このスレはROMが多そうだな
たまには書き込まんとある日突然落ちるぞ
そろそろかな?
あげ
724 :
マロン名無しさん:2008/07/28(月) 00:30:29 ID:iGLpLilN
>>723 どんどん遊びに来て
どんどんお金を使ってね!!
ハ ハ ッ !!!
>>723 埋められたジャックの仲間が気になる所だな
金になるからその期間だけ解放でその後また埋められる悪寒
ランドで悪さをするとお城の壁に埋められるって本当?
>>711 男がサンリオサイトなんて行かないだろ
そもそも
>>727 常駐してるかはともかくとして、ネタ探しに
覗いたりするぐらいなら普通にあるだろ
そもそも最初は一発ネタみたいな感じで始まったんだし
あとちなみに、俺の先輩(28歳♂)は大のサンリオ好きなんだぜ
729 :
1/6:2008/08/04(月) 00:00:12 ID:???
第三十二話 集結!!
雄叫びをあげながら突っ込んでいくエディ。
チツプ「なんだこいつ、しつこいぞ?」
デェル「もういいよ、チツプ。こいつらの相手も飽きたし、そろそろ帰ろうよ」
チツプ「よーし」
エディ「……っ!!」
フッと二匹の姿が消えると、離れた所に再び現れる。
エディは目標物を見失い、勢い良くつんのめった。
エミィ「エディ!」
駆け寄り、エミィはエディを支える。
チツプ「じゃあね! イロイロと面白かったよ」
デェル「僕らはもう帰るから、バイバーイ!」
燦理雄側の暗い空気などどこ吹く風、と手を振って別れを告げる二匹。
ケロッピ(もう少し、時間が。時間さえあれば……)
彼はため息を吐いてコンクリートで出来た天井を仰いだ。
もしかしたら何か起こってくれるのではないかと微かな期待を
抱いていたが、それはあっさりと打ち砕かれる。
ケロッピ(ここまでか……無念)
消えていく二匹を見送った後、ケロッピは目を閉じた。
他の仲間も俯き、いくつかのため息が聞こえた後、地下室は完全に静まりかえる。
エディ「くそっ! あいつら、このっ!」
沈黙を破ったのはエディだった。幸い死人が出たわけでもなく、建物に深刻な
被害が出た訳でもないが、仲間に怪我を負わせた挙げ句、軍の重要機密を
持っていると判っている敵をむざむざ取り逃がしたことは、決して軽い事実ではない。
エミィ「エディ……」
730 :
2/6:2008/08/04(月) 00:03:17 ID:JA2rA3jM
地団駄を踏み、地面を滅茶苦茶に斬りつけるエディを
エミィは止めようとしたが、そっとティランが制止した。
ティラン「とめないでやってくれ。悔しい気持ちはみんな一緒だ。わかるだろ?
むしろこの悔しさを次に生かすためには、心の中に無理に押し込めたり
しないで、思いっきり外にはき出した方が良いのかもしれねぇしな」
そう言って自嘲気味に笑うと、ティランも思いっきり暴れ始めた。
ティラン「うおおおおおっ」
叫んで、床のコンクリートを叩き割るティラン。
ブラッキー「あっちゃー、派手にやっちまって」
ステガ「あの馬鹿……」
頭を抱えるブラッキーやステガとは対照的に、サムとケロッピはフッと笑った。
ケロッピ「……まったく」
サム「こういうのも、たまにはいいんじゃないのか? よし、私も行くぞ!」
爆音や金属音が地下空間に響き渡る。
その時。
「騒がしいな」
『?!』
全員が後ろを振り返った。
そこにいたのは彼等にとってこの世で最も敬愛する人物であり、
また一部の者達にとってはとても懐かしい人物であった。
鬼帝「何をしている?」
エディ「き……」
エミィ「鬼帝様!」
ラナバウツ「おお! 鬼帝様、それにハンギョドン!」
731 :
3/6:2008/08/04(月) 00:06:38 ID:JA2rA3jM
そこにいたのは誰であろう、燦理雄軍総帥の鬼帝その人に他ならない。
横には真っ青な巨躯が特徴のハンギョドンも控えていた。
サム「鬼帝様! ハンギョドン!」
ケロッピ「ハンギョドンか……」
みな、口々に彼らの名前を呼び、走り寄る。
懐かしい顔ぶれに落胆も吹き飛んだ。
ブラッキー「あれ? 鬼帝様、それは……」
鬼帝「鼠が侵入していたようだから、捕まえておいたぞ」
エミィ「!」
その場にいた全員が思わず息を呑む。
鬼帝が掴んでいたのは、なんとチツプとデェルだった。
チツプ「うわああーん、離せー」
デェル「このー」
ケロッピ「無駄だ。鬼帝が空間を閉じている以上お前達は逃げられない」
サム「捕まった相手が悪かったようだな」
先程までの緊張や怒りは嘘のように晴れ、お互いの顔を見合って笑った。
ティラン「ハッ、ざまあみな。年貢の納め時ってやつだ」
エディ「……良かった」
そしてほっとする。
ケロッピ「司令室にはもう行かれたのですか?」
鬼帝「ああ。ター坊とチュー吉がいた」
チュー吉とはねずみ小僧の本名である。
鬼帝「ここにみなが集結していると聞いてな。司令室で
待っていても良かったが、懐かしのお前達に早く会いたかった」
サム「鬼帝様、お陰でとても助かりました」
鬼帝「今度は逃げられぬようにな」
732 :
4/6:2008/08/04(月) 00:08:54 ID:JA2rA3jM
ポイッと鳥かごの中に捕獲した二匹をいれ、鬼帝はかごに触れた。
逃げられないように鳥かごの中の空間を固定化する。
鬼帝「マイメロにでも預けておけ。捕虜の面倒見は得意だろう」
ケロッピ「御意」
鬼帝「では、戻るぞ」
先頭に立って去っていく鬼帝。その姿を黙って眺めるハンギョドン。
ハンギョドン「…………」
「ハンギョドン」
「おい、ハンギョドン」
ハンギョドン「……ん、おお、すまんかった」
いつのまに、彼を懐かしい仲間達が取り囲んでいた。
サム「久しぶりだな、ハンギョドン! どうした? ぼおっとして。疲れてるのか?」
心配する仲間を前に、ハンギョドンは豪快に笑って見せる。
ハンギョドン「いやあ、ハッハッ! おいは今日はるばるアメリカから帰って来たと。
そりゃ少しは疲れるけんな。それに、ちぃっと考え事をしとったばい」
エミィ「お疲れ様。今日はしっかり休んで、また改めてお話しましょうね」
ブラッキー「みやげ話期待してるぜ」
ハンギョドン「ハッハッハッ。よかよか」
笑いながら何事もないようにみんなと歩いていく。
しかし、またすぐにハンギョドンは黙って何かを考えていた。
司令室で新幹線も合流し、大層賑やかになる。
そこに更に扉が開いた。
罰丸「うーっす。俺様帰ったぞー!」
もんきち「ただいま帰還したでござる」
ペックル「おかえり、二人とも! それにそちらは……」
ポコポン「みんな、その、お久しぶりだす」
733 :
5/6:2008/08/04(月) 00:12:43 ID:JA2rA3jM
とても懐かしくてとても嬉しいはずなのに、ポコポンは緊張していた。
彼の裏切りは知らせないでくれると二人は言ってくれたが、
後ろ暗いことには変わりない。みんなと、目が合わせられない。
特に、彼が最も畏れる男には……
しかし避けていたはずなのに、何故か真っ先に目が合ったのは彼だった。
ケロッピ「久しぶりだな、ポコポン」
ポコポン「ケロッピ……」
うっすらと、ポコポンの額に汗が浮かんだ。
ポコポン「お、お久しぶりです」
サム「どうした? やけに堅いな。私達は仲間だろう?」
ポコポン「え、ええ、そうですね」
鬼帝「ポコポン」
ポコポン「!」
その場にいた者全員が道を開けた。そこにいたのは鬼帝。
ポコポン「鬼帝、様……」
鬼帝「近う寄れ」
ポコポン「は、はい!」
彼女の前に倒れ込むように近付き、その勢いのままポコポンは跪いた。
鬼帝「よく、戻ったな。……お前は、戻って来ないのではないかと思っていた」
ポコポン「……!」
ギクリとして、息を呑んだ。胸がズキリと痛む。
鬼帝「お前は優しいやつだからな。お前の目には常に躊躇いがあった。
だが、今のお前は違う。その目は──覚悟を決めた者の目だ」
ポコポン「…………」
734 :
6/6:2008/08/04(月) 00:17:16 ID:JA2rA3jM
鬼帝「我が為に、そしてこの国に生きる全ての者の為に戦え。頼むぞ」
ポコポン「……僕なんかには、勿体ないお言葉です。ありがとうございます……!」
そう言って頭を下げたポコポンの頬には、一筋の涙が光っていた。
その姿を見て鬼帝は深く頷くと、全員の顔を順に見回し名前を呼んだ。
鬼帝「サム、ター坊、ハンギョドン、ラナバウツ」
『はっ!』
鬼帝「エディ、エミィ、ゴロピカドン、マイメロ」
『はい!』
鬼帝「チュー吉、ポコポン、マロンクリーム」
『はい』
ここで一呼吸、置く。
彼女は顔を上げて目の前にいる男をひた、と見据えた。
鬼帝「そして──── ケロッピ」
ケロッピ「……は」
鬼帝「ここに、現在生存が確認されている全ての幹部が集結した!」
十五年ぶりに勢揃いした幹部を見渡し、鬼帝は宣言する。
鬼帝「これからはもはや今までのような小競り合いでは済まぬ。
お前達は人の上に立つものとして、皆を正しい道に導くように」
『はっ!』
一同敬礼、もしくは各々自分のやり方で表敬する。
鬼帝「また幹部ではないがペックル、ポチャッコ、もんきち、ダイナソアーズ、
罰丸、新幹線、チュッピーズ、そして今この場にいない仲間達よ。
お前達はお前達のやり方で幹部を支えてくれ。その働き、期待している」
ポチャッコ、罰丸、ティランは照れ笑いをした。
新幹線やチュッピーズは笑い、ブラッキーにステガ、ペックルは敬礼する。
鬼帝「戦はまだ始まったばかりだ! 燦理雄の戦士として誇り高くあれ!!」
今、鬨の声が揚がった。
〜続く〜
●●
. ●<続かないよ ハ ハ ッ !!
,、 '";ィ'
________ /::::::/l:l
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. : : : : : : `゙'ヽ、:::゙ヾ´::::::::::::::::::::::`゙゙゙'''‐'、. l|
、、 . : : : : : : : : r'":::::::::::::::::::::::::,r':ぃ::::ヽ::::::::ヽ! ,、- 、
.ヽ:゙ヽ; : : : : : :ノ:::::::::::::::::::::;;、-、、゙::: rー-:'、 / }¬、
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ヽ:ヽ、 /::::::::::::::::::::::::: _ `゙''‐''" __,,',,,,___ /~ ヾ::::ツ,、-/
`ヽ、:::::::::;;;、、--‐‐'''''',,iニ- _| 、-l、,},,  ̄""'''¬-, ' ''‐-、 .,ノ'゙,i';;;;ツ
_,,,、-‐l'''"´:::::::' ,、-'" ,.X,_,,、-v'"''゙''yr-ヽ / ゙゙'ヽ、, ,.' j゙,,, ´ 7
,、-''" .l:::::::::::;、-''" ,.-' ゙、""ヾ'r-;;:l 冫、 ヽ、 / __,,.ノ:::::ヽ. / またまたご冗談を
l;、-'゙: ,/ ゞ=‐'"~゙゙') ./. \ / '''"/::::;:::;r-''‐ヽ
,、‐゙ ヽ:::::..,.r'゙ ,,. ,r/ ./ ヽ. ,' '、ノ''" ノ
,、‐'゙ ン;"::::::. "´ '゙ ´ / ゙、 ,' /
' //::::::::: {. V /
/ ./::::::::::::: ', / /
. / /:::::::::::::::::. ',. / ,.、 /
保守
過疎ってんなー…
●●
. ●<ヤァ。ボクミッキー!
742 :
1/5:2008/08/18(月) 00:59:33 ID:A8WdzYCY
第三十三話 それぞれの休日
多くの同志が集い、戦意高揚した燦理雄軍。
いまだ警戒はしていたものの、気のおけない友人達と会って、
久しぶりに穏やかな時間を迎えている者も少なくはなかった。
エディ「怪我の具合はどうだ?」
サム「たいしたことはない。凍気使いが火傷したということは悔しいが」
少し広めの病室では、医療チーム「リトル・コットン・ウッド・コテージ(通称L.C.W.C)」に
所属する小人の医者達が傷ついた幹部達の治療に当たっている。
新幹線「そのくらい良いじゃあありませんか! 軽傷でなによりです」
ラナバウツ「まったくだ。この程度なら自然に回復するから
パーツを取り替えなくて済む。助かったわい」
機械のくせに切ってあったリンゴを口にいれてムシャムシャ食べるラナバウツ。
エミィ「ブラッキーは? 左足はどう?」
ブラッキー「大丈夫だ。ありがとう」
ステガ「防御力が高いからと油断するからだ。
生身の部分を攻撃されては意味がないのに」
エディ「ま、まあまあ。そうきつく言うなよ」
困ったように笑うエディ。腕を組んで険悪な顔をしているステガ。
少し離れたテーブルにつき、シュガーバニーズの作った
絶品ケーキを食べながらマイメロが不思議がった。
マイメロ「ねーねーフラットくん。ステガちゃんはブラッキーくんと付き合ってるんだよね?
なのになんでブラッキーくんが無事なのにステガちゃんは怒ってるの?」
その素朴な質問に、マイメロの友人ネズミのフラットは得意げに説明する。
フラット「わからないかなぁ。いわゆる複雑な乙女心ってやつさ。
ステガだってブラッキーが無事で嬉しいんだけど、それを素直に
言えないんだよ。彼女はクールなキャラで通ってるしね」
マイメロ「ふーん。そうなんだー」
ステガ「うるさいぞ外野……」
743 :
2/5:2008/08/18(月) 01:02:15 ID:A8WdzYCY
司令室。
チュッピーズ達は休憩でおらず、ポチャッコ・ペックル・ティランの三人が座って話し込んでいた。
ポチャッコ「長い休暇はどうだった?」
ティラン「平和な生活ってやつも意外と悪くなかったぜ」
ペックル「でも一体どうしたんだ、突然?
いきなり現場を離れるとか言い出したから心配したんだぞ」
少しだけティランの表情が曇るが、適当に受け流す。
ティラン「ちょっと、色々あってな。アニキ達はどうよ?」
ポチャッコ「変わんねー。毎日てめえだけ安全な場所で部下に指示ばっかよ」
そう皮肉混じりに言ってポチャッコは笑う。
彼がつけている横に尖った逆三角のサングラスごしに、ギラギラした目が透けて見えた。
ティラン「アニキ達こそオペレーターになるなんて、夢にも思わなかったぜ」
今度はペックルが表情を曇らせる番だった。
わずかに視線を落とし、また戻す。
ペックル「……同じく、色々あってね。でも僕は良かった。向いてたよ。
ポチャッコはそろそろ前線復帰したいんじゃないのかな?」
ポチャッコ「んー、そろそろだな。でもまだいい。
俺達がいなくなると、オペレートするのは新人の
チュッピーズだけになる。アイツらにはまだ荷が重いしな」
ペックル「そうだね。僕らが戦うとしたら、それはかなり戦況が
悪い時になりそうだ。そういう事態が来なければいいんだけど」
ペックルはそう言うと愛用の得物を撫でた。
ここしばらくは血を吸わせていない。
……でも、多分その方が良い。
ティラン「なに、俺がアニキ達の分まで戦うさ。見ててくれよ」
ポチャッコ「ははっ、言うじゃないか。流石俺の後輩だ。頼もしいな」
バシッとティランの背中を叩くと、ポチャッコは大口をあけて笑った。
744 :
3/5:2008/08/18(月) 01:05:53 ID:A8WdzYCY
一方、病院の方ではちょっとした騒ぎが起こっている。
コッコ「あ、あわわわわ。あわわわわ! 婦長ー!」
看護婦に連れてこられたマロンクリームがその様子を目にした。
マロン「ち、中将! なにをされてるんですか!」
ター坊「見ての通り、鍛えているのでアリマス」
なんと、怪我が全快していないにも関わらずター坊は片手倒立をしていた。
空いた右腕はピタリと腰に当て、そのままさらに腕立て伏せまでしている。
一瞬言葉を失ったマロンクリームだが、すぐ我に返り制止に入った。
マロン「なにを考えているんですか! あなたはまだ怪我人なんですよ」
いつになく強い口調でマロンクリームはとめようとするが、それはター坊も同じだった。
ター坊「長い入院生活のせいで体がなまってしまい、このままでは
退院してもすぐには戦えない。だがそれでは駄目なのでアリマス!」
普段は穏やかなター坊がキッとマロンクリームを見据える。
そこには有無を言わせない強さが潜んでいた。
マロン「……中将」
ター坊「どうせリハビリに時間をかけるなら、多少今から無理をしても変わらない。
ならばせめて、自分は退院と同時に戦えるようにしたいのでアリマス。
どうか君にはわかって欲しい、でアリマス」
そのまっすぐな瞳に射すくめられ、マロンクリームは反論する言葉を失う。
思わず、目を反らしてしまった。
彼女はキュッと拳を握る。
マロン(わかって、いたはずだった。この人はこういう人なのだということを……)
目を閉じ、また開いてター坊の目をしっかり見返す。
マロン「……わかりました。婦長である私の権限で特別に認めます。
ですが、決して無理はしないようにしてください。
やりすぎてまた体を壊したら、それこそ元の木阿弥ですから」
ター坊「……すまない。感謝するでアリマス」
745 :
4/5:2008/08/18(月) 01:08:00 ID:A8WdzYCY
建物の外。
道を黒い少年と白い少年が歩いていた。
罰丸「でよ、俺がそこで新技でババーンと乱入したわけよ!」
花まる「わーすごい! すごいね罰丸くん!」
のんきに道を歩きつつ、罰丸の自慢話にいちいち感動しているのは親友の花まるである。
さっきからひたすら感心したり驚いたりを繰り返していた。
罰丸「俺様の大・活・躍のおかげでポコポンの野郎は改心し、もんきちも
助かったってえ訳だ。二人にとっちゃ俺様は大恩人ってとこだな」
花まる「さすが罰丸くんだね!」
キラキラと瞳を輝かせながら罰丸の話に聞き入る花まる。
罰丸「ガッハッハッハッ! このくれぇは朝飯前よ。
今度特別にお前にも俺の新必殺技を見せてやんぜ」
花まる「わー! ありがとう罰丸くん!」
ひとしきり自慢話をしつくし、満足げな罰丸。
一息つくと、先程から気になっていたあるものを横目で見る。
罰丸「……ところでよ、さっきから気になってたんだけど、アレなんだ?」
指差す方向には、耳に両手を当ててたたずむほしのわぐまのポーがいた。
先程からずっと、あちこちに立っては何かを聞こうと一生懸命耳をすましている。
それだけなら罰丸も特に気にとめなかっただろうが、
何故かポーはさっきから二人の後をついて来るのだ。
時々妙なことを呟きながら石をひっくり返したり木のウロを覗き込んだりと、
奇行をするポーを罰丸は気になってしょうがなかった。
ポー「うーん、ここも聞こえない」
746 :
5/5:2008/08/18(月) 01:10:15 ID:A8WdzYCY
罰丸「なあ、こいつ何? 不審者じゃね? やっつけてもいいか?」
花まる「違うんだよ罰丸くん。実はね、ポーは“声”を
探してるんだよ。それでね、なかなか見つからないみたいだから
僕も探すのを手伝ってあげることにしたんだ!」
思い出したかのように両手をぽんっと合わせ、花まるはキラキラした目で語る。
それを見て呆れたように罰丸は頭をかきむしり、叫んだ。
罰丸「だあーっ! ったく、お前またかよ! 本当に引っかかりやすいヤツだな。
声ってなんだよ声って! あれか? オラクルか? 予知か? 神のお告げか?
なんにしろどう考えてもまともじゃねえだろ、アイツ?!
変な電波小僧に関わるとお前まで妙ちくりんな電波に侵されるぞ!!」
しかし、罰丸が何を言っても花まるは取り合わない。
花まる「そんなことないよ。ポーくんはとてもいいこだよー?」
罰丸「そーゆー問題じゃねえ! ……はあ。まぁ、いいか。
お前のお人好しは今に始まったことじゃねえしな」
もはや罰丸は完全に諦めていた。花まるのお人好しは
何も今に始まったことではない。昔からなのだ。
そのうえ、一度こうと思い込んだらなかなか考えを変えない頑固さもある。
幼なじみの罰丸はそのことをよくわかっていた。
罰丸「で? そもそも、声って一体どんな声なんだよ。
まさか幽霊とかじゃねえだろうな」
花まる「それがね、すすり泣く声なんだって」
罰丸「幽霊だっ!!」
ちょっぴり、まともに取り合ったことを後悔した罰丸であった。
747 :
ネタ師:2008/08/18(月) 01:13:51 ID:???
最近休みがちで申し訳ない…
今日は久しぶりにフリーだったので少し書き溜めしました
とりあえず、来週の日曜夜は確実に投下します。それでは
●●
. ●<オツカレ!!
魔王いいやつだなwww
●●
. ●<カロウデシヌガイイ!!
751 :
マロン名無しさん:2008/08/20(水) 22:13:48 ID:hyj0Ej6i
最近このスレ魔王に乗っ取られ気味じゃないか?
まさか住人はみな夢の国に連れて行かれてしまったのか?!
待ってろみんな!今助けに行くぞ!(`・ω・´)
グシャ!ピチャッ、ピチャッ…
●●
. ●<ハハッ!!
753 :
マロン名無しさん:2008/08/21(木) 02:19:40 ID:WerM8AtS
●●
. ●<ハハッ!!
あの人を小馬鹿にしたハハッがまた無性に憎たらしいなww
でも今日は魔王に真面目に質問
ちゃくちゃくと勢力を強めてくるサンリオ軍に脅威は感じますか?
ディニー側代表としてコメントをどうぞ
●●
. ●<ハハッ!!
ハッピーセットのおまけに鬼帝様とラバナウツが進行中!
>>755 コメントしないってことは実は焦ってるんだろ!
流石の魔王もサンリオ幹部大集合にはビビってるんだな。ざまあwww
>>756 マジで?鬼帝様はともかくラナバウツは珍しいな
そういえばハッピーセットに燦利雄はありそうであんまなかった気がするなぁ
760 :
1/5:2008/08/25(月) 00:10:27 ID:l5ICgudz
第三十四話 三つの理由
静かな部屋に男が数人、緊張した顔で相対していた。
ケロッピ「申し訳ないがその件には触れられない」
応接室のソファに腰掛け、足を組んでいたケロッピは即座に断言する。
ジャック・ポコポン「……!」
もんきち「なにゆえ、でござるか?」
ケロッピが無分別に私情で動くことはない。
それを知っているために、もんきちは声を荒立てず冷静に問い返した。
もんきち「ジャックはただ助けてもらうだけでなく、こちらの味方になると
言っているでござる。彼の戦闘力は直接戦った拙者にはよくわかるが、
決して低くはないでござるよ。それに向こうの情報も手に入るし、
上手く行けばバートンファミリーともコネクションが持てるかもしれないでござる」
もんきちの説明を聞き、その一つ一つに的確な反論と否定の言葉を
携えながら、ケロッピは丁寧に説明し始めた。
ケロッピ「理由は三つある。まず一つ目、これはお前達もよくわかっている
だろうが、軍とは個人の集団とは違う。ある唯一にして最大の
目標を実現させるために我々は常に犠牲を払っている。
具体的に言うならば、統率力を保持するために我々は個を喪(うしな)い、
必要あらば味方をも切り捨てるという非情の決断を行う。
そのような緊迫した局面で新たな配慮事項という負債を負って、
指揮系統を無駄に混乱させたくない、というのが最大の理由だ。これが一つ目」
ジャック「………………」
ケロッピ「二つ目は、ジャックと言ったか。君にとってもマイナスにしかならない」
ジャック「……それはどういうことですか?」
若干青ざめながらも、ジャックはつとめて平静を装い質問する。
761 :
2/5:2008/08/25(月) 00:12:54 ID:l5ICgudz
ケロッピ「直接的に裏切った訳ではなく、ただ戦いを放棄しただけ。しかも君は
魔王の友人でも部下でもなんでもない。それなのに同盟関係であった
君の仲間はヒドい目に遭わされた。裏を返せば、もし本格的に君が裏切り
行為を行えば今度こそ仲間達の命はないということ。いわば人質といえる。
実際に痛めつけて見せれば単に人質だと言って閉じ込めるより、はるかに
殺しにリアリティが生まれ君の行動を制限し、操りやすくなる。
魔王は狡猾な男だ。残虐な行為をいかに効果的に行えるかを知っている。
次はバラバラにされたり生き埋めになるよりヒドいことも……」
ポコポン「ケロッピ! それ以上は……」
視線をジャックにやりながらポコポンは制止しようとして、口ごもる。
ジャックはただ黙って俯いていた。
ケロッピ「──失礼。とにかく、我々を頼ってくれた君がこれ以上立場を危うく
することは我々としても望まない。またバートンファミリーのことだが…
おそらく、表立って我々と手を組むことはないだろう」
ポコポン「どうして、そう思うの?」
ジャック「みんなには僕から助けてくれるように言いますよ?」
二人は納得できない、という顔をするがケロッピは
さも当然という様子でその理由を説明していく。
ケロッピ「一人でも頭脳派な人間がトップにいればそれはない。何故か。
まず君との一件で、魔王含め泥須尼異側は何らかの手を既に打っていると
考えるのが妥当だ。そしてバートンファミリーは複数の作品で泥須尼異と
商業契約を結んでいる。近い立場にいれば人質の一人や二人簡単に捕れるだろうし
無茶な要求で揺さぶりをかけることも可能。そして戦力差は明白。
下手な行動をとれば組織は即座に壊滅する。そんな状況下で、
バートンファミリーが我々と手を結ぶ余裕はない。余程のことがない限り
動きを見せることすらないだろう。お互いになんのメリットもない。
これが二つ目の理由だ。以上の理由により、我々は……」
ジャック「待ってください」
762 :
3/5:2008/08/25(月) 00:13:48 ID:l5ICgudz
彼は俯いていた顔をあげ、ケロッピの言葉を遮った。
ジャック「三つ目は? あなたは確か、最初に三つの理由があると言ったはず」
ケロッピ「…………」
今まで教師が講義をするかのように、もしくは俳優が演技をしているかのごとく
朗々と流れるように話していたケロッピが、初めて言い淀んだ。
ケロッピ「……聞かない方がいい」
ジャック「どうして?」
ケロッピ「聞いても、君のためにならないからだ。
一つ目の理由は最大にして誰もが納得出来る実質的理由、
二つ目は君や君の仲間自身のことをも考慮した客観的理由、
そして三つ目の理由……最後の理由は、司令官である僕の主観的理由だ」
目や口調でジャックを牽制しながら、ケロッピは言い放った。
それでもなお、諦めずにジャックは食い下がる。
ジャック「聞かせて、くれないかな」
もんきち「それは聞かない方が……!」
ポコポン「ジャック、君はもう十分納得しているだろう? ここから先は君には酷だ」
もんきちとポコポンがジャックを制止するが、彼の決意は固かった。
ジャック「いいんだ。覚悟は出来てる。僕は今まで甘かった。
だから、その甘さを今打ち砕いてもらうんだ」
彼の決意は固い。
ため息、一つ。そしてケロッピは続きを話した。
ケロッピ「最後の理由は……魔王は確実に君の行動を読んでいるだろう。
そして、君が仲間を助けに来るだろうと踏んで罠を張っているはずだ。
予め危険だと判っている場所に、部下を派遣したいと思う上司がいるか?」
ポコポン(エッ?)
もんきち「…………」
ポコポンは驚き、もんきちは無表情となった。
763 :
4/5:2008/08/25(月) 00:18:53 ID:l5ICgudz
対してジャックは深く頷き、まっすぐにケロッピの目を見返す。
ジャック「仰る通りです。僕は……僕はとても浅はかでした。
あなた方を巻き込むということは、あなた方を
とても危険な目に遭わせるということになるのに……
僕はそこまで考えが及んでいませんでした。すみません」
頭を下げるジャック。
ケロッピ「謝らなくても結構。君も、仲間を失って冷静な判断が
出来なくなっていただろうし、何も気にすることはない。
むしろ、なんの手助けをすることも出来ず申し訳ない」
ジャック「いえ、いいんです!
……僕はこれから、一体どうすればいいでしょうか?」
縋るような目で、ジャックはケロッピを見た。
ポコポン「そういえば、君は僕らと接触してしまった訳だし、
下手にバートンファミリーに帰る訳にもいかないよね?」
もんきち「かといってうちにくる訳にもいかないし……どうするべきでござるか?」
ジャックに加え二人の視線も受けながら、ケロッピは組んでいた足を外す。
ケロッピ「難しい問題だな、それは。」
机に置いてあるコーヒーを一口飲んで、ケロッピは考えた。
ケロッピ「しばらくは下手に誰かと接触しない方が良いだろう。そうだな……
いくつか身を隠せそうな場所を教えよう。そこに潜伏しているといい。
僕らが泥須尼異を倒した暁には、君も真っ先に駆けつけてくれ」
ジャック「……ありがとう。恩に着ます」
今度は立ち上がって、ジャックは再び深々と頭を下げた。
764 :
5/5:2008/08/25(月) 00:20:45 ID:l5ICgudz
ほんの少しだけ元気になったジャックは、
ゼロを引き連れ燦理雄軍基地から去っていく。
その後ろ姿を見送った後、ポコポンともんきちは本部に向かい歩いた。
ポコポン「結局、おらたちはなんの助けにもなれなかっただすな……」
もんきち「仲間を失い、組織にも帰ることが出来ず、ジャックはこれから
たった一人で想像も出来ない辛い日々を送るのでござろう。
ゼロの存在が救いでござるが」
なんとなく気まずくて会話もなく歩いていた二人だが、
はっとあることを思い出したポコポンが雰囲気を明るくして話しかけた。
ポコポン「でも、ケロッピの言葉は正直驚きだっただすな! 危険な場所に
部下を派遣したくないだなんて。彼が心の中であんな風に
思っていたなんて、おらはちっとも気がつかなかっただすよ!」
だがはしゃぐポコポンを尻目に、もんきちは俯いてボソリと呟いた。
もんきち「──あれ、嘘でござるよ」
ポコポン「えっ?!」
もんきち「拙者はこれにて失礼」
何か言おうとしたポコポンを無視し、もんきちは一瞬で空高く跳躍して
付近の建物の上に飛び乗ると、素早くどこかへと去っていった。
ポコポンはただあっけなくその様子を見送ることしか出来なかったのだった。
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. ●<ハハッ!!
うおおこの展開なんか燃えるな
もんきちの反応がすげえ気になる
理知的キャラだから仕方ないが、ケロッピの台詞の長さがデスノ並w
>>766 もんきちはなにげに深いキャラだよな
なんか最近スレの乱立がひどいな
ちゃんと保守しないと前スレのようにある日突然落ちるかも…
769 :
魔王:2008/08/27(水) 21:56:59 ID:???
ニタァ
職人様乙です。
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