桜井?
GJ
19氏乙です。
赤組が柿崎一人だけか・・・
このまま決着かな?でも、青組で壊れたままの人が何人かいたよな・・・
もう少しバトルがありそうな予感。
携帯で「さ」の候補に出た「作者」と「桜井」を間違えたんだろ
ミスチルファンじゃね?
ともかくGJ
今週は双子の戦いといい、ブルックの回想といい、友達に勧められた映画といい…泣きまくってんな俺……
作者19氏 代理氏乙です
ハイパーミシャータイムくるよー/^o^\
桜子の死により覚醒で全身からオーラ放出して浮遊術使えるようになって残りの青組フルボッコ
誤字なんか気にならないくらい良かった
GJです
なんだか桜子あっけなかったな…
桜子、前回に引き続き良い死に方だな
GJ!
昨日とある部を一日で読破してバトロワの事ばっか考えてたせいか
今日夢で自分がリアルの友達とかとバトロワしてる夢みた
3人で協力してたら狂った奴に襲われて逃げたり殴ったりで本当怖かった
目が覚めた時全身から汗出てたよ…
バトロワで一番の恐怖は乗った人から逃げてる最中の恐怖感なんだなと思った
>>209 俺もバトロワの夢はみたことあるが俺は正気系マーダーだった。
まぁ最後は最初に殺したやつが
なんか生き返っててそいつに殺られた。
夢だから途中から訳わからんことになってたから
アスナさん出てきたし。
ただ俺はクラスメートを6人は殺した
>>210 よくそんな細かいとこまで覚えてるなww
俺はバトロワの夢はないが父親に殺されそうになる夢なら覚えてる
細かくは全然覚えてないが夢なのに凄い怖かったのと起きた時息切れしてた
>>211よ210だが俺ほぼ毎日夢見るから
覚えれんだ。バイオハザードの映画見たときに
まじリアルであせった
俺も高校1年生の終わり頃を境に8年間毎日夢見てるがうっすらとしか覚えてないぞ
バトロワはないが朝倉と血が出てるさよなら夢に出てきた事ある
最初に首輪であぼーんして跳び起きた事ならある。授業中に
投稿始めます。
七十九、 <<超展開の後に>>
「動くナ!」
力なく倒れ伏す身体に銃を向ける新田を更に銃で威嚇する超。
「アスナさん……。」
いつもは強気な彼女の弱々しい姿をネギは一目見ると、
人間の顔の筋肉というものはこんなにも確固するものなのかというくらいに引きつったのがわかった。
「……ごめん、………勝手なこと…して。」
「…あとは私たちに任せるネ。その話はそれが終わてからゆっくりするヨ。」
婉曲に説教の予告をした後、超は明日菜から視線を外して新田を睨みつける。
「新田先生、命が欲しくば皆を解放してもらおうカ。」
これまでにないほどの気迫を放出させながら、銃口を定め新田の行動を制限した。
冷静沈着な物言いではあるが、その中に憤怒が押し込まれているのがわかる。
「……そういう脅迫は、敵を本当に追いつめたときに言う台詞だよ。」
カチャ
「……動くな。」
超の後頭部に冷たくて硬い感触が伝わる。
一番側らに居た兵士が銃口を押し付けているのだ。
残った一人の兵士もそれに次いで銃を持ち上げた。場の空気が一層緊迫に満ちた瞬間だった。
すると、今度はネギが音も無しに立ち上がり、最初に超に銃を向けた人間へと杖を構える。
「銃を降ろしてください。」
兵士の背後から威圧を放すネギは静かに、それでいて強くそう指示した。
カチャ
今度は銃を超に向けていた兵士の内の一人が、それをネギへと移動させた。
特徴的な機械音で、ネギは振り向かずともそのことに気付く。
しかし杖から手を放そうとはせず、ただ前方に立つ相手の頭部を睨みつけた。
ここで引いてしまえば、全てが終わると思ったから。
「ぅ…………ッ。」
「…!」
今度は身体が動かなくなっていたはずの明日菜が、ネギに銃を向ける兵士へと銃口を合わせた。
全身全霊の力を振り絞って、それを右手へと詰め込んで。
体育館の中心に一つの輪ができた。
誰かが不審な動作を見せれば誰かが引き金を引く。
それは無言の取り引きとも言える危機的状況。
だが、今の膠着状態を解くため、新田は形勢を奪おうと口を開いた。
「……一つ、良いことを教えてあげようか、ネギ先生。」
「………。」
ネギは新田の言葉など無視して、男の後姿を目に据わらせた。
「実は、先日君の生徒の一人が本部に侵入していてね。村上さんだったかな?」
「……!?」
大事な生徒の名前を耳にした瞬間、ネギはピクリと片眉を上げる。
そして、新田が何者かへ合図を送るように指を鳴らした後で、倉庫の扉が開かれる音を耳にした。
反射的に、目線はその方向へと奪われた。
ドサッ
「な……!」
ロープできつく縛られた村上夏美の身体と瀬流彦の身体が床に叩きつけられる。
二つのロープの先端を握った一人の兵士は、無言で状況を考察した。
そして夏美の頭部を鷲掴みにしてから、装備していた銃をこれ見よがしに押し当てる。
「これ以上、生徒を殺されたくなかったら大人しくしていてくれないだろうか?」
「ちょっと待ってください!その行為は貴方たちの目的に反する…!」
「あの人は結果が知りたいだけだ。汚い手段をとったとしてもそれも結果の一つ。
良い結果であっても悪い結果であっても、それを知りたい人間というのはあくまでも第三者。
だが私はこの場に立っている。つまり、私も彼のモルモットということになる。
だから私はこうやって勝利と金を得ようとしているんだよ。これが私の戦い方なんだ。わかるだろう?
そして、もうこの勝負は終わりだ。君の負けなんだよ、ネギせんせ…。」
「そんな……。」
膠着状態にも終わりが来た。それは、ネギにとって最悪な形となって。
絶望的な事実を知ったネギが、杖を降ろそうとしたのを見計らって、今度は超が言葉を出す。
「…では今度は私が良いことを教えてあげよウ、新田先生。」
「……何?」
「どう見ても私たちの勝ちヨ、先生。」
敗者の戯言に、新田は訝しげに片眉を上げて肩を竦める。
確かに今は数珠繋ぎの状態ではある。だが、こちらはそれに奥の手を加えて見せた。
現にネギだって人質の存在を知ってうろたえているわけだ。
それなのに、その余裕はどこから来たものなのかと新田は感じる。
「………君は成績は優秀だが、実は頭が悪いようだな。この状況をどう見れば…。」
カチャ
これまでに何度も聞いた音が、新田の言葉を遮断した。
それと同時に、その音の出所を見ているその場の全員はそれぞれ表情に変化を見せる。
「……もう良いみたい、ですよ。瀬流彦先生。」
二人の人質を連れた兵士は"新田に銃を向けなおして"瀬流彦に向かって穏やかな口調で語りかけながら、
口を封じているガムテープを剥いでやる。野太い声ではあるが、
為している行動に反しておどおどとした声色が特徴だった。
「そうみたいだね、"村上さん"。」
今度は瀬流彦が、"兵士"の言葉に応答した後緩んでいたロープを自ら解いた。
しかし、その名の持ち主は依然として動く気配を見せない―――。
「………どういうことだ?」
「こういうことネ。」
奇怪な言動を漫然と見守っていた新田が脳内に疑問符を浮かべると、
超の表情を確認するかのように一瞥した後で兵士は自らの"顔を剥ぎ取った"。
「え……!!」
その皮膚の下から新たに公開された顔こそが、――――人質と呼ばれていた村上夏美。
夏美は帽子を脱ぎ捨てると、長時間の演技により溜まっていた疲労感を解放するように溜息を吐き出した。
そして、強く瞼を閉じた後で夏美は改めて新田に銃を向ける。
「………チェックメイトだヨ、新田先生。」
パン!
銃声が、響いた。
【神楽坂明日菜/青】
[状態]意識朦朧、出血多量
[武器]ベレッタM92
[思考]
1/ネギたちと共に皆を護る。
2/決意
【超鈴音/青】
[状態]健康
[武器]デザートイーグル
[思考]
1/ゲームから脱出する。
2/首輪解除…失敗ネ。
3/決意。
4/勝利への確信。
【村上夏美/青】
[状態]健康
[武器]?・?・9mm拳銃
[思考]
1/…。
〜二章〜
一、 <<舞台裏 〜T〜 >>
「勘違いしないでほしいネ。この血は私が殺したからついたわけではないヨ。」
文化祭以来、信頼が薄くなった苦笑いする超の顔に、
美空は目を細めて警戒心丸出しの視線を暫く縫い付けていた。
確かにあの事件ではかなり面倒なことに巻き込んでしまったということはわかっていたが、
正直、まさかこんなに腫れ物扱いを受けるとは思っていなかった。
「その銃は何?」
「だから支給された武器ネ。襲われたから自分の身を護ただけヨ。」
点点点、と三点リーダがその場を支配する。
どうも信用できない、という視線を送り続ける美空に、
超は眉尻を下げて喉億より盛大な溜息を漏らして降参したのか銃を捨てて両手を挙げた。
「これで勘弁してはもらえぬカナ美空サン。」
「もうええやん美空ちゃん。超りんがここまでするんやからきっと本当やよ。」
「…アンタが良いなら私は良いんスけどね……、私は青組だし。今度は助けないからね。
人殺しの仲間とは思われたくないし、危険を感じたときはさっさと一人で逃げさせてもらう。」
木乃香が超の肩を持つと、折れた美空が顔を逸らして不満そうに言葉を放った。
"こんな馬鹿げたゲームなんかで死ぬのは御免だ"
そんな気持ちが木乃香よりも強かったからだ。やっぱり美空とて人間。
人殺しと一緒に居て誤解を受けて、誰かに殺されるのは嫌だ。結局は自分が一番大事なのだ。
「…。」
超も、美空も、木乃香も、それぞれ別の方向に面を落とした。
皆の間を気まずい空気が駆け抜ける。
「……そうだ。このかと美空の武器は何だったの?
私もまだ確認してないし、丁度腰を降ろす場所もあるわけだしさ。超さんもこっちに来なよ。」
その緊迫した空気をまず打開したのは夏美だった。
狼狽しているが流石演劇部部員現役、淡々と話すその様はさぞ悠然かのようだった。
「……そうやね。ほな、あそこのベンチにでも座ろうや。」
ここは男子中等部校舎寄りにある休憩所。
落ち着いて休息が得られるようベンチが何個か設置してある。
どれも同じ形なのにも拘らず、木乃香は鼻歌を奏でながらどれに座るか選んだ。
「ほんなら、ウチから発表するなー。」
小学生のときに授業でたまにある、発表会のような気分で木乃香は声を弾ませた。
しかも自分もまだ見ていないわけだから、場違いにも良い意味で胸を高鳴らせていた。
夏美も木乃香も、まだ人の死というものに実感が湧いていないから。
「おー、何やコレ。」
「……アレじゃない?声が変わるっていう。」
「よくテレビであるよね。推理もののアニメとか小説でも出てくるじゃん。」
木乃香に支給されたものは変声スプレーだった。
このゲームでは使い物にならないだろうが、日常で使ってみると楽しめただろう。
「美空ちゃんの武器は探知機みたいやし、夏美ちゃんのは何?」
「私のはコレ……。」
控えめな声を出しながら、バックから取り出したものは大きな箱だった。
中には何が?と蓋を開けてみれば出てきたのは女の子にとっては必須アイテムのメイク道具…、
というより、舞台女優などが使用する特殊メイクセット。
演劇部である夏美は、こんな状況ではなかったら喜んでいたと思う。
「…つ、使えないよね。」
「アハハ、まぁええやん。」
「………いや、そうでもないヨ。」
「え?」
笑い合う二人の言葉を、勝ち誇ったような笑みを浮かべた超が自信あり気に否定する。
三人は超の意図が読めず、間抜けな顔をしてそれぞれ顔を見合わせていた。
超は顎に手を添え、夏美を一瞥して最終的には本部の方向を見る。
「この勝負、私たちがもらたネ。」
終了
二章目、ちょっと文章が粗末になっています。
乙
後もうすぐかぁ〜
19氏、投下乙です。
そして二章突入ですか。
一章の終わりにどう繋がるか楽しみだけど、
二章の終わり頃には記憶が薄れそうで怖いw
兎に角残り投下頑張って下さい
GJ
一章と二章てなんなのか馬鹿な俺に教えとくれ
GJです、どんでん返しの展開に驚かされました。
今までの作品を全部読んだ訳ではないですが19氏の文章はかなり読ませてくれて引き込まれます。
続きが楽しみです。
ただ、個人的に感じているのですがロワに登場する兵士は文字通りの雑魚でネギ達と対照的な下卑た連中として
登場する事が多いのが食傷気味です。
単なる物語の駒なのは構わないのですが、女子学生にバタバタ倒されるのが当たり前な程弱いとちょっと……という気になりました。
GJ!!
今読んだ。
>>226 あすなは修行したりしてたからじゃね?
ネギまだから、そこらへんはムズイよな・・・。
まぁ16部でもあったとおりバトロワは殺し合いが中心になるから本部の話はこんくらいでいいよ。
1wwwwww6wwwwwww部wwwwwwwww
乙。良い展開だね。
16部は驚くほどにネギがあの何だっけ悪魔・・・名前がでてこんけどフルボッコw
ヘルマン
17部のオリキャラの事ならブランク
超すっきり
ヘルマンだわ
ヘルマソ地味にロワに出てくるなぁ
今40分の仮眠から起きてきたところですた
誰もイナーイかな。また寝るは
寝る前に
>>225恐らく1章が生徒同士の殺し合い
酷く言えば生徒の頭数減らし
2章は1章で生き残った生徒+先生方VS主催者側
夏美さん大活躍さね
あくまで推測だから本気にするなよ?
おーこれは凄い
>>226 貴重なご意見どうもありがとうございます。
次回もし作品をつくる機会があれば参考にさせていただきます。
>>235 保存しました。
乙です。
あと、ここまで来たら差し支えないので言います。
一章が本編、二章が物語の裏側みたいな感じです。
ここに投稿するときは、私がクライマックスを大事にしたいと思ったため今のように一章+二章と投稿しています。
ただ、今日は話数を合わせるために二章を二話投稿します。
ということで投稿始めます。
二、 <<舞台裏 〜U〜 >>
「……なるほどなぁー!それやったら、何とかできるかもしれへん。」
作戦内容を聞いて感心する木乃香、と、素直に驚くことができないでいる美空。
夏美は少し憂慮しているような表情で意気揚々と話していた超を見つめた。
「で、でもさ、超りん。あっちは銃を持ってて、身体も鍛えてるんだよ?どうやって服を奪うの?」
戦闘能力の数値は正確にはわからないが、相手は兵士。プロなのだ。
銃を持っているのは相手も同じ。条件はそうは変わらない。
それなのに本拠地へ忍び込んで、もしも失敗したらどうするのだろう。
「フフ。夏美サン、女の武器は銃でも刃物でも、力でも無いヨ?」
いかにも不安そうにする夏美に、超は得意げに笑ってみせ腕組をする。
拳を頬の前まで持ち上げ、立てた人差し指を左右に振った。
けれどそんな威力のある武器だなんて夏美には心当たりは無く尚心配になる。
美空は既に悟ったらしく、必死に笑いを堪えているようだった。
「何なん?なぁなぁ、教えてーな超りん。」
幾ら頭をフル回転させても正解に辿りつけない木乃香が、
もったいぶる様子に耐えられず、身を乗り出して超の両肩を揺らし答えを促した。
沢山詰まった脳がぶつかりあう様に多少酔いを感じながら、超は木乃香の両手を肩から剥がす。
そして、ウィンクをしてこう言い放った。
「お色気、だヨ。」
目を点に、口は「へ?」と。
一瞬聞き間違えただけかとも思ったが、そうではない。
確かに今、学園一の頭脳を持つ彼女が"お色気"という言葉を発した。
妙に強調されたその言葉が耳に付き纏い、脳に入り込んでくる。
夏美はそれが冗談で言っているのか本気で言っているのかわからず、
無意識に立ち上がってもう一度口を開こうとする。
「アッハッハハハ。お色気って…!」
「なるほどなぁ!夏美ちゃんやったら、できるかもしれへんわ!」
だが、息を吸うよりも美空が喉奥で耐えていた笑いを零すほうが早く。
それに続いて、絶妙なタイミングで天然ボケを発揮し心の底から感心する木乃香。
柔らかく突き出した右手も方向転換され呆気なくテーブルの上に、
そして夏美は膝から力が抜けてすとんと椅子に落下するように腰を落とした。
「わかるダロ?このゲームに協力している人間は腐っていル。金のために、女子供に銃を向けル。
普通ならいくら金を積まれたところでか弱き女子中学生相手にここまですることはないネ。
つまり、アイツらは低レベルな男どもの集まり。こういう馬鹿な人間に効く武器といえばお色気くらいヨ。」
それはもう飄々と、饒舌に。
このまま彼女たちだけに話されていては夏美も賛成ということで通ってしまうに違いない。
だが夏美は反対、大反対。慌てて会話に積極的に参加しだした。
「ちょっ、ちょっちょっちょっちょ!ちょっと待ってよ!」
向かい合わせになっている超と美空・木乃香の間に夏美の右腕が突き出された。
超に向けた手のひらには透明のマジックペンでストップで書かれている。
冗 談 じ ゃ な い 。
「わ、私はそんなの嫌だよ!怖いもん!そそそそそ、それに私…まだキスだって…。」
張り上げていた声は、終わりに近付くにつれ大人しくなっていく。
終いには胸の前で人差し指同士をキスさせ、もじもじと落ち着かない様子で指先を見つめた。
隣に座っている木乃香は、夏美の頬が僅かに赤くなっていることに気付いた。
「何で赤くなってるん、夏美ちゃん?」
「そうヨ。私は、昨日逢ったばかりの男とキスしろだの何だのとは言てないネ。」
「アハハ、そうだよ村上ィ。何想像してるんだってー!」
「……もう、じゃあ何するっていうのよ!!」
おかしいのは三人のはずなのに、何故か変な目で見られている夏美。
「…フフ、ちょーっと誘惑するくらいで良いんだヨ。あとは油断したところを背後から私が片付けるかラ。」
「ゆ、ゆーわ……?」
…
「ええええええええー!や、やだよやだやだ!そんなこと言えない!」
夏美は顔を頬を重点的に顔真っ赤にして非難めいた超に眼差しを送る。
飛んでもない指示を出した超はそこに悪意は無いものの悪戯めいた笑みを浮かべていた。
先ほどの警戒心はどこへ行ったのやら、美空は超に拍手の喝采を注いでいる。
木乃香はその内容の意味がわからず、脳内に疑問符を並べるだけだった。
「…今から話すことは私の推測。……まぁほとんど事実と断定してもおかしくはないガ。
とりあえず詳しい作戦内容は皆頭の中に入れておいてほしいヨ。」
夏美の拒否を更に無言で拒否して、超は話を進め始めた。
…
――本部、中等部女子体育館へ侵入できる場所は数個存在する。
まずは入り口。もちろんここから入るのはあまりにも堂々としすぎているし、
何より作戦の実行をしても確実に成功することはできない。
それから窓。これも不可能だ。低い場所にある窓は屋内運動部が使用するボールが
外に出ないようにしてあるためそこから人が入るのなんて不可能である。
だが、一箇所だけ。あまり人に気付かれず自由に出入りできそうな場所があった。
女子更衣室裏口。
(超さん…本当にやるのぉ?)
扉の前に立つ見張り役の男の様子を草陰より窺う超と夏美。
ここまで来てまだ躊躇する夏美を、超が後押しする。
(大丈夫ネ夏美サン。上手くいくって信じれば、絶対に上手くいくヨ。)
理不尽な物言いに夏美は泣きそうになるが、突然背中を手のひらで突き飛ばされた。
「ひゃっ!?」
っとんとんとん、と前のめりになりながらも何とかバランスを整えるべく両手を羽ばたいてみせた。
落ち着いたところで背後を振り返ると手のひらを遊ばせながら笑っている超。
誰が言わずとも、背を押した犯人はコイツだ。
(ちょ…っとぉ…!)
唇のみを動かし、非難の眼差しを超に注ぐが当の本人は何事も無かったかのように余所を向いている。
眉尻が落ちて瞳が涙で揺らぐのが自分でもわかる。
それでも自分が兵士の視界に入っていることには変わらず、
夏美は意を決意して兵士との距離を縮めていった。
「あ、あの……。」
「………どうした?」
それによって、先ほどから不審な行動をみせていた夏美が自分に用事があるということに勘付く兵士。
張り巡らせた警戒心をより強くした後で、夏美の呼びかけに応答する。
「そ、その………えーっと……。」
透明なキャンバスに薄い桃色の絵の具を塗ったかのように、
夏美は頬を赤らめながら、丁度聞き取れないくらい小さな声で何かを伝えようとしている。
読唇を試みようとしたが、視野の下部分で剥き出しになっている少女の鎖骨に思わず釘付けになる。
リボンはだらしなく垂らされていて、第ニボタンまで外されている。
幼くも色香を感じさせるその仕草も、兵士には追い討ちを掛けることとなって。
「だから、あの……――――――――、―――!」
最後には少女の艶やかな囁きが、兵士の身体を支配した。
男の意識が潤いのある夏美の唇へと吸い寄せられそうになったその時。
カチャリ
「………。」
冷や汗は、男の頬を撫でた。
目を見張らせ目線を落とすと、腰に差していた拳銃が姿を消していた。
けれど額に翳されているものを見ると、それは自身のものであり。
「貴さ…………!」
トン
状況を処理した後で腕を震わしながら銃を握る夏美の表情を睨みつけるが、
背後より何者かに頚動脈を刺激され、突如兵士の見ていたものたち全てが歪みを見せる。
落下していく視界の中、兵士が見たのは中国を連想させる構えをとった少女の姿。
それを最後に、兵士の視野全てが暗転した。
三、 <<舞台裏 〜V〜 >>
「そういえば何で桜咲さんと一緒に居ないの?」
美空が木乃香と二人きりになってまず一番に出た言葉がそれだった。
夏美と二人で行動していた場面を見たときに生まれた疑問を美空はぶつけた。
名前で呼ばれていないため死んでしまったわけではないはず。
行動を共にしてからも刹那を探す気配も無いし、名前すら一切出なかった。
喧嘩でもしたのかとも思ったが刹那が木乃香に嫌悪を抱くことは無いだろう。
もちろん、木乃香が一方的に嫌うというのも考えにくい。
「……せっちゃんとおったら、ウチ…せっちゃんに甘えてまうから。」
魔法が使えない今自分には何の能力も無い。
刹那のように剣術に優れているわけでもない、超のように学園一位なわけでもない、
美空のように足が速いわけでもない、アキラのように力持ちなわけでもない、
龍宮のように戦闘のプロというわけでもない、あやかのように皆をまとめる力があるわけでもない。
本当に何もできない無力な自分。
寧ろ自分が捕らわれたせいでネギを殺しかけたこともある。そんな自分を変えたい。
それに刹那のことだから確実に青組の皆を殺し最後に自殺して、
木乃香を生き残らせようという手段を取るだろう。そんなこと望んでいないのに。
だから"私はもう大丈夫だ"と、刹那に頼らないで自分自身の手で自分を皆を護りたいと思っていた。
「………夏美ちゃんとも約束したしな。」
――強くなりたい。
木乃香の話に、それ程興味が無かったのか美空は"ふーん"とだけ返した。
「アイツら、ちゃんと上手くやってくれんのかね?」
「夏美ちゃんたちのことやから、きっと頑張ってくれてるよ。」
今は信じることしかできないけれど、信じることが夏美の力になるのではと思う。
それに、夏美は皆のために前に歩いていこうとしているのだ。
自分も誰かのために、強くならねばと。木乃香はその思いと一層強くさせた。
…
「新田様、ご報告があります。」
――― 一礼した後で、兵士は野太い声を新田に投げかけた。
媚びるように、ステージの下から、輪郭を持ち上げ相手を見上げる。
まるで品定めでもするかのように新田がこちらを見てくるので、兵士は緊張の糸をきつく結んで、
先ほどから激しい動きを伝えてくる鼓動におさまってくれと心底願った。
兵士――村上夏美は、手汗を握り改めて新田を見直した。
「……先ほど、生徒の一人が本部に侵入したのを発見したため、捕獲しました。」
――搾り出した声は、れっきとした男声。
――何度も鏡で確認した顔は、れっきとした男性。
顔の筋肉が強張っていることが自分でもわかるほど、夏美の心は張りつめていた。
嘗め回すように夏美を見る新田は、やがて、口を開く。
「………勝手なマネをするなと最初に言ったはずだが…?」
「……!」
"最初に"だなんて言われても、本当の意味での新参の夏美がそれを知る術などない。
(ど、どうしよう…。)
助けを求めるように視界を上下左右に動かす。
いつもとは違う異質な威圧を放つ新田は、ただ沈黙を繰り出すだけだった。
だがネギたちは夏美に託されたようなものなのだ。
ここで引き下がれば、木乃香たちに合わせる顔が無い。
「申し訳ありません。ですが、人質として捕らえておけば万が一何かが起きたときに役に立つでしょう。」
こちらを見つめる新田に吸い込まれそうになりつつも、夏美も負けじと見返した。
すると、
「……まぁ、居て損はしないか。」
「は、はい!」
作戦通りに事が運んだことに、夏美は声を上ずらせながらも演技を続けた。
それから数時間後、夏美は一台のパソコンの前に座っていた。
――――『出席番号2番明石裕奈、出席番号21番那波千鶴以上二名。』
家族だと思っていた千鶴の死は、夏美にとってとても大きなものだった。
悩みができれば一番に相談に乗ってもらっていたし、
夏美がそうしなくともちょっとした異変に気付けばすぐに声を掛けてくれた彼女。
いつも一緒だった千鶴との思い出が、次々に頭の中に映像化されていく。
ちづ姉が死んだ。
(………。)
ちづ姉は、もうこの世に居ない。
(………。)
泣きたくても、泣けない。
(………最期くらい、一緒に居たかったよ、ちづ姉。)
時計の針が十時を示した。
「よしよし、このまま青組優勝だ!」
「赤組頑張れってくれよ…。」
モニターの前で拳を作る兵士や飛び上がる兵士が居れば、ガックリとうな垂れる兵士も居た。
彼らはこのゲームを日本ワールドカップのような感覚で観戦している。
後ろめたい気持ちなんてこれっぽっちも持ち合わせていないのだろう。
寒い中外を走り回る女子中学生たちとは相反して暖房の効いた体育館で歓声を上げる。
「やっぱ赤組に6000円!」
「今更乗り換えは無しだろ!」
トトカルチョは、夏美が兵士としてこの場に紛れ込む前から始まっていた。
幾ら夏美が気が強いほうではないとは言え、これには怒りの火山も噴火してしまいそうになった。
皆がやりたくもない、命を賭けた戦いを酒の肴にして、おまけに勝つだの頑張れだのと。
兵士たちの馬鹿騒ぎを耳に通しながらも、夏美は作業を続行する。
(……それにしても、首輪のデータなんて入ってないよ、超さん。)
それ程パソコンに詳しいわけでもないが、何時間もパソコンをいじり続けているのに、
首輪に関してのデータが一向に見つからないため、
もしかするとここには存在しないのではないかと疑い始めた。
そして、その疑いは一つの人物へと向けられることとなった。
(そういえば新田……さっきから誰と話しているの?もしかしたら、データは…。)
そう考えると、超が話していた疑問点とやらのつじつまが合う。
そんな思念の表情を新田に向けていると、それが原因で注意力が散漫になっていたらしく、
先輩に当たるらしき兵士がパソコンの画面を見つめているのに気付いて肩を揺らした。
「お前もあっちで飲もうぜ、今日は無礼講だ。それに人質を捕らえた褒美だ。」
目の前に缶ビールを持って、頬に赤みを差してだらしなく笑う兵士。
(何だ……。)
意図に気付かれずに済んだことに安堵しつつも、夏美は頭を左右に振る。
「結構です。」
考える暇も無く即答すると、兵士はノリ悪いなと
聞こえるくらいの声でぼやいて仲間たちの輪の中へと戻っていった。
その背中を見つめながら、こんな時に酒を飲むお前らの方がどうかしてる、と。
そんな類の悪態を心の中で吐きながら、パソコンへと顔を戻した。
終了。
言い忘れてました。
裏舞台は時間軸より、視点を大切にしています。
19氏乙
夏美ついに生存か
GJ
夏美に誘惑されたいな・・・
二章合わせて後何日くらい?
↑
毎回聞いてる奴いるがお前らログほれよ
乙です。
夏美生存の期待もあるが・・・
18部も似たような事言ってたしなあ。
まだ本編も終わってはいないし、ラストまでが楽しみ。
乙。後少しかぁ〜。俺エピローグ好きなんだよなw
俺も夏美に誘惑されたいんだけど
なぁ19、夏美は何て言ったんだ?
好きに妄想していい?
「む…胸に支給されたペットボトルが挟まったんだけど……あの…とってもらえますか…?(///)」
「さっきの戦いでブラジャーのフックがとれちゃったんですけど直してもらえませんか?(///)」
>>255 _ ,.、,、
, ' ,ノハヽ
/ ノノノ ハリ
ノ )リ ゚ ヮ゚ソ| あら?あなたに胸なんかあったかしら?
( ((∫つkと)
)ノハ く/_|〉ノ)
し'ノ
実写でもバトロワktkr
このスレが参考になった可能性も否定出来んぞw
だが明日菜役と楓役が可愛いからなんでも良いやww
>>259 あっ…今日バレンタインか……
なんか嫌な気持ちになってきた…俺闇属性かもしれん………
264 :
マロン名無しさん:2008/02/14(木) 14:13:40 ID:W21O+W+H
あら?俺もなんか闇の魔法使える気がしてきたぞ…
今日はバレンタイン
ネギ「皆さんに1人になるまで殺し合いをしてもらいます」
一同「えーやだよー」 「ネギくん冗談だよね?殺し合いなんか嫌だよ」
ネギ「優勝者には僕からチョコをプレゼントしますよ」
まき絵(よし!殺しまくるよー!)
のどか(いどえの日記使って殺しまくるですー)
ゆえ(のどかを利用して私が先生のチョコをゲットするです)
いんちょ(ぶっ殺しですわ☆)
投稿します。
四、 <<裏舞台 〜W〜 >>
"本当の黒幕の正体"
それが最大の疑問だ。
このゲームには数点引っ掛かるところがあった。
・説明中に出てきた主要人物の男二人について。
研究者とその親友。新田は説明中にこの二人の身分の差について話していた。
天と地の差、ということはどちらかが裕福な生活を送っているということになる。
研究に明け暮れた主人を持っていたとしても、金持ちであれば生活に支障は無い。
寧ろ自由に過ごすことができて好都合。ならば妻が子を連れて逃げる理由が無い。
しかし、失ってしまった。
だから消去法を使って、裕福な人間は研究者の親友だとしよう。
そうするとその親友が"新田"かもしれないという疑惑も無くなる。
ただの教師が金に苦労していないはずも、あんなに大勢の兵士を雇う金を持っているはずもない。
それに、あんな人間が親友のために、自分の金を使って大勢の兵士を雇うだろうか。
だとすれば事件の黒幕は別に居る。恐らく新田は金と生徒を引き換えに、とでも言われて利用されているのだろう。
・何故"ただの実験台"でこの学園のこのクラスが選ばれたのか。
目の付け所が悪いと言いたいのではない、
確かに3−Aの皆の結束力はどのクラスよりも強いと思っていたから。
だが普通、新田が選ぶなら自分のクラスの人間ではないだろうか。
受け持ったクラスの可愛い生徒だから、とあんな冷酷非道な人間が思うか?
・どうしてA組内で仲の良いグループをハッキリと把握できているのか。
A組の皆が新田と過ごす時間なんて担当教科時間以外全然無い。
人質となっている瀬流彦だってそう。
だったら担任のネギが教えて…というのも考えにくい、だとしたら何のためにと言いたい。
―――だが今、その全ての疑問点は答えに結びついた。
超は夏美のサポート役として、体育倉庫に身を潜めていた。
そして、麻酔か何かによって眠らされている瀬流彦の目覚めを待つ。
理由―――、それは、超が彼がネギの居場所を知っているかもしれないと踏んでいるから。
更にその理由―――、それは…。
超の知っているネギは、身を挺してまで生徒を守る一教師。
けれど、ネギは姿を見せない。
そう、ネギは助けに来れないのだ。
どういうことかというとつまり、魔法が使えない状態。
その理由は二つに絞ることができる。
・魔法が制限がされているから
・特殊なバリアか何かが張ってあるから
…ここでまず、あやかが新田にした質問を振り返ってみよう。
"ネギ先生や、他の先生方は今どこに?"
彼女はネギだけではなく、他の教員全員の安否も問うていたのだ。
そして新田は彼らの無事を公表した。
魔法が使えるネギだけでなく高畑も捕らえられている。
魔法戦士向きの高畑ならば身体能力のみで充分鎮圧できるはず。
"確定"
そしてその結界を利用するには、ある程度魔法に対する知識のあるものにしかできない。
つまり魔法教師――――瀬流彦。
きっと結界を張ったのは捕らえられている彼だ。
だとしたら、ネギが捕獲されている場所を彼は知っているはず。
…
「オイ、新人を除いてお前らは全員地下牢へ急げ!他はここで待機!」
親玉とも言えよう、ここに集う兵士の中ではずば抜けて体格の良い男が指揮をとっている。
昨晩から睡眠をとることなくずっとパソコンの前に座っていた夏美は
"背中から吹き出す冷や汗に更に焦燥感に駆られている兵士"、という役を演じ続ける。
残った新人の兵士はモニターの前に集まり、一応戦闘の準備をしておく。
一人は入り口で見張り番を務めているが、騒動により集中力は削がれていて役を果たせそうにはいない。
「……お前が昨日からずっとそこに居たんだろ。」
「何でこういうことになってんだよ。」
「人質とって新田様に褒められたからって良い気になりやがって。」
あれだけ親しげに話しかけてきていた兵士たちはここぞとばかりに責めてくる。
ここで夏美は男たちのレベルの低さを思い知る。
誹謗の言葉は今だ飛び交っているが、夏美はそれを無視してパソコンをいじる振りを再開した。
すると、同僚である一人の兵士に突如首根を掴まれ椅子から引き剥がされた。
「もう良い、変に扱うな。お前は人質の見張り役でもやってろ!この低能!」
(…………う。)
流石に最後の一言は夏美のお怒りに触れかけたが、無理矢理それを押さえ込む。
この程度の我慢ができなければ、千鶴のルームメイトなどやってられない。
夏美は渋々という風に背中を丸め、指示通り倉庫の方へと足を進めた。
―――それと同刻、隣室である更衣室にあやかが忍び込むのだった。
五、 <<裏舞台 〜X〜 >>
「……!」
息を吸い込んだその音で、瀬流彦の脳は覚醒していった。
冬だというのに寝汗で髪の生え際が濡れていて、痛いほどに喉が渇いている。
寝起きだというのに先日起きた出来事は鮮明に覚えていた。
「……そうか、僕は新田先生に………。」
上体を起こそうとすると軋むような痛みが全身を駆け回る。
固い床に長時間うつ伏せになっていたためだろう。
きっと寝返りを打とうとしても手足が縛られていて動けなかったのだ。
捕縛されたことを改めて思い返すと、どれだけ自分が無力なのかを思い知らされた。
「…一体、僕はどうすれば。」
「私と少し話をすれば良いヨ、瀬流彦先生。」
「え……?」
少女の声。―――それは先日、ゲームに強制参加させられているはずの。
瀬流彦は縛られたロープを解こうともせず、ただ首を動かして音源を探した。
すると、その声の主は簡単に見つかる。
斜め前に発見した少女の足先。そこからゆっくりと視線を持ち上げた。
「超……さん?」
「おはよウ、瀬流彦先生。貴方が目覚めるのを、私はずっと待ていたネ。」
彼女は埃が舞う跳び箱の上に寝そべる少女の上に足を組んで座っていた。
それはそれはでかい態度で、膝の上で頬杖をついて。
その体勢のせいで露出された彼女の太ももに、瀬流彦は目のやり場に困る。
「……何で超さんが、ここに居るんだい?どうしてその子は縛られていて、超さんは…。」
「ほウ、この子が気になるカ瀬流彦先生。そういう趣味だたネ、話のネタ提供どうもありがとウ。」
「超さん。」
「フフフ、冗談ヨ冗談。ほれ。」
若干強くなる瀬流彦の口調。反省の色は見せずとも、
あまり苛めるのも悪趣味かと超は跳び箱から飛び降りて、
少女の襟を掴み上げると瀬流彦の隣に乱雑に放り投げて寝そべらせた。
「……?」
仰向けになったその身体が安定すると、首だけが人形のように力なくこちらに向く。
超の意図がわからず、瀬流彦はただ疑問符を浮かべた。
「……そうカ、やはり瀬流彦先生でもわからないカ。私も驚いたからネ、夏美サンの腕には。」
「超さん、どういう…。」
「瀬流彦先生、貴方の隣に眠っている彼女は男ヨ。彼は"人質"として捕らえられていル。」
「えッ……男って…この子が?」
「正確に言えば私たちの敵。その兵士サンの代わりに、夏美サンが本部に偵察に行ってるヨ。」
自分の知らない内に自分の間近で起きているらしい出来事に瀬流彦はついていけず、
目を白黒させながらその様子を見て腹を抱える超の小さな笑い声を脳が認識することしかできなかった。
…
「なるほどネ、合点がいったヨ。確かに、委員長サンはよく実家に帰っていたナ。……だとすれば、このゲームには…。」
黒幕の正体を明かした後、瀬流彦は超がこのことについて疑問を抱いていたことを知った。
さすが随一の頭脳だと心の奥で褒め称えながらも、
瀬流彦は途絶えた超の言葉の続きを待っていたのだが、それ以上超が発言する様子は無く。
「それで、どうするの?ネギ先生をどうやって……。」
「それは特に問題じゃないヨ、こちらには魔法無効化を持つ人間がついていル。」
―――即答。
「何か心配はない?」
「…別に無いネ。しいていえば私が見つけるまでにアスナさんがちゃんと生きてくれているかということカナ。」
―――即答。
「……僕に、できることはない?」
「無いヨ。」
―――即答。
こうも即答されては、瀬流彦の気分も海の底に撃沈する。
ただでさえ自身の無力さに傷ついていたというのに、追い討ちをかけられた気分だ。
「瀬流彦先生、貴方の魔法は戦闘向きではナイ。大人しくしていてほしいヨ。」
溌剌とした語調で超は肩を竦めながら言った。
そういう性格なのだと理解しつつ瀬流彦は少し責められている気になる。
「ごめん。……僕は…どうして、こうも誰かを守れないのかな。」
つい、本音が漏れた。
「僕は皆を……大切な人を守るために魔法使いになったのに…どうして、守れないんだろう…。」
惨めにも涙が床に募る埃に落ちる。
「何で……先生たちや超さんたちに助けられているんだろう…。」
"戦うこと"は嫌いだ。だから、"守るため"に魔法を学んだ。
戦わずして守る。その言葉を胸に、僕は生きてきた。
―――大事な人たちができた。
僕が麻帆良学園に就任したら、生徒たちは笑顔で迎えてくれた。
この笑顔を守るためなら、僕は何でもしようと。そう、思っていた。
けど、今思うとその覚悟が半端だったのだと思う。
あの時、職員室でまず一番に僕は人質として捕らえられてしまった。
だから高畑先生や学園長も下手に抵抗することができず、僕のせいで牢屋に閉じ込められた。
僕は言ったんだ。「僕のことは良いから、生徒たちを守ってください」と。
"言っただけだった"んだ。
突きつけられた銃の引き金を僕が引けば、こんなことにはならなかったんだ。
結果――― 守られたのは僕だった。
それなのに、僕は兵士の指示に従ってしまったんだ。
僕だけの力ではどうにもならない、だから世界樹の魔力を使って先生たちを捕らえろ。
そう言われた。そして、それを実行してしまった。
とにかく全てが中途半端だった、曖昧だった、僕の気持ちも意志も力も。
体育館。
眠る生徒たちに首輪を嵌めていく兵士たちを見守ることしかできなかった。
カチャリカチャリと、同じ音が数十回響いた後で僕は情けなくも泣いていた。
修行に修行を積み重ね、多くのことを学んだ結果に得た力は一体何だったのか、と。
笑われてしまうかもしれないけど、涙を流すしかできない自分に腹が立って。
そして…ゲーム開始直後、一人一人体育館を後にする生徒の背中を見送ることしかできなかった。
「先生、先生が無力だとは私は言っていないし、思ってすらいなイ。
見守ることしかできなイ?それで充分ネ。皆にとっては先生が生きているだけで充分ヨ。」
床に増えていく雫を見つめて、ようやく超が言葉を綴った。
柔和な笑みではなく、頼もしい笑みを表情に刻んで。
涙のせいだろうか、瀬流彦にはその笑顔が妙に眩しく思えた。
「他に…お願いするとすればソイツの世話くらいネ。目覚めそうになったらボコッと一発頼むヨ。
まぁもうすぐ夏美サンが来るだろうから、やはり先生に仕事は来ないかもしれぬガ。」
「わ、わかったよ……。もう行くのかい?」
「あァ。色々と世話になたナ、瀬流彦先生。また後ほどお逢いしよウ。」
「……こちらこそ、有難う。気をつけてね。」
たくましい超の背中を見つめながら、瀬流彦は瞼を閉じた。
「僕が今助けられたように……あんな風に誰かを助けられると良いな。」
>>240 >夏美は顔を頬を重点的に顔真っ赤にして非難めいた超に眼差しを送る。
夏美は頬を重点的に顔を真っ赤にして非難めいた眼差しを超に送る。
でした。
どうしてこんな誤字を…。
では。
乙です
GJ
セルピコがまさかここまでちゃんと書いてもらえるとはw
夏美はそんな子じゃない><
乙と一言
GJ!
面白いっす
読み応えは十分あるんだが、やっぱり短い気がするなあ・・・
超セルイイ!GJ
投稿始めます。
八十、 <<敗者は漸く負けを認める>>
"最悪、夏美サンが手を汚さねばならないことになるかもしれないということヨ"
その言葉を聞いた瞬間、私は不安を感じていた。
新田を欺く。――――そして、切り札として残していた人質を出したその後。
正体を明かし、隙を窺って新田を撃つ。そうなるかもしれない、という恐怖。
私に足りないのは覚悟と、勇気と、自分を信じる力。超さんは教えてくれた。
…いや、本当は前から知っていた。ちづ姉に、教えてもらった。
そして、強くなる勇気は、木乃香に分けてもらった。
倉庫に居たとき、不安になったとき、そのことを忘れていた私に瀬流彦先生がこう言った。
「那波さんも近衛さんも、きっと村上さんのことを見守ってくれているよ。」
"だから、きっと大丈夫"
何の根拠も無いけれど、それは確かに私を後押ししてくれた。
きっと求めていたのだと思う。あと一回だけ、誰かに背中を押してもらいたかったんだ。
信じてくれている。裏表の無いそんな気持ちが欲しかったんだ。
―――だから。
一通り回想を終わらせた後、夏美は意識を覚醒させて新田を凝視する。
そして、引き金に添えた人差し指に、懐かしい新たなる温もりの気配を感じながら。
(見ててね、ちづ姉、このか!)
パン!
…
……
リアル遭遇ktkr
wktk
「次逢うときは、体育館でになるんかな?」
私が超さんと体育館に向かおうとした時、
木乃香が私の背中に向かって声を掛けてきた。
ちょっと寂しそうに。気にしないつもりだったけど、私もちょっと寂しくなった。
「そうだね。」
「頑張ってな、ウチも頑張るから。」
私は…いつもちづ姉とばかり居るからかな?
木乃香のそういう表情を見るのは初めてな気がした。
だっていつも木乃香はニコニコ笑ってるから。
だから…結構辛いなって思ったけど、木乃香が頑張れって言ってくれたから、
私も前を向いて歩こうっていう気持ちが強くなったんだ。
…
「……夏美サン。」
木乃香と別れて本拠地へといざ出陣、というときに、
超が一歩前を歩いている夏美を引き止めた。
妙に深刻そうな声色だったため、夏美は些か不安気に、肩越しに振り向く。
すると、驚くことに超は夏美に向かって銃口を照らし合わせていた。
「え……!?」
「………一つ、聞いておこウ。夏美サン。」
微塵も躊躇いないことは、全く震えを見せない超の腕を見れば充分わかった。
生命の危機を感じ取った夏美は、誰かに助けを求めるべく周囲を見渡すが、
当然のことにここに佇んでいるのは当人たちだけで。
「……夏美サンは、こういう風に人に銃を向けることができるカ?」
「は…?」
「…最悪の場合、夏美サンが手を汚さねばならないことになるかもしれないということヨ。」
心臓が大きく膨らんだのが、夏美の全身に伝わった。
その言葉には冗談の欠片も感じられないし、表情もいつになく真剣。
医者に余命を宣言されたときの気持ちが痛いほどにわかった。
冷たい風が、二人の間を吹き抜ける。
…
それでね、私、ずっと見てた。木乃香が頑張ってるところ。
カメラ越しに。ボロボロになっても、美空や桜咲さんを守ろうとしてたところ。
最後に私との約束を、ちゃんと守ってくれたことも知ってる。
その時にね、私、勇気をもらったんだよ。
ずっとずっと不安でたまらなかったけど、ずっとずっと怖くて震えてたけど、
木乃香のおかげで強くならなくちゃって思えた。
"那波さんも近衛さんも、きっと村上さんのことを見守ってくれているよ"
木乃香のこと、ちづ姉のことを思い出して泣きそうになったときにね。
倉庫で、瀬流彦先生が言ってくれたんだ。
多分、後押ししてくれたんだと思うの。
もしかしたら、あと少し不安な気持ちがあったのかもしれないね。
でも私、充分にわかったよ。一人じゃないってことが。
だからね、私も"最後"くらい―――。
……
…
夏美は人差し指を引き絞った。
弾丸は兵士とネギの間を突き進み、空気を裂いた後新田の腹部を貫いた。
「……ぐぶ…ッ!」
下品な唸り声と、赤黒い血の塊を嘔吐した新田は、
支えを求めるかのように三歩ほど後方によろめいた後、呆気なく床へと倒れ伏した。
「………勝負はもう、ついたはずです。銃を降ろしてください…!」
新田が消えた。となればもう、誰も戦う必要などない。
だが主を失くした兵士たちは悔しさで銃を離そうとはせず、引き金を引こうとするのだが――。
「…ひぃ!」
――――囲まれていた。
視界を一周させるとそこには見覚えのある教員たち、そして仲間だったはずの兵士。
自分たちに銃を向ける兵士たちは様々な箇所に傷や痣があり、
教員たちの無言の圧力に足を震わせていた。
「……。」
今だ彼女たちに銃を向けていた二人の新人も、
流石に逆らう勇気は無く銃を捨て両手を挙げて白旗を振る。
――
「ネギ……ごめんね、私………。」
「……アスナさん…。」
ネギの膝の上に頭を乗せ、あれだけ無理をし助かる見込みの無いのは当然の明日菜が力なく笑う。
それを取り囲むようにして夏美と、先ほど教員たちと共にこの場に到着したまき絵、刹那、風香も座っていた。
誰も言葉を掛けようとはしない。―――できなかった、ただ黙って命の終焉を見守ることしか。
放送だけならばまだしも、流石に目の前で人が死んでいく様に慣れなど来ない。
「…アスナさん……僕は…結局……。」
「私も……嬉しかったよ…ネギが……アンタが生きててくれて………。」
「でも…。」
「何もできなかった……。ううん…ちゃんと……居てくれたじゃない…。それだけで…充分だよ…。」
「アスナさん………!」
「……アンタは…もう、大丈夫………私が……居なくても。」
それを見た誰しもに安堵感を与えるだろう笑みは、消えることなく。
涙が一筋こめかみを撫でたのを最後に、明日菜は口を開くことはなかった。
「アスナさん…!アスナさん!……アスナさぁぁぁぁぁああん!!」
彼女を胸に抱く少年の声は、虚空で艶やかな重奏を織り成した。
――
「さぁ、とっとと首輪を解除するんだ。」
兵士を壁に追い込むような形で、教員の集団たちが問い詰める。
大切なものを守りきれなかったという自分への怒りを瞳に携え、威圧を放った。
「し、知らないんです!首輪については俺たちは何も話されてなくて…。」
「ただ戦闘だけを任されていただけなんです、新田さんに……!」
「新田さんに依頼者が居たとかいうのも、今朝知らされたばっかりで…!本当なんです!」
先頭で啖呵を切る新田におののく兵士たちは次々と真相を暴露していく。
そして訴えるような眼差しを教員たちに注いだ。
「嘘を吐け!」
「高畑先生。彼らが嘘を吐く理由は無くなったはずヨ。
……それに、嘘を吐いたのは私ネ。ゲームは私たちの負け、勝ったのは黒幕。」
壁に背で圧を掛け先ほどまで黙ってこの光景を眺めていた超が漸く口を開いた。
緩慢とした速度で高畑たちに歩み寄ると、超は首輪のランプを一瞥して高畑を仰ぐ。
「監視カメラも起動しない、首輪のデータも存在しない。それなのに何故死亡者の発表ができたのカ。
もしかすると、首輪のデータはこちらには無く…。本当の黒幕の手元にあるのではないだろうカ。
そして、首輪は一向に外れる気配は無い。つまり実質上、ゲームは続いているということになる。」
「…ちょっと待ってくれ、君はまさか、そのことに気付いていたのか…?」
「………あァ、気付いたヨ。瀬流彦先生に全ての話を聞いた後でだがネ。
ずっとパソコンに付きっきりだった夏美サンも気付いてるのではないカナ。」
「だったら何故…。」
「私は負けず嫌いネ。途中でゲームに乗るのも良かたが、それでは負けを認めたことになてしまうだろウ。」
いや、というより。
「……フフ、私はロマンチストだからナ。ただ単に、最後くらい皆と―――。」
思いに浸るように瞼を閉じた後、ゆっくりと開いて真っ直ぐ前を見据えた。
強く見えた横顔に、絶望的に儚い願いが込められていたことを高畑は知る。
【神楽坂明日菜 死亡
―─赤組残り1名
――青組残り7名】
八十一、 <<shall we song?>>
"円、もう終わるのよ!…このままじゃ、アンタが幸せになれない!"
"うるさいうるさいうるさい!黙れ!私は悪くないんだ!"
"アンタはそうやって自分に嘘をついてるだけじゃないの!"
"わかったような口を聞くな!"
"じゃあどうしてあの時撃たなかったの!?桜子を撃った後…私のこと、どうして撃たなかったの!?
あの状況で撃ってたら完全に殺せたわよね!?何でそうしなかったの!?答えてみなさいよ!!"
そう問いただした時、円が一瞬いつもの円に戻った。
動きを止めて、何かを求めている―――助けてって言ってる、そんな気がした。
だから私は円を撃った。撃ったら、円のわき腹には綺麗に穴が空いた。
同時に、私の気持ちがどっしりと重くなったのがわかった。
ああ、円も同じ気持ちを味わったんだなって。そう思った。
…
「監視カメラも起動しない、首輪のデータも存在しない。それなのに何故死亡者の発表ができたのカ。
もしかすると、首輪のデータはこちらには無く…。本当の黒幕の手元にあるのではないだろうカ。
そして、首輪は一向に外れる気配は無い。つまり実質上、ゲームは続いているということになる。」
円に撃たれた右腕を押さえながら、息を殺して超と高畑の会話を聞いていた。
一枚の壁の隔たりは薄く、開いた出入り口から超が言っていることは十分耳に届く。
そして、その意味もそこまで成績が良くない美砂にだって、理解することはできた。
赤組は一人。その一人というのはつまり美砂、自分自身である。
しえん
291 :
代理:2008/02/15(金) 20:08:08 ID:???
ルールはこうだ。
零時になった時点で赤組か青組、どちらとも一人以上残っていれば全員の首輪が爆発。
つまり、逆に言えば"一人赤組である美砂が死んでしまえば"ゲームは片付く。
美砂は握り締めた銃を見つめたまま、何か良い手立ては無いかと思案を開始する。
―――けれど幾ら考えても、それが不可能だという事実が濃くなるだけだった。
一人の命と大勢の命。天秤に掛ければ、傾くのは大勢の命。
(私が死ねば、ゲームは終わるんだ……皆は助かる…。)
唾を飲み込んだ。心拍数が上昇していくのが自分でもわかる。
口にしては言わないだろうが、きっと皆は生きたいと思うはず。
美砂は唇を噛んで目を瞑ると、妙に重たく感じる銃を自らのこめかみにあてがった。
長谷川は自分の命を犠牲にしてまで桜子を庇った。
桜子は自分の命を犠牲にしてまで私を助けてくれた。
だから、私も皆のために、死を決意しなければならない。
―――が、右腕を上げたことによりその拍子に血が地面に滴り落ちる音。
「ム?」
見える範囲に赤い模様がコンクリートを色付ける様を、超は見逃すことはなかった。
「…柿崎サン……。」
「あ……ッ!」
誰かのために自らを犠牲にするだなんて柄じゃない。
そんな寒い場面を超に目撃され、恥辱心で心を満たす美砂は微かに頬を紅潮させた。
おまけに超まで口を閉ざしてしまい、美砂の望まぬ気まずい空気が流れ込んでしまう。
「あ、えーっと、こ、こんにちはー…。」
挙動不審極まりない言動。手を大袈裟に振りながらぎこちない笑みを浮かべている。
何をしようとしていたか悟っているだろうが、美砂は誤魔化そうと口を動かす。
「い、いやー、あの、その……元気そうで良かったわ…か、風邪とか引いてない?あは、気をつけなきゃね。」
最早自分でも何を口走っているかなど理解できなかった。
超は己の失態に、珍しくも状況を打破することができずに居た。
本当は、美砂にだけは真実を打ち明けないつもりだったがために。
292 :
代理:2008/02/15(金) 20:08:56 ID:???
「…何か、あったんですか?」
「どうしたの、超りん……?」
「何やってるの?」
出入り口付近に佇む超を不審に思ってか、明日菜の死を見届けていたネギたちがそちらへと歩み寄る。
声が近付いていることに気付き美砂は逃げようと身体を翻すが、
超が美砂の手首を捕まえたので逃走は呆気なく不可能に終わった。
「柿崎さん!…無事……だったんですね………!!」
「良かった……良かった柿崎ぃ!」
「本当に良かったよ。その怪我、どうしたの?」
「早く止血をしないと…!」
「えっと、えっと…手当てしなくちゃ…!」
ネギ、まき絵、風香、刹那、夏美が次々と好き勝手に台詞を吐く。
それぞれ辛いことがあったはずなのに、美砂一人の命のために表情を変えてくれる。
喜びを隠し切れないネギの涙、裏表のないまき絵の笑顔、怪我を懸念そうに見つめる風香。
止血すべく自らの制服のシャツを破く刹那、今更ながら血に困惑しつつもそのシャツの切れ端を受け取る夏美。
―――皆の優しさに触れると、死ぬのが怖くなってくる。
「皆……。」
でも、だからこそ、守らなくちゃいけない。
293 :
代理:2008/02/15(金) 20:09:24 ID:???
「皆、動かないで!!」
決意を胸に、美砂は夏美の腕を振り払うと銃を持ち上げて叫んだ。
皆は何事かと目を丸くして、美砂の行動を見守っている。当然だ。
ゲームが終わったのにこんなことをしているのだから。そこに何の理由があるのだろうか。
「私は……私は………ッ!」
言葉が思いつかない。思うように、上手く話すことが出来ない。
やっぱり死ぬのが怖いんだろう。だが、皆を助けたいという気持ちは確か。
美砂は躊躇いながらも強く目を閉じ、銃を再びこめかみへと運ぶ。
「何やってるの柿崎!」
「止めろ!」
まき絵と風香が止めに入るが、引き金に美砂の指が触れるとつい足を止めてしまう。
目の前で命を絶たんとしている仲間。背筋が凍るような感覚。
夏美は何か言いたそうにしているようだが、声を絞り出すことができないようだ。
294 :
代理:2008/02/15(金) 20:09:49 ID:???
そんな重たい空気の中、不相応にも超が"あ"という高音を漏らして顔の前に手のひらを打ち合わせた。
そして呑気なことに、緩慢とした速度で美砂との距離を詰め。
「良いこと思いついたヨ、柿崎サン!」
「う、動かな…いぃ…痛いッ………!」
怒声を上げようとする美砂の銃を持つほうの腕を掴み、抵抗できぬよう捻り上げる。
そして一歩踏み出し皆の前に立つと、美砂の手首を握ったまま仰々しく両手を広げ、
舞い落ちてくる雪を鼻先に乗せ、並びの良い歯を見せ、盛大に明るい声で。
「皆、歌おウ!」
295 :
代理:2008/02/15(金) 20:10:12 ID:???
作者19 ◆2HIP/nDee2:2008/02/15(金) 20:07:21 ID:pKKBd7gI0
終了。
296 :
代理:2008/02/15(金) 20:15:24 ID:???
19氏、投下乙です。
再び本編(一章)に戻ったんですね。
そろそろクライマックスかな?
明日も楽しみです。
おお!!
みしゃー!!
初の全員退場?
みしゃーとくぎみーの戦いはもうちょっとちゃんと書いてほしかった・・・
19氏 代理氏 乙です
乙!
啖呵切ってるのって高畑…だよね??