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-第140楽章「破滅の曲」
右腕と角が生え、ついに完全体となるケストラー
「ああああああああああああああ!!!!!」
変わり果てた母の姿に、悲鳴をあげるサイザー
しかし、まだ息のあったパンドラが必死にサイザーをなだめる
「だめ…怒っ…ては…憎しみで…は…ケス…ト…ラーには…か…ない…しん…じる…の…」
瀕死の状態にもかかわらず何かを伝えようとするパンドラを、踏み潰すケストラー
「ハハハ!小賢しい女だ!まだ息があったとはなああ!!だが…死んだがな」
再び水晶のように冷たくなり何も言わなくなったパンドラを持ち上げ、サイザーに見せつけるケストラー
「なんで悲しむんだい?お前のよく知った母親の姿に戻っただけだろうが!なあ!赤い羽根の魔女ちゃんよ!!」
父の言葉に、母の姿に、血の涙を流し叫ぶサイザー
その肉体が、父や兄のような大きな角と黒い翼を持つ姿へと変わる
「ケストラああああああああ!!!!」
魔族化しハーメルと同等の力でケストラーに襲い掛かったサイザーだったが、一撃で弾き飛ばされてしまう
サイザーを聖杯にしようと近づくケストラーを、火の鳥が攻撃する
「ホウ…小賢しい…エーっと確か…ライエル…とか…いったな」
両親を殺されているのにそれでもハーメルを慕ってそばにいるお人好しだと馬鹿にするケストラーに、言い返すライエル
「ハーちゃんたちはただ平和に…暮らしたかっただけだ…」
それは人間に理解がなく、誤解を持ったままハーメルたちを忌み嫌い傷つけたせい
「その後、ハーちゃんが背負った苦しみは計り知れなかった」
それでも立ち直って、困難を乗り越えて母に会うためにここまで来た
「サイザーさんだってそうだ…幼い頃から大鎌を渡されて…ただ生きのびるため戦いを続けて…」
心を許せるのはオカリナだけで、ぬくもりを求めた母からは水晶の冷たさしか感じられなかった
「でも…今ようやく叶ったのに…そんな彼女を…魔女と呼ぶのはやめろ!!彼女は魔女じゃないっ!!!」
魔王相手に一歩も引かずに叫ぶライエルに抱きかかえられ、涙を流すサイザー
(ああ…ライエル…私は…お前が好き…だ…とても…)
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2/3:2007/06/13(水) 23:00:29 ID:???
その時、ケストラーの爪が伸び、ライエルの胸に突き刺さる
「フン、なるほど…たいしたお人好しぶりだな。オレはそういう奴が一番むかつく…」
憤りながら、ライエルの体を持ち上げ次々に爪で貫くケストラー
「どうした愛の勇者くん…?もう終いか?君の愛の力ってのはそんなものかい?」
全身を貫かれ、右目を斬られ、喉を刺され、血を吐くライエル
しかし、それでもライエルは引かない
「ボ…ボクは…愛の…勇者…ラ…イエル…だ…サ…イザ…さんに…手を…出したら…許…さ……な…」
大鎌を振りかぶり、ケストラーに斬りかかるサイザー
「やめろおおーーー!!!私の…ライエルに…手を出すなあああ!!!!」
しかし大鎌は、ケストラーが盾にしたライエルを貫く
倒れて動かなくなるライエルの前で膝をつき、愕然とするサイザー
「あ…ああ…そんな…ライエル…わた…し…。死な…ないで…ライエル…お願い…」
愛する者まで殺す罪深き魔女だと笑顔で罵りながら、ケストラーがサイザーの首を貫く
ライエルに覆いかぶさるように倒れ、動かなくなるサイザーだった
「美味い!さすがはパンドラの血をひく女だ!至上の味だ!見事だ我が娘よ!」
手についたサイザーの血を舐めながら、天使を魔の道に置いたのは正解だったと喜ぶケストラー
皆死ぬというベースの予言を思い出し震えるトロン
「みんな死んだなハーメル…お前が命を捨てても守ろうとしている者が…あっさりとな…」
ハーメルの精神の支えなど、こんなにも脆い、なんの意味もないものなのだと語るケストラー
「人間などはな、この大魔王に利用される道具だ。生きるのに目的などないのだ!」
証拠を見せようと言い、右手に魔力をためるケストラー
ケストラーの放った魔力が光線となり、島を越え世界各地へと飛ぶ
「報告します!!北の都より飛来したエネルギー体で国の機能の7割が停止しました!エネルギー体なおも飛来!」
突然の攻撃に混乱するスフォルツェンド司令室
焦りつつ、結界を張るよう指示するパーカス
「さきほどのエネルギー体は世界各地に飛来!!膨大な被害が出てます!!」
壊滅、消滅、被爆、大破、全滅…
世界各国から相次ぐ絶望的な被害報告に、大魔王ケストラーの完全復活を確信するパーカスだった
(人類は…お終いなのか…)
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3/3:2007/06/13(水) 23:01:21 ID:???
攻撃を受け、村人たちとともに避難するスタカット村長老
「この…攻撃はなんなのじゃ!?北の都の戦いと…関係があるのか!?」
驚きつつも、フルートの身を案じる長老だった
「ハハハ!!どうだ!!!これが大魔王ケストラー様の魔力だ!!!」
涙を流すハーメルの目の前で、死者の魂を吸いながら高らかに叫ぶケストラー
「この世の全ての人間がオレの道具だ!!ハーメル!御苦労だったな!お前の存在、生き方自体が生贄だった!!!」
様々な抵抗と苦悩は全てハーメル自身の味を高めるためだったと笑う
「オレの欲しかった血のサイザーやオーボウも届けてくれた!!みんな美味しかったぞハーメル!!!」
「やめろおーーーーーーーー!!!!」
叫ぶながらケストラーに組みつくハーメルだったが、あっさり押し切られてしまう
全身にヒビが入り命を削られるハーメルを、笑うケストラー
「この世には大魔王ケストラーだけおればいいのだ!!このオレがなーー!!」
ハーメルを魔王だ息子だと挑発していたのも、全ては聖杯として熟成させるためだった
「脆弱な人間どもよーーー!!!支配してやるぞぉーーー!!この大魔王ケストラーがなああああ!!!」
ハーメルが砕け始め、トロンが悲鳴をあげていたその時
バイオリンを背負ったフルートが現れる
「ホウ…君が…フルート…かね?」
ハーメルへの攻撃をとめ、フルートの前に立つケストラー
「なるほど…随分と小さく可愛らしく…そして…美味しそうなんだろうね…」
パンドラと会った頃を思い出しながら、舌なめずりする
「やっやめろよーーー!!フ、フルート姉ちゃんに手を出すなあーーーー!!!」
叫ぶトロンと、もがくハーメルを無視し、フルートの首筋に牙を当てるケストラー
硬直するフルートの額には、母の十字架があった
次回、最終楽章