2 :
1/3:2008/05/09(金) 22:33:20 ID:???
第1話 五人の出会い PART・1
交通事故の現場で言い争うチンピラと学生服の少年。居合わせた厳つい風貌の男が警察手帳を見せて場を収める。
男は地面に転がっていた柔道着を見て事情を察し、少年をパトカーに乗せた。
昇段審査会場の前で北中の杉に声をかける南中の斉藤。聞けば一緒に審査を受ける連れがまだ到着しないのだという。
突然、目の前に乗り付けてくるパトカーに驚く二人。車から降りてきたのは杉が待っていた当の本人、巧だった。
受付を済ませてくるよう巧を急かす杉は、同乗していた厳つい顔の男に恐る恐る事情を尋ねる。
交通事故と聞いて驚く二人だが、巧に怪我はなかったらしい。
完全に大破した「かつて自転車だったもの」を男は二人に見せる。
「よっぽどうめー具合に受け身とったんだろうが…運動神経は並じゃねえな。あのボーズ」
言葉も無い杉。斉藤は感心の声を上げる。
・初段は審査試合の勝ち星数で決まり、10点とれば合格となる。
ただし勝ち抜き方式なので、一度に六人勝ち抜いた場合はその場で合格となる。これを「抜群」という。
「ねえ、保奈美…きょうって日曜日よね?どうして制服なわけ?」「だって、校則なんだもん」
あまりに律儀な三つ編みの少女、保奈美に桜子は少し呆れる。
「彼氏が試合みにきてくれっていたんでしょ。もっとオシャレしてくればよかったのに」
「そんなんじゃないわよ。ただの幼なじみよ」
はいはい――と階段を上る桜子は脇で着替えをしていた巧と目が合い赤面。
((な、なんだコイツ!?))(ヒトの着がえじっと凝視しやがって!)(こんなトコロで着替えてやがって!)
廊下で着替える変態男こと巧に手を振る保奈美。彼女が試合を見に来た彼氏というのは巧のことだったのだ。
3 :
2/3:2008/05/09(金) 22:34:03 ID:???
その頃、試合場では180センチを超える体格で他を圧倒する東中の三溝が五人抜き。「抜群」に王手をかけていた。
三溝とは同じ組のため絶対に当たらない斉藤は余裕。「ヤツを負かすようなのがでてきたらやばいけどね」
対戦表を見ていくと――三溝の六人目の相手はよりにもよって巧だった。
巧と桜子を互いに紹介する保奈美。柔道観戦は初めてだった彼女は心細かったので、桜子につきあってもらったのだ。
「まあゆっくりみてってよ、がんばるから」「ケガしない程度にね」「そんなヘマしないよ」
(ふうん、ただの幼なじみね――)
二人の間の空気に何かを感じ取る桜子。そこに杉がやってくる。もう試合が始まるのだ。
保奈美たちと話し込んでいた巧は、準備運動もしないまま試合場に引きずられていく。
巧を運んできた厳つい顔の男、倉田は役員たちに挨拶をしていた。その目の前で巧と三溝の試合が始まる。
「あっ、ホラ、あそこで試合やってんのよ、きっと!あの頭が目印になってんのよ」
杉のつるつる頭を指差す桜子。保奈美と桜子もどうやら間に合った模様。
大胆に試合場の目の前までずかずか歩いていく保奈美。「ちょ、ちょっとまって!おいてかないでよ保奈美!」
しかし体格差に圧倒され、開始早々巧は三溝に「技あり」を奪われてしまう。
「タクミくん!負けないでっ!」
巧のピンチに思わず大声を出す保奈美に会場はやんやの大騒ぎ。
(こ、こいつ、柔道やってるくせに がーるふれんどがいるのかっ…)
(あのおとなしい保奈美がここまで…)
少し照れた巧は拳を握り、「わかったぜ保奈美。勝つ!」と勝利を誓う。会場はとたんに大爆笑。
激昂して襲いかかる三溝の内股を巧はかわし、逆に小内刈りで「技あり」を取り返す。
「こ、このチビがあっ!」
なおも仕かける三溝の組み手を切り、巧は小内刈りから背負いの連係に持ち込むが――そこで背負いの体勢が崩れる。
先ほどの巧と同じように背負いをかわそうとする三溝。しかし、巧はそれでも諦めずに足を飛ばす。
「とどけっ!」
その足が三溝を跳ね上げる。
彼の巨体がそのまま一回転し――畳に落ちた。
「一本!」
4 :
3/3:2008/05/09(金) 22:35:10 ID:???
いつになく騒がしい試合場を不思議がる役員に、倉田が説明をする。
「山嵐(やまあらし)。あそこで今、中学生が山嵐で一本とったんですよ」
巧の崩れた背負い投げは偶然にも、その技の型になっていた。
敗北し、号泣する三溝を慰める巧。その二人に向かって怒声が飛ぶ。
「バッカヤロー、てめ、人前じゃ二度と泣かねえ約束だろーがっ!」
声の主は三溝よりずっと小さい短髪の少年。
去年、二年生ながら軽量級で県大会ベスト4に進んだという東中の主将、宮崎だった。
「そ、そんなにおこるなよお、シゲル〜」
情けない声を出す三溝だったが、そんなことより――。
「タクミくん、後がつかえちまうぜ。次の相手はオレなんだけどねえ」
「南中の主将、斉藤浩司さん…でしたっけ?」
緊迫する二人の後ろで、三溝は宮崎に正座をさせられていた。
5 :
マロン名無しさん:2008/05/09(金) 22:50:14 ID:mG2V7Ru9
通報しました
いきなり山嵐か…
なんか柔道に幻想持ってそうな作者だな
7 :
マロン名無しさん:2008/05/09(金) 23:18:35 ID:LmLLsHQx
むしろ初連載でマイナースポーツを選ぶ作者に脱帽した
しかし格闘ものならば熱い展開も作り易そうだしいいかもしれん。
「俺の山嵐が通じないとは……ならば決勝用にとっておいた隅落としを出すしかないな」とか。
山嵐ってずっと前にヤンジャンでやってた
「弥生の大空」ってマンガのオリジナルかと思ってたんだけど、実在する技だったんだな
>>8 それはジャンプの「ひかる!チャチャチャ!」だろうw
隅落としなんて十段クラスの神業を中学生がポンポン使うような無茶な漫画だったな
帯ギュの山嵐はただのまぐれだよ。本編はいたって現実的な柔道漫画だ
この漫画はおかしな所があって
中学から黒帯で高校もずっと柔道やってる奴等が知らない訳がない技やルールを
平然と知らないんだ
またさわやかな柔道漫画だな
ありえねーありえねー!
下帯をギュッとね♥
主人公・禿vsデカチビvs糸目
スポーツで三国志とかはマズないからデカチビが噛ませだな
糸目がライバル
流れ無視してゴメン。
宣伝見てきたんだけど毎週水曜に来ればいいの?
この桜子ってオンナと主人公が最終的にくっつくんだろうな。
保奈美って名前の女は男を裏切るんだよ! 女優でもいたろう。
まあこの新進の作家さん、ラブコメを描く腕がどんぐらいのものか
未知数だけど、お手並み拝見といきましょうか。
>桜子ってオンナと主人公が最終的にくっつく
黄金のパターンだな
いずれどろどろした展開にもってく気かもな
少年誌でそんなドロドロとした展開はやらないだろ
生意気な後輩とか出てこないかな?
金髪とか茶髮とかの
金髪とか、いくらなんでもないだろ。まだ中学生だぜ。
というか、この五人組って(オンナもいれたら七人か)、高校はバラバラになるのかな?
最後にでてきた細めのクールそうなヤツが、主人公の宿命のライバルだな!
ヤローの着替えなんざどうでもいい!
技の巧
力の三溝
スピードの宮崎
知謀の斉藤
って感じか。杉は坊主キャラだから根性担当だな。顔面受け身とか。
この後大会とかで会って「あのときの借りを返してやる」とか
何故か宮崎が巧に言うのが見える
外人とか出てきたら楽しいかもな
チャーリーとかいって。
じゃあその彼女はマリリンってとこか
オッサン、バラバラの自転車あそこまで運んでどうすんだ?
担いで持って帰れってかw
30 :
1/2:2008/05/10(土) 21:36:00 ID:???
――『山嵐』!!
富田常雄の小説『姿三四郎』に登場する必殺技としてしられている。
しかし、山嵐という技が実在していたことは意外としられていない。
幻の技、山嵐。そしてそれを偶然とはいえ再現して見せた男、粉川巧。
はたして彼は柔道の天才なのか!?
第2話 5人の出会い PART・2
背負い投げをあっさりと外される巧。のらりくらりと受けに回っているように見せて、
斉藤は巧の技を全て殺していた。まるで相手の次の技がわかって動いているかのように。
強豪として知られる南中。その主将である斉藤が弱いはずがなかった。
「ねえ保奈美。もっかいいえば?」「えっなにを!?」「『負けないで』ってさ。そしたら――」
「『わかったぜ保奈美…勝つ!ってゆーふうに臆面もないセリフをはくと勝つっていうジンクスが…」
緊張感の無い外野をよそに、斉藤は得意の四連続技、怒涛の連携で巧から「技あり」を奪う。
寝技に持ち込もうとする斉藤だったが、その顔面に巧の足がヒット。
偶然の事故か、故意の蹴りかは微妙なところではあったが、とにかく斉藤を捕まえた。
かなり無理やりな形で斉藤の体をひっくり返した巧は、そのまま腕ひしぎ逆十字固めを極める。
ところが――。
(まァしかし…まだまだだなァ、これも)
倉田のオッサンがニヤリと笑う。
斉藤は驚異的に柔軟な体で、キメられている肩を中心に体ごと反転し、逆十字を外してしまった。
そのまま巧を袈裟固めに捕らえる斉藤。巧も抵抗するが二十五秒経過し「技あり」合わせて「一本」。
巧の敗北が決まり、保奈美は泣き出してしまった。
「おい斉藤!今日は負けちまったけどなあ、この次は絶対勝ってやるぜ!」「へっ、やってみな」
畳に大の字のまま減らず口を叩く巧に斉藤も返す。
(北中の粉川巧か…おもしれーヤツだ。この次が…手強くなりそーだぜ)
31 :
2/2:2008/05/10(土) 21:37:00 ID:???
筆記試験終了後、巧たち四人はロビーでお茶をしていた。
柔道をやっている人間なら落ちる者など滅多にいない筆記試験だったが、
問題集にまるで目を通していなかった巧は終了直前に自分の答案と杉の答案と交換しようとしたのだ。
「しかしまあ、大目に見てやるぜ今日は。なにせ、後半の試合で六人勝ち抜いて、初段とっちまったんだからな」
帰路につく受験者たち。巧たちの姿を見かけた斉藤は笑みを浮かべ、声をかけるでもなくそのまま外へ。
挨拶もしない礼儀知らずに少し腹を立てる桜子だったが、そこはそれ、女には分からない世界。
「好敵って認められたんじゃない?ナレあっちゃらんねーワケだよ」
「シゲル〜だから天気予報でいってたって…」「うるせー、てめェなんかもー親友じゃねーや!」
いつの間にか降り出していた雨。駐輪場では自分だけカッパを用意していた三溝に、宮崎が難癖をつけていた。
その脇を傘を手に、斉藤が歩み去っていく。
南部中学 斉藤浩司
東部中学 三溝幸宏 おなじく宮崎茂
北部中学 杉清修 おなじく粉川巧
薄暗い会議室で、倉田は今日の審査の結果を眺めていた。
「結局、今日『抜群』で初段とった中学生は…この五人だけか…」
(あいかわらず不作だが…まァ、少しはマシかもな…)
「雨、やみそーにないよお」
「こりゃいよいよタクシーで帰るしかねーな」
「ワリカンだぜっみんな」
四人とも傘を忘れた巧たちは、いまだに帰ることができずにいた。
幻の技を出してみせたまだ未熟な主人公と多彩なライバルキャラ。
うーん王道っぽいな。
先が楽しみ。
柔道って階級制だからな
デカイのやチビはライバルになれるのか?
ライバルが寝技系って映えないんじゃ・・・
西部中学に本当のライバルがいる!と思う
いや、真中部中学だな
>>34 寝技なめんな。48の殺人技と52の関節技がそろってこそ真の戦士になれるんだぜ。
昔のジャンプ漫画に書いてあったから間違いない。
>>33 団体戦ならまあ階級違いでもライバルにはなれるな
やっぱりこの細目のクールガイが永遠のライバルなんだな。
悟空にとってのヤムチャみたいな強敵でありつづけそうだ。
あのいかつい警察の人はなんなんだ
今は亡き柔道家だった子供の面影を巧にみたんじゃね?
んで生前教えられなかった技を叩き込む師匠役なんだと思う
と言いながら実は子供は剣道やってたりして
てか、黒目無いとかヤバすぎだろ
目線がばれないように黒目を隠してるんだよ
>>33 へー、階級制なんだ。
今回のみたいなのは特別なのか。
柔道って全然知らないな。
マイナーで地味だよね。
昇段審査の方法、地域によって違うんだな
うちは勝ち抜きではなかったな
46 :
1/2:2008/05/11(日) 21:38:02 ID:???
第3話 再会
春――県立浜名湖高校入学式。
「ひっさしぶりっ!」
式場から出て教室に向かう巧と杉の背中を誰かが思い切り叩く。弾みで杉の眼鏡が飛んだ。
振り返ると立っていたのはポニーテールの女子生徒だったが、二人には覚えが無い。
「保奈美から聞いてなかった?」
その一言で思い出す二人。
「あ――!」「保奈美の親友で、え――と、イカじゃなくてカニじゃなくて!」
「ウメじゃなくて、キクじゃなくて!」「海老塚桜子よっ!」
昇段審査以来、実に半年振りの再会である。
巧は中学の部活の稽古に付き合わされていて保奈美とは近頃会っておらず、
彼女も一緒の学校であることを聞かされていなかったのだ。
「つめたいのね――あのコ、タクミくんを追っかけてこの学校にきたよーなもんなのに」
「んなことねーって」
それはそれとして、保奈美のことは気になるらしい。なぜか物陰に隠れて出てこない保奈美。
「えっ…と、久しぶり…」
促されてようやく姿を見せた彼女に巧は動揺して赤面する。
髪形を変えていたのは桜子だけではなく、保奈美も三つ編みからストレートにしていたのだ。
「似合うよ…びっくりした…見違えて…」
まるでキャラに似合わない巧のクサいセリフに、飛び上がって喜ぶ保奈美と桜子だった。
47 :
2/2:2008/05/11(日) 21:38:40 ID:???
校内に響く予鈴。四人の教室はよりによって最上階。ギリギリで教室に飛び込む四人が目にしたものは――。
東中のオール巨人阪神。「三溝だ!」「オレは宮崎だ!」
さらに加えて南中の笑う能面男。「斉藤だっての!」
奇しくも全員同じ学校、同じクラスであったのだ。
さて本来、北中、高町中のテリトリーであるこの浜名湖高校に、どうして東や南の彼らが来たのか。
「地元の高校のレベルが最近高くって、ココぐらいしかはいれなかったんだわ」
「併願の私立に落ちちまってよ」
「なんとまあ…で、そっちのデカイほうの理由は?」
「つきあわされたんですう、ムリヤリ。オレは私立受かってたのにー!」
横暴な友人に涙を流す三溝だった。
「私が今日からみなさんの担任になる――倉田龍子です」
理知的な眼鏡をかけた美人の女教師。彼女は後ろであたふたしていた巧たち七人を起立させる。
七人の出身中学がそれぞれ違うことを聞いた彼女は――。
「いいわね若いって、すぐに友達がつくれるんだもの!」
ころっと相好を崩した。
「ほかのみなさんも彼らのように、はやく他校出身の友達をつくりましょうね」
「…ず、ずれとる。あの教師」
放課後、巧たちは柔剣道場に柔道部の見学に向かう。
巧たちと同じ部活を嫌がる宮崎だったが、当然のように無視。
「いやあ、黒帯の新入生が五人入ったら喜ぶぜ」「強くなるぜ、浜高の柔道部も」
「まてっての!オレはおまえらといっしょにやるなんて、いってねーぞ!」
ところが――そこで問題発生。
「あのね、いまソコで聞いたんだけど…やっぱり浜高、柔道部ないんだって!」
「なにーっ?」「どーりでだれもいねーワケだよ!」「どーすんだこれから?」
バスケ部に入ればいいんじゃないかな
これ柔道漫画というより柔道部舞台のラブコメっぽいな
保奈美かわいいよ保奈美
手強くなりそうだぜ…とか言ってたくせに
同じ学校とは
いい意味で裏切ってくれたな
いきなり集結w
仲良くなるのか悪くなるのかw
いきなり高校生になってる
3話目でまさかの超展開だな。
まぁ、普通に柔道部作って・・て流れになるんだろうな。
そして
>>49っぽくラブコメへ
柔道部があるかないかくらい入試前から調べておけよ
あぁ、そんな余裕もない学力でしたか
パンフには載ってたけど問題起こして廃部になったとか。
つか柔剣道場があって柔道部がないとはもったいないにもほどがあるぞ。
> 「保奈美の親友で、え――と、イカじゃなくてカニじゃなくて!」
> 「ウメじゃなくて、キクじゃなくて!」「海老塚桜子よっ!」
のときの後ろの視線がw
そういえば柔剣道場には剣道部らしき人影もないな
もしかして剣道部もない?
「ひっさしぶりっ!」のとこ、杉は頭はたかれてんのな
容赦ないな桜子w
スキンヘッドって叩くか撫でるかじゃね
やさしくもみしだくようにさわるとか
地元の名前が出てきて嬉しい浜松市民参上。
浜名湖高校のモデルは湖東高校っぽいな。女子の制服は南高にも見えるが。
>>61 スキンヘッドには「タオル貼り付いてとれねーww」だろ!
>>63 作者の地元か?
ローカルネタがあったとしても俺にはわかんねーな
66 :
1/2:2008/05/12(月) 21:14:41 ID:???
第4話 柔道部誕生
「えっ!? クラブをつくるにはどうしたらいいって?」
驚く龍子先生。巧と杉は柔道部を自分たちで作ることにしたのである。
「細かいことはくわしくないけど…いちおう、最低五人以上の部員と顧問の教師が一人つけばいいみたいよ」
「五人…ですか?」
心当たりこそあるものの、あの三人、宮崎・三溝・斉藤を仲間に引き込めるだろうか。
学食にて、新柔道部設立の件を保奈美と桜子に話す杉。
金欠で昼食をパンで済ませる桜子が目の前でこれ見よがしにA定食を食べる巧に腹を立て、
話題が別方向に逸れてしまう。マジメな話をしていたのに…杉はカレーに突っ伏す。
柔道部設立の話にまず乗ってきたのは、後からそこにやってきた斉藤である。
「おもしろそうだもんな。あんたらと柔道すんのも」
「そうか、はいってくれるか」「おっ、こっちもA定。よし、キミも今日からA定同盟の一員だ」
知らぬ間に妙な集まりに入れられていた斉藤だったが、とりあえず本筋とは関係なし。
側で聞き耳を立てていた三溝は、スープを飲み干した丼を下ろす。
「杉たちと斉藤が組んだあ?」
三溝の報告を受けた宮崎は、そんなの関係ないと一蹴する。
非常階段で何をしているのかと思えば、彼は双眼鏡を手に龍子先生の着替えを覗こうとしていたのだった。
カーテンの隙間に近付く人影に大興奮の宮崎。青少年のリビドーは今まさにあふれ出さんばかり。
ところが――そこに現れたのは濃い胸毛も悩ましい、ハゲでヒゲ面の外国人だった。
「へっ、変な外人の男がいたっ!」
「チェコスロバキアから日本の教育現場を視察にきたとかいうおっさんのコトかな?」
彼は非常階段の二人に気付く。
「アワアッ!(訳:こらっ)フロスキー?(そこで何をしている?)」
逃げ出そうとした二人だが、ミッタンが足を滑らせて転ぶ。宮崎はそのまま行ってしまった。
「うらむぜ、シゲルゥ〜!」
そこに駆けつけてきた龍子先生。先生は宮崎が落としていった彼女の生写真を拾い上げる。
観念したミッタンだったが――。
「ふーん、悪かないけど構図が気にいらないなあ。私ね、カオの左側より右側のほうが自信があるのよ」
やはり龍子先生はどこかずれていた。
67 :
2/2:2008/05/12(月) 21:15:47 ID:???
ミッタンの手の怪我に気付いた龍子先生は、保健室へ連れて行って手当てをする。
彼も柔道をやると聞いた先生は、杉の柔道部に入部するのかと尋ねる。しかし、宮崎が反対しているのだが――。
そこでミッタンは名案を閃いた。
「そ、そのことについて…お願いがあります」
巧、杉、斉藤を道場に呼び出したミッタンは三人に報告をする。
「な、なんだとおっ!?」「龍子センセーが!?」「柔道部の顧問〜?」
三者三様の驚きを見せる。柔道部の顧問に龍子先生がつく――それがミッタンの名案だったのである。
「その話、本当だろうなミッタン?」
龍子先生ファンの宮崎も予想通り食いついてくる。
「本当だったらどうすんだい、シゲル?」「てめーのいうとおり、こいつらと組んでやらァ」
そこで姿を現したのは――。
「浜高柔道部新顧問、それは私です」
道着は道着でも剣道着、袴姿に竹刀を持った倉田龍子先生だった。
実は彼女は小学二年から大学まで修行して三段まで持った実力者だったのである。
「柔道はまったくの素人ですが、同じ武道。根底にある精神は同じものとして指導していきたいと思います
ビシビシいくから、そのつもりでっ!」
「は、はいー!!」
彼女の迫力に飛び上がって返事をする五人。
なんだかとんでもないヒトを顧問にしてしまったようだが、後悔してももう遅い。
「私が顧問となったからには!必ずこのチームを全国一にしてみせる!」
数日後、日本の教育現場の視察を終えたブラン・マクシモビッチ氏(40歳)は、祖国チェコスロバキアへ帰国していった。
浜名湖高校の生徒たちにささやかな思い出を残して…。
意外とあっさり柔道部できたなぁ
倉田先生かわゆす
マクシモビッチ氏かわゆす
そういや倉田って何か聞いたことある名前だな
倉田先生は倉田典膳のもじりか?
偶然…てことはないよな
先生×ミッタンのフラグ立ったか?
マクシモビッチで吹いたw
きもすぎるwwwwww
剣道経験の人だけじゃ勝てないし
外部からコーチ招聘すべきだよな
>>74 誰かと先生くっつきそうw
宮崎か杉あたりと
マクシモビッチw
龍子先生が他に顧問の部活がなかったとなると、
剣道部はやっぱりなかったのかね?
柔剣道場もったいなすぎる
まあ、どっちもマイナーな部活だからな。そういうの好きな先生が引っぱってかないと
なかなか始まらないんだろう。
泡風呂すきーwwww
82 :
1/2:2008/05/13(火) 21:46:24 ID:???
第5話 龍子先生の一日
どこにでもある平屋建ての民家。父子二人の夕食の風景である。
龍子先生は柔道部の顧問になったことを彼女の父親に話していた。
今日の部活――。
柔道は素人のため、常識的な練習方法も知らないことを部員に馬鹿にされて、龍子先生ブチギレ。竹刀で斬りかかる。
「なんの!真剣白刃どり!」
パァン
もちろん杉などに有段者の剣先を見切れるはずがなかった。体罰反対を叫ぶ巧だったが、そこは龍子先生。
実は寸止めで竹刀は杉の頭に当たっておらず、響いたのは空振りした手を打った音だった。
「ナメられてるのかしら、私…」
落ち込む龍子先生。と、そこで父親が唐突に「タクミ」という名の部員がいないか尋ねる。
その父親こそ誰あろう、巧を初段審査会場に連れて行った倉田のオッサンだったのだ。
「龍子、そーゆーたるんでるガキ共に喝入れんだったら…いい手を教えてやらあ」
放課後の予定を考える巧たち。民主主義の浜高柔道部は土曜日は休みと決まったらしい。
ミッタンからその報告を受けた龍子先生は、早速行動を開始する。
「一人も逃がしはしないわよっ!」
83 :
2/2:2008/05/13(火) 21:47:26 ID:???
・杉の場合
図書室で『マキアベリ語録』を開く杉。
日曜は読書で過ごすつもりだったが、その喉元に竹刀が突きつけられる。
「PM1:15道場に集合、ヨロシク」
内申書をちらつかせられ、杉には逃げ出すすべがなかった。
・斉藤の場合
教室で友人たちとドボンに興じていた斉藤。
「みーちゃった」そこに龍子先生出現。窓の外から。ここ五階なのに。
トランプを没収されるところだったが、斉藤が道場に来ればチャラ、ということで話がつく。
・宮崎の場合
帰宅しようと駐輪場に来た宮崎は尋常ならざる殺気を感じる。「宮崎くん。観念しなさい」
そこは素早さが身上の宮崎。自転車に飛び乗り裏口強行突破を試みるが――。
何者かに裏口を閉められ、あえなく金網に激突。
彼の往く手を阻んだのはミッタンだった。「おっと、これでおあいこでしょ?」
ミッタンは先週見捨てられたことを忘れていなかった。
道場に集合――というより狩り集められた巧を除く四人。何やら重大発表があるという。
その頃、巧は保奈美と桜子と一緒に街を歩いていた。
ゲーセンに寄っていこうと提案する巧に、真面目な保奈美が抵抗。そのとき――。
「いやがる女の子を悪の道へさそう…男のすることじゃない!」
背の高い少年が保奈美の腕をつかむ。
「悪者はこのボクが退治してあげる。キミは後ろでみてなさい」
何やら勘違いしているご様子だった。
再び道場。「来襲の土曜日に?」「他校と合同練習?」
龍子先生の重大発表とはこのこと。何でも、この地区でもっとも強そーな高校と連絡をとっているらしい。
「な、なんなの。このヒト?」
「さあ――、しかしどうやら、並の大ボケ野郎じゃなさそーだな」
ヒーロー気取りでパキポキと指を鳴らす少年の後ろで、保奈美は逆に助けを求めていた。
なんか勘違い男が出てきたな
結局親子かw
カーチャンどんだけ美人なんだ
顔が適当な感じだし見た目的に重要キャラじゃなさそう
一応そこそこ柔道強そうだから最初の弱ボスってとこか
なんだこの気持ち悪い新キャラはw
先週の一発ネタの外人先生よりきめえ。
白刃取り失敗笑ったw
巧とは体格が違うから階級合わないな>キモ男
団体戦だったら関係ないんじゃね?
宮崎→ミッタンの一方的な関係じゃなさそうで安心した。
かませっぽいw
保奈美に惚れるパターンか
こいつは雑魚だな
タクミの永遠のライバルはやっぱり斉藤だろ
ジャンプではじまったバスケマンガ(すぐ終わりそうだが……)みたいに、
おなじチーム内に最強のライバルがいるってのが、これからのパターンだな
>>90 そうか、団体戦は階級関係ないのか
いろいろ調べてみると面白いな
体重別の個人戦にオープン参加の大会もあるのか
本当に全国目指す柔道部になるかどうかはわからんがw
現状は学園モノっぽいし
タッチみたいな感じになるんじゃね?
一応真面目に柔道やるし全国も目指すけど
話の主軸は恋愛含む人間ドラマと。
確かにガチガチのスポ根ものではなく
柔道をネタにした青春ものって感じだな
だいたい、格闘ものなのに勝負の熱さが感じられない
まあ面白ければスポ根でも青春ものでもいいけど、しばらく様子見だな
こいつ、そのうち
黒パン一丁で出回りそう。
99 :
1/2:2008/05/14(水) 21:41:06 ID:???
第6話 天才児・藤田
誤解を解こうと少年に説明をする保奈美だったが、少年は相手が怪我をしないようにかばっていると思い込み、
まったく聞く耳を持とうとしない。
「その後であの…できればお茶でもその…あれ?」
何のことはない。単なるナンパ目的だった。自己陶酔している隙に巧たちは逃げ出す。
「逃げるな、きみたち!まだ話の途中だろっ!」
面倒くさいからやっちゃいなさいと焚きつける桜子。巧が柔道初段と聞いた少年は、面白い顔をして笑い出す。
「きみも柔道やるならボクの名前を聞けばビビるだろう。三方ヶ原工業高校の藤田恵とはこのボクのことさ」
もちろん巧は知らなかった。
赤恥をかかされた藤田は巧の襟首をつかみ上げる。
立ち食いソバを食べていた倉田のオッサンの後ろを「学生同士のケンカだァ!」と走っていく野次馬たち。
「ダンナ、出番じゃないの?」「せかすなよ。今、食い終わるから」
落ち着いたものである。
薬局のサトちゃんに向かって投げつけられた巧は激昂して藤田につかみかかる。
ところが(えっ?)風景が一回転。
(な…投げられた。いや、それよりも道路の上にたたきつけられたはずなのに…)
「痛くはないはずだよ。落ちる寸前に引っぱり上げてやったからね」
完成された柔道技のほとんどには投げつける相手のダメージを最小限にくいとめる工夫がなされている。
つまり、投げる方がうまければうまいほど投げられる方は痛みを感じなくなるのだ。
それを極めれば、投げられたことすら、わからなくさせられる!!
100 :
2/2:2008/05/14(水) 21:42:36 ID:???
その投げのキレに巧は思い出す。去年、この県から中学柔道で全国優勝したヤツが出たこと。
そいつが全国の名門校からのスカウトをけって地元の高校に入学したこと。
「そのとおり、それがこのボクなんだよ」
自分とは住んでいる世界が違うことを強調する藤田。その顔面めがけて巧は空き缶を投げつけた。
藤田が怯んだその一瞬の隙に、彼の鼻っ面にめがけて巧は強烈な頭突きをかます。
しかし藤田は鼻血を吹きながらも、反撃のハンマーナックルで巧をアスファルトに叩きつけた。
昏倒する巧。止めを刺そうと近付く藤田。
その前に立ちはだかったのは保奈美――彼女のその目からは涙が流れ落ちていた。
「そこまでだな、藤田!」
そこで倉田のオッサンが仲裁に入る。立ち去るよう言われて渋る藤田だったが、
「わしの顔にドロをぬる気か?」と一睨みされて折れる。
意識を取り戻した巧の額からは血が流れていた。
「脳震盪か…ざまあねえや」
と、そこで倉田のオッサンに気がつき驚く。
「急ぐこたあねえよ!どうせ一週間後に藤田とは会える」
どうしてそんなことを知っているのかと不思議がる巧の袖を、保奈美が引っぱる。
「…負けないよね」
「ああ!勝つ!」
なんという小物
これは間違いなくかませ犬
おっさんの話聞く限り設定上はかなり強いんだろうが
それを台無しにする気持ち悪さのせいで
次にやるときにはズタボロに負ける姿しか思い浮かばねえw
でも全中優勝者だからな……
これ以上のライバルを出すのは
パターン1
「あの時は僕は怪我(病気)で出場できなかったのさ!」
パターン2
「ヤツは所詮中学生レベル……」
パターン3
「藤田を倒すのは僕の筈だったのに」
>>103 外国人留学生とかどうよ
韓国の「キム・チウマイ」とか
ロシアの「ミハイル・スカシゴルブリ・ミヤノフ」とか
メキシコの「トペ・デ・レベルーサ」とかそんな感じのがきて
どうしてそんなことを知っているのかと不思議がる巧の袖を、保奈美が引っぱる。
「…負けないよね」
「ああ!勝つ!」
この会話が理解できない
おかしいだろ
>>105 おそらく綺麗に投げられた上に、殴られて昏倒したから
「(柔道では)負けないよね」と保奈美が言ったのかねぇ。
2話目で巧が斉藤に負けたときも保奈美はボロボロ泣いてたから、
そもそも誰相手でも巧が負けてほしくないんだろう。
それをわかってて巧は「ああ!勝つ!」と。
どこが理解できてないのかよくわからないから、
こんな解説にしかならなくてすまん。
「(次にやるんなら今度こそ)負けないよね」だと思ったが。
108 :
1/2:2008/05/15(木) 21:23:20 ID:???
第7話 合同練習
「本立ち乱取り」……一人の人間に対し、複数の人間が三分間ずつ交代で攻めてゆく練習形式のことをここではいう。
攻める方は交代で休めるが、攻められる方は休みなしであり、大変ハードな特訓なのだ。
あれ以来、巧は自ら本立ちをかってでるほど気合が入っていた。ミッタンを投げ、たるんでいる杉を怒鳴りつける。
保奈美と桜子から藤田とのいきさつを聞いた杉と斉藤。巧の気合に納得はしたものの「そりゃ無理だ」と杉は言い放つ。
「全国中の中学に柔道部員が何人いると思う? 約七万人だ。藤田はその頂点に立った男だ!
たとえ高一という今の時点でも、この県内でヤツに勝てる高校生は五本の指に足りるかどうか…」
格が違うという杉と斉藤。でも――。
「タクミくん、勝つっていってたから。私と約束したこと今まで一度もやぶったことないから」
静かにそう言い切る保奈美に、杉は返答に窮する。しかし、保奈美も自信からそう言っているわけではなかった。
「だから…そのことでタクミくんが無理しているんだったら…私…」
(おいおいこのパターンは)(泣くぞ泣くぞどーしよ!)(なんかいってやってよ気のきいたことを!)
外野がこれでは泣くに泣けない保奈美であった。
とにかく土曜日の練習を見に来るよう斉藤が言う。
「いくらがんばっても、負ける時は負ける、でも…タクミが精一杯藤田と戦うことができれば
それはそれでひとつの決着なんじゃないか?」
斉藤がいいことを言って、その場はとりあえず一段落。
「見届けましょう。タクミくんの戦いぶりを」
109 :
2/2:2008/05/15(木) 21:24:41 ID:???
土曜日 三方ヶ原工業高校――。
現地集合をしてみれば部外者が約二名。保奈美と桜子をどういう扱いで道場にいれさせるのか。
マネージャーでもなんでもいいと杉は言うが「柔道部に女子マネージャーなんて聞いたことないわ」と龍子先生が却下。
しかし全員で多数決の結果、女子の見学が認められ、先生はすねてしまった。
そこに現れる倉田のオッサン。「あらお父さん」と龍子先生の衝撃の一言に一同大コケ。
「紹介するわ、私の父で県警の柔道師範をしている」「倉田典善だ」
彼が県警の柔道師範と聞いて、杉と斉藤が驚く。
社会人柔道では県警はものすごく強く、そこで教えている典善はかつて全国でも指折りの実力者だったに違いないのだ。
道場では既に稽古が始まっており、龍子先生はその部員の数に目を丸くする。
巧の姿を見つけた藤田は鼻血の借りを返せるとほくそ笑んだ。
龍子先生が三工の吉岡先生に今日の練習スケジュールを尋ねる。
「ええ、受け身、ウォーミングアップとすませましたから――。
打ち込みは20本ずつ20回ですな。
その後、立ち技の乱取り3分20本、一時間ぐらいですね。
それから寝技乱取りが同じく3分20本、
5分休憩して、その後しばらく技の講義。
それから本立ちの乱取りを3分10本3セットとなってまして、
なんだかんだで土曜日は5時間ぐらいかかりますね」
一流校の練習の質と量に絶望する浜高柔道部の面々だった。
二時間後――彼らはハードすぎる練習にボロボロにされていた。
「こら体がもたん。なあタクミ?」「いや、たぶんもうケイコは終わりだよ」
その頃、倉田のオッサンが吉岡先生に一年生同士の練習試合を申し入れいていた。
「一年生といっても、その中で最強メンバーでそっちもきてほしいのだが」
互いに一年生同士、これから三年間付き合っていく。これはその前哨戦である。
三工の先鋒は藤田。そして――。
「はい!粉川巧、先鋒希望します」
サイト−は本当に高一か?
倉田父は早くも解説者のポジションに収まりそうな雰囲気だな
巧「あらお義父さん」
ちょw
三工のモデルは浜松工業(通称:浜工)だな。
この作者、出てくる学校全部実在の学校からとるつもりなのかな?
なんか練習がはじまったらツマンなくなってきた
ふつうのスポ根みたいになっちゃったな〜
R田中一郎みたいに、おちゃらけた日常描写だけじゃダメなのか?
116 :
1/2:2008/05/16(金) 21:37:40 ID:???
意気揚々と試合場に出る巧にほくそ笑む藤田。
声援を送る桜子。既に諦めモードの杉。
「若いうちからそーゆー消極的な態度で…」「カオぶたないで。美形キャラのつもりなんだから」
……無視。
第8話 勝負
「始め!!」
藤田より二まわりも小さい巧に、既に楽勝ムードの三工。宮崎、斉藤も「もって一分」と辛い予想をする。
そして、やはりというべきか――あっさりと組み手を取り、藤田の鋭い内股が巧の体を宙に飛ばす。
開始10秒も経たないうちに早くも「技あり」。
勢いでいえば一本と言われてもおかしくはなかった。
落ちた瞬間に半身になっていたため、一本を取られずに済んだのである。
あまりにも大きな実力差。二度目の内股でさらに「有効」を取られ、巧は追い詰められた。
ところが、そんな劣勢の巧を三工の吉岡先生が褒める。
「恥ずかしながらうちの一年生の中では、藤田の内股を有効でしのいだヤツはおらんのです」
「はあ、そうなんですか?」
龍子先生は意味が分かっていなかった。
117 :
2/2:2008/05/16(金) 21:38:48 ID:???
あまりに手応えの無い巧に落胆する藤田は、さらに「有効」を一つ奪い、優位を決定的なものにする。
声の出ない浜高メンバーに応援するよう桜子が怒るが、アドバイスさえできる状況ではなかった。
「少なくとも、並のヤツなら一発目の内股で一本負けしても不思議じゃない。ここまでこらえたんだ。たいしたことさ」
巧の健闘を杉はむしろ讃えるが――斉藤の見解は違った。
「杉よ、そうかもしれんが…タクミはまだ勝負を捨ててないよ」
最初は技あり、次は有効、その次も有効――これは偶然ではなく、巧が藤田の技についていけるようになっていたから。
巧は先ほどから一度も組み手を切ろうとしていない。まるで技を掛けてくれというように。
「おそらく…」
再度、藤田が仕掛ける。小内刈りから――。
「タイミングを読んでる!」
――内股!「…今だっ!」
渾身の内股が空を切り、勢い余って体勢が崩れる藤田。そこに巧の足が飛ぶ!
「わっ!!技あり――!!」
藤田の内股をすかし、そこにすかさず体落とし。「藤田!!」穏やかだった吉岡先生までもが立ち上がって大声を上げた。
「内股すかしか!タクミのヤロー、これを狙ってたな!」
浜高メンバーも大騒ぎ。保奈美も笑顔で頷く。
しかし、その中で斉藤だけが渋い表情をしていた。
「…まずいぜ『技あり』とは、藤田には二度も同じ手は通用しない。これで勝ち目はなくなった…」
斉藤は解説キャラにジョブチェンジか
藤田は聖闘士だったのか
美形キャラのつもり吹いたw
画力が微妙なのは作者も重々承知してるんだなw
え?「美形キャラのつもり」は杉が勝手に自分をそう思っているというギャグだと思ったが…
まあ顔自体はいいのかも知れないが、中身があの通りだから2.5枚目っていうか
絵も普通に上手いし
>しかし、その中で斉藤だけが渋い表情をしていた。
通常
- -
渋い顔
- -
違いが分からん
何か、普通のスポーツものになってきたな。
いや、これはこれで面白いんだが。
斉藤のセリフ的に逆転は来ないか・・・な?
ああそうか、図書室で『マキアベリ語録』とかチョイスしてたのは
杉なりの知的な美形キャラっぽい振る舞いだったんだな?
そうか、演技だったのか。
127 :
1/2:2008/05/17(土) 21:07:57 ID:???
「ふ、藤田が……」
「投げられた――――!!」
第9話 決着
(…バ、バカな、このオレが…)
「何をしている藤田!まだ試合は終わっとらんぞ!」
茫然自失の藤田に檄を飛ばす吉岡先生。無理もなかった。藤田はこれまで三年の正選手に対してさえも
「一本」に値するようなポイントは許していなかったのだ。
巧の「技あり」は三工の選手が見ても、これまでで一番ヤバイ投げられ方だったのである。
勢いに乗って執拗に攻める巧。小内刈り、大内刈り、双手刈り、しかしいずれも倒すには至らず――場外。
「ちくしょう巧の野郎!やっぱり技をだせなかったんじゃない、ださなかったんだ!」
ポイントこそ向こうに先行されているものの、ムードは完全に変わった。
組み手争いでも藤田相手に組み負けていない。かなわないと諦めていた宮崎も三溝も、いつしか巧を応援していた。
「藤田は内股すかしをおそれて手も足もでねえぞ!」「ガンガン攻めろ!」「藤田、敵の挑発にのるな――っ!」
「さっきのはまぐれだぜ!お前の本当の実力だったらぜったい勝てる!」
「なにいってんだ!だったら、内股やってみろ!」「いけっタクミ、時間がねえぜ!!」
白熱する両校の応援。
「優勢勝ちなんて認めんぞ、きめてみろ藤田っ!!」
「中学チャンピオンがなんだってのよ!タクミッ負けんじゃないわよ!」
両校の顧問もまた。
そして――。
128 :
2/2:2008/05/17(土) 21:08:49 ID:???
帰りのバスを待つ巧たち。桜子は保奈美に気をつかい場を外す。
結局、巧は勝てなかった。
しかし、その熱い勝負が他のメンバーに火をつけた。
宮崎は「藤田とやらせろ」と、勝ち抜き戦に変更するよう先生につめよるものの、それでは練習試合にならないので
結局、他の選手と対戦。名門相手に杉も三溝も頑張り、勝ちこそしなかったものの、誰一人一本負けはしなかった。
最後に出てきた斉藤など、互角の戦いをして、とうとう引き分けにしてしまったのだ。
皆が頑張り、皆が格好良かったが――。
「みんなをあんなにがんばらせてくれた…巧くんの試合がいちばんかっこよかった」
(おっ、いったな保奈美。なんだかんだいって結構いームードつくっちゃって…)
二人の様子を遠くから見つめる桜子だった。
ところが「いや――てれるな、やっぱそお?」巧の馬鹿笑いでムード台無し。
(ダメだこいつら…)
諦め顔で戻る桜子だった。
先生サイド、飲み屋にて。こぶしをきかせて演歌を熱唱する龍子先生の頬がほんのりと赤い。
「吉岡先生〜〜っ、ほらほらデュエットしましょ!」
「えっ?」「ほっとけ、気にするな」
合同練習の帰り際、吉岡先生のところに藤田が技を教えてくれるよう頼みに来たのだという。
『なんだ?内股すかしを返すような技か?』『いいえ』
『誰にもすかすことのできない――鋭さをもった内股を!』
今日の練習で一番いい経験をしたのは藤田だったのかもしれない。
酔っ払ってテンションの高い龍子先生に、吉岡先生は「いい生徒さんをおもちだ」と褒める。
「ええ、いいコたちでしょ、みんな」
129 :
業務連絡:2008/05/17(土) 21:10:39 ID:???
次回は一回休載して、単行本1巻のおまけを紹介します。
さわやかだなあ
ジャンプだったら最終回でも問題ない感じだw
とりあえず5人の中だとやっぱり斉藤が抜けてる感じなのかね
だね。斉藤は高いレベルでまとまってて、巧はここ一番で爆発力がありそう。
しかし杉はあんまり特長ないな。宮崎はスピード、三溝はパワーってのがあるだろうが。
杉→ハゲ担当
杉は五人のまとめ役だろう。
光り輝くカリスマでみんなを導くわけだ。
設定では杉も身長180cm以上あるんだよな
不思議とそんなでかく見えないけど
髪がないせいだな
髪の高さは身長には含まれないからね
>>132 そもそも奴は特長が判る程実力を描写されてない気がするぜ…
138 :
1/2:2008/05/18(日) 21:37:06 ID:???
○単行本第1巻 (表紙:粉川巧 裏表紙:近藤保奈美)
・四コマその1
1.巧「オレたちがゴレンジャーだったら、とーぜんオレがアカレンジャーだなっ」
2.斉「じゃあオレは?」
巧(赤)「アオレンジャー」
茂(緑)「ミドレンジャー」
三(黄)「キレンジャー」
3.斉(青)「けっこうはまるなー」
茂(緑)「あれ、すると杉は…」
4.杉(ピ)「いいわね、いくわよっ!」「ゴレンジャーストームよっ!」
全 「やめんかい!」
139 :
2/2:2008/05/18(日) 21:38:05 ID:???
・四コマその2
1.変装して辺りをうかがう桜子。
2.こっそりと棚から本を抜き、下の平積みの上に置いていく。
3.保「あっ桜子、そっちは終わった?」
桜「うん、あと何軒だっけ?」
4.コミックスは本棚よりも下に積んであるほうがよく売れるという
彼女たちの戦いは続く…(一番上の一冊だけ『帯ギュ』の単行本)
・輝け!第1回『絵筆をもってね!』「帯をギュッとね!イラストコンテスト」
選評/河合克敏 応募総数:116枚
グランプリ:千葉県・安西信行〔海老塚桜子〕
杉www
この安西ってヤツ、プロデビューしたり…しないかw
単に作者の絵を真似描きしただけだから、いくらなんでもありえねーよw
でも人の真似るのはうまいな
真似るのは
>>141 こんなはがきコーナーからプロなんて出るわけないだろ
上から三番目を取るのが俺のポリシー
146 :
1/3:2008/05/19(月) 21:58:04 ID:???
第10話 現れた男
89’浜高祭。巧たちのクラスの出し物は『シンデレラ』。茂は不満たらたらだったが――。
「ガマンしろ!いちばんくるしんでるのはヤツだ」「そうだな、主役だもんな…」
薄暗い隅っこに膝を抱えてうずくまる大きな影。そこに買い出しに行っていた巧が帰還。
「タクミ!たのむ!役代わってくれ、おまえならまだ似合う。オレはも――、こんなの耐えられね――!」
シンデレラ役、三溝幸宏。魂の絶叫であった。
暗幕の隙間から文字通り、男子控え室に顔を出す実行委員、海老塚桜子。
「これは公平にクラス全員でアミダできめたんだからね、あきらめなさい」
「だからって男がシンデレラやるこたないんじゃないかしら!」
ミッタンは女言葉になっていた。
「おーい、男子!開演するわよ、用意できてるー?」
「よしっ、いくわよみなさん!」「おう!」
杉(意地悪な継母)、茂(意地悪な姉)、ミッタン(シンデレラ)。いざ始まるとなるとこの三人、ノリノリである。
ちなみに巧はカボチャの馬車の馬役。
幕が開いて――。
「三溝くーん、こっち向いてーっ!」
龍子先生は最前列の席に陣取り、声援を送っていた。
「キャハハハ、美しいわ杉くん!」
舞台袖から覗く巧と斉藤。
「昨日から一回もみのがさずに通いづめだぜ」「あれがオレたちの担任だと思うとなさけなくなってくるな…」
その頃、ブレザーの制服に身を包んだ他校の男子生徒三人。
文化祭などどこも似たようなものだと文句を言いながら校内をうろつく彼らだが、爽やかな印象の少年が異を唱える。
「可愛――娘こもいるしな、意外と」
彼が指差したのは18HRの宣伝ポスター、王子役の保奈美だった。
147 :
2/3:2008/05/19(月) 21:58:38 ID:???
『シンデレラ』の物語も中盤に。
「あっのっりっだぁ〜、衣替えっ!」
耳と鼻の穴の大きな某ヒーローのような魔法の呪文でシンデレラはドレス姿に。オマケにカボチャの馬車ももらう。
先ほどのブレザーの三人が教室に入る頃、物語はいよいよ佳境に入っていた。
「美しいヒト、この私と踊っていただけますか?」「わ、私のことですか、王子様?」
保奈美王子の誘いに頬を赤らめるシンデレラだったが――。
「一本背負い!」意地悪な姉に投げ飛ばされる。
「まあ、王子様。こんな私でもよろしければ…」
息を切らせる意地悪な姉は――。
「体落とし!」意地悪な継母に転がされる。
「いけません王子、私は夫も娘もいる身です」
だったら出てくんなっての!シンデレラの「大外刈り!」
柔道部ならではの演出に、観客大盛り上がり。
そして12時の鐘が鳴る。逃げるシンデレラを追いかける王子。
ところが――舞台から駆け下りようとしたそのとき、階段が外れてしまう!
巧が飛び出そうとするも、着ぐるみが重くて間に合わない。
床に落ちた保奈美。彼女にケガは無かった様子。しかし。
「…でも、下の子は大丈夫じゃないかもね」
ブレザーの少年を下敷きにしていた。
謝る保奈美に爽やかに返す少年。「ひさしぶりだね近藤さん。三つ編みやめたんだな」
どうやら彼は保奈美と面識があるようだった。
「え――っ石塚先輩!?」
桜子も彼を知っていたらしいのだが――。
「後でまた会おうよ。今は劇の続きを演らなきゃ」
最後まで爽やかに去っていく少年であった。
148 :
3/3:2008/05/19(月) 21:59:04 ID:???
浜高祭終了後の後片付け。その最中、杉は桜子に石塚のことを尋ねる。
「巧くんには絶対ナイショね!あの石塚先輩って人はね、中学の時に…」「ふんふん」
「保奈美のこと、好きだったらしいの…」
帰路につくブレザー三人組。バスの車内で眼鏡の少年が石塚の危険な行動をたしなめる。
「でも、これから気をつけてくれよ石塚。なにせ、オマエは我が校の重要な戦力だからな」
「おいおい海老塚よお」「近藤と例の下敷き男が中学の時、デキてたってホントかよお」
内緒のはずの話は既に皆に知れ渡っていた。
「ちょ、ちょっと杉くん、あんたね――っ!」
「タクミにはいってないよ、うん」
ミッタン美人じゃないか
惚れそうだ
こんな劇やってたら絶対見に行くw
面白いんだけどさ
なんか新連載で初めて見たときは絵うめー!と思ったけど
どんどんへたくそな絵になってる気がするな
1回目だけすごい時間かけて描いたのかな
ミッタンカワユスwww
そして龍子先生……どんどんキャラが崩壊していきますなw
キツそうな眼鏡美人教師
↓
なんかズレてる先生
↓
剣道三段
↓
酒癖が悪い、演歌好き
↓
ヅカ好き
しかし、ミッタンも言ってるがタクミの方が女装似合いそう
似たような顔の女の子いそうだし
それと斉藤も化粧したら結構映えるんじゃない?
似たような顔の女の子……は流石にいないかw
暗幕を見るとあ〜るを思い出すw
爽やか少年石塚はどうでもいいのかお前ら。
三角関係とかやりそうなのに。
爽やかさが胡散臭い
こういうさわやかイケメンキャラがどんどん落ちぶれていく姿を見るのは大好きですよふひひ
157 :
1/3:2008/05/20(火) 21:43:35 ID:???
『街で見つけたステキな男のコ(ハァト)』
・石塚孝裕くん(17)市内の高校に通う高校生ですって。やさしそうな目もとがステキね。
洗いこまれたGジャンもカンジがでてて似合ってる。なかなかこうはいかないわよね。
第11話 三角関係
「あれェ石塚先輩だぁ!」
ティーン誌に大写しで写真が載った、文化祭に来ていた少年。
彼が桜子の先輩とわかり、クラスの女子は騒然。
石塚は元々高町中のバレーの選手。一昨年、県で準優勝した時のメンバーで、しかも主将だったらしい。
勉強でも常に学年10位以内をキープし、ルックスもいいときてはモテないわけがないのだが――。
「しかし、その石塚がいい寄ってきたのを近藤はことわってしまったのさ」「えらいっ!」
問題は、なぜ石塚が今頃になって保奈美の前に現れたのか。面白がる杉の頭を桜子がパコンと一発。
彼女にとっても他人事ではないらしい。
「だって保奈美がかわいそうなんだもん」
「ふうん。近藤のことがねえ…」
意味深な言い方をする斉藤に腹を立てた桜子が、その手をはたく。その弾みで火のついたマッチが飛んだ。
ボン
「ぎえ――っ!」「バッ、バクハツした!?」「大丈夫だって、マグネシウムが燃えただけだよ!」
「そこオ!なにを騒いどるか――!!」
散々な化学の実験になってしまった。
158 :
2/3:2008/05/20(火) 21:44:26 ID:???
柔道部メンバー全員でジャンケン。相手のないもの負っけでっすよ。
「じゃミッタンまんなかね!」「またかよミッタン、ジャンケンよえーな」
・三人打ち込み…受け(技を受けるヒト)の後ろにもう一人立って、受けが投げられそうになるのを支えてやる。
投げるつもりで全力で技をかけられる打ち込み。
浜高の場合は五人しかいないので、二組の真ん中に一人が立ち、左右両方の打ち込みを支えなければならなかった。
「な…なんでいつも負けるんだ?おかしい、絶対に!」
(普通はそうでもないんだけど、ウチのはささえのヤツが一番キツイ役だからな…)
(ミッタンが受けだと、持ち上げんのが大変だし…)
どうみてもハメられています。本当にありがとうございました。
お楽しみの合同練習、今度の相手は佐鳴高校。
しかし進学校の佐鳴高は弱小。行く価値が無いのでは、と文句が出る。
「ほぉ…先生が苦労してやっと約束をとりつけたととゆうのに。そうなの、練習いきたくないの…」
小姓桜子から竹刀を受け取り、龍子先生の教育的指導。
「えーい、そこになおれ!」
159 :
3/3:2008/05/20(火) 21:46:03 ID:???
――そして、土曜日。
バスの中で黙りこくるメンバーに、龍子先生も居心地が悪い。
佐鳴高も昔は強かった、いわゆる「古豪」らしいのだが、それはもう10年も前の話。
今はいつも一回戦落ち。本格的な指導者もおらず、選手たちも趣味でやっているらしい。
「うるさいわね!あんたたちだって一年生5人だけの弱小なのよ!あたしが練習相手の学校捜すのにどれだけ…!」
ブチギレる龍子先生。大声を張り上げ、バス中の視線を集めてしまう。
小高い丘の上に建つ佐鳴高。行き交う生徒たちの制服を見て桜子が気付き、保奈美も頷く。
門の前で待っていたのは――石塚先輩その人だった。
「おまちしてました。佐鳴高柔道部の石塚です、よろしく」
驚くメンバー。保奈美と桜子は挨拶をするが、彼は桜子のことを覚えていなかった。
「海老塚です、保奈美の友人の!」
佐鳴高の柔道場。道場とは思えないリラックスした雰囲気である。そこには女子の姿もあった。
マネージャーかと挨拶に行く保奈美と桜子だが、彼女らが正部員と聞いて驚く。
浜高メンバーの様子をうかがう佐鳴高の三人。
「みんな黒帯だが、一年生ばかりの5人だけ。無論、優勝戦線には関わりようが無い。
練習相手としてこれほど好都合な学校はないな」
何かを企んでいるらしき、佐鳴高の面々。
「お前の実力を試す最適の『実験材料』だ。偵察のかいがあったってものだよ」
Gジャン(笑)
石塚は露骨だなw
石塚の下に写ってる2人おかしいだろ
どういう雑誌だ
つーか桜子はやっぱり巧のこと好きなのか?
保奈美にも意味深なこと言ってたしな
あんまりドロドロしたのはこの作品に向いてない気もするが
三角どころじゃすまないってか
ミッタンカワイソスw
斉藤って察しが良すぎだろ
細目のクセに
>>165 今後もずっとあの役続けなきゃなのか、イジメだろこれw
いや、きっと隠れた柔道経験者がいて、柔道部に入るとか。
浜名湖の隣には佐鳴湖という小さな湖があってな。
これが全国トップレベルに水質が汚いことで有名なんだ。
ってことは佐鳴高の連中も…。
腹黒いのか
172 :
1/2:2008/05/21(水) 21:37:02 ID:???
第12話 石塚の実力
・クイズその1…柔道の世界でここ10年における「最も大きな変化」とはなんでしょう?
佐鳴高女子柔道部員たちと談笑する保奈美と桜子。その後ろで浜高男子メンバーは男女混合の練習について侃侃諤諤。
「…女の子の柔道もなかなかカッコイイだろ?」「そうね」「それがなにか?」
「いいよもお…」あっさりと流されていじける杉たち。
「…なんだったのかしら?」よくわかってない保奈美。
「さーねー」わかっててイジめる桜子。
・答…「女子柔道のめざましい普及」である。
女子の初段をもつものは10年前は1950人、昭和62年現在では6303人。
初段の昇段審査受験者も1割近くを女子が占めている。
佐鳴高で柔道を教えて25年の超ベテラン教師、鈴木春海先生と差し向かいで話を聞く龍子先生(だれかたすけて…)。
合同練習が始まるものの、女子が気になり浜高の面々は集中力に欠けていた。
まあ、巧だけは石塚が気になっていたのだが――。
「いつまで体操してんだ、こら!もうみんな柔軟やってんの!!」杉に蹴り転がされるのであった。
打ち込みからは当然、男女別々の練習になる。
乱取り稽古で茂は石塚と組むものの、やけにあっさり投げてしまった。
わざと手を抜いているのか、それとも本当に弱いのか?
交代の時間になり、巧が石塚に相手を頼むが「ツキ指をした」とあからさまに逃げられてしまう。
指の治療にかこつけて保奈美に話しかける石塚に気を取られた巧は、つい弾みで乱取り相手の顔面に膝蹴り。
「す、すみませんっ!ワザとじゃないんですぅ!」哀れな彼は鼻血を吹いて畳に突っ伏す。
石塚の行動に、その真意を尋ねる佐鳴高の村上。
「本番でもヤツだけ外してほしい」と、あくまで巧を避ける石塚にその理由を尋ねるが――。
「ひとくちじゃいえないよ、だから…ワケありなのさ」
173 :
2/2:2008/05/21(水) 21:38:22 ID:???
今日の練習の総仕上げ、3分5本の本立ち乱取り。
最近流行の短時間集中型の練習を佐鳴は採っているらしい。さすが、理論的には当たっている。
巧以外の浜高の四人と是非乱取りしたいといってきたのは、やはり石塚だった。
一番手の茂が早速、一本背負いを石塚にしかける。ところが――石塚は畳に手をついて軽々と着地。
「…今の一本背負い、完璧だったよねえ?」「ハハ…まぐれよ、まぐれ」
笑い飛ばそうとする杉だったが、斉藤がポツリと呟く。
「まぐれも三回続きゃ本物ってゆうよ」
矢継ぎ早に技をしかけていく茂。
巴投げ、両手の背負いも忍者のようにかわしていく石塚。
まぐれは三回続いてしまった。
「なめやがって!」
苛立ち、真正面から石塚に襲いかかる茂だったが――その頭の位置が不意に下がる。
まるで途中のコマを飛ばしたように彼は畳に転がされていた。
――出足払い、一本。
「出会い頭ってヤツかな?」
茂は自分が投げられたことにさえ気がつくことができなかったのだ。
(あ…あのヤロー…やっぱりタダ者じゃなかったのか…)
その石塚がどうして自分を避けるのか分からず、巧みはじたばたするばかり。その目に映る保奈美の姿。
(まっ、まさか…)
茂はそのまま何もできずに交代。自分の出番になり、逃げ出そうとする杉だった。
――さて、その頃龍子先生は?
佐鳴高の鈴木先生の40年間にわたる教師生活のお話を聞かされるという、無限の地獄をさまよっていましたとさ。
女子柔道!
そ、そんなエッチな漫画になるのか?
妄想がアホ高校生らしくてほほえましいなw
嫌味キャラを取られた藤田のポジションはドコヘいくのであろう?
巧と階級が違うのだからもう必要ないだろ
石塚は同じ階級っぽいし美形キャラだし間違いなくライバルだな
藤田は巧と戦うためガリガリになるまで減量します。
それはどこの力石だ
そういや力石も初期は変質者っぽかったな
タクミがブタにまたがって脱走するのですね、わかります。
183 :
1/2:2008/05/22(木) 21:35:18 ID:???
第13話 約束
練習終了の挨拶。龍子先生はすでに白髪と化していた。
浜高メンバーの落胆の色は深い。
結局、四人連続で向かっていって、誰一人として石塚を投げることができなかったのだ。
「いい練習ができた」と礼を言う石塚。
そこに巧が「話したいことがある」と突っかかる。続きは着替えた後ということで。
ひどく疲れ果て、やつれている龍子先生。
「疲れてんじゃなくて憑かれてんだったりして」あまりにも的確な斉藤の一言だった。
夕暮れの薄暗い校舎裏で、巧は石塚を問い質す。
どうして自分を避けたのか。そして、保奈美とどういう関係なのか。
「でもそれはやっぱり本人の口から聞いたほうがいいんじゃないの?」
物陰から姿を現す保奈美。こっそりと二人の後を尾けてきていたのだ。
しかし、保奈美にも石塚に尋ねたいことがあった。
どうして彼がバレーを捨ててしまったのか。
それは巧が柔道をやっているからなのか。
石塚は決して、フラれたあてつけに巧と戦える柔道を選んだわけではなかった。
「バレーを捨てたとキミはいったが、そうじゃない。バレーがオレを捨てたんだ」
彼はアタッカーとしては身長が足りなかったのだ。
それでも頑張ればそこそこの結果は出せただろうが、頂点を目指すにはかなりの不利になってしまった。
バレーをやめてフラフラしていた石塚に声をかけたのが、柔道部主将の村上だった。
柔道には階級制があり、いわれるほど身長差もひどい不利ではない。
石塚は自分の才能を柔道にかける決心をしたのだ。
184 :
2/2:2008/05/22(木) 21:37:04 ID:???
保奈美と関係が無いのは分かったが、自分を避けた理由が分からない巧。
「…オレはな巧くん。おいしいものは一番最後までとっておく、そういう主義なんだ!」
「な、なるほど。すると、ラーメン食ったらチャーシューを最後に食うとか、寿司をとったら、トロを最後に食うとか」
「うーむ、そうきたか」
巧のボケはおいといて。
浜名湖高校の5人の中で、巧とだけはちゃんとした試合場で勝負をしたい――それが石塚の答だった。
石塚は27日からの地区予選に浜高が出場してくるようにいう。
「昨年までは一回戦負けがあたり前だったオレたちだが、今年はちがうんだ」
「優勝を狙うつもりだ」
石塚の言葉に巧は触発され、自分たちも地区予選に出ると約束をする。
「げ〜、勝手にきめてんじゃねーよ、巧のヤロ!」「地区予選だとー!」
「勝てるわきゃねーだろが、オレたちが!」「シ――ッ!みつかっちゃうじゃないよ!」
結局浜高メンバー全員、隠れて覗いていましたとさ。
しかし、予選は今月から。今から申し込んでも間に合うはずがない。安堵する杉たちだった。
帰宅した龍子先生に、「いいものが届いている」と倉田のオッサンが一通の封筒を渡す。
「全国高等学校柔道大会 西部地区予選出場登録通知?」
「たぶんおまえ、しらないと思って、わしがだしといたんだ」
なんという準備のいいおっさんだw
斉藤ってやつ、ギャグのセンスあるなー
そういうキャラなのか
>>185 まあ自分の娘を良く知ってるということだろう
>>187 剣道3段なのに、高校の柔道大会を知らないなんてどんだけー
いや、存在は知ってたとしても手続きの仕方は普通知らんだろう。
そういう意味でおっさんは言ったんじゃねーの。
できたばっかの柔道部だし、大会に出場するって発想自体が
龍子先生に無かったかもしれんな。
191 :
1/2:2008/05/23(金) 21:18:35 ID:???
第14話 マネージャー
授業終了のチャイムが鳴り、そそくさと教室を出て行く保奈美。
「よっ、清修。はやいとこ道場いこーぜ、練習、練習」
「ちょっとまて、まだノートとってるんだから」
「そんなのいーからさァ、地区予選まで日がないんだぜ!トックンしなきゃ、トックン!」
杉を急かす巧。石塚との約束があるだけに、やる気も満々というところである。
それに対し、杉の態度は素っ気ないものだった。
もちろん、彼はべつに意地悪をしているのではなかった。「いいか、巧、よく聞けよ」「?」
自分たちが地区予選に出られない、出るべきではない。その理由を杉は巧に向かって滔々と語る。
「ウチの柔道部はまだ出発したばかりの5人だけの、全員一年生ってゆー弱小もいいとこよ」
そこに何やらきょろきょろとする桜子登場。「なにやってんの?」「あ、巧くん」
「それにひきかえ、他校はみんな三年生、現役バリバリ、二段ウヨウヨの世界だぜ」
「保奈美さがしてんのしらない?」「んー?そういえばいねーな」
「そんな場所にノコノコでていって、負けてくることがオレたちのためになることか?
それよか今回は見送って、秋の新人戦にだなァ…」
「どこにいっちゃったんだろ?」「さあ?」
当の巧は桜子と喋っていて、まるで話を聞いていなかった。
「聞いてろよ!おめーはっ!まるでオレがブツブツひとりごといってるみてーじゃねーか!!」
斉藤も、茂とミッタンもその話に加わる。
「どのみち今回はでられそうにないらしいよ」
「えっ、なんでよ?」
「タイムオーバーなんだよ」「つまり今から出場を申し込んでも、間に合わないんだって」
巧にとっては初耳の事態。なんとかならないのかと無理なことを言う。
と、そこで桜子が龍子先生の言伝を思い出した。何やら大事な話があるらしいのだが。
192 :
2/2:2008/05/23(金) 21:19:22 ID:???
「地区予選に参加するって…?」「本気で?」
「本気です」
道場にて、龍子先生は出場の通知をひらひらと見せる。
こういうものは参加することに意義がある。デビュー戦なのだから思い切り戦えとハッパをかける先生。
「とりあえず目標は一回戦突破だっ!」
意気の上がる巧たちの後ろで、いい加減なことを言っていた杉はボコられていた。
それはそうと、桜子は先生に保奈美のことを尋ねる。何か用事があってクラブを休むとのこと。
ところが、次の日も保奈美はクラブに顔を出さなかった。
さすがに三日目、心配した桜子は教室で保奈美をつかまえる。
内緒にするつもりはなかったが照れくさかったという彼女。いったい何をしていたのか?
彼女は桜子に一冊のノートを示す。
「でも、部のみんなにはまだ教えないでね」
「ほほう、それは聞きずてならんなァ」
とっくに囲まれていましたとさ。
保奈美のノートには、なんとこの地区の学校の柔道部のデータがぎっしりと書き込まれていたのである。
彼女は中学の頃の知り合いにも頼み、たった二日で10校以上も調べ上げてきたのだ。
「森園高…もう調べた?」斉藤が、そこは自分が調べると言い出す。こういうことは効率よくやった方が良いのだ。
「するってえとオレん家のほうは北校と城南だな」地区予選参加に乗り気でなかった杉も覚悟を決める。
ミッタンも近くの南校と私立の興星高を調べようと茂に言うが、「勝手に調べな」と茂は拒否。
「これじゃあ、情報集めた分の学校には負けられなくなっちまったろーが。
こうなったら意地でも一回戦負けなんてしねーからなっ!」
それはどうみても照れ隠しの悪態。素直じゃない茂であった。
巧は保奈美に礼をいう。
全国高等学校柔道大会地区予選 1989年5月28日 開催
何かいいなぁ、こういう関係
果たして一回戦突破できるのか?
こういう漫画の常として、一回戦の相手はそれなりの古豪・強豪になるんだよな。
で、それを破るともっと凄い敵が出てくるんだな。
>「これじゃあ、情報集めた分の学校には負けられなくなっちまったろーが。
> こうなったら意地でも一回戦負けなんてしねーからなっ!」
宮崎くんはツンデレっと
一回戦が強豪(かませ)に集めた情報で勝利として、
他に因縁のあるのが三工と佐鳴だろ?
三工とは決勝で当たるんならあと一、二校は敵が欲しいな。
でも一年生ばっかの部がそんなに勝ち進んだらリアリティとしてどうなの。
まあそれ言ったらスポーツ漫画が成り立たなくなるしw
柔道部って団体戦に出てくるようなところは、みんな有段者ばっかりだったりするの?
それだったら一回戦勝つのも厳しいだろうけど、そうでないなら1つ2つは勝っても不思議でないような。
いや、二回戦に勝ち残るのは全体の半分、三回戦まで進むのは四分の一なわけだから、
半端なところはそもそも一回戦も勝てずに淘汰されるのが普通でしょ。
初段は中学でも取れるわけだし。
201 :
1/2:2008/05/24(土) 21:45:06 ID:???
第15話 Let’s go by bus
予選会場に向かう巧の自転車がパンク。このままでは間に合わないので、しかたなくバスで行くことに。
バスに乗り込むと、後部座席を占領する柄の悪い男達の群れ。
同じく会場に向かうどこかの柔道部のようなのだが。
下品な会話を大声で交わす彼らに巧は辟易とする。
と、そこに乗り込んできたのは桜子だった。
彼女は断りもなくさっさと巧の隣の席に座ってしまう。
「あ、あのヤローは…!おれたち男子校の人間には味わうことのできないタイプの青春おくりやがって…」
苛立つ柔道部員たちだったが、浅野という主将らしき男がたしなめる。
「オレたちは武道やってる人間だぞ。軟弱なヤツラにかまってるな」
足腰の弱そうなお婆さんに率先して席を譲る桜子。
女に立たせて男が座っていたら格好悪いと、巧も一緒に席を立つ。
「なるほど、女の子が席をゆずってて男がのーのーと座ってりゃ、そりゃ、カッコわるいよねえ」
彼女の言葉は明らかに、後部座席の男たちに向けられたものだった。
「おまけに幅いっぱいに座席を独占しちゃって、詰めればもっと大勢座れるのに。どこの高校かしらないけど」
顔面を蒼白にする巧。桜子のあてつけに歯軋りするヒゲの部員を、浅野はなおもいさめるが――。
「よせ酒井!バカの相手してんじゃねえ」
その言い方にカチンときた桜子。
「あ、なるほど。一番上に立ってるのが一番ひねくれてる性格なのね。それじゃみんなひねくれてても無理ないか」
202 :
2/2:2008/05/24(土) 21:47:07 ID:???
桜子の嫌味にヒゲ坊主、酒井は激昂。
「ほざくなブスが!」
「おう、てめーらみてーな軟弱モンにはわかるめーが、オレたちゃこれから戦いにいくのよ。武者ぶるってんのよ」
下卑た言い回しで嘲弄する柔道部員たちの振る舞いに、ついに桜子に火がついた。
「なに、いってんのよ!それじゃああんたたちのほーが、よっぽど軟弱なんじゃない!バッカじゃないの!?」
見事なまでの桜子の啖呵に、ついにブチギレた酒井が手を振り上げる。
そして――それを巧が止めた。
「つけあがってんのはどっちだよ…え!?」
いつにない凄味をきかせる巧。車内の緊張感が一気に高まった、そのとき――。
「やめねーかてめーら!」
浅野は手の中で弄んでいたクルミを握りつぶしていた。
「オレたちが軟弱かそーでねーかってのは試合場でみてもらおうじゃねえか」
ものすごい貫禄で酒井を着席させる浅野であった。
ところが、次のバス停は「老人福祉センター前」。団体さんのご乗車です。
「いや――学生さん悪いのお」「なにせわしら年寄りばかりでのお」「ほんにありがたいありがたい」
「いーえ…どーいたしまして…」
結局、席を譲らざるをえなくなる浅野たちだった。
ちなみに彼らは昨年度の地区予選で準優勝した、赤石林業高校の柔道部である。
しかし、この春高校生になったばかりの巧たちが、彼らの顔をしらないのもムリはなかったのだった。
いかにもかませっぽい強豪キター
地区予選で準優勝なんて手頃過ぎ
年寄りの団体にはさすがに勝てなかったかw
「さて、座れるかしらねえ」といったバーチャンいい味出してるな
保奈美はやっぱ完全に彼女なんだな
最初からデキてんのって珍しい
桜子ー、言いたいのはわかるけど危ない、危ないよ
バスの中で喧嘩売るって桜子も大概ドキュン
>>206 でも、なんかやたらと巧と桜子絡ませようとしてね、この作者
個人的には桜子のほうとくっついてほしいなー
石塚→保奈実→巧→杉→桜子→石塚
三溝→茂→龍子→吉岡→藤田
巧は自転車運無いな
212 :
1/2:2008/05/25(日) 21:55:20 ID:???
第16話 予選会場
全身に迫力を漲らせて試合会場に乗り込む赤石林業柔道部、のはずであったが、
「あの――すいませーん、ちょっとお聞きしてよろしいですかあ?」
女性に免疫の無い彼らは保奈美に話しかけられ、ふにゃららと顔を緩ませる。
にこやかにテンポよく、彼らは保奈美に質問されるままに、ぺらぺらと喋り倒してしまう。
「選手のかたってどなたですか?」
「あっ、えーと。先鋒はこのオレ、酒井っていいます。二段っス。
次鋒はこの人、今井さん、二段ね。中堅は西村、初段。
副将は宮沢さん、二段。そして大将はうちの主将、浅野さん。当然二段!」
オホンと襟を正す浅野。二段が四人、酒井と西村が二年生、他三人が三年生という構成らしい。
「どういう技が得意なんですか?」
「こういうワザ」と、酒井はE・Hエリックのモノマネで耳を動かしてみせる。
「やだー、ふざけないでくださあい」「ごめんなさーい!」
なんとも和やかな雰囲気である。
「質問にはマジメに答えてやれ、悪いだろ」
浅野に言われてそれぞれの得意技を保奈美に語る一同。
さて――そこに巧と桜子到着。保奈美と、彼女と話し込むバスでの柄の悪い柔道部に気がつく。
快く話をしてくれた赤石林業の皆さんにお礼を言って、保奈美は巧たちに駆け寄る。
「なにしてたの今?」「ちょっとスパイ活動を」
盛大にこける赤石林業の面々だった。
保奈美は試合当日になってもまだ出場校を調べていたのだ。まさにマネージャーの鑑。
「スパイ活動って…いまのがかぁ?」
「しかし、みずから結構いろいろしゃべってしまった――っ!」
「バカヤロウ、まぬけな手にひっかかりやがって!」
情けない部員に怒る浅野だったが、「まじめに答えろ」と言ったのは当の本人。
「まあすんじまったことはしようがねえんだ!
なーに、少しばかり相手にしられようが、オレたちの強さには関係ね――!」
浅野主将の貫禄及び求心力はだだ下がりだった。
去り際、保奈美に挨拶をされ、ついつい一列に並んで会釈を返す赤石林業。哀しい男たちの姿である。
213 :
2/2:2008/05/25(日) 21:56:19 ID:???
会場ではあちこちで、試合前の軽い打ち込みが行われている。
いかにもごつい男達の集団を目の当たりにした茂が愚痴る。
「いったい、こいつらのどこが高校生なんだぁ?」
「まあ、みんな柔道部員だからな…」
そこに石塚登場、と、その横に女子生徒が一人。
ショートカットが可愛い彼女は佐鳴高女子部二年の袴田さん。今日は男子の応援に来たのだという。
彼女は昨日の女子体重別選手権予選、48キロ以下級で優勝したそうである。
「今日はあのかわいいマネージャーさんたちは?」
「いたっけそんなの?」「さあ?」「いちおう女みたいのなら二人ほどいたけど」
失礼な物言いに、メガホンが歪むほど桜子にぶん殴られる杉と茂。ミッタンは頭に手が届かないため助かった。
対峙する巧と石塚。いよいよ約束を果たすとき――というのに、後ろで騒がれ緊張感台無し。
三方ヶ原工業ベンチでは、藤田が一人、目を閉じて精神を集中していた。
そこにやってくる吉岡先生と久留間主将。今回の試合に藤田をレギュラーとして起用するという。
強豪、三方ヶ原工業がこの地区の頂点に立って20年。
その間、夏の大会の正選手として一年生が抜擢された例は無い。
吉岡先生はその伝統を破ってでも、藤田にかけようというのである。
多大な期待に「荷が重いか」と尋ねられた藤田は、澄んだ瞳で返答する。
「とんでもない。望むところです」
赤石林業ベンチ。試合を目前にして意気の上がる選手たち。その一回戦の相手は――。
「聞いたことねえ学校でよ。浜名湖高校だって」
「うちの高校なんですけど」
なぜかそこにいる龍子先生。どうも迷子になっていたらしい。
先生を呼ぶ桜子の姿に気付いた赤石林業。
「なるほど…ヤツらが一回戦の相手とは…」
保奈美黒いwwwww
いや、赤石林業が抜けてるだけだろw
かわいく攻めてくる女には弱いんだなw
林業って事は男子校だろうし、おっとりとした美人に対する免疫が無いんだろうな
ついつい自慢したくなっても仕方が無い
モテナイ男たちの自然な反応だよ(´・ω・`)
保奈美は天然の黒真珠
電柱組にインタビューする大山さんかとw
>>219 お茶出してもらって丁寧に対応される訳だなw
きれいな藤田w
223 :
1/2:2008/05/26(月) 21:29:23 ID:???
第17話 試合開始
対戦表を見て溜め息をつく浜高メンバー。無理もない。相手の赤石林業は去年の準優勝校なのだ
「キャ――すごい偶然!よかった――、ちょうど今朝、チェックしたばかりよ!」
喜ぶ保奈美だったが、そういう問題ではなかった。
自分の対戦相手を尋ねる巧。
赤石林業の先鋒はヒゲ坊主、酒井。得意技は左右に変化する背負い投げと大内刈り。
このデータがあれば楽勝!と楽観的なのか能天気なのか微妙な巧であった。
「みんな、なにをそんなに落胆しているのだ!昨年の準優勝なぞたいしたことない、ない!」
龍子先生がハッパをかける。
浜高は優勝校の三工を相手に互角に戦ったというが――あれは一年生同士の試合の話ですので。
そこに現れる倉田典善六段。
四段以上は審判員の資格があるので、手心を加えるよう桜子は典善に要請する。反則を通り越しています。
アドバイスを求める巧だったが、名前と得意技だけではさすがに助言のしようがなかった。
相手メンバーの顔を知る保奈美を連れて、典善は赤石林業の練習風景を見に行く。
「おっさん、なんとかなんのかい?」
「さあな……わからん」
にやりと笑う典善だった。
わずかな時間で赤石林業の五人の未完成部分を見切る典善。
「どうせ、本当の弱点なんて、試合でもみなきゃわからんよ。でもな…
今の打ち込みで、それぞれだれの技のどこがまだ未完成なのかぐらいは見当がついた」
「ええっ、まだみんな不完全な技しか身につけてないんですか?」
驚く保奈美。もちろん、それは典善から見ればの話だが。
中学から数えれば、皆それぞれ五、六年のキャリアがあるのは間違いない。しかし――。
「五、六年ってことは、まだ幼稚園児並ってこった。よちよち歩きから、やっとぬけだしたくらいだよ」
「そんなに奥が深かったんですか…」
柔道の奥深さに感心する保奈美。
「深いっていうより長いってんだろうな。柔道っていうくらいだから。
本当のところオレだってまだ100パーセント完璧な技なんてもってねえんだ」
224 :
2/2:2008/05/26(月) 21:30:33 ID:???
戻ろうとした二人は、そこでサングラスに無精ひげの赤石林業の顧問、松田につかまる。
今年こそ三工の連続優勝を止めると抱負を語る松田に対し、
「確実に去年のチームを上まわっているよ」と典善。これは決してお世辞ではないらしい。
お墨付きをもらい、得意満面の松田だったが――浅野が典善の隣の保奈美に気付く。
浜高と典善がつるんでいるのではないかと疑う浅野を松田は笑い飛ばした。
「オレたちの目標は優勝だろが!決勝戦のことだけ心配してろ!わかったか!?」
開会式も終わり、いよいよ試合開始。
典善は赤石林業の強さを素直に認め、「普通では勝てねえぜ」と断言。
しかし、やりようによってはそれをひっくり返せるという。
まずはオーダーをいじる。
ミッタンは中堅に。副将が茂。次鋒が杉。大将は斉藤。先鋒はそのまま巧がつとめる。
「このオーダーであとはわしの作戦どーりにすれば互角に戦えるだろ。
まあ勝つとしても2−1か3−2とかギリギリの線だな」
その口ぶりではどちらにしろ、誰か一人は絶対に負けを見込んでいるようなのだが。
「おまえだよ、坊主!」
名指しされてヘコむ巧。
「おまえの強さはよくわからんからなあ。アドバイスもしづらいんだよなあ」
結局、巧の作戦は「当たって砕けろ」ということらしい。
そして――。
「赤、先鋒 酒井くん!」
「へっへっへ。因縁の対決ってのになったぜ!」
「白、先鋒 粉川くん!!」
「気楽にいけよ、おまえは数のうちに入ってねえんだから」
「ちっ、バーロ!」
バーロって…w
これは流行るよかん!
?
普通に使う言葉じゃん
ヤバそうな顔してんな、松田w
「バーロ」は植田まさしの漫画で頻出するよな
この漫画、いろんな漫画のパロディが入ってる気がする
普通に誰が勝つか予想してみるか
巧 勝ち(主人公だし)
杉 負け(演出的に勝った後には負けるだろ)
ミッタン 負け(気の弱さが出る)
茂 勝ち(1-2で後が無いことと、ミッタンが負けたことで気合が入る)
斉藤 勝ち(接戦の末に勝ちそう)
なぜか突然リアルな柔道漫画に変化して
0-5で1回戦負けとかになったらある意味で見直すぞ。
231 :
1/2:2008/05/27(火) 21:39:33 ID:???
第18話 赤石林業戦PART・1
赤石林業先鋒、酒井(二段)。
彼の得意技である「左右に変化する背負い投げ」というのはどのようなものか。
倉田典善六段が杉を相手に実演してみせる。
通常、背負い投げは右利きなら右、左利きなら左しかできない。
しかし変則的にだが、左右どちらも使えればかなり実戦的な技になる。
・右の背負いをまずかける。相手は投げられまいと左に体重を移動する。
・実はそれがフェイントで、すかさずこちらは左の背負い(正確には左の袖釣り込み背負い)に変化する。
・あわてて逆に体重をかけようとしてももう遅い。相手は吹っ飛んでいるというわけである。
手の内が分かれば、わざわざハマるバカもいない。
酒井が仕掛けてくる右の背負いを、巧は左に変化すると読むが――。
「あ――っ!!」「なんでこらえねえんだ〜っ!」
背負いは変化せず、そのまま投げ飛ばされてしまう。
巧は捨て身のブリッジでこらえるが、酒井に顔面にのしかかられて潰され「技あり」。
(※ちなみに柔道のルールでは、ブリッジで耐えてもしっかりとポイントは取られます)
オマケに巧は頭の上からどこうとしない酒井に対して暴言をはき、「指導」まで取られてしまう。
例えワザとであっても、そうなるよう仕向けた相手のテクニックが一枚上。
さすがは去年の準優勝校である。
考えてみれば、かけてくる背負いがフェイントか本気かは投げられるまで分からないのだ。
さらに酒井は小内掛けとみせかけたショルダータックルで巧を吹っ飛ばす。
度重なるラフプレーに涙目の保奈美を桜子はなんとかなだめるものの、既にポイント差は歴然。
普通なら、このまま守りに入るところなのだが――。
232 :
2/2:2008/05/27(火) 21:40:30 ID:???
(まだまだだぜ、コイツだけは一本できめてやる)
(柔道やってるヤツが…あんなにカワイイ娘といっしょに)
「ヒゲつかんで投げちまえーっ!」ひとりはナマイキだが…。
(青春やってる事実なんか…)
「絶対、オレは認めねーぞ!」
柔道マンの執念にかけて一本を狙って仕掛けてくる酒井に、巧も覚悟を決める。
「こうなりゃ、みせてもらうぜ、左への変化!」
酒井の右背負い。フェイントとはとても思えない強烈な引きに、巧は全力でこらえる。
その瞬間、酒井は引き手を離し、体を返して超変形の左背負いへ。だが――。
「悪いけどなァ…右の背負いをこらえていれば、左の背負いがくることだけは、
こっちにゃわかってたんだよっ!」
足を前に踏み込み、左背負いをかわす巧。体勢の崩れた酒井に今度は逆襲の左一本背負い。
「だ――――っ!!」
酒井は背中から畳に叩きつけられる。
「一本!」
(くっ…そんなバカな…)
自分が負けたことを信じられなず、転がったままの酒井の顔面めがけて巧のエルボーが落下。
「…惜しい」
やられたことはきちんとやり返す巧であった。
「なに、やってんのあんたは!」
233 :
業務連絡:2008/05/27(火) 21:41:27 ID:???
次回は一回休載して、単行本2巻のおまけを紹介します。
エルボーw
あれはヤバいだろ
直撃してたら反則負けだなw
無理してオチをつけようとしすぎだな
後味悪いよ河合さん
こいつらそのうちこのノリで
ストリートファイトとかやりそうだなw
>「なんであんなのと巧くんを当てたんですか?」
何気にひどいぞ、桜子w
あんなのw
浜高の他の連中にもヒドイw
準決勝あたりで色男君の高校とあたって決勝で藤田のところだろうな
ALL1年の5人しかいないのに決勝まで行くのは少年誌としても安直すぎるが
2強の一角を1回戦で潰しちゃう展開だから仕方ないか
あれ?すれぬしがいなくなった
save
244 :
業務連絡:2008/05/30(金) 23:54:50 ID:???
アクセス規制に巻き込まれてしばらく書き込みができませんでした。
今回は2巻のオマケ、明日から正式に再開します。
245 :
1/2:2008/05/30(金) 23:55:10 ID:???
○単行本第2巻 (表紙:杉清修 裏表紙:海老塚桜子)
・四コマその1『シーラカンスせんせい@』
1.龍「わたしだって毎日、ガキどもの相手ばかりじゃつまりません」
龍「女教師といっても花のOLですもの」
2.たまにはディスコでおどったり
大人のフンイキでお酒のんだりしたいのだけれど
3.龍「でも、顧問もけっこう大変」(はひー)
龍「雑用とか多くてめったに遊べなかったりして」
4.でも、昔の友人(フツーのOL)なんかに会うと…
友「高校の先生なんだって?」「いいわね、いつも若いコにかこまれて」
ちくしょーこいつらにこの気持ちがわかってたまるかい
246 :
2/2:2008/05/30(金) 23:56:01 ID:???
・四コマその2『シーラカンスせんせいA』
1.龍「実はわたくし高校で数学おしえてますの」
龍「わすれてたでしょ?」
2.龍「だけど、自分の担任のクラスが数学、学年一悪かったりして」
龍(トホホ、いたらないわたし…)
3.巧「先生、元気だせよ!」
茂「若いうちはなんだって勉強さ」
龍「ありがとう。それじゃみんな協力してくれるのね?」
4.龍「というわけで今日から平均点下げてるヤツをのこして補習!」
茂(言わなきゃよかった…)
巧(四コマのオチはこうでなきゃね…)
・業界初の大好評企画!! 輝け!第2回『絵筆をもってね!』
選評/河合克敏 応募総数:210点 入選:40点
グランプリ:千葉県・谷津由紀〔保奈美・桜子〕
準グランプリ:東京都・山本一輝〔浜高メンバー〕
岩手県・菊池百合子〔久留間先輩〕
>若いコにかこまれて
おばさんはよくそんなこと言うよな
248 :
1/2:2008/05/31(土) 21:36:31 ID:???
第19話 赤石林業戦 PART・2
巧の勝利に会場内は騒然。
それもそのはず、相手の酒井は去年秋の大会、中量級4位の実力者だったのだ。
勝ち誇る巧だったが、いったいいつの間に左の一本背負いなど身につけていたのか。
「オレ、左で投げてた?」
どうも無意識だったらしい。あぐらのままコケるメンバー。
「ええーい、まぐれだまぐれ勝ち!」「やっぱコイツ信用できねー!」
次鋒戦 杉VS今井
「いけよ――杉!おまえは実力で勝て――!」「今まで明らかにされなかったその実力で!」
「ちっ、いー気になりやがってえ。一年坊主が…」
腕力で勝る今井が開始早々強引に内股をしかけるも場外。
(へっ、上背があるから調子くるっちまった)
あくまで杉を格下と見下す今井だったが、杉のほうもなにやら不敵な表情。
「みた?」「ああ…おっさんのいうとおりだったね」言葉を交わす巧とミッタン。
「ただでさえ上背のある杉は投げづらいのにな」「あの今井ってやつもかわいそーに」
「あんな弱点があったとは」「これでもう杉を投げることはできんな」
なにやら余裕綽々で観戦する浜高メンバーであった。
果敢に仕掛けるもなぜか攻めあぐねる今井。
投げようとしてうまくいかず、自分から体を戻してしまう。
浅野はその様子を冷静に観察していた。
「今のは…いやその前の内股も封じられていた。むしろ、あのままいったら返されていたかもしれない」
249 :
2/2:2008/05/31(土) 21:37:30 ID:???
今井の技は見切られていた。しかも一年生相手に。赤石林業顧問の松田の目に倉田典善の姿が映る。
「がんばって杉くん!」「自慢のジェットで敵をうて――!」
桜子に怪獣扱いされて怒る今井は意地でも一本勝ちを狙おうとするが――。
「今井!深追いするなっ!確実にポイントをかせげ!判定勝ちでもかまわん!」
なんと松田は堅実策を指示。しかし、既に遅かった。
次鋒今井の弱点。それは相手の懐に飛び込むとき、必ず肘で脇腹を叩くようにタイミングを取ること。
「足腰には自信があるのよ!返し技なら大得意だぜ!」
杉は今井の小内刈りを、小外刈りで見事に切り返し、「技あり!」
そこで典善の声が飛ぶ。
「絞めだ杉!逃がすんじゃねえ!」
その言葉に反射的に十字絞めに入る。しかし今井の太い首に本当にそれでよいのか。
ところが――絞めに入ってからたった五、六秒で今井は落ちて(気絶して)しまったのである。
「にくいっ!最後はスペシュウム光線かあ?」
絞め技で何度も落ちる経験を重ねると、体が慣れて落ちやすくなってしまう。それが「落ちグセ」である。
これが今井の二つ目の弱点。
典善は以前、どこかの試合で今井が絞めで負けたのを思い出し、怪しいと睨んだのだ。
「根性がウラ目にでちまった悲しい例だな。
おまえらも練習の時ぐらいは意地はらずにヤバイと思ったら『まいった』すんだぜ」
これで二試合が終了して2−0。昨年の準優勝校、赤石林業ははやくも追い込まれてしまった。
勝ち名乗りを受けた杉は調子にのって「でゅわっ!」とウルトラマンの真似。
「えーい、とっとともどれ!」
その背中をミッタンに蹴り飛ばされる。
杉の弱点はジャンプの着地の瞬間、無防備になってしまうことであった。
ウルトラマンw
て、まさかの三連勝くる?
巧で1つ予定より多く勝ってるんだからもうイケイケになんのかな
ちょっと見ただけで弱点がわかるなんて
すごい人を味方に付けたな
まあ、名人級なんだろな
何しろ六段だし。
前に剣道やってる人の話を聞いたんだけど、
大学でバリバリ現役の三段の人が五段のオッサンにまるっきり歯が立たなかったって。
武道ってそういうのがあるんじゃないの?
>>254 自分はバリバリ現役ってわけじゃないが
20代の剣道三段で週に何回か道場に通ってるのだが
60代の七段の人には歯が立たない
段位ってのは強さを計るだけのものじゃないけど
実力が備わってこその段位だとも思うよ
へー。奥が深いんだね。
あ、長いんだっけ。
何気に255もすごい。
四、五段ぐらいが最も油のノっている時と言うのが普通だな
これは柔道剣道の武道に限らず、将棋や囲碁ですらそうだ
理由としては、この辺りからさらに査定が厳しくなるのと
選手生命の内で最も気力体力が充実してる時と重なるから
これ以降で八とか九になると実績や貢献度も考慮されるから
どうしたって全盛期を過ぎている場合が多い
これで杉の特性が分かったな。
スピードの宮崎。パワーのミッタン。
テクニックの斉藤。ここ一番の爆発力の巧。
返し技の杉。
…あれ、杉だけ地味じゃね?
259 :
1/2:2008/06/01(日) 21:59:32 ID:???
第20話 赤石林業戦 PART・3
「よーし、2−0と赤石林業を追いこんだぜ!」「ミッタン、おまえで勝ちを決めちまえー!」
「西村、後がねえぞ、絶対に勝てよ!」「おまえはこれまで公式戦無敗だ!負けるはずねえ!」
中堅戦、三溝VS西村
浜高はこれに勝てば二回戦進出、赤石も三タテをくらうわけにはいかず、両校の応援も熱が入る。
「おっさん、ミッタンにはどんな作戦をたてたんだい?」
「そうそう」「杉の時は見事にハマったからな。聞かせてくだせえよ」
ミッタンへの倉田典善六段のアドバイスは一つだけだという。
「別に…ただ――相手の奥エリを深くつかめっていっただけだ」
「はあ…?」「…たったそれだけ?」
酒井、今井と連敗を喫し、浮き足立つかと思われた赤石陣営であったが、大将の浅野は平静を保っていた。
「思いもかけない2敗だったが、西村ならなんとかしてくれますよ。
なにしろヤツは身長190センチ、体重105キロ、この地区じゃ最大の怪物選手だ」
浅野が絶対的な信頼をよせる男、西村。
だが、その彼の目の前に立ったのは――。
(で…でかい。オレよりでかい…!)
「はは――驚いてる、驚いてる。でけえもん、ミッタン」「今、どのくらいだっけ、身長?」
「195センチ、110キロとかいってた。いまだ成長期だもん」
そして試合開始。
(“奥エリをつかめ!”本当にそれだけでいいのか、わからんけど…)
典善の助言に素直に従い、西村の奥エリを取ったミッタン。
そのとたん――西村は急に弱気になり、自分から腰を引いてしまう。
その試合ぶりはまるでシロウトのそれである。そこでようやく浅野が気付く。
「ヤツは自分よりでかいヤツと戦ったことがないんですよ。あいつ、生まれて初めて他人に奥エリをつかまれたんだ。
自分よりデカイヤツに対して戦う方法を全然しらないんだ!」
結局、試合は終始、ミッタンが押していたわけなのだが…決め手が出ないまま時間切れ、引き分け。
しかし、浜高としてはこれで作戦どおり。2敗1分けになった赤石林業は本当に後がなくなってしまった。
260 :
2/2:2008/06/01(日) 22:00:47 ID:???
副将戦、茂の相手は丸々とした重量級の宮沢。
赤石林業の黒星は両方とも一本負けなので、彼らは残りの二戦をともに一本勝ちしなければ、
その時点で内容で負けが決まってしまうのだ。
「宮崎――!」「秘密作戦その3だぞ」
「おう、まかせたまえ!この私が一回戦突破を決めてごらんにいれよう!」
浜高陣営の秘密作戦なる言葉が気になる宮沢。
試合が始まったものの、茂は組み手争いどころか、相手に体を触らせることさえ嫌って逃げ回る。
「よーし、宮崎、相手に組ませんな!」「反則とられてもかまわんから!」
「優勢勝ちくれてやっても、こっちの勝ちは決まっちゃうんだからよ!」
(な、なんだと!じゃあハナからまともな勝負をする気ねえのかよ…!)
不敵に笑う茂。
相手の意図を理解し、焦ってつかみかかる宮沢。
「くそーっ!なんて、ヒキョーなやつらだ――っ!」
だが――。
「これをまってたんだよっ!」
茂、このタイミングで捨て身の浮き技。じらしまくってその隙を突く戦法だったのだ。
しかし、そこで宮沢が執念を見せる。
「ええーい!そーはさせるかっ!」
意地でも茂を離さず、二人一緒にでんぐり返し。気がつけば、宮沢が上になって押さえ込んでいた。
「ちょっと相手が丸すぎた…ついでに宮崎が軽すぎたな、こりゃ」
呆れる典善。試合はそのまま押さえ込み一本。
内容はともかく首の繋がった赤石林業。顧問の松田は後を大将の浅野に託す。
「赤石林業のナンバーワンの力をヤツらに見せてやれ」
対する浜高の大将は斉藤。
「さてと。やっと出番か」
でかいとやっぱりいいよなー
でかいってだけで有利なスポーツも多いしな
柔道詳しくないからわからないんだけど
宮崎が足を引っ掛けてたのはノーカンなの?
浮き技しかけたときのポイントってことか?
相手のほうが畳につく前に宮崎の体ごとひっくり返してるから
無効ってことじゃないかな、多分。
265 :
マロン名無しさん:2008/06/02(月) 21:10:28 ID:7TpbkROQ
ミッタン第一話の時点で180以上あったのに、
一年足らずでさらに10センチも伸びるって成長期にもほどがあるだろ。
宮沢と宮崎、名前はそっくりなのに凄い違いが出てるよね
267 :
1/2:2008/06/02(月) 21:25:09 ID:???
第21話 赤石林業戦 PART・4
「白、大将斉藤君!」
「赤、大将浅野君!」
ついに始まる大将戦に、応援のボルテージも上がる。
「斉藤――、絶対一本負けすんなよ――!」
「2−2のタイになんかもちこませんなー!」
「代表戦になっても誰もでたかないんだからな――っ!」
それが本音か。
赤石林業側は大将戦も代表戦も、共に浅野でいくつもりである。
彼に対する顧問の松田の信頼は厚い。
さて、そんな強敵と相対する斉藤に、倉田典善の与えたアドバイスとは――。
「それがなぁ、弱点らしいとこがなくて…」
スカートで盛大にコケる桜子。パンツ見えてたぞ。
典善は斉藤に無理して勝てとは言っていない。
しかし、実力者の浅野相手に逃げて逃げ切れるものでもない。
「逃げてもダメ、組み負けてもダメ。だから組み手争いのうまい斉藤にこの正念場を任せたんだ」
対戦者の浅野も斉藤の力量を感じ取る。
刃物の上を渡るような、ギリギリのシビアな戦い。
斉藤は特に何の策も無いまま戦っているのである。
しかし、典善は「ひとつだけ奇襲戦法を教えといた」という。
「まぁみていればわかる。それに斉藤ならヘタな策など必要ないかもしれん」
268 :
2/2:2008/06/02(月) 21:25:48 ID:???
強引に振り回そうとする浅野に対し、斉藤は自ら後ろに跳ぶ。そこから切り返しの小外刈り。
相手の襟を取っただけの不完全な状態から仕掛けた技だったが、
斉藤はさらに空いた右手で浅野の浮いた足をつかむ。
(残った左足を払う気か!!)
とっさに浅野は反応して体をひねる。
かなりムリヤリだが体勢は払い腰の形。二人はもつれ合ったまま場外へ。
息の詰まるやり取り。浅野も「高校一年生のレベルじゃない」と斉藤の実力を認める。
(しかし、オレは優勝候補赤石林業の大将。こんなところで負けるわけにはいかんのだ)
今の斉藤の足取りは典善の教えたものではなく、彼が自分で考えたものだった。いろいろと見せてくれる男である。
(よくみておけ坊主…斉藤はおまえにないモノをもっている。
そして、おまえ自身も斉藤にはないモノをもっているんだ!
おまえたちがお互いの力を吸収しあえば…必ずもっと強くなる、もっと成長する。よくみておけよ、タクミ)
そして試合はいよいよ最終局面に。
(今だっ!)
斉藤は右手で浅野の右袖をつかみ、交差させるように左腕を浅野の脇に差し込む。
そこから右股をつかみ――跳ね上げる!
もんどりうって背中から落ちる浅野。審判の声が響く。
「一本、それまでっ!」
あの赤石林業から勝利をもぎ取り、大喜びの浜高。
「今のが教えといた奇襲戦法『谷落とし』だ。
しかし覚えたての技をぶっつけ本番でああも使いこなすとは…たいした小僧だ」
> 斉藤はおまえにないモノをもっている。
> そして、おまえ自身も斉藤にはないモノをもっているんだ!
技の一号・力の二号ってことですね、わかります
天才型と努力型だろw
>>264ありがとう。
読んでるうちに柔道に詳しくなりそうだこの漫画w
桜子のパンツ桜子のパンツ桜子のパンツ
桜子のぱんつは読者に見せるべきだろjk
巧=キン肉マン
斉藤=テリーマン
巧=悟空
斉藤=天津飯
巧=アカギ
斉藤=ニセアカギ
278 :
1/2:2008/06/03(火) 21:37:46 ID:???
第22話 勝利の波紋
優勝候補、赤石林業を相手に勝利を収め、一回戦を突破した浜高は大盛り上がり。
消沈する赤石メンバーの前に、顧問の松田が立つ。
「悔いの残る試合になったが…おまえらの責任じゃない、このオレのミスだ」
相手側に倉田典善がついていたのは知っていた。にも関わらず、
正面からねじふせようとしたその判断の甘さを松田は詫び、選手を労う。
「今日はよくやってくれた。以上だ」
赤石林業敗北の報は三工サイドにも届く。
しかもその相手は先月合同練習に来た浜高だという。
大番狂わせに選手たちも反応に迷う。強敵を一つ消してくれたことを浜高に感謝する声さえも。
「おまえとしてはおもしろくなってきたんじゃないのか?」
久留間主将が藤田に尋ねる。
「そうですね…しかし、もはやどこがでてこようが関係ありませんよ」
結局、最後にものを言うのは実力。浜高などに負ける気がしないと自信を漲らせる。
「アハハハあたり前だろ――!ただおもしろいなっていっただけだよ」
久留間に背中をぶったたかれ、飛ばされる藤田だった。
279 :
2/2:2008/06/03(火) 21:38:39 ID:???
去年の準優勝校に勝ったことで、調子に乗る浜高。
「こうなったら優勝狙うしかないかなー?」という桜子の言葉も、実際、夢物語ではない。
と、巧の口元に血がにじんでいる。
先ほどの試合で切ったらしく、保奈美がハンカチで拭こうとして――集まる熱視線。
「自分でふいたほうがいいみたい」「ね」
トイレに行こうと試合場から出たところで、巧は斉藤と鉢合わせる。
斉藤の示す先――ロビーに集まっていたのは赤石林業の三年生たち。彼らは涙を流していた。
三年間苦しい練習に耐え、今年こそ優勝できたかもしれなかったのに、
それがいきなり一年生ばかりのぽっと出の相手に負けてしまう。考えてみれば残酷な話ではあった。
「ヘンな同情してんじゃねえよ」
声をかけてきたのは赤石林業主将の浅野。その横には酒井もいた。
浅野は完敗を認め、その上で言う。
「負けたことは事実、くやしいが…負けた相手から同情されるほうが、もっとみじめでくやしいもんだな」
巧たちにそんなつもりはなかったが、確かに彼のいうとおりであった。
浅野はそんな自分たちの機嫌を直す方法を伝える。
「優勝してみせろ」
浜高が勝ち進めば、それに負けたことも不思議でもなんでもなくなる。
「約束できるか?」と問う浅野に、斉藤は「最善を尽くしましょ」とだけ返す。
「それを聞いて安心したぜ」と去っていく浅野たち。これは彼らなりの激励だったのだ。
去り際、酒井が吠える。
「オレはまだ二年だ、あと一年現役だからな!新人戦でこの借りをかえしてやる!逃げんじゃねーぞ、コラァ!」
酒井の襟首をつかまえて引きずっていく浅野であった。
そして試合場では次の試合、佐鳴高校と興星高校の試合が始まろうとしていた。
負けたから即フェードアウトじゃなくて
きちっとスポットを当てるのはいいね
特に3年が泣くのはよくわかる
「優勝してみせろ」はちょっと臭いけどなw
藤田の わあ がかわいいw
佐鳴高校対興星高校、4勝1敗で興星高校の勝ち
>>282 そのギャグ一つにどんだけ長い前フリだよw
285 :
1/2:2008/06/04(水) 21:18:45 ID:???
○杉清修(初段)〔袈裟と編み笠の坊主ルック〕 16歳
身長:179センチ 体重:72キロ 組手:左
得意技:内股 大内刈り 足払い
好みのタイプ:南果歩
第23話 Who’s next
佐鳴高対興星校の試合は副将戦のここまで、なんと四試合すべて引き分け。
「技あり」以上の技が全然出てこないという異様な状況だった。
そしていよいよ大将戦。石塚の出番である。
「役目は果したからな。後は任せたぜ、石塚」「ハイ」
「赤、大将八田君!」「白、大将石塚君!」
石塚の登場と同時に黄色い声が飛ぶ。まるで親衛隊のような佐鳴高女子柔道部の声援である。
少々照れる石塚。しかし、それは対戦者である八田の方にも火をつけるものだった。
「殺す」
試合開始と同時に、まるでブルドーザーのごとき勢いで石塚に襲い掛かる八田。
その迫力に、とりあえず石塚も逃げ回るしかない。狭い試合場の中で鬼ごっこのような状況である。
これには応援団が黙っちゃいないかと思われたが――。
「かわいそ――石塚くん!」「気の毒だけどー!」むしろ彼女たちにはウケていた。
そこで審判から「待て」がかかり、石塚に対し「教育的指導」。
まるで組み合おうとしなかったのだからしかたがないが、これで石塚は逃げることができなくなった。
試合再開。再び真正面から突進してくる八田。
その足元を、石塚の右足が払う。
不意に90度傾く八田の視界。彼が畳に落ちたとき、なおも自分が投げられたことに気がつけなかった。
「い、一本!」
出会い頭にうまくタイミングが合っただけ、と周囲は評するが、実際に投げられた経験のある茂の感想は違った。
「けっ、わかっちゃねえぜ。重量級の足をタイミングだけで頭の高さまでハネ飛ばすこと自体がタダ事じゃねえんだ!」
その技の恐るべきキレに身震いをする巧だった。
286 :
2/2:2008/06/04(水) 21:19:27 ID:???
続いて三工の試合。藤田は見事な大内刈りで、高校デビュー戦を白星で飾る。
「さて、オレも勝って5−0とスタートに景気をつけてやろ」
意気揚々と出て行く主将の久留間。
「なかなかよかったぞ、今の大内刈りは。その調子でたのむぞ」「は、はい!」
吉岡先生にほめられ、喜びを隠しきれない藤田だった。その後ろで「始め!」
「一本、それまで!」「え?」久留間の試合はもう終わっていましたとさ。
その頃、浜高サイドでは――。
「T・A・K・U・M・Iタクミッ!ね、ゴロがいいでしょ」
「S・U・G・Iスギッ!間が抜けてんのよスギって」「なんだとう?」
「S・E・I・S・H・Uセイシュ――ッ!これならできるだろが!!」
応援の打ち合わせをしていました。
「なんなんですか、海老塚さん、あなたまで!」
「あーん!だって応援だって負けたくないんだもん!」
そんな浜高の様子を眺める三人組がいた。
「おいおい、本当にヤツラとやるのかよ」
「あの赤石林業を破ったって聞いたから、どんなヤツラかとおもったら」
不敵な表情をたたえる三人。その柔道着には「北」の一文字。
「赤石もヘマをやったもんだぜ」「わからんよ、とんだくわせ者かもしれねえぜ」
>好みのタイプ:南果歩
なんとなくわかるw
288 :
1/2:2008/06/05(木) 21:31:24 ID:???
○海老塚桜子〔チャイナドレス〕 15歳
身長:160センチ B:78 W:58 H:80
得意技:どつき漫才
理想のタイプ:寺田農
第24話 策士
浜高、佐鳴、共に二回戦進出が決まり、シードの三工はすでに三回戦へ一番乗りを果たした。
浜高の二回戦の相手は岡松北高校、通称北高。
「北高ってどんなトコなんでしょうか、現場の保奈美さーん」
はい、こちら現場です。それでは北高チームを紹介します。
こちらの情報によりますと、選手は二段が3人初段が二人。戦力的には赤石林業を少し下回るというカンジでしょうか。
ポイントゲッターはこのお二人。三年生の飯田さんと中野さん、共に二段ですね?「えっ?は、はあ…」
当然、このお二人のどちらかが主将だと思うでしょうが、実はそうじゃないんですね――。
こちらが主将の山本さんです。「おい待った。カメラはかんべんしてよ」
体格はあまり大きくありませんが、この人はただ者ではありません。
なんと昨年の新人戦、軽量級優勝とゆうとても強いかたなんです。
「ププッ!やだ――、本当に保奈美より小さい!」ピクッ
そ、それでは現場は以上ですっ!「てめえこの!」「きゃあ!」
保奈美と桜子が撮ってきた北高の情報だったが、皆の関心はビデオウォークマンとハンディーカムの方に。
ちなみにこれらは龍子先生の私物です。
どこが相手でも倉田典前六段がいる以上関係ない――。
たかをくくる浜高だったが、典善は役員に頼まれて別の試合の審判に。
二回戦にはとても間に合いそうにない様子である。
「こまるぞ顧問!そうゆうことじゃ!」「なにい先生に向って!」「あ――、もうダメだあ!」
諦めるには早すぎる、と斉藤が指示を出し、北高の一回戦のオーダーを保奈美と桜子に調べに行かせる。
斉藤に場を仕切られて、部長の杉、顧問の龍子先生、共に立場なし。
係員に一回戦の記録をもらう保奈美と桜子の視界に映る、北高の山本の姿。彼は保奈美たちの方を見ていた。
289 :
2/2:2008/06/05(木) 21:32:10 ID:???
一回戦の北高のオーダーはポイントゲッターの中野と飯田がそれぞれ副将と大将、山本は先鋒。
残り二人はさほど強くないのでこの二人を確実に仕留め、三強を引き分け狙いで行くことに。
引き分けを狙うには体格が似ている方が良いのだが、茂の相手の山本は軽量級ナンバーワン。
斉藤の相手の飯田に至っては重量級の体格である。
「テクニックで重量差を克服するにも限界があるぜ」と茂の憎まれ口。
「オレが考えた作戦だ。なんとかするさ」「フン、じゃあ、オレもなんとかしてやるよ」
そして双方選手入場――その浜高の並び方を見て、山本は何やらほくそ笑む。
「白、先鋒宮崎君!」
しかし、対戦者として茂の前に出てきたのは――。
「赤、先鋒中野君!」
なんと、オーダーが一回戦とは全然違う。
中野が先鋒、飯田が次鋒、そして山本が中堅に!浜高は完全に裏をかかれた。
「まぐれだろうがなんだろうが、ヤツら赤石林業に勝ったんだ。よほどうまい作戦を立てたんだろう、策には策よ」
精神的に崩れかけた浜高メンバー、しかし、それをまとめたのは巧だった。
「要するに前半3人のうちにひとりでもくいとめて、後半に望みをつなげるしかない――。
そうだろミッタン!宮崎よお!
3人が死にものぐるいでやれば一人ぐらい勝てる!
そうなりゃこっちのもんだぜ!一人だけでいいんだ、カンタンよ!」
巧の言葉に茂も腹をくくる。
「仕方ねえ!そろそろ本気だすかぁ?」
斉藤は腕組みをして巧を見つめる。
(いうときゃいうじゃねえの。今度ばかりは美味しいトコさらわれちまったね)
確かに3人のうち1人でいいって考えりゃ気は楽だな
3連勝のフラグだなこりゃ
SONY・ビデオウォークマン・ハンディカムと商標三連発
ほしいんですね
なんかまたちびっ子が出てきたな
>たかをくくる浜高だったが、典善は役員に頼まれて別の試合の審判に。
これはありえない話だと思うんだ
倉田典善が審判やる理由が無いからね
これより小規模な区の大会ですら、1つの試合会場に何人も審判がいて
交代交代で審判やっていくんだから、急に人が足りなくなったってことは無いし
そもそも全国大会で普通に観戦していた人が急に審判やるっておかしいでしょ?
作者は倉田典善の補助が効かない状況で戦わせたかったんだろうけど
だったら審判やらせるより、典善に言わせりゃ良かったんだよな
「俺に頼ればいいと思っているようだが、これからずっと俺に頼る気か?
俺がいない時はどうするつもりだ?」とかなんとか
実は集団食中毒だとか
>>294 まあ半分ギャグ漫画だしあまり細かいことは突っ込んでやるな
>>294 警察なんだし、それらしい理由のほうがよかったんじゃね?wこの漫画の雰囲気っぽく。
茂かわいいよ茂
299 :
1/2:2008/06/06(金) 21:07:12 ID:???
○宮崎茂(初段)〔アーミールック〕 15歳
身長:160センチ 体重:58キロ 組手:左
得意技:背負い投げ 一本背負い 巴投げ 浮技 小内刈り
好みのタイプ:永井真理子(こいつマジに答えてるな…)
第25話 岡松北高戦 PART・1
先鋒戦 宮崎VS中野
一回戦で唯一黒星を喫している茂を大穴とみなす北高。
しかし実力では決して引けをとっていたわけではないはずである。
組み際を狙い一本背負いをしかける茂。
「いやああっ!」
だが、持ち上がらず不発。そのままつぶされてしまう。
「逃がすな、中野!そのまま寝技、いけ――っ!」
力ずくでひっくり返される茂。寝技になれば体重の軽い茂に勝ち目は無い。
とっさに後ろへ転がり事なきをえる。
しかし、茂はそれで止まらなかった。一度完全に防がれたにも関わらず、矢継ぎ早に技を仕掛けていく。
(こ、こいつ!気をぬくヒマも与えねえ気か!)
攻撃こそ最大の防御。相手にペースをつかませなければ勝機もでてくるかもしれない。
――しかし、試合開始後4分を切る直前…ついに中野は宮崎をとらえた。
疲れて動きが鈍ってきたところを体落としで「技あり」。
残り時間は1分を切った。
すかさず逃げにまわる中野。
相手は二段。守りに入られてはポイントを取り返すことは不可能に近い。
しかし、茂にはまだ出していない得意技が一つあった。
300 :
2/2:2008/06/06(金) 21:08:04 ID:???
「巴投げならムリだぜ、巧」
「えっ、なんで?」
「自分より手足の長い相手をどうやって巴で投げんだよ」
その形を頭の中で思い浮かべれば自明の理。
無理に投げにいっても手足をついて防がれてしまうのだ。
「いや…このままじゃ終わらないよ、茂は…」
静かな信頼をたたえて試合を見つめるミッタン。
(それにしてもちょこまかと本当にうるせえヤツだぜ。どこからこんな力がでてくるんだ?
このままでも勝ちは勝ちだが…うっとおしい、黙らしてやろうか!)
止めを刺そうと仕掛けてくる中野。
その両袖を茂はつかむ。
「むっ」「両腕を?」
セオリー外の変則組手。
そして、その体勢から――巴投げ!
「ぐっ…!り、両手がっ…!!」
後ろに倒れこみつつ中野の体を足で跳ね上げ、畳に落とす。
「一本!」
「やったっ!!みろっ茂が勝っただろ!」感涙にむせぶミッタン。
「なるほど、その手があったか」斉藤も納得して頷く。
身長差がある相手には、普通に両エリをとって仕掛けても手をついて防がれてしまう巴投げだが、
茂は相手の両腕を封じることで、その欠点を克服したのである。
「ふうっ!さすがにしんどかったぜ」
>>299 永井真理子キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
今日から宮崎のファンやってやる。
宮崎似の女とか出てきたら乗り換えるけどな。
まあありえんかw
こういうどうにもならん相手に機転と工夫で勝つ展開は好きだな。
303 :
1/2:2008/06/07(土) 21:33:17 ID:???
○三溝幸宏(初段)〔金色夜叉(貫一)〕 15歳
身長:195センチ 体重:110キロ 組手:左
得意技:内股 払い腰 大外刈り 裏投げ
好みのタイプ:森高千里
第26話 岡松北高戦 PART・2
次鋒戦 三溝VS飯田
茂が一勝をもぎとったことで、俄然有利になった浜高。
相手の飯田に対しミッタンは上背で勝るものの、当の相手はまるで動じる様子も無い。
試合開始と同時に、真正面から四つに組み合う両者。
ところが――ミッタンの頭が徐々に下がっていく。
「み、三溝が…力で押されてる!」
飯田のとんでもない怪力で、ミッタンはいいように振り回されてしまう。
「飯田はベンチプレスで160キロもち上げるんだ!
相手がどんなにデカくても力じゃ負けたことはねえ!」
まさしく天下無敵。身長差などものともせず飯田の仕掛ける大外刈りに、ミッタンは背中から倒れる。
あわや一本、というところであったが、背中をついたのは場外。
際どいところで事なきをえた。
馬鹿力だけではなく技も切れる飯田。しかもミッタンはすぐ弱気になる性格。
どうにもならないかと思われたそのとき、茂が身を乗り出す。
「ヴァン・デ・ヴァル投げだ、三溝!」
304 :
2/2:2008/06/07(土) 21:34:33 ID:???
いきなり変なことを口走る茂に浜高メンバーも困惑。「オバン・デ・ヤンス投げって…なに?」
それは茂とミッタンが中学時代に研究をしていた技だというが――。
「ム、ムチャだよ茂!危ねえよアレだけは…」
ミッタンは拒否。
しかし茂は語気を強める。
「ミッタン!おまえならできるんだよ絶対に!」
「強気で負けちまっても、しょうがねえが。弱気で逃げんのだけは許さねーぞ!」
その言葉に何かが吹っ切れたミッタン、吠える。
「うおおおおっ!」
猛然と飯田に襲いかかるミッタン。仕掛けた技は――なんと、双手刈り。
「ダメだ!あれじゃ返される!」
「いや、いいんだ!」
今だ、と茂が合図した瞬間、なんとミッタンは飯田の体をかかえこんだまま肩に担ぎ上げてしまう。
そしてそのまま、肩越しに――後方へ落とす!
まるでプロレスのような大技に飯田は失神。茂も大喜び。
「やったぜ、ミッタン!大成功だぜ!」
○ヴァン・デ・ヴァル(日本ではバンドワールとも呼ばれていたこともある)
モスクワオリンピック95キロ以下級金メダリスト。ベルギー人。
双手刈りから相手を持ちあげ後方に投げ落とすという、まったく新しい技を開発した。
おそらく日本人以外の柔道家によってあみだされた最初の技であると思われる。
なんつー危ない技だよw
こんなの高校柔道で許されるのかw
先人が使っていたのだから今回はおkだが、以後使えば反則負けとか?
まあ裏投げあたりも一歩間違えればかなり危険な技だし、いいんじゃないのか。
しかしかなりマイナーな技みたいだが、あまり使われないって事はなにか欠陥でもあるのかね。
欠陥っつーか、アホみたいな背筋力が要求される技だしなあ
みんな必殺技持ってるんだ
すごいなー柔道って
これはさすがに危ないよな
むしろアマレスチックじゃねこの技。
あそこまで持ち上げたら後ろに叩きつけなくても1本取れんじゃね?
ヴァン・デ・ヴァル投げは危険な技とされ以後禁止→新技開発 の流れと予想。
帯を使って首を絞めるという全く新しい絞め技を開発した、とか。
>>312 ドカベン?
「持ち上げ一本」というのがあった
315 :
1/2:2008/06/08(日) 21:27:23 ID:???
○粉川巧(初段)〔鎧兜〕 15歳
身長:168センチ 体重:65キロ 組手:右
得意技:背負い投げ 小内刈り
好みのタイプ:プリンセス・プリンセスのドラマーのコ(名前知らないみたい…)
第27話 岡松北高戦 PART・3
中堅戦 粉川VS山本
「バカヤロウ!どーしてくれんだ!おめーら!」北高主将、山本の怒鳴り声が響く。
無理もなかった。既に二敗を喫している北高。
さらに浜高の副将と大将は赤石林業に一本勝ちをしている相手である。勝ち目は限りなく薄い。
苛立つ山本の目の前には巧。オーダー作戦で動揺した浜高が開き直ったのは巧の一言が原因なのだ。
半ば逆恨み気味ではあったが、彼の思惑をまんまと潰した巧を山本は許せなかった。
(こうなりゃ、ひとつ痛い目にあってもらわなきゃ気がすまねえんだよ)
戻ってきたミッタンを労う浜高メンバー。なんといってもヴァン・デ・ヴァル投げのインパクトは強かった。
「なんだっけ、ババンバ・バン投げ?」龍子先生違います。
双手刈りとレスリングのフロントスープレックスを合わせたような技。
双手刈りで倒されないようにおおいかぶさってくるのを利用して、相手を後ろに投げ落とす――。
名前は覚えにくいが、確かにミッタンらしい大技である。
「きっとこれからはハビバ・ノンノン投げの三溝と呼ばれ、他校から恐れられるように…」
「ヴァン・デ・ヴァル投げだっつうの!」
とにかく、茂とミッタンが強いところを潰してくれたおかげで、残る強敵は今戦っている山本のみ。
もはや楽勝ムードかと思われたが――いつのまにやら巧は山本に押さえ込まれていた。
山本の押さえ込みはほぼ完璧。負けは決まったかと思われた。
ところが、28秒の時点で押さえ込みが解ける。
しかし、どこか妙な展開。まるで外したというより、わざと外してもらったというか。
山本の力が突然抜けたような――。
316 :
2/2:2008/06/08(日) 21:28:34 ID:???
それにしても、先ほどから巧の技が出ない。
それもそのはずで、巧が得意とする背負い投げは相手の下にもぐりこまなければならないために、
自分より小さい相手には技がかけづらいのである。
何とか足技で崩していこうとする巧。その浅い小内刈りで突然、山本が倒れる。
好機とみた巧は先ほどのお返しとばかりに寝技に持ち込もうとするが――その腕を山本が捕まえる。
「関節技!」「腕ひしぎ逆十字固めだ!」
そう、山本は最初からこれを狙っていたのである。
巧の左肘に走る激痛。こうなると、「まいった」するしか逃れるすべが無い。
「関節技って腕が折れたら負けだと思ってたわ!『まいった』するのよ巧くん!」
桜子の声が飛ぶ。しかし、「まいった」をすれば負けを認めることに。
「ぐわっ!」痛みに耐えかねた巧が叫び声を上げ、保奈美も半ば条件反射でその目に涙をにじませる。
「負けを認めろって応援なんて初めて聞いたぜ」
嫌味たらしい山本に対し、巧の負けず嫌い、発動。
「安心しろドチビ!てめえなんかにまいったするくれーなら腕折ったほうがマシだ!」
「あ、そう」
減らず口にカチンときた山本は、さらに巧の腕を絞り上げる。
ここで巧は意を決した。
「ちっ…斉藤のマネするしかねーな…」
巧は両足で床を蹴り、極められている左肩を軸にして、なんと体ごと一回転。これには斉藤仰天。
「あ、ありゃあ!オレがやった逆十字の外し方じゃねーか!かなり強引だけど…!」
第2話で斉藤が見せた外し方は体の軟らかさを活かしたものだが、
巧のやり方はほとんどアクロバットである。
見事に着地した巧は不敵に笑う。
「いい気になって、ヒトの腕痛めつけてくれたなァ!今度はこっちの番だぜ!」
ハビバ・ノンノン三溝w
しっかり決まってるなら素直にまいったしたほうがいいよな
友達が柔道部だったんだけど
他の高校と試合してきた次の日、三角巾つけて登校してきたこと思い出した
骨とか折れた訳じゃないんだけど
関節技を耐えてたら靭帯が伸びてしまったらしい
ちょ、靭帯伸びたって大丈夫なのか、それ?放っとけば治るの?
320 :
318:2008/06/09(月) 15:34:06 ID:???
>>319 どうなんだろ?
手術したとは聞いてない気がするから
安静にしてれば治るのかな?
断裂までいってなければ自然治癒する。
ただし固定は必要だが。
>>314 ちょいと調べてみたら「抱上(だきあげ)」という決まり手が昔はあったらしい。
相手の身体を自分の頭ぐらいの高さまで完全に持ち上げると一本扱いだったんだって。
その高さから落とされたら受身をとっても危ないから「勝負あり」ってことになってたわけね。
国際化に合わせてルール改正されたときに規定の技から外されたそうだけど。
(『抱上』状態になっても『待て』がかかるだけ)
323 :
1/2:2008/06/09(月) 21:42:32 ID:???
○近藤保奈美〔サリー(インドの民族衣装)〕 15歳
身長:159センチ B:80 W:56 H:82
得意技:泣くこと
理想のタイプ:リバー・フェニックス(あ、そう…)
第28話 岡松北高戦 PART・4
窮地を脱した巧であったが、問題はまだ残っている。背の低い山本には背負い投げが通用しない。
一番の得意技を封じられて、どうやって戦えばいいのか…。
「技あり」を取られている以上、一本勝ちを狙うしかない。
巧は無理を承知で背負いを仕掛ける。
しかし――その瞬間を狙いすまし、背後から巧を捕まえる山本。
自分より重い巧をそのまま力で持ち上げる。
「裏投げだ!野郎、狙ってたな!」
「体をねじれ!背中から落ちたら負けだぞ!」
言われたとおり体をねじり――「な…!?」巧は顔面から畳に落ちた。ポイントは「有効」。
山本は寝技に移行せず、巧を立たせる。
一本勝ちが欲しいのは向こうも同じ。立ち技勝負はこちらにも好都合なのだが。
(時間いっぱい痛めつけてやるつもりだったが気が変わった。
こうなったらてめえに敗北のミジメさを教えてやる)
「背負いでもなんでもかけてこい!ぜんぶ返してやるぜ!」
324 :
2/2:2008/06/09(月) 21:43:28 ID:???
残り30秒。まだ二戦残っているからと諦めモードの杉は、あぐらをかいたまま後ろにゴロン。
「みえちゃうだろ、その角度じゃ!」その顔面に桜子のダブルニードロップ。
「海老塚ァ!てめえ両ひざのせるこたねえだろ!」
「杉、おまえおかしいよ、その首!」
杉の頭が背中の方に90度ほど曲がっているような気がするが、気にしないことに。「物体X」「しっしっ」
(ヒザ…?そうか!両ひざついての背負いならなんとかなるかもしれない!)
巧は小外刈りから山本の懐に飛び込む!
しかし――両ひざをついた状態からの背負いは反則なのだ。
「んなことぐらいしってらー!こいつの体を腰にのせちまえば充分なんだ」
「全力でっ!」「ヒザを伸ばすっ!」
山本の体はきれいに弧を描き――そのまま、畳の上に落ちた。
「一本!」
この瞬間、浜高の三回戦進出が決まった。
両ひざをついた背負い投げそのものは禁止条項に触れないが、
「危険な姿勢で技を施すこと」と、判断される場合もある。
その区別は曖昧であるが、投げながら片ヒザでも畳から浮いていればたいていは反則にならない。
浜名湖高校は残る杉、斉藤も順当に勝ち、結局岡松北を5−0で圧勝。
一年生ばかりの初出場校がついにベスト8まで勝ち進んだのである。
「正義は勝つ!」
「じゃオレたちゃ悪か、このヤロー!」
325 :
業務連絡:2008/06/09(月) 21:44:34 ID:???
次回は一回休載して、単行本3巻のおまけを紹介します。
杉キモイw
杉いいなあ
桜子もいいなあ
てかみんなキャラがいいなあ
桜子の「みえちゃう」発言に妄想が止まらない自分はもうダメですか?
330 :
1/2:2008/06/10(火) 21:33:02 ID:???
○単行本第3巻 (表紙:斉藤浩司 裏表紙:倉田龍子)
・四コマその1
1.典「おまえの最大の弱点は、やっぱり体重が軽すぎることだな」
巧「やっぱり?」
典「今のままじゃ藤田には勝てんぞ!」
2.桜「だったら太るしかない!」
杉「吐いても食えっ!」
3.保「こんなになっちゃったぢゃないの!」
巧(太)でぷりん!
桜「そうだ!プロレスに転向したら?」
4. 巧(太)with久留間先輩
桜「双子でタッグ組んだってふれこみならいいでしょ?」
保「なんにもよくないっ!」
龍「わ――和製マクガイヤブラザーズだ!」
斉(みんな知らないって…)
331 :
2/2:2008/06/10(火) 21:33:33 ID:???
・四コマその2
1.「赤コーナー『ファッツブラザース』」
「白コーナー『フラッシュ杉&キューティー石塚』」
2.「あ――っフラッシュ杉、ファッツ2号にクロー攻撃!」
「脂肪もみだし美容法だ、これは痛いーっ!」
3.「そこへファッツ1号救援だ!とくいのサンドイッチ攻撃!」
「マジで窒息してるぞあぶなーい!」
石(逃げよーかなオレ…)
4.巧「も、もし、そうなったらこのマンガのタイトルは…?」
久「“脂肪をムニュッとね!”」
桜「ハラつかまんといてっ!」
龍「おっいくよくるよのギャグだ」
斉(だから知らないって…)
・いよいよ第3回 前人未踏の大好評企画!『絵筆をもってね!』
選評/河合克敏 応募総数:397点 入選:40点
グランプリ:千葉県・小泉英夫〔杉〕
準グランプリ:埼玉県・鬼塚修一〔桜子〕
静岡県・うりりん〔斉藤〕
うーむ見苦しいデブだ
いくよくるよは関西人しかわかんねーなw
え?いくよくるよって全国区で有名じゃないの?
正月のNHKとかでよく見るよ。
花王名人劇場にもよく出てたしな。
336 :
1/3:2008/06/11(水) 21:14:43 ID:???
第29話 ダークホース
三回戦の開始は1時30分から。
早めに昼食を、と杉が皆に配ったのは携帯食『カロリーマート』だった。
「試合前になんか食うのは本当はタブーだからな。ちゃんと人数分、買ってあるから心配するな」
「…………」
マネージャー二人も昼食の時間。
保奈美は巧の分も弁当を作ってきていたのだが、食べてはいけないと聞いて困る。
「どうしよう、食べきれないしもったいないし…」
「だれが食べないっていった?」
杉の言葉など完全無視。
保奈美の愛情弁当に口をつけようとしたところを――斉藤たちが取り押さえた。
「なんだよ、おまえらは!」
「うるせってのっ!」「おまえだけいい思いさせるか!」
斉藤いわくチームワークとはこういうものらしいが、ここで保奈美が一言。
「じつはその…みんなの分もあるんだけど」
「な…なんだと!?」
「それを先にいってくれよ」
「オレもさ、こうゆうちゃんとしたメシのほうがいいと思ってたんだ。あっ杉には黙っててよ」
「う、うまい!」
あっさりと手のひらを返す三人だった。
337 :
2/3:2008/06/11(水) 21:15:53 ID:???
その頃、役員の人たちも昼食の時間。
その中に倉田のオッサンも混じっていた。
彼らの下馬評ではやはり三工が優勝候補筆頭。特に藤田の評価は高い。
典善の考えでも本命は三工で間違いないが、
「対抗してくるのは?」と問われ、出した名前は――。
「たぶん佐鳴高か――、ひょっとしたら浜名湖高あたりがでてくるかもしれませんよ」
「えっ…?」
あまりに意外な校名に、役員の人々も驚くばかり。
試合直前、部長として皆に喝を入れる杉の目の前で巧がゲップ。
「巧くぅん?なんか、いいニオイがするんだけどなあ?まさかキミがなあ?」
巧を嗅ぎまわる杉だったが、裏切り者は彼だけではなかった。
「ゲップ!」
「お、おまえらみんな…!オレの買ってきたカロリーマートはどーしたんだ?」
そこに間が悪く食事を終えて帰ってきた龍子先生。
「いや――、近くでおいしいラーメン屋さんみつけちゃったわよ」
桜子が先生に状況報告。と同時に盛大な音を鳴り響かせる杉の腹。
「わかるわかる、おなかが空っぽじゃおこりっぽくもなるものよ。
まして、杉くん一人だけ近藤さんのお弁当食いっぱぐれたんじゃあ…」
「あ、あのですね!そーゆうワケじゃ…!」
338 :
3/3:2008/06/11(水) 21:16:55 ID:???
三回戦第一試合、浜名湖高校VS蜆塚商業高校
試合だというのに完全にスネてしまった杉。
対する蜆塚商の皆さんは、どう見ても高校生とは思えません。
皆に弁当を勧めたことを謝る保奈美だったが、
杉が問題にしているのはスポーツマンとしての皆の自覚の問題。
しかし、いつまでもぐだぐだと続ける杉に、ついに皆がキレた。
「わかったよ!勝ちゃいいんだろーが、勝ちゃあ!」
「カロリーマートが近藤さんの弁当かどっちのほうが力はいるか!」
「結果で証明しようじゃねえの!」
注目の集まる先鋒戦。
佐鳴の石塚のみならず、既に敗退した赤石林業、岡松北高の面々の姿も見える。
そして当然三工も――藤田は悔いの残る結果となった巧との練習試合を思い出す。
できれば今日、決着をつけたいところだが。
(しかし、それはムリだ。キミたちが決勝まで残らないことにはな…)
その目の前で巧が一本勝ち。巧は観客席の藤田を見る。
(こ…こいつ…!)
その視線に藤田もまた、胸に来たすものを感じるのであった。
続いて次鋒戦、ミッタン必殺のヴァン・デ・ヴァル投げ炸裂。
さらに中堅戦、茂が鮮やかに巴投げ一閃。
加えて副将戦、斉藤が押さえ込み一本。
怒りに震える杉も大将戦を一本勝ちで制した。
「弱すぎるんだよ、あんたらはも――!」
「全勝だぜ!」「これで文句ねえだろ杉!」「うるせえ、オレだって勝ったんだよ!」
「いいのかしらねーこれで」
芸能人集団キタコレwwwwwwwwwwwwwwwwwww
手作り弁当5人分って朝からできる娘だな
嫁の鏡
つーかなんか随分強いなオイw
仮にも2試合勝って来たチーム相手にそのセリフ吐いちゃうか。
なんというやっつけw
保守
ほしゅ
346 :
マロン名無しさん:2008/06/17(火) 01:25:49 ID:D53dbYkX
またアクキンに巻き込まれたのかな?あげておきます
作者休載?
348 :
業務連絡:2008/06/20(金) 10:52:13 ID:???
ようやく規制解除されました。本日より連載再開いたします。
349 :
1/2:2008/06/20(金) 21:01:44 ID:???
○斉藤浩司(初段)〔ドカタ〕 16歳
身長:173センチ 体重:68キロ 組手:右
得意技:背負い投げ、体落し、袖釣り込み腰、大内刈り、小内刈りなど。
好みのタイプ:川村かおり(けっこうメンクイだったんだね…)
第30話 準決勝始まる
浜高のまさかの活躍にざわつく会場。
ついにベスト4進出で、まさにダークホースとしかいいようがない。
今頃になって騒ぐ連中を赤石の酒井が「遅い」と毒づく。
「オレたち赤石林業を一回戦で破ったトコロだぜ。
あいつらがタダ者じゃないってこたあ、その時点でハッキリしてたんだよ!」
浜高は本当に今大会の台風の目になってしまったのだ。
石塚と視線を交わす巧。次は佐鳴が約束を守る番である。そこで保奈美が石塚に声をかける。
「石塚先輩、がんばって…ください!」「ああ!」
それを見ていた杉たち。なぜか井戸端会議モード。
「あらやだ、杉の奥様聞いた?」
「ええ、ええ、しかとこの耳で!近藤さんたら石塚に『がんばって』ですって!」
「問題よね、昔袖にしたオトコに」
「オトコもオトコよお!」
「石塚って、じつはまだ、ふっきれてないんじゃない?」
そこで桜子登場。
「オ――、ホホホ!案外みなさんニブいんじゃなくて!?」
「『がんばって』の一言にニッコリ笑って返せるのはふっきれてる証拠じゃないの」
「んまーナマイキな!」
「なによう!そんなの、わかんないじゃないのよっ!!」
350 :
2/2:2008/06/20(金) 21:02:39 ID:???
しかしどうやら、石塚さんにはもう別のヒトがいるらしい。
それは佐鳴高女子柔道部の袴田さん。彼女の視線の先には――石塚。
「て、手を振り返してるっ!」
「ああっ!オレ結構タイプだったのにっ!」
「美男美女の組み合わせなんて不公平じゃないか――っ!」
会場内に杉たち三人、嘆きの声がこだました。
浜高に続き、佐鳴高も準決勝進出を決める。
あいかわらずの1勝4引き分け。もちろん1勝をあげたのは石塚である。
こうして、ついにこの二校が準決勝で対決することになった。
ついでに三工も順調に勝ち進んだ。
「ついでとはなんだ!」だってこんなトコで負けるわけないもん。
その頃、巧は典善に突っかかっていた。
「フにおちねえなあ!理由をいってくれ、ワケを!」
オーダーの都合上、巧は大将を外されてしまったのである。
では斉藤だったら石塚に勝てるのか、と食い下がる巧であったが、
先の合同練習で石塚が投げれなかったのも斉藤のみ。
チームの勝ち負けを巧一人の都合で左右するわけにはいかなかったのだ。
先鋒戦 粉川VS一ノ瀬
巧は開始早々、大内刈りで一ノ瀬から有効を奪う。このままなら勝てそうな雰囲気だが――。
「いや…そんなにあまくないぞ、佐鳴は…」
351 :
マロン名無しさん:2008/06/21(土) 01:39:12 ID:ZY3dFuzP
巧-石塚さん楽しみにしてたのにまさか外されるとは!
作者は次の大会まで引っ張る気なのか?
待て、団体戦は全部引き分けになれば代表戦があるはずだ。
ただ、それを狙ってしまうと少し出来レース臭くなるけどな。
ふっきれてても今の男としてはそれはやめてほしい…
永井真理子キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
355 :
1/2:2008/06/21(土) 21:09:21 ID:???
○倉田龍子〔ビジュアル系バンド〕 24歳 数学教師
身長:164センチ B:82 W:58 H:83
得意技:(なぜか)剣道3段
理想のタイプ:ジョン・ボンジョビ(いーかげんに…)
小学生の時、母親と死別。現在父典善氏と二人暮らし。
第31話 気迫
一ノ瀬を転ばせた巧はすかさず寝技を狙うが、そのヒザを一ノ瀬は足で押し込む。
巧はバランスを崩して形勢逆転。危ういところで後方に難を逃れた。
これこそ佐鳴が侮れない理由。彼ら全員体格には恵まれておらず、重量級など一人もいない。
しかし基礎はしっかりとしている。寝技一つとってもよく研究しているのが分かる。
「そうとう練習をつんでることは確かだ。
毎年、一回戦落ちの弱小校といわれながら、他校のしらない間にコツコツとな」
開始直後に不意はつけたが、その後は簡単に組ませてさえもらえない。
巧はエリを取るとみせかけて一ノ瀬の右袖をつかみ、そのまま一本背負いに入る。
しかし――その直前、一ノ瀬は足を前に踏み込み、巧の背負いをかわしてしまった。
一ノ瀬は巧の仕掛けてくる技を読んでいたのだ。
ここまで全試合引き分けてきただけのことはあり、受けに回ると強い。
強引な攻めはすべてかわされてしまう。
(ちがう…今までの相手とはなにかちがうぞ。なにかが…!)
まるで攻めてこないにも関わらず、巧は一ノ瀬から執念じみた異様な気迫を感じ取っていた。
それにしても、弱小といわれ続けた佐鳴を何がこうまで変えさせたのか。
(それはきっと…)保奈美の視線の先には大将の位置に座る石塚。
「それにしてもあの、佐鳴高の大将のコ、石塚くんとかいったわね」
いつになく真剣な表情を見せる龍子先生。
「カッコイイわねェ!正統派美少年タイプで!」単なるミーハー根性でした。
356 :
2/2:2008/06/21(土) 21:11:18 ID:???
試合はそのまま時間切れ。最初に取った有効一つで巧の優勢勝ちが決まった。
自分の仕事を果たしきれなかったことを佐鳴高メンバーに謝る一ノ瀬。
しかし石塚は「まだチャンスはある」と余裕の態度。
次鋒戦、浜高は茂の出番。真の実力者の戦いぶりを見せると意気込む。
一勝を先行され、引き分け策が使えなくなった佐鳴であったが、石塚はこのまま続けるようにいう。
「敵の一勝は優勢勝ちですよ。こちらが一本勝ちすれば同じ1勝同士でも…」
「あ…」「なるほど!」「結果は1−1でも内容でこっちが勝ちのこる!」
一気に気勢が上がる佐鳴。
次鋒の宮本は大将の石塚に絶対の信頼を置き、徹底して自分の仕事を果たす。
結果――引き分け。
「みせてもらったぜ。真の実力者!」巧の嫌味に一言も返せず震えるしかない茂であった。
続いて中堅戦。ミッタンの相手、落合に石塚はアドバイスをしようとするが――。
「わかってるさ、あの変な大技のことだろ?
心配するな、足さえとられなきゃそんなにこわいシロモンじゃねえ」
ミッタンのヴァン・デ・ヴァル投げはその前段階として、双手刈りから相手を捕まえなければならない。
だいたい体がデカイから足をとりにいく動作を見破られやすいのである。
そしてそのまま――引き分け。
茂は2ページ、ミッタンは1ページで終わってしまった。
「おいおいまた引き分けかぁ?おまえら、でかいクチたたいといてなにやってんだよ!」
しかし、結局副将・杉も村上を相手に引き分け。
(お、おい!ちょっとまてっ!オレの試合一コマだけかよ!)
佐鳴の勝利の可能性は、首の皮一枚でつながっていた。
「ここまできたらもうなにもいわん、おまえにまかす!」「いけ、石塚!」
「ハイ!」
そしていよいよ運命の大将戦、斉藤と石塚の試合が始まる。
「おいおい…なんだかヤバイふんいきになってきたぜ」
きゃー見せ場よ〜、狙ったようにあざとい見せ場よ〜
杉あわれw
間違いなく代表決定戦な展開
と言うことは斉藤が優勢負けということになるのか?
となると連戦になるよな。
「石塚さんは連戦で疲れてたんだ。俺の実力で勝ったんじゃねぇ」フラグだな
つーかミッタンはあの技に固執しないほうが有利じゃね、あの体格だし
363 :
1/2:2008/06/22(日) 21:14:19 ID:???
第32話 石塚と斉藤
「赤、大将石塚君!」
「白、大将斉藤君!」
コキッと肩を鳴らす斉藤。
巧は杉に「斉藤は攻めていくか」どうか尋ねる。
しかし、ここは決勝進出のかかった大一番。
慎重に引き分けを狙っていくのがセオリーである。
巧もそれは分かっている。分かっているが――どこか割り切れない気持ちも残っていた。
会場中の視線が集まる中、ついに試合は開始される。
動きつつ間合いを計る両者。
斉藤は石塚の右エリに、これみよがしな防御の隙を見つけるが――。
(しかし、正直に奥エリ深いところ取りにいくのは危険だ。なにしろ相手は石塚だからな…)
あくまで冷静な斉藤。あえて誘いに乗ったように見せ、
石塚の奥エリに手を伸ばす。その袖を石塚がつかみにくる。
(やはり、手を取りにきた!しかし、それなら…こっちも手を取って…!)
出足払いを仕掛ける斉藤。ところが石塚はそれを読んでいた。
足払いをかわしたその足で斉藤に足払いをし返す。
「ああっ!」「つばめ返しだっ!」
体勢を崩し、斉藤は畳にヒザをつく。
幸い、ポイントは取られずに済んだ。
(やれやれ…こりゃあ勝つどころか、引き分けるのもむずかしいぜ)
先の先までも読みきってくる石塚に対し、さて、これからどうするか…。
364 :
2/2:2008/06/22(日) 21:16:47 ID:???
にらみ合ったまま動きが止まる両者。このままでは二人とも指導を取られてしまうが、
ああしていながら二人共、頭の中はお互いの手の内の読み合いでフル回転をしているのだ。
結局、両者とも「教育的指導」を取られ、組み合って試合せざるをえなくなった。
とはいっても、互いに相手の出方を警戒して小競り合い程度の技しか出てこない。
が、しかし実際には、
(このまま引き分けてくれる相手じゃない。チャンスをうかがっているんだ。
試合時間、残り30秒を切るあたりで攻撃に転じてくるはず…!)
(うかつに仕掛けたらこっちがあぶない。最後までチャンスを待って、残り30秒で勝負をかける!)
と、いった水面下の争いが展開されていたのであるが…。
「かーっじれってえなあ!おもしろくねーぞっ!」
「はっ!なに?終わったの試合?」
「寝るなよ、ミッタン!」
その緊張感は観ている側にはあまり伝わっていなかった。
残り半分(30秒)の声が飛び、ついに石塚が動く。
カミソリのように鋭い大内刈りが斉藤を襲う。
「しかし、これはフェイントだ!」
瞬間、体を返して斉藤を前方に引き倒す構え。
「これだ!決め技は、体落とし!!」
斉藤は瞬時に反応し――。
「石塚に」
足を前に踏み込んでかわす!
「読み勝った!!」
ところが――次の瞬間、斉藤の体ががくんと沈む。「なっ!?」
「大内、体落としから支え釣込み足に変化しやがった!あぶねー、斉藤ーっ!!」
ずっと柔道やってきた斉藤の上を行くか・・・
366 :
マロン名無しさん:2008/06/23(月) 01:57:42 ID:pX79tai2
柔道高校からはじめて1年ちょっとでベスト4まで進む高校のポイントゲッターって
この漫画一の天才くんが石塚さんだな。しかも顔も二枚目で進学校に進む頭脳を持ってる
ずるい・・・(-_-#)
まあバレー部のエースアタッカーだった訳だし
むしろ健太やりますにライバルで出したほうがはまるんじゃねw
健太やりますの方でチビでも生きる道と言うのを二人で模索してもらおうw
バレーは健太を選んだんだよ
373 :
1/2:2008/06/23(月) 21:20:08 ID:???
○藤田恵(二段)〔帝都大戦〕 16歳 県立三方ヶ原工業高校一年
身長:179センチ 体重:78キロ 組手:右
得意技:内股、体落とし、足技全般
好みのタイプ:酒井法子
第33話 石塚の執念
石塚の支え釣込み足にたまらず倒れこむ斉藤。
(や、やられた…)
その倒れ方は微妙なところ。
もはや時間が無い、「技あり」以上なら浜高の負けがほぼ確定する。判定は――。
「有効!」
ぎりぎり首の皮一枚でつながっていた。
残り時間15秒、石塚と斉藤、共に最後の勝負にかける。
「なんとか助かったみたい。このまま負けても、まだチームとしては引き分けなのね」
安堵する桜子。ではどちらが決勝に進むのか、という保奈美の問いに巧が答える。
「代表戦ってのやるんだよ!まあ同点決勝ってゆうか。
選手5人の中から代表を出し合って、決着つけるんだ」
「代表って、じゃあ、巧くんが出てもいいの?」「うん」
「てことは、今、試合してる石塚先輩も?」「当然!」
そこで巧ははたと気がつく。
「あっ!そーかっ!」
試合はそのまま石塚が有効一つで優勢勝ちに。
斉藤は勝てなかったがチームそのものはまだ負けていない。
勝ちを決めきれず、惜しかったのは同じかと斉藤が石塚の表情をうかがうと――。
(なに…!?笑ってやがる…!)
まだ代表戦があることを知り、やる気満々の巧。
べつに巧が出ると決まったわけではないが、聞く耳を持たない。
戻ってきた斉藤は勝てなかったことを詫びる。
斉藤すら勝てなかった石塚に対し、誰が出るのか――?
374 :
2/2:2008/06/23(月) 21:20:55 ID:???
「誰がなんといおうと今度こそ、オレがいくぜ!」
「おまえ、さっきからそんなこといってるけど…なにか勝算でもあるっての?」
「ないっ!」
杉と巧、しばし睨み合い――頬つねりクロスカウンター。
「い〜度胸してるじゃねえか、タクミよ〜」
「だったらおまえなら勝てるか?」
しかし斉藤は巧を推薦する。
本来ならば、彼自身ががもう一度チャンスを貰いたいところなのだが――。
「石塚と戦ってないのはタクミだけだし…石塚もそれを望んでいるはずだ」
つまり石塚は最初から有効一つだけ取るつもりで試合をして、
しかもその通りにやってのけたというのである。
そうでなければ、あの笑みに説明がつかない。それが斉藤の考えだった。
とにかく代表は巧で決まり。その肩を龍子先生が叩く。
「これが決勝進出をかけた代表戦なんだなんてことはみんな忘れなさい。
自分の力を百パーセントだし切ることのほうが、勝ち負けより大事なんだから」
龍子先生の初めての顧問らしい言葉に、やんやの大喝采があがる。
「両チーム代表、前へ!」
試合場に踏み出す巧の目の前には――石塚。
(これであんたの望むとおりになったワケだ)
様々な思いが交錯する中、代表戦、開始。
石塚がとうとうチャーシューに手を出しました
有段者に質問。
狙って有効(技ありにならないよう)取れますか!
「あの笑み」っても、技ありでも取って勝ったら勝ったでよかったし、そうじゃないなら、ぐらいじゃね
379 :
1/2:2008/06/24(火) 21:53:51 ID:???
○石塚孝裕(初段)〔ゲゲゲの鬼太郎(袴田:猫娘)〕 17歳 県立佐鳴高校2年
身長:173センチ 体重:65キロ 組手:右
得意技:体落とし、背負い投げ、足技を多用した連続ワザ
好みのタイプ:つみきみほ
第34話 序盤
開始早々真正面から馬鹿正直に仕掛ける巧。
その袖を石塚が取り、そのまま体落としに入る。
しかし巧の体は投げられつつ一回転、半ばうつ伏せに近い状態で畳に落下。
すぐに飛び退くが判定は「技あり」。
(ちっ…勢いがありすぎたか!)
突っ込んでいく巧の勢いが良すぎたため、
背中から落ちるより早く、左手で受けることができたのである。
巧の攻め気はあまりにも無茶というもの。
いきなり真正面からいくし、今の投げで脱臼をしていてもおかしくはなかった。
だが――それでも構わずに巧は正面突破を仕掛けていく。
正攻法で勝てる相手ではないというのに。
奥エリをつかもうとする巧の右袖を石塚は捕まえ、
そのまま足払い――だが、巧は畳に手をついてかわす。
(くっ…まただ!足がかかると同時に右手を外されてしまった!)
ポイントは――。
「有効!」
380 :
2/2:2008/06/24(火) 21:55:22 ID:???
一分と経たず「技あり」と「有効」。
やはり巧では石塚の相手は荷が重すぎたのか。
どんな手を使ってでも自分たちが二勝目をあげておけば――と茂は悔やむ。
過ぎたことを言ってもしかたがない。
それよりも、斉藤にはこの試合が巧の劣勢とばかりに思えなかった。
「オレからみるとオレと試合してた時の石塚より、今の石塚のほうがあせっているようにみえる」
試合を観戦する三工の藤田と久留間。
やられてもやられても、すぐに向かっていく巧に半ば呆れる藤田だったが――。
「でも似てるぞ、あの時と。前に練習試合であいつとおまえがやったときだよ」
久留間の指摘に、意外そうな顔をする藤田だった。
石塚は巧を足技で倒す。
しかしポイントはまたも「有効」。どうしても決めきることができない。
その判定に気を取られた石塚は、一瞬、巧の姿を見失う。
ほんのわずかな隙を逃さず、巧は石塚の足に飛びつく。
執念の双手刈り、判定は――。
「技あり!」
「石塚くん!」思わず声をあげる袴田さん。
「お、おい、今の!」「聞いたぜ!」「確かに技ありって!」
一気に気勢の上がる浜高メンバー。ここから追いつくことができるのか――?
(やっぱりタダ者じゃなかったな…粉川巧!)
奇襲の代名詞キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
382 :
マロン名無しさん:2008/06/25(水) 02:02:44 ID:UUM8Os0Q
巧はキン肉マンっぽいな
火事場のクソ力を発揮する訳ですね
384 :
1/2:2008/06/25(水) 21:14:19 ID:???
第35話 余裕
巧が「技あり」を取り返し、いよいよムードはこちらに傾く。
高まる大逆転の期待。
長丁場ともなれば連戦の石塚に比べ、スタミナ面で巧が圧倒的に有利なのだ。
それに気付いた石塚にわずかに走る動揺。
そこで佐鳴メンバーの声が飛ぶ。
「気にすんな、石塚!」
「今の双手刈りなんか、意表をついただけの悪あがきだ」
「組み合ったら勝てねーから、苦しまぎれにだしただけだ!」
これにはカチンときた浜高メンバー。「な、なにをーっ!?」
「痛いトコロをつかれた」「うん、確かにいえるわ、それは」
どっちの味方だよ、おまえら。
「組み合ったら勝ち目がねえだと!!みてろよっ!」
言葉ではなく行動で反論してみせるとばかりに石塚に仕掛ける巧。
「そのとーりだい!なんてねっ!」なんと再び双手刈り。
「なめるなっ!」
同じ手は二度も通じない。
足を取りにきた巧を引き込みつつ、石塚はその腕を回転しながら腕がらみに取る。
「足は自由だぞタクミ!足を石塚の頭にかけてひっくり返せ!」
斉藤のアドバイスが飛ぶが、これが裏目。
石塚は即座に身体の位置を変え、上四方固めに移行。
「巧、右手だ!右手はまだ完全に固められてない、ふりほどけ!」
動かそうとした腕を石塚は捕まえ、さらに体勢を変化させる。
「ありゃあ後袈裟固めだ!」「ブリッジだ、ブリッジで返せるぞ!」
ブリッジで体を持ち上げようとしたそのとき、石塚がその足を払う。「後袈裟は安定がよくない」
「これがラストだっ!」
そして最終形態――横四方固めが完全に決まる。
385 :
2/2:2008/06/25(水) 21:15:13 ID:???
10種類あまりある押さえ込みの技。
その中でも、もっとも安定感があるといわれるのが横四方固め。
(腕がらみから上四方、上四方から後袈裟。
これらの変化は、すべて最後の横四方固めに至るための段取りにすぎなかったんだ!)
驚愕する斉藤。これで勝負はほぼ決まったかに見えた。
三工の久留間が藤田に残念かと尋ねる。
「関係ないですよ、それより…あの石塚という男、本物ですよ。決勝で戦ってみたいですね」
元中学チャンピオンの藤田ですらが、石塚の実力を認めた。しかし――。
「なにいってんだよ!大将はボク!あいつは佐鳴の大将だからオマエとはあたんないの」
ものすごいドアップで自己主張する久留間であった。
横四方が外せないまま15秒が経過。
「技あり」を既に取られているため、あと10秒で勝負が決まる。
首をキメられている石塚の左手さえ外せればよいのだが…。
(しめたっ、右手が動く)
両手で押せば外せるかもしれない。
しかし気がつくのが遅かった。石塚の握力でも残り数秒程度は耐えられる。
(だっ…ダメか…!)諦めかけたそのとき――保奈美の声が飛んだ。
「巧くん!あきらめちゃダメッ!」
瞬間、目を見開き、石塚の左腕を引きちぎる勢いで巧はその手を外した。
「なっ、なに!?」
「おおおおおっ!押さえ込みとけたっ!」「に、24秒!」
なんと一秒差の奇跡。巧は異様な迫力を身にまとって立ち上がる。
「えっ?あ…ら、私、どうしたのかしら…?」
保奈美は無我夢中で、自分が何をしたのか覚えていなかった。
(イチバンわかんないのはコイツだわ)
呆れる桜子であった。
それはねーよww
なんという愛の奇跡www
さすがジンクスwww
389 :
マロン名無しさん:2008/06/26(木) 01:55:34 ID:AtEpSU47
も一回書いていい?巧はキン肉マンぽいなw
袴田さんが同時に「石塚君離さないで!」と叫んだ場合はどっちの愛の力が勝つんでしょうか?
390 :
1/2:2008/06/26(木) 21:26:25 ID:???
第36話 巧の追撃
窮地を脱したものの、相当の体力を消耗してしまった巧。
額から流れる汗が畳に落ちる。
もはや立っているのも精一杯という状態。
石塚の攻撃をかわし続けた驚異的な粘りも残っていない。
石塚の仕掛けた浅い大内刈りにさえバランスを崩してしまう巧。
(やはり足にきている!今度こそもらった!)
完璧なタイミング、万全の体勢から石塚の背負い投げ――。
そのとき、巧の視界に保奈美の姿が。
「うおおおっ!」
ムリヤリ引き手を切り、そして(な、なんだと!?)
二人、もつれたまま畳に倒れる。
そのとき、石塚の右腕に嫌な音が響いた。
「またこらえやがったぜ巧のヤツ!」
「なんであれをかわせるんだ?」
「疲れってのをしらねえのか!」
盛り上がる杉たち三人をよそに、微笑む桜子。
(私、しってるもんね。巧くんが一瞬、保奈美のほうをみたの)
寝技を警戒し、すぐにとびおきる巧。しかし、石塚の追撃がこない。
そこで審判の「待て」がかかった。
391 :
2/2:2008/06/26(木) 21:27:56 ID:???
「おおい、やるじゃねえか、浜高!そんな長髪に負けんな!」
それは、まったく関係の無い他校の選手からの声援だった。
「ムリだムリ!佐鳴のヤツ、とっととそいつを倒しちまえ!」
今度は巧に二回戦で負けた北高の山本。
そして赤石林業の酒井が一歩前に出る。
「北高のヤツのいうことなんか気にすんなよ、粉川!オマエなら勝てる!」
どこかのモヒカンの柔道部員が。
「こっちは佐鳴の味方だぜ!あんたのテクニックにほれたっ!」
さらには蜆塚商の面々までも。
「やかましい!浜高が勝つんじゃ!ここを乗り切って一気に優勝じゃい!」
なんと――稀に見る好勝負の熱気が、ここにきて会場全体を巻き込んでいっているのだ。
「浜高ここまでねばったんだ!」
「勝たなきゃソンだぜ!」
「佐鳴も負けんなよ!」
(チッ、認めたくはないが…本当にあの練習試合の時を思わせる展開だぜ)
(巧のヤツが強い相手と試合するといつもこうなる。オマエのはそうゆう柔道なんだ)
藤田も、斉藤も、巧の戦いぶりを見つめる。
残り時間――30秒。
逃げに回ろうとする石塚を巧が捕まえる。
(石塚さん、ここまできてそれはないぜ!逃がすもんかっ!)
巧が袖をつかんだ瞬間、石塚の右腕に走る激痛。
(むっ…!石塚のヤツまさか右腕を…!)
典善だけがその異変に気がつく。
(つまんねー終わりかただけは、ガマンできないぜ!)
なんだこの最終回間近のような展開は?
393 :
マロン名無しさん:2008/06/27(金) 05:57:43 ID:JVxeH+vi
怪我で調子が落ちて巧が逆転→今度はお互い万全でリマッチだ!
という展開かな
ケガで調子が落ちる→ダーティファイトで巧フルボッコ
ゆでたまごならこうなるのにな
395 :
1/2:2008/06/27(金) 21:11:18 ID:???
第37話 勝負のゆくえ
試合はいよいよ最終局面へ――。
ポイントは二人とも「技あり」一つずつ、
しかし石塚はそれに加えて「有効」を三つ取っている。
残りの25秒で巧が逆転をするには、もう一発の大技にかけるしかなかった。
巧が小内刈りを仕掛け、崩れたところを背負い投げに入る。
(あと20秒ちょっとだ!ここまで…ここまできてやられてたまるか!)
全力でこらえる石塚。
目一杯体重をうしろにかけたその瞬間――巧が体を返して大内刈りに変化する!
(巧め!ここへきて三つの技を組み合わせる攻撃を覚えやがった!)
(これはキマるか!)
しかし石塚は引き手を切り、痛めている右手を畳についてこらえる。
ポイントは――有効。
巧は寝技には行かず、あくまで立ち技で勝負する構え。
残り時間15秒。
(こうなったら最後の一発!背負いにかけるしかねえ!!)
なんと巧はこの土壇場に来て――。
「笑ってるわ…巧くんが…」
396 :
2/2:2008/06/27(金) 21:12:20 ID:???
巧に仕掛けられるより早く、石塚が先手を取る。
左に変化しての袖釣込み腰。
(しかし腰が浅いぜ!これならかわせる!!)
(そうは、させん!)
逃げようとする巧に石塚はさらに内股のように足をかける。
恐るべき石塚の執念。
しかし、最後の最後、右手の引っ張りがきかない。
巧はかけられていた足を外し、逆にそのまま投げに入る。
酒井を倒した左の一本背負い。だが――。
「ああっでもっ!体勢が低い!」
足腰が支えきれず、前のめりに崩れながらの投げ。
(巧くん!きみにこの右手――)
唯一自由な右腕を、石塚は畳に向かって突き出す。
「くれてやる!!」
二人はそのままもつれて倒れ、そこで試合終了のベルが鳴る。
判定は――。
「有効!それまで!!」
この瞬間。佐鳴の勝利と、実に十年ぶりの決勝進出が決定した。
礼も済ませないうちに大喜びの佐鳴高メンバー。袴田さんも目を潤ませている。
巧に駆け寄る保奈美。巧は照れたように鼻の下をこする。
(ちぇっ、終わっちまったか…)
……えっ?負け?
398 :
1/2:2008/06/28(土) 21:09:24 ID:???
第38話 Don’t Worry
試合を終えた浜高を拍手で出迎える保奈美と桜子。皆の健闘ぶりに負けてなお周囲は温かだった。
さて、準決勝残る一試合は三方ヶ原工と浜田西。
三工は圧倒的な強さで浜田西を5−0に下し、決勝は三工と佐鳴で争われることになった。
負けても明るい浜高メンバー。何しろ彼らは全員一年。ここまでやれればむしろ上出来。
今年は勢いで来てしまった感もあるが、来年、再来年と強豪の一角になれるだろうか。
しかし――そんな周囲の反応をよそに、皆の心中は複雑だった。
階段の踊り場で、不意に茂は壁を思い切り殴りつける。
「くやしいなあ…いままでだって、何度か負けたことはあるけどよぉ…なんか特別、くやしいなあ…」
その思いはミッタンもまた同じ。
「いい試合ができなかったってゆうか。
自分の力を出し切れなかったって…それがくやしくって…くそう!」
ミッタンの馬鹿力を叩きつけられたコンクリートの壁から、何かパラパラと落ちてくる。
「…オレもよ、じつは内心石塚と対等にやれる自信があったんだ。
結局、ただの思い上がりだったけどな」
斉藤もまた、胸の中の思いをぶちまける。
「みんなの前で大将に選ばれてあのザマだ!なさけねえ!」
さらには杉までも、駄々っ子のように壁を叩く。
「オレなんか主将だってのに力不足でよお!くやしいのはおまえらだけじゃねえんだ!」
そんな皆の姿を前に、巧もやはり黙ってはいられなかった。
「オレだって負けたことにはちがいないんだ!やっぱくやしいよ!ちっくしょお――!」
だが、こんな狭い場所で五人も暴れたりしたら――。
「こ…こーなるでしょ…?」
「…すまん」
ハイ、階段落ちでした。
399 :
2/2:2008/06/28(土) 21:09:59 ID:???
いよいよ決勝戦。三方ヶ原工業高校VS佐鳴高校。
なぜだか怪我を増やして戻ってきた皆に桜子は不思議がる。
特に三つ目が通ってしまいそうな杉は何を持ってきているのやら。
注目の先鋒戦はなんと、藤田VS石塚。佐鳴はここで大幅に作戦を変更してきた。
二人と互角の勝負をしてきた巧に、典善はどちらが勝つか予想を聞く。
「ん…むずかしいけど。たぶん、石塚さんだよ」
「その石塚が右手を負傷していてもか?」
鋭く光る藤田の眼光。石塚の動きから、右手をかばっているのではないかと睨む。
と――右利きのはずの藤田が突然、左組手を取る。
(右手をつかわなくてはあやしまれる。仕方がない)
エリをつかんでいる藤田の手を右肘で外そうとする石塚だったが――その腕を逆に藤田が捕まえた。
その状態から立ったまま石塚の右肘を極める藤田。
「うぐっ!」その痛みに石塚は思わず声を上げる。
次の瞬間、藤田の体が沈み――それに引き込まれるように石塚の体がふわりと舞う。
そしてそのまま、畳に落ちた。「一本、それまで!」
「…気づいていたのか」倒れたまま石塚は藤田を見上げた。
「今のは小手返しだ。狙ってたな、石塚の右腕」
「きたねえ…ケガしてるのをしってたんだ。みそこなったぜ、藤田の野郎…」
巧はそういうが、事実として巧は石塚に負け、藤田は勝った。
敵に情けをかけないのも一つの強さなのだ。
藤田は以前より一段と強くなった。巧はそれでも勝てるのか。
(絶対に勝ってみせる!もう二度と藤田だけには負けたくないんだ!)
三方ヶ原工にとって、石塚の敗北に動揺してしまった佐鳴は、すでに敵ではなかった。
夏の地区予選は、三方ヶ原工の九年連続の優勝でここに幕を閉じたのである。
400 :
業務連絡:2008/06/28(土) 21:10:49 ID:???
次回は一回休載して、単行本4巻のおまけを紹介します。
401 :
マロン名無しさん:2008/06/29(日) 02:08:55 ID:gi9eqxoP
藤田くらいの実力ならわざわざ腕狙わなくても勝てるだろ・・・
人間的に腐ってるな
>>401 個人戦ならそれもありだろう。
だが団体戦でそれをやるのはどうかと思う。
>>401 圧勝かと思われた巧との練習試合でも危ない場面もあった事だし、確実に勝つために
敵の弱点をつくのはむしろ当然。勝つには勝っても石塚のように怪我でもしたらつまらないし。
404 :
1/2:2008/06/29(日) 21:11:53 ID:???
○単行本第4巻 (表紙:宮崎茂 裏表紙:近藤保奈美)
・四コマその1『とつぜん時代劇 必殺寝技人』
1.悪徳材木商・赤石屋主人「ふえっへっへっへ」(チャラチャーン)
2.(ガラッ)赤「はっ!」
斉「寝技人参上!」
3.赤「な、なんだきさまっ!?」
斉「横四方固めっ!」
4.数日後の朝…
斉「や、やっと死んだか…」
寝技人――相手が餓死するまでおさえこんだら絶対にはなさないという殺しが専門の仕事人。
405 :
2/2:2008/06/29(日) 21:13:04 ID:???
・四コマその2『もも太郎侍!』
1.杉「ひとぉーつ!ひとまえで平気でいちゃつきっ!」
2.杉「ふたぁつ!ふたまたかけて女を泣かせっ!」
石「いいかがりだぁーっ」
3.杉「みっつ!みえてんだかどーだかわからんよーな目つきのくせに
なぜか、やたらと女に人気のあるヤツを!」
4.杉「退治てくれようっ!腿太郎」
桜「退治するなそんなことで!」
・なんと第4回 サンデーコミックス名物『絵筆をもってね!』
選評/河合克敏 応募総数:517点 入選:23点
グランプリ:愛知県・イチカワ〔桜子・保奈美・袴田 切り絵タッチ〕
準グランプリ:奈良県・森崎まおん〔永田〕 東京都・日高まゆみ〔茂〕
topix:ズームイン杉田〔桜子・杉〕、大乃国ぽん〔桜子〕初掲載
寝技人…相手の方がデブなら逆に負けるな
杉はどこまで行っても”もも”なのね…
ズームイン杉田
大乃国ぽん
可愛い絵描くね
409 :
1/3:2008/06/30(月) 21:09:59 ID:???
第39話 浜高、8月
青い空の下、女子テニス部の白いスコート姿も眩しい8月。
夏休み中にも関わらず柔道部の面々がどうして学校にいるのかというと、
今日から合宿が始まるからである。
と――ボールが逸れて思わず飛びつくテニス部員、
そして思わずその光景に飛びつく柔道部員。
「絹をひきさく女の声!」「事件ですね!」
いいえ、事件ではなく不祥事でした。
「思春期の少年のごく自然な異性への憧れなのに〜!」
「そのこまわり君みたいなしゃべりかたはやめんかっ!」
ヘラヘラしている巧の足を保奈美がむくれて踏みつける。
「いっって――ッ!」「ひでえ、裸足にクツとは!」「おこれ巧!」
しかしあっさり彼女に謝るヘタレ主人公でしたとさ。
さて、その頃桜子は柔道部に投げつけられたボールを集め、謝罪がてらに返却。
女子テニス部の部長は初対面のはずの桜子に覚えがあるようだが――。
そのとき、飛んで来たボールを桜子が素手でダイレクトキャッチ。
その鋭い運動神経を目の当たりにした部長、強烈なスカウトを開始した。
「海老塚さんテニス部に入部しない?」「えっ?」
「テニスで明日をつかむのよ!」「はあ?」
「でたわ、部長のビョーキが!」
「誰かれかまわずクラブに勧誘しようとする、丹下段平病!」
そそくさと逃げ出す桜子であったが、部長は諦め切れなかった。
(海老塚桜子――なんとしてもあのコがほしい!)
410 :
2/3:2008/06/30(月) 21:12:26 ID:???
柔道部は合宿所へ移動。
三方ヶ原工がインターハイでベスト16に残り、
その決勝トーナメントの模様がこれからテレビで中継されるらしい。
新聞にも期待の星として取り上げられた藤田は、県大会でも土つかずのオール一本勝ち。
「石塚が万全だったら勝てたかどうか分からない」などと毒づく巧であったが、
わずかな間に随分と差をつけられてしまった感はあった。
石塚は先の地区予選で右肘を脱臼、
さらには靭帯まで切れかけ、もう少しで切開手術するところであったという。
それはもちろん巧のせいではない。後からやった藤田がそこまで痛めつけたのだ。
復帰した石塚は最大の弱点である体力不足を克服するため、肉体改造に取り組んでいた。
打倒藤田のため、ケガのことはもう吹っ切れて気にしてはいない様子である。
テレビではついに三工の出番。
相手はこれまで何度も日本一に輝いている強豪、天味高校である。
三工の先鋒は藤田。
昨年の中学チャンピオンである彼の注目度はやはり高い。
「できればもっと良い環境で柔道をさせてみたかった」という解説の声に、
「三工でいい環境じゃないなら、ウチはどーなるんだよ」とぼやく茂。
もちろん、それは全国レベルの名門と比べれば、という話。
そういう学校では選手を寮に入れて24時間柔道漬けにしているのだ。
411 :
3/3:2008/06/30(月) 21:13:25 ID:???
画面の中で、藤田はなかなか動かない。
やはり一年生の藤田には荷が重いかと思われた。
そのとき――。
「ドタッ!」と天味の先鋒が畳に倒れた。
『驚きました!一本です、藤田。天味の先鋒山瀬に対し、あざやかな一本勝ち!』
終わってみれば開始わずか57秒の秒殺劇。
技らしい技は内股一回だけ。
その一回で、藤田は名門、天味の先鋒から一本を取ってしまったのである。
その強さを苛立ちながらも認めるしかない巧であったが――。
「ヤツといい勝負したオレって、ひょっとしたら全国レベルでも強いのかもしんないなあ!」
都合のいい解釈しかしない巧に、杉と桜子のダブルツッコミドロップキック炸裂。
その様子を陰から覗いている怪しい人影があった。
(海老塚桜子…なんとしても我がテニス部に…)
なぜか水着姿に浮き輪、サングラスに頬かむりまでして変装をしたテニス部の部長さんでした。
「も――、部長ったら」
「その変装じゃただのアブないヒトですよ!」
初登場時はただのキモい奴だったのに
ずいぶん出世しやがったな>藤田
>>412 あのぬべっとした顔は何とも言えないよな
そんなことよりテニスのスコートはなぜあんなにエロいのかについて語ろうか。
やはりチラリズムとモロの狭間にあり、水着と違って下着らしい「白」と決まっており、
ミニスカからなる健康的な脚線美の中に見えるからではないだろうか。
これモデルは天理?
コスチュームだからと言う意見もある
私服とは違い用途のある服という物に
フェティシズムを感じる男は多いのではないだろうか
天理だろうね
そのうち世田谷学園とか出てきたりしてな
丸出しよりもひらひらした布の向こうにチラチラ見えるのがいいんだ
でも高校のテニスコートの脇であんなガン見してたら次の日から女子の視線が怖そう
この部長さんにはいろんな意味でポテンシャルを感じるな。
何かやってくれそうだ。
普通チラ見しか出来んよな。まあそういう中途半端さだからこそ俺がモテんわけだな、わはは!
桜子離脱フラグかな
桜子をかけてテニス部と柔道部が異種格闘戦でもするんじゃね
次は何を目指すんだろうなこいつら。
金繍旗大会とかいうでっかい柔道の大会があったような気がするが、それにでも出てみるとか?
個人戦で同校対決とかもアリか。
石塚は多分巧と体格同じくらいだから今回の大会のリベンジも出来るだろうな。
金鷲旗みたいなのって実名で出せるのか?
別に問題はないだろ
それでも名前変えるかもしれないけど
あぁ、金鷲旗ってその漢字だったか。失礼。
金の刺繍の旗ではなかったのね。
なんかマガジンでも柔道やってたような。山嵐使うやつ。
そこで金鷲旗大会の話出てたし別に実名の大会くらいいいんじゃないかと。
会場が九州になるから新設部は遠征辛いかもしれんが。
大会名は問題あるまいて。
まさか高校野球漫画で甲子園を出さないのもねーだろうし
でもIHとは違って金鷲はスポンサーがいる(どこの大会でもいるけどさ)私的な大会だし
桜子側に話を戻すけど
それだけ運動神経あるんならマネより選手の方が向いてるんでないか?
それで佐鳴の袴田さんのライバルになればいい
がっつり焦点をあてて再登場しろ。してくれ。
素人がそんな簡単に経験者に追いつくのは漫画ではよくがるが
何度観ても癪に思うから断固拒否する
ちゃんと努力するなら別だが、それも桜子のキャラには合わないと思うし
>>431 現実にもよくある
どう頑張っても才能には勝てないよ
433 :
マロン名無しさん:2008/07/11(金) 19:46:23 ID:nZVByxut
才能……
まさか来年の新入生に世界大会で優勝しちゃうような才能の持ち主がいたりなんかはしないよな
流石にねーよw
ただ、藤田の妹、とか、来留間先輩の妹とか出てきたら
その限りではないが
藤田とか来留間先輩の妹だったら、普通三工に行くだろ
それに藤田の妹じゃあ顔が……
かと言って、来留間先輩の妹は体系が……
素朴な疑問なんだが、三工って男女共学なん?
ミエは男子校だよ、藤田のビジュアル的に
第40話 柔道部強化案?
合宿所のお風呂にて練習の汗を流す浜高柔道部。
巧は頭を洗いながら、杉は頭を剃りながら、今後の柔道部の練習について話す。
このままの調子で練習をしていて強くなれるのか。
まあ、地区ベスト4は充分に強いといえるのだが。
「オレがいってるのは三方ヶ原工に勝てるくらい強くなれるのかってことだよ」
泡を流し落として巧が顔を上げると――杉の頭が真っ赤に染まっていた。
「失敗しちゃった…」
「おわ――っ!」
もちろん、これは杉のイタズラ。空のシャンプー容器の中に赤絵の具を入れていたのだ。
「巧のいってたことだけど…確かにこのままじゃ、いつまでたっても三工にかてねえかもな」
「…誰だあんた?」
巧は髪をおろした斉藤が誰なのか分かりませんでした。
とはいえ――どうしたらいいものか。
浜高の部員は一年生が五人だけ。顧問の龍子先生は柔道のシロウト。
他校との合同練習も、月一のいい刺激程度である。
龍子先生とは別に、コーチになってくれる人がいれば良いのだが。
結論は後回し。風呂から上がろうと脱衣所の戸を開くと――なぜかそこには脱ぎかけの龍子先生。
「こ、このエロガキ共が――!」
「ちょ、ちょっとそりゃないぜ!」
男湯と女湯を間違えた先生でしたとさ。
その頃、浜高女子テニス部部長の栗末は、海老塚桜子の情報収集にいそしんでいた。
桜子と同じ中学出身の部員によると、確かに桜子は中学時代にテニス部、
それも二年の夏にはレギュラーとして試合に出ていたのだという。
その後、すぐに辞めてしまったというのだが。
続いて桜子と今同じクラスの部員に現在の運動能力を尋ねる。
「ハイ、それはもうスゴイです。
50メートル走で7秒フラットは、クラスの女子では彼女だけです。
幅跳びでも5メートル以上跳んで、みんなをおどろかしたし。
ハンドボール投げ40メートルも、たぶん学年トップじゃないでしょうか?」
驚異的な桜子の才能に戦慄を禁じえない栗末部長。
副部長の丸智奈も「放っておけない」と意気込む。
「海老塚桜子!あのコを手にいれれば、きっと我が浜高テニス部の黄金時代がやってくる!」
そんなテニス部の野望もつゆ知らず…寝こける桜子であった。
翌朝五時半、起床。
「清修〜!逆だよ逆。そりゃズボンのほうだよ…」
「ほらミッタン起きろ!」「朝、弱いんだよ〜低血圧だから…」
「桜子、起きてもう40分よ」「朝は弱いの…低血圧だから…」
「先生、メガネが逆さですよ!」
こんな調子で合宿の朝は始まる。
朝の練習は主に体力づくり。ランニング、ダッシュと走り込みに重点を置いたトレーニング。
その間にマネージャー陣は朝食作り。テニス部のマネージャーと共同作業である。
朝食後少し休憩し、9時から午前の稽古である。
差し入れのスイカを手に合宿の様子を見にやってきた倉田典善。
何か思いつめた様子の巧は、真剣な表情でその前に正座をする。
「生まれて初めてこの頭下げて頼むぜ!おっさんを男と見込んでな!」
その頃、桜子の前に現れたテニス部の栗末部長たち。
桜子にはテニス部に入る気はまるで無いのだが――。
「あいにく、そっちがその気になるまでつきまとってやる覚悟なの、こちらは」
彼女らも真剣そのものである。
巧は典善に柔道部のコーチを依頼する。
「引き受けてもいい」という典善だったが。「ただし!」
「こっちにも弟子を選ぶ権利がある。
おまえらにオレのケイコを受ける資格があるかどうか、テストさせてもらうぜ」
・・・50mしか勝ってない俺(汗
俺も低血圧だ 低血圧の気持ちは低血圧にしかわからん…って桜子はほんとかw
どうしてすぐテニスやめたんだろう。
運動系全般いけそうなのにあえてマネージャーだし
過去が気になる……
寝ぼけのボケが面白すぎる
445 :
マロン名無しさん:2008/07/15(火) 01:40:36 ID:skI+6g1Q
>>443 過去編に入って単行本2巻分くらいくわしく経緯を追ってほしいな
扉絵がエロすぎる。
しかし普通逆だろ、間違って風呂場入るのw
しかも全然脱いでないし・・・何で野郎の尻は描いちゃうんだ。
第41話 試験
倉田典前六段が課した試験の内容、それは乱取り一分間。
一分の間、彼に投げられなければ合格である。
口で言うのは簡単だろうが――。
「万一合格しても、オッサンが毎週シゴキにくるだけ」とあまり乗り気ではない茂。
だが、合格してコーチを受けられるヤツが、
受けられないヤツよりどんどん強くなると聞かされ、目の色が変わる。
そして、ものすごくヤル気になってるヤツも約一名いた。
一番手に自ら立候補する巧。
一分間ずっと攻め続け、典善に反撃の機会を与えないつもりであったが――。
ほんの一呼吸、間をおいたその瞬間に投げ飛ばされていた。
「はい35秒。不合格ね」
一分間もぶっ通しで技をかけまくるとしても、どうしても隙は生まれてしまう。
それにしても、あの太った体格でどうしてこれほど素早い動きができるのか。
もう一回チャンスを求める巧だったが、ここは後回し。二番手は杉が出る。
「まかしとけ!巧とはここが違うのよ」
確かに巧は頭が光らない。何か作戦でもあるというのか。
「倉田典善破れたり!さあ、投げられるものなら投げてください!手かげんは無用ですよ!」
いきなり畳の上で丸くなり、亀の体勢になる杉。
確かにこれなら投げられることは無いのだろうが――。
「杉は寝技で勝負がしたいらしい。
こうゆう時は30秒抑えこんだらオレの勝ちにするからな」
ルールブックは典善です。
あっさりとひっくり返され抑えこまれる杉。自業自得であった。
三番手は茂。(よーするに、動きを止めるからつかまって投げられる!)
「それなら一分間逃げまくり作戦!」
体にさえ触らせず逃げ回る作戦を取る茂だったが、驚くべき素早さで捕まり、投げ飛ばされる。
「14秒、不合格」
四番手のミッタンは長い腕をつかって懐に入らせない作戦。
しかし肩をつかんでいた両手をあっさり外され、そのまま一本背負い。
「ハイ15秒、不合格ー!」
下手な小細工は通用しないと踏んだ五番手の斉藤。当たって砕けろの真っ向勝負に打って出る。
得意の連続技で攻め立てるものの――。
「斉藤、おまえは技はキレるが、いかんせん力不足だ。
上半身の引きつけがなければ、相手は倒れてくれんぞ」
大内刈り、一本。斉藤ですらまるで相手にもならず。改めて化け物じみた典善の強さを実感する。
「たのむ、もー一回だけチャンスをくれ!」
「ああ、何度でも相手になってやらあ」
再び巧が挑む。
一本背負いを小外刈りで返されるが、落下寸前、畳に手をついて持ちこたえる。
(いつまでも、そーやすやすと投げられてばかりいられるか!)
しかし実力の差は歴然。逆に一本背負いで畳に叩きつけられる。
「どうだ、まだやるか坊主!」「やるっ!勝つまでやるっ!」
それを杉が止める。だがそれは、勝てっこないという諦めからではなかった。
「次はオレの番だろが!順番は守れよな」
結局、全員やる気になっていたのだ。
何度でも相手になる、といったのは典善の方である。嫌でも彼らに付き合うしかなかった。
その後も、結局みんな合格できなかったけど、倉田のおっさんもダウンということで…。
後日、あらためてテストの続きをすることになったのであった。
「ひょっとしてこれ、コーチしてもらってんのと同じなんじゃない?」
杉の作戦、発想はよかったと思うんだ…
おっさんいいトシなんだから連日はもたねーよw
と言うか明日もう無理そうな気がする。
ある意味作戦勝ち?
でもいい展開だな
腰ゆわしたらしばらく指導出来なくないかww
なんだかんだで次回にはテスト終わって(折れて)コーチ就任してるな。
第42話 恐怖のキモだめし
合宿恒例、夜の怪談話に興じる女子の皆さん。
龍子先生自信の「夜な夜なひとりでに鳴り出すピアノ」の評価はイマイチ。
ちなみに彼女はこの学校のOGらしい。
盛り上がってきたところで保奈美が肝試しをしないかと提案し、皆さん乗り気に(桜子除く)。
男女混合が肝試しの鉄則、ということで柔道部と男子テニス部も参加することになった。
まずはくじ引き。同じ番号の者同士がペアを組むことになるのだが――それは巧妙な罠だった。
桜子をテニス部に入部させようと企む栗末部長は使い捨てカメラを取り出す。
「海老塚桜子はどうやらコワイのが苦手らしい。
これで彼女のあわてふためくブザマな姿を撮るのよ」
他人には見せられないような写真を抑えられれば、ナマイキな桜子も聞き分けよくならざるをえない。
それが栗末部長の策略だったが、どう見てもそれは脅迫です。本当にありがとうございました。
美人ぞろいの女子テニス部とお近づきになれると感涙にむせぶ茂。
番号は2番。同じく2番を引いたのは、女子テニス部副部長の丸智奈。別の意味で涙にむせぶ茂であった。
保奈美は4番で巧が5番。4番を引いたミッタンが代わろうとするが、それは不正だということで遠慮。
参加するつもりのなかった桜子は強制的に6番に。
桜子の順番を知った栗末部長は部員の麻礼葉を呼ぶ。
「いい?あなたは5番になって、後からくる彼女を脅かす役をやってもらうわ。
私は7番になって、逃げてくる海老塚をはさみうちにするわけね」
さて、肝心の桜子のパートナーは誰かというと――。
「ボク男子のテニス部長、マイケル・知安。ヨロシクね」
彼は日系二世の上に帰国子女だそうです。
「なんだ、ヤツか、心配ないわ。あいつは逃げ足速いからかえって好都合よ」
女子部部長の男子部部長に対する評価は限りなく低いようだった。
肝試しのルールは、体育館のピアノの上にあるジュースを取って戻ってくること。
麻礼葉によると巧は結構女の子に人気があるようで、パートナーになった彼女もどこか嬉しそうな様子。
反対に保奈美はひどく不機嫌だったが――それも巧妙な罠だった。
(たのんだわよ、麻礼葉。うまく、その男をのせるのがこの作戦のカギなんだから)
そのとき、ほくそ笑む栗末部長の後ろに迫る影。
「わっ!な、なによあなた!」
「あっ!柔道部部長の杉といいます。そちらが7番と聞いたので。よろしくお願いしますよ先輩」
体育館では保奈美・ミッタンのペアが順調にジュースを取っていた。
戻ろうとしたそのとき、次の巧と麻礼葉の声。
そのただならぬ様子に保奈美たちは物陰に隠れて様子を見る。
巧の手まで握って積極的な態度の麻礼葉に、保奈美は無意識にコーラのアルミ缶を持つ手に力が。
入り口で待っているからジュースを取ってきてほしい、と麻礼葉は巧にお願いをする。
そして――。
「暗くてよくみえないから不安なの。ピアノのところについたら、音を鳴らして合図して」
「わかった――!弾きましょう、モーツァルトだろーが、ショパンだろーが!」
つくづくお調子者だった。
鍵盤の上を舞い踊る巧の指。奏でられるその曲は――。
「ドードーソーソーラーラーソー♪っとね」
(き、キラキラ星)(なにがモーツァルトだ!)
そのピアノの音が体育館の外まで響く。
それを耳にした瞬間、マイケル・知安、脱兎のごとく逃走。
「キャ――まって!薄情者――っ!」置き去りにされる桜子。
走ってくる人影に(うまくやったわね、麻礼葉)栗末部長はカメラを構える。それは人違いなのだが。
「栗末先輩あぶなーい!」
突進してきたマイケルに杉の前蹴りが炸裂。その拍子に転んだ栗末は足を痛めてしまった。
「も――やだあ〜。こんなとこ一人でいけるわけないじゃないのよう」
マイケルが逃げてしまったために、仕方なく一人で体育館に入る桜子。
彼女に迫る白い影。「ギャ――!!」
響く絶叫。驚く巧。杉も栗末を背負って走る。
「おろしてよ杉クン、たいしたケガじゃないわよ――!」
「なんだ、どーした?海老塚か?」駆けつけた巧の顔面にバレーボールが激突。「でっ!」
「やだやだやだやだやだやだやだーっ!くるな、くるな、くるな、くるな、くるな――っ!」
パニックに陥った桜子。白い影に向かって親の仇を討つかのごとく、バレーボールを投擲、投擲。
これにはたまらず白い影――白い布を被った麻礼葉は正体を現して謝る。
やってきた保奈美はとりあえずコーラを巧にぶっかけ、桜子を慰めるのだった。
杉に背負われたまま現場に到着した栗末に、駆け寄る麻礼葉。
この瞬間、桜子は全てを理解した。
「逃げるのよ麻礼葉!」「またんかい!」
後日談。
「キャーッ!こないだの使い捨てカメラの写真に変なモノが写ってる――!」
心霊写真の正体は、杉に蹴り飛ばされて顔のひしゃげたマイケル・知安でしたとさ。
キラキラ星ってモーツァルトであってるでしょ?
楽しそうだな、合宿
巧は女好きだなぁ……
今後、巧・保奈美ともう1人女の子で三角関係の話とか出てきそう
第43話 三溝の受難
今日は二学期最初の日。
不真面目な学生さんたちは夏休みの課題の処理に大わらわ。
そのとき、茂が不機嫌そうな表情で小さく(?)なったミッタンを連れ、教室に現れる。
聞けばミッタン、なんとトイレでカツアゲされそうになっていたらしい。
トイレで煙草を吸っていた不良どもに対し、
火事と間違えてバケツの水をぶっかけ、からまれてしまったのである。
弱い者には強いのが不良。
ミッタンの気が小さいことを知っていた彼らは金を出せと要求。
そこで大便所から出てきたのが茂だったのだ。
ヤル気かと凄む不良に対し、茂はまるで動じない。
「やってもいいけど、カクゴしとけよおまえら。ここはトイレなんだぜ。
オレが勝ったら、容赦なく、てめえらのツラ、便器につっこんでやるからな!こいよ、オラァ!」
見事な啖呵に尻尾を巻いて不良は退散。
そんな武勇伝に「デンジャラス茂」の称号が密かに与えられることに。
それはそれとして――ミッタンのその性格は損である。
この体格があれば、たいていのヤツはビビるというのに。
というわけで、ミッタンの性格改造、今日の放課後から実行、決定。
道場の前でアイスをかじりながら待ちぼうけの典善。今日の練習は休みでした。
そんなことでは三工に勝てるチームになれないと怒るも、もう皆、学校の中にはいない。
街中のナクドマルドにて、ミッタン改造計画スタート。
手始めに、女連れのヤンキーっぽい男にチャレンジ。
女の背中越しに男に向かって睨みをきかせるミッタン。
どういうつもりかと訝る男だったが、不意に立ち上がったミッタンの体格を見て驚愕。
ミッタンがそのまま脇を通り抜けてトイレに入ったのを確認し、大きく安堵の息を吐く。
女に気づかれないうちにそのまま店を出ようとするが、反応を確かめようとしたミッタンとそこで鉢合わせ。
「ごめんなさーい!」と謝り、女を置き去りに逃走した。
続いて第二弾、今度は路上でチャレンジ。
坊主頭に薄眉、目つきの鋭いヒゲともみ上げが立派な男がターゲット。
一応学生のようだが、半フレームの眼鏡といい厳つい風貌といい、
どちらかといえばヤクザのそれに近い風情である。
真正面から視線を交わす男とミッタン。しかし、男は退くことなく歩を進める。
(うっ、ビビってない!ハッタリの通用する相手じゃなかった!)
振り返るミッタン。危ないときには皆が助けに入る約束だったが、もちろん既に誰の姿もありません。
ミッタンの肩に置かれる男の手。万事休すかと思われたそのとき――。
「キ、キミは神の存在を信じるかい?」「はあ?」
「まあ、少しお茶でも飲んで話さないか?」「えっ、いえ、その!」
そういう方面の人だったらしい。
ミッタンの受難はまだまだ続く…しかし負けるなミッタン、次回の相手はちょっと手強いぞ!
なにやってんだお前らw
まあしばらくは柔道を離れておちゃらけ路線でもいいな。
龍子先生さえ出てくれれば。
普通は保奈美の方が幽霊怖がる設定になるけど
この漫画は逆なんだね。
しかしこの巨人に臆せず神の道を説くおっさんも只者ではないなw
第44話 花の三溝組、高校与太郎哀歌
三溝の性格改造のための試練はまだ続いていた。
それは、ただもう不良っぽいヤツとみれば、あたりかまわずガン飛ばすという、
ホントにしょうもないコトであったが…。
この時、すでにこのコトが、意外な方向に進みはじめていたとは…。
街中のスポーツ用品店で柔道着の注文をする、赤石林業柔道部新部長の酒井と、同じく新副部長の西村。
せっかく街には出てきたものの、遊ぶにもあいにく先立つものを持っていない。
「しょうがねえ、おとなしく帰るか。赤石山脈のふもとへ」
その二人を呼び止める声。「おい、まてっ!」だが、二人には聞こえていなかった。
最近この近辺でウロチョロしているデカイやつ、ということで、彼らは西村に目をつけたらしいのだが、
もちろん二人には何のことやら分からない。勘違いだろうが、少しつきあってやることにする。
不良四人を相手に圧倒的な強さを見せる酒井と西村。
「てめえら、素人の動きなんざ二段のオレには丸みえだよ」
逃げ出す不良たちの中から金髪リーゼントを一匹捕獲した二人は、喫茶店に連れ込み事情を聞く。
なんでも最近、身長2メートル近い大男がでかい顔をしてウロチョロするようになったというのだが――。
(まさか…?)二人にはその大男に心当たりがあった。
噂では既に五、六人が病院送りにされているという。
もちろん、それはあくまでも噂で、実際にケンカをしているのは誰も見たことが無い。
そして男は土曜日の夕方にしか現れないというのだ。
それを確認した酒井は何か思いついた模様。
「もしかして、オレのしってるやつだとすると、手出ししねえほうが身のためだぜ」
「と、いいますと?」
「そいつには4人の命しらずの兵隊がついているんだ。こいつらがもう、強い、強い。
しかもそれだけじゃねえ、そいつらを影であやつっているヤツがいる。
闇のマネージャーと呼ばれる…影のスケ番が二人!」
もちろん、全部デタラメである。
“浜の最終兵器(リーサルウェポン)”の情報を熱心にメモする金髪リーゼントに、大笑いする酒井であった。
これ見よがしなサングラスをかけ、肩で風を切って歩くミッタン。
どうも本当に性格が変わってしまったらしい。
その頃、巧と保奈美はウィンドウショッピング。清らかな男女交際というヤツである。
さすがにそろそろ止めにしないかと茂はミッタンに言う。一応、やりすぎたという気持ちがあるらしい。
と――ミッタンの姿を見た男が大声を上げて逃げ出す。
「で、でたあ――っ!“最終兵器”だ――っ!」
何か有名になってきたらしいミッタン。「ザコめ…」と呟くその声も渋い。
ところが――。
「やっと現れたか、“最終兵器”!!」
「逃がすな――っ!」
いったいどこから集まってきたのか、十人以上もの不良学生の団体さん、ご到着。
さて、アイスクリーム屋から機嫌よく出てきたジャージ姿の男。
その背中を逃走途中の茂とミッタンが突き飛ばす。
バランスを崩し、危ういところで三段重ねのアイスをこぼしてしまうところだったが――。
ミッタンたちを追いかけてきた不良どもに止めを刺され、哀れアイスは道路の上に。
「チョ、チョコミン…ト、キャラメルマーブル…、スペシャルストロベリー〜!あのガキ共〜!」
アスファルトに抽象画を描いて散ったアイスたち。
その仇を討つべく一人の修羅が、涙をにじませ立ち上がった。
性格が変わったかと思ったらやっぱりヘタレのままなのかw
まあでもなんか安心したぜ。
リwwwwwwwwwサwwwwwwwwwルwwwwwwwwウェwwwwwwwwwwwポwwwwwwwwwンwwwwww
で、ジャージの男はやっぱりどっかの柔道部員で第二の藤田になるわけか?
登場の仕方がこれだからまたヘタレ臭がするわけだがwww
第45話 魁!!ろくでなし爆走族疾風怒濤編
茂とミッタンを捜す柔道部の面々。
その頃、二人はついに高架下で不良たちに取り囲まれてしまった。
絶体絶命かと思われたそのとき――ロシア人の被っている帽子のような頭をしたジャージ姿の男が現れる。
男は不良の一人に上段回し蹴り一閃。
さらに続けてもう一人を瞬殺。恐るべき切れ味の空手技を見せ付ける。
「空手は小学生の時!そんでもって中学ん時ゃこっちよ!」
今度は左フック、ボクシングである。
まるで人間凶器。十人相手にしてジャージ男は紙でもちぎるように不良たちを蹴散らしていく。
「そこまでだぁ!てめーが空手で鍛えた拳と木刀とどっちがかてえかなー!」
不良の一人がついに定番アイテムを持ち出してくるものの――。
「けっでたなヒキョー者!グダグダぬかしてねーでくるならこい!」
本物の凶器を前にしてさえ怯む様子もまるで見えないジャージ男。
と、そのとき――驚愕の声が。
日本の誇るHONDAスーパーカブ(※車両重量約80キロ)を振り上げて、ミッタン登場。
あまりにも格の違いすぎる武器を目の前に、クモの子を散らすように不良たちは逃げ出していく。
危ないところを助けてもらった礼をいう茂であったが、修羅の怒りは納まっていなかった。
「よけーな世話だってんだよ!」素手の拳による右ストレート。
すんでのところで茂はそれをかわしていた。
「あ、あぶね――!本気かよあんた!?」
「ほお…ボクサー以外でオレの右ストレートをかわしたヤツは初めてだぜ…。
しかし三度続けてかわしたやつは、プロのライセンスもってたヤツだけだったがな…」
茂たちの様子を遠くから眺めていた不良ども。
どちらか倒れるまで待って、残った方を総攻撃する算段である。
その、さらに後からうかがっていた保奈美はついつい声を出してしまう。
「だめえ、ケンカしちゃあ!ここにいるヒトたちがなにかたくらんでるわっ!」
あっさりと不良たちに捕まってしまう保奈美と桜子。
こうなってしまってはしかたがない。
何とかジャージ男にも抵抗しないよう頼むしかないのだが――。
なんと彼は自ら無抵抗を示し、その場に座り込んでしまったのだ。その彼を見た保奈美が気づく。
「あなたは…!平ちゃん、平八郎クン?」「…やっぱり保ちゃんか…」
なんとこの二人、知り合いだったらしい。
思わぬ収穫に得意がり、不良どもは茂たちに土下座を強要する。
そこに――救世主登場。「ハーイ!」
いきなり現れた巧に驚く不良。
「い、いつの間に…!誰だてめえ!?」
「オレはこーゆー者だっ!」
巧の怒りの鉄拳炸裂。保奈美を解放する。
さらに杉と斉藤もかけつけて形勢逆転。不良たちはたまらず逃げ出していった。
「あ、そう、巧クン。誰だかわかる?」
「よお、変ってないなあ…タッちゃん」
平八郎は巧を愛称で呼ぶのであった。
タッちゃん、保奈実をIHにつれてって
旧知の知り合いか…
つか保ちゃんって微妙に言いにくい愛称だな。
実は保を分解してイロホちゃんである説
ほっちゃん、かなあ。
ほっちゃん
ほーちゃん
ほんちゃん
普通にほなみちゃん、で呼んだ方が楽じゃないかという気がする
第46話 10YEARS AGO
かつていイジメられっ子だった平八郎をいつも助けていたのが巧だった。
巧、保奈美、平八郎の三人は家が近所の幼なじみだったのだ。
四年生のときに転校した平八郎は、
自分の身を自分で守らなければならなくなり、空手を始めたのである。
「わかる、わかる。はじめはみんなそうなんだ格闘技って。強くなりたいっていう一心でね――」
納得して頷く茂だったが、ミッタンは少し違った。
彼は本当は文化部希望だったのが、むりやり茂につき合わされたのである。
実際にケンカにも勝つようになって格闘技に興味の湧いてきた平八郎は、
中学時代にはボクシングへ転向。
まあ、そちらに熱心すぎたばかりに勉強のほうは見事に落ち込んだらしいのだが。
彼の現在通っている学校は『暁泉学園』という新設の私立校。
彼はその体育科に在籍するスポーツエリートなのだ。
5月の地区予選での浜高の活躍を平八郎は賞賛する。
その上で――来週の市民大会に出るのか尋ねた。
「いいおくれたけど…堀内平八郎は、暁泉学園柔道部主将なワケだ、これが」
平八郎はべつに柔道が好きというわけではない。
しかし、学校側が力を入れている部活なので奨学金がもらえる。
インターハイ出場ともなれば系列の大学に推薦入学もあり、彼には部活が受験勉強のようなものなのだ。
「だから悪いけどタッちゃんにも負けるワケにゃいかない。こっちは一生の問題なんでね」
暁泉の柔道部も全員一年生部員。
だからこそ地区予選での浜高の活躍がくやしかったのだ。
「まあ、気が向いたらみにきてくれよ、市民大会。
浜高に負けねえくらいのド派手なデビューにするから」
帰り道、トーンの低い巧。
ずっとごぶさたしてた親友が、出会ってみたらライバルになっていたでは無理もないが。
巧は茂から平八郎の強さを聞かされる。
(そっか…あの泣き虫だった平ちゃんが…)
それを聞き、笑い出す巧。
落ち込むどころか、むしろ嬉しげな様子であった。
日曜日。休日返上で市民大会を見に来た浜高柔道部に典善は感心する。
「そりゃあもう、我われは倉田典善先生の応援団っスよ。でるんでしょ?高齢者の部で」
「なっ!?」
唖然とする典善。
「バカヤロウ!わしゃまだ五十過ぎたばかりだ!今日は県警のカントクとしてなあ!」
まあ、それはそれとして、何だか不機嫌な様子の保奈美を巧が諭す。
「別に敵同士とか勝負事とかじゃなくてさ。あの泣き虫だった頃の平ちゃんとは違うんだよ」
少し寂しい気もするが、それは仕方のないこと。
試合場で整列する平八郎に、巧は手を振る。
(…本当に変ってないなタッちゃん。
でも、オレの実力をみてからでもそうやって笑っていられるかな?)
五十過ぎか・・・
まあ娘の年考えたらありえるんだけど、それで高校生5人も相手にすんのは無理だろ・・・
第47話 私立暁泉学園登場
市民大会にはけっこういろんな学校が出場しており、その中には三工の名もある。
とはいえ、藤田は今回は出場しない。今日の三工は実は補欠組、Bチームなのだ。
正選手は昨日まで東京へ遠征、今日は自宅休養の日とのこと。
「藤田のヤローナマイキに…東京ってツラかよ…」
巧の妄想の中の藤田はとてもステキな格好をしていた。
さて、暁泉学園の一回戦。先鋒にはいきなり巧の友人、堀内平八郎が出る。
その彼にむかって何故か味方のスキンヘッドから野次が飛ぶ。
長髪のキレイ目の少年がそれを抑えようとするが、いきなり二人で揉めはじめる。
「うるさいっての!ヒトが試合すんだから、おとなしく見てろ!」
主将として平八郎が一喝。
(なんでウチの部はこんなヤツらばっかなのかなー?)
と悩む彼だが、どうみても類が友を呼んでます。
「キミ、試合の時は帽子を取りなさい」「これは髪の毛っスよ、モノホンの!」
本当に、随分と個性的な学校のようだった。
相手の城南高は前の大会で三回戦まで勝ち進んでいる、それなりに強い学校である。
いくらケンカが強くても、柔道を始めてまだ半年の平八郎がどこまで戦えるものか――?
「ダンスやりにきたんじゃねーぞ、平八郎!」「とりあえず得意の足技でもかけてみれば、平八郎!」
平八郎平八郎と連呼されて怒る平八郎。やはりこの名前は気にしていたらしい。(以下、堀内で)
堀内は城南高の先鋒に対し足払いを仕掛けるが、やはり素人らしくタイミングはメチャクチャ。
踏ん張っている足を払っても、誰も倒れてはくれない。
ところが――相手が脂汗を浮かべて畳に崩れる。
審判が「待て」をかけ、メンバーが集まる。
なんと負傷により相手の先鋒は棄権。
メンバーに抱えられて戻ってくる彼の右足は、すごい腫れ方をしていた。
「ヤツの足、変だよ。人間の足じゃねえよ。石をぶつけられたみてえだよ」
空手をやっていたとはいっていたが、まさか足払い一つで大ケガとは。
堀内平八郎、まさに全身凶器である。
続いて次鋒は、先ほどの口の悪いスキンヘッドが出る。
「よかったね、杉くんお仲間がふえたよ」
「ゆーと思ったわ!」
やたらと腕が長く、懐の深い彼であったが、
中に入ってしまえばこっちのものとばかりに城南の次鋒が仕掛ける。
背負い投げ。しかし技に入ろうとしたその瞬間――、
まるで蛸の足のようにスキンヘッドの腕が彼の体に絡みつく。
「うおらあああーっ!」
そのまま無造作に持ちあげ、畳に落とす。
審判の手が上がって「一本」。
「まァ、直弼のあのパワーだけは認めるけどね。水泳やってるより、こっちのほうがあってるわよ」
城南高の選手は審判に抗議。
あんなのが柔道技として認められるのか――ということだが、おそらくは無駄。
多少強引ではあっても、あれは「すくい投げ」には違いない。
先鋒の堀内にしろ今のスキンヘッドにしろ、タダ者ではないのは間違いなかった。
「おーい、永田ァ!うれしいだろ、初めて他校の男と試合ができて」「おだまりっ!」
暁泉学園三人目は、何故かお姐言葉の長髪美形。
「…ホントにタダ者じゃないヒトもいますけど」
「…約一名ね」
このお姐様は寝技の使い手に違いない
帽子はヒデーよ審判w
第48話 新たな宿敵
暁泉学園三番手の永田は白帯の初心者とは思えないほどのキレのある身のこなしを見せる。
見かけとは裏腹のまともな柔道。元々の才能が違うということだろうが――。
業を煮やした相手は永田の襟をつかんでいた左手で、そのまま彼の顔面を殴る。
見た目には組み際の事故。
予想外のラフプレーに体勢を崩した永田は小内刈りで「技あり」を奪われてしまう。
勝ち誇る相手であったが、その瞬間、永田が豹変した。
驚くべき敏捷さで後方を取り、相手を片羽絞めに捕らえる。
「さっきのはワザとだなあ、えっ?ワザと顔をなぐったんだな、あ――?
安心しろ、そんなんで根にもって苦しめようってんじゃねーから」
相手の肩関節を極めると同時に頚動脈を絞め上げる。
心なしか彼の表情までサディスティックに一変していた。
「気持ちよく落としてやるよ。いってらっしゃい(ハァト)」
逃げられないと悟った相手は「まいった」しようとするが――、
二回タップする間もなく失神してしまった。
この時点で暁泉学園の三連勝。二回戦への進出が決まった。
おさまらないのは城南高で、白帯相手に3タテくらった挙句、選手はケガ人だらけのボロボロ状態。
せめて一矢報いてやろうと意気込む副将だったが――その目の前には小山のような巨体の男。
「あ、あの…ちょっとお聞きしますけど…体重、なんキロあるんで…」
「140キロだ」
ヤケクソになって城南高副将は背負い投げを仕掛けるものの、やはり持ち上がらずに圧殺。
そのまま押さえ込みになり、一本。さしずめ、相撲部出身というところだろうか。
いずれ劣らぬ化け物ぞろいの暁泉学園。となると、残る一人もタダ者とは思えない。
ゆっくりと立ち上がる大将。外見からして高校生ばなれをしている。
「ダンナ、ラストきめてねっ」
「勝負師といわれた腕前みせてくれよ、ダンナ!」
なんともゆるりとした自然体の構えをみせる暁泉の大将。
まるで一分のスキもないという風情である。
ダメでもともと組み際が勝負、とばかりに仕掛ける城南大将だったが、
相手がまるで抵抗せず一本。「えっ?」
「…ダメだったか…」
「やっぱ、ゴルフから柔道への転向はムリだったみたい…」
「ホントにバンカーの勝負師といわれてたんだけどよー…」
結局、暁泉学園は4−1で一回戦を突破。その後も順調に勝ち進んでいった。
決勝戦の相手はやはり三工である。
想像以上に強かった暁泉学園。浜高とやっていたら勝てたかどうか、微妙なところ。
「彼らの素性をなにもしらなかったら、もしかして負けてたかもしれない。でも…」
「しょせんは素人集団。ちゃんとした対策を立てれば攻略できるってワケか」
現れたのは石塚。彼も暁泉学園を偵察に来ていたのである。
「この地区では今までああゆうスポーツに力をいれてる私立校がなかったからな。
近い将来強豪になるかもしれないトコだし、他の学校のヤツも情報を集めてるらしいよ」
やはり注目度の高い暁泉学園。石塚によると、藤田もこの会場に来ているらしい。
三工の顧問、吉岡先生は暁泉学園のことを聞いてもあくまで余裕。
何しろ三工のBチームとはいえ、彼ら五人は全員が、
他の学校ならポイントゲッターになれるぐらいの実力者ぞろいなのだ。
そのとき、喚声が上がる。
すでに決勝戦が始まっており、先鋒戦に決着がついたところだったのだ。
得意がる吉岡先生だったが、しかし、勝ったのはなんと堀内の方。
彼は開始十秒とかからない瞬殺劇で、しかもまともな柔道技で三工の先鋒を倒してのけたのである。
(みたか、タッちゃん…いや、粉川巧!)
(やるな平ちゃん、相手にとって不足はないぜ。次に会う時は勝負する時だな!)
闘志を漲らせる巧であったが――。
「でも、オレたち他のヤツらとはなるたけやりたくないんですけど…」
他のメンバーはヤル気がおきない様子であった。
次回は一回休載して、単行本5巻のおまけを紹介します。
あまりにキャラの立っている暁泉の方々を見て
こいつらを主人公にした方が面白くなるんじゃないかと思ったのはここだけの秘密だ
巧×平ちゃんの幼なじみ対決
杉と蛸のツルツル対決
斉藤とダンナのテクニシャン対決
三溝と140`の巨漢対決
宮崎と姉御の余り物対決
2勝1敗2分けで浜校の勝ち
ボクシング・水泳・相撲・ゴルフ
残り一人は何部だ?
>>489 確かにww浜高は暁泉と比べると淡白だよね
一応各々の役割分担的なモノは見えている気もするけど
一本新しく漫画描けそうだなってのは同意ww
>491
何故かシンクロナイズドスイミングやってる永田をまず想像した
が、それだと水泳部でかぶってしまう。
ここは順当に新体操かバレエ辺りで如何だろうか、……あれ?
氷上の美を競うフィギュアスケートじゃね?
>>491 運動系なのは当然としても
長髪が認められるような部活である
と言うことは……
セクシーコマンド部だな
>>491 実はテニスだったりして
永田「おほほほほほほ」
○単行本5巻 (表紙:三溝幸宏 裏表紙:海老塚桜子)
・四コマその1
1.この巻にでてくる巧の少年時代について少し語ろう。
もともと巧と保奈美は近所同士で幼なじみだった。
2.しかし、二人は別々の中学に進学した。
父親が他界して、しばらくたった後、母親の実家の近くにひっこししたからである。
3.二人はそれでもしょっちゅう連絡をとりあっていたらしい。
そして、そのつきあいは現在に至るわけだ。
4.その一方で巧より前に転向していった平八郎とは今回、偶然出会うまで音信不通だった。
彼がひがむのもムリはない。 平「うるせえんだよっ!」
・四コマその2
1.ついでだから永田の少年時代についても語ろう。
もともと彼はごくふつうの子供であった。
2.小さい頃はおとなしく内向的ではあったが、
心のやさしい素直な少年であった。
3.しかし、ある日家の者の留守の間、それがすべての始まりであった。
4.永「シャレにならねえんだよっ!」(化粧までしてねーっての!)
河合:(バキッ!)ゴン!(殴られて机に顔面から激突)
・ついに第5回『絵筆をもってね!』
選評/河合克敏 応募総数:544点 入選:40点
グランプリ:岡山県・ゆうき喬史〔巧・茂・保奈美・桜子〕
準グランプリ:富山県・小林みく〔桜子・豊〕
神奈川県・佐藤加世子〔巧〕
topix:東京都・杉薫命〔魅惑のブラン・マクシモビッチ〕
投稿者の若年化傾向強まる。
誰かが描くと思った謎のマイナーキャラ丸智奈登場!! 東京都・井上英樹〔丸智奈〕
永田www
やっぱり永田愛されてるなwwww
永田wwwwwwwwwwwwwwwwwww
第49話 焦り
夜、巧は寝転がってライバルたちを思い浮かべる。脳裏をよぎる堀内、石塚、藤田の姿。
(負けるワケにゃいかねーぜ。あいつらだけには…)
翌日の練習、今日も典善に稽古をつけてもらったものの、誰一人としてかなわずボロボロ。
「あんたたちが弱いんじゃないの?」桜子のこの発言にはさすがにカチンときた。
「ホントにひとこと多いね、コイツ」「クチでゆってわからんヤツは…」「げっ、ま、まさか…」
柔道着を脱ぎ捨てた杉たちは感情のままに桜子に襲いかかる。
「筋肉攻撃――!こらっ巧も斉藤もいっしょにやらんか!」
むくつけき男たちによる筋肉と筋肉の競演。これには桜子もたまらない。
「ゲ――気持ち悪りー、やめてやめてやめてー!」
「いつまでもバカやってんじゃないの!もうすぐ秋の選手権なのよ!」
竹刀を振り回し皆に活を入れる龍子先生。それを巧が止めた。「そのとおりです、先生!」
巧に顔を近づけられ、龍子先生赤面。まあ、それはともかく――。
春の地区予選で好成績を残した浜高は、他校のマークがきつくなるのは当然。
そして三工、佐鳴といった強豪に加えて今度は暁泉学園という新たな敵が現れた。
「そんな中でオレ達が勝つためにはどうしたらいいんでしょう!それがわかんないんですよ先生!」
「わ――またきた!」
自分のするべきことが分からず焦る巧を、龍子先生は思わず竹刀でぶったたく。
「巧クンの気持ちはよくわかったわ。でも、私たちは教師と生徒という関係であって…」
「そーじゃないでしょ」
強くなりたいのなら練習するしかない。しかし、今の練習を続けて優勝ができるかというと、
それはどう考えても難しい。何か決め手を、例えば新しい技の研究するのはどうかと巧は提案する。
しかし、典善がそれを止めた。大会まで二ヶ月も無い今から練習しても身につくような技などない。
だが、巧も納得できない。事実、巧の背負いは石塚や藤田には通じなかった。
背負い投げだけでは勝てないという巧を「まるで背負いを極めたようないいかただな」と典善は咎める。
「自惚れるなボーズ!たかだか十五、六のガキにひとつのワザが極められるか!」
巧の背負いが通じないのは、それがまだ未完成だから。
新しい技がどうとかいう前に一つの技を磨くべし。
典善とて極めたとはいえない。しかし、何十年と磨かれた技は今の巧よりはマシだという。
こうまで言われては引き下がれない。
巧は典善と真正面から組み合う。
「いいのか?投げられんように、どんな姿勢をとろうが構わんぞ」「大きなお世話だ!」
そんな巧を鼻で笑い、典善がわずかに手首をかえすと、巧の足元がふわりと浮き上がる。
その瞬間――巧は投げ飛ばされていた。
「…わかったかボーズ?なにがどうおまえの技と違うのか?」
「だいぶ違うのはわかったけど…どういうリクツでああなるのかはわからねえ…」
今の典善のわずかな動作も「崩し」の一種。二本足で立つ人間を不安定にぐらつかせるのは、
手首一つを返すだけでも充分に可能ということなのだ。
「大事なのはいくら敵の体勢を崩すためとはいえ、大きすぎるムダな動作を極力なくすコトだ。
敵を崩したらそのままスムーズに自分の投げにつなぐ。手足の先まで正確かつ迅速にコントロールして
それら一連の動作を行うのが理想だ。
ムダを省くことがスピードにつながる。鋭さを増す。技を磨くとはそういうコトだ」
それは巧のみならず、他の全員にも言えること。
やる気の無いヤツにまで教える気は無いという典善だが、
斉藤が要領のよさを見せ、杉も典善の足元に泣いてすがる。
「やります!やります!見すてないで!」
「あーっ、うるさい!わかった!わかった!」
(よーし、こうなりゃオッサンの技をてってー的に吸収してやるぜ!選手権予選までに!)
決意を新たにする巧であった。
なんか巧が熱血主人公になってきたな
こういうのって、経験者は無意識に近いレベルでやってることもあるから、イマイチ分かりにくいんだよね・・・
典善カッコヨス
ほんとに桜子襲ってくれても構わないのに・・・
第50話 授業で柔道
「いいか、いくぞ!」「おう!」「いつでもこい!!」
ダッシュ、ジャンプ、見事に着地。
「ったっ!4人飛び受身成功!」「さすが本職!」
巧の見事な前まわり受身に観客、やんやの大喝采。
受身が上達すればどんな高さから投げられても怪我をしないで済む。
浜高体育教師、来根里先生の柔道の授業では、受身を重視で行うらしい。
柔道を始めたころの思い出をしみじみ語り合う柔道部員。最初の二月は受身しかやらせてもらえず、
それでも実際にマスターできたと実感したのは半年も経ってからのこと。受身とは案外難しいのだ。
――15分後。
「よーし、受身も一通り済んだところで、立ち技の練習に入る!」
もう技の練習に入ってしまうらしい。受身を重視するのではなかったのだろうか。
柔道部ははっきりいってソンである。サッカー部とかバレー部とかなら、
体育の授業でやる時には圧倒的な実力を見せつけてヒーローになれるものである。
しかしこと柔道に関しては見本を見せるぐらいで…乱取りの時はこわがって相手をしてくれないし。
結局、同じクラスの柔道部同士で乱取りをやったりする。
「これじゃ部活と変わらねーよっ!」
個人競技だから当然のことかも知れないが…。
でも本当は柔道部のヤツとやるほうが、うまいからケガすることはまず無いし、
いろいろ訊いて実戦的なテクニックを教えてもらえば、他のヤツらより確実にうまくなる。
「くそっ、この機会にぶん投げてやるヤツちゃんと決めてきたのによ――」
こーゆーヤツはあんまりいないから誤解しないよーに!
乱取りで余った巧は、典善に言われたムダのない動き、技の鋭さについて考えていた。
その目の前で豪快な大外刈りを決めるのはラグビー部の沖田。
実は小学生の頃、彼は柔道をやっていたのだ。
「相手してくれねえか?こいつらじゃぜんぜんものたりねえからよ」
沖田は巧に乱取りの相手を頼む。
沖田に嫌な思いをさせられたクラスメートたちは、彼が巧に投げ飛ばされれば面白いのに、と考える。
しかし、沖田はデカい割に運動神経も悪くない。
体格差で巧のほうがやられてしまうのでは?と危惧する。
沖田の側も巧相手なら「手かげんなしで技かけられる」と調子に乗るが、それに対して巧の一言。
「投げた相手があれほど痛がるってのは――おまえの技がヘタだってことじゃねえの?」
沖田のはただの力任せで技になっていないと巧は言う。
カチンときた沖田はその技になっていない技で投げられたらどうするのか?と問う。
「“天竜”のラーメンをおごってやろう。二人前でも、三人前でも」
「五人前だ!忘れんなよ!」
巧からみれば、所詮素人の沖田の動きなどまるでスキだらけ。
しかし、典善からみれば巧も同じようなものなのだろう。
巧これまであたり前にやっていた技の動作を、沖田を相手に細かく一つ一つ確かめる。
小外刈り、一本。
100キロ近い沖田の体を足をかけただけでひっくり返した巧にクラスメート一同、驚愕。
巧にしても、素人相手ならこうしてわかりやすいのだが…。
(これが有段者同士となると、ちっともうまくいかないのだ)
おさまらないのは巧に投げ飛ばされた沖田のほうである。
一応は経験者で体格も大きく、多少なりとも自信を持っていた彼だけに、
このまま柔道部に負けたままではいられなかったのである。
その背中に茂がぶつかる。
「へっへー、どうした杉クン?ぜんぜん技かかってないよお!」
「ちょっと身軽だからって調子にノるなっ!
だいたいテメーは寝技やらせりゃ、てんでオレの相手にならねーだろが!」
茂が寝技が苦手だと知った沖田。チャンスとばかりに寝技乱取りの相手を茂に申し込む。
「おい宮崎!」
「おう沖田!さっき、華麗に宙に舞った男」
言いたい放題の茂に体重差で押しつぶしてやると意気込む沖田だったが――。
開始と同時にひっくり返され、そのまま横四方固め。
「見ろよ、沖田のヤツ今度は宮崎におさえこまれてるぜ」
「ハハッ、ざまーねえや!」
「あんたたちねえ、なんでそんなカッコしてんのよ!今はH・Rやってんのよ!」
「だって六時間めの体育、柔道だったんだもん。どーせ、この後また着替えるんなら同じじゃん」
柔道着のまま教室に戻った巧たちだった。
柔道部だってやさしいやつ相手にすれば授業のとき楽しいんだよな
気になるクラスメートに縦四方固めしたりな
アーッ
俺はクラス一体格があったので
問答無用で柔道部の重量級とやらされた
…乱取りで手抜けや
斉藤はいい奴だなあ
○それぞれのバレンタイン模様
・チョコのアイデアが煮つまってきてるヤツ(今年で7回目)〔保奈美〕
・義理やる相手ばっかやたらいるヤツ〔桜子〕
・あてがあるのでホッとしてるヤツ〔巧〕
・実はけっこーいっぱいもらうヤツ〔斉藤〕
・となりの数が気になるヤツ〔杉〕
・義理しかあてのないヤツ〔茂・ミッタン〕
第51話 暁泉高校監督・市川
暁泉学園、朝の風景。さすがに体育科だけあって、合宿だの遠征だので欠席者が目立つ。
柔道部のスキンヘッド、佐野は陸上部の男に実績が出せていないことをからかわれて揉みあいになる。
授業中だろうと関係なしに暴れる佐野。体育科の生徒にとって授業は単位を取るためだけのものなのだ。
しかし、担任教師が「市川先生」の名を出したとたんに佐野はおとなしくなった。
気を取り直して出席を――と、堀内に言伝。校長室への呼び出しである。
私立暁泉学園高校。某私立大学の付属高校として一昨年、創立されたばかりの高校である。
そしてこの新設校の名を一躍、世間に知らしめたのは“体育科”の生徒。
特にこの夏の県大会では野球部がベスト4、サッカー部が準優勝という創立2年目とは思えない成績を残した。
運動能力に長けた生徒を集め、全国から有能なコーチをスカウトし、おしみなく設備に金をつかう。
周辺の高校スポーツ関係者にとって、この新しい勢力はすでに大きな脅威となっていた。
校長室にて、堀内は二週間前の土曜日のことを問い質される。
駅近くの路上で他の高校生と乱闘騒ぎを起こしていたことを父兄に目撃されていたのである。
幸い、警察やマスコミの問い合わせもなく、内々で処理できることになったわけだが――。
本来ならば警察からの通達があろうがなかろうが、堀内は退学になるところだったのである。
事が公になって、他のクラブが出場停止などという事態になってからでは遅すぎるからだ。
市川は堀内の襟首をつかんでロッカーに叩きつける。
実は堀内を呼び出して聞くまでもなく、既に写真を見せて確認は取ってあったのだ。
他に目撃者がいなければ、この件は笑い話で済ませられる。
それを願って処分を待ってもらったのである。
もしものときは、市川自身が全責任を負う覚悟で賭けに出たのだ。
市川は万力のような腕力で堀内の頭を挟みつける。
「オレがおまえにかけてる期待がどれだけ大きいか分かってくれたか?
同時にこのオレを裏切るようなマネをしたらどうなるかもよーくわかったハズだ。
それだけは肝に命じておけ!」
廊下に突き飛ばされた堀内は市川を睨むが、それ以上のことはできなかった。
(いいてえことぬかしやがって…しかし、たとえオレたち五人が束んなってかかってみたって、
あのオッサンの息ひとつ乱すこともできず、返り討ちにあうだろうからな…)
市川哲人31歳、私立暁泉学園高校教員柔道部顧問兼コーチ。
全日本体重別優勝三回、世界学生選手権3位――一昨年まで国際強化選手だった男である。
ところかわって浜名湖高校。道場ではそのとき、信じられない出来事が起こっていた。
茂が巧を一本級の技で投げてしまったのである。大はしゃぎの茂であったが――。
「茂、おまえそこまでおちたのか」「へっ?」
「正直にいいなさい。巧君の食事に下剤を入れたとか、トゥシューズの中に画ビョウを入れたとか」
トゥシューズをはいて柔道をする人間などいないだろうが、それはさておき。
誰にもまともに信じてもらえない茂は巧本人に聞くように言う。
「じ、実は…さっき、部室の茂のロッカーの中で…こんなものが…」
巧が出してきたのは、彼の似顔絵が貼り付けられ、五寸釘を打ち付けられた藁人形。
動かぬ証拠に取り押さえられる茂であったが、もちろんそれは冗談。本当に巧は投げられたのだ。
巧は斉藤に「体の調子がおかしいんじゃないか?」と尋ねられる。
「なにをおっしゃるんです!月影先生!この姫川亜弓の演技になにかご不満でも!?」
どうやらおかしいのは頭の方らしかった。
実際、ここしばらくの巧の調子はおかしい。
しかし、それはべつに手抜きをしているわけではなかった。
「考えがあってのことさ。最近ようやくわかりかけた気がするんだ」
「えっ、なにが?」
振り返った巧の表情は、静かな自信に満ちていた。
「オッサンのいったコトの意味がさ。今はそれだけしかいえない」
高校柔道選手権地区予選まで――あと41日。
市川、そんな強いのかw
白眼オヤジとやらせてみてえ
なんでコーチはそんなにスゴイのに選手が寄せ集めなんだ?
>>521 そりゃこれから名を上げようっていう新設の私立校なんだから当然じゃね?
実績も何もない状態じゃそうそういい選手は来てくんないから
素材だけはいい奴を優秀な指導者に鍛えてもらおうってハラなんだろ。
トウシューズに画鋲いれるとはw
国際強化選手てあーた、ついこの前までの現役最高峰じゃねーか・・・・・
指導者としての実績がないからって呼べるモンかね。
なんか野心家っぽいからな
新設の無名高をいきなり強くしたとなれば普通よりはるかに名が売れる
利害が一致したんだろう
あのジャック・ニコルソン監督みたいに
やっぱ倉田のオッサンと知り合いだったりしてなw
第52話 袴田(弟)登場
『チャッチャッチャラチャラチャラッチャーン!ミナミちゃんをさがせ!』
『S県H市佐鳴高校柔道部のミナミちゃんは――袴田今日子さんです!』
合宿所のテレビの画面に登場したのは、なんとあの袴田さん。野郎どもの野太い声が飛ぶ。
「いっち、にーの!ぎょうごおー!」
杉、茂、ミッタンはいつのまにやら袴田今日子親衛隊を結成していたらしい。
高校二年で県大会優勝、全国ベスト8の成績を残し、注目を浴びる袴田さん。
放送が終わってなお、親衛隊の三人は興奮冷めやらず。ウィーン、ガチャコン。
「え、海老塚!それはまさか!?」「今の番組ビデオで録画してたとか!?」
即座にダビングを申し入れる三人。そこで桜子に悪魔の尻尾が生える。
「一人千円。テープ代なしで」「てめええ!」
暴利を貪る悪徳商法に抗議の声が上がるが――その後ろで保奈美がポツリ。
「あの番組って…マネージャーはでれないのよね」
そんな極上の釣り餌に食いつかない柔道部員ではなかった。
「近藤、おまえでたいの?」「う、ううん、ただいってみただけで…」「そーか、テレビにでたかったのか」
「テレビ出演されたことがくやしーワケだ、同じ女として!」「そ、そんな…」
「なによ、袴田なんて、アタシのほーがかわいいのにとか思ってんな、コイツ?」「あ、あの…」
「もしもアタシがテレビにでてたらもー、芸能界がだまっちゃいないわよとか思ってんだろ!?」
「『帯ギュ』のヒロインの座はわたさないわよとか…」
調子に乗る杉の頭に龍子先生の竹刀一閃。
「まったく…高校生にもなって女のコイジメてよろこんでるんじゃない!」
翌朝、佐鳴高校。袴田さんは友人一同に取り囲まれ、一躍時の人となっていた。
下駄箱を開ければあふれ出すラブレターの山。これにはさすがに扱いに困る。
「もらって困るもんなら、捨てちまえばいいだろ?」
そこにいたのはオールバックに決めた背の高い少年。
「大体、テレビに出た次の日から手紙送ってくるなんておかしいぜ。
姉さんはテレビに出る前と何も変っちゃいない。ずっと前からこの学校にいたんだからな」
「豊!」
今頃になって手紙を送ってくるようなヤツに誠意など無い。
テレビに出たヤツがいるのを面白がっているだけで、本気のヤツなどいるはずがない。
まったく正論ではあったが、デリカシーに欠ける発言が袴田さんを怒らせてしまう。
素直に謝れないのも若さというものか。落ちていた手紙の一枚を豊は踏みつけようとして、
――飛び出してきた石塚に投げ飛ばされた。
出足払い一閃。
床に頭から落ちるところを、石塚がとっさにその腕を捕まえて止め、事なきを得る。
「ごめんな、とっさのことでつい手が出ちゃって…つうより足が出たのか、この場合?」
駆け寄ってくる袴田さんたちに、石塚は爽やかに朝の挨拶。
「…アンタ、柔道部の石塚だな!」
「そう、知ってた?姉さんから聞いてたか」
姉と交際している男に対し、弟として複雑な思いが無いはずがない。
豊は跳ね起きようとして――。
「うっ!」制服の袖が破れて後頭部から床に激突。そのまま意識を失った。
一時限目が終わって休み時間、石塚は保健室を訪ねる。
付き添っていた袴田さんによると、どうやら軽い脳震盪で済んだらしい。
「だらしない」と実の弟を遠慮なく斬り捨てる袴田さん。
彼女によると、弟の豊も柔道をやっていて、しかも黒帯だったとのこと。
袴田姉弟は熱心な父親に小学校から柔道着を着せられ、実に10年のキャリアを持っていたのだ。
しかし、豊は高校に進学してから柔道部には入らなかった。
それはおそらく姉である彼女がいたから。
一人っ子の石塚にはよくわからなかったが、姉弟とはそういうものなのだ。
ところで、話は今週の昇段審査のことに変る。審査の後で映画を見に行かないかと誘う石塚。
豊はベッドの上で、その会話を盗み聞きしていた。
(昇段審査か…たぶん市の武道館だな…)
昇段審査当日、袴田さんは杉たち(自称)親衛隊に取り囲まれていた。
その様子を物陰から見守る石塚と、さらにその後から覗いている豊。
(くそーっ!また、あいつらきてるよ…。まさか、終わった後までつきまといはしないだろうな…?)
(へっ、よくわかんねーけどイイ気味だぜ)
くそ、またイケメンか
袴田さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!!!
桜「今回は柔道の段をとるハナシなので」保「段のとり方を説明します」
杉「段をとるには昇段審査というのを受けるのです。段をとりにきた白帯の者同士で試合をします」
保「一本勝ちは1点、優勢勝ちは0・5点と計算します。
10点ためれば“優”といって文句なしに初段の免状がもらえます。
でも、けっこー大変なので、審査に何べんも通うと低い点数でも初段をとらせてくれます」
「また、6人連続で勝ち抜いた場合、“抜群”といって6点でも初段をもらえます」
桜「なお審査方法は地方によって違うことが多く、三段以上の審査の場合もだいぶ変ってきます」
第53話 昇段審査
市の武道館に意気揚々と乗り込んでくるのは、市川先生率いる暁泉学園柔道部である。
「いいか、初段の審査なんぞにてこずっていたは話にならん。
お前たちの実力だったら、6人抜きの“抜群”でとって当然だ」
6人抜きしてあたりまえ、それ以外の結果は報告しに来るなと言い放つ市川。
それは彼が鍛えてきた選手たちへの自信の裏返しでもある。
「あっ原田、おまえはいい。ケガしないように気をつけろ」
原田彦蔵16歳(嘘ではない)私立暁泉学園高校一年、柔道部員。
全日本ジュニアゴルフ選手権中学生の部3位“バンカーの勝負師”と呼ばれていた男である――。
「しかし、現在なぜか柔道部に在籍している」「なんで?」「なんでだろ?」
市川先生は協会の偉いさんがたに挨拶。元国際選手も今では新参の一指導者である。
と、そこに。
「こんにちわ――!!」
暁泉の面々の前に現れたのは保奈美であった。彼女が堀内の友人と知り、驚く一同。
永田は堀内をはやしたて、佐野はその理不尽さにブチギレ。
しかし、堀内はあくまで敵同士というスタンスを崩そうとせず、その場を立ち去る。
ただ一人残った永田が保奈美に話しかける。
「くわしいコトは知らないけど、平八郎がつらくあたっても許してあげなよ。アレもツライとこなんだから」
暁泉の立場上、ドコの学校だろうと負けられない。勝負は勝負と割り切れない堀内だからこそ、
そこまで徹底しなければ非情になりきれないのである。
しかし、どうして初対面の保奈美に対し、永田はそこまで親切なのか。
「アタシは美しいものが大好きなの。美しければ関係ないのよ、男だろうが女だろうが…ねっ(ハァト)」
乱れ飛ぶ薔薇吹雪。砂と化し風化する保奈美であった。
いきなり一番手で試合をすることになっていた袴田さん。精神を整え、いざ、というところで――。
「ぎょうごぉぉーっ!!」野太い野郎どもの声が試合場に響き渡った。
いわずと知れた杉・茂・ミッタンの袴田今日子親衛隊である。
「キミたち、袴田さんにミョーなプレッシャーをかけんのはよさないか」
「むっ!」「でたな我らの敵!」
石塚が諌めようとするものの、まったく聞く耳を持とうとしない。
「親衛隊だと?」「我々は袴田今日子“公認”ファンクラブだ」「うそよーっ!」
本当はこの三人も二段を受けにきたのだが、もうどうでもいいから今日は袴田さんの親衛隊をやるらしい。
ここで桜子が飛び出す。茂、杉から親衛隊のハチマキを奪い、ミッタンからはヒザ裏にローキックを入れ
頭が下がったところで奪取。その戦利品を斉藤に手渡した。
「あずかっとくよ、コレ。ちゃんと試合したら返してやる」
「斉藤、海老塚連合軍のこれがホントの合わせ技一本なのだ!」
試合場では堀内が早々と6人抜きを決める。
スポーツ進学校だけはあり、他とはレベルが違いすぎる。
試合場を眺めていた豊はその実力に戦慄していた。
「初段なんて中坊も取りにきてるからな。ま、オレたちにとっちゃこんなもんお遊び同然よ!」
余裕の佐野。だが、確かにそれだけの実力を彼らが秘めているのは事実。
佐野の視線は試合場よりも、むしろ別方向に。
「でも、予想外の収穫があるかもしれねえ」
その先には保奈美に桜子、袴田さんたち佐鳴の女子柔道部。
彼のその下品さに永田は呆れる。
「身の程を知りなっ!ぬらりひょんの相手してくれる物好きなんてそーそーいないって!」
まったくその通りなのだが、杉たちといい意外にもてる姉の様子に気が気ではない豊である。
(まあ、どっちかっつーと…俺はポニーテールのほうが趣味だけど…)
彼の目には桜子の姿が映っていた。
第54話 愛想のいい敵
内股一閃、杉が6人抜きをして、二段一番乗りを決める。
調子に乗った杉は勝因を尋ねられ、
「勝因?きまってるだろ?じ・つ・りょ・く」
などと調子に乗る。
「おーっ?いってくれたよ、こいつは!」
「謙虚ってコトバの意味知ってる?」「とにかくおめでとね!」
しかしそれは決してマグレなどではない。本当に杉の実力が二段並になったのだ。
練習を見てても特別に杉が強くなったとは感じなかった、と桜子。
「みんなが同時に少しずつ強くなったんだよ。茂やミッタンもな」
斉藤の推測どおり、浜高勢は好調に審査試合を勝ち抜いていった。
杉に続き宮崎、三溝と次々に6人抜きをしてのけたのである。
初段は14歳以上からでないととれないから中学生のうちにとれたらまあまあのレベル。
しかし、二段以上は初段をとってから一年以上たたないととらせてもらえないため、
高校一年で二段をとるということは結構大変なのだ。
しかし、杉たちは文句なしの6人抜きで二段をとったのだから、いい気になるのも当然だった。
この調子で五人とも二段ということになったら、次の大会ではダークホースどころか対抗に格上げ。
ところが、本命であるはずの三方ヶ原工の姿が今日は見えない。
三工の一年は自信が無いからまだ二段をとりに来ていない――などと話していると、いました。
「三高柔道部一年の関谷といいます」
立っていたのは体も小さく柔和な顔の、どう見ても強そうには思えないクリクリ坊主。
今日は三工からの受験者は彼一人らしい。
三工の一年生は本当にまだ二段をとりに来ていないのかと尋ねると、彼は笑顔で否定する。
「僕だけまだ、とってないんです。二段を」
聞けば十人いる三工の一年生のうち、九人までが前回までの審査で二段をとってしまったのだという。
巧が藤田はいつとったのかと質問。それはなんと、入部してすぐの五月。
「いや――あの人はほら、オバケみたいなもんでしょ?
他の学校の二年、三年相手にバッタバッタと6人抜きですよ。いやんなっちゃいますよ」
杉たちの自信が音を立てて崩れていったのはいうまでもない…。
袴田さんを応援する桜子が佐鳴の柔道部とどういう関係なのか、気になって仕方がない豊。
姉にも石塚にも尋ねるわけにはいかず、とにかく話しかけるきっかけが無い。
そこに通りかかったのは暁泉の佐野。
どうもこの男は袴田さんのことが気に入ったらしいのだが――それはともかく。
袴田さんはトータルで4勝をあげるにとどまって、今日は二段はおあずけ。
その分もがんばったのか、それとも浜高に触発されたのか、石塚も見事6人抜きを披露。
二段を一発で仕止めた。
さて、ここで我らが主役の登場であるが…相手の足元を気にしてばかりの巧。
時間いっぱいまでかけてようやく一本。それにしても、応援をしているのが斉藤だけとは。
その頃、佐野は武道館の廊下で袴田さんに言い寄っていた。
豊が止めに入ろうとしたそのとき――。
「その手をはなしな、このタッコング!
力ずくでモノにしよーなんてサイッテーの男だっ!
そのでけー図体をそんなことにしか使えないのかい?このコンコンチキ!」
江戸っ子調に桜子の啖呵が炸裂。
「さくらこったらイナセなんだから…」
巧は五人まで倒したものの、時間の使いすぎですでにヘトヘト。最後の六人目の前に気合を入れなおす。
その前に現れたのは…「あらら…奇遇ですねえ」三工の関谷だった。
純粋にラブコメどうこうやりたいんなら
彼氏持ちの保奈美に向かっても良さそうなものなのにww
健全だなーー
と思ったけど単に保奈美よりも桜子の方へ作者の意識が向いてるだけか。
ラブよりコメに重点を置きたいからじゃないか?
三工にキャラが足りないから増やしてきたな
藤田は巧のライバルだから
斎藤あたりのライバルかな
541 :
マロン名無しさん:2008/07/30(水) 02:10:29 ID:XzJHj4XG
テクニシャン対決か
ちょっとキズついてる斉藤カワユス
テクニシャンにテクニシャンを当ててもな
敢えて藤田―斎藤、関谷―巧にして
代表決定戦で藤田―巧にしたら盛り上がるんじゃね?
第55話 奇策
保奈美と桜子の制止も聞かず、逆に襲いかかろうとする佐野。そこで豊のカットが入る。
「いーかげんにしろ、この変態が!」
ケツを蹴られて激昂した佐野は、豊に拳で殴りかかる。
(現役はなれてっからうまくいくか、わからんが…)
佐野の胴に飛びつく豊。その背中に肘を落とそうとする佐野だったが、その瞬間、豊の大外刈り。
もんどりうって倒れる佐野。試合ならば確実に一本の勢いだったが。
「ムチャよ、ユタカ!下はコンクリートの床なのよ!」
打ち所が悪ければ命の危険さえもあるかもしれない。だが、佐野は平然と起き上がる。
「…くそっ!いきなりこんなとこで大外刈りとは、とんでもねえ野郎だぜ」
佐野はコンクリートに頭を打ちつけないよう、とっさに両手で頭をカバーしていたのだ。
やはり格闘に関しては鋭いセンスを見せる暁泉メンバー。そこで保奈美が制止に入る。
ちょうど他人が来るところであったのだ。
「くそう!なんつータイミングの悪さだ」
(グッドタイミングだよ)
もう一度コイツを投げろといわれても、豊には自信がなかったのだ。
この決着は後日つけさせてもらう、と息巻く佐野であったが、保奈美はどう勘違いをしたのか――。
「柔道やってる者同士なんだから、今度は試合で決着をつければいいんですよ!すぽーつまんらしく!」
さすが天然というべきか。
この一言で、場の空気は一気に毒気を抜かれてしまった。
試合場では巧VS関谷。関谷の大内刈りが決まり、判定は「技あり」。
寝技に入ろうとするところを巧は体を回転させ、危ういところで難を逃れる。「コイツ…!?」
(カオが弱そーなんで油断してたら…メチャクチャ強え――じゃねえかっ!)
「とわぁくみっ!このマヌケ野郎っ!」
「なにやってんだてめーわっ!」
「袴田さんがいねーから、しかたなく応援してやってんのに!」
杉、茂、ミッタン。つくづく最低な三人である。
それはそれとして――。
関谷の足さばきも組手争いも一流のもの。三工にまだこれだけの相手がいたことに戦慄する巧。
関谷は受けがうまい。特に下半身の安定が良く、どうやっても転ばない。
巧が足技で崩そうとしてもまるで動じず、崩れないから大技にも入れない。
そのため、巧は決め手である背負いが出せないでいるのである。
(こんな人に苦戦したなんて…藤田クンもまだまだだなあ…)
笑う関谷。
巧は頭をフル回転させて、この男を崩す方法を考えていた。
片足を払っても残った片足だけで安定しているような相手、いっそ両足とも払えるような技があれば――。
(あるぞ、たったひとつ!コイツの根っ子のような両足を、地面から引っこぬく方法が…!)
巧が仕掛けたのは、なんと浮技。自ら畳に沈み込み、突き出した足に相手を引っ掛けて倒す捨て身戦法。
(苦しまぎれに変ったワザを出してきたか?)
関谷は巧の足をジャンプしてかわす。その瞬間――巧の左手が関谷の足を空中でつかんだ。
(し、しまった、出した足をかわすのに飛びこえてくることを予測して!最初からコレが狙いだったのか!)
「やった、ヤツの自由を奪った!このまま、後ろに投げつければ…」
……何もならなかった。関谷はそのまま難なく着地。
「えっ!なに!?なんでひっくりかえんないの!?」
そのまま押さえ込まれて巧は一本負けを喫してしまう。
「た、巧…おまえなあ〜!」
「なにがやりたかったんだよ〜?」
巧がとっさに考えたこの戦法は決して悪い手ではなかった。
これとまったく同じ原理の技が存在するからである。
その技は「球車」という。ただし巧の場合、相手の足をつかむ手が逆だった。
左手でなく右手をつかえば相手を文字通り球のごとく一回転させ、畳にたたきつけることができたのだ。
もっとも、巧はそんな技が存在するということ自体、知らなかったのであるが…。
6人目まで来て負けたことを大いに桜子に馬鹿にされて怒る巧。
そんな仲のよさそーな二人の様子を見て、豊は心中穏やかではない。
「キャー、ユタカくん助けてーおそわれる――っ!知ってる?この人袴田さんの弟なんだって!」
「あっ、そうなの?どーも、オレ、粉川っていう者で…」
「袴田豊、よろしく」
タマの車か
これは新技会得フラグ?
保奈美は可愛いなぁw
そして関谷は意外と腹黒毒舌?
48の偶然技の一つ、球車
551 :
マロン名無しさん:2008/07/31(木) 01:46:11 ID:yr7H53YF
巧と因縁のあるライバル
三工-藤田、関谷
暁泉-塀ちゃん
佐鳴-石塚、袴田弟
赤石-ひげ
その他の名前あり有力選手
暁泉-オカマ、デブ、ハゲ
赤石-のっぽ
巧は次の大会戦う相手多くて大変だな。三工はライバルなのに名有り選手少ないね
>>548 さすがに三船さんがやるような技は覚えられないんじゃない?
浜高5人それぞれにライバルほしいな
得にデカとチビは体格的に合った奴がいるといいな
555 :
マロン名無しさん:2008/07/31(木) 04:50:17 ID:1MlfCmgE
巧=藤田
斉藤=同じ学校だけど巧
三溝=卒業後だけど橘
宮崎=長谷
杉=ダミー山下
てな感じのライバル関係と自分は考えてる
橘とか長谷とかって誰?
って卒業するまで続くのかこの漫画
第56話 より道
電話で吉岡先生に二段をとった報告をする関谷。その後ろを浜高の面々が通り過ぎていく。
茂、ミッタンの二段取得苦労自慢が続く中、杉の言葉が巧に重くのしかかる。
「まあ、二段とってひとかわむけた我々から見れば、初段レベルの人間なぞ…すでに赤子同然!」
そう、今回の審査ではなんと5人のうち巧だけが二段をとれなかったのだ。
関谷は巧との試合でかけられた奇妙な技を思い出す。その瞬間は彼自身も、確かに「やられた」と感じたのだ。
「藤田クンが苦戦した理由がわかりましたよ。今まで数多くのヤツと試合してきましたけど、あんな男は初めてです」
報告を終えた関谷が受話器を置いたとき、既に浜高の面々は行ってしまった後だった。
ファミレスにて、石塚に昼食を奢ってもらう豊。冷ややかな姉の視線がその横顔に突き刺さる。
(せっかくの石塚クンとのデートをぶちこわしてくれて…後で覚えてなさいよユタカ…)
豊がトイレに立ったおかげで、ようやく二人きりになる。
日曜日だというのに制服でこんなところにいる自分たちの姿を気にする袴田さん。
一、二時間前までは武道館で汗だくになっていたかと思うと、このような場所にいることに違和感を覚える様子。
「柔道やってる女のコって…やっぱり普通じゃないのかな…」
それはおそらく武道をやる女子の誰もが抱く疑問。石塚はしどろもどろになりながら彼女をフォローする。
「…オレはその…いいと思うけどな…。いや…あの、柔道してる時の袴田さんもその…。
今、こうしている袴田さんも同じ袴田さんなんだし…あれ?」
何やらいい雰囲気になるものの、石塚は自分が作ったその空気に耐え切れず、強引に話題を変える。
豊が暁泉の佐野を投げたと聞いて驚く石塚。三工Bチームに圧勝した暁泉の選手を投げ飛ばしたということは、
豊自身も相当の実力を持っているということである。
トイレから戻ろうとした豊は偶然、入店してきた桜子と行き会う。
思わず浮き立つ豊だったが、そのそばにあたり前のようにいる巧に気づき、一気に苛立ちの頂点に。
(なんなんだっ!この粉川って男は!いつもいつも桜子さんのそばにひっついてやがって…)
実は、巧のそばにひっついているのは保奈美であって、桜子は親友である保奈美のそばに常にいるのである。
この3人一緒パターンになってる現状を、彼、袴田豊は知るよしもなかった!
さて、石塚は豊を柔道部に引き込むことを決める。
選手権予選まで一ヶ月。三年生が抜けてさらに戦力の落ちた佐鳴はメンバーの補強が必要だった。
袴田さんにも説得して欲しい、とその手を石塚が取ろうとした瞬間、いきなり扇子の一撃。
「人が見てないとこでこの男ときたら…いったいナニしようとしてたザマスッ!」
怒りの炎を背に現れたのは袴田今日子親衛隊。杉、茂、ミッタンだった。
「このアタシがいる限り、そーかんたんにラブコメ路線にさせないザマスよ〜っ!」
帰り道、二段をとった喜びを唐突に歌で表現する杉。
「にーだんお肩をたたきましょー」「なんやねんそれ!」
調子に乗りすぎの杉たちを怒る桜子。それを眺めていた豊はなんと、自ら柔道部入部を希望する。
(所詮、桜子さんとは違う学校だが、柔道部に入れば、試合とかで会える機会が増える。
そうすればあの粉川とかいうヤツと対決することも…)
杉たちを諌めようとする斉藤だったが、逆に「おまえには喜びを表現することができないのか」と返される。
「そうだ斉藤ギャグをやれ!」「二段をとった喜びを表現したギャグを!」
なんというムチャ振り。しかし、こうまで言われては斉藤も引き下がれない。
「よ、よーし、やればいいんだろギャグを!」
「ニダンの考える人ーっ!」
10月も半ば、選手権予選まであと一ヶ月とせまった秋の日のことであった…。「あー夕焼け!」「秋だねえ…」
斉藤www 哀れwwwww
二段ってどれぐらい凄いの?
561 :
マロン名無しさん:2008/08/01(金) 00:46:25 ID:BTCeRVEA
初段だと喧嘩するとヤバイですよで、二段だと銃刀法違反レベルとか二段に昇段した先輩が
言ってたな。
幾ら止めても全力ラブコメ路線で微笑ましいなwww
二段取るにはそれなりの腕が必要なのは確かだが
二段の高校生選手の実力の幅が広すぎて、どれくらい、って言い難いものが……
この場合は、初段のやつを6人軽く抜けるくらい、って思えばいいんじゃね?
冗談言っても面白くないって言われたのを根に持ってたんだな。
おかしい、昔はギャグがそれなりに受けてたのに…
(佐鳴への出稽古参照)
第57話 天才的発想
典善は巧に二段をとりそこなったときの技をもう一度やってみせるように言う。
これは失敗作なので巧みは嫌がるが、典善に強く求められ渋々従う。
「へいへい。最初にこーやって浮技をかけて、わざと相手に飛びこえさせるわけよ。
で、飛びこえようとした足を左手でつかむ。いくら足腰の強いヤツでも、
こんなときに足つかまれたらどうすることもできないだろ?
でも、こんなカタチじゃぜんぜん投げられないって後になって気づいたんだ。
で、そのままおさえこまれて敗け…」
巧のその説明に、典善はなんともいえない微妙な表情をした。
こんな負け方をした巧自身も恥ずかしいと思っていたが、典善の困惑は意味するところが違ったらしい。
「おまえがやろうとしてたことを完璧な技にして見せてやろう」「へっ?」
言うが早いか、典善はいきなり巧に浮技をしかける。
「そら、そこで飛びこえてみろ!」
その声に反射的に跳ぶ巧。その足を典善の“右手”が空中で払った。
(な、なんだあ〜!?)
巧の体は空中で文字通り、奇麗に一回転して畳に落ちる。
「わかったか坊主、こうすればうまく投げれたんだ。この技は“球車”という」
巧は左手で相手の足をつかんだが、それでは投げようにも投げられない。
左手で相手を引っ張り続け、もう一方の手で相手の足を払えばこのように投げられたのである。
「そうすれば空中で球を転がすように相手は一回転して、畳に叩きつけられる。
これが三船久蔵十段のあみだした『球車』だ」
三船十段は大正から昭和にかけて活躍した超天才柔道家である。
別名「空気投げ」といわれる「角落とし」といわれる技を作ったのもこの人なのだ。
足や腰に一切乗せず、手と体のひねりだけで投げ飛ばすという「空気投げ」に興味津々の桜子。
斉藤に実演を頼むものの――。
相手役の杉をつかみ「ええっと、確か…こう下がって…」
畳にヒザをついた「こうだっけかな?」「そうそう」というだけ。
「なによ、それ!ぜーんぜん投げてないじゃない!」
「そんな神技みてーなことがカンタンにできたら、苦労はねーの!」
まあ、あたり前のことだった。
巧は「球車」をもっと詳しく教えてくれと頼むが、典善は拒否。
この技は三船十段が60歳を過ぎて編み出した技。今の巧には高度すぎるのである。
普段の練習に戻るよう言う典善。しかし、教えるつもりもない技をどうして巧に見せたのか。
「巧クンを励ましてやりたかったんでしょ?勝負に負けて二段こそとれなかったけど…
その発想は間違いじゃなくて、逆にとてもすばらしいものだって…」
龍子先生が的確に典善の心情を説明する。
柔道の神様みたいな人と同じことを思いつく巧に典善は、
「アイツの頭の中はわしにもよくわからん…」としかいえなかった。
保奈美と一緒の帰り道、唐突に「巧クンって、本当に天才なのかも知れない」などとのたまう保奈美に
巧は自転車ごと転倒。しかし彼女は冗談で言っているわけではなかった。
巧の試合を見ていると、ドキドキしてくるのはなぜか。
「かならずなにかがおきるからよ。それを待っててドキドキするの」
どんなに強い相手と当たっても、最初のうちは負けていても、いつしか互角に戦って、
最後にはもしかして――と思わせてしまう。
巧のそういう戦いぶりは才能だと保奈美は言う。
「今度の選手権はきっと優勝しちゃうね。だって、巧クンって天才なんだもん」
優勝しちゃう、というのが巧らしくていい。しては間違いみたいなところが。
保奈美のストレートすぎる言葉に、巧は照れを隠し切れない。
いつしかいい雰囲気に――巧は保奈美の肩に手を置こうとする。
(ん…ずいぶんとこれはまたすべすべと…)
すべすべと剃り上げた杉の頭だった。
「て、てめーらはなあ!カゲで見てたな、ずーっと!」
「バカが!もうちょいだったのによっ!」
「わっはっはっは!オレの目の黒いうちはぜーったいにラブコメにはさせんのよ!」
まあ、こーゆうオチもありの。
ラブコメにはさせんって作者の照れ隠しなのかね。
多いよなこれ。
つか杉がひっかき回すからラブコメになるんじゃないのか?
570 :
マロン名無しさん:2008/08/02(土) 01:59:45 ID:ksgIMJV9
保奈美可愛すぎる
そのまま一気に抱き寄せてキス
そしたら杉の頭だった
くらいの展開でも良かった
第58話 対決前夜
めずらしく桜子から保奈美に電話。明日が試合ということで、興奮して寝つけなかったらしい。
寝る、といってもまだ7時半なのだが、桜子は明日は早起きして弁当を作るのだという。
「朝5時に起きるとして、10時間は寝ないとダメだから、もう本当は寝てなきゃダメなの」
「はあ、なるほど…(ホントにすごい低血圧だなあ…)」
いてもたってもいられない気持ちなのは保奈美も同じ。さて、他の皆はどうすごしているのか――。
巧は杉の自宅の寺で夕食をご馳走に。今日のメニューはテキにカツということでトンカツ。
浄土真宗なのでナマグサものもOKです。お酒だって飲めちゃいます。
ですから遠慮なく、と巧にビールを注ごうとする杉の妹、薫。
もちろん、未成年の飲酒は法律で禁止されています。
巧の家は母一人子一人。父親は彼が12歳のときに亡くなったと聞き、
杉一家は巧を「これからもちょくちょく遊びにきなさい」と温かく迎え入れる。
「そうよ、いつでも大歓迎するから。あたしもお兄さんができたみたいで楽しいし」
「おまえのお兄さんならここにいるぞ」
斉藤の家はラーメン屋。出前から戻ってきた斉藤を母親は優しく労う。
斉藤はなんと五人兄妹の一番上。弟妹たちは宿題を手伝って欲しいとせがむ。
明日は試合なんだから、と二番目の弟が止めるが、小さい弟妹たちは今日中に宿題を終わらせて、
明日の試合を見に行くつもりなのである。仕方がないので全員がかりでさっさと片付けることに。
二番目の弟の貞夫は明日は部活で応援には行けないが――。
「でも、市民武道館はうちの中学のそばだから、兄ちゃんたちが昼過ぎまで勝ち残ってたら寄ってやるよ」
顔を上げないままそんなことをいう弟に、斉藤は「よし、わかった。絶対に来いよ」とそれだけ返した。
ミッタンの家は意外に大きく洒落た一軒家。なんと彼は三人の姉を持つ一番下の弟だった。
風呂に入ろうとするミッタンを姉たち全員が制止。ミッタンが入るとお湯が全部なくなってしまうため、
彼が一番最後というのが三溝家の長年のルールらしい。
とはいえ、明日は試合なので早めに体を休めたい。姉たちも鬼ではないので、そこで妥協案。
「ただし、おフロあがったら掃除して、またお湯いれといて」
やはり鬼でした。
「そんな事してたら体が冷えちまうだろっ!だいたいなんで掃除までせにゃならんわけ?」
「あんたのはいった後のおフロなんてキモチ悪くてはいれないのよっ!」
「なにーっ実の姉弟だぞっ!」「よるな汗くさい!」
数に物をいわせてワガママ放題の姉たち。腹を立てたミッタンはついNGワードを口にする。
「しかし、土曜の夜だってのにどーしてこの家には若い女が3人もテレビなんか見てんだろね!」
その夜、浜松市には局地的に大嵐が吹き荒れましたとさ。
茂の家は酒屋。夕食時にどうみても泉谷な父親が明日の試合を見に行こうかというが、
茂は断固として拒否。瞬間、父(泉谷)のボルテージは瞬間的に沸点突破。
「なんだああーっ!てめえ、親に向ってその態度わああっ!」
「怒鳴んじゃねえーっ!メシ食ってる時に!」
ノータイムでいきなり親子喧嘩をおっぱじめる両者。そのとき、店先から母親の声が飛ぶ。
「いーかげんにしなさいよ!おもてまで聞こえるだろ!」
「はいーっ!」
茂、宮崎父(泉谷)、直立不動。この家で一番強いのは母親らしかった。
杉の家から帰り道、巧は無性に保奈美の声が聞きたくなり、電話をかけるも通話中。
それもそのはず、保奈美はまだ桜子と話し込んでいた(すでに一時間半経過)。
どこにかけていたのかと杉に問われ、家にかけていたと嘘をつくが、あっさりと見抜かれる。
三工の藤田。佐鳴の石塚。そして新たに暁泉学園。
強敵目白押しの今大会、自分たちも強くなっているとはいえ、不安は消えない。
やるだけのことはやったのだから、後は運を天に任せるのみ。
「とりあえず明日だけはビシッと決めようぜ」
「気合はいってるな。珍しく」
杉の真剣な態度に巧も呼応する。
「なっ期待してんだから、いちおう。だから二段の時みたくヘマしないようにな」
「だーっ、しつこいってのっ!」
杉と別れ、一人で家路に着く巧。
公衆電話から再び保奈美のところへ電話をかける。
ちょうど良く、桜子の電話が終わったところですぐに保奈美は受話器を取った。
「あ、保奈美?オレ。いや、別に用ってほどのもんじゃないけど…
明日さ、何時に出んの?うん…うん…」
次回は一回休載して、単行本6巻のおまけを紹介します。
三溝家は本当に血が繋がっているのか!と言われそうなのに対し斉藤家は120%間違いなしのレベルだw
杉の妹いいキャラしてるな
それに対しミッタンの姉は予想外のキャラ
もし会ったら杉とか宮崎とかデレデレしちゃうんじゃないの?
低血圧ってそういうものなの?
ただたくさん寝る人なだけでは
赤石のひげは・・・?
お寺の息子だから坊主頭だったのか
セイシュウって名前もさもありなんて感じだな
美人3姉妹だな。たまらん。
べっぴん
すっぴん
デラべっぴん
だっけ、名前
>>577 宮崎がミッタンを見捨てない理由はそれか!(ひどい
なかなか全部個性的だな
○単行本6巻 (表紙:粉川巧 裏表紙:袴田今日子)
・四コマその1 『なつやすみのおもいで こがわたくみ』
1.8月18日 きょうはきんぢょのほっちゃんとへえちゃんとうみにいきました(略)
2.保「たくみくん これなに?」
巧「ドゴラだっ!」
平「くらげだよ、たっちゃん」
3.いっぱいつかまえてびにーるにいれといたらいつのまにかにげていた。
巧「みずだけになってた」
保「にんじゃみたい!」
平「とけたんじゃないかなあ…」
4.くらげのヤツもなかなかやるとおもった。
巧「おおきくなったらくらげのようないきかたをするんだっ!」
保「プカプカしてきもちよさそーだね!」
平「…………」
・四コマその2
1.うみにはいろんなひとがいた。
龍(高1)「ここか!」
「おーさすがりゅーこちゃん!」
「みごとな切りくちだっ!」
2.杉「かおる、おまえなに、つくろうとしてるんだ?」
薫「おとしあな。おにーちゃんこそおーさかじょうなんかつくって…」
桜「キャッキャッ」(このあとげきとつしてこわした)
3.茂「うきわにたよってちゃ、いつまでたっても、およげるよーにならねえっ!」
三「うぎゃーやめてやめてえ!」
斉(兄弟たちをお守り中)「おーい、あんまりとおくにいくなよー」
4.うみはたのしい またきたいとおもった。
巧「ところでほっちゃん。なつやすみのとも もうやっちゃった?」
保「ううん」
平「…………」
・いよいよ第6回 『絵筆を持ってね』
選評/河合克敏 応募総数:746点 入選:23点
グランプリ:千葉県・川辺真実〔桜子〕
準グランプリ:神奈川県・ズームイン杉田〔薫〕
神奈川県・妖怪百人衆会〔杉〕
やっぱり読み方はほっちゃんなのか>保ちゃん
ドゴラってなんだよw
珍しく試合の応援に来たいという杉の妹、薫。
いつも柔道なんか格好悪いからやめろと言っていたのだが。
「だって、巧さんもでるんでしょ?私、だんぜんあのヒト、気にいっちゃった――!」
「な、なに――っ!おにーさんはゆるしませんよっ!」
第59話 強豪集う
武道館前、なんと、まだ予選にも関わらず三工に地元新聞の取材が来ていた。
高校総体ベスト16の実績を引っさげて今度は高校選手権への挑戦ということで、やはり注目度は高い。
試合前の様子を一枚、ということでカメラマンの構える前に並ぶ三工柔道部だったが――。
――カシャ
狙い済ましたかのような絶好のタイミングで、巧、保奈美、桜子の乗る自転車が、
ファインダーの前を横切っていった。自転車の三人乗りは危ないので止めましょう。
結果的にそうなっただけとはいえ、巧の嫌がらせに藤田は憤る。
気を取り直してもう一枚、というところで――。
「袴田さぁーん!!」暴走トレーラーのごとき勢いで茂とミッタンがカメラマンを跳ね飛ばす。
「杉クンと斉藤クンだっけ?」哀れにも袴田さんに名前を間違えられる二人。
だが「この宮崎茂、あなたが杉だといえば杉と名前をかえてもいい!」と言い切る漢の心意気。
もっとも、恋人志願というよりは下僕志願にしかみえなかったが。
と、撮影用のカメラが見当たらない。どこかの子供が勝手に写真を撮っていました。
「なにをすんだ!このガキはっ!」
カメラを取り返した彼が目にしたものは、細胞分裂でもしたかのように同じ顔のそろった子供たち。
ある意味ではホラーのような光景である。
「コラッなにやってんだおまえらっ!」「げっ親玉!」
平謝りの斉藤だったが、そろそろ待たされている藤田の苛立ちは頂点に。
今度こそ、とカメラを構える彼の目の前に、今度は猫目の女の子。
「えっ写真ですか?やだっこまっちゃうな――っ!」
誰に言われるでもなく、進んで花壇の前でポーズを取る薫。カメラマン、無言でつい一枚。「撮るな!」
杉が薫の首根っこを引っつかんで回収していきました。
「変な雑誌には投稿しないでねー(ハァト)あっ学校名はふせといて」「だまれ!」
ようやくのことで撮影を終える三工。どうやら浜高とはよくよく縁があるらしい。
あんな騒々しい生徒ばかりじゃ先生も苦労するだろう――というところで、トリはこの人。
「あーん!やっちゃった――っ!新車が新車が――っ!」「このバカ!免許とりあげるぞ!」
車のタイヤを溝に落として大騒ぎの龍子先生でしたとさ。
柔道部メンバー同士でも、その家族とは初対面の場合が多い。桜子は斉藤の妹を頭なでなで。
「へえーっみんな斉藤クンの兄弟なの?何歳?」「ななつ…」
「かわいいわねーっ!」
(かわいいっつうか、オレはビクッとしたけど、初めて見たとき)
茂の感想もごもっとも。ところで、巧の隣にあたり前のように座っているのは?
「オレの妹だ」「薫ともーします」
まるで似ていない二人に茂、ミッタン、驚愕。
薫は桜子に話しかける。
「何歳ってきかないんですか?」
「えっ?あっ、い、何歳?」
「14歳です」
「ふーん、そお……」
「…………『かわいいわね』って、いわないんですか?」
臆面もなく言い放つ薫に固まる桜子。「かわいくないっ!」
開会式が終わり、発表された一回戦の組み合わせは――浜高VS佐鳴。
前大会の二位と三位がいきなりの激突である。
「もう少し後にあたりたかった」と袴田さん。しかし、決まってしまったものは仕方がない。
「豊も、やっとヤル気だしてることだし…ねっ!」
「や、やあ」
桜子の前に現れたのは、オールバックを見事な丸坊主に刈り込み、気合十分の豊だった。
三人乗りの証拠写真が残ったしまっているのはヤバイだろいろいろと
斉藤の妹も単体で見りゃカワイイんだが
一家で並んでると、ちとブキミに見えてくるw
斉藤も可愛いということか
594 :
1/2:2008/08/06(水) 19:33:01 ID:???
第60話 青春野郎・袴田豊
一回戦の相手が佐鳴――運命の皮肉を嘆かずにはいられない袴田今日子親衛隊の三人。
ここぞとばかりに龍子先生が得意の正論でハッパをかける。
「正々堂々と佐鳴高チームと戦いぬくことこそが、本当の意味で誠意をつくしたことになるのよ!」
ようやく吹っ切れた三人、と見せかけて、頭の中では別のことを考えていた。
(でも、もし勝ったとしても…たぶん、心の底でじゃうらまれそうだし、いっそのこと、負けちゃったほうが…)
袴『ウチが勝ったのはいいんだけど、なんだか様子が変だわ…』
三『本気をだせば勝てた。でも、どうしても本気になれなかったんです』袴『なぜ?』
茂『それは、あなたの悲しむ姿を見たくなかったから』袴『そっ、そんなにまで私のこと!』
めくるめく妄想劇場にロマンティックが止まらない杉たち三人。
試合が始まる前から浜高柔道部の結束は空中分解寸前だった。
武道館の外で二人、言葉を交わす桜子と豊。
彼が髪を切ったのは、最初だけでも新入部員は髪を短くしなければならないという規則からだった。
本当は柔道がキライで中学三年間でこりていたという豊。
「柔道なんか地味だし、汗くせーし、練習キツイし、ガニ股になるとか偏平足になるとかいわれてたし、
夏は道場がムシブロみたいになるし、冬は冷たい畳の上で裸足になるし、女のコにはもてないし、
いいコトなんかなんにもないんだよ。それに…姉さんのほうが才能あったし…」
不意に桜子は豊を引っ張っていき、壁際に立たせる。彼の頭の位置に手を置き、入れ替わってそこに自分が立つ。
二人は背丈が違うので、当然、桜子の頭と手の位置には隙間ができる。
その隙間に豊の手を指一杯に広げて置くようにいう桜子。ちょうどぴったりと納まった。
「やっぱり豊クン身長180センチ以上ある」
男子高校生の手を広げると、平均して約20センチほどになる。
桜子が160センチちょうどだから、豊は180ちょっとということになるのだ。
それはそれとして、この体勢は――。
595 :
2/2:2008/08/06(水) 19:33:46 ID:???
ちょうどそのとき、桜子を捜してやってきた保奈美は、壁際に寄り添って立つ二人の姿を目撃してしまう。
(さ、桜子ったらいけないわっ!どんなことにも順序ってものがあるのようっ!)
思い切り勘違いしていました。
そんな外野の事情はともかく、桜子は豊に厳しい言葉をぶつける。
「こんなに大きな体をしてるのに、才能がないなんていってちゃダメでしょ!」
もっと体の小さな人や痩せている人もいっぱいいる、才能がないなんて贅沢、甘えているのだ――と、
その桜子の言葉に、豊は素直に反省する。とたんに、厳しかった桜子の視線が柔らかなものに変化した。
「なんてね。いいか、現役復帰したんだもんね」
(か、かわいい…!天使のよーだ)
桜子の笑顔にすっかりやられた様子の豊。エンゼルも舞い踊ります。
そろそろ試合時間が迫る。豊は「粉川に勝ったらキミに話がある」と桜子に言う。
「試合が終わったらさっきの場所でもう一度会いたい。約束してくれ」
そのまま走り去ってしまう豊。
(話があるって…そんな、急にいわれても…)
(ひょっとしたら、うちのバカ共をこれ以上、袴田さんに近づけるなとかかしら?無理もないけど…)
こーゆーコトに縁のないだけににぶい桜子であった…。
自分の目撃した光景を誰かに言うべきか悩む保奈美。そうこうしているうちに桜子が戻ってきてしまう。
豊も佐鳴高のメンバーのもとに戻っていた。
浜高の先鋒が巧と聞き、石塚は豊になんとか引き分けてくれるよう頼む。
しかし、当の豊は引き分けどころか勝つ気充分だった。
試合場に整列する浜高と佐鳴。
(しまった――っ!石塚さんまた、大将だったのか!)
暁泉、赤石、三工、有力校の視線が集中する。
「赤、先鋒 袴田豊!」「白、先鋒 粉川巧!」
(覚悟しやがれ、粉川巧!てめーに勝って告白タイム一直線だっ!)
「いきなり大会屈指の好カード実現ねっ!」「燃えるう〜っ!」
(こ、この明るさはいったいなんなの…?)桜子の態度が分からない保奈美であった。
桜子みたいな子は現実じゃモテそうだけどなぁ。話しやすそうだし。
いや、ちょっとアグレッシブ過ぎて付き合いにくそう
桜子は男と馬鹿やるポジションだよな
丁度今のように
好きになる男は多いだろうけど告白とかしづらそう
600 :
1/2:2008/08/07(木) 21:14:33 ID:???
第61話 がんばれ袴田クン
試合開始。暁泉の佐野を投げたという豊は油断のできる相手ではない。
警戒してかかる巧だったが、その戦い方になぜか味方から罵声がとぶ。
「こおらっ、タクミ!」
「てめえ、相手は袴田サンの弟サンだぞっ!」
「組み手きらうよーなせこいマネすんじゃねえよ!」
「正々堂々とやれ、正々堂々と!」
敵の肩を持つ杉たち三人に、当の豊も「なめられたもんだぜ」と屈辱を感じる。
そこで桜子が怒鳴った。「バカァ!マジメにやんなさいあんたたち!」
「もう、本番の試合やってんだから!だいいち、相手の豊クンに失礼でしょっ!」
これまた聞きようによっては相手に肩入れしているかのような桜子の発言。
(やっぱり桜子…)気をもむ保奈美。豊も赤面するのだった。
「ちっ!どいつもこいつも!でも、オレはスキあらば攻めるぞ!」
組み手を取りにいく巧。その手を豊は払い、逆に巧をつかまえる。
通常、相手の片袖と片襟を取るところを、両方の袖を取るという変則組手。
ただならぬ気配に「逃げろ」と斉藤の指示が飛ぶ。
巧としても、この組手からでは技を仕掛けることができない。
強引に振りほどこうとしたそのとき――引き手を切ろうとした勢いで巧の体が大きく開く。
そこに豊が迷わず飛び込む――!
大外刈りの形から、巧の右腕を体全体で巻き込むようにしてひねり倒す!
「ああっ!巧クン!」
「やったっ!跳ね巻き込み!粉川を倒したぞ!」
601 :
2/2:2008/08/07(木) 21:15:46 ID:???
豊の秘策、跳ね巻き込み。しかし、畳に落ちた巧の体勢は半身。判定は技あり。
(くそう!まだ完璧じゃなかったっ!)
そこで桜子の声が。
「おしいっ!もうひといき!豊クン、がんばれっ!」
時ならぬ彼女の声援に、豊の両目に闘志の炎が燃え上がった。
(しかと聞いた!この耳で!桜子さん!あなたの声援さえあれば、
たとえどんなヤツが相手だろうと負けはしない!)
再び両袖を取りにいく豊。そのとき、石塚の声が飛ぶ。
「やめろっ、豊クン!粉川は二度も同じ手の通用する相手じゃない!」
一度目の奇襲には不覚を取った。しかしどういう技なのか分かっていれば――。
巧は袖を取られたまま手首を返し、豊の袖を取りかえす。
引き手を取られたとはいえ、もう一方の手さえ封じていれば背負いを繰り出すことはできないはず。
豊はそう考える。
ところが――巧はそんなセオリーを無視して豊の体を手前に引き込む。
引き込みつつ右腕をひねって取られていた袖を外し、そのまま体を返して一本背負いの体勢に。
「くっ…!投げられてたまるかっ!」
抵抗むなしく、豊の体は宙を舞った。
「一本!」
「悪りいな…こんなところでモタモタしてるワケにはいかないんだ」
巧の視線の先には大将の位置に座る石塚の姿が。
(くそう、桜子サンがあんなに応援してくれたのに…ちくしょう!)
期待に応えられなかったことに落ち込む豊。ところが桜子の反応は、
「やったあまずは1勝目!この調子でいけいけ浜高ーっ!」
盛大に転ぶ豊であった。
>悪りいな…こんなところでモタモタしてるワケにはいかないんだ
おお!いかにも熱血マンガの主人公みたいだw
桜子=天然系悪女
桜子こええw
これがナチュラルキラーか
606 :
1/2:2008/08/08(金) 21:23:10 ID:???
第62話 ヤツを引っぱりだせ
佐鳴高次鋒、宮本。先の試合で疲れているはずの巧をここで止めると意気込む。
秋の選手権予選は勝ち抜き戦なので、先鋒戦に勝った巧は続けて試合をすることに。
勝ち抜き戦の説明を保奈美から受けて感心しきりの薫。桜子に対して猫目を向ける。
「それにひきかえ…知らなかったようですね!」
どうも彼女は保奈美に懐いてしまったらしい。
杉、茂、ミッタンの応援にも熱が入る。
しかし、それが正しく巧に向けられているかというと――。
(よーしよし、巧、もうちょっとがんばってくれ。
おまえが何人も勝ちぬいてくれれば、オレ一人負けてもどうってことないしな)
杉はまだ、自分だけわざと佐鳴の選手に負けようとしていたのである。
袴田さんに悪い印象を持たれたくないから。なんともくだらない理由である。
しかし、実は杉だけでなく茂、ミッタンも同じことを考えていた。
危うし浜高、実は彼らは二対五で戦っているようなものだったのだ!
宮本の小内刈りをかわして背負い投げ一閃。巧は二人抜きを決める。
自分が止められなかったことを悔やむ豊だったが、石塚がそれを否定する。
「粉川が変ったんだよ。はるかに強くなった」
以前の巧の実力だったら、豊なら勝てたかもしれない…しかし巧の成長は計算外だった。
「それに、粉川はひょっとすると…オレとあたるまで勝ち抜こうとしてるのかも知れない」
607 :
2/2:2008/08/08(金) 21:24:08 ID:???
三人目の落合も秒殺で仕留めた巧。その格好良さに薫は大騒ぎ。
「保奈美さん、巧さんってカッコイイですねっ、ねっ!私、ファンになっちゃう!」
薫はよりにもよって保奈美に「巧には彼女がいるのか」と尋ねる。
耳をそばだてていた桜子がそれに反応。
「あ〜ら残念ねェ薫ちゃん。巧クンにはすでに周囲公認のハニーがいるのよ〜ん!」
そして保奈美を前に押し出す。
しかし薫の反応は冷ややかだった。「嘘つき」と信じようともしない。
「嫉妬ね?私と保奈美おねーさまが仲よくしてるのがおもしろくないのね、あなたは?」
だったら保奈美に聞いてみろ、と桜子に言われ、素直に従う薫。
「じゃあ、聞きます。おねーさまは巧さんのコレなんですか?」
そういって小指を立てる薫に、保奈美は反応に困る。
「ほーらちがった、ウソつきウソつきー!」
「そんな下品な聞きかたしちゃ答えられねーだろっ!」
佐鳴の副将は部長の村上。左組手の村上に巧はうまく背負いに入ることができない。
しかし巧には左右の背負いがある。右が通じないなら左の背負いを出してくる。
その左の背負いをも止めた村上。しかたなく一度離れる巧だが――それがフェイント。
「し、しまった!いったん背負いをあきらめたと見せて…!」
石塚が気づいたときにはもう遅い。一度失敗した左背負いを連続でさらにもう一度。
「二段背負いだっ!」
巧の四人抜き達成。ついに大将の石塚を引っ張り出す。
佐鳴は早くも後がなくなってしまった。
三人はヨコシマだなー
>宮本・落合・村上・袴田
プロ野球チーム?
いつのまに巧は左背負を覚えたんだっけ
>>610 赤石の酒井相手に初披露。このときは無意識だったけど後で練習したんじゃね?
612 :
1/2:2008/08/09(土) 21:21:35 ID:???
第63話 巧的戦法
ついに4人抜きを果たし、大将の石塚にまで辿り着いた巧。これはもはや執念としかいいようがない。
絶対に石塚とはやりたくない杉たちは巧にハッパをかける。
「巧、てめー後があると思うなよ!」「ここまできて5人抜き、狙わなけりゃ、男じゃねえぞ!」
任せとけ、と強気の巧であったが、その足元が覚束ない。何も無いところで転ぶ巧。
ここまでに溜まった疲労が足に来ているのだ。
典善が厳しい表情で呟く。
「ムリもねーな、柔道は水泳なんかと同じで全身運動だ。一回の試合でもかなり疲れる」
まして巧は元々体力のあるほうではない。強豪たちの視線が集まるが、その見立てでは――。
「粉川の負けなんだよ!このスットコドッコイが!」「どーしたの、藤田クン急に…?」
試合開始、だが既にヘロヘロの巧。ここで薫から提案が。
「どうせ負けちゃうんなら、後の人たちの負担を軽くするために、なるたけ、敵を痛めつけてやらなきゃ!
飛びげりくらわして、反則負けになるってゆうのはどうでしょうか?」
魅力的なアイディアではあるが当然に却下。
そうこうしているうちに石塚が先手を取り、巧から有効を奪う。
巧は寝技を避けるため、即座にうつ伏せの姿勢をとるが、石塚は手を止めず上から絞め技を狙ってきた。
石塚は確かに寝技もうまいが、立ち技の切れ味はそれ以上。この攻めは彼のセオリー外である。
となればこれは、何か考えがあってのことなのだろう。
「いいキミだ」と笑い出す藤田。
「粉川のヤツだよ。あれは端で見るより相当ツライ。
石塚が上になってせめてるあいだは、ずっと全力で耐え続けなくちゃならん」
そう――石塚の狙いは巧の体力をとことん奪いきることだったのだ。
613 :
2/2:2008/08/09(土) 21:22:29 ID:???
ようやく審判の「待て」がかかったものの、巧が起き上がらない。まさか落ちてしまったのか。
保奈美の目に涙がにじみかける。と――そこでいきなり何事も無かったかのように立ち上がる巧。
時間稼ぎの演技だったのか?石塚に迷いが走る。
(そんなことはない、絶対にヤツの体力は限界のハズだ!それを証明してやる!)
意気込む石塚だったが、そんなことをするまでもなく、巧の足がもつれて転ぶ。
やはり平気な顔の方が演技だったのである。
大笑いをする藤田。「バーカが、強がるから!」
(このヒト、普段はクールなのに粉川のこととなると…)
生き生きとした顔で改めて石塚に仕掛ける巧。
だが「もうだまされん!」とあっさり組み手を取られてしまう。
既に体力の限界で意識が朦朧としているのだ。
「これでキマリだっ!」
石塚が背負いの体勢に入る。巧に背を向けたその一瞬――。
巧が石塚の帯をつかんだ。「えっ!?」
体の回転が殺され、一瞬動きの止まった石塚に、逆に小外刈りで切り返す!
「有効!」
まさかの返し技に観ていた藤田も、技をかけられた石塚も動揺を隠せない。
「へっなにがこれでキマリだっ!ふざけんなよっ!」
勢いよく立ち上がろうとして、やっぱりフラつく巧。「あららららっ」
「どっちなんだよ、おまえはー!!」
本当に飛び蹴り食らわしたら一発退場モンだなw
藤田はすこし落ち着けw
616 :
1/2:2008/08/10(日) 21:10:51 ID:???
第64話 石塚の意地
有効を取り返してポイントは五分五分。引き分けでも佐鳴は終わり。いよいよ五人抜き達成が濃厚になる。
もう既に20分以上も戦い続けている巧を倒しきれないことに苛立ちつつも、
石塚は同じような展開になった前の試合のことを思い出していた。
観戦している藤田もまた、「あんなヤツにてこずってる場合か」と毒づく。しかし関谷の考えは違った。
「ちがうなあ、藤田クン、粉川はドタン場にきてからが手強いんだ。
追い込まれてはじめて並外れた集中力を発揮するタイプだ」
天才と呼ばれる人間と凡人との違いはまさにその集中力にこそある。それは藤田自身にもいえるのだが…、
プライドの高い藤田はそのことを認めたくないのだろう。
石塚は慌てずに小内刈りで技ありを取り、再びポイントを先行する。
疲れきっている巧には石塚のスピードについていくことができず、また足技なら返し技の心配も無い。
休む暇も無い石塚の連続攻撃に、巧は反撃の糸口もつかめず残り少ない時間と体力を浪費していく。
(これでいいんだ、ヤツのバカげた闘争本能むきだしの勝負につきあうことはない。
このまま逃げ切って勝つ!)
残り1分30秒。普通なら逆転できなくもないが、おそらく石塚は守りに入る。
しかし、試合を見つめる堀内はなおも波乱の予感を抱いていた。
徹底して組み手を嫌う石塚。本当にこのまま終わってしまうのか。
「そんなことない!最後まで巧クンは望みを捨てないもん!」
保奈美の言葉の直後、巧は起死回生の巴投げを石塚にしかける。
一瞬、体が浮きかけるものの――つかんでいた前襟を外され、逃げられてしまう。
「ちいっ!もう少しだったのにっ!」
即座に跳ね起きようとする巧だったが、足腰に力が入らず後ろに転んでしまった。
起きようとして転び、起きようとして転び――。「おいキミ、どこまでいくんだね!」
審判にそういわれてもどうしようもない。転がり続ける巧に場内爆笑。
「ゴロゴロ転がってたけど、あれってなんてゆう技なんですか?」
「今のはねえ…今のがかの有名な地獄車ってゆう技なのよ」
薫の質問に桜子が答えるが、もちろん、ただの冗談です。
617 :
2/2:2008/08/10(日) 21:11:54 ID:???
冷静に試合を見つめていた藤田が呟く。
「…今の巴投げ、どうして失敗したんだ。石塚は命びろいしたぜ」
確かに巧の巴投げは一本の取れたタイミング。技を決めるには巧に握力が残っていなかったのだ。
残り時間一分。「楽勝だぜ」と豊の声が飛ぶが――そんなものは石塚自身が受け入れられない。
石塚を見守っている袴田さんもまた、その表情が晴れないでいた。
石塚は守りの姿勢を自ら捨てて、巧に真正面から挑んでいく。
(あんな技を見せられて安全策がどうのこうのなんていってられるか!
あいつはあんな状態でもまだ勝負をすててない!
このまま逃げ続けたほうが勝てる可能性は高い。しかし、そんな勝ちかたはオレだって納得できない!)
(最後まで全力を尽して戦ってやる! 覚悟しろ巧クン!)
これこそ石塚孝裕、これこそ石塚の意地。袴田さんの表情に輝きが戻る。
石塚が背負いの体勢に入る。巧は返そうとするが――それはフェイント。瞬時に大内刈りへと変化。
「くそっ、死んでも倒れるもんか!」
巧は最後までこらえきり、石塚と二人、もつれあったまま場外へ。
本気の石塚に、自然と巧に笑みが浮かぶ。とはいえ――すでに握力がまったくない。
(これじゃ技をかけてもさっきみたいにはずれちまうぞ、ちくしょ――どうすればいいんだ!)
「またウソついたでしょっ!『地獄車』はマンガの中の技なんですって!?
なにも知らないとおもってだまそうとして――っ!」
「びっくりした――っ!今ごろになって気づくなっ!」
えっ、地獄車ってないの?
名前聞いたことあるだけでどんな技かは知らないんだけど
>618
杉薫乙
また保奈美の一声でなにかミラクルが起きるんだろうかww
ここは跳び蹴りをして後に引き継ぐ流れ
621 :
1/3:2008/08/11(月) 21:17:55 ID:???
第65話 閃く
有効一つ先行しているにもかかわらず、なお先手を取って攻める石塚。
普通なら安全策をとるところを最後まで手抜きをしない心意気、その潔さに賞賛が集まる。
「なにいってんのよ、万が一にも逆転されたら、どーしてくれるの?カッコつけたがってバカみたい」
「バカじゃないわよ。かっこいいけど…」
石塚の戦いぶりに文句をつけるチームメイトに反論する袴田さんだが、少しのろけが入っています。
とにかく、残り時間は一分足らず。石塚の優勢は動かない。
巧が奇襲戦法の双手刈りをしかける。足を取ろうとするも不発。
握力が無い以上、襟や袖をつかまずにできる技しかないのだが、見破られてしまっては何にもならない。
他に考えられるのは裏投げ、すくい投げ、後腰、俵返しなど。しかし、それらを仕かけるには
どれも相手の背後にまわりこまなければならない。(帯取り返しやヴァン・デ・ヴァル投げなどもあるが)
試合巧者の石塚を相手に背後を取るのは至難の業。となると――。
「ああっ熱い!」「知恵熱が…!」「やっぱりオレたちは理論派にはむいてない!」
杉たちの容量の少ない頭では答が出せずにオーバーヒートを起こしてしまう。
石塚にも巧の手に力が残っていないのは分かっていた。それでも手加減をする気にはなれない。
彼は今、この戦いに純粋に没頭していたかったのだ。
(オレはオレのベストを尽す。キミはキミのベストを尽せ、巧クン!)
622 :
2/3:2008/08/11(月) 21:18:35 ID:???
残り半分(30秒)、と豊の声が飛ぶ。「絶対に一本勝ち、とってください!」
いかに石塚でも浜高の残り四人を勝ち抜くのは難しい。この選手権では佐鳴はもう勝てない。
でも、この一戦だけは思う存分やって勝って欲しい――本来ならば姉を挟んで、石塚とは複雑な関係の
豊である。しかし、このときの彼はまっすぐにそう願っていたのだ。
いくらやっても引き手が切れず、手足に力も入らない巧。
もうダメなのか――と、石塚の出足払いが巧を襲う。
『巧クンの試合を見てる時ね、なんだかドキドキするの…かならずなにかがおきるから』
思い浮かべたのは保奈美の姿。巧は半ば無意識に、寸でのところで足払いをかわしていた。
(…そうか!)巧の中をある閃きが駆け抜ける。
立ち上がり際を狙ってくる石塚。
『どんなに強い人とあたっても、初めのうちは負けてるけど』
巧はその襟に向かって手を伸ばす。
『いつの間にか互角になっていて、いつも最後はひょっとしたらって思っちゃう』
石塚の道着の中に手を差し入れ、内側から襟を逆手に絞る!
『だって巧クンって…天才なんだもん!』
(そのとーり!このドタン場でこんなことひらめくなんて!)
石塚の道着によって巧の両手が固定され、これなら抜けることが無い。そのまま石塚を蹴り上げる!
「だあああっ!」
畳に響く音。弾みで石塚の柔道着が脱げてしまったが、それはご愛嬌というもの。審判が高らかに宣告する。
「一本、それまで!」
623 :
3/3:2008/08/11(月) 21:19:16 ID:???
土壇場での大逆転、それも一度は失敗した巴投げで。
「よーし、取り返したぞ!」「これで勝負はまたわかんなくなった!」
「石塚のヤツは有効ふたつだから、こちらは有効と一本ひとつずつで…」
三馬鹿は状況が飲み込めていない様子。少し間を空けてようやく気がつく。
「ってこたあなんだー?」「勝ったんだ!」「結局、これで一回戦は終わり…!」
体力を使い果たして立ち上がれない巧。
逆手で襟を取って巻き取るという誰もが考えつかなかった巧の閃きを、石塚は素直に賞賛する。
「今回は負けたけど、これで一勝一敗だ。また今度試合で出会ったら、そこで決着つけるってのはどうだ?」
「まーた、負けおしみしちゃって。でも、この次は先鋒できてくださいよ」
こんな疲れる試合はもう二度とやりたくない――巧の言葉に笑って頷く石塚だった。
「やるじゃない、あんたの昔の連れ。本当に5人抜きしちゃった」
あまり相手に骨がなくてもつまらない――と、あくまで不敵な態度の暁泉。
「ちっ、勝ちやがったか…」「…なんかホッとしてない?」「なっ…なんでだよっ!?」
関谷に図星を指されて動揺する藤田。それはともかく――。
――浜名湖高校、一回戦突破!
「ところで兄の出番はいつですか?」
「おまえはやっぱり理解してなかったな…」
べっ、別に粉川を応援してるわけじゃないんだから、勘違いしないでよね!
>ところで兄の出番はいつですか?
なんとなくR29号を思い出すなあ。
もう藤田いらなくね?
藤田の立ち位置が微妙になってきてるな。
階級が違うから巧とガチ勝負してもアドバンテージがあるもんな
力石みたいなもんで
階級一緒で爽やかな石塚くんが出てきた以上……
しかもその石塚の負傷につけ込んで勝ったし……
そろそろ出番ということでウォームアップに入ろうとする三工の藤田。
その後から聞き覚えのある声がする。
肩を叩かれて後ろを振り向こうとすると――頬に突き刺さる太い指。古典的なイタズラです。
「そうだ、3年だからすでに受験のために現役を退いている男、久留間先輩だよ〜ん」
第66話 休憩
一回戦の五人抜きのためにバテバテの巧。
パンパンの筋肉をほぐそうと杉に「肩もんで」と尊大な態度。
「よーし、もんでやる。ミッタン!」「ま゛っ」
ベンチに寝転ぶ巧の背中を重量級のミッタンが踏みつけてマッサージ。こうかはばつぐんだ!
と、ミッタンの足を安全ピンで突き刺す薫。思わず悲鳴を上げるミッタン。
「こんなに疲れてる巧さんになにをするの!」
「おまえこそいきなり恐ろしいコトすんじゃねーよ!」
さすがに杉の妹というべきか――薫は横たわる巧にそっと寄り添う。
(長い闘いの後のつかの間の休息なのよ…せめて、今だけは眠らせてあげたい、私の手の中で…)
「なにが“私の手の中で”だ、中学生がっ!」
こんなところを保奈美が見たらまた泣き出すところだったが、彼女の姿が見えない。
それどころか斉藤の兄弟たちもいない。桜子もいなかった。
久々の一回戦負けに落ち込む佐鳴高ベンチ。また一から出直しかと気持ちを立て直しているところに、
「豊クン!話ってなーに?」
笑顔で桜子登場。試合後に話があるというから待っていたのに、豊が来ないので訪ねてきたのだ。
「いやあ、スミにおけないなあ、袴田クン」「試合の当日にもかかわらずマメだこと」
ごゆっくりどーぞ、と去っていく佐鳴の面々。
「はあ?なんか誤解があるんじゃないの?」鈍い桜子はまだ気づいていなかった。
「ふーん、意外だなあ。豊クンと、浜高の海老塚サンがね…」
思わぬカップリングに驚く石塚。しかし、相手が浜高の子と聞いて他のメンバーの目の色が変わった。
村上と落合が豊を捕まえ問い質す。
「試合前に敵のマネージャーと会ってなにを頼まれた、あーん?」「そーゆうのを八百長というのだぞっ」
あらぬ疑いに全力で否定する豊と桜子。しかし村上たちもおさまらない。そこで石塚が仲裁に入る。
「よーし、では百歩ゆずって不正はなかったとしよう。
しかし、つきあってる女がマネージャーやってる学校が敵になっても、本当に勝負に集中できるのか?」
手心を加えたのではないか、という石塚の問いに豊は激昂。「冗談じゃない!!」
「むしろ逆だ、オレは彼女の目の前で粉川に勝ちたかった!
もし、そうなってたら、海老塚サンに告白するふんぎりがついたのに!」
本人を目の前にして、豊クン大自爆。絶叫を上げてその場から逃走。
「…どーやら悪いコトしちゃったよーだな」「まだまだつきあうとか以前の段階だったんだ」
とりあえず石塚たちは桜子に向って手を合わせる。「頼むっ!海老塚サン!」
「あいつと、袴田とつきあってやってくれ!」「いっ!?」
「悪いヤツじゃないよ、ちょっと単純だけど!」
「背も高いしさあ!」「ちょ、ちょっと!!」
その頃、保奈美はようやく斉藤の兄弟たちを発見。そこは赤石林業のベンチだった。
保奈美の「こんにちわ」攻撃に相好を崩す赤石メンバー。成長の無い連中である。
赤石もまた五人抜きとはいかないものの、先鋒の酒井と次鋒の西村の二人で相手を片付け、
一回戦突破を果たしたところであった。
「おまえらとあたるのは順調にいけば準決勝だ。今度はこの前のようにはいかねえからな」
せいぜい途中でくたばらないよう巧に伝えろという酒井。ところが、それが保奈美変換にかかると、
「それまで負けないようにがんばれってコトですか?」
ニュアンス的には確かにその通りなのだが。人の良すぎる保奈美に調子の狂う酒井であった。
三工も試合終了、先鋒の関谷が巧同様の五人抜きを決めていた。
自分がいなくても三工の強さは変らない、と手放しで賞賛する久留間先輩。ただ、その格好が。
「なんでー?いいじゃん、なにしろホラ、バンドブームだしィ」
久留間先輩としてはビギンを意識してるようなのだが。
(ってゆーより「たま」の石川のほーじゃないの?)
三工には藤田だけではない、自分もいるのだ、と静かな闘志を漲らせる関谷であった。
「ほら見ろ、やっぱしヤツはタダ者じゃなかったじゃん。オレが苦戦したんだぞ」
「負けたんだろ、苦戦どころか!」
さて――これで一回戦全試合が終了し二回戦が始まる。
その第一試合は赤石林業VS暁泉学園。
「じゃ――ん!」「そろそろ出番だと思った」「ムダ口たたいてないでいくぞ」
かわいそうな袴田(弟)…
これは悲惨すぎるwww
赤石もう噛ませ確定な展開
いいなあw>私の手の中で…
「こうかはばつぐんだ」って何?
第67話 暁泉学園VS赤石林業
いよいよ始まる注目の一戦。
暁泉の堀内にも赤石の酒井にも因縁のある巧としては、どちらにも負けて欲しくはなかったが――。
暁泉は選手全員が経験の浅い素人集団だが、その油断が三工Bチームの敗北を招いた。
それさえ心がければ勝てない相手ではないと赤石林業顧問の松田は選手を鼓舞する。
暁泉の市川も珍しく選手たちのところへ。それほどに赤石が強豪なのかと永田が問う。
「バカをいえ、つきあいみたいなもんだ。オレはおまえらをあんなヤツらに負けるような選手に仕込んではおらん」
桜子の下から逃げ出した豊は武道館の外にまで出ていた。なぜ逃げてしまったのか、豊は自分自身に問う。
(だいたい桜子サンには粉川がいるんだし、どーせフラれる運命だったんだよな…
いまさら告白したところで困るのは向うのほうだ…)
ここは自ら身を引くことを選ぶ豊。時にはカッコ悪くフラれるのも男の優しさ、と一人で結論付ける。
「豊クン!」そこに桜子が到着した。
桜子に告白などというのはほんの軽い気持ちだった、他校にガールフレンドがいればカッコイイと思った――。
などと誤魔化そうとする豊。しかし、桜子の反応は彼の想像と違っていた。
「そう…そんなコトゆうの?誰だって傷つくのはこわいけど…こんなに臆病なヤツとは思わなかった」
初めて会ったときに桜子たちを助けてケンカをしてくれた豊を、彼女も少しカッコイイと思っていたのに。
「こ――のいくじなしが!」
「桜子ビ――ンタ!」
駆け去っていく桜子は石塚、袴田さんとすれ違う。
外に出た二人が目にしたものは、鼻血を滝のように流し放心状態の豊だった。
(なんか変だな、あそこまで怒るなんて…)
そこで豊が石塚に告げられた真相。巧が付き合ってたのは桜子ではなく、一緒にいた保奈美の方だったのだ。
「で、でも桜子サンはいつも粉川といっしょに行動して…!」
「そお?近藤さんもだいたいいっしょにいただろ?」
石塚の言葉に固まる豊。今の今まで気がつかなかったのだ。
「なっ、なんてことしちまったんだ――っ!!」
桜子の名を呼び、大慌てで会場に戻る豊であった。
「もう遅いと思うけどね…」「笑いごとじゃないでしょ!」
その頃、試合場では暁泉の先鋒、佐野が赤石林業を相手に三人抜きを決めていた。
赤石の副将は西村。酒井は佐野を「力にモノいわせて押しつぶしてるだけ」と言い切る。
「力ならオマエも引けをとらねえ、本物の技をヤツらにみせてやれ!」
市川は酒井を71キロ以下級の優勝候補だと説明する。
その酒井を相手に春の団体戦で巧が一本勝ちしたと聞き、堀内の表情が変った。
佐野VS西村。西村はこの地区ではミッタンの次にでかい怪物選手である。
二人とも百キロ超の巨体同士、高校生離れしたすごい試合になると予想された。
仕掛けてくる西村の両腕を佐野がつかむ。
「いくらオレでもてめーみてえなヤツとまともに組み合う気はねえぜ」
なんと西村が動けない。力だけなら佐野はミッタンをも上回るかと思われたが――そのとき。
「バカいってんじゃねえぜ、西村だって前の大会のときとはワケがちがう!
筋力トレーニングをさらにふやしてみちがえるほどパワーアップしてんだ!」
咆哮と共に佐野を上から押しつぶし、畳に叩きつける西村。そのままひっくり返して押さえ込み。
見事な一本勝ちで勝負を終えた。
腕力のみの佐野ではこの辺りが限界か――あくまでも冷静な市川。
そこに堀内が酒井との勝負を希望する。
「…まあいいだろ。永田、わかってるな」
一見して優男風で強そうにはとても見えない暁泉次鋒・永田。「一分でしとめろ」と酒井が檄を飛ばす。
が、その後赤石林業にとって悪夢のような信じられないことがおこった!
永田のスピードは西村に柔道をさせなかった。つかずはなれずスキあらば小技を放ち、
最初から引き分けを狙っていたのだ。そのまま時間切れとなり、西村は畳を叩いて口惜しがった。
そしていよいよ、赤石林業大将・酒井、そして暁泉学園中堅・堀内の戦いである。
(そこで見てろよ粉川巧。おまえと闘った酒井をオレがどう料理するか!)
柔道についてはまだ初心者に近いはずなのに永田って妙に上手い柔道するな。
やっぱオカマがテクニシャンってのは鉄板なのか。
堀内と酒井じゃ階級を考えたら偉そうにどう料理するかとかいうほどではないな
つまりこうなるんだな。
が、その後暁泉学園にとって悪夢のような信じられないことがおこった!
酒井のスピードは堀内に柔道をさせなかった。つかずはなれずスキあらば小技を放ち、
最初から引き分けを狙っていたのだ。そのまま時間切れとなり、堀内は畳を叩いて口惜しがった。
佐野+永田=マンモスマン
>>640 袴田「そんな、酒井さんは中量級の実力者よ><」
第68話 蹂躙する力
酒井VS堀内。赤石の酒井は春の地区予選で巧が接戦の末に倒している相手である。
つまり、この勝負で堀内の具体的な強さが明らかになるというわけなのだ。
(けっ、やはり暁泉のヤツらはシロウトばかりってのは本当か!?ラクに組手のいいとことらせてくれるぜ!)
酒井は出足払いで堀内をぐらつかせ、そのまま得意の背負いに入る。ところが――。
酒井が背を向けた一瞬、堀内は酒井の後ろ頭をつかんで体ごと払いのけてしまった。
(背負いは通用しない…そういいたいみてーだな、平ちゃんよ…)
そう、これは巧最大の得意技が堀内には効かないということを意味していた。
並の技では堀内に通用しないと判断した酒井は「例のヤツ」を仕かける。
「また背負い投げか!バカのひとつ覚えが!」
再び外そうとする堀内――だが、ここで酒井の体が逆回転。
「うおりゃああ!」
酒井得意の左変化の背負い投げ。たまらず手をつく堀内。畳に転がり、判定は「有効!」
「見たか!バカ力だけで通用してたまるかよ!」
しかし――この攻撃が堀内に火をつけてしまった。
首元をつかまれ、頭を上げることもできず、力任せに酒井は振り回される。
(調子にのりやがって、てめえはここで終わりだ!)
酒井の懐にもぐりこもうとする堀内。肩車の体勢である。
(冗談じゃねえ、そんな大技くらってたまるか!)
間一髪のところでこらえる酒井。ところが、そんな抵抗もおかまいなしに堀内は酒井の体を担ぎ上げ――。
そのままボディスラムのように畳の上に叩きつける!
最近の肩車は、小さいヤツが背の高いヤツの下にもぐりこんで投げるテクニックの要る技である。
それを堀内は単純な力のみで相手を担ぎ上げて投げてしまったのだ。
「堀内には常識が通用しない。このさき勝ち進んでいけば、いずれオレたちともあたるぞ。どうすんだ?」
昔のよしみで堀内に手加減を頼めないか、と情けないことを言う杉。もちろんそんなことはできないが。
そのとき、暁泉の市川が堀内の頬を音高く張り飛ばした。
「あんなヤツに有効とられやがって…気を抜くからだバカ者!」
優勝したいなら二度とこんなミスを犯すな――市川の態度になぜか桜子が怒る。
「今どきあんなのってアリ!?体罰っつうんじゃないの!?」
向うも必死なのはわかるのだが、桜子にはそんなの関係ない。
「あんな人に負けちゃったら世の中のマチガイをみとめたことになっちゃう!絶対にまけちゃダメよ!」
というわけで奮起した浜高の五人。
二回戦、三回戦を余裕で突破し、ベスト4進出。
そしてついに決勝進出をかけて暁泉学園と争うことになったのだ!
「い、いいの?こんなに早くて…」
「いいの、いいの、こういうのはポンポンっていかなきゃ!」
次回は一回休載して、単行本7巻のおまけを紹介します。
予想通りかませになった酒井w
○単行本7巻 (表紙:杉清修 裏表紙:杉薫)
・四コマその1
1.これは背負い投げ養成ギプスである。鉄パイプでつくられていてコレをはめると、
いつでも下半身が背負い投げのときの姿勢になるワケだ。
2.むしゃむしゃ パクパク
3.巧「ねえちゃん おかわり」
保「ハイ」
杉「よーしよし、何時たりともその姿勢をとってるのだぞ、ひゅうま」
4.しかし、ひゅうまがズルしていたためただのイス同然であった。
ひゅうまの下半身は確実におとろえていった…。
・四コマその2
1.ひゅうまの特訓は続く…
巧「とーちゃんウサギとびは疲労骨折になるんだぜ」
杉「うるさい!思いこんだらだっ!」
2.保「ひゅうま…」(物陰から静かに見守る)
3.杉「バカモノ!火の玉ぐらいよけんか!」
桜「キャ――ホシさん、あんた長屋を火事にする気かい!?」
4.保「ひゅうま…」
桜「ちょいとアキコちゃん!おまえもとめろよ、完全武装して傍観してないで!」
・まってました第7回 ◎コミック界の話題を独占『絵筆を持ってね』
選評/河合克敏 応募総数:559点 入選:32点
グランプリ:残念!グランプリ作品なし!!
準グランプリ:静岡県・TALOH〔藤田〕
京都府・萩本護〔四コマ 91セ・ペナントレースを占う!〕
奈良県・桂亮〔桜子〕
大阪府・プー助〔保奈美〕
第69話 本当の気持ち
圧倒的な強さで勝ち進む暁泉学園。しかし、その大将はいまだ一試合も行っていない。
実力を見せない不気味な存在に、場内の関心は否が応にも高まらずにはいられなかった。
クシャミをする暁泉大将・原田。今日はぜんぜん汗をかいていないのでしかたがないが――。
「だけどヘタにダンナを試合に出してケガでもさせちゃマズイからなあ」
「学生ゴルフの試合も2週間後にひかえているし」
彼は“バンカーの勝負師”の異名を持つゴルフ選手なのである。
「しかし、ただ試合にでる頭数を揃えるためだけに籍だけ柔道部においてるなんてしれたら…」
「それはそれでマズイ」「つうワケでやっぱり大将でいてもらうしかないんだよな」
原田彦蔵16歳(ウソじゃないんだってば)そーゆうワケで柔道部に在籍していたのだった…。
だが、ここに原田の実力を知っている者たちがいた。
ジャンケンで試合の順番を決める浜高メンバー。もちろんふざけているわけではない。
勝利を収めた杉が作戦の説明。暁泉の大将が大穴ということは――。
「先鋒から副将まで4人みーんな引き分けさせれば!大将であるこのオレが華麗に一本勝ちを決めて
決勝進出!と同時に浜高柔道部に新たなヒーロー誕生ってワケだあ!」
巧にばかりおいしいところは取られない、とノリノリの杉。しかし巧は副将に決まった。
「おまえの分もオレが片づけといてやるよ、二人勝ちぬきゃいいんだからな!
これでまたヒーローはオレってワケだ!」
「て、てめーとゆうヤツはっ!少しはチームワークというものを考えろ!」
一人だけヒーローになろうとしたヤツがよくいうが、とにかくこのままではまずい。
そこで龍子先生が一計を案じる。
「えっ!私が?」
なんと龍子先生、佐鳴高の袴田さんに激励を頼もうとしたのである。
浜高は佐鳴を負かしてここまで勝ち進んだというのに、これはあまりにも失礼。平謝りをするが――。
袴田さん自身がそれを承諾してくれた。
「私も浜高のみなさんにはがんばってもらいたいと思ってますから。激励させてください、ぜひ」
感動する龍子先生。「はかまださん…あんたっていいコねえ…」そして彼女を抱きしめる。
「いいおヨメさんになるわこの子は!」「あ、あの他人目が…」
「よっぽど大人だよ、誰かさんより…」
一方その頃――。
(私、杉薫は他校の女の人を頼ってまで勝とうとゆうのはちょっと納得いきませんの。
そうまでしたらプライドも何もないじゃありませんか。モグモグ)
彼女は憎き敵、暁泉学園の選手に罠をしかけるべく待ち伏せしていたのである。モグモグ。
さあ、やってきた暁泉の選手たち。
(誘蛾灯に群がって焼け落ちていく虫ケラのよーに、私のワナにはまって再起不能になるがいい!)
階段を下りようとする暁泉の面々の前に、薫は食べていたバナナの皮をおいた。「えい!」
「……おい。なんなんだコレは?」
もちろんそんなものを踏むはずもなく、堀内は薫を問い質す。
「す、すべりをよくしようと思って…だって階段のここんとこにスベラーズがはってあるので…」
階段のすべりをよくしてどうしようというのか。計画が頓挫した薫は目に涙をにじませる。
「どーして素直にふんでくれないんですかあ!」「バカいってんじゃねーよこのガキは!」
「ハイハイ、いいコだから泣かないでね。あんたたちも子供のイタズラにそんなにムキにならないの!」
泣き出してしまった薫を慰める永田。子供のイタズラにしては度が過ぎるのだが。
あらためて階段を下りようとするそのとき――佐野の背中を薫が押した。「えいっ!」
堀内、原田を巻き込み――黒柳のところでどうにか停止。
「フフッあなたはやさしいから巻添えにしなかったの。じゃあね美形のお兄さま(ハァト)」
(な、なんという恐ろしいコ…かわいいけど…)
袴田さんの激励で一気にテンションが上がる杉たち三人。このよこしまな団結力には呆れざるをえない。
用件を済ませて帰り際、袴田さんは浜高のマネージャー二人に声をかける。
「ねえ、近藤サン、海老塚サン。あなたたちも、みんなに何かいってあげて」
「えーっ、そんなのムダですよお。あいつら私たちのいうことなんかちっとも聞きやしないんだから」
「…そうかしら。少なくとも私が何かいうよりは、あのヒトたちには効果あると思うな」
反応のしかたはちょっと違うかも知れないが、ということなのだが。
結局、二人は袴田さんに言われたとおり皆を激励することに。
「あ、あの、準決勝のことだけど…今までの相手と違って、その何がでてくるかわかんないから…」
「つまり!ちょっとでも油断してるとやられちゃうんだから!」
「でも、みんなの実力なら気をつけてさえいれば勝てると思うのね…」
「そ、そーなのよ!ぜったい気を抜かないよーに!」
「だからその…」「えっと…」「いっせーの…」「せっ!」
「「がんばってください!以上」」
せっかくの言葉だったのだが、皆の反応はというと――。
「なあんだ、そんなことかい」「わかってんだよ、いわれなくても」
「おい巧、打ち込みやるぞ!体、あっためとかなきゃな」
やんなきゃよかったと羞恥に顔を染める保奈美と桜子。だが、龍子先生がそれを否定。
「本当に反応のしかたが違うのね。おもしろいことに。
袴田さんがはげましてくれてもニコニコしてるだけだったけど…。
あなたたちにいわれたら、顔つきが真剣になった気がしない?」
『――準決勝に出場するチームは第一試合場に集まってください』
「よーし、出番だぜ!」「ほんじゃいくかあ!」
袴田さんはいい性格だな
そして杉の妹もいい性格だな
杉妹、別のマンガで主人公張れそうなぐらい強烈なキャラだw
ダンナwww
この大会終わったら、ダンナのゴルフ大会が見たいw
第70話 準決勝始まる
試合場に向かおうとする暁泉メンバーを久留間先輩が呼び止める。
ついケンカ腰で反応する佐野と黒柳を、堀内が抑えた。
「おいおいヘタにからむなよ。そいつは三方ヶ原工業の元主将の久留間ってヤツだぜ。
こないだの大会の個人戦・重量級のチャンピオンだ。
この地区の高校柔道界では頂点に立ったおヒトってわけだ」
外見からは想像しにくいが、実際、久留間先輩はそれぐらいすごい人なのだ。
「元主将だろも・と!てこたあ、今は引退してんだろーが、ケッ!
で、いったいボクたちに何の御用ですか?」
あっさり態度を翻す佐野に、メンバーの冷たい視線が刺さる。
久留間先輩はべつに、彼ら全員を呼び止めたわけではなかった。
先輩のその太い指がさしたのは――永田。
「キミも女のコなら、恥じらいとゆーものをもちなさい!
女子は柔道着の下にはTシャツを着なくちゃダメじゃないか!」
久留間先輩の的外れな注意に、一同大笑い。
「アタシは男なのよ!よく見ろこのカラダを!」
「あっと、誘惑には負けない」
上着の前をはだけてみせる永田だったが、久留間先輩は見向きもしない。
「柔道マンはストイックなのさ!」
「なーにが柔道マンだ!逃げるな、この事実を見すえろ!」
ブーンと逃げ出す久留間先輩を永田は追いかけていく。
(知っててからかってんじゃねえ?)(本当に強いヒトなのか?)
巧の突き指にテーピングをする保奈美の様子を見て、桜子は少し思い悩む。
(そうかあ…マネージャーやっててみんなにチヤホヤされるのもいいけど…
誰か一人にしぼっておつきあいするのもいいもんかな、やっぱし)
いつ誰が彼女をチヤホヤしたのかはさておいて、桜子は頭の中に該当しそうな人物を思い浮かべる。
(ミッタンはねえ…カオに似あわず、やさしいんだけど、その分頼りないっつうか。
宮崎クンかあ…身長、私と同じだからなあ。結構カワイイとこあんだけど…。
斉藤クン。カッコイイけどさあ、ギャグのセンスが…。(なぜかこだわってる)
杉クン。実は女子に人気あるんだよね。よく見るとルックスいいしねえ。
でもバカだから)
そこで思い浮かぶのは、県下有数の進学校に通いルックスも高水準なあの少年。
(しまった、意外とマトモなヤツがまわりにいないっ!こーして考えてみるとポイント高いぞ豊クンは!)
しかし桜子はその彼に向かって必殺の桜子ビンタをお見舞いしてしまったのだ。
「このやり場の無い怒りをどこへ…!」
その頃、いまだ放心状態の豊。
ポニーテールならだれでも桜子に見えてしまうという重傷ぶりで、
通りすがりのポワトリンにまですがりつく始末。
(たちなおれるかな――ホントに…?)
そんな事情はさておいて、ついに浜高VS暁泉の火蓋が切って落とされる。
先鋒は浜高・三溝 暁泉・佐野
(オレとやんのはさっき赤石の西村に負けたコイツか。こりゃ意地でも負けらんないや)
次鋒は浜高・宮崎 暁泉・黒柳
(くそっ!よりによっていちばん体重のありそーなヤツ!)
中堅、浜高・斉藤 暁泉・永田
(ちょ、ちょっと待ってくれよ!コイツだけはあたりたくなかったのになあ…)
副将、浜高・粉川 暁泉・堀内
(杉にゃ悪いが、オレは引き分けなんて狙いはしねえぜ、平ちゃんとはキッチリカタつけなくちゃならないからね)
大将 浜高・杉 暁泉・原田
(ラクショーラクショー♪)カオがゆるむゆるむ。
両校共に一筋縄ではいかない曲者ぞろいである。
開始直前、斉藤から引き分け狙いなんて消極策はやめにしないかと提案。杉以外の全員がそれに賛同した。
ガンガンいくのが一番の作戦。ヘタに作戦を考えたところで通用するとは限らない。
ただ――多少違う思惑が紛れていたのも事実だが。
先鋒戦開始。暁泉学園顧問、市川の見立てでは佐野とミッタンの体格、パワーはそれぞれ互角。
だが、技術面では経験がモノをいう。はっきりいって現在の佐野の実力では…。
「技術で数段敵に劣る。この勝負は圧倒的にこちらに分が悪い」
ミッタンのヴァン・デ・ヴァル投げ炸裂。
決まると本当にド派手な技なのだ。
「うろたえるな、この一敗は計算のうちだ。見ろ、市川の先公、今の技にもぜんぜん動じた気配がねえ」
堀内はそういうものの、先生の内心では――。
(あ――びっくりした…あんな技つかうヤツいたのか高校生で…)
ちょっとビビッていたりした。
ニヤついてるけど巧が負けたら平ちゃんとやることになるのがわかってんのかこのハゲはw
引き分け作戦が取りにくい当たり方だねえw
次鋒戦とか副将戦とか体格違いすぎる
まてポワトリンw
愛ある限り戦いましょうwww
ポワトリンがwwwwwwwwwwww
第71話 危機一髪!
暁泉学園の次鋒は超重量級の黒柳。
いかにミッタンでもこの男を持ちあげるのは不可能である。
逆に押しつぶしてやると豪語する黒柳に、市川は「勝ってこい」と指示。
身長ではミッタンが勝るものの、体重では30キロも相手が上。
内股をしかけるも根が生えたように動かない。
「ミッタン、いきなり投げにいってもムリだ!最初は小さな技で相手の体勢をくずしていけ!」
経験の差で勝負するよう斉藤のアドバイス。
やはり素人らしく、黒柳の足元は隙だらけ。
このままでは二番手も撃沈か――というとき、
黒柳の体勢が大きく崩れる。
「チャンスだっ!今度こそ投げられる!」
しかし、そのタイミングを待っていたのは黒柳の方だったのだ。
黒柳は内股に入ろうとしたミッタンの引き手を切り、その背中から担ぎ上げる。
「ざーんねんでした!始めからコレを狙ってたんだよんっ!」
そのまま裏投げを決める黒柳。一本の宣告と同時に高笑いが響き渡った。
「ぐわっはっはっはっ!」
黒柳がそんじょそこらのデブと違うのは、並外れた柔軟な体の持ち主であるということ。
柔らかいからこそ、あの巨体にも関わらずバックドロップ気味の裏投げがくりだせるのだ。
後頭部から落ちたミッタンは脳震盪を起こし、立ち上がることができなかった。
浜高の次鋒は茂。
ミッタンの敵を討つとはいうが、相手とは実に2・4倍の体重差がある。
「…ちょっとすごいハンデなんだけど」
「そりゃ、野球の完全試合よりも、幼稚園児によるトライアスロンよりむずかしいかもしれないけど。
希望は捨てちゃダメよ!」
随分とひどい言われようである。ただ、茂にも一つ有利な点があった。
「オレは絶対に裏投げでは投げられない、なぜなら!
自分でいうのもなんだが、姿勢が低すぎて後へかえせないのだ!」
それなら押しつぶしてやる、と茂に襲いかかる黒柳。茂はその襟を捕まえ、背負いの体勢に入るが――。
一瞬浮きかけたものの、やはり黒柳の巨体が持ち上がるはずもなく、そのまま本当に潰されてしまう。
ところが、黒柳の様子がおかしい。
寝技に行こうともせず、その呼吸が荒い。
「…とっととマイッタしろ!本気でおとすぞっ!」
なんと茂は下になりながらも黒柳を絞めていたのだ。
たまらず畳を叩く黒柳。茂の大金星である。
「もっと誉めなさい!ア――ッハッハァ――ッ!」
胸を張ると同時に滝のように噴き出す鼻血。茂は潰された際に顔面を打っていたのであった。
「試合中断!!早く血をふきなさい!」
おっ宮崎、男を見せたね
……前後がギャグだけど
第72話 暗黒面
曲者揃いの暁泉メンバー、その中でもとりわけ異彩を放つ男、中堅・永田。
「最低でも二人は勝ち抜け」と檄を飛ばす市川にウィンクをしてピースサイン。
(ううむ…ついにヤツの性格だけはオレの指導でもどうにもならなかった…)
しかし彼は天性ともいうべき柔道センスを持っている。この難局も永田ならどうにかできる――。
市川はその才能に高い信頼を置いていた。
どちらを応援すればいいのか迷う薫。いくら顔が良くても一応は敵(しかもオカマ)なのだが。
「だって美しいヒトは美しいんだもん」だそうで。
「さあいらっしゃい!おチビさん!」
背景に乱れ飛ぶ薔薇吹雪。確かに美しいのかもしれないが。
(う、う〜む…!チビといわれてハラ立つ気持ちより組み合いたくない気持ちのほうが先に傾いてしまう…)
引き気味の茂に対し、ガンガン攻めろと斉藤の声が飛ぶ。
「もし、宮崎が負けたら次に永田と当たるの斉藤だもんな。いつもより声援に力が入ってる」
巧に図星を指されて「ギク!」っとする斉藤。やっぱり我が身が可愛いらしい。
激しい組手争いが続く宮崎VS永田。
二回戦で永田に翻弄された赤石林業の西村が述懐する。
「シロウト揃いの暁泉の中でも永田はちょっと他とは違うんだ…。
が、外見からは想像し難いがなめてかかるととんでもないことになる…」
(なるほどな、赤石の西村を引き分けさせたのはマグレじゃなかったワケかい!よし、それなら!)
茂が小内刈りをしかける。それをかわそうと永田が片足を浮かせた瞬間、その左袖を茂がつかんだ。
(バカめ、小内はフェイント!くらえ左一本背負い!)
勢いよくすっ飛ぶ永田の体。半身で畳に落ち、判定は「技あり」。
舌打ちをする市川。だが、それは投げられたことに対してではなかった。
「気分屋なところがところがあるからな。なかなかテンションがあがらず、ついつい気を抜きやがる」
でも、これで目が覚めただろう――と意味深な台詞。堀内もそれに唱和する。
「でしょうね。普段のヤツじゃなくなるでしょう。キレますよ、きっと」
そのとき――永田の形相が変った。
目つきが鋭くなり顔つきも凶暴なものになり、ひどく攻撃的な戦い方に変化した。
「ちいっ、なんだコイツ!?今までとぜんぜん気迫が違うじゃねえか!」
投げを察知し、防御体制をとる茂を永田が笑う。
「クックックッ!それで技を防いだつもりか?えっ、チビ!」
腰を引いて両腕を突っ張っていれば、技がかけられないと思っている――その不明を嘲り、
「と、飛んだァ!?」
永田の突然の跳躍。
それに引っ張られ、体勢の崩れる茂。そして着地と同時に――内股!
なすすべもなく茂は畳に叩きつけられた。
「飛び込み内股だな。内股の変形だ」
観戦していた典善が解説をする。
相手の突っ張っている腕の力を斜め上に跳んでそらしてしまい、そのまますかさず技に入る。
相手を崩す動作と技に入る動作が一つになった高度な技である。
畳を叩いて口惜しがる茂を嘲笑する永田。そのあまりな態度に怒ったのは桜子と、そして――。
「許せんな。ヤル気が出てきちゃったよ、おかげでっ」
「おおっ!斉藤が燃えてる!」
コキッと肩を鳴らし、浜高中堅・斉藤、登場。
永田はマンモスマンかと思ったらアシュラマンだったか。
相手がホモから悪役に代わったらやる気も出やすいね!
第73話 技対技
一進一退が続く浜高VS暁泉の準決勝戦。見てくれに似合わない永田の豪快な投げ技に注目が集まる。
(これでいい、もう永田の中では普段の女々しい性格はフッ飛んじまってる。
こうなった時の永田はそこらの格好ばかりゴツそーなあんちゃんたちより
はるかに凶暴な性格になってるからな)
いいたいことをいわれ放題で何もできない茂は顔面に力を入れるあまりまた鼻血が噴き出す。
「ケッ鼻血なんか出しやがって、オレの美貌に興奮してんのか!?気モチ悪いんだよっ!このおサルがっ!」
オカマの上に二重人格、おまけに変わっちゃう性格が超おげれつ、という難儀な男、永田。
皆が冷や汗を流す中、一人、杉薫だけが――「ステキ…(ハァト)」と目を輝かせておりました。
中堅戦、斉藤VS永田。
(ついに出てきたか、浜高きってのワザ師と噂される男…粉川のようなハデさはないが、
柔道センスと、その技術は一級品!)
斉藤と戦えることを喜ぶ永田。
(テメーみてえな男と戦ってこそ、自分の本当の実力が試せるってもんだからな!)
斉藤さえ互角の組手争いを見せる永田。互いに右組手、四つになったところからどう勝負に出るか。
永田が先手を打ってまず小内刈り――しかし浅い。
永田はそこで体を返し、そのまま跳躍!
「出たっ!アレがっ!」「飛び込み内股!」
それに的確に反応する斉藤。
(内股すかして、振り上げてくる足つかんですくい投げだ!)
ところが――永田は内股にいかず、そのまま着地。
(さすがはテクニシャン。やはり飛び込み内股を返そうとしていたか!)
永田はさらにその先を読んでいた。飛び込み内股さえ囮に使い、小内刈りで「技あり」を奪う。
彼は斉藤が内股をかわすことさえ計算の内に入れていた。
つまり――飛び上がって下りてくるのを待っていても、そこから先の変化は読めないのだ。
(甘かったぜ!今度こそミスは許されない!)
その後、気を取り直した斉藤は果敢に攻めていくが、なかなか「技あり」以上のポイントを取れない。
そうこうしているうちに、試合は終盤にさしかかっていった。
(一方的に攻めまくって疲れが出てきたか?だんだん腰が引けてきたぜ)
体勢的には内股にいくチャンスなのだが、何しろ相手は斉藤である。
これが誘いである疑いを捨てきれず、永田は躊躇する。そこで杉の声が飛んだ。
「おい、斉藤気をつけろ、腰が引けてるぞ!」
斉藤が本当に疲れているだけなら、この一言で体勢を元に戻すだろう。
それではせっかくのチャンスがふいになってしまう。
(ちいっ!今しかない!)
永田が攻めの決断をする。しかし、それを斉藤は待っていたのだ。
再度飛び込み内股に入ろうとする永田。「な、何っ!?」
それと同時に斉藤も跳んだ。しかも――永田より高く!
空中で永田に足をかけ、着地の瞬間――。
「せええいっ!」
――内股で返す!
「一本、それまで!」
斉藤は見事な逆転勝ちを決めた。
(ふう、なんかイイ手ないかと思って昔、本に載ってたのぶっつけ本番でやってみたけど…
なんとかうまくいったぜ…)
「あら?わたしどーしたのかしら?」
畳に叩きつけられた衝撃で、永田は元に戻っていた。
斉藤かっこよすぎる
美形じゃないのに美形キャラに錯覚しちゃうぐらいカッコイイな斉藤は
実は目を開くと美形なんじゃないか
なにその最も神に近い男
誰か想像図描いてくれよwww
斉藤の素顔
しかも暴走中は記憶失うんかい・・・
しかしこれまでの試合の中で一番面白いな>暁泉戦
やっぱ敵キャラ全員がいろいろとおかしい連中ばかりだからか。
第74話 怪物目覚める
変形の内股に対抗して、これまた変形の内股で返した斉藤。これで再び浜高の一勝先行である。
「よし、斉藤クンあと二人ガンガンいっちゃえっ!残りの二人の出番なんか考えなくていーからね!」
桜子の激励に、出番のなくなりそうな大将と副将は微妙な表情。
暁泉の市川は敗れて戻ってきた永田に手を振り上げる。その腕を堀内がつかんだ。
「いいかげんにしてくださいよ先生!まだ試合中ですぜ。文句は最後まで見届けてからにしてくれませんかね」
堀内の迫力に引き下がる市川。
「あ、ありがと平八郎」
「気にするな」
「一生ついてくわ」
「頼むから気にするな」
それはそれとして――暁泉学園副将・堀内平八郎、出陣。
心配顔の保奈美。いっそ斉藤が勝つか引き分ければ巧と戦わないですむのに――とはいえ、巧自身が
堀内との勝負を望んでいるだろう。彼女はそう思っていたのだが、巧の意外な言葉が。
「おーい、斉藤センセイ。ここは引き分けでいいぜ!オレの出番だけ残しといてよ!」
巧のそんなお気楽な台詞に斉藤も反応。
「虫のいいコトいってんなよ!オレだってここらで目立たせてもらうぜ!」
そんなやりとりを内心で密かに評価する典善。
(接戦をなんとかモノにした後ってのは案外、気分が次の試合に切りかわらないもんだ。
今の一言で斉藤も少しはリラックスしたはず)
こういうのも一つのチームワーク。楽天的かもしれないが、それが巧の強さにつながっているのかもしれない。
堀内の体格に圧倒される斉藤。
堀内の身長は180ちょっとのはずだが、気迫がそれ以上に見せているのだ。
(とにかく、つかまったらアウトだ。パワーだけは要注意だからな)
しかしテクニックにおいても決して低レベルでない堀内である。
斉藤に取られた右袖を逆に引き込みつつ、そのまま奥襟をつかむ。
(ところがどっこい、こういう手もあるぜ!)
瞬時に対応する斉藤。奥襟をつかむ堀内の腕を軸にして体ごと一回転。
「奇襲戦法腕返しだ!」「つかまったって即座にこーゆうマイナー技がでちゃうもんなあ!」
再度立ち上がってくる堀内の組み際、絶妙のタイミングで今度は出足払い。
さらに重ねて朽木倒し――次から次に飛び出してくる斉藤の技に、堀内は満足に立たせてすらもらえない。
「ど、どうしたんだ平八郎――っ!」「変則的な技ばかりで対応しきれないのよ!」
暁泉サイドからも声が飛ぶ。
ワザ師、斉藤のテクニックに翻弄され続けた堀内だったが――突然、落ち着き払って立ち上がる。
(フン、今までこいつの柔道の動きに惑わされすぎてた。そっちがスピードでくるなら受けてたってやるぜ)
組手を取りにいこうとする斉藤(オレのやりかたでな!)
その目の前から突然、堀内の姿が消えた。
(なんだ今の動きは…?急にスピードが上がった!)
その巨体からは信じられないような足さばきで斉藤を追い詰める堀内。
(しまった!これは…!)「つかまえたぜっ!」
(ボクシングのフットワーク!ヤツは元ボクシング選手だったんだ!)
斉藤の右袖と奥襟を取り、組手十分の体勢から――堀内の大外刈り、炸裂!
豪快に斉藤を畳に沈めた。
(こっちは勝つか負けるかに将来がかかってんだ。てめえらみてえにニコニコやってるヤツらに
負けるわけにはいかねえ!)
斉藤の一本負けなど杉の記憶している限り初めて――この強敵をどう迎え撃つのか。
(さあ、次だぜ。出て来い、粉川巧!)
「結局、こういうめぐり合わせかよ」
あの斉藤が一本負けって平ちゃん強すぎだろw
最初から柔道やってりゃ今頃は藤田にも勝ててたんじゃね?
こっちは勝つか負けるかに将来がかかってんだ。てめえらみてえにニコニコやってるヤツらに
負けるわけにはいかねえ!
体育会系の学校の人って本当にこんな気持ちで部活やってんのかな?
程度の差はあれ似たようなところはあるよ
高校一になれば大学側は学費免除、四年間の一人暮らしの部屋も用意、月十何万のお小遣いも支給
そんな生活が待っている
第75話 巧と平八郎
(ついに来たぜ、この時が!)喜びを隠し切れない堀内。
「巧、ヤツのフットワークに気をつけろ。ありゃ、ボクシングだぞ」
斉藤は忠告をするものの、ボクシングなど未知の代物。しかし巧なら何かをやってくれるのでは――。
そんなわずかな可能性に期待をせざるをえない状況だった。
巧は首を回し指を鳴らし、準備体操をする。
(いよいよだな平ちゃん。久し振りに会ったと思ったらとんでもねー強敵になってたとはなあ)
しかしこちらも負けるわけにはいかない。幼なじみでも手加減はしないと決意を新たに屈伸をした
そのとき――巧に電流走る。
音を立てて裂けた巧の尻。場内の時間が静止した。
「バ、バカだあ――コイツ!」「ズボンのけつ破ってやんの――っ!」
「場内を一瞬静まり返しやがって!」「おまけにこの場をゴマかそうとしてたぞっ!」
(終わった何もかも…ああ…)
「終わるか、バカ!早く着がえてこいっ!」
公衆の面前で大恥をさらした巧。
でも、ぶりーふじゃなくてトランクスだったのは不幸中の幸いだった。
「…見たの?」「ハイ」
桜子の質問にうなずく薫。
粉川巧、(精神的に)死亡確認。
巧の振る舞いをパフォーマンスと断じる堀内。
会場の空気がだらけきっている中、一人緊張感をなくしていない。
「ごめん、平ちゃん。もうこれ以上ヘマしないからさ」
(この後におよんでまだヘラヘラしてやがって!どこまでヒトをなめてやがる!)
かいかぶっていた、と苛立ち混じりに襲いかかってくる堀内。
奥襟を狙ってきたその腕を巧は捉える。
「そうだ巧、堀内につかまったら力で圧倒される!絶対に奥エリをとらせるなっ!」
斉藤の声が飛ぶ。その恐ろしさを身をもって知るだけに、アドバイスにも力がこもる。
ならば左手で捕まえるまで――と堀内が手を伸ばそうとしたそのとき、巧は一本背負いの体勢に。
ところが、堀内は片足一本でその背負いをこらえきる。
これまでの相手なら確実に一本を取れていたのに。
押さえ込みを狙ってくる堀内。
しかし、ここは経験の差が出た。逆に巧は堀内を逆十字固めに捕らえる。
まるで斉藤のお株を奪うようなテクニック。そのとき、市川の声が飛ぶ。
「何をしている堀内!おまえの腕力なら返せない相手ではないぞ!」
「うおおっ!」咆哮する堀内。
なんと――彼は片腕を極められたまま巧の体ごと力ずくで立ち上がり、十字固めを外してしまった。
弾みで巧の額が畳にこすれる。
堀内は絡みついていた巧の体を引っぺがし、無造作に畳に投げ捨てた。
「な、何なんだよ今のはーっ!」
「あんなムリヤリな外し方でどうして平気なわけェ!?」
驚きの声を上げる杉たち。すりむけた巧の額からは血が滴り落ちる。
「わ――、驚いたってね。なんかソーゼツな試合になりそう…」
オカマに頼られたり
待ち望んだ対決のスタートがギャグだったり
平八郎は苦労人だなぁ
斉藤はボクシングにも造詣が深いのか。
解説には欠かせない人材だな。
第76話 保奈美の願い
ついに流血沙汰になった巧VS堀内の試合。棄権をすれば巧の負けになってしまう。
杉は保奈美に救急箱を持ってくるようにいう。ロスタイムは5分しか認められていないのだ。
「キズの手当て、私がやります」と治療を申し出る保奈美。その献身的な態度に、
「どーぞ、どーぞ」「そりゃ気がきかなかった」「ごゆっくり!」
メンバー全員からボコられる巧であった。
ただの手当てなのに何だかイイ雰囲気の二人。消毒用のオキシフルをそーっと近づけ――。
「きぃやああーっ!しみるうーっ!」
なぜか叫んだのは薫。ヒトの痛そーなのをみてるとつい自分もそんな気になってしまう性質らしい。
ジャマするでねえだ、と薫は桜子と杉に引きずられていく。
保奈美は絆創膏を貼りつつ、巧に堀内は強いかと尋ねる。
勝てるかどうか分からないと巧は返答するのだが、
「勝って」
彼女ははっきりとそう言った。
自分でもなぜそう思うのかはわからないが、そうしないと堀内はどんどん自分たちから離れていく――。
それは保奈美が直感的に理解したことだった。
「巧クンたちが楽しそうに柔道してるのと違って、平八郎クン戦っててもなんだかつらそうなの…」
巧もまた戦う中でなんとなく、同じことを感じ取っていた。
心配するな、と巧は保奈美に言う。
「なんとかしてみるさ。オレを信用して見てなさい」
二人の様子に、自分が変わってしまったことを自分自身で理解する堀内。
しかし――彼にも負けられない理由というものがあった。
(オレたちは運動能力を買われて暁泉に入学してきたスポーツ特待生なんだ。
しかも、いい成績を結果として残さなきゃ誰も認めちゃくれねえシビアな世界にいるんだ。
努力や根性とか口先でいってすむ連中とは次元が違う!意地でも負けられるか!)
堀内は巧の朽木倒しをこらえ、その奥襟をがっちりとつかむ。
(つかまえたぜ!粉川巧!)
あれだけの怪力を持ちながら運動神経も抜群、その上スピードもあるときては、まさに怪物である。
堀内の払い腰を巧は間一髪のところでかわす。それでも堀内は止まらない。
再び巧の奥襟をつかみ、そして――。
(しまった!オレもやられた大外刈りだ!それだけはくらっちゃいかん!)
堀内の決め技、大外刈り。しかし巧は畳に落ちる寸前に、その引き手を切る。
二人がもつれて倒れ、判定は――無効!
「くそおっ!」
堀内が吠える。
試合を観ている市川も額に汗を浮かべていた。
(粉川め…完全に宙に飛ばされながら落ちる寸前にギリギリでかわしていやがった。
すると、さっきのもマグレじゃなかったというのか…何者だ、あの男…!)
○第1回 キャラクター人気投票ランキング発表!!
・1位 海老塚桜子〔484票〕「おほほほほー、とーぜんのけっかかしら?みんなありがとー」
・2位 粉川 巧 〔429票〕「賞品が桜子Tシャツだったからなー……」
・3位 杉 清修 〔387票〕「か、勝った、斉藤にっ!」
・4位 斉藤浩司 〔361票〕「フン、女の子からの支持はオレのほーが多かったのさ…」
・5位 近藤保奈美〔313票〕「桜子にはなされちゃった…」
・6位 宮崎 茂 〔132票〕「5位と6位の差がなんでこんなにあんだよ?」
・7位 三溝幸宏 〔130票〕「よくそーゆーこといえますね…」(→久留間先輩)
・8位 杉 薫 〔129票〕「新入りにしちゃがんばったでしょ」
・9位 久留間先輩〔124票〕「キミたちウケねらいはやめようね!マジメに好きなキャラクターに投票しよう」
・霏位 倉田龍子 〔118票〕「す、すべりこみセーフ…」
―――――――――ここまでベスト10――――――――
・11位 永田 賢 「ちぇっ!もーちょいだったわね…」
・12位 石塚孝裕 「な、並んじゃったねー?」
・13位 袴田今日子「ホントにねー」←これはホントにグーゼン
・14位 倉田典善 「票きたんだなあ…オレたちにも」
・15位 原田彦蔵 「…………」
・16位 袴田 豊 「早く髪をのばしたい…」
・17位 斉藤(妹)「名前がほしーよー」
・18位 斉藤(弟)(同上)
・19位 藤田 恵 「い、いちおー宿命のライバルなんですけど」
・20位 堀内平八郎「(いやだなあ、こんなのと同じ…)」(→マクシモビッチ)
酒井法男 (同上)
丸智奈 「おぼえてる?」
ブラン・マクシモビッチ「ん(ハァト)」
第77話 闘いの中で
再びの堀内の大外刈りをジャンプでかわす巧。その粘りに会場の視線が集まってくる。
「なんてしぶといヤツ!」「あれだけ体格差のある相手に互角でわたり合うとはっ!」
「まるでピュンピュン丸とケメ子のよーだ!」「それをゆーなら牛若丸と弁慶だ!」
藤田はあたり前だとでも言うように「フン」と鼻を鳴らす。
「暁泉の堀内がいかに怪力だろうとも、粉川から一本とるのは至難の技だよ。
堀内が一本とれるぐらいならボクがあの時確実にしとめられたハズだ」
以前の練習試合の際にも藤田は巧から一本とることはできなかった。
結果として優勢勝ちにはなったものの、それでも大騒ぎになったものなのだ。
市川の声が飛ぶ。
「不十分な組手から技をかけるからかわされるんだ!あせるな、堀内!」
(くそお…!こんな…こんなはずでは…)「ないっ!」
しかし、仕掛ければ仕掛けるほどに堀内の焦りは加速していく。
片襟だけ取った状態からの大内刈りを巧は自ら後ろに飛んでかわす。
崩れたところからの立ち上がり際を狙い、今度は巧が一本背負い。
判定は「技あり」。ついにリードを奪う。
巧の受けの強さは理屈ではない。これはもはや動物的な勘というべきものだ。
(なるほど…カンね…)それを聞いた斉藤には思うところがあった。
残り一分半、逃げまくれば勝てる――しかし、堀内がそれを許さない。巧の奥襟を捕まえる。
(どうだ!もう逃がしはせんぞ!)
しかし巧は笑顔を浮かべ――真正面から堀内と組み合うのだった。
(ナメたマネをしやがって!しかし、すぐに後悔させてやる!)
堀内の大内刈り。それを巧がこらえたところを追撃の足払い。体勢が崩れたところを――払い腰!
完全に腰に乗せられたところを、巧は空中で横回転して技を外す。
「な、なにいっ!」二人もつれて畳に倒れる。
「審判!浜高の右肩が畳についたぞ!」市川の指摘もあり、判定は「有効」
肩こそついたものの、完全に投げの形を崩されていたために技ありには至らなかったのだ。
「まったく、何ていったらいいか…すごいわ、あんたの彼氏は」桜子が感心し、
「すばらしい運動神経だ。あんなことマネしろったってできないよ」関谷も賞賛する。
再び組み合う両者――そこで小さく笑い声が漏れた。
残り時間、30秒。荒い呼吸の中、堀内が意外な言葉を口にする。
「あと…30秒しかねえのか…せっかくおもしろくなってきた…とこだってのによ…」
「そーだな…」巧もまたそれに唱和した。
組み合ったまま動かなくなる二人。いよいよ時間切れが迫る。あと15秒。
「それじゃ…いくぜ」「おう」
堀内平八郎、最後の勝負に挑む!
(大外刈りか払い腰か…それとも…!)
「内股!!」
(これで決まる…!巧クン!平八郎クン!)
マクシモビッチw
どうやら来留間先輩に投票したのは俺だけじゃなかったようだな
試合中に審判に物言いってできるの?
>>693 やっぱり海老がトップか
マクシモビッチに入れたやつ出て来いw
藤田(笑)
第78話 決める!
「内股だ!しかし、これなら止められる!」
堀内渾身の内股に反応する巧。
一度は止めるものの――その蹴り足の勢いに空中に弾き飛ばされてしまう。
「ああっ!!」「た、巧ーっ!」
それでもこらえる巧。片足をつき、内股をかわす。
「くっ!」(も、もちこたえたのか!?)
「これで…最後だっ!」
巧は内股を外された堀内の右足をかかえ、彼の巨体をすくい投げでひっくり返す!
「うおおおっ!」
片手を畳についてこらえようとする堀内、その抵抗もむなしく彼は背中から畳に落ちた。
「一本!」
「うおおっ!」「やったぜタクミッ!」
大騒ぎの浜高サイド。その中で一人、保奈美は堀内を案じる。
「内股かわしたとこで勝負が決まってたろうが…わざわざこんなに強くたたきつけやがって…」
横になったままの彼の言葉は、しかし、恨み言ではなかった。
反動をつけて跳ね起きる堀内。
「おかげでサッパリしたぜ。タッちゃん」
その顔はまるで憑き物が落ちたかのように晴れやかなものになっていた。
(よかった…やっぱりこれでよかったんだわ)
戻ってきた堀内に市川が言葉をかける。
「最後の内股だが…」
先の永田に対する振る舞いもあり、緊張をする堀内。だが、市川の口から出た言葉は違った。
「悪くない攻め方だった…外されたのは相手が悪かったからだ。
粉川でなかったらかってただろう。それだけだ」
さて、暁泉学園、残るは大将の原田なのだが――。
「ハラだ、棄権してもかまわんぞ、ゴルフの試合も控えてるし」
「そうよムリしなくていいわよ」
あくまで数合わせの大将である彼だったが、その口から重く真剣な言葉が放たれる。
「いえ、出ます。ここで引き下がっては堀内クンやみんなに申し訳ない」
「……しゃべった」
ついに出てきた暁泉の大将、その未知なる実力に会場の注目が集まる中――真実を知る茂の声が飛ぶ。
「さっさとすませちゃいな巧!暁泉の中でもそいつだけは本当のド素人なんだから!」
とはいえ調子は狂う。原田と相対した巧は微妙な心持ちだった。
「あと一人、これで決勝進出なのよ!背負いかなんかでバシッと決めちゃってっ!」
桜子の声援。杉も「こりゃまた出番なしか」と思ったそのとき。
組み際に原田の左足が巧の足を払った。
「あらっ?」ふわりと浮いて畳にころぶ。
「一本!」
「えっ?」
一瞬、静まり返る場内。
「な、何なんだ――っ!?」「あの若年寄が勝った!」「それより浜高も浜高だ!」
「あんなすげえ熱戦したヤツがコロッと負けやがって!」「大ひんしゅく!」
そこで市川はあることを思い出す。
「そ、そういえば…ヤツにひとつだけ…技を…出足払いを教えておいたっけ…」
そう、これこそ原田が密かに練習しておいた必殺技。
インパクトの瞬間、足首が回転して相手をすくいあげる。
「これが原田オリジナル!名づけて…ドライバーショット足払いっ!」
略してD・S・A。衝撃を受ける巧だった。
「何をやっとるか、バカモン!大勝負の後はうまく気持ちを切りかえないと
集中力が出ないって気づいてたんじゃねえのかっ!」
典善が怒るのも無理はない。とりあえず杉に出番ができたのはよかったのだが。
とにかく大将戦。「油断したらタダじゃおかない」と桜子。
「油断なぞするか!だいたいD・S・Aなんつったとこで…」
再び組み際に足払いをしかけてくる原田だが、「ただの…」
杉はそれをあっさりとかわし、「出足払い以外の何モンでもね――っ!」
ツバメ返し一閃。試合はあっけなく幕を閉じた。
「…なんかむなしい」
決勝進出を決めたのは浜高。
藤田は腕組みをして気合十分。
(これでやっとキサマと闘える。完膚なきまでにたたきつぶしてやるぜ粉川巧!)
その後ろ頭を「こりゃ」久留間先輩がはたいた。
「一人で盛り上がってないでとっとと準決勝すませなさい。まだ決勝に出られると決まったわけじゃないよ」
「い、いくら先輩だってそうポンポン人の頭たたかないでくださいっ!」
次回は一回休載して、単行本8巻のおまけを紹介します。
「D・S・A」横にすると何て可愛らしいんだ
D・Sと来たらドモンスペシャルだろ
ダンナTueeeeee
巧が秒殺されたのっていつ以来だ?
お父さん以来かな
巧www負けんなwwwww
ここはむしろ人数合わせで籍だけ置いてる部なのに
密かに技を練習しててエースを倒した強敵相手に臆さず戦った
ダンナの男気に惚れるべきだろうw
外見が永田だったら言うことないのに>ダンナ
○単行本8巻 (表紙:斉藤浩司 裏表紙:海老塚桜子)
・四コマその1 世にも奇妙な物語!!体験実話シリーズその1
1.これは背負い投げ養成ギプスなどではない(黒い箱、高さ30センチぐらい)
たぶん読者のキミたちの家庭の物置のスミにいまだにころがっているかもしれない。
2.なんとコイツはお弁当用の保温ジャーなのだっ!
もっともいまでは土木作業に従事するおじさんたちの間でしか見なくなってしまった!
3.しかも、こともあろうにコイツが作者の中学校で流行してしまったのだ!
(つまりウチの中学、給食がなかったのよ)
とーぜんこんなデカイもんカバンなんかにはいらない!
これを肩にかついで学校にくる中学生の群れまた群れ!
4.そしてなんと…最後はクラスでコイツをもってこない人間はわたしひとりになってしまったのである!
河「女子までもってくんじゃねーッ!」
・四コマその2 世にも奇妙な物語!!体験実話シリーズその2
1.22ぐらいのころから金しばりを体験するようになった。(いま26)
とはいっても年に2回か3回だけどね。
河「……自分がなさけない…」
2.で、そんなかでも最高にスゲエのがコレ!
金しばりにあってるんだけど横っちょに人の気配がするワケだ!
河(目があかねーけど…)
3.1・5メートルほどはなれたとこに数人がひそひそしゃべってるみたいで…。
河(ハッこっちに気がついた!)
4.と思ったらいきなり…
「オイ!」
河「ひっ!」
ときて、あせって目があいてカラダ動かせたんだけど、気がつくとダレもいないとゆう…こわ〜。
・ますます快調第8回 サンデーコミックス名物『絵筆をもってね!』
選評/河合克敏 応募総数:855点 入選:42点
グランプリ:大阪府・松井暢之〔桜子〕
準グランプリ:千葉県・芳野慶〔平八郎〕
茨城県・無印良品〔典善(丹下段平)〕
topix:北海道・おつむ10-10〔浜高メンバー(技の保奈美、力の桜子・仮面ライダーパロディ)〕
福岡県・マサヒロ〔典善・龍子(長女龍子誕生)〕
兵庫県・むちよん〔杉・他(空也上人)〕
愛知県・まろ森魚〔浜高メンバー(ラストを飾る問題作)〕
第79話 無敗記録の男
準決勝第2試合、圧倒的な優勝候補、三工に対する悲しみの挑戦者は荒井高校。
始まる前からすでにあきらめムードのメンバーに、荒井高主将・大荷田は涙する。
「勝つか負けるかやってみなきゃわからんだろが!それ以上にお客さんに
オレたちの柔道ってヤツを見てもらうことが大事なんだ!
オレは柔道が大好きなんだあ――っ!」
なんとも暑苦しい男である。
それならば、ということで副部長の五藤が三工の出鼻をくじくべく先鋒に。その相手は――。
「白、先鋒! 藤田!」そのまま回れ右をして戻ってきてしまう五藤だった。
汗だらけではがれてしまった絆創膏を貼りなおすよう頼む巧に対し、保奈美にやってもらえと
嫌味たらしく返す杉。言いたいことは色々あるようで、試合などそっちのけでもめ始める二人。
「ちゃんと見なさいよ試合!次はこの試合で勝ったほーと決勝でしょ!」
怒る桜子に対し、むしろ巧は冷静だった。
「うるせーな、どーせ藤田が勝つに決まってんだよ」
数分後――荒井高校は藤田一人にあっというまに4人抜きをされていた。
自分たちの出番を残せという三工の正選手陣だったが、藤田が先鋒に出た時点でそれは無いと
彼ら自身も分かっていた。何しろ藤田は春の試合から無敗記録を更新中なのだ。
「つまり勝ち抜き戦で先鋒に出ちまったからには…準決勝だろうとなんだろうと
藤田は意地でも5人抜きを狙う!」
せめて一矢報いようと意気込む大荷田。
(ヤツも相当疲れてる。スピードだって100パーセントじゃない。
よく警戒していけばどんな技でも防げるはず!)
藤田から有利な組手を奪う大荷田。しかし、藤田は表情一つ変えようとしない。
そこから大荷田が背負い投げに入ろうとした瞬間――藤田は即座に腰を落として防御。
(ちっ、このままじゃ後ろに返される!もどるしかない!)
大荷田が体を返したそのとき、吸い込まれるように藤田の内股一閃。
勢いが良すぎて片手倒立のような状態になったが、余裕の着地。汗一つかかず5人抜き達成である。
「相変わらず全くスキがないぜ。どう思う巧?」
「…あのヤロー。勝って当然ってツラしてやがる」
試合終了後、大荷田が藤田の手を取る。
「オレもキミも全力を出して戦った!結果はどうあれいい試合だった。ウン」
「おお、藤田と大荷田が抱き合ってる!」「戦いを通じて友情が芽ばえたか?」「拍手だ拍手!」
涙を流して熱く抱擁する大荷田と硬直する藤田。彼らに惜しみない拍手が贈られた。
決勝戦は10分後――その相手として浜高にもまた注目が集まる。
「ちゃんと決勝になったらもどってこいよ!」「頼むぞ、そのまま帰っちゃうなよ」「気持ちはわかるけど」
信用の無い浜高メンバーであった。
そんな彼らの前に激励に現れたのは佐鳴の石塚、袴田。そして暁泉のメンバー。
「みんな三工の勝利を信じて疑わないだろうが――キミらの強さは実際戦ったオレたちが
いちばんよくわかってる。大丈夫さ、本来の力が出せればきっと互角にやれるよ」
と、石塚が。
「アタシの飛び込み内股は対三工用の秘密兵器だったんだから。
それを破ったからにはあんたたちに勝ってもらわなきゃ」
と、永田が。
「まーそのなんだ…てきとーにがんばってな」
と、平八郎が。
「なんなのよそれ!」「もっと主将らしいこといってくれよ!」「だ――っ、オレの勝手だろ!」
険が取れて楽しそうな様子の彼に、巧と保奈美も笑顔をかわすのだった。
そしてついに、決勝戦が始まる!
大荷田暑苦しいなあ
石塚・永田・平八郎も自分が負けたチームの応援してるわけだが
大荷田も同じことしてるとは思えんw
石塚、平八、斎藤、粉川、藤田
これで国体編の布石が揃ったな
ちょっと軽すぎないか
第80話 決勝戦
武道館に入ってきた坊主頭に野球帽の少年に保奈美が声をかける。
「あの――斉藤クンのおうちの方ですか?」
彼は斉藤の弟の貞男、昨日の約束どおり、兄の応援に来たのである。
「あれ?しかし、どうして兄貴の身内ってわかったんスか?初対面なのに…」
またも増殖した同じ顔に動揺する茂。まあ、仲の良い兄弟ではあった。
決勝戦の浜高側オーダーは先鋒・杉、次鋒・斉藤、中堅・三溝、副将・宮崎、大将・粉川の順。
茂は鼻血が完璧にふさがるまで時間が欲しい、三工は準決勝の5人抜きで疲れている藤田を
後半に出すと予想し、大将は巧がつとめることに。(ムリヤリそうさせた)
勝率の高い杉と斉藤が前半に出るのは悪くないが、そこでコケると挽回は難しい。
とはいえ相手は三工なのだから、捨て身の覚悟は当然なのだ。
「というワケだからがんばってね先鋒!」
桜子に背中を叩かれ、ムキになって声を荒げる杉。
十中八九負けると分かっているような試合だけに、彼は緊張しきっていた。
やってみなきゃわかんない――という桜子の言葉も、今の彼には神経を逆撫でするだけのものでしかない。
「バッカヤロー、ちったあマジメに考えろっ!いつまでそんな楽観的なこといってんだっ!」
つい大声を出してしまった。(しまった、いいすぎた…)そう思ってももう遅い。
反撃がくると思い身を守る杉だったが――桜子はその目に涙をにじませていた。
「えっ?」
そのまま身を翻して走り去ってしまう桜子。
「なーかした、なーかした♪」「小学生みてーなリアクションすんじゃねえ!」
「よっ、女泣かせ」「てめーにいわれたくねーよ!」
さて、桜子はというと――。
(目、思いっきり開いたからコンタクトがずれちゃった。早く元にもどさなくちゃ)
今まで近視だと黙っていたので、何か誤解を招きそうだが、説明する暇が無かったのだった。
入場のアナウンスが流れるものの、杉はどこか落ち着きがなかった。
「何をキョロキョロしてんだ?」「な、何でもねえってことよほほっ!さあ、行こうじゃねーか!」
三工サイドでは正選手の端本が余裕綽々で一年生に肩をもませていた。
何しろ三工は一回戦がシード、二回戦は関谷が5人抜き、三回戦は二年の二人が片付け、
準決勝は藤田がこれまた5人抜きをしてしまったのだ。
口ばかりでなく実際に強すぎるチーム。まして相手が一年生ばかりときては緊張しろという方が無理。
以前に藤田が技ありを取られた巧にも今なら確実に一本勝ちだと端本は言う。
「…自信はあります。でも、今日はヤツとやれるかどうか。なにせ次の試合、ボクは大将で
出番は一番最後ですから。先輩たちだけでかたづけちゃうんでしょ、どうせ?」
「ちげーねえ!わかってんじゃねーか、藤田!」
あんなことを言ってはいるが、本心では今日、粉川との決着をつけたいに違いなかった。
と、そこで久留間先輩出現。「よお、関谷!元気?」いきなり背後を取られた関谷は硬直する。
「がんばれよ、あと一回勝ちゃいいんだから。優勝すればごほーびに吉岡先生が休みくれるってさ」
意外と面倒見の良いところがある久留間先輩。後輩たちの激励に来たのである。
先輩は端本をしばし黙ってみていると、こんなことを呟いた。
「端本は口でゆってもわからんからなあ。1回負けてみるのもいいクスリかも」
「えっ?い、今なんと」
久留間先輩は関谷を捕まえ、今のは内緒だと口止めする。そして――。
「ただひとつだけ。浜高を甘く見てると足元すくわれるよ」
そんな忠告をした。
「調子の波に乗ってるというのかな。ふとしたことで昨日までのそいつとは
人が変わったように強くなるってヤツ」
「それが…粉川だと…?」
ついに始まる決勝戦。先鋒戦は浜高・杉VS三工・端本。
(ちっ、プレッシャーに負けて女に大声張り上げるたー、情けねーぜ、我ながら)
杉は試合前の、桜子に対する自分の振る舞いを恥じていた。
「なんだコイツ?目つぶってやがる。念仏でも唱えてんのかよ、ボーズが!」
どこまでも相手を見下してかかる端本。「始め」の号令がかかる。
杉の脳裏に浮かぶのは桜子の姿――。
『やってみなくちゃわからないでしょう!』
(ああ、そのとーりだ。開き直っちまったほーがいーや!
こーなったらたとえ返されてもいーから一発でも多く技かけてやる!)
簡単に組手をとらせる端本。完全にナメきっている態度の彼に、杉の足が飛ぶ。
「フン、元気のいいことで!そんなもんでころぶかよ!」
あくまでも余裕の端本に対し、杉は臆することなく果敢に攻め立てていく。
そして――「わたっ!」端本が大きくぐらついた!
「うおりゃああっ!」
思い切りの良い杉の内股。端本を奇麗に投げ飛ばした。
「一本!それまで――っ!」
「あれ?勝ったの?」
誰しもが驚く中、投げた本人ですらよく分かっていなかった。
そこでようやく桜子到着。
「へっへっへ、皆の衆遅れてすまんのう。ん、どしたの?目が点になってるよ」
ときめいた
あれ、杉って勝率高かったんだっけ?
本編上では負け無しだな、一応
杉ってここまで負けなしなのか?
意外だなw
これで杉と桜子もラブコメ参加かな。
最初の黒帯審査 抜群
春の大会 一本勝ち(明石林業)・一本勝ち(岡松北)・一本勝ち(蜆塚)・引き分け(佐鳴)
ニ段試験 おそらく抜群
…確かに負けてねーや
と思ったが、記録上は、三工との練習試合で負けてるな、杉
斎藤が引き分けただけ、みたいだし。
第81話 大番狂わせ?
(勝った…オレどうやって投げたんだっけ…――内股だ。オレの技が三工の選手に通用したんだ)
杉の勝利にいまだどよめきのおさまらない場内。
投げられた端本も道着の乱れに気づかないほど動揺していた。
巧の派手な試合で気がつかれなかったが他のメンバーも前より成長していたのである。
「えーっ、もう1試合目終わったの?いくら負けるにしても早すぎない?」
「兄が勝ったんです!」
コンタクトレンズを直していて試合に間に合わなかった桜子が見事な勘違い。薫がそれを訂正した。
今の試合に勝てたのは敵が油断していたせいもある。ここからが本当の正念場となる。
「赤、次鋒 蜂野!」
「おっ…おっさん!」
薫の大声が響き渡った。「こ、声がデカイよっ!」「すみません、すみません」
(くそーっ、よくもこんな大勢の前で…一生うらんでやる…)
自分の老け顔を結構気にしていたらしい蜂野。それはともかく試合開始。
杉は勢いに乗って攻めていく。
「ふーん、杉クン、本当に三工の一人を倒したんだ」
試合前は弱気なことをいっていたくせに、といまひとつ反応の冷たい桜子。彼女に疑念の視線が刺さる。
(こいつ、さっき泣いてたんじゃないの?)(なあ、あれがきいたんだよなあ)
(男心のわからないヤツ…)
勘違いが重なり、自分が周りにどう思われているのかまるで分かっていない桜子であった。
(くっ今まで会ったことのねえくらいの強い引きつけだ!こらえるだけで精一杯だぞ、これは!)
端本のような油断の無い蜂野は、容赦なく杉を攻め立て、杉は防戦一方となる。
組手十分の状態から間合いを詰めてくる蜂野。
「今攻められたらひとたまりもねーぞ!離れろ杉ーっ!」
(遅いわっ!この勝負もらった!)
その瞬間、不意に杉の体が沈む。「うおっ!?」
何と、これまでに見せたこともない杉の巴投げ。
蜂野は畳に手をついてそれをこらえ、ポイントは無し。
「巴だと!?こんなことができたのかこいつ…!」
「ちっ、惜しい!よくかわしたな」
まるで隠し玉を見せたかのように振る舞う杉。
実際にはにわか仕込みの付け焼刃だったが、それでもピンチを脱したのは事実。
今ので敵は相当動揺をしたはず――斉藤のその指摘は当たった。
三工の蜂野は幻の巴投げを警戒し、技がためらいがちになっていった。
時間が無くなり焦る蜂野。焦るほど手足はバラバラになり、投げられなくなる悪循環。
「くっ何をやってるんだ。関谷、あと何秒ある?」「もう…ダメです」
そのまま時間切れ、引き分け。浜高はこれで丸々一人分リードをしたことになった。
「ハア、ハア、んぷっ!」
二人目が倒れ、三工サイドも悠長にはしていられなくなる。
「やってくれやがったな。こうなったらオレが連勝して流れを変えてやるしかねーな」
(やれやれ…本当に頼みますよ先輩がた)
意気込む中堅に冷ややかな視線を向ける藤田だった。
戻ってきた杉は英雄扱い。皆でその背中をバシバシ叩く「お、おいやめろって…」
「兄さん、本当は強かったのね!見直したわアタック!」「ゲボッ!」
止めとばかりに薫が頭から胴タックル。杉は顔色を変え、涙を流して走り去っていった。
「きっとうれし涙ね。あんなにがんばったんだもん」「なあんだ、テレ屋さん」
続いての出番はワザ師、斉藤。桜子が声援を送るが、それよりも――。
「ね、ねえ桜子。杉クンのようすを見にいってあげたら?」
保奈美のその言葉に心底不思議がる桜子。
「え――っ、どうしてえ?」「ど、どうしてっていわれても…」
その頃、杉はトイレで胃の中身を逆流させていた。
(うげえ〜っ、体力の限界まで力出したせいで胃にきた。
あいつらが衝撃加えなきゃガマンできたかもしれないけど…)
恵まれた体格を利して斉藤を攻める三工の中堅。しかし斉藤はものともしない。
大内刈りをかわして袖釣り込みに入る。が、「そうは、いくかい!」
袖釣りをさらに小外刈りで返され「技あり」を奪われる斉藤。さらに相手は寝技を狙う。
ようやく戻ってきた杉だったが、やけに場内がさわがしい。そこで杉は桜子に出くわす。
「おい、どうなってんだ斉藤はっ!?」
桜子は杉に眼鏡を渡し、「今、キマるとこよ」と試合場を示す。
「うぐっ…こ、このヤロウ…」
なんと斉藤は寝技をしかけてきた相手を関節技、腕ひしぎひざ固めで返り討ちにしていたのだ。
相手が畳を二回叩いて「参った」し、その時点で斉藤の勝利が決まる。
あまりの事態に吉岡先生も苦い表情を隠せない。それでも――。
「とーとー残るはボクたち二人だけになっちまったな。
もっともこのくらいがちょうどいいハンデかもしれないけどね」
関谷に対し、あくまで余裕の態度を崩さない藤田であった。
「スリルが出てきたじゃないか」
おっ…おっさんw
っつーかこれで斉藤+3人 vs 関谷+1人だけってこと?体力的に厳しくね。
また杉負けなかったのか
1発があるけどポカが多い巧より杉がエースだな
杉がハゲからハゲロに進化した
バランスがいいんだろうな、杉
エース級と当たった事がない、ってのもあるが
安定して勝ちが計算出来るタイプか
第82話 藤田の余裕
ついに三工は後二人。10年連続地区優勝の記録がストップするかもしれないとあって、場内騒然。
斉藤の勝利を喜ぶ兄妹たち。本当に仲が良い。
「それにひきかえウチの妹は…」「あれ、どーして?ワタシだって一生懸命応援してたでしょ」
兄の勝利に感動して駆け寄る妹を突き飛ばしたのは誰か、と薫は杉を責める。
「駆け寄るっつうよりタックルするっつうんだよ!力いっぱいぶつかってきやがってよ!
おかげでオレは腹の中が逆流してトイレでゲロを…!」
「ト、トイレでゲロ…?」その一言にメンバードン引き。
「それでさっき目に涙浮かべてたんだな?」「そーいやなんか臭うぞ」「畳のこっからこっちには来んなよな」
せっかくがんばったというのに、ひどい扱いである。
「てめーっ、薫!」「近寄らないで、ゲロはいたくせに!」
三工副将・関谷。相手の斉藤をタダ者ではないと感じつつも、残り四人も残したら
藤田といえども絶対に勝てない。ここで負けるわけにはいかなかった。
技巧派同士の組手争い。斉藤は関谷の体を引きつけつつ、背中越しにその腰の帯をつかんでひっくり返す。
そのまま寝技に持ち込まれるところを何とか逃げ出す関谷。(は、速い!なんて速攻だ!)判定は「有効」。
「よーし、またもポイント先取!」「さすが斉藤!」「でもあれ何て技?」
「その調子だぜ!」「でもポイント取っても気を抜くなっ!」「ねぇ、今の何て技?」
返事が無い。ただの物知らずのようだ。「やっぱり知らないからごまかしてたのね?」
今の斉藤の技は「引き込み返し」とか「帯とり返し」と呼ばれる技。
投げながら相手と共に回転していくから寝技にすぐに持ち込めるのが特徴である。
とはいえ、さすがに相手も三工のレギュラー。寝技に持ち込まれる前にすぐに脱出したわけだが。
関谷もかなりの技術を持つが、斉藤はそれ以上。吉岡先生は負け犬二年生どもに声を出せと怒る。
(あの斉藤という男はちょっとうるさそうだ。ここで止めてくれると後がラクなんだがな…)
「何かいったか、藤田?」「いえ、別に…」
焦る関谷。かまわずにポイントを守れと杉の声が飛ぶが、
(ちっ、簡単にいってくれる。こっちだってスキあらば一発狙ってんだぜ)
「こうゆうふうに!」斉藤の足払い一閃、関谷がひざをつく。
そのまま寝技に持ち込もうとする斉藤だが、関谷は即座に反応してそれをこらえる。
斉藤が深追いをあきらめて立ち上がろうとしたそのとき――。
(はっ!しめた、まだ“待て”の合図がかかっていない!)
畳に伏せていた関谷が一瞬の隙を突き、斉藤の足を取る!「し、しまった!」
倒れる斉藤。判定は「有効!」。
(くそっ、なんてこった!試合は続行されていたのにスキをつくるとは!)
(有効しかとれなかった!これじゃまだ勝ちじゃない。せっかくのチャンスを…!)
残り時間はもう無い。結局、ポイントは互角のまま試合は引き分けに終わった。
とうとう後がなくなった三工。残るは大将・藤田のみ。
対する浜高、中堅は世紀の大巨人、ジャイアント三溝。
引き分けにしかできなかったことを関谷は藤田に詫びる。
「とんでもない、ずいぶんラクになったよ。あの斉藤ってヤツを止めてくれたおかげでね」
(ラクになった、だって…?この期に及んでも藤田クンの勝利への確信は全く揺るがなかったのか!)
それは自分の才能にそれほどの自信を持っているから。関谷もまた藤田なら勝ってくれると確信した。
ついに試合開始。真正面からつかみかかるミッタン。藤田はその懐にもぐりこみ――。
足を取ってひっくり返す。場内に大きな音が響いた。
「えっ?」「ズドオンって、まさか…」
審判が慌てて手を挙げる「いっ…一本ーっ!」
それは開始わずか6秒という瞬殺劇だった。
ミッタンは30人居ないと引き分けに持ち込めないのか…
6ビョウデオワタ\(^o^)/
巧≧斎藤>>>>>>>>>>>>>>三溝・杉・宮崎
こんなことになってきたな
巨漢はかませの法則発動。
>>740 杉はグループから一つあげてやってもいいんじゃね
まあ対戦順での運が良いだけかもしれんが
>>740 無敗という設定を知ったからにはそれは否定させてもらう
杉>>巧≧斎藤>>>>>>>>>>>>>>三溝・宮崎
三溝>杉>>>>>>>>>斎藤
姉や妹がかわいい順
杉は巧と同じ中学だろ
杉「巧は俺が育てた」
杉対藤田、を見たいなw
「な、何秒だって!?」「6秒だよ、開始6秒!!」「うっそおーっ!」
「こんな早い試合初めて見たぜ!」
第83話 捨て身の作戦
狙っていた。何しろ三工が勝つためには藤田は三人を勝ち抜かなくてはならない。
体力の消耗を抑えるために彼は早めの勝負にでたのである。
しかし、それを実際にやってのけるのは並大抵のことではなかった。
あまりに衝撃的な敗戦のショックで立ち上がれないミッタンを眺め、藤田はほくそ笑む。
(うまくいったな。力だけはありそうなヤツだ。まともにいったら疲れるだけだ。
その力を使わせる前に倒すことが一番いい方法なのさ)
「くっ、くくくくくくく!くっそお――っ!」
怒り、悔しさ、恥辱、そんな感情をまとめて拳に乗せ、ミッタンは畳に叩きつける。
その瞬間――スプリング入りの床全体が大きく揺れた。
「い、今の三溝クンが…?」「びっくりしたなあ、もう…」
(……本当に早いとこすませてせいかいだったな)
今さらながら冷や汗を流す藤田であった。
以前なら泣いていたであろうミッタン。その感情を畳たたきつけてこらえた成長ぶりに茂は肩を震わせる。
対・藤田の二番手。浜高副将・宮崎茂の出陣である。
「わーっ、よりによって望み薄そーなヤツ!」「今度は体が小さすぎるぜ」
「こりゃ大将決戦になりそうだ」
(あのなー。聞こえてんだよ外野!)心無い声にもめげず、茂は難敵に挑む。
「今度の相手は安心して見てられるな。
藤田が出るといつのまにか追う立場のこっちのほうが勝ってる雰囲気になってくる」
吉岡先生の言葉は藤田への全幅の信頼を表したもの。
ところが――藤田は茂をなかなか捕まえられないでいた。
(組ませない…いや、組もうとしない気か。賢明だな)
「しかし、いつまでもつかな!」
いかにすばしこい茂といえど、狭い試合場内である。知らぬ間にコーナーに追い込まれていた。
回り込んで逃げようとしたその一瞬に、藤田が茂の奥襟を取る。
吊り手を切って離れようとする茂に対し、藤田は片手だけの不充分な組手から強引に大外刈りをしかける。
「技ありーっ!」
いかに茂の体重が軽いとはいえ、どうしてあんな体勢から投げられるのか。化け物としかいいようがない。
そのとき、審判の「待て」がかかり、茂に対して「教育的指導」が出る。
逃げ回っているだけでぜんぜん攻撃をしていないのだから、しかたがないのではあるが。
(さて、どうするのかな?自分からも攻撃しないとどんどん不利になってくぞ)
藤田が組手を取りに行くが、なおも茂は攻めようとはしなかった。
(ほ――こいつ…それでもあえて逃げ続けるのか。いい根性だ)
茂は反則ギリギリまで粘るつもりなのである。本当は根っからの目立ちたがりのくせに。
再び審判の「待て」がかかり、今度は本当の「指導」がつく。
あの勝気な茂があえて捨て石になることを選んだ。少しでも相手を疲れさせ、巧に望みをつなぐために…。
茂は早く終わってしまったミッタンの分まで自分が背負い込むつもりなのだ。
三度目の「待て」でついに「注意」を受けた茂。
これ以上攻めなければ次は「警告」。
警告は「技あり」相当なので、既に一度技ありを取られている茂はその時点で負けが決まってしまう。
「せこくねばったがせいぜい2分足らずってとこだったな!」
「甘く見るな!」
そこまで逃げの一手だった茂が――突然、火の出るような攻勢に転じた。
(最初から粘れるだけ粘ったら…それから攻撃するつもりだったんだよ!)
茂の勢いに焦る藤田。雑に組みにいったところを茂が懐に飛び込み、一本背負いをしかける。
藤田の体勢が大きく崩れ、畳にひざをつく。藤田に背負いが入ったのは今日初めてのこと。
ポイントにこそならなかったが、茂の勢いは止まらない。
「調子に…乗るな!」
なんとここで、藤田が突然の左組手。
「ひ…左の内股だとォ!?」
予想もしなかったその技に、茂はなすすべなく投げ飛ばされた。
「一本!」
顔を押さえて悔しがる茂。苦い表情の浜高サイド。対して三工側は大盛り上がり。
「やったやった!あと一人で優勝だっ!」
(そうとも、あと一人、あいつだ!)
藤田の視線の先に立つのは――。
「白、大将 粉川!」
連載開始当時からのライバル対決にもうケリつくのか・・・?
いやまあ宮崎はよくやったよ。
つーか暁泉の時といい、ミッタンよりも宮崎のほうが戦力になってないか?
体重が2倍差くらいあるのに。
後に繋ぐつもりだったのなら、藤田にドロップキックでも喰らわせてやれば良かったのに
>>752 まあでっかい奴が勝つならばあたりきシャッポのコンコンチキだからな。
やべーなこりゃ、巧負けるかも
第84話 最後の戦い
ついに対峙する巧と藤田。この試合に勝ったほうが同時に優勝も決めるという大一番に、
両校の声援も、そして観客からの声にも熱が入る。
「始め!」
しばらく見合っていた両者だが、組み合うとまず巧がしかける。
背負いに入ろうとしたその引き手を切り、逆に出足払いで返す藤田。巧は畳に手をついてこらえる。
巧を腕力でひっくり返し寝技を狙う藤田。巧は足を振り上げて藤田の右手を払い、体ごと回転して難を逃れる。
「見たか今の?」「浜高の大将、藤田の攻撃をかわしきったぜ!」
「ってゆーか、互角にわたりあってるみたい…」
「信じられん!」「あいつなんて名だ?」
全国区の選手である藤田と真正面から張り合う無名の男。そのとき、一つの声が上がる。
「知らねーの?粉川巧ってゆーんだぜ」
――と、さりげなくみんなに教える桜子だった。
「どうした藤田!どんどん攻めろ!」
激しい組手争いが続き、技が出ない藤田に三工サイドからも苛立ちの声。
しかし、関谷は理解した。
(攻めきれないんだ。粉川の組手がきびしくて…なんてことだ…藤田クンが…必死になって闘っている!)
袖をつかむ巧の手を強引に振りほどこうとした藤田に一瞬の隙ができる。
その懐に飛び込み、襟を取る巧。ついに組手十分の体勢に。
背負いに入る前のセオリーとして小内刈りで藤田を崩しにかかる巧だったが――藤田がそれをかわし、
「うおおおっ!」
逆に宮崎を沈めた必殺の左内股で返す!
「たっ…巧ーっ!」「さすがだぜ!今のは少なくとも技ありまでいったっ!」
審判が「技あり」の宣告をしようとしたその瞬間である。
「待て」がかかっていない以上、試合はまだ継続していた。
ポイントを取って気を抜いた藤田の意識の隙――巧は自分に覆いかぶさる藤田の襟を下からつかみ、
そのまま立ち上がりつつ、その体を担ぎ上げる!「おおっ!」
「だ――――っ!」
そのまま畳に落ちる藤田。
「なっ…!?」「何だあ今のは!?」「背負いか!?」
見ていた観客たちにもそれはまったくの予想外。
「き、貴様ァ…!」「へっ!」
睨みつける藤田、不敵に笑う巧。
「技あり!両方、技あり――――っ!」
こんなんアリなのか?
普通は倒れこんだあとに寝技にいかずに動きが止まったら
審判がさっさと待てを宣告するんだが、
その隙を与えなかったということで。
言うなれば斉藤−関谷戦と同じ。
巧みたいに純粋な闘争心の塊みたいな主人公ってサンデーじゃ珍しいな
かっこいいよ
第85話 追い詰める!
あの藤田が投げられたという事態に場内騒然。
今大会、藤田が技あり相当の投げを許したのは初めてだった。
「すごいすごいすごい!!やられたと思ったら、すぐとり返しちゃんうんだもん!」
興奮する桜子。
「ホントにいつも粉川クンには驚かされる…」「まいったな――」
唖然とする袴田さん、そして石塚。
そのとき、藤田が自らの顔を両手で叩く。
「先生…」「うむ。今のは気合を入れたというより冷静さをとりもどすためだ」
以前の藤田であればここでカッとなり集中力を欠いていたところだが、今は違う。
このように試合中でも自分をコントロールする術を彼は身につけたのである。
「あの練習試合の時のようにはいかんぞ!粉川!」
巧の奥襟を取った藤田はすかさず足払いをしかける。
巧が崩れたところに左の引き手も捕まえる。
「組手とられやがった!」「逃げろ、逃げろ!はずせ――っ!」
杉、茂の声が飛ぶ。藤田は大内刈りから――。「くるっ!」
内股へ!しかし巧は即座にそれに反応してかわす。
「今度はこっちだぜ!」
巧の小内刈りをかわそうとして藤田の体勢が大きく崩れる。その立ち上がり際を狙って一本背負い!
「くそうっ!」「うっ!」
藤田は自由な左腕で巧の後頭部を押し、引き手を切って上から潰す。
「しのいだっ!」「あの背負いを!」「かけたほうもすげえが投げられなかったほうもすげえっ!」
激しい攻防戦はなお続く。
巧の足払い、それを逆に大内刈りで藤田は切り返す。
「あ――っ!」「倒れるな倒れるなーっ!」「巧、ねばれーっ!」
それをこらえきり「うらあ!」今度は巧の小外刈り。
たまらず膝をつく藤田だが、その体勢からなんと追撃を狙ってきた巧の足を取る、朽木倒し。
一度距離を取り、再び組み合う両者。
先にしかけたのは藤田。渾身の内股を巧は引き手を切ってかわした。
「は――っ!危なかっ…!」
大きく息をつく桜子だったが――「あれ?」
気がつけば静まり返っていた試合場。
誰も動かず、誰も動けず。
ただ戦っている二人のみ。
関谷は息を呑む。
(なんという試合だ…これは…地区の決勝のレベルなどとうに超えている!)
いつの間にか会場中の誰もが口を開かなくなっていった…。
ただ二人の発する気合と畳をたたきつける足音だけがそこに響いていた。
これは藤田に勝ってそのまま最終回という流れだな
冷静に考えると全国とか知らないっぽい関谷がレベルスゲーって言っても説得力がないな
天味(天理か?)相手にあっさり一本取る男だしな、藤田
関谷って伏兵っぽく出てきた割にはもう雑魚化してね?
第86話 優勝
「むっ。いかん!」
藤田の変調に最初に気がついたのは三工の吉岡先生だった。
(息が乱れてる。さすがの藤田でもそろそろ疲れてきたようだな。前の試合で宮崎がねばってくれた効果だ)
典善もまたその意味を理解していた。
「うおりゃああ!」
内股にいく藤田だが、巧はそれをかわす。しかし――なんとそこから小内刈りに変化!
(キマった!倒れろ粉川!)
畳に倒れる両者。審判の判定は「わ…いや有効!」
倒される寸前、巧は引き手を切って体をひねり、ギリギリで難を逃れていたのだ。
しかし試合も最終盤、この時点で有効一つ差は大きい。
「ついにポイントをとった!」「残り30秒!」「もらった、勝った!」
既に勝利を確信した三工サイド。しかし――おさまらないのは藤田である。
「くっ…!」
(ちくしょう!なんで今ので“技あり”にならん!よく見てろ、審判!)
守りに入って逃げ切ろうとしない藤田に驚く三工。
「げげっ、藤田まだ攻める気だぜ!」「勝負は決まったも同然なのにっ!」
「すげえ体力!」「いいぞ、おもしれえ!」
無責任に盛り上がる観客席。逆に三工サイドは慌てる。
「バ、バカな…!」「なに熱くなってんだ!」「流せ、藤田ムリすんな!」
(さっきの判定が不服なのか…?一度は冷静になったのに、相手が粉川だとどうしても…)
疲労と巧への対抗意識からくる視野狭窄――藤田の頭にはもはや巧を倒すことしかなかった。
しかし、残り時間はもう15秒しかない。そのとき保奈美はこちらを振り向く巧に気がつく。
巧は――笑っていた。
「うん!」「えっ?」頷く保奈美。何か分からない桜子。
そして――最後の勝負が始まる。
「やっぱりいく気か!」「ダメだ、聞こえてねえ、あいつ!」
最後の最後まで逃げ回ろうとせず、あくまで巧を倒しにかかる藤田。
(絶対にしとめてやる!粉川!)(くる、内股だ!最後は内股しかねえはずだ!)
巧の予想通り、藤田の渾身の内股――!
「今だっ!」
それはまるで春の合同練習のときの再現。巧は藤田の内股をすかし――膝をついたままの姿勢から藤田の体を担ぐ!
しかし、不十分な体勢からの背負い、藤田は畳に左腕をついてこらえる。
「うおおっ!」
巧は全力で膝をのばしつつ、自由な左手で藤田を支えるその腕を払う!
藤田の体がひっくり返り、その背中から畳に落ちた!
「一本!それまで!」
「たっ、巧――っ!」「優勝だーっ!」
「ま、負けた…」「本当に負けちまった…」
全国区の名門校が地区の決勝戦で敗れる――そんな現実に消沈する三工。
藤田は未だ、畳に仰向けに倒れたまま起き上がることができずにいた。
「信じられねえ!」「考えてみるとすげえ大番狂わせだ!」「どうなるんだこれから!?」
(無敵だった三工がついに敗れた。これからは浜高がここにいるヤツラ全員の目標になる)
(そうは簡単に浜高の時代にはさせないぜ。このオレたちがな)
石塚が、平八郎が。
(オレの記録の中に唯一の汚点を残しちまった…粉川…オレはこの手でヤツを倒さなくてはならない。なんとしても!)
そして藤田が。ライバルたちの意識は既に打倒浜高に向けられていた。
「保奈美やったよ!優勝よ。優勝したのよ!見てっ!」「ウン…ウン…」喜ぶ桜子。嬉し涙の保奈美。
巧はメンバーたちにもみくちゃにされていた。
いい最終回だった
次回がエピローグだね
第87話 久留間先輩[前編]・帯をギュッとね!外伝
――県立三方ヶ原工業高校・12月――
期末テストも終わり、今日は三方ヶ原工業の球技大会である。
「引っ張った、三遊間!こりゃ抜けるぞ!」
しかし藤田がが華麗なフィールディングを見せ、一塁アウト。彼のクラスの種目は野球だった。
「藤田クン、ナイスプレー!」
同じクラスの関谷(ピッチャー)も賞賛する。この間の地区予選決勝での敗戦から一ヶ月、
ようやく藤田にも明るさが戻ってきたようだった。
続いて迎えるバッターは――。
「なかなか見せてくれるな、藤田!しかし、ボクまで打順が回ってしまったのが運の尽きだね!」
C3a(化学科3年A組の略称)一の強打者、久留間先輩登場。今日はこれまで10打数9安打打点6!
「引っ張らない方がいいですよ!こっちにきたら先輩といえどもアウトになってもらいます!」
「藤田!そんな忠告に意味はない!」
藤田が巧に投げられたとき以上の派手な絵で――白球は青空へと吸い込まれていった。
逆転サヨナラツーランである。「バ、バカな…」
なんでも久留間先輩は中学の頃は野球をやっていたらしい。この一打でC3の優勝が決定した。
「さすがだなあ。天才的バッティングセンス、ぜんぜん衰えてない」
「おお、戸田クン、見ていたか!」
野球部のエースからお褒めの言葉をいただいた久留間先輩。
もし先輩が野球部なら甲子園出場も夢ではなかったかも、と賞賛の嵐。
野球部の戸田、体は小さいが努力で背番号1を勝ち取った「三工の小さな巨人」である。
「本当に…そうだったかもしれないなあ…」戸田はなにやら複雑そうな表情。
しかし、久留間先輩が自信満々に言い放つ。
「でも、ボクがいなきゃ柔道部は全国大会に出場できなかったもなんなあ。
まァ、結局柔道部の伝統か、甲子園出場か、どっちかひとつを選ばなきゃならなかったんだね」
久留間は実際、三工に入学したばかりの頃は野球部に在籍していたのだという。
一ヶ月で辞めて、それから柔道部に来たらしいのだが――。
「とにかく2年前、野球部に在籍してた時も…毎日とんでもないことしでかしてたらしいよ…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
正選手のバッティング練習。一年は当然ながら球拾いなのだが、その中に久留間の姿が見えない。
三工野球部の主砲、野末。今日は特に調子が良いらしく、ジャストミートを連発する。
「でも…野末クンちょっと太ったみたい…」「えっ、そお?」
主将で4番でピッチャー、ムカつくキャラクターではあるが、実力は本物である。
と、そこに現れたのは――。
「監督!遅れてすいません!」
なんと野末がもう一人。彼はユニフォームが見つからず、今まで捜していたのだという。
「お、おまえ、あれ?じゃ、今、打ってる野末は…!?」
自分のユニフォームを着てバットを振る謎の人物に、思わず飛び出していく野末。
その鼻先を打球がかすめて飛んでいった。
「危ないなあ。そんなトコに立ってちゃあ。おや?野末先輩じゃありませんか」
「久留間――っ!あんのバカまた…!!」
野末に変装してバッティング練習をしていたのは彼だったのだ。
「げげっ久留間!」「ぜんぜん気づかなかったぜ!」
「どーして気づかないんだよ!どこか似てるトコあるか!?あいつと!」
脱兎のごとく逃げ出す久留間。
「だって一年生はこーでもしなくちゃ、バッティング練習させてくれないんだもん!」
久留間を追いかけて飛び出したのは、同じ一年の戸田だった。
その足の速さで戸田は久留間を追い詰めるが――「ドリフト走行!」急激に方向転換されて転倒。
「きゃあこっちに来るう!」「フェンスを越える気よっ!」「不可能よっ!」
久留間の巨体の印象にそう思うのは当然。しかし。
「げっ意外に身軽!」「気色悪――!」
軽がるフェンスを飛び越えてみせる。驚異的な運動能力だが、その一瞬の隙、戸田が久留間を捕まえた。
「いかせるかっ!」「わっ!」
その瞬間である。二人分の体重がかかったフェンスがひしゃげて壊れてしまったのだ。
折り重なって地面に転がる二人の前に、一人の少女の姿があった。
大丈夫かと戸田が声をかけようとしたそのとき、
野末が現れて台詞を横取り「大丈夫かい!」ファンの前で格好をつける。
「てめ、久留間!いつまでオレのユニホーム着てんだよ!さっさと脱げっ!」
「いやねえ、さっさと脱げだなんて、若いコはせっかちなんだから」
久留間がそういう冗談を言うと、気持ち悪さは百倍増し。
ところが――それがツボにはまって吹きだす少女。
「ご、ごめんなさい…わっ私…笑いだすと…止まんない性質なんで…」
(へえ…おもしろい女のコだなァ…)
シャボントーンをバックに頬を赤らめる戸田と、笑顔の久留間であった。
藤「うーん、青春だなあ。へい、ドク。この続きはどーなるんだい?」
関「マーティ、そいつは来週のお楽しみさ」
TO BE CONTINUED!
> 藤「うーん、青春だなあ。へい、ドク。この続きはどーなるんだい?」
> 関「マーティ、そいつは来週のお楽しみさ」
先週までのシリアスな展開はなんだったんだよw
まさか藤田がギャグをできる男とは思わなかった
どこのブストス様だよw
第88話 久留間先輩[後編]・帯をギュッとね!外伝
「おーい久留間。待ってくれ久留間」
彼を呼び止めたのは三工柔道部顧問、吉岡先生だった。
先生は久留間の素質に目をつけ、彼を柔道部にスカウトしようとしていたのだ。
「ダメか?実際おまえほど柔道向きのやつはいないんだが…。
この巨体!見かけによらぬ運動神経!なによりもこの低重心!」
「それって足が短いってことでしょ?」
あちこちの中学から才能のある選手が集まる三工柔道部に未経験者がスカウトされること自体珍しいのだが、
久留間はそれをすげなく断ってしまう。肩を落とす吉岡先生であった。
グラウンドにて、野球部の一年生に集合がかかる。
「おまえらが入部してちょうど一ヶ月たった。そこでおまえたちの実力を見るために明日、テストを行う!」
三工野球部で毎年行われる、別名「天国と地獄テスト」。
これに合格した者はその日から上級生に混じり本格的な練習に加わることができるのだ。
しかし、不合格者は相変わらずの球ひろい&草むしりの雑用人生。
将来、正選手の座を勝ちとれるかどうかもこの時、ほぼ決まるといってよい!
意気込む久留間と戸田の姿に、舌打ちをする野末。
(久留間にこれ以上、でかいツラされてたまるかよ。なんとしても不合格にしてやるぜ)
その日の練習が終わった帰り道、バス停で偶然久留間と戸田は先日の女の子に出会う。
野球が大好きな彼女は男に生まれたかったというが、
「男に生まれてたらこまっちゃうよね、戸田クン」
ポンポンと戸田の肩を叩く久留間。顔を赤らめる戸田と、そして彼女であった。
明日のテストを頑張ってと二人を励まし、先に来たバスで去っていく彼女。
喜びを噛み締める戸田であった。
「が、が、が…『がんばって』だって!」「『二人とも』ね」
「だ、だ、だ…『大好き』だって!」「野球がね」
「よーしやるぞお!」「バスが来たんですけど」
戸田は一人で盛り上がっていた。
いよいよテストの日が来た。一年生部員15人の中から8人が選ばれるこのテスト、
最初の種目は100メートル走。14秒を切らなければ即失格である。
「ひゃっ…百メートル走!ボク、スポーツなら大抵何でもこなすけど、これだけは苦手なんだ」
「オイ久留間、ひょっとしたらそれ不安な顔のつもりか?」
とてもそうは見えないが、とりあえず不安らしい久留間を戸田が励ます。
「あのコも見てるよ、がんばろう久留間!」
そこでストップウォッチを手にしたのは野末であった。
(ふん、どーせ受かるとしてもギリギリだろ。ワンテンポ遅らせてやる)
まず戸田がゴール。「戸田速いっ!」「ひょっとして12秒きったか、これは!?」
続いて10メートル以上離されて久留間ゴール。「わ――っ、こりゃやばそう!」
「タイムは?」
「14秒9です」「13秒9です」
「え――っ!んなバカな!」
抗議する戸田。野末の策略は成功したかに思われたが――。
「野末、なんで先に入ってきた戸田のほうが遅いんだよ」
実は、一緒にタイムを測っていたもう一人のほうが久留間の担当だったのである。
策略が見事に失敗し笑ってごまかす野末と、快心の走りが幻に消えた哀れな戸田だった。
久留間は13秒9だからギリギリセーフ。
「やったあ!これさえクリアすればこわいもんなしさ」
難関をクリアして気分がラクになった久留間はとたんに絶好調!
遠投は100メートル越え、守備のテストも華麗にこなして申し分なし。
「どーしてあいつ、あんなに身が軽いのかな――っ」「不気味…」
残すはいちばん得意なバッティングテストのみ。久留間の合格はほぼ確定的になった。
戸田のバッティングテスト。しかし野末のボールに彼は手も足も出ない。
「おいおい全部ストレートのストライクなんだぜえ!ちったあ打ち返せよ」
確かに全部ストライクだが、コースが皆きびしい。他の一年にはもっと打ちやすいボールだったのに。
(こいつは久留間と仲がいいみたいだからな。ついでに落としてやる)
恨むなら久留間を恨めとばかりに渾身の球を放る野末。
ようやく打ち返したボールはぼてぼてのピーゴロ止まり。
戸田は合格の枠に入るのが相当に難しくなってしまった。
消沈して戻る戸田の様子に何かを考える久留間。
続いて、いよいよ久留間がバッターボックスに入る。
(来たな久留間。みんなの前で大恥かかしてやるぜ)
手加減などかけらも無い野末の剛速球を、久留間はことごとく空振り。
「おいおいどうした?バッティングは得意じゃなかったのか、アイツ」
その様子に監督も不思議がる。
あっという間に最後の一級になってしまった。このままノーヒットで終わってしまうのか――?
(ラストはちいっとコワイ目をみてもらうぜ!くらえ!)
「わっ近いっ!」「危ない、よけろ!久留間――っ!」
デッドボールスレスレの胸元をえぐるような一球。
しかし久留間は微動だにせずボールを見据え、鋭くバットを振りぬいた!
「はっ!」
久留間の打ったピッチャー返しが野末の額に命中。縫い目の形も見えるほどボールの跡を刻印した。
「あ――――、スッとしたっ!」
結局、野末のケガはたいしたものではなかった。しかし久留間は次の日に突然、
「自分は野球に向いてない」といって部を辞めてしまったそうな。
久留間がいなくなったことで戸田が繰り上げ合格。
しかし、その後、彼はエースピッチャーにまで成長をとげたのである。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
関谷の話を聞き終えた藤田が頷く。
「なるほどねえ」
「まあ、久留間先輩も柔道部で県下一になったんだし、結果的にはこれでよかったのかもね」
で、その後、例の彼女はどうなったのか。「それはな藤田」
いつの間に背後に来ていたのか、久留間先輩がその先を説明する。
「ボクは柔道で戸田は野球でそれぞれ頂点を目指した。異なった競技で彼女の心を射とめようと誓ったのさ」
そして、その結果は……。「あっ久留間クーン!」
先輩に向かって手を振る三つ編みの少女。
「ホームラン打ったんだって?さすがは久留間クンね」
「ありがと……」
「戸田クンから聞いたわよ。私も見たかったな――!」
朗らかな彼女の横には、そう、三工の小さな巨人の姿が。
「おい、行くぞ靖美!」「じゃあね久留間クン!」
去っていく二人の姿を見送る久留間先輩の目には、きらりと光る涙一粒。
「そーゆーワケだ。柔道がいかに女のコに人気のないスポーツかわかったかい?」
(ううっやなもん見たなあ…)
チャンチャン。
次回は一回休載して、単行本9巻のおまけを紹介します。
そうだよな、金鷲旗とか出ても「すごいねー」で三日後には忘れ去られるけど、
甲子園とか出ちゃった日にはもう・・・だもんね・・・
そもそも工業高校にあんな可愛らしい子はいないと思うんだ。
・・・いない、よな?
ロボじゃね?工業高校的に考えて
別にどんなところにだって可愛い子はいるだろうさ
単に割合が違うだけで
ところで柔道全般がじゃなく久留間先輩個人がってことは…
あ、いやなんでもないです
○単行本9巻 (表紙:宮崎茂・三溝幸宏 裏表紙:近藤保奈美)
・四コマその1 本当は小円遊がいちばん好きだった!
1.桜(円楽)「柔道のネタでなぞかけをやってください」
杉(歌丸)「ハイ!」
桜(円楽)「おっ、歌さんはやいね」
2.杉(歌丸)「背負い投げとかけて、サギ師ととく」
桜(円楽)「その心は?」
杉(歌丸)「どちらも人をかつぎます」
3.桜(円楽)「うーん、うまいねえ。さすがは歌さん」
杉(歌丸)(よし!ザブトンくるぞ、くるぞ)すでに中腰の体勢。
4.巧(こん平)「ハ――イ!」いつも元気なこん平でーす
桜(円楽)「はいっ、こんちゃん、いってみよう!」
杉(歌丸)ガク
歌丸の最初のネタはいつもザブトンをもらえない。
・四コマその2 みつあみのカツラをかぶった(インディアンといわれた)円楽をもういちど見たいっ!
1.斉(楽太郎)「歌丸師匠に一本とられました」
桜(円楽)「ほほー、どうして?」
2.斉(楽太郎)「まぶしい上につかみどころがない!」
杉(歌丸)「どういうイミだよ!?」
桜(円楽)「うまい!歌さんのザブトンもってけ!」
杉(歌丸)「なんでアタシのザブトンを」
3.三(小遊三)「木久蔵師匠に一本とられました」
桜(円楽)「ほお、どうして?」
三(小遊三)「子供だと思って油断してたので」
茂(木久蔵)「てめえっ」
4.巧(こん平)チャラ〜ン
杉(歌丸)「楽太郎さんには一本とられました」
桜(円楽)「どうして?」
杉(歌丸)「つまらないギャグで腰がぬけました」
三(小遊三)茂(木久蔵)「ハイ!ハイ!」
お互いのけなし合い時が一番エキサイトするという…。
・話題集中第9回サンデーコミックス名物『絵筆をもってね!』
選評/河合克敏 応募総数:808点 入選:23点
グランプリ:千葉県・木須優〔暁泉メンバー〕
準グランプリ:北海道・永田命の猫森にゃんぴ〔永田〕
新潟県・コカール(タ)〔石塚・袴田〕
topix:神奈川県・赤石林太郎〔市川・平八郎(ニヤリ…)〕
東京都・香取ゆら〔保奈美(保奈美しゃん)〕
豊が永田のポニーテールを桜子と間違えるネタ多数。
宮城県・ババンゴ〔浜高メンバー(ひーひー。今回いちばん笑えた)〕
笑点ネタかよw分かるやつにしか分からん
円楽→顔が長い→馬→馬肉→桜肉→桜子
まあ全く関係ないだろうけど
保奈実じゃ対応できないのは確か
笑点ネタフイタwww
第89話 全国大会の壁
――東京・日本武道館。
かつてビートルズもレッドツェッペリンもBOφWYも演じた場所。
まあ、ローリング・ストーンズはいきなり東京ドームだったが、今でもけっこうな舞台には違いない。
余裕綽々に振る舞っていた浜高メンバーだが――その足元が地震のように震えだす。
「あ――っ、誰かこの震えを止めてえー!」「どーすんだよ周りはみんな強そーだぜオイ!」
「オレたち場違いだよお!」「まぐれでこんなとこまで勝ち抜いてきちゃったからなあ!」
(こんな情けない代表、ウチだけだろーなあ…)
そう、我が浜高の5人は県大会も勝ち、ついに全国大会にコマを進めていたのである。
取れかかった背中の名札を付けてもらおうと保奈美に頼む巧。その側に何やら人だかりが。
「袴田サンじゃん。どーしたの、いったい?」
「ほら、昨日の女子体重別個人戦、優勝したから、この世界じゃもう有名人になっちゃってるのよ」
ただでさえ美人の彼女に人気が出ないはずもなく、サインや握手を求めるファンでもみくちゃに。
「ちょっと待ったあ!」そこに手を挙げたのは――。
「いっぺんにいっても袴田サンが困っちゃうでしょ!サインや握手をしたい人は一列に並んで――っ!」
完全に場を仕切っている桜子だった。彼女はダミ声でファンを誘導する。。
「あせらないあせらない、あなたの今日子はどこへも逃げたりしないよ〜、待ってる者には福が来る〜」
「海老塚サン、あたしサインなんかしたことないんだけど」「てきと〜でいいんですよてきと〜で」
そこで「あのサインお願いしまっス」と手帳を差し出したのは柔道着姿の男だった。
「兄ちゃん兄ちゃん横入りはいけないよ!」「だからそのダミ声やめてってば」
「そーだぞ、ちゃんと並ばないかっ!」「なんであんたがここにいるのよっ!」
どうせ知り合いなのにサインの列に並んでいる巧。そんなことをしている場合ではないのだが。
「あのーやっぱり先にサインお願いできませんスか?試合が始まってしまうので…」
「試合って、あなた選手なの?」
桜子に拝み倒すその男の背中には、「玉城 尚北」の文字が。
特別にサインをもらえることになった玉城は、去っていく巧の背中を見て意味深な表情をする。
(浜名湖高…ふうん、あいつらがね…)
人という字を三回書いてそれを飲む、するとあら不思議、さっきまでの緊張感が嘘のよう――などと
古典的なリラックス法を試す杉たちだったが、もちろん効果などあるはずもない。
戻ってきた巧は斉藤にど忘れした一回戦の相手を尋ねる。
「おいおい。沖縄代表 尚北高校だろーが」
奇遇というべきか、巧の前に立ったのは先ほどの玉城であった。
大会の様子はテレビでも放送され、三方ヶ原工業の合宿所でも当然にチェックされていた。
浜高の試合をやるとあって驚く部員。一回戦などカットされるのが普通なのだが。
「相手のほうが注目されてるんですよ。去年、ウチともやった沖縄尚北」
三工とは夏の大会で対戦し、今回は優勝候補の一角と目されているらしい。
巧は尚北の先鋒、玉城と対峙する。激しい組手争いから、玉城の左手が巧の奥襟をつかむ。
「いかん、奥エリがっちり決められた!なんとしてもその差し手ははずせ、巧っ!」
声を張り上げる斉藤だったが――他の三人は完全に固まってしまって応援どころではなかった。
巧は差し手を切ろうとするが、玉城は左手でがっちりと襟をつかんで離さない。
「おおおおおっ!」
玉城はそのまま背負いの体勢に!
「さああっ!」
巧は反応さえできずに畳に叩きつけられた。「技あり――っ!」
「速いっ!こんなに速い背負いくらったのは初めてだっ!」
続いて追撃の大外刈り。巧は何とかそれをかわすが、不意に玉城の体が沈む。
相手に体重を預けて倒れこみつつの小外刈り。巧はまたも対応できず「有効」。
「あ…相手にならねえ…」「な、何よ…全国大会ってこんなのがいっぱいいるのお…?」
玉城はさらに有効一つを重ね、圧倒的なまでのポイント差が開いた。
その様子に笑い出す尚北の選手。
「全国大会常連の三工ぐわぁ負かして出てきたてゆうからどんなん思ったら…クズの集まりかあ?」
玉城は巧に対して疑問をぶつける。「…わからん」
「なんであんたらが三工に勝てたのか…あの藤田のいる三工に!」
藤田は確かに夏の大会で玉城と当たり、判定で彼に勝っていた。
(…しかし、自分でもよく勝てた思った相手だった。
おまけにあの時よりも気のせいか技のキレがよくなっているように見える…)
藤田をしてそこまで言わしめる男、玉城。残り時間は30秒を切った。
(…たぶん藤田とやったことがあるんだろうな、コイツ…だったら――意地でも負けられねえぜ!)
勝負に出ようとする巧だったが、玉城の組手に封じられて懐に入れない。
「ムダさあ!この組み手から攻められるものかっ!」
しかし――巧はつっかい棒のように邪魔をするその腕の方を狙った。
瞬間、玉城に走る戦慄。
巧の一本背負いが玉城の巨体を一回転させ、畳の上に叩きつけた。
慌てて跳ね起きた玉城が巧に見たその気迫は、彼をたじろがせるに十分なものだった。
同時に鳴る試合終了のブザー。「技あり!それまでっ!」
結局、玉城が有効二つ分のリードで巧の優勢負けが決まってしまった。
(これが全国レベルの実力なのか…とんでもねえ場所に来ちまったもんだ…)
冷や汗を流す斉藤。
「…………」
沈黙する藤田。
だが――玉城は戻っていく巧の背中を見つめていた。
(覚えておくぜ…浜名湖高 粉川…)
その後、尚北・玉城の3人抜きがあり、尚北の選手を3人残し、浜高は負けてしまった。
全国大会の厳しさを思い知らされたのである。
地方のライバルが藤田で、全国でライバルは玉城になる展開か
せっかくなんだから同じ階級のヤツを出してやれよ
>>798 斉藤が行方不明になり、一年後洗脳され他校の選手として生まれ変わった姿で再会。
>>799 ワロス
同階級の最大のライバルは、やはり細目か
さすが全国
一回戦負けか
『優勝は千駄谷学園』「春の全国高校柔道選手権」
「男子無差別級は玉城(沖縄尚北)」
第90話 原宿で会いましょう
「こ、これが…あの竹下通りか…」
感動に震える杉たち。昨夜、東京まで来て一回戦負けを喫したメンバーがあまりにミジメだからと
龍子先生が帰りの新幹線まで自由時間をくれたのである。
「く――っありがたやありがたや。なかなか味なコトしてくれるぜ、先生も」
「それはそうとね…他のみんなは?」「えっ?」
見回せば杉の他に桜子と斉藤の姿しか見えない。
「しまった――っ!百メートルと歩かないうちにはぐれてしまった――っ!」
恐るべし原宿竹下通り。
まあ、2時に原宿駅集合となっているから大丈夫だろうが。桜子は二人にクレープを食べようと誘う。
みっともないから嫌だと拒否しようとする杉たち。
「恥ずかしくないって。みんな食べてるじゃん」「ホントにい〜?」「信じられんなー」
一方その頃――。
「大変、桜子たちとはぐれちゃったみたい。どうしよう巧クン?」
辺りを見回す保奈美。しかし気がつけば、その巧もいなくなってしまっていた。
「巧クン?あれ?」「…………」
(ああ…大変、私16になって迷子になってしまった!)
オマケにこんな場所で女の子一人ぼっちでは、お決まりのパターンとしては…。
「ね――彼女ォ、どっから来たのーっ?」「一人?」
(きゃあやっぱり!よりによってヘヴィメタ!)
光り物をジャラジャラと鳴らして近寄ってくる男たちに、対応に困ってしまう保奈美。そこに――。
「おい!そのコはこっちの連れなんだよ!」
救世主、巧登場。思わず駆け出した保奈美は大胆にもその腕にすがりつく。
「か――っ、ムカつくっ!」「このガキャどーしてくれよう!」
「ハッハッハッ!ほう、いったいどうしてくれるんだ?」
耳まで赤くなりながらあくまで保奈美を守る体勢の巧。だが。
ヘヴィメタA・Bはなかまをよんだ!
ゾンビのように湧き出してくるヘヴィメタの群れ。「ちっしょうがねえ!てめえらまとめて…」
「かかってこいっ!」たくみたちはにげだした!
走り回って疲れた巧たちはちょっと小休止。巧は柵の上に腰を下ろし、玉城との試合を思い出していた。
『わからん…なんであんたらがあの藤田のいる三工に勝てたのか…』
頭の中に玉城の言葉がリフレインし、無意識に握り締めた手に力が入る。
と、そこで中華まんを買って戻ってきた保奈美。
「どうしたの?」「ん…いや、ちょっとボ――っとしてた」
人の多い竹下通りに戻るより、二人で静かな場所にいることにした巧たち。
「3月か…オレたちもうすぐ2年生になるのな…」「うん……」
クレープを手に一人たたずむ桜子。
それを見つけたのは例のヘヴィメタ二人組。彼らは性懲りもなく桜子に話しかける。
「…ひょっとして、それってナンパしてんの?」
「は?まあ、ありていにいえばそうだけど…」
にへら〜と表情を緩める桜子。彼女は突然振り返り、
「ねえねえ、聞いて聞いて!今あたしナンパされちゃったぜ!」
そこには地面に座り込む杉たち四人。(茂とミッタンも合流)
(げっ!な、なんだこいつら?)(全員このコのとりまきか!?)(しかもクレープ食ってるぞ!)
四人の異様な迫力に尻尾を巻いて逃げ出すヘヴィメタ二人組だった。
「あんたたち何コソコソしてんの?」
「バカヤロ、やっぱり男でクレープ食ってるヤツなんてあんましいなかったじゃないか!」
「でも捨てんのもったいないんで隠れて食ってんだよ」「うまいけどね」
そのころ先生は……。
「みんなどこに行ったのかしら。ま、いっか。集合場所決めてあるもんね」
かわうそ屋(伝染るんですグッズの店)にてぬいぐるみを見ていました。
再び巧たち。保奈美は「昨日の試合のこと考えていたでしょう」と指摘。彼女はなんでもお見通しである。
「ねえ、巧クン。帰る前にみんなでもう一度あそこに寄っていかない?」
そして集合したメンバーが向かった先は――日本武道館。
「やっぱでけえよな日本武道館」
「つい昨日ここで試合したなんて」
「ウソみてえだな」
たったの一試合だけですぐに負けてしまったとはいえ、やはり感慨深いものがあった。
「ちくしょう、これで終わると思うなよってんだ!来年も来てやらあ!」
声を上げる茂。他のみんなもそれに続いた。
「今度来る時ゃ場内ひっくり返すほどわかしてやるぜ!」
「首洗って…じゃねえ、たまねぎ洗って待ってな!」
「金でもねえくせにキラキラ光やがって!」
「なんとかいってみろコラァ!」
(来年も来るさ。2年の春、またきっと!)
男がクレープ食って何が悪いw
∧
/ \
( > <)<エライスミマセンデシタ
 ̄ ̄ ̄
原宿のクレープ屋、けっこうウマいとこあるもんね
伝染るんです キター!
ナンパされて浮かれる桜子が可愛い
暴漢にナンパされた彼女を助ける・・
ミニ北斗の拳は、男の夢
1年生ばかりで当たった相手は無差別級優勝者なんだから全然OKじゃねえか
2年の春なんて台詞からすると何か本当に3年間やるっぽいな。
今回また息抜き回か
試合で緊迫させたあとは、必ずギャグ回入れるな
いいぞラブコメもっとやれ
つーかやっぱ桜子って可愛い設定なのな。
>>811 というか一年だけで全国行っちゃった時点で…
藤田の妹とかこっそり存在して
新入生で入ってこないかなw
あるいは石塚の妹とか
817 :
1/3:2008/09/09(火) 21:00:21 ID:???
第91話 本気だぞ!
杉と茂の乱取り稽古、杉の内股を茂はすくい投げで返そうとする。
「なんだそりゃあ?すくい投げのつもり?」
「サッサと倒れやがれっ!意地になってつっぱってんじゃねーよ!」
結局、二人もつれあったまま道場の壁に激突する。
典善の声が飛ぶ。
「杉、攻撃が単調だから内股が読まれるんだ!
宮崎、すくい投げはもっと股そばのわたりをつかまなきゃ投げられん!」
すぐに立ち上がって稽古を再開する二人。その様子を龍子先生は嬉しげに眺める。
「みんな燃えてる燃えてる。全国大会からもどってきたら急にヤル気出しちゃって」
春休みに入る前――部長の杉が自らこんなことを言い出したのだ。
『さて、これからの春休みの練習のことだけど…自由参加。――ってコトにしたいんだが』
都合のあるヤツ、体調の悪いヤツは別に断りの電話をする必要はない。
毎日、やりたいヤツは毎日くればいい。来たヤツらだけで練習をする。
サボりたいヤツはサボり放題、それでも練習をしようという者だけで練習をする。
満場一致でその提案は可決されたのであった。
で、実際やってみれば、ここのところ三日間は全員、マジメに出てきていた。
「やっぱり全国大会から変ったのね!」
「そりゃいいことですけど、つきあわされるほうはねえ…」
目を輝かせる保奈美に対し、少々辟易としている桜子だった。
乱取り稽古、本日のラストは杉VS巧。
杉は大外刈りで巧の体勢を崩し、そこから内股に変化させる。この攻撃は巧もしのぐのがやっとだった。
「大外刈りと内股の連続かっ!三工の藤田の得意技じゃねえか!」
「へっ、驚いたか!」
杉もまた着実にその実力を伸ばしていたのだ。
残り時間一分。巧は先ほどのお返しとばかりに大内刈りから背負いの連続を奇麗に決める。
杉は畳を叩いて悔しがった。「っくそ――っ!やられた!」
818 :
2/3:2008/09/09(火) 21:01:17 ID:???
道場の壁に貼り出されたのは『第一回乱取りダービー』の表。
「うーん、投げた回数じゃ斉藤が一番多いか!」
「でも、投げられた回数じゃ巧が一番少ないぜ」
本日のトップ賞は5回投げて1回投げられた斉藤浩司君。今期2度目のトップ賞を飾った。
「いや、諸君悪い!またおごってもらうよ」
どうやら乱取り競争でその日のトップを取った者が皆におごってもらうという取り決めらしい。
「てめえ、最近ずうずうしいぞっ!」
「こういうヤツは明日から集中攻撃だな!」
「不公平感をなくすためにも!」
「な、なにが不公平なんだよっ!」
帰路につくメンバー。「寄っていきたいところがある」と桜子が保奈美についてくるよう頼む。
保奈美は巧のほうをうかがうが――。
「オレ?ああ、オレちょっとこれから用事があるからパスするわ」
『用事って最近いつもそればっかり。いったいなんなの?』
『べ、別に関係ないことだよ』
『あたしにもいえないのね…』
『そんなんじゃないって』
「だって…クスンクスン」「泣くこたあないだろ。本当にさみしがり屋さんなんだから」
以上、途中から杉と茂のアテレコでした。
「勝手にウソ台詞作ってんじゃねえ!」
怒って行ってしまう巧。どうも最近付き合いが悪い彼である。
「あやしい…これはつきとめなくちゃねえ」
819 :
3/3:2008/09/09(火) 21:02:30 ID:???
巧の後を尾行する保奈美と桜子。
「やっぱりやめようよう」
「ダメよ、こういう隠しごとはよくないって!友人としてほっとけないわよ」
(そっか、桜子も本気で心配してくれるのね。ありがたく思わなきゃ。決しておもしろがってるわけじゃないわよね…)
今まさに一個の信頼が裏切られているその目の前で、巧が入っていったのは――トレーニングジム。
「やってるな巧クン。今日で3日目か」
そこには石塚の姿もあった。
「どうやらマジでウエイトトレーニングやる気らしいな」
「ひでえなあ石塚さん。冗談だと思ってたんですか?」
一部始終を見届けた保奈美と桜子。皆に報告しようとする桜子だったが、保奈美がそれを諌める。
「きっと何かワケがあるのよ。誰にもいわないってことにしよ、ねっ」
「え――っ、おもしろいのにぃ!」
「……おもしろいのに?」
冷たい視線を向けられて汗だらだらの桜子だった。「わかった、見なかったことにしましょ」
曇りの無い表情でバーベルを持ちあげる巧。
「本気ですからね、オレは」
4日後、春休み練習1週間目。
「今日のトップ賞は、4回投げて1度も投げられなかった巧クーン!」
「…………」
「な――んで今日は駄菓子屋なんだよっ!」
せっかくのトップ賞なのに、不満たらたらの巧である。
「うるせえー、4日連続でおごってんだ文句ゆうな!」
「がたがたいわずにチェリオを飲めっ!」
「おっ、当たり!おばさーん、アイスもう一本!」
4人に1回ずつではなく杉を4回投げたんだよね?
圧倒的不利な賭けを文句も言わず乗ってる宮崎はいい奴だな。
逆にミッタン・・・
杉は毎朝剃っているのか
かみそり男だな
823 :
1/3:2008/09/10(水) 21:15:40 ID:???
92話 新入生大募集
柔剣道場を埋め尽くす学生服の群れまた群れ。その様子を更衣室からうかがっていた杉たち。
「おいおいおい、き、来たじゃねえか、新入部員」
「に、20人はいるぜ」「まさかこんなに来るとは…」
柔道部などという不人気部になぜこんなに人が集まってきたのか――。
「バカねぇ。県大会で優勝したからにじゃない」小窓から龍子先生登場。
「ちょっと先生!どっから入ってくんのっ!」
「あれだけたくさん人がいる表から入ってくんのはけっこう勇気がいるのよ」
そこで斉藤が入部希望者の中にすごい人物を見つける。
「おもしれー新入生がいるぜ!まっ赤に髪染めてんのが約1名」
赤頭の彼はふて腐れたように「……フン!」と鼻を鳴らすのであった。
「ちわーっす!」
たくさん人のいる表から堂々と入ってきた巧たち。
三工の藤田を倒し、テレビにも出た彼の登場に、新入生たちがざわめく。
巧は新入生たちに今日から部活に参加していいというが、
彼らは今日は見学だけと思い柔道着を持ってきていない者ばかり。その中で、
「オレ持ってきてますよ」
手を挙げたのはあの赤頭の少年だった。
「…参加していいんスね。練習」
彼の帯の色は黒。見かけによらずきちんとした実力を持っているらしい。
さらにもう一人、背の高い坊主頭の少年が参加を申し出た。
「え――っと、名前は?」
「仲安昌邦」「ボクは石野雪久です」
赤頭の少年、仲安は心の中で呟く。
(フン、道着持ってきたのが俺以外は一人だけかい。ホントにヤル気があんのかね?)
824 :
2/3:2008/09/10(水) 21:17:14 ID:???
「明るく楽しい柔道部、ハイ!」「やさしい先輩」「美人のマネージャー」「娯楽の殿堂浜高柔道部」
ここはくつろぎ別世界――と、新入部員獲得のため、正式入部まではそういう路線でいくらしい。
「特に新入部員を乱取りで思いっきり投げたり、絞め落としたりは絶対にしないこと!あくまでソフトにね」
(ソフトな柔道っていったい…)
杉の演技指導に静岡の生んだ某アニメのような微妙な表情をする巧たちだった。
仲安の体落としに美辞麗句を並べ立て賞賛する杉。
未経験者の石野に受身の練習ばかりやらせていることを謝るミッタン。
見事なまでにだらけきった侵入部員たちの姿に、さすがに疑問の声が上がる。
「杉よお、正座とまではいかなくとも見学中あぐらぐらいさせてもいいんじゃねえか?」
これはあくまで正式入部まで。変に厳しい印象を持たせまいとする杉だった。
仲安が巧に乱取りの相手を申し入れる。
(巧、わかってんだろうな。本気出すんじゃねえぞ!)(あーあー)
天才・藤田から背負い投げで一本取った男、巧の実力を確かめたいと望む仲安だったが、
杉に釘を刺されている巧は明らかに手を抜いていた。
「仲安、その髪さあ…」「色、気になりますか?」
「いや、色は別に関係ないけど長さが…」「長さ?」
あまり長いと畳にこすったときに痛いし抜けてしまうという巧に、仲安は妙案を思いつく。
「大丈夫っスよ、オレここの柔道部に、オレまだ一度も投げられてませんからね。
畳で頭をこするなんてこれからもあんまりないんじゃないですか?」
その言い種に、皆の動きが一瞬止まる。
(い、いってやったぜ、へへ…さ――どう出る?)
「それじゃあ投げてやろう。背負いにいくからふんばってなよ」
次の瞬間「えっ!?」仲安の目の前に迫る畳。
頭頂部の毛がわずかにこすれ、背中から叩きつけられる。
「わっ…!」「痛そっ…!」新入生たちから上がるどよめき。
(速い!背負いだとわかっていても何もできなかった)
倒れたままの仲安に巧は声をかける。
「ほらな、あとちょっとで頭こするとこだったろ?」
825 :
3/3:2008/09/10(水) 21:18:15 ID:???
これに黙っていられないのは杉である。杉は妖怪化して怒鳴る「巧――っ!!」今のフスマ?
「てめーは本気出すなってあれほどいったのに!!見ろ見学してる新入生、あんなにビビッてんじゃねーか!」
ついこの間まで中坊だったヤツを投げてそんなにうれしいかと怒る杉だったが、巧が反論。
「こんなん練習じゃねえよっ!オレは、もっと強くなりてえんだ!」
「な――にを勝手なことを!そんなのオレたち2年同士で組んだ時いくらでも本気出しゃいいんだよ!」
「あっ、そりゃ違う!そーゆーのは間違ってる!」
杉の思惑はどうあれ、二人のやり取りで新入生たちは上級生が手加減をしていることに気づいてしまった。
そこに現れたのは我らが龍子先生。
「話は全部聞いたわ。巧くんのいうとおりよ」
明日からは1年も2年も同じように練習するという先生。
自分たちが実際にやってきた練習だと言われては、杉にも言い返しようが無い。
「趣味でやる柔道もいいです。そうしたい人はいいにきなさい。別に練習プログラムを立てましょう。
しかしっ!ここにいる先輩たちのよーに本当に強くなりたい者は彼らと同等の練習をする!今、私が勝手にそう決めました!」
「おおっ!久々に出たな、この正論教師!」「いよっ、かっこいいっ!」
「ヘイヘイいうときゃいうわよ!」「踊ってる場合かっ!」
翌日――。
道場にポツンと座っていたのは石野雪久ただ一人きりだった。
「え――っ。ひ、一人――っ!?あと全員やめちゃったの――っ!?」
これにはさすがに龍子先生顔面蒼白。「あきれてモノもいえませんね」と呟く杉に平謝り。
事の発端である巧も頭を下げる。
しかし、杉が呆れていたのは二人に対してではなかった。
「いや、今年の新入生の根性なしにあきれてんですよ。こんなヤツらばっかりだったなんて…」
早めにやめてくれてかえってよかった――とさばさばした様子。
と、そのとき道場の戸が開く「ちわっス!」姿を現したのは――仲安。
皆が驚いたのはその頭である。
「どーも、やっぱ長いのはしばらくジャマになりそうなんで…でも色落とす気はありませんぜ」
「あはははははっ!金髪かァ、仲安、かっこいいぞ!」
(でも…試合とか出られるのかしら?)
龍子先生も悪いかもしれないが
杉の態度もどうかと思うし
本気でブン投げた巧もどうなんだろう
仲安はキャラ的にそこそこ強いけど不真面目
石野は真面目だけど弱い、のちに覚醒ってパターンかな?
なんか団体戦で宮崎の出番がなくなりそうな予感……
宮崎よりも役に立ってないミッタンが外れるほうが先じゃね?
体型的に重量級を外して軽量級を残すのは愚作にも程があるだろうに
普通ならそうなるんだがその軽量級より勝率が悪いんじゃしかたねえ
漫画的に小が大をねじ伏せるのは燃える
大が小をねじ伏せても燃えない
大と大が戦うぐらいしかミッタンには見せ場がない
金髪か…チャーリーと呼ぼうか
833 :
1/3:2008/09/11(木) 21:00:07 ID:???
見覚えのあるような顔なんだけど…いったいこのコは誰なんだろう!?
第93話 女子部員誕生
放課後、部活に向かおうとした仲安。その教室の前に立っていた小さな女の子が一人。
「今日こそ連れてってね、仲安クン」「ま、麻理…」
周囲の冷やかしも耳に入らず、脱兎のように逃走する仲安。
(冗談じゃねえぞまったく。あんなのが来たら中学ん時の再現だぜ)
「今日は絶対逃がさないんだな」「お――――っ!」
男子と同じスピードで併走してくる彼女に思わず仲安はバケモノ呼ばわり。
「ひどいよバケモノなんて。みんな麻理のことカワイイっていってくれるのに」
「自分でそういうこというトコロは決してカワイクない!」
「失礼しちゃう」麻理は仲安のスリッパを踏みつけて急停止させる。
顔面から床に倒れこみそうになった仲安はとっさに前受身をするが、その制服の裾を彼女はギュっと捕まえた。
練習前のミーティング中、仲安の後ろに続いて入ってきた女子生徒を目ざとく見つけるメンバー。
「なぁかやすう〜?」「スミにおけねーヤツだぜ、1年坊が!」
全員で勘違いをしていたが、彼女は入部希望者なのだという。
「1年1組の久留間麻理です。よろしくお願いします」
その姓名に引っ掛かりを覚える杉たち。桜子が両手の指でフレームを作り、麻理の顔の部分のみを見て確信する。
「まちがいない!クリソツよっ!
このコは“三工のダルマ大使”と呼ばれた、あの…大天才久留間大志の血を引く者!」
「ハイ、兄です」
彼女の返答に、部内に戦慄が駆け抜けた。
……よく考えてみれば別にあのヒトが入部するわけでもなし、兄があれだけの才能の持ち主だったのだから、
ひょっとしたら強いのかもしれない。うまくいけば女子の方でも浜高の名が売れるかも。
仲安は彼女と同じ中学だったのである。新学期が始まって五日、どうして今頃連れてきたのか。
「まあ、その…道場の場所がわからなかったとかで…」
「見えすいたウソをつくな!こんなでかい建物がわからんはずがねーだろ!」
杉は仲安にコブラツイストを決める。まあ、彼女は本当に分からなかったわけなのだが。
834 :
2/3:2008/09/11(木) 21:01:38 ID:???
ともかく練習開始、道着に着替えようとしたところ――更衣室にまでついてこようとする麻理。
「わ――っ!!久留間さんはこっちで着がえんじゃないよ!」
彼女の面倒は保奈美と桜子が見ることに。
体も小さく華奢な麻理は、本当に顔の作り以外、兄とは似ても似つかない。
道着に着替えた彼女はなんと黒帯。女子で中学のうちに初段を取るとは逸材である。
「なんでおまえはもっと早く連れてこなかったんだ!」「あい〜っ!」
杉は仲安に卍固めを決める。
麻理の奇麗な前回り受身に思わず感動する男子部員たち。
その様子を眺めていた仲安は一人、憮然とするのであった。
(なーにを受身ぐらいで喜んで…本当にアイツの恐ろしいトコはこれからだぜ)
打ち込みで巧と組むことになった麻理。最後の一回はきっちり相手を投げるのが流儀。
巧は投げられた後で彼女に「体重何キロだっけ?」と尋ねる。
「40キロです」「オレ、今体重70キロちょうどなの」「デブいですね」
「そーなんだよねー、数字の上では」と笑う。
スポーツ選手は筋肉質なため、見かけより重いことが多いのだ。しかし、そんなことよりも――。
(しかし驚いたな…30キロ重い体をかついでよろけもしないとは…)
続いては乱取り稽古だが、麻理の相手はどうするのか。皆が麻理の世話ばかり焼くのに桜子がつっかかる。
「あんたらは何なの、マリちゃんマリちゃんって。女のコが入って相当浮かれてるみたいね」
「おやおやあんたヤイてんのね?」「海老塚サンも柔道やれば?」
冗談プーッと拒否する桜子。しかし冗談ごとではなく、もう一人女子がいれば麻理の乱取りができるのだ。
「何よそれ?じゃアタシにマリちゃんの練習の相手のためだけに柔道着を着ろと?」
その提案はかえって桜子の機嫌を損ねる結果に。
だが、麻理本人が男子と一緒で構わないと望み、身長の近いところで茂が相手をすることになった。
「あーのなー!いくら近いっても13センチも差があるんだぞ!」
835 :
3/3:2008/09/11(木) 21:03:40 ID:???
どっからでもかかってきなさい、と余裕の茂に仲安は心の中で呟く。
(へっ、思い知るぜ。アイツの実力を)
麻理の軽い小外刈りに茂の体勢がガクンと崩れる。
そこにすかさず背負い投げ。「ん?」
茂の体がドッと畳に落ちる。
「あら?」
「わ――いやったあ!センパイを投げちゃったあ!」
転がったままの茂に集まる周囲の冷ややかな視線。
杉の辛辣な一言。
「堕ちるとこまで堕ちたな宮崎」
「い、今のはちょっと気を抜いてて!おい、なんだおまえたちその目は!」
茂が言い訳をすればするほど泥沼である。仲安はさもありなん、という表情。
(だからコイツを柔道部に入らせたくなかったんだ。オレもよく投げられたからなー)
先輩の威厳とかアイデンティティとか色々なものが崩れていく茂であった。
「その目はやめろおおお……」
さて、遅れてやってきた龍子先生。麻理が久留間先輩の妹と聞き(言ってはいないが)驚く。
「偶然とは恐ろしいもんね。今週末の合同練習の相手、久留間先輩のいた三工なのよ」
三工と聞き、巧の目の色が変るのだった。
サイズを変えただけなのに、かわいらしく見える・・・
久留間先輩もやせればショタ人気出るんじゃないか?
でもセンパイって高一の時(3年前)から柔道を始めたんだよね?
マリちゃんはそれより後に初めて黒帯を取ったんだろうか
そうだとしたら兄と同じ事をする妹…なんて淫猥な響きなんだ
なんだなんだ
また幼なじみか
仲安めっ!
麻理ちゃんは本当に強いんだろうけど……
かませ犬扱いされた宮崎に涙(⊃Д`)
841 :
1/3:2008/09/12(金) 21:02:41 ID:???
第94話 因縁の敵
県立三方ヶ原工業高校――ここでの合同練習も二度目ということで現地集合にしたところ、
一年前と同じくまたもや部外者が約一名。久留間先輩である。
「かわいい妹が浜高柔道部の部員として、自分の母校である三工にいくという。
この複雑な関係の中で兄としてできることといえば、そっと見守ることだけです」
という兄の言い分らしい。
「見守らせてやってください」
「そういうふうにいわれるとねえ…」
さて、人数がもう一人足りない。巧はどこにいったのか――?
その頃、巧はトイレの個室で溜め息をついていた。
(どーも、気がすすまねえなあ…いっそフケちまおうかな…)
玉城に負けたシーンを全国放送されてしまった巧は藤田の前に顔を出しづらいのだ。
とりあえずドアを開けると、そこには小用に来ていた藤田。
「ふん…ミョーなところで会うな」「ま、まあな…しかし、そのカッコじゃどんなセリフいっても変だぞ」
合同練習に来た巧に対し、自分は関係ないと言い放つ藤田。
「関係ねーことねーだろ!それともてめえフケる気だな?」
「違うよ。どうしてそういう方向に考えが行くんだい?」
これから三工の選手陣は浜松大学の柔道部で大学生と練習をすることになっているらしい。
「じゃあなバスの時間があるんで」
歩き去ろうとする藤田。その腕を巧はとっさに捕まえた。「おい、待てよ!」
「なんだこの手は。放せよ」
たった一回、マグレで勝ったから自分たちと対等になったと思っているのか――。
藤田は巧の考えを慢心と切り捨てる。
一触即発状態の空気の中、とことこと入ってきた人物が一人。
「男子トイレでした」
麻理でした。あっという間に緊張感が削がれ、臨戦態勢はとりあえず解除。
「おまえんとこの新入生か?さすがに浜高は常識はずれが多いぜ」
「麻理ちゃん、あとでお兄さんにあの人のこといいつけな。とっちめてくれるから」「ハイ」
842 :
2/3:2008/09/12(金) 21:04:08 ID:???
「さあさあさあ。黙って柔道着を着なさい」「で、できませんったら!そればっかりは!」
久留間先輩の怒涛の押しに壁際に追い詰められる桜子。
「ボクは正直怒ってるんだよ。妹が浜高柔道部に入部したはいいが、女のコの部員は他にいないってゆうじゃないか」
こんなごつい連中の中に妹はたった一人の女のコ。兄として心配で心配で」
またもや兄の言い分発動。そういう風に言われると、桜子もなかなか言い返せない。
「だからキミ、柔道やんなさい。うちの妹のためだけに!」
「身もフタもないことを堂々というなーっ!」
久留間先輩のごり押し攻撃に形勢不利と見た桜子。保奈美を巻き込むことを思いつく。
「そうそう女のコはわたしだけじゃないですよ。ここにも一人いるでしょ」「えっ!?」
先輩は保奈美に体育の成績を尋ねる。
「3…です」「5段階評価で?」「いえ、10段階です」
それを聞いて噴き出す桜子。では彼女の成績は?
「えっとおーあたしぃーちょっと鈍くてえー。2ぐらいかなあ――なんて」
可愛こぶって舌を出す桜子だったが、杉と茂がその虚偽を告発する。
「ウソです大ウソ!こいつ体育10です!」「学級一のスポーツ万能女!」
「ほほ――」
保奈美を巻き込み嘘までついて誤魔化そうとした彼女に、もはや拒絶する権利は無かった。
「キマリだね」
「はいっ、本邦初公開!海老塚桜子の柔道着姿だい!」
「こーゆう時はアレだ、馬子にも衣装っての?」
「そーだろそーだろ!何を着ても似合っちゃうつうんだから罪つくりな女だよアタシも!」
「ヤケクソになってやがんな…」
この柔道着は麻理では大きくて着れなかったもの。その親切に涙を流す桜子だった。
「がんばりましょう、桜子先輩」
「ウンウン。こうなったら私も腹くくって女子柔道の星をめざすよ」
とりあえず、この問題は片付いたようである。
843 :
3/3:2008/09/12(金) 21:05:29 ID:???
それにしても癪に障るのは、せっかく合同練習に来ているのに三工の正選手が不在ということ。
練習が始まっても浜高メンバーのテンションはいまひとつ低いまま。
(吉岡先生もナメてくれるじゃん。なんとかしてハナをあかしてやりたいけど)
龍子先生も不機嫌。一方、隅っこで初心者の桜子と石野は受身を教わっていた。
「早く受身ぐらい覚えてくんないと麻理の練習相手が務まんないよ」
次の練習は乱取り稽古。ここで浜高メンバーにスイッチが入る。
「フン、そんじゃボチボチ気合入れてやっか」「ああ」
龍子先生が吉岡先生に尋ねる。
「吉岡先生、部員と大学の柔道部との練習はよくおやりになるんですか?」
「ええ、実はここんとこ一週間行かせてまして」
「そちらは先生がついてらっしゃらなくても大丈夫なんですか?」
「ええ、選手の子は…」「とりゃああ!」
吉岡先生の話を遮るように、杉が一本級の投げを決める。
「……まあ選手の子は目の届かない所でもやるべきことはしっかりやりますからな」
「それは頼もしいですね」
続いて斉藤、茂、さらには仲安までが三工の部員を投げ飛ばす。
「でも、三工の選手といえどもいつも大学生が相手ではかわいそうでしょう?
たまには息抜きがわりに他校の高校生と練習させるのもいいんじゃないですか?」
「またご謙遜を」
とどめに巧が120キロある大石を背負い投げ一閃。三工の部員にどよめきが上がる。
「へっ!わざわざバス乗り継いでここまでやって来てやったのに。
これじゃあれんしゅうにならねえなっ!」
「こ、こら巧クン!」龍子先生も挑発をしていたが、さすがにこの過激発言には慌てる。
「……確かに彼のいう通りですな。これでは明日は選手もこっちに参加させたほうがよさそうだ」
一方、道場の隅ではいまだに桜子への受身のレクチャーが続いていた。
「前受身、横受身、後ろ受身…と。じゃあ次は回り受身いきましょうか?」
「ま、まだあんの――っ!?」
乙女の肌は畳を打ちすぎて、すでにまっ赤になっていましたとさ。
巧、せめて手ぐらい洗ってから腕をつかめ
まさか突然桜子が柔道はじめるとはw
どっちに進むつもりなのか読めねえw
ほんとに似合ってるな桜子の柔道着。
なぜかブリッコ顔も妙にたまらない・・・
仲安地味に強いな。去年の巧たちでもそんなに上手くいかなかったのに。
つーかその仲安を度々投げた麻理って相当強くね?
848 :
1/2:2008/09/13(土) 21:03:48 ID:???
第95話 前哨戦
三工との練習試合2日目。この日は予定を変更し、いきなり練習試合をすることになった。
思い出すのは一年前の練習試合。あの試合が浜高柔道部の一つの転機になったのは間違いなかった。
「あ――あの時ここについてこなけりゃマネージャーにはなってなかったのかかもね。
で、マネージャーになんかならなかったら柔道なんてやらずにすんだのかもね!
柔道なんかしなけりゃこの筋肉痛も全身のスリ傷も!」
「桜子桜子ってば!」
我が青春は終わりとばかりに嘆きの声を上げる桜子であった。
「大丈夫、ちょっとナーバスになっちゃっただけ。フフ……」
「桜子先輩ってあんにゅい」
「そうね、柔道してないヤツにはこんな気持ちわかりっこないでしょ。麻理ちゃんあなただけよ仲間は」
麻理の手に頬ずりをする桜子――のはずだったのだが。
「まあ、麻理ちゃんゴツイ手!柔道やってるとこんなになっちゃうの!?」
「何ボケてんだよおまえは!いきなりヒトの手にぎって!」
「ぎゃあ何であんたの手を私が持ってんのよ!」
コンタクトを外していた桜子。巧の手を麻理の手と間違えたのである。
「オマエが巧の手をにぎってんの見て近藤がたおれてんぞ!」
「きゃー保奈美!事故よこれは事故なのよー!」
その様子を見て藤田が呟く。「相変わらず吉本百連発なみのギャグ集団だな」
麻理なんて本当にギャグの補強を図ったとしか思えない――と言い放つ彼の腕が引っ張られる。
「なるほど、妹の悪口をいってるね」「わっ!くっ来留間先輩!」
妹と聞いて驚く藤田。
「あいつだよ、浜名湖高校に今年入学したのさ。どうしても普通科に行きたいといってね」
額にバッテンマークを浮かべて先輩が迫る。
「キミ、昨日妹のことを常識がないとかいってののしったそうだねえ」「めっ、滅相もない!」
「ウチの妹は性格までボクに似てると言われていてねー。
君に言わせりゃボクも常識がないヤツということになるのかな?」
「い、いえ。そんな…」(こ、粉川のヤロー、そうならそうと…)
たじたじの藤田。それを眺めて巧は笑う。
「試合の前だというのに緊張感のないヤツだな」
849 :
2/2:2008/09/13(土) 21:07:02 ID:???
そんなこんなで試合開始。浜高の先鋒は巧。
対する三工の先鋒は関谷だったが――藤田が交代を申し入れる。
「先鋒かわってくれないか?ヤツだけはこのオレが…」
「藤田クン…一度決めた順番だろ。ズルイよ。いくら藤田クンでもそこまで指図することはできないよ」
そう言われれば藤田も引き下がるしかない。関谷にしても巧は因縁のある相手だった。
「二段の審査の時以来だね。粉川クン」
「そうか、あんたもいたよな。借りを返さなくちゃいけなかったよ」
以前、巧は関谷に敗れていたのだ。だが、巧の台詞は関谷など眼中に無いというようなもの。
(“あんたもいた”だと?よくいうよ。返り討ちにしてやるさ)
ところが――組み合った瞬間、関谷は以前とはまるで違う感触を実感することになる。
(な、何っ!?こ、この力はっ!)
巧は本格的に始めたウエイトトレーニングのせいで、大幅に筋力をアップさせていたのだ。
関谷は声を出すばかりで何一つ攻めることができない。
「何をやってんだ関谷のヤツ?グルグル巧の周り回ってんぞ」「ありゃあ巧の組手を外そうと必死なんだぜ」
動き回っていた関谷が一呼吸いれたその瞬間――巧が関谷の体を引き込む。
「うおっ!」
バランスの崩れたその一瞬を狙って大内刈り。
しかし受けの強さには定評のある関谷、何とかこれをしのぐ。が――それで終わりではなかった。
大内刈りから連続での一本背負い。これにはたまらず投げ飛ばされ、「技あり」。
(以前戦った時の粉川ではない。力もスピードもまったく違うっ!)
慄然とする関谷。まともに組んでは勝負にならない。とにかく先手を、と組み際の勝負に出る。
関谷の背負い。だが、巧に背を向けた瞬間、その腰の帯をつかまれた。
「しまった、つかまった!返される!」
慌てて体を戻したその一瞬の隙を狙い、巧の左一本背負いが炸裂。「一本!」
巧は裏投げにいくと見せかけて帯をつかんだだけ。フェイントだったのである。
「確かに借りは返したぜ。半年分の利子付きだ」
もう関谷はダメだな…というか藤田以外扱い酷いな、三工
851 :
1/3:2008/09/14(日) 21:10:14 ID:???
第96話 三工の反撃
巧の勝利に活気付く浜高。続く茂も一本勝ちを宣言。その様子を三工の端本は忌々しげに吐き捨てる。
「カスが調子づくんじゃねえってんだ」
巧が思い出すのは藤田の言葉。
『きさまらに負けて4か月間、三工がどんなに厳しい練習を積んできたか』
(油断すんなよ宮崎…)
第二戦は茂VS端本。麻理が来留間先輩に二人のうちどちらが勝つか尋ねる。
「う――ん、そうだねえ。はっダメダメ!ボクは三工のOBだぞ!
麻理はもう浜高の人間なんだから情報をいうワケにはいかないのさ」
「わあ厳しい。勝負の世界では容赦なく厳しいヒトですね兄さん」
「わはは、おぼっちゃまくんじゃないよ」
(誰かこのヒトたち、なんとかしてよ)
来留間兄妹のノリについていけない仲安だった。
試合では端本が茂の奥襟――というより背中に近い位置をつかみ、茂の動きを封じていた。
(ちっ、変なトコ持ちやがって。このお!)
(今だっ!)
組手を外そうと茂の動きが雑になったその一瞬の隙、端本の払い腰一閃。茂は畳に叩きつけられる。
良いとこなしに終わった茂に杉が苦言。
「おまえなあ、もっと動かなきゃだめだろが!」
「そ、そんなこといったってなあっ!」
三戦目は杉VS蜂野。積極的に攻めていく杉だったが、
内股に入ろうとしたその瞬間に小外刈りであっさりと返され、あえなく秒殺。
(狙ってたのが見事にハマったってカンジだったな。杉が内股に来るのがわかってた?)
巧の懸念は杞憂ではなかった。
四戦目、三溝VS武戸。ミッタンの払い腰を武戸は寸前で引き手を切ってかわし、
体勢を崩したミッタンをそのまま押さえ込んでしまう。
あえなく三連敗を喫した浜高。実際の試合なら、この時点で団体戦の負けが決まってしまうところである。
852 :
2/3:2008/09/14(日) 21:13:51 ID:???
「返し技が多いな。気づいたか巧?」
斉藤の指摘に巧は頷く。
「つまり浜高のことを研究されてるってコトだろ」
「そのようだ。こっちの技がほとんど読まれてるからな」
実力的にはやはり三工の方が浜高より上――そんな三工の部員の声が面白くない仲安。
「斉藤先輩ファイトォ!浜高の本当の実力見せてやってください!」
(そういわれてもなあ…オレの相手藤田だからなあ…)
第五戦、斉藤VS藤田。
(浜高の斉藤!いっぺん闘ってみたかったヤツではある…)
浜高メンバーの中ではエースの巧と並ぶ実力者である斉藤。藤田もやはり興味があった。
(こいつなかなかやるな!組んだ瞬間に違いを感じるぜ)
内股を狙いに行く藤田。斉藤はそれを寸前で止める。
藤田が体を戻そうとしたそのとき――逆に斉藤が大内刈りで藤田を刈り倒す。ポイントは「有効っ!」
「まあ自分たちのことは…おいといて」
「どんなもんじゃいおらあ!斉藤のテクの前にゃ藤田もかないませんなあっ!」
大騒ぎの杉たち。つくづく恥知らず軍団である。
ポイントをリードしながらなおも果敢に足技で攻め立てる斉藤。内股をしかけにいったそのとき――。
「!?」
空を切る足。何と藤田の内股すかし。体をひっくり返されて斉藤は一本負けをしてしまう。
(くっ…!藤田が内股すかしをやるとは…!)
元々内股を得意とする藤田。内股すかしをくらわないよう日頃から研究をしていた彼自身が
この技を身につけてしまったのである。
853 :
3/3:2008/09/14(日) 21:15:23 ID:???
ともかくもこれで練習試合は終了。為すすべもなく敗北し落ち込む杉たち。
と、そこで――巧が吉岡先生にもう一試合申し込む。
「キミは藤田とやりたいんだろう?気持ちはわかるがな…」
練習試合とはいえ気持ちは本番と同じでなければ意味が無い、本番で組み合わせがよくなかったからと
やりなおしはきかないだろう――と、微妙に論点がずれてるにも関わらず、説得されかかる巧。
「どうしよう、なんとか巧クンに試合をさせてあげられないかな?」
「え――っ、まだやらせんのお?しょーがないなあ…」
巧の心情を思う保奈美のために、桜子は一計を案ずる。
「ヘイヘイ三工の藤田もたいしたことないなあ!!ビビってんじゃないの?巧クンに!」
「な、な、な、なにお――――っ!」
桜子の安っぽい挑発に、あっさりと激昂する藤田。
吉岡先生が何とかなだめようとするが、
「ボク浜高の粉川がこわーい。先生お願い守って(ハァト)」
「そこまでゆうか――っ!」
追い打ちをかけられてもう止まらない。
そこに湧いて出てくる来留間先輩。
「まあまあ先生、別にたいしたことじゃないでしょ」
「く、来留間放せっ!」
とにもかくにも――対決は実現。火花を散らす巧と藤田であった。
(まっ、いいか…)
「こら〜っ!勝手なマネはゆるさんぞ〜」
ホント桜子は人を挑発することにかけては天才的だなw
桜子w悪魔かw
卒業生さすがだな、怖いもんねーやw
桜子と久留間先輩の独壇場だなw
どうでもいいけどミッタンまた負けかよw
桜子中身は小学生男子だろw
しかし仲安、麻理と幼なじみということは
来留間先輩とも幼少から知っていたのか・・・キョーレツ
859 :
1/4:2008/09/15(月) 21:09:22 ID:???
巧がついに藤田と試合をするとあり、興奮を隠せない仲安。と、龍子先生が試合の前に巧に一言。
「これはあくまで練習試合なんだからね。そこんとこ考えて絶対にムチャしないように」
第97話 オーバーヒート
つまりケガだけはするなということ。もう来月は地区予選。ここで何かあれば大変である。
(まったく、身長は伸びても考え方は相変わらずこどもなんだから。あーあ、デキの悪い弟持った気分よ)
審判は来留間先輩が務めることに。両校の気勢も上がる。
「よーし藤田ァ、やるからには負けんじゃねーぞ!」
「粉川は今日ただ一人浜高出勝ち星あげたヤツだからな!」「勝てば三工の完全勝利だ!」
「巧――っ、本当にやる気かよ!?」「てめ、勝算があるんだろーな!!」
「恥の上塗り状態だけはカンベンしてくれよっ!」
「おまえらなーっ!」
桜子は少々疲れ気味の気分。
「ハハ…なんとか試合には引っぱってやったけどね…でも本当にこれでよかったの、保奈美?」
「えっ?」
それはともかく試合開始――。
「始めっ!…っていったら、始めんだよ、キミたち」
来留間先輩のくだらない一言で全員大コケ。
先輩の顔を両手でプニプニとして問い詰める桜子。
「ねえ、それいつのギャグ?江戸時代?安土・桃山時代?」
「キミもギャグに関しては容赦なく厳しいヒトだね。反省してるよ」
改めて、今度こそ試合開始。
保奈美は戻ってきた桜子に先ほどの言葉の意味を尋ねる。
「龍子先生はあーいってたけどさ。あの二人が相まみえてムチャすんなっていってもねえ」
まあ、どうせどちらも手加減などするはずがない。そのときはそのとき――。
860 :
2/4:2008/09/15(月) 21:10:36 ID:???
対峙する巧と藤田の両名。
今まで何度も戦っている同士、互いに手の内を知らないわけではない。
どちらもうかつに踏み込んではいけないところである。
観戦していた斉藤が心の中で呟く。
(手の内なんか読むな、巧!おまえにはそんな柔道は似合わない。
柔道の強いヤツってのは二通りだ。
敵の攻撃パターンをいくつも研究してあらゆる状況に対処できるようになるまで練習を重ねるヤツ。
もうひとつはそういった経験で得たことよりも自らのカンが先に立つヤツ。
これはもう性格だ。根本的に攻めていくという発想しかないようなヤツだ。
前者はオレや藤田だ。しかしオマエは明らかに後者のタイプだ。
オマエは自分の柔道をやれ。それしか藤田に勝つ方法はない!)
激しい組手争いから、先に仕掛けたのは巧。
絶好のタイミングの左背負いだったが、きわどいところで藤田が襟をつかむ巧の手を外す。
「くっ、惜しい!」「藤田の足は浮く寸前だったぜ!」
「すっげえいいタイミングで背負いが入ったのに!」
巧のその攻撃に、藤田の感情も昂ぶる。
(ちっ、コイツ無茶なマネを…!あんな体勢からこのボクが投げられると思ってるのか!
そっちがその気ならこっちにも考えがある!)
そのとき、吉岡先生の声が飛んだ。「藤田!」
「これは練習試合なんだぞ!そこんとこをもう一度肝に銘じとけ!」
しかし藤田は返事をしようとしなかった。先生の言葉を無視したのである。
「ほらほらむこうも頭が沸騰しちゃってる。こーゆーノリが好きなんだから、男ってバカ」
その様子を見て笑う桜子と、ハラハラしながら見つめる保奈美であった。
861 :
3/4:2008/09/15(月) 21:11:42 ID:???
藤田の足が巧を狙う。「大内?」
しかし浮き上がったその左足が空中で軌道を変化させる。
「やはり内股だっ!こらえろ巧っ!」
斉藤の声が飛ぶ。
大内から内股への連続技――しかし、それを巧はなんと藤田の胴を抱え込み、裏投げで迎撃。
「なにい!?」「バカな!あれを返せるのかっ!?」
(こ、このっ!)
しかし藤田はそこからさらに大内刈りへと変化――!
もつれあって畳に転がる両者。判定は?
「よくわかんなかった。どっちもなしよ」
両腕をバッテン交差させ、来留間先輩は無効宣言。あのねー。
「来いおらあ!」「野郎っ!」
高まるボルテージ、激しくなる攻防戦。
その最中、巧は藤田に押されて道場の壁に激突する。
「こらあ、場外だよ!キミたち!」「フン!」
ふてぶてしい態度で戻ろうとする藤田。
「ゴホッ!わ、わざとだな…んのヤローッ!!」
巧はその背中に向かってラグビーさながらのタックルを決めた。
862 :
4/4:2008/09/15(月) 21:12:41 ID:???
「こらこらキミたち」
畳に倒れた藤田は「……痛ーな」巧の顔面を足で蹴りつける。
「こっちがおとなしくしてりゃ、つけあがりやがって…」
「ボクが“待て”といったらね」
それに対して巧は「どっちがだっ!」藤田の鳩尾に蹴りを入れる。
「開始線のところへもどってね」
もはや審判のことなどまるで目に入っていない二人。
「いかん、やめさせろ!もう試合どころじゃない!」
「なんなんだよ!?」「ありゃ二人とも完全にキレてるぜ!」
それぞれのチームメイトの制止もかまわずに互いに吠えあう巧と藤田。
「てめえが先にやってきたんだろーっ!壁にクッションがなかったらどーなったと思ってる!」
「バーカ、クッションのある場所だから押しつけたんだよ!」
「あーっ、認めたな!わざと壁にぶつけたって認めたな!」
「ギリギリ反則じゃない!先に反則してきたのはそっちだかんな!」
(こ、こいつら同じだ…闘争心の強さは巧も藤田も…)
そのあまりといえばあまりな様子に呆れるしかない桜子たち。
「子供のケンカだね、もう」
「あの――、近藤さんがまた気絶してますけど……」
863 :
業務連絡:2008/09/15(月) 21:14:05 ID:???
次回は一回休載して、単行本10巻のおまけを紹介します。
>(こ、こいつら同じだ…闘争心の強さは巧も藤田も…)
闘争心の強さなんて言葉より
>「子供のケンカだね、もう」
こっちの方がしっくりくる
互いに手の内を知らないわけではないって内股すかしは?
867 :
1/3:2008/09/16(火) 21:14:31 ID:???
○単行本10巻 (表紙:近藤保奈美 裏表紙:粉川巧)
・四コマその1
1.桜(さよ)「一休さん見て!」
『この橋わたるべからず』
桜(さよ)「さっそくつかいふるされたトンチよ!」
2.巧(桔梗屋)「バーカめ、よく立て札を見んか!
“橋”とかいてあるからな、“端”は歩けんのじゃよっ!」
3.「どこだね?勝手に橋を通行止めにしたヤツは!」
杉(一休)「あのヒトです」
巧(桔梗屋)「げっ!」
4.「ちょっと署まできてもらおうか!」
巧(桔梗屋)こ、これにはワケが!」
保(弥生)「ひきょうものっ!」
杉(一休)「あんたがたにそんなこといわれたかないな」
あわてないあわてない、一休み一休み。
868 :
2/3:2008/09/16(火) 21:15:39 ID:???
・四コマその2
1.三(新右ェ門)「また将軍さまは仕事もしないでこんなことばっか…」
茂(将軍さま)「うるさいわ新右ェ門!」
「ぉ〜一休どの、みての通りわしは病気じゃ」
杉(一休)「ハイハイそれで?」
2.茂(将軍さま)「わしの体のガン細胞をとりだしてほしい。
ただし、わしは血をみたくない。
血を一滴も流さずガン細胞だけとりだせるかな?」
杉(一休)「ほほう“ベニスの商人”できましたな」
3.杉(一休)「わかりました。私はそういう手術の方法を知ってます」
茂(将軍さま)「なに、まことか?」
杉(一休)「ところがそれはものすごーくいたいです」
「いいですか?カクゴをきめてくださいよ。なにしろ
ものすご〜くいたいですから」
茂(将軍さま)「うっ……」
4.茂(将軍さま)「くそーっ、ウソだとわかってるのにいーっ!」
三(新右ェ門)「また遊んでやってくださいね」
杉(一休)「あんたも大変だね――」
はーい、しょうもなかった? じゃんんねいー!
869 :
3/3:2008/09/16(火) 21:16:44 ID:???
・大反響の第10回サンデーコミックス名物『絵筆をもってね!』
選評/河合克敏 応募総数:1232点 入選:55点
グランプリ:埼玉県・舞部一乃〔杉兄妹・斉藤・茂・ミッタン各一通〕
準グランプリ:山口県・ニューハーフすみれ(ハァト)〔帯ギュキャラ一同〕
鳥取県・イケイケ桜子〔帯ギュキャラ一同(太平記)〕
topix:千葉県・永田にえん〔帯ギュヒロインズ〕
東京都・モッコ〔斉藤(ひとくちゲロを飲んじゃった斉藤くん)〕
高知県・遠山錦四郎〔浜高メンバー(笑点・座ブトン持ちのマリ〕
宮城県・ババンゴ〔巧?・保奈美?(必殺仕事人風)〕
やべえ、杉の一休さんがハマりすぎだろw
癌摘出手術でなくても手術は麻酔するから血なんてみないよね
全身麻酔ならそうだろうけど部分麻酔の手術もあるからなぁ。
術中、ライトの銀色の部分に映っている手術されてる自分を
ずっと見てたという人も居る事だし。
菱沼さんのことかーーーっ!!!
874 :
1/4:2008/09/17(水) 21:18:58 ID:???
第98話 袋小路
新生・浜高柔道部の初の対抗試合となった三工との練習試合。
秋の選手権予選で勝っているだけに余裕を持って挑んだ試合だったのだが、
巧以外は全員黒星という屈辱的大敗を喫し、インターハイ予選を前に不安なスタートとなってしまった。
三工との練習試合からずっと放心状態のメンバー。
ゾンビさながらにその目には生気がなく、これでは練習にならない。
そこで龍子先生が「負けたのが練習試合でよかった」と考え方を変えてみるよう提案。
本番前に相手の実力を思い知ったわけだが、
それを知らずに本番やっていた方がコワイことになっていたのだ。
「そうだ、そうなんだ!」
「オレたちついてるうっ!」
「今、風は浜高に!」
「その意気よ!まさしく風は我々に向かんとしているのよ!暗く落ちこんだ空気なんてすっ飛ばしなさい!」
そう言って龍子先生が道場の窓を開いた瞬間――吹き込む突風。
飾ってあった選手権とインターハイの賞状が一枚残らず床に落下。
「や、やっぱりダメだあ!」
「不吉すぎるうっ!」
ぐにゃあ、と歪む杉たち。
「先生…責任とって…」
875 :
2/4:2008/09/17(水) 21:20:14 ID:???
それに比べて元気なのは女子の二人。
いつのまにか桜子は麻理の投げを受けられる程度には受身を身につけていた。
「やってみると柔道もちょろいかあ?」
「なにをいっとる。来留間の技がうまいから受身がとりやすいのだ」
女子の指導をしている典善が調子に乗る桜子に苦言。
「じじいの小言がうるさいからマジメにやろうか麻理ちゃん」「なにーっ!」
「ハイ!」
早速、麻理と桜子で乱取り開始。
麻理のしかけた大内刈りから左背負いの連続技を、「うわっとおっ!」寸でのところでかわす桜子。
「あんた速すぎるよ麻理ちゃん。ヒュンって感じだもん」
そんな桜子をじーっと見つめる麻理は、
「いきますよ。かわしてくださいね、先輩」
と、いきなり膝車。そこから変化して「やっ!」
――体落とし!
ところが桜子は右足を前に出してそれを防いでいた。
「なによう麻理ちゃん!あんなに低い技かけないでっ!」
文句を言う桜子。しかし「すごい桜子先輩!」麻理はそれを大絶賛。「へっ?」
「連続技ですよ、今の!2つめの技の体落としにも即座に反応してかわせるなんてスゴイ!」
そう言われても桜子にはとっさのことで、何も覚えていなかった。
彼女の反射神経に典善も、巧も驚きを隠せない。
「桜子先輩ってきっとすごく強くなると思うな――。技も早く覚えましょうよ」
(こーやってどんどん深みにハマっていくような…
ダイエットでもできりゃいいけどガニ股と偏平足だけには気をつけないとね…)
876 :
3/4:2008/09/17(水) 21:21:35 ID:???
翌日、教室で向かい合って話す保奈美と桜子。
美少女二人が並ぶ光景に見惚れるクラスの男子たちだったが、その会話の内容はというと――。
「まったくシャレになんねえってのよコレが。全身の筋肉っちゅう筋肉がもう痛くて痛くて。
でもシップとかの薬ってさあ臭いじゃん。困っちゃってさあ、なんかいい薬知らない?」
「さあ…そういわれても…」
色っぽさとかそういうものとは180度正反対のやり取りでしたとさ。
そこにやってくる巧。プレゼントだと桜子に何やら包みを渡す。
「よかったね桜子。開けてみれば」
「ははァ…なんかたくらんでるねあんたたち、きっとグルだよ」
包みを開けてみると中から出てきたのは『サルでもできる柔道教室』。初心者向けの教本だった。
「オレの使ってた本でちょっとボロいからな。包んどきゃありがたみが出るだろ?」
ちなみにラッピングをしたのは保奈美である。
無理やり柔道をやるハメになった桜子のために巧が用意したのだ。
柔道の面白さを桜子に説く巧。投げの決まった瞬間のスカッとした快感を語るが、
「どーゆーふうに?」と不機嫌そうに問い返される。
そこで巧が例えたのは野球のホームラン。
「ホラ、球技って1点入れてもそこで勝ったコトにならねえじゃん、ほとんど。
でも柔道の1本ってのはホントにその一瞬でキマるんだよな。
そんなの他にはサヨナラホームランぐらいだろう?それと同じぐらい気分いいって」
「ふうん…わかったようなわからんような…」
877 :
4/4:2008/09/17(水) 21:22:57 ID:???
部員たちのたるんだ空気はまだ治らない。
巧は斉藤に何とかするように言うが、結局、これ以上何をすれば強くなれるのかが見えてこないのだ。
三工は大学の柔道部と練習をしているという。
浜高にもそういう強そうなところとコネがあれば――。
隣では桜子が打ち込み稽古。彼女は巧と同じく背負い投げをメインに選んだらしい。
女子の二人に付きっ切りの典善を巧がからかう。
「よォ、おっさん女ばっか教えんなよ!このヒヒじじい!」「誰がヒヒじじいだっ!」
「初心者の方が教えがいがあるんだよ。変なクセもないし。
おまえらの相手だと警察の道場で教えるのとあまり変わらんからな」
典善のその言葉に巧たちは思いつく。
「あるじゃねえか強いトコとコネが!」
「オレらにゃオッサンがいたもんなあ!」
そいうやオッサンは三工の顧問と知り合いだったな
ということは、けーさつかんとやるのか。
ポリスメンって強いのか?なんか自転車に人間乗ってるんじゃなくて、自転車が肉塊運んでるよーなのとかたまにいるけど。
パ○レイバーと柔道ですねわかります
婦警さんと寝技の稽古ですねわかります。
>>879 強くないわけなかろう
というか強さよりも体育会系の社会だからそっちが大変なんだけど
警察庁?警視庁?の中層部以上の方々は
ものすごい縦社会と足のひっぱり合いという印象だが
交番勤務の年配の巡査なんかは、ひっどいのばかりだからなぁ
しかし保奈美も桜子も、クラス内では美少女扱いなのな
桜子は猫かぶりの学校生活なのか…
> 交番勤務の年配の巡査
両さんのことですね
885 :
1/3:2008/09/18(木) 21:21:32 ID:???
「ケーサツってこんなふうになってんだな。緊張するな――」
「どーせ高校卒業すればちょくちょく来るようになるんじゃねえの、おまえは」
茂に対し笑えない冗談を飛ばす杉。
「お父さん本当にこんなこと頼んで大丈夫?」
「まあ、外部の人間と練習すること自体は何も問題はないが。むしろおまえらのほうが心配だけどな…」
第99話 県警の猛者たち
「あ――っ!倉田先生ーっ!」
稽古を中断して愛想の良い男が手を振る。木下と呼ばれた彼はどうやら責任者らしい。
「聞いてるぞ、全国大会行ったんだってな。卒業したら警官になれよおまえら」
いきなり勧誘を始める木下。特にミッタンがお気に召した御様子。
それにしても交番に入ってたりパトカーや白バイに乗ってたりするのが似合わない連中ばかりなのだが。
「機動隊だよ。こいつら全員な」
「あっ、な〜るほど…えっ?機動隊!?」
機動隊といえば暴動の鎮圧やヤクザの警戒のときなど、
警察の仕事の中でも一番危険なところで体を張っている人たちである。
彼らの気を下手に荒立てることのないよう大人しくする杉たちだったが、そこで巧が挙手。
「その前にちょっと質問。県警ってどのくらい強いんスか?」
あまりにも大胆な質問。木下の目が光る。
「坊主、なんでそんなことを聞く?」
「実はそれがこいつらのねらいでな。優勝候補の三方ヶ原工高が大学の連中と稽古してるんで
対抗して県警とやりたいんだと」
代わって説明する典善に納得した様子を見せる木下。
「聞いたか西久保?」「ええ」
話を振られたのは、西久保という目つきの鋭い男。
「ナメられたもんスね。どうやらこいつら県警をまるで知らねえらしい」
「へっ?」
「まァ実際稽古してみりゃわかるんじゃないの?県警の実力」
886 :
2/3:2008/09/18(木) 21:22:47 ID:???
「ハイハイすぐ立つすぐ立つ!!まだ乱取り始めて1時間もたってないんだぜ」
「ほらどしたァ!もうダウンか!」「なんだあそりゃあ!ちんたらした技ァ、かけてくんな!」
これが県警柔道の実力か。まがりなりにも全国大会出場チームである浜高メンバーがまるで手も足も出ない。
(こ、こいつら、マジでおっそろしく強えや…)
手加減なしで徹底的にやってかまわないと典善から通達があったそうだが、それを聞いた龍子先生が驚き怒る。
「本気なの!いくらなんでもレベルが違いすぎるわよ!だいたい県警の人たちみんな――
全国的に柔道の強い大学出た人たちばっかしで、木下サンと西久保サンは昔全日本選手権に出たことがあるし、
国体の代表選手だっているのよ――っ!」
“えっ!?”
県内の大学どころではない、巧たち高校生からしたらまさに雲の上の話。
(な、なるほどね…こりゃスゲェ世界だこと…)
典善が麻理や桜子を連れてこなかったのも当然、ついてこれるわけがないからである。
投げられながらも巧はなおへこたれない。
(とにかく。この練習で何かをつかまなくちゃ…一発だけでも投げてやる!)
ちょうどその頃、浜高では…。
正座して正面に相対する麻理と桜子。
「それでは、始めましょうか」「ハイ」
反射神経訓練その1、として二人が始めたのは「あっち向いてホイ」
(だんだん速くなってくるのよね、コレ。二人とも反射神経いいからすごいスピードに達してる…)
それはもはや保奈美の目で追えるようなものではなく、「あちむてふあいっ!」「あっ!」
桜子の勝利で決着がついた。
「ハァハァやっぱり強いですね、先輩」
「ホホホ、あなたもなかなか強くってよ岡さん」
今度は保奈美が桜子に挑戦。
「あっち向いて」「ホイ!」
超スローの一回目であえなく撃沈する保奈美。
「……弱すぎる」「今度は、今度はもっとしっかりやるから!見捨てないでー!」
887 :
3/3:2008/09/18(木) 21:24:42 ID:???
再び県警道場。歯が立たないまでも果敢に挑み続ける巧に西久保は感心する。
(コイツなかなかへたばらねえ。見どころあるな…)
巧のしかけた足技を西久保が迎撃しようとしたそのタイミング――
“はっ!”
西久保の足を巧は反射的にかわし、そのまま一本背負いに入る。
「せいやああ!」「なにっ!?」
畳に転がる両者。
「ち――っ!おしい!これじゃ技ありにもならねー!」
投げの形は完全に崩されたため、ポイントで言うならせいぜい有効か効果どまりではあろうが、
それでも県警柔道部にどよめきが起こる。
「西久保さんだぜ、今、投げられたの…」
「んなバカな、投げられてやったんだよ。冗談キツイぜ、あの人も」
彼らは西久保が手加減をしてわざと投げられたのだと思ったようだが――。
当の西久保は巧に笑顔を見せた。
「小僧、おまえ…なかなかやるじゃねえか」
「いやあ…まだまだまだ…」
> 典善が麻理や桜子を連れてこなかったのも当然、ついてこれるわけがないからである
その麻里に投げられた宮崎はつれてきてもいいのかよw
いやまあ体力的な問題だってのはわかるけどさ。
て言うか、県警に女子の部って無いの?
女子部がないのなら
桜子&麻理を連れてはしっこで練習させておくだけで
きっと県警柔道部の方たちは喜んだだろうにね
あっち向いてホイに必要なのは、動体視力と反射神経だろうか
つーかあっちむいてホイに運動神経とかって関係あったのか。
あれって完全に運任せなものかと思っていたぜ。
相手の指の動きをギリギリまで見極めてるってことなんだろうけど、そんな発想自体したことなかったわw
集中して一点だけ見続けながら自分も動いて対応…
一呼吸する暇もないぞ。連続してやるのは疲れるわ
実は奥が深い遊びなんだな
>全国的に柔道の強い大学出た人たちばっかしで、木下サンと西久保サンは昔全日本選手権に出たことがあるし、
>国体の代表選手だっているのよ――っ!
ナイス説明台詞
895 :
1/3:2008/09/19(金) 21:21:37 ID:???
第100話 桜子、麻理に技を教えてもらう
「それじゃ私、そろそろ時間だから」
浜高文化祭、クラスの出し物の準備中、脱け出そうとする保奈美だったが、
そこで待ったをかけたのはお久しぶりの女子テニス部員、麻礼葉サン。
「クラブ活動とかいっちゃって。聞けば近ごろ道場には男子部員の姿なんて見当たらないそうじゃない」
そんな暇な部のマネージャーが文化祭の準備を脱け出してもいいのか、と責める彼女。
ところが、クラスの男子たちによる大反撃が巻き起こる。
「あのコにゃちゃんとつきあってる男がいるのよ」と怒る麻礼葉だったが。
「わかってるよ、わかってはいるんだよ〜!」
「でも近藤サンはウチのクラスの『守ってあげたい女のコ』ベストワンなんだからしょうがないだろー!」
涙を流して信念に殉じる男子たちに「きゃあ――っ!」と恐れをなして逃げる彼女だった。
道場では桜子が麻理を相手に技の勉強中。
その横を県警道場へ向かうべく通り過ぎる杉たちの姿はこの一週間でずいぶんとやつれ果てていた。
(おーし、今日こそ県警の連中投げてやるからなあ!)
その中で巧一人が例外に元気一杯の様子。
今日からは龍子先生は男子の方にはついていかない。女子の方を見ていなければいけないからである。
先生から交通費を受け取る杉。そこに保奈美到着。
文化祭の準備を脱け出してきちゃったと笑う彼女に、今年は皆がバラバラだからつまらないと巧も同意。
ここで茂が杉に提案する。
「サボるんだよ。毎日毎日こんなハードな特訓したんじゃ体がもたねえや」
先生がついてこないのをいいことにエスケープしようというのである。
斉藤が止めようとするが、杉は茂の方に同調。「決断を下す。サボる」「こら――っ!」
今日一日だけ骨休め、とか言っているが、このままでは転がり落ちるように堕落していくのは明白だった。
そこで斉藤は巧たちの方を示す。
保奈美は一枚の絆創膏にキスをし、それを「巧クン用のバンソーコー」などと手渡す。
巧は沸騰するまでに赤面。そのやり取りの一部始終を見せつけられた男たちにスイッチが入る。
「オラオラ行くぞこのやろう!」
「男にゃ戦いの場が待ってんだよ!」
「警察だろーが自衛隊だろーが相手になってやら――っ!」
896 :
2/3:2008/09/19(金) 21:22:54 ID:???
桜子は麻理と保奈美を相手に三人打ち込み。
「一週間でずいぶんうまくなりました」と麻理に褒められるものの、
巧の言う『スカッとした感じ』が彼女にはまるで分からない。
次は麻理の打ち込み――というところで練習を見ていた龍子先生にお呼びがかかる。
「何をすればいいの?」「私の帯を持っててください」
保奈美の腰に巻かれた帯を先生が持ち、打ち込み開始。
麻理が背負い、桜子が受け、保奈美だけでは支えきれず、先生までも引っぱられてしまう。
「大丈夫ですか先生?」「なるほどね…補助が2人必要なワケがわかったわ」
三人打ち込みどころではない四人打ち込み。その光景を女子剣道部の皆さんが呆れかえって眺めていた。
「桜子先輩はメインの技が背負いですから――次に足技の小内刈りを覚えるといいですよ」
「ふーん、どうして?」「連続ワザになりますから」
乱取りの前に桜子は麻理から技のアドバイスを受ける習慣になっていた。
この場にいる4人の中で最も柔道に詳しいのがまりなのでこれはしかたがない。
ただ、どこからかひじ立てを持ってきた桜子の態度は、どう見ても人に教えを請う者のそれではなかった。
実際に小内刈りから背負い投げの連係をやってみることに。
ゆっくりと一つ一つの動作を分解して教える麻理に感心する桜子。
「麻理ちゃんってばひょっとして天才なんじゃないの?」
「昔からある技なんですよ」
それはそれとして――先生が麻理に総体予選に出ないかと勧める。
大会に出られるとあって全身で喜びを表現する麻理だったが、ここで問題が。
麻理は体重が40キロしかないが、女子の階級は48キロ以下級が最小なのでその階級で出るしかなく、
しかも48キロ以下には全国優勝の佐鳴高の袴田さんがいるのである。
「そうなんですよ!」
むしろノリノリの麻理。彼女は中学生の頃から袴田さんに憧れていたのだ。
「プリチーさではタメはれるんじゃないかと思ってるんですけど」「ほお〜」
まあ、それはともかく。
「その袴田サンと試合ができるなんて!ユメのようですたい!」
897 :
3/3:2008/09/19(金) 21:26:40 ID:???
とことん舞い上がっている麻理。「わたしやります。これからもっと練習しなくちゃ!」
目を輝かせてヤル気満々なのはいいのだが――。
「桜子先輩もがんばりましょう!」「ハイハイ」「試合出ましょうね!」「あーあー」
「えっ!?あたしも出るの!?」
いつのまにやら桜子までが大会に出場する話の流れに。
麻理一人で出るのも確かに心細いのだが、この場合、桜子の経験の方がよほど心細い。
「そうと決まれば練習練習」
「決まってないっつーの!強引なトコは兄貴とおんなじだよ、あんた!」
一方、県警の道場では――この一週間のうちに、乱取りも何とか形になるようになっていた。
「どうだ、木下くん、ヤツらの感じは?」
「いやあ、やはり若い者は飲み込むのも早いですよ」
来た当初には技が全てスパッと決まっていたものだが、動きに慣れてきたとみえ、もう今では
5分に一発か二発ぐらいしか決めさせてくれないという。
「てやっ!」「うおっとお!」
西久保に背負いをしかける巧。だが、やはり成功はしない。
「そーら!まだまだあまーい!」
その様子を見て木下が嬉しそうに笑う。
「フフン、また、あの粉川ってガキだな…」
特に巧はときどきヒヤッとするほどいいタイミングで来るという。
県警側としても高校生にやられるワケにはいかないので、巧とやるときは気が抜けないのだ。
「ところで倉田さん、そろそろ今週の末にでも――ヤツらにこの稽古の仕上げをさせたいんですが」
展開はえー
100話か…頑張ったな
あれ?
「同じ技を続けてかける=連続技」
「違う技を続けてかける=連絡技」
って確か体育の授業で習ったんだが
共学なのに、巧以外はまだ彼女いないのか…。
杉とかモテそうなのに。柔道部らしいが。
柔道部ってのはそれだけでモテない要因となるからな。
彼女持ちってのは柔道部に入る前から彼女を持っていたか、
あるいは同じ柔道仲間でくっつくのがほとんどだ。
へ〜。高校は柔道部がなかったので実感ないな。
まぁ花形が野球サッカーバスケなのは確かだ。
女子部があるか女子マネがいれば違うだろうし。
あと意外と陸上?異論は認める。
浜高に女子剣道部はあったようだが…龍子先生なにしてはるんですか?
バスケなんて全然人気なくね?
サッカーはかろうじて来年にもプロ化されるとか何とかで
ちょっと部員が増えてきたけど、基本的には野球部の一人勝ちだろ。
905 :
1/4:2008/09/20(土) 21:04:05 ID:???
第101話 最後の特訓
居並ぶ県警の猛者たちの前に、汗を浮かべる浜高の五人。
「こ、これが…?」「最後の仕上げってヤツなの?」
20人総当り乱取り。5分交代で県警の選手20人全員と当たっていくわけで、
向こうは7人相手だから35分、こちらは20人分で1時間40分、乱取りを続けるのである。
「まあ、いいか、これで警察のオッサンたちとも最後なんだ!」「気合入れていくぞお!」
掛け声と共に向かっていく5人だったが、あっさりと投げ飛ばされる。
「やれやれ、こりゃとんでもない荒稽古だ。乱取りはスキあれば互いに投げ合う、
完全に全身運動ですからな。おまけに実力的にはるか上の県警の方が時間が短いので集中できる。
反対に子供たちの方は1時間40分気を抜くこともできずに相手をしなくてはならない。
はたして何人が最後までもつか?」
木下の言葉を典善は肯定する。
「その通り。これは最後までやりとげるのが目的なんです」
これを乗り越えればプライドが生まれる。今後、試合の時にどれほど苦しい局面になっても、
相手はこんな苦しい経験はしていない。そんな相手に負けるはずはないという自信を持てる。
「しかし、あの小僧に関しては…何かをつかみかけてる。そんな感じがするんですがね…」
その視線の先には巧が。
巧は県警の選手に背負いをしかけるが、それをかわされて逆につかまる。
「ほ――れシメちゃうぞっ!ナマイキなガキはっ!」
「わ――っ!こ、これって寝技はナシでしょっ!」
(コイツ…技にはいるタイミングはむちゃくちゃいい。けっこう今のはヤバかった)
906 :
2/4:2008/09/20(土) 21:05:34 ID:???
そろそろ一時間が経過。体力的には一番きつい時間帯である。
茂は一旦タイムをかけ、バケツにゲロを吐く。
「そろそろダウンか?まだ8本も残ってんだぜ」
「ぺっ!もう慣れちゃいましたよ。こんなの。さあ、やりましょーか」
これまでの特訓で、彼らは肉体的にも精神的にも確実にタフになっていた。
というところでもう一人、今度は石野がダウン。
まだロクに技を持っていない石野は投げられっぱなしのため、これはしかたがなかった。
典善は石野を運び出す仲安にも一緒に休むように言う。
「おまえらにはキツすぎると思ってたしな。どちらかがダウンしたらやめさせようと思っとった」
「そ、そうだったんスか…」
と、そこで石野が起き上がる。彼は体力の限界で倒れたのではなく、脳震盪を起こしていたらしい。
「も、もどらなくちゃ…」「無理しなくていいぞ、大丈夫か?」
「ええ、体力的には、まだまだやれます」
というわけで、休めると喜んでいた仲安も一緒に再び乱取りに戻ることに。
(こいつにゃもう一生気をゆるさねえ…)
1時間半経過――。
疲弊しきった浜高メンバー。巧も決して例外ではなかった。
(も――足がついてってくれね…握力も…握ってんだかどうだかわかんねえぐらい力が入んねえ…)
にも関わらず、その目からは光が失われていない。
(でもまだ…あのオッサンを一回ぐらい投げれる力は残ってるぜ)
その西久保と対しているのは斉藤。
斉藤は体落としをしかけるが不発、交替時間になる。
「残念だったな。オレを投げようなんざ百年早い」
西久保は口ではそう言いつつも、内心では斉藤を評価する。
(斉藤か。コイツもなかなかやるぜ。高校レベルじゃこいつより強いヤツはザラにゃいねえはずだ)
それともう一人、彼が気にかけるクセモノが残っていた。
「西久保さん。ラストお願いします」
「おう…」(コイツだよ…)
最後の一本、巧VS西久保。――開始。
907 :
3/4:2008/09/20(土) 21:07:25 ID:???
(このヤロオ…だんだんオレの技に耐えられるようになりやがって)
(県警との稽古もこれで最後だ。今日こそ…あんたを投げる!)
「うおおっ!」
巧の背負い。西久保はわずかに笑みを浮かべた。
(よし、タイミングはバッチリだ!足を立たせろ!強引にいけ!)「お!」
「りあああっ!」
――西久保の背が畳を打つ音。
「ちっ、とうとう…投げられちまったか」
完全に体力を使いきり、西久保の上から動けない巧。
「どけってバカ!」
それを容赦なく蹴り飛ばす西久保であった。
ここで総当り乱取り、終了。
「よーし、おまえらよくやった!帰りに焼肉でもおごってやるぞ!」
せっかくの典善のお誘いではあったが、またの機会に。
巧は西久保に最後の背負いは逃げようとすれば逃げられたのではないかと問う。
「そーかも知れん。でもまあ、そこまで欲ばるなよ」
巧の背負いは西久保が同じぐらいの体重なら90パーセントは投げられていた。
それぐらい巧かったのだ。自身を持て、と彼はいう。
「欲ばるなか…ちぇっ」
「よし、それじゃ牛丼ならどーだ?」
「うおーっぷっ!」「だからコテコテの食いモンの話はやめて――っ!」
908 :
4/4:2008/09/20(土) 21:09:08 ID:???
翌日の昼、合宿所のテレビを見ていると臨時ニュースが入る。
暴力団組員による篭城事件は先ほど犯人を逮捕。無事人質を救出。
食事を要求した犯人の下に変装した機動隊隊員が食事を運びこむと見せて接近。
スキを見て犯人を取り押さえたという。
『あ、ただ今犯人逮捕の映像が届いた模様です』
「あ、あれは!」「に、西久保…さん!?」
画面の中にはなんと、お魚くわえたドラ猫を追いかけてそうな格好の西久保の姿が。
「捕まえたのって西久保さんだったの?」
「おいおい拳銃持ってたんだろ、この犯人」
「恐ろしい人だ…」
「えっ、誰なの?」
県警に行っていない桜子は彼のことを知らなかった。
(かなわねえな、この人には…やっぱ欲ばってたのかもね)
自分の増長を反省する巧であった。
(しかし…よくあの女装で犯人だませたなあ)
>>904 俺が現在通ってる中学の同学年部活所属人数。
あ、()内が人数ね。
バレー(15)>バスケ(13)>野球(12)>サッカー(10)>テニス(9)>>>>>柔道(2)
歴代のバレー部が強かった影響でか?一部インフレしてるけど2位以下は妥当じゃね?
これが高校に当てはまるかは知らんが...
つーか、ジャンプで連載中のスラムダンクの影響大きくね?
ツーブロックの髪型のヤツやたらと多い...
ぶわあっはっはっはっは!おっさんがおばちゃんになっとるがな!
>>909 スラダンってまだ始まったばっかだし影響も糞もなくね?
ぶっちゃけ不良が喧嘩のついでにバスケやってるくらいの印象しなかないし。
あの西久保さんは何となくブルー・スリーに似てると思ったがそんなことは無かったぜ
青3号? 正義のヒーローか?
柔道授業でやった程度だからわからんけど脳震盪のが危なくね?
受身とりきれてないってことだろ。
>>913 何年か前の戦隊ものにそんな名前の青がいたような
917 :
1/3:2008/09/21(日) 21:16:13 ID:???
第102話 プールサイドにて
プールサイドに机と椅子を持ち込み、浜高柔道部で優雅に昼食。
その席で巧は今度の大会、個人戦に出てみたいという。
浜高メンバーは体格がバラバラなので同じ階級でダブることもない。
この際、皆で個人戦も狙ってみるかという話の運びに。
「えっ?賞状が5枚も増えちゃう?そんなあ〜っ!」
「えっ、なに?全階級制覇だって?いやいやとてもとても!」
また調子に乗り始める杉と茂。
「ダメダメ、それ以上はもうおだてないで――っ!」「バカッ!」
その中で斉藤一人が浮かない様子。
「でもな、オレは…巧と同じ階級なんだよ」
個人戦では同じ学校同士でも戦わなければならない。
もちろん、その辺りは組み合わせを考えてくれるので、たいてい決勝まで当たらないのだが。
「それに、そんな心配は贅沢だよ。71キロ以下級は激戦だぜ。
佐鳴の石塚、三工の関谷、暁泉の永田もたぶんこのクラスだろう」
佐鳴高――石塚。「クシュッ」「石塚クン花粉症?」
三工 ――関谷。「ぶしゃっ!」「関谷クン、きみねえ…メシん時にそりゃないと思う…」「…ゴメン」
暁泉学園――永田。「へっ、くしょ――お〜お〜いい…。
ってかちくしょっ!ダ――レだ、ウワサしてんのはっ!?」
「クシャミでも性格変わるのな…」
赤石林業――「はっはっはっ…」「な、何?ク、クシャミすんの?」
「…止まったわ」「危ないぜ。チェーンソー持ってる時に…」
918 :
2/3:2008/09/21(日) 21:17:37 ID:???
確かに軽中量級は高校では一番層が厚い。
そこで生き残って県大会にコマを進められるのはベスト5まで。まさにサバイバルゲームである。
「やっぱし決勝はオレたちでやりたいな。どっちに転んでも賞状はとれるし」
「よし、二人とも決勝まで残るってのを目標にしとくか」
そこで桜子が疑問をひとつ。
「ところでさあ、佐鳴、三工、暁泉ってならべたけど…なんか1個足りないような気がしない?」
いわれてみるとそんな気も。保奈美がそこで思い出す。
「赤石林業じゃないかな…」
「あ――あ――!」「いたよ!坊主頭でさ!」「似合わねえヒゲはやしちゃってな!」
「目ツキの悪い!」「お下品でやかましいヤツなんだ、コレが!」
「で、なんて名前だっけ?」
再び赤石林業。
「ぶえ――くしょー」「えっくしょえっくしょ!」
「わ――っ酒井危ねえチェーンソーチェーンソー!」
「ぶわっくしょ――ん!」「振り回すな――、スイッチを切れーっ!」
更衣室で着替えをしている仲安と石野。
意外とタフな石野に中学では何をやっていたのか尋ねると、彼は陸上をやっていたのだという。
それがなぜ高校で柔道部に来たのかというと、
「本当はさ、黒帯が欲しかったんだよね」
黒帯への憧れの気持ちは仲安も良く分かる。意気投合する二人であった。
「ヒマだなァ…桜子先輩と保奈美先輩早く来ないかなァ」
麻理は時間を持て余して一人ロープのぼりをしていた。
919 :
3/3:2008/09/21(日) 21:20:26 ID:???
「おーい、1年生!集合!」
その声と同時に空から降ってくる麻理。杉は驚き飛び退いた。
しかし今回の主役は彼女ではなく、仲安と石野の二人。
「試合をやるぞ、おまえら二人のな。すぐやるからウォーミングアップしとけ」
なんだかよく分からないうちに試合をすることになった二人。
本来ならば黒帯の仲安に、柔道を始めたばかりの石野がかなうはずないのだが。
「石野クン、もし勝てたら大殊勲だよ!仲安クンは負けたらはっきりいって大恥なの」
「いちいちうるせーな――!」
応援なのか何なのか微妙な麻理の声に苛立つ仲安。
ともかく石野に体落としをしかけるが、これをかわされてしまう。
「ヤツも県警のオッサンたちと乱取りしたからなあ。
県警のスピードに慣れちゃってるから仲安の技がかなり見えてんじゃない?」
受けは確かに上手くなった石野。では彼の得意技は何か?
「ひとつだけ倉田のおっさんが教えてたよ。大外刈り」
所詮は初心者の石野。いつでも投げられると手を抜く仲安に巧は少々ご立腹。
強引に押してつんのめる仲安。その瞬間、巧の声が飛ぶ。
「そこだァ石野っ!」
反射的に石野のしかけた大外刈りが――見事に仲安を刈り倒した。「一本!」
タイミングを教えたことを巧に抗議する仲安。大番狂わせに困惑するメンバー。
「あのな、コレって実は次の大会の団体戦の補欠を決めるテストだったのよ」
仲安は愕然とする。
「まあいいか、石野でいく?」「そうする?」
石野自身は仲安を推すが、半ばノリと勢いで石野に決定。肩を震わせる仲安だった。
(…くっそ〜っ!やっぱし石野には一生気を許さねえぞ)
くーろおびのくせに しーろおびにまーけた♪
はずかしー はずかしー♪
仲安あわれすぎるw
酒井も哀れだぞw
プールってそんなことできちゃうもんなのか。
しかし麻里は鬼だ・・・
いや、本当は好きだけでけどつい苛めちゃうというやつだよ
逆に仲安は好きだけど、マリは嫌っているというのも良いが
いつも笑顔の人こそ本物のドSって本当なんだw
個人戦は楽しみだな
宮崎は今までライバルになるようなキャラ出てきてないから軽量級のライバル出てくんのかな
三工みたいな名門は軽量級じゃ団体戦選ばれないんだろうから個人戦専用の軽い階級の強豪がいるのかも
他のキャラが三銃士だったから新日つながりで軽量級はライガーだな
>>922 俺的には仲安は惚れてるんけど
マリは本気でただの友達だと思ってるパターンが
悲惨でいいと思う
片思いにせよ両思いにせよ、浜高柔道部初の新規恋バナに突入か!?
個人戦もラブコメも楽しみw
関谷はこの間の扱いからしてもう雑魚かと思ったら
一応強豪の一人に数えられるんだな
928 :
1/3:2008/09/22(月) 21:03:57 ID:???
第103話 一年生たち
石野に対して嫉妬の視線を向ける仲安。最近までろくに技も知らなかった初心者が、
補欠になった途端、レギュラーと同じ扱いになったのだから無理もない。
(おかげで乱取りで一人余るんだよ)
打ち込み用サンドバッグ“ダミー山下”を相手に一人練習する仲安だった。
交替時間になり、仲安は巧に乱取りを申し込もうとするが――。
「よし、斉藤やろうぜ!」
聞こえなかったらしい。
端で見ていても気合の入っている巧と斉藤。
ここ一発の時にものすごい大技で強引に決める巧と、
多彩な技で相手につけいる隙を与えない斉藤。
まさに両極端の二人。この二人で決勝戦ができればいうことはないのだが。
(フン、甘いよ。そんなんじゃないだろ、この二人は)
杉と乱取り中の仲安は横目で巧たちを見ていた。
(実力全部出してやってないだろ、たぶん。1週間後の個人戦じゃ敵同士なんだから)
桜子は麻理と乱取り。麻理の足技をうまくかわした桜子は一本背負いに入ろうとする。
「にょわっ!」
と、そこで急ブレーキ。逆に麻理に後ろに引きずられてしまう。
「あら、あら、あららーっ!」
「何してんの、桜子?」
「このコが小さすぎて技にはいれないんだいっ!」
929 :
2/3:2008/09/22(月) 21:05:29 ID:???
再び交替時間になり、石野は仲安に相手を申し込むが、それを仲安が拒否。
「何いってんだよ。おまえはオレなんかより強い人の相手をしなくちゃ
練習にならないんじゃねえのか」
仲安は今度こそ巧に。
石野が一人余ったが――そこで麻理が相手を申し出る。
「ダミー山下先生よりかはマシだよ」
屈託の無い笑顔の彼女。
(仲安クンとボクのコトで気を回しているのかな…いいトコあるなあ)
少しほろりと来る石野だったが、気がつけば一回転。「ごふっ!」
「大丈夫?今なんかニブイ音がしたけど」
(うう…ダミー山下先生の方がまだマシだった)
巧と乱取りをする仲安。仲安の仕掛けた体落としを巧は小外掛けで切り返す。
「へへ――驚いた?」「初めてです。巧さんのオリジナル?」
その技は斉藤に教えてもらったのだという。それもつい今さっき。
仲安は「どうして!?」と尋ねる。
「だって、粉川さんと斉藤さんはもうすぐ試合で当たるかもしれないのに…。
いいんですか、相手に手の内さらすよーなマネして…」
巧は仲安の言葉の意味をしばし考え、
「ああ、そーかなるほどね!いやあ、そこまで考えてなかった!」
そう言って笑う。結局、仲安が勝手に敵同士と思い込んでいただけなのだ。
仲安は麻理と乱取り中の石野を気にする。
(ええい、くそっ!)
巧に大内刈り、そこから体落としに変化するが――それをかわされ、一本背負い。
(く――っ、やっぱかなわねえ)
へこむ仲安に、投げた当人である巧がアドバイス。
「おい、仲安。体落としするんなら、その前の大内のフェイントすばやくやらなきゃ」
そのやりとりは仲間同士だからこそ。何か吹っ切れたような仲安だった。
「おう、石野!ダメだ麻理に投げられてちゃあ!来い!」
930 :
3/3:2008/09/22(月) 21:06:47 ID:???
そして日曜日――。
・重量級 (95キロ超) 三溝幸宏
・中量級 (71〜86キロ)杉 清修
・軽中量級(60〜71キロ)斉藤浩司 粉川 巧
・軽量級 (60キロ以下) 宮崎 茂
そして今回は応援組の人たち。
「心のこもったおべんとう」〔保〕
「愛のこもった救急箱」〔桜〕
「お守りどっさり!」〔麻〕
「ユンケル黄帝液」〔仲〕(マンガ家じゃないんだから…)〔石〕
各階級100人近くの選手が県大会代表となる5人の枠を目指し戦う!
高校総体個人戦開始!
石野ってこの漫画には珍しい普通のいい奴っぽいな。
こんな連中に囲まれてたらこれからは不幸な目にガンガンあうことになりそうだw
>>931 不幸な目に合えるほど出番があればいいが・・・
マリに投げられたら駄目ってお前はアドバイスがあったとはいえ勝ったヤツに言うな
石野も普通ないい子だが、仲安も逆の意味で普通な子だね。
手を抜いたり逆恨みしたり疑ったり。
2年生5人とは違う俗世キャラだな、活躍できるといいね。
そして麻理はいつでも超人的すぐるw。
まあ兄が人外だし
936 :
1/3:2008/09/23(火) 21:00:05 ID:???
第104話 個人戦スタート
「96人!マジかよ!決勝までいくと7試合だぜっ!」
個人戦の参加人数にぼやく茂。
その事情は彼の軽量級のみならず、巧たちの軽中量級、杉の中量級でもかわらない。
そんな中――柔道着に着替えもせずにのんきにしている人間が一人。
「重量級は軽重量級の後に第4試合場でやるんだ。だからまだ時間があるワケ」
ミッタンの言葉に調べてみれば、重量級の参加人数はたった10人。
「重量級って95キロ以上だからね。人が少ないんだよ。3人勝ち抜きゃ優勝かァ。ラクだなあ」
ホントに地方の予選はそうなのだ。とにかく個人戦は始まった!
軽中量級一回戦、まずは石塚が華麗に一本勝ちを決める。
それをチェックしているのは暁泉、市川監督と永田。
「見たか永田、ヤツが佐鳴の石塚だ。体重は軽めだが技術は素晴らしいモノを持ってる。手強いぞ」
「フーン」と永田は気の無い返事。彼にとってはそれよりも――。
戻ってきた石塚にタオルを渡す袴田さん。
「ちぇっ、やっぱりね。あれはどー見ても彼女よね…」
「…なにがやっぱりだ」
そして次の試合は――。
「赤、荒井高校、清洲君!」
「白――浜名湖高校、粉川君!」
全国出場の浜高のポイントゲッター、粉川巧の登場に一斉に場内の注目が集まる。
(浜高の粉川…秋の大会で三工の藤田に土をつけた男となんで1回戦であたるんだよお。
ツイてなさすぎるっ!やっぱプチセブンの「悪魔の占い」に勝負事は大凶って書いてあったもんなあ!)
心の中で絶叫する不運な清洲君だった。
937 :
2/3:2008/09/23(火) 21:01:07 ID:???
「スゴイですね、みんな巧先輩に注目してるみたい。人気あるんだ――」
「もててもてて困っちゃうよね、ホント」
実際に前とは比べ物にならない注目度。それだけマークされているということだが。
同じようにマークされているであろう斉藤にプレッシャーはあるかと龍子先生が尋ねる。
「ボクは平気ですよ。たぶん巧もね」
「お――おー、いうようになったなあ」
声をかけてきたのは赤石林業のヒゲ主将。
「ついに個人戦に出てきやがったな。しかも生意気にいきなり5人も出場か。
しかし、軽中量級を甘くみるなよ。そう簡単にはいかないぜ」
「簡単にいくとは思ってませんよ」
不敵に言葉を返す斉藤だったが、その心中では――。
(赤石の主将だよな、この人…名前…なんてったっけ?)
巧VS清洲の一回戦。
始まる前から及び腰の清洲はともかく、周囲の注目は巧がどれだけ成長したか。
(ここにいる連中、みんなブッとぶな。今の巧の実力をまのあたりにしたら…)
斉藤の予想通り――巧は相手のわずかな抵抗をものともせず、見事な背負い投げを決める。
「一本、それまで!」
永田に、酒井に、石塚に、それぞれの背筋を駆け抜ける戦慄。
「野郎ォ…」「なんだかまたひとまわりとゆうか…」「ああ、やんなるぐらいに…」
「強くなってやがる…」
938 :
3/3:2008/09/23(火) 21:02:20 ID:???
「まずは1勝!そーれ紙ふぶき!」
いつの間に用意をしたのか、桜子が紙ふぶきを舞わせ、麻理が太鼓を叩いて大騒ぎ。
「なにやってんだ…相変わらずだな、おまえんとこは…」
背中を壁につけたままずり落ちる酒井だったが、そこで斉藤が一言。
「あっとそこ背中汚れますよ」
「そうか?」
酒井の背中の汚れを確かめるフリをして、ゼッケンの名前をチェックする。
「いや、なんともなってません。“酒井”さん」
「だろ?」
たいした策士ぶりを見せる斉藤であった。
しかし、ちょうどその頃、本当に忘れ去られていた人物が会場に着いた。
(個人戦なんてものがあったなんて…黙ってんだもん、兄さん。
そんなにわたしにきてほしくないのね、そーなのね)
清洲くん…気の毒に…
杉の名前みたいだな
上手いけどちょっとこすいぜ、斉藤w
酒井さん覚えてた人ー
プールサイドで誰も名前を思い出せなかったままだったんだな
酒井さん、階級下がってる…
>>248 >それもそのはず、相手の酒井は去年秋の大会、中量級4位の実力者だったのだ。
巧倒すために無理な減量したとかかな?
スレの流れぶった切ってすいませんなんだけど
ちょうどこの週のサンデーを友達が俺の家に忘れていってそのサンデーを読んだのが
帯ぎゅとの出会いだったんだよね。話の流れは分からなかったけど漫画の雰囲気が気に入って
単行本を集め始めた
藤田は中量級だった?
もしそうなら、倒しやすさ:巧>藤田と考えて減量したのかね
(自分は弟が単行本を集めていて一緒にはまった)
藤田は中量級かもね。杉と同じ位のタッパでしょ?何となくだけど。
それにしたって以前中量級4位にまで食い込んだ人間が藤田1人のために自身も認める激戦区の軽中量級に減量してまで乗り込んでくるかね?
この大会は5位まで次の大会に行けるって言うじゃない?
しかも前回4位ってことは中量級の中でも軽い方じゃなかったでしょ?多分。
格闘技の重量ってスゴいシビアな自己管理の世界な気がするし...?
たいして詳しくないから階級の体重差とかも良くわからないけど。
そもそも“中量級4位”ってのが周囲の憶え違いだったんじゃまいか?w
忘れられがちな酒井さんだしww
948 :
1/3:2008/09/24(水) 21:14:55 ID:???
第105話 熱戦つづく
個人戦のトーナメントを順調に勝ち進んでいく浜高勢。
暁泉学園・永田、三方ヶ原工高・関谷、赤石林業・酒井、佐鳴高・石塚。
彼らも負けじと勝ち残り、激戦階級、軽中量級ベスト8が出揃った。
「フン、いくら激戦区つってもなあ…軽中量級は石塚さん本命でキマリなんだよ。
こっつの中量級の方がよっぽどハードだぜ。藤田がいるからな」
呟くのは髪を伸ばした佐鳴の袴田豊。袴田さんの弟である。
彼もまたここまで勝ち残った一人なのだ。
「優勝だって狙ってみれば?」と姉に言われるものの、いまひとつ気勢は上がらない。
彼は藤田を10年に一人とか、そういう天才と認識していた。
「でも、その藤田に浜高の巧クンは勝てたのよ」
「うーん、そうなんだよ。体もひと回り小さいのに。
なんで粉川が藤田に勝てたのか…そっちの方が不思議なんだよね」
一時は巧をライバルのように思っていた豊。彼の心中は複雑である。
その彼の目を後ろからふさぐ誰かの手。
「だーれだ?」「へっ!?」
瞬間的に彼の脳裏に浮かぶのは一人の少女の名前。
(まっまさか海老塚サンではっ!?
アハ、そんな急にアハハ…まさかこんな大胆なアハハハーッ…)
「え、海老塚サンかい!?いやあひさしぶり…」
顔を赤らめ喜び勇んで振り向いた豊の目にしたのは、一面識も無い猫目の少女。
「あなた誰?」
ひさしぶりの登場、杉の妹、杉薫その人だった。
「そっちが人違いしてんだろっ!!おまえこそ誰だよ!いきなり「誰だ?」なんて
期待させといてナイーブな男心を…」
「あんた何いってんのよ…」
激昂する豊に呆れる袴田さんだった。
949 :
2/3:2008/09/24(水) 21:16:18 ID:???
軽重量級決勝戦では、暁泉の堀内平八郎が三工の武戸を降し、初優勝を決めていた。
「やったっ!平八郎!」
「暁泉柔道部2年目にして初のチャンピオンだ!」
平八郎の勝利を喜ぶ永田と佐野。その様子を保奈美は離れた場所から見つめていた。
(よかった…平八郎クン前よりずっと楽しそう…)
続いて重量級の個人戦開始。
ミッタンは保奈美に巧の試合も始まることを伝え、自分も改めて気合を入れる。
その後ろを――小さな影がててててと走り抜けていった。
軽中量級、準決勝戦。巧VS酒井。
盛り上げ役の桜子は「ちょっとここらで例のヤツでもやりましょうか?」と笑みを浮かべる。
そこに戻ってきた保奈美。その目の前で――。
「巧クーン!負けないで――ッ!」
桜子、麻理、龍子先生による「負けないでコール」。
「いーかげんにしとけよてめええ!」
「怒った!怒った!」
一年も前のネタを出されて憤る巧と、はやし立てる桜子。
「保奈美の負けないでコールじゃないからノらないかもしれないけどガマンしてねっ」
「海老塚サン海老塚サン」
調子に乗る桜子。その背後には妖気をほとばしらせる般若がたたずんでいた。
950 :
3/3:2008/09/24(水) 21:17:30 ID:???
「始めっ!」
「うおら――っ!」
号令と同時に吠える酒井。その大声に対して動じる様子も無い巧は、
「よし来いおらあっ!」
逆に胆力の籠もったその一声で酒井をたじろがせる。
準々決勝ということで両者とも気合が入っている、
そう周囲の目には見えたが、実際はそんな生易しいやり取りではない。
激しい組手争いからまず仕掛けたのは巧。
「せやっ!」「ちっ!!」
巧の背負いに酒井は即座に反応し、これを止める。
ところが――その瞬間、巧の体が逆回転。
「何っ!」
「てやあっ!」
酒井のお株を奪う左の変型背負い。
たまらず酒井は畳に倒れる。
巧は開始早々「技あり」を奪取した。
左変化の背負い投げは元々酒井の得意技だったが、巧のそれはオリジナルよりなお速い。
歯噛みをする酒井であった。
(むむう、くそ――正直いってムチャクチャ強くなりやがったなあ、コイツ…)
950いってましたね。新スレ立ててきます。
進行遅いし980くらいで良かったと思うんだよね
正直ここからだと過疎って落ちる以外にこのスレの末路が思い浮かばない
954 :
952:2008/09/25(木) 01:01:12 ID:???
先走りすみません。
でしたらこのまま980辺りまで進めてそれから立て直したほうが良いかと。
自分でやっておいてなんですが、タイトルも微妙に間違ってしまったので……本当に申し訳ありません。
移行のタイミングを決めてなかったのがまずかった。
980かスレ容量が490kになったら新スレでどうか。
取りあえずこっちは楽屋裏扱いで移行新スレ...で良いのかな?
まぁ新スレ立ったんだし、それでいいかな
んじゃ、早速懺悔。
>>909の書き込みしたんだけど帯ギュとスラダンの連載時期を読み違えてたみたい。
てっきり陵南戦くらいまでいってるもんかと...
ごめんm(__)m
でも部員の数は15年前のリアルな数字w
1スレ消費して単行本11巻まで来たか。
このペースだと3スレで終わるな。
スレ寂しいね...
スゴい好きな漫画だったからチト残念。
楽屋裏になったんなら少しぶっちゃけトークがしたいw
何にしても定期投下している代理氏乙であります。
あと新スレ
>>1もスレ立て乙。
スレが立った当初は日に10〜20ぐらいの書き込みはあるかなと思ったんだけど
実際には2〜3人とか、ヘタすりゃ誰も書かないうちに次回あらすじとかもあったからな
ROMはしてるが書き込んでない…正直すまんかった
他にもいそうだな、こんな奴
連載中スレはもう1つ幽遊白書を見てるけどあそこはさすがにレス多いな
俺は遊戯王と幽白も見てる
やっぱジャンプ系は強いなあって感じだ
サンデー系は大吾も伸びが悪いからな。
YAIBAもさほどじゃなかった。
つーか全体的にみるとジャンプ系の伸びの良さのが異常なんじゃないか?
め組の大吾スレも2人ぐらいしか書き込んでないんだよなー
あれはあらすじ人も精神的に疲れるだろうな
最近は規制しょっちゅうかかっちゃって書き込めないことが多いんだよね…
大吾は言葉に詰まる展開が多いので… 帯ギュは意外と書きやすいからほぼ毎日書いてるんだけどなあ。
最近連載中スレに参加させていただいている者です。
連載当時の時間を考慮するのになかなか慣れず
この間も誤爆?の当時のサンデーの話をした人にレスしてしまいました、ごめんなさい・・・。
帯ギュは弟のを読んでいて手元にはありませんが、すごく好きなので今後も参加したいです。
幽遊は話自体につっこみどころが多すぎるので、アホレスもしやすいのかもしれませんね〜。
確かに幽白の方が突っ込みやすいな
帯ギュは専門的な話とか時事ネタとかがなー…
自分も懺悔をば一つ。
初登場から94話まで来留間先輩を“久留間”って書き間違えてました。
変換したら一発で出てきたから疑いもしなかったんだけどなあ。
正直コミック解説をしたのは1巻のためだと疑っている
>>972 いやいやそれはないですよw
絵筆と4コマは最初から取り上げたいと思ってましたし。
ワイド版や文庫版には収録されてないそうだから、もったいないなー、と。
オマケ一巻分であらすじ一話とそれほど労力変わりませんから、
いくらなんでもそんな一発ギャグみたいな気分じゃやれませんって。
まあでも1巻のグランプリの反応を期待しなかったといったら嘘になりますけどね。ボソッ
www。1巻はまた、ピンクレンジャー杉も良かったですしね。
帯ギュのおまけは小ネタで充実していて、おもしろいです。
あらすじさん、いつもありがとうございます。
とても読みやすい文章で、毎日楽しく読ませていただいています。
今後ともよろしくお願いします!
しかし4コマはけっこう忘れてるな、思い出せんのが多い
埋めとく?
それとも次スレ作成のタイミングでも話し合う?
基本は
>>955でいいと思うけど
980じゃ遅すぎて、立てられなかった時のサポートが
間に合わないかもしれないから、970くらいが妥当かな?
今ちょうどやってる男子の2年夏の県大会が一番好きかも
マリちゃんの話は難しい。単行本で読んでた頃はあっさり決勝まで行くのかと思ってたのは俺だけかいのう。
^_^
特に斉藤×巧戦は見応えあって好きだったなぁ
女子の部は、天才と秀才と初心者マークがばらけていておもしろい
ほぅ
>>984 高校2年の時に柔道を初めた初心者の海老塚。
5kgの重量アップをいち早く達成してしまい秀才の面を見せる海老塚。
先々日本代表選手になる人からセンスがあると誉められていた天才肌の海老塚。
こうですか?わかりません(><)
マリちゃんが出てきたり海老塚が柔道始めるのってこの頃だったか。
もっと遅いと思ってた。