第106報 斜面の下
斜面の上から崩落の危険を“め組”に伝えようとする落合先生。それでも豪雨の中で、作業をする隊員たちには届かなかった。
ガスに触れ変色した大吾の髪、北条は大吾に「退がれ」と令を出すが、大吾はいうことを聞かない。
ダダッ子のような大吾を見て、北条は、五味の言葉を思い出していた。バクダンと評した言葉を。
転がる石ころや、濁った湧き水を見て、ポンプ車からアナウンスを出す隊員たちは斜面崩落の予兆に気付いた。
それと同時に、川まで続くドブが途中で詰まっているのではと大吾は気付く。貢献という言葉が頭に浮かんでいた。
大吾のズボン、その裾がガスによって破れた。ガスの危険さを実感し、塩化第二すずが川に流れようとする大吾たち、
その元に、崩落の危険があることが伝えられた。ドブを塞ぐべきか、退避すべきか、混乱する隊員たちを嘲笑うように、
川へと流れ込んだ塩化第二すずが有毒ガスへと姿を変え噴き出した。
その惨状に頭を抱える大吾。災害の現場で、特救のことを考えていた自分を悔む。
噴出、崩落、雨の中にジルの遠吠えが響く。押さえつけようとする北条の手を振りほどき、大吾は崩れかかる斜面へと駆け出した。
(ちくしょ〜!!! おとしまえつけてやる!!!)