無人の理科室で、加熱中のフラスコが割れた。
広は走っていた。どうしてこんな事になったのか…日が沈む頃、広はゴミ箱の上で目を覚ました。
#251 広、ミクロ化!? の巻
一体どうした事か?広の視界に入る全ての物が巨大化しているではないか!いや、広が縮んでいた!
今いる場所はどうやら郷子の家の近くのようなので、郷子を頼って学校に連れて行って貰うことにした。
玄関までたどり着いたのはいいが、ミクロ化した状態では呼び鈴まで届かない。さてどうしたものか…
と考えていると、背後の猫に猫パンチを食らって丁度開いていた窓に放り込まれたのだった。
飛び込んだ先は風呂場、しかも郷子が入浴中だった。郷子の顔にダイブしたら払われ、胸元へ落下。
しかし郷子の胸にはつかまれる場所がなく、そのまま股間まで滑り落ちて壁に打ち付けられた。
風呂から上がり郷子の部屋で事情を話すと、「本当に広なの?」と、見れば分かる事を聞いてきた。
明日学校に連れて行ってもらってぬ〜べ〜に助けを請う事にして、今日のところは折角のこの状況を
楽しむ事にした広。ショートケーキを虫みたいに食べ進んだり迫力の大画面でTVゲームを楽しんだりと
存分に楽しんだところで就寝。こうして郷子と二人きりで過ごしていると、以前工事現場に落ちたときの事
が思い出される。(コミックス8巻)「そんなことまで覚えてるの」と郷子は意外そうだが、そんなの当たり前。
翌朝学校に着いた郷子は、広を饅頭の空き箱に閉じ込めた。
教室の前ではヒソヒソ声が漏れ聞こえてくる。皆で何かを町中探し回っているようだ。
そこへ、郷子が広の入った箱を持って入室した。
「やっと… つ か ま え た わ…」
どうやら皆が捜していたのは広のようだった。それにしても「つかまえた」なんて、人の事を虫みたいに…
ここで、ぬ〜べ〜から衝撃の事実が明かされた。なんと、この広は広ではなく、ホムンクルスだというのだ!
ホムンクルスは人工の妖精で、15世紀の錬金術師によって編み出された。その方法が記された本を頼りに
美樹が広の血を材料に作ったら成功して、出来上がったホムンクルスが逃げ出した。それがミクロ広だと
いうのだ。信じられない事だが、目の前にはオリジナルの広が確かにいる。オリジナルは悩まないように
ぬ〜べ〜に記憶を消してもらえなどと言ってきた。
ミクロ広はぬ〜べ〜の手を噛んで逃げ出した。自分がホムンクルスだなどととても信じられないようだ。
ぬ〜べ〜達は手分けして校内を捜す事に。
校舎裏に捜しに来た郷子はホムンクルスに同情していた。ホムンクルスは広のすべてを受け継いでおり、
皆が言うような作り物ではない。なので彼の記憶を消す事には消極的だ。
焼却炉で物音がしたのでホムンクルスかと思って振り向くと、それはホムンクルスではなく、ゴミを
あさりに来た野犬だった。野犬は郷子に襲い掛かる。その野犬にホムンクルスが釘を武器に襲い掛かる。
自分は広だ、郷子の危機に駆けつけない事はない。しかし、郷子は遅れてやってきたオリジナルの広に
抱きついた。
ホムンクルスは少なからずショックを受けたようだが、広が二人いたらややこしいと、記憶を消してもらう
事を承諾した。その方が楽だと、ぬ〜べ〜がすぐさま記憶を消しに取り掛かる。
今にも記憶が消されようとした時、郷子はぬ〜べ〜の手からホムンクルスを奪いこれを阻止した。
一晩過ごしてみて、ホムンクルスがオリジナルの広と同じだとわかったので、郷子には記憶を消す事が
はばかられるのだ。だが、それじゃあどうすればいいのか…
郷子の血を元にした、郷子そっくりのホムンクルスが作られた。妖精であるホムンクルスは自然に帰せば
自然の妖精になるので人間の記憶は邪魔になるとぬ〜べ〜。
それでもよい、広と郷子のホムンクルスは手を繋いで自然に帰っていくのだった…