青山剛昌のサンデー19show(トークショウ)
[さまよえる赤い蝶] 1/3
トライデントのエンブレムを光らせた車が、夜の路上をひた走る。
ハンドルを握るのは、中折れ帽にスーツの青年。
彼の名は北方優作。私立探偵だ。
不意に車載電話の電子音が鳴った。
受ける前から相手は知れている。
いつも決まってこの時刻―― 19時19分にかかってくる電話。
北方はハンドルを片手に受話器を取ると、素知らぬふりで応答をした。
「もしもし、北方探偵事務所…」
受話器の向こうから女の笑う声がした。
『 こんばんは… 探偵さん』
そして女は北方に謎めいたメッセージを告げる。
『 私は新たな宿を探してさまよう赤い蝶。
一番目の花は枯れてしまった…。二番目の花は蜜がなかった。
そしてあなたが三番目…… でも、まだつぼみなの…。
私はあなたの右の四番目の花にとまって、あなたの咲くのを待ってるわ……
じゃあ……』
[さまよえる赤い蝶] 2/3
言うだけ言って女は電話を切ってしまった。
しかし北方が動じることはない。わずかな手掛かりでも謎解きには充分だ。
彼は煙草をくゆらせながら、録音していた電話のテープを巻き戻す。
最初の言葉。新たな宿。これは 『新宿』の暗示だ。
そして 『あなたの右』。
あなた―― すなわち北方の北を上と置けば、その右はもちろん東になる。
北方は手荒くハンドルをさばき、車を新宿東口方面に向かわせた。
問題は東口のどこであるかだ。
電話で女は 『赤い蝶』という言葉を使っていた。
チョウ…… 聴か? 北方は考えながらラジオをつける。
流れてきた 『スーパージョッキー』という単語で、北方はひらめく。
チョウは超――。超人? 仮面ライダー?
……違う。ライダーならば黒だ。女は赤い蝶と言っていた。
赤い羽の超人。四番目の花。四――。
―― スーパーマン 4!!
[さまよえる赤い蝶] 3/3
北方は新宿東口の映画館にたどり着いた。
上映中の映画は 『スーパーマン4』。
客席を見渡すと、帽子をかぶった若い女の姿が目に留まった。
あの女だ。
北方は女に近付いて告げた。
「いやぁ、待った?」
彼女が口をとがらせる。
「もぉ、優ちゃん、来ないかと思っちゃった!!
やっぱり、こんな待ち合わせの仕方… もうやめよぉよ――!!」
「安心しなって………… オレは名探偵だぜ!!」
―― だが… 本当の依頼の電話はまだない…。
やや真面目な話かと思ったら・・・
女のほうも毎回考えるの大変だろうな。
超から仮面ライダーに飛ぶのは無理があるだろw
名前は北方謙三+松田優作か
マセラッティも北方つながりだな
しかし仕事もないのに外車かよ…
探偵ジョージのミニミニ大作戦
名探偵登場!の巻 1/3
ビルにうずもれた裏通りに、一人の少女の姿があった。
彼女の名は芦川麻美。
麻美はいかにもガラの悪い黒服の集団に追われていた。
闇雲に非常階段をのぼり、とあるビルの屋上にたどり着く。
彼女はそこにあった家の戸を叩き、中の住人に助けを求めた。
「誰だ! 朝から騒々しい!!」
不機嫌な男の声が響くが、部屋の中には何者も見当たらない。
きょろきょろとあたりを見渡し、麻美はようやく相手の姿を発見した。
口ひげをはやし、スーツに身を包んだハードボイルドな男。
ただし、その身長は十数センチ。人形サイズの人間である。
男を見た途端、麻美は悲鳴を上げて床に倒れた。
「ふっ、また一人、オレの美貌で失神させちまったぜ…」
麻美を起こす名目でそのスカートにもぐり込む男。
目を覚ました麻美に男はこう名乗った。
「オレは桐島祥二(きりしま・じょうじ)!! 私立探偵だ!!」
名探偵登場!の巻 2/3
そうこうする内に、麻美を追う集団が探偵事務所の中へと入ってきてしまった。
ジョージは麻美とともに、トイレの秘密出口から脱出、
外に停めてあったクラシカルなオープンカーに乗り込んだ。
ジョージの身長では運転できないため、麻美(無免)にハンドルを握らせる。
高速を飛ばしながら、麻美はジョージに一つの質問をぶつけた。
どうしてそんなに小さいのか、と。
しかしジョージは「秘密は男の財産だ」と言い、カッコつけた顔ではぐらかすのだった。
そんな二人の後を、またも黒服の集団が追跡してくる。
銃で車を狙い撃ってくる彼らに対し、
ジョージは車のトランクから一台のミニカーを登場させた。
その名も、『アストン マーチン ラコンダ V8RC(ブイハチ・ラジオコントロール)改』。
愛車でさっそうと飛び出すジョージだが、小さすぎるために置いてきぼりを食っただけだった。
そこでジョージは、一軒のおもちゃ屋の中へと乗り付ける。
店の主人は、ハゲ頭に丸メガネ、白いヒゲの太った爺さんだ。
店主はジョージと顔なじみらしく、さっそく車に代わる移動手段を用意した。
それは本物そっくりの戦闘機。ミサイルさえも撃てるらしい。
ジョージは戦闘機に乗って飛び立った。
名探偵登場!の巻 3/3
一方の麻美はと言うと、黒服の男たちに捕らえられ、
ひとけのない倉庫街へと連れ込まれていた。
エッチな悪党たちに囲まれ、麻美の貞操に危機が迫る。
そこへジョージの操縦する戦闘機が現れ、ミサイルで男たちを撃退した。
騒ぎのさなか、男たちの上司であるボスも現れるが、
ジョージはパラシュートで脱出し、戦闘機を体当たりさせて
ボスを黒コゲにするのであった。
すると麻美が、突然ボスへと詰め寄った。
「これはどういうわけか説明してよ!! お父さん!!」
なんと麻美を追っていたボスは彼女の実の父。
彼は家出した娘の身を案じて、必死に連れ戻そうとしていたのだ。
家に戻りたくない麻美は、勝手にジョージの秘書になると決めてしまい、
更に父親に対してこんなことを言う。
「それに麻美はもう探偵さんと…
エッチしちゃいましたの」
頬を赤らめる麻美。唖然とする一同。
このハッタリを信じ込んだボスは、
大人になった娘をジョージに託すことに決めるのだった。
自称秘書の麻美を迎え、桐島祥二の騒がしい日々が始まる。
ちょw 微妙にエロス
したとしたらどうやってエッチをしたのか詳しく聞きたい
探偵ジョージのミニミニ大作戦
氷の国の怪物(モンスター) 1/3
私立探偵・ 桐島祥二(じょうじ)の朝は一杯のコーヒーから始まる。
コーヒーを入れるのは、押しかけ秘書となった芦川麻美だ。
ジョージは小さな体でカップを抱え、ぐびぐびと中身を飲んだ。
「酸味がきつすぎる………」
ジョージの言葉にむっとしつつも、麻美は続いて朝食の用意をする。
「塩が四粒多い…」
今度もジョージに文句をつけられ、怒った麻美は料理の皿を取り上げてしまった。
「だったら自分で作りなさい!!」
こうして腹ペコのジョージは、渋々ながら冷蔵庫を開け、
中に入って食べられそうなものを探すことにした。
しかしその最中、麻美が気づかずに冷蔵庫のドアを閉めてしまう。
扉は内側からは開かない。しかも麻美はそのまま買い物に出かけてしまった。
真っ暗な庫内に閉じ込められ、寒さに震えるジョージは、
チョコレートの包み紙を燃やして暖を取ることにした。
野菜室に潜んだ怪物の気配になど気づかずに――。
氷の国の怪物(モンスター) 2/3
ジョージは冷蔵庫の配線をいじり、
むき出しになった電線をつないで庫内の電気をつけた。
するとそこに、巨大な黒い怪物が襲いかかった。
ゴキブリである。
ジョージの目から見たその姿は、まるで凶暴なエイリアン。
ジョージはバターナイフで応戦するが、まったく歯が立たない。
食べ物の陰に隠れるジョージを、黒い怪物が追いつめる。
鋭い前足がジョージの頭をかすめ、豆腐パックを切り裂いた。
必死に逃げるジョージは、冷蔵庫の最上段へとたどり着いた。
彼は冷蔵庫の温度調節ダイヤルを発見し、一つの策を思いつく。
送風口から冷気を放射し、追ってくるゴキブリにあびせかけるのだ。
作戦は見事に成功し、ゴキブリはカチンカチンに凍ってしまった。
「さすが熱帯産の生き物… 冷気に弱いってわけか…」
しかし、負荷のかかった冷蔵庫はオーバーヒート。
壊れた冷蔵庫の中は、次第に冷たさを失っていく。
それの意味することにジョージが気がついたときには、
溶けて復活したゴキブリが、再びジョージに襲いかかっていた。
氷の国の怪物(モンスター) 3/3
怪物はジョージを捕らえ、エイリアンばりの大口を開く。
絶体絶命の状況に追い込まれたジョージ。
そのとき彼の視界の端に、たれ下がった二本の電線が映った。
「死ねっ!!」
火花を散らす電線の先を、怪物に押しつけるジョージ。
強烈な電流を流されたゴキブリは、
真っ黒な消し炭となって崩れ落ちた。
怪物との戦いにからくも勝利したジョージ。
そのとき、買い物から帰ってきた麻美が冷蔵庫を開けた。
「うまい! 麻美は料理の天才だ!!」
文句の代償が骨身に染みたジョージは、
麻美が作った料理を今度は賛辞とともに頬張るのだった。
前回と毛色が違うが面白かった
でも、よく見るとゴキブリがでかすぎないか?
カレールーの箱と同じサイズに見えるんだが・・・
やや下らないがカッコイイな
たしかにゴキブリでかい・・・
まぁ小さい人間がいるような世の中ですから
麻美が来る前は誰が飯作ってたんだろう
というか日常生活できるのか、ジョージは
探偵ジョージのミニミニ大作戦
I AM A DENTIST ―オレは歯医者だ!― の巻 1/3
今日も愛車のハンドルを握り、
ダンディズムを漂わせる私立探偵・桐島 祥二(じょうじ)。
しかし公園を走っていた彼は、近所の子供に捕まってしまう。
ジョージは車で水たまりの泥をはね上げ、子供たちを撃退するが、
そこへ入れ替わりに小さな少女がやってきた。
一話のおもちゃ屋にも来ていた、泣き虫の真子(まこ)だ。
真子を苦手にしているジョージは、急いで逃げようとアクセルを踏む。
しかし車は、水たまりの中にはまり込んでしまって脱出できない。
「そ、そこのかわいいお嬢さん? ちょっと手を貸してくれないか………」
「だったら真子の家来になる!?」
横暴な条件をつけられ、即座に断るジョージだが、
そうこうする間にも車は底なし沼へ沈んでいく。
ジョージはやむなく、一日だけ家来になることを約束した。
ジョージを家に連れ帰った真子を、美人の母親が出迎える。
母親はジョージのことをただの人形だと思っているようだ。
真子はジョージを部屋に連れて行き、着せ替え人形の服を着せて、
大きなリボンに水玉ドレスという姿にしてしまった。
更にジョージは砂のご飯でままごとをさせられ、
早くも家来生活に嫌気が差し始めた。
彼は真子と散歩に行くことで、脱走の機会を探すことにした。
I AM A DENTIST ―オレは歯医者だ!― の巻 2/3
真子はジョージの思惑も知らず、
おばあちゃんに買ってもらった帽子でおめかしして外に出る。
この帽子は彼女の二番目の宝物だという。
「ところで一番目の宝とは…?」
「ジョージよ!」
「ハハハ… そりゃー光栄だ…」
ジョージは “だるまさんが転んだ” をやる隙に逃げようとしたが、
真子は抜け目なくジョージの足にヒモを結びつけていた。
あっさり捕まったジョージは、渋々ながら鬼を交代する。
するとそこへ、真子をいじめる悪ガキたちが現れた。
悪ガキは、悪事をばらされたことで真子に恨みを持っていた。
脇からは悪ガキの妹が真子の帽子をほしがる。
悪ガキは拒む真子から帽子を取り上げ、自分の妹にやってしまう。
しかし、涙を浮かべる真子のもとにジョージがやって来た。
ジョージは奥の手として、歯医者の小さなドリルを取り出す。
キィィィンと鳴り響くあの恐ろしい音に、悪ガキたちはたちまち逃げていった。
彼らの落としていった 『宝物』を、ジョージは真子にかぶせてやるのだった。
I AM A DENTIST ―オレは歯医者だ!― の巻 3/3
家に帰ってジョージと一緒にお風呂に入る真子。
真子はさっきの一件ですっかりジョージに惚れ込んでしまったらしく、
大人になったらジョージのお嫁さんになるなどと言っている。
「美人になったらな…」
興味なさそうにジョージがぼやいていると、
風呂場の外から女性の声が聞こえてきた。真子の母親だ。
服を脱いで風呂場へと入ってくる真子のママ。
……当然ながら全裸である。
ジョージは洗面器の中で鼻血を噴き、そのまま気を失ってしまった。
動かなくなったジョージを、真子は 『ハカセ』こと
おもちゃ屋の店主のもとに持ち込む。店には麻美も来ていた。
母親とジョージと一緒に風呂に入ったことを店主に話す真子。
心配そうにしていた麻美だが、その話を聞いて顔色が変わった。
目を覚ましたジョージは、何も覚えていないと言ってごまかそうとするが、
鬼のごとき形相の麻美に思い切り怒鳴られるのだった。
女の裸で鼻血とは、結構うぶだな
プレイ イット アゲイン 1/4
桜の咲きほこる庭で、剣 三十郎(つるぎ・さんじゅうろう)は、
孫娘の道子に竹刀を突きつけられていた。
今日は道子の学校の授業参観日。
道子は、真剣をさげて参観にやってくる非常識な祖父を、
学校に来させまいと必死であった。
「見るんぢゃ、道子!! この桜を!!」
孫娘の抗議も意に介さず、三十郎は道子に説教をする。
彼が生まれたときに植えられた、樹齢70年を越す桜。
今なお堂々と花を咲かせるこの樹のように、
細かいことは気にせず強く美しく生きろと彼は言った。
しかし、道子はそんな説教は聞き飽きている。
道子は三十郎を止めるため、剣の達人である祖父に勝負を挑んだ。
結果、もうすぐ八十に手の届く三十郎は、道子の作戦にはまり、
スタミナの切れたところを一本勝ちされてしまった。
道子は三十郎を置いて学校へ出かけていく。
三十郎は桜の根元に寝転がりながら、身の衰えを嘆いた。
「ワシはお前がうらやましい…」
いまだ若々しい同い年の樹を見上げ、三十郎は考える。
もしもその若さを自分に分けてくれたら、と。
―― ワシはもう一度… もう一度…。
プレイ イット アゲイン 2/4
やがて寝入ってしまった三十郎は、桜の花びらに埋もれて目を覚ました。
彼は勝負のやり直しを迫るべく、すぐさま道子の学校に駆けつける。
しかし、教室で道子の目の前に現れたのは、
剣道着にゲタ履きの、彼女と同じ年頃をした若者であった。
そう、三十郎はいつの間にか若返っていたのだ。
道子は当然、相手が自分の祖父だとは夢にも思わない。
教室を追い出された三十郎は、トイレで若返りの事実に気付き、
第二の青春が始まったことを大いに喜ぶ。
だが、トイレにはちょうど、ふらちな連中がやって来ていた。
連れションしながら女あさりの相談をしているのは、
剣道部の仲代(なかだい)と、その取り巻き二人であった。
仲代の次のターゲットを、誰あろう剣 道子。
やってしまえば女なんてこちらのもの、と仲代はヤニさがる。
そんな彼の前に、不敵な笑みを浮かべた三十郎が立ちはだかった。
「たわけ!! 貴様のような外道に… 道子はやれん…」
三十郎はトイレのスッポンで、取り巻きたちを軽く叩きのめす。
仲代は彼をかなりの使い手と察し、みずから木刀を握って打って出た。
木刀で蝶を両断してみせる仲代。 こちらも腕は確かなようだ。
二人は隙なく構え、たがいに距離をはかる。
そのとき、騒ぎを聞きつけた野次馬に混じって、道子が現れた。
「仲代様、ガンバッテ〜〜!」
孫の思わぬ言葉にショックを受ける三十郎。
仲代はその隙を突いて、強敵をあっさり打ち倒した。
(わからん、これほどの男が なぜ…!?)
プレイ イット アゲイン 3/4
昏倒した三十郎は、保健室で道子に手当てを受けることになった。
道子は、剣道の天才である仲代に憧れをいだいているようだ。
それが気に入らない三十郎は、道子につっけんどんに接する。
しかし道子は、頑固で負けず嫌いな彼を見て、
自分の祖父のことを思い出し、放っておけなかったのだと彼に語った。
相手の正体を知らない道子は、三十郎に名前を尋ねた。
「さ、桜… 桜 三十郎ぢゃ!!」
「変な名前…」
行くあてがないという三十郎を、道子は自分の家へと連れて帰る。
すると家の前には、木刀を持った仲代が待ち構えていた。
昼間の勝負では納得がいかず、三十郎に再戦を持ちかける仲代。
咲きほこる桜の木々の下で、二人の男は対峙した。
しかし道子を敵に回すことを考え、勝負をためらう三十郎。
そんな彼に対し、仲代は一方的に真剣を持ち出した。
卑劣なやり口を道子が責めるが、仲代は彼女を突き飛ばした。
「勝負なんて勝ちゃーいいんだよ!! 安心しろ、道子くん…
こいつを片付けたら、たっぷりとお相手しよう! ヒヒヒ…」
プレイ イット アゲイン 4/4
更に小刀を取り出し、仲代は宮本武蔵のごとき二刀流で三十郎に迫る。
三十郎はその剣を、欲と野望に曇っていると静かに断じた。
しかし木刀の先を切り落とされ、三十郎は仲代に追いつめられていく。
そのとき、祖父を捜しに行った道子が、三十郎のもとに真剣を届けた。
「桜 三十郎……… 参る…」
鞘を払った真剣を握り、仲代の太刀を紙一重でかわす三十郎。
舞い散る桜の花びらが、彼の刀に吸い寄せられるように集まる。
「秘剣、桜吹雪!! みだれ斬り!!」
その目にも留まらぬ刀さばきによって、仲代は服をバラバラに裂かれ、
ついでに脳天の髪を切り落とされて、ついに敗北を認めたのだった。
ケガをした三十郎を見て、道子は救急箱を取りに走る。
そのとき三十郎は気がついた。
桜の木の一本が、ひとひら残らず花弁を落としていることに。
三十郎は、この桜が彼の願いをかなえ、若さを与えてくれたのだと悟った。
三十郎は心の中で思う。 十分に夢を見させてもらった、もう満足だと。
彼の足もとで桜の花びらが、逆巻くように風に舞った。
やがて道子が戻ってくると、そこには見なれた祖父の姿があった。
“桜君”を探す道子のことを、どこのくだらない男だと三十郎がからかう。
「なによー、おじいちゃんなんかより、
ず〜〜っと かっこ良かったですよーだ!!」
それを聞いておかしそうに笑う三十郎を、道子は狐につままれたような顔で見つめていた。
仲代はもう丸坊主にするしかないなw
元ネタは椿三十郎か
結構面白かったから連載化しないかな
水かけると若返って、お湯かけるとジジイに戻る設定にすれば行けるぞ
えくすかりばあ 1/4
子供たちが白球を追いかけるグラウンド。
その片隅に一本のバットが突き刺さっていた。
それはかつて、脅威の大打者が地面に突き立てたという、
『伝説のバット』であった――。
グラウンドでは今しも少年野球の試合が行われていた。
かたや黒ヘルメットのGUTS、かたや縦縞ユニフォームのTRYSだ。
TRYSのピッチャー ・ アキラは、
GUTSの少女メンバー ・ 美苗の幼なじみでもあった。
美苗はアキラの速球に押され、ピッチャーゴロに打ち取られてしまう。
肩を落としてベンチに戻る美苗は、
その途中、地面から突き出た何かにつまずいてしまった。
それは深々と土の中に埋まった一本のバットであった。
美苗はこの謎のバットのことをチームメイトに尋ねる。
眼鏡の7番君が言うには、
昔、巨人の長島が地面に突き刺した伝説のバットだという。
しかし他のチームメイトたちも顔を出し、刺したのは王だとか、
西武の清原だとか、いやいや呂であるとか、口々に違うことを言う。
どうやら噂ばかりで真実は誰も知らないようだ。
美苗はそのバットを抜こうとグリップに手をかけた。
もしも本当に 『伝説のバット』なら、抜くことで、
アキラにも勝てる力がつくかも知れない。
いくら引っ張ってもバットはびくともしなかったが、
美苗は一瞬、手のひらに電気のようなものが走るのを感じた。
ひょっとしたら本当に、ただのバットではないのだろうか。
えくすかりばあ 2/4
「ライト!!」
だが、伝説のバットのことばかり考えていた美苗は、
アキラの打球に気づかず、エラーで一点を与えてしまった。
坊主頭のピッチャー ・ ケンちゃんは、
このエラーのおかげですっかり機嫌を悪くする。
美苗に文句を言う彼を、今度は他のチームメイトが怒り、
たちまちベンチは険悪な雰囲気になってしまった。
(どうしよう〜〜… わたしのせいだ…)
そのとき、落ち込む美苗に老カントクが声をかけた。
「美苗の背番号は何番だ?」
「きゅ、9番です!」
「じゃあ しっかりしなきゃダメじゃないか…
ナインをしょってんだからのう…」
カントクの笑顔に励まされ、美苗は元気を取り戻す。
活躍する力がほしいと、伝説のバットを抜くべく頑張る美苗。
そんな美苗をケンちゃんは抜けるわけがないと言って馬鹿にする。
しかし試合の中で、美苗がミスした仲間を笑顔で励まし、
体を張って打球を止めるのを見るうち、
ケンも他のチームメイトも、美苗に打たせたいと思うようになっていた。
えくすかりばあ 3/4
試合は投手戦となって、2点差のまま九回の裏へ進んだ。
あと二人出れば美苗まで回る打順だ。
そのとき、いまだ伝説のバットと格闘している美苗のもとに、
ピッチャーのケンちゃんがやって来て手を貸した。
「手伝ってやるからよ―― 早くこんなもん抜いちまえよ!!」
他のチームメイトたちもそれに続き、美苗たちは、
『大きなカブ』の絵本のように、みんなでバットを引っ張り始めた。
敵チームのアキラはそれを見てあきれるが、不意に空から雷が落ち、
伝説のバットは天の力を得たかのように地面から抜けた。
おりしもアキラは四球と死球でランナーを出し、打順は美苗へと回った。
やっと手に入れた伝説のバットを握り、バッターボックスに入る美苗。
今度は力負けすることもなく、アキラの速球をレフトへと運ぶ。
しかし打球はポール際から逸れ、惜しくもファールとなってしまった。
皆が無念の息をつく中、美苗は呆然として立ち尽くしていた。
原因はファールではない。
今のバッティングで、伝説のバットが根元から折れてしまったのだ。
それでももう一度気力を振りしぼった美苗は、
折れたバットを左手に縛り付け、今度こそと打席へ向かう。
(長島さん!! 王さん、清原さん!!
誰でもいいから美苗に… 美苗に力を!!)
えくすかりばあ 4/4
「ケッ!! 打てるもんなら……… 打って……みやがれ!!」
大きく振りかぶってアキラが白球を投じる。
美苗が思い切り振り抜くと、レフトへ飛んだ球はポールをへし折り、
今度こそ逆転の大ホームランとなった。
美苗たちが喜びにわく中、アキラは腹立ちまぎれにマウンドを蹴り、
さらにグラブを叩きつけて何度も上から踏みつけた。
「野球なんか! やめてやる! やめてやる! やめてやる!」
―― それから6年後。
アキラはTRYSの若き監督となって、少年たちに野球を教えていた。
まだまだヘタくそなチームの様子を、制服姿の美苗やケンも見にやってきた。
そのとき、チームの少年たちがマウンドで奇妙なものを発見する。
それはなかば土に埋まった古いグラブであった。
アキラはもったいぶった顔で、少年たちにこんなことを語り始める。
このグラブはかつて、伝説の大投手が地面に埋めたもの。
これを身につけると豪速球が投げられるという、伝説のグラブだと――。
こうして少年たちのグラウンドに、新しい伝説が生まれたのだった。
オチがなかなか上手いな
でもグラブなら簡単に取れそうだ
こういうオチは好きだ。
その日のうちにはスコップでほじくりかえされそうだけどな。
以下、楽屋裏
お疲れ様でした。
長い間、お気に入りにいれておいてよかったです。
「えくすかりばあ」のオチは「4番サード」や「YAIBA」と似てるよねw
本当に野球が好きだなGOSHO
刃と剣十郎とムサシを足して三で割ると三十郎なんだな
「プレイ・イット・アゲイン」で、仲代が蝶を切る場面があったけど
YAIBAの終盤には、鬼丸が蝶を切らずに岩だけ切る場面があるよな
偶然かぶったのか、あえて関連づけたのか気になる
メメタァ
ジョージのおもちゃ屋は阿笠博士の源流かな?
50レスしかすすんでねえ
300以上残り
まじっく快斗が完結していれば・・・
アンアン最高としか言いようがない
>>678 単行本一冊に10年以上かかる漫画って凄いよなw
!
おはスタ内でやってるアニメYAIBAいいなぁ
..
683 :
マロン名無しさん:2008/05/19(月) 02:40:51 ID:d0P3ywLe
保守
短編のノストラダムスの話は
話の根幹が「公衆電話」ってところに
なんともいえない郷愁を感じる