#253 鬼の手、狂乱!! の巻
鬼の手が盗まれた!!代わりにぬ〜べ〜の左手につけられたのは鬼の手ならぬ猫の手。屈辱だ。
ヤンは鬼の手を制御するために美奈子先生を催眠状態にして味方につけたようだ。恐ろしく頭の切れる
男である。
鬼の手の鬼「覇鬼」の妹である眠鬼は必ず取り戻せとぬ〜べ〜に詰め寄るが、もとよりそのつもりだ。
鬼の手を手に入れたヤンはその左手から溢れる邪気の力を実感していた。彼の脳裏に、助けを求める
幼い妹の姿が浮かぶ。
「まっていろ鈴々、この鬼の手を使えば…目的は効率よく果たせるぞ。」
妖怪化した客人神ぬらりひょんが、いつものように他人の家で好き放題していた。これを見咎めたヤンは
ぬらりひょんをこそ泥妖怪と罵り鬼の手で頭を潰した。
夜の公園でいちゃつくカップルの前に恨めしげに現れて脅かしたお歯黒べったり。結婚できない女性の
未練が生んだこの哀れな妖怪も、「めめしい」の一言で鬼の手の犠牲となってしまった。
更には人の心を救う妖怪であるあずき洗いさえも、偽善妖怪と断じて切り捨てる始末。
妖怪撲滅を目的とするヤンの顔には、はっきりと狂気が浮かんでいた。
翌朝、ぬ〜べ〜はゆきめと眠鬼を伴ってヤンの行方を追っていた。妖気を辿ってみるとヤンはあちこちで
鬼の手を出しているようだ。いったい鬼の手を何に使っているのかと考えていると、座敷童子が満身創痍で
フラフラと現れた。見ると、鬼の手によって切られた跡が残っている。
座敷童子の治療の為に玉藻を頼り、その際に鬼の手が奪われたことを告げた。
はっきりとはわからないが、ヤンはどうやら鬼の手で妖怪を狩っているらしい。
ゆきめが町内の妖怪達を校内に避難させる為に連れてきたが、妖怪の中には話が通じなかったり
土地に縛られた者がいたりで集まったのはごくわずか。既にヤンに襲われて怪我を負った者もいた。
それでもとりあえず集まった妖怪達はここにかくまってやる事が出来る。
今回の戦いは妖怪の出番のようだと、玉藻とゆきめは戦意を高ぶらせる。ぬ〜べ〜も参加したいが、
「猫の手はかりん」と置いて行かれた。しかし二人が学校から出る前に、ヤンの方から乗り込んできた。
なぜ妖怪を殺すのかとの問いにヤンが答える。
彼が森で迷子になった際、彼の幼い妹は目の前で妖怪に引き裂かれ、喰われてしまった。
ヤン自身は懐に忍ばせた霊符のお陰で難を逃れる事ができたのだが、それ以来全ての妖怪を憎む
ようになり、強力な霊符師となってこれを滅ぼす事を誓ったのだった。
無関係な妖怪まで殺すことはないと責められるが、ヤンは「妖怪は無条件で悪」と言ってはばからない。
玉藻とゆきめを霊符で牽制し、力の弱い妖怪達の退治を始めた。避難の為に集めたのが仇となり、
かえって被害が拡大している。ぬ〜べ〜が止めに入ろうとするが、猫の手では心もとない。
ふと、ぬ〜べ〜は眠鬼の能力が気になって向き直った。眠鬼は霊能者で作ったパンツをはけば鬼の力
が出せるということだが、それはつまり霊能力者と一体化すれば鬼の力が戻るという事だ。
それを確認すると、ぬ〜べ〜は猫の手を成仏させて、眠鬼を兄達と同格の鬼と見込んで土下座して
何事かを頼み込んだ。その内容に眠鬼は目を大きくして驚いた。
玉藻とゆきめは霊符を振りほどけず、仲間の妖怪達を助ける事ができずにいた。その間にも霊符と鬼の手
で罪のない妖怪達が傷つけられていく…
すっかり調子に乗って「この俺に敵う奴はいない」などとほざくヤンに、ぬ〜べ〜が水を差す。
その声に振り向くと、ぬ〜べ〜の左手には肘まである鬼の手が…!
「鬼の手が…二つ!?」