼いでも良かったが、
カイジが痺れを切らし、一人で助けに行く、と置いて行かれたらそれこそ本末転倒。
ここは、そろそろ妥協点を定めるべきであろう。
「ねえ……どうしても………助けに行くの?」
「……ああ、だから頼む……田中さんも一緒についてきて欲しい………絶対俺が守るから」
「……そう、わかった」
沙織は頷き少し間を置く。
「……私も行くわ………でも一つ提案があるの」
「提案?」
駆け引きの終着点は以下の三点。
たとえ悲鳴の主が見つからなくても深追いしないこと。
危険人物と遭遇したらすぐにその場から逃げること。
誰かが襲われていたとしても、襲っている人物がその場を離れるまでは接近しないこと。
三つ目の項目にカイジは僅かに渋るがそれを了承した。
口約束などあてにはならない。
そんなことは百も承知。
だが、沙織にとってはそれでも構わなかった。
重要なのは一項目目。
そもそも悲鳴を上げた女性を見つけることが出来なければ、それでいい。
適当なところで捜索を切り上げさせる。
緊急時でなければ、このお人好しに約束を履行させることは困難では無い。
妥協案としては上等なものだった。
「じゃあ……行こう」
「待って………最後にひとつ」
「……なんだ?」
話し合いを終えて安心したカイジを沙織は引き留める。
「絶対に死なないって……約束して」
「……ああ」
――本音だった。
ただ守ってくれるだけでは駄目なのだ。
このギャンブルから逃げられる、その最後のときまで守ってくれなければならないのだ。
カイジが死んでしまえば元も子も無い。
彼が死んでしまえば、誰も守ってくれる人がいなくなれば、生きる術は無くなる。
カイジの死は、即ち自分の死なのだから。
「それじゃあ………行こうか」
「ええ……」
沙織は、ちらりと美心が見つかった時のことを考える。
間違いなく彼女は足手纏い。
確実にカイジの負担は増え、万が一守りきれないこともあるかもしれない。
(それならいっそ彼女を……いえ、彼女に限らず足手纏いになりえる人は皆……)
――殺してしまおう。
そう考えた瞬間、彼女は胃から何かが込み上げるのを感じてそれをなんとか飲み込む。
「大丈夫か?」
「え……ええ………」
彼女は、それが死という現象に対する忌避感からのものだということに気付かなかった。
口の中には、苦みが残った。
【C-4/アトラクションゾーン/午後】
【伊藤開司】
[状態]:健康
[道具]:ボウガン ボウガンの矢(残り十本) 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:悲鳴のした方へ行く 仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、神威勝広、神威秀峰、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二、吉住邦男に警戒
【田中沙織】
[状態]:健康 精神不安定
[道具]:参加者名簿 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:カイジについていき、適当なところで捜索を打ち切る 足手纏いになるものは殺す 死に強い嫌悪感 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、神威勝広、神威秀峰、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二、吉住邦男に警戒
お疲れさまです。
田中の静かな狂気が怖い…
作品投下 ありがとうございました。
カイジ… イイヤツだ。堕天録の1話で懲りたんじゃないのか。
そういうことがあっても、助けようとするのがカイジなんだろう。
お疲れ様です。
普通であるはずの人が静かに狂気へ落ちていくのに思わずぞっとしました。
ひたすら怖い…
投下、代理投下乙!
普通の人が狂気を内包しつつ頭を働かすのって個人的にすごい好きだわ
それにしてもカイジ勘違いしちゃいそうだなw
好意持ってるように見せ掛けるのも駆け引きに一役買ってるんだろうか
全部面白いけど、皆はどれが好き?
自分は「I」の悲劇 が好きだ。あと廃棄の鷲巣と村岡の話
>>769 いろいろあるがギャンブルならババ抜きと一人麻雀、戦闘なら仲根対涯かな
あとは最新作の駆け引きや、沢田さん登場話あたりも凄い好きだ
沢田さんのとラミー。ラミーのは勝負の魅力も見せなきゃいけないから
難しいだろうなと思う。
一人麻雀は麻雀のわからん俺でもすげえと思った
手洗ったんか!?と読み手の心配を煽る黒沢さん登場話と
支給品に対する視点の違いが面白かった涯と安岡の登場話
天の天らしいかっこよさがたまらん治救出話…駄目だ全部好きだ
沙織美心キャットファイトもありうる流れ…これは…パンチラフラグ…!
そしてあわや死んだ暁には死者スレでメイド服っ…それが正しい流れっ…!
俺の夢っ…希望っ…書き手氏…代理投下氏…乙っ…!
>>774 そんなフラグ世界のどこに需要があるんだw
零と銀二の話がとても好きだ。
あと死者スレが楽しい
>>769 鷲巣と零の話は矛盾っていうか、議論があったけど作者さんが再投下してくれたのがよかった
内容も誠意も
世界に一つだけのパンチラっていうだろ?
そんな期待を込めて西尾ちゃんin福ロワ見たかったああああああ
二択から駆け引きの流れが凄いと思う
作者さん違うのにブレがないのも凄いけど、沙織の内面の描写が。
沙織自体は大きく動いていないのにカイジをじわりと支配してるのが怖い。
言動の端々に気付かれない位微量の毒を仕込む感じが「女」って感じがする。
三好の狂気も怖い。今の所一番狂ってるのは彼な気がする
沙織絡みは名リレーだよね
狂いつつも体が殺しを嫌がってるって辺りもいい
「口の中には、苦みが残った。」って表現が秀逸
誘導
したらば議論スレで初の禁止エリアについての提案?がありましたよー
書き込めるようなので自分で投下します。
「なあ……いつまでこうしているんだ?」
「まあ、誰かがくるまでだな」
苛立ちが募ったのであろう佐原の言葉を板倉は軽く受け流した。
現在彼等は【F-6】、ホテルの三階で待機している。
誰でも良い、一人でも多く仲間を募るためである。
「やっぱり歩きまわって探した方が早いんじゃないのか?」
「いや……これだけの拠点だ。待っていれば誰かしら来るさ」
佐原は大きく溜息を吐いた。
「まだ茂みとかに隠れて板倉さんが俺にやったみたいに脅した方がいいんじゃ……?」
「却下……そんな良い支給品を使わない手がどこにあるんだ?安全に越したことはないさ……」
良い支給品、というのは言うまでも無くスコープのついた佐原のライフルである。
これを用いて佐原は北側を、板倉は肉眼で四方を順に廊下の窓から見張っていた。
北を重点的に見張っているのは、立地条件的に北側から来る公算が高いため。
一応、板倉も他の三方向をチェックして、他方から誰か来るという万が一の可能性に備えていた。
「だったらさ……せめてスコープの係くらい変わってくれよっ………!思った以上に目が疲れて……」
「それも却下だ……!そいつは佐原……お前の支給品だろ?
………俺に譲るというなら考えなくもないけどな」
「……ハァ」
無駄な諍いは避けたいのだろう、佐原はもう一度大げさに溜息をつきつつも、
何も言い返さずにスコープを覗き出す。
単に今後のためになるべく疲労を溜めたくないというだけのわがままであったが、
あくまで正論を吐いているのが功を奏したのかもしれない。
だがこの会話が板倉にある考えをもたらした。
(ククク……)
内心、感謝の念で一杯である。
佐原に対してではない。
佐原のような男に出会わせてくれた自分の幸運に対してである。
一応、それを確かめてみることは必要だ。
だが、おそらくはこれから先も良い自分の手足となってくれるだろう――
そんな板倉の胸中を露程も知らない佐原は、時々溜息をつきながらも見張りを続けていた。
一時間も経った頃だろうか。
いい加減単純作業にも飽き、大きく欠伸をしたとき、慌てて板倉を呼ぶ声がした。
「来たっ……!来たんだっ……板倉さん!」
佐原にそう告げられ、板倉も北側の窓の外を覗く。
なるほど遠くに一つ、こちらに向かってくる人影が見える。
佐原にしてみれば苦労した分、感動も一入といったところなのだろう。
喜びに震える佐原を板倉は冷めた目で見つめた。
「ちょっと貸してみろ」
板倉は佐原からライフルを強引に奪い取るとスコープで人影に照準をあわせる。
(あれは……女か………あの焦った様子は誰かから逃げているのか?)
板倉はまず違いないであろうと感じた。
職業柄他人に怯える様は男女問わず良く目にしている。
あの全身から滲み出る焦燥感は恐怖心、それも誰かに追われているときのものに相違なかった。
――しかし女が来るとは有り難い。
女と組めば『同志の誤解』を防ぐことが容易になる。
更には襲われたとき、最初に標的にされるのは、大抵体力の無い女から。
仲間にしておけば、これ程有利なことは無いだろう。
「佐原……あの姉さんに会ったことは?」
「いや、無いな……」
「そうか……なら一人で会ってくる、ここで見張りを続けながら待っていろ」
「えっ……!二人で行くんじゃねえのかよ!」
佐原は驚いた様子で食ってかかってきた。
板倉はいや、と首を横に振る。
「もしもの場合だが……他の誰かが接近してきて危ない雰囲気だったら、
容赦なくここからそのライフルでそいつを撃ってくれ。
あの姉さん、誰かに追われている可能性もあるからな……そのための待機だ」
悪いな、と付け加えると佐原は意外なほどあっさりと、しかし緊張した面持ちでコクリと頷いた。
「じゃあ、行ってくる」
板倉は階段を降りながら考える。
彼女が追われている可能性など、実のところほぼゼロに等しい。
本当に追ってきている人物がいるなら、誰があんな目立つところにいる女を見逃すものか。
あの焦燥感は、確かに誰かに追われているという恐怖心から来るものに違いなかった。
だがそれは、まず彼女の被害妄想。
実際に追われていたのを撒いたのか、それともはじめから妄想なのか、それは知る由もないが。
つまるところ、追われているというのは幻想。
保険として佐原を置いてきたという行為自体には意味はないのだ。
ありもしない恐怖に一々身を竦ませていては生き残ることは難しいだろう。
だが保険というなら、まだ佐原を同行させた方が安全である。
彼を待機させた理由は保険としてでは無く、無論他にあった。
それは扱いやすい人間からシノギを得る職業であるからこそ持つ人物眼を駆使し、
佐原がどこまで使いやすい人間かを確かめる、言うなればちょっとしたテストのようなもの。
彼が自分の言葉にどのように反応するかを観察しておきたかった。
結果は上々である。
予想通り佐原は結局何一つ考えることすらせず、あっさり言われるがままの結論を出した。
こういった場合考えられるケースは二つ。
一つには、愚鈍、愚直で自分では何も考えられないタイプの人間である場合。
もう一つは、自らの能力を過信しているタイプの人間である場合である。
前者の場合、まだ演技の可能性があるだけ警戒の必要があるが、
後者の場合は、わざわざそのように演技する人物などは皆無だ。
つまり板倉のような人間にとって最もカモにしやすいタイプなのである。
幸い佐原は明らかに前者の人間では無い。
利口ぶって頭の悪い相手にはなんとでも言えるが、自らが賢いと認めた相手が吐く正論や
『らしい言葉』に対しては、自分の能力を疑われないために無意識の内に従順になる、
そんな後者の人間であるように見える。
要するに、知識では無く意見の知ったかぶり。
このようなギャンブルにのこのこと来る当たり、
阿漕な商売をしている人間の甘い言葉にうっかり騙されたのではないか。
(利口ぶる人間は利用されるだけ……骨の髄までしゃぶってやる)
板倉はひっそりと笑みを浮かべていた。
【F-6/ホテル/午後】
【佐原】
[状態]:健康 首に注射針の痕
[道具]:レミントンM24(スコープ付き)、弾薬×30 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:待機して万が一に備える とにかく生還する 板倉の言っていた宇海零と標を探す
【板倉】
[状態]:健康
[道具]:毒液入り注射器 ※どのような毒かは不明(本人確認済み)
不明支給品0〜2 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:女性(しづか)に会いに行く 仲間を利用して生き残る 宇海零、標を探す 対主催者と合流する
【F-5/道路/午後】
【しづか】
[状態]:健康、やや精神的不安定
[道具]:不明支給品0〜2(確認済み) 通常支給品×2
[所持金]:2000万円
[思考]:和也からとにかく逃げる
以上です。
乙です。
「却下」はもはや名言だな。
乙!おもしろかった
板倉かっこいいなあ
投下乙です
板倉も一筋縄じゃいかないね
人間の分析が上手くてかっこいい
インテリヤクザの設定が活かされてて良かった
あと、
>このようなギャンブルにのこのこと来る当たり、
>阿漕な商売をしている人間の甘い言葉にうっかり騙されたのではないか。
的確過ぎて吹いたw
◆X7hJKGoxpY氏は三連ちゃん投下?
体壊さないように頑張って下さい
関係ないけど板倉と村岡って髪型似てるね。天パ?
投下乙です。
板倉のブラック加減がかっこいい!
佐原の甘さみたいなものの描写もすごくしっくりきた。
しづか、会う奴会う奴運がないなw
◆wZ6EU.1NSAさんの代理投下します。
795 :
見当:2008/10/14(火) 01:00:22 ID:???
坂崎美心は立ち尽くしていた。
目の前の光景。
殺す者。殺される者。殺し合い。
そのどちらも少年であった――。
坂崎美心は、一般的な女性である。
体格、腕力、知力、経験(箱入りで育てられた為、多少世間知らずで男性経験に乏しくはあるが)、
どれを取っても同年代の平均的な女性のそれと大差ない。
そんな彼女がこんなゲームに参加したのは、一重に彼女の想い人――伊藤開司に会わんが為であった。
離れて暮らしていた父から、ある日突然都内に家を購入したと連絡があった。
半信半疑ながらも母と共に訪ねるとそこには立派に家があり、家族は再び三人で暮らす事となった。
(我ながら分かりやすい家族だと思いはしたが。)
このように家族が再構築する事が出来たのは、カイジという青年のお陰だとしきりに父は言った。
そして今年の正月の事である。美心の目の前にカイジは現れた。
美心はカイジに想いを寄せていたし、彼も美心を憎からず想っていた。筈である。女の勘である。
実際にカイジは優しかった。地面に落ちた手作りのサンドイッチを残さず食べてくれた。
そう確か――その日の夜の事だった。
まず母が家の前に不振人物がいる事に気付いた。
不安を覚えた二人は父にその事を伝えたのだった。
すると、(当時坂崎家に居候していた)カイジが追っ払ってきます、と家を出て…。
それきり彼が戻って来る事はなかった。
最後に父と何か話していたようだが、それについて父に尋ねても何も答えてはくれなかった。
796 :
見当:2008/10/14(火) 01:00:55 ID:???
自分のせいなんだ…。美心はそう考える。
カイジは不審者に対して、「目を付けられたのはオレの方だ」と言っていたが、やはりあの男達は自分をつけてきたのだ。
優しいカイジは美心を怯えさせない為にそんな嘘を吐いたのだろう。
きっと彼は…美心を守る為に戦い、美心の身の安全を慮って姿を消したのだ。
そうとしか考えられない。女の勘である。
――そして舞台は孤島。
初めに出会ったのが黒沢であった事はこの上無い僥倖であった。
自ら戦う強さも、己を守る強かさも持ち合わせない彼女にとっては。
そうでなければ美心は死んでいたであろう。あっさりと。
目の前の二人の少年の殺し合わんとする様を見て、やっと気付いた。
ここは殺し合いの舞台だという事に。
そして生まれて初めて知る「死」という現実…リアル。
餌食…獲物…。弱者は殺される。力無き者は容赦なく死を迎えるのだ。
己の非力さを実感する。
死ぬのは嫌だ厭だイヤだ怖い恐いコワい。
心の扉が開く。
湧き出した恐怖は、あっという間に頭まで美心を満たし、もはや呼吸すらままならない。
少年がこちらに顔を向ける。
そして美心は――どこか遠く悲鳴を聞きながら意識を失った。
797 :
見当:2008/10/14(火) 01:01:37 ID:4JYqiKix
黒沢は思考を整理する。
まずは美心。
軽く恐慌状態に陥っているようだから落ち着かせなければならない。女性を守るのは男の義務である。
次に少年。
仲根と同じ位の歳だろうか。彼を保護し、怪我を負っているなら手当てをする。子供を守るのは大人の義務である。
そして、仲根についても訊かなくてはならない。
少年がこちらを向いた。
美心を落ち着かせる前に、敵意のない事だけは少年に伝えておこうと口を開く。
その口が言葉を紡ぐより早く。
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああっっ!!!」
何が起きたのか一瞬黒沢には理解できなかった。
目の前の美心がその場に崩れ落ちるのを見て、それが悲鳴であり、その悲鳴の主が彼女である事に気付いた。
美心の声に怯えたのか少年は駆け出してしまう。
「おいっ…!少年っ…!」
慌てて声をかけるが黒沢の声には気付かない様子でそのまま去ってしまった。
798 :
見当:2008/10/14(火) 01:02:39 ID:???
黒沢は逡巡する。
走り去った少年と、美心。
黒沢は美心の傍を選んだ。
仲根と少年の事は気になるし、できれば守ってやりたかった。
だが、今は美心である。
何があっても彼女を守り通すと決意したのは他ならぬ己自身なのだから。
再び黒沢は思考を整理する。
倒れてしまった彼女をどこか安全な場所へ移す。
いや、安全な場所などこの島にはありはしない。
ならば…せめて屋根のある施設へ移動する。
黒沢は意識の無い美心を背負って歩き出した。
人の体温と重さとが背に架かる。
――何、重い物を抱えて歩くのには慣れているんだ。
799 :
見当:2008/10/14(火) 01:03:29 ID:???
工藤涯は呼吸を整える。
自分を襲った少年は去りはしたが、警戒は解かない。
涯の視界に入り込んだのは一組の男女。
鼻水を垂らした中年男性と、……個性的な顔立ちの若い女性。
女性は先程の悲鳴の主なのであろう。慌てふためいている。その後ろの男も何だか慌てている。
涯は顔を女の方に向けた。
一瞬の間の後、女は再び悲鳴を上げた。
しかも先程のとは比較にならない程の叫びである。
咄嗟に涯は女に背を向け走り出す。中年男に呼びかけられたが、それに構う余裕などない。
尋常でない今の女の悲鳴はそれなりの範囲に響き渡ったであろう。
それは即ち、此処に人がいる事を不特定多数に示すといういう事だ。
どんな人間が寄ってくるか分からないこの状況はあまりに危険すぎる。
ましてや女の悲鳴に群がってくるような輩に碌な者はおるまい。
まさかこの状況下に於いて、正義の味方宜しく参上仕る人間などいないだろう。
そう判断しての行動であった。
それにしても、と走りながら涯は考える。
何故――あの少年は自分にとどめを刺さなかったのか。
女の悲鳴に驚いたか…?否。女の悲鳴が上がった時あの少年は揺らぎはしなかった。
最後の最後で殺しを躊躇したか…?それも違うような気がする。
印象といえばそれまでだが、あの少年にはその覚悟があるように見えた。
800 :
見当:2008/10/14(火) 01:04:03 ID:4JYqiKix
気になる事はもう一つ。
あの女は何故突然悲鳴を上げたのか。
一度目の悲鳴については分からなくもない。あの状況を目にすれば当然の行為ともいえる。
問題は二度目の悲鳴である。
女に顔を向けた際、正面から捉えた顔の痕を見て驚いたか…?驚くな、とは言わないがそれにしては大仰に過ぎる。
自分が人殺しだと分かってしまったか…?だとしたら――大した野生の勘である。
幾ら考えてみたところで無駄である。答えなど出はしない。
涯に分かる事。それは、殺さなければ殺される。という事。
死にたくなければ…生きてここを出たいのであれば、殺し続けるしかないのだ。
だが…この場所は。
オレは誰からもは放たれているのではいか。オレはオレに依っている。自らに由っている。
いや、そうでは無い。遊ばれている。他人の手の上で。こんなものは自由なんかじゃない。
801 :
見当:2008/10/14(火) 01:04:34 ID:???
【C-5/アトラクションゾーン/午後】
【工藤涯】
[状態]:右腕と腹部に刺し傷 他擦り傷などの軽傷
[道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:生還する この場から離れる
【黒沢】
[状態]:健康
[道具]:不明支給品0〜3 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]: 美心を運ぶ 闘う
【坂崎美心】
[状態]:失神
[道具]:不明支給品0〜3 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:人殺し恐い カイジ、父に会いたい
代理投下は以上です。
美心の勘違いっぷりに吹いたw
黒沢もなんだかんだで頼りになる男だし、美心もとりあえずは大丈夫かな?
涯が今後どう動くのかも楽しみです。
◆wZ6EU.1NSAさん投下乙!
では投下します。
ん?
したらばかな?
すいません、さるさん食らってました。
投下します。
807 :
目的 1/8:2008/10/14(火) 09:48:05 ID:4JYqiKix
「思ったよりも規模は大きいな……」
利根川は発電所を見てポツリと呟く。
彼は平山との集合場所に、一足先に訪れていた。
発電所の周辺に誰か来ていることもあるかもしれない。
それが利用できる人物であるならば、器具を装着した平山の姿を見られるのはまずいだろう。
自分が他人を脅しつけている人間であると知られては、思い通りには動いてくれない可能性が大きい。
だから、その前に駒を動かす。
――他人を動かせるリモコンは一つしかないのだ。
それにしても、随分と大層な発電所である。
この島の大きさを考えれば、ここまで大規模なものでなくても普通なら十分に賄える。
尤も膨大な電力を要する遊園地を経営している以上、これくらいの大きさは必要なのかもしれない。
(在全グループによる無人島開発計画がいくつかあると聞いていたが……)
この島がその一つであるというのなら、やはりその財力は計り知れない。
発電所だけでも膨大な維持費がかかる。
島全体では、一体どれだけの費用がかかるのだろうか。
並の財力、経営手腕では即座に破綻するであろう。
しかもこれは氷山の一角。
他にもこのような島がいくつもあるのだ。
一事が万事、どの島もこの程度の規模は持っていると思われる。
その財力は、まるで計り知れない。
(なるほど…………見えてきたな)
このギャンブルの目的。
最初はトトカルチョによる儲けを期待したものではないかと考えていた。
趣味と実益を兼ねた、優れた企画ではないか。
だが、それだけではあるまい。
彼の知る限り、ここまで人を人とも思わぬギャンブルが行われた試しはこれまで無かった。
言うなれば、新しい風。
次世代のギャンブル。
そのインパクトは想像を絶する。
このギャンブルは在全にとって絶大な宣伝効果をもたらすに違いない。
だが、それすらも所詮は表向きの目的ではないか、と利根川は考察を続ける。
在全の真の狙いは別にある。
おそらくそれは、その財力を背景にした示威行為。
このギャンブルを観戦したものは、誰しもが考えるはずである。
――次は自分の番では無いか、と。
まず間違いなく、首謀者は在全であろう。
そしてその目的は不穏分子を抑えること。
本当のところは今は分からないが、その考えに彼は確信をもっていた。
彼には、長く帝愛グループでナンバー2を務めてきたという自信がある。
しかし、それでもただ一つ、分からないことがあった。
(何故だ……在全の目論見に……何故兵藤様が絡んでいるのだ………)
分からない。
どれほど考えても分からない。
尤も、それでいいのかもしれない。
臣下に主の考えに近づくのは、それだけで大罪である。
それに、今は他にやらねばならないことがある。
(三人か……)
遠目に見かけた集団。
二人は大人だが一人は子供であった。
子供がいる、というあたりとこのギャンブルに乗った集団であるとは考えにくい。
おそらく彼等はこのギャンブルを良く思わず、潰そうと考えている連中。
(兵藤様にたてつく愚者どもか……)
その志、大いに結構。
だが、それが成就することなどまずあるまい。
このようなギャンブルを開催したということは、まず反乱対策は万全であろう。
彼らをどうするべきか。
殺してもよいが、子供を戦闘員と勘定しなくても一対二。
正直やって出来ないことはないだろうが、不利な状況には違いない。
ここで無理に頭数を減らすよりも、利用できるなら利用するに越したことはない。
対主催派のふりをすれば、それも無理なく出来る。
その場合、主催者との繋がりを示す和也の保護や遠藤殺害の指示は出来ないが、
カイジに伝言を頼むことくらいは可能だ。
殺すことはいつでも出来るのだから、今は利用した方が建設的だろう。
そうして方針を定めると、利根川は三人に向かって歩き出した。
* * *
「ほ……本当ざんすか……?いや助かった……ありがとうっ………ありがとうっ………」
村岡は喜びを隠しきれない様子である。
ニヤニヤと笑みを浮かべながら、赤松に首輪を手渡した。
赤松はそのまま首輪をバッグにしまう。
「それで……知ってる情報を教えてもらえますか?」
「分かったざんす……ゆっくり話すざんす………
だから焦らない焦らない……焦ってもいいこと無いざんすよ」
――同行させると言ったとたんにこれか。
この馴れ馴れしさに赤松は不快感を覚える。
少なくとも彼が生きてきた中でこんなわざとらしいコミュニケーションをとる者はいなかった。
村岡がこれまでどんな生活をしてきたか知ったことではないが、これでこの男は世を渡ってきたのか。
このような男とは生理的にウマが合わない。
これまでにも合わない人間は少なからずいたが、態度に出すことはなかった。
だが、環境がそうさせるのか、苛立ちを隠せずにはいられない。
「いいからっ……とっとと言ってくださいっ……!時間は無限にあるわけじゃないんだからっ……」
「はいはい、わかったざんすよ……」
急かされて、ようやく村岡は話し出した。
まず、井川ひろゆきと伊藤開司。
村岡曰く、井川ひろゆきはこの地で、伊藤開司は以前彼を嵌めた男らしい。
このあたりは彼が明らかに悪意を持っているため簡単には信用できない。
続いて利根川という男。
この男は帝愛グループのもとナンバー2であったが失脚。
一条。
この男は帝愛の裏カジノを経営するも客に大負けして借金を覆う。
驚いたことにこの二人もカイジという人物に負けたことが不運な目にあった原因らしい。
「まるで貧乏神っ……!近寄るといいこと無いざんす」
と、村岡は付け加えた。
三好という人物。
この男は村岡の元部下で、気が弱く頭も回らない小物ということ。
「それで主催者ざんすが……これは間違いなく帝愛グループ………
司会者の黒崎という男は現ナンバー2で、しかもこのギャンブルを持ちかけてきたのも帝愛ざんす……
帝愛は血も涙もない鬼集団……こんなことをしでかしてもおかしくはない………」
「なるほど……」
敵は大企業。
あまりに雲の上の存在で実感はあまり湧かないが、ありそうなことではある。
「それでここからが重要ざんす……第一級の危険人物………まさに血も涙も無い鬼の象徴っ……!
帝愛の兵藤会長の息子、兵藤和也も参加してるざんす……出来れば彼には会いたくない………
会えば間違いなく殺されるっ………!
……とまあ、ワシが知っているのはそんなところざんす」
「そうですか……ありがとうございます」
赤松はメモをとりながら考える。
ひとまず彼は感情でものは言っても嘘は言っていないだろう。
しかしこの人物自体は信頼できない。
仲間は多いに越したことはないが、今後、どう対応すべきであろうか――
「村岡さん」
唐突に標が口を開く。
「これから行動を共にするにあたって……確認しておきたいことがあるんだ」
「なんざんす?坊や……」
例の笑い顔を貼り付けて村岡は尋ねた。
「正直言って……僕たちはあなたをまだ信用していない………
だから、武器はあなたに持たせない………それが同行の条件……」
この言葉を聞いて、村岡は表情を変える。
当然であろう。
自分よりはるかに若い、人生経験の少ない少年が自分のことを信用できないというのだ。
腹が立つのも無理はない。
だが、村岡としては条件を呑むより仕方がないのだろう。
黙ってコクリと頷いた。
「あと、もし裏切ったら………」
そう言いながら標はモデルガンを構える。
「容赦なく撃ち殺すから」
村岡の顔から血の気が引いていくのが分かった。
それからしばらく後、再び新たな警告音が近くで鳴り始めた。
「誰か来る……」
三人はそれぞれ身構える。
現れたのは顔面に生々しい火傷の跡を残した一人の男。
「そんなに警戒しなくても結構……私は殺し合いには乗っていない………」
「と……利根川さんっ……!」
村岡が突如声を上げた。
利根川といえばつい先程聞いた名前である。
こういうことを、噂をすれば影、というのだろうか。
「ほう……私を知っているのかね………それは話が早い……
ご存じのとおり私は失脚した身でね……主催者の帝愛………奴らに復讐をしたいと願っているんだ……」
「復讐……ですか?」
「ああ……見受けたところ君たちも反乱しようと思っているようだが………
そうならば私達は同志、ということになるな」
「ははあ……」
何やら圧倒される。
堂々とした佇まいには好感が持てるが、彼も同行したいとでもいうのだろうか。
「フフフ……」
標がクイ、と服を引っ張った。
手を口に当てる。
耳を貸せ、というのだろう。
「どうしたんだい、標君」
「赤松さん、気をつけて………あの人、袖口に銃を隠してる……」
「なっ……!」
自分の顔からも、さっと血の気が引いていくのを感じた。
【C-1/樹林地帯/午後】
【赤松修平】
[状態]:健康
[道具]:手榴弾×10 石原の首輪 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:この場を乗り切る 村岡に警戒 できる限り多くの人を助ける 標を守る
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません
【標】
[状態]:健康
[道具]:モデルガン 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:この場を乗り切る 村岡に警戒 バトルロワイアルの穴を見つける 他の対主催派と合流する
814 :
目的 8/8:2008/10/14(火) 10:10:32 ID:4JYqiKix
【村岡隆】
[状態]:健康 やや興奮状態
[道具]:なし
[所持金]:0円
[思考]:赤松・標と同行する ひろゆきとカイジに復讐したい 生還する
※村岡の誓約書を持つ井川ひろゆきを殺すことはできません。
【利根川幸雄】
[状態]:健康
[道具]:デリンジャー(1/2) デリンジャーの弾(30発) Eカード用のリモコン 針具取り外し用工具 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:三人を利用する ゲームで優勝、もしくは和也を優勝させての離脱
※両膝と両手、額にそれぞれ火傷の跡があります
※和也の保護、遠藤の抹殺、カイジとの真剣勝負での勝利・その結果の抹殺を最優先事項としています。
※一条はその目的次第で協力・殺害を判断します。
※平山と次の定時連絡時に発電所で落ち合う約束をしました。
※デリンジャーは服の袖口に潜ませています。
※Eカード用のリモコン
Eカードで使われた針具操作用のリモコンです。
電波が何処まで届くかは不明です。
※針具取り外し用工具
Eカードの針具を取り外す為に必要な工具です。
投下は以上です。
ざわ・・・
代理投下ありがとうございます
◆X7hJKGoxpY様お疲れ様です
赤松をイラつかすってある意味社長凄い
投下乙…!
標かっこいいなオイw
有能とはいえあくまで常識人の赤松の心情が、このロワではかえって新鮮でいい
二人とも投下乙〜
>◆wZ6EU.1NSA氏
美心をブスと言わない涯の優しさにちょっと笑ったw
あと黒沢が男らしくてかっこいい
仲根のことはどうするのかな?
>◆X7hJKGoxpY氏
主催者の内情が少しずつ分かってきたな
ここまで奥深いとは……完全に趣味の世界だと思ってたよw
会長の目的はなんなんだろうな?
あと利根川の危険性を一瞬で見極める標相変わらずすげえ
トトカルチョの倍率だけど、今のところ
赤木 10倍以下(2位以内)
銀二 10倍以下(2位以内)
カイジ 19倍
沙織 133.3倍
美心 最大
ってことしか分かってないな。
他の面子はどうなんだろう?
赤木、銀二以外の上位は
3.兵藤和也(主催との関係で実力以上に評価されている可能性高し。運と非情さは◎)
4.標(観察力、意思の強さは一級品。目的のためなら非情にもなれるかも。戦闘力に難あり。)
5.森田(銀二以上の運を持つ。修羅場もくぐっており戦闘力もある。甘さが難点。)
6.カイジ(19倍という倍率からすればこの辺か。帝愛作成のため過大評価されている可能性高し。)
7.鷲頭(豪運の持ち主。フィクサーとしての能力も銀二に匹敵するほど。)
8.原田(運、戦闘力、非情さと高バランスを維持。しかし抜きん出たものはないか。)
9.天(ギャンブルに関しては赤木も認める才能。しかし殺し合いでは甘さが足を引っ張る可能性大。)
10.零(秀才、博識、観察眼あり。しかしギャンブルの才能や戦闘力は他の上位に比べ見劣りする。)
ってとこかな。涯、有賀、黒沢の位置が悩みどころだけど。
いくらなんでも標や鷲巣はもうちょっと下じゃないか?
標はまだ子供だし鷲巣は足腰弱いお爺ちゃんだし
あと鷲巣よりは神威の方が上な気がするな
個人的には原田が4位、有賀が5位でちょっと離れて天が6位、神威が7位
森田、カイジが横一線の8位と9位、零と涯は年齢的に評価落ちそう
あと意外と評価高そうなのが神威勝広と板倉
こいつらはベスト10に入る可能性もある
黒沢は……要領悪いから主人公の中じゃビリじゃないかな
強さ議論スレに頼もうよ
あそこに頼むのは違う気がするが
なにげに今のマーダートップって一条?
西日本の有力暴力団の組長で能力的にも高水準の原田が、カイジや森田より下とは思えん。
修羅場だってその二人よりも潜ってきてるだろうし。
今気付いたんだが……
銀二って現在地B-4じゃなくてE-3じゃないかな?
足をやられた鷲巣が短時間でそんな長距離移動出来るとは思えん
平成の殺人鬼こと有賀は5位以内に入りそうだ。
逆に三好の倍率は相当高かった筈。正にダークホース。
女性陣は美心>沙織>しづか、かな。
午後も全員揃ったか。
俺だったら女性陣なら沙織を買う(トトカルチョね)
しづかはまだ思春期で冷静さを欠きそうだし沙織は神威編で生き残った点を評価
美心は流石に無いw
あとは死にたがり、盲目、年寄りの市川も美心と同じくらい買いたくないなw
いくら頭が良くても自殺されたらねえ……
そういえば市川の思考だけは異質だな
ほしゅ
やっぱ読みやすい文章が書ける人って、筋道たてて物を考えられるってことだから読んでて面白いのかなあ。
読みにくい話がないのが凄い。
ところで上の黒沢と美心と涯の話って、廃棄?になった田中 死亡ルートの話と繋げれないのかな?
どう?
フラグやら何やらを判断して書き手は書く訳だから
通らなかった話を復活させるのはまずいだろ
ちょっと意見を聞きたい。
次スレなんだけど引越しした方がいいと思う?
するとしたら創作発表だろうけど……
次スレに移行したとき気付かない人もいるだろうし、どうなんだろう。
個人的にはここの方が良いけど、でもそれがルール違反なら移動するべきなのかなあ?
あっちいって過疎ったら嫌だし…
ルール違反では無いだろうが……
問題はさるさんとかだな
え?それってどういう意味よ?
良識の範囲内なら、どんなテーマのスレがサロン板に建てられようと、
削除はありませんよ という意味に捉えていた。
まぁこのままでいいんじゃない?
投下します。
(さて……どこに行くか………?)
仲根は地図を開いて考える。
思えば先程見かけた女は絶好の獲物だった。
或いは殺し損なった少年も、手負いの今なら楽に狩れるであろう。
だが、その二人には手を出せない。
よりにもよって、楽に、且つ確実に殺せる連中のすぐ近くに黒沢がいる。
(チッ……二千万円がパァだ………)
二人分の脱出資金となれば、それを集める労力は一人分集めるのとは大きな差がある。
他の誰かが脱出する前に集めなければならない。
時間に猶予はあまり無いのだ。
(とにかく急がねえと……)
とは言え、まずは狩り場を定めなければならない。
開始からもう四時間近く経つ。
拠点を決めてそこを中心に行動するものも多くいるだろう。
その拠点を攻める、これが第一案。
更に数人で行動しているのならばそれだけ多くの金を稼げる。
だが、問題もあった。
まず拠点となりそうな大規模な建物はいずれも距離がある。
もし外れだったとき、そのタイムロスは大きい。
次いで、地の利を得ている敵を相手にするのは困難が伴う。
罠を張ることもできれば、撤退することも容易である。
第二案としては、アトラクションゾーン内で獲物を探し続けること。
アトラクションゾーンも目立つ施設だけに人が多く集まっている可能性は高い。
また、拠点に腰を据えた連中に比べ、好戦的な相手も多いだろう。
既に数人を殺めた敵を殺せれば、一気に金も増える。
しかし、こちらは広い分他人と遭遇できるとは限らない。
(さて………どうする――)
『聞けっ……!ここに一千万ある……!!得たくば、奪いに来いっ……!!』
あたりに突如声が響いた。
(なっ……!)
あまりに唐突な出来事に仲根は驚く。
――一体どういうつもりなのだろう。
自ら場所を教えて、奪いに来い、とは。
罠であろう、と始めは考えた。
自ら囮になって、金を集めるための罠。
しかし、本当にそうか。
あの言い様では、罠であると公言しているも同然。
不用意に近づく者がどの程度いるだろう。
もっと他に人を集める言い方があるのではないか。
例えば、脱出するための仲間を募っている――というような。
その方が釣られてくる馬鹿も殺せて一石二鳥であろう。
或いは、そのような馬鹿を巻き込みたくない、という陳腐な正義感からであろうか。
考えられなくもないが、人を殺そうという人間がそのような思考をするとも思えない。
罠では無く、慈悲心と自己犠牲の感傷から他人に金を渡そうと考えている可能性もある。
(ぐっ……わからねえ………)
罠か、そうでは無いのか。
自分は黒沢のためにも死ねない人間である。
迂闊に行って罠にはまって殺されるというなら、それは本末転倒である。
やはり当初の方針通り、アトラクションゾーンで誰かと遭遇するのを待つか、拠点を攻めるか。
――そこまで考えて、仲根は自分の手が震えていることに気がついた。
(馬鹿かっ……俺はっ……!)
何を迷うことがあろう。
時間がないのだ。
少しでも早く、たくさんの金を集めたい。
確実にそこに金があるなら行かない手はない。
迷いは確実に目の前に迫った死への恐怖である。
声のもとへ向かうことは、より危険な選択。
その危険が仲根を躊躇させた。
だが、それは仲根にとって犯さなければならないリスク。
――行くしかない。
声のもとまではそこそこ距離がある。
方角は現在地から北西。
地図をバッグにしまうと、仲根は正しい走り方でその場所へと向かった。
【C-4/アトラクションゾーン/午後】
【仲根秀平】
[状態]:前頭部と顔面に殴打によるダメージ 鼻から少量の出血
[道具]:カッターナイフ バタフライナイフ ICレコーダー 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:声のもとへ向かう 黒沢と自分の棄権費用を稼ぐ 黒沢を生還させる 生還する
投下は以上です。
投下乙
正しい走り方に吹いたw
乙です。
なんかこういうリンク感って好き
黒沢さんへの献身と女・少年を狩るという心
両方、仲根の心にあるんだ。
誰かwiki更新出来る人はいませんか?
説明読んでもさっぱり分からない……
一応俺は保存してるけど次スレに移ってDAT落ちしたら、
前の話を把握出来ない人も出てきそうで……
誰か頼みます。
すまん最近忙しくなって更新できなかった
次スレ行くまでには更新します
忙しい中ありがとうございます。
無理はしないで下さいね。
更新楽しみに待ってます。
wiki更新はそこまで難しくないよ
左上の「編集」から「このページを編集」を選択すればソース?が見られるから、
最初はそうやって既存ページの記述を参考にするとわかりやすいと思う。
いじってプレビューするだけなら変な記述しちゃっても影響ないし、時間ある人は是非
wiki更新乙です!
更新ありがとうございます。
助かりました。
>>856 何でかは知らんがどう見ても別人
善意でやってくれてる人に失礼なこと言わないように
ついでに言っとくと触っちゃいけません、君も俺も
>>849だけど別人だよ
Wiki更新してくれた人ありがとう乙です
859 :
マロン名無しさん:2008/10/26(日) 09:22:24 ID:f7S069kx
ほ
2発しか撃てない拳銃で3人相手に勝てると踏める利根川がカッコイイ。
何とか出来るだろうけど不利、それよりは利用しようって感じか
利根川視点での殺すプロセスは赤松か社長をまず行動不能に、
残った方を脅しつつ冷静に始末、
標と行動不能にした奴を首でも絞めて殺すってところかな
標に対する見くびりが生む自信か
投下します。
864 :
道標 1/6:2008/10/28(火) 21:40:00 ID:17v8yX7z
『聞けっ……!ここに一千万ある……!!得たくば、奪いに来いっ……!!』
「……ひろゆき………聞いたか、今の声……」
「……聞こえないわけないだろう」
自己紹介を終え、今後の方針を話し合っているときだった。
突然周囲に響き渡った声。
それは屋内にいる彼らにも例外無く届く。
「いや……そういうわけじゃなくてよ」
ひろゆきの言葉に平山は少し溜息をつきながら言った。
「いいのかよ……俺なんかに付き合ってて………
お前だって当然生き延びたいんだろ?一千万を脱出費用の足しにしようと思わないのか……?」
「言っただろ、やりたいことをやってるだけだって………それに……」
「それに?」
「僕には殺してでも奪い取るなんて気はまるでないんだ……僕はギャンブルだけで生き残る」
あの赤木しげるに追いつけるように――とは言わなかった。
言えば空々しくなるし、赤木がもしこの地に参加したとしても
ギャンブルで生き残るなどという発想にはまず至らないであろう。
口に出して、それをはっきり自覚するのが嫌だった。
彼がこのいかれたギャンブルに参加したならば、喜んで主催者を狙うだろう。
――生きることを楽しむために。
だが、ひろゆきにはそこまでの勇気はない。
だから、目先の赤木しげるを追った。
生死を賭けた地で生死を賭けたギャンブルをする。
それもまた、ひろゆきの中の赤木しげるの一つである。
彼は自分を否定しないために、あくまでその赤木に固執していたかったのである。
「だけどたまには……寄り道してもいいんだ………それが君を助ける、ということさ」
逃げの思考に陥っているのは平山だけでは無い。
自分もまた本物の赤木しげるの幻影から逃げているのだ。
平山と自分はあまりに似ている。
だからこそ自分と重ね合わせた。
だからこそ道標になりたいのである。
ひろゆきにとっての赤木がそうであったように。
「ふうん……俺にはよく分からねえな………」
ひろゆきの内心を露程も知らぬ平山は首を捻った。
「まあいいさ。今は僕のことより……君のことだ。
利根川からもらったっていうメモを見せてくれないか?」
「ああ……」
ひろゆきに言われたとおりに平山は利根川のメモを手渡す。
メモの内容にざっと目を通してからひろゆきは口を開いた。
「なるほどね………まず……ひとまず君は行動を縛られているわけだけど……
利根川の手が届かないようにするための理想は、機械に詳しい協力者を見つけることだな」
「それはそうだが、そうそう都合のいい奴なんて……もしかして心当たりでもいるのか?」
平山が期待した目を向ける。
だが、ひろゆきはゆっくりと首を振った。
「いや……残念だけどね………」
「……だろうな」
ハア、と平山は肩を落とした。
「まあそこで次善の策だよ。
……このメモを見る限り少なくとも伊藤開司という男と遠藤という男は利根川と敵対してるようだ」
「……カイジって奴もか?」
「ああ……もし仲間であれば一条という奴のように協力を仰がせればいいだけのことだからね……
親友だから会いたいって文面にも見えないし、
メモからすれば利根川はおそらく合理的な性格なんだろう……
そんな奴がわざわざ呼び出すっていうのは余程のことだ」
平山はそれをきいてコクリと頷いた。
だがその目にはまだ疑問の色が残っている。
「……それで、敵だからどうしろってんだ?まさか敵の敵は味方、とでも言うんじゃ……」
「その通りさ。ここで重要なのはカイジの方だ……いいか?
できるだけ万全の状態で連れて来いってことは、
おそらく自分の手で息の根を止めたい……そういうことだろう。
だけど普通、殺すつもりと分かっているなら、事情を話したところで連れてこれるわけがない。
なら可能性は二つ……カイジが利根川に罪の意識を抱いているか……
決闘しようとしているか………だ」
「……決闘?」
考えられない、というように平山は首を振る。
「フフ……決闘といっても殴り合うわけじゃない………
決闘って言うのはプライドを守るための闘い……
だからどんなものでもありえる………例えばギャンブル、とかね」
「ギャンブルか……なるほど………でも協力してくれない場合は?」
「それこそギャンブルで言うことを聞かせてやればいいのさ………
まあ僕の考えはこんなところだ………
ほとんど当てずっぽうだけどね……実際のところどうだかわからない………
だけどどういう形にせよ利根川を止められる可能性が現状で一番高い人物は彼だ……
つまり彼に協力させればいい……自分ではどうしようもない場合はね」
そう言うと、平山の顔に血の気が差した。
利根川から逃れる術に気付き、俄かに希望が見えてきたためであろう。
「カイジを探しだせばいいんだな……よし!行こうぜ!」
興奮気味に平山は喋る。
「待てよ……言っただろ?自分ではどうしようもない場合は、って……
カイジって奴がどんな奴かは皆目見当が付かないんだ……敵に回る可能性だってある。
その覚悟はあるのか?」
「そんなこと言ったってどうしようもねえだろっ……!
この拘束がある限り………
それに俺は……どのみち死ぬってなら、可能性のある方に賭ける!」
従うだけでは駄目。
抗うことこそが生きるための道だと平山は悟ったのだろう。
ひろゆきとしては、出来ることなら道を切り開くことを他人任せにして欲しくはなかったが、
これは仕方あるまい。
なにせ自分自身その方法を掴めずにいるのだ。
「……わかったよ。カイジを捜すのにも手を貸そう………
ただ………君と一緒に行動するわけにはいかない」
「……なんでだよ」
「利根川との約束を忘れたわけじゃないでしょう……君は定時放送の六時に待ち合わせをしている。
万が一遅れて、逃げたと勘違いされたらまずい………それこそ殺されかねない」
平山は、壁の時計に目を向けた。
「……もう四時か」
「ああ……あまり時間はないぞ………平山……
二人でのんびりとカイジを探して、途中で何かあったらそれだけでアウツ………!
どっちみち二手に分かれたほうが早いし……君は利根川に会う道中カイジを捜すんだ……いいな」
「ああ……だけど………」
「どうした?」
「収穫無しってのは不味くないか……?それこそ会ったとき容赦なく殺される……」
平山は不安そうに言う。
「だってそうだろ?俺の代わりは一杯いるんだから、手際の悪い俺を生かしておく筈がない……」
「なんだ……収穫ならあるじゃないか………僕という協力者を見つけただろ?
放送までに四人の内、誰かを見つけろってのがそもそも無理な話さ………
利根川も分かっている……協力者を見つけただけでも、利根川は逆らう気は無いと読むよ………
まして協力者との連絡手段を持つのは君だけ……それなら殺されない………当面はね」
「そ、そうか……なるほど……」
ひろゆきはフフッと少し笑い、平山の顔をじっくり見つめた。
「まだ正念場はこれから……恐れるのはその後でも遅くはない。
利根川と別れたらまたここで落ち合おう……そうだな、夜の九時か、とにかくその辺りの時間に」
「ああ……分かった」
「じゃあ行ってくるんだ………大丈夫さ……きっと生き残れる」
平山は頷くとそのまま背を向け、守衛室から出て行った。
ひろゆきもカイジを捜すため移動する準備を始める。
果たして自分は平山にとっての道標となれたのであろうか。
まだ分からない。
目の前の敗北から、目の前の死から逃げぬことは伝えられたのか。
(分かってくれたのかな……ハハ………やっぱ赤木さんの背は遠いな……)
実のところあまり人のことにかまけている時間はない。
ひろゆきは、まだ答えを出せなかった。
雀士としての赤木を追うか、道標としての赤木を追うか、人間としての赤木を追うか――
答えを出すには、やはりあの男と闘うしかない――そう感じる。
(もう一人の、赤木しげる……)
【C-4/事務所内/夕方】
【井川ひろゆき】
[状態]:健康
[道具]:日本刀 首輪探知機 不明支給品0〜2(確認済み)
村岡の誓約書 ニセアカギの名刺 支給品一式×2
[所持金]:1700万円
[思考]:赤木しげるとギャンブルで闘う ギャンブルで脱出資金を稼ぐ 極力人は殺さない
カイジを捜す 自分の進むべき道を見つける
※村岡の誓約書を持つ限り、村岡には殺されることはありません。
※平山と21時にアトラクションゾーン事務所で落ち合う約束をしました。
【C-4/アトラクションゾーン/夕方】
【平山幸雄】
[状態]:左肩に銃創 首輪越しにEカードの耳用針具を装着中
[道具]:不明支給品0〜3(確認済み) 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:カイジを捜す 利根川に会いにいく 引き続き利根川の命令には従うが、逃れる術も積極的に探る
※ひろゆきと21時にアトラクションゾーン事務所で落ち合う約束をしました。
投下は以上です。
乙です。
ひろゆきやべぇ……まさかここまでかっこよくなるとは思わなかったw
何気に、利根川とカイジの関係も見抜いているし。
やっぱり、ひろゆきはダークホースだなぁ……
今後が凄い楽しみです。
投下、ありがとうございます。
ひろゆき のアカギへ憧れとか劣等感がないまぜになった心情と、
自分は自分との矜持がどんな行動を起こさせるのか楽しみです。
乙です
平山はやればできる子っ…!
ほ
予約期間オーバーしてるな
予約もあまり入ってないけどできれば延期するならすると言ってほしいところ
>>875 既に、したらばに投下してあるよ。
携帯だから、代理投下は出来ないけど。
本当だ
俺も携帯だけど……
…ふふふ…うふふ…
有賀研二は愉しくて仕方がない。好きなだけ人を殺せるというこの状況が。
有賀研二は嬉しくて仕方がない。好きなだけ殺せる武器を手に入れた事が。
赤ン坊はどこ…
どこにいるの…
出ておいでよ…
殺してあげる…
獲物を求め有賀は森の中を移動していた。
まだ幼かった日々を思い出す。
有賀はかくれんぼが好きだった。特に鬼。
息を潜めて隠れる他の子供たちを探し出す時の、甘い蜜が胸から滲み出すような感覚。
それがたまらなく好きだった。
あの子。森田という子。長い黒髪の子。殺し損ねた。あの男のせいだ。邪魔された。白髪の。銀さんと呼ばれていた。
あの二人。早く見つけないと。他の奴にころされてしまう前に。殺さなくちゃ。この手で。ああ。早く会いたいなあ。
このマシンガンで。
頭を撃てば。頭蓋を砕いて。脳が。脳漿が。脳髄が。
腹を撃てば。肋骨を砕いて。血液が。腸が。臓物が。
でも胆嚢はダメ…。あれは破れるととても臭いから。
有賀研二は人間を愛している。生きている人間を。殺すことが出来るから。
有賀研二は死んだ人間には興味がない。なぜなら殺すことが出来ないから。
有賀研二は人を殺すのが好きだ。故に愛す。人を。心から愛しているのだ。
うきうきとした心持ちで有賀は歩く。
とても良い気分だ。もう二人殺した。
生きている人間は幾らでもいるのだ。
ここはまるで――天国のような島だ。
…ふふふ…うふふ…
▼
森の中を二人の青年が歩いている。
前を行く青年は三好。虚ろな目でぶつぶつと何かを呟いている。
後を行く青年は安藤。明らかに怯えた様子で落ち着き無く辺りを窺っている。
三好はカイジを探し求めている訳だが、ただ無秩序に徘徊しているようにしか見えない。
事実そうなのだ。建設的な思考の上での移動ではない。
そして安藤もまた建設的な意見を述べるでもなく、諾々とそれに付いて回るだけなのであった。
「…カイジさん…カイジさん…カイジさんにさえ会えれば……」
ずっとこの調子である。相変わらずの様子に安藤は堪らずため息を漏らした。
ただし、三好には悟られぬようにこっそりと。
安藤は、末崎を殺した時の彼のへらへらとした笑い顔を思い出し身震した。
人格が破綻しているとしか思えない。安藤の理解の範疇を超えている。
それでも安藤が三好といる理由。それは「打算」である。
外敵から我が身を守らせる。そして、彼を利用してカイジに取り入る。
その目的の為に安藤は恐怖を押し殺して行動を共にしているのだった。
存外、恐ろしい殺人鬼でもその庇護下にいれば安全ではあるのだ。
それに、うまく行けば優勝賞金の十億を三人で山分けに出来るのではないかとも考えている。
例えば、三人で協力体裁をとり、後に賞金は配分するという念書を作るのだ。
あとはカイジか三好を残して、自分はリタイヤすれば良い。
一人頭三億超という金はあまりにも魅力だ。
――…待てよ。
もし最後に二人を出し抜く事ができれば…。
いや、殺してしまえば…。十億は自分だけの物じゃないか…。
たった二人殺せば…。
ここは完全に法の外なのだ。
もはや人殺しは違法ではない。法により罪が裁かれることはない。
ある意味ここでは殺人者の安全は保障されているのだ。
もとはといえば。
あの船で得た金を、素寒貧の中年を救い出すのにカイジが使ってしまわなければ、自分はプラスで下船できていたのだ。
カイジさえ余計な事をしなければ、こんな危険極まりないギャンブルに参加することもなかったのに。
もしあの時の金があったら、こんな地獄のような島に来ることもなかった筈だ。
いわば、自分はカイジの愚考の割りを喰った被害者なのだ。
ここに来てしまったのは――カイジのせいなのだ。
オレのせいじゃない。
ならば被害者であるオレに殺されたところで文句はあるまい。
三好に至っては殺人犯で異常者なのだし。
どうあれ、カイジとの邂逅は必須なのだ。
伊藤開司は頭も切れるし度胸もある。安藤はそう評している。カイジの力なくして優勝は狙えないだろう。
が、彼は詰めが甘くまず人を殺せるような男ではない。
だが三好は立派な、人殺しである。
二人が組んでくれたら鬼に金棒ではないか。
(…この場合どっちが鬼でどっちが金棒だろう)
ふと、どうでも良い事を考える。
(やっぱり鬼は三好かな…人殺しだし…)
その時。
がさり、と脇からと音がした。
ぎょっとして安藤は顔を向ける。
藪の間から人が現れた。
異様な風体である。
頭部はすっぽりとヘルメットに覆われ、手にはマシンガンを構えている。
安藤は固まる。体が動かない。声も出ない。
それでも頭の片隅で自分は安全なのだと、きっと三好が守ってくれるのだと――。
ドンッ
――そう思っていた瞬間の出来事だった。勢いよく安藤の体が飛び出した。
「……!!」
響き渡るけたたましい音。
その音にあわせて踊る男。
音が止んで、静まり返る。
そして 安藤の体は 糸の切れた人形のように
▼
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ……」
許しを乞いながら三好は走っていた。必死に。
どうしよう。
なんであんなことをしちゃったんだ。
これじゃあカイジさんに助けてもらえない。救ってもらえない。
でも仕方なかったんだ。だってあのままじゃ二人とも殺されていた。
ああするより他なかったんだ。
それに僕は生きなきゃいけない。
カイジさんに会うまでは死ねないんだ。
そう、カイジさん……。カイジさんの為…。
僕が生きるのはカイジさんの為なんだ。
だって僕はカイジさんを守らなきゃいけないんだから。
あれは、カイジさんの為にした事なんだ。
僕の為じゃない。
だから僕は悪くない。
ああそうだ。僕は悪くないんだ。
何も悪い事はしていない。
安藤君だって分かってくれる筈さ。
早く…早くカイジさんに会わなくちゃ…。
カイジさんに会いさえすれば…。
カイジさんがきっと全てを
――無かったことにしてくれる――。
矛盾した思考に三好自身が気付く事はもはやないのだろう。
そして彼はいつの間にか走るのをやめていた。
▼
有賀が足元を見下ろすと、赤い肉塊がビクンッと跳ねた。
ビクンッビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンビクンンビクンビクン
ビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビクビク
その様を有賀は凝視している。
幼子が虫の観察をするように。
瞬き一つせず。笑みを浮かべ。
…ふふふふ…うふふふ…
平成の殺人鬼と呼ばれ幾つもの命を奪ってきた有賀には思う事がある。
人は一気には死なない。人は徐々に死ぬ。
まず初めに死ぬのは目だ。人は目から死ぬ。
何も見てはいない、見えてはいない目。これはすぐに死ぬ。
何かを見ている目。これはすぐには死なない。だからもう一撃が必要。何も見なくなるまで。何度でも。
この子はもう――何も見てない。
…ふふふ…うふふ…
痙攣していた肉塊はぐにゃりとした肉塊になった。
有賀はその頬に触れる。
ひんやりとしている。
死んだ瞬間から人は冷たくなるのは何故だろう。
そんな事を考える。
これは死体だ。
もう興味なない。
死んだ人間は殺せない。
「あ…」
そういえば。もう一人。
この子を後ろから突き飛ばした子。いきなりだったから驚いた。
あの子。この子を突き飛ばして逃げちゃったんだ。
ああ、もったいない。二人いたのに一人しか殺せなかった。
それにしても、随分な大荷物になってしまった。
何か対策を考えなければ。
まあいいか。そんなことより――。
(お腹空いたな…)
ヘルメットを取ると、心地よい風を感じた。
有賀は昼食を摂ることにした。
有賀研二にとって死んだ人間の事などどうでも良いのだ。
【D-5/森/午後】
【三好智広】
[状態]:精神消耗
[道具]:イングラムM11 30発弾倉×5 包丁 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:カイジに会う カイジの敵となる人物は殺す 生還する
【有賀研二】
[状態]:健康
[道具]:果物ナイフ 不明支給品0〜13 グレネードランチャー ゴム弾×8 木刀
サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット 支給品一式×8
[所持金]:6800万円
[思考]:人を殺したい
【安藤守 死亡】
【残り 33人】
◇wZ6EU.1NSA氏 代理投下氏 乙〜。
今、後ろで「がさり」とか物音したら、飛び上がりそうだ。
怖かった。
代理投下は以上です。書き手氏乙でした!
改行位置は規制があるため変更してあります
以下感想
心理描写?がガチすぎて恐かったw
安藤の姑息な思考のシーンでは安藤のふてぶてしい顔、
後半では有賀のあのヤバイ顔が鮮明に浮かんできました。
あと、さりげない『鬼は三好かな…』が絶妙で好き
代理投下ありがとうございます
乙です。
三好も有賀もコエエエ━━━━━(((( ;゚Д゚))))━━━━━━ッ!!!
ほ
保守
保守
保守がてら
◆ZAWA2.Ysisさんの文章が凄い好きなんだが勇と金だけなのが惜しい…。
もし書ける状況にあるならお願いしたいです。
コンビニ版の短編集に遠藤鉄雄ってキャラがいたんです…。
てか、今主な書き手 さんて何人位?
>>893 俺も何人位いるか知りたいんでとりあえず名乗りでます。
出来たら他の書き手氏もよろしくお願いします。
とりあえず今は忙しいので構想段階の話ばかりで手付かずですが……
近いうちにまた書くつもりです。
「鏡」「見当」「彼我」を書いた者です…。
書き手を名乗るのもおこがましいですが…。
というか、あの、他の書き手さんや、読み手さんに迷惑掛けてませんか?それが心配で…。
>>895 迷惑なんかかかってないです。
むしろ貴重な戦力。
強いて言えば謙遜したり自分を過小評価したりしない方がいいかな。
堂々としてた方が印象は良くなるもんだよ。
>>895 すごいっ…!
さりげないけど…一話一話が…
考えつくされている…
しかもその手順…
持っていき方が絶妙…!
完璧だ…!
これほど切れてる◆wZ6EU.1NSAさんが迷惑なわけがないっ…!
いけるっ…!
>>893 最近は受験のため投下できていないので名乗り出るのはあまり意味がないと思いますが、
完全に離脱したのではないことを言ういい機会なので便乗。
春になったら戻ってきます。
899 :
◆JsK8SvgrFA :2008/11/12(水) 18:59:57 ID:Cr/2+1YQ
皆様に比べると全然実力不足ですが、できればまだ頑張ってみれれば、と思っています。
>>898 受験頑張ってください!
復帰楽しみに待ってます。
>>899 リロード忘れ申し訳ない。
投下楽しみにしてます。
頑張って!
新規の書き手さんにも期待!
さあ君もチャレンジ!
うん、いやマジで
なんか、書き手さんも読み手さんも随分減ってきた気がするのは気のせい?
ロワに限らずSSスレって大体そんなものだよ
他の盛況なパロロワスレみたいに投下は多く無いし読むだけだとROMになりがち
それに福本作品の二次創作に興味があってバトロワに嫌悪感の無い人なんて限られてるしね
太陽はその位置を水平線の近くまで落とし、その光は夕焼けとなって空と海を赤く染めている。
その光の中を歩く一人の男が居る。
飄々と、あるいは堂々と。
それは、この戦地では、ひどく目立つ歩き方だった。
このゲームに参加、いやさせられた多くの者はこんな歩き方はできない‥‥‥!
敵がいつ襲ってくるか、わからない状況である。
怯えながら歩く者。警戒しながら歩く者。武器を構えながら歩く者。
誰もが、己の生命の危機を常に感じている‥‥‥‥!
できないっ‥‥! この男の様にただ普通に歩くことなど‥‥到底っ!
その男−−平井銀二は、ただ無防備に歩いているわけではなかった。
彼も、常にあらゆる不測の事態は想定している。
想定しているが、それでも彼の態度には感じられる‥‥! ある種の余裕!
その実力からする自信か‥‥‥。
しかし、若者にありがちな、裏打ちの無い自信によるものでは無い‥‥!
長年、精神的にも肉体的にも数多くの修羅場を潜り抜けてきたものだけが持てる自信。
そしてその余裕は、その自信からくるものだけではなく‥‥さらに!
彼が感付いているある事実‥‥!
それは、このゲームを根本から覆すことも可能な、ある『気付き』‥‥!
それこそが、彼の態度に余裕をもたらしていたのであった‥‥‥!
銀二の姿に、先に気付いたのはアカギだった。
原田克己と共に、F-6のホテルを目指している最中であった。
アカギ、足を止める‥‥‥!
アカギが一点を凝視して立ち止まっていることに、やや遅れて気付く原田。
「アカギ、どうした?」
原田はアカギの視線の先を追う。そして、銀二の姿を確認する。
「‥‥‥あのおっさんがどうかしたか?」
「ククク‥‥‥なかなか面白そうなオヤジだぜ」
「アカギ、声をかけるのか?」
「‥‥‥まぁ、見てな」
アカギは原田にそう言い残し、銀二に歩みよっていく‥‥‥!
「よぉ」
アカギは銀二の後ろから声を掛けた。
銀二がゆっくりと振り向く。そしてアカギの顔を見据える。
「私に何か用かい?」
「おっさん、どこに向かって歩いてるんだ?」
「特に目的というのはありませんが‥‥‥‥あなたは?」
「俺はアカギ。こいつは原田だ」
アカギは手短に自己紹介する。
「私は平井銀二と言う者です‥‥‥。
そうですか、アカギさんですか。はじめまして。
原田さんの方は‥‥、原田さんは私のことをご存知ないと思いますが、
私は原田さんのことは存知あげております‥‥‥!」
そう言って銀二は、アカギに意味ありげに笑って見せた。
「そうか。まあ俺の顔は知れわたってるからな。
俺を知ってる奴がいても不思議じゃない‥‥‥」
原田は関西最大規模の暴力団組長である。こういうことは多いのだろう。
「それで?」
「平井さん。
見たところ‥‥あんたは殺し合いには‥‥乗ってないみたいだな」
「‥‥‥そう見えますか?
あなたたちこそ、どうなんです?」
「‥‥‥そうだな‥‥‥。
俺たちは‥‥‥」
アカギはそこで言葉を止めて、銀二をじっと見つめた。
原田は、銀二にやや胡散臭さを抱いていた。
‥‥‥この男‥‥只者じゃねぇ‥‥‥!
‥‥‥アカギは、気付いているのか‥‥?
アカギは、言葉を続けた。
「とりあえず、殺し合いには乗ってはいない。
平井さん‥‥そういうことで、お互い協力するってのはどう?」
「‥‥‥つまり、情報を共有したり、行動を共にしたりってことですね。
それは、悪い話じゃない‥‥‥。
しかし‥‥‥そうした場合、私のメリットは?」
銀二は言葉を区切り、アカギと原田を交互に見比べ、少し考えた後に言葉を発する。
「それに‥‥君が何を企んでるかは知らないが、
当面、君の本当の狙いはそんなことじゃないだろう‥‥?」
アカギ、意表を突かれる‥‥!
原田にも言っていない、本音‥‥‥! 本当の作戦!!
それを嗅ぎつけてくるとは!!
「‥‥‥ククク‥‥‥やっぱり面白いぜ‥‥‥アンタ‥‥‥。
じゃあ、話を変えよう。
‥‥‥‥‥ギャンブルはどうだ?」
「‥‥‥そうですね‥‥‥。
私もそれを望みます‥‥‥」
アカギと銀二は、目を合わせて微笑み合った。
三人は連れ立ってギャンブルルームへと移動した。
部屋に入ると、銀二は口を開いた。
「ところで‥‥、さっきから気になってるんですが、
賭けるものはやっぱりそのケースの中身ですかね?」
「これが不満か?」
原田は少しいらだって、アカギが持っていた大きなジェラルミンケースの鍵を開ける。
中身は、札束‥‥‥!! 五億円はあろうかという札束!
「金がこれだけあっても足りないっていうのか?」
‥‥‥しかし、銀二、動ぜず!
多額の札束に、全く臆する様子は見られない!
「そうですね‥‥‥。
それが本当に金であれば、なぜチップではなくて現金なんです?
私たちに支給されているのは、現金ではなくチップであるはず。
わざわざ、そんなにかさばるお金を持ち歩く必要性は無い‥‥‥。
‥‥‥それは、本物のお金ではありませんね?」
原田、驚愕っ‥‥‥!
ケースの中身が偽札であることを言い当てられてしまった‥‥!!
「ええ、ギャンブルをすること自体に問題はありませんよ。
ただ‥‥、私が賭けて頂きたいのは、お金よりも、
原田さん、あなた自身です‥‥‥!
私が勝った場合、原田さんにはアカギさんと別れてもらい、私と行動を共にして頂きたい。
もちろん、ずっととは言いません。
‥‥‥そうですね、この勝負が終わってから丸一日‥‥‥、
24時間の間、私に従って頂く、というのでどうです?」
何を‥‥この俺を従わせる、だと?
原田は当惑し、アカギの顔を伺った。
しかし、アカギは笑った。
「面白い‥‥‥。
しかし‥‥、アンタはそれに見合うだけ‥‥、
いったい何を賭けるつもりだい?」
「私の持っている情報を賭けましょう‥‥‥。
このゲームを根本から覆すことのできるだけの情報です‥‥‥」
黙っていられず原田が叫ぶ。
「アカギっ!!
こんな奴の言う事を信用するのかっ!!
そんな情報、有るかどうかもわかったもんじゃないのに‥‥‥」
「持ってるさ、原田。
平井さんは、何かを知っている。
‥‥‥おそらく、それは、俺たちが最も欲しい情報だ‥‥‥。
何か、このゲームに関する圧倒的な情報‥‥‥!!
それを持っているから、この男はこんなに余裕があるんだ‥‥」
「さすがはアカギさん、察しがいい‥‥‥」
「アカギっ!」
「いいさ、この勝負受けてやる」
アカギも銀二に負けず劣らずの余裕で答えた。
「‥‥‥さあ、そうと決まったら、種目は何にします?
おっと、麻雀だけは簡便してください。
原田さんは確か麻雀の腕の方もかなりお強かった筈。
ゲームは、アカギさんと私でしましょう」
「‥‥ああ、かまわない」
「そうですね‥‥‥勝負は早いほうがいい。
サイコロで丁半なんかいかがです?
‥‥‥親は、アカギさんで結構ですから‥‥‥。
ついでに、賽を振るのも私が賭けた後で結構です」
アカギは軽く、更に驚いた顔をする、が、それも一瞬のこと‥‥‥。
「‥‥なるほど、とことん面白い‥‥‥!
平井さん、アンタって人は‥‥‥!!」
「勝負は一回だ。
さあ平井さん、どっちに賭ける」
「丁」
原田、内心で快哉を叫ぶっ!
この丁半博打、賽を後出しで振れる親の方が有利‥‥。圧倒的有利っ!
アカギなら、賽の目を操るくらい、簡単にできそうだ。
この勝負、勝ち‥‥。アカギの勝ち‥‥。
が、しかし‥‥‥!
アカギは賽を振り、ツボを開けた。
ピンゾロの丁!!
「ククク、ついてねぇや‥‥‥」
アカギ、認めるっ! 負けを‥‥、あっさりと!
原田、驚愕っ!
「この勝負、私の勝ちのようですね‥‥‥。
原田さんは、頂いていきますよ」
「ククッ、残念だ‥‥‥‥」
アカギは口ではそう言っているものの、全く残念そうなそぶりは見せない。
余裕綽々、といった感じか。
‥‥‥ちくしょう、アカギの奴何考えてやがるっ‥‥‥!!
内心、穏やかではない原田であった。
三人は、ギャンブルルームを出た。
「ではアカギさん、24時間後に、この場所で‥‥‥、
原田さんを、お返ししましょう」
と、銀二。
「了解だ。
じゃ、原田さん、後はよろしく‥‥‥」
原田に軽く会釈すると、アカギはジェラルミンケースを抱えてそそくさと去って行ってしまった‥‥‥!
「‥‥‥納得がいかないようですね、
原田さん‥‥‥」
アカギが去った後、銀二は、原田を振り返った。
「アカギさんは、わざと負けたんですよ‥‥‥」
「なにっ!!」
原田は憤慨した。
「彼は‥‥‥、非常に頭が切れて勘も鋭い人ですね‥‥‥。
私のことを一瞬で見抜いたみたいですよ。
私が持っている情報が何であるか‥‥‥」
「えっ!?」
「しぃーっ!」
銀二は首輪を指差し、人差し指を口に当てた。
原田もすぐに気付いた。この首輪には盗聴機能がついている可能性が高い。
銀二はノートを取り出し、なにやら書きつけ、原田に見せる。
『私が持っているのは、この首輪に関する情報です‥‥‥!!
アカギさんはそれに気付いたようでしたから、
あの勝負は、アカギに後で賽を振らせることで、私は勝敗をアカギさんに委ねたんですよ‥‥‥。
アカギさんは、自ら負けを選んだのです‥‥‥!!
ということは、アカギさんには、今は一人で行動する作戦があったと思われます‥‥‥。
つまり、こう言っちゃなんですが、要するに原田さんは今、
アカギさんにとって足手まといだったんじゃないかと思います‥‥‥!
私は、あなたたちに会った時に、なんとなくそのことを察したんですが、確信が無くてね。
ギャンブルという形をとらせて頂きました‥‥。
しかし、私とアカギさん達が組めば、きっと大きな力となります‥‥‥。
アカギさんとの再会の約束は取り付けました‥‥‥。
再会するまでに、私たちにもすべきことは沢山有ります‥‥‥。
原田さん、あなたは今、私と共に行動するべきなんですよ‥‥‥!!』
【E-4/道路沿い/夕方】
【平井銀二】
[状態]:健康
[道具]:支給品一覧、不明支給品0〜2、支給品一式
[所持金]:1300万
[思考]:生還、森田と合流、見所のある人物を探す、24時間後にアカギと再会する
【赤木しげる】
[状態]:健康
[道具]:五億円の偽札 不明支給品0〜2(確認済み)支給品一式
[所持金]:800万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す 24時間後に銀二と再会する
※過去に主催者が開催したゲームを知る者、その参加者との接触を最優先に考えています。
接触後、情報を引き出せない様ならば偽札を使用。
それでも駄目ならばギャンブルでの実力行使に出るつもりです。
※危険人物でも優秀な相手ならば、ギャンブルで勝利して味方につけようと考えています。
※首輪に似た拘束具が以前にも使われていたと考えています。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※五億円の偽札
五億円分の新聞紙の束がジェラルミンケースに詰められています。
一番上は精巧なカラーコピーになっており、手に取らない限り判別は難しいです。
【原田克美】
[状態]:健康
[道具]:不明支給品0〜3(確認済み)支給品一式
[所持金]:800万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す 銀二に同行する
※首輪に似た拘束具が以前にも使われていたと考えています。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
投下は以上です。
乙!!
やべえ超面白いっ…!
老アカギと銀二はちょっと似てるしね
原田ガンバレ
やっぱ銀さんはカッコイイわ
つかまじ熱い!興奮した!
乙
銀さん相変わらずかっこいいな
この二人が相手だと原田もまるで小者だな
赤木と銀だけ賭けの倍率が十倍切ってるだけある
原田も倍率は悪くないんだろうけどさ
ジェラルミン抱えてそそくさ去っちゃうアカギがなんかイイな
原田にはこの歌を送りたい
つ「ドナドナ」
◆JsK8SvgrFA 氏 作品投下ありがとうございます。
アカギさん、銀さん 格好良過ぎ…
暴力団組長原田が2人の手のひらで転がされてる。
がんばれ、見せ場をっ 原田。
原田がコケにw組長(笑)
ある晴れた昼下がり
市場へ続く道
荷馬車がゴトゴト
組長連れて行く
可愛い原田売られて行くよ
可哀想な目をして見ているよ
ざわざわざ〜わざ〜わ…
原田って結構いじられキャラかもね
まあ真のいじられキャラは鷲巣だけどな
原作は言うに及ばず、支給品のお陰で邦男が兄と勘違いしてなんとか殺害出来るも
終始押されっぱなし、有賀に武器は奪われる、零にはやり込められて沢田に追い払われる
完全にヘタレ
へたれキング 鷲巣
へたれプリンス 原田
投下します。
(俺は……どうすればいい……どうすれば………)
生きたい。
ただ生き残りたい。
生物としてはまさに当然の感情――まずそれが彼の行動を縛っていた。
だがそこに自由などはない。
ここでは命を奪いあうことを強制されている。
何故自分は何度も自由を奪われるのであろうか。
何もこの地に限ったことではない。
強者によって弱者は力を奪われる。
暴力、財力、権力――
何故なのだろうか。
本当は涯も分かっている。
それこそが社会というものの本質であるのだ。
強者もまた道徳や社会通念、法といったものに力を奪われる。
その点、強者に見える存在も弱者の一つでしかない。
即ち、弱者の自由と強者の自由、これは本質的には同じものなのである。
まさに食物連鎖の図式。
ならば己が本当の自由を得るためにはどうすればいいか。
その手段は一つしかない。
孤立すること。
己が社会から距離を取ること。
己を食らうものから離れてしまうこと。
孤立出来なければ、あるいは完全に孤立しきれなければ今回のように自由を奪われる。
再び自由を得るためにはそこからもう一度孤立せねばならない。
この地からの孤立――殺人はその最初の一歩。
だが、それならば先程の二人も殺すべきでは無かったか。
何故殺さなかったのか。
(無理だっ……俺には………!俺を助けてくれた……しかも無抵抗の相手をっ………!)
それは易々と他人を切り捨てることの出来ない涯の甘さ。
生きたいという感情、自由を求める願いとは全く矛盾したこの精神もまた彼には捨てられないものであった。
(俺は……どうすればいい………?)
わからない。
だが、行動するしかない。
遠くから聞こえた、金を奪いに来いと挑発する言葉。
何故そのようなことを言ったのかは分からない。
だが、奪えと言ってくれるのであれば奪おう。
そして自由を自ら手放すその心情を見極めよう。
(孤立せよ……!)
【B-5/アトラクションゾーン/夕方】
【工藤涯】
[状態]:右腕と腹部に刺し傷 他擦り傷などの軽傷 やや精神不安定
[道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:生還する 今後の行動方針に迷う 声のもとへ向かう
投下は以上です。
乙です
涯の強さと弱さのアンバランスさが伝わってきたよ。
中根も市川達の元に向かってんだよな…
どーなんだこれっ…!
今んとこ拡声器の声を聞いてんのは天、石田、治、ひろ、平山、中根、涯の7人かー。
投下乙!
なんか世界観が福本本人っぽいっていうかそれらしい物の見方だなw
なるほどと思った
GJ!
◆X7hJKGoxpY 氏 作品投下 ありがとうございました。
中学生なのに、生きることに葛藤している涯。
絶対的な強者でも弱者でもない故の生殺与奪の基準が己の中でゆれている?
涯の心情が伝わってきました。
「孤立せよ……!」
そんなに考えたことはなかったですが深い言葉ですね。
自由とは孤立することか…
投下乙です
そうそうたるメンバーが集まりつつあるな
ひろどうなるのかなあ
かなり好きなんだけど甘いとこあるからそろそろ死にそう
原作でもそうだから仕方ないんだろうけど原田の口調が定まらないね…。
ふと思ったんだけどギャンブルルーム内で毒煙草を勧めて相手が死亡した場合って首輪爆発すんのかな?
強制じゃなくて「あげる」「ありがとう」みたいな感じで。
暴力行為じゃないしなあ
それは騙される方が悪いだろ
>>934 それにしてもまるっきり標準語には違和感を感じるんだぜ<原田
>936
描写不足で申し訳ありません。
原田は、原作でもセリフの口調が一定でないので、つい標準語をしゃべらせてしまいました。
キャラの口調には気をつけているのですが、シーンによっては難しく、なかなか違和感の無い描写は難しいですが、
今後は精進するよう頑張ります。
投下します。
黒沢はあてどもなく歩いていた。
背中に背負った女性、美心はまだ目を覚まさない。
どこか、落ち着いた場所で、この女性を休ませてあげたい‥‥‥。
歩いているうちに、目の前が開けてきた。
この島を一望できる、小高い丘の上。
そこに建つ、一軒の瀟洒な別荘らしき建物。
‥‥‥‥あそこなら、美心を静かに休息させてあげれるかもしれない‥‥‥。
目的地のできた黒沢は、とりあえずそこを目指すため足を速めた。
黒沢が、建物にある程度近づいたときであった。
キィーーッ
一人の男が、細い鉄格子で出来た門を開けて、中から出てくる‥‥‥!
有賀研ニである‥‥‥!
有賀がこの別荘に入ったのは、重過ぎる荷物を置くためであった。
武器も防具も食料も、有れば有るだけ越したことは無いが、多すぎる荷物は行動を束縛しかねない。
有賀は、持ち物を厳選した。
‥‥武器として、ウージー。これは外せない‥‥。
‥‥グレネードランチャー。重い上に、弾はゴム弾である‥‥。人が殺せない。
‥‥‥それに銃火器はウージーで十分だ‥‥。
‥‥果物ナイフ。接近戦では有効だ。‥‥その上小さくて軽く、嵩張らない‥‥。
‥‥防弾ヘルメット。‥‥これは唯一の防具だ。必要。
‥‥木刀。重く嵩張る割りに、相手にダメージを与えにくい‥‥‥‥。
‥‥‥‥通常支給品は一式持って居ればいい‥‥。水や食料品は嵩張る‥‥‥。
‥‥‥‥金は‥‥、チップだから嵩張らない。使うことは無いかもしれないが、何かに役立つかもしれない‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
有賀は、所持品の中から携帯していく品々を選び終えると、建物内に隠した。
‥‥‥そして、別荘を出たのである。
黒沢は、反射的に身を隠す。
なぜなら、有賀の装備はあまりにも物騒‥‥‥!!
頭には防弾ヘルメット。肩から提げたサブマシンガン。
‥‥‥そして、何よりも有賀自身から漂う物凄い殺気‥‥‥!!。
有賀は、周囲を伺う。
物陰に隠れた黒沢は息を殺す。
有賀は、黒沢達に気付かず、去っていってしまった‥‥‥!
‥‥‥‥どうやら、見つからなかったらしい‥‥‥。
‥‥‥黒沢は安堵した。
背中の美心は、まだ目を覚まさない‥‥‥。
いくら黒沢が屈強な男だとしても、意識を失った人間一人の重さは重く、時間が経つ毎にずっしりとのしかかってくる。
‥‥‥黒沢は少し迷った末に決断し、別荘の中へと入って行った。
黒沢は、寝室のベッドに美心を寝かせ、ひとまずホッとする。
美心は、まだ眠っている。
‥‥しかし、さっきの男は‥‥‥?
あの武装した姿から想像すると、おそらく他の参加者だろう。
見つからなかったのは幸運だ。
‥‥だが、何の目的でこの建物に‥‥‥?
黒沢は急に不安になり、部屋の中を見渡す。
まさかまだ、この建物の中に誰かいるのか‥‥‥?
そう思うと、いてもたってもいられない気分になる。
寝室に美心を寝かせておいて、黒沢は建物の中を探索に出た。
‥‥リビング‥‥キッチン‥‥バスルーム‥‥‥。
どの部屋にも、人の気配は無い。
黒沢は、とりあえず安心し、寝室に戻った。
見晴らしのよい窓からは、夕日に映える海と空が一望でき、黒沢をセンチメンタルな気分にさせる。
‥‥そして、茜色に映える美心の寝姿を見ているうちに、黒沢はだんだん妙な心持ちになってきた‥‥‥!
‥‥‥改めて見回せば、二人きり‥‥‥! 寝室に‥‥‥、妙齢の女性と!!
黒沢の胸は高鳴ってきた。鼻息も荒くなるのを抑えられない‥‥‥!!
「いかんいかんっ‥‥‥!!」
俺は、この女性を介抱するためにベッドに連れてきたんだ‥‥‥!
決して、いかがわしい下心が有った訳ではっ! ないっ‥‥!
黒沢は寝室の中をうろつきまわった。
その時、美心の口からあえぎ声が漏れた。
「‥‥ふぅっ、ぅーんんっっ‥‥‥」
それは、覚醒に向けての呼吸であった‥‥‥がっ!!
黒沢にとっては‥‥、まるで悩ましい女神の吐息っ!!
黒沢、焦る!!
‥‥何をやっているんだ俺はっ!!
意味も無く部屋の調度に当り散らすっ‥‥! ガシガシとっ!
その時‥‥!
たまたま手をかけた、ベッド脇のクローゼットの中から、何かが落ちてくる‥‥‥!
ドサドサドサッ‥‥‥!
それは、有賀が残していった大量の武器に支給品‥‥‥!!
黒沢、驚愕っ!!
思わず、手に取る‥‥‥。
たまたま掴んだのは、銃! グレネードランチャー!!
「‥‥‥うーんっ。
ここはどこ?」
背後で美心がつぶやく。
黒沢、ドキッとして、美心に駆け寄る。
「気が付いたかっ!」
起き上がった美心の手を、思わず握ってしまうっ‥‥!!
「‥‥きゃっ!」
小さく叫び声を上げて、美心は恥らう!
「‥‥‥いや〜ん‥‥‥!!」
美心、困惑‥‥!
気が付けば、ベッドの上‥‥‥!!
‥‥‥黒沢と二人きり、手を取り合って‥‥‥!!
そして、目の前には息を荒げた黒沢の顔が間近に‥‥‥!!
「お、およしになってっ‥‥‥!
私は‥‥‥私にはっ‥‥‥!!」
カイジさんという、決まった男性がいるのよっ! と言いかけて、美心は口を閉ざした。
黒沢の手には、銃!!
‥‥‥美心ったら‥‥罪な女!
こんな中年男性まで魅了しちゃうなんて!
「きっと、私が思い通りにならなかったら、銃で脅して言うことをきかせるつもりだったのね‥‥!!」
「ち、違うっ!
俺は無実だっ‥‥‥!!
誓って何の悪意もありませんっ‥‥!」
支援
支援
こういうとき、言い訳をすればする程、誤解をされるのが黒沢である。
美心は考えを巡らせる。
銃で脅されたんじゃ、抵抗はできないわ‥‥‥。
でも、純潔は‥‥‥‥、純潔だけは守り通さなきゃ‥‥‥カイジさんのために!!
それには‥‥‥この場は、ちょっとしたお芝居が必要ね‥‥‥!!
「‥‥うん、わかった‥‥‥。
私も、黒沢さんのことは素敵だなって、
最初に会ったときから思ってたの‥‥‥」
あまりにも思いがけない発言に‥‥‥黒沢‥‥舞い上がる!!
‥‥うら若き女性からの‥‥告白っ!!
夢にまで見た‥‥‥妄想っ!!
「‥‥だから‥‥‥そういうことは‥‥‥、
もうちょっと、お互いを良く知ってから、ね‥‥‥。
それまで、オ・ア・ズ・ケだぞっ!!」
黒沢は顔を真っ赤にして、ぶんぶんぶんと頷く。
美心は心の中で、カイジに謝る。
‥‥‥カイジさんごめんね‥‥でも、美心の本心はカイジさん一筋だからねっ!
大丈夫。カイジさんは、きっとわかってくれる‥‥‥!
* * *
その頃、有賀は、拡声器の声を聞いていた。
金が欲しくば奪いに来い、と。
有賀は、金には興味は無かったが、声の主には興味を持った。
「‥‥‥そんなに‥‥‥殺して欲しいのかい‥‥‥‥?」
かなり遠くから聞こえた声のようだった。
きっと、この声に誘われてくる者は多いだろう。
そして、声の主である獲物は誰かに獲られる可能性もあるだろう。
だが、その時は、この声におびき寄せられた他の者を標的にすればいいだけのこと。
「‥‥‥殺してあげるよ‥‥‥。
君も‥‥‥、
あの子もその子も‥‥‥!!」
微笑んで、有賀は声のする方向へと向かって行った。
【D-5/別荘/夕方】
【有賀研二】
[状態]:健康
[道具]:果物ナイフ 不明支給品0〜3 サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット
支給品一式×1
[所持金]:6800万円
[思考]:人を殺したい
【黒沢】
[状態]:健康
[道具]:グレネードランチャー ゴム弾×8 木刀 不明支給品0〜10 支給品一式×8
[所持金]:1000万円
[思考]: 美心の好意(?)にとまどう 闘う
【坂崎美心】
[状態]:健康
[道具]:不明支給品0〜3 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:黒沢に惚れてる演技をする 人殺し恐い カイジ、父に会いたい
投下は以上です。
支援有難うございました。
投下乙です。
笑いつつ場面を想像してしまってなんとも言えない気分になったw
二人にお前ら戦場にいるんだぞと言ってやりたいw
美心の思考回路がまさに美心。殺伐としたロワの中でのギャグ、見事でした!
乙です!
お前ら何しとんねんっ!
狂暴さを含んだ少女しづか、シビアな悪女沙織、なにげに一番ヒロインしてる美心。
女キャラの三者三様な感じがイイっすね
脇役の女三人がここまでかきまわすとは。
女ってだけで一つの武器だな。
しかし、これだけ参加者が集まるとそろそろ次あたりバトルになるかもしれんね。
書き手としては難しそうな状況だが読み手としては楽しみだ。
次スレって
>>980あたり?
書き手さんそれぞれに癖?味?があっていいねぇ。
ところで美心って「カイジくん」呼びじゃなかったっけ?乙女炸裂の演出としてのさん付け表現なのかな?
>950
申し訳ないです!! 凡ミスです。
該当箇所を修正します。
その時‥‥!
たまたま手をかけた、ベッド脇のクローゼットの中から、何かが落ちてくる‥‥‥!
ドサドサドサッ‥‥‥!
それは、有賀が残していった大量の武器に支給品‥‥‥!!
黒沢、驚愕っ!!
思わず、手に取る‥‥‥。
たまたま掴んだのは、銃! グレネードランチャー!!
「‥‥‥うーんっ。
ここはどこ?」
背後で美心がつぶやく。
黒沢、ドキッとして、美心に駆け寄る。
「気が付いたかっ!」
起き上がった美心の手を、思わず握ってしまうっ‥‥!!
「‥‥きゃっ!」
小さく叫び声を上げて、美心は恥らう!
「‥‥‥いや〜ん‥‥‥!!」
美心、困惑‥‥!
気が付けば、ベッドの上‥‥‥!!
‥‥‥黒沢と二人きり、手を取り合って‥‥‥!!
そして、目の前には息を荒げた黒沢の顔が間近に‥‥‥!!
「お、およしになってっ‥‥‥!
私は‥‥‥私にはっ‥‥‥!!」
カイジくんという、決まった男性がいるのよっ! と言いかけて、美心は口を閉ざした。
黒沢の手には、銃!!
‥‥‥美心ったら‥‥罪な女!
こんな中年男性まで魅了しちゃうなんて!
「きっと、私が思い通りにならなかったら、銃で脅して言うことをきかせるつもりだったのね‥‥!!」
「ち、違うっ!
俺は無実だっ‥‥‥!!
誓って何の悪意もありませんっ‥‥!」
こういうとき、言い訳をすればする程、誤解をされるのが黒沢である。
美心は考えを巡らせる。
銃で脅されたんじゃ、抵抗はできないわ‥‥‥。
でも、純潔は‥‥‥‥、純潔だけは守り通さなきゃ‥‥‥カイジさんのために!!
それには‥‥‥この場は、ちょっとしたお芝居が必要ね‥‥‥!!
「‥‥うん、わかった‥‥‥。
私も、黒沢さんのことは素敵だなって、
最初に会ったときから思ってたの‥‥‥」
あまりにも思いがけない発言に‥‥‥黒沢‥‥舞い上がる!!
‥‥うら若き女性からの‥‥告白っ!!
夢にまで見た‥‥‥妄想っ!!
「‥‥だから‥‥‥そういうことは‥‥‥、
もうちょっと、お互いを良く知ってから、ね‥‥‥。
それまで、オ・ア・ズ・ケだぞっ!!」
黒沢は顔を真っ赤にして、ぶんぶんぶんと頷く。
美心は心の中で、カイジに謝る。
‥‥‥カイジくんごめんね‥‥でも、美心の本心はカイジくん一筋だからねっ!
大丈夫。カイジくんは、きっとわかってくれる‥‥‥!
* * *
その頃、有賀は、拡声器の声を聞いていた。
金が欲しくば奪いに来い、と。
有賀は、金には興味は無かったが、声の主には興味を持った。
「‥‥‥そんなに‥‥‥殺して欲しいのかい‥‥‥‥?」
かなり遠くから聞こえた声のようだった。
きっと、この声に誘われてくる者は多いだろう。
そして、声の主である獲物は誰かに獲られる可能性もあるだろう。
だが、その時は、この声におびき寄せられた他の者を標的にすればいいだけのこと。
修正は以上です。
ご迷惑をお掛けしました。
◆JsK8SvgrFA 氏 修正ありがとうございます。
美心は、シリアス展開なこのバトルロワイヤルの
1輪の“華”ですね。長く咲いていてくれるとよい。
>>953 >カイジさんのために
まだ一つだけなおし忘れてるな
誰か修正たのむ
何度も申し訳ありません。
修正します。
こういうとき、言い訳をすればする程、誤解をされるのが黒沢である。
美心は考えを巡らせる。
銃で脅されたんじゃ、抵抗はできないわ‥‥‥。
でも、純潔は‥‥‥‥、純潔だけは守り通さなきゃ‥‥‥カイジくんのために!!
それには‥‥‥この場は、ちょっとしたお芝居が必要ね‥‥‥!!
「‥‥うん、わかった‥‥‥。
私も、黒沢さんのことは素敵だなって、
最初に会ったときから思ってたの‥‥‥」
あまりにも思いがけない発言に‥‥‥黒沢‥‥舞い上がる!!
‥‥うら若き女性からの‥‥告白っ!!
夢にまで見た‥‥‥妄想っ!!
「‥‥だから‥‥‥そういうことは‥‥‥、
もうちょっと、お互いを良く知ってから、ね‥‥‥。
それまで、オ・ア・ズ・ケだぞっ!!」
黒沢は顔を真っ赤にして、ぶんぶんぶんと頷く。
美心は心の中で、カイジに謝る。
‥‥‥カイジくんごめんね‥‥でも、美心の本心はカイジくん一筋だからねっ!
大丈夫。カイジくんは、きっとわかってくれる‥‥‥!
* * *
その頃、有賀は、拡声器の声を聞いていた。
金が欲しくば奪いに来い、と。
有賀は、金には興味は無かったが、声の主には興味を持った。
「‥‥‥そんなに‥‥‥殺して欲しいのかい‥‥‥‥?」
かなり遠くから聞こえた声のようだった。
きっと、この声に誘われてくる者は多いだろう。
そして、声の主である獲物は誰かに獲られる可能性もあるだろう。
だが、その時は、この声におびき寄せられた他の者を標的にすればいいだけのこと。
ご指摘有難うございました。
960 :
950:2008/11/20(木) 12:18:39 ID:???
あわわ乙です
なんか手間かけさせてしまったですね…
961 :
956:2008/11/20(木) 12:28:05 ID:???
お疲れ様です
本当は俺がなおしちゃえば良かったんだろうが携帯なもんで面倒でな
すまんかった
乙です
美心、大ボケもいいところすぎるわw
しかし、有賀が拡声器の方に向かうとなるとこれはヤバい。
血みどろになるのは勿論だが、それ以上に現時点だと有賀が一番金を持ってるんだよなぁ……
所持金の額を知られたら、集中砲火を浴びかねん
投下します
風がうねりを上げて耳元をかすめていく。この場所は海が近いせいだろう。
標、赤松、村岡、そして利根川の四人は、その風の中でお互いの意図を探り合っていた。
「どうだね。ここは主催者に対抗する者同士、協力し合わないかね」
利根川は、穏やかな口調で話しかけてくる。
‥‥‥が、しかし‥‥‥!!
利根川は口では友好的な発言をしているが、袖口に銃を隠し持っている‥‥‥!!
赤松は、両脇に冷や汗が滲むのを感じた。
(‥‥‥袖口‥‥‥、ということは、撃とうと思えばいつでも撃てる体制‥‥‥!!
これはうかつなことは言えないっ‥‥‥!)
しかし、標と赤松の利根川への警戒をよそに、村岡は勝手にまくしたてた。
「‥‥‥それはそれは。
私たちもねぇ、連れは一人でも多いほうがいいと思ってたところざんす。
それがましてや利根川さんは、帝愛でも重要なポストにおられた方ざんす。
その利根川さんが、一緒になってくれるなんて、これ以上の僥倖はないざんす。
どうです? よござんしょ‥‥‥?」
そこまで言うと村岡は、標と赤松を振り返った。
赤松は、どう返答したものか考えあぐねて標の顔を見た。
標は赤松に、
(いいから、ここは僕にまかせて)
と目で合図を送った後、
「‥‥‥僕、怖いよ‥‥‥」
と、子供らしく怯えて見せた。
「‥‥‥だって、武器を持った黒服の人がいっぱい‥‥‥。
こんなに大掛かりなゲームを仕組んでる人たちに立ち向かっても、かないっこないよ。
‥‥‥おじさんは、どうやってこのゲームの主催者に復讐するつもりなの?」
利根川は答えた。
「おや、坊や。
‥‥‥おじさんはね、知っているんだよ。このゲームには、とても優秀な人がいっぱい参加していることを。
そういう人たちを上手く集められれば、黒服なんかただの雑魚だよ。
おじさんはね、みんなで協力してこのゲームの主催者を倒そうと思ってるんだよ。
だから、坊やも心配しないでおじさんの言うことをきいてくれるね?」
(ちっ、このくそガキが小生意気なことを!
‥‥‥しかし、なんでこんな子供がこのゲームに参加している?‥‥‥)
利根川には、そんな疑問が湧き上がってきた。
(‥‥‥このゲームには、確かに何の役にも立たないクズ共も沢山参加している‥‥‥。
女もだ‥‥‥。しかし、子供というのはあまりにも不自然‥‥‥。
何か、ある‥‥‥。で、なければこのガキに何か特別な能力があるということか‥‥‥?
ふむ、このガキには警戒が必要かもしれん‥‥‥)
村岡が割り込んでくる。
「そうざんすよ」
利根川さんは失脚した身とは言え、帝愛のナンバー2でおられたお方ざんす。
きっと、他の参加者の情報も、私などよりずっとお持ちでいらっしゃる筈ざんす。
ここはひとつ、みんなで協力して主催者に立ち向かうざんすよ」
実は村岡にとっては、対主催などどうでもよいことであった。
ただ村岡は、利根川は他の有力な参加者の情報を知っているであろうこと、そして、より有力な者のメンバーに加わった方が、自分にとって好都合であるだろうと判断し、とりあえず利根川に同調することにしたのだった。
標が利根川に問いかける。
「‥‥‥例えば‥‥‥優秀な人って、他にどんな人がいるの‥‥‥?」
(チッ! ‥‥このガキ、子供のフリして油断ならないな。こっちの情報を探ってきやがった‥‥‥。
これ以上このガキに関わらない方がいいかもしれぬ‥‥‥。
村岡も仲間にいることだ‥‥‥ここは村岡が知ってる以上の情報は出さない方が賢明‥‥)
利根川は一瞬でそこまで考えた。
「‥‥‥そうだな‥‥‥。
たとえば、伊藤開司‥‥‥」
村岡が仰天する。
「カイジですってぇ!?
そりゃ、アナタを破滅させた張本人じゃないざんすか!!
‥‥‥カイジには、私も煮え湯を飲まされてるざんす!!
あんな奴と仲間になるなんて、こりごりざんす!」
「‥‥‥まぁ、そういう気持ちもわからないでないが‥‥‥聞け。
確かに、カイジは私たちを悲惨な目に合わせた。
しかしそれは、カイジを敵にまわしたからそうなったということだ。
普段はただのクズだが、追い詰められた時奴は思っても見ない強かさ、閃きを見せる。
こんな究極のゲーム‥‥‥バトルロワイヤルなんて、彼が活躍するうってつけの舞台じゃないか。
ここは、過去のことは水に流して、なんとかカイジを味方に引き入れたいところだ‥‥‥」
「そういわれりゃ、そうざんすけどね‥‥‥」
村岡は不服そうである。
その時である。
やや遠くから、拡声器の声が聞こえてきた。
『聞けっ……!ここに一千万ある……!!得たくば、奪いに来いっ……!!』
「‥‥‥今の声は‥‥‥どういうことざんしょ‥‥‥‥」
村岡は不思議がる。
「‥‥‥『奪いに来い』とは、妙ざんすね‥‥‥。
まるでわざわざ、殺しに来てくれ、といってるようなもんざんす‥‥‥‥」
そんな村岡を見て、利根川は、
(‥‥‥相変わらず、使えなさそうな男だ‥‥‥)
と、内心思う。
「‥‥‥十中八九、釣りだろう。
まあ、こんな挑発に乗る奴は、どうせろくでもない奴ばかりだろうがな‥‥‥」
つぶやくように利根川が言う。
「‥‥‥そうかな‥‥‥」
標が言う。
「‥‥‥どんな事情があるかもしれないじゃない‥‥‥」
そして標はまた赤松に耳打ちする。
(‥‥‥潮時だ。これを言い訳にしてこの場を離れよう‥‥‥)
「‥‥‥利根川さんは、放っておくの‥‥‥? 今の声を‥‥‥」
「ふふん。当たり前だ。
こんな安っぽい挑発をする奴にも、それに釣られる奴にも興味は無い」
「‥‥‥そう‥‥‥。でも僕は気になるよ‥‥‥。
行こう、赤松さん‥‥‥。
利根川さんとは、話が合わないみたいだから、ここでお別れだ‥‥‥」
標は赤松をうながして、利根川に背を向ける。
「おい、待て。
一つだけ頼まれてはくれないか」
利根川の声に、標は振り返る。
「‥‥‥もし、お前たちが、伊藤開司に会うことがあったら、伝えてくれないか‥‥‥。
私がカイジの協力を欲しがっていることを‥‥‥。
私は主催者をどうしても倒したい。そのためにはカイジの力が必要だ‥‥」
「‥‥‥わかった。もしカイジに会うことがあれば伝えておくよ。
行こう、赤松さん‥‥‥‥」
歩きながら、赤松は標に話しかける。
「‥‥‥あれで良かったのか?」
「‥‥‥あれ以上、利根川といてもメリットはない‥‥‥。
利根川が主催者を倒したい、というのは、きっと僕たちに近づくための口実‥‥‥。
‥‥‥たぶん、本当にお互いに協力しあう気は無い‥‥‥」
「‥‥‥そうか。
ところで、本当に、さっきの声の方へ行くのか?」
「‥‥‥うん‥‥‥。
‥‥‥利根川のいうように、『釣り』ってことも考えられるけど‥‥‥。
あの声には‥‥‥なにかそれ以上のものを感じるんだ‥‥‥」
「なるほど‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥あれっ? そういえば村岡さんは?」
「‥‥‥どうでもいいよ‥‥‥。
もう首輪も貰ったし、これ以上あの人から新しい情報も出てこないだろうし‥‥‥‥」
* * *
「‥‥あ‥‥あらら‥‥‥?」
標と赤松は、村岡のことなど眼中にない様子で立ち去って行った。
「し、標さんっ? 赤松さんっ?
‥‥‥あ、行っちゃったざんす‥‥‥。
と、利根川さんっ‥‥‥!」
利根川は不機嫌そうに村岡を睨みつけた。
村岡には利用価値どころか、荷物すら無い‥‥金も無いので殺す価値すら感じられない‥‥!
‥‥それにもうすぐ、平山との定時連絡の時間である。見られでもしたら面倒だ‥‥‥。
「お前には用はない。立ち去れ!!」
「‥‥ひっ‥‥‥!」
村岡は、行ってしまった二人を追いかけて走り出した。
「また、所持品無しの一人ぼっちになるのはカンベンざんす!!
標さぁーーーんッ‥‥‥‥!!
赤松さぁーーーんッ‥‥‥‥!!」
【C-1/樹林地帯/夕方】
【赤松修平】
[状態]:健康
[道具]:手榴弾×10 石原の首輪 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:できる限り多くの人を助ける 標を守る
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません
※利根川のカイジへの伝言を託りました。
【標】
[状態]:健康
[道具]:モデルガン 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:バトルロワイアルの穴を見つける 他の対主催派と合流する
※利根川のカイジへの伝言を託りました。
【村岡隆】
[状態]:健康 やや興奮状態
[道具]:なし
[所持金]:0円
[思考]:赤松・標の後を追う ひろゆきとカイジに復讐したい 生還する
※村岡の誓約書を持つ井川ひろゆきを殺すことはできません。
【利根川幸雄】
[状態]:健康
[道具]:デリンジャー(1/2) デリンジャーの弾(30発) Eカード用のリモコン 針具取り外し用工具 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:三人を利用する ゲームで優勝、もしくは和也を優勝させての離脱
※両膝と両手、額にそれぞれ火傷の跡があります
※和也の保護、遠藤の抹殺、カイジとの真剣勝負での勝利・その結果の抹殺を最優先事項としています。
※一条はその目的次第で協力・殺害を判断します。
※平山と次の定時連絡時に発電所で落ち合う約束をしました。
※デリンジャーは服の袖口に潜ませています。
※Eカード用のリモコン
Eカードで使われた針具操作用のリモコンです。
電波が何処まで届くかは不明です。
※針具取り外し用工具
Eカードの針具を取り外す為に必要な工具です。
投下は以上です。
乙です
標と利根川のキレっぷりは半端じゃないな……
見事な読みあいでした。
そして、市川の周辺がますますカオスに……皆逃げてー!!
◆JsK8SvgrFA 氏 作品投下、乙であります。
ごく、穏やかで、乱暴な言葉使いは無いのに、
利根川、標のハラの読み合いにヒヤヒヤしました。
赤松さんは悪意に曝されたこと無いのだろうなァ…
投下乙です。相変わらず切れ者同士の心理戦が面白い!
数少ない理性的常識人の赤松は読んでると自然に応援したくなってしまうw妻子もいるんだし、頑張れ。
そして市川の所に標達まで集結とは・・・
拡声器はどこのロワでも惨劇を生むアイテムと言われてるらしいが、どうなるのか?
代理投下します。
「操作」
話の折り合いのついたカイジと沙織の二人は連れ立って声のした方へ向かっている。
だが沙織は先程のあれが果たして本当に女の悲鳴であったのか怪しく感じ始めている。
二人同時に耳にしているのだから流石に空耳という事はあるまい。
しかし、風の音であるとか金属の軋む音であるとか、その可能性がないこともない。
沙織はその事を伝えようとカイジに声を掛ける。
「ねえ、カイジくん…」
それを遮るように。
衣を裂くような女の悲鳴が辺りに響き渡った。
「美心っ…!!」
「ちょっとカイジくん…!?」
カイジは沙織が止める間もなく走り出していた。
(待ってよっ…私を置いていかないでっ…!)
沙織は必死になってカイジを追いかける。
(何を考えているのだ、あの男は)
沙織の心に怒りが噴き上がる。
――私は一人になってしまっては生きていけないというのに――
走りながらカイジは忙しなく辺りを見回す。
この一帯は土産物の売店やら飲食店が細々と建ち並んでいて見通しが良くない。
おまけに、これらの店舗に先程の悲鳴が反響してしまっていて音源の確定も難しい。
「くそっ…!」
カイジが焦り苛立っているのは明らかだった。
それでもカイジは疾走を止めず、やがて広場へ出た。
やや遅れて息を切らせた沙織も広場へ到着する。
生垣があり、地面はタイル張りになっている。
何かを発見したらしいカイジはしゃがみ込み、右の人差し指で地を撫でた。
カイジの表情がみるみる険しくなる。
荒れた鼓動と呼吸も多少収まった沙織もカイジの異常に気付いて駆け寄る。
空を模したタイル。
その白い雲の部分に、僅かに黄色味を帯びた赤い汚れが広がっている。
沙織は息を呑む。
「…血だわ…」
塗料や飲料水の類には出すことの出来ない、血液特有の赤。
「ちくしょうっ…!一体何があったっていうんだ…!」
その時。
『聞けっ……!ここに一千万ある……!!得たくば、奪いに来いっ……!!』
「な…なんなのよ、今の…」
しかし沙織が動揺したは一瞬。
すぐにあることに気付き戦慄を覚える。
今の宣言の音源はそれ程遠くない。アトラクションゾーン内であることは間違いないだろう。
恐怖と焦燥が沙織の背を駆け上がる。
一刻も早く離れなくては我が身が危ない。
ここは――危険だ。
「行きましょうカイジくん…!」
「しかし…」
知人のものかもしれない血液がカイジの判断を鈍らせているようだった。
「いい加減にしてっ…!」そんなカイジの態度に、沙織は怒鳴りつけたい衝動をどうにか飲み込む。
冷静になるのだ。感情的になる事…それは今の自分に一番あってはならない事。そう、自分に言い聞かせる。
内輪もめなどしていれば確実に死ぬ。沙織は暗愚な女ではない。
そう、今すべきことはヒステリックに怒鳴り散らす事ではないのだ。
沙織は未だしゃがみ込んだままのカイジの正面に回りこみ、膝を着く。
カイジの両肩に手を掛け、真正面からその瞳を捉える。
二人の男女の顔と顔の距離は近い。
カイジは僅かに動揺する。その隙を突くように沙織は言葉を発する。低く、ゆっくりとした口調で。
「カイジくんは美心さんのことが心配なのね…。それはとてもよく分かるわ。
でもよく考えて…。この血液が美心さんのものとは限らないでしょう?
もしそうであっても、これは致死量の血液ではない。むしろ大した出血じゃないわ。
勿論、最悪の事態も考えられる。もしそうなら――」
そこで一旦言葉を区切るが目は逸らさない。
「――あなたにはどうする事もできない」
断じるように毅然と、しかし冷酷さを滲ませないよう細心の注意を払う。
「だけどねカイジくん…、」
ここで沙織は少し声のトーンを上げ、笑顔を作る。
「望みは充分にあるわ。
美心さんは無事逃げおおせたのかもしれないでしょう。血液の量は然程多くはないし、引き摺ったような跡も無い。
ならばその可能性は高いんじゃないかしら」
そう言ってカイジの左手をきゅっと握る。
「美心さんと合流して彼女を守ってあげたいと、そう思うのなら今は生き延びる事を第一に考えてっ…!」
本心から言えば、美心という女の無事などどうでも良い。
寧ろ死んでいてくれた方が好都合なのだ。
だが、そんなことはおくびにも出さない。
飽くまで演じるのは善意の第三者。
そして沙織の演技は功を奏したらしい。
「そうだな…」
す、とカイジは立ち上がる。
「取り敢えず一旦アトラクションゾーンから出よう。
今のでどんな奴が集まってくるか分からない。恐らく寄ってくるのは金か殺しを望む危険人物。
ここは…危険だ。声がしたのとは反対側…東口から行くことにしよう…」
「そうね…カイジくんの言う通りだわ…」
沙織も立ち上がる。
主導権はカイジにある――そう彼に思わせるのが肝要なのだ。
だが実際には、無自覚の内にカイジの行動は沙織の望む方向へ操られつつある。
沙織の口からはここが危険であるとも、ここから離脱するべきだとも一言も発せられてはいないのだ。
二人が東へ向かおうとした少しばかり歩いたところで沙織はカイジの腕を掴んだ。
「田中さん…?」
「しっ…!あそこ見て…。生垣の向こう…」
カイジは目を凝らす。
そこにいたのは青年。
白い短髪がちらちらと木々の向こうで揺れている。
「あいつは…“赤木しげる”…」
243 :操作345 ◆wZ6EU.1NSA:2008/11/20(木) 20:32:56
▼
日は西に傾きつつある。
独りになった平山は急に心細くなる。
スタッフルームを出るまでは確かにあったと思われた希望は歩を進める毎に萎えしぼんでゆく。
平山は支給品である参加者名簿に連ねられた名前と、利根川から渡されたメモの内容を反芻する。
それらの文面を彼は一言一句違わずに記憶していた。
〈兵頭和也〉に遭遇したところで、もし彼がこの殺し合いに乗っていたら…?
〈遠藤〉や〈一条〉に遭遇したところで、人を殺すのは嫌だ。勿論殺されるのも御免だが。
〈伊藤開司〉との遭遇が運良く叶ったところで、彼が説得に応じて協力してくれる保証などない。
頭がくらくらする。
それは出血により軽い貧血状態に陥っているせいか。
若しくは極度の緊張状態から来る精神疲労のせいか。
俯くと装着された金属――己が操り人形であることの証――が目に入った。
会場で首輪を爆破された少年の最期が蘇る。
それは平山の脳内にまるで連続写真のように鮮明に再生された。
……オレは死ぬのか…あの山口という少年のように…
……利根川がほんの僅かな力を指先に込めるだけで…
「うっ…!」
平山はその場に蹲り嘔吐した。
【C-4/アトラクションゾーン/夕方】
【伊藤開司】
[状態]:健康
[道具]:ボウガン ボウガンの矢(残り十本) 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、神威勝広、神威秀峰、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二、吉住邦男に警戒
※平山の存在に気付いていますがアカギだと思っています
【田中沙織】
[状態]:健康 精神不安定
[道具]:参加者名簿 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:足手纏いになるものは殺す 死に強い嫌悪感 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、神威勝広、神威秀峰、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二、吉住邦男に警戒
※平山の存在に気付いていますがアカギだと思っています
【平山幸雄】
[状態]:嘔吐 左肩に銃創 首輪越しにEカードの耳用針具を装着中
[道具]:参加者名簿 不明支給品0〜2(確認済み) 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:カイジを捜す 利根川に会いにいく 引き続き利根川の命令には従うが、逃れる術も積極的に探る
※ひろゆきと21時にアトラクションゾーン事務所で落ち合う約束をしました。
※カイジ、沙織の存在に気付いていません
代理投下は以上です。
代理投下ミスで、>979に「243 :操作345 ◆wZ6EU.1NSA:2008/11/20(木) 20:32:56 」が入ってしまいました。
申し訳ありません!!
代理投下ありがとうございます
こちらこそ申し訳ない
>>984次スレ乙です
おもすれー!
ほんと女3人の動向は見てて楽しいな
黒沢と美心、なんて最高の組み合わせ!
平山は大変だなあw
利己的ながら冷静で頭の回る沙織とお人好しなカイジのコンビが面白い!
埋める?
wikiの編集者様、いつも乙です
新スレに投下されてたから、こっち埋めるよー。
うめ… うめ…
この際一気に埋めます。
埋め
995 :
マロン名無しさん:2008/11/22(土) 19:38:48 ID:fKLIXzm4
埋め
埋め
埋め
埋め
さあ、1000をとってくれ!
1000 :
マロン名無しさん:2008/11/22(土) 19:50:59 ID:BlaVlQ7I
ありがとう
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。